(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-23
(45)【発行日】2024-01-31
(54)【発明の名称】高高度ネットワークの間のスペクトル割り当ての調整および干渉回避
(51)【国際特許分類】
H04W 16/14 20090101AFI20240124BHJP
H04W 48/16 20090101ALI20240124BHJP
H04W 84/06 20090101ALI20240124BHJP
【FI】
H04W16/14
H04W48/16
H04W84/06
(21)【出願番号】P 2022530297
(86)(22)【出願日】2020-12-03
(86)【国際出願番号】 US2020063067
(87)【国際公開番号】W WO2021113481
(87)【国際公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-12-21
(32)【優先日】2019-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン バリット
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ホル
【審査官】原田 聖子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第09973268(US,B1)
【文献】特表2018-530957(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0058478(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の高高度ネットワーク(HAN)のうちの第1のHANにおける少なくとも1つの高高度プラットフォーム(HAP)が、前記複数のHANのうちの少なくとも第2のHANにおけるHAPとの干渉を回避するように制御されるように、前記複数のHANのスペクトル割り当てを調整するためのマルチテナントシステムであって、
データベースであって、
規制制約および調整制約を受信するように構成されている第1のインタフェースと、
非規制および外部調整情報を受信するように構成されている第2のインタフェースと、
前記第1のインタフェースからの前記規制制約および前記調整制約、ならびに、前記第2のインタフェースからの前記非規制および外部調整情報を受信するように構成されている少なくとも1つのサービスモジュールと、
前記少なくとも1つのサービスモジュールから受信されるデータを記憶するように構成されているデータ記憶デバイスと
を有するデータベースと、
前記データベースに結合されている通信コントローラであって、前記データベースの前記データ記憶デバイスに維持された前記データに基づいて、HAPの、それぞれのHANにおける特性およびこれらの間のリンクを制御するように構成されている、通信コントローラと
を備え、
前記データは、前記第1のインタフェースおよび前記少なくとも1つのサービスモジュールを介して前記データ記憶デバイスに提供される前記規制制約および前記調整制約、ならびに、前記第2のインタフェースおよび前記少なくとも1つのサービスモジュールを介して前記データ記憶デバイスに提供される前記非規制および外部調整情報を
含み、
前記少なくとも1つのサービスモジュールは、1)既知の規制制約および調整制約の特性をキャプチャするように、および2)前記規制制約および前記調整制約と関連付けられた既知の重要業績評価指標(KPI)をキャプチャするように構成されている調整制約インタフェースを含む、
マルチテナントシステム。
【請求項2】
前記調整制約インタフェースは、新たな規制が特定されるとまたは新たな調整合意が採用されると将来の成長を可能にするために拡張可能である、請求項1に記載のマルチテナントシステム。
【請求項3】
前記通信コントローラは、時空間ソフトウェア定義ネットワーク(TS-SDN)通信コントローラである、請求項1または2に記載のマルチテナントシステム。
【請求項4】
前記マルチテナントシステムによって提供されるTS-SDNサービスは、機構管理者が、自らのアプリケーションおよびサービスへのユーザアクセスを管理することを可能にし、かつ前記機構管理者が、前記マルチテナントシステムの外部の他のユーザからの共有アクセスを管理することを可能にするように構成されているアイデンティティおよびアクセス管理(IAM)サービスを介して制御される、請求項3に記載のマルチテナントシステム。
【請求項5】
複数の高高度ネットワーク(HAN)のうちの第1のHANにおける少なくとも1つの高高度プラットフォーム(HAP)が、前記複数のHANのうちの少なくとも第2のHANにおけるHAPとの干渉を回避するように制御されるように、前記複数のHANのスペクトル割り当てを調整するためのマルチテナントシステムであって、
データベースであって、
規制制約および調整制約を受信するように構成されている第1のインタフェースと、
非規制および外部調整情報を受信するように構成されている第2のインタフェースと、
前記第1のインタフェースからの前記規制制約および前記調整制約、ならびに、前記第2のインタフェースからの前記非規制および外部調整情報を受信するように構成されている少なくとも1つのサービスモジュールと、
前記少なくとも1つのサービスモジュールから受信されるデータを記憶するように構成されているデータ記憶デバイスと
を有するデータベースと、
前記データベースに結合されている通信コントローラであって、前記データベースの前記データ記憶デバイスに維持された前記データに基づいて、HAPの、それぞれのHANにおける特性およびこれらの間のリンクを制御するように構成されている、通信コントローラと
を備え、
前記データは、前記第1のインタフェースおよび前記少なくとも1つのサービスモジュールを介して前記データ記憶デバイスに提供される前記規制制約および前記調整制約、ならびに、前記第2のインタフェースおよび前記少なくとも1つのサービスモジュールを介して前記データ記憶デバイスに提供される前記非規制および外部調整情報を含み、
前記通信コントローラは、時空間ソフトウェア定義ネットワーク(TS-SDN)通信コントローラであり、
前記マルチテナントシステムによって提供されるTS-SDNサービスは、機構管理者が、自らのアプリケーションおよびサービスへのユーザアクセスを管理することを可能にし、かつ前記機構管理者が、前記マルチテナントシステムの外部の他のユーザからの共有アクセスを管理することを可能にするように構成されているアイデンティティおよびアクセス管理(IAM)サービスを介して制御される、
マルチテナントシステム。
【請求項6】
前記第1のHANは気球ネットワークであり、前記第2のHANは衛星ネットワークである、請求項
1から5のいずれか一項に記載のマルチテナントシステム。
【請求項7】
前記第1のHANおよび前記第2のHANは衛星ネットワークである、請求項
1から5のいずれか一項に記載のマルチテナントシステム。
【請求項8】
前記第1のインタフェースはユーザインタフェース(UI)であり、前記第2のインタフェースはアプリケーションプログラムインタフェース(API)である、請求項1か
ら7のいずれか一項に記載のマルチテナントシステム。
【請求項9】
前記データは、通信チャネル、周波数帯、ならびに前記第1のHANおよび前記第2のHANのうちの少なくとも1つに対する干渉限界に関する情報を含む、請求項1か
ら8のいずれか一項に記載のマルチテナントシステム。
【請求項10】
前記通信コントローラは、前記第1のHANおよび前記第2のHANのうちの少なくとも1つに対するアップリンクおよびダウンリンク通信の電力束密度(PFD)算出を行うように構成されている、請求項1か
ら9のいずれか一項に記載のマルチテナントシステム。
【請求項11】
前記データは、前記第1のHANおよび前記第2のHANのうちの少なくとも1つに関する衛星軌道情報を含む、請求項1か
ら10のいずれか一項に記載のマルチテナントシステム。
【請求項12】
前記通信コントローラは、トポロジ、ルーティング、およびリソース管理プロセッサと、信号伝搬モデリングプロセッサとを備え、前記トポロジ、ルーティング、およびリソース管理プロセッサは前記信号伝搬モデリングプロセッサと双方向通信するように構成されている、請求項1か
ら11のいずれか一項に記載のマルチテナントシステム。
【請求項13】
複数の高高度ネットワーク(HAN)のうちの第1のHANにおける少なくとも1つの高高度プラットフォーム(HAP)が、前記複数のHANのうちの第2のHANにおけるHAPとの干渉を回避するように制御されるように、前記複数のHANのスペクトル割り当てを調整するために、マルチテナントシステムにおけるデータベースにデータを追加する方法であって、
規制制約および調整制約を含む第1のデータセットを、第1のインタフェースおよび少なくとも1つのサービスモジュールを介して前記データベースにおけるデータ記憶デバイスに入力する段階と、
非規制および外部調整情報を含む第2のデータセットを、第2のインタフェースおよび前記少なくとも1つのサービスモジュールを介して前記データ記憶デバイスに入力する段階であって、前記第2のインタフェースは前記第1のインタフェースから分離している、入力する段階と、
入力された前記第1のデータセットおよび前記第2のデータセットに基づいて、前記第1のHANおよび前記第2のHANのうちの少なくとも1つにおけるHAPの特性およびこれらの間のリンクを通信コントローラによって制御する段階と
を
含み、
