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特許7425790垂直ゲートモジュールを有する横方向III族窒化物デバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-23
(45)【発行日】2024-01-31
(54)【発明の名称】垂直ゲートモジュールを有する横方向III族窒化物デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/338 20060101AFI20240124BHJP
   H01L 29/812 20060101ALI20240124BHJP
   H01L 29/778 20060101ALI20240124BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240124BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20240124BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20240124BHJP
   H01L 29/41 20060101ALI20240124BHJP
   H01L 29/423 20060101ALI20240124BHJP
   H01L 29/49 20060101ALI20240124BHJP
   H01L 29/417 20060101ALI20240124BHJP
   H01L 21/8236 20060101ALI20240124BHJP
   H01L 27/088 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
H01L29/80 E
H01L29/80 H
H01L29/78 301B
H01L29/78 301G
H01L29/78 301V
H01L21/28 301B
H01L29/44 Y
H01L29/44 P
H01L29/58 G
H01L29/50 M
H01L27/088 311
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021519652
(86)(22)【出願日】2019-10-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(86)【国際出願番号】 US2019055905
(87)【国際公開番号】W WO2020077243
(87)【国際公開日】2020-04-16
【審査請求日】2022-09-12
(31)【優先権主張番号】62/745,213
(32)【優先日】2018-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510219556
【氏名又は名称】トランスフォーム テクノロジー,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミシュラ,ウメシュ
(72)【発明者】
【氏名】ビシ,ダビデ
(72)【発明者】
【氏名】グプタ,ジータク
(72)【発明者】
【氏名】ニューフェルド,カール ジョーセフ
(72)【発明者】
【氏名】スウェンソン,ブライアン エル.
(72)【発明者】
【氏名】ラル,ラケシュ ケー.
【審査官】杉山 芳弘
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0071967(US,A1)
【文献】特開2011-077400(JP,A)
【文献】特開2005-019509(JP,A)
【文献】国際公開第2015/004853(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0203329(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/338
H01L 21/336
H01L 21/28
H01L 29/41
H01L 29/423
H01L 29/417
H01L 21/8236
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
III-Nデバイスであって、
基板上のIII-N材料構造であって、前記III-N材料構造は、III-Nバッファ層、III-Nバリア層、およびIII-Nチャネル層を備え、前記III-Nバリア層と前記III-Nチャネル層との間の組成差によって、前記III-Nチャネル層に2DEGチャネルが誘起される、III-N材料構造;
前記III-Nデバイスのソース側アクセス領域における前記III-Nチャネル層上に配置され、前記III-Nデバイスのドレイン側アクセス領域における前記III-Nチャネル層上には配置されない、p型III-Nボディ層;
前記p型III-Nボディ層上のn型III-Nキャッピング層;
前記基板と反対側の前記III-N材料構造上のソース電極、ゲート電極、およびドレイン電極;
を備え、
前記ソース電極は、前記n型III-Nキャッピング層に接触し、前記p型III-Nボディ層に対して電気的に接続され、前記ドレイン電極は前記III-Nチャネル層と接触し、
前記ソース電極は、前記ゲート電極が前記III-Nデバイスの閾値電圧を下回る電圧で前記ソース電極に対してバイアスされているとき、前記2DEGチャネルから電気的に絶縁され
前記III-Nデバイスはさらに、ゲート絶縁体層を備え、
前記ゲート絶縁体層および前記ゲート電極は、前記III-Nデバイスのゲート領域において、前記p型III-Nボディ層の垂直または傾斜した側壁の上に形成され、
前記ゲート電極はさらに、前記ソース電極に向かって延在する第1部分と、前記ドレイン電極に向かって延在する第2部分とを備える、
III-Nデバイス。
【請求項2】
前記III-NデバイスはN極性デバイスである、請求項1記載のデバイス。
【請求項3】
前記III-Nバリア層は、前記III-Nチャネル層と前記III-Nバッファ層との間にある、請求項2記載のデバイス。
【請求項4】
前記III-Nデバイスは、前記ゲート電極が前記ソース電極に対して前記III-Nデバイスの閾値電圧よりも高い電圧でバイアスされたときに、前記ゲート絶縁体層に隣接する前記p型III-Nボディ層内に反転チャネルが形成されるように構成され、
前記反転チャネルは、正の電圧がドレイン電極に印加されている間、前記ソース電極を前記2DEGチャネルに対して電気的に接続する、
請求項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記III-Nデバイスは、前記ゲート電極が前記III-Nデバイスの閾値電圧よりも大きい電圧で前記ソース電極に対してバイアスされる間、前記2DEGチャネルを含む導電性デバイスチャネルが前記ソース電極から前記ドレイン電極へと連続的に延在するように構成され、
前記ゲート電極が前記閾値電圧未満の電圧で前記ソース電極に対してバイアスされ、前記ドレイン電極が前記ソース電極に対して正の電圧バイアスを有する間、前記導電性デバイスチャネルは前記III-Nデバイスの前記ゲート領域において移動電荷が空乏化される、
請求項記載のIII-Nデバイス。
【請求項6】
前記III-Nデバイスはさらに、前記ゲート絶縁体層と前記III-Nボディ層との間にIII-N層構造を備える、請求項記載のデバイス。
【請求項7】
前記III-N層構造は、前記ソース側アクセス領域において前記III-Nキャッピング層と接触し、前記ドレイン側アクセス領域において前記III-Nチャネル層と接触する、
請求項記載のデバイス。
【請求項8】
前記III-N層構造は、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に連続的に延在する、
請求項記載のデバイス。
【請求項9】
前記III-N層構造は、前記III-Nボディ層と接触するGaN層を少なくとも備える、
請求項記載のデバイス。
【請求項10】
前記III-N層構造はさらに、前記ゲート絶縁体層と前記GaN層との間にAlxGa1-xN層を備え、xは0.5と1との間である、
請求項記載のデバイス
【請求項11】
前記III-Nボディ層の垂直または傾斜した側壁と、反対側の前記III-N材料構造の上面との間の角度が、20°~80°である、
請求項記載のデバイス。
【請求項12】
前記III-Nデバイスはさらに、前記III-Nボディ層と前記III-N材料構造との間に0.5nm~5nmの範囲の厚さを有するAlN層を備える、
請求項1記載のデバイス。
【請求項13】
前記III-Nデバイスはさらに、前記III-Nボディ層と前記III-Nキャッピング層との間に0.5nm~5nmの範囲の厚さを有するAlN層を備える、
請求項1記載のデバイス。
【請求項14】
前記ソース電極は、前記p型III-Nボディ層に対して直接接触し、前記p型III-Nボディ層に対して電気的に接続される、
請求項1記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示される技術は、半導体デバイス、特にIII族窒化物トランジスタおよびスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、トランジスタ、ダイオード、パワーMOSFET、および絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)のようなデバイスを含む典型的なパワー半導体デバイスは、シリコン(Si)半導体材料で製造される。より最近では、広バンドギャップ材料(SiC、III族窒化物、III族酸化物、ダイヤモンド)がその優れた特性により、パワーデバイス用に検討されている。窒化ガリウム(GaN)デバイスのようなIII族窒化物またはIII-N半導体デバイスは現在、大電流を運び、高電圧をサポートし、非常に低いオン抵抗および高速スイッチング時間を提供する魅力的な候補として出現している。高電圧III族窒化物ダイオード、トランジスタおよびスイッチが商品化され始めているが、これらのデバイスの性能、効率、信頼性およびコストを改善するために、さらなる改良が必要である。デバイスという用語は一般に、それらを区別する必要がない場合、任意のトランジスタまたはスイッチまたはダイオードに使用される。
【0003】
III族極性横方向III-Nデバイス100AおよびN極性横方向III-Nデバイス100Bの断面図を図1A図1Bに示す。デバイス100Aと100Bはそれぞれ、ソースコンタクト21、ドレインコンタクト22、ゲートコンタクト23、およびアクセス領域82と83を含む。本明細書で使用されるように、デバイスの「アクセス領域」はソースコンタクトとゲートコンタクトとの間、およびデバイスのゲートコンタクトとドレインコンタクトとの間、すなわち、図1Aと1Bにおいてそれぞれ領域82および83を指す。ゲートのソース側のアクセス領域である領域82は通常、ソース側アクセス領域と呼ばれ、ゲートのドレイン側のアクセス領域である領域83は通常、ドレイン側アクセス領域と呼ばれる。本明細書で使用されるように、デバイスの「ゲート領域」81は、図1Aと1Bの2つのアクセス領域82および83との間のトランジスタの部分を指す。デバイスのゲートモジュールとは、デバイスのゲート領域内またはゲート領域に隣接し、デバイスのゲート領域内のチャネル導電率を変調するためにゲート電圧を印加することによって電界が変調される、デバイスの層および材料の部分を指す。デバイスチャネルは、デバイスがON状態でバイアスされているときに、ソースコンタクトとドレインコンタクトとの間のデバイスの電流経路として働く、導電性領域を指す。ソースコンタクト21およびドレインコンタクト22は、III族窒化物バリア層14とIII族窒化物チャネル層16との間の界面に隣接するIII族窒化物チャネル層16に誘起され、デバイスチャネルとして働く、横方向の2次元電子ガス(2DEG)チャネル19(図1Aの破線で示される)に電気的に接続される。図1Aおよび図1Bのデバイスのゲート領域81内のデバイスチャネルは、ゲートコンタクト23の下の2DEGチャネルの部分から横方向に形成される。
【0004】
典型的なIII族窒化物高電子移動度トランジスタ(HEMT)および関連デバイスは、図1Aに示されるように、[0 0 0 1](C面)配向などのIII族極性(例えば、Ga-極性)配向で成長させたIII族窒化物材料上に形成される。すなわち、HEMTのソース、ゲート、およびドレインコンタクトはIII-N材料層のIII族面(例えば、[0 0 0 1]面)上に形成され、典型的にはIII-N層が形成される基板とは反対側にある。あるいは、III族窒化物HEMTは図1Bに示すように、[0 0 0 0 -1]配向などのN極(すなわち、N面)配向で成長させたIII族窒化物材料上に形成することができる。この場合、HEMTのソース、ゲート、およびドレインコンタクトはIII族窒化物材料層のN面(例えば、[ 0 0 0 -1 ]面)の上に形成される。N極性III族窒化物材料はIII族極性III‐N材料とは逆方向の分極場を有し、従って、III族極性構造を用いて作製できないIII族窒化物デバイスの実装を可能にすることができる。
N極性III族窒化物デバイスは、III族極性デバイスと比較した場合、いくつかのケースにおいて優れた特性を示すことができる。これは、より低い静的および動的オン抵抗、より高い電流密度、より高い電力密度、およびより高い信頼性を含む。
【0005】
さらに、III族窒化物HEMTは通常、空乏モード(Dモード)デバイスであり、それはノーマリオンであることを意味する。すなわち、ソースに対するゼロ電圧がゲートに印加され、ソースに対する正の電圧がドレインに印加されると、電流を伝導する。しかしながら、パワーエレクトロニクスにおいてはエンハンスメントモード(Eモード)デバイスと呼ばれるノーマリオフデバイスを有することがより望ましく、このデバイスはゼロゲート電圧で実質的な電流を伝導せず、かつ、オンにされるためにソースに対してゲートに十分に正の電圧が印加されることを必要とする。パワーエレクトロニクスでは、Eモードデバイスを使用することにより、回路故障の場合にデバイスの偶発的なターンオンを防止することによって、安全性を向上させ、デバイス、他の回路構成要素、または電力システム全体への損傷の可能性を低減することができる。しかしながら、Eモードデバイスの電気的性能の改善は、市場適応をさらに増加させるために依然として必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書には垂直ゲートモジュールを有する横方向III族窒化物(例えばGaN)デバイスが記載されており、そのIII族窒化物材料はN極性またはIII族極性配向で配向されている。デバイス構造は、安定した閾値電圧、低リーク電流、および高いブレークダウン電圧を有するとともに、ゲートとドレインとの間のわずかな分離を維持して低いオン抵抗を確保するように構成することができる。本明細書に記載される主題の1つ以上の実施形態の詳細は、添付の図面および以下の説明に記載される。主題の他の特徴、態様、および利点は、説明、図面、および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0007】
第1態様において、III-Nデバイスが記載される。III-Nデバイスは、基板上にIII-N材料構造を備える。III-N材料構造は、III-Nバッファ層、III-Nバリア層、およびIII-Nチャネル層を含み、III-Nバリア層とIII-Nチャネル層との間の組成差によって、III-Nチャネル層に2DEGチャネルが誘起される。III-Nデバイスはさらに、デバイスのソース側アクセス領域内のIII-Nチャネル層上ではあるが、デバイスのドレイン側アクセス領域内のIII-Nチャネル層上ではないp型III-Nボディ層と、p型III-Nボディ層上のn型III-Nキャッピング層とを備える。III族窒化物デバイスはさらに、ソース電極、ゲート電極、およびドレイン電極を備える。ソース電極はn型III族窒化物キャッピング層に接触し、p型III族窒化物ボディ層に電気的に接続され、ドレイン電極はIII族窒化物チャネル層に接触する。ゲート電極がデバイスの閾値電圧を下回る電圧でソース電極に対してバイアスされると、ソース電極は2DEGチャネルから電気的に絶縁される。
【0008】
第2態様において、III族窒化物トランジスタが記載される。トランジスタは、III族窒化物材料構造と、III族窒化物材料構造内の横方向2DEGチャネルに接続されたドレイン電極とを含む。III族窒化物トランジスタはさらに、電流ブロッキング層によって横方向2DEGチャネルから分離されたソース電極を含む。III族窒化物トランジスタはさらに、ソース電極と横方向2DEGチャネルとの間の傾斜チャネルまたは垂直チャネルに流れる電流を変調するように構成されたゲート電極を備え、トランジスタの閾値電圧は0Vより大きい。
【0009】
第3態様において、電子デバイスが説明される。電子デバイスは、N極性III-N材料構造を含む。III-N材料構造は、III-Nチャネル層と、p型GaNボディ層と、n型GaNキャッピング層とを備える。デバイスはさらに、ソースコンタクトとドレインコンタクトとの間のゲートコンタクトを備え、p型GaNボディ層はソースコンタクトとIII族窒化物チャネル層との間にあり、ドレインコンタクトはIII族窒化物チャネル層に直接接触する。デバイスさらに、ゲートコンタクトとp型GaNボディ層の側壁との間にIII族窒化物層構造を備え、III族窒化物層構造はソースコンタクトとゲートコンタクトとの間の第1領域においてn型GaNキャッピング層と接触し、ゲートコンタクトとドレインコンタクトとの間の第2領域においてIII族窒化物チャネル層と接触する。
【0010】
第4態様において、電子デバイスが記載される。デバイスは、第2ドーピング密度を有する第1p型GaN層の上に第1ドーピング密度を有する第1n型GaN層を含むN極III族窒化物材料構造を備える。デバイスはさらに、n型GaN層の少なくとも一部の上に電極を含み、電極は、トンネル接合を介してp型層に電気的に接続される。トンネル接合は、p型GaN層とn型GaN層との間のインターフェースにおいてAlGa1-yN層を備え、0<y≦1である。
【0011】
第5態様において、III-Nデバイスを動作させる方法が説明される。この方法は、ゲートコンタクトをソースコンタクトに対して、閾値電圧よりも大きい電圧でバイアスするステップを含み、ここで、反転チャネルは、ゲート絶縁体層とp型III族窒化物層との間の垂直界面に形成され、それによって、ソースコンタクトを横方向2DEGチャネルに電気的に接続する。本方法はさらに、ドレインコンタクトをソースコンタクトに対して正の電圧でバイアスするステップを含み、電子がソースコンタクトから反転チャネルを通って横方向2DEGチャネルに流れ、連続デバイスチャネルがソースコンタクトとドレインコンタクトとの間に形成される。
【0012】
