(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-23
(45)【発行日】2024-01-31
(54)【発明の名称】植え込み式人工気管支
(51)【国際特許分類】
A61F 2/04 20130101AFI20240124BHJP
【FI】
A61F2/04
(21)【出願番号】P 2021525100
(86)(22)【出願日】2019-11-19
(86)【国際出願番号】 US2019062132
(87)【国際公開番号】W WO2020106675
(87)【国際公開日】2020-05-28
【審査請求日】2021-05-07
(32)【優先日】2019-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521195504
【氏名又は名称】パルマイヤー・メディカル・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100119426
【氏名又は名称】小見山 泰明
(72)【発明者】
【氏名】リマ,マルセロ・ジー
(72)【発明者】
【氏名】ロサ,ムリロ・プンデク
(72)【発明者】
【氏名】ブレーゼ,ランドール・エル
【審査官】井出 和水
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0338822(US,A1)
【文献】特開2006-055330(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0138070(US,A1)
【文献】特表2009-511173(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0070626(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0072914(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0158651(US,A1)
【文献】特表2008-545453(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
植え込み式人工気管支(100)であって、当該植え込み式人工気管支(100)は、
織り合わされて格子構造を形成する1本の単一ファイバ又は2本以上の撚り合されたファイバで構成され、近位上位開口部(104)及び前記近位上位開口部(104)と流体連通している遠位下位開口部(106)を有する本体(102)であって、当該本体(102)の長さに沿って前記遠位下位開口部(106)に向かって少なくとも部分的にテーパしていて、空気が当該本体(102)を通って前記植え込み式人工気管支(100)に出入りするのを許容するように構成された複数の側方開口部(110)を有し、当該近位上位開口部(104)近傍の部分から当該近位上位開口部(104)に半径方向内向きにテーパが付けられた織り込み部分を含む、本体(102)、を備えており、
前記本体(102)の長さは当該本体(102)の最大外径(D
3)の大きさの4倍より大きく、
前記近位上位開口部(104)の外径(D
1)は前記遠位下位開口部(106)の外径(D
2)より大きい、植込み式人工気管支(100)。
【請求項2】
請求項1に記載の植え込み式人工気管支において、
前記本体(102)が、近位部(120)、第1中間部(122)、第2中間部(124)、及び遠位部(126)を含み、前記近位部(120)は前記本体(102)の中心軸に向かってテーパを付けられている、植え込み式人工気管支。
【請求項3】
請求項2に記載の植え込み式人工気管支において、
前記第1中間部(122)及び前記第2中間部(124)は前記近位部(120)と前記遠位部(126)の間に配置され、前記第1中間部(122)は前記近位部(120)に近接し、前記第2中間部(124)は前記遠位部(126)に近接し、前記第1中間部(122)は第1のテーパを有し、前記第2中間部(124)は前記第1テーパより大きい第2のテーパを有している、植え込み式人工気管支。
【請求項4】
請求項2に記載の植え込み式人工気管支において、
前記第1中間部(122)の平均外径は、前記近位部(120)の平均外径、前記第2中間部(124)の平均外径、及び前記遠位部(126)の平均外径より大きい、植え込み式人工気管支。
【請求項5】
請求項4に記載の植え込み式人工気管において、
前記遠位部(126)の前記平均外径は、前記近位部(120)の前記平均外径、前記第1中間部(122)の前記平均外径、及び前記第2中間部(124)の前記平均外径より小さい、植え込み式人工気管支。
【請求項6】
請求項4に記載の植え込み式人工気管支において、
前記第1中間部(122)の前記平均外径は前記本体(102)の前記最大外径(D
3)に等しいか又はそれより小さい、植え込み式人工気管支。
【請求項7】
請求項4に記載の植え込み式人工気管支において、
前記第2中間部の前記外径は前記本体の前記長さに沿って前記第1中間部から前記遠位部にかけて一定の変化率で減少している、植え込み式人工気管支。
【請求項8】
請求項4に記載の植え込み式人工気管支において、
前記遠位部の前記外径は前記第2中間部近傍と前記遠位下位開口部近傍とで同じである、植え込み式人工気管支。
【請求項9】
請求項2に記載の植え込み式人工気管支において、
前記近位部(120)は前記第1中間部(122)から前記近位上位開口部(104)にかけて前記本体(102)の中心軸に向かってテーパを付けられている、植え込み式人工気管支。
【請求項10】
請求項1に記載の植え込み式人工気管支において、
前記本体の最大外径は前記近位上位開口部の前記外径より大きい、植え込み式人工気管支。
【請求項11】
請求項1に記載の植え込み式人工気管支において、
前記本体は格子構造を形成する単一ファイバで構成されたウェブであり、前記単一ファイバは端同士を前記本体の中間部近傍にて織り合わされている、植え込み式人工気管支。
【請求項12】
請求項1に記載の植え込み式人工気管支において、
前記近位上位開口部の前記外径は前記遠位下位開口部の前記外径の2倍より大きい、植え込み式人工気管支。
【請求項13】
請求項11に記載の植え込み式人工気管支において、
前記単一ファイバはシリコーン又はポリマーのうちの少なくとも1つで被覆されている、植え込み式人工気管支。
【請求項14】
請求項1に記載の植え込み式人工気管支において、
前記本体(102)は、可撓性を有し、前記ファイバの様々なセグメントが互いに交差したり互いの上を動きスライドしたりするのを許容する、植え込み式人工気管支。
【請求項15】
請求項1に記載の植え込み式人工気管支において、
前記本体(102)は、交互交差織パターンに配置された単一ファイバ(108)を含み、
前記複数の側方開口部(110)は、前記単一ファイバ(108)の交互交差織パターンで形成されて、前記近位上位開口部(104)近傍での130度と前記遠位下位開口部(106)近傍での20度の間を範囲とする角度を有する、植え込み式人工気管支。
【請求項16】
請求項1に記載の植え込み式人工気管支であって、
前記近位上位開口部にて前記本体へ連結された少なくとも1つの回収ループ、を更に備えている植え込み式人工気管支。
【請求項17】
請求項16に記載の植え込み式人工気管支において、
前記少なくとも1つの回収ループは前記近位上位開口部から前記本体の中心軸に平行な方向に延びている、植え込み式人工気管支。
【請求項18】
請求項1に記載の植え込み式人工気管支であって、
前記本体上に配置された少なくとも1つの放射線不透過性マーカー、を更に備えている植え込み式人工気管支。
【請求項19】
請求項1に記載の植え込み式人工気管支において、
前記本体は6mm~12mmの最大外径を有している、植え込み式人工気管支。
【請求項20】
請求項1に記載の植え込み式人工気管支において、
前記本体はPEEKで構成されている、植え込み式人工気管支。
【請求項21】
請求項1に記載の植え込み式人工気管支において、
前記本体はニッケルとチタンの金属合金で構成されている、植え込み式人工気管支。
【請求項22】
請求項1に記載の植え込み式人工気管支において、
前記植え込み式人工気管支は前記本体へ連結された弁を含んでいない、植え込み式人工気管支。
【請求項23】
植え込み式人工気管支であって、当該植え込み式人工気管支は、
近位上位開口部及び前記近位上位開口部と流体連通している遠位下位開口部を有する本体であって、前記近位上位開口部は当該本体の中心軸に向かってテーパし、当該本体は、前記近位上位開口部近傍の部分から前記遠位下位開口部近傍の部分に向かって一定してテーパし、空気が当該本体を通って前記植え込み式人工気管支に出入りするのを許容するように構成された複数の側方開口部を有し、当該本体は、
当該本体の中心軸に向かってテーパを付けられた近位部、
第1の中間テーパを有する第1中間部、
前記第1の中間テーパより大きい第2の中間テーパを有する第2中間部、及び、
一定した遠位外径を有する遠位部、を備え、前記第1中間部及び前記第2中間部は前記近位部と前記遠位部の間に配置され、
前記近位上位開口部(104)の外径(D
1)は遠位下位開口部(106)の外径(D
2)の少なくとも2倍大きく、前記近位上位開口部(104)の外径(D
