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特許7425776支援システム、支援プログラム及び制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-23
(45)【発行日】2024-01-31
(54)【発明の名称】支援システム、支援プログラム及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/04 20120101AFI20240124BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
G06Q50/04
G05B19/418 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021132761
(22)【出願日】2021-08-17
(65)【公開番号】P2023027573
(43)【公開日】2023-03-02
【審査請求日】2023-11-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】505191168
【氏名又は名称】株式会社ミスミ
(74)【代理人】
【識別番号】100099645
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 晃司
(74)【代理人】
【識別番号】100161090
【弁理士】
【氏名又は名称】小田原 敬一
(74)【代理人】
【識別番号】100154162
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 浩輔
(72)【発明者】
【氏名】夘沢 裕行
(72)【発明者】
【氏名】松本 康裕
【審査官】宮地 匡人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2002/054295(WO,A1)
【文献】特開2005-157820(JP,A)
【文献】特開2003-316830(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、物品のモデルデータをクライアント端末から受け入れて当該物品の加工条件の設定を支援する支援システムであって、
前記プロセッサは、
前記物品の製造における複数の優先条件のうちの第1の条件に従って前記モデルデータから前記物品の第1の溶接箇所を特定し、かつ、前記複数の優先条件のうちの前記第1の条件と異なる第2の条件に従って前記モデルデータから前記物品の第2の溶接箇所を特定し、
前記第1の溶接箇所が示された前記物品の第1の加工パターン画像及び前記第2の溶接箇所が示された前記物品の第2の加工パターン画像を生成し、
前記第1の加工パターン画像及び前記第2の加工パターン画像を前記クライアント端末に提供する、支援システム。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記第1の条件に従って前記モデルデータから前記物品の第1の曲げ加工箇所をさらに特定し、又は前記第2の条件に従って前記モデルデータから前記物品の第2の曲げ加工箇所をさらに特定し、
記第1の溶接箇所及び前記第1の曲げ加工箇所が示された前記第1の加工パターン画像、又は前記第2の溶接箇所及び前記第2の曲げ加工箇所が示された前記第2の加工パターン画像を生成する、請求項1に記載の支援システム。
【請求項3】
前記複数の優先条件は、前記物品の製造価格を優先する条件、前記物品の外観の美しさを優先する条件、前記物品の強度を優先する条件、前記物品の液密性を優先する条件、及び前記物品の気密性を優先する条件の少なくとも2つを含む、請求項1に記載の支援システム。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記第1の加工パターン画像及び前記第2の加工パターン画像とともに前記第1の条件を示す情報及び前記第2の条件を示す情報を前記クライアント端末に提供する、請求項1に記載の支援システム。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記第1の溶接箇所を溶接する場合の前記物品の第1の価格、及び前記第2の溶接箇所を溶接する場合の前記物品の第2の価格を含む見積情報を作成し、
前記第1の加工パターン画像及び前記第2の加工パターン画像とともに前記第1の価格を示す情報及び前記第2の価格を示す情報を前記クライアント端末に提供する、請求項1に記載の支援システム。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記第1の加工パターン画像及び前記第2の加工パターン画像を表示させて前記クライアント端末に提供すると共に、前記第1の加工パターン画像及び前記第2の加工パターン画像のうち、選択されている一方を他方よりも大きく表示させる、請求項1に記載の支援システム。
【請求項7】
前記プロセッサは、
前記クライアント端末での指定に応じてさらに第3の溶接箇所を特定し、
記第3の溶接箇所が示された前記第1の加工パターン画像を生成する、請求項6に記載の支援システム。
【請求項8】
前記プロセッサは、
前記物品の価格を含む見積情報を作成し、
記第1の加工パターン画像及び前記第2の加工パターン画像のうち、前記クライアント端末で選択された一方に対する見積条件を前記クライアント端末から受け入れると共に、前記見積条件に基づいて前記見積情報を作成する、請求項6に記載の支援システム。
【請求項9】
プロセッサを備え、物品のモデルデータをクライアント端末から受け入れて当該物品の加工条件の設定を支援する支援システムの支援プログラムであって、
前記プロセッサに
前記物品の製造における複数の優先条件のうちの第1の条件に従って前記モデルデータから前記物品の第1の溶接箇所を特定させ、かつ、前記複数の優先条件のうちの前記第1の条件と異なる第2の条件に従って前記モデルデータから前記物品の第2の溶接箇所を特定させ、
前記第1の溶接箇所が示された前記物品の第1の加工パターン画像及び前記第2の溶接箇所が示された前記物品の第2の加工パターン画像を生成させ、
前記第1の加工パターン画像及び前記第2の加工パターン画像を前記クライアント端末に提供させる、支援プログラム。
【請求項10】
プロセッサを備え、物品のモデルデータをクライアント端末から受け入れて当該物品の加工条件の設定を支援する支援システムの制御方法であって、
前記プロセッサは、
前記物品の製造における複数の優先条件のうちの第1の条件に従って前記モデルデータから前記物品の第1の溶接箇所を特定し、かつ、前記複数の優先条件のうちの前記第1の条件と異なる第2の条件に従って前記モデルデータから前記物品の第2の溶接箇所を特定し、
前記第1の溶接箇所が示された前記物品の第1の加工パターン画像及び前記第2の溶接箇所が示された前記物品の第2の加工パターン画像を生成し、
前記第1の加工パターン画像及び前記第2の加工パターン画像を前記クライアント端末に提供する、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接箇所が示された画像を生成する支援システム、その支援プログラム及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、板金加工作業の見積もり作成方法が開示されている。当該作成方法においては、発注者から3次元CADで製品をモデリングした3次元CADデータを受け取る。そして、立体姿図を参照して、製品を分割して複数の部品にする。また、複数に分割された部品毎に展開図が作成される。さらに、溶接費を算出する場合、複数の部品に分割された立体姿図を読み込み、溶接面を指示して、溶接長さの算出が行われる。
【0003】
特許文献2には、板金設備商品販売システムが開示されている。当該システムにおいては、CAD図面等の設計データを受信して、立体姿図を作成する。そして、立体姿図を部品の立体姿図に分割し、部品の立体姿図を参照して、展開図が作成される。さらに、製品の部品加工が可能か否かを判断し、全ての部品加工が可能であると判断したとき、溶接箇所を抽出して加工方法の検討が行われる。
【0004】
特許文献3には、溶接ロボットを含むロボットシステムが開示されている。当該システムにおいては、ディスプレイ画面上に表示された三次元CADデータのワーク図形を基に、溶接ロボットで溶接を行う溶接線が自動的に選定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-203007号公報
【文献】特開2005-157820号公報
【文献】特開2010-184278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ユーザが製造を希望する物品には、溶接加工が行われることがある。この場合、溶接箇所によって物品の価格が異なり、例えば、溶接箇所が多ければ物品の価格が高くなる。そのため、加工業者は、物品の溶接箇所を示した図面を作成して、確認のためにユーザに提供する。これにより、ユーザは、溶接箇所を確認して、物品の加工を依頼することができる。しかし、ユーザが希望する条件に図面が合わない場合、加工業者は、新たな図面を作成してユーザに提供する必要がある。そのため、加工の依頼までに、新たな図面を作成する工程が加わってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る支援システムは、物品のモデルデータをクライアント端末から受け入れて当該物品の加工条件の設定を支援する支援システムであって、前記物品の製造における複数の優先条件のうちの第1の条件に従って前記モデルデータから前記物品の第1の溶接箇所を特定し、かつ、前記複数の優先条件のうちの前記第1の条件と異なる第2の条件に従って前記モデルデータから前記物品の第2の溶接箇所を特定する特定手段と、前記第1の溶接箇所が示された前記物品の第1の加工パターン画像及び前記第2の溶接箇所が示された前記物品の第2の加工パターン画像を生成するパターン生成手段と、前記第1の加工パターン画像及び前記第2の加工パターン画像をユーザに提供する提供手段とを備える。
【0008】
