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  • 特許-自動車両用の、特に自動車用の内燃機関 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-23
(45)【発行日】2024-01-31
(54)【発明の名称】自動車両用の、特に自動車用の内燃機関
(51)【国際特許分類】
   F02N 5/02 20060101AFI20240124BHJP
【FI】
F02N5/02 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022549553
(86)(22)【出願日】2021-01-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-04
(86)【国際出願番号】 EP2021051902
(87)【国際公開番号】W WO2021170334
(87)【国際公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-08-22
(31)【優先権主張番号】102020001260.4
(32)【優先日】2020-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】メルセデス・ベンツ グループ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Mercedes-Benz Group AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 120,70372 Stuttgart,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100090583
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 清
(74)【代理人】
【識別番号】100098110
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 みどり
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー・フォン ガイスベルク-ヘルフェンベルク
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・シュトルク
【審査官】平井 功
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102009001317(DE,A1)
【文献】特開2006-162065(JP,A)
【文献】特開2014-227932(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 1/00-99/00
F02B 61/00-79/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車両用の内燃機関(16)であって、出力軸(24)を有し、前記出力軸は前記内燃機関(16)のハウジング(22)に対して回転軸(26)の周りを回転することができ、前記自動車両を駆動するために前記内燃機関(16)によって前記出力軸を介してトルクが提供されることができるものであり、少なくとも1つのバネ要素(34)を有し、前記バネ要素(34)は前記出力軸(24)とともに回転可能であり、前記バネ要素(34)は前記ハウジング(22)に対する前記回転軸(26)の周りの前記出力軸(24)の回転によって前記内燃機関(16)の停止の結果として張力がかけられることができ、その結果、前記バネ要素(34)によってバネ力が提供されることができ、前記バネ力によって、前記出力軸(24)は、前記停止に続く前記内燃機関(16)の始動の間、前記ハウジング(22)に対して前記回転軸(26)の周りを回転するように設定されることができるものであり、および、ロック装置(36)を有し、前記ロック装置(36)により前記バネ要素(34)が張力をかけられた後および前記バネ要素(34)が張力をかけられている間、前記出力軸(24)は前記ハウジング(22)に対して前記回転軸(26)の周りを回転しないように固定されるものであり、ブロック装置(38)が前記ロック装置(36)に加えて設けられ、前記ブロック装置(38)は、前記ハウジング(22)に対して前記回転軸(26)の周りを回転しないように、前記出力軸(24)に非回転的に接続された第2の部分(T2)を有する前記バネ要素(34)の少なくとも第1の部分(T1)を固定するブロック状態と、前記ハウジング(22)に対して前記回転軸(26)の周りを回転するために前記第1の部分(T1)を解放するリリース状態と、の間で調整可能である、前記内燃機関(16)において、