1)は当該本体の前記近位上位開口部(104)近傍の当該本体(102)の最大外径(D
3)より小さく、当該本体(102)の当該最大外径(D
3)は当該近位上位開口部(104)近傍にある、本体を備えており、
前記本体(102)は、可撓性を有し、
1本の単一ファイバ又は2本以上の撚り合されたファイバの様々なセグメントが互いに交差したり互いの上を動きスライドしたりするのを許容する、植え込み式人工気管支。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
[0002](関連出願の相互参照)
本願は、「植え込み式人工気管支」(“Implantable Artificial Bronchus”)という名称で2018年11月19日に出願された米国仮特許出願第62/769,104号、並びに「植え込み式人工気管支」(“Implantable Artificial Bronchus”)という名称で2019年2月14日に出願された米国仮特許出願第62/805,568号の恩典を主張し、両仮特許出願のそれぞれを参照によりここにそっくりそのまま援用する。
【技術分野】
【0002】
[0003]本発明は、概括的には、植え込み式人工気管支及び同植え込み式人工気管支を肺気腫及び慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療のために植え込む方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0004]慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、長期の呼吸障害、貧弱気流、息切れ、咳嗽、及び喀痰を引き起こすことがある。肺気腫はCOPDの一形態であり、COPDを患う大多数の個体によって経験される。
【0004】
[0005]肺気腫は、肺組織の断裂及び肺胞壁の破壊に起因する肺細葉のガス交換ユニットの永続的拡大によって特徴づけられる。肺組織のこの漸進的不可逆的な崩壊は、弾性力の喪失、つまり吸った空気を吐き出すことができないと表現される肺弾性収縮力の喪失を招く。また肺組織の崩壊は貧弱気流ひいては呼吸ガスの貧弱な吸込及び放出の一因となる。
【0005】
[0006]肺気腫のための現在の治療は限定的であり、症状の改善を提供するに留まる。例えば、現在の医薬品の大半は炎症性要素を治療するだけである。また、低酸素症患者及び肺リハビリテーションのための酸素補給が、COPDの重症例での死亡率を改善することが示された唯一の医学的治療である。外科的肺容量減少術の様な外科的手法はごく一部の患者にしか適応とならず、その手技は病変した気腫性肺組織を取り除くことを要する侵襲的なものである。気管支鏡技法やステントなどの他の方法が、現在、重度のCOPDの治療のために開発されつつあり、過去10年に亘って進展を遂げてきた。しかしながらこれらの方法は、双方向気流を許容しないし、呼吸細気管支の遠位レベル内に十分奥深く進まないし、例えば植え込まれたステントの過早閉鎖又は患者への損傷加速のせいで患者へ長期的な改善を提供しもしない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国仮特許出願第62/769,104号
【文献】米国仮特許出願第62/805,568号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
[0007]したがって、肺気腫及びCOPDのためのより有効な治療であって、低侵襲的であり、双方向気流を含み、呼吸細気管支のより深い世代の中へ進むことができ、長期的に患者への損傷を引き起こしやすくもなく、また肺内の癒合機序を誘発することもない治療の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[0008]本発明の実施形態は、近位上位開口部及び近位上位開口部と流体連通している遠位下位開口部を有する本体を含む植え込み式人工気管支であって、本体が、本体の長さに沿って遠位下位開口部に向かって少なくとも部分的にテーパしていて、空気が本体を通って植え込み式人工気管支に出入りするのを許容するように構成された複数の側方開口部を有している、植え込み式人工気管支に向けられている。本体の長さは、本体の最大直径の大きさの4倍より大きく、近位上位開口部の直径は遠位下位開口部の直径より大きい。
【0009】
[0009]いくつかの実施形態では、本体は、近位部、第1中間部、第2中間部、及び遠位部を含み、近位部は本体の中心軸に向かってテーパを付けられている。第1中間部及び第2中間部は近位部と遠位部の間に配置されるとしてもよい。第1中間部は近位部に近接し、第2中間部は遠位部に近接しているとしてもよい。第1中間部は第1のテーパを有し、第2中間部は第1テーパより大きい第2のテーパを有し得る。
【0010】
[0010]いくつかの実施形態では、第1中間部の直径は、近位部の直径、第2中間部の直径、及び遠位部の直径より大きくてもよい。遠位部の直径は、近位部の直径、第1中間部の直径、及び第2中間部の直径より小さくてもよい。第1中間部の直径は本体の最大直径に等しいか又はそれより小さくてもよい。第2中間部の直径は、本体の長さに沿って第1中間部から遠位部にかけて一定して減少していてもよい。遠位部の直径は、第2中間部近傍と遠位下位開口部近傍とで実質的に同じであってもよい。
【0011】
[0011]いくつかの実施形態では、近位部は近位上位開口部から第1中間部にかけてラッパ状に広がっていてもよい。
【0012】
[0012]いくつかの実施形態では、本体の最大直径は近位上位開口部の直径より大きくてもよい。
【0013】
[0013]いくつかの実施形態では、本体は格子構造を形成する単一ファイバで構成されたウェブであってもよく、単一ファイバは端同士を本体の中間部近傍にて織り合わされていてもよい。単一ファイバは、シリコーン又はポリマーのうちの少なくとも1つで被覆されていてもよい。
【0014】
[0014]いくつかの実施形態では、近位上位開口部の直径は遠位下位開口部の直径の2倍より大きい。
【0015】
[0015]いくつかの実施形態では、植え込まれた状態では、本体は、本体の第1の長さに沿って第1の半径方向に及び本体の第2の長さに沿って第1の半径方向とは反対の第2の半径方向に湾曲するように構成されることができる。
【0016】
[0016]いくつかの実施形態では、複数の側方開口部は、近位上位開口部近傍での大凡130度と遠位下位開口部近傍での20度の間を範囲とする角度を含んでいてもよい。
【0017】
[0017]いくつかの実施形態では、植え込み式人工気管支は、近位上位開口部にて本体へ連結された少なくとも1つの回収ループを含んでいてもよい。少なくとも1つの回収ループは、近位上位開口部から本体の中心軸に実質的に平行な方向に延びていてもよい。
【0018】
[0018]いくつかの実施形態では、植え込み式人工気管支は、本体上に配置された少なくとも1つの放射線不透過性マーカーを含んでいる。
【0019】
[0019]いくつかの実施形態では、本体は、大凡6mm~大凡12mmの最大直径を有していてもよい。本体はPEEKで構成されていてもよい。本体はニッケルとチタンの金属合金で構成されていてもよい。更に、本体は交互交差織パターンに配置された単一ファイバを含んでいてもよい。
【0020】
[0020]いくつかの実施形態では、植え込み式人工気管支は、本体へ連結された弁又はノズル含まないものとすることができる。
【0021】
[0021]本発明の別の実施形態は、近位上位開口部及び近位上位開口部と流体連通している遠位下位開口部を有する本体を含む植え込み式人工気管支であって、近位上位開口部が本体の中心軸に向かってテーパしている植え込み式人工気管支を提供することができる。本体は、近位上位開口部近傍の部分から遠位下位開口部近傍の部分に向かって一定してテーパしていて、空気が本体を通って植え込み式人工気管支に出入りするのを許容するように構成された複数の側方開口部を有していてもよい。本体は、本体の中心軸に向かってテーパを付けられた近位部、第1の中間テーパを有する第1中間部、第1の中間テーパより大きい第2の中間テーパを有する第2中間部、及び一定した遠位直径を有する遠位部、を含んでいてもよい。第1中間部及び第2中間部は近位部と遠位部の間に配置されるとしてもよい。近位上位開口部の直径は遠位下位開口部の直径の少なくとも2倍大きくてもよく、近位上位開口部の直径は本体の近位上位開口部近傍の本体の最大直径より小さくてもよい。植え込まれた状態では、本体は、本体の第1の長さに沿って第1の半径方向に及び本体の第2の長さに沿って第1の半径方向とは反対の第2の半径方向に湾曲するように構成されることができる。
【0022】
[0022]本発明の別の実施形態は、肺の排気(disinsufflation)を促進する方法であって、圧縮された植え込み式人工気管支を中に収容したカテーテルを患者の肺の呼吸通路の中へ遠位方向に挿入する工程と、カテーテルを植え込み式人工気管支に対して近位方向に後退させ、植え込み式人工気管支を裸出させ、植え込み式人工気管支を自然に展開させ、植え込み式人工気管支を呼吸通路の展開を促進する構成で呼吸通路に留まらせる工程と、を含む方法を提供することができる。
【0023】