前記方法は、
既知の規制制約および調整制約の特性をキャプチャする段階と、
前記規制制約および前記調整制約と関連付けられた既知の重要業績評価指標(KPI)をキャプチャする段階と
をさらに含む、方法。
【請求項14】
アイデンティティおよびアクセス管理(IAM)サービスによって、前記マルチテナントシステムによって提供される時空間ソフトウェア定義ネットワーク(TS-SDN)サービスを制御する段階であって、前記TS-SDNサービスは、機構管理者が、自らのアプリケーションおよびサービスへのユーザアクセスを管理し、かつ前記マルチテナントシステムの外部の他のユーザからの共有アクセスを管理することを可能にする、制御する段階をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
複数の高高度ネットワーク(HAN)のうちの第1のHANにおける少なくとも1つの高高度プラットフォーム(HAP)が、前記複数のHANのうちの第2のHANにおけるHAPとの干渉を回避するように制御されるように、前記複数のHANのスペクトル割り当てを調整するために、マルチテナントシステムにおけるデータベースにデータを追加する方法であって、
規制制約および調整制約を含む第1のデータセットを、第1のインタフェースおよび少なくとも1つのサービスモジュールを介して前記データベースにおけるデータ記憶デバイスに入力する段階と、
非規制および外部調整情報を含む第2のデータセットを、第2のインタフェースおよび前記少なくとも1つのサービスモジュールを介して前記データ記憶デバイスに入力する段階であって、前記第2のインタフェースは前記第1のインタフェースから分離している、入力する段階と、
入力された前記第1のデータセットおよび前記第2のデータセットに基づいて、前記第1のHANおよび前記第2のHANのうちの少なくとも1つにおけるHAPの特性およびこれらの間のリンクを通信コントローラによって制御する段階と
を含み、
前記方法は、
アイデンティティおよびアクセス管理(IAM)サービスによって、前記マルチテナントシステムによって提供される時空間ソフトウェア定義ネットワーク(TS-SDN)サービスを制御する段階であって、前記TS-SDNサービスは、機構管理者が、自らのアプリケーションおよびサービスへのユーザアクセスを管理し、かつ前記マルチテナントシステムの外部の他のユーザからの共有アクセスを管理することを可能にする、制御する段階
をさらに含む、方法。
【請求項16】
第1のHANは気球ネットワークであり、前記第2のHANは衛星ネットワークである、請求項1
3から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記第1のHANおよび前記第2のHANは衛星ネットワークである、請求項1
3から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記第1のデータセットおよび前記第2のデータセットのうちの1つまたは両方は、前記第1のHANおよび前記第2のHANのうちの少なくとも1つに関する衛星軌道情報を含む、請求項13か
ら17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記第1のHANおよび前記第2のHANのうちの少なくとも1つに対するアップリンクおよびダウンリンク通信の電力束密度(PFD)算出を行う段階をさらに含む、請求項13か
ら18のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、現在、米国特許第10,805,807号として発行されている、2019年12月5日に出願された米国特許出願第16/704,022号の優先権を主張するものであり、この開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
より高いスループット、低遅延、およびより多くの地域での可用性と共に、データ接続性の需要が増大していることが世界的に見受けられる。衛星システムの他に、雲より高い成層圏に浮かぶ機器を搭載した気球などの高高度プラットフォーム(HAP)によって無線ネットワークが作り出されている。気球は、互いに、ならびに、地上の人々もしくは陸上、海上の他のビークル、または低高度の飛行機を接続するための地上ネットワーク機器およびモバイルデバイスと通信し得る。1つの例では、それぞれの気球は、無線通信技術を使用して直径約80kmの地上エリアへの接続性を提供することができる。気球は、高速リンクを使用して、無線トラフィックを携帯電話および他のデバイスからグローバルインターネットへと返すように中継し得る。HAP、衛星システム、および他の通信技術は、限定されたスペクトル可用性により帯域幅を共有し得る。そのようなシステム間の干渉は、接続性に悪影響を与え、一般的に全体的な性能を低下させる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ネットワーク事業者には、既存のネットワークとの干渉を回避することをネットワーク事業者に要求する制約を伴って、いくらかの無線周波数(RF)のスペクトルを使用する権利が与えられ得る。データ接続性の増大した需要を満たすために、衛星ネットワークおよび気球ネットワークの両方を展開可能である。気球ネットワークは、衛星よりもかなり低いコストで展開可能である点で有利である。しかしながら、気球ネットワークが衛星ネットワークに干渉しないことが非常に重要である。新たなHAPがオンラインになると、干渉回避はより複雑になる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
これらのHAPと関連付けられた通信ビームは絶えず変化しており、これにより、ネットワークトラフィックはライセンススペクトル帯(C、Ka、Kuなど)において定期的に送信される。スペクトルは静的に割り当てられ得、この場合、それぞれの高高度ネットワーク(HAN)事業者は、帯域ごと、地域ごと、および一次利用か二次利用かでスペクトルのライセンスを与える。国際電気通信連合(ITU)は、グローバルガイドラインを公布しているが、施行は、実際には局所的なスペクトルライセンスを与える連邦通信委員会(FCC)などの現地機関によって実行されることが多い。これは通常、静的な長期のプロセスである。スペクトルは乏しく貴重なリソースであるため、この効率的な使用は、高まる需要を満たすように使用量を増大するために最も重要である。また、世界規模で動作するより動的なHAPでは、静的スペクトル割り当ては非常に非効率である可能性があり、将来のHAPの規模および影響を潜在的に限定する可能性がある。
【0005】
この技術の態様は、割り当てられたスペクトルの干渉を低減または干渉を完全に回避しながらスペクトルを調整する、動的なグローバルマルチテナントシステムを提供する。
【0006】
さらに以下に論じられるように、時空間ソフトウェア定義ネットワーク(TS-SDN)は、ネットワークリソースのその計画された(または、代替的には、そのリアクティブなリアルタイムの)割り当ておよびビームポインティング/タスキングを利用して、他の(静止または非静止)コンステレーション(または他の干渉被害者)に対する干渉の影響をモデル化し、かつ干渉制約を避けて動作することができる。このネットワークはさらに、相互利益のために複数のコンステレーションを相互調整することができる。一次スペクトルユーザがビームタスクおよび無線リソース管理についての情報を共有しなければ、二次的な優先順位のネットワーク事業者は最悪の場合のビームポインティング状況を想定しなければならないことになる。結果として、所定のサードパーティネットワークは、ビームまたはセクタがまさにそれらのユーザ端末、ゲートウェイ、または衛星にステアリングされる場合があり、したがってこれらの送信電力またはスペクトル利用(ひいてはネットワーク容量)を大幅に低減させなければならないことになる。しかしながら、1つまたは複数のプライマリネットワークのリソース計画およびビームステアリングの知識があれば、セカンダリネットワークは、全体的なネットワーク容量を大幅に増大させるためにネットワークリソースの空間的なビームフォーミングされた分離を活用することができる。さらに、このプライマリネットワークおよびセカンダリネットワークが共通のTS-SDNプラットフォームに加えて構築される共通の最適化エンジンを共有する場合、この2つのネットワークは、一次スペクトルユーザが二次スペクトルユーザにこの情報を単に公開することでは実現不可能であるやり方で相互最適化可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】本技術の態様による複数のHANのスペクトル割り当てを調整するためのTS-SDNシステムを示す図である。
【
図1B】本技術の態様による複数のHANのスペクトル割り当てを調整するためのTS-SDNシステムを示す図である。
【0008】
【
図2】本技術の態様による
図1Aおよび
図1BのTS-SDNシステムのデータベースにおける規制制約および調整制約を規定する一例を示す図である。規制制約および調整制約
【0009】
【
図3A】本技術の態様による外部ユーザ調整のための同時最適化に対するブラインド調整の一例を示す図である。
【
図3B】本技術の態様による外部ユーザ調整のための同時最適化に対するブラインド調整の一例を示す図である。
【0010】
【
図4A】ダウンリンクPFD干渉の例を示す図である。
【
図4B】アップリンクPDF干渉の例を示す図である。
【0011】
【
図5】本技術の態様によるアップリンクおよびダウンリンク考慮事項のPFD推定を行う一例を示す図である。
