(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-23
(45)【発行日】2024-01-31
(54)【発明の名称】レーザー切断機械の切断パラメータを決定するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
B23K 26/38 20140101AFI20240124BHJP
G05B 19/409 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
B23K26/38 A
G05B19/409 C
(21)【出願番号】P 2022537260
(86)(22)【出願日】2020-12-18
(86)【国際出願番号】 EP2020087092
(87)【国際公開番号】W WO2021123216
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】102019220478.3
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】502300646
【氏名又は名称】トルンプフ ヴェルクツォイクマシーネン エス・エー プルス コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】TRUMPF Werkzeugmaschinen SE + Co. KG
【住所又は居所原語表記】Johann-Maus-Str. 2, 71254 Ditzingen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】イェンス オットナード
(72)【発明者】
【氏名】レオニー フェリカ タッツェル
【審査官】山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-101680(JP,A)
【文献】特開平04-138504(JP,A)
【文献】特開2017-215675(JP,A)
【文献】特開平11-143516(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0073583(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00 - 26/70
G05B 19/18 - 19/416、
19/42 - 19/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザー切断機械(18)の切断パラメータを決定する方法であって、
A)少なくとも1つの機械パラメータ、少なくとも1つのプロセスパラメータ及び/又は少なくとも1つの材料パラメータを受信するステップ、
B)前記切断パラメータによって影響され得る、前記レーザー切断機械(18)によって切断され得るレーザー切断エッジの特性を出力するステップ、
C)前記特性の重みを受信するステップ、
D)前記少なくとも1つの機械パラメータ、前記少なくとも1つのプロセスパラメータ及び/又は前記少なくとも1つの材料パラメータを使用し、且つ前記重み付けされた特性も使用して前記切断パラメータを決定するステップ
を有する方法。
【請求項2】
前記決定された切断パラメータの少なくとも1つは、ステップE1)において出力される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
記決定された切断パラメータは、前記レーザー切断機械(18)に送信される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
レーザー切断プロセスは、前記送信された切断パラメータを使用して実行される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記特性の少なくとも1つについての情報は、ステップE2)において出力される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ステップA)及び/又はC)における前記受信は、グラフィカルユーザインターフェース(12)を介して行われる、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ステップB)、E1)及び/又はE2)における前記出力は、グラフィカルユーザインターフェース(12)を介して行われる、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ステップF)において、前記レーザー切断エッジのグラフィカル表現(20)は、出力され、前記グラフィカル表現(20)