第6態様において、電子デバイスが記載される。デバイスは、基板と、基板上のIII-N材料構造とを備える。デバイスはゲート電極およびゲート絶縁層をさらに備え、ゲート絶縁層はIII族窒化物材料構造とゲート電極との間にある。デバイスはソース電極およびドレイン電極をさらに備え、ソース電極はIII-N材料構造に接触する部分を備える。ソース電極およびドレイン電極は基板と反対側のIII族窒化物材料構造の側面上にあり、ソース電極の、III族窒化物材料構造と接触する部分は、ゲート電極とドレイン電極との間に形成される。
【0013】
第7態様において、電子デバイスが記載される。デバイスは、基板上にIII-N材料構造を備える。III-N材料構造は、III-Nバッファ層上にIII-Nチャネル層を備える。III-N材料構造はさらにIII-Nチャネル層上にIII-Nバリア層を備え、III-Nバリア層とIII-Nチャネル層との間の組成差によって、III-Nチャネル層に横方向2DEGチャネルが誘起される。デバイスはさらに、基板とは反対側のIII-N材料構造上に、ソースコンタクト、ゲートコンタクト、およびドレインコンタクトを備える。このデバイスはさらに、ソース側アクセス領域のIII-Nバリア層上ではあるが、ドレイン側アクセス領域のIII-Nチャネル層上ではないp型III-Nボディ層と、p型III-Nボディ層上のn型III-Nキャッピング層とを備える。ソースコンタクトはn型キャッピング層に接触し、p型III族窒化物ボディ層に電気的に接続され、ドレインは2DEGチャネルに電気的に接続され、ソースはデバイスが閾値電圧以下にバイアスされると、2DEGチャネルから電気的に絶縁される。
【0014】
第8態様において、電子デバイスが記載される。電子デバイスは、基板上にIII-N材料構造を含む。III-N材料構造は、ソース側アクセス領域内のIII-Nバッファ層上にIII-Nバッファ層およびp型層を備えるが、ドレイン側アクセス領域内のバッファ層上には含まない。デバイスはさらに、基板の反対側のIII-Nバッファ層上に、ソースコンタクト、ゲートコンタクト、およびドレインコンタクトを備える。デバイスはさらに、III族窒化物チャネル層と、ソースコンタクトとドレインコンタクトとの間に延在するIII族窒化物材料構造上に形成されるIII族窒化物バリア層とを備える。III族窒化物バリア層とIII族窒化物チャネル層との間の組成的差異によって、III族窒化物チャネル層内に2DEGチャネルが誘起され、ソースコンタクトはp型層に接続され、p型層の側壁角度はゲートコンタクトの下方の領域において、III族窒化物チャネル層の半極性結晶方位を形成する。
【0015】
第9態様において、N極性III-Nデバイスが説明される。III-Nデバイスは、基板上にIII-N材料構造を含む。III-N材料構造は、III-Nバッファ層上のIII-Nバリア層と、III-Nバリア層上のIII-Nチャネル層とを備え、III-Nバリア層とIII-Nチャネル層との間の組成差によって、III-Nチャネル層に横方向2DEGチャネルが誘起される。
デバイスはさらに、ソース側アクセス領域内のIII-Nチャネル層上にp型III-Nボディ層を備え、p型III-Nボディ層は、III-Nチャネル層の上面に対してゼロでない角度で側壁を有する。デバイスはさらに、p型III-Nボディ層の上にn型III-Nキャッピング層を含む。ソースコンタクトはn型III-Nキャッピング層に接触する。ドレインコンタクトはIII族窒化物チャネル層に接触する。ゲート絶縁体層はゲートコンタクトに接触し、ゲート絶縁体層は非ゼロ角度でp型III族窒化物ボディ層の側壁と接触する。
【0016】
本明細書に記載の電子デバイスおよびトランジスタは、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。デバイスは、III-Nバリア層がIII-Nチャネル層とIII-Nバッファ層との間にあるN極性デバイスとすることができる。デバイスはゲート絶縁体層を備えることができ、ゲート絶縁体は、p型層の垂直または傾斜した側壁の上に形成される。デバイスは、ゲート電極がデバイスの閾値電圧よりも大きい電圧でソース電極に対してバイアスされる場合、ゲート絶縁体層に隣接するp型III族窒化物ボディ層またはIII族窒化物層構造に反転チャネルが形成されるように構成することができる。デバイスはゲート絶縁体層とIII族窒化物ボディ層との間にIII族窒化物層構造を備えることができ、III族窒化物層構造はソース側アクセス領域においてIII-Nキャッピング層と接触し、ドレイン側アクセス領域においてIII族窒化物チャネル層と接触する。III族窒化物ボディ層の垂直または傾斜した側壁とIII族窒化物材料構造との間の角度は、20°~80°である。デバイスはソース電極とp型III-Nボディ層との間にトンネル接合を備えることができ、トンネル接合は第1n型GaN層とAlyGa1-yN層との間に第2n型GaN層と、第1p型GaN層とAlyGa1-yN層との間に第2p型GaN層とをさらに含み、第2n型GaN層および第2p型GaN層は、第1および第2ドーピング密度より大きいドーピング密度を有する。
【0017】
本明細書において、III族窒化物またはIII族窒化物材料、層、デバイス、などの用語は、化学式BwAlxInyGazN(w+x+y+zが約1であり、0≦w≦1、0≦x≦1、0≦y≦1、および0≦z≦1)に従う化合物半導体材料から構成される材料またはデバイスのことである。III族窒化物材料、層、またはデバイスは、適当な基板上に直接成長させるか(例えば、金属有機化学蒸着によって)、または適当な基板上に成長させ、元の基板から剥離し、他の基板に結合させるかのいずれかによって形成または調製することができる。
【0018】
本明細書において、2つ以上のコンタクトまたは導電性チャネルまたは構成要素などの他の要素は、接点または他の要素のそれぞれにおける電位が任意のバイアス条件下で常に同じ、例えばほぼ同じであることが意図されることを保証するために十分な導電性を有する材料によって接続される場合、「電気的に接続されている」。
【0019】
本明細書で使用される「電圧をブロックする」とは、トランジスタ、デバイス、または構成要素に電圧が印加されたときに、トランジスタ、デバイス、または構成要素を通って流れる、通常の伝導中の動作電流の例えば0.001倍を超える電流のような大電流を防止する、トランジスタ、デバイス、または構成要素の能力を指す。言い換えれば、トランジスタ、デバイス、または構成要素がその両端に印加される電圧をブロックしている間、トランジスタ、デバイス、または構成要素を通過する総電流は、通常の伝導中の動作電流の0.001倍を超えない。この値よりも大きいオフ状態電流を有するデバイスは高損失および低効率を示し、通常、多くのアプリケーション、特に電力スイッチングアプリケーションには適していない。
【0020】
本明細書で使用される「高電圧デバイス」、例えば、高電圧スイッチングトランジスタ、HEMT、双方向スイッチ、または4象限スイッチ(FQS)は、高電圧用途に最適化された電子デバイスである。すなわち、デバイスがオフのとき、デバイスは約300V以上、約600V以上、または約1200V以上などの高電圧をブロックすることができ、デバイスがオンのとき、デバイスが使用される用途のために十分に低いオン抵抗(RON)を有し、例えば、実質的な電流がデバイスを通過するとき伝導損は十分に低い。高電圧デバイスは、少なくとも、それが使用される回路内の高電圧源または最大電圧に等しい電圧をブロックすることができる。高電圧デバイスは、アプリケーションが必要とする300V、600V、1200V、1700V、2500V、3300V、または他の適切なブロッキング電圧をブロッキングすることが可能であってもよい。言い換えれば、高電圧デバイスは0Vと少なくともVmaxとの間のすべての電圧を遮断することができ、Vmaxは回路または電源によって供給することができる最高電圧であり、Vmaxは例えば、300V、600V、1200V、1700V、2500V、3300V、またはアプリケーションによって必要とされる他の好適な遮断電圧とすることができる。
双方向または4象限スイッチの場合、遮断された電圧はスイッチがオフであるとき(±Vmaxは例えば、±300V、±600V、±1200Vなど)、ある極限よりも小さい任意の極性であり、スイッチがオンであるとき、電流はいずれかの方向である。
【0021】
本明細書において、「III-Nデバイス」は、III-Nヘテロ構造を含むIII-N材料に基づく、または本質的にそれを有するデバイスである。III-Nデバイスは、デバイスの状態がゲート端子によって制御されるトランジスタまたはスイッチとして、または一方向の電流の流れをブロックし、ゲート端子なしで別の方向に導通する2端子デバイスとして動作するように設計することができる。III族窒化物デバイスは、高電圧用途に適した高電圧デバイスであってもよい。このような高電圧デバイスにおいては、デバイスがオフにバイアスされる(例えば、ソースに対するゲートの電圧がデバイス閾値電圧未満である)とき、デバイスは少なくとも、デバイスが使用される用途における高電圧以下のすべてのソース-ドレイン電圧をサポートすることができ、これは例えば、100V、300V、600V、1200V、1700V、2500V、またはそれ以上とすることができる。高電圧デバイスがオンにバイアスされると(例えば、ソースまたは関連する電源端子に対するゲートの電圧がデバイス閾値電圧よりも大きい)、低オン電圧(すなわち、ソース端子とドレイン端子との間、または対向する電源端子間の低電圧)で実質的な電流を伝導することができる。最大許容オン電圧は、デバイスが使用されるアプリケーションで維持できる最大オン状態電圧である。
【0022】
本明細書において、「III極」または「III族極性」のIII族窒化物材料は、III族面(すなわち、[0 0 0 1]面)が材料の成長する基板と反対側にあるIII族窒化物材料である。「III極」または「III族極性」の横方向III族窒化物デバイスにおいて、デバイス接点(例えば、ソースおよび/またはドレインコンタクト)の少なくとも一部は通常、III族窒化物材料の[0 0 0 1]面(例えば、[0 0 0 -1]面の反対側)上に形成される。
【0023】
本明細書において、「N極性」III族窒化物材料は、窒素面(すなわち、[0 0 0 -1]面)が材料の成長する基板の反対側にあるIII族窒化物材料である。「N極性」の横方向III族窒化物デバイスにおいて、少なくともいくつかのデバイス接点(例えば、ソースおよび/またはドレインコンタクト)は典型的には、III族窒化物材料の[0 0 0 -1]面(例えば、[0 0 0 1]面の反対側)上に形成される。
【0024】
本明細書において、「再成長」III-N層構造またはIII-N材料構造は、以前の材料堆積プロセスの後に実行される追加の材料堆積プロセスを指す。その後の成長プロセスと再成長プロセスの間に、デバイスを堆積ツールからアンロードし、真空環境を中断することができる。このように、再成長したIII-N材料構造は、初期のIII-N材料構造挿入からIII-N材料構造堆積装置への別個の挿入を必要とすることがある。例えば、初期III-N材料構造の少なくとも一部を除去した後に、再成長III-N層を堆積させることができる。初期III-N材料構造の一部の除去は、典型的には1次III-N材料構造堆積装置の外側の環境で行われる。
【0025】
「上方」、「下」、「間」、および「上」という用語は、本明細書で使用される場合、1つの層の他の層に対する相対位置を指す。したがって、例えば、別の層の上方または下方に配置される1つの層は他の層と直接接触していてもよく、または1つ以上の介在層を有していてもよい。さらに、2つの層の間に配置される1つの層は2つの層と直接接触していてもよく、または1つ以上の介在層を有していてもよい。対照的に、第2層「上」の第1層は、その第2層と接触している。さらに、他の層に対する1つの層の相対位置は、基板の絶対配向を考慮せずに基板に対して動作が実行されると仮定して提供される。
【0026】
本明細書に記載された主題の1つ以上の開示された実施形態の詳細は、添付の図面および以下の説明に記載される。追加の特徴および変形も、実施形態に含まれてもよい。他の特徴、態様、および利点は、説明、図面、および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1A】従来技術のIII-Nデバイスの断面図である。
図1B】従来技術のIII-Nデバイスの断面図である。
【0028】
図2】N極性配向および垂直ゲートチャネルを有するIII族窒化物デバイスの断面図である。
【0029】
図3】ゲートがON状態でバイアスされたときの、図2のIII族窒化物デバイスの電流伝導チャネルを示す。
【0030】
図4】ゲート領域内にN極性配向および再成長したIII族窒化物材料層構造を有するIII族窒化物デバイスの断面図である。
【0031】
図5】ゲート領域内にN極性配向および傾斜したIII族窒化物材料層構造を有するIII族窒化物デバイスの断面図である。
【0032】
図6図5のIII-Nデバイスの別の実施例である。
【0033】
図7】III族極性配向およびゲート-ソース-ドレイン(G-S-D)構成を有するIII族窒化物デバイスの断面図である。
【0034】
図8】III族極性配向および複数のIII-Nチャネル層を有するIII-Nデバイスの断面図である。
【0035】
図9】III族極性配向および垂直ゲートチャネルを有するIII族窒化物デバイスの断面図である。
【0036】
図10】III族極性配向および再成長したIII族窒化物チャネル層を有する空乏モードIII族窒化物デバイスの断面図である。
【0037】
図11A図11A図11Bは、ハイブリッドIII族窒化物デバイスの2つの異なる実施形態の断面図であり、それぞれの場合において、低電圧エンハンスメントモードIII族窒化物モジュールおよび高電圧空乏モードIII族窒化物モジュールを組み込んでいる。
図11B図11A図11Bは、ハイブリッドIII族窒化物デバイスの2つの異なる実施形態の断面図であり、それぞれの場合において、低電圧エンハンスメントモードIII族窒化物モジュールおよび高電圧空乏モードIII族窒化物モジュールを組み込んでいる。
【0038】
図12図2~6のデバイスの第1レイアウトの上面図である。
【0039】
図13A図2~6のデバイスの第2レイアウトの上面図を示す。
図13B図2~6のデバイスの第2レイアウトの上面図を示す。
図13C図2~6のデバイスの第2レイアウトの上面図を示す。
図13D図2~6のデバイスの第2レイアウトの上面図を示す。
図13E図2~6のデバイスの第2レイアウトの上面図を示す。
【0040】
図14A図2~6のデバイスの第3レイアウトの上面図を示す。
図14B図2~6のデバイスの第3レイアウトの上面図を示す。
【0041】
図14C図14A~Bに示される第3レイアウトと比較して90°回転した第4レイアウトの上面図を示す。
図14D図14A~Bに示される第3レイアウトと比較して90°回転した第4レイアウトの上面図を示す。
【0042】
図15A】トンネル接合を形成する材料層構造の詳細な断面図である。
【0043】
図15B】トンネル接合コンタクトの特性を詳述する電流-電圧曲線を示す。
図15C】トンネル接合コンタクトの特性を詳述する電流-電圧曲線を示す。
図15D】トンネル接合コンタクトの特性を詳述する電流-電圧曲線を示す。
【0044】
図16A】移動度向上層の特性を詳述する電流-電圧曲線を示す。
図16B】移動度向上層の特性を詳述する電流-電圧曲線を示す。
図16C】移動度向上層の特性を詳述する電流-電圧曲線を示す。
【0045】
図17A】代替ゲートレイアウト構造の特性を詳細に示す電流-電圧曲線を示す。
図17B】代替ゲートレイアウト構造の特性を詳細に示す電流-電圧曲線を示す。
図17C】代替ゲートレイアウト構造の特性を詳細に示す電流-電圧曲線を示す。
【0046】
図18】高い閾値電圧安定性を有するデバイスの電流-電圧伝達曲線である。
【0047】
図19】デバイスの正の閾値電圧の時間安定性を詳述する。
【0048】
図20】デバイスの負の閾値電圧の時間安定性を詳述する。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本明細書に記載されるのは、垂直ゲートモジュールを有する横方向III族窒化物デバイス、特にエンハンスメントモード(Eモード)III族窒化物デバイスである。III族窒化物材料は、N極性またはIII族極性(例えば、Ga極性)配向で配向される横方向III族窒化物デバイスである。具体的には、アクセス領域内のデバイスのチャネルが横方向に電流を伝導し、ゲート領域内のデバイスのチャネルはデバイスがONにバイアスされると実質的に垂直方向に電流を伝導する。
【0050】
ノーマリオフ高電圧トランジスタとして機能するデバイスは、低電圧EモードFETと高電圧DモードFETをカスケード構成で接続することにより実現できる。低電圧EモードFETは,高電圧DモードIII族窒化物FETにワイヤボンディングされたディスクリートコンポーネント(例えば、シリコンベースのMOSFET)、または、集積III族窒化物デバイスを作成するために高電圧DモードIII族窒化物デバイスとモノリシックに集積された低電圧EモードIII族窒化物デバイス、のいずれであってもよい。場合によっては、単一チップ上のモノリシック集積デバイスは、設計の柔軟性、パッケージング、コスト、および非常に高電力の動作を達成するためのスケーラビリティを改善するために好ましいことがある。
【0051】
DモードとEモードのIII族窒化物デバイスの両方において、ゲートモジュールの設計はデバイス性能と信頼性にとって極めて重要である。本明細書に記載されるデバイスは、低いオン抵抗、安定した閾値電圧(VTH)、低いゲートリーク、高い降伏電圧、および高い短絡耐性を保証することができるゲートモジュールを組み込む。これらの要件は、現在、従来のIII族極性横型III-Nデバイスアーキテクチャを商業的に満足させるようには満たされていない。従来の横方向III-Nデバイスアーキテクチャにおいて、ゲートモジュールは、厚い(>500nm)意図せずにドープされた(UID)GaNチャネル層および絶縁性または半絶縁性III-N(例えば、GaN)バッファ層(>2μm)の上に形成される。これらのアーキテクチャにおいて、デバイスチャネルの電位は、図1Aでキャパシタンス9として表されているデバイスの上側から、ゲートコンタクトのデバイスチャネルへの容量結合を通じて制御される。この結合は、高電圧および/または高温条件下での信頼性のあるデバイス動作を保証するのに十分でない場合がある。高電圧および/または高温動作下では、デバイスのIII族窒化物材料構造が従来のフィールドプレート構造では制御できない高電界効果の影響を受けやすく、デバイスのゲート領域の損傷をもたらす可能性がある。これらの高電場効果には、ドレイン誘起障壁低下(DIBL)、衝突イオン化および正孔生成、および高速または低速電荷捕獲が含まれる。これらの高い電界効果は、閾値電圧の不安定性、過剰な漏れ電流、および早期のデバイス破壊のような望ましくない効果をもたらす可能性がある。
【0052】
