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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-23
(45)【発行日】2024-01-31
(54)【発明の名称】関節鏡検査装置及び関節鏡検査方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/12 20060101AFI20240124BHJP
【FI】
A61B18/12
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020568303
(86)(22)【出願日】2019-06-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-11
(86)【国際出願番号】 US2019036118
(87)【国際公開番号】W WO2019237039
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2022-03-09
(31)【優先権主張番号】62/682,787
(32)【優先日】2018-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/433,806
(32)【優先日】2019-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522206906
【氏名又は名称】リライン コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100165995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 寿人
(72)【発明者】
【氏名】マルケヴィッチ、サイモン
(72)【発明者】
【氏名】ジャーメイン、アーロン
【審査官】和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/156343(WO,A1)
【文献】特表2008-532712(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0258519(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/12 - 18/14
A61B 17/32
A61B 17/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性流体の存在下で組織を治療するための双極高周波(RF)装置であって、
モーター駆動部、受信チャンネル、前記受信チャンネルの内壁に取り付けられたアクティブ電気接点、及び前記受信チャンネルの内壁に取り付けられた戻り電気接点を有するハンドピースであって、前記戻り電気接点は、前記アクティブ電気接点の近傍に配置される、ハンドピースと、
近位ハブと、前記近位ハブから縦軸に沿って遠位方向に延びる細長いシャフトを具備するプローブであって、前記ハブは前記ハンドピースの前記受信チャンネルに取り外し可能に挿入できるように構成されている、プローブと、
前記細長いシャフトの遠位端にある動作端であって、前記動作端はアクティブ電極と戻り電極を有する、動作端と、
前記近位ハブの外面のアクティブ電気接点の近傍に配置された戻り電気接点であって、(1)前記受信チャンネルの前記戻り電気接点及び前記ハブの前記外面の前記戻り電気接点のそれぞれ、及び(2)前記受信チャンネルのアクティブ電気接点及び前記ハブの外面のアクティブ電気接点のそれぞれが、前記ハブが前記ハンドピースの前記受信チャンネルに挿入されたとき、お互いに嵌合するようになっている、戻り電気接点と、
を具備し、
前記プローブは、前記シャフトを通って前記ハブの出口ポートまで延びる流路を具備し、前記ハンドピースは内部チャンバー及び流出通路を具備し、前記流路の出口端は、前記受信チャンネルの前記内壁を通って前記流出通路に通じ、
前記戻り電気接点が、前記アクティブ電気接点の近位に配置され、
前記前記戻り電気接点を近位ハブの内部チャンバー内の前記導電性流体の流れに意図的に曝すことで、前記導電性流体の流出経路を通る制御可能なRF電流経路をもたらし、前記導電性流体その他の流体が内部チャンバーから前記アクティブ電気接点に流れるのを防ぐOリングシールを備え、これらにより、動作端のアクティブ電極までRF電流を流している露出した内側スリーブの最も近位の部分及びハンドピースの前記戻り電気接点から延びる潜在的なRF電流経路を意図的にもたらすことを特徴とする双極高周波(RF)装置。
【請求項2】
前記流路は、前記動作端の窓から前記ハブの前記出口ポートまで延び、治療部位から流体及び組織の残骸を除去するよう構成されていることを特徴とする請求項1に記載の双極RF装置。
【請求項3】
前記ハンドピースの前記内部チャンバー及び前記流出通路は、負圧源と結合するよう構成されていることを特徴とする請求項2に記載の双極RF装置。
【請求項4】
前記ハブを前記ハンドピースの前記受信チャンネルに挿入したときに、前記アクティブ電気接点と前記戻り電気接点との間の流体の移動を防ぐために前記ハブの前記外面と前記受信チャンネルの前記内壁との間にシールを具備することを特徴とする請求項1に記載の双極RF装置。
【請求項5】
前記シールは、前記ハブ及び前記ハンドピースの少なくとも1つにより支えられる弾性部材を具備することを特徴とする請求項4に記載の双極RF装置。
【請求項6】
前記ハブの前記外面と前記受信チャンネルの前記内壁との間のギャップは、前記ハブを前記ハンドピースの前記受信チャンネルに挿入したときに、前記チャンバーから前記ギャップを通って流体を流すのに十分な大きさであることを特徴とする請求項4に記載の双極RF装置。
【請求項7】
前記ハブ上の前記アクティブ電気接点及び前記戻り電気接点はそれぞれ、直径方向に対向する一対のばね式電極接点を具備し、前記受信チャンネルの前記内壁上の前記アクティブ電気接点及び前記戻り電気接点はそれぞれ、前記内壁の全周にわたって360°延びているリング電極を具備することを特徴とする請求項1に記載の双極RF装置。
【請求項8】
前記戻り電気接点が具備する、直径方向に対向する一対のばね式電極接点は、前記アクティブ電気接点の遠位に延びる円筒形のコア部材により前記シャフトの外側スリーブに電気的に結合されることを特徴とする請求項7に記載の双極RF装置。
【請求項9】
前記アクティブ電気接点が具備する、前記直径方向に対向する一対のばね式電極接点は、前記円筒形のコア部材を半径方向に貫通し、前記円筒形のコア部材に同軸に配置された回転カラーにより前記シャフトの内側スリーブに電気的に結合されることを特徴とする請求項8に記載の双極RF装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
この出願は、2018年6月8日に出願された仮出願62/682,787(代理人整理番号41879-742.101)に基づく優先権を主張して、2019年6月6日に出願された米国特許出願第16/433,806(代理人整理番号41879-742.201)に基づく優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【背景技術】
【0002】
1.発明の分野
本発明は、一般に、内視鏡的処置及び他の外科的処置のための装置及び方法であり、さらに詳細には骨及び軟組織を切断及び除去するための装置及び方法に関する。
【0003】
骨の内視鏡的切断及び除去には、例えば肩峰下減圧術、ノッチ形成術を伴う前十字靭帯再建術、及び肩鎖関節の関節鏡視下切除を含む、様々な装置及び方法が存在する。現在、外科医は、回転切断面を有する関節鏡シェーバー及びバーを使用して、そのような処置において硬組織を除去している。
【0004】
効率を高めるために、再利用可能なハンドピースを含む内視鏡ツールシステムと、異なる動作端を持つ交換可能なツールプローブの選択とを利用することが可能である。個々の動作端には、軟組織の除去や硬組織の切除など、それぞれ2つ以上の機能があり、そのため、このようなツールシステムでは、数十の特定の機能を提供することができ、優れた適応性を有する。
【0005】
1つのツールシステムでそのような柔軟性を持たせることには大きな利点はあるが、課題もある。特に、これらのシステムのプローブの多くは、動作部位から流体及び組織破片を真空吸引するために、回転可能なシャフト内に、内腔を有している。これらの回転可能なツールの多くは、ハンドピースからプローブの動作端への無線周波数(RF)電流の供給にも依存しているため、再利用可能なハンドピースと、交換可能な(通常は使い捨ての)プローブとの間のインターフェースは、流体交換を行いながら機械的及び電気的な接続を維持し、電気的に短絡することが無いように設計しなければならない。
【0006】
従って、本発明の目的は、改良された関節鏡その他の内視鏡的組織切断及び除去システムのような、改良された外科システム及びそれらの使用方法を提供することであり、再利用可能なハンドピース又はその他のハンドピースを、交換可能な、通常は使い捨ての、プローブに取り外し可能に接続することができる一方、外科システムにおける電気的及び/又は機械的操作を妨げることなく、流体及び組織破片を、プローブシャフトを介しそしてハンドピースを通して外向きに、真空吸引することができるようにすることである。本明細書に記載の発明は、これらの目的の少なくともいくつかを満足させる。
【0007】
2.背景技術の説明
