(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-23
(45)【発行日】2024-01-31
(54)【発明の名称】進退移動装置
(51)【国際特許分類】
E05B 83/34 20140101AFI20240124BHJP
B60K 15/05 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
E05B83/34
B60K15/05 B
(21)【出願番号】P 2021070343
(22)【出願日】2021-04-19
【審査請求日】2023-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】390000996
【氏名又は名称】株式会社ハイレックスコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 翔
(72)【発明者】
【氏名】田中 祥平
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-122335(JP,A)
【文献】特開2014-173422(JP,A)
【文献】特開2015-209689(JP,A)
【文献】特開2020-66887(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00 ー 85/28
B60K 15/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
一端側が前記ケースに収容され、他端側が前記ケースから突出して、前記ケースの内部から外部に向かう方向に前進し、又は当該方向とは逆方向に後退する進退部材と、
前記進退部材を付勢する付勢部材と、
前記ケースに収容され、前記付勢部材で発生する付勢力による前記進退部材の前進を可能とする第1位置と前記進退部材の前進を止める第2位置との間を移動する移動部材と、
リッドが開状態のときに前記移動部材を規制する位置まで移動することで前記移動部材の移動を規制する規制部材と、
を備え、
前記規制部材は、前記リッドが開状態で前記進退部材が後退している場合、前記移動部材の前記第1位置から前記第2位置への移動を規制する進退移動装置。
【請求項2】
モータ又は手動による回転力を伝達し、該回転力によって前記移動部材を移動させる回転力伝達部材を有し、
前記規制部材は、前記リッドが開状態で前記進退部材が後退している場合、前記回転力伝達部材の動きを規制する請求項1に記載の進退移動装置。
【請求項3】
前記規制部材は、前記回転力伝達部材に係止されることによって、前記回転力伝達部材の動きを規制する請求項2に記載の進退移動装置。
【請求項4】
前記回転力伝達部材は、歯車であり、
前記規制部材は、前記リッドが開状態で前記進退部材が後退している場合、前記歯車の回転を停止させる請求項2又は3に記載の進退移動装置。
【請求項5】
前記歯車は、Dカット加工がなされており、
前記規制部材は、前記リッドが開状態で前記進退部材が後退している場合、Dカット面に当接することにより前記歯車の回転を停止させ、前記リッドが閉状態で前記進退部材が後退している場合、前記Dカット面から離れることにより前記歯車の回転を可能とする請求項4に記載の進退移動装置。
【請求項6】
前記規制部材は、前記リッドが閉まるときの押し付け力を伝達する押付力伝達部材と共に移動し、前記リッドが閉状態となることで前記押付力伝達部材が前記ケース内部に押し込まれたとき、前記移動部材の移動を規制する請求項1から4の何れか一項に記載の進退移動装置。
【請求項7】
前記進退部材を回転可能に保持しながら前記ケース内で前記進退部材と共に進退移動する進退部材側部材と、
前記リッドが閉まるときの押し付け力を伝達する押付力伝達部材と、
をさらに備え、
前記リッドが開状態で前記押付力伝達部材が前進しており、かつ、前記進退部材側部材が後退している場合、前記移動部材は、
前記進退部材を前進可能なように、前記規制部材に接触状態であり、前記進退部材側部材に非係合状態である、請求項1に記載の進退移動装置。
【請求項8】
前記進退部材を回転可能に保持しながら前記ケース内で移動する進退部材側部材と、
前記リッドが閉まるときの押し付け力を伝達する押付力伝達部材と、
をさらに備え、
前記リッドが開状態で前記押付力伝達部材及び進退部材側部材のそれぞれが後退している場合、前記移動部材は、前記進退部材を前進可能なように、前記規制部材及び前記進退部材側部材のそれぞれに非係合状態である、請求項1に記載の進退移動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、進退移動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、フューエルリッドの開閉を行うための進退部材を備えた進退移動装置が開示されている。特許文献1に開示されている進退移動装置は、進退部材であるプッシュロッドを進退移動させて、フューエルリッドを開閉する装置である。
【0003】
フューエルリッドを開状態から閉状態にする場合、フューエルリッドを押すことによって閉方向に移動させることで、突出位置にあるプッシュロッドが、フューエルリッドに押されて、押込位置に移動する。
【0004】