高電界効果を低減する1つの方法は、ゲート領域に埋め込まれた付加的なフィールドプレート構造を、デバイスチャネルの裏側に近接して導入することである。この埋め込みフィールドめっき構造は、「ボディ」層と呼ばれ、図2を参照して以下にさらに説明する。ボディ層とデバイスチャネルとの間の容量結合が非常に高いので、ゲート領域のフィールドプレートを改善でき、高電圧動作からの衝撃を低減できる。ドレインとソースとの間の低キャパシタンスとともに良好なスイッチング性能を維持するために、ボディ層は、厳密に必要な場所、例えば垂直ゲートモジュール内のみに配置することができる。
【0053】
図2図10は、従来の横方向高電圧ゲートモジュール(低キャパシタンス)を、保護ボディ層(例えば、電流ブロック層)を使用する垂直(または半垂直または傾斜)ゲートモジュール(例えば、電流ブロック層)と一体化するハイブリッドIII-Nデバイスを示す。これは、以下、横方向トレンチMOSFET(すなわち、LT-MOS)と呼ぶ。図2を参照すると、N極性III-Nエンハンスメントモードデバイス200が示されている。III族窒化物デバイス200は例えば、シリコン(Si)、炭化シリコン(SiC)、サファイア、AlN、またはGaNの、適切な基板10上に成長されたIII族窒化物バッファ層12、例えば、GaNまたはAlGaNを含む。基板は導電性(例えば、p型Si)、電気的半絶縁性(例えば、SiC)、または電気的絶縁性(例えば、サファイア)である。基板は高い熱伝導率(例えば、SiC)または低い熱伝導率(例えば、サファイア)を有する。後者の場合、基板は、熱散逸を改善するために薄くすることができる。基板は、III族窒化物構造の任意の材料層のものと同様または異なる格子定数および/または熱膨張係数を有することができる。基板とIII族窒化物層との間の格子定数および/または熱膨張係数が異なる場合、基板10とバッファ層12(図示せず)との間に核形成および/または応力解放管理層を導入することができる。基板10はフローティング(すなわち、固定電位なし)でも接地(すなわち、基板電位がソースと同じ電圧で固定される)でもよい。いくつかの実施形態では、基板10は省略されてもよい。
【0054】
バッファ層12は、層内に転位または点欠陥を含めることによって、または層にFe、C、および/またはMgなどの補償要素をドープすることによって、絶縁性にするか、または意図しないn型移動キャリアを実質的に含まないようにすることができる。バッファ層は全体にわたって実質的に均一な組成を有することができ、または組成を変化させることができる。例えば、いくつかの実施態様において、バッファ層は、バッファ層の垂直軸に沿ってアルミニウム組成を傾斜させることなどによって、組成的に傾斜される。バッファ層12は、構造内の他のIII族窒化物層のいずれよりも実質的に厚くすることができる。例えば、バッファ層12は、バッファ層12とゲート23との間のIII-N層の合計厚さの少なくとも10倍、典型的には少なくとも30倍の厚さを有することができる。
【0055】
III族窒化物デバイス200はさらに、III族窒化物バッファ層12上に、例えばAlxGa1-xNのIII族窒化物バックバリア層14と、III族窒化物バックバリア層14上に、例えば意図しないドーピングされた(UID)GaNのIII族窒化物チャネル層16とを含む。III族窒化物バックバリア層14のバンドギャップは、III族窒化物チャネル層16のバンドギャップよりも大きい。III-Nチャネル層16はIII-Nバックバリア層14とは異なる組成を有し、III-Nバックバリア層14およびIII-Nチャネル層16それぞれの厚さおよび組成は、電子の導電層がIII-Nチャネル層16内に誘導されるように選択される。III-Nバックバリア層14とIII-Nチャネル層16との間の界面は、急峻である場合がある。その場合、導電性の2次元電子ガス(2DEG)チャネル19(図2の破線で示される)が、層14と16との間の界面に隣接するIII族窒化物チャネル層16に誘導される。III-Nバックバリア層14およびIII-Nチャネル層16の組成は一定であってもよいし、全体を通して変化していてもよい。例えば層14は、Al濃度が増加する(例えば、基板に最も近い側のAl濃度が最も低い)傾斜AlGaN部分である第1部分と、一定のAl濃度を有する第2AlGaN部分とを有することができる。別の例において、III族窒化物バックバリア層は、n型GaNまたはAlGaNである第1部分と、アンドープAlGaNである第2部分とを有する。III-Nバックバリア層14は、n型III-N部分である第1部分(基板の近く)、傾斜III-N部分である第1部分の上の第2部分(例えば、アルミニウム組成が傾斜している)、および一定の組成を有する第2部分の上の第3部分を含むことができる。さらに、III-Nバックバリア層14の傾斜部分またはn型部分は、Siまたは正孔の形成を防止する任意の他のドーパントでドープすることができる。単位面積当たりのドーピング濃度は、1e11ドナー/cm2から1e14ドナー/cm2の幅である。好ましくは、ドーピング濃度は、その大きさがIII-Nバックバリア層14における面分極電荷濃度に類似する(例えば、その50%以内)ように選択される。
【0056】
III族窒化物バックバリア層14の異なる部分は、バックバリア層の底部近くの寄生2次元正孔-ガスの形成を防止するように作用することができる。例えば、正孔がバックバリアの底付近に蓄積する場合、デバイスは正孔捕獲による寄生漏れ電流と閾値電圧不安定性に悩まされる可能性がある。層のドーピングが低すぎると、寄生的な正孔の蓄積が起こり得るが、ドーピングが高すぎると、バックバリア層14の底部付近で寄生的な電子の蓄積が起こり得る。
【0057】
バックバリア層14は、5nmから50nmの間の厚さを有することができる。バックバリア層14は、20nmより大きい厚さを有することができる。チャネル層16は、2nmから300nmの間の厚さを有することができる。チャネル層16は、20nmより大きい厚さを有することができる。さらに、バリア層14とチャネル層16との間に0.5~5nmのAlN中間層(図示せず)を配置することができる。このAlN中間層は分極電荷を増加させ、III族窒化物バックバリア層14とIII族窒化物チャネル層16との間の界面における電子散乱を減少させるのに役立ち、2DEGチャネルシート-抵抗を改善することができる。
【0058】
別の例において、III族窒化物チャネル層16の一部は、不純物ドーピング(例えば、シリコン混入)および/または分極ドーピングのいずれかを通して生成されたバルクn型導電率を有することができる。分極ドープn型導電性を達成するために、III族窒化物チャネル層16の組成は、分極場の勾配が[0 0 0 -1]方向において負になるように傾斜される。例えば、III族窒化物デバイス200におけるIII族窒化物チャネル層16は、AlyGa1-yN(0≦y≦1)から形成することができる。yはIII族窒化物バックバリア層14におけるyと等しく、III族窒化物バックバリア層14に隣接する側からIII族窒化物バックバリア層14と反対側に減少(例えば、連続的に減少)する。あるいは、III族窒化物チャネル層16はInzGa1-zN(0≦z≦1)から形成することができ、zはIII族窒化物バックバリア層14に隣接する側からIII族窒化物バックバリア層14と反対側に増大する(例えば、連続的に増大する)。
【0059】
III-Nボディ層17は、III-Nチャネル層16の少なくとも一部の上に形成される。図2に示すように、III族窒化物ボディ層17はゲートコンタクト23とソースコンタクト21との間の横方向に延在する領域でチャネル上にあるが、ゲートコンタクト23とドレインコンタクト22との間ではない。その結果、III-Nボディ層17は少なくともソース側アクセス領域82内のIII-Nチャネル層16上にあるが、ドレイン側アクセス領域83内のIII-Nチャネル層上にはない。例えば、III-Nボディ層17はIII-Nチャネル層全体の上に形成され、ゲートコンタクト23とソースコンタクト21が積層される箇所との間を除いて、全箇所が除去される(例えば、ドライエッチングおよび/またはウェットエッチングによって)。
【0060】
III族窒化物ボディ層17はp型ドープIII族窒化物層(例えば、p-GaN)であってもよい。p型ドーピングされたIII族窒化物ボディ層17は、1x1016cm-3より大きく、かつ2x1020cmより低いアクティブアクセプタ濃度、例えば、1x1018/cm-3 より大きくい濃度で、ドレインがデバイスの最高定格電圧でバイアスされるかまたはそれより下にあるときに完全に枯渇しないように、ドーピングすることができる。III-Nボディ層17がMgでドープされたp型GaNである場合、デバイスはMgドーパントを電気的に活性にするために高温アニールで処理することができ、不純物(カーボンおよび水素など)の過剰な混入を回避し、電子散乱を低減するために、2×1019cm-3より低いp型ドーピング濃度を有する。さらに、0.5~5nmのAlGaNまたはAlN中間層(図示せず)を、III-Nボディ層17とチャネル層16との間に配置することができる。このAlGaNまたはAlN中間層は、p型III族窒化物ボディ層のMgドーピングからIII族窒化物チャネル層16への望ましくないMg拡散を防止するのに役立つ。このAlGaNまたはAlN中間層は、ドレイン側アクセス領域内のIII族窒化物ボディ層17を除去するために使用されるエッチングプロセスの制御および精度を改善するための選択的エッチストップ層としての役割も果たすことができる。III-Nボディ層17は、20nm~5μmの厚さを有することができる。III-Nボディ層17は、50nmを超える厚さを有することができる。III-Nボディ層17は、200nmを超える厚さを有することができる。
【0061】
さらに、ある場合には層17全体がp型にドープされるが、他の場合には層の一部のみがp型にドープされる。例えば、層17は、各々が非ドープ部分によって分離された垂直方向の一連のpドープ部分を含むことができる。III族窒化物ボディ層17がp型にドープされると、ボディ層は、ゲート領域81内の垂直チャネル内の電子を空乏化させ、これにより、デバイスの閾値電圧を正にする。ソースコンタクトを2DEGチャネルに接続するには、ゲートコンタクトに(ソースコンタクトに対して)正の電圧を印加する必要がある。これにより、Eモード動作モードが実現される。加えて、p型ドープボディ層がソースコンタクト21に電気的に接続される場合、ソース電位(すなわち、接地面)は垂直チャネルに非常に近接(例えば、20nm未満)する場合がある。このように、ボディ層17は埋め込みソース接続フィールドプレート構造として機能し、これにより、ゲート領域を高電圧ストレスから遮蔽し、ドレイン誘起障壁低下(すなわち、DIBL)のような短チャネル効果を軽減し、VTH不安定性を抑制する。p型ボディはIII-N素子の高電圧部で発生した正孔を集めることができ、正孔がゲート下にトラップされることを防止し、VTH不安定性を低減する。また、p型ボディは、デバイスの信頼性を改善できる静電気放電(ESD)保護構造の設計と集積化を可能にすることができる。
【0062】
あるいは、III族窒化物ボディ層17のp型は、偏光誘起ドーピング(例えば、何らのドーパント不純物を導入せずに層のバンドギャップをグレーディングすることによって)によって実現できる。この場合、III-Nボディ層17のアルミニウムまたはインジウム組成物は、正孔を引き寄せIII-Nボディ層17をp型にすることができるバルク負分極電荷を誘起するように傾斜される。傾斜III-Nボディ層17は、III-Nチャネル層16に隣接する側からIII-Nチャネル層16の反対側まで傾斜した(例えば、連続的に傾斜した)組成物を有する。傾斜p型III族窒化物ボディ層17の組成は、分極場の勾配が[0 0 0 -1]方向に正であるように選択される。
例えば、III族窒化物デバイス100におけるIII族窒化物ボディ層17は、AlyGa1-yN(0≦y≦1)で構成することができる。yはIII族窒化物チャネル層16のyと等しく、III族窒化物チャネル層16に隣接する側からIII族窒化物チャネル層16と反対側に向かって増加(例えば、連続的に増加)する。あるいは、III族窒化物ボディ層17は、InzGa1-zN(0≦z≦1)から形成することができる。zはIII族窒化物チャネル層16に隣接する側からIII族窒化物チャネル層16の反対側に向かって減少する(例えば、連続的に減少する)。
【0063】
あるいは、III族窒化物ボディ層17は、半絶縁性または絶縁性のGaN層(例えば、i-GaN)を用いて形成することができる。i-GaN層は、層内に転位または点欠陥を含めることによって、または層にFeおよび/またはCなどの補償要素をドープすることによって、半絶縁性、絶縁性、または実質的にn型移動キャリアを含まないようにすることができる。p型GaNボディ層のMgドーピングプロファイルおよびMg活性化またはグレーディングプロファイルを制御する必要がないので、p型GaNボディ層の代わりにi-GaNボディ層を実装することによって、製造プロセスを単純化することができる。しかしながら、i-GaN本体の絶縁性に起因して、ソースコンタクトへの電気的接続はボディ層18の電圧電位を制御するために使用することができず、したがって、i-GaN本体はp型III族窒化物ボディ層の実装と比較すると、閾値電圧およびフィールドプレートに関して同じ利益をもたらさない場合がある。
【0064】
III-Nキャッピング層18、例えばn型GaN層は、ゲート23とソース21との間のIII-Nボディ層17の上に形成される。III-Nキャッピング層は、ソースコンタクト21とゲート領域81との間のソース側アクセス領域82に電流経路を提供する。III-Nキャッピング層の厚さは、10nm~1μmとすることができる。III-Nキャッピング層は、10nmを超える厚さを有することができる。III族窒化物キャッピング層18には、シリコン(ドナー)をドープすることができる。III-Nキャッピング層のドープ濃度は、1×1016cm-3より大きい電子濃度を生じるのに十分な高さにすることができる。III-Nキャッピング層18の厚さおよび正味のn型ドーピングは、層18がIII-Nボディ層17によって自由電子が完全に空乏化されないように、十分に高くすることができる。例えば、厚さは50nmよりも大きくすることができ、平均的なn型ドーピングは1×10OOBcmOOCを超えることができる。n型ドーピングは、1x1019cm-3より大きくすることができる。
【0065】
III-Nキャッピング層18の厚さおよびn型ドーピングは、非常に低いシート抵抗をもたらすのに十分な高さにすることができる。III族窒化物キャッピング層18のシート抵抗は、100~200Ω/□よりも低くすることができる。III-Nキャッピング層18のシート抵抗は、III-Nチャネル層16のシート抵抗よりも低くすることができる。これは、ソース側アクセス領域82がドレイン側アクセス領域83に対して完全に独立した層上に実現されるという、このデバイスアーキテクチャの顕著な利点を表す。したがって、ソース側アクセス領域内のIII族窒化物キャッピング層18は、デバイスのドレイン側アクセス領域83内の高電圧部の電界管理を損なうことなく、非常に小さなソースアクセス抵抗を達成し、より低いデバイスオン抵抗をもたらすように設計することができる。ソース側アクセス領域のシート抵抗がドレイン側アクセス領域のシート抵抗と比較して低いという従来の横方向デバイスアーキテクチャは、この特徴を組み込むことができなかった。
【0066】
III族窒化物キャッピング層18およびIII族窒化物ボディ層17は、ゲート領域81の一部およびドレイン側アクセス領域83内で除去されて、垂直(または半垂直または傾斜)ゲートモジュールを作り出す。これらの領域におけるIII-N材料構造の除去は、ここでは領域35として示される「トレンチ凹部」と呼ぶことができる。トレンチ凹部35を形成するプロセスは、ゲート領域81およびドレイン側アクセス領域83内の露出したIII族窒化物材料の表面への損傷を最小限に抑えるように最適化することができる。選択的除去工程は、非選択的エッチング剤(例えば、Cl2、BCl3/Cl2)または選択的エッチング剤(例えば、SF6、BCl3/SF6)を用いたドライエッチング技術(例えば、RIEまたはICP)の手段によって実施することができる。III-Nキャッピング層18およびIII-Nボディ層17の除去は、ウェットエッチング技術の手段によって実行することができる。III-Nキャッピング層18およびIII-Nボディ層17の除去は、ドライエッチング技術とウェットエッチング技術との組み合わせによって実行することができる。例えば、低電力ドライエッチングを使用して、III-Nキャッピング層18のIII-Nボディ層17のバルクを除去し、続いて酸ウェットエッチング処理を使用して、III-N材料構造の残りの部分を除去することができる。
【0067】
III-Nボディ層17を除去するプロセスは、III-Nチャネル層16の部分的除去を含むことができる。III族窒化物チャネル層16の部分的な除去は、連続的なドライエッチングステップにおけるIII族窒化物ボディ層のオーバーエッチングによって実施でき、あるいは、複数のドライエッチングステップとウェットエッチングステップとの組み合わせによって実施できる。III族窒化物チャネル層16の残りの厚さは、チャネル(例えば、2DEG)とゲートコンタクトの足部との間の静電容量を決定する。ゲートコンタクトの足部は、図2の破線領域202によって示され、III族窒化物チャネル層16に最も近く、2DEGチャネル19に平行なゲートコンタクトの部分として定義される。ゲートコンタクトの足部は横方向デバイス部102の基部におけるゲート接続されたフィールドプレートとして機能し、したがって、ゲート領域81における2DEGチャネルのピンチオフ電圧を決定する。トレンチエッチング処理の前に、III族窒化物チャネル層16は例えば、150nmよりも厚くすることができる。III-Nボディ層17が除去された領域では、III-Nチャネル層の残厚は20~100nmとすることができる。III-Nボディ層17が除去された領域では、残存するIII-Nチャネル層16の厚さは50nmよりも厚くすることができる。III-Nチャネル層の厚さの50%以上は、III-Nボディ層17のオーバーエッチングプロセス中に除去することができる。
【0068】
別の例において、III-Nボディ層17は、ソースおよびゲート領域85、82、および81においてのみ選択的に再成長させることができる。III-Nボディ層17の選択的再成長は、誘電体ベースのハードマスクの手段によって実現することができる。選択成長III族窒化物ボディ層17は、エッチングによる損傷を受けずに、高品質のゲート側壁201を維持し、ドレイン側アクセス領域83内のIII族窒化物チャネル層16の表面上に維持するという利点を有することができる。実質的に垂直な側壁201(すなわち、基板と平行ではない)が、III族窒化物チャネル層16の上面に対して平均角度αで傾斜を有するIII族窒化物ボディ層17のドレイン側縁部に沿ったゼロ以外の角度で形成される。III族窒化物チャネル層の上面は基板10の反対側である。ゲート領域81内のIII族窒化物ボディ層17の垂直側壁201によって規定されるように、デバイス200内に垂直デバイス部101および横デバイス部102が形成される。デバイスのゲート長(LG)は、III-Nボディ層17の厚さを角αの正弦で割ることによって定義される。図2に見られるように、角度αはほぼ90°(例えば、80°~90°)である。しかしながら、後の実施形態に示すように、III-Nボディ層17の側壁201はIII-Nチャネル層16の上面に対して(例えば、III-Nチャネル層に形成された横方向2DEGチャネルに対して)角度α<90°、例えば20°~80°で傾斜させることができる。図2にはスケール上明確に示されていないが、側壁201に平行なゲートコンタクト23の長さは、角度αの正弦で割ったIII-Nボディ層17の厚さに少なくとも等しいか、それより大きい。