関連する共同所有の特許及び出願として、米国特許出願公開2018-0303509号、第2019-0008541号、第2019-0059983、第2019-0134279号、第2019-0021788号、第2018-0317957号、第2019-0008538号、第2019-0083121号、2018-0263649号、及び第2019-0015151号が含まれ、これらの内容はすべて参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、改良された外科システム及びそれらを使用する方法を提供する。特に、本発明は、改良された関節鏡その他の内視鏡的組織切断及び除去方法及びツールを提供する。ツールは、例えば、交換可能な、通常は使い捨てのプローブに取り外し可能に接続可能な、再利用可能なハンドピース又はその他のハンドピースを具備する。プローブの近位端とハンドピースの遠位端との間のインターフェースにより、プローブシャフトを通しそしてハンドピースを通して外向きに流体及び組織破片の真空吸引を可能にすると同時に、真空吸引を妨げることなくハンドピースからプローブに高周波(RF)電流による駆動力及び/又は機械的駆動力を供給するための相互接続を行う。
【0009】
第1の態様では、本発明は、導電性流体の存在下で組織を治療するための双極RF装置を提供する。双極RF装置はハンドピースとプローブとを具備する。ハンドピースには、通常、モーター駆動部、受信チャンネル、及び受信チャンネルの内壁に取り付けられたアクティブ電気接点を含む。戻り電気接点は通常、受信チャネルの内壁にも形成され、アクティブ電気接点の近傍に配置される。プローブには、近位ハブと、近位ハブから縦軸に沿って遠位方向に延びる細長いシャフトとが含まれる。ハブは通常、ハンドピースの受信チャンネルに取り外し可能に挿入できるように構成されている。動作端は細長いシャフトの遠位端に位置し、通常、アクティブ電極と戻り電極を備えている。戻り電気接点とアクティブ電気接点はそれぞれ、プローブの近位ハブの外面に設置されている。特に、戻り電気接点は、(1)受信チャンネルの戻り電気接点及びハブの外面の戻り電気接点のそれぞれ、及び(2)受信チェンネルのアクティブ電気接点及びハブの外面のアクティブ電気接点のそれぞれが、ハブがハンドピースの受信チャンネルに挿入されたとき、お互いに嵌合するように、電気接点の近傍に配置される。
【0010】
ハブの戻り電気接点とプローブの受信チャンネルの戻り電気接点の両方をアクティブ電気接点の近傍に配置することにより、プローブの吸引内腔を通して吸引される流体からアクティブ接点を分離することが容易になる。特に、戻り電極及び戻り電気接点は、戻り電気接点と流体との電気的接触が都合よく行われるように、通常、外科手術部位中の導電性流体の電位(流体は並列接続された接地経路として機能することができる)に維持される。逆に、電気的短絡を回避するには、アクティブ電気接点を電気的に絶縁する必要がある。
【0011】
双極RF装置の特定の実施形態では、プローブは、シャフトを通ってハブの出口ポートまで延びる流路を具備するすることができる。ハブは、内部チャンバー及び流出通路を具備することができ、シャフト内の流路の出口端は、受信チャンネルの内壁を通って内部チャンバーに通じる。さらなる例では、流路は、プローブの動作端の窓からハブの出口ポートまで延びることができ、治療部位から流体及び組織の残骸を除去するように構成することができる。さらに別の例では、ハブ内の内部チャンバー及び流出通路は、動作端の窓、流体通路、内部チャンバー、及び流出通路を介して真空吸引を開始するために、負圧源と結合するように構成することができる。
【0012】
他の実施形態では、ハブをハンドピースの受信チャンネルに挿入したときに、アクティブ電気接点と戻り電気接点との間の流体の移動を防ぐために、ハブの外面と受信チャンネルの内壁との間にシールを配置することができる。そのようなシールにより、アクティブな電気接点を前記流体と絶縁しながら、戻り電気接点を吸引流体に露出することが可能になる。シールは、例えば、ハブ、ハンドピース、又はその両方によって支えられる弾性部材を具備することができる。具体例として、外面と内壁との間にギャップができるように、ハブの外面及び受信チャンネルの内壁の寸法が選択される。ギャップは、通常、ハブがハンドピースの受信チャンネルに挿入されたときに、チャンバーからギャップを通って流体が流れることができるような大きさに選択される。そのような場合、シールは、そのような流体が戻り電気接点に接触することを可能にしながら、アクティブな電気接点を吸引流体から絶縁するために存在することになる。
【0013】
さらに別の特定の実施形態では、ハブ上のアクティブ電気接点及び戻り電気接点は、それぞれ、直径方向に対向する一対のばね式電極接点その他の接点を具備することができ、受信チャンネルの内壁上のアクティブ電極接点及びリターン電極接点は、それぞれ、受信チャンネルの内壁の全周にわたって360°延びているリング電極を具備する。具体例として、対向するばね式戻り電気接点のペアが、プローブの外側スリーブ(双極治療システムのアースとして機能する)に電気的に結合され、次に、アクティブ電気接点の遠位に延びる円筒形のコア部材によって結合される。さらに別の例では、直径方向に対向する一対のばね式アクティブ電極接点は、円筒を、一般的には開口部又はコアの壁を通る通路を半径方向に貫通することができ、円筒形のコア部材内に同軸に配置された回転カラーによってシャフトの内側スリーブに電気的に結合することができる。
【0014】
第2の態様では、導電性流体の存在下で患者の組織を治療するための双極RF装置は、ハンドピース及びプローブを備える。ハンドピースは、内部チャンバー及び流出通路を含み、操作者の手による把持、すなわち手動操作及び操作に適合している。プローブは、近位ハブと、近位ハブから縦軸を囲って遠位方向に延びる細長いシャフトとを具備する。プローブの遠位端には動作端があり、動作端にはアクティブ電極とリターン電極が含まれている。ハブは、ハンドピースの受信チャンネルに取り外し可能に挿入できるように構成されている。第1の戻り電気接点及び第2の戻り電気接点は、それぞれ受信チャンネル及びハブ上に配置され、ハブがハンドピースの受信チャンネルに挿入されると、互いに係合して戻り電極をRF源に接続するようになっている。流路は、ハブのプローブシャフトを通って延び、ハブがハンドピースの受信チャンネルに挿入されると、ハンドピースの内部チャンバー及び流出通路に通じる。ハブの外面と受信チャンネルの内壁との間にギャップが維持され、ギャップは通常、ハブがハンドピースの受信チャンネルに挿入されたとき、チャンバーからギャップを通って流体が移動できるのに十分な大きさを有し、動作端はそのような液体に浸される。ハブの外面と受信チャンネルの内壁との間にシールが配置され、アクティブ電気接点と戻り電気接点との間での流体の移動を防止し、戻り電気接点は、ギャップを通って内側に移動する流体に露出できるようにする一方、アクティブ電気接点は、そのような流体の移動とは隔離する。
【0015】
具体例として、流路の選択された部分は、誘電体を具備し、それによって、アクティブ電極と第1の戻り電気接点との間及びアクティブ電極と第2の戻り電気接点との間の間隔を調整する。この間隔は、アクティブ電極の周りにプラズマを生じさせるために動作端のアクティブ電極と戻り電極との間に十分なRF電流の流れを維持しながら、内部チャンバー内の導電性流体から前記第1の戻り電気接点及び第2の戻り電気接点へのRF電流の流れの制限を可能にするように、調整することができる。
【0016】
他の例では、双極RF装置は、受信チャンネル及びハブにそれぞれ第1の戻り電気接点及び第2の戻り電気接点をさらに具備することができ、ハブがハンドピースの受信チャンネルに挿入されると、接点は互いに係合するように構成されている。
【0017】
第3の態様では、本発明は、導電性流体の存在下で組織を治療するための双極RF装置を提供する。この装置は、外側スリーブアセンブリ及び内側スリーブアセンブリを有する細長いプローブを具備する。内側スリーブアセンブリは、プローブの縦軸に沿って、第1の電極及び第2の電極を支える動作端まで同軸に延在し、ここで、内側スリーブの外面及び外側スリーブの内面は、ギャップによって分離されている。外側スリーブアセンブリ及び内側スリーブアセンブリは、それぞれ第1の電極及び第2の電極に接続する第1の導体及び第2の導体を具備する。内側スリーブの外面及び外側スリーブの内面の寸法は、導電性流体がギャップ内にあるときに目標の電気抵抗となるようなギャップができるように選択される。
【0018】
具体例として、この双極RF装置は、モーター駆動部及び近位ハブを備えたハンドピースをさらに具備し、プローブの一部が、ハンドピースの受信チャンネルに取り外し可能に収容されるように構成される。双極RF装置は、ハンドピース及びハブにそれぞれ第1の電気接点及び第2の電気接点をさらに具備することができ、ハブの近位部分がハンドピースの受信チャンネルに挿入されると、電気接点は互いに係合するように構成される。多くの場合、流路は、細長いプローブを通って延在し、ハブの近位部分がハンドピースの受信チャンネルに挿入されると、ハンドピースの内部チャンバー及び流出通路と通じるように流路が設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
ここで、本発明の様々な実施形態を添付の図面を参照して説明する。図面は、本発明の典型的な実施形態のみを示しており、従って、技術的範囲を限定するものと考えるべきではないことを理解されたい。
【0020】