この進退移動装置には、プッシュロッドの進退移動を規制する施錠機構が設けられている。この施錠機構は、プッシュロッドが押込位置に移動したときに、プッシュロッドが係止することによって、プッシュロッドが進退移動しないように規制する。
【0005】
施錠機構がプッシュロッドの進退移動を規制することによって、閉状態のフューエルリッドを開こうとする操作が行われても、プッシュロッドが前進しないため、フューエルリッドが開くことを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示されている進退移動装置では、フューエルリッドが開状態のときに、悪戯などによってプッシュロッドのみが後退するように押された場合、プッシュロッドが押込位置に移動して施錠機構によってロックされてしまうという課題があった。
【0008】
本発明の目的は、悪戯などによって進退部材がロックされることを防止できる進退移動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の進退移動装置は、ケースと、一端側が前記ケースに収容され、他端側が前記ケースから突出して、前記ケースの内部から外部に向かう方向に前進し、又は当該方向とは逆方向に後退する進退部材と、前記進退部材を付勢する付勢部材と、前記ケースに収容され、前記付勢部材で発生する付勢力による前記進退部材の前進を可能とする第1位置と前記進退部材の前進を止める第2位置との間を移動する移動部材と、リッドが開状態のときに前記移動部材を規制する位置まで移動することで前記移動部材の移動を規制する規制部材と、を備え、前記規制部材は、前記リッドが開状態で前記進退部材が後退している場合、前記移動部材の前記第1位置から前記第2位置への移動を規制する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、悪戯などによって進退部材がロックされることを防止できる進退移動装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施の形態に係る進退移動装置1を備えている開閉装置100の構成例を示す図
【
図2】本発明の実施の形態に係る進退移動装置1の構成例を示す図
【
図3】進退移動装置1が備えている移動部材31の斜視図
【
図4】フューエルリッド120を閉じるときの進退移動装置1の動作を説明するための図
【
図5】フューエルリッド120を閉じるときの進退移動装置1の動作を説明するための図
【
図6】フューエルリッド120を閉じるときの進退移動装置1の動作を説明するための図
【
図7】フューエルリッド120を閉じるときの進退移動装置1の動作を説明するための図
【
図8】フューエルリッド120が開いている状態で進退部材11が押されたときの進退移動装置1の動作を説明するための図
【
図9】フューエルリッド120が開いている状態で進退部材11が押されたときの進退移動装置1の動作を説明するための図
【
図10】本発明の実施の形態に係る進退移動装置1Aの構成例を示す図
【
図11】
図10に示す進退移動装置1Aの一部を拡大して示す図
【
図12】フューエルリッド120が押し込まれたときの進退移動装置1Aの状態を示す図
【
図13】
図12に示す進退移動装置1Aの一部を拡大して示す図
【
図14】フューエルリッド120が押し込まれたときの進退移動装置1Aの状態を示す図
【
図15】
図14に示す進退移動装置1Aの一部を拡大して示す図
【
図16】進退部材11のみ押し込まれたときの進退移動装置1Aの状態を示す図
【
図17】
図16に示す進退移動装置1Aの一部を拡大して示す図
【
図18】押付力伝達部材83aのみ押し込まれたときの進退移動装置1Aの動作を説明するための図
【
図19】
図18に示す進退移動装置1Aの一部を拡大して示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
[開閉装置100の構成]
図1は本発明の実施の形態に係る進退移動装置1を備えている開閉装置100の構成例を示す図、
図2は本発明の実施の形態に係る進退移動装置1の構成例を示す図である。
【0014】
開閉装置100は、車体2の給油開口部2aを塞ぐための蓋であるフューエルリッド120を開閉する装置である。開閉装置100は本発明の実施の形態に係る進退移動装置1を備えている。なお、進退移動装置1の構成の詳細については後述する。
【0015】
開閉装置100は、車体2の給油開口部2aに取り付けられている本体部110と、フューエルリッド120と、フューエルリッド120を回転可能に支持するヒンジ130と、進退移動装置1とを備えている。
【0016】
本体部110は、例えば給油管を囲む給油室を構成している。なお、給油管の先端に形成されている給油口は、スクリューキャップ160により閉塞されている。
【0017】
進退部材11は、フューエルリッド120を開閉するための部材である。進退部材11の先端にはリッド係止部12が設けられている。
【0018】
このように構成されている開閉装置100において、フューエルリッド120が閉じられると、フューエルリッド120のリッド被係止部140が進退部材11に接触する。このとき、進退部材11に設けられているリッド係止部12がリッド被係止部140の内部に挿入される。
【0019】
この状態で、フューエルリッド120が押し込まれると、進退部材11が車体2の内側に後退する。後退とは、進退部材11が後述するケースの外側からケースの内側に向かって移動することである。
【0020】