【0069】
III-N層12、および14、16、17、および18はN極性III-N層であり、N極性III-N材料構造を形成する[0 0 0 -1]方向に配向される。N極性(すなわち、N面)III-N物質構造は、以下のいずれかによって調製することができる:(i)シリコン、炭化シリコン(SiC)、サファイア、窒化アルミニウム(AlN)、または窒化ガリウム(GaN)などの好適な基板上に、N極性III-N層を直接成長させること、(ii)初期III極性層を成長させ、その後に成長させる層がN極性に配向されるように、非常に高いマグネシウムドープ(例えば、1×1020cm-3を超える)の薄い(例えば、300nm未満)III-N層を挿入してIII極性からN極性に結晶配向を反転させること、(iii)初期III極性層を成長させ、薄い(例えば、20nm未満)Al23層を挿入して結晶配向をIII極性からN極性に反転させ、その後に成長する層がN極性配向されるように、表面を曝露して窒化させてN極性エピタキシーの成長を促すこと、(iv)III族極性配向において層を逆の順序で成長し、次いで成長方向の反対側からIII-N材料構造のN面にアクセスする、これは例えば成長基板を除去し、任意選択として、成長基板に直接隣接したIII-N材料の一部を除去することによる。
【0070】
ゲート絶縁体層34(例えば、ゲート誘電体層)は、少なくともゲート領域81において、III族窒化物ボディ層17の垂直側壁201上に共形的に成長または堆積される。ゲート絶縁体層34はIII族窒化物キャッピング層18の上面を覆うことができ、ソース21に向かって延びる第1部分を有する。ゲート絶縁体34はIII族窒化物チャネル層16の上面を覆うことができ、ドレイン22に向かって延びる第2部分を有する。あるいは、ゲート絶縁体層34はソースコンタクト21とドレインコンタクト22(図示せず)との間に連続的に延在することができ、その結果、III族窒化物材料構造の上面全体が絶縁体層によって不動態化される。
【0071】
ゲート絶縁体34は例えば、酸化アルミニウム(Al23)、二酸化ケイ素(SiO2)、窒化ケイ素(Sixy)、Al1-xSixN、Al1-xSixO、Al1-xSixON、または他の任意の広帯域ギャップ絶縁体から形成されるか、またはそれらを含むことができる。いくつかの実施例において、ゲート絶縁体120はAl1-xSixO層、例えば、アモルファスAl1-xSixO層または多結晶Al1-xSixO層であり、xおよび(1-x)は、Al1-xSixO層における非ガス元素の相対的な部分組成を表す。すなわち、(1-x)はアルミで構成されるAl1-xSixO層中の非酸素元素の割合であり、(x)はシリコンで構成されるAl1-xSixO層中の非酸素元素の割合であり、(1-x)/xは、Al1-xSixO層中のアルミとシリコンの割合である。例えば、ゲート絶縁層34は、高閾値および低ゲートリークを提供するアモルファスAl1-xSixO層とすることができる。ある実施形態では、Al1-xSixO層は低濃度の窒素を含む。すなわち、Al1-xSixO層の形成中に、低濃度の窒素を層に組み込むことができ、窒素濃度は主要素(例えば、Al1-xSixO層の場合、Al、Si、およびO)の濃度よりも実質的に低い。好ましくは、ゲート絶縁体層34の誘電体は、可動イオンドリフト(より安定したVth)に対してより耐性がありトラップの生成を抑制する、高密度を有する。Al1-xSixOゲート絶縁体層は、他のゲート絶縁体層、例えばSiN、Al23,、SiO2、またはAl1-xSixNと比較して改善されたエンハンスメントモードデバイス特性を有することができる。ゲート絶縁体34は、約1nm~100nm、例えば10nm~60nmの厚さを有することができる。ゲート絶縁体は、ex-situ(例えば、下にあるIII-N材料の成長に使用されるツールとは異なるツールを用いて)、またはin-situ(すなわち、下にあるIII-N材料を成長させるために使用される同じツールを用いて、同じ成長セッション中に)のいずれかで堆積させることができる。in-situ堆積の場合、デバイス表面は空気に曝されず、したがって、酸化要素(例えば、酸素)および望ましくない不純物/汚染物質に曝されない。このため、in-situ堆積はex-situ堆積と比較して優れた界面品質(例えば、より低い散乱、より高い移動度、より低い電荷トラップ効果、より安定したVTH)をもたらし、優れた性能をもたらすことができる。
【0072】
ゲートコンタクト23(すなわち、ゲート電極)は、ゲート絶縁体層34およびIII族窒化物ボディ層17の垂直側壁部分の上に共形的に形成される。ゲートコンタクト23は、III-Nキャッピング層18の上面上にあってもよく、ソース21に向かって延在する第1部分を有する場合がある。ゲートコンタクト23はIII族窒化物チャネル層16の上面を覆うことができ、ゲート絶縁体層34の第1および第2延在部分と類似または異なる長さを有しドレイン22に向かって延在する第2部分を有することができる。ゲートコンタクト23の第2部分は、第1部分よりも長くすることができる。ドレインに向かって延びるゲートコンタクト23の第2部分は、ゲートコンタクトの足と呼ばれ、図2の破線領域202によって示される。第2部分は、ゲート接続されたフィールドプレート構造の第1フィールドプレートとして作用する。領域202内のゲートコンタクト23の第2部分の長さは、デバイス性能にとって極めて重要であり、デバイスの破壊電圧および長期信頼性に影響を及ぼす可能性がある。
【0073】
ゲートコンタクト23は、金属スタック、例えば、アルミニウム(Al)、チタン/アルミニウム(Ti/Al)またはニッケル/金(Ni/Au)のような適切な導電性材料で形成することができ、金属蒸着またはスパッタリングまたは化学蒸着または種々の原子層蒸着(ALD)によって蒸着することができる。あるいは、ゲートコンタクト23は、大きな仕事関数を有する半導体材料(例えば、p型ポリシリコン、インジウムスズ酸化物、窒化タングステン、窒化インジウム、または窒化チタン)などの、大きな仕事関数を有する1つまたは複数の材料を含む別の導電性材料または材料スタックであってもよい。ゲート堆積後のアニーリングプロセスはオプションとして、ゲートコンタクト23の堆積後に実行されてもよい。ゲート堆積後のアニールは酸素を含むガス雰囲気中で実施してもよいし、フォーミングガス(H2+N2)中で実施してもよい。ゲート堆積後のアニール温度は、300℃より大きくすることも、400℃より大きくすることもできる。最後に、ゲートコンタクト23はゲート絶縁体層34をエッチングするためのエッチングマスクとして使用することができ、これにより、ゲート絶縁体層34はゲートコンタクト23の真下に留まるが、他のところではエッチング除去されるか、または部分的にエッチング除去される(図示せず)。
【0074】
ソースおよびドレインコンタクト21および22(すなわち、ソースおよびドレイン電極)は、それぞれ、ゲートコンタクト23の反対側にある。ソースコンタクト21は、III-Nキャッピング層18上に形成される。ソースコンタクト21はオン状態の間に電流を提供するためにIII族窒化物キャッピング層18とオーム電気接触することができ、ソース21はIII族窒化物ボディ層17と電気接続することができる。ソースコンタクト21(すなわち、ソース電極)は、ゲート電極がデバイスの閾値電圧を下回る電圧でソース電極に対してバイアスされるとき、2DEGチャネルから電気的に絶縁される。ソースコンタクトがIII族窒化物本体17に電気的接続するとき、III族窒化物ボディ層17はソースと同じ電圧に保持され、前述したように、III族窒化物ボディ層17の埋設フィールドプレート効果の利益を最大化する。さらに、スイッチング動作中のゲート‐モジュールの反応性要素の充放電を改善できる。
【0075】
III-Nボディ層17への電気的接続は、異なる方法を用いて実施することができる。第1方法は、ソースコンタクトの少なくとも一部がIII-Nボディ層17(図示せず)と直接接触することを可能にするのに十分な深さの凹部をIII-Nキャッピング層18内に形成することを含む。凹部形成は、ドライエッチおよび/またはウェットエッチプロセスによって実施できる。例えば、凹部は、ドライエッチング技術の手段、またはドライエッチング技術とウェットエッチング技術との組み合わせによって完全に実現することができる。例えば、III-Nキャッピング層18の大部分はドライエッチングによって除去することができ、III-Nキャッピング層18の残りの部分は、ウェットエッチング技術によって除去することができる。ウェットエッチングは、III族窒化物ボディ層17の表面が平滑であり、ドライエッチングによる損傷がないことを確実にするために使用することができる。III-Nキャッピング層内のソースコンタクト凹部が形成された後、高温アニールを実行して、エッチングされた表面の形態および組成を改善することができる。高速アニールは、窒素/酸素(N2/O2)、窒素/アンモニア(N2 /NH3)、フォーミングガス(N2 /H2)、によって実施できる。温度は、300C~1000C、好ましくは700C~900Cの範囲とすることができる。ボディ金属スタックを堆積させて、凹部内のIII族窒化物ボディ層17に対して物理的オーム接触をさせることができる。ボディ金属スタックは、III族窒化物ボディ層17(例えば、Al、Ti/Al、Pd、Pt、Ni/Au等)へのオーム接触を保証するための高仕事関数金属とすることができる。ボディメタルとIII-Nボディ層17との間のコンタクトは、III-Nボディ層17の頂部に薄い高濃度ドープされたp型層(例えば、5×1019cm-3より大きいドープ濃度で2nmと50nmとの間の厚さ)を導入することによって改善することができる。ボディ金属スタックが形成された後、ソースコンタクト金属がボディ金属スタックの上に堆積され、III族窒化物キャッピング層18へのオーム接触を確実にする。ソース金属-スタックは、例えばAl、Ti/Al、Ti/Al/Ni/Au、Ni/Au等である。
【0076】
ソースコンタクト21がIII-Nキャッピング層18内の凹部を介してIII-Nボディ層17と物理的に接触していない場合(図2に示すように)、ソースコンタクト21とIII-Nボディ層17との間の電気的接続は、III-Nボディ層17とソースコンタクト21との間のトンネル接合コンタクトを用いて実施することができる。トンネル接合接点は、III族窒化物ボディ層17の上面(例えば、5×1019cm-3より大きいドーピング密度を有する2nmから50nmの間の厚さ)に高ドープp型GaN領域(すなわち、p++ GaN)を導入し、III族窒化物キャッピング層18の下面(例えば、5×1019cm-3より大きいドーピング密度を有する2nmから50nmの間の厚さ)に高ドープn型GaN領域(すなわち、N++ GaN)を導入することによって形成することができる。高ドープ領域のドーピング密度は、III-Nキャッピング層18とIII-Nボディ層17との間に形成される接合部における空乏幅が数ナノメートル以下(例えば、10nm未満)であり、したがって電子トンネル距離に匹敵するようなものであるべきである。ここで、電子はIII族窒化物キャッピング層18の伝導帯からトンネルすることができ、III族窒化物ボディ層17の価電子帯の正孔と再結合し、ソースコンタクト21とIII族窒化物ボディ層17との間に電気的接続を生成する。
【0077】
図2には示されていないが、N極性III-N材料におけるトンネル接合の質は例えば図15Aに示されるように、III-Nボディ層17とIII-Nキャッピング層18との間に薄いAlyGa1-yN(0<y≦1)層を挿入することによって(界面領域がp++ GaN/AlyGa1-yN/N++ GaNとなるように)、さらに改善することができる。N極性III-N材料において、挿入された薄いAlyGa1-yN層の分極荷電が、III-Nボディ層17との界面での正孔の蓄積、およびIII-Nキャッピング層18との界面での電子の蓄積をさらに増大させ、トンネルおよび再結合プロセスを容易にする。薄いAlyGa1-yN層の厚さは、トンネル効果を促進するために、0.5nm~5nm、好ましくは0.5nm~2nmとすることができる。薄いAlyGa1-yN層はまた、III-Nボディ層17内のMg(p型ドーパント)のIII-Nキャッピング層18への拡散を抑制するように作用することができ、その結果、より鋭いドーピングプロファイルが得られ、III-Nボディ層17とIII-Nキャッピング層18との間の接合が改善される。好ましくは、薄いAlyGa1-yN層は、高アルミ成分を有することにより、(i)Mg拡散障壁を改善し、(ii)分極荷電およびトンネル接合におけるキャリアの蓄積を増大させ、より良好なトンネル接合コンタクト抵抗をもたらす。アルミニウム組成(y)は50%を超えることができる(すなわち、y>0.5)。さらに、InzGa1-zN(0<z≦1)の薄い層を、AlyGa1-yN層とIII族窒化物キャッピング層18の底部にあるN++層との間に挿入することにより、トンネル結合インターフェースにおける電子蓄積をさらに改善することができる。InzGa1-zN(0<z≦1)層におけるインジウム組成物は5%(すなわち、z>.05)より大きくすることができる。ソースコンタクト金属スタックは、Al、Ti/Al、Ti/Al/Ni/Au等であってもよい。ソースコンタクト21は、金属蒸着および堆積後のアニーリングプロセスによって形成することができる。他のオーミック接触プロセスも、スパッタリングおよびドライエッチング加工を含むことができる。さらに、第1および第2方法の組み合わせを使用して、III族窒化物材料構造へのソース接続を作成することができ、ソースコンタクト金属層はIII族窒化物ボディ層17と物理的に接触し、トンネル接合は、III族窒化物キャッピング層18の凹部内のソース金属21の側壁接続を通して形成される。
【0078】
ドレイン22は、層16内に形成されたデバイス2DEGチャネル19に接触する。ドレインコンタクト22、例えばドレイン電極は、金属スタックによって形成することができる。ドレイン22はチャネル層16に接触する。ドレイン電極の2DEGチャネル19への改善された接触を可能にするために、III族窒化物チャネル層16内に少なくとも部分的に凹部を形成することができる。ドレイン領域86内のチャネル層16の一部はドープされたn型とすることができ、またはドレインコンタクトとチャネル層16との間に追加のn型層を挿入して、ドレイン金属の2DEGへの接触を改善することができる。金属スタックは、Al、Ti/Al、Ti/Al/Ni/Au等であってもよい。ドレインコンタクト22は、金属蒸着および堆積後のアニーリングプロセスによって形成することができる。他のオーミック接触プロセスも、スパッタリングおよびドライエッチング加工を含むことができる。
【0079】
ゲートコンタクト23の下のIII族窒化物材料構造の部分は、領域81において、デバイスのゲート領域と呼ばれる。ソースおよびドレイン21および22の直下、領域85および86のIII-N材料構造の部分は、それぞれ、デバイスのソースおよびドレイン領域と呼ばれる。ゲート領域83とソース領域85との間、およびゲート領域83とドレイン領域86との間のIII族窒化物材料の部分はデバイスアクセス領域と呼ばれ、領域82はソース側アクセス領域であり、領域83はドレイン側アクセス領域である。
【0080】
図2のIII族窒化物材料構造の材料特性は、デバイスがエンハンスメントモードデバイスであることを確実にするために選択することができ、その結果、デバイスは0Vより大きい、例えば2Vより大きい、または5Vより大きい閾値電圧を有する。すなわち、ソース21に対してゲート23に0Vが印加され、ソース23に対して正の電圧がドレイン22に印加されると、ゲート領域のチャネル電荷は、ソース21が2DEGチャネル19から電気的に絶縁されるように空乏化され、デバイスは非導電状態になる。III族窒化物ボディ層17は電流ブロッキング層とすることができ、その結果、デバイスが閾値電圧未満にバイアスされると、電流ブロッキング層がソースコンタクトを2DEGチャネルから分離する。閾値電圧よりも高い十分に正の電圧がソース21に対してゲート23に印加されると、ゲート領域内のチャネル電荷が誘起され、デバイスは以下に更に詳細に説明するように、ソース21とドレイン22との間で導電性になる。
【0081】
図2は、非バイアス状態(すなわち、デバイス電極に印加される電圧がない場合)で、2DEGチャネルがIII族窒化物チャネル層16を通って連続的に延在するが、導電性チャネルはソース21からドレイン22に連続的に延在しないIII族窒化物デバイス200を示す。次に図3は、ON状態(すなわち、ゲート23がデバイスの閾値電圧を超えてバイアスされているとき)にバイアスされたIII族窒化物デバイス200を示しており、導電性チャネルがソース21からドレイン22に連続的に延びている。III族窒化物デバイス200は、次のように動作する。ゲートコンタクト23がデバイスの閾値電圧よりも大きい電圧でソース21に対してバイアスされると、デバイスのゲート領域81内のゲート絶縁体層34とIII族窒化物ボディ層17との間の垂直界面に反転チャネル39が形成され、それによってソースコンタクト21を2DEGチャネル19に電気的に接続する。正電圧がドレイン22に印加されると、電子はソース21から、導電性n型III族窒化物キャッピング層18内に存在するソース側チャネル29を通り、ゲート領域81内のゲート絶縁体層34とIII族窒化物ボディ層17との間の垂直界面近傍に形成された反転チャネル39を通って、2DEGチャネル19内に流れ、ソースコンタクト21とドレインコンタクト22との間に連続デバイスチャネルを形成するドレイン22に流れる。通常の電流がドレイン22からソース21に流れ、デバイスはONであると考えられる。
【0082】