図1】モーター駆動部と取り外し可能な使い捨て切断プローブを備えた再利用可能なハンドピースを含む関節鏡切断システムの分解斜視図であり、切断プローブは、ハンドピースに対して取り外し可能なアタッチメントとして構成されたハブに対して2つの回転位置で示されている。具体的には、プローブの動作端はハブ及びハンドピースに対して上向き(UP)又は下向き(DN)状態で示され、ハンドピースは、使用中のシステムの動作パラメータを制御アクチュエータと共にハンドピース上に表示するためのLCD画面を含む。
【0021】
図2A】ハンドピースに対して上向きのハブとプローブを備え、ハンドピースに搭載されたホール効果センサーと、機器の識別のため、及びこのハンドピースに対するプローブの向き及びモーター駆動のコンポーネントの位置を定めるためのプローブハブに搭載された複数の磁石とを示す、図1の線2A-2Aに沿って切り取った、図1のプローブのハブの拡大縦断面図である。
【0022】
図2B図2Aとは異なる方向をもつホール効果センサーと磁石を示す、ハンドピースに対して下向きのハブとプローブを備えた、図1の線2B-2Bに沿って切り取った、図1のハブの断面図である。
【0023】
図3A】回転可能な切断部材が外側スリーブに対して第1の位置にある、上向きの図1のプローブ動作端の拡大斜視図であり、切断部材の窓は外側スリーブの窓と位置合わせされている。
【0024】
図3B】回転可能な切断部材が外側スリーブに対して第2の位置にある、上向きの図1のプローブ動作端の斜視図であり、切断部材に搭載された電極は、外側スリーブの窓の中心線と位置合わせされている。
【0025】
図4図1のハンドピースに取り外し可能に結合することができるプローブの1つのバリエーションにおける動作端の斜視図であり、動作端は、外側スリーブから遠位に延びるボーンバーを含む。
【0026】
図5図1のハンドピースに取り外し可能に結合することができるプローブの1つのバリエーションにおける動作端の斜視図であり、動作端は往復電極を有する。
【0027】
図6図1のハンドピースに取り外し可能に結合することができるプローブの別のバリエーションにおける動作端の斜視図であり、動作端は、拡張位置と非拡張位置を有するフック電極を有する。
【0028】
図7図1のハンドピースに取り外し可能に結合することができるプローブのさらにまた別のバリエーションにおける動作端の斜視図であり、動作端は、組織を切断するための開閉可能な顎構造を有する。
【0029】
図8】選択されたデフォルト位置で切断部材の回転を停止するためのコントローラアルゴリズムによって使用される方法を概略的に示す、図1及び図3Aに示すような回転切断部材を備えたプローブの速度設定に関するチャートである。
【0030】
図9A】ハブが回転運動を図5の動作端のように直線運動に変換して電極を軸方向に往復運動させるための内部カム機構を有する点を除いて、図2Aと同様のプローブハブの縦断面図であり、図9Aは、ハブ及び駆動カップリング内の磁石が図2Aと同じであり、ハブはハンドピースに対して上向きの位置にある。
【0031】
図9B】ハンドピースに対して下向きの位置に180°回転させた図9Aのハブの断面図である。
【0032】
図10】医師が間関節鏡プローブを保持し、患者の膝を治療する処置の概略図であり、ハンドピースからドレープで覆われていない腕、そしてドレープで覆われていない脚への容量結合部に電位が生じ、それにより医師の腕と患者の脚に電気ショック又は火傷を引き起こすことがあり、図は、プローブの動作端によって支えられたアクティブ電極とリターン電極の間の電位によるRF電流経路を示している。
【0033】
図11A図10の関節鏡プローブのハブの断面図であり、生理食塩水の流出に伴いハブの内部の第1の電位経路を通って流れるRF電流を制御するハブのコンポーネント及び特徴を示している。
【0034】
図11B図11Aのプローブハブの断面図であり、意図しない第2の電位経路を通って流れるRF電流を防止又は制限するハブの特徴を示している。
【0035】
図11C図11Aのプローブハブの断面図であり、意図しない第3の電位経路を通って流れるRF電流を防止又は制限するハブの特徴を示している。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明は、骨切断及び組織除去装置及び関連する使用方法に関する。ここで、本明細書に開示されている装置の形態、機能、及び使用方法の原理の全体的な理解を得るために、本発明のいくつかのバリエーションを開示する。一般に、本開示は、骨、軟組織、半月板組織の切断、及びRF焼灼及び凝固に適合した関節鏡ツールのバリエーションを提供する。関節鏡ツールは通常は使い捨てであり、モーター駆動部品を搭載する使い捨てでないハンドピースに取り外し可能に結合するように構成されている。本発明の一般的な原理についてのこの説明は、添付の特許請求の範囲の発明の概念を限定することを意図するものではない。
【0037】
図1に示す1つのバリエーションでは、本発明の関節鏡システム100は、モーター駆動部105を備えたハンドピース104と、ハンドピース104のレシーバ又はボア122によって受け入れられる近位ハブ120を備えた使い捨てシェーバーアセンブリ又はプローブ110を提供する。1つの態様では、プローブ110は、肩、膝、腰、手首、足首、及び背骨の治療を含むがこれらに限定されない、多くの関節鏡手術用途で使用するように構成された高速回転カッターを搭載する動作端112を有する。
【0038】
図1、2A、及び3Aを参照すると、プローブ110は、外側スリーブ140と、回転可能に配置された内側スリーブ142であって遠位セラミック切断部材145(図3A)を搭載した内側スリーブ142とを具備し、縦軸128に沿って延びるシャフト125を有することが分かる。シャフト125は、近位ハブ120から延びており、外側スリーブ140は、例えば、その中にインサート成形された射出成形プラスチックとすることができるようなハブ120に固定的に結合される。内側スリーブ142は、モーター駆動ユニット105の回転モーターシャフト151に結合するように構成された駆動カップリング150に結合されている。より具体的には、軟組織を切断するために、窓154の対向する側面152a及び152bに鋭い切断縁部を有するセラミック材料で製造された回転可能な切断部材145がある。モーター駆動部105は、セラミックカッターに動作可能に結合され、1,000rpmから20,000rpmの範囲の速度で切断部材を回転させる。図3Bを参照すると、切断部材145は、窓154の反対側の表面にRF電極155も搭載していることが分かる。切断部材145は、外側スリーブ140(図3A)の歯の付いた開口部又は窓158内の組織を回転させ、せん断する。図1に示すタイプのプローブは、2017年1月31日に出願した同時係属中の共有の米国特許出願15/421,264(代理人整理番号41879-714.201)、表題「関節鏡検査装置及び方法」に詳細に説明されており、その全体を参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0039】
図1には、プローブ110は、ハンドピース104への取り外し可能な結合部が2つの向きで示されている。より具体的には、ハブ120は、互いに180°反対向きである、UPで示される上向き及びDNで示される下向きでハンドピース104に結合される。上向き及び下向きという向きは、医師が切断部材145を目標となる組織に向き合わせるために、組織にアクセスするためにハンドピースを360°回転操作する必要をなくして、動作端112を上向き又は下向きのいずれかに向けさせるために必要であることは理解されよう。
【0040】
図1に示すように、ハンドル104は、電気ケーブル160によってモーター駆動ユニット105を制御するコントローラ165に動作可能に結合されていることが分かる。ハンドル104上のアクチュエータボタン166a、166b、又は166cは、セラミック切断部材145の様々な回転モードのような、運転モードを選択するために用いることができる。1つのバリエーションでは、ジョイスティック168を前後に動かすことで、セラミック切断部材145の回転速度を調整することができる。カッターの回転速度は連続的に調整でき、最大20,000rpmまで増加させることができる。LCD画面170は、切断部材回転数、動作モードのような動作パラメータを表示するためにハンドピースに取り付けられる。
【0041】