[0023]いくつかの実施形態では、カテーテルはガイドカテーテルであり、植え込み式人工気管支は細気管支通路の中へ延びることができる。
【0024】
[0024]本発明の別の実施形態は、植え込み式人工気管支を空気通路へ送達する方法であって、植え込み式人工気管支を送達デバイスの中へ挿入する工程を含んでいる方法を提供することができる。送達デバイスは、近位端、遠位端、外面、及び外面の周りに動かすことのできる作動器、を有するハンドルを含んでいてもよい。送達デバイスは、更に、外シース及び送達ワイヤを含む送達部を含み、外シースはハンドルの作動器へ連結されハンドルの遠位端から外へ延びており、外シースは遠位端及び少なくとも1つのスロットを有しており、植え込み式人工気管支は送達デバイスの中へ遠位端を介して挿入されるようになっていてもよい。送達ワイヤは、ハンドルの近位端へ連結され、ハンドルの遠位端から外へ出て、送達ワイヤが外シース内に配置されるように外シースの中へ延びており、送達ワイヤは停止部材を含み、植え込み式人工気管支の送達デバイスの中への挿入後、停止部材は植え込み式人工気管支に近接して配置されることができる。方法は、更に、送達デバイスの送達部を気管支鏡の中へ、外シースが気管支鏡の作業チャネル内に配置されるようにして挿入する工程と、気管支鏡を介し気管支通路を通って送達部を前進させる工程と、作動器を介して外シースを引き込み、送達ワイヤ及び植え込み式人工気管支を露出させ、植え込み式人工気管支を自然に展開させ気管支通路に留まらせる工程と、送達デバイスを気管支通路から気管支鏡の作業チャネルを通して抜去する工程と、を含む。
【0025】
[0025]いくつかの実施形態では、植え込み式人工気管支を送達デバイスの中へ挿入する工程は、縫合糸を植え込み式人工気管支の少なくとも1つの近位ループに通す工程と、縫合糸を引いて植え込み式人工気管支を折りたたませる工程と、縫合糸及び植え込み式人工気管支を外シースの遠位端を通して挿入する工程と、植え込み式人工気管支が送達デバイス内に留まるようにして縫合糸を植え込み式人工器官及び送達デバイスから少なくとも1つのスロットを介して抜去する工程と、を含む。
【0026】
[0026]上記の要約は、植え込み式人工気管支の諸実施形態についての以下の詳細な説明と同じく、例示としての実施形態の添付図面と関連付けて閲読されればより深く理解されるだろう。ただし本発明は示された通りの配置及び手段に限定されないものと理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の1つの実施形態による或る例示としての植え込み式人工気管支の斜視図である。
【
図2】
図1に示された植え込み式人工気管支の側面図である。
【
図3】
図1に示された植え込み式人工気管支の近位端から見た端面図である。
【
図4】
図1に示された植え込み式人工気管支の遠位端から見た端面図である。
【
図5】
図1に示された植え込み式人工気管支の遠位端から見た拡大図である。
【
図6】回収ループを有することが示されている
図1の植え込み式人工気管支の側面図である。
【
図7】
図6に示された植え込み式人工気管支の斜視図である。
【
図9】本発明の1つの実施形態による例示としての植え込み式人工気管支の或る例示としての使用の説明図である。
【
図10】本発明の1つの実施形態による例示としての植え込み式人工気管支の或る例示としての使用の説明図である。
【
図11A】本発明の1つの実施形態による或る例示としての計測カテーテルの説明図である。
【
図12A】本発明の1つの実施形態による或る例示としての送達デバイスの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[0039]本発明の例示としての諸実施形態は、植え込み式人工気管支及び同植え込み式人工気管支を植え込む方法を提供している。使用時、植え込み式人工気管支100はCOPD及び肺気腫を有する個体内の気道の開きを実現しやすくすることができる。具体的には、植え込み式人工気管支100は、気管支及び細気管支の様な呼吸通路を開かせそして開いたままに保つことによって、呼吸通路内に閉じ込められた空気が出てゆくことを可能にさせることができる。植え込み式人工気管支100の呼吸通路内植え込みは、気管支及び細気管支の壁が拘束されるのを回避し、それにより通路を通る気流を許容する。
図1及び
図2に示されている様に、植え込み式人工気管支100は、本体102、近位上位開口部104、遠位下位開口部106、ワイヤ又はファイバ108、及び側方開口部110を含むことができる。本体102は、近位上位開口部104と遠位下位開口部106の間に配置されていて、ファイバ108で構成されていてもよい。植え込み式人工気管支100は、植え込み式人工気管支100の気管支の中への挿入及び次第に狭くなってゆく遠位の細気管支内への侵入を可能にさせるように少なくとも部分的にテーパを付けられていてもよい。例えば、植え込み式人工気管支100は、近位上位開口部104が気管支内に配置され、遠位下位開口部106がレベル9~15の呼吸細気管支(終末細気管支)にできる限り接近して到達することができるように、呼吸通路内に配備されることができる。
【0029】
[0040]
図1及び
図2に示されている様に、植え込み式人工気管支100は本体102で構成されていてもよい。1つの実施形態では、本体102は遮るものがなく本体102へ連結された弁を含んでいない。植え込み式人工気管支100の本体102は、近位上位開口部104に向かって略円筒状、本体102の大部分については円錐状、そして遠位下位開口部106に向かって略円筒状をしていてもよい。本体102は、最大直径D
3を有し、本体102の長さLに沿って近位上位開口部104近傍及び近位上位開口部104と遠位下位開口部106の間でテーパを付けられていてもよい。例えば、本体102は、近位部120、第1中間部122、第2中間部124、及び遠位部126を含んでいてもよい。第1中間部122及び第2中間部124は、第1中間部122が近位部120に近接し第2中間部126が遠位部126に近接して、近位部120と遠位部126の間に配置されていてもよい。近位部120は、中心軸Aに向かってテーパしていて、中心軸Aに対して大凡40~50度の間で近位上位開口部104に向かって傾斜する勾配128を有していてもよい。第1中間部122は近位部120より大きい直径を有していて形状が略円筒状であってもよい。例えば、第1中間部122は、略均一直径を有しているか又は中心軸Aに向かって僅かなテーパを有していてもよい。第1中間部122は、中心軸Aに対して大凡2~4度の間で遠位下位開口部106に向かって傾斜する勾配130を有していてもよい。第1中間部122が近位部120より大きい直径を有していることは、第1中間部122が気管支の壁に係合し、壁が潰れるのを防ぎ、植え込み式人工気管支100を固定するのを可能にさせる。例えば、第1中間部122は、植え込み式人工気管支100を気管支のレベル3又は4に近接して定着させることができるだろう。或る実施形態では、第1中間部122の直径は実質的に最大直径D
3と同じであってもよい。別の実施形態では、最大直径D
3は近位部120と第1中間部122の間に配置されていてもよい。近位部120及び第1中間部122は気管支内に配置されることができる。第2中間部124は形状が円錐状であってもよい。第2中間部124は中心軸Aに向かってテーパしていて漸進的に減少する直径を有していてもよい。第2中間部124は、中心軸Aに対して大凡10~12度の間で遠位下位開口部106に向かって傾斜する勾配132を有していてもよい。第2中間部124の直径は、第1中間部122の直径より小さく、第1中間部122に比べて急激にテーパしていてもよい。第2中間部124の、第1中間部122近傍の区分は気管支に配置されることができる。第2中間部124は、細気管支の中へ延び、遠位部126までテーパし得る。遠位部126は、形状が円筒状であり、第2中間部124、第1中間部122、及び近位部120より小さい直径を有していてもよい。遠位部126は細気管支内に配置されることができる。或る実施形態では、遠位部126は何れのテーパも含んでおらず、したがって遠位部126の第2中間部124近傍の直径は遠位下位開口部106近傍の直径と同じである。例えば、遠位部126は、遠位下位開口部106の直径D
2と実質的に同じ大凡約2mmの内径を有していてもよい。或る実施形態では、遠位部126は中心軸Aに向かってテーパしていて、中心軸Aに対して大凡1~3度の間で遠位下位開口部106に向かって傾斜する勾配134を有していてもよい。更に別の実施形態では、遠位部126は中心軸Aから離れてラッパ状に広がっていてもよい。例えば、遠位部126は、植え込み式人工気管支100を細気管支内に深く挿入しすぎるのを防止するためにラッパ状に広がっていてもよい。勾配128、130、132、及び134は、大凡0度と15度の間であってもよい。勾配128、130、132、及び134は、本体102の長さLに基づいて変えられてもよい。例えば、第2中間部124の勾配132は、長さLが大凡50mmのときは大凡4.3度、長さLが大凡80mmのときは大凡2.7度であってもよい。実施形態によっては、植え込み式人工気管支の設置時に勾配128、130、132、及び134を設置させるのにより大きなテーパ度を有するのが好都合である。
【0030】