ブロック要素(40)が設けられ、前記ブロック要素(40)は、前記バネ要素(34)とは別に形成され、そして前記バネ要素(34)の前記第1の部分(T1)と非回転的に接続され、前記ブロック要素(40)とともに前記ブロック装置(38)が前記ブロック状態で相互作用し、それによって前記ブロック要素(40)およびこれを介して前記バネ要素(34)の第1の部分(T1)が、前記ハウジング(22)に対して前記回転軸(26)の周りを回転しないように固定されるものであり、前記ロック装置(36)は、前記ハウジング(22)に対して前記回転軸(26)の周りを回転しないように前記出力軸(24)を固定する第2のブロック状態と、前記ハウジング(22)に対して前記回転軸(26)の周りを回転するために前記出力軸(24)を解放する第2のリリース状態との間を移行することができるものであり、フライホイール(28)が設けられ、前記フライホイール(28)は前記出力軸(24)とは別に形成され、前記出力軸(24)とともに回転可能であり、前記フライホイールとともに前記ロック装置(36)が、前記第2のブロック状態において前記出力軸(24)を固定するために、形状嵌合方式で協働するものであり、前記フライホイール(28)と前記ブロック要素(40)とが、前記出力軸(24)の軸方向において前記出力軸(24)の互いに対向する側(30、32)に配置されることを特徴とする、内燃機関(16)。
【請求項2】
前記ブロック状態における前記ブロック装置(38)は、前記ブロック要素(40)と形状嵌合方式で相互作用することを特徴とする、請求項1に記載の内燃機関(16)。
【請求項3】
少なくとも1つのセンサ(50)によって前記出力軸(24)の回転速度が記録されることができ、前記センサ(50)によって記録された前記回転速度を特徴付ける電気的な信号が提供されることができるものであり、前記ブロック装置(38)および/または前記ロック装置(36)は、前記信号に応じて駆動されることができることを特徴とする、請求項1又は2に記載の内燃機関(16)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に記載の自動車両用の、特に自動車用の内燃機関に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、内燃機関を始動するための装置を記載している。ここでは、エネルギーアキュムレータが設けられており、それは内燃機関のスイッチオフ時に残存する回転エネルギーを蓄え、再始動時にそれを解放してクランクシャフトを逆方向に回転させる。さらに、特許文献2は、フライホイールと、クランクシャフトに配置され少なくとも2つのフライホイールセグメントからモジュール式に構成されるクランクシャフトとを有する内燃機関を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】DE 10 2009 001 317 A1
【文献】EP 1 672 198 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、内燃機関の特に有利な運転が実施され得るような自動車両用の内燃機関を作成することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、請求項1に記載の特徴を有する内燃機関によって解決される。本発明の好適な展開を伴う有利な実施形態は、残りの請求項に規定される。
【0006】
本発明の第1の態様は、自動車両用の、特に、例えば乗用車などの自動車用の内燃機関に関する。内燃機関は、例えばレシプロピストンエンジンとして形成され、例えば、内燃機関のハウジングに対して回転軸の周りで回転することができるクランクシャフトの形態の出力軸を有する。内燃機関はまた、上述したハウジングを備えることができ、それはクランクハウジング、特に、例えばシリンダクランクハウジングである。内燃機関は、出力軸を介して自動車両を駆動するためのトルクを提供することができる。
【0007】