図1から、システム100及びハンドピース104は、さまざまな異なる機能発揮及び処置のために設計することができるさまざまな使い捨てプローブとともに使用するように適していることがわかる。例えば、図4は、セラミック切断部材205が外側スリーブ206から遠位方向に延びており、切断部材が骨を切断するためのバーエッジ208を有している点を除いて、図3A及び図3Bのプローブ110の動作端112に類似するプローブ動作端200Aの別のバリエーションを示す。図4のプローブは、2016年9月20日出願の同時係属中の共有の米国特許出願15/271,184(代理人整理番号41879-728.201)、表題「関節鏡検査装置と方法」にさらなる詳細が開示されている。図5は、2017年1月19日出願の同時係属中の共有の米国特許出願15/410,723(代理人整理番号41879-713.201)、表題「関節鏡検査装置と方法」にさらなる詳細が開示されているタイプのプローブにおける往復電極210を有する、プローブ動作端200Bの別のバリエーションを示す。別の例として、図6は、2017年3月9日に出願された同時係属中の共有の米国特許出願15/454,342(代理人整理番号41879-721.201)、表題「関節鏡検査装置と方法」にさらなる詳細が開示されているタイプのプローブにおける伸縮・格納可能なフック電極212を有するプローブ動作端200Cの他のバリエーションを示す。さらに別の例として、図7は、2017年4月10日に出願された同時係属中の共有の米国特許出願第15/483,940号(代理人整理番号41879-721.201)、表題「関節鏡検査装置と方法」にさらなる詳細が開示されている半月板組織その他の組織をトリミングするための往復部材218によって駆動される開閉可能な顎構造215を有するプローブタイプの動作端200Dのバリエーションを示す。図4図7のプローブはすべて、図1と同じハンドピース104に結合させるために図1のプローブ110のハブ120と同様のハブを有することができ、いくつかのプローブ(図5図7を参照)は、回転運動を直線運動に変換するためのハブ機構を備えている。この段落に記載した特許出願はすべて、参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0042】
図1はさらに、システム100には、ハンドピース104のフローチャネル224と連通し、図1図3B図4図5、及び図6のプローブ110、200A、200B、及び200Cのいずれとも協働できる吸引チューブ222に結合された負圧源220も含まれることを示す。図1に示すように、システム100には、図1図3B図4図5、及び図6のプローブ110、200A、200B、及び200Cのいずれかの電極装置に接続できるRF源225を含むことも分かる。コントローラ165及びその中の制御アルゴリズムを有するマイクロプロセッサは、すべての機能を動作させそして制御するために取り付けられ、この機能には、モーター駆動部105を制御して、プローブ動作端110、200A、200B又は200Cのモーター駆動コンポーネントを動かすためにモーター駆動部105を制御すること、及び、RF源225と、流体及び組織の残骸を収集リザーバ230に吸引することができる負圧源220とを制御することが含まれる。
【0043】
システム100及びハンドピース104の上記の説明から理解することができるように、コントローラ165及びコントローラアルゴリズムは、システム機能を備えるために多くのタスクを実行及び自動化するように構成する必要がある。第1の態様では、図1及び図4図7の様々なプローブタイプ110、200A、200B、200C、及び200Dのいずれかがハンドピース104に結合されたとき、コントローラ165がプローブタイプを認識し、特定のプローブに必要なモーター駆動部105、RF源225、及び負圧源220を動作させるアルゴリズムを選択するように、機器の識別のためにコントローラアルゴリズムが必要である。第2の態様において、コントローラは、プローブがハンドピース104に結合されているのは、ハンドピースに対して上向きの状態なのか又は下向きの状態なのかを識別するアルゴリズムで構成されおり、ここで各向きは動作アルゴリズムの異なるサブセットを必要とする。別の態様において、いくつかのプローブは回転可能なカッターを有し、他のプローブは往復電極又は顎構造を有するというようなプローブタイプごとに、コントローラは、別個の制御アルゴリズムを有する。別の態様では、プローブ110、200A、200B、200C、及び200D(図1図4図7)のすべてではないにしても、ほとんどは、モーター駆動コンポーネントが動作端での特定の方向で停止するデフォルトの「停止」位置を必要とする。例えば、電極155を備えた回転可能なカッター145は、図3Bに示すようなデフォルト位置にある外側スリーブ窓158内で電極の中心を合わせる必要がある。これらのシステム、アルゴリズム、及び使用方法の一部を次に説明する。
【0044】
図1図2A及び図2Bを参照すると、ハンドピース104は、プローブ110のハブ120を受け入れる受け入れ通路122に隣接するハンドピース104の遠位領域に第1のホール効果センサー240を搭載していることが分かる。図2Aは、UPで示された上向きになっている図1のプローブ110及び動作端112に対応する。図2Bは、DNで示された下向きになっている図1のプローブ110及び動作端112に対応する。ハンドピース104は、プローブ110の回転可能な駆動カップリング150に隣接する第2のホール効果センサー245を搭載している。プローブ110は、以下に説明するように、ホール効果センサー240、245と相互作用し、コントローラアルゴリズムと協働して、(i)ハンドピースに結合されたプローブタイプの識別、(ii)ハンドピース104に対するプローブハブ120の上方又は下方の向き、及び(iii)回転モーター駆動コンポーネントなのか往復モーター駆動コンポーネントかを決定することができる回転駆動カラー150の回転位置と速度回転、を含む、複数の制御機能を提供するための複数の磁石を搭載している。
【0045】
図2A図2Bの断面図では、プローブ110のハブ120の表面部分に第1の磁石250a及び第2の磁石250bが搭載されていることを示している。ハンドピース104のホールセンサー240は、プローブハブ120が上向き(図1及び図2A)又は下向き(図1及び図2B)でハンドピース104に結合しているとき、磁石250a又は250bのいずれかと軸方向に整列する。上述のように概説した1つの態様では、磁石250a及び250bとホールセンサー240の組み合わせを使用して、プローブタイプを識別することができる。例えば、製品ポートフォリオは、図1及び図4図7に示されているように、2から10又はそれ以上のタイプのプローブを有することができ、そのような各プローブタイプには、明確に異なる磁場強度を有する磁石250a、250bを搭載することができる。次いで、ホールセンサー240及びコントローラアルゴリズムを、特定のプローブタイプに対応する磁場強度のライブラリと比較することができるような、プローブ内の特定の磁石の磁場強度を読み取るのに適用することができる。次いで、ホール識別信号を生成するか、或いは、識別されたプローブのタイプに必要となるかもしれないモーター駆動部105、負圧源220及び/又はRF源225を動作させるためのパラメータを含むことができる。この識別されたプローブを動作させるためのコントローラアルゴリズムを選択するために、コントローラ165にホール識別信号を提供することができる。図1図2A及び図2Bに見られるように、プローブハブ120は、磁石250a、250bのN極及びS極がプローブ軸128に対して逆になっている上下方向でハンドピース104に結合することができる。従って、ホールセンサー240及び関連するアルゴリズムは、プローブタイプを識別するために極性に関係なく磁場強度を調べる。
【0046】
ここで、図1図2A図2B及び図3A図3Bを参照すると、ハブ120の中心軸128に対してN極とS極の向きが異なる第1磁石250a及び第2の磁石250bも、ハブ120及び動作端112が上向きUPであるか又は下向きDNであるかを識別するために使用される。使用中、上述のように、医師は、自分の好み及び目標とする組織に基づいて、動作端部112を上向き又は下向きにして、プローブ110をハンドピース受け入れ通路122に結合することができる。動作端112の外側スリーブ104の窓158内の切断部材145の回転を停止するように作られたコントローラアルゴリズムは、ハンドピース及びホールセンサー240に対する切断部材145の方向又は回転が180°変化するので、動作端が上向きか下向きかを「学習」する必要があることが理解できる。ホールセンサー240は、コントローラアルゴリズムにより、磁石250a又は250bのN極又はS極が上向きでホールセンサー240に近接しているかどうかを検出することにより、上向きUP又は下向きDNを決定することができる。
【0047】
本発明の別の態様では、プローブ110(図1)及び他のプローブでは、図1及び図3A図3Bの動作端部112の回転カッター145のような動作端部のモーター駆動コンポーネントは、外側スリーブ140の切り抜き開口又は窓158に対して選択した回転位置で停止する必要がある。他のプローブタイプは、上述の往復部材又は顎構造を有する場合があり、これは、図5及び図6の軸方向移動電極のような可動部品の動きを選択した位置で止めるコントローラアルゴリズムも必要とする。すべてのプローブで、モーター駆動部105は回転駆動カップリング150に結合し、従って、駆動カップリング150の回転位置の検知を、動作端のモーター駆動コンポーネントの方向を決定するために使用することができる。より具体的には、図1及び図2A図2Bを参照すると、駆動カップリング150は、プローブ軸128に対して、向きが異なる磁石255a又は255bのN極及びS極を有する第3及び第4の磁石255a又は255bを搭載している。従って、ホールセンサー245は、各磁石がホールセンサーを通過して回転するときを検知し、それにより、各回転で2回(各磁石255a、255bに対して1回)駆動カップリング150の正確な回転位置決定をする。その後、クロックを使用するコントローラのタコメータアルゴリズムは、駆動カップリング150及び例えば図3Aの切断部材145の回転数を決定し、オプションでそれ表示することができる。
【0048】