[0041]1つの実施形態では、本体102の形状及び長さは、植え込み式人工気管支100が呼吸通路の中へ挿入され、レベル15より向こうの肺胞に近い呼吸細気管支(>15レベル)にて呼吸通路を開いたままに保ち、結果的に、閉じ込められた空気がより低い世代へ出て行けるようにする。本発明の或る実施形態によれば、本体102の長さLは本体102の最大直径D3の4倍より大きくてもよい。例えば、本体102の最大直径D3が9.5ミリメートルと10.5ミリメートルの間であり、本体102の最大長さLが50ミリメートル又は80ミリメートルであってもよい。いくつかの実施形態では、本体102の長さLは本体102の最大直径D3の2.5倍、3倍、3.5倍、4.5倍、5.5倍、6倍、6.5倍、7倍、7.5倍、8倍、8.5倍、9倍、9.5倍、又は10倍より大きくてもよい。本体102の最大直径D3が9ミリメートルであることは、植え込み式人工気管支100が6~8ミリメートルの気管支内に配備されることを可能にさせるだろう。ただし、最大直径D3は、大凡6mm、大凡7mm、大凡8mm、大凡10mm、大凡11mm、又は大凡12mmなどの所望される何れの大きさであってもよく、本体102の最大長さLは、80ミリメートルより大きい、又は50ミリメートルより小さい、又は50ミリメートルと80ミリメートルの間であってもよい。1つの実施形態では、植え込み式人工気管支100の最大直径D3は大凡10.5mmであるように製造されていて、それが呼吸通路内に配備される際には大凡8mm又はそれ以下に縮小される。使用時、最大直径D3は、呼吸周期及び呼吸通路の拡張収縮に基づいて25~50%の間で変化し得る。最大直径D3は同じく植え込み式人工気管支100の可撓性に因っても変化し得る。例えば、最大直径D3は呼吸サイクル中などの気管支の直径の変化に基づいて増加又は減少することがある。本体102の最大長さLは、より短い又はより長い呼吸通路内に嵌る大きさになるように長さが変えられてもよい。例えば、本体102の最大長さLは、より深奥のより細い呼吸細気管支に侵入するにはより長くてもよい。
【0031】
[0042]本発明の或る実施形態では、本体102の様々な最大長さLを有する複数の植え込み式人工気管支100を含むキットが提供され得る。例えば、キットは、本体102の最大長さLが50ミリメートルである1つの植え込み式人工気管支100と、本体102の最大長さLが80ミリメートルである別の植え込み式人工気管支100と、本体102の最大長さLが80ミリメートルより大きい第3の植え込み式人工気管支100と、を含んでいてもよい。外科医は、患者の解剖学的構造に基づいて、キットから本体102の特定の最大長さLを有する植え込み式人工気管支100を1つ選択することができる。また、本体102の最大直径D3は、近位上位開口部104近傍の部分に位置し、呼吸通路の上位レベルの気管支壁を押圧する大きさであってもよい。最大直径D3が近位上位開口部104近傍に位置することは、近位上位開口部104が気管支壁に接触するのを防止又は低減し、近位上位開口部104を介した植え込み式人工気管支100の調節、回収、及び抜去を支援することができるだろう。
【0032】
[0043]本発明の或る実施形態によれば、本体102の直径は、近位上位開口部104近傍の本体102の部分から遠位下位開口部106にかけて減少していてもよい。例えば、本体102は、近位上位開口部104近傍の部分から遠位下位開口部106に向かって一定してテーパしていてもよい。本体102は、大凡9.5mmである本体102の最大直径D3から大凡2mmである遠位下位開口部106の直径D2へ一定してテーパしていてもよい。他の実施形態では、本体102は、近位端から最初に僅かにテーパし、中間部でより劇的にテーパし、次いで遠位端に向かって僅かにテーパしているか又は全くテーパしていない。例えば、本体102は、最大直径D3から本体102の或る区域、例えば遠位下位開口部106から大凡2mmに位置する区域にかけて一定してテーパしていてもよい。その後、本体102は大凡2mmの残りの長さ分はテーパ無しに平坦であってもよい。本体102のテーパ比(rate of taper)は本体102の最大長さLに基づいて変えられてもよい。例えば、本体102の最大長さLがより低い場合には本体102のテーパ比はより大きくてもよい。
【0033】
[0044]
図1及び
図2を参照して、近位上位開口部104は、植え込み式人工気管支100中の及び植え込み式人工気管支100を通る双方向の気流を可能にさせるために遠位下位開口部106と流体連通していてもよい。近位上位開口部104は直径D
1を有し、遠位下位開口部106は直径D
2を有していてもよい。いくつかの実施形態によれば、近位上位開口部104の直径D
1は遠位下位開口部106の直径D
2より大きくてもよい。例えば、近位上位開口部104の直径D
1は、遠位下位開口部106の直径D
2の2倍より大きくてもよい。別の例では、近位上位開口部104の直径D
1は大凡7.5mmであり、遠位下位開口部106の直径D
2は大凡2mmであってもよい。ただし、近位上位開口部104の直径D
1は、大凡5mmと14mmの間、大凡6mmと13mmの間、大凡7mmと12mmの間、大凡8mmと11mmの間、又は大凡約9mmと10mmの間であってもよい。また、直径D
2は、大凡0mmと6mmの間、大凡1mmと5mmの間、又は大凡2mmと4mmの間であってもよい。実践では、近位上位開口部104の直径D
1と遠位下位開口部106の直径D
2は、遠位細気管支など様々な呼吸気管支及び細気管支レベル内に嵌り及び到達する大きさとすることができる。例えば、1つの実施形態では、遠位下位開口部106の直径D
2は、大凡2.5mmと大凡3mmの間の直径を有するレベル15の呼吸細気管支内に嵌り及び到達するために大凡2mmと大凡3mmの間になるように大きさを設定されてもよい。また、別の実施形態では、遠位下位開口部の直径D
2は、直径が大凡1.5mmから大凡1mmである呼吸細気管支レベル16~18の様な呼吸細気管支のより深いレベル内に嵌り及び到達するために大凡2mmより小さい例えば1.5mmなどであってもよい。
【0034】
[0045]
図3に示されている様に、本体102の最大直径D
3は近位上位開口部104の直径D
1より大きくてもよい。また、近位上位開口部104近傍の本体102の部分は、呼吸通路内部の植え込み式人工気管支100の簡単で効率的な抜去を可能にさせるために本体102の中心軸Aに向かってテーパしていてもよい。例えば、本体102の近位上位開口部104近傍の部分が本体102の中心軸Aに向かってテーパを付けられていることは、植え込み式人工気管支100の挿入及び設置中に近位上位開口部104近傍の本体102の何れかの部分が気管支内で肺組織を穿孔してしまうのを防ぐ。
【0035】
[0046]本体102は、織られたワイヤ又はファイバで構成された格子構造であってもよい。1つの実施形態では、本体102は1本のワイヤ又はファイバ108で構成されている。1本のファイバ108は複数の側方開口部110を形成するように交差織パターンに配置されていてもよい。1本のファイバ108の端同士は本体102の中心近くで接続され一体に連結されていてもよく、1本のファイバ108の接続部は放射線不透過性マーカー112内に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、1本のファイバ108の端同士は本体102の中心近くで織り合わされてもよい。例えば、1本のファイバ108の端同士は、第1中間部122又は第2中間部124に沿って、織り合わされ及び配置されていてもよい。ただし、1本のファイバ108の端同士は本体102の任意の位置にて又は他のやり方で一体に連結されていてもよい。1本のファイバ108の端同士は、並列に織られ、織り合わされたときには互いに反対の方向に進んでいてもよい。
【0036】
[0047]
図1及び
図2は、ファイバ108が1本であることを示しているが、ファイバ108は2本又はそれ以上のファイバ素線で構成されていてもよい。例えば、本体
102は、撚り合わされた2本、3本、4本、又は任意の数のファイバで構成されていてもよい。複数のファイバを利用することは本体102の耐久性を高め、本体102の疲労を軽減するだろう。或る実施形態では、複数のファイバの各ファイバは異なる直径を有していてもよい。例えば、より太い直径を有するファイバが近位部120及び第1中間部のために使用され、より細い直径を有するファイバが第2中間部124及び遠位部126のために使用されてもよい。本発明の或る実施形態では、本体102を構成するために複数ファイバが互いに平行に配置されていてもよい。別の実施形態では、本体102を構成するために複数ファイバが編み合わされていてもよい。
図1及び
図2に示されている様に、本体102のファイバ108は交互交差織パターンに配置されてウェブ様の構造を作り出していてもよい。ただし、本体102のファイバ108は、所望される何れかの他のやり方で配置されてもよい。例えば、本体102のファイバ108は、本体102の形状を維持するためのより剛性な構造を提供するように返し編み(back-braiding)式に配置されてもよい。
【0037】