【0012】
【
図6】本技術の態様による、
図1Aおよび
図1BのTS-SDNシステムにおける、トポロジ、ルーティングリソース管理プロセッサと、信号伝搬モデリングプロセッサとを示す図である。
【0013】
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1Aに示されるように、本技術は、TS-SDN通信コントローラ105およびTS-SDNデータベース110を含むTS-SDNシステム100に関する。TS-SDNシステム100は、効率的なスペクトル使用を増大させ、かつスループットを最大化するために、異なるHANにおけるHAPの通信ビームを調整する。ビームは、例えば、RFまたは光通信ビームであり得る。例えば、
図1Aに示されるように、HANは、それぞれが1つまたは複数のHAPを含む、衛星ネットワーク115aおよび115bならびに気球ネットワーク120を含み得る。気球ネットワーク120などの気球ネットワークのスペクトル所有者は、衛星ネットワーク115aおよび115bなどの他のネットワークの一次スペクトル利用を避けて調整することを要求され得るため、バイラテラルなスペクトルポリシを施行するために中央インスタンスに強い関心を持っている。TS-SDNシステム100は、1つもしくは複数の地上局、1つもしくは複数のHAPに位置する、または、1つもしくは複数の地上局および1つもしくは複数のHAP両方の間で分割される場合がある。
【0015】
図1Bは、TS-SDN通信コントローラ105の機能図である。TS-SDN通信コントローラ105は、例えば、スペクトル割り当ておよび関連の動作特徴を調整するために制御メッセージを衛星ネットワーク115および/または気球ネットワーク120に送るように構成され得る。
図1Bに示されるように、コントローラTS-SDN通信105は、1つまたは複数のプロセッサ150、メモリ155、および通信システム160を含み得る。
【0016】
プロセッサ150は、市販のコンピュータ処理ユニット(CPU)などの任意の従来のプロセッサであり得る。代替的には、それぞれのプロセッサは、特定用途向け集積回路(ASIC)などの専用デバイス、またはテンソル処理装置(TPU)などの他のハードウェアベースのプロセッサであり得る。メモリ155は、データ165と、1つまたは複数のプロセッサ150によって実行され得る命令170とを含む、プロセッサ150がアクセス可能な情報を記憶し得る。データ165は、TS-SDNデータベース110などのデータベース、テーブル、または、例えば、スペクトル割り当て要件、ビームポインティング方向、通信リンク/ベクトル、信号モデル、および/または他の情報を記憶するように構成されている他の記憶素子を含み得る。メモリ155は、コンピューティングデバイス可読媒体を含む、プロセッサ150がアクセス可能な情報を記憶することが可能な任意のタイプのものであり得る。メモリは、ハードドライブ、メモリカード、光ディスク、ソリッドステートなどの非一時的媒体である。システムは、前述の異なる組み合わせを含み得、これにより、命令およびデータの異なる部分は異なるタイプの媒体上に記憶される。
【0017】
命令170は、プロセッサによって、直接(機械コードなど)または間接的に(スクリプトなど)実行される命令の任意のセットであり得る。例えば、命令は、コンピューティングデバイス可読媒体上にコンピューティングデバイスコードとして記憶され得る。これに関して、用語「命令」、「モジュール」、および「プログラム」は、本明細書では区別なく使用され得る。命令170は、プロセッサによる直接処理のためのオブジェクトコードフォーマットで、または、要求に応じて解釈されるまたは事前にコンパイルされるスクリプトまたは非依存ソースコードモジュールの集合を含む任意の他のコンピューティングデバイスの言語で記憶され得る。データ165は、命令170に従ってプロセッサ150の1つまたは複数によって取得、記憶、または修正され得る。
【0018】
図1Bは、プロセッサ150、メモリ150、およびコントローラ105の他の要素を同じブロック内にあるものとして機能的に示しているが、そのようなデバイスは、実際には、同じ物理的筐体内に記憶されてもされなくてもよい複数のプロセッサ、コンピューティングデバイス、またはメモリを含み得る。それ故に、プロセッサまたはコンピューティングデバイスへの言及は、並列に動作してもしなくてもよいプロセッサ、コンピューティングデバイス、またはメモリの集合への言及を含むように理解されるであろう。
【0019】
通信システム160は、衛星ネットワーク115および気球ネットワーク120のHAPなどの他のコンピューティングデバイス、ならびに、陸上通信ネットワークなどの他のデバイスおよびシステムとの通信を促進するために、1つまたは複数の無線構成を含み得る。ネットワーク接続は、セルラ接続、マイクロ波リンク、自由空間光通信リンクなどの短距離または長距離通信接続、ならびに、さまざまな構成および通信プロトコルを含み得る。
【0020】
本技術の1つの態様によると、TS-SDNシステム100は、リアルタイムのおよび将来のビームポインティングの知識を有するように構成されている。これにより、それぞれのネットワーク115および120によるスペクトル使用を効率よく調整可能である。HAPのビームは、小さなエリアにおける容量を正確に特定することなどによって、スペクトル利用およびHAPの性能を最大化するように、TS-SDN通信コントローラ105によって制御され得る。
【0021】
1つまたは複数の実施形態によると、TS-SDNシステム100のTS-SDN通信コントローラ105は、ネットワーク115および120の間の全ての可能なリンク(ベクトル)を、これらが、2つの衛星ネットワーク間であるか、2つの気球ネットワーク間であるか、衛星ネットワークと気球ネットワークとの間であるかなどに関わらず、経時的に判断しかつ解析するように構成されている。さらに、HANのそれぞれの気球および衛星または他のHAPの位置および軌道に関するデータは、TS-SDN通信コントローラ105に結合されているTS-SDNデータベース110に維持(すなわち、記憶)される。TS-SDNデータベース110は、衛星軌道およびさまざまなリンクパラメータを伝搬するためにTS-SDN通信コントローラ105によって使用され得るデータをさらに含み得る。
【0022】
さらに、TS-SDN通信コントローラ105は、HAPにおけるそれぞれの送受信機のために存在するチャネル、周波数、および周波数帯を設定するように構成されている。TS-SDN通信コントローラ105は、HAPリンクのそれぞれの組み合わせに対して送られる無線信号をモデル化することによってHANリンクの無線信号伝搬を解析することで、データベースに記憶される潜在的には何百万もの記録を生成し得る。TS-SDN通信コントローラ105は、地球の湾曲によってそのような直接的判断が妨げられ得る時があっても、それぞれのリンクが可能である時間間隔を予測するように構成され得る。データベース110は、降水率、雨雲の高さ、および雲データの密度(気象データ)などを含む、降雨および他の条件についての地球上の気象データをさらに維持し得る。周波数帯に応じて、気象は異なるやり方でリンクに影響する可能性がある。データベース110はまた、干渉を引き起こし得る1つまたは複数のオブジェクト(例えば、飛行機およびこれらの対応する飛行データ)、リンク、チャネル、周波数、および時間間隔についてのデータを維持することができる。
【0023】
さらに、TS-SDN通信コントローラ105は、データベース110によって維持される多様なパラメータに基づいてHAPのそれぞれと関連付けられたそれぞれの可能なリンクに対する干渉を判断するように構成され得る。例えば、TS-SDNデータベース110は、どれくらいの干渉がネットワークにおけるそれぞれのノードに影響することになるのかについての記録を維持し、かつ(例えば、ワット/km2で測定される)電力束密度を判断し得る。TS-SDN通信コントローラ105は、TS-SDNデータベース110と共に、リンクメトリックを予測し、かつ、気球ネットワークによって軽減された干渉が衛星に対して確立された限度/閾値を超えないことを保証するようにネットワーク構成を制御するように構成され得る。エリア(表面)、領域、国、または衛星の静止軌道円弧にわたる特定のリンクに対する空間体積に対して干渉が明示され得る。それ故に、TS-SDN通信コントローラ105は、少なくとも2つの異なるHANのHAPと通信することでこれらの間の通信を監督することによって、確立された干渉要件に違反すると思われるHANのいずれのリンクも迂回または切断されるように構成され得る。
【0024】
本明細書に説明される特徴は、同じマルチテナントインスタンスを共有する時に他のネットワーク事業者の与えられたスペクトル権利を侵すことを回避するような干渉管理を可能にする。多数のノードでいっぱいのシステムでは、システムにおける多数のパラメータを記録する中央コントローラを有することによって、最も複雑なシステムにおいても干渉を厳密に監視および制御することが可能になる。
【0025】
規制制約および調整制約は、他の衛星ネットワーク事業者との調整、自己干渉の両方に対する考慮事項、および、国際電気通信連合(ITU)によって規定されるものなどの国内規制および国際規制に対する考慮事項を含む。
【0026】