本発明の別の態様において、ホールセンサー245及び磁石255a及び255b(図1及び図2A)は、例えば、事前に選択された回転位置にある図1及び図3A図3Bの切断部材145のような動作端の、モーター駆動コンポーネントの回転を停止させるためのコントローラアルゴリズムのセットの中で使用される。図3Aを参照すると、内側スリーブ142及びその中の切断部材145の「第1の側面」及び窓154は、外側スリーブ140の窓158の中心で停止し位置決めされていることが分かる。図3Aの切断部材145及び窓154の静止位置を、プローブからの最大限の液体流出を可能にするための、手術空間の灌注又は洗浄のための位置とすることができる。
【0049】
図3Bは、内側スリーブ142と、外側スリーブ140の窓158の中心線の周りに配置された切断部材145の「第2の側面」とを示している。図3Bの切断部材145の静止又は停止位置は、組織を焼灼又は凝固させるためのRF電極155を使用するために必要である。外側スリーブ140は通常は戻り電極260を含むので、電極155が外側スリーブ窓158の中心線に沿って保持されることが重要である。図3Bの電極155の位置は、ここでは「デフォルトの中心線位置」と呼ぶことにする。切断部材145及び電極155が外側スリーブ140の窓158の縁262a又は262bに近付くように回転すると、RF電流により電極155と260の間でアークが生じ、プローブを無効にする短絡を引き起こす可能性がある。従って、次に説明する堅牢で信頼性の高い停止メカニズムが必要となる。
【0050】
図1及び図2A図2Bから理解できるように、コントローラ165は、駆動カップリング150の回転位置を常に実時間で決定することができ、従って、セラミック切断部材145及び電極155の角度又は回転位置を決定することができる。駆動カップリング150の磁石255a又は255bが、電極155を回転させデフォルトの中心線位置から遠ざけるように回転させると、ホールセンサー245は磁場強度の低下を検知できるため、コントローラアルゴリズムは、さらに、電極155のデフォルトの中心線位置からの回転角を計算することができる。各磁石には所定の既知の強度があり、前記アルゴリズムでは、デフォルトの位置からの回転角度に対応するフィールド強度を記載したルックアップテーブルを使用することができる。従って、磁石255a又は255bの回転位置に応答するホール信号がデフォルトの中心線のデフォルト位置での既知のピーク値から所定の量だけ下回った場合、電極155が窓158の中心から離れていることを意味する。1つのバリエーションでは、RFエネルギーを電極155に供給している間に、選択した回転角度だけこの電極が中心線位置から遠ざかった場合、アルゴリズムによりRF電流が即座にオフとなり、ハンドピース104上のLCDスクリーン170上及び/又はコントローラコンソール(不図示)のスクリーン上の警報のような、聴覚及び/又は視覚信号によって医師に警報が出される。このように、RF電流供給を停止することで、電極155と外側スリーブ電極260との間で電気アークが生じる可能性を防止する。
【0051】
使用中に、電極155が図3Bに示される位置にあるとき、エネルギーを印加した電極を組織上で動かし組織を焼灼又は凝固させることができることが理解できる。そのような使用において、切断部材145及び電極155は、電極155をデフォルトの中心線位置からに意図せずに回転させてしまう組織に係合し又はその組織を捕捉することがある。従って、システムは、ここで「アクティブ電極監視」アルゴリズムと呼ばれるコントローラアルゴリズムを提供し、コントローラは、焼灼モードと凝固モードの両方でRFエネルギーを供給中にホールセンサー245によって生成される位置信号を連続的に監視して、電極155及び内側スリーブ142が中心線の位置からずれているかどうかを判断する。1つのバリエーションでは、コントローラアルゴリズムは、電極155がこの中心線の位置からずれている場合、モーター駆動部105に再起動して、内側スリーブ142と電極155をデフォルトの中心線位置に戻すように構成することができる。別のバリエーションでは、コントローラアルゴリズムは、RF電極155がデフォルトの中心線位置に戻されたときに再びRF電極155にRF電流を自動的に供給するように構成することができる。代替的に、コントローラ165は、RF電極155が中心線位置に戻ったとき、医師にRF電極155へのRF電流の供給を手動で再開することを要求することができる。本発明の1つの態様では、駆動カップリング150、従って磁石255a及び255bは、磁石255a、255bに応答してホールセンサーが生成する信号がプローブタイプ内のすべてのプローブに対して同じとすることでコントローラアルゴリズムを適切に機能させるために、縦軸128に対して所定の角度関係で内側スリーブ142及び切断部材145に取り付けられる。
【0052】
次に、動作端112のモーター駆動コンポーネントの動きを停止するための停止機構又は停止アルゴリズムに目を向けると、図8は、停止機構のアルゴリズム及びステップを概略的に示している。1つのバリエーションでは、図8を参照すると、本発明に対応する停止機構は、(i)動的制動方法及び動的制動アルゴリズムを使用し、初期位置で内側スリーブ142及び切断部材145(図1図3A図3B)の回転を停止し、その後(ii)二次チェックアルゴリズムを、動的制動アルゴリズムで達成された初期停止位置をチェックするために使用し、必要に応じて、切断部材145及び電極155を中心線位置内に配置し、又は目標とするデフォルトの中心線焼灼モードと凝固モードの両方でRFエネルギーを供給中にホールセンサー245によって生成される位置信号を連続的に監視して位置の0°から5°以内に配置する必要があるので、この停止アルゴリズムによりモータードライブ105を再起動し、ドライブカップリング150及び内側スリーブ142の回転をわずかに逆転(又は前進)させることができる。動的制動については、以下でさらに説明する。図8は、切断部材の回転速度を制御し、切断部材145をデフォルトの中心線位置で停止させるためのコントローラアルゴリズムの様々な態様を概略的に示している。
【0053】
図8を参照すると、PID制御された一方向の連続回転モードとすることができ、又は、本技術分野では既知となっている、モーター駆動部105が切断部材145を1つの方向に回転させ次に回転方向を逆転させる振動モードとすることができる、「設定速度」でコントローラ165は図1及び図3A図3Bのプローブ110を操作していることが理解できる。1,000RPMや20,000RPMのような高い回転速度では、停止アルゴリズムを適用するための駆動カップリング150内の磁石255a又は255bの位置を示すホールセンサー245からの信号を取得することは実用的でなく、実行可能でもない。図8に示すように、医師がアクチュエータボタン又はフットペダルの作動を解除することによりプローブ110による切断を停止すると、モータードライブ105への電流がオフになる。その後、コントローラアルゴリズムにより、ホールセンサー245を使用して、より遅いRPMに達するまで、駆動カップリング150及び内側スリーブ142の回転の減速を監視する。減速期間は10ミリ秒から1秒で、通常は約100ミリ秒である。本明細書で「サーチ速度」と呼ぶ適切な遅いRPMに到達すると(図8を参照)、コントローラ165はモータードライブ105を再起動して、10RPMから1,000RPMの範囲、1つのバリエーションでは50RPMからから250RPMの範囲の低速で駆動カップリングを回転させる。50ミリ秒から500ミリ秒の範囲の初期「サーチ遅延」期間を与え、PIDコントローラにより、RPMを選択されたサーチ速度に固定する。その後、コントローラのアルゴリズムにより、磁石強度のホール位置信号が監視され、磁石パラメータが所定の閾値に達したとき、例えば、駆動カップリング150及び電極155の回転位置が図3Bの中心線デフォルト位置に対応するとき、制御アルゴリズムにより動的制動が適用され、モーター駆動シャフト151、駆動カップリング150及びプローブのモーター駆動コンポーネントの回転を即座に停止する。図8はさらに、制動ステップ及び停止ステップの後、コントローラが磁石/駆動カップリング150の位置をチェックできることをさらに示す。モーター駆動コンポーネントが目標のデフォルト位置から外れていることを、ホール位置信号が示している場合、モーター駆動部105を再起動してモーター駆動コンポーネントを動かした後、上記のように再び制動を行うことができる。
【0054】
図8に概略的に示されるような動的制動は、通常は、目標停止位置の最大約0°~15°の間で駆動カップリング150の回転を停止することができるが、これは、異なる種類の組織が切断され切断部材145の回転を妨げたときにさらに変化することがあり、また、モーター駆動部が停止したときに、医師が組織接触点から切断部材を完全に外したかどうかにも依存する。そのため、動的制動だけでは、デフォルト位置又は停止位置が望ましい変動内に収まるとは限らない。
【0055】
背景として、動的制動の概念は次の文献にて説明がなされている。
https://www.ab.com/support/abdrives/documentation/techpapers/egenOverview01.pdf、及び
http://literature.rockwellautomation.com/idc/groups/literature/documents/wp/drives-wp004-en-p.pdf
基本的に、動的制動システムは、PWMによるACドライブのDCバスに、回生電気エネルギーを熱エネルギーに変換する電力抵抗器に給電するための、チョッパートランジスタを装備する。この熱エネルギーは地域の環境に放散される。このプロセスは一般に、チョッパートランジスタ及び関連制御と、チョッパーモジュールと呼ばれるコンポーネントと、ダイナミック制動抵抗器と呼ばれる電力抵抗器とを備えた動的制動と呼ばれる。ダイナミック制動抵抗器を備えたチョッパーモジュールのアセンブリ全体は、しばしばダイナミック制動モジュールと呼ばれる。その回路の寄生インダクタンスに蓄積された磁気エネルギーは、チョッパートランジスタのターンオフ中に、ダイナミック制動抵抗で安全に消費される。