また、本発明の一態様に係る支援プログラムは、コンピュータを備え、物品のモデルデータをクライアント端末から受け入れて当該物品の加工条件の設定を支援する支援システムの支援プログラムであって、前記コンピュータを、前記物品の製造における複数の優先条件のうちの第1の条件に従って前記モデルデータから前記物品の第1の溶接箇所を特定し、かつ、前記複数の優先条件のうちの前記第1の条件と異なる第2の条件に従って前記モデルデータから前記物品の第2の溶接箇所を特定する特定手段と、前記第1の溶接箇所が示された前記物品の第1の加工パターン画像及び前記第2の溶接箇所が示された前記物品の第2の加工パターン画像を生成するパターン生成手段と、前記第1の加工パターン画像及び前記第2の加工パターン画像をユーザに提供する提供手段として機能させる。
【0009】
また、本発明の一態様に係る制御方法は、物品のモデルデータをクライアント端末から受け入れて当該物品の加工条件の設定を支援する支援システムの制御方法であって、前記物品の製造における複数の優先条件のうちの第1の条件に従って前記モデルデータから前記物品の第1の溶接箇所を特定し、かつ、前記複数の優先条件のうちの前記第1の条件と異なる第2の条件に従って前記モデルデータから前記物品の第2の溶接箇所を特定し、前記第1の溶接箇所が示された前記物品の第1の加工パターン画像及び前記第2の溶接箇所が示された前記物品の第2の加工パターン画像を生成し、前記第1の加工パターン画像及び前記第2の加工パターン画像をユーザに提供する。
【0010】
これにより、互いに異なる複数の優先条件に応じた溶接箇所を示す複数の画像を、ユーザに提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】支援システム全体の概略構成図。
図2】支援システムの概略ブロック図。
図3】見積画面の一例を示す概略図。
図4】当初3次元画像の一例を示す概略図。
図5】第1の3次元パターン画像を示す概略図。
図6】第1の2次元パターン画像を示す概略図。
図7】第2の3次元パターン画像を示す概略図。
図8】第2の2次元パターン画像を示す概略図。
図9】見積処理のシーケンス図。
図10】見積条件の設定画面を示す概略図。
図11】パターン画像画面の一例を示す概略図。
図12】パターン画像画面の他の例を示す概略図。
図13】溶接箇所の特定画面を示す概略図。
図14】溶接箇所の指定後の特定画面を示す概略図。
図15】溶接箇所の確認画面を示す概略図。
図16】変形形態2に係る当初3次元画像を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための例示的な実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。ただし、以下の実施形態において説明する寸法、材料、形状及び構成要素の相対的な位置は任意に設定でき、本発明が適用される装置の構成又は様々な条件に応じて変更できる。また、特別な記載がない限り、本発明の範囲は、以下に具体的に記載された実施形態に限定されない。
【0013】
[第1実施形態]
図1は、物品のモデルデータD1(図2)をクライアント端末40から受け入れて、当当該物品の加工条件の設定を支援する支援システム100を示している。例えば、ユーザは、クライアント端末40から物品のモデルデータD1を送信する。そして、支援システム100のサーバ20は、当該モデルデータD1をクライアント端末40から受信して記憶する。なお、物品は、物品自体が一つのまとまった機能を有する完成品であってもよいし、完成品に組み込まれる一つの物品、又は複数の部品からなる組立体であってもよい。さらに、物品は、複数の部品が組み合わさったユニット、治具、装置、及び設備を含む。
【0014】
モデルデータD1は、一例として物品の形状を表す3次元CAD(Computer Aided Design)データであり、物品を構成する要素の寸法及び位置等の情報を含んでいてもよい。具体的に、モデルデータD1は、物品を構成する部品が一体であるシェルモデル、物品を構成する部品が別体であり非結合モデル、又は複数の部品を含むアセンブリモデルである。また、要素は、一例として、穴、軸、段差、切り欠き、角、面、及び稜線等の物品を構成する部分のことであり、加工されることによって得られる形状を含む。また、加工条件は、加工に要する条件であって、加工方法、仕上げ方法、溶接箇所、溶接しろ、曲げ加工箇所、及び伸びしろ等の条件を含む。以下の説明では、加工条件として溶接箇所の設定を支援する例について説明する。
【0015】
支援システム100は、支援サーバとしてのサーバ20を備えたネットワークシステム、又はクライアントサーバシステムとして構成されている。サーバ20は、サーバ装置として機能し、例えば複数のコンピュータとしてのサーバユニット21が組み合わされることにより一台の論理的なサーバ装置として構成されている。ただし、単一のサーバユニット21によりサーバ20が構成されてもよい。あるいは、クラウドコンピューティングを利用して論理的にサーバ20が構成されてもよい。サーバ20は、クライアント端末40に対して、又はクライアント端末40のユーザに対して、加工条件の設定を支援する支援サービス、及び物品の見積サービスを含む各種サービスを提供する。これらのサービスは、ネットワーク50を介してクライアント端末40に対してプログラム或いはデータを配信する配信サービスと、クライアント端末40から受信したデータを保管する保管サービスとを含んでいる。配信サービスは、例えば、アップデート用のデータを配信するサービスである。
【0016】
クライアント端末40は、ネットワーク接続が可能であるコンピュータ装置である。例えば、クライアント端末40は、据置型又はブック型のパーソナルコンピュータ41、及び携帯型タブレット端末装置42等を含む。その他に、携帯電話(スマートフォンを含む)のようなモバイル端末装置が、クライアント端末40に含まれる。クライアント端末40は、各種のコンピュータソフトウェアを実装することにより、サーバ20が提供する種々のサービスをユーザに享受させることが可能である。また、クライアント端末40は、サーバ20に所定のネットワーク50を介して接続可能である。以下では、クライアント端末40がパーソナルコンピュータ41である場合について説明する。
【0017】
ネットワーク50は、サーバ20に対してクライアント端末40をそれぞれ接続できるように構成されている。一例として、ネットワーク50は、TCP/IPプロトコルを利用してネットワーク通信を実現するように構成されている。具体的には、LAN(Local Area Network)52が、サーバ20とインターネット51とを接続している。そして、WAN(Wide Area Network)としてのインターネット51と、LAN52とが、ルータ53を介して接続されている。また、ネットワーク50は、専用線、電話回線、企業内ネットワーク、移動体通信網、その他の通信回線、及びそれらの組み合わせ等のいずれであってもよく、有線であるか無線であるかを問わない。クライアント端末40も、インターネット51に接続されるように構成されている。代替的に、サーバ20のサーバユニット21は、LAN52に代えて又は加えてインターネット51により、相互に接続されていてもよい。
【0018】
サーバ20は、ユーザが物品の加工条件の設定するために必要な各種の手順を、クライアント端末40を介してユーザに案内する。すなわち、サーバ20は、クライアント端末40からのアクセスに応じて各種のウェブページをクライアント端末40の表示部に表示させるウェブサーバとして機能する。また、サーバ20は、ユーザによる発注に対応して、発注された物品の手配、配送指示、及び購入代金の請求といった処理を実行してもよい。
【0019】
[制御系]
次に、図2を参照して、支援システム100の制御系の概略構成について説明する。サーバ20は、制御手段としてのサーバ制御部22と、コンピュータ読み取り可能な非一時的記憶媒体としてのサーバメモリ23とを備えている。サーバ制御部22は、所定のプログラムに従って各種の演算処理及び動作制御を実行するプロセッサと、プロセッサの動作に必要な内部メモリと、その他の周辺装置とを組み合わせたコンピュータとして構成されている。プロセッサは、例えばCPU(Central Processing Unit)、又はMPU(Micro-Processing Unit)であり、サーバメモリ23に記憶された制御プログラムに基づいて、装置全体を制御すると共に、各種処理についても統括的に制御する。さらに、サーバ制御部22は、サーバメモリ23に記憶された支援プログラムPGに基づいて、物品の加工条件の設定に伴う各種処理を実行する。
【0020】
サーバメモリ23は、プロセッサが動作するためのシステムワークメモリであるRAM(Random Access Memory)、並びにプログラム及びシステムソフトウェアを格納するROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disc Drive)及びSSD(Solid State Drive)等の記憶装置を含む。ただし、サーバメモリ23は、サーバ20の一部として設けられる例に限らず、サーバ20と協働するデータベースサーバとして設けられてもよい。以下の説明では、CPUが、ROM又はHDDに記憶された制御プログラムに従って、種々の演算、制御、及び判別等の処理動作を実行する。
【0021】
また、サーバメモリ23は、物品のモデルデータD1と、複数の優先条件を示す情報を含む条件データD2とを記憶している。そして、条件データD2は、少なくとも複数の優先条件のうちの第1の条件を示す情報と、第1の条件と異なる第2の条件を示す情報とを含んでいる。一例として、優先条件は、物品の製造価格を優先する条件、物品の外観の美しさを優先する条件、物品の強度を優先する条件、物品の液密性を優先する条件、及び物品の気密性を優先する条件を含む。さらに、優先条件は、物品の重量の軽さを優先する条件であってもよい。溶接して製造された物品の重量が重い場合には、輸送費用が高くなることがあるためである。また、優先条件は、作業者の手が入る開口を物品が有することを優先する条件であってもよい。物品の形状によっては、内側空間に作業者が手を挿入して溶接作業を行う必要があるためである。
【0022】