規制制約は、2つのカテゴリ:ITUによって規定されるものと、ITUによって定められている規制に優先する現地の規制機関によって規定されるものとに分類される。例えば、いくつかの規制制約は、地平線に向けた等価等方放射電力(EIRP)に対する制限事項、地上局から静止軌道円弧内に位置する参照受信機までの等価電力束密度(EPFD)に対する制限事項、HAPから地球の表面上に位置する参照受信機までのEPFD制限事項、および、HAPから静止軌道円弧上の参照受信機までのEPFD制限事項を課す。
【0027】
それぞれの規制は、大まかな対象の位置における集合干渉を効果的に限定する。集合干渉は、同じ共有された周波数チャネルを利用する全てのHAPシステム送信機、およびこれらの送信機からの送信電力が対象の規制エリアで重複する場所に適用可能である。これらのITU規制は、対地同期軌道(GSO)円弧であるか地球の表面であるかに関わらず、対象の所定のエリア内の全ての位置に一様に適用されなければならない。しかしながら、これらの規制は、対象の全ての周波数帯には一様ではない。例えば、アップリンク通信またはダウンリンク通信のどちらかに対する使用に利用可能となるいくつかの周波数チャネルがあり得、これにより、これらの周波数帯のそれぞれにおいて、変化するレベルの規制制約がある。
【0028】
これらの規制制約のそれぞれは、いくつかは同じ周波数チャネル内でも、対象の位置における最大のEPFDに基づいて、または特定の方向における最大のEIRPに基づいて、変化するレベルの制限がある。必須のチャネル特性、および対象のさまざまな周波数チャネルに課せられた制限事項は、一般的な調整制約インタフェースでキャプチャされ得る。特定の被害位置ではなく、潜在的な被害の大まかな位置のみを考慮するグローバル規制について、規制は、(1)周波数チャネル、(2)潜在的な被害の位置(例えば、GSO円弧)、(3)(EIRP算出のための地平線に対する)送信角度、(4)(電力束密度(PFD)の算出のための)コンステレーションにおけるいくつかのHAP、および、(5)最大許容EIRP、最大許容PFD、または最大許容EPFDのうちの1つを含む調整制約に対する限定要因または重要業績評価指標(KPI)によって規定され得る。
【0029】
干渉制約の他に、TS-SDN通信コントローラ105における調整制約インタフェースに対して考慮され得る付加制約は、対象の規制機関に基づき、特定のパケットフローが特定の地理的地域におけるステーション、または所定の要件(セキュリティ、能力など)を満たす1つもしくは複数のステーションのみに流れることが要求され得る要件である。この場合、ステーションから発せられるまたはステーションで終了するデータに関して規制カバレッジエリアがどこであるか、およびこれらのパケットフローが終了することができる許容可能ステーションのリストを規定するために、システム事業者に追加のインタフェースが利用可能であるべきである。
【0030】
外部調整制約は、対象の既存の周波数帯に重複する周波数チャネルを利用している場合がある、TS-SDNシステム100と外部HANとの間の調整合意を含む。TS-SDNシステム100は、HAN事業者が将来の調整制約を規定することができるような十分な柔軟性を有して設計される。これらの外部調整制約は規制制約と同じKPIを利用し得る。よって、これらは、地上局から地平線の方へ送信されるEIRP、または特定の目標位置で経験される集合PFDもしくはEPFDを限定し得る。さらに、発生する干渉が回避されなければならない対象のエリアに基づき、重複が生じ得る対象の周波数帯に対する制限事項が規定され得る。
【0031】
TS-SDNシステム100において、TS-SDN通信コントローラ105は、合意に基づく調整制約および規制制約の永続的なデータベースであるTS-SDNデータベース110と共に動作することで、HAN事業者は、調整および干渉回避の視点からシステム上で活用される全要件のリストを容易に維持することができる。TS-SDNデータベース110が更新され、かつ、更新されたまたは新たな規制が適用可能な送信機モデルにリンクされると、リンク評価器、ルーティングおよびトポロジアプリケーションによる全ての将来の計算は、規制および調整制約要件の新たなセットを利用し得る。
【0032】
1つの実施形態によると、TS-SDNシステム100が、複数のHANに対して調整制約および規制制約を規定しかつ適用するために必要とされるインタフェースを提供することは望ましいと思われる。これらの規制制約は、共有される周波数帯を利用し得る他の衛星プロバイダとの調整合意を含む調整要件の全セットに対するベースラインを構成する。それ故に、調整制約および規制制約の処理をサポートするために必要とされる情報は十分キャプチャされるべきである。例えば、規制およびHAP動作調整合意の両方に対する要件を満たす調整制約のインタフェース定義は、これらの合意がデータベースにおいて十分キャプチャされ得、かつ目標位置において発生する干渉を算出する目的のために、および規制上の違反または調整上の違反を回避するネットワークのための経路ソリューションを計算するために、干渉アルゴリズム設計の入力として使用可能であるように確立され得る。
【0033】
TS-SDNシステム100は、シングルテナント、分岐したマルチテナントソリューション、または複数のHAP事業者による共同使用可能なマルチテナントソリューションのいずれかを使用して、他の外部事業者との調整、自己干渉、および規制管理を制御し得る。分岐したマルチテナントソリューションでは、衛星型HAPの地球低軌道(LEO)ネットワークの事業者は、秘密および機密情報がユーザ間で偶発的に共有されることから保護するためにさまざまなネットワークならびに管理システムおよびアプリケーションを使用して、インスタンスを他の事業者と共有し得る。複数のHAP事業者による共同使用可能なマルチテナントソリューションでは、HAPのLEOコンステレーションの事業者はインスタンスを他の事業者と共有し得るが、LEOネットワーク性能を最適化するために、スペクトル共有および潜在的に未使用のスペクトルの開拓を促す時空間スペクトル利用マーケットプレイスに参加することも考えられる。
【0034】
シングルテナントソリューションおよびマルチテナント(2以上の事業者)ソリューションの両方について、規制および外部ユーザ調整制約は同様に扱われることになり、この両方共が、調整情報を完全にカプセル化するために全ての関連のKPIおよび入力をカバーするTS-SDNシステム100に対する同じ一般化されたインタフェースを利用する。これは、プロトコルバッファなどの正式なやり方で符号化されたメッセージと共に少なくとも1つのリモートプロシージャコール(RPC)サービスによって実装され得ることで、対象のさまざまな制約に関連した全ての情報の効率的な記憶が可能になる。これらのプロトコルバッファのリストは、さらにまた、TS-SDN通信コントローラ105に結合されているTS-SDNデータベース110に追加され得る。
【0035】
さらに、調整制約のリストは、全ての適用可能なITU規制制約と共にデータベースに追加され得る。TS-SDN通信コントローラ105またはTS-SDNデータベース110のうちの少なくとも1つに結合されているユーザインタフェース(UI)は、LEOネットワーク事業者が、必要に応じて、このデータストレージから規制を追加、変更、または除去することを可能にし得る。そのような規制はまれに変更されることが予想され得るが、適用可能な規制の現在のリストを維持する能力は、全ての合意に基づく規制制約および調整制約を遵守することを保証するために必要とされる。例えば、ITU規制がしばしば(例えば、数年ごとにまたはそれ未満で)変更されることは予想されないが、個々の国ごとの規制などの他の規制および調整制約は、より急速に(例えば、毎年)変更され得る。LEOネットワーク事業者が全ての合意に基づく制約の最新のリストをデータベースに維持することを可能にする柔軟なシステム設計を使用することによって、TS-SDNシステム100は規制または調整環境におけるいずれの将来の変更にも適応可能とすることができる。
【0036】
図2は、規制制約および調整制約がTS-SDNシステム100のTS-SDNデータベース110に追加されることを示す例示のシナリオ200である。
図2に示されるように、TS-SDNデータベース110は、データストレージ205と、少なくとも1つのRPCサービスモジュール210と、ユーザインタフェース(UI)215と、アプリケーションプログラムインタフェース(API)220とを含み得る。UI215およびAPI220は、1つまたは複数のLEOネットワーク事業者225がRPCサービスモジュール210を介してデータストレージ205にアクセスすることを可能にする。1つまたは複数のLEOネットワーク事業者225は、データストレージ205においてITU規制要件の現在のリストを維持するためにUI215およびRPCサービスモジュール210を介して規制制約および調整制約230を提供し得る。さらに、1つまたは複数のLEOネットワーク事業者225は、外部アプリケーションを通して干渉制約を更新、作成、および記憶することによって非規制および外部調整情報235をデータストレージ205に維持するためにAPI220およびRPCサービスモジュール210を介して非規制および外部調整情報235を提供し得る。RPCサービスモジュール210は調整制約インタフェース240を含み得る。
【0037】
非ITU制約は、具体的に、外部ユーザとの調整制約に関連している。最初の2つの例は、リンクごとに算出され、かつ、地球の表面上またはGSO円弧上のどちらかの特定のエリアにおける全てのLEOネットワーク干渉を判断するために集約される。
【0038】