[0048]本発明の或る実施形態によれば、ファイバ108は、例えばポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの熱可塑性ポリマーで構成されていてもよい。他の実施形態では、ファイバ108は、ポリマー、金属、金属合金、又はステンレス鋼のうちの1つ又はそれ以上で構成されている。本体102のファイバ108は、ニッケルとチタンの金属合金の様な形状記憶効果を有する金属合金で作られていてもよい。ただし、ファイバ108は、例えばポリマー、金属メッシュ、又はその他の種類の材料など、任意の他の種類の材料のファイバであってもよく、シリコーンなどの覆いを含んでいてもよい。或る好適な実施形態では、本体102のファイバ108はPEEKの単一ファイバで構成されている。いくつかの実施形態では、本体102のファイバ108はPEEKで構成されていて、0.30mmの直径を有している。或る実施形態では、本体102のファイバ108は、PEEKの様な形状記憶効果を有する材料で作られている。ファイバ108は、大凡0.15mmと大凡0.40mmの間の直径を有していてもよい。或る好適な実施形態では、ファイバ108は大凡0.25mmの厚さを有している。本発明の或る実施形態では、本体102の構造を作成するために、ファイバ108は、チタン、セラミック、工具鋼、又はステンレス鋼から作られ得るテーパ付きマンドレルに被せて織られる。テーパ付きマンドレルは、ファイバ108を所定の位置に保持するための一連のピンを含んでいる。テーパ付きマンドレルは、直径D1を形成するために小さい近位直径を有し、ファイバ108を設置するための溝を含んでいてもよい。植え込み式人工気管支100は、ファイバ108をテーパ付きマンドレル上に設置し、それを織って本体102を形作ることによって製作されることができる。或る実施形態では、ファイバ108の織られた組立体が炉に入れられ、ファイバ108は大凡140度の第1の温度まで加熱されてから、植え込み式人工気管支100の本体102の形状が定まるように冷まされる。植え込み式人工気管支100は、次いで、例えば別のマンドレルなどの第2の整形用の型上に設置され、本体102の最終形状が定まるように大凡170度の第2の温度まで加熱される。第1の温度及び第2の温度は、使用される材料に応じて変えられてもよい。
【0038】
[0049]本発明の或る実施形態では、
図5に示されている様に、ファイバ108は、相似被覆118を含んでいてもよい。1つの実施形態では、被覆118は、シリコーン又は他のポリマーで構成された被覆材料であってもよい。ファイバ108は、植え込み式人工気管支100の最終形状の形成に先立って被覆118で覆われてもよい。被覆118は、ファイバ108への保護を追加し、ファイバ108の生体適合性に役立ち、気管支及び細気管支の通路の肺組織に対するファイバ108の摩擦を軽減して植え込み式人工気管支の呼吸通路内挿入の容易さを高めるように構成されることができる。被覆118は、0.05mmと0.1mmの間の厚さを有していてもよい。
【0039】
[0050]引き続き
図1及び
図2を参照して、本体102は側方開口部110を含んでいてもよい。側方開口部110は、ファイバ108の織り交ぜに因り作成される。本体102はファイバ108のみによって形成され、本体102の長さLに沿って配置された側方開口部110を含んでいるだけであってもよい。本発明の1つの実施形態では、側方開口部110は周囲組織と直接接触するようになっていてもよい。例えば、本体102及び植え込み式人工気管支100が、その周りに配置された何れの覆いもシースも含まず、側方開口部110が気管支及び細気管支の周囲壁に直接接触するがままにさせてもよい。実践では、側方開口部110は、空気が本体102を通って植え込み式人工気管支100を出入りするのを許容するように構成されることができる。植え込み式人工気管支100の側方開口部110は、植え込み式人工気管支100が配備される主呼吸通路から分岐する他の呼吸通路へのアクセスを可能にさせるだろう。これらの他の呼吸通路は、側副換気に因り作り出されることがある。
図1及び
図2に示されている様に、側方開口部110は、本体102の全長Lに沿って配置されていてもよい。側方開口部110は、近位上位開口部104近傍及び遠位下位開口部106近傍の本体102に配置されていてもよい。
図1及び
図2は側方開口部110がダイヤモンド形状をしていることを示しているが、側方開口部110はファイバ108の交差織パターンに依存した所望の何れの形状であってもよい。1つの実施形態では、側方開口部110はファイバ108の織り交ぜによって作り出される角度α及びβを含んでいてもよい。角度α及びβは、大凡130度と大凡20度の間であり得る。角度αは近位上位開口部104近傍に配置され、角度βは遠位下位開口部106近傍に配置されるとしてもよい。角度αは角度βより大きくてもよい。いくつかの実施形態では、角度αは22度より小さく、角度βは130度より大きい。角度αとβは本体102の長さLに沿って近位上位開口部104から遠位下位開口部106にかけて減少していてもよい。1つの実施形態では、角度αは近位上位開口部104近傍で大凡115度であり、角度βは遠位下位開口部106近傍で大凡22度である。角度αとβが近位上位開口部104から遠位下位開口部106にかけて減少してゆくことは、結果的に、本体102を長さLに沿ってテーパさせることになる。いくつかの実施形態では、本体102は中心軸Aに沿って配置された15個乃至35個の側方開口部110を含んでいてもよい。
【0040】
[0051]
図4を参照して、植え込み式人工気管支100を遠位端から見たときに側方開口部110が見えないようになっていてもよい。例えば、植え込み式人工気管支100の挿入及び植え込み中に側方開口部110が周囲組織に係合するのを防ぐ又は制限するために、植え込み式人工気管支100を遠位端から見たときに側方開口部110が見えないようなやり方で側方開口部110が本体102に沿って配置されるようにしてもよい。
【0041】
[0052]
図1-
図4を参照して、植え込み式人工気管支100は1つ又はそれ以上の放射線不透過性マーカー112を含んでいてもよい。1つ又はそれ以上の放射線不透過性マーカー112は、植え込み式人工気管支100の様々な箇所に配置されることができる。例えば、
図1-
図3に示されている様に、放射線不透過性マーカー112は、近位上位開口部104近傍の本体102上に配置されていてもよい。ただし、放射線不透過性マーカー112は、近位部120、第1中間部122、第2中間部124、又は遠位部126の様な本体102に沿ってどこに配置されてもよい。植え込み式人工気管支100は何れの数の放射線不透過性マーカー112を本体100に沿って配置させて含んでいてもよい。例えば、植え込み式人工気管支100は、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、又は所望される任意の数の放射線不透過性マーカー112を含むことができる。放射線不透過性マーカー112は、既知の画像化技法と共に使用されることができ、植え込み式人工気管支100の設置を判定するのに使用されることができ、更には植え込み式人工気管支100の回収又は抜去にも役立つことができる。加えて、放射線不透過性マーカー112は、植え込み式人工気管支100及び本体102の特定の部分の正確な位置を求めるのに使用できるだろう。例えば、近位上位開口部104近傍の本体102上に配置された放射線不透過性マーカー112が、植え込み式人工気管支100の近位端の位置をユーザーに指し示して植え込み式人工気管支100の適正なアラインメント及び位置を判定させることができる。本発明の或る実施形態では、放射線不透過性マーカー112はファイバ108の周りに配置されている。
図3に示されている様に、ファイバ108は放射線不透過性マーカー112に挿通されていてもよい。ただし、放射線不透過性マーカー112はファイバ108の上に配置されることもできるし、又はファイバ108の下に配置されることもできる。
【0042】
[0053]
図6及び
図7を参照して、植え込み式人工気管支100は1つ又はそれ以上の回収ループ114を含んでいてもよい。回収ループ114は、呼吸通路からの植え込み式人工気管支100の回収及び抜去に役立つだろう。本発明の或る実施形態では、回収ループ114は本体102へ一体化されている。例えば、回収ループ114は、ファイバ108の交差織パターンへ一体化するように構成されていてもよい。回収ループ114は、近位上位開口部104付近で本体102へ一体化されていてもよい。本発明の別の実施形態では、回収ループ114は、二次的プロセスとして本体102へ連結された別個の構造である。回収ループ114は、近位上位開口部104又は本体102に沿った何れかの他の箇所の付近で本体102へ連結されていてもよい。
図6及び
図7は、植え込み式人工気管支100が1つの回収ループ114を有していることを示しているが、植え込み式人工気管支100は何れの数の回収ループ114を有していてもよい。例えば、植え込み式人工気管支100は、2つ、3つ、4つ、又は所望される任意の数の回収ループ114を有することができる。回収ループ114は、植え込み式人工気管支100の回収及び抜去中の堅牢性を高めるために本体102のファイバ108とは異なる材料から作られていてもよい。例えば、回収ループ114は、例えばMP35N、35NLT、316Lステンレス鋼、チタン、ポリマー、縫合糸材料、ポリプロピレン、ナイロン、又は何れかの他の所望される材料などの材料から作ることができる。また、回収ループ114は、ファイバ108に比較して直径が変えられてもよい。或る実施形態では、回収ループ114は大凡0.381mmの直径を有していてもよい。ただし、回収ループ114は、所望される任意の大きさの直径を有することができる。本発明の或る実施形態では、回収ループ114はハンドル116を含んでいる。ハンドル116は、回収ループ114を介してユーザーが植え込み式人工気管支100を簡単に回収又は抜去できるように構成されることができる。ハンドル116は、回収ループ114と同じ材料で作られていてもよいし、又は回収ループ114の全体的な強度を高めるために異なる材料で作られていてもよい。