例えば、物品の製造価格を優先する条件では、物品の製造価格がより安い加工条件が優先される。また、物品の外観の美しさを優先する条件では、モデルデータD1によって表される当初3次元画像と比較して、外観の相違点が少ない加工条件が優先される。外観の相違点とは、例えば、アールがついていない角とアールがついている角との相違である。また、物品の強度を優先する条件では、物品の引っ張り強度、圧縮強度、又はせん断強度等が強い加工条件が優先される。また、物品の液密性を優先する条件では、物品の内部にある液体が外部に洩れない程度、又は液体が物品の内部に流入しない程度がより高い加工条件が優先される。また、物品の気密性を優先する条件では、物品の内部にある気体が外部に洩れない程度、又は気体が物品の内部に流入しない程度がより高い加工条件が優先される。
【0023】
例えば、条件データD2は、優先条件が規定されたテーブル又はリストである。当該テーブル又はリストは、サーバ20の管理者が予め作成している。また、ユーザが、複数の優先条件の中から選択することによって、溶接箇所の特定に利用する優先条件を設定できてもよい。代替的に、条件データD2は、サーバ20が自動的に作成してもよい。一例として、サーバ20は、ユーザが過去にアップロードしたモデルデータD1に適用された条件データD2を複製して、ユーザが新たにアップロードしたモデルデータD1に適用する条件データD2を作成する。
【0024】
代替的に、条件データD2は、ユーザが作成したものであってもよい。さらに、ユーザは、自動的に作成された又は管理者が作成した条件データD2を変更できてもよい。例えば、ユーザは、設定画面(不図示)から、条件データD2が示す優先条件を変更できてもよい。さらに、複数の優先条件は、人工知能による選択に従うという条件、又は過去の注文履歴を参照して多く用いられた条件に従うという条件であってもよい。
【0025】
サーバ制御部22には、所定の指令及びデータを入力するキーボード若しくは各種スイッチを含む不図示の操作部が、有線接続又は無線接続されている。また、サーバ制御部22には、サーバ装置の入力状態、設定状態、計測結果、及び各種情報を表示する不図示の表示部が、有線接続又は無線接続されている。なお、サーバ制御部22は、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、CF(Compact Flash)カード、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の可搬記録媒体、又はインターネット上のクラウドサーバ等の外部記憶媒体に記憶されたプログラムに従って制御を行うこともできる。
【0026】
サーバメモリ23が記憶する支援プログラムPGは、コンピュータであるサーバ制御部22を、データ取得手段の一例であるデータ取得部22A、特定手段の一例である特定部22B、見積手段の一例である見積部22D、パターン生成手段の一例である生成部22G、及び提供手段の一例である提供部22Hとして機能させる。すなわち、サーバ制御部22は、コンピュータハードウェアとソフトウェアとの組み合わせによって実現される論理的装置として、データ取得部22A、特定部22B、見積部22D、生成部22G、及び提供部22Hを有している。
【0027】
なお、サーバ制御部22は、上記論理的装置以外にも、クライアント端末40の操作に応じてウェブページの表示の切り替え等を制御する不図示の論理的装置等を有している。また、サーバメモリ23は、ユーザの情報、過去の見積結果、ウェブページを表示するために用いられる画像データ、及び製品又は物品の型番、名称若しくは特徴等の情報を含むデータ等の不図示の各種のデータを記録している。
【0028】
[データ取得手段]
データ取得部22Aは、物品のモデルデータD1を取得する。一例として、ユーザは、サーバ20にモデルデータD1をアップロードする。そして、サーバ制御部22は、ユーザのクライアント端末40から受け入れたモデルデータD1をサーバメモリ23に記憶させる。続いて、データ取得部22Aは、サーバメモリ23からモデルデータD1を取得する。モデルデータD1によって表される物品は、互いに溶接される少なくとも二つの部分を含んでいる。そして、当該溶接される部分は、別体であってもよく、一体の部材の一部であってもよい。
【0029】
[特定手段]
特定部22Bは、物品の製造における複数の優先条件のうちの第1の条件に従ってモデルデータD1から物品の第1の溶接箇所を特定する。また、特定部22Bは、複数の優先条件のうちの第1の条件と異なる第2の条件に従って、モデルデータD1から物品の第2の溶接箇所を特定する。ここで、第1の溶接箇所及び第2の溶接箇所は、それぞれ少なくとも一箇所であり、それぞれ複数の溶接箇所を含んでいてもよい。さらに、特定部22Bは、第1及び第2の条件とは異なる更なる条件(例えば、第3の条件)に従って、更なる溶接箇所(例えば、第3の溶接箇所)を特定してもよい。また、特定部22Bが特定する溶接箇所同士は、同一の溶接箇所を含んでいてもよい。例えば、第1の溶接箇所及び第2の溶接箇所が、同一の溶接箇所を少なくとも一つ含んでいてもよい。
【0030】
なお、第1の条件と第2の条件とは、同じ基準に基づいて異なる程度を示す条件であってもよい。例えば、第1の条件と第2の条件とがいずれも、製造価格の安さを基準とし、当該基準に基づいて、第1の条件が最も製造価格が安いという条件であり、第2の条件が二番目に製造価格が安いという条件であってもよい。第1及び第2の条件とは異なる更なる条件についても同様であり、例えば、三番目に製造価格が安いという条件であってもよい。
【0031】
一例として、特定部22Bは、モデルデータD1に基づいて、物品において溶接が可能な箇所を識別する。そして、特定部22Bは、条件データD2を参照して、溶接箇所の特定に利用する第1及び第2の優先条件を取得する。続いて、特定部22Bは、識別した溶接が可能な箇所の中から、第1の条件に従って第1の溶接箇所を特定し、第2の条件に従って第2の溶接箇所を特定する。代替的に、特定部22Bは、溶接箇所の特定に利用する第1及び第2の優先条件を先に取得してもよい。この場合、特定部22Bは、溶接が可能な箇所の識別と、第1及び第2の溶接箇所の特定とを並行して実行してもよい。
【0032】
具体的に、特定部22Bは、モデルデータD1に基づいて物品の形状認識処理を実行する。一例として、形状認識処理において、特定部22Bは、モデルデータD1に基づいて各要素の形状を認識する。さらに、特定部22Bは、物品を構成する各部分を認識する。続いて、特定部22Bは、トポロジ構造を有するパターンデータを作成する。例えば、トポロジ構造は、部分同士の接続関係、部分同士の隣接関係、及び線に囲まれた各部分の面認識の情報を持っている。そして、特定部22Bは、物品において溶接が可能な箇所を識別する。一例として、特定部22Bは、隣接する部分同士の境界線を、溶接が可能な箇所として認識する。
【0033】
そして、特定部22Bは、識別した溶接が可能な箇所の中から第1及び第2の溶接箇所を特定する。一例として、物品が立方体の箱であり、第1の条件が物品の外観の美しさを優先する条件であり、第2の条件が物品の製造価格を優先する条件である例を説明する。この場合、六面が一体となった板状部材に曲げ加工を施した後に溶接すると、角にアールが生じてしまう。すなわち、曲げ加工箇所が丸みを帯びてしまい、美感が損なわれる。一方、六面が別体となった六枚の板を溶接すると、角にアールは生じないが、製造価格がより高くなる。そのため、特定部22Bは、第1の溶接箇所として、外観の美しさを優先させ、六面の各縁を第1の溶接箇所として特定する。また、特定部22Bは、第2の溶接箇所として、製造価格の安さを優先させ、六面が一体となった板状部材の外縁を第2の溶接箇所として特定する。
【0034】
また、特定部22Bは、第1の条件に従ってモデルデータD1から物品の第1の曲げ加工箇所をさらに特定してもよい。または、特定部22Bは、第2の条件に従ってモデルデータD1から物品の第2の曲げ加工箇所をさらに特定してもよい。例えば、上記の箱の例で特定部22Bは、第2の溶接箇所として、製造価格の安さを優先させ、板状部材における面同士の接続箇所を第2の曲げ加工箇所として特定する。なお、優先条件に応じて、特定部22Bは、第2の曲げ加工箇所に加えて第1の曲げ加工箇所を特定してもよい。
【0035】
ここで、第1の曲げ加工箇所及び第2の曲げ加工箇所は、それぞれ少なくとも一か所であり、それぞれ複数の曲げ加工箇所を含んでいてもよい。さらに、特定部22Bは、第1及び第2の条件とは異なる条件(例えば、第3の条件)に従って、更なる曲げ加工箇所(例えば、第3の曲げ加工箇所)を特定してもよい。また、特定部22Bが特定する曲げ加工箇所同士は、同一の曲げ加工箇所を含んでいてもよい。例えば、第1の曲げ加工箇所及び第2の曲げ加工箇所が、同一の曲げ加工箇所を少なくとも一つ含んでいてもよい。
【0036】
[見積手段]
見積部22Dは、第1の溶接箇所を溶接する場合の物品の第1の価格、及び第2の溶接箇所を溶接する場合の物品の第2の価格を含む見積情報を作成する。例えば、見積部22Dは、後述する生成部22Gが生成した複数の加工パターン画像(例えば、第1の加工パターン画像及び第2の加工パターン画像)に対応する溶接設定に基づいて、それぞれの溶接箇所を溶接する場合の物品の見積情報を作成する。これにより、優先条件に対応する加工パターン画像に基づいて、それぞれの加工パターン画像に対応する物品の見積情報を作成できる。なお、見積部22Dは、複数の加工パターン画像の中から、ユーザが選択した加工パターン画像に対応する物品の見積情報を作成してもよい。
【0037】
図3を参照して、第1の溶接箇所を溶接する場合の物品の見積情報の作成について説明する。図3は、クライアント端末40の表示装置46に表示される見積画面の一例であり、見積部22Dが当該見積画面を作成する。そして、見積画面には、溶接設定欄10が表示されている。なお、溶接設定欄10は、後述する第1及び第2の加工パターン画像と共に表示されるので、見積画面に含まれる態様には限定されない。
【0038】
溶接設定欄10をクライアント端末40の表示装置46に表示させることにより、提供部22Hは、物品の見積情報をクライアント端末40のユーザに提供する。なお、見積部22Dは、第1の溶接箇所を溶接する場合と同様に、第2の溶接箇所を溶接する場合の物品の第2の価格を含む見積情報を作成する。一例として、見積情報は、物品の製造価格及び物品の出荷までに要する日数の少なくとも一方である。代替的に、見積情報は、加工の価格、物品が出荷される日、又はユーザに物品が配送される日であってもよい。