は、前記少なくとも1つの機械パラメータ、前記少なくとも1つのプロセスパラメータ及び/又は前記少なくとも1つの材料パラメータの前記使用並びにまた前記切断パラメータにリンクされる、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの機械パラメータ、前記少なくとも1つのプロセスパラメータ及び/又は前記少なくとも1つの材料パラメータ並びにまた前記切断パラメータに基づく前記レーザー切断エッジの前記グラフィカル表現(20)は、メモリ(16)から読み出される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記レーザー切断エッジの前記グラフィカル表現(20)は、データ集計ルーチンへの入力として使用される、前記少なくとも1つの機械パラメータ、前記少なくとも1つのプロセスパラメータ及び/又は前記少なくとも1つの材料パラメータ並びにまた前記切断パラメータと共に前記データ集計ルーチンを使用して決定される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
ワークピースを機械加工するための装置(10)であって、
・少なくとも1つの機械パラメータ、少なくとも1つのプロセスパラメータ及び/又は少なくとも1つの材料パラメータを受信することと、レーザー切断機械(18)によって切断され得るレーザー切断エッジの特性を出力することであって、前記特性は、切断パラメータによって影響され得る、出力することと、前記特性の重みを受信することとを行うようにセットアップされたグラフィカルユーザインターフェース(12)、
・前記少なくとも1つの機械パラメータ、前記少なくとも1つのプロセスパラメータ及び/又は前記少なくとも1つの材料パラメータを使用し、且つ前記重み付けされた特性も使用して前記切断パラメータを決定するようにセットアップされた計算ユニット(14)
を含む装置(10)。
【請求項12】
前記切断パラメータを使用したレーザー切断によってワークピースを切断するようにセットアップされるレーザー切断機械(18)を含む、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記グラフィカルユーザインターフェース(12)は、前記決定された切断パラメータの少なくとも1つを出力し、且つ/又は前記特性の少なくとも1つについての情報を出力するようにもセットアップされる、請求項11又は12に記載の装置。
【請求項14】
請求項1~10のいずれか一項に記載の方法を実行するための装置であって、生産プロセスをシミュレートするように設計され、前記生産プロセスは、前記決定された切断パラメータを使用してレーザー切断プロセスが実行され得る前記レーザー切断機械(18)を含む、装置。
【請求項15】
前記レーザー切断エッジの特性は、
・粗度強度、
・凹凸形状、
・バリ高さ、
・バリ形状、
・切断エッジの傾斜、
・変色、
・切頭切断上部エッジ、
・ピッティング、個々のピッティング、ピッティングの蓄積、セルフバーニング、
・切断面の中空プロファイル、
・切断上部エッジ/切断下部エッジにおけるエッジ溶融、
・切断下部エッジの上方/下方のエッジキャビティ切断、
・局部溝ずれ、
・切断面におけるひび、
・切断上部エッジ上の溶融ビーズの連鎖、
・切断面の終わりが断ち切られていない、
・両方の切断面での切断角度ずれ、
・片方の切断面での切断角度ずれ、
・不均等な溝深度、
・切断面の波形プロファイル、
・過度の溝の引きずり、
・ワークピース上面/上部エッジ、ワークピース下面/下部エッジにおけるカーフの拡張、
・過度の溝深さ、過度の粗化、
・切断方向に波打つ切断面、
・切断の波打つ開始、
・下面のスラグ付着、
・スラグクラスト、複数の切断エッジを一緒に溶接すること、ビーズ、剪断溶融、
・バリ形成、バリビーズ、細かい針状のバリ、目立つバリ、折ることができる長いバリ、折ることができない短いバリ、非常に広範囲のバリ、
・長手方向における断続切断、ビーム減衰、
・材料面上のスパッター、フィラメント形成、
・切断面の変色、切断端部の変色、切断面の変色、角の変色、煙残留物
のうち、少なくとも一つを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記レーザー切断エッジの特性は、
・粗度強度、
・凹凸形状、
・バリ高さ、
・バリ形状、
・切断エッジの傾斜、
・変色、
・切頭切断上部エッジ、
・ピッティング、個々のピッティング、ピッティングの蓄積、セルフバーニング、
・切断面の中空プロファイル、
・切断上部エッジ/切断下部エッジにおけるエッジ溶融、
・切断下部エッジの上方/下方のエッジキャビティ切断、
・局部溝ずれ、
・切断面におけるひび、