付加制約は必ずしも干渉に関連しているわけではなく、むしろ、局所的な規制制約および要件によるルーティングに対する制限事項に関連している。これらの要件は、政府ユーザ要件、またはLEOネットワーク事業者225によって指定されるような局所的な規制要件から導出され得る。
【0039】
再び
図2を参照すると、TS-SDNデータベース110におけるRPCサービスモジュール210を利用することによって、送信機、受信機、およびアンテナなどの通信プラットフォームを規定するためのインタフェースが提供される。この情報は、計画されたシステム利用が全ての規定された調整および規制制約要件を満たすかどうかを判断するためにTS-SDN通信コントローラ105上で実行する干渉アルゴリズムによって利用され得る。
【0040】
上記のように、TS-SDNシステム100による外部ユーザ調整は、TS-SDNシステム100のそれぞれのユーザがTS-SDNシステム100の別個のインスタンスを有することになり、それぞれがTS-SDNデータベース110のこれらのインスタンス内に規定されるこれら自体の規制制約および調整制約を有し、それぞれがリンク評価器アプリケーションなどのTS-SDNアプリケーションの別個のインスタンスを有するシングルテナントソリューションを使用して行われ得る。
【0041】
さらに、上記のように、TS-SDNシステム100による外部ユーザ調整は、情報の部分集合がTS-SDNシステム100のユーザの間で共有可能であるマルチテナントソリューションを使用して行なわれ得る。ここで、利用可能である時、より具体的なプラットフォームおよびネットワーク情報は、異なる調整機構の間のスペクトル利用を同時最適化するために、共有されるTS-SDNアプリケーションによって利用できる。
【0042】
さらに、上記のように、TS-SDNシステム100による外部ユーザ調整は、それぞれの機構のスペクトル効率全体を高めるために、所定の地理的地域における未使用のまたは十分に活用されていない所有されるスペクトルを機構がトレードすることを可能にすることができる共有スペクトルマーケットプレイスが展開されるマルチテナントソリューションへの拡張を使用して行なわれ得る。
【0043】
これらのオプションに基づいて、調整の観点から考慮されなければならない3つの一般的クラスの外部事業者がある。第1のクラスはブラインド調整事業者である。これは、競合エリアおよび推定される干渉に対する制限事項を示す全般的な調整合意がなされ得る外部事業者調整のモデルであるが、外部ネットワークの即時操作(例えば、送信スケジュール)は未知である。この固有の情報の欠如により、事業者間の調整は、位置および周波数帯に基づく電力の一律の低減を伴うことになる。これは、(雑音および調整された近隣からの干渉が低減することにより)改善されたシステム性能をもたらす可能性が高いが、外部事業者がこのエリアでアイドルである時、送信電力の増大が外部事業者にほとんどまたは全く効果を与えることがないことは最適でない。
【0044】
シングルテナントシステムでは、これは、TS-SDNシステム100に利用可能な外部調整の唯一の方法である。マルチテナントソリューションでは、事業者のクラスは、いくつかの事業者がマルチテナントソリューションをサブスクライブし得るが、全てのネットワークがそれらの情報を調整の目的での使用に利用可能とするわけではないことが想定されるため、調整制約のあるオプションとなる。このようなシステムでは、システムユーザの位置、スケジュール、および通信パラメータに関する限定された情報で、重複する対象の周波数帯およびエリアに対する送信電力の一律の低減などのより一般的な調整の仕組みが利用されることになる。
【0045】
事業者の第2のクラスは同時最適化される調整ユーザを含む。ここで、TS-SDNシステム100を利用する機構は、競合エリアでこれらのスペクトル割り当てを同時最適化することができる。プラットフォーム位置、通信スケジュール、周波数割り当てなどの情報は、それぞれのネットワークのネットワーク性能を同時に改善するためのサポート用TS-SDNアプリケーションと共有可能である一方、この情報をシステムの他の事業者から保護する。
【0046】
図3Aおよび
図3Bに示されるように、同時最適化の利益を明確に理解することができる。ここで、複数の機構が同じ一般エリアで送信している、
図3Aのシナリオ300に示される競合エリアがある。この例では、HAP320aおよび320bと通信可能である2つの地上端末310aおよび310bが示されているが、この例は追加のユーザ端末または他のデバイスに拡張可能である。
図3Bのビュー350に示されるように、システムが、互いに、またはTS-SDNシステム100などのサードパーティアプリケーションとスケジューリングおよび利用情報を共有不可能である場合、これらのシステムは、発生する干渉に対する閾値を規定することによってこの領域においてブラインド調整を行なうことになる。特に、上のプロット355はブラインド調整を示し、下のプロットは同時最適化を示す。ここで、それぞれのプロットの上の一点鎖線はシステム限界を示すが、下の破線は調整の無い場合の限界を示す。このエリアにおけるプラットフォームに利用可能な送信電力を低減することによって、ネットワークには、上のプロット355に見られるような性能の低下が見られる。さらに、干渉をもたらす重複領域365がある。ブラインド調整について、信号品質に対する共通のメトリックである信号対雑音および干渉比(SINR)に関して、両方の信号強度は、調整合意の電力制限事項によって指示されるように低減されることになり、雑音は、外部事業者がLEOネットワークアクティビティの期間中に送信し得るため増大することになる。両方のネットワークのスケジュールが下のプロットに示されるように同時最適化されるマルチテナントソリューションを使用して、これらの送信イベントが、競合エリアにおける増大した信号強度および低減した雑音(干渉)の両方を実現するように調整し得ることが可能であることで、両方のネットワークに対するシステム性能全体が改善される。
【0047】
このシナリオでは外部事業者の第3のクラスが存在しており、この場合、ユーザは、調整合意を促進する目的でTS-SDNシステム100を通して情報を共有し得るが、この機構はネットワークシステム制御のためにTS-SDNシステム100をサブスクライブしない。ここで、LEOネットワーク性能のより良い最適化を行うためにより詳細な情報がTS-SDNアプリケーションに対して共有可能であるが、TS-SDNアプリケーションを通した同時最適化は、外部ユーザネットワークの直接制御が利用可能でないため不可能である。これらの外部ユーザおよびデータ交換の頻度で必要とされる情報交換のタイプは、マルチテナントソリューションの設計段階の間により詳細な解析を必要とする可能性がある。
【0048】
シングルテナントソリューションおよびマルチテナントソリューションの両方において、TS-SDNソリューションはクラウドベースサービスとしてホストされ得る。TS-SDNサービスのインスタンスへのアクセスは、アイデンティティおよびアクセス管理(IAM)サービスによって厳密に制御され得る。IAMサービスは、機構管理者が、それらのアプリケーションおよびサービスへのユーザアクセスを管理し、かつこの機構の外部の他のユーザからの共有アクセスを管理することを可能にする。このIAMサービスを通して、LEOネットワークの管理者は、調整のためにシングルテナントソリューションまたはマルチテナントソリューションのどちらかにおけるアクセスを厳密に管理する能力を有することになる。
【0049】
クラウドベースサービスの一般的な階層は、特定のインフラストラクチャサービスを利用する複数の機構を提供する。それぞれの機構はさらにまた、1つまたは複数のプロジェクトを所有することができる。これらのプロジェクトは対応する機構だけによって所有され、特定のインフラストラクチャ下でホストされる他の機構によって所有されない。最終的に、機構のプロジェクトによって、規定された許可に基づいてアクセス可能である共有サービスがある。シングルテナントソリューションがTS-SDNソリューションに提案される最も簡単な場合には、TS-SDNサービスのそれぞれの顧客はクラウドベースインフラストラクチャ下の別個のインスタンスを有することが考えらえる。
【0050】
完全なシングルテナントソリューションでは、調整合意がオフラインでなされ、かつ外部ユーザから独立してTS-SDNデータベースに入力される調整が、依然として従来の手段を介して管理される可能性がある。干渉アルゴリズムおよび他のTS-SDNアプリケーションは、さらにまた、ことによると最適以下のソリューションをもたらす調整されたシステムの限定された知識に基づいて干渉を算出することが考えられる。
【0051】
完全なマルチテナントソリューションでは、リンク評価器、トポロジアプリケーション、およびルーティングアプリケーションなどのクラウドベースアプリケーションのインスタンスは、機構の間で共有されることが考えられる。このソリューションでは、LEOアプリケーションなどの機構アプリケーションは、依然として、所有する機構だけによって制御される。しかしながら、共通のアプリケーション、およびTS-SDNシステム100の全ての顧客によって利用されるデータベースは、厳密なアクセス制御に基づいて共有可能である。ここで、TS-SDNデータベース110はそれぞれの顧客に関する重大な機密情報を記憶し、TS-SDNデータベース110内のデータオブジェクトへのアクセスはIAMサービスを介して管理される。
【0052】