さらに、進退部材11が後退すると、リッド係止部12が回転して、リッド係止部12がリッド被係止部140に係止される。リッド係止部12がリッド被係止部140に係止されたとき、進退部材11は後退位置に配置されている。
【0021】
後退位置は、後退した進退部材11の停止位置である。後退位置は、フューエルリッド120が閉状態で保持される位置でもある。
【0022】
この状態で、後述する制限部材90が進退部材側部材21の凹部に挿入されることによって、当該進退部材側部材に保持される進退部材11の移動が規制された状態、すなわち進退部材11がロックされた状態となる。これにより、フューエルリッド120は、給油開口部2aを閉塞した状態で、ロックされる。
【0023】
フューエルリッド120を開くために、上記の制限部材による進退部材11のロックが解かれると、進退部材11が車体2の外側へ前進する。前進は、進退部材11が後述するケースの内側からケースの外側に向かって移動することである。
【0024】
このとき、進退部材11のリッド係止部12が回転することによって、リッド係止部12のリッド被係止部140への係止が解かれる。これにより、リッド被係止部140からリッド係止部12が抜けて、フューエルリッド120が開くことができる。
【0025】
押圧力伝達部80は、押付力伝達部材、案内部などを有する。押付力伝達部材、案内部などの詳細は後述する。
【0026】
[進退移動装置1の構成]
次に
図2及び
図3を参照して、進退移動装置1の構成を説明する。
図2は進退移動装置1の構成例を示す図、
図3は進退移動装置1が備えている移動部材31の斜視図である。
【0027】
図2に示されている進退移動装置1は、進退部材11をケース4に対して、前進又は後退させる装置である。進退移動装置1は、ケース4、進退部材11、進退部材側部材21、付勢部材27、移動部材31、駆動部60、規制部83、及び付勢部材84を備える。
【0028】
[進退部材11]
進退部材11は、ケース4に対して進退移動可能な円柱状又は円筒状の部材である。進退部材11は、前側壁部40aに形成されている不図示の貫通穴に挿入されている。
【0029】
進退部材11は、ケース4に対して前進した前進位置と、ケース4に対して後退した後退位置との間を移動する。前進位置は、前進した進退部材11の停止位置である。前進位置は、
図1に示すリッド被係止部140へのリッド係止部12の係止が解かれたときの進退部材11の位置でもある。
【0030】
[進退部材側部材21]
進退部材側部材21は、進退部材11を回転可能に保持しながらケース4内で移動することにより、進退部材11の前進位置と後退位置とを規制する部材である。進退部材側部材21は、ケース4の前側壁部40aと後側壁部40bとの間の領域に配置されている。
【0031】
進退部材側部材21は、前側壁部40aに接することにより、進退部材11の前進方向への移動を規制する。また進退部材側部材21は、後側壁部40bに接することにより、進退部材11の後退方向への移動を規制する。
【0032】
進退部材側部材21には、凹部24が設けられており、凹部24に制限部材90が係合することによって、進退部材11の前進を制限することができる。制限部材90の詳細に関しては後述する。なお、進退部材側部材21には、凹部24の代わりに、嵌合孔を設けてもよい。嵌合孔は、進退部材11の前進を制限するために制限部材90が係合する貫通孔である。
【0033】
[付勢部材27]
付勢部材27は、後退位置に配置されている進退部材11を、前進位置に向かって移動させるための付勢力を発生するコイルバネである。
【0034】
付勢部材27は、例えば、ケース4の内部において、進退部材側部材21と後側壁部40bとの間の領域に配置されている。付勢部材27の一端は進退部材側部材21と対向し、付勢部材27の他端はケース4の後側壁部40bと対向している。
【0035】
なお、付勢部材27は、コイルバネに限定されず、進退部材11を移動させる付勢力を発生する弾性部材であればよく、板バネなどでもよい。
【0036】
[規制部83]
規制部83は、押付力伝達部材83a、内部部材83b、及び規制部材83cを備える。
【0037】
[押付力伝達部材83a]
押付力伝達部材83aは、フューエルリッド120が閉まるときの押し付け力を規制部材83cに伝達するための部材である。
【0038】
押付力伝達部材83aは、ケース4の前側壁部40aに形成されている案内部83dに挿入可能な柱状に形成されている。押付力伝達部材83aは、内部部材83bに固定されており、内部部材83bから、ケース4の前側壁部40aに形成されている案内部83dを介して、ケース4の外側に突出している。
【0039】
[内部部材83b]
内部部材83bは、ケース4の内部において、移動可能に配置されている部材である。内部部材83bは、例えばケース4の内部に設けられているガイドレール上に配置されている。
【0040】
内部部材83bは、
図1に示すフューエルリッド120が閉じられたとき、前側壁部40aから後側壁部40bに向かう方向に移動し、フューエルリッド120が開かれたとき、後側壁部40bから前側壁部40aに向かう方向に移動する。
【0041】
[付勢部材84]
付勢部材84は、内部部材83bをケース4の前側壁部40aに向かって移動させるための付勢力を発生するコイルバネである。
【0042】