【0043】
[0054]本発明のいくつかの実施形態では、回収ループ114は1つ又はそれ以上の放射線不透過性マーカー112を含んでいる。1つ又はそれ以上の放射線不透過性マーカー112が回収ループ114と共に存在することは、植え込み式人工気管支100の回収を支援することに加えて、回収ループ14及び/又は植え込み式人工気管支100の位置を求めるのを支援するだろう。本発明の或る実施形態では、回収ループ114は、本体102へ織り込まれ、本体102と共に圧縮されるように構成されていてもよい。回収ループ114が圧縮されることで、植え込み式人工気管支100全体を、挿入及び植え込みが容易になるよう圧縮させることができる。
【0044】
[0055]使用時、植え込み式人工気管支100は、肺の排気を促進するように使用され得る。
図8に示されている様に、個体の肺200は壁204を有する呼吸通路202を含んでいるだろう。呼吸通路202は気管支又は細気管支であり、壁204は呼吸通路202内の深さに依存して気管支壁であるか又は細気管支壁ということになる。COPD及び肺気腫を有する個体では、呼吸通路202の壁204が拘束されて、
図8に矢印で表されている様に気流が制限されることがある。
図9に示されている様に植え込み式人工気管支200を使用すれば、呼吸通路202の壁204が拘束されるのを回避して、
図9の矢印によって表される様に気流を許容することができる。具体的には、植え込み式人工気管支100は、気管支及び細気管支を開かせ開いたままに保つことによって、呼吸通路202内に閉じ込められた空気が出てゆけるようにするのである。
【0045】
[0056]
図9-
図10を参照して、或る実施形態では、外科医が、カテーテルを肺の呼吸通路の中へ遠位方向に挿入することによって植え込み式人工気管支100を呼吸通路の中へ設置する。カテーテルは、カテーテル内に圧縮させることのできる植え込み式人工気管支100を収容することができる。例えば、挿入及び植え込み中は植え込み式人工気管支100をカテーテル内に嵌めるために、植え込み式人工気管支100は中心軸Aに向かって半径方向に圧縮されて、植え込み式人工気管支100の直径を縮小させることができる。カテーテルは植え込み式人工気管支100に対して近位方向に後退され、植え込み式人工気管支100を裸出させ、植え込み式人工気管支100を自然に展開させて呼吸通路に留まらせることができる。本発明の別の実施形態では、植え込み式人工気管支100は、植え込み式人工気管支100を呼吸通路内に設置するための気管支鏡へ連結される。或る好適な実施形態では、植え込み式人工気管支100は、植え込み式人工気管支100がその元の形状へ展開できるようにするPEEKの様な材料で構成されている。
図9に示されている様に、植え込み式人工気管支100は呼吸通路内にて、気管支通路の拡大を促進し、ひいては肺収縮を生じさせるように構成されることができる。
【0046】
[0057]本発明の或る実施形態では、植え込み式人工気管支100の呼吸通路202の中への挿入はチャネル気管支鏡を用いて行われる。例えば、2.8mmチャネル気管支鏡が、植え込み式人工気管支100の呼吸通路202の中への挿入及び植え込みを支援するのに使用されてもよい。或る実施形態では、気管支鏡は、植え込み式人工気管支100を呼吸細気管支のレベル15へ送達するのを支援する。植え込み式人工気管支100はその圧縮状態から展開するというものなので、植え込み式人工気管支100はレベル17、18、又は19の様なより深奥の呼吸細気管支に到達することができるだろう。例えば、植え込み式人工気管支100が2~2.5mmの間の直径を有する遠位気管支内に設置されると、植え込み式人工気管支100の最大直径D3は、気管支壁204がつぶれて気道を閉鎖しないように植え込み式人工気管支100に気管支壁204を支持させることができる。また、植え込み式人工気管支100は、中枢気道を通るアクセスを介して、遠位部分に位置する呼吸通路202の中へ挿入されることができる。展性のある金属ガイドを用いて最初に植え込み経路が識別されてもよい。次に続くカテーテル通過が、植え込み式人工気管支100を圧縮状態で案内するために行われてもよい。ただし、圧縮された植え込み式人工気管支100がガイドワイヤによって直接導入されてもよい。
【0047】
[0058]
図10を参照して、植え込み式人工気管支100は、植え込み式人工気管支100の本体102が呼吸通路の形状になじむことができるように可撓性であってもよい。例えば、植え込み式人工気管支100は、遠位の細気管支に進入する際に行きつ戻りつしながらうまくすり抜けてゆくように構成されることができる。或る実施形態では、本体102は、本体102の第1の長さに沿って第1の半径方向に、また本体102の第2の長さに沿って第1の半径方向とは反対の第2の半径方向に、湾曲するように構成されている。植え込み式人工気管支100はPEEKのファイバ108の織り交ぜに因り可撓性となるように構成されることができる。例えば、本体102は、植え込み式人工気管支100の運動中にファイバ108の様々なセグメントが互いに交差したり互いの上をスライドしたりするのを許容する単一の織り交ぜ式ファイバ108で構成されていてもよい。或る実施形態では、植え込み式人工気管支100は、ファイバ108の様々なセグメント同士を連結する何れの要素も含んでおらず、それによりそれらセグメントが互いの上を動きスライドするのを許容するので、植え込み式人工気管支100の可撓性が高まる。植え込み式人工気管支100及び本体102の可撓性は、植え込み式人工気管支100が周囲組織に損傷を生じさせることなく呼吸通路内になじみ、呼吸通路内に固定されることを可能にさせる。加えて、可撓性は、複数の植え込み式人工気管支を使用する代わりに単一の植え込み式人工気管支100をより長い呼吸通路の中に使用できるようにする。また、植え込み式人工気管支100の可撓性は、植え込み式人工気管支100がレベル15より向こうの呼吸細気管支に到達することを可能にさせる。植え込み式人工気管支100は、気管支壁204への構造を提供するとともに遠位の肺胞内に閉じ込められた空気が中枢気道を経由して出て行けるように構成されることができる。植え込み式人工気管支100の形状と可撓性は、植え込み式人工気管支100が、レベル15より向こうの肺胞に近い呼吸細気管支(>15レベル)の様な遠位の呼吸細気管支にできる限り接近して到達できるようにする。
【0048】
[0059]或る実施形態では、植え込み式人工気管支100が呼吸通路内に配置されている間、本体102の側方開口部110は空気が本体102に進入するのを許容する。例えば、
図10に矢印で示されているように、空気は、より小さい分枝(side)の呼吸通路から側方開口部110を介して本体102に進入することができるだろう。これらのより小さい分枝の呼吸通路は側副換気に因り作り出されることがある。これは、植え込み式人工気管支100が呼吸通路に植え込まれている間、空気が遠位の細気管支から本体102を通って流れることを可能にさせる。
【0049】
[0060]
図11A-
図11Bを参照して、植え込み式人工気管支100の呼吸通路の中への挿入に先立って、計測カテーテル400が使用されてもよい。計測カテーテル400は、呼吸通路内の所望の目標部位の深さを求めるためにチャネル気管支鏡の中へ挿入されることができる。計測カテーテル400は、植え込み式人工気管支100の送達に先立ってチャネル気管支鏡の中へ挿入される操舵可能なワイヤであってもよい。例えば、計測カテーテル400は約2mmの固定直径を有していてもよい。計測カテーテルの直径は、2mm未満の直径を有する細気管支より向こうへの挿入を防ぐために大凡2mmとすることができる。大凡2mmの固定直径を有する計測カテーテル400は、細気管支が大凡2mmへ狭まっている箇所までの距離を計測カテーテル400が計測できるようにする。計測カテーテル400は、遠位端406、近位端404、及びハンドル402を含んでいてもよい。遠位端406及び近位端404はマーカー403を含んでいてもよい。マーカー403は、事前に画定された間隔に置かれていて、呼吸通路内に植え込み式人工気管支100を植え込むための深さ及び利用可能な空間を確定するためにチャネル気管支鏡のカメラを用いて視覚化されることができる。或る実施形態では、遠位端406のマーカー403及びマーカー403が置かれている間隔は、近位端404のマーカー403と同一である。これは、近位端404がチャネル気管支鏡の外に置かれることになるため、ユーザーがカメラのみに頼ることなく深さを求めることを可能にさせる。ハンドル402は、成形されたプラスチックハンドルであり、計測カテーテル400を操縦するのに使用されることができる。或る実施形態では、ハンドル402は、ハンドル402内の孔を接着剤で埋め戻すことによって所定位置に接着される。