【0056】
この方法は、加えることができる制動トルクの量が負荷の減速に応じて動的に変化するため、ダイナミック制動と呼ばれる。言い換えれば、制動エネルギーは回転する質量の運動エネルギーの関数であり、減少するにつれて制動能力も低下する。そのため、回転が速いほど、又は慣性が大きいほど、ブレーキを強くかけることができるが、減速すると収穫逓減の法則に陥り、ある時点で制動力がなくなる。
【0057】
本発明の別の態様で、上述の位置決めアルゴリズムの構成要素である停止機構の精度を高める方法を開発した。使い捨てプローブの各磁石は、規定の強度とわずかに異なる場合があることがわかっている。上述のように、位置決めアルゴリズムでは、ホール効果センサー245を使用して、駆動カップリング150が回転する際に磁石255a及び255bの磁場強度を連続的に監視し、このアルゴリズムにより、磁石がホールセンサーを通過するときに磁場強度が増減するのでこの磁場強度に基づいて磁石及び駆動カップリングの回転位置を決定する。従って、磁石がセンサー245に隣接している場合、ピークホール信号から離隔する回転角度に正確に対応する磁場強度のライブラリをアルゴリズムが持っていることが重要である。このため、位置決めアルゴリズムの初期ステップには、規定の強度とは異なる可能性のある磁石255a及び255bの実際の磁場強度をコントローラに学習させる「学習」ステップが含まれる。新しい使い捨てプローブ110(図1)がハンドピース104に結合された後、モーター駆動部105の作動後、位置決めアルゴリズムは駆動結合部を少なくとも180°、しばしば少なくとも360°回転させる一方、ホールセンサー245は、特定のプローブの磁石255a及び255bの磁場強度を定量化する。次に、位置決めアルゴリズムにより、最大及び最小ホール信号(N極及びS極に対応)を保存し、磁石がホールセンサーに隣接している場合の、ホールの最小・最大信号位置からさまざまに離隔する回転角度に対応する電界強度のライブラリを較正する。
【0058】
一般に、関連する学習アルゴリズムの使用方法には、モーター駆動部、コントローラ、及びハンドピースに取り外し可能に結合するように構成された近位ハブを備えたプローブを有するハンドピースを提供することが含まれ、モーター駆動部は前記ハブの回転駆動カップリングと結合するよう構成され、駆動カップリングは、N極とS極が前記軸に対して異なる位置にある第1と第2の磁石を搭載し、ハブをハンドピースに結合させ、モーター駆動を起動して駆動カップリングと磁石を少なくとも180°回転させ、ハンドピースセンサーを使用して各磁石の強さを検出し、回転駆動カップリングの磁石の強さの変化を検出し、それにより駆動カップリング150の回転位置の計算における精度を向上させるセンサーに応答する位置決めアルゴリズムにおいて、検出した磁石の強さを用いることが含まれる。
【0059】
本発明の別の態様は、図1及び図3Bの動作端112のような、電極を備えたプローブ動作端を使用する改良された使用方法に関する。上述のように、位置決めアルゴリズムを使用して、図3Bのデフォルトの中心線位置にある電極155の回転を停止する。付加的な「わずかな振動」アルゴリズムを使用して、電極155へのRF電流、特に組織切除用のRF切断波形を送ると同時にモーター駆動部105を作動させる。従って、わずかな振動は、振動RF焼灼の波形を供給する。わずかな振動アルゴリズムでは、コントローラアルゴリズムによりホール位置信号から決定される所定の回転角度まで、電極155を一方向に回転させる。次に、このアルゴリズムにより、モーター駆動部は回転方向を反転させ、電極のデフォルトの中心線位置から反対方向離れる所定の角度になったことをホール位置信号が示すまで反対方向に回転する。回転運動の所定の角度は、外側スリーブ窓の寸法に適した任意の適切な回転角とすることができ、1つのバリエーションでは、中心線のデフォルト位置から離れる各方向に1°から30°である。多くの場合、既定の回転運動の角度は、中心線のデフォルトから離れる各方向に5°から15°である。わずかな振動アルゴリズムは、適切なPID制御モーターシャフト速度を使用でき、1つのバリエーションでは、モーターシャフト速度は50RPM~5,000RPMであり、多くの場合は100RPM~1,000RPMである。別の言い方をすれば、振動の周波数は20Hzから2,000Hzであり、通常は40Hzから400Hzである。
【0060】
わずかな振動アルゴリズムの上記の説明では、図3Bの回転切断部材145上の電極155を参照しているが、図6の動作端200Cに示されるような往復電極212は、わずかに振動しながら作動していることを理解すべきである。言い換えれば、図6のフック形状の電極212は、20Hzから2,000Hz、通常は40Hzから400Hzの範囲の振動周波数で振動する。
【0061】
図9A図9Bは、図5の往復電極210を有する動作端200Bに対応するプローブハブ120’の縦断面図である。図9A図9Bに示されるように、ハンドピース104及びホール効果センサー240及び245は、異なるタイプのプローブに対してもハンドピース104に違いはないので、当然ながら上記と同じである。図9A図9Bのプローブハブ120’は、図2A図2Bのハブ120に非常に類似し、第1の識別/方向付け磁石250a及び第2の識別/方向付け磁石250bは同じである。第3の回転位置磁石255a及び第4の回転位置磁石255bも同じであり、駆動カップリング150’に搭載される。図9A図9Bのプローブハブ120’は、図5の動作端200Bの電極210を往復運動させるために、回転運動を直線運動に変換する内側スリーブ142’に結合されたカム機構と共に駆動カップリング150が回転するという点が異なるのみである。回転運動を直線運動に変換するための同様のハブが、図2及び図3の動作端200C及び200Dに取り付けられ、これらはそれぞれ、動作端に往復運動コンポーネント(212、218)を持っている。
【0062】
図10及び図11A図11Cを参照すると、手術空間WSからプローブを通って流れる生理食塩水中の意図しないRF電流経路を制御することに関連する本発明の他の態様が示されている。図10は、使用中の関節鏡システム400を概略的に示しており、外科医は、関節鏡切断及び切除プローブ408を有するハンドピース405を把持する。プローブ408は、図1及び図3A~3Bに示されるタイプのものであり、図10の円で示した拡大図に示されている動作端410を有する。動作端410は、前述のように、アクティブ電極415を支える回転誘電体又はセラミックカッター412を備える。吸引窓414は、セラミックカッター412に設けられている。外側スリーブ140(図3Aを参照)は、図3A及び図3Aに示すバリエーションのように、戻り電極420を支える。関節鏡システム400には、電気ケーブル428でハンドピース405及びプローブ408に接続されたRF源425がさらに含まれる。関節鏡システム400にはさらに、イントロデューサ442を通って手術空間WSに流体の流れFFをもたらす流体源440と、プローブ408、ハンドピース405、及び吸引チューブ444を通して手術空間から流体を吸引するセクションであるハンドルに結合された負圧源445とが含まれる。
【0063】
図10には、RF電流経路をさらに説明するために、流体流入経路及び流体流出経路とともに関節鏡システム400のコンポーネントが示されている。図11A図11Cにより、特定の状況下で外科医の腕452や患者の脚454に電撃や火傷を引き起こす可能性がある、外科医の腕452との結合部への意図しないRF電流経路が生じる可能性を低減又は除去するよう設計されたハンドピース405及びプローブ408のコンポーネントについて説明する。
【0064】
さらに、図10を参照すると、一般的な関節鏡処置では、患者の脚454及び膝は、電気絶縁材料でもあるドレープ455で覆われることがわかる。明らかに、患者の脚454及び膝の一部は覆われていない。図10にも示されているように、外科医は、電気的に絶縁された手袋456及びガウン458を着用するであろう。しかしながら、図10に示されるように、医師の腕452の一部が覆われていない可能性がある。
【0065】
図10は、流体源440から導電性生理食塩水460が注入された手術空間WS内の拡大図においてプローブ408の動作端410を示している。図10の動作端部410の拡大図では、アクティブ電極415及びリターン電極420が、電極間の生理食塩水460を通る典型的なRF電流経路P1とともに示されている。
【0066】
図10から、さらに、手術空間WSからプローブ408を介しそしてハンドピース405を介して収集リザーバ(図示せず)まで、流体すなわち生理食塩水460を負圧源445が吸引することが理解できる。従って、手術空間WS内のRF電流はまた、負圧源445によって手術空間WSからプローブ408及びハンドピース405を介して吸引される導電性生理食塩水460のカラムを介して電荷を運ぶことが理解できる。図10は、手術空間WS内のアクティブ電極415から生理食塩水460のカラムを通って戻り電極420まで延びる潜在的な意図しないRF電流経路を示している。そのような意図しないRF電流経路は、ハンドピース405を通る流体流FFで始まり、次に、外科医のグローブ456を通って、RF電流経路P2で示されるように外科医の腕に、次に電流経路P3で示される外科医の腕452を通って、次いで、外科医の腕452と患者の脚454との間のアークすなわち電流経路P4となり、最後に、電流経路P5を通って患者の脚454を通り、手術空間WS内の戻り電極420に至る、静電的な結合である。この遠回りで潜在的なRF電流経路は、外科医の腕452が露出している固有の状況でのみ発生する可能性があるが、RF電流が図10の経路P2~P5を通って流れた場合、外科医の腕452及び/又は患者の脚454の接触点に電気ショック又は火傷を引き起こす可能性がある。