付勢部材84は、例えば、ケース4の内部において、規制部83を基準にして、内部部材83bの駆動部60側とは反対側の領域に配置されている。なお、付勢部材84は、コイルバネに限定されず、内部部材83bを移動させる付勢力を発生する弾性部材であればよく、板バネなどでもよい。
【0043】
[規制部材83c]
規制部材83cは、押付力伝達部材83aと共に移動し、フューエルリッド120が閉状態となることで押付力伝達部材83aがケース4内部に押し込まれたとき、移動部材31が備えている制限部材90の移動を規制するための部材である。規制部材83cは、内部部材83bからケース4の後側壁部40bに向かって延伸している。規制部材83cの構成の詳細は後述する。
【0044】
[駆動部60]
駆動部60は、制限部材90を移動させる駆動力を発生するモータである。駆動部60の回転軸には、回転ギヤ64が接続されている。
【0045】
[移動部材31]
図3に示すように、移動部材31は、回転ギヤ74、ラックギヤ93、制限部材90、及び付勢部材96を備えている。
【0046】
[回転ギヤ74]
回転ギヤ74は、回転ギヤ64と噛み合うことによって駆動部60の回転力を伝達し、該回転力によって制限部材90を移動させる伝達部材の一例である。回転ギヤ74には、回転ギヤ74と同軸に小歯車75が設けられている。小歯車75は、制限部材90に形成されるラックギヤ93に噛み合っている。
【0047】
回転ギヤ74は、モータ又は手動による回転力を伝達し、該回転力によって移動部材31を移動させる回転力伝達部材である。回転ギヤ74は、例えば、環状ギヤの一部領域がDカット加工によって切除されたギヤである。回転ギヤ74の切除された部分にはDカット面74aが形成されている。
【0048】
図2に示す規制部材83cの先端部は、Dカット面74aに接したりDカット面74aから離れたりする。Dカット面74aに規制部材83cの先端部が接していない場合には、回転ギヤ74が回転できるが、Dカット面74aに規制部材83cの先端部が接している場合には、回転ギヤ74の回転が規制部材83cにより妨げられる。
【0049】
[付勢部材96]
付勢部材96は、第1位置P1に配置されている制限部材90を、第2位置P2に向かって移動させるための付勢力を発生するコイルバネである。
【0050】
付勢部材96は、例えば、ケース4の内部において、制限部材90と、ケース4の後側壁部40bの内側に形成されている突起との間の領域に配置されている。付勢部材96の一端は、制限部材90と対向し、付勢部材96の他端は、ケース4の後側壁部40bに形成されている突起と対向している。
【0051】
なお、付勢部材96は、コイルバネに限定されず、進退部材11を移動させる付勢力を発生する弾性部材であればよく、板バネなどでもよい。
【0052】
[制限部材90及びラックギヤ93]
制限部材90は、
図2に示されるケース4の内部に収容され、第1位置P1と第2位置P2との間を移動する部材である。制限部材90は、付勢部材96で発生する付勢力によって、第1位置P1から第2位置P2に向かって移動することができる。
【0053】
なお、制限部材90は、付勢部材96で発生する付勢力以外にも、不図示の駆動機構が手動で操作されたときに発生する回転力を利用して、移動させることもできる。
【0054】
制限部材90にはラックギヤ93が形成されている。ラックギヤ93は、回転運動を直線運動に変換するための歯車である。
【0055】
小歯車75を介してラックギヤ93に噛み合う回転ギヤ74が回転することにより、制限部材90は、第1位置P1と第2位置P2との間を移動する。
【0056】
第1位置P1は、進退部材11の前進を可能とする位置である。制限部材90が第1位置P1に配置されている場合、進退部材側部材21に形成されている凹部24に制限部材90が係合されていない。そのため、後退位置に配置されている進退部材11は、
図1に示す付勢部材27で発生する付勢力によって、前進することができる。
【0057】
第2位置P2は、
図1に示す進退部材11の前進を止める位置である。第2位置P2は、
図2に示す制限部材90の先端部が、進退部材側部材21の凹部24に係合されているときの位置に等しい。
【0058】
このように制限部材90が第2位置P2に配置されている場合、進退部材側部材21に形成されている凹部24に制限部材90が係合されるため、進退部材11は、後退位置に止まり、前進することができない。
【0059】
[進退移動装置1の動作]
次に
図4から
図7を参照して、フューエルリッド120が閉じられるときの進退移動装置1の動作を説明する。
図4から
図7はフューエルリッド120を閉じられるときの進退移動装置1の動作を説明するための図である。
【0060】
図4の右側の図には、フューエルリッド120が押し込まれる前の進退移動装置1が示されている。
図4の左側の図には、規制部材83cの先端部が回転ギヤ74のDカット面74aに接している状態が示されている。
【0061】
フューエルリッド120が押し込まれていないとき、進退部材11は、付勢部材27の付勢力によって、前進位置に配置されている。
【0062】
また、内部部材83bは、付勢部材84の付勢力によって、押付力伝達部材83aをケース4の外側に押し出すように配置されている。このとき、規制部材83cの先端部は、回転ギヤ74のDカット面74aに接している。
【0063】
これにより、回転ギヤ74の回転が制限されるので、