【0039】
例えば、見積部22Dは、全部品の価格に、溶接加工に要する費用、折り曲げ加工に要する費用、及び輸送に要する費用等を足した製造価格を見積もる。または、見積部22Dは、全部品の作成に要する日数に、溶接加工に要する日数、及び折り曲げ加工に要する日数等を足した日数を元に、出荷までに要する日数を見積もる。例えば、溶接箇所が増える(又は長くなる)と物品の製造価格が高くなる。
【0040】
ユーザは、各溶接箇所を選択して、溶接工法、溶接長さ、及び仕上げの方法について指定できる。なお、初期段階の溶接設定は、生成部22Gが生成した加工パターン画像に対応する内容となっている。そして、見積部22Dは、モデルデータD1と、加工パターン画像に対応する溶接設定とに基づいて見積情報を作成する。すなわち、見積部22Dは、溶接加工に要する費用を物品Aの価格に付加し、溶接加工に要する日数を出荷までに要する実働日に付加する。なお、曲げ加工が施される場合も同様に、見積部22Dは、曲げ加工に要する費用を物品Aの価格に付加し、曲げ加工に要する日数を出荷までに要する実働日に付加する。
【0041】
また、見積画面には基本情報タブ11とツリービュータブ12とが含まれている。基本情報タブ11を選択して表示される基本情報ビューには、例えば、材質及び表面処理の方法等の製造に必要な情報と、購入数量とが表示される。図3の例では、ツリービュータブ12を選択して表示されるツリービュー13が図示されている。ツリービュー13には、例えば、物品の外形寸法等が表示される。
【0042】
図3の例では、物品Aの外形寸法を示す情報として、X方向の寸法「100mm」と、Y方向の寸法「60mm」と、Z方向の寸法「20mm」が表示されている。また、物品Aの上面(Top)にJIS規格で定められた「M10」に対応する並目ねじ用タップ穴が四箇所に加工されることを示す情報として、「4×M10」が表示されている。また、一個の物品価格として「4,980円」が表示されている。さらに、出荷までに要する実働日の日数として「6日間」が表示されている。
【0043】
また、見積画面の下部には、見積もりの確定ボタン14が表示されており、ユーザが当該確定ボタン14を選択すると確定ボタン14の下方に合計金額、出荷日、及び出荷までに要する実働日の日数が表示される。このとき、物品の価格に購入数量を乗じて得られた金額が、合計金額として見積画面に表示される。さらに、表示されている物品に対応する型番が、型番欄15に表示される。また、確定ボタン14の下方には、印刷ボタン16が表示されており、ユーザが当該印刷ボタン16を選択すると見積結果を印刷できる。さらに、印刷ボタン16に並んで、出力ボタン17と注文ボタン18とが表示されている。
【0044】
ユーザが出力ボタン17を選択すると、注文リストの電子データを出力できる。また、ユーザが注文ボタン18を選択すると、注文を行うための注文画面(不図示)が、クライアント端末40の表示装置46に表示される。ユーザは、当該注文画面において、型番によって特定される物品を注文できる。ユーザが物品を注文すると、見積部22Dは、特定された型番と購入数量とを物品の加工業者に送信する。さらに見積部22Dは、加工業者に物品の配送指示を送信する処理、及びユーザに購入代金を請求する処理を実行してもよい。代替的に、見積画面においてユーザが注文ボタン18を選択すると、見積部22Dは、更なる操作画面を表示させずに特定された型番と購入数量とを物品の加工業者に送信してもよい。
【0045】
さらに、見積部22Dは、モデルデータD1に対応する物品の発注処理を行う。発注処理において、例えば、見積部22Dは、物品の型番を特定して、特定した型番に対応する物品を注文するためのウェブページとしての注文画面を作成する。そして、提供部22Hが、当該注文画面をクライアント端末40の表示装置46に表示させる。そして、ユーザが物品を注文すると、見積部22Dは、特定された型番と購入数量とを物品の加工業者に送信する。なお、図3に示されている見積画面は、注文画面の前段階のウェブページである。
【0046】
[パターン生成手段]
生成部22Gは、特定部22Bが特定した第1の溶接箇所が示された物品の第1の加工パターン画像を生成する。また、生成部22Gは、特定部22Bが特定した第2の溶接箇所が示された物品の第2の加工パターン画像を生成する。第1及び第2の加工パターン画像は、展開図又は六面図等の2次元画像であってもよく、3次元画像であってもよい。さらに、生成部22Gは、特定部22Bが特定した更なる溶接箇所(例えば、第3の溶接箇所)が示された更なる加工パターン画像(例えば、第3の加工パターン画像)を生成してもよい。
【0047】
さらに、生成部22Gは、第1の溶接箇所及び第1の曲げ加工箇所が示された第1の加工パターン画像を生成してもよい。また、生成部22Gは、第2の溶接箇所及び第2の曲げ加工箇所が示された第2の加工パターン画像を生成してもよい。加えて、生成部22Gは、特定部22Bが特定した更なる曲げ加工箇所(例えば、第3の曲げ加工箇所)が示された更なる加工パターン画像(例えば、第3の加工パターン画像)を生成してもよい。
【0048】
図4から図8を参照して、加工パターン画像について説明する。図4は、ユーザがアップロードしたモデルデータD1に基づいて、生成部22Gが作成する当初3次元画像10Aを示している。また、図5は、第1の溶接箇所WP1及び第1の曲げ加工箇所BP1が示された第1の加工パターン画像の一例である3次元画像として、第1の3次元パターン画像60Aを示している。そして、図6は、生成部22Gが作成する第1の加工パターン画像の他の例である2次元画像として、第1の2次元パターン画像70Aを示している。
【0049】
また、図7は、第2の溶接箇所WP2及び第2の曲げ加工箇所BP2が示された第2の加工パターン画像の一例である3次元画像として、第2の3次元パターン画像80Aを示している。そして、図8は、生成部22Gが作成する第2の加工パターン画像の他の例である2次元画像として、第2の2次元パターン画像90Aを示している。なお、以下の説明では、第1の3次元パターン画像60A及び第1の2次元パターン画像70Aを、単に第1の加工パターン画像ともいう。また、第2の3次元パターン画像80A及び第2の2次元パターン画像90Aを、単に第2の加工パターン画像ともいう。
【0050】
図4に示す物品は、頂面(又は上面)に円形の開口OPが形成される略箱状の物品であり、底面は存在しない。図4に示すように、モデルデータD1に基づいて、生成部22Gが作成する当初の当初3次元画像10Aにおいては、溶接箇所及び曲げ加工箇所が示されていない。そのため、各面の境界線である稜線には、アールがついていない角が存在している。
【0051】
生成部22Gは、モデルデータD1と、特定部22Bが特定した第1の溶接箇所WP1及び第1の曲げ加工箇所BP1とに基づいて、第1の3次元パターン画像60A(図5)を生成する。当該第1の3次元パターン画像60Aは、完成品の想像図である。そのため、ユーザは、完成品を表す第1の3次元パターン画像60Aを見ながら、見積の結果を検討できる。また、生成部22Gは、モデルデータD1と、特定部22Bが特定した第1の溶接箇所WP1及び第1の曲げ加工箇所BP1とに基づいて、第1の2次元パターン画像70A(図6)を生成する。なお、生成部22Gは、第1の3次元パターン画像60Aのみを生成してもよく、第1の2次元パターン画像70Aのみを生成してもよい。また、曲げ加工箇所が無い場合、生成部22Gは、モデルデータD1と、特定部22Bが特定した第1の溶接箇所WP1とに基づいて、第1の3次元パターン画像60A及び第1の2次元パターン画像70Aを生成する。
【0052】
図5に示すように、生成部22Gが生成した第1の3次元パターン画像60Aには、第1の溶接箇所WP1及び第1の曲げ加工箇所BP1が示されている。そして、図5に示す物品では、五面が別体となった五枚の板を溶接しているため、角にアールが少なく外観の美しさが保たれている。なお、以下の例では、第1の溶接箇所WP1及び第2の溶接箇所WP2を太線で示し、第1の曲げ加工箇所BP1及び第2の曲げ加工箇所BP2を斜線の網掛けで示している。ただし、第1の溶接箇所WP1及び第2の溶接箇所WP2と、第1の曲げ加工箇所BP1及び第2の曲げ加工箇所BP2とは、互いが視覚によって区別可能な態様で示されていればよい。例えば、異なる色又は異なる線種によって、両者を区別してもよい。
【0053】
また、図6に示すように、生成部22Gが生成した第1の2次元パターン画像70Aにも、第1の溶接箇所WP1及び第1の曲げ加工箇所BP1が示されている。なお、図5に示す第1の3次元パターン画像60Aは、完成品を表すため、溶接しろ又は伸びしろが含まれていない。また、図6に示す第1の2次元パターン画像70Aにも、溶接しろ又は伸びしろが含まれていない。ただし、生成部22Gは、溶接しろ又は伸びしろが含まれるように、第1の2次元パターン画像70Aを生成してもよい。
【0054】
図7に示すように、生成部22Gが生成した第2の3次元パターン画像80Aには、第2の溶接箇所WP2及び第2の曲げ加工箇所BP2が示されている。そして、五面が一体となった板状部材に曲げ加工を施した後に溶接しているので、角にアールが生じて美感が損なわれている。一方、五面が別体となった五枚の板を溶接する場合と比較して、溶接長さが短いので、製造価格がより安くなる。また、図8に示すように、生成部22Gが生成した第2の2次元パターン画像90Aには、第2の溶接箇所WP2及び第2の曲げ加工箇所BP2が示されている。なお、図7に示す第2の3次元パターン画像80Aは、完成品を表すため、溶接しろ又は伸びしろが含まれていない。また、図8に示す第2の2次元パターン画像90Aにも、溶接しろ又は伸びしろが含まれていない。ただし、生成部22Gは、溶接しろ又は伸びしろが含まれるように、第2の2次元パターン画像90Aを生成してもよい。
【0055】
[提供手段]
図2に戻り、提供部22Hは、第1の加工パターン画像及び第2の加工パターン画像をユーザに提供する。これにより、ユーザは目視によって、異なる条件に従って製造される物品を比較できる。特に、第1及び第2の加工パターン画像が3次元パターン画像である場合、製造された物品の角につけられるアール、又は溶接された角が3次元パターン画像に再現される。そのため、ユーザは目視によって、異なる条件に従って製造される物品の形状を比較できる。