内燃機関はまた、出力軸とともに回転可能である少なくとも1つのバネ要素を有する。この目的のために、バネ要素、特にバネ要素の少なくとも一部またはバネ要素の端部は、出力軸に非回転的に接続されている。たとえば、バネ要素は、ねじりバネまたは回転バネとして設計される。最初に作動した内燃機関の停止に起因する出力軸の惰行の間に、バネ要素は、その惰行でハウジングに対して回転軸の周りで行われる出力軸の回転によって、張力がかけられる。出力軸の前述の惰行は、特に以下のように理解されるべきである。例えば、内燃機関が最初に作動する場合、内燃機関は、最初にその燃焼運転にある。燃焼運転において、燃焼プロセスは、内燃機関において、特に内燃機関の少なくとも1つの燃焼室において行われ、それによって出力軸が駆動され、ハウジング要素に対して回転軸の周りで回転する。前述の内燃機関の停止は、内燃機関の無効化、停止またはオフとも呼ばれる。最初に作動し、したがってその燃焼運転において内燃機関を停止状態にすることによって、特に燃焼室への燃料の供給および/または燃焼室における点火を終了することによって、燃焼室における燃焼プロセスの停止をもたらす。その結果、出力軸は、内燃機関で行われる燃焼プロセスによって駆動されなくなり、出力軸は、他のいかなる方法でも駆動されないが、出力軸は、その停止の結果として、およびそれにもかかわらず、特にその質量慣性のために、一定時間回転し続けるが、つまり、それは運転されずに惰力走行する。これにより、出力軸の惰行時には、出力軸は駆動されず、惰行時には、出力軸の回転速度が低下する。出力軸は惰行中に回転するため、特に質量慣性のために、出力軸は回転エネルギーを有する。この回転エネルギーは、その回転エネルギーによって、単にバネとも呼ばれるバネ要素に張力をかけるために、惰行中に使用される。これにより、出力軸の回転エネルギーの少なくとも一部が、バネ要素のバネエネルギーに変換され、またはバネ要素に張力をかけることにより、惰行中にバネ要素内にバネエネルギーとして蓄えられる。
【0008】
バネ要素に張力をかけることによって、またはバネ要素に張力をかけた結果、バネ要素によってバネ力を与えることができる。言い換えると、バネ要素は、バネ要素の張力の結果としてバネ力を提供する。バネ力によって、内燃機関の前述の停止に続く当初は停止されていた内燃機関の始動中に、出力軸がハウジングに対して回転軸の周りで回転するように設定することができる。換言すれば、内燃機関の起動または始動とも呼ばれる、その停止後に内燃機関が始動する場合、バネ要素によって提供され得るまたは提供されるバネ力は、バネ要素のバネ力によって出力軸を回転させるために、そしてそれによって内燃機関の始動を支援またはもたらすために、その始動中に使用される。これは、特に停止後の内燃機関の始動が出力軸の回転を用いて行われ、その回転がバネ力によってもたらされることを意味する。
【0009】
好ましくは、内燃機関の始動とその後の始動との間に、内燃機関のさらなる始動と停止とが省略されることが提供される。全体として、減速時に起こる出力軸の回転、ひいては減速時の出力軸に含まれる出力軸の回転エネルギーが、その後の内燃機関の始動時に出力軸を回転させ、したがって内燃機関を始動させるために用いられることがわかる。
【0010】
ここで、内燃機関はまた、特に出力軸とは別に、かつ、バネ要素とは別に設計され、それに加えて設けられるロック装置を備え、それによって、出力軸は、惰行中に出力軸の回転または回転エネルギーによってバネ要素に張力がかけられた後、およびバネ要素に張力がかけられている間、ハウジングおよび回転軸に対して回転しないように固定することができる。このロック装置によって、出力軸は、必要に応じて、ハウジングに対して回転軸の周りを回転しないように固定されることができ、それによって、バネ要素に張力がかけられた後、必要に応じてバネ要素に張力がかけられた状態を維持することができる。加えて、ロック装置は、出力軸がハウジングに対して回転軸の周りで回転するように必要に応じて解放されることを可能にし、それによって、バネ要素の全部または少なくとも部分的な解放を必要に応じて有効にすることができる。換言すれば、出力軸が、ロック装置によって、ハウジングに対して回転軸の周りを回転しないように最初に固定される場合、例えばバネ要素に張力がかけられた状態が維持される。その後、内燃機関が始動する場合、ロック装置は、ハウジングに対して回転軸の周りを回転するように出力軸を解放する。その結果、最初に張力をかけたバネ要素を弛緩させることができ、それによって、始動時に内燃機関を始動させるために、バネ力によって出力軸を回転させる、すなわち回転に設定することができる。
【0011】