図3に示す第1位置P1から第2位置P2への制限部材90の移動が規制される。従って、制限部材90の先端部は、進退部材側部材21から離れた場所に配置される。
【0064】
この状態で、
図5に示すようにフューエルリッド120が押し込まれると、進退部材11は、付勢部材27の付勢力に抗して、後退方向に移動する。
図5には、フューエルリッド120が押し込まれ始めたときの進退移動装置1が示されている。
【0065】
フューエルリッド120が僅かに押し込まれると、進退部材11は、付勢部材27の付勢力に抗して、後退方向への移動を開始する。
【0066】
このとき、フューエルリッド120の突起121によって、押付力伝達部材83aが押し込まれると、規制部材83cの先端部は、ケース4の後側壁部40bに近づくように移動する。
【0067】
図6に示すように、フューエルリッド120がさらに押し込まれると、進退部材11がさらに後退する。
図6の右側の図には、フューエルリッド120が押し込まれているときの進退移動装置1が示されている。
図6の左側の図には、規制部材83cの先端部が回転ギヤ74のDカット面74aと非接触状態になった状態が示されている。
【0068】
このようにフューエルリッド120が押し込まれると、進退部材側部材21の凹部24が、制限部材90に近づく。また規制部材83cの先端部は、ケース4の後側壁部40bにさらに近づく。
【0069】
ここで、
図6の左側の図に示すように、規制部材83cの先端部は、フック状に形成されている。従って、フューエルリッド120が押し込まれることにより、Dカット面74aに接触して回転ギヤ74の回転を妨げていたフック状の先端部が移動して、回転ギヤ74のDカット面74aと非接触状態になる。
【0070】
これにより、回転ギヤ74が回転可能になり、制限部材90の移動が規制されなくなる。このため、制限部材90は、付勢部材96の付勢力又は駆動部60の回転力によって、進退部材側部材21に向かって前進する。
【0071】
その結果、
図6の右側の図に示すように、制限部材90の先端部は、進退部材側部材21に接触した状態になる。
【0072】
さらにフューエルリッド120が押し込まれると、
図7に示すように、進退部材11が後退位置に到達する。
図7の右側の図には、後退位置に到達した進退部材11が示されている。
図7の左側の図には、規制部材83cの先端部が回転ギヤ74からさらに離れた状態が示されている。
【0073】
図7に示すように進退部材11が後退位置に到達すると、進退部材側部材21の凹部24に制限部材90の先端部が挿入される。このため、制限部材90が進退部材側部材21に係合された状態となる。
【0074】
このとき、制限部材90は、付勢部材96によって付勢されているため、駆動部60への電源の供給がなくても、制限部材90の進退部材側部材21への係合状態は維持される。従って、進退部材11の進退方向への移動は規制され、フューエルリッド120が開くことを防止できる。
【0075】
また、規制部材83cの先端部は、
図7の左側の図に示すように、回転ギヤ74から離れているため、制限部材90を移動させることが可能である。
【0076】
従って、進退部材11を後退位置から前進位置に移動させる場合、つまり、フューエルリッド120を閉位置から開位置に移動させる場合、駆動部60を駆動することによって、又は不図示の手動で回転力を発生する駆動機構を用いることによって、制限部材90を進退部材11側から離すことができる。
【0077】
これにより、制限部材90の先端部が凹部24から引き抜かれて、進退部材11の進退方向への移動規制状態が解除される。このように移動規制状態が解除された進退部材11は、付勢部材27の付勢力により前進方向に移動する。このとき、進退部材11は、ケース4に対して回転しながら進退部材11の軸方向に移動する。
【0078】
そして、進退部材11の回転により、進退部材11の先端に設けられているリッド係止部12も回転し、リッド被係止部140との係止めが解かれる。また、進退部材11は、フューエルリッド120を押し上げて、前進位置に到達する。こうして、フューエルリッド120は開かれた状態となる。
【0079】
次に
図8及び
図9を参照して、悪戯によって進退部材11が押された場合の進退移動装置1の動作を説明する。
【0080】
図8及び
図9はフューエルリッド120が開いている状態で進退部材11が押されたときの進退移動装置1の動作を説明するための図である。
図8には、進退部材11が押される前の進退移動装置1の状態が示されている。
図9には、例えば人の指で押された進退部材11が後退位置に配置されている状態が示されている。
【0081】
図8に示すように進退部材11が押されていない場合、制限部材90の先端部は、
図4に示されている状態と同様に、進退部材側部材21から離れた位置に配置されている。
【0082】
一方、
図9に示すように、悪戯などによって進退部材11が押し込まれ、後退位置に位置している場合、制限部材90の先端部の正面には、進退部材側部材21の凹部24が位置することになる。
【0083】
ところが、
図9に示すように、押付力伝達部材83aは押し込まれずに、進退部材11のみが押し込まれた場合、規制部材83cの先端部が回転ギヤ74に接触した状態となっている。
【0084】
このため、制限部材90の第1位置P1から第2位置P2への移動は規制されている。従って、制限部材90は、進退部材側部材21の凹部24に挿入されないため、進退部材11の前進が可能となる。
【0085】