・切断上部エッジ上の溶融ビーズの連鎖、
・切断面の終わりが断ち切られていない、
・両方の切断面での切断角度ずれ、
・片方の切断面での切断角度ずれ、
・不均等な溝深度、
・切断面の波形プロファイル、
・過度の溝の引きずり、
・ワークピース上面/上部エッジ、ワークピース下面/下部エッジにおけるカーフの拡張、
・過度の溝深さ、過度の粗化、
・切断方向に波打つ切断面、
・切断の波打つ開始、
・下面のスラグ付着、
・スラグクラスト、複数の切断エッジを一緒に溶接すること、ビーズ、剪断溶融、
・バリ形成、バリビーズ、細かい針状のバリ、目立つバリ、折ることができる長いバリ、折ることができない短いバリ、非常に広範囲のバリ、
・長手方向における断続切断、ビーム減衰、
・材料面上のスパッター、フィラメント形成、
・切断面の変色、切断端部の変色、切断面の変色、角の変色、煙残留物
のうち、少なくとも一つを含む、請求項11~14のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザー切断機械の切断パラメータを決定する方法及びその方法を実行するための装置、特にワークピースを機械加工するための装置及び/又は生産プロセスをシミュレートするように設計された装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザー切断機械は、好ましくは、精密なワークピースを迅速に生産し、機械加工するために使用される。これに関連して、ワークピースは、特に金属シートの形態の板からレーザーを使用して好都合に切断される。方法に応じて、レーザーによって導入されたエネルギーは、切り溝においてワークピース材料の溶融、燃焼又は昇華を生じさせる。焼灼された材料は、特にプロセスガスを用いて切り溝から除去される。
【0003】
生成された切断エッジは、例えば、切断速度又はノズル-金属シート距離等、同様に方法シーケンス又は方法パラメータに依存する特性的特徴を有する表面を有する。プロセス及び生成されたワークピースの適用分野に応じて、切断エッジの特定の表面仕上げが求められる。
【0004】
(特許文献1)は、工作機械で実行された機械加工プロセスを調べるダイアログシステムを記載されている。その後の機械加工プロセスの少なくとも1つの品質特徴を改善する提案が決定される。オペレータは、入力手段を介して、改善すべき品質特徴を予め決定することができる。記憶された専門知識を使用して、品質特徴を改善するための提案を決定する。提案を決定するために、工作機械センサシステムによって特定されたデータ及び/又は機械加工されたワークピースの写真も、関連付けられた材料及び機械加工データと共に読み込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、切断パラメータを決定するための方法及び装置を更に改良することであり、特に操作の容易さを更に簡易化することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、特許請求項1に記載の方法、特許請求項11に記載の装置及び特許請求項14に記載の装置によって達成される。
【0008】
したがって、本発明は、レーザー切断機械の切断パラメータを決定する方法であって、
A)少なくとも1つの機械パラメータ、少なくとも1つのプロセスパラメータ及び/又は少なくとも1つの材料パラメータを受信するステップ、
B)切断パラメータによって影響され得る、レーザー切断機械によって切断され得るレーザー切断エッジの特性を出力するステップ、
C)特性の重みを受信するステップ、
D)少なくとも1つの機械パラメータ、少なくとも1つのプロセスパラメータ及び/又は少なくとも1つの材料パラメータを使用し、且つ重み付けされた特性も使用して切断パラメータを決定するステップ
を有する方法に関する。
【0009】
したがって、本方法は、ステップA)において、少なくとも1つの機械パラメータ、少なくとも1つのプロセスパラメータ及び/又は少なくとも1つの材料パラメータを受信することを含む。これに関して、機械パラメータは、いずれのレーザー切断機械が使用されるかを指定する。プロセスパラメータは、いずれのレーザー切断プロセスが使用されるかを指定する。材料パラメータは、いずれの材料を切断すべきか、即ちいずれの材料が、例えば、切断すべき金属シートを構成するかを指定する。ステップA)における受信は、例えば、入力ユニットを介してオペレータによって行うことができる。同様に、ステップA)における受信は、データインターフェースを介して行われることも可能である。
【0010】