内燃機関の特に有利な運転を実施できるようにするために、内燃機関は、本発明に従って、ロック装置に加えて設けられ、好ましくはロック装置とは別に形成され、出力軸とは別に、かつ、バネ要素とは別に設けられ、これらに加えて設けられるブロック装置を備え、このブロック装置はブロック状態とリリース状態との間で調整することができる。例えば、ブロック装置は、油圧的および/または空気圧的および/または電気的に動作させることができ、したがって、ブロック状態とリリース状態との間で油圧式および/または空気圧式および/または電気的に調整することができる。ブロック状態では、バネ要素の少なくとも第1の部分は、ハウジングに対して回転軸の周りを回転しないようにブロック装置によって固定され、ブロック状態では、バネ要素の少なくとも第1の部分がハウジングに対して回転軸の周りを回転することができない。さらに、バネ要素の少なくとも第2の部分は回転固定方式で出力軸に接続され、したがって出力軸とともに回転可能であることが提供される。リリース状態では、ブロック装置は、ハウジングに対して回転軸の周りで回転するために、バネ要素の第1の部分を解放する。例えば、ブロック装置がハウジングに対して回転軸の周りで回転するための出力軸を解放する場合、ブロック装置がハウジングに対して回転軸の周りで回転するための第1の部分を解放する一方で、出力軸は、特に内燃機関で行われる燃焼プロセスによって、ハウジングに対して回転軸の周りで回転することができる。バネ要素の第2の部分は回転固定方式で出力軸に接続されているので、バネ要素の第2の部分は、ハウジングに対して回転軸の周りで出力軸とともに回転する。ブロック装置はリリース状態にあるので、第1の部分はハウジングに対して回転軸の周りで回転することもでき、その結果、バネ要素の部分、特にバネ要素の全体が、特に、バネ要素がねじれたり張力をかけられたりすることなく、ハウジングに対して回転軸の周りで出力軸とともに回転することができ、または回転する。換言すれば、ハウジングに対して回転軸の周りの出力軸の回転は、バネ要素、ブロック装置およびロック装置によって、過度に影響を受けないが、これは、出力軸およびバネ要素、特にバネ要素全体が、ハウジングに対して、例えばブロック装置に対して、およびロック装置に対して、回転軸の周りで一緒に回転されることができるからである。前述のバネ要素の少なくとも一部は、このように例えば第2の部分である。
【0012】
例えば、ブロック装置が、出力軸の惰行の間に、特に、ブロック装置がハウジングに対して回転軸の周りの回転のために出力軸をまだ解放している間に、リリース状態からそのブロック状態に移行される場合、特に出力軸、およびそれに伴い第2の部分が、特に第1の回転方向に、ハウジングに対して、特に第1の部分に対して、回転軸の周りを回転する間、バネ要素の第1の部分が、ハウジング上で回転しないように留められまたは固定される。これによりバネ要素は、ねじれ、そして張力がかけられる。その過程で、出力軸は、特に第1の停止状態になるまで制動がかけられる。出力軸の第1の停止状態において、バネ要素は張力がかけられており、ロック装置がまだ解放されているため、張力がかけられているバネ要素は、特にバネ要素またはその少なくとも一部が弛緩するまで、出力軸を第1の停止状態から逆方向に、すなわち第1の回転方向と反対の第2の回転方向に回転させる。しかし、その慣性のために、出力軸は、特にバネ要素が弛緩しているにもかかわらず、第2の回転方向に回転し続け、バネ要素が再び張力を帯びる原因となる。これにより、出力軸は再び制動がかけられ、特に出力軸が第2の停止状態に達するまで制動がかけられる。その後、バネ要素は再び張力がかけられる。第2の停止時、またはその直後または直前、特にバネ要素が再び張力をかけられる限り、ロック装置は閉じられ、すなわちそのロック状態に切り替わる。その後、再び張力をかけられたバネ要素は、その張力を維持する。その後、ロック装置が、そのロック状態からその第2のリリース状態に移行されると、バネ要素またはそのバネの力によって、内燃機関が始動するように、出力軸が第1の回転方向に回転するため、バネ要素は弛緩することができる。これにより、出力軸は、バネ要素によって、始動のための正しい第1の回転方向に加速または回転される。
【0013】
換言すれば、ブロック装置がまだブロック状態にある間に、出力軸がロック装置によってハウジングに対して回転軸の周りで回転するのを防止される場合、回転軸の周りでバネ要素の部分間の相対回転を、例えば、回避するか、または少なくとも低く抑えることができ、それによってバネ要素に張力をかけることができる。次いで、ロック装置が、ハウジングに対する回転軸の周りで回転するために出力軸を解放する場合、バネ要素の部分は、回転軸の周りで互いに相対的に回転することができ、または、バネ要素は、弛緩して、それによって出力軸を駆動することができ、すなわち、ハウジングに対して回転軸の周りで回転することができ、これは内燃機関を始動させるためである。全体として、ブロック装置およびロック装置は、内燃機関の要求指向の、したがって特に有利な動作を、特にバネ要素の張力に関して、バネ要素のバネ力によって動かされる出力軸の回転に関して、および内燃機関の燃焼動作に関しても、可能にすることができ、そのため出力軸またはその回転の過度の障害を、燃焼動作中に回避することができる。