1つの実施形態において、TS-SDNデータベース110の共有インスタンスは、全てのTS-SDNアプリケーションサポート、または厳密には外部調整目的のどちらかのために、TS-SDNシステム100の全ての関連付けられたプラットフォームに関する情報を含み得る。それぞれの顧客は、共有されたデータベース内の安全なアクセス制御されるデータ要素内の彼ら自身の機密企業データを記憶することができる。これらのアクセス制御の制約は、所有する機構によって完全に構成可能であり得る。リンク評価器、トポロジアプリケーション、およびルーティングアプリケーションなどの共有サービスは、同時調整および規制コンプライアンスのための必要な算出を行なうために所有する機構からオプトイン方式でデータベースの部分集合にアクセスし得る。共有されるアプリケーションに利用可能にされるデータの部分集合は、この場合は所有する機構とそれぞれの対応する機構との間の、任意の同時調整合意をサポートするために必要とされる情報に基づく。
【0053】
調整のために必要な算出を行うために、このマルチテナントアプローチでは、機構間の特定のデータの共有は、可能ではあるが厳密には必要ではない。ここで、サードパーティ(例えば、TS-SDNアプリケーション)は、個別の調整制約および共有される調整制約両方に述べられる要件に基づいて2つの機構の間の同時最適化問題に対する算出を行い、かつ、最適化されたスケジュールおよびルーティングソリューションをTS-SDNデータストアの機構の部分に戻す。これらの同時調整制約を展開する時、ネットワークのどの部分が重複しかつ調整管理を必要とするのかを判断するためにある程度のデータを共有することは有益であり得るが、これは、シングルテナントソリューションまたはマルチテナントソリューションのどちらかの下でこれらの制約を生成することと異なる。
【0054】
完全なマルチテナントソリューションでは、リンク評価器などの同じアプリケーションのインスタンスは機構の間で共有される。このソリューションは、共有される経常外技術(NRE)費用など、機構ユーザに対する複数の利点を有する。しかしながら、これには、潜在的には組織の知的財産の費用負担がある。例えば、機構がルート最適化アルゴリズムのインスタンスを展開し、かつそのアプリケーションをこれ自体の使用のためにTS-SDNシステムに統合したとしたら、機構はこのアルゴリズムがシステムの他のユーザに利益を与えることを望まない場合がある。この場合、展開されたアプリケーションの部分集合のみが機構のユーザの間で共有される第3のソリューションが可能である。
【0055】
外部ユーザとの調整は、ライセンス周波数帯のスペクトル効率全体を高める。しかしながら、ライセンススペクトルは、ネットワークおよび科学的支援を提供するためにますます大型の衛星のコンステレーションがローンチされることで、一層の議論を引き起こすことになるであろう、高価で限定されたリソースである。スペクトルのユーザが特定の地理的地域において十分に活用されていないまたは未使用のスペクトルを容易に共有可能であることで、これらの調整合意を通して、それぞれの機構はこれらの対応するネットワークの性能を改善できることが望ましい。例えば、未使用のスペクトルのホワイトスペースは、二次ユーザのネットワークの間で共有可能である。
【0056】
利用可能なスペクトルの広範囲に及ぶ利用を可能にするために、TS-SDNシステム100は共通の情報の交換を行うように利用され得、この場合、TS-SDNシステム100および他の外部機構のユーザは、利用可能なスペクトルに関する情報を容易に交換することができ、かつ、機構の間のこのスペクトルの共有を可能にするための外部調整合意を促進することができる。これは、所有されるスペクトルのスペクトル効率を改善するだけでなく、現在は未使用であり得る、または所定の地理的領域上で未使用であるスペクトルを代償にして、以前は利用不可能であったスペクトルの利用を可能にすることによって、LEOネットワークの性能の大幅な改善を可能にすることができる。例えば、そのようなマーケットプレイスの実施は、先の節で論じた調整合意と同様である可能性があり、利用可能なスペクトルおよび調整合意を交換するためのインタフェースはしっかりと整備されており、TS-SDNシステム100を通して仲介されかつ実施される合意を有する。
【0057】
ITUによって規定されるもの、または非ITU規制機関によって規定されるものなどの規制制約は、外部ユーザ調整合意に対して規定された同じRPCインタフェースを介してシステムに統合され得る。ここで、規制パラメータ(対象の周波数帯、対象の位置など)のみならず、LEOネットワークへの統合のための規制制約(EIRP、EPFD、PFDなど)の必須のKPIが規定される。LEOネットワーク事業者はさらにまた、規制制約および調整制約を規定するように設計されたTS-SDNデータベース110における上記のUI215を利用することによって、これらの規制制約をLEOネットワークに統合し得る。
【0058】
規制制約および調整制約の両方をTS-SDNシステム100に統合するために、
図2に示されるRPCサービスモジュール210における調整制約インタフェース240は、全ての既知の規制制約および調整制約の特性をキャプチャし、かつこれらの規制制約および調整制約と関連付けられた既知のKPIをキャプチャするように構成され、および、新たな規制が特定されるとまたは新たな調整合意が採用されると潜在的な将来の成長を可能にするように拡張可能である。それぞれの特定された規制制約または調整制約について、制約の適用可能性があるKPIおよびエリアは、LEOネットワークが調整制約に完全に準拠することができることを保証するためにキャプチャされる。KPIは対象の制約に対する限定要因である。全てのITU規制について、これらのKPIは、EIRPの制限事項、PFDの制限事項、およびEPFD制限事項に分類される。さらに、非ITU制約は、以下のKPI:1)PFDマスクに基づく制限事項、2)ΔT/T制限事項、3)ランディングステーションの除外、および4)必要とされるランディングステーションによって特定され得る。
【0059】
RPCサービスモジュール210における調整制約インタフェース240は、それぞれのKPIに対して明確に識別可能な値を有することで、LEOネットワークおよび埋め込み干渉アルゴリズムは、それぞれの個々のリンク、それぞれのエンドツーエンドのネットワークルート、または通信リンクの潜在的なセットを試験して、システムが全体として完全に準拠しているかを検証することができる。
【0060】
最初の3つのKPI1~3は、個々のリンクのリンクバジェット算出、および、周波数帯などの重複する物理特性を有するリンク上の全LEOネットワークに対する集合干渉算出に基づいて算出される。
【0061】
PFD制限事項に関して、2つの異なったタイプの対象のITU制約:1)GSO円弧の方への送信に対するアップリンクPFD制限事項、および2)地球の表面の方への送信に対するダウンリンクPFD制限事項がある。規制コンプライアンスを判断するために使用されるPFDの計算は、アップリンクおよびダウンリンク両方の干渉の考慮事項において同様である。それぞれの場合、
図4Aおよび
図4Bに示されるように、GSO円弧または地球の表面のどちらかの広大なエリア上の干渉は、目標エリアが離散的であるソリューションをもたらし、多くの並列計算は特定の位置におけるPFD貢献度に対してなされ得る。例えば、
図4Aの例400に示されるように、HAP(例えば、示されるような衛星)は、(実線の間の)領域405内にあるメインローブ信号を送信し得る。これはまた、1つまたは複数のサイドローブ410(実線と一点鎖線との間)および415(一点鎖線と外側の破線との間)を有し得る。さらに、
図4Bは、HAP(例えば、示されるような衛星)に送信する地上局からのメインビーム455(および他のビーム460、465)の投影を示す。
【0062】
PFDマスク計算は、調整合意の干渉推定およびITU規制コンプライアンスの保証の両方をカバーする。PFD解析について、3つの主要な設計オプション:1)PFDマスクの完全な事前計算、2)PFDマスクの完全なリアクティブな計算、および3)要望に応じた改良による部分的な事前計算によるハイブリッドアプローチが最初の対象である。ITU規制干渉について、PFDマスクは、加害側の送信機に対する見通し線内にあるGSO円弧の地球の表面上の全てのエリアにわたって発生する干渉を限定するために生成され得る。外部調整制約について、同様のPFDマスクが大幅により小さな規模でのみ生成されることになり、理想的にはシステムの単一のPFDマスクに組み合わせ可能である。
【0063】
図5の表現500は、アップリンクおよびダウンリンクの考慮事項に対するPFD推定を行うための方法を示す。LEO HAP505が地平線を越えて来ると、計算されたPFD変化率は、LEO HAP505と参照(すなわち、目標)地上端末510の位置との間のレンジレートの関数として増大する。これは、計算されたPFDが送信機と目標の受信機との間の距離の二乗に基づくため非線形的な関係である。
図5は、GSO軌道高度515、アップリンクPFD計算520、およびダウンリンクPFD計算525をさらに示す。LEO HAP505が頭上真上に来ると、PFD変化率は、相対的なレンジレートが通過の中心で減少するにつれて劇的に減少する。予想通り、低高度飛行は、LEO HAP505がこのより低い軌道経路により地上局510に対してかなり速く移動しているため、最悪の場合のPFD変化率を有する。同様に、予想通り、アップリンクPFDの変化率は、GSO円弧に対して距離が大幅により長いことによりダウンリンクの変化率よりもかなり低くなり、結果として変化のレンジレートが小さくなる。
【0064】