以上説明してきたように本発明の実施の形態に係る進退移動装置1によれば、移動部材31の移動を規制する規制部材83cを備えることによって、フューエルリッド120が開状態のときに進退部材11のみが後退するように操作された場合でも、進退部材11の進退移動が許容される。従って、進退部材がロックされることを防止できる。
【0086】
なお、規制部材83cの先端部の形状は、フック状に限定されるものではなく、回転ギヤ74の回転を規制できるものであればよい。
【0087】
例えば、規制部材83cの先端部に平歯を設け、さらに、Dカット加工された回転ギヤ74の代わりに、平歯を備えた環状の歯車を採用することによって、規制部材83cの平歯を回転ギヤ74に噛み合わせ、回転ギヤ74の回転を妨げることができる。また、規制部材83cを移動させることにより、規制部材83cの平歯と回転ギヤ74との噛み合わせを解除することができ、回転ギヤ74を回転させることができる。
【0088】
また、この構成により、回転ギヤ74へのDカット加工を省くことができるとともに、汎用の部品を利用して進退移動装置1を製造することができる。
【0089】
なお、本発明の実施の形態では、規制部材83cを回転ギヤ74に係止めさせる構成例について説明したが、制限部材90の移動を規制できる構造であれば、当該構成例以外の構成を採用してもよい。
【0090】
また、本発明の実施の形態では、押付力伝達部材83aがフューエルリッド120に押されることによって、規制部材83cを移動させる構成例について説明したが、規制部材83cを移動させる構成例はこれに限定されるものではない。例えば、規制部材83cにラックギヤを設け、このラックギヤに噛み合う回転ギヤを、フューエルリッド120のヒンジ部分の回転に応じて回転させるように構成し、フューエルリッド120の開閉に応じて規制部材83cが進退移動するようにしてもよい。
【0091】
(他の構成例)
以下では
図10~
図19を参照して、
図2に示す進退移動装置1の他の構成例について説明する。
【0092】
図10は本発明の実施の形態に係る進退移動装置1Aの構成例を示す図である。
図10には、フューエルリッド120が押し込まれる前の進退移動装置1Aが示されている。
図11は
図10に示す進退移動装置1Aの一部を拡大して示す図である。
図11には、フューエルリッド120が押し込まれる前の制限部材90の先端部、規制部材83cの先端部、被係合部材21bの先端部などの位置関係が示されている。
【0093】
図10に示すように、進退移動装置1Aは、ケース4、進退部材11、進退部材側部材21A、付勢部材27、移動部材31A、駆動部60、及び規制部83Aを備える。
【0094】
[進退部材側部材21A]
進退部材側部材21Aは、進退部材11の前進位置を規制する部材である。進退部材側部材21Aは、規制部材21a、被係合部材21b、及び被係合部材21cを備えている。
【0095】
[規制部材21a]
規制部材21aは、進退部材11を回転可能に保持しながらケース4内で移動することにより、進退部材11の前進位置を規制する。
【0096】
規制部材21aは、ケース4の前側壁部40aと後側壁部40bとの間の領域に配置されている。規制部材21aは、前側壁部40aに接することにより、進退部材11の前進方向への移動を規制する。
【0097】
[被係合部材21b]
被係合部材21bは、制限部材90が係合することにより、規制部材21aの前進を規制する。このため、被係合部材21bには、制限部材90が係合する凹部が形成されている。当該凹部の詳細に関しては後述する。
【0098】
被係合部材21bは、規制部材21aから後側壁部40bに向かって延伸している。被係合部材21bは、規制部材83cに隣接して、規制部材83cと平行に設けられている。
【0099】
[被係合部材21c]
被係合部材21cは、押付力伝達部材83aのみが後退するように押し込まれたとき、規制部83Aの係合部材83eに係合する。被係合部材21cは、規制部材21aから内部部材83bに向かって延伸している。
【0100】
[移動部材31A]
移動部材31Aは、回転ギヤ74A、ラックギヤ93、制限部材90、及び付勢部材96を備えている。
【0101】
[後側壁部40b]
後側壁部40bは、進退部材11が後退方向へ移動したときに進退部材11と接することで、進退部材11の後退方向への移動を規制する。
【0102】
[回転ギヤ74A]
回転ギヤ74Aは環状の歯車である。回転ギヤ74Aには、
図3に示すDカット面74aが形成されていない。回転ギヤ74Aは、モータ又は手動による回転力を伝達し、該回転力によって移動部材31を移動させる回転力伝達部材である。なお、移動部材31Aは、回転ギヤ74Aに代えて、
図3に示す回転ギヤ74を用いてもよい。
【0103】
回転ギヤ74Aは、回転ギヤ64と噛み合うことによって駆動部60の回転力を伝達し、該回転力によって制限部材90を移動させる伝達部材の一例である。回転ギヤ74Aには、回転ギヤ74と同軸に小歯車75が設けられている。小歯車75は、制限部材90に形成されるラックギヤ93と噛み合っている。
【0104】
[規制部83A]
規制部83Aは、押付力伝達部材83a、内部部材83b、規制部材83c及び係合部材83eを備えている。
【0105】
[係合部材83e]
係合部材83eは、押付力伝達部材83aのみが後退するように押し込まれたとき、進退部材側部材21Aの被係合部材21cに係合する。係合部材83eは、内部部材83bから規制部材21aに向かって延伸している。