【0014】
内燃機関を始動するために出力軸がバネ要素のバネ力によって回転されるので、内燃機関を始動するための電気モータ又はスタータを回避することができ、例えば、またはスタータをバネ力によって支援することができ、そのためスタータを特にコンパクトで軽量かつ高い費用対効果で設計することができる。これは、内燃機関の重量、部品点数およびコストを低く抑えることができ、そのため特に効率的な運転が達成できる。
【0015】
出力軸の惰行や出力軸の惰行時の出力軸に含まれる回転エネルギーは、さらにバネ要素の張力に使用されるので、出力軸を回転に設定し内燃機関を始動させるために、バネ力は停止後の内燃機関の始動の開始時にすでに利用可能である。このように、バネ要素は、張力をかけられる必要がなく、内燃機関の停止後および出力軸が停止した後および後続の始動前にのみチャージされるため、内燃機関は、その停止後およびその後の始動時に少なくともほぼ遅滞なく運転することができる。惰行はエンジンランアウトとも呼ばれ、出力軸の回転エネルギーによってバネ要素に張力をかけるために使用される。したがって、本発明によれば、回転エネルギーは、内燃機関の始動に使用されるが、この回転エネルギーは、通常、未使用で失われる。特に、バネ要素に蓄えられたエネルギーやバネ力の形での回転エネルギーは、内燃機関の始動時に出力軸を加速し、回転させるために使用される。これにより、例えば、内燃機関を始動するためのスペース、重量、およびコストのかかる電気モータの必要性を回避することができる。
【0016】
さらに、バネ要素とは別に形成され、バネ要素の第1の部分と非回転的に接続されたブロック要素が設けられる。換言すれば、内燃機関は、ブロック装置がブロック状態で協働するブロック要素を備える。そうすることで、ブロック要素、およびこれを介して、バネ要素の第1の部分は、ハウジングに対して回転軸の周りで回転しないように固定されるようにされ、またはロック状態で固定される。ブロック要素は、内燃機関の特に有利な運転が可能となるように、目標とされる方法で必要に応じて、バネ要素の第1の部分を固定および解放することを可能とする。
【0017】
内燃機関の特に需要指向の、したがって有利な動作を実施するために、ロック装置は、ハウジングに対して回転軸の周りで回転しないように出力軸を固定する第2のロック状態と、ハウジングに対して回転軸の周りで回転のために出力軸を解放する第2のリリース状態との間で調整可能であることが提供される。
【0018】
ブロック装置に関する前述および以下の説明は、ロック装置にも適用することができ、その逆も同様である。したがって、ロック装置は、例えば、油圧式および/または空気圧式および/または電気的に操作することができることが考えられる。
【0019】
ここでは、出力軸とは別個に設計され、出力軸とともに回転可能なフライホイールが設けられており、これとともにロック装置は、第2のロック状態で特に積極的に協働する。その結果、出力軸は、回転軸に対して、特に大きな直径にわたってロック装置によって回転しないように固定することができ、ロック装置は、特にコンパクトで軽量かつ高い費用対効果で設計することができる。
【0020】
内燃機関の特に有利な動作を実現するために、フライホイールとブロック要素とが、出力軸の軸方向において出力軸の反対側に配置されることが提供される。
【0021】
例えば、バネ要素の第1の部分または出力軸をハウジングに対して回転しないように特に良好に固定できるようにするために、特にロック装置またはブロック装置がハウジングに対して回転軸の周りで回転しないように固定されるように、ロック装置および/またはブロック装置は、少なくとも間接的に、特に直接的に、ハウジング上に保持されることが好ましくは提供される。
【0022】
最後に、内燃機関が少なくとも1つのセンサを有する場合、出力軸の回転速度を検出することができ、センサによって検出された出力軸の回転速度を特徴付ける電気的な信号を提供することができる。ブロック装置および/またはロック装置は、その信号の関数として動作させることができる。このようにして、バネ要素の第1の部分および出力軸を、必要に応じて固定および解放することができ、その結果、特に有利な動作を達成することができる。
【0023】
第2の態様は、自動車両の内燃機関の始動方法に関し、特に本発明の第1の態様に係る内燃機関に関する。この方法において、内燃機関は、内燃機関のハウジングに対して回転軸の周りで回転可能である出力軸を有し、これを介して、自動車両を駆動するための内燃機関によって、トルクが提供され得るかまたは提供される。この方法では、出力軸とともに回転できるバネ要素は、出力軸が第1の停止または第1の停止状態になるまで、第1の回転方向の回転軸の周りのハウジングに対して、最初に作動した内燃機関の停止から生じる出力軸の惰行中に、惰行中に行われる出力軸の回転によって張力がかけられる。