【0056】
また、提供部22Hは、第1の加工パターン画像及び第2の加工パターン画像とともに、見積部22Dが作成した見積情報に基づいて、第1の価格を示す情報及び第2の価格を示す情報をユーザに提供する。一例として、提供部22Hは、図5に示すように、第1の3次元パターン画像60Aと溶接設定欄10とを並べて表示させる。当該溶接設定欄10には、第1の溶接箇所WP1を溶接する場合の物品の第1の価格4980円が表示されている。また、提供部22Hは、図7に示すように、第2の3次元パターン画像80Aと、溶接設定欄10とを並べて表示させる。当該溶接設定欄10には、第2の溶接箇所WP2を溶接する場合の物品の第2の価格3980円が表示されている。
【0057】
これによって、提供部22Hは、見積情報及び第1及び第2の加工パターン画像をユーザに提供するとともに、第1及び第2の価格を示す情報をユーザに提供する。そのため、ユーザは、加工パターン画像を確認しながら見積りの当否を判断できる。さらに、提供部22Hは、生成部22Gが生成した更なる加工パターン画像と、更なる加工パターン画像に対応する物品の価格を示す情報とをユーザに提供してもよい。代替的に、提供部22Hは、第1及び第2の加工パターン画像を表示させる際に、それぞれに対応する見積画面(図3)を並べて表示させてもよい。
【0058】
代替的に、提供部22Hは、第1及び第2の加工パターン画像と、第1及び第2の価格を示す情報とを、クライアント端末40に送信することによって、ユーザに提供してもよい。また、提供部22Hは、第1及び第2の加工パターン画像を並べて表示装置46に表示させてもよい。この場合、提供部22Hは、第1及び第2の価格を示す情報を、第1及び第2の加工パターン画像と並べて表示装置46に表示させてもよい。さらに、提供部22Hは、生成部22Gが生成した更なる加工パターン画像を、第1及び第2の加工パターン画像と並べて表示装置46に表示させてもよい。また、提供部22Hは、更なる加工パターン画像に対応する物品の価格を示す情報を、第1及び第2の価格を示す情報と並べて表示装置46に表示させてもよい。
【0059】
なお、優先条件には、優先順序が設定されていてもよい。この場合、提供部22Hは、優先順序に従って並ぶように、第1及び第2の加工パターン画像を表示させてもよい。同様に、提供部22Hは、優先順序に従って並ぶように、第1及び第2の価格を示す情報を表示させてもよい。例えば、第1の条件が物品の外観の美しさを優先する条件であり、第2の条件が物品の製造価格を優先する条件である例を説明する。このとき、第1の条件が第2の条件よりも優先される場合、提供部22Hは、第2の加工パターン画像が第1の加工パターン画像に続いて並ぶように表示させる。
【0060】
さらに、第1の条件と第2の条件とが、同じ基準に基づいて異なる程度を示す条件であってもよい。例えば、第1の条件が、製造価格が最も安いという条件であり、且つ製造価格が二番目に安いという条件である第2の条件よりも優先される場合、提供部22Hは、第2の加工パターン画像が第1の加工パターン画像に続いて並ぶように表示させる。また、異なる基準(例えば、製造価格と外観の美しさ)に基づいて、それぞれの条件に付いて複数の加工パターン画像を提供する場合、提供部22Hは、基準毎に分かれて並ぶ複数の加工パターン画像を表示させてもよい。
【0061】
また、提供部22Hは、第1の加工パターン画像及び第2の加工パターン画像とともに第1の条件を示す情報及び第2の条件を示す情報をユーザに提供する。一例として、図5及び図6においては、提供部22Hが、第1の加工パターン画像と、溶接設定欄10とを並べて表示させている。そして、溶接設定欄10には、第1の条件を示す情報として「外観を優先」という文字列が含まれている。また、図7及び図8においては、提供部22Hが、第2の加工パターン画像と、溶接設定欄10とを並べて表示させている。そして、溶接設定欄10には、第2の条件を示す情報として「製造価格を優先」という文字列が含まれている。なお、第1及び第2の条件を示す情報は、画像、記号、又は数字等であってもよい。
【0062】
さらに、提供部22Hは、第1の加工パターン画像及び第2の加工パターン画像を、加工業者に提供してもよい。例えば、提供部22Hは、加工業者が使用する端末の表示部に第1の加工パターン画像及び第2の加工パターン画像を表示させることによって、これらの画像を提供する。これにより、加工業者は、完成品の3次元パターン画像を見ながら物品を製造又は加工できる。代替的に、提供部22Hは、加工業者が使用する端末に第1の加工パターン画像及び第2の加工パターン画像を送信することによって、これらの画像を提供してもよい。
【0063】
[クライアント端末]
図2に示すように、クライアント端末40は、クライアント端末40を制御する端末制御部45と、制御プログラムを記憶した端末メモリ44とを備えている。当該端末制御部45は、所定のプログラムに従って各種の演算処理及び動作制御を実行するプロセッサと、その他の周辺装置とを組み合わせたコンピュータである。また、クライアント端末40は、表示装置46及び入力装置47を備えている。
【0064】
一例として、端末制御部45のプロセッサは、例えばCPU、又はMPUであり、端末メモリ44に記憶された制御プログラムに基づいて、装置全体を制御すると共に、各種処理についても統括的に制御する。また、端末メモリ44は、プロセッサが動作するためのシステムワークメモリであるRAM、並びにプログラム及びシステムソフトウェアを格納するROM、HDD及びSSD等の記憶装置を含む。以下の説明では、CPUが、ROM又はHDDに記憶された制御プログラムに従って、種々の演算、制御、及び判別等の処理動作を実行する例について説明する。なお、端末制御部45は、CD、DVD、CFカード、及びUSBメモリ等の可搬記録媒体、又はインターネット上のクラウドサーバ等の外部記憶媒体に記憶されたプログラムに従って制御を行うこともできる。
【0065】
端末メモリ44は、ハードディスク及び半導体記憶装置等の不揮発性記憶媒体(コンピュータ読み取り可能な非一時的記憶媒体)を含んだ外部記憶装置である。さらに、端末メモリ44は、制御プログラムに加えて、CADソフト等のモデルデータD1を作成するための設計プログラム、及びウェブブラウザ等の各種プログラムを記憶している。
【0066】
入力装置47は、キーボード、テンキー及びタッチパネル等であり、ユーザは入力装置47を用いてモデルデータD1を作成又は変更する。そして、入力装置47を用いて作成されたモデルデータD1は、端末メモリ44に記録される。また、サーバ20から見積情報等の情報及び加工パターン画像を受信すると、表示装置46が見積情報等の情報及び加工パターン画像を表示する。さらに、表示装置46は、設定画面、見積画面及び注文画面等のウェブページを表示させる。ユーザは、表示装置46に表示されたウェブページに従って物品を注文する。
【0067】
[支援処理]
続いて、図9を参照して、支援処理について説明する。まず、ユーザは、モデルデータD1をサーバ20にアップロードする。そして、サーバ20のサーバ制御部22はモデルデータD1をサーバメモリ23に記憶させ、データ取得部22AはモデルデータD1を取得する。データ取得部22AがモデルデータD1を取得すると特定処理が行われる。具体的に特定処理においては、特定部22Bが、第1の条件に従って第1の溶接箇所WP1を特定し、第2の条件に従って第2の溶接箇所WP2を特定する。さらに、特定部22Bは、第1の条件に従って第1の曲げ加工箇所BP1を特定し、第2の条件に従って第2の曲げ加工箇所BP2を特定する。そして、特定部22Bは、第1の溶接箇所WP1及び第2の溶接箇所WP2と、第1の曲げ加工箇所BP1及び第2の曲げ加工箇所BP2とが特定されたパターンデータを作成して、サーバメモリ23に記憶させる。
【0068】
次に、生成部22Gは、第1及び第2の加工パターン画像を生成する生成処理を行う。生成処理において、生成部22Gは、パターンデータに基づいて、第1の溶接箇所WP1及び第1の曲げ加工箇所BP1が示された第1の加工パターン画像を生成する。また、生成部22Gは、パターンデータに基づいて、第2の溶接箇所WP2及び第2の曲げ加工箇所BP2が示された第2の加工パターン画像を生成する。そして、生成部22Gは、第1及び第2の加工パターン画像をサーバメモリ23に記憶させる。
【0069】
続いて、見積部22Dは、第1の溶接箇所WP1を溶接する場合の物品の第1の価格、及び第2の溶接箇所WP2を溶接する場合の物品の第2の価格を含む見積情報を作成する見積処理を行う。そして、見積部22Dは、見積情報をサーバメモリ23に記憶させる。一例として、見積部22Dは、第1及び第2の加工パターン画像のそれぞれに対応する物品について、物品の価格を含む溶接設定欄10を作成する。そして、提供部22Hは、第1の加工パターン画像及び第2の加工パターン画像をユーザに提供すると共に、第1の価格を示す情報及び第2の価格を示す情報をユーザに提供する。一例として、提供部22Hは、第1の加工パターン画像と並べて、物品の第1の価格を含む溶接設定欄10を表示装置46に表示させる。また、提供部22Hは、第2の加工パターン画像と並べて、物品の第2の価格を含む溶接設定欄10を表示装置46に表示させる。
【0070】
ユーザは、第1及び第2の加工パターン画像と、第1及び第2の価格とを確認する。そして、加工パターン画像を選択して、選択した加工パターン画像に対応する物品の見積もりを要求する。一例として、ユーザが見積アイコンを選択すると、クライアント端末40からサーバ20へと見積要求が送信される。見積要求を受けると、見積部22Dは、見積画面(図3)を作成する。そして、提供部22Hは、見積画面を表示装置46に表示させることにより、見積情報をユーザに提供する。
【0071】
さらに、ユーザが見積もりの確定ボタン14を選択すると、提供部22Hは、見積確定情報として、合計金額、出荷日、及び出荷までに要する実働日の日数を表示させる。そして、ユーザが見積画面の注文ボタン18を選択して注文に進むと、サーバ20の見積部22Dが発注処理を行い、サーバ制御部22は注文画面を表示装置46に表示させる。そして、ユーザが物品を注文すると、見積部22Dは、特定された型番と購入数量とを物品の加工業者に送信する。
【0072】