【0106】
駆動部60が駆動することによって、又は手動で回転力を発生する不図示の駆動機構が駆動することによって、制限部材90の先端部は、
図11に示すように、規制部材83cの先端部から一定距離離れた位置で、規制部材83cの先端部と対向する。これによりフューエルリッド120は開状態となる。当該位置は、
図3に示す第1位置に等しい。
【0107】
規制部材83cの先端部は、フック状に形成されている。そして、規制部材83cには凹部83c1が形成されている。
【0108】
次に
図12及び
図13を参照して、フューエルリッド120が押し込まれたときの進退移動装置1Aの状態を説明する。
【0109】
図12はフューエルリッド120が押し込まれたときの進退移動装置1Aの状態を示す図、
図13は
図12に示す進退移動装置1Aの一部を拡大して示す図である。
【0110】
図12に示すように、フューエルリッド120が押し込まれた場合、進退部材11は、付勢部材27の付勢力に抗して後退方向へ移動する。そして、被係合部
材21bの先端部は、後側壁部40bに接するまで後退する。
【0111】
この場合、フューエルリッド120の突起121によって、押付力伝達部材83aも押し込まれるため、規制部材83cの先端部は、ケース4の後側壁部40bに近づくように移動する。
【0112】
規制部材83cの先端部がケース4の後側壁部40bに近づくと、
図12に示す付勢部材96の付勢力に押された制限部材90の先端部が、規制部材83cに形成されている凹部83c1に挿入される。
【0113】
また、制限部材90の先端部は、規制部材83cの凹部83c1を通過した後、被係合部材21bに形成されている凹部21b1に挿入される。なお、このときの制限部材90の先端部の位置は、
図3に示す第2位置に等しい。
【0114】
次に
図14及び
図15を参照して、フューエルリッド120が押し込まれた後に、進退部材11が付勢部材27の付勢力によって僅かに前進方向へ移動した状態を説明する。
【0115】
図14はフューエルリッド120が押し込まれたときの進退移動装置1Aの状態を示す図、
図15は
図14に示す進退移動装置1Aの一部を拡大して示す図である。
【0116】
フューエルリッド120の押し込みが完了すると、付勢部材27の付勢力によって進退部材11は前進方向へ移動しようとするが、制限部材90の先端部が被係合部材21bに挿入されているため、進退部材11の移動が制限される。
【0117】
一方、規制部83Aには付勢部材が設けられていないため、規制部83Aは、
図10に示す押付力伝達部材83aと案内部83dの間に設けられている不図示のシール部材の摩擦抵抗により、前進方向へ移動することなく静止している。
【0118】
従って、
図15に示すように、規制部材83cの凹部83c1に挿入されている制限部材90の先端部は、規制部材83cに接触することなく、被係合部材21bのみに接触している。これにより、規制部材21aの前進方向への移動が制限されるため、
図14に示すフューエルリッド120が閉じられた状態を維持できる。
【0119】
次に
図16及び
図17を参照して、進退部材11のみ押し込まれたときの進退移動装置1Aの状態を説明する。
【0120】
図16は進退部材11のみ押し込まれたときの進退移動装置1Aの状態を示す図、
図17は
図16に示す進退移動装置1Aの一部を拡大して示す図である。
【0121】
図16に示すように、悪戯によって進退部材11のみが押し込まれた場合、進退部材11は、付勢部材27の付勢力に抗して後退し、被係合部材21bは後側壁部40bに近づく。
【0122】
このとき、押付力伝達部材83aは押し込まれずに、規制部83Aは後退していないため、制限部材90の先端部は、規制部材83cの先端部に接触した状態となっている。このため、前述した第1位置から第2位置への制限部材90の移動が規制されている。従って、
図17に示すように、制限部材90の先端部は、被係合部
材21bの凹部21b1に挿入されないため、進退部材11の前進が可能となる。これにより、悪戯などによって押し込まれた進退部材11は、前進方向へ移動して、元の位置に戻る。
【0123】
次に
図18及び
図19を参照して、押付力伝達部材83aのみ押し込まれたときの進退移動装置1Aの状態を説明する。
【0124】
図18は押付力伝達部材83aのみ押し込まれたときの進退移動装置1Aの動作を説明するための図、
図19は
図18に示す進退移動装置1Aの一部を拡大して示す図である。
【0125】
図18に示すように、例えば悪戯などによって人の小指などで押付力伝達部材83aのみが押し込まれた場合、規制部83Aの係合部材83eが進退部材側部材21Aの被係合部材21cを押すことで、進退部材側部材21Aが規制部83Aと共に後退する。
【0126】
ここで、押付力伝達部材83aが一定量押し込まれたとしても、進退部材11は、進退部材11を回転可能に保持する進退部材側部材21Aと共に後退するため、付勢部材27の付勢力によって、押し戻される。
【0127】
また、押付力伝達部材83aと付勢部材27は直線上に配列されていないため、押付力伝達部材83aが押し込まれた場合、進退部材側部材21Aに回転モーメントが発生する。このため、強い力で押付力伝達部材83aを押し込まれない限り、前述した第1位置から第2位置への制限部材90の移動が規制される。