【0050】
[0061]
図12A-
図12Dを参照して、植え込み式人工気管支100を送達するのに送達デバイス300が使用されてもよい。計測カテーテル400を介して深さが求められたら、送達デバイス300を使用して植え込み式人工気管支100を目標部位へ送達することができる。送達デバイス300は、送達部301とハンドル310を含んでいてもよい。送達部301は、外シース302、送達ワイヤ304、及び安定器308を含んでいてもよい。ハンドル310は、ハンドル310の遠位端313を送達部301へ連結されていてもよい。植え込み式人工気管支100は、送達部301の中へ挿入され、呼吸通路内の目標部位への送達に向けて送達デバイス300内に配置される。例えば、送達デバイス300は気管支鏡の作動チャネル内に挿入されてもよい。送達部301は、呼吸通路に挿入され、呼吸通路の中へ進められることになる。送達部301が植え込み式人工気管支100の送達のための目標部位に到達し次第、外シース302が送達ワイヤ304及び植え込み式人工気管支100を露出させるように引き込まれ、目的部位にて植え込み式人工気管支100の送達を可能にさせる。次いで送達部301は気管支鏡の作動チャネルから抜去されてもよい。
【0051】
[0062]ハンドル310は、作動器312、安定器308、近位端311、遠位端313、アンカー316、及び外面317を含んでいてもよい。作動器312は外面317上に配置されていてもよい。或る実施形態では、作動器312は外面317上のスロット319内に配置されていてもよい。作動器312は、作動器312を近位端311から遠位端313へ滑らせるようにユーザーの親指を介して作動させるようになっていてもよい。作動器312は、外シース302へ連結されていて、送達ワイヤ304を露出させるために外シース302をハンドル310の中へ引き込むように構成されていてもよい。例えば、作動器312は、ハンドル310内に配置されている外シース302の部分へ連結されていて、それにより、作動器312が近位端311へ向かって動かされると結果的に外シース302がハンドル310の中へ引き込まれるようになっていてもよい。外シース302は、外シース302をハンドル310へ固定するのを支援する安定器308を通過していてもよい。或る実施形態では、外シース302は、安定器308及びハンドル310に対して可動である。外シース302は、遠位端315、スロット307、及びマーカー318を含んでいて、ハンドル310の遠位端313へ連結されていてもよい。マーカー318は、呼吸通路内の外シース302の様々な位置を求めるのを手助けするのに使用され得る。送達ワイヤ304は、外シース302内に配置されていて、剛性材料で構成されていてもよい。送達ワイヤ304は、ハンドル310の近位端311から外シース302の遠位端315へ延びていてもよい。送達ワイヤ304は、ハンドル310の近位端311のアンカー316へ固着されていてもよい。アンカー316は、外シース302が送達ワイヤ304に対して可動となるように送達ワイヤ304を固定する構成であってもよい。送達ワイヤ403は、送達ワイヤ304の端に配置され得るストッパ305を含んでいてもよい。ストッパ305は、外シース302内でスロット307に近接して配置されることができる。
【0052】
[0063]或る実施形態では、植え込み式人工気管支100が、外シース302の遠位端部315の中へスロット307に近接して、つまり送達ワイヤ304のストッパ305に近接して挿入される。スロット307は外シース302の遠位端315近傍に位置することができる。植え込み式人工気管支100は、縫合糸を近位上位開口部104のループに通すことによって遠位端315の中へ挿入されることができる。縫合糸の端は漏斗を通過し、外シース302に入り、スロット307から外へ出てもよい。縫合糸の端を引っ張り、この引っ張りが植え込み式気管支100を引いて漏斗を通し、結果的に植え込み式人工気管支100を折りたたませることによって、植え込み式人工気管支100は外シース302の遠位端315の中へ挿入される。縫合糸の端を引っ張り続けると、折りたたまれた植え込み式人工気管支100が外シース302の遠位端315の中へ引き入れられる。縫合糸は、植え込み式人工気管支100が送達ワイヤ304のストッパ305に近接するスロット307に到達するまで引かれる。次いで縫合糸はスロット307を通って引かれ、植え込み式人工気管支100から抜去される。植え込み式人工気管支100が外シース302の中へ挿入されたら、植え込み式人工気管支100は展開し得る。例えば、大凡50mmの長さLを有する植え込み式人工気管支100の本体102が外シース302内では大凡80mmの長さLを有するように展開することもある。別の例として、大凡80mmの長さLを有する植え込み式人工気管支100の本体102が外シース302内では大凡128mmの長さLを有するように展開することもある。初期挿入中に植え込み式人工気管支100はその意図された長さへ縮小し得る。植え込み式人工気管支100が送達部301の外シース302の中へ挿入されたら、外シース302は気管支鏡の作業チャネルの中へ挿入されることになる。送達部301は、呼吸通路の中へ挿入され、目標部位へ進められることができる。目標部位に到達したら、作動器312がハンドル310の近位端311に向かって動かされ、それにより外シース302がハンドル310の中へ引き込まれ、送達ワイヤ304、ストッパ305、及び植え込み式人工気管支100が露出される。外シース302が引き込まれても、植え込み式人工気管支100のハンドル310に向かう動きは、送達ワイヤ304及びストッパ305が植え込み式人工気管支100に力を働かせて植え込み式人工気管支100の動きを防げるので引き起こされない。外シース302が引き込まれ、植え込み式人工気管支100が露出したら、植え込み式人工気管支100は呼吸通路内でその元の位置へ展開するだろう。その後、送達デバイス300の送達部301は気管支鏡の作動チャネルを介して呼吸通路から引き出されることができる。
【0053】
[0064]当業者には、以上に示され説明された例示としての実施形態に対して、その広範な発明概念から逸脱することなく変更がなされ得ることが理解されるだろう。ゆえに、この発明は、示され説明された例示としての実施形態に限定されるのではなく、特許請求の範囲によって定義される本発明の精神及び範囲内の修正を網羅するものであることが理解される。例えば、例示としての実施形態の特定の特徴が特許請求の範囲に記載されている発明の部分であることもあればそうでないこともあるだろうし、開示されている実施形態の様々な特徴が組み合わされることもあるだろう。「近位」、「遠位」、「上」、「下」という用語は参照先の図面内での方向を表す。本明細書に特段の記載のない限り、原文の冠詞「a」、「an」、及び「the」の対訳である「或る」、「一」、「当該」という用語は、1つの要素に限定されるのではなく代わりに「少なくとも1つの」を意味するものと読まれるべきである。
【0054】
[0065]理解しておくべきこととして、発明の図及び説明のうちの少なくともいくらかは発明の明瞭な理解のために関連する諸要素に的を絞って簡略化されており、また一方、当業者が同じく発明の一部を構成し得ると理解するはずの他の要素は明快さを期して省略されている。ただし、その様な要素は技術的によく知られているため、そしてまたそれらは必ずしも発明のより深い理解を促すとは限らないため、その様な要素の説明は本明細書では提供されていない。
【0055】
[0066]また、本発明の方法がここに示されている特定の工程順序に依拠しない限り、特定の工程順序は特許請求の範囲への限定であると解釈されてはならない。本発明の方法に向けられた何れの請求項も、記述された順序でのそれらの工程の遂行に限定されてはならず、工程は変えられてもなお本発明の精神及び範囲内に留まり得ることを当業者は容易に理解することができる。
〔態様1〕
植え込み式人工気管支であって、当該植え込み式人工気管支は、
近位上位開口部及び前記近位上位開口部と流体連通している遠位下位開口部を有する本体であって、当該本体の長さに沿って前記遠位下位開口部に向かって少なくとも部分的にテーパしていて、空気が当該本体を通って前記植え込み式人工気管支に出入りするのを許容するように構成された複数の側方開口部を有している本体、を備えており、
前記本体の長さは当該本体の最大直径の大きさの4倍より大きく、
前記近位上位開口部の直径は前記遠位下位開口部の直径より大きい、
植込み式人工気管支。
〔態様2〕
態様1に記載の植え込み式人工気管支において、
前記本体が、近位部、第1中間部、第2中間部、及び遠位部を含み、前記近位部は前記本体の中心軸に向かってテーパを付けられている、植え込み式人工気管支。
〔態様3〕
態様2に記載の植え込み式人工気管支において、
前記第1中間部及び前記第2中間部は前記近位部と前記遠位部の間に配置され、前記第1中間部は前記近位部に近接し、前記第2中間部は前記遠位部に近接し、前記第1中間部は第1のテーパを有し、前記第2中間部は前記第1テーパより大きい第2のテーパを有している、植え込み式人工気管支。
〔態様4〕
態様2に記載の植え込み式人工気管支において、