本方法は、ステップB)において、切断パラメータによって影響され得る、レーザー切断機械によって切断され得るレーザー切断エッジの特性を出力することを含む。切断パラメータによって影響され得るレーザー切断エッジの特性は、例えば、切断エッジ自体の特徴及び切断エッジの作成に使用されるプロセスの特徴を含む。切断エッジの特徴は、例えば、バリ、バリ高さ、バリ厚さ、エッジ傾斜、粗度、変色、均質性である。プロセスの特徴は、例えば、粗度であり、粗度は、プロセス信頼度とも呼ばれ、例えば誤って切断するリスクを示す。プロセスの更なる特徴は、プロセス及び/又はガス消費の生産性であり得る。特性は、出力ユニットを介して例えばオペレータに出力され得る。ステップB)における特性の出力も、同様に、例えばデータインターフェースを介して行われ得る。
【0011】
レーザー切断機械でのレーザー切断の切断パラメータは、例えば、進行速度、ノズル-金属シート距離、設定寸法、ガス圧、焦点直径、レーザー電力出力、ノズル直径、ガスタイプである。
【0012】
ステップC)において、特性の重みが受信される。これに関して、特性とは、切断パラメータによって影響され得るレーザー切断エッジの特性である。ここで、特性は、切断エッジの特徴を含み、且つプロセスの特徴も含む。特性の重みは、他の特性に関連してその特性がどの程度重要であるかを指定する。全ての特性を同時に最適化することができるわけではなく、幾つかの場合、種々の特性で切断パラメータに課される要件は、異なるか又は更に互いと矛盾する。したがって、互いとの関係に関してそれらの特性がどの程度重要であるかを精密に識別できるようにするために、重み付けが有利である。ステップC)における受信は、例えば、入力ユニットを介してオペレータによって行うことができる。入力ユニットは、好ましくは、出力ユニットに結合され、ステップB)において、特性は、出力ユニットを介して出力されている。一実施形態では、ステップC)における受信は、データインターフェースを介して行うこともできる。
【0013】
ステップD)において、切断パラメータは、少なくとも1つの機械パラメータ、少なくとも1つのプロセスパラメータ及び/又は少なくとも1つの材料パラメータを使用し、且つ重み付けされた特性も使用して決定される。切断パラメータは、例えば、複数の標的機能の重み付け最適化によって決定される。標的機能は、切断パラメータによって影響され得る、レーザー切断機械によって切断され得るレーザー切断エッジの特性である。最適化すべきパラメータは、切断パラメータである。解決は、例えば、既知のデータセットに基づく少なくとも1つのデータ集計ルーチンによって行われる。
【0014】
データ集計ルーチンは、入力データすることと呼ばれるものである1つ又は複数の既知のデータセットを集計して、出力データセットである新たなデータセットを形成するように設計され得る。出力データセットは、1つ又は複数の数又はベクトルを含み得る。出力データセットの全て又は一部は、入力データセットの形態で更なるデータ集計ルーチンに提供され得る。切断パラメータの決定は、特に好ましくは、リンクされた複数のデータ集計ルーチンを用いるアルゴリズムの形態で行われる。特に、数百、好ましくは数千のそのようなデータ集計ルーチンが互いにリンクされ得る。これは、品質及び速度を大幅に改善する。1つ、特に2つ以上、特に好ましくは全てのデータ集計ルーチンは、各事例での複数の出力データを特性の重みと組み合わせ、したがってそれらを集計して新たなデータセットを形成するように構成され得る。異なる重みの特性に属するデータセットも同様に集計され得る。本発明の実施形態では、少なくとも1つのデータ集計ルーチンを変更することができ、且つ/又はデータ集計ルーチンの組合せを変更することができる。データ集計ルーチンは、例えば、ニューラルネットワーク又は機械学習アルゴリズム、例えば進化アルゴリズム等であり得る。
【0015】
特に好ましいのは、切断エッジの特徴が以下の切断エッチ品質特徴の1つ及び/又は複数を含む方法である:
・粗度強度、
・凹凸形状、
・バリ高さ、
・バリ形状、
・切断エッジの傾斜、
・変色、
・切頭切断上部エッジ、
・ピッティング、個々のピッティング、ピッティングの蓄積、セルフバーニング、
・切断面の中空プロファイル、
・切断上部エッジ/切断下部エッジにおけるエッジ溶融、
・切断下部エッジの上方/下方のエッジキャビティ切断、
・局部溝ずれ、
・切断面におけるひび、
・切断上部エッジ上の溶融ビーズの連鎖、
・切断面の終わりが断ち切られていない、
・両方の切断面での切断角度ずれ、
・片方の切断面での切断角度ずれ、
・不均等な溝深度、
・切断面の波形プロファイル、
・過度の溝の引きずり、
・ワークピース上面/上部エッジ、ワークピース下面/下部エッジにおけるカーフの拡張、
・過度の溝深さ、過度の粗化、
・切断方向に波打つ切断面、
・切断の波打つ開始、
・下面のスラグ付着、