ゲート23が、デバイスの閾値電圧より低い電圧でソース21に対してバイアスされると、III族窒化物ボディ層17のp型ドーパントはゲート絶縁体層34とIII族窒化物ボディ層17との間の垂直界面の電荷を完全に空乏化させ、これにより、ゲート領域81内に形成された反転チャネルが存在せず、したがってデバイスチャネルがソースコンタクト21と2DEGチャネル19との間で不連続になる。さらに、正電圧がドレインに印加されると、III族窒化物チャネル層16内の2DEGチャネル19は空乏化(すなわち、ピンチオフ)する。ゲート領域81における2DEGのピンチオフに必要なドレインバイアスは、2DEGチャネルとゲートの足部(領域202)との間の容量結合によって設定され、これはゲート接続されたフィールドプレートとして作用する。ゲート領域202の2DEGと足の間のキャパシタンスは、ゲート-足金属の下のIII族窒化物チャネル層16の厚さ、およびゲート-足金属の下のゲート酸化物層の厚さおよび誘電率によって調整することができる。これらの構成要素は、ゲート領域81内の2DEGを完全に空乏化(ピンチオフ)するために必要な最小ドレインバイアス電圧が比較的低い(例えば、30V未満)ように設計することができる。ゲート領域81内の2DEGチャネル19を完全に空乏化するために必要な最小電圧は、デバイスのゲートモジュールがデバイス動作中に曝される最大電圧を表す。ドレインバイアスがゲート領域81における2DEGのピンチオフ電圧を超えてさらに増加すると、2DEGの空乏は、ドレイン側アクセス領域83内にさらに広がる。空乏領域は低ドレイン電圧でソース側アクセス領域82から始まり、ドレイン電圧が増加することにつれてドレイン側アクセス領域83に向かって徐々に拡大する。その結果、ゲート81にかかるストレスが小さくなり、VTH安定性が向上し、DIBLが非常に低くなる。
【0083】
ソース側アクセス領域で2DEGが完全に空乏化すると、ドレインに印加される任意の追加の電圧は、ドレイン側アクセス領域の横方向部分によって完全に保持される。ドレイン側アクセス領域の横方向部分は例えば、200Vより大きい、300Vより大きい、600Vより大きい、900Vより大きい、1200Vより大きい、3300Vより大きい、または10kVより大きい高電圧に耐えるために、フィールドプレートおよび/または電荷バランシング構造を用いて構築することができる。ドレイン側アクセス領域83の横方向部分によって保持される高電圧は、ゲート領域81に影響を及ぼさない。基板が接地される場合、III族窒化物ボディ層17が受ける最大電圧は、ソース側アクセス領域82内で2DEGをピンチオフするために必要な低電圧(例えば、30V未満)である。基板がフローティングである場合(すなわち、基板電位が何らかの外部電圧源によって固定されないが、ソースおよびドレインとの容量結合によって内部的に決定される場合)、ソース側アクセス領域82内のIII族窒化物ボディ層は別電圧に曝される場合がある。このようにIII族窒化物ボディ層17のドーピングおよび厚さは、例えば、300Vを超える、600Vを超える、または900Vを超える高電圧に耐えるように構成することができる。III族窒化物ボディ層17のドーピングおよび厚さは、フローティング基板構成においてオフ状態の高電圧に曝されたときにIII族窒化物ボディ層17が完全に空乏化しないように構成することができる。
【0084】
III族窒化物デバイス200は、トランジスタ、双方向スイッチまたは4象限スイッチ(FQS)、および/または任意の適切な半導体デバイスであってもよい。横方向2DEGゲート領域を有する従来のIII族窒化物デバイスは、典型的には前述したように、連続使用下で応力を加えられた後、閾値電圧(Vth)がシフトする。しかしながら、図2のデバイス200において、III-Nボディ層17の使用により、III-Nボディ層のない従来の横方向III-Nデバイスと比較して、デバイスのVTHシフトを0Vに近づけることができる。
【0085】
さらに、ゲート23がデバイスの閾値電圧より低い電圧でソース21に対してバイアスされ、ドレインコンタクトに対してソースコンタクトに十分な逆(すなわち、正)電圧バイアスが印加されると、III族窒化物ボディ層17とIII族窒化物チャネル層16との間にボディダイオードが形成され、電流はソースコンタクト21からドレインコンタクト22まで逆方向にボディダイオードを通って流れることができる。これは、逆伝導モードと呼ばれる。
【0086】
次に、図4を参照すると、N極性III族窒化物デバイス400の断面図が示される。図4のIII族窒化物デバイス400は、少なくともデバイスのゲート領域81において、ゲート絶縁体層34とデバイスIII族窒化物材料構造との間に、追加のIII族窒化物層構造(例えば、再成長III族窒化物層構造)を含むことを除いて、図2のIII族窒化物デバイス200と同様である。以下、この追加のIII-N層構造を移動度向上層と呼ぶ。
【0087】
図4に見られるように、移動度向上層構造は、複数の層、例えばGaN移動度向上層31と、GaN移動度向上層31上のAlGaN移動度向上層32とを含むことができる。
GaN層31およびAlGaN層32は、ゲート領域81内のIII族窒化物ボディ層17の垂直側壁上に共形的に成長させることができる。移動度向上層は、上部表面上に連続的に延在し、ソースコンタクト21に延在するIII-Nキャッピング層18と直接接触し、ドレインコンタクト22(図示せず)に延在するIII-Nチャネル層16の上部表面上に延在することができる。移動度向上層は、ソース側アクセス領域82においてIII-Nキャッピング層18と直接接触し、ドレイン側アクセス領域83においてIII-Nチャネル層16と直接接触することができる。代替的に、ゲートコンタクト23はAlGaN層32およびGaN層31をエッチングするためのエッチングマスクとして使用することができ、これにより、再成長したIII族窒化物層構造はゲートコンタクト23の真下に留まるが、他のあらゆるところでエッチング除去されるか、または部分的にエッチング除去される。
【0088】
GaN移動度向上層31は意図せずにドープされた(UID)GaNであってもよく、または、GaN移動度向上層31は任意の望ましくないUIDのn型またはUIDのp型導電性を補償するために、(例えば、Si、Fe、C、Mgで)ドープされてもよい。GaN層31およびAlGaN層32の厚さおよび組成は、移動度および閾値電圧を最適化するように選択することができる。GaN層31は、III族窒化物ボディ層17の垂直側壁領域上に、0.5nm~50nm、好ましくは2nm~10nmの厚さを有することができる。GaN層31の厚さが低すぎると、電子散乱がチャネル移動度に負の影響を与える可能性がある。GaN層31の厚さが高すぎると、III族窒化物ボディ層17内のイオン化されたアクセプタが垂直チャネルを完全に空乏化することができなくなるので、閾値電圧が低くなりすぎる可能性がある。AlGaN層34は、0.2nm~20nm、好ましくは0.5nm~3nmの厚さを有することができる。AlGaN層34の厚さが低すぎる場合、上述のような類似の電子散乱メカニズムは、チャネル移動度に負の影響を与える可能性がある。あるいは、AlGaNの厚さが高すぎると、AlGaN層とゲート絶縁体との間の界面に、デバイスの動作を損なう寄生チャネルが形成される可能性がある。AlGaN層は、20%~100%、好ましくは50%~100%のアルミニウム組成を有することができる。(層32の全III族組成に対して)50%を超えるアルミニウム組成は、GaN層31とAlGaN層32との間の障壁高さをより高くすることができ、したがってキャリア閉じ込めを改善し、キャリアが捕捉されるゲート絶縁体に到達することを防止し、VTH不安定性を引き起こす。
【0089】
図4には示されていないが、GaN層31またはAlGaN層32のいずれかは移動度向上層構造から省略することができる。デバイス400において、GaN層31とAlGaN層32との間の界面に反転チャネルが形成され、したがって、III族窒化物ボディ層17のイオン化アクセプタからの電子散乱およびゲート絶縁体層34からの欠陥を回避し、電子移動度を増大させるので、デバイス200よりも有利である。増加した電子移動度は、ゲート領域におけるオン抵抗を減少させ、総デバイスサイズを減少させ、製造コストを減少させることができる。また、ゲート領域の電子移動度を高くすると、ゲート長を長くすることにより同じON状態抵抗を実現でき、これにより短チャネル効果(例:DIBL)を防止し、VTH安定性を向上させることができる。
【0090】
あるいは、移動度向上層の厚さおよび組成は、デバイスが空乏モード(Dモード)デバイスであるようなものとすることができる。Dモードデバイスを形成するために、AlGaN層32にシリコンをドープすることができ、好ましくは、GaN層31とAlGaN層32との間の界面近くにシリコンデルタドーピングプロファイルを用いる。AlGaN層32中のシリコンドープ領域は、界面から1~10nm離れている。シリコンデルタドーピングプロフィール内のイオン化ドナーからの正電荷は、再成長AlGaN/GaN層間の界面で電子を引きつけ、したがって、ソースコンタクト21に対してゲートコンタクト23に電圧(すなわち0V)が印加されていない場合(Dモード動作)であっても、ゲート領域81内にチャネルを形成する。Dモードデバイスの実施形態では、AlGaN層32の厚さは好ましくは2nm~50nmの間とすることができる。
【0091】
デバイス400は、次のように動作する。ゲートコンタクト23がデバイスの閾値電圧よりも大きい電圧でソースコンタクト21に対してバイアスされると、反転層がデバイスのゲート領域81内のGaN層31内に電子チャネルを形成し、それによって、III族窒化物キャッピング層18を2DEGチャネル19に電気的に接続する。正の電圧がドレイン22に印加されると、電子は図4に示すように、ソース21から、導電性III族窒化物キャッピング層18を通って、ゲート領域81内のGaN層31内の電子チャネルを通って、2DEGチャネル19内に到達し、そしてソースコンタクト21とドレインコンタクト22との間に連続したデバイスチャネルを形成するドレイン22に流れる。
【0092】
ゲートコンタクト23がデバイスの閾値電圧より低い電圧でソースコンタクト21に対してバイアスされると、III族窒化物ボディ層17内のp型ドーパントは、デバイスのゲート領域81内にチャネルが存在しないように、GaN層31およびAlGaN層32を完全に空乏化させ、したがって、デバイスチャネルは、ソース21とドレイン22との間で不連続である。正の電圧がドレインに印加されると、オフ状態におけるデバイス300の電圧ブロック機構は前述したように、デバイス200の電圧ブロック機構と同じである。
【0093】
図5を参照すると、N極性III族窒化物デバイス500の断面図が示される。図5のIII族窒化物デバイス500は、III族窒化物チャネル層16の上面(基板の反対側)に対するゲート領域81内のIII族窒化物ボディ層17の平均側壁角αが<90°、例えば20°~80°、例えば30°~80°または30°~70°の間であることを除いて、図4のIII族窒化物デバイス400と同様である。この角度αは例えば、III-Nチャネル層16に対して70°未満とすることができる。デバイス500は、デバイス400より優れたいくつかの性能上の利点を有することができる。ゲート領域81内の側壁上の再成長したIII族窒化物移動度向上層(層31および32)の半極性結晶方位に起因して、正味の負の分極電荷がGaN層31内に生じ、したがって、デバイスの閾値電圧を増加させる。角度α、GaN層31およびAlGaN層32の厚さおよび組成は、GaN層31とAlGaN層32との間の界面における正味の分極電荷を最適化するように選択される。角αが小さくなるにつれて、GaN層31の側壁がN極性面に近づくほど、正味の負の分極荷電が増加し、ひいてはデバイスのVTHが増加する。また、AlGaN層32のAl組成物が高いほど、正味の負の分極電荷が高くなり、VTHも高くなる。これにより、デバイス500は高いチャネル移動度、低いオン抵抗、および高いブレークダウン電圧を維持しながら、デバイス400と比較して増加した閾値電圧を有することが可能になる。
【0094】
図5は、III族窒化物バッファ層12とIII族窒化物バックバリア層14との間に配置されたn型GaN:Si層13も示す。GaN:Si層13は、バックバリア層14の底部付近に寄生2次元正孔-ガスが形成されるのを防止するように作用する。正孔がバックバリアの底部付近に蓄積すると、デバイスは、正孔トラッピングによる寄生漏れ電流およびVTH不安定性を被ることがある。GaN:Si層のドーピングが低すぎると、寄生的な正孔の蓄積が起こり得るが、ドーピングが高すぎると、バックバリア層14の底付近に寄生的な電子の蓄積が起こり得る。GaN:Si層13は1nmから50nmの間の厚さを有することができ、例えば、GaN:Si層13は、1nmよりも大きい厚さおよび20nmよりも小さい厚さを有することができる。図2-4には示されていないが、GaN:Si層13はデバイス200~400で説明したように、III族窒化物バックバリア層14の第1または第2部分として含めることができる。ゲート、ドレイン、およびソースコンタクト構成は、デバイス100で説明したものと同様である。
【0095】
図6を参照すると、N極性III族窒化物デバイス600の断面図が示される。図6のIII-Nデバイス600は図5のIII-Nデバイス500と同様であるが、デバイス600は追加の(例えば、再成長された)III-N移動度向上層構造(AlGaN層32およびGaN層31を含む)がソースコンタクト21とドレインコンタクト22との間に連続的に延在する点が異なる。ソース側アクセス領域およびドレイン側アクセス領域における再成長GaN層31およびAlGaN層32は、以下の理由によりデバイス600をデバイス500よりも改善することができる:(i)再成長III-N層31および32がドレイン側アクセス領域におけるIII-Nチャネル層16のエッチングされた上面を再構成し、不動態化すること、(ii)N極構造におけるAlGaN層32とGaN層31との界面における正味の負の分極電荷に起因して、オフ状態において電界が減少し、より低いオフ状態漏れおよびより高いブレークダウン電圧をもたらすことができること、(iii)再成長AlGaN層32が、ドレイン側アクセス領域における高電圧フィールドプレーティング構造の実現に必要とされる選択的エッチング停止層として作用することができること。あるいは、図6の実施形態の移動度向上層はAlGaN層32を省略することができ、GaN層31のみで構成することができる。
【0096】
図6のデバイス600を形成する方法は、以下の通りである。N極性III-N材料構造が形成される。N極性III-N材料構造を形成するステップは、適切な基板10上、例えばミスカットされたサファイア基板上にIII-Nバッファ層12を形成することを含む。III族窒化物バッファ層12は、基板上に薄いN極性GaN核形成層を形成し、この核形成層上に炭素ドープGaNバッファ層を形成するステップを含むことができる。バッファ層の上に、III族窒化物バックバリア層が形成される。第1部分13がシリコンドープ傾斜AlGaN層であり、第2部分14が意図せずドープされていない一定組成のAlGaN層である。III族窒化物チャネル層16がII-Nバックバリア層14の上に形成され、2次元電子ガス(すなわち、2DEG層)19が層14と層16との間の界面に形成される。次に、p型III-Nボディ層17がIII-Nチャネル層16上に形成され、n型III-Nキャッピング層18がIII-Nボディ層17上に形成される。III-Nボディ層17とIII-Nキャッピング層18との間の界面は、トンネル接合を介して形成することができる。トンネル接合を形成するステップは、p++/AlN/N++材料層構造を形成するステップを含むことができ、例えば、III族窒化物ボディ層17の上面に20nmの厚さのp++層(例えば、2x1019cmの-3のマグネシアでドープされた)を形成し、p++層の上に薄いAlNまたはAlGaNの層(例えば、1.5nmの厚さ)を形成し、そして、例えば、III族窒化物キャッピング層18の下面に20nmの厚さのn++層(例えば、2x1019cmの-3の濃度のシリコンでドープされた)を形成することができる。次に、デバイス600を形成するステップは、デバイスのドレイン側アクセス領域83内のIII族窒化物キャッピング層18、III族窒化物ボディ層17およびIII族窒化物チャネル層16の一部を、例えばドライエッチングによって除去するステップと、III族窒化物材料構造の表面を露出させるステップと、トレンチ凹部35を形成するステップとを含む。除去されたIII族窒化物材料層の露出側壁はゲート領域81内に形成され、III族窒化物チャネル層16の上面に対する露出側壁の角度は30~70度である。次に、III族窒化物材料構造の露出表面上に再成長したIII族窒化物移動度向上層を形成し、この移動度向上層上にゲート誘電体34を形成する。
次に、移動度向上層およびゲート誘電体は、ソースおよびドレイン領域85および86それぞれ、ならびにオプションとして、ソース領域85内のIII族窒化物キャッピング層18の少なくとも一部において除去される。次に、デバイスを形成するステップは、p型III-Nボディ層17を電気的に活性化するために、デバイスを高温でアニールするステップを含む。次に、ソースおよびドレイン領域にアルミニウム(Al)、Ti/Alなどを含む金属スタックを堆積させることによって、ソースおよびドレインオーミックコンタクトを形成する。最後に、ゲート金属スタック33(例えば、Ti/Al)が、デバイスのゲート領域81に形成される。
【0097】
図7を参照すると、III族極性III-Nエンハンスメントモード(Eモード)デバイス700が示される。III-Nデバイス700は例えば、シリコン、炭化ケイ素、サファイア、AlN、またはGaNなどの適切な基板60上に成長された、例えば、GaNまたはAlGaNなどのIII-Nバッファ層62を含む。III-Nバッファ層62および基板60は、デバイス200の層10および12と同様の特性を有するか、または同じである。III族窒化物デバイス700はさらに、III族窒化物バッファ層62上に、例えば意図しないドーピングされた(UID)GaNのIII族窒化物チャネル層66と、III族窒化物チャネル層66上に、例えばAlxGa1-xNのIII族窒化物バリア層64とを含む。III-Nバリア層64のバンドギャップは、典型的にはIII-Nチャネル層66のバンドギャップよりも大きい。III-Nチャネル層66はIII-Nバリア層64とは異なる組成を有し、III-Nバリア層64の厚さおよび組成は、2次元電子ガス(2DEG)チャネル69(図6に破線で示す)が層64と66との間の界面に隣接するIII-Nチャネル層66内に誘起されるように選択される。
【0098】
III-Nボディ層67は、III-Nバリア層64の少なくとも一部の上に形成される。III族窒化物ボディ層67は図7に示されるように、少なくともゲートコンタクト63とソースコンタクト21との間に形成され、ソースコンタクト21とドレインコンタクト22との間のデバイスアクセス領域683の少なくとも一部において(典型的にはドライまたはウェットエッチングによって)除去される。垂直または実質的に垂直な側壁は、III族窒化物バリア層64の上面に対して平均角度αで、III族窒化物ボディ層67のドレイン側縁部に沿って形成され、上面は基板60の反対側である。図7に見られるように、角度αはほぼ90°(例えば、80°~90°)である。しかしながら、III-Nボディ層67の側壁は、基板60の反対側のIII-Nバリア層64の上面に対して、角度α<90°、例えば20°~80°で傾斜させることができる。III-Nボディ層67は、図2の層17と同様の特性を有するpドープ層または半絶縁/絶縁層(i-GaN)のいずれかとすることができる。n型ドープIII-Nキャッピング層68は、III-Nボディ層67の上に形成され、図2のIII-Nキャッピング層18と同様の特性を有することができる。ソース21はn型III-Nキャッピング層68に接触することができ、および/または、ソース21がIII-Nボディ層67と接触するように、III-Nキャッピング層に埋め込まれることができる(図示せず)。ソースをIII-Nボディ層に接続する方法、ならびに構造的構成は、デバイス200について説明したものと同じである。