以上説明した第1実施形態に係る支援システム100によれば、互いに異なる複数の優先条件に応じた溶接箇所を示す複数の加工パターン画像を、ユーザに提供できる。そのため、ユーザは、それぞれの加工パターン画像を比較して、物品の加工条件(例えば溶接箇所)を設定できる。
【0073】
[第2実施形態]
図10から図15を参照して第2実施形態について説明する。第2実施形態は、縮小された加工パターン画像が表示される点において、第1実施形態と異なる。なお、第2実施形態の説明においては、第1実施形態との相違点について説明し、既に説明した構成要素については同じ参照番号を付し、その説明を省略する。特に説明した場合を除き、同じ参照符号を付した構成要素は略同一の動作及び機能を奏し、その作用効果も略同一である。
【0074】
ユーザがモデルデータD1をサーバ20にアップロードすると、サーバ制御部22は、モデルデータD1をサーバメモリ23に記憶させる。また、アップロードの前後に、サーバ制御部22は、加工対象を選択する選択欄を表示装置46に表示させる。例えば、加工対象は、切削プレート、板金部品、溶接部品、切削加工、及び3Dプリント等である。そして、サーバ制御部22は、ユーザによるボタン選択等の操作に応じて、選択された加工対象を特定する。なお、ユーザは、複数種類の加工対象(例えば板金部品及び溶接部品)を選択してもよい。さらに、サーバ制御部22は、ユーザが選択した加工対象の説明文を、表示装置46に表示させてもよい。
【0075】
加工対象として溶接部品が選択されている場合、データ取得部22AがモデルデータD1を取得して、特定部22Bが特定処理を行う。さらに、特定部22Bは、パターンデータを作成して、サーバメモリ23に記憶させる。そして、生成部22Gは、生成処理を行い、パターンデータに基づいて、複数の加工パターン画像を生成する。例えば、生成部22Gは、特定部22Bが特定した溶接箇所が示されるように、第1の加工パターン画像、第2の加工パターン画像、第3の加工パターン画像、第4の加工パターン画像、及び第5の加工パターン画像を生成する。なお、生成部22Gは、三つよりも少ない加工パターン画像、又は五つよりも多い加工パターン画像を生成してもよい。その後、サーバ制御部22は、見積りに進むためのボタン(例えば「次に進む」ボタン)を表示装置46に表示させる。
【0076】
ユーザが見積りに進むためのボタンを選択すると、サーバ制御部22は、見積りの説明文を表示装置46に表示させる。見積りの説明文は、例えば、「三つのステップでお見積りを行います。まずは、ステップ1の見積条件を設定して下さい」という文章である。ユーザが説明文を閉じると、提供部22Hは、見積条件の設定画面(図10)を表示装置46に表示させる。図10の左側には、ユーザがアップロードしたモデルデータD1に基づいて、生成部22Gが作成する当初3次元画像210Aが示されている。当初3次元画像210Aにおいては、溶接箇所及び曲げ加工箇所が示されていない。なお、当初3次元画像210Aは、画像を回転させることによって、観察方向を変更できる3次元モデルである。代替的に、当初3次元画像210Aは、2次元画像であってもよい。
【0077】
図10の右側には、見積欄が表示されている。見積欄の上部には、基本情報タブ211とツリービュータブ212とが含まれている。図10の例では、基本情報タブ211を選択して表示される見積条件設定欄213が図示されている。基本情報タブ211とツリービュータブ212の下側には、現在のステップが表示されている。図10の例では、ステップ1からステップ3の数字が表示されており、現在のステップであるステップ1が斜線の網掛けで示されている。
【0078】
ユーザは、見積条件設定欄213において、物品の材質、物品に施す表面処理の種類、溶接方法、及び溶接される分割パーツの数を選択できる。図10の例では、材質として、アルミ合金を示す材質記号「A5052」が選択されている。また、表面処理として、「白アルマイト処理」が選択されている。また、溶接方法として、「断続溶接」が選択されている。そして、分割パーツの数として、一つのパーツ数を示す数字「1」が選択されている。一例として、見積条件設定欄213においては、プルダウンメニューの形式によって各条件を選択できる。代替的に、見積条件設定欄213において、各条件を入力する入力欄が設けられていてもよい。さらに、見積条件設定欄213において、各条件を選択するボタン等が設けられていてもよい。
【0079】
ユーザが見積条件設定欄213において見積条件を選択すると、見積部22Dは、概算の見積価格を含む見積情報を作成する見積処理を行う。そして、見積部22Dは、見積情報をサーバメモリ23に記憶させる。また、見積画面の下部には、見積結果を表示する見積結果欄214が設けられている。そして、ユーザが見積条件設定欄213において見積条件を選択すると、見積結果欄214に、概算の見積価格としての合計金額、及び出荷日等が表示される。例えば、合計金額は、物品の価格に購入数量を乗じて得られた金額である。
【0080】
見積結果欄214の下方には、戻るボタン216と、進むボタン217とが表示されている。ユーザが戻るボタン216を選択すると、前の画面(例えば、見積りの説明文が表示される画面)が再び表示される。また、ユーザが、進むボタン217を選択すると、次の画面(例えば、図11に示すパターン画像画面)が表示される。なお、進むボタン217は、ユーザが見積条件を選択した後に表示されてもよい。代替的に、進むボタン217は、ユーザが見積条件を選択した後に選択可能となってもよい、この場合、ユーザが見積条件を選択する前は、ユーザが進むボタン217を選択しても次の画面が表示されない。
【0081】
図11は、複数の3次元パターン画像が表示されるパターン画像画面の一例を示している。ユーザが見積条件の設定画面において進むボタン217を選択すると、提供部22Hは、表示装置46にパターン画像画面を表示させる。図11の左側には、生成部22Gが作成した第1の加工パターン画像の一例である3次元画像として、第1の3次元パターン画像220Aが示されている。第1の3次元パターン画像220Aにおいては、溶接箇所WP3が示されている。一例として、溶接箇所WP3は、他の部分とは異なる色(例えば緑色)で示されている。なお、図11の例では、緑色で示される溶接箇所WP3を太線によって示している。また、溶接箇所WP3を示す色は、緑色には限定されず、任意の色をユーザ又はサーバ20の管理者が設定できてもよい。なお、第1の3次元パターン画像220Aは、画像を回転させることによって、観察方向を変更できる3次元モデルである。代替的に、第1の3次元パターン画像220Aは、2次元画像であってもよい。
【0082】
提供部22Hは、第1の加工パターン画像である第1の3次元パターン画像220Aと、第2の加工パターン画像である第2の3次元パターン画像220Cとを、表示装置46に表示させてユーザに提供する。さらに、提供部22Hは、第1の3次元パターン画像220A及び第2の3次元パターン画像220Cのうち、ユーザによって選択されている一方(例えば第1の3次元パターン画像220A)を他方よりも大きく表示する。一例として、提供部22Hは、第1の3次元パターン画像220Aの下には、縮小された複数の加工パターン画像が表示させる。これにより、ユーザは、選択されて大きく表示される加工パターン画像を詳細に確認できる。同時に、ユーザは、選択されている加工パターン画像と、小さく表示される他の加工パターン画像とを比較できる。なお、図11の例では、初期設定として第1の3次元パターン画像220Aが選択されている。
【0083】
図11の例では、縮小された第1の3次元パターン画像220Aとして、第1の3次元パターン画像220Bが表示されている。第1の3次元パターン画像220Bは、選択されている第1の3次元パターン画像220Aに対応することを示すために、他の3次元パターン画像とは異なる態様で表示されている。異なる態様は、例えば、色、明るさ、線の太さ、及び線の種類等の少なくとも一つが異なるような態様である。図11の例では、第1の3次元パターン画像220Bが破線で表示されている。なお、縮小された複数の加工パターン画像は、画像を回転させることによって、観察方向を変更できる3次元モデルであってもよい。また、縮小された複数の加工パターン画像は、2次元画像であってもよい。
【0084】
また、図11の例では、第2の加工パターン画像の一例である3次元画像として、縮小された第2の3次元パターン画像220Cが表示されている。さらに、第3の加工パターン画像の一例である3次元画像として、縮小された第3の3次元パターン画像220Dが表示されている。そして、第1の3次元パターン画像220B、第2の3次元パターン画像220C、及び第3の3次元パターン画像220Dにおいては、特定部22Bの特定に基づいた溶接箇所WP3が示されている。一例として、溶接箇所WP3は、他の部分とは異なる色(例えば緑色)で示されている。図11の例では、緑色で示される溶接箇所WP3を太線で示している。なお、縮小された複数の加工パターン画像に代えて、複数の加工パターン画像が同じ大きさで表示されてもよい。
【0085】
また、図11の右側には、見積欄が表示されている。見積欄の上部には、基本情報タブ211とツリービュータブ212とが含まれている。図11の例では、基本情報タブ211を選択して表示される見積条件欄218Aが図示されている。基本情報タブ211とツリービュータブ212の下側には、現在のステップが表示されている。図11の例では、ステップ1からステップ3の数字が表示されており、現在のステップであるステップ2が斜線の網掛けで示されている。
【0086】
ユーザは、見積条件欄218Aにおいて、物品の材質、物品に施す表面処理の種類、溶接方法、及び溶接される分割パーツの数を確認できる。また、見積条件欄218Aには、第1の3次元パターン画像220A等の加工パターン画像において示される溶接箇所WP3の色が表示されている。図11の例では、溶接箇所WP3の色として緑色が表示されている。なお、溶接箇所WP3の色として、色見本が表示されていてもよい。
【0087】
さらに、パターン画像画面が表示されると、初期設定として選択された加工パターン画像に対応する加工条件を参照して、見積部22Dは、見積価格を含む見積情報を作成する見積処理を行う。そして、見積部22Dは、見積情報をサーバメモリ23に記憶させる。見積結果欄214には、見積価格としての合計金額、及び出荷日等が表示される。例えば、見積価格は、溶接回数及び曲げ回数の増減に応じて増減するように修正される。