1つの実施形態によると、直接および干渉リンクバジェットの計算は、それぞれの干渉リンク報告に対する全ての可能なリンクの組み合わせの事前計算ではなく、単一の一様な自己干渉計算に組み合わせられる。自己干渉が特定のリンクバジェットの計算を伴うことで、搬送波(C)対雑音(N)プラス干渉(N+I)比は、適切に推定可能であり、所定のリンクの予想されるスループットは適切にサイズ調整され得る。リンクバジェットは、1)送信電力、2)送信アンテナゲイン、3)限定されないが、自由空間減衰、大気減衰、シンチレーション損失、降雨減衰、および気象効果を含む組み合わせられた伝搬損失、4)受信アンテナゲイン、および5)受信機における電力に基づいて算出され得る。
【0065】
別の実施形態によると、自己干渉解析は、干渉事前算出のために、共同設置されたユーザ端末を単一の参照リンク計算に組み合わせることによって規模を拡大して生じさせてよい。ここで、全LEOネットワークにおける何百万ものユーザ端末に対するリンクバジェットを算出するではなく、リンクバジェットは、参照リンクバジェットとして適切にサイズ調整されかつ位置付けられたセルに対して事前計算される。
【0066】
別の実施形態によると、PFDマスクは、ITU規制制約および外部調整合意の両方を満たすように判断され得る。PFDマスクは、地球上、GSO円弧上、または(外部調整制約に対する)何らかの非GSO(NGSO)軌道位置上のいずれかの所定の位置について、その送信機によって生成された最大許容PFDを指定する。規模を拡大して、広い地理的地域上でのLEO送信機のPFD貢献度を計算するためのアルゴリズムアプローチが提供される。
【0067】
それぞれのLEO送信源に対するPFDのプロアクティブな計算は、ITU規制および外部調整コンプライアンスを保証するためのブルートフォース法(brute-force mechanism)である。この方法では、システムにおける全ての可能な通信リンクは、TS-SDN通信コントローラによる任意の最適化の前に、リンク評価器アプリケーションの範囲内にあるとみなされる。このアプローチの利益は、TS-SDN通信コントローラが、最適化ネットワークルーティングおよびスケジューリングソリューションに対する膨大な解空間を検索する時、所定のソリューションに即時に利用可能な全ての情報を有することになることである。これによって、TS-SDN通信コントローラは、提案されたソリューションを迅速に見て、そのソリューションにおける選択されたリンクが任意の事前定義された規制制約または調整制約に違反しているか否かに基づいて実現可能性を判断することが可能になる。
【0068】
図6は、TS-SDN通信コントローラ105が複数のプロセッサを含み得ることを示すビュー600を示す。例えば、これは、双方向リンク615上で互いに通信する、トポロジ、ルーティング、およびリソース管理プロセッサ605、ならびに信号伝搬モデリングプロセッサ610の両方を含み得る。関連アプリケーションは、これらのプロセッサ605および610のそれぞれの対応する1つにおいて独立して実行し得る。プロセッサは上述される任意のタイプのものであり得る。
【0069】
図7は、複数のHANのうちの1つにおける少なくとも1つのHAPが、複数のHANのうちの少なくとも1つの他のHANにおけるHAPとの干渉を回避するように制御されるように、複数のHANのスペクトル割り当てを調整するために、マルチテナントシステムにおけるデータベースにデータを追加する方法700のフロー図である。
図1Aおよび
図2を参照すると、ブロック705において、規制制約および調整制約を含むデータが、第1のインタフェース(UI215)およびRPCサービスモジュール210を介してデータベース110におけるデータ記憶デバイス205に入力される。ブロック710において、非規制および外部調整情報を含むデータは、第2のインタフェース(API220)およびRPCサービスモジュール210を介してデータ記憶デバイス205に入力される。その後、ブロック715において、通信コントローラ(例えば、TS-SDN通信コントローラ105)は、入力されたデータに基づいて、HAPの、それぞれのHANにおけるさまざまな特性およびこれらの間のリンクを制御する。プロセスはブロック720で停止する。代替的には、制御プロセスは、新たなまたは更新された情報がシステムに入力されると継続し得る。
【0070】
LEOネットワーク内に可能な合計N×Mのリンクがあり、Nは地上端末の数であり、MはHAPの数であり、MのHAPの全てが同時に見通し線内にあるわけではないと仮定する。従って、所定の時間インスタンスに対してこれらのリンクの部分集合のみで、関連付けられたPFDマスクの算出が行われることになる。モデリングアプリケーションを使用して、所定の地上端末に対する見通し線内にあるこれらの衛星の集約した世界中に及ぶカバレッジ解析が判断可能である。
【0071】
可能なリンクのPFDは、信号伝搬モデリングプロセッサ610からの入力に基づいてリアクティブに計算され得る。通信リンクの全ての可能な組み合わせが考慮される最悪な場合のシナリオでは、利用されない、またはことによると、信号伝搬モデリングプロセッサ610が最適化ソリューションを検索する際に考慮されもしないリンクに対して、多くのPFD計算が行なわれ得る。このソリューションは、プロアクティブな計算の計算要件と、リンク評価プロセッサの最適化ループの一部としてリアクティブな解を取り入れることによってシステムに追加されたプロセッサレイテンシとの間のトレードオフを提示する。それぞれの要求された通信リンクPFDマスクについて、そのリンクに対する計算数が計算され得る。ここで、計算効率の低減は、考慮される通信リンクの数を、LEOネットワークにおける全ての可能な通信リンクではなく、信号伝搬モデリングプロセッサ610によって調査されるものに低減することからしか生じない。
【0072】
上に提示された最悪な場合の数は、PFD計算の一時的な解が、最悪な場合のPFD変化率に基づくものである。これによって、静的な数がシステム全体を通して設定可能であるようにPFDアルゴリズム実装が大幅に簡略化されるが、これにはコストがかかる。低高度衛星の最悪の場合のシナリオでのPFD率は、関心のある対象の真上を通過し得る。よって、PFD率は衛星の通過にわたってかなり変化する。PFD率のこの変化は、衛星が地平線を越えて来ると劇的に変化する衛星の通過のレンジレートによって大いに影響されるが、衛星が頭上真上に来るとゼロに低減する。PFD計算の時間ステップは、推定される衛星レンジレートおよび予想されるPFD変化率に基づいて動的に調節され得る。
【0073】
隣接するLEOユーザ端末に対するリンク評価を空間的に集約することによって、必要とされるPFD計算の量は大幅に低減可能である。ダウンリンクPFD計算について、潜在的な被害を受ける受信機の位置および数が未知であるため、地球の表面全体にわたるPFD貢献度を測定することは重要である。しかしながら、この情報は、干渉被害がITUに登録されている高優先度のHAPである場合のアップリンクPFD計算に利用可能である。この場合、GSO円弧全体にわたるPFD干渉貢献度を計算するのではなく、HAPコンステレーションは直接モデル化可能であり、特定のPFDまたはEPFD算出は、HAPの投影位置のそれぞれに対して行われ得る。
【0074】
規制制約と関連付けられたKPIはまれに変化することが予想されるが、TS-SDNシステム100はこれらが生じるときのこれらの変化に適合し得る。同様に、調整制約は明確に規定されない場合がある。追加の調整合意がなされたとき、これらの合意に対するKPIは、異なる未知の形式であり得る。TS-SDNシステム100によって提供されるソリューションを使用することによって、干渉制約データ構造を更新することは簡易な事項である。
【0075】
調整適応性は、LEOネットワーク事業者が、それぞれの規定された調整制約について、潜在的なリンクまたはリンクのセットが調整制約によって制約されるかどうかを特定できるようにする。ITU規制および規制専門家との相互作用に基づいて、以下の調整制約は以下:1)周波数範囲、端末のタイプ(LEO HAP、ランディングステーション、およびユーザ端末)、3)地理的地域(国境、地球上の事前定義された地理的地域、地球上の特定の位置、HAPに対する特定のエフェメリス、対地同期軌道円弧)、4)仰角マスク(最小仰角および事前定義3D仰角マスク)、および5)ユーザタイプのうちの1つまたは複数を含み得る。
【0076】
全体としてシステムを解析する時、それぞれのリンクまたはリンクのセットについて、これらの調整特性の全ては最初に、このリンクが適用する調整制約の部分集合を判断するために解析され得る。これは、1)ランディングステーションおよび/またはユーザ端末が対象の地理的地域内にあるかどうか、2)端末タイプおよび無線インタフェースプロトコルが制約に合致するかどうか、3)送信電力が限定エリア付近の方向にフォーカスされているかどうか、4)送信機が対象の周波数帯にあるかどうか、および、5)地上端末の仰角が規定または関連の規制の範囲内にあるかどうかを判断することを伴う可能性がある。
【0077】
調整制約が所定の通信リンクに適用されることを確認するために、最大送信電力、アンテナゲインパターン、中心周波数帯域幅、および/または地上局に対する地球上の位置など、送信ステーションに関する特定の情報量が必要とされ得る。
【0078】
この情報に基づいて、調整制約の多くは、不必要な計算を回避するために排除可能である。対象の規制機関を必要とする規制について、地上局(ランディングステーションまたはユーザ端末)が位置する国家が必要とされ得る。よって、ある国に対する地理的な位置を解明するデータベースが採用され得る。これは、TS-SDNデータベースの一部であり得るまたは外部にあり得る。