・スラグクラスト、複数の切断エッジを一緒に溶接すること、ビーズ、剪断溶融、
・バリ形成、バリビーズ、細かい針状のバリ、目立つバリ、折ることができる長いバリ、折ることができない短いバリ、非常に広範囲のバリ、
・長手方向における断続切断、ビーム減衰、
・材料面上のスパッター、フィラメント形成、
・切断面の変色、切断端部の変色、切断面の変色、角の変色、煙残留物。
【0016】
切断パラメータは、好ましくは、計算ユニットによって決定される。本発明の一実施形態では、機械材料及びプロセスパラメータの受信、特性の出力及び/又は資質の重みの受信は、計算ユニットに結合された入力/出力ユニットを介して行われる。機械、材料及びプロセスパラメータの受信、特性の出力並びに/又は特性の重みの受信は、計算ユニットのデータインターフェースを介して行われることも同様に可能である。この場合、受信されるデータは、更なる計算ユニットによって事前に決定することができ、且つ/又はデータ出力は、更なる計算ユニット及び/若しくは第2の更なる計算ユニットによって処理することができる。これは、例えば、工場シミュレーションに使用することができる。
【0017】
一実施形態では、ステップD)において決定された切断パラメータの少なくとも1つは、ステップE1)において出力することができる。出力は、例えば、ステップB)における出力が行われる出力ユニットにおいてオペレータに対して行うことができる。更なる出力ユニットを介してオペレータ及び/又は更なるオペレータに対して出力を実行することも同様に可能である。ステップE1)における出力がデータインターフェースを介して行われることも同様に可能である。
【0018】
好ましい実施形態では、ステップE1)において、決定された全ての切断パラメータは、レーザー切断機械に出力、即ち送信される。一実施形態では、次いで、レーザー切断プロセスは、送信された切断パラメータを使用して実行される。任意選択的に、この後、例えば光学画像によって切断結果を返信し、入力データセットの形態でデータ集計ルーチンに提供することができる。
【0019】
一実施形態では、特性の少なくとも1つについての情報は、ステップE2)において出力される。これは、他方では、単に可能なオペレータへのフィードバックの形態で実行される入力の出力に関し得る。これは、更なる特性と併せて単に入力された特性の重みについての出力に関することができる。これは、重みがステップC)において入力される場合、他の特性への重み付き入力の効果を出力するために有利である。したがって、例えば、重み付け係数を変更した結果として特性、即ち例えば切断エッジ自体の特徴及びプロセスの特徴が変わる方法を出力することができる。出力は、例えば、ステップB)及び/又はE1)において使用された出力ユニットで行うことができる。
【0020】
一実施形態では、ステップA)及び/又はC)における受信は、グラフィカルユーザインターフェースを介して行われる。これに関連して、グラフィカルユーザインターフェースは、入力ユニットに配置され得るか、又はデータ回線を介して入力ユニットに接続され得る。入力ユニットは、同時に計算ユニットの一部であり得る。受信することは、例えば、オペレータ入力を受信することを含み得る。ステップA)における受信では、例えば、少なくとも1つの機械パラメータ、少なくとも1つのプロセスパラメータ及び/又は少なくとも1つの材料パラメータ等のパラメータに割り当てられる入力フィールドを表示することが可能である。入力フィールドへの入力により、次いでパラメータを受信することが可能になる。グラフィカルユーザインターフェースは、各々が切断パラメータによって影響され得る特性に対応するスライド制御の光学画像を表示するように更に構成され得る。例えば、ポインタ機器により又はタッチセンシティブ画面を介して、表示されたスライド制御を調整することにより、特性の重みを設定することが可能である - ステップC)。
【0021】
一実施形態では、ステップB)、E1)及び/又はE2)における出力は、グラフィカルユーザインターフェースを介して行われ、グラフィカルユーザインターフェースは、ステップA)及び/又はC)における受信のために意図されるグラフィカルユーザインターフェースに対応し得る。これに関連して、グラフィカルユーザインターフェースは、出力ユニットに配置され得るか、データ回線を介して出力ユニットに接続され得、且つ/又は入力/出力ユニットの一部であり得る。出力ユニット及び/又は入力/出力ユニットは、同時に計算ユニットの一部であることが可能である。ステップE2)における出力について、例えば、ステップC)における重み付け入力への他の特性に対する重み付け入力の影響を出力するためである。したがって、例えば、重み付け係数を変更した結果として特性、即ち例えば切断エッジ自体の特徴及びプロセスの特徴が変わる様式を出力することができる。数値並びに/又は例えばカラー及び/若しくは矢印形態の更なる視覚的表示を示すことができ、どのような属性が改善され、且つ/又は悪影響を受けるかを明らかにする - 例えば、前の入力と比較して。