【0099】
III-N材料構造層64、67、および68の一部は、ドレインコンタクト22と反対側のソースコンタクト21の側面上で除去され、III-Nチャネル層66の上面がゲート領域681内に露出される。III族窒化物層64、67、および68の垂直側壁が、III族窒化物バリア層64の上面に対して角度θでゲート領域681内に形成され、上面は基板60の反対側である。図7に見られるように、角度θはほぼ90°(例えば、80°~90°)である。しかしながら、III族窒化物層の側壁は、角度θ<90°、例えば20°~80°の間で傾斜させることができる。デバイスのゲート領域におけるIII族窒化物材料構造の側壁は実質的に垂直(90°、すなわち、非極性面)であるか、または側壁は角度θ<90°(すなわち、半極性面)で傾斜される。好ましくは、角度θは、ゲートチャネルが非極性平面上に形成されることを確実にするために90°(垂直)に近くすることができる。角度θが90°未満、例えば70°未満であり、ゲート積層体が、AlGaN/GaN層を含む再成長III族窒化物材料構造を備える場合、III族窒化物極性構造上の半極性平面はAlGaN/GaN界面に正味の正の分極電荷を誘起し、デバイス閾値電圧の望ましくない低下を引き起こす可能性がある。角度θは角度αと実質的に同じであってもよいし、2つの角度が実質的に異なっていてもよい。一方の角度は垂直であってもよく、他方の角度は傾斜していてもよく、例えば、角度αは約90°であってもよく、角度θは45°~90°であってもよい(またはその逆であってもよい)。図示されていないが、材料層64、67、および68の各々は、各層の異なる組成特性およびエッチング特性に起因して、異なる角度を有することができる。明確にするために、角度θおよびαは特に、III-Nバリア層64の上面(基板の反対側)に対するIII-Nボディ層67の角度を指す。
【0100】
ゲートコンタクト63およびゲート絶縁体層34は図7に示すように、III族窒化物材料構造の露出した垂直側壁の上に形成される。図7のデバイス700はゲート-ソース-ドレイン(G-S-D)構成を有し、すなわち、ソースコンタクト21は、ゲートコンタクト63とドレインコンタクト22との間にある。さらに、デバイス上に配置することができるソース接続されたフィールドプレート構造(図示せず)も、ゲートコンタクト63とドレインコンタクト22との間に配置され、ソース電極の全ての部分がゲートとドレインとの間に配置される(すなわち、ソースがゲートコンタクト21とドレインコンタクト22との間に完全に含まれる)。
【0101】
さらに、再成長したIII族窒化物ゲート移動度向上層65を、図7に示すように、ゲート絶縁体層34と、ゲート領域681内の露出したIII族窒化物材料構造の側壁部分との間に配置することができる。III族窒化物ゲート向上層65は例えば、図4の移動度向上層31および32とそれぞれ類似の特性を有する複数のIII族窒化物層(例えば、GaNおよびAlGaN)の組み合わせであってもよい。しかしながら、図7のデバイスにおいて、角度θが90°未満である場合、ゲート移動度向上層65はIII極配向で成長される。あるいは、再成長III族窒化物ゲート移動度向上層65は、デバイス700が空乏モードデバイスであるような特性で形成することができる。さらに、空乏モード(Dモード)デバイスは、デバイス400に記載された空乏モード再成長III-N層構造と同様にIII-Nゲート移動度エンハンスメント層65がSiでドープされ、または、角度θ(例えば、70°未満)を減少させることによって、層65内に半極性面を形成し、層65内に誘起された正味正分極電荷の大きさが閾値電圧を0V未満にするとき、製造することができる。連続した2DEGチャネル層69は、デバイスのゲート領域で除去されていないIII族窒化物バリア層64の界面近傍のIII族窒化物チャネル層66の領域に存在する。
【0102】
図8を参照すると、III族極性III-Nデバイス800の断面図が示されている。図8のIII-Nデバイス800は、第1の2DEGチャネル69および第2の2DEGチャネル69’を有することを除いて、図7のIII-Nデバイス700と同様である。第2III-Nバリア層64’および第2III-Nチャネル層66’は、III-Nチャネル層66の下に形成される。第2III-Nバリア層64’および第2III-Nチャネル層66’はそれぞれ層64および66と同様の組成および厚さを有することができ、または異なることができる。例えば、第2III-バリア層64’および第2III-Nチャネル層66’の組成および厚さは、第2の2DEGチャネル69’に誘起された電荷が第1の2DEGチャネル69に誘起された電荷よりも小さくなるように選択することができる。さらに、図8のデバイス800は、デバイス内のη回の交互AlGaN/GaN(障壁/チャネル)層がη個の2DEGチャネルを誘発するように、3以上の2DEGチャネルを有するように構成することができる。ηは5より大きくてもよい。例えば、各2DEGチャネルは、誘起された電荷が各後続の層で減少し、最も低い電荷が基板10に近いチャネル内にあり、最も高い電荷が基板10から遠いチャネル内にあるように構成することができる。デバイス700内に複数のチャネルを形成すると、必要に応じて追加のチャネルを追加することによって、2DEG電荷を移動度に関して最適化することが可能になる。さらに、各チャネルについて2DEG電荷密度を調整することにより、各チャネルの2DEG電荷を調整して、フィールドプレートを最適化することができる。チャネルがIII-N材料構造内により深いほど、チャネルをフィールドプレートすることがより困難になり、この理由のために、基板の遠位のチャネルから基板の近位のチャネルへの2DEG電荷を減少させることが好ましいことがある。加えて図8は、第1再成長III族窒化物チャネル層65(a)および第2再成長III族窒化物バリア層65(b)を有する多層として配置された再成長III族窒化物ゲート移動度向上層65の構成要素を示し、これらは、デバイス700内にも存在し得る。
【0103】
図7および図8のデバイス700および800は以下のように動作する:デバイスの閾値電圧(すなわち、ゲート領域のチャネルをオンにするのに必要な電圧)は、III-Nボディ層67、III-N再成長層65(a)および65(b)、ゲート絶縁体層34、ならびにゲートコンタクト63の間の材料スタックによって決定される。ゲートコンタクト63が、デバイスの閾値電圧よりも大きい電圧でソースコンタクト21に対してバイアスされると、デバイス681のゲート領域において、再成長したIII族窒化物ゲート移動度向上層65内に電子チャネルが形成される。ゲート領域681に形成された電子チャネルは、η個の2DEGチャネルに接続する。正の電圧がドレイン22に印加されると、電子はソース21から、導電性n型III族窒化物キャッピング層68を通って、ゲート領域の電子チャネルを通って、η個の2DEGチャネルに流れ込み、ソースコンタクト21とドレインコンタクト22との間に連続したデバイスチャネルを形成するドレイン22に流れる。
【0104】
ゲートコンタクト63がソースコンタクト21に対してデバイスの第1閾値電圧よりも低い電圧でバイアスされると、III-Nボディ層67内のp型ドーパントはIII-N層65(a)とIII-N層65(b)との界面を完全に空乏化し、これにより、ゲート63とIII-Nボディ層67との間のゲート領域681内には移動電荷も電子チャネルも存在せず、したがってデバイスチャネルはソース21とドレイン22との間で連続しない。正の電圧がドレインに印加されると、電流ブロック機構は、デバイス200について前述したものと類似している。
【0105】
図9を参照すると、III族極性III-Nデバイス900の断面図が示されている。図9のIII族窒化物デバイス900は図7のIII族窒化物デバイス700と同様であるが、デバイス900はソース-ゲート-ドレイン(S-G-D)構成を有し、すなわち、ゲートコンタクト63はソースコンタクト21とドレインコンタクト22との間にある点が異なる。デバイス800を製造するために、III-Nバリア層64を貫通して凹部が形成され、III-Nチャネル層66の上面が露出され、凹部はチャネル層66内に部分的に延在することができる。凹部の下のIII族窒化物チャネル層66の領域はオプションとして、n型(例えば、シリコンでドープされる)にドープされて、凹部領域内のデバイスチャネルの移動度を増加させることができる。III族窒化物バリア層64内の凹部は、III族窒化物ボディ層67の垂直側壁エッジと、デバイスのゲート領域681内のドレインコンタクト21との間にある。再成長したIII族窒化物ゲート移動度向上層65、ゲート絶縁体層34、およびゲートコンタクト63は図7に示されるように、III族窒化物ボディ層67の垂直側壁およびIII族窒化物バリア層64に形成された凹部の上に共形的に形成される。III-Nゲートエンハンスメント層65は例えば、図8の移動度エンハンスメント層65(a)および65(b)とそれぞれ同様の特性を有する複数のIII-N層(例えば、GaNおよびAlGaN)の組み合わせとすることができる。移動度向上層65は、ソースコンタクト21まで延びるIII族窒化物キャッピング層68の上面にわたって連続的に延びることができ、ドレインコンタクト22まで延びるIII族窒化物バリア層64の上面にわたって延びることができ、またはゲートコンタクト23は移動度向上層65をエッチングするためのエッチングマスクとして使用することができ、これにより、再成長移動度向上層はゲートコンタクト23の真下に留まるが、他の場所ではエッチング除去される、または部分的にエッチング除去される(図示せず)。
図9のデバイス900は図7のデバイス700と比較して、ドレイン側アクセス領域長が短く(すなわち、オン抵抗が低い)、ソースとドレインコンタクトとの間のピーク電界が低いことが可能であるが、しかしながら、III族窒化物バリア層64内に凹部を形成するために、追加の処理ステップおよびフォトマスク層が必要とされる場合がある。
【0106】
図10を参照すると、III族極性III-N空乏モードデバイス1000が示されている。III族窒化物デバイス1000は、適当な基板80上に成長されたIII族窒化物バッファ層182、例えば、GaN、AlGaN、または意図しないドープ(UID)されていないGaNを含み、基板80は例えば、シリコン、炭化ケイ素、サファイア、AlN、またはGaNである。III-Nバッファ層182および基板80は、デバイス100の層12および10とそれぞれ同様の特性を有するか、または同じである。III族窒化物ボディ層87は、ゲートコンタクト23とソースコンタクト21との間であってもよいが、ゲートコンタクト23とドレインコンタクト22との間ではない。例えば、III-Nボディ層87はIII-Nバッファ層全体の上に形成され、次に、図10に示すように、ゲートコンタクト23とソースコンタクト21が積層される箇所の間を除く全部分において除去される(例えば、ドライエッチングおよび/またはウェットエッチングによって)。III族窒化物ボディ層87は、図2の層17と類似の特性を有するpドープ層とすることができる。N+ドープIII-Nキャッピング層88は、III-Nボディ層87の上に形成され、図2のIII-Nキャッピング層18と同様の特性を有することができる。ソース21は前述のように、n+III-Nキャッピング層88に接触することができ、または、ソース21がIII-Nボディ層87に接触するように、III-Nキャッピング層に埋め込まれることができる。図10に示すように、III-N材料構造層87、88の一部は、ドレイン側アクセス領域883において除去され、ゲート領域881において少なくとも部分的に除去されて、III-Nバッファ層82の上面が露出される。
【0107】
チャネル層81上のIII-Nチャネル層181(例えば、再成長GaN層)およびIII-Nバリア層183(例えば、再成長AlGaN層)を、III-N材料構造の露出した上面上に形成(例えば、堆積)することができる。チャネル層181およびバリア層182は、後に形成されるソースコンタクト21とドレインコンタクト22との間に連続的に延在する。再成長したIII族窒化物層181および183は図10に示すように、ゲート領域881内のII-Nボディ層87の垂直側壁部分の上方、およびドレイン側アクセス領域883内のII-Nバッファ層182の上面の上方に共形的に、n+III族窒化物キャッピング層88の上面の上方に配置することができる。再成長されたIII-Nバリア層183のバンドギャップは、典型的には再成長されたIII-Nチャネル層181のバンドギャップよりも大きい。チャネル層181はバリア層183とは異なる組成を有し、バリア層183の厚さおよび組成は、2次元電子ガス(2DEG)チャネル89(図10において破線で示される)が層181と183との間の界面に隣接する再成長III族窒化物チャネル層181内に誘導されるように選択される。チャネル層181の厚さは、10nm~300nm、例えば50nmとすることができる。バリア層183の厚さは、1nm~100nm、例えば30nmとすることができる。ゲート電極がデバイスの閾値電圧を超えてバイアスされると、pドープされたIII族窒化物ボディ層87がデバイスのゲート領域881内の2DEGチャネルを完全に空乏化しないように、チャネル層181の厚さを十分に厚くすることができる。
【0108】
ゲート絶縁体層34およびゲートコンタクト23は、デバイスのゲート領域881において、再成長したIII族窒化物バリア層83の上面上にコンフォーマルに堆積することができる。ゲート絶縁体層34およびゲートコンタクト23は、図2のデバイス200で説明したものと同様の特性を有するか、または同一であってもよい。ソースコンタクト21およびドレインコンタクト22は、ソース領域885およびドレイン領域886にそれぞれ形成される。ソースコンタクト21およびドレインコンタクト22は、図2のデバイス200のソースコンタクトおよびドレインコンタクトと同様に構成することができる。ドレイン22は、再成長したIII族窒化物チャネル層181に接触する。ドレイン電極の2DEGチャネル89への改善された接触を可能にするために、III族窒化物チャネル層181に凹部を形成することができる。
【0109】
図10の空乏モードIII族窒化物デバイス1000は、次のように動作する。ゲート電極23がデバイスの閾値電圧よりも大きい電圧でソース21に対してバイアスされると、2DEGチャネル89はソースコンタクト21とドレインコンタクトとの間の再成長したIII族窒化物チャネル層81を通して連続的に延び、これによりデバイスはON状態となる。ゲート23がデバイスの閾値電圧より低い電圧でソース21に対してバイアスされると、2DEGチャネル19はデバイスのゲート領域881で電荷が空乏化され、したがって、デバイスチャネルはソース21とドレイン22との間で不連続であり、これによりデバイスはOFF状態になる。
【0110】
横方向ゲート領域を有する従来のIII族窒化物デバイスは典型的には前述したように、連続使用下で応力を加えられた後、閾値電圧(Vth)のシフトを示す。しかしながら、図10のデバイス1000において、III-Nボディ層87はIII-Nボディ層87のない横方向III-Nデバイスと比較した場合、デバイスのVTHシフトを低0V近くに減することができる。III-Nボディ層の利点は、デバイス200において以前に記載されている。
【0111】
図11Aは、高電圧DモードFETとモノリシックに集積され、例えば600Vよりも大きい、または1200Vよりも大きい高電圧で動作可能な集積III族窒化物デバイス1100を生成することができる低電圧EモードFETの実施例の断面図を示す。図11Aのデバイス1100は、デバイスの高電圧部分を制御するように設計された従来の空乏モードモジュールにおけるフィールドプレーティング構造36と組み合わせて、図6のデバイス600と同様のデバイスの低電圧エンハンスメントモードゲートモジュールを使用して構成される。デバイスのエンハンスメントモードゲート-モジュールは領域901として示され、フィールド-プレーティング構造36を有する空乏モード高電圧モジュールは領域902として示される。
【0112】
図11Bは、例えば600Vより大きい、または1200Vより大きい、3300Vより大きい、または10kVより大きい高電圧で動作可能な集積III族窒化物デバイス1200を作成するために、高電圧DモードFETとモノリシックに集積された低電圧EモードFETの実施例の断面図を示す。図11Bのデバイス1200は、デバイスの高電圧部分を制御するように設計された電荷バランシングモジュールと組み合わせて、図6のデバイス600と同様の低電圧増強モードゲートモジュール901を使用して構成される。デバイスのエンハンスメントモードゲートモジュールは領域901として示され、電荷バランシング構造を有する空乏モード高電圧モジュールは領域903として示される。
【0113】
電荷バランシング領域903は、デバイス1200のドレイン側アクセス領域に配置されたIII族窒化物電荷バランシング層905によって規定される。III族窒化物電荷バランシング層905材料構造は、ドレイン側アクセス領域内のトレンチ凹部35が形成された後に形成(例えば、再成長)される。III族窒化物電荷バランシング層905は電荷バランシングコンタクト領域904を介してソース電極に接続することができ、ドレイン電極から電気的に絶縁される。電荷バランシングコンタクト領域904はゲートモジュールに最も近い電荷バランシング領域903の側に形成することができ、したがって、ドレイン電極の近くの高電圧からコンタクト領域904を保護する。例えば、電荷バランシングコンタクト領域904とドレインコンタクト22との間のIII-N電荷バランシング層905の面積は、電荷バランシングコンタクト領域904とソースコンタクト21との間のIII-N電荷バランシング層905の面積よりも大きい。
【0114】
III-N電荷バランス層905は、単一のIII-N層によって、またはAl、In、またはGaN組成物を変化させた複数のIII-N層によって実現することができる。電荷バランシング層スタックは、p型III-N層とすることができる。p型ドーピングの組成は、不純物の取り込み(例えば、マグネシウム)によって、または分極ドーピング(例えば、[000-1]方向の正の分極場勾配)によって提供することができる。III-N電荷バランシング層905にわたるp型ドーピング濃度は、均一なプロファイル、複数の傾斜プロファイル、複数のボックス関数のようなプロファイル、または複数のデルタ関数のようなプロファイルを有することができる。電荷バランシング層905は、high-k誘電体材料層とすることができる。
【0115】