【0079】
調整制約をTS-SDNシステム100に効率よく統合するために、調整制約は柔軟なやり方で規定される。よって、制約は、LEOネットワーク事業者によって必要に応じて追加かつ除去可能である。調整制約はまた、拡張可能であるやり方で規定される。よって、付加制約が追加されると、これらが利用可能なインタフェースにおいて規定される正確な特性に準拠しない場合、これらのインタフェースはそれに応じて修正可能である。
【0080】
本明細書に説明される特徴は、複数のHANのうちの1つにおける少なくとも1つのHAPが、複数のHANのうちの少なくとも1つの他のHANにおけるHAPとの干渉を回避するように制御されるように、複数のHANのスペクトル割り当てを調整するために提供されるマルチテナントシステムを提供し得る。マルチテナントシステムは、1)第1のインタフェース、2)第2のインタフェース、3)少なくとも1つのサービス、および4)データ記憶デバイスを含むデータベースを備える。マルチテナントシステムは、データベースに結合されている通信コントローラであって、データベースのデータ記憶デバイスに維持されるデータに基づいて、HAPの、それぞれのHANにおけるさまざまな特性およびこれらの間のリンクを制御するように構成されている通信コントローラをさらに備える。データは、第1のインタフェースを介して提供される規制制約および調整制約、ならびに第2のインタフェースを介して提供される非規制および外部調整情報を含む。
【0081】
別段述べられない限り、前述の例および実施形態は相互排他的ではなく、独特な利点を実現するためにさまざまな組み合わせで実装され得る。これらのおよび他の変更形態ならびに上で論じられた特徴の組み合わせは特許請求項によって規定される主題から逸脱することなく利用可能であるため、実施形態の前述の記載は、特許請求項によって規定される主題の限定としてではなく例示として取られるべきである。さらに、本明細書に説明される例の提供のみならず、「など」および「含む」などの言い回しの句は、特許請求項の主題を特定の例に限定すると解釈されるべきではなく、むしろ、例は多くの可能な実施形態のうちの1つのみを示すことが意図されている。さらに、異なる図面における同じ参照番号は同じまたは同様の要素を特定することができる。
[項目1]
複数の高高度ネットワーク(HAN)のうちの第1のHANにおける少なくとも1つの高高度プラットフォーム(HAP)が、前記複数のHANのうちの少なくとも第2のHANにおけるHAPとの干渉を回避するように制御されるように、前記複数のHANのスペクトル割り当てを調整するためのマルチテナントシステムであって、
データベースであって、
規制制約および調整制約を受信するように構成されている第1のインタフェースと、
非規制および外部調整情報を受信するように構成されている第2のインタフェースと、
前記第1のインタフェースからの前記規制制約および前記調整制約、ならびに、前記第2のインタフェースからの前記非規制および外部調整情報を受信するように構成されている少なくとも1つのサービスモジュールと、
前記少なくとも1つのサービスモジュールから受信されるデータを記憶するように構成されているデータ記憶デバイスと
を有するデータベースと、
前記データベースに結合されている通信コントローラであって、前記データベースの前記データ記憶デバイスに維持された前記データに基づいて、HAPの、それぞれのHANにおける特性およびこれらの間のリンクを制御するように構成されている、通信コントローラと
を備え、
前記データは、前記第1のインタフェースおよび前記少なくとも1つのサービスモジュールを介して前記データ記憶デバイスに提供される前記規制制約および前記調整制約、ならびに、前記第2のインタフェースおよび前記少なくとも1つのサービスモジュールを介して前記データ記憶デバイスに提供される前記非規制および外部調整情報を含む、
マルチテナントシステム。
[項目2]
前記第1のHANは気球ネットワークであり、前記第2のHANは衛星ネットワークである、項目1に記載のマルチテナントシステム。
[項目3]
前記第1のHANおよび前記第2のHANは衛星ネットワークである、項目1に記載のマルチテナントシステム。
[項目4]
前記第1のインタフェースはユーザインタフェース(UI)であり、前記第2のインタフェースはアプリケーションプログラムインタフェース(API)である、項目1から3のいずれか一項に記載のマルチテナントシステム。
[項目5]
前記データは、通信チャネル、周波数帯、ならびに前記第1のHANおよび前記第2のHANのうちの少なくとも1つに対する干渉限界に関する情報を含む、項目1から4のいずれか一項に記載のマルチテナントシステム。
[項目6]
前記通信コントローラは、前記第1のHANおよび前記第2のHANのうちの少なくとも1つに対するアップリンクおよびダウンリンク通信の電力束密度(PFD)算出を行うように構成されている、項目1から5のいずれか一項に記載のマルチテナントシステム。
[項目7]
前記データは、前記第1のHANおよび前記第2のHANのうちの少なくとも1つに関する衛星軌道情報を含む、項目1から6のいずれか一項に記載のマルチテナントシステム。
[項目8]
前記通信コントローラは、時空間ソフトウェア定義ネットワーク(TS-SDN)通信コントローラである、項目1から7のいずれか一項に記載のマルチテナントシステム。
[項目9]
前記マルチテナントシステムによって提供されるTS-SDNサービスは、機構管理者が、自らのアプリケーションおよびサービスへのユーザアクセスを管理することを可能にし、かつ前記機構管理者が、前記マルチテナントシステムの外部の他のユーザからの共有アクセスを管理することを可能にするように構成されているアイデンティティおよびアクセス管理(IAM)サービスを介して制御される、項目8に記載のマルチテナントシステム。
[項目10]
前記通信コントローラは、トポロジ、ルーティング、およびリソース管理プロセッサと、信号伝搬モデリングプロセッサとを備え、前記トポロジ、ルーティング、およびリソース管理プロセッサは前記信号伝搬モデリングプロセッサと双方向通信するように構成されている、項目1から9のいずれか一項に記載のマルチテナントシステム。
[項目11]
前記少なくとも1つのサービスモジュールは、1)既知の規制制約および調整制約の特性をキャプチャするように、および2)前記規制制約および前記調整制約と関連付けられた既知の重要業績評価指標(KPI)をキャプチャするように構成されている調整制約インタフェースを含む、項目1から10のいずれか一項に記載のマルチテナントシステム。
[項目12]
前記調整制約インタフェースは、新たな規制が特定されるとまたは新たな調整合意が採用されると将来の成長を可能にするために拡張可能である、項目11に記載のマルチテナントシステム。
[項目13]
複数の高高度ネットワーク(HAN)のうちの第1のHANにおける少なくとも1つの高高度プラットフォーム(HAP)が、前記複数のHANのうちの第2のHANにおけるHAPとの干渉を回避するように制御されるように、前記複数のHANのスペクトル割り当てを調整するために、マルチテナントシステムにおけるデータベースにデータを追加する方法であって、
規制制約および調整制約を含む第1のデータセットを、第1のインタフェースおよび少なくとも1つのサービスモジュールを介して前記データベースにおけるデータ記憶デバイスに入力する段階と、
非規制および外部調整情報を含む第2のデータセットを、第2のインタフェースおよび前記少なくとも1つのサービスモジュールを介して前記データ記憶デバイスに入力する段階であって、前記第2のインタフェースは前記第1のインタフェースから分離している、入力する段階と、
入力された前記第1のデータセットおよび前記第2のデータセットに基づいて、前記第1のHANおよび前記第2のHANのうちの少なくとも1つにおけるHAPの特性およびこれらの間のリンクを通信コントローラによって制御する段階と
を含む、方法。
[項目14]
第1のHANは気球ネットワークであり、前記第2のHANは衛星ネットワークである、項目13に記載の方法。
[項目15]
前記第1のHANおよび前記第2のHANは衛星ネットワークである、項目13に記載の方法。
[項目16]
前記第1のデータセットおよび前記第2のデータセットのうちの1つまたは両方は、前記第1のHANおよび前記第2のHANのうちの少なくとも1つに関する衛星軌道情報を含む、項目13から15のいずれか一項に記載の方法。
[項目17]
アイデンティティおよびアクセス管理(IAM)サービスによって、前記マルチテナントシステムによって提供される時空間ソフトウェア定義ネットワーク(TS-SDN)サービスを制御する段階であって、前記TS-SDNサービスは、機構管理者が、自らのアプリケーションおよびサービスへのユーザアクセスを管理し、かつ前記マルチテナントシステムの外部の他のユーザからの共有アクセスを管理することを可能にする、制御する段階をさらに含む、項目13から16のいずれか一項に記載の方法。
[項目18]
既知の規制制約および調整制約の特性をキャプチャする段階をさらに含む、項目13から17のいずれか一項に記載の方法。
[項目19]
前記規制制約および前記調整制約と関連付けられた既知の重要業績評価指標(KPI)をキャプチャする段階をさらに含む、項目18に記載の方法。
[項目20]
前記第1のHANおよび前記第2のHANのうちの少なくとも1つに対するアップリンクおよびダウンリンク通信の電力束密度(PFD)算出を行う段階をさらに含む、項目13から19のいずれか一項に記載の方法。