前記第1中間部の直径は、前記近位部の直径、前記第2中間部の直径、及び前記遠位部の直径より大きい、植え込み式人工気管支。
〔態様5〕
態様4に記載の植え込み式人工気管において、
前記遠位部の前記直径は、前記近位部の前記直径、前記第1中間部の前記直径、及び前記第2中間部の前記直径より小さい、植え込み式人工気管支。
〔態様6〕
態様4に記載の植え込み式人工気管支において、
前記第1中間部の前記直径は前記本体の前記最大直径に等しいか又はそれより小さい、植え込み式人工気管支。
〔態様7〕
態様4に記載の植え込み式人工気管支において、
前記第2中間部の前記直径は前記本体の前記長さに沿って前記第1中間部から前記遠位部にかけて一定して減少している、植え込み式人工気管支。
〔態様8〕
態様4に記載の植え込み式人工気管支において、
前記遠位部の前記直径は前記第2中間部近傍と前記遠位下位開口部近傍とで実質的に同じである、植え込み式人工気管支。
〔態様9〕
態様2に記載の植え込み式人工気管支において、
前記近位部は前記近位上位開口部から前記第1中間部にかけてラッパ状に広がっている、植え込み式人工気管支。
〔態様10〕
態様1に記載の植え込み式人工気管支において、
前記本体の最大直径は前記近位上位開口部の前記直径より大きい、植え込み式人工気管支。
〔態様11〕
態様1に記載の植え込み式人工気管支において、
前記本体は格子構造を形成する単一ファイバで構成されたウェブであり、前記単一ファイバは端同士を前記本体の中間部近傍にて織り合わされている、植え込み式人工気管支。
〔態様12〕
態様1に記載の植え込み式人工気管支において、
前記近位上位開口部の前記直径は前記遠位下位開口部の前記直径の2倍より大きい、植え込み式人工気管支。
〔態様13〕
態様1に記載の植え込み式人工気管支において、
前記単一ファイバはシリコーン又はポリマーのうちの少なくとも1つで被覆されている、植え込み式人工気管支。
〔態様14〕
態様1に記載の植え込み式人工気管支において、
植え込まれた状態では、前記本体は当該本体の第1の長さに沿って第1の半径方向に及び当該本体の第2の長さに沿って前記第1の半径方向とは反対の第2の半径方向に湾曲するように構成される、植え込み式人工気管支。
〔態様15〕
態様1に記載の植え込み式人工気管支において、
前記複数の側方開口部は前記近位上位開口部近傍での大凡130度と前記遠位下位開口部近傍での20度の間を範囲とする角度を含んでいる、植え込み式人工気管支。
〔態様16〕
態様1に記載の植え込み式人工気管支であって、
前記近位上位開口部にて前記本体へ連結された少なくとも1つの回収ループ、を更に備えている植え込み式人工気管支。
〔態様17〕
態様16に記載の植え込み式人工気管支において、
前記少なくとも1つの回収ループは前記近位上位開口部から前記本体の中心軸に実質的に平行な方向に延びている、植え込み式人工気管支。
〔態様18〕
態様1に記載の植え込み式人工気管支であって、
前記本体上に配置された少なくとも1つの放射線不透過性マーカー、を更に備えている植え込み式人工気管支。
〔態様19〕
態様1に記載の植え込み式人工気管支において、
前記本体は大凡6mm~大凡12mmの最大直径を有している、植え込み式人工気管支。
〔態様20〕
態様1に記載の植え込み式人工気管支において、
前記本体はPEEKで構成されている、植え込み式人工気管支。
〔態様21〕
態様1に記載の植え込み式人工気管支において、
前記本体はNiTiNOLで構成されている、植え込み式人工気管支。
〔態様22〕
態様1に記載の植え込み式人工気管支において、
前記本体は交互交差織パターンに配置された単一ファイバを含んでいる、植え込み式人工気管支。
〔態様23〕
態様1に記載の植え込み式人工気管支において、
前記植え込み式人工気管支は前記本体へ連結された弁又はノズルを含んでいない、植え込み式人工気管支。
〔態様24〕
植え込み式人工気管支であって、当該植え込み式人工気管支は、
近位上位開口部及び前記近位上位開口部と流体連通している遠位下位開口部を有する本体であって、前記近位上位開口部は当該本体の中心軸に向かってテーパし、当該本体は、前記近位上位開口部近傍の部分から前記遠位下位開口部近傍の部分に向かって一定してテーパし、空気が当該本体を通って前記植え込み式人工気管支に出入りするのを許容するように構成された複数の側方開口部を有し、当該本体は、
当該本体の中心軸に向かってテーパを付けられた近位部、
第1の中間テーパを有する第1中間部、
前記第1の中間テーパより大きい第2の中間テーパを有する第2中間部、及び、
一定した遠位直径を有する遠位部、を備え、前記第1中間部及び前記第2中間部は前記近位部と前記遠位部の間に配置され、
前記近位上位開口部の直径は遠位下位開口部の直径の少なくとも2倍大きく、前記近位上位開口部の直径は当該本体の前記近位上位開口部近傍の当該本体の最大直径より小さい、本体を備えており、
植え込まれた状態では、前記本体は当該本体の第1の長さに沿って第1の半径方向に及び当該本体の第2の長さに沿って前記第1の半径方向とは反対の第2の半径方向に湾曲するように構成される、植え込み式人工気管支。
〔態様25〕
肺の排気(disinsufflation)を促進する方法であって、当該方法は、
圧縮された態様1に記載の植え込み式人工気管支を中に収容したカテーテルを患者の肺の呼吸通路の中へ遠位方向に挿入する工程と、
前記カテーテルを前記植え込み式人工気管支に対して近位方向に後退させ、前記植え込み式人工気管支を裸出させ、前記植え込み式人工気管支を自然に展開させ、前記植え込み式人工気管支を前記呼吸通路の拡大を促進する構成で当該呼吸通路に留まらせる工程と、
を備えている方法。
〔態様26〕
態様25に記載の方法において、
前記カテーテルはガイドカテーテルである、方法。
〔態様27〕
態様25に記載の方法において、
前記植え込み式人工気管支は細気管支通路の中へ延びる、方法。
〔態様28〕
態様1に記載の植え込み式人工気管支を空気通路へ送達する方法であって、当該方法は、
前記植え込み式人工気管支を送達デバイスの中へ挿入する工程であって、前記送達デバイスは、
近位端、遠位端、外面、及び前記外面の周りに動かすことのできる作動器、を有するハンドルと、
外シース及び送達ワイヤを含む送達部であって、前記外シースは前記ハンドルの前記作動器へ連結され前記ハンドルの前記遠位端から外へ延び、前記外シースは遠位端及び少なくとも1つのスロットを有し、前記植え込み式人工気管支は当該送達デバイスの中へ前記遠位端を介して挿入される、送達部と、
前記送達ワイヤであって、当該送達ワイヤは前記ハンドルの近位端へ連結され前記ハンドルの前記遠位端から外へ出て当該送達ワイヤが前記外シース内に配置されるように当該外シースの中へ延び、当該送達ワイヤは停止部材を含み、前記植え込み式人工気管支の前記送達デバイスの中への挿入後、前記停止部材は前記植え込み式人工気管支に近接して配置される、前記送達ワイヤと、を備えている、前記植え込み式人工気管支を送達デバイスの中へ挿入する工程と、
前記送達デバイスの前記送達部を気管支鏡の中へ、前記外シースが当該気管支鏡の作業チャネル内に配置されるようにして挿入する工程と、
前記気管支鏡を介し気管支通路を通って前記送達部を前進させる工程と、
前記作動器を介して前記外シースを引き込み、前記送達ワイヤ及び前記植え込み式人工気管支を露出させ、前記植え込み式人工気管支を自然に展開させ前記気管支通路に留まらせる工程と、
前記送達デバイスを前記気管支通路から前記気管支鏡の前記作業チャネルを通して抜去する工程と、
を備えている、植え込み式人工気管支を送達する方法。
〔態様29〕
態様28に記載の、植え込み式人工気管支を送達する方法において、
前記植え込み式人工気管支を前記送達デバイスの中へ挿入する工程は、
縫合糸を前記植え込み式人工気管支の少なくとも1つの近位ループに通す工程と、
前記縫合糸を引いて前記植え込み式人工気管支を折りたたませる工程と、
前記縫合糸及び前記植え込み式人工気管支を前記外シースの前記遠位端を通して挿入する工程と、
前記植え込み式人工気管支が前記送達デバイス内に留まるようにして前記縫合糸を前記植え込み式人工器官及び前記送達デバイスから前記少なくとも1つのスロットを介して抜去する工程と、を備えている、植え込み式人工気管支を送達する方法。
【符号の説明】
【0056】
100 植え込み式人工気管支
102 本体
104 近位上位開口部
106 遠位下位開口部
108 ワイヤ又はファイバ
110 側方開口部
112 放射線不透過性マーカー
114 回収ループ
116 ハンドル
118 被覆
120 近位部
122 第1中間部
124 第2中間部
126 遠位部
128 近位部の勾配
130 第1中間部の勾配
132 第2中間部の勾配
134 遠位部の勾配
200 肺
202 呼吸通路
204 壁
300 送達デバイス
301 送達部
302 外シース
304 送達ワイヤ
307 スロット
308 安定器
310 ハンドル
311 ハンドルの近位端
312 作動器
313 ハンドルの遠位端
315 外シースの遠位端
316 アンカー
317 外面
318 マーカー
400 計測カテーテル
402 ハンドル
403 マーカー
404 計測カテーテルの近位端
406 計測カテーテルの遠位端
A 中心軸
D1 近位上位開口部の直径
D2 遠位下位開口部の直径
D3 本体の最大直径
L 本体の長さ
α、β 側方開口部の角度