【0088】
見積条件欄218Aの下側には、パターン画像画面に表示されている各加工パターン画像に対応する加工条件を示す加工条件欄219が表示されている。具体的に、加工条件欄219には、第1の3次元パターン画像220B、第2の3次元パターン画像220C、及び第3の3次元パターン画像220Dのそれぞれを示す1から3の番号が表示されている。また、各加工パターン画像に対応する加工条件として、溶接回数、曲げ回数、及び価格が表示されている。なお、図11の例では、最も多い溶接回数、及び最も多い曲げ回数のみが表示されている。代替的に、全ての加工パターン画像に対して、それぞれの溶接回数と曲げ回数とが表示されてもよい。
【0089】
また、加工条件欄219において、ユーザは加工パターン画像を選択できる。これにより、加工パターン画像に示される溶接箇所WP3が見積用に設定される。すなわち、ユーザは、加工パターン画像の選択を通じて、溶接箇所WP3を設定できる。具体的に、各加工パターン画像を示す番号に並んで設けられたチェックボックスをチェックすることによって、ユーザは加工パターン画像を選択できる。図11の例では、第1の3次元パターン画像220A,220Bがデフォルトで選択されている。一例として、優先条件(例えば第1の条件)に従って特定された溶接箇所WP3を含む加工パターン画像が、デフォルトで選択される。そして、ユーザが、第2の3次元パターン画像220Cを選択した場合、第1の3次元パターン画像220Aのように、第2の3次元パターン画像220Cが大きく表示される。代替的に、縮小された加工パターン画像をクリックする操作等によって、加工パターン画像を選択できるように画面が構成されてもよい。
【0090】
見積条件欄218Aの下部には、他の加工パターン画像を表示させるためのチェックボックスが表示されている。ユーザが、「他の加工パターンを選択」の文章に並んで設けられたチェックボックスをチェックすることによって、図12に示すように、さらなる他の加工パターン画像が表示される。なお、図11の例では初期設定として三つの加工パターン画像が表示されている。代替的に、初期設定として、全ての加工パターン画像が表示されてもよい。また、初期設定の数(例えば三つ)よりも少ない加工パターン画像が生成される場合、他の加工パターン画像の表示ステップは省略できる。
【0091】
図12は、複数の3次元パターン画像が表示されるパターン画像画面の他の例を示している。具体的に、ユーザが他の加工パターン画像を表示させるためのチェックボックスをチェックすると、提供部22Hは図12に示す画面を表示装置46に表示させる。図12に示すパターン画像画面においては、五つの加工パターン画像が表示されている。具体的に、第4の加工パターン画像の一例である3次元画像として、縮小された第4の3次元パターン画像220Eがさらに表示されている。また、第5の加工パターン画像の一例である3次元画像として、縮小された第5の3次元パターン画像220Fがさらに表示されている。
【0092】
ユーザは、さらなるパターン画像が表示される画面において、他の加工パターン画像を選択できる。また、加工条件欄219においても、第4の3次元パターン画像220E及び第5の3次元パターン画像220Fのそれぞれを示す4及び5の番号が表示されている。また、加工条件欄219においては、第4の3次元パターン画像220E及び第5の3次元パターン画像220Fに対応する溶接回数、曲げ回数、及び価格がさらに表示されている。
【0093】
見積結果欄214の下方には、戻るボタン216と、進むボタン217とが表示されている。ユーザが戻るボタン216を選択すると、図11に示すパターン画像画面が再び表示される。また、ユーザが、進むボタン217を選択すると、次の画面(例えば、図15に示す溶接箇所の確認画面)が表示される。なお、進むボタン217は、ユーザが加工パターン画像を選択した後に表示されてもよい。代替的に、進むボタン217は、ユーザが加工パターン画像を選択した後に選択可能となってもよい、この場合、ユーザが加工パターン画像を選択する前は、ユーザが進むボタン217を選択しても次の画面が表示されない。
【0094】
[変形形態1]
図13及び図14を参照して変形形態1について説明する。変形形態1においては、特定部22Bによる溶接箇所の特定に代えて又は加えて、ユーザが溶接箇所を手動で特定できる。例えば、提供部22Hは、モデルデータD1をアップロードする際のユーザによる操作に応じて、特定画面を表示装置46に表示させる。一例として、ユーザによる操作は、モデルデータD1をアップロードする画面に表示されているボタンを選択する操作である。代替的に、提供部22Hは、ユーザによる設定に応じて、特定画面を表示装置46に表示させてもよい。例えば、ユーザによる設定は、手動により溶接箇所を特定するモードの設定である。
【0095】
図13の左側には、生成部22Gが作成した第1の加工パターン画像の一例である3次元画像として、第1の3次元パターン画像230Aが示されている。第1の3次元パターン画像230Aにおいては、溶接可能箇所WP4が示されている。一例として、溶接可能箇所WP4は、他の部分とは異なる色(例えば青色)で示されている。なお、図13の例では、青色で示される溶接可能箇所WP4を斜線の網掛けによって示している。また、溶接可能箇所WP4を示す色は、青色には限定されず、任意の色をユーザ又はサーバ20の管理者設定できてもよい。なお、第1の3次元パターン画像230Aは、画像を回転させることによって、観察方向を変更できる3次元モデルである。代替的に、第1の3次元パターン画像230Aは、2次元画像であってもよい。
【0096】
ユーザは、溶接可能箇所WP4をクリックして指定することによって、第3の溶接箇所WP5を特定する。特定部22Bは、ユーザによる指定に応じてさらに第3の溶接箇所を特定し、生成部22Gは、第3の溶接箇所WP5が示された第1の加工パターン画像を生成する。また、提供部22Hは、特定画面を表示させる際に、操作説明文を表示させる。一例として、操作説明文は、「溶接可能箇所をクリックして下さい」という文章である。また、第1の3次元パターン画像230Aの下には、縮小された複数の加工パターン画像が表示される。これにより、ユーザは、加工パターン画像の溶接箇所WP3(図13の太線部分)を見ながら、溶接可能箇所WP4を指定できる。
【0097】
また、図13の右側には、見積欄が表示されている。見積欄の上部には、基本情報タブ211とツリービュータブ212とが含まれている。図13の例では、基本情報タブ211を選択して表示される見積条件欄218Bが図示されている。基本情報タブ211とツリービュータブ212の下側には、現在のステップが表示されている。図13の例では、ステップ1からステップ3の数字が表示されており、現在のステップであるステップ2が斜線の網掛けで示されている。
【0098】
ユーザは、見積条件欄218Bにおいて、物品の材質、物品に施す表面処理の種類、及び溶接方法を確認できる。また、見積条件欄218Bには、第1の3次元パターン画像230A等の加工パターン画像において示される溶接箇所WP3の色(図13では緑色)が表示されている。さらに、見積条件欄218Bには、第1の3次元パターン画像230Aにおいて示される溶接可能箇所WP4の色(図13では青色)が表示されている。なお、溶接箇所WP3及び溶接可能箇所WP4の色として、色見本が表示されていてもよい。
【0099】
特定部22Bは、ユーザによる指定に応じてさらに第3の溶接箇所を特定する。すなわち、ユーザが溶接可能箇所WP4を指定すると、特定部22Bは、指定された溶接可能箇所WP4を、第3の溶接箇所WP5(図14)を特定する。そして、特定部22Bは、特定されたパターンデータを作成して、サーバメモリ23に記憶させる。次に、生成部22Gは、第3の溶接箇所WP5が示された第1の加工パターン画像としての第1の3次元パターン画像230Aを生成する。続いて、提供部22Hは、図14の左側に示すように、第3の溶接箇所WP5が反映されるように第1の3次元パターン画像230Aを表示させる。
【0100】
さらに、提供部22Hは、溶接可能箇所WP4の指定前と比較して、縮小された複数の加工パターン画像のうち、ユーザが指定した第3の溶接箇所WP5を含む加工パターン画像が目立つように、複数の加工パターン画像の表示態様を異ならせている。図14の例では、提供部22Hが、ユーザが指定した第3の溶接箇所WP5を含む縮小された第1の3次元パターン画像220B及び縮小された第2の3次元パターン画像220Cのみを表示させている。代替的に、他の加工パターン画像に比べて強調することによって、第3の溶接箇所WP5を含む加工パターン画像を目立たせてもよい。例えば、加工パターン画像の強調は、色、明るさ、線の種類、又は線の太さ等を他の加工パターン画像と異ならせることによって実現できる。
【0101】
結果的に、第3の溶接箇所WP5が増えると、表示される加工パターン画像の数が減少する。さらに、提供部22Hは、表示させる加工パターン画像において、ユーザが指定できない溶接箇所は、溶接可能箇所WP4として表示させない。例えば、ユーザが指定した第3の溶接箇所WP5を含む加工パターン画像が、第1の3次元パターン画像220Bのみである場合、提供部22Hは、第1の3次元パターン画像220Bにおいて特定部22Bが優先条件に従って特定していない溶接箇所は、溶接可能箇所WP4として表示させない。
【0102】
なお、特定部22Bは、優先条件に従って溶接箇所を特定することに代えて、ユーザが指定した第3の溶接箇所WP5のみを溶接箇所として特定してもよい。この場合、生成部22Gは、ユーザが指定した第3の溶接箇所WP5が示された加工パターン画像を生成する。そして、提供部22Hは、当該加工パターン画像を表示装置46に表示させる。
【0103】
また、提供部22Hは、加工条件欄219において、ユーザが指定した第3の溶接箇所WP5を含む加工パターン画像に対応する加工条件のみを示している。図14の例では、第1の3次元パターン画像220B、及び第2の3次元パターン画像220Cに対応する加工条件のみが、加工条件欄219に示されている。さらに、見積結果欄214の下方には、戻るボタン216と、進むボタン217とが表示されている。ユーザが、進むボタン217を選択すると、次の画面(例えば、図15に示す溶接箇所の確認画面)が表示される。なお、進むボタン217は、ユーザが第3の溶接箇所WP5を指定した後に表示されてもよい。代替的に、進むボタン217は、ユーザが第3の溶接箇所WP5を指定した後に選択可能となってもよい、この場合、ユーザが第3の溶接箇所WP5を指定する前は、ユーザが進むボタン217を選択しても次の画面が表示されない。