電荷バランシング層は、オフ状態において、層905内の正味負分極-電荷の密度がIII族窒化物チャネル層16内の正味正分極-電荷の密度の十分に類似している(例えば、50%以内)ように設計することができる。電荷バランシング層905は、小さなオフ状態のドレインバイアス電圧が印加される(例えば、30V未満)場合に、GaNチャネル16内の2DEG19および電荷バランシング層積層内の任意の正キャリア(すなわち、正孔)が、電荷バランシング領域903全体にわたって同時に空乏化するように設計することができる。電荷バランシングモジュールの厚さおよび組成は、オフ状態にあるとき、電荷バランシングがドレイン側アクセス領域において均一な横方向および垂直方向の電界を維持しながら高電圧をブロックすることができるように選択することができる。電荷バランシング領域903とドレインコンタクト23との間の距離は、空乏領域がドレインコンタクト23まで完全に延びないようにするのに十分に大きくすることができる。例えば2umよりも大きくすることができる。
【0116】
電荷バランス層905における高い正孔移動度は、p型モジュレーションドーピングIII-Nヘテロ構造を用いて達成することができ、例えば、電荷バランス層905はAlxGa1-xN層(xは0.5より大きくてもよい)から形成することができる。別の実施形態において、電荷バランシング層905は、薄いAlxGa1-xN層(xは0.5より大きくてもよい)の上に堆積された薄いGaN層で実現することができる。別の実施形態において、電荷バランス層905は、薄いAlxGa1-xN層の上に堆積された薄いGaN層の周期的な繰り返しで実現することができる(ここで、xは0.5より大きくてもよい)。III-Nヘテロ構造におけるp型ドーピング分布は均一なプロファイルを有することができ、または単一もしくは複数のボックス関数状のプロファイルを有することができ、または単一もしくは複数のデルタ関数状のプロファイルを有することができる。電荷バランシング層905の長さは、10umより長くてもよく、25umより長くてもよく、または45umより長くてもよい。
【0117】
ソース電極と電荷バランシング層905との間の接触は、図11Bの電荷バランシング接触領域904に示されている、従来の金属-半導体オーム接触を介して、またはトンネル-接合接触(図2のデバイス200におけるトンネル接合と同様)を介して形成できる。電荷バランシングコンタクトがトンネル接合で形成される実施形態の場合、n型III族窒化物層906を電荷バランシング層905とソース電極金属との間に形成することができる。さらに、n型層906は、電荷バランシングコンタクト領域904の外側で除去することができる。
【0118】
電荷バランシング層905は、空乏モードIII-Nデバイスで形成することもできる。空乏モードIII族窒化物デバイスで使用される場合、電荷バランシング層905はエンハンスメントモードデバイスのソース電極に電気的に接続される代わりに、空乏モードデバイスのゲートコンタクト23に電気的に接続することができる。
【0119】
図2-6と図9-10のデバイスを実装するためのレイアウトを、図12図13A図13B図13C図13D図13E図14A図14B図14C、および図14Dに上面図で示す。図12は第1デバイスレイアウトの上面図セクションを示し、以後、「プレーンレイアウト」と呼ばれる。垂直デバイスセクション101および横方向デバイスセクション102は図2に示されるように、ゲート領域81内のIII-Nボディ層17の垂直側壁201によって画定される。図12の上面図から見たこの領域の幅(ゲート23の幅に沿った)は真っ直ぐな領域であり、デバイスのゲート幅(WG)に対応する。「プレーンレイアウト」において、垂直側壁の平面ベクトルは、横方向デバイス部102内の電流の流れる方向に平行である。図2-6および図9-10に示すデバイス200-600および900-1000の断面図は、図12に示すように破線6’で示すことができる。
【0120】
図13Aおよび13Bは、第2デバイスレイアウト(以下、「櫛レイアウト」と呼ぶ)の上面断面を示し、垂直デバイスセクション101と側面デバイスセクション102との間の境界は、以下において符号121の「歯」と呼ぶ特徴のアレイを形成する一連のセグメントまたは曲線によって画定される。歯121は、隣接する歯の間の間隔(図13Bの寸法「a」)が20nmと20μmとの間であるように設計され、各歯の幅(図13Bの寸法「b」)は20nmと20μmとの間であり、各歯の長さ(図13Bの寸法「c」)は0μmと20μmとの間であり、歯の基部における角度(図13Bの角度「δ」)は10度と350度との間であり、歯の側面における角度(図13Bの角度「θ」)は10度と170度との間であり、歯の頂部の角度(図13Bの角度「φ」)は10°と350°との間とすることができる。好ましくは、角度δは100°と200°との間とすることができる。好ましくは、角度φは100°と200°との間とすることができる。
【0121】
あるいは、図13Cおよび図13Dに見られるように、歯のコーナーを丸くすることができる。コーナーの丸みは例えば、歯を画定するために使用されるフォトリソグラフィステップの結果、または横方向デバイス部102内のII-N材料構造を除去するために使用されるエッチングプロセスの結果である。歯の端部は半径r1を有することができ、一方、歯の内側の角部は図13Dに示されるように、半径r2を有することができる。セグメントの配列は上面図から見たゲート領域81におけるIII-Nボディ層17の縦方向の側壁エッジを表し、デバイス100-500および800-900のゲート幅(WG)に対応する。ゲートコンタクト23は、ゲート幅全体に沿って垂直側壁を覆うように、ゲート領域81の上に堆積される。
【0122】
「櫛レイアウト」を「プレーンレイアウト」と比べると、同じチップ面積でゲート幅を広げることができ、例えば、櫛レイアウトのゲート幅をプレーンレイアウトに比べて2倍、5倍、あるいはそれ以上にすることができる。これによりゲートチャネル抵抗を低減し、デバイス全体のオン抵抗を低減することができる。「櫛レイアウト」のその他の利点は、横型デバイス部102に流れる電流の方向を変えることなく、縦型ゲート側壁の平面ベクトルを任意に配向させることができることである。この設計パラメータは、垂直ゲート側壁の最良の電気的特性を達成するために必要な結晶面と、横方向デバイス部102の最良の電気的特性を達成するために必要な結晶面とが明確であるかまたは異なる場合において、有益である。図2-6と図9-10に示されるデバイス200~600および900~1000の断面図は、 図13Aに示すように、破線7’で示すことができる。
【0123】
図13Eは、代替デバイスレイアウトの上面図セクションを示し、以後、「フラクタルレイアウト」と呼ばれる。歯の端部は半径r1を有することができ、一方、歯の内側コーナーは図13Dに示されるように、半径r2を有することができる。歯の周囲は「フラクタル」とすることができ、すなわち、図13Eに見られるように、次第に小さくなる自己相似形状を有する。歯の自己相似なスケーリングは、使用されるフォトリソグラフィ装置によって決定される合理的な製作限界まで、例えば、次第に小さくなるスケールで5回まで繰り返すことができる。セグメントの配列は上面図から見たゲート領域81におけるIII-Nボディ層17の縦方向の側壁縁を表し、デバイス200-600および900-1000のゲート幅(WG)に対応する。
【0124】
図14A図14B図14C、および図14Dは、以下「アイランドレイアウト」と呼ばれる第3デバイスレイアウトの上面断面を示し、垂直デバイスセクション101と横方向デバイスセクション102との間の境界は、以下「アイランド」と呼ばれる閉じた形状のアレイによって画定される。アイランドのアレイは1次元であってもよい。すなわち、アイランドは図14Aにおいてのみ横方向に(すなわち、ドレインコンタクトに平行に)繰り返される。あるいはアイランドは2次元であってもよい。すなわち、アイランドは図14Bに見られるように、横方向および長手方向の両方に繰り返される。各アイランドの直径は、例えば1mmから100mmの間である。各アイランドの間の間隔は、1mmから100mmの間であることができる。アイランドは、正多角形、不規則多角形、円形、または任意の他の適切な形状を有することができる。アイランドは、正六角形の形状を有することができる。アイランドは、任意の向きを有することができる。アイランドが正六角形である場合、アイランドの配向は図14Aおよび図14Bに見られるように、六角形フラットがドレインコンタクトに垂直になるようにすることができる。あるいは図14Cおよび図14Dに見られるように、ドレインコンタクトに平行にすることができる。各アイランドの周辺は、上面図から見た垂直ゲート-側壁を表す。全てのアイランドの周囲の合計は、デバイスのゲート幅に対応する。ゲートコンタクト23は、アイランドの周囲に沿って垂直な側壁を覆うように、ゲート領域81の上に堆積される。ソースコンタクト21は、III-Nボディ層17およびIII-Nキャッピング層18への電気的接続を確実にするように、各アイランドのセクタ内に堆積される。図2-6および図9-10に示すデバイス200-600および900-1000の断面図は、図14Aおよび図14Bに示すように、破線8(a)’および8(b)’によって示すことができる。「アイランドレイアウト」の利点は、ゲートチャネル抵抗を低減すること、デバイスの全体的なオン状態抵抗などの「櫛レイアウト」の利点に類似している。
【0125】
図15Aは、図15Aの破線領域151によって示されるソースコンタクト21とp型III族窒化物ボディ層17との間のトンネル接合、およびソースとドレインとの間に形成される本体ダイオードを形成するために使用される詳細なIII族窒化物材料層構造を有する、III族窒化物材料構造の実施形態(図6のデバイス600の材料構造など)を示す。
図2で前述したように、p型GaNボディ層17とN型GaNキャッピング層18との間の界面として、III-Nボディ層17の上面に高濃度にドープされたp型GaN領域154(すなわち、p++GaN)(例えば、厚さ2nm~50nm、ドーピング密度5×1019cm-3より大きい)を導入し、III-Nキャッピング層18の底面に高濃度にドープされたN型GaN領域152(すなわち、N++GaN)(例えば、厚さ2nm~50nm、ドーピング密度5×1019cm-3より大きい)を導入することによって、トンネル接合コンタクトを形成することができる。N極性III-N材料におけるトンネル接合の質は、層152と層154との間に薄いAlyGa1-yN(0<y≦1)層153を挿入することによって(トンネル接合界面領域151がp+ GaN/p++ GaN/AlyGa1-yN/n++ GaN/n+ GaNであるように)、さらに改善することができる。薄いAlyGa1-yN層153の厚さは、0.5nmから5nmの間、好ましくは0.5nmから2nmの間である。好ましくは、AlyGa1-yN層153が高アルミ構成を有し、例えば、アルミ(y)の構成は50%より大きくすることができる(すなわち、y>0.5)。アルミニウム組成は、層がAlNとなるように、ほぼ100%(すなわち、y=1)とすることができる。p++層154およびn++層152はそれぞれ10~30nmの厚さであり、5x1019cm-3より大きいMgおよびSi濃度を有することができる。
【0126】
トンネル接合151は、ソースコンタクト21の金属とp型III族窒化物ボディ層17との間の電気接触を改善するために導入されている。p型III族窒化物ボディ層17の電流ブロック特性を検証するために、図15Aの材料構造は、ソースおよびドレインコンタクト21および22の間の2端子ボディ-ダイオードとして、図15Bによって示されるような特性を測定した。ここで、電流-電圧曲線AAは、ボディダイオードの整流挙動を示している。図15Bに示すように、アノード(すなわち、ソースコンタクト)が順方向バイアス(電圧範囲AB)である場合、ボディダイオードは伝導モード(~50A/cm2の電流密度)で動作し、アノードが逆方向バイアス(電圧範囲AC)である場合、ボディダイオードはブロックモード(~200μA/cm2までの漏れ電流)で動作する。
【0127】
図15Cは、p++/n++トンネル接合についての電流-電圧曲線を示し、図15Dは、図15Aの破線領域151に示される構造のようなp++/AlN/n++トンネル接合についての電流-電圧曲線を示す。図15Dにおける高度にドープされたp型GaN層154と高度にドープされたn型GaN層152との間の界面に挿入されたAlN中間層153を有するトンネル接合の接触抵抗は、上述の図の曲線の傾斜によって示されるように、AlN中間層153が省略された図15Cのトンネル接合構造の接触抵抗よりもはるかに低い。
【0128】
移動度向上層なしで作製されたトランジスタデバイスおよび2.6nmのGaN移動度向上層を備えて作製されたトランジスタデバイス(図6のGaN移動度向上層31など)の特性評価が、図16Aに示されている。カーブ162によって示される、移動度向上層のないデバイスについて、10μA/mmにおける閾値電圧(Vth)、サブスレッショルド勾配(SS)、および推定縦方向チャンネル移動度(μ)は、それぞれ、+3.5V、360mV/dec、および4.3cm2/V・sである。カーブ161によって示される移動度向上層を有するデバイスの場合、10μA/mmにおける閾値電ある(Vth)、サブスレッショルド勾配(SS)、および推定縦方向チャンネル移動度(μ)は、+2.2V、228mV/dec、および26cm2/V・sである。ゲート領域のチャネルをp型ボディ層からさらに遠ざけることにより、移動度向上層を持つデバイスの閾値電圧は、予想されるように低くシフトする。移動度向上層の有益な役割は、図16Bおよび図16Cに示されている出力曲線(Vg =0V、+2.5V、+5V、+7.5Vで得られたIds-vs-Vds)においても観察することができる。移動度向上層(図16Cに示す)を用いて製造されたデバイスは、移動度向上層(図16Bに示す)を用いずに製造されたデバイスよりも、低い側壁チャンネルRon(20.0Ω・mm対4.25Ω・mm)および高いドレイン飽和電流(Vg=+7.5Vで42mA対5mA/mm)を有する。
【0129】
次に、図16Cに示されるような移動度向上層で作製されたデバイスを、図12および図13Cに示される異なるゲート構造を用いてさらに特性測定した。2x「櫛レイアウト」のゲート側壁設計、および5x「櫛レイアウト」のゲート側壁設計を有するデバイスの電流-電圧出力曲線が、それぞれ、図17A図17B、および図17Cに示されている。出力曲線は、それぞれ22.9Ω・mm、6.6Ω・mm、および3.8Ω・mmのオン抵抗と、42mA/mm、115mA/mm、および189mA/mmのVg=+7.5Vにおけるドレイン飽和電流を示すデバイスを示す。「プレーンレイアウト」で作製したデバイスと比較して「櫛レイアウト」でゲート構造を実装することにより、著しいオン抵抗の改善を達成することができる。「プレーンレイアウト」と比較して、「櫛レイアウト」トランジスタにおいて、閾値電圧、サブ閾値勾配および移動度に有害な影響は観測されていない。
【0130】
図18は、それぞれ1V、5V、および10Vの順次増加するドレインバイアスで、5x「櫛レイアウト」および2.6nmのGaN移動度向上層で製造されたデバイス600に類似したデバイスから取得された電流-電圧曲線を示す。図18の素子は2Vを超えるVthを有し、連続的により高いドレイン電圧でバイアスされたとき、観察可能なVthシフトはなく、無視できるドレイン誘起障壁低下(DIBL)を示すとともにp型GaNボディ層を備えたゲートモジュールの優れたブロッキング特性を示す。
【0131】
デバイス閾値安定性をさらに評価するために、高温オフ状態ストレスおよび高温負ゲートバイアスストレスにおいてVthを試験した。高温オフ状態ストレスは、(Vg;Vd)=(0V;10V)、130℃で120時間を超えて実施される。対数時間間隔で、ゲート‐電圧を正の方向に掃引し、電流‐電圧伝達曲線を得る。Vthの分散は、図19の時刻の対数関数としてプロットされる。ゲートストレスが120時間を超えた後、Vthは比較的小さな負のVthシフト~0.14Vを示し、デバイスはストレス期間を通じてノーマリオフ(すなわちVth>0V)のままであった。
【0132】
高温負バイアスストレスを130°C、(Vg;Vd)=(-4V;0.1V)で120時間以上実施した。対数時間間隔で、ゲート‐電圧を負の方向に掃引し、電流‐電圧伝達曲線を得る。Vthの分散は、図20の時刻の対数関数としてプロットされる。120時間以上経過した後、閾値は0.12Vまでの比較的小さな負のVthシフトを示した。
【0133】
両方のストレス条件(オフ状態と負のゲートバイアス)の下で、デバイスはストレス期間を通してノーマリオフ特性を維持する。サブスレッショルド勾配およびサブスレッショルド漏れの劣化は観察されていない。オフ状態および負のゲートバイアス下で比較的安定なVthは、p型GaNボディ層を備えたゲートモジュールの優れた静電特性をさらに示す。
【0134】
いくつかの実施態様を説明してきた。それにもかかわらず、本明細書で説明される技法およびデバイスの趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な修正をできることが理解されるであろう。
【0135】
実施形態
【0136】
本発明は添付の特許請求の範囲において定義されるが、本発明はまた、(代替として)以下の実施形態に従って定義され得ることが理解されるべきである:
【0137】
A1. 実施形態はIII-Nデバイスを含み、以下を備える:基板上のIII-N材料構造であって、III-Nバッファ、III-Nバリア層、およびIII-Nチャネル層を備え、III-Nバリア層とIII-Nチャネル層との間の組成差によって、III-Nチャネル層に2DEGチャネルが誘起される、III-N材料構造;デバイスのソース側アクセス領域内のIII-Nチャネル層上に配置され、デバイスのドレイン側アクセス領域内のIII-Nチャネル層上には配置されず、III-Nチャネル層上に配置されたp型III-Nボディ層;p型III-Nボディ層上のn型III-Nキャッピング層;ソース電極、ゲート電極、およびドレイン電極はそれぞれ基板とは反対側の各III-N材料構造上であり;ソース電極はN型III-Nキャッピング層に接触し、p型に電気的に接続され、ドレイン電極はIII-Nチャネル層に接触し;ゲート電極がデバイスの閾値電圧未満の電圧でソース電極に対してバイアスされると、ソース電極は、2DEGチャネルから電気的に絶縁される。
【0138】
A2. III-NデバイスがN極デバイスであるA1記載の実施形態。
【0139】
A3. 前記III-Nバリア層は、前記III-Nチャネル層と前記III-Nバッファ層との間にある、A2記載の実施形態。
【0140】
A4. ゲート絶縁体層をさらに含み、前記ゲート絶縁体層および前記ゲート電極は、前記デバイスのゲート領域において、前記p型層の垂直または傾斜した側壁の上に形成され、前記ゲート電極は前記ソース電極に向かって延在する第1部分と、前記ドレイン電極に向かって延在する第2部分とをさらに含む、A1~A3のいずれか1項に記載の実施形態。
【0141】