【0022】
一実施形態では、ステップF)において、レーザー切断エッジのグラフィカル表現が出力され、グラフィカル表現は、少なくとも1つの機械パラメータ、少なくとも1つのプロセスパラメータ及び/又は少なくとも1つの材料パラメータの使用と関連し、且つ切断パラメータにも関連する。これにより、選択された重みで予期されるレーザー切断エッジの外観についての光学フィードバックをオペレータに提供することが可能になる。
【0023】
一実施形態では、ステップF)において、レーザー切断エッジの例えば写真が表示され、写真は、そのパラメータ - 機械パラメータ、プロセスパラメータ、材料パラメータ、切断パラメータ - と共にメモリに記憶される。ステップF)において表示するために、パラメータが現在のパラメータに最も近い写真が選択される。メモリは、例えば、計算ユニットにあり得るか、又はデータ回線を介して接続された遠隔場所にあり得る。
【0024】
更なる実施形態では、ステップF)において表示されるレーザー切断エッジのグラフィカル表現は、データ集計ルーチンを使用して決定され、少なくとも1つの機械パラメータ、少なくとも1つのプロセスパラメータ及び/又は少なくとも1つの材料パラメータ並びに切断パラメータは、データ集計ルーチンへの入力として使用される。データ集計ルーチンは、予期されるレーザー切断エッジのグラフィカル表現を生成するために使用される。
【0025】
レーザー切断機械の切断パラメータを決定するための方法の実行に適した、レーザー切断機械でワークピースを機械加工するための装置は、少なくとも1つの機械パラメータ、少なくとも1つのプロセスパラメータ及び/又は少なくとも1つの材料パラメータを受信するようにセットアップされたグラフィカルユーザインターフェースを有する。グラフィカルユーザインターフェースは、切断パラメータによって影響され得る、レーザー切断機械によって切断され得るレーザー切断エッジの特性を出力するようにもセットアップされる。グラフィカルユーザインターフェースは、これらの特性を重み付けるようにもセットアップされる。グラフィカルユーザインターフェースは、好ましくは、入力/出力ユニットの一部である。ワークピースを機械加工する装置は、少なくとも1つの機械パラメータ、少なくとも1つのプロセスパラメータ及び/又は少なくとも1つの材料パラメータを使用し、且つ重み付けされた特性も使用して切断パラメータを決定するようにセットアップされた計算ユニットを更に有する。機械パラメータ、プロセスパラメータ及び/又は材料パラメータを出力し、パラメータの重みを受信することにより、装置は、装置のオペレータの要件に最も近くなる結果を与える切断パラメータを決定するという選択肢を提供する。これにより、オペレータによる装置の設定が容易になる。
【0026】
一実施形態では、ワークピースを機械加工するための装置は、切断パラメータを使用してレーザー切断によってワークピースを切断するようにセットアップされるレーザー切断機械を有する。この実施形態は、決定された切断パラメータをレーザー切断機械に転送することを可能にし、レーザー切断機械において、決定されたパラメータを使用して切断プロセスを実行することができる。
【0027】
一実施形態では、グラフィカルユーザインターフェースは、決定された切断パラメータの少なくとも1つを出力し、且つ/又は特性の少なくとも1つについての情報を出力するようにもセットアップされる。このようにして、ユーザが入力の効果を推定し、生じ得る結果を査定することが可能である。
【0028】
一実施形態では、本発明による方法を実行するための装置は、生産プロセスをシミュレートするように設計され、シミュレートされる生産プロセスは、決定された切断パラメータを使用してレーザー切断プロセスを実行することができるレーザー切断機械を含む。この実施形態は、1つのシミュレーションで工場での異なる工作機械の異なるパラメータを組み合わせることができる工場シミュレーションで特に有利である。これは、例えば、工場又は工場ネットワークの複数の工作機械にわたってパラメータを最適化するために利用することができる。最適化は、例えば、別個のバリ除去プロセスにおいて、切断動作後に切断エッジをバリ除去する方が得策であるか、又はレーザーにより、可能な限り小さいバリを有する切断エッジを切断する方が得策であるかについて行うことができる。
【0029】