【0128】
このように、進退移動装置1Aによれば、悪戯などによって押付力伝達部材83aのみが押し込まれた場合でも、簡易な構成で、進退部材11の前進が規制されることを防止できる。
【0129】
また、進退移動装置1Aは、
図2に示す付勢部材84が不要になるため、進退移動装置1Aの構成が簡素化され、進退移動装置1Aの信頼性が向上するとともに、進退移動装置1Aの製造コストを低減することが可能である。
【0130】
また、進退移動装置1Aは、一般的な回転ギヤを利用できるため、進退移動装置1Aの設計の自由度が向上する。
【0131】
なお、例えば、以下のような態様も本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0132】
(1)進退移動装置は、ケースと、一端側が前記ケースに収容され、他端側が前記ケースから突出して、前記ケースの内部から外部に向かう方向に前進し、又は当該方向とは逆方向に後退する進退部材と、前記進退部材を付勢する付勢部材と、前記ケースに収容され、前記付勢部材で発生する付勢力による前記進退部材の前進を可能とする第1位置と前記進退部材の前進を止める第2位置との間を移動する移動部材と、リッドが開状態のときに前記移動部材を規制する位置まで移動することで前記移動部材の移動を規制する規制部材と、を備え、前記規制部材は、前記リッドが開状態で前記進退部材が後退している場合、前記移動部材の前記第1位置から前記第2位置への移動を規制する。
【0133】
(2)進退移動装置は、モータ又は手動による回転力を伝達し、該回転力によって前記移動部材を移動させる回転力伝達部材を有し、前記規制部材は、前記リッドが開状態で前記進退部材が後退している場合、前記回転力伝達部材の動きを規制する。
【0134】
(3)前記規制部材は、前記回転力伝達部材に係止されることによって、前記回転力伝達部材の動きを規制する。
【0135】
(4)前記回転力伝達部材は、歯車であり、前記規制部材は、前記リッドが開状態で前記進退部材が後退している場合、前記歯車の回転を停止させる。
【0136】
(5)前記歯車は、Dカット加工がなされており、前記規制部材は、前記リッドが開状態で前記進退部材が後退している場合、Dカット面に当接することにより前記歯車の回転を停止させ、前記リッドが閉状態で前記進退部材が後退している場合、前記Dカット面から離れることにより前記歯車の回転を可能とする。
【0137】
(6)前記規制部材は、前記リッドが閉まるときの押し付け力を伝達する押付力伝達部材と共に移動し、前記リッドが閉状態となることで前記押付力伝達部材が前記ケース内部に押し込まれたとき、前記移動部材の移動を規制する。
【0138】
(7)進退移動装置は、前記進退部材を回転可能に保持しながら前記ケース内で前記進退部材と共に進退移動する進退部材側部材と、前記リッドが閉まるときの押し付け力を伝達する押付力伝達部材と、をさらに備え、前記リッドが開状態で前記押付力伝達部材が前進しており、かつ、前記進退部材側部材が後退している場合、前記移動部材は、前記進退部材を前進可能なように、前記規制部材に接触状態であり、前記進退部材側部材に非係合状態である。
【0139】
(8)進退移動装置は、前記進退部材を回転可能に保持しながら前記ケース内で移動する進退部材側部材と、前記リッドが閉まるときの押し付け力を伝達する押付力伝達部材と、をさらに備え、前記リッドが開状態で前記押付力伝達部材及び進退部材側部材のそれぞれが後退している場合、前記移動部材は、前記進退部材を前進可能なように、前記規制部材及び前記進退部材側部材のそれぞれに非係合状態である。
【0140】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等などの意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0141】
以上、本発明の実施の形態について説明した。なお、以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されない。つまり、上記装置の構成や各部分の形状についての説明は一例であり、本発明の範囲においてこれらの例に対する様々な変更や追加が可能であることは明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0142】
本発明に係る進退移動装置は、進退部材がロックされることを防止できる装置として有用である。
【符号の説明】
【0143】
1 進退移動装置
1A 進退移動装置
2 車体
2a 給油開口部
4 ケース
11 進退部材
12 リッド係止部
21 進退部材側部材
21A 進退部材側部材
21a 規制部材
21b 被係合部材
21c 被係合部材
21b1 凹部
24 凹部
27 付勢部材
31 移動部材
31A 移動部材
40a 前側壁部
40b 後側壁部
60 駆動部
64 回転ギヤ
74 回転ギヤ
74A 回転ギヤ
74a Dカット面
75 小歯車
80 押圧力伝達部
83 規制部
83A 規制部
83a 押付力伝達部材
83b 内部部材
83c 規制部材
83c1 凹部
83d 案内部
83e 係合部材
84 付勢部材
90 制限部材
93 ラックギヤ
96 付勢部材
100 開閉装置
110 本体部
120 フューエルリッド
121 突起
130 ヒンジ
140 リッド被係止部
160 スクリューキャップ
P1 第1位置
P2 第2位置