A5. 前記III族窒化物デバイスは、ゲート電極がデバイスの閾値電圧よりも大きい電圧でソース電極に対してバイアスされたときに、ゲート絶縁体層に隣接するp型III族窒化物ボディ層に反転チャネルが形成され、前記反転チャネルがドレイン電極に正の電圧が印加されている間にソース電極を2DEGチャネルに電気的に接続するように構成される、A4記載の実施形態。
【0142】
A6. 前記III-Nデバイスは、前記ゲート電極が前記デバイスの閾値電圧よりも高い電圧で前記ソース電極に対してバイアスされている間に、2DEGチャネルを含む導電性デバイスチャネルが前記ソース電極から前記ドレイン電極まで連続的に延在し、前記ゲート電極が前記閾値電圧よりも低い電圧で前記ソース電極に対してバイアスされ、前記ドレイン電極が前記ソース電極に対して正の電圧バイアスを有するように構成され、前記デバイスチャネルは、前記III-Nデバイスの前記ゲート領域において移動電荷が空乏化される、A4またはA5に記載の実施形態。
【0143】
A7. ゲート絶縁層とIII-Nボディ層との間にIII-N層構造をさらに含む、A4、A5またはA6の実施形態。
【0144】
A8. 前記III-N層構造は、前記ソース側アクセス領域において前記III-Nキャッピング層と接触し、前記ドレイン側アクセス領域において前記III-Nチャネル層と接触する、A7に記載の実施形態。
【0145】
A9. 前記III-N層構造は、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に連続的に延在する、A7またはA8に記載の実施形態。
【0146】
A10. III-N層構造は、III-Nボディ層と接触するGaN層を少なくとも含む、A7、A8またはA9の実施形態。
【0147】
A11. 前記III-N層構造は、前記ゲート絶縁層と前記GaN層との間にAlxGa1-xN層をさらに含み、xが0.5と1との間である、A10に記載の実施形態。
【0148】
A12. III-Nボディ層の垂直または傾斜した側壁と、反対側のIII-N材料構造の上面との間の角度が、20°~80°である、A4~A11のいずれかに記載の実施形態。
【0149】
A13. III-Nボディ層とIII-N材料構造との間に0.5nm~5nmの範囲の厚さを有するAlN層をさらに含む、A1~A12のいずれかに記載の実施形態。
【0150】
A14. III-Nボディ層とIII-Nキャッピング層との間に0.5nm~5nmの範囲の厚さを有するAlN層をさらに含む、A1~A13のいずれかに記載の実施形態。
【0151】
A15. 前記ソース電極は前記p型III-Nボディ層に直接接触し、電気的に接続されている、A1~A14のいずれかに記載の実施形態。
【0152】
B1. 実施形態はIII族窒化物トランジスタを含み、以下を備える:III族窒化物材料構造;前記III族窒化物材料構造内の横方向2DEGチャネルに接続されたドレイン電極;電流ブロッキング層によって前記横方向2DEGチャネルから分離されたソース電極;ソース電極と前記横方向2DEGチャネルとの間の傾斜または垂直チャネルに流れる電流を変調するように構成されたゲート電極;前記トランジスタの閾値電圧は0Vよりも大きい。
【0153】
B2. 前記電流ブロッキング層は、50nmを超える厚さを有する、B1に記載の実施形態。
【0154】
B3. 電流ブロッキング層がドープされたp型であり、トランジスタの垂直チャネルは、ゲート電極がトランジスタの閾値電圧を下回る電圧でソース電極に対してバイアスされたとき、実質的に電子が空乏化される、B1またはB2記載の実施形態。
【0155】
B4. 傾斜または垂直チャネルと横方向2DEGチャネルとの間の角度が20°~80°である、B1、B2またはB3記載の実施形態。
【0156】
B5. 前記電流ブロッキング層と前記ゲート電極との間にIII族窒化物層構造をさらに含む、B1-B4のいずれか一項に記載の実施形態。
【0157】
C1. 実施形態は電子デバイスを含み、以下を備える:N極III族窒化物材料構造であって、前記III族窒化物材料構造は、III族窒化物チャネル層、p型GaNボディ層、n型GaNキャッピング層を備える;ソースコンタクトとドレインコンタクトとの間のゲートコンタクトであって、前記p型GaNボディ層は前記ソースコンタクトと前記III族窒化物チャネル層との間にあり、前記ドレインコンタクトは前記III族窒化物チャネル層と直接接触する;前記p型GaNボディ層のゲートコンタクトと側壁との間のIII族窒化物層構造であって、前記III族窒化物層構造は前記ソースコンタクトと前記ゲートコンタクトとの間の第1領域において前記n型GaNキャッピング層と接触し、前記ゲートコンタクトと前記ドレインコンタクトとの間の第2領域において前記III-Nチャネル層と接触する。
【0158】
C2. 前記III-N層構造が、前記ソースおよびドレインコンタクトの間で連続している、C1に記載の実施形態。
【0159】
C3. III-N層構造がGaN層を含む、C1またはC2の実施形態。
【0160】
C4. III-N層構造がAlyGa1-yN層をさらに含み、yが0.5より大きい、C3に記載の実施形態。
【0161】
C5. GaN層の厚さが2nm~10nmである、C3またはC4の実施形態。
【0162】
C6. 前記n型GaNキャッピング層のシート抵抗が前記III-Nチャネル層のシート抵抗よりも低い、C1~C5のいずれかに記載の実施形態。
【0163】
C7. 前記p型GaNボディ層は、2nm~5μmの厚さおよび5×1019cm-3未満のドープ濃度を有する、C1~C6のいずれかに記載の実施形態。
【0164】
C8. 前記第2領域における前記III-Nチャネル層の厚さは、前記第1領域における前記III-Nチャネル層の厚さよりも小さい、C1~C7のいずれかに記載の実施形態。
【0165】
C9. 前記III族窒化物チャネル層の組成は、前記分極場の勾配が[0 0 0 -1]方向において負になるように勾配が付けられる、C1~C8のいずれかに記載の実施形態。
【0166】
C10. III-N材料構造がIII-Nバックバリア層をさらに含み、III-Nチャネル層が、p型GaNボディ層とIII-Nバックバリア層との間にある、C1~C9のいずれかの実施形態。
【0167】
C11. III-Nバックバリア層が第1部分、第2部分および第3部分を含み、第1部分はn型GaNを含み、第2部分は変化する組成物を有するAlGaNを含み、第3部分は一定の組成物を有するAlGaNを含む、C10の実施形態。
【0168】
C12. n型GaNにシリコンがドープされている、C11記載の実施形態。
【0169】
D1. 実施形態は電子デバイスを含み、以下を備える:第2ドーピング密度を有する第1p型GaN層上に第1ドーピング密度を有する第1n型GaN層を含むN極性III族窒化物材料構造;少なくとも部分的に前記n型GaN層上にある電極;前記電極がトンネル接合を介して前記p型層に電気的に接続され;前記トンネル接合が前記p型GaN層と前記n型GaN層との間の界面において0<y≦1であるAlGa1-yN層を含む。
【0170】
D2. 前記n型層内に凹部をさらに含み、前記電極が少なくとも部分的に前記凹部内にある、D1に記載の実施形態。
【0171】
D3. 前記凹部の少なくとも一部が前記p型GaN層の上面に延在し、前記電極の一部が前記p型GaN層に直接接触し、前記トンネル接合は、前記n型層内の前記凹部の側壁を介して、前記電極と前記p型GaN層との間に形成される、D2記載の実施形態。
【0172】
D4. yが0.5より大きく、AlGa1-yN層の厚さが0.5nm~5nmである、D1~D3のいずれかの実施形態。
【0173】
D5. 前記トンネル接合は、第1n型GaN層とAlyGa1-yN層との間の第2n型GaN層と、第1p型GaN層とAlyGa1-yN層との間の第2p型GaN層とをさらに含み、第2n型GaN層および第2p型GaN層が、第1および第2ドーピング密度よりも大きなドーピング密度を有する、D1~D4のいずれか1項に記載の実施形態。
【0174】
D6. 前記第2p型GaN層および前記第2n型GaN層は、それぞれ、2nmから50nmの間の厚さおよび5×1019cm-3を超えるドーピング密度を有する、D5に記載の実施形態。
【0175】
D7. 前記第1p型GaN層が、2nm~5μmの厚さおよび5×1019cm-3未満のドーピング密度を有する、D1~D6のいずれか一項に記載の実施形態。
【0176】
E1. 実施形態はIII-Nデバイスを動作させる方法を含み、前記方法は以下を有する:閾値電圧よりも大きい電圧でソースコンタクトに対してゲートコンタクトをバイアスするステップであって、反転チャネルがゲート絶縁体層とp型III族窒化物層との間の垂直界面に形成され、それによって、ソースコンタクトを横方向2DEGチャネルに電気的に接続するステップ;ソースコンタクトに対して正の電圧でドレインコンタクトをバイアスするステップ;電子がソースコンタクトから反転チャネルを通って、横方向2DEGチャネルに向かって流れ;ソースコンタクトとドレインコンタクトとの間に連続デバイスチャネルが形成される。
【0177】
E2. さらに、ゲートコンタクトをソースコンタクトに対して閾値電圧未満の電圧でバイアスするステップを有し;p型III族窒化物層は、p型III族窒化物層とゲート絶縁体層との間の垂直界面における任意の電荷を完全に空乏化し、これにより、反転チャネルが存在せず、デバイスチャネルがソースコンタクトと横方向2DEGチャネルとの間で不連続となる、E1記載の実施形態。
【0178】
E3. ドレインコンタクトを最小電圧よりも大きな正の電圧でバイアスするステップをさらに含み、2DEGチャネルはソース側アクセス領域において電荷が完全に空乏化される、E1またはE2記載の実施形態。
【0179】
E4. 前記最小電圧が10V未満である、E3に記載の実施形態。
【0180】
F1. 実施形態は電子デバイスを含み、以下を備える:基板と、前記基板上のIII族窒化物材料構造;ゲート電極およびゲート絶縁層であって、前記ゲート絶縁層は前記III族窒化物材料構造と前記ゲート電極との間にある;ソース電極およびドレイン電極であって、前記ソース電極は前記III族窒化物材料構造と接触する部分を備え、前記ソース電極および前記ドレイン電極は前記基板とは反対側の前記III族窒化物材料構造の側面上にある;前記III族窒化物材料構造と接触するソース電極の部分は、前記ゲート電極と前記ドレイン電極との間に形成される。
【0181】
F2. ゲート領域およびアクセス領域をさらに備え、前記ゲート領域が前記ゲート電極の下にあり、かつ前記アクセス領域が前記ゲート電極と前記ドレインとの間にある;前記III族窒化物材料構造が第1III族窒化物チャネル層および第1III族窒化物バリア層を含み、組成差が、前記ゲート領域と前記ドレインとの間に延びる第1の2DEGチャネルを誘導する、F1記載の実施形態。
【0182】
F3. 前記III族窒化物材料構造は、前記III族窒化物チャネル層の上に絶縁性GaN層を含み、前記絶縁性GaN層は、前記III族窒化物材料構造と接触する前記ソース電極の部分と前記2DEGチャネルとの間にある、F1またはF2の実施形態。
【0183】
F4. 前記III族窒化物材料構造は前記III族窒化物チャネル層の上にp型GaN層を含み、ぜんkイp型GaN層は、前記III族窒化物材料構造に接触するソース電極の部分と前記2DEGチャネルとの間にある、F1またはF2の実施形態。
【0184】
F5. 前記p型GaN層の上にn型GaN層をさらに含み、前記ソース電極が前記n型GaN層および前記p型GaN層に接続され、前記n型GaN層および前記p型GaN層が前記ソース電極と前記ゲート領域との間に延在する、F4に記載の実施形態。
【0185】
F6. 前記デバイスはさらに、GaN/AlGaN層を含む再成長III族窒化物層構造を備え、前記再成長III族窒化物層は前記ゲート絶縁層と前記p型GaN層との間に形成され、前記デバイスが閾値電圧を超えてバイアスされると、前記ゲート領域内の電流伝導チャネルが前記再成長III族窒化物層を通って延びる、F4またはF5の実施形態。
【0186】
F7. 前記III-N材料構造は以下を備える:2次III-Nチャネル層;基板と1次III-Nチャネル層との間に形成された2次III-Nバリア層;組成差が、ゲート領域とドレインとの間に延在する第2の2DEGチャネルを誘導する、F1~F6のいずれかに記載の実施形態。
【0187】
F8. III-N材料構造のIII-NチャネルとIII-Nバリア層とを交互にデバイス内でη回繰り返すことにより、η個の2DEGチャネルが誘導される、F7の実施形態。
【0188】
F9. 各III-Nバリア層の組成は、誘導電荷が各後続層で減少し、最低電荷が基板に近接する2DEGチャネル内にあり、最高電荷が基板電荷に遠位のチャネル内にあるように構成される、F8の実施形態。
【0189】
G1. 実施形態は電子デバイスを含み、以下を備える:基板上のIII-N材料構造であって、前記III-N材料構造は以下を備える:III-Nバッファ層上のIII-Nチャネル層;III-Nチャネル層上のIII-Nバリア層;III-Nバリア層とIII-Nチャネル層との間の組成差によって、III-Nチャネル層内に横方向2DEGチャネルが誘起される;基板の反対側のIII-N材料構造上のソースコンタクト、ゲートコンタクト、およびドレインコンタクト;ソース側アクセス領域内のIII-Nバリア層上に配置され、ドレイン側アクセス領域内のIII-Nバリア層上には配置されない、p型III-Nボディ層;ソースコンタクトはp型III-Nボディ層に電気的に接続され、ドレインはデバイスが下にバイアスされたときに2DEGチャネルに電気的に接続され、ソースはデバイスが閾値電圧未満にバイアスされたとき2DEGチャネルから電気的に絶縁される。
【0190】
G2. ゲート絶縁体層をさらに含み、ゲート絶縁体層およびゲートコンタクトは、ゲート領域においてp型III族窒化物ボディ層の垂直側壁上に形成され、ゲートコンタクトは、ソースコンタクトに向かって延在する第1部分と、ドレインコンタクトに向かって延在する第2部分とを含む、G1記載の実施形態。
【0191】
G3. p型III族窒化物ボディ層の垂直側壁とドレインコンタクトとの間の領域においてIII族窒化物チャネル層の上面を露出させるゲート領域内のIII族窒化物バリア層を通じてて形成された凹部をさらに含む、G1またはG2の実施形態。
【0192】
G4. 前記ゲート絶縁層と前記III-Nボディ層との間に形成された追加のIII-N層構造をさらに含み、前記追加のIII-N層構造は、前記凹部内に少なくとも部分的に形成される、G3に記載の実施形態。
【0193】
G5. 前記ゲート絶縁層および前記ゲートコンタクトは、前記凹部内に少なくとも部分的に形成される、G3またはG4に記載の実施形態。
【0194】
G6. 凹部の下のIII族窒化物チャネル層の領域がシリコンでドープされる、G3、G4およびG5記載の実施形態。
【0195】
G7. デバイスが閾値電圧より大きい電圧でバイアスされたとき、電子チャネルが、デバイスのゲート領域内の追加のIII族窒化物層構造内に形成され、電子チャネルは正の電圧がドレインに印加されたとき、ソースコンタクトを2DEGチャネルに電気的に接続する、G4-G6のいずれかに記載の実施形態。
【0196】
G8. 閾値電圧が0Vより大きいG7記載の実施形態。
【0197】
G9. 前記追加のIII-N層構造が、前記ソースコンタクトと前記ドレインコンタクトとの間に連続的に延在する、G4-G8のいずれかに記載の実施形態。
【0198】
G10. 前記追加のIII-N層構造が、前記III-Nボディ層と接触するGaN移動度向上層と、前記GaN移動度向上層と接触するAlGaN移動度向上層とを備える、G4-G9のいずれかに記載の実施形態。
【0199】
G11. AlGaN移動度向上層のアルミニウム組成が、全III族材料組成と比較して50%を超えるアルミニウムでG10に記載の実施形態。
【0200】
G12. 前記ゲート領域における前記III-Nボディ層の垂直側壁は、前記基板と反対側の前記III-Nバリア層の上面に対して角度を有し、前記角度が20°~80°である、G1~G10のいずれかに記載の実施形態。
【0201】
G13. 前記デバイスは前記III-Nボディ層と前記III-Nバリア層との間に配置されたAlN層をさらに含み、前記AlN層は、0.5nm~5.0nmの厚さを有する、G1~G11のいずれかに記載の実施形態。
【0202】
G14. 前記デバイスはさらに、III-Nボディ層とIII-Nキャッピング層との間に配置されたAlN層を備え、前記AlN層は、0.5nmと5.0nmとの間の厚さを有する、G1-G12のいずれかの実施形態。
【0203】
H1. 実施形態はIII-Nデバイスを含み、以下を備える:基板上のIII族窒化物材料構造;前記III族窒化物材料構造は、III族窒化物バッファ層と、ソース側アクセス領域内のIII族窒化物バッファ層上に配置されドレイン側アクセス領域においてIII族窒化物バッファ層上に配置されないp型層;基板とは反対側のIII族窒化物バッファ層上にソースコンタクト、ゲートコンタクト、およびドレインコンタクト;ソースコンタクトとドレインコンタクトとの間に延在するIII族窒化物材料構造上に形成されるIII族窒化物チャネル層およびIII族窒化物バリア層;III族窒化物バリア層とIII族窒化物チャネル層との組成差によってIII族窒化物チャネル層に2DEGチャネルが誘起され;ソースコンタクトがp型層に接続され、p型層の側壁角によってIII族窒化物チャネル層の半極性結晶配向がゲートコンタクトの下の領域で形成される。
【0204】
H2. 前記III-Nチャネル層は、10nm~300nmの厚さを有する、H1に記載の実施形態。
【0205】
H3. III-Nバリア層が1nm~100nmの厚さを有する、H1またはH2の実施形態。
【0206】
H4. デバイスが空乏モードデバイスである、H1、H2またはH3の実施形態。
【0207】
I1. 実施形態は電子デバイスを含み、以下を備える:基板上のn極性III-N材料構造であって、前記III-N材料構造は、III-Nバッファ層上のIII-Nバリア層と、III-Nバリア層上のIII-Nチャネル層とを備え、III-Nバリア層とIII-Nチャネル層との間の組成差によって、III-Nチャネル層内に横方向2DEGチャネルが誘起される;ソース側アクセス領域内のIII-Nチャネル層上のp型III-Nボディ層であって、前記p型III-Nボディ層はIII-Nチャネル層の上面に対して非ゼロ角度の側壁を有する;p型III-Nボディ層上のN型III-Nキャッピング層;N型III-Nキャッピング層に接触するソースコンタクト;III-Nチャネル層に接触するドレインコンタクト;ゲートコンタクトに接触するゲート絶縁層;前記ゲート絶縁層は非ゼロ角度でp型III-Nボディ層の側壁に接触する。
【0208】
I2.前記ゲート絶縁層と前記III-Nボディ層との間に形成された追加のIII-N層構造をさらに含む、I1に記載の実施形態。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13A
図13B
図13C
図13D
図13E
図14A
図14B
図14C
図14D
図15A
図15B
図15C
図15D
図16A
図16B
図16C
図17A
図17B
図17C
図18
図19
図20