本発明の更なる利点が説明及び図面から明らかになるであろう。同様に、本発明によれば、上記の特徴及び更に説明される特徴は、それぞれの場合において、それら自体で個々に又は任意の所望の組合せにおいて複数として使用することができる。図示及び説明される実施形態は、網羅的な列挙として理解されるべきではなく、むしろ本発明を概説するための例示的な特徴のものである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図2】ワークピースを機械加工する装置を概略的に示す。
【
図3】グラフィカルユーザインターフェースの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1に概略的に示す、レーザー切断機械18(
図2)の切断パラメータを決定するための方法の場合、ステップA)において、少なくとも1つの機械パラメータ、少なくとも1つのプロセスパラメータ及び/又は少なくとも1つの材料パラメータが受信される。これは、例えば、切断パラメータが最適化されるべきプロセス、材料及び機械を指定するオペレータの選択によって行われ得る。ステップB)において、切断パラメータによって影響され得る、レーザー切断機械18によって切断され得るレーザー切断エッジの特性が出力される。ステップC)において、特性の重みが受信される。受信は、好ましくは、ステップB)において出力された特性に関連するオペレータ入力によって行われる。重みがどのように変わるかに応じて、個々の特性の重要性が変わる。同じ重みが各特性に入力された場合、特性の全ては、同じ重要性を有することになる。ステップD)において、切断パラメータは、少なくとも1つの機械パラメータ、少なくとも1つのプロセスパラメータ及び/又は少なくとも1つの材料パラメータを使用し、且つ重み付けされた特性も使用して決定される。重みの大きい特性ほど、ここでの決定で高い重要性が割り当てられる。例えば、全ての特性が同じ重みを有した場合、既に述べたように、切断パラメータの決定において、それらの特性は、同じ重要性を有することになる。
【0032】
方法は、例えば、計算ユニット14(
図2)で実行され得、計算ユニット14には、入力/出力ユニットを介してパラメータ及び重みがオペレータの選好として入力され、計算ユニット14によって受信することができる。入力を開始点として採用して、「最適な」切断パラメータが決定され出力される。加えて、パラメータ及び/又は重みへの変更が他のポイントでの選択肢を制限する旨の視覚的指示があり、予期される大まかな切断エッジが表示される。
【0033】
これは、レーザー切断動作中、要件を最もよく満たす切断エッジを的確に取得するうえでオペレータを支援する。オペレータは、同様に、切断パラメータ自体に関連する設定を変更する選択肢を得、プロセスにおいて、所望のレーザー切断エッジに最も近くなる切断結果を生産する切断パラメータの完全なセットを決定するうえで本方法及び/又は本装置によって支援される。
【0034】
図2は、ワークピースを機械加工する装置10を概略的に示す。装置10は、例えば、入力/出力ユニットの一部であり得るグラフィカルユーザインターフェース12を有する。グラフィカルユーザインターフェース12は、
図1の方法の少なくともステップA)、B)、C)を実行し、即ち少なくとも1つの機械パラメータ、少なくとも1つのプロセスパラメータ及び/又は少なくとも1つの材料パラメータを受信し、切断パラメータによって影響され得る、レーザー切断機械によって切断され得るレーザー切断エッジの特性を出力し、特性の重みを受信するようにセットアップされる。装置10は、少なくとも1つの機械パラメータ、少なくとも1つのプロセスパラメータ及び/又は少なくとも1つの材料パラメータを使用し、且つ重み付けられた特性も使用して切断パラメータを決定するようにセットアップされた計算ユニット14を更に有する。例えば、方法を実行するためのプログラムコードは、装置10のメモリ16に記憶することができる。レーザー切断機械18は、レーザービームによってワークピースを切断する、即ち決定された切断パラメータを使用してレーザー切断方法を実行するように設計される。このために、計算ユニット14において決定された切断パラメータは、レーザー切断機械18に出力することができる。
【0035】
図3は、
図2による装置10で使用することができるようなグラフィカルユーザインターフェース12を例として示す。
【0036】