【0067】
図10に示されるような意図しないRF電流経路P2~P5の可能性を低減又は防止するために、プローブ408のハブ465内のコンポーネントは、図11A~11Cに示される特定の設計及びパラメータを備えている。図11Aを参照すると、ハブ465は、図10に示されるような動作端410まで延びる細長いシャフト466に結合されている。シャフト466には、外側スリーブ470と、外側スリーブ470内で回転するように構成された同心の内側スリーブ475とが含まれる。
【0068】
図11Aに見られるように、外側スリーブ470はハブ465に固定され、この外側スリーブには、図10の円内に示した遠位端477まで延びる外側絶縁体層476を含む。内側スリーブ475はまた、外側絶縁体層478を含み、それにより、内側スリーブ475を外側スリーブ470から電気的に絶縁する。ハブ465は、図11Aの想像図に示されるハンドピース405の受信チャンネル482への取り外し可能な結合部として構成された成形プラスチック本体480を具備することができる。図11Aから分かるように、ハンドピース405及び受信チャンネル482は、RF源425(図10)からプローブ408及び動作端410の電極構成にRF電流を流す戻り電気接点485A及びアクティブ電気接点485Bを支える。より具体的には、ハブ465内の戻り電気接点485Aは、ハンドピース405の受信チャンネル482の周りに360°延びる電極リングを具備し、対向して保持されている対応する戻り電気接点488A、488A’とインターフェースするように構成されている。同様に、アクティブ電気接点485Bは、ハブ465の反対側で保持されているアクティブハブ電気接点488B、488B’と係合するように適合された、受信チャンネル482内のもう1つの360°リング電極である。
【0069】
図11Aから、外側スリーブ470及び内側スリーブ475は導電性材料で形成され、動作端410のアクティブ電極415及び戻り電極420にRF電流を流すよう構成されていることがさらに理解できる(図10参照)。従って、再び図11Aを参照すると、ハンドピース405の戻り電気接点485Aは、外側スリーブ470に電気的に接続され、アクティブ電気接点485Bは、内側スリーブ475に電気的に接続される。具体的には、ハブ465内の戻り電気接点488Aは、以下に説明する理由で、その中の能動電気接点488Bの近位にある。電気的戻りハブ接点488A、488A’は、ハブ本体480の内部に成形された薄壁導電性円筒形コア492に接触するばね荷重要素490、490’を備える。このコア部材492は、ハブ465内で遠位方向に延在し、図11Aに示されるような外側スリーブ470に接続するように構成された金属ブロック495に接触する。従って、電流経路は、ハブ465の内部を通って、戻り電気接点488A、488A’と外側スリーブ470との間に形成される。
【0070】
ハブ465内のアクティブな電気接点488B、488B’にもやはり、ハンドピース405内の電気接点485Bと係合するように適合されたスプリングボールエレメント494、494’が含まれる。さらに、電気接点488B、488B’は、RF電流を流し、内側スリーブ475の近位端498に固定された回転カラー496と係合するように構成される。図1及び図2から分かるように。図1図2A及び図2Bにおいて、図11Aの回転内側スリーブ475及びカラー496は、プローブハブ465がハンドピース405に取り付けられたときにモーターシャフト505と取り外し可能に係合する結合シャフト502に固定されている。さらに図11Aを参照すると、流体流路は、内側スリーブ475の内腔510と、結合シャフト512の出口ポート515まで延びる結合シャフト502内の協調ボア512を通って延びる。図11Aにより、流体がどのように結合シャフト512のポート515を出て、次にハブ465の環状チャンバー520に閉じ込められ、さらにハンドピース405の流出チャンネル522と連通するかが分かる。
【0071】
さらに図11Aを参照すると、保持カラー524を所定の位置に保持するために、ハブ本体480にスナップフィットするように構成された成形ロックリング525によってハブ本体480にロックされるポリマー保持カラー524内で、内側スリーブ475及び結合シャフト502が回転することが分かる。保持カラー524の遠位端528が、回転カラー496のフランジ部分540に隣接して、内側スリーブ475の軸方向の動きを防止していることが分かる。回転カラー496の周りに360°のシール545が設けられて、処置中に生理食塩水460で満たすことができ、電気接点488B及び488B’からの電流にさらされるチャンバー548からの流体の流れを制限する。外科的処置の間、プローブを通る生理食塩水の流出は、ハブ465の内部のコンポーネント同士のすべてのギャップ及びインターフェースを通ることが見出された。従って、保持カラー496と回転カップリングシャフト502との間の回転インターフェースRは、生理食塩水で満たされる。回転インターフェースRは、チャンバー520からの生理食塩水その他の流体の流れにさらされる。いくつかのバリエーションでは、回転インターフェースRは、インターフェースへの生理食塩水が流れるのを防ぐために、粘性のある流体又はグリースで満たすことができる。
【0072】
図11Aに示すように、生理食塩水その他の流体移動の影響を受けやすい、保持カラー524の外面と近位ハブ本体480’との間に、生理食塩水その他の流体移動の影響を受けやすい非回転インターフェースNRがあることも分かる。やはり、インターフェースNRは、チャンバー520からインターフェースに流れることができる生理食塩水460にさらされる。
【0073】
さらに、図11Aを参照すると、554のOリング552は、対応するハブ電気接点内の対向するハンドピース電気接点485Aと485Bとの間の生理食塩水その他の流体が流れるのを防ぐためにハブ465の外部に提供される。
【0074】
ハンドピース405及びプローブハブ465の電気コンポーネント及び特徴を説明したので、上記で説明し、そして図10に示した、意図しない好ましくないRF電流経路(P2~P5)の問題を、ハブコンポーネントの設計によりどのように対処するかを説明することができる。
【0075】
再び図11Aを参照すると、露出した内側スリーブ475(動作端410のアクティブ電極415までRF電流を流している)の最も近位の部分及びハンドピース405の戻り電気接点485Aから延びる潜在的な既知のRF電流経路KP1が示されている。ハブ本体480の外面とハンドピース405の受信チャンネル482との間のギャップGは、生理食塩水がギャップGに容易に流れるので、RF電流を伝導するという観点から非常に大きいことを理解すべきである。戻り電気接点485Aがアクティブ電気接点485Bよりも近位になるようにハブ465を設計することがなぜ重要であるかを理解することができる。戻り電気接点485Aを内部チャンバー520内の生理食塩水の流れに意図的に曝すことで、生理食塩水の流出経路を通る周知の制御可能なRF電流経路がもたらされる。さらに、Oリングシール552は、生理食塩水その他の流体が内部チャンバー520からアクティブ電気接点485Bに流れるのを防ぐ。従って、明確なRF電流経路KP1が意図的にもたらされ、図10に示すより遠回りなRF電流経路P2~P5よりも、明らかに低いインピーダンスとなることを理解することができる。このような設計により、図10に示すように、RF電位が外科医の腕452を流れ、その後は患者の脚454を介して、結合部に流れるような状況には決してならない。むしろ、RF電流は、図11AのKP1として知られている経路を通って流れる。
【0076】
図11Aに示されるように、回転結合シャフト502は、内側スリーブ475のボア558内で遠位方向に延びる細長いスリーブ部分555を有する。電気絶縁体であるスリーブ部分555は、内側スリーブ475のボア510内で任意の長さで延びることができ、プローブの動作端410まで遠位に延在することができることを理解すべきである。内側スリーブ475のそのような電気絶縁ライニングは、回転結合シャフト502の成形部分、又は内側スリーブ475の内側を覆う他の別個のコンポーネント又は絶縁コーティングを含むことができる。次に、電流経路KP1の長さを調整して、図10の遠回りのRF電流経路P2~P5よりも小さいインピーダンスを選択して提供することができる。また、常に電流経路P1(図10)が、プラズマを点火しようとしたとき、プラズマを点火するためのアクティブ電極及び戻り電極415、420(図10)との間の一次RF電流経路であることを確実にするために、電流経路KP1は十分に高いインピーダンスを有するような設計、すなわち寸法の決定がなされる。
【0077】