【0104】
図15を参照して、物品の溶接箇所の確認と、見積部22Dによる見積りについて説明する。パターン画像画面又は溶接箇所の特定画面において、ユーザが進むボタン217を選択すると、提供部22Hは、図15に示す溶接箇所の確認画面を表示装置46に表示させる。図15の左側には、生成部22Gが作成した第1の加工パターン画像の一例である3次元画像として、第1の3次元パターン画像240Aが示されている。生成部22Gは、モデルデータD1と、特定部22Bが特定した溶接箇所WP3(ユーザの指定によって特定された第3の溶接箇所WP5を含む)と、特定部22Bが特定した曲げ加工箇所BP3とに基づいて、第1の3次元パターン画像240Aを生成する。なお、ユーザが加工パターン画像を選択している場合、生成部22Gは、当該選択された加工パターン画像における溶接箇所WP3に基づいて、第1の3次元パターン画像240Aを生成する。
【0105】
第1の3次元パターン画像240Aは、完成品の想像図である。そのため、ユーザは、完成品を表す第1の3次元パターン画像240Aを見ながら、見積結果を検討できる。第1の3次元パターン画像240Aの溶接箇所WP3は、他の部分とは異なる色(例えば緑色)で示されている。なお、図15の例では、緑色で示される溶接箇所WP3を太線によって示している。また、図15において、曲げ加工箇所BP3は、斜線の網掛けによって示している。そして、第1の3次元パターン画像240Aは、画像を回転させることによって、観察方向を変更できる3次元モデルである。代替的に、第1の3次元パターン画像240Aは、2次元画像であってもよい。
【0106】
また、曲げ加工箇所が無い場合、生成部22Gは、モデルデータD1と、特定部22Bが特定した溶接箇所WP3(ユーザの指定によって特定された第3の溶接箇所WP5を含む)とに基づいて、第1の3次元パターン画像240Aを生成する。図15には図示されていないが、ユーザが第1の3次元パターン画像240Aのパーツをクリックして指定すると、指定されたパーツが他のパーツと比較して強調されてもよい。当該他のパーツは、溶接する前に指定されたパーツと分離しているパーツである。例えば、指定されたパーツは、他のパーツとは異なる態様で表示されることによって強調される。一例として、異なる態様は、色、明るさ、線の太さ、及び線の種類等の少なくとも一つが異なるような態様である。また、他のパーツが表示されないことによって、指定されたパーツを他のパーツとは異なる態様で表示させてもよい。
【0107】
図15の右側には、見積欄が表示されている。見積欄の上部には、基本情報タブ211とツリービュータブ212とが含まれている。図15の例では、基本情報タブ211を選択して表示される見積条件欄218Cが図示されている。基本情報タブ211とツリービュータブ212の下側には、現在のステップが表示されている。図15の例では、ステップ1からステップ3の数字が表示されており、現在のステップであるステップ3が斜線の網掛けで示されている。
【0108】
物品の価格を含む見積情報を作成する見積部22Dは、第1の加工パターン画像及び第2の加工パターン画像のうち、ユーザが選択した一方に対する見積条件をユーザから受け入れる。そして、見積部22Dは、受け入れた見積条件に基づいて見積情報を作成する。
【0109】
具体的に、ユーザが、第1の加工パターン画像である第1の3次元パターン画像240Aを選択した場合について説明する。この場合、ユーザは、見積条件欄218Cにおいて、物品の材質、物品に施す表面処理の種類、溶接される分割パーツの数、及び自動生成される注文番号を確認できる。さらに、ユーザは、溶接方向、溶接方法、及び溶接仕上げ等の見積条件を選択又は変更できる。そして、見積部22Dは、ユーザが選択した第1の3次元パターン画像240Aに対する見積条件をユーザから受け入れる。続いて、見積部22Dは、受け入れた見積条件に基づいて物品の価格を含む見積情報を作成する。
【0110】
溶接方法としては、例えば断続溶接、連続溶接、及びファイバーレーザー溶接等がある。断続溶接が選択された場合、ユーザは、溶接長さと溶接ピッチをさらに選択できる。そして、連続溶接が選択された場合、提供部22Hは、表示装置46に警告を表示させる。一例として、当該警告は、「熱による歪みが生じる可能性があります」という文章である。
【0111】
溶接仕上げは、例えば、溶接の跡を除去する酸洗い又は切削処理等である。溶接仕上げが選択された場合、提供部22Hは、溶接仕上げの実例を示す画像と、その説明文とを表示装置46に表示させる。なお、選択又は変更できる見積条件は、曲げ加工の加工条件であってもよい。例えば、曲げ加工の加工条件には、V曲げ法、R曲げ法、ロール曲げ法、Z曲げ法、及びエアーベンディング法等がある。また、見積条件欄218Cには、コメント入力欄が設けられている。ユーザは、物品の加工又は見積に関連する任意のコメントをコメント入力欄に入力できる。
【0112】
ユーザが見積条件を入力して見積ボタン217Bを選択すると、見積部22Dは、選択又は変更された見積条件を参照して、修正した物品の見積価格を含む見積情報を作成する見積処理を行う。そして、見積部22Dは、見積情報をサーバメモリ23に記憶させる。見積結果欄214には、修正された見積価格としての合計金額、及び出荷日等が表示される。例えば、見積価格は、溶接方法及び溶接仕上げに応じて増減するように修正される。
【0113】
以上説明した第2実施形態に係る支援システム100によっても、互いに異なる複数の優先条件に応じた溶接箇所を示す複数の加工パターン画像を、ユーザに提供できる。そのため、ユーザは、それぞれの加工パターン画像を比較して、物品の加工条件(例えば溶接箇所)を設定できる。さらに、第2実施形態に係る支援システム100によれば、ユーザは、複数の加工パターン画像を見ながら、見積する物品に適用させる溶接箇所を選択または指定できる。
【0114】
[変形形態2]
支援システム100は、箱状の物品のモデルデータD1を用いる場合には限定されない。例えば、支援システム100は、図16に示すような、リブ付きの物品のモデルデータD1を用いる場合にも適用できる。なお、図16は、物品の当初3次元画像10Bを示しており、加工パターン画像は含まれていない。そして、当初3次元画像10Aには、略L字状の形状を有するL字部分LPと、リブ部分RPとが含まれている。また、L字部分LPは、第1の部分FPと第2の部分SPとを含んでいる。
【0115】
一例として、第1の条件が外観の美しさを優先する条件であり、第2の条件が製造価格を優先する条件であるとする。この場合、第1の条件に従うと、別体である第1の部分FPと第2の部分SPとを溶接して、L字部分LPを形成する。また、第2の条件に従うと、板状部材に曲げ加工を施して、L字部分LPの第1の部分FPと第2の部分SPとを形成する。なお、リブ部分RPは、形成されたL字部分LPに溶接される。
【0116】
以上、各実施形態を参照して本発明について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明に反しない範囲で変更された発明、及び本発明と均等な発明も本発明に含まれる。また、各実施形態及び各変形形態は、本発明に反しない範囲で適宜組み合わせることができる。
【0117】
例えば、サーバ20を備えるシステムは、加工条件の設定以外の用途に用いることもできる。一例として、サーバ20を備えるシステムは、物品の見積りに用いられてもよい。この場合、ユーザは、互いに異なる複数の優先条件に応じた溶接箇所を示す複数の加工パターン画像を比較して、見積結果を検討できる。
【0118】
また、支援システム100がクライアント端末40を含んでいてもよい。この場合、サーバ制御部22が有する各手段の少なくとも一部は、クライアント端末40の端末制御部45に設けられていてもよい。一例として、データ取得部22A、特定部22B、見積部22D、生成部22G、及び提供部22Hの少なくとも一つが、端末制御部45に設けられていてもよい。例えば、クライアント端末40は、ユーザが入力したモデルデータD1を受け入れて端末メモリ44に記憶する。そして、端末制御部45のデータ取得部22Aは、端末メモリ44からモデルデータD1を取得する。さらに、端末制御部45の特定部22Bは、端末メモリ44が記憶する条件データD2に基づいて特定処理を行う。
【0119】
また、サーバ制御部22が提供するウェブページ上にて、ユーザが物品の形状又は寸法を変更できてもよい。この場合、サーバ制御部22は、ユーザによる変更をモデルデータD1に反映させて、サーバメモリ23に記憶させる。そして、データ取得部22Aは、サーバメモリ23から変更が反映されたモデルデータD1を取得する。さらに、支援システム100は、ユーザによる溶接箇所又は曲げ加工箇所の指定を受け入れるように構成されてもよい。この場合、生成部22Gは、第1の溶接箇所WP1及び第2の溶接箇所WP2に加えて、ユーザによって指定された溶接箇所が示された第1及び第2の加工パターン画像を生成する。同様に、生成部22Gは、第1の曲げ加工箇所BP1及び第2の曲げ加工箇所BP2に加えて、ユーザによって指定された曲げ加工箇所が示された第1及び第2の加工パターン画像を生成する。
【符号の説明】
【0120】
22 :サーバ制御部(コンピュータ)
22B :特定部(特定手段)
22D :見積部(見積手段)
22G :生成部(パターン生成手段)
22H :提供部(提供手段)
40 :クライアント端末
60A :第1の3次元パターン画像(第1の加工パターン画像)
70A :第1の2次元パターン画像(第1の加工パターン画像)
80A :第2の3次元パターン画像(第2の加工パターン画像)
90A :第2の2次元パターン画像(第2の加工パターン画像)
100 :支援システム
D1 :モデルデータ
PG :支援プログラム
BP1 :第1の曲げ加工箇所
BP2 :第2の曲げ加工箇所
WP1 :第1の溶接箇所
WP2 :第2の溶接箇所
WP5 :第3の溶接箇所
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16