オペレータが材料パラメータ、機械パラメータ及びプロセスパラメータを入力できるようにするグラフィカルユーザ要素は、表面12の第1のエリア12.1に配置される。図示の例では、材料パラメータ「材料」 - ワークピースの切断されるべき材料 - 及び「厚さ」 - ワークピースの厚さ - を指定することができる。例えば、ステンレス鋼、建築鋼材、アルミニウム、銅又はそれらの組合せを材料として使用することができる。ワークピースの厚さは、- 材料に応じて - 1mm未満~数cmであり得る。更に、「機械」、即ち使用されるレーザー切断機械18のタイプを指定することができる。使用することができるレーザー切断機械18の例は、Trumpf TruLaser 5030及びTrumpf TruLaser Center 7030という名称で開示されている。レーザー切断機械に応じて、例えば、使用される光学システム等は、異なり得る。更に、「レーザー」は、使用されるレーザーのタイプを指定することができる。レーザー指定の例は、ディスクレーザー、CO2レーザーであり、それらは、それぞれ可能な最大レーザー電力出力の仕様を有する。
【0037】
第2のエリア12.2において、切断パラメータによって影響され得る、レーザー切断機械18によって切断され得るレーザー切断エッジの特性を出力することができ、特性に重みを提供することができる。このために、特性は、例えば、名前、この場合、例えば「生産性」、「プロセス信頼性」、「バリ」、「エッジ傾斜」、「粗度」と共に出力される。第2のエリア12.2からの他の特性と比較して特性の重みを設定できるようにするスライド制御は、好ましくは、各特性の隣に表示される。この場合、スライド制御の一端部、例えば左端部は、「あまり重要ではない」を意味し、スライド制御の他端部、例えば右端部は、「非常に重要である」を意味する。複数の特性を一緒に「バンドル」する更なる条件を第2のエリア12.2において設定することもできる。このための一例は、粗度及びエッジ傾斜の最大値を提供するDIN EN ISO 9013規格による切断エッジについての要求である。
図3に示す例では、この条件は、チェックマークによって選択される。図示の例において選択することができる一条件は、切断が工作機械の製造業者からの推奨に従って行われるべきであることである。この推奨は、各材料、各厚さ、各機械等で切断が行われる際に使用すべき切断パラメータのセットを含む。したがって、このパラメータセットは、完全に個々に決定されるわけではなく、例えば経験的知識に関連する一般に有効なパラメータのセットを含む。
【0038】
第3のエリア12.3において、決定された切断パラメータは、下部に出力される。図示の例では、この場合、「進行速度」、「ノズル-金属シート距離」、「寸法設定」及び「ガス圧」の値が出力される。切断プロセス自体がなお実行することができるようにするために、有利には、切断パラメータがとるべき値は、追加条件によって制限される。例えば、ノズル-金属シート距離は、レーザー切断ヘッドとワークピースとの衝突が生じるほど小さく設定されるべきではない。
【0039】
この他に、- 12.3の中央エリアにおいて -、予期されるレーザー切断エッジの特性が示される。図示の例では、これらの特性は、切断エッジ自体の特徴、この場合には「バリ」、「エッジ傾斜」及び「粗度」を含む。特性は、切断エッジを作成したプロセスの特徴、この場合、「生産性」、「プロセス信頼性」を更に含む。特性の品質のグラフィカル表示が特性の隣に表示される。これは、例えば、特性の値が切断パラメータの最新の決定と比較して改善したか - 緑の上向きの矢印 -、又は値が切断パラメータの最新の決定と比較して悪化したか - 赤の下向きの矢印 - であり得る。
【0040】
エリア12.3の上部において、12.3の下エリアに示される決定された切断パラメータ下で予期されるレーザー切断エッジのグラフィカル表現20、例えば写真が示される。レーザー切断エッジのグラフィカル表現20は、機械パラメータ、プロセスパラメータ、材料パラメータ及びまた切断パラメータにリンクされ、メモリ16(
図2)に記憶され得る。このようにして、所与のパラメータに関して、達成すべきレーザー切断結果に最もよく合致するグラフィカル表現20をメモリ16から読み出し、グラフィカルユーザインターフェース12に出力して、情報をオペレータに提供することができる。
【0041】
本発明は、切断エッジの品質を個々に客観的且つ透明に表すことができるようにする。設定は、直観的に行うことができる。切断エッジの特性がリンクされる様式及びある特性の改善が他の特性の品質に影響を及ぼすことがオペレータに明確に示される。しかしながら、これは、切断パラメータによって切断プロセスを設定することができる限度も明確に示す。切断プロセスは、より予測可能になる。
【符号の説明】
【0042】
10 装置
12 グラフィカルユーザインターフェース
12.1 グラフィカルユーザインターフェース12の第1のエリア
12.2 グラフィカルユーザインターフェース12の第2のエリア
12.3 グラフィカルユーザインターフェース12の第3のエリア
14 計算ユニット
16 メモリ
18 レーザー切断機械
20 グラフィカル表現