図11Bを参照すると、ハブ465の内部内の他の予測可能なRF電流経路に関して、関連する問題がいくらか生じる。前述のように、回転結合シャフト502と保持カラー524との間にある回転インターフェースRは、生理食塩水で満たされ、ハブ内のアクティブ電極コンポーネントと戻り電極コンポーネントとの間にRF電流を流す。この周知の電流経路は、図11BにKP2で示され、電流が大きくなる場合、捕捉された生理食塩水の加熱、その後、ハブ465の望ましくない加熱を引き起こす可能性がある。従って、回転インターフェースR内の空間の寸法は、可能な限り小さく、例えば、0.010インチ(0.254mm)未満になるように設計され、これにより、経路KP2のインピーダンスが非常に高くなり、従って、ほんの少しのRF電流しかこの経路を流れない。
【0078】
図11Cは、これもまた生理食塩水中での加熱及びハブ465の望ましくない加熱を引き起こす可能性がある、KP3で示される別の周知の電流経路を示している。電流経路KP3は、保持カラー524と近位ハブ本体部分480’との間の非回転インターフェースNR内にある。前述した問題と同じ問題が発生するため、非回転インターフェースNR全体の寸法は、可能な限り小さく、例えば、0.010インチ(0.254mm)未満になるように設計され、これにより、経路KP3のインピーダンスが非常に高くなり、そこを流れるRF電流が制限される。
【0079】
本発明の特定の実施形態について以上の通り詳細に説明したが、この説明は単に例示を目的としたものであり、本発明の上記説明は網羅的なものではないことを理解されたい。本発明の具体的な特徴は、いくつかの図面に示されており、他の図面には示されていないが、これは便宜上そうなっているだけであり、本発明による任意の特徴を別の特徴と組み合わせることができる。当業者には、多くのバリエーションと代替手段が明らかであろう。そのような代替手段及びバリエーションは、特許請求の範囲内に含まれていることが意図されている。従属請求項に示されている特定の特徴を組み合わせて、本発明の範囲内に含めることができる。本発明は、従属請求項が、択一的に、他の独立請求項を参照する複数の従属請求項形式で書かれているような実施形態をも包含する。
【0080】
他のバリエーションは、本発明の技術的思想の範囲内である。従って、本発明は様々な修正及び代替的構成が可能であるが、いくつかの例示的な実施形態を図面に示し、上述の通り詳細に説明した。ただし、開示された具体的な形式に本発明を限定する意図はないが、反対に、その意図するところは、添付の特許請求の範囲で定義されている通り、本発明の技術的思想及び技術的範囲内にあるすべての修正、代替構成、及び均等物を網羅すると理解されるべきである。
【0081】
本発明を説明する文脈において(特に以下の特許請求の範囲において)用語「a」及び「an」及び「the」及び類似の指示用語の使用は、特記なき場合又は文脈に明らかに矛盾しない限り、単数及び複数の両方を包含すると解釈されるべきである。「具備する」、「有する」、「含む」及び「含有する」という用語は、特に断りのない限り、無限定用語(つまり、「含むが、これに限定されない」という意味)と解釈される。「接続された」という用語は、たとえ何かが介在していても、部分的又は全体的に含まれている、取り付けられている、又は一緒に結合されていることを意味すると解釈される。本明細書での値の範囲の列挙は、本明細書で特に明記しない限り、範囲内に入る別個の各値を個々に参照する略記法として役立たせることを意図しているだけであり、別個の各値は、本明細書で個々に引用されているかのように明細書に組み込まれる。本明細書に記載されるすべての方法は、本明細書に特に明記しない限り、又は文脈に明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実行することができる。本明細書に提示されるありとあらゆる例、又は例示的な言葉(例えば、「など」)の使用は、単に、本発明の実施形態を良く分かるようにすることを意図しており、別の主張がない限り、本発明の範囲を限定するものではない。明細書中の言語により、請求項にない要素が本発明の実施に不可欠であることを示すと解釈されるべきではない。
【0082】
本発明を実施するために発明者に知られている最良の形態を含む、本発明の好ましい実施形態が本明細書に記載されている。これらの好ましい実施形態のバリエーションは、前述の説明を読むことで、当業者には明らかとなるであろう。本発明者らは、当業者がそのようなバリエーションを適切に使用することを期待し、本発明は、本明細書に具体的に記載された以外の方法で実施されることを意図している。従って、本発明は、適用される法律で認められるように、本明細書に添付された特許請求の範囲に列挙された対象のすべての修正した物及び均等物を含む。さらに、そのすべての可能なバリエーションにおける上記要素の任意の組み合わせは、本明細書で特に明記しない限り、又は文脈により明らかに矛盾しない限り、本発明に含まれる。
【0083】
本明細書で引用される出版物、特許出願、及び特許を含むすべての参考文献は、各参考文献が個別に及び具体的に参照により組み込まれることが示され、その全体が本明細書に開示されるのと同じ程度に参照により組み込まれる。
本願は、以下の発明11から21を包含する。
[発明11]
導電性流体の存在下で組織を治療するための双極高周波(RF)装置であって、
内部チャンバー及び流出通路を有し、操作者の手による把持に適したハンドピースと、
近位ハブと、前記近位ハブから縦軸に沿って遠位方向にアクティブ電極及び戻り電極を有する動作端まで延びる細長いシャフトを具備するプローブであって、前記ハブは前記ハンドピースの受信チャンネルに取り外し可能に挿入できるように構成されている、プローブと、
前記受信チャンネル及び前記ハブ中の第1の戻り電気接点及び第2の戻り電気接点であって、それぞれ前記ハブを前記ハンドピースの前記受信チャンネルに挿入したとき、互いに係合して前記戻り電極をRF源に接続するようになっている、第1の戻り電気接点及び第2の戻り電気接点と、
前記ハブを前記ハンドピースの前記受信チャンネルに挿入したとき、前記アクティブ電気接点と前記戻り電気接点との間での流体の移動を防止するために前記ハブの外面と前記受信チャンネルの内壁との間のシールと、
前記プローブシャフト及びハブを通って延び、前記ハブを前記ハンドピースの前記受信チャンネルに挿入したとき、前記内部チャンバー及び前記ハンドピース中の流出通路に通じる流路と、
を具備し、
前記ハブの前記外面と前記受信チャンネルの前記内壁との間のギャップは、前記ハブを前記ハンドピースの前記受信チャンネルに挿入したとき、前記チャンバーから前記ギャップを通って流体を流すのに十分な大きさであることを特徴とする双極高周波(RF)装置。
[発明12]
前記流路の表面の選択された部分は、誘電体を具備し、それによって、前記前記アクティブ電極と前記第1の戻り電気接点との間及び前記前記アクティブ電極と前記第2の戻り電気接点との間の間隔を調整することを特徴とする発明11に記載の双極RF装置。
[発明13]
前記間隔は、前記アクティブ電極の周りにプラズマを生じさせるために前記動作端の前記アクティブ電極と前記戻り電極との間に十分なRF電流の流れを維持しながら、前記内部チャンバー内の導電性流体から前記第1の戻り電気接点及び前記第2の戻り電気接点へのRF電流の流れの制限を可能にするように調整することを特徴とする発明12に記載の双極RF装置。
[発明14]
前記受信チャンネル及び前記ハブにそれぞれ第1のアクティブ電気接点及び第2のアクティブ電気接点を具備することを特徴とする発明11に記載の双極RF装置。
[発明15]
前記第1の戻り電気接点及び前記第2の戻り電気接点は、前記ハブを前記ハンドピースの前記受信チャンネルに挿入したとき、前記第1のアクティブ電気接点及び前記第2のアクティブ電気接点と係合するのに適していることを特徴とする発明14に記載の双極RF装置。
[発明16]
前記シールは、前記ハブ及び前記ハンドピースの少なくとも1つにより支えられる弾性部材を具備することを特徴とする発明15に記載の双極RF装置。
[発明17]
前記アクティブ電気接点と前記戻り電気接点との間にシールを具備することを特徴とする発明14に記載の双極RF装置。
[発明18]
導電性流体の存在下で組織を治療するための双極高周波(RF)装置であって、外側スリーブアセンブリ、及びプローブの縦軸に沿って第1の電極及び第2の電極を支える動作端まで同軸に延在する内側スリーブアセンブリとを有し、前記内側スリーブの外面と前記外側スリーブの内面との間はギャップで隔てられている細長いプローブを具備し、
前記外側スリーブアセンブリ及び前記内側スリーブアセンブリは、それぞれ、前記第1の電極及び前記第2の電極に接続する第1の導体及び第2の導体を支え、
前記内側スリーブの外面及び前記外側スリーブの内面の寸法は、導電性流体が前記ギャップ内にあるときに目標の電気抵抗となるようなギャップができるように選択されることを特徴とする双極高周波(RF)装置。
[発明19]
モーター駆動部を備えたハンドピースをさらに具備し、前記プローブの近位ハブ部分は前記ハンドピースの受信チャンネルに取り外し可能に収容されるよう構成されることを特徴とする発明18に記載の双極RF装置。
[発明20]
前記ハンドピース及び前記ハブ中に第1の電気接点及び第2の電気接点をさらに具備し、それぞれ、前記ハブの近位点を前記ハンドピースの前記受信チャンネルに挿入したとき、お互いに係合するよう構成されることを特徴とする発明19に記載の双極RF装置。
[発明21]
前記ハブを前記ハンドピースの前記受信チャンネルに挿入したとき、内部チャンバーと前記ハンドピース中の流出通路とに通じる細長いプローブを貫通する流路をさらに具備することを特徴とする発明20に記載の双極RF装置。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
図11C