【0024】
次に、出力軸は、張力がかけられたバネ要素によって第1の停止を脱して駆動され、ハウジングに対して回転軸の周りで第1の回転方向と反対の第2の回転方向に出力軸を回転させる。バネ要素は、第2の回転方向における出力軸の回転によって再び張力をかけられ、それによって、第2の回転方向に回転する出力軸は、例えば、出力軸がその停止または第2の停止に達するまで制動をかけられる。ロック装置によって、出力軸は、バネ要素が再び張力をかけられた後、およびバネ要素が再び張力をかけられている間、ハウジングに対して回転軸の周りで回転しないように固定される。バネ要素が再び張力をかけられた結果、バネ要素はそれによってバネ力を提供するものであり、ロック装置がハウジングに対して回転軸の周りで回転する出力軸を解放した結果、出力軸は、内燃機関が停止に続いて始動したときに、ハウジングに対して第1の回転方向の回転軸の周りで回転する。本発明の第1の態様の利点および有利な設計は、第2の態様の利点および有利な設計とみなされるべきであり、その逆も同様である。
【0025】
内燃機関の特に効率的で、したがって有利な運転を実現するために、内燃機関の始動が、バネ力によって生じる出力軸の回転によって支援される直接始動として行われることが第2の態様の実施形態において提供される。直接始動とは、特に、最初に停止された、すなわち停止状態にあり、かつ、その出力軸が、例えばクランクシャフトの形態で、停止状態の間および自動車両の停止中に静止している、例えば、自動車両の停止中に始動される、すなわち、内燃機関を始動するために自動車両の停止または走行中に、スタータまたはスタータジェネレータなどの電気モータによって出力軸が回転されることなく動作状態に移行し、したがってその燃焼動作に入る内燃機関を意味するものとして理解されるべきである。内燃機関を始動させるために、その出力軸が回転させる。これは、直接始動の文脈で行われ、電気モータなしで、そしてバネ力によって出力軸を回転させ、燃料、特に液体燃料を燃焼室に直接噴射し、内燃機関を燃焼モードで作動させるが、それは例えばインジェクタによって行われ、そしてそれを、特に燃料と空気とを含む燃料空気混合気を点火する。直接始動によって内燃機関を始動させることにより、内燃機関を始動するための電気モータが最小化または回避され、そのため内燃機関のスペース要件、コストおよび重量を特に低く抑えることができる。
【0026】
あるいは、始動時に、内燃機関に加えて設けられた電気機械によって出力軸が回転される場合に、特に有利であることが判明した。電気機械は、電気機械によって引き起こされる出力軸の回転中にバネ力によって支持されるので、電気機械は特にコンパクトで軽量かつ高い費用対効果で設計することができる。
【0027】
この直接始動は、例えば、内燃機関を始動する第1の方法であり、この第1の方法は、第1の始動モードとも呼ばれる。内燃機関を始動するための第2のタイプの始動は、例えば、出力軸が内燃機関の外部から、すなわち例えば前述の電気機械によって回転されることを含み、これは内燃機関とは別に形成され、内燃機関に加えて設けられ、特に、燃料が燃焼室に導入され、点火が行われている間、特に出力軸がその回転速度に関して開始速度に達するかまたはそれを超えるまで、または出力軸が燃焼室で起こる燃焼プロセスによって駆動されるまで、バネ要素を用いることにより、両タイプの始動を特に有利に行うことができ、その結果、特に有利な運転を実現できる。
【0028】
本発明は、特に以下の知見に基づいている。内燃機関は、直接始動によって始動することができる、すなわち運転することができる。この場合、出力軸は、最初は静止している、すなわち停止状態にあり、出力軸が点火装置によって駆動されることなく、内燃機関の少なくとも1つの燃焼室またはシリンダを燃焼させることによって回転するように設定される。しかしながら、点火装置によって提供される電力は、しばしば十分ではないため、補助システムが使用される。この例では、点火装置とは別に、いわゆる圧縮空気、油圧、フライホイール、コフマンまたはハックスのスタータである。対照的に、本発明は、例えば、トーションバネとして記載および設計されたバネを使用し、それによって、出力軸および/またはフライホイールの回転エネルギーを使用して、直接始動または第2のタイプの始動を支援することができる。この目的のために、クランクシャフトまたはフライホイールの回転エネルギーがバネに蓄積される。その結果、バネは、内燃機関の始動時に出力軸を加速することができる。その結果、内燃機関を始動するためのスペース、重量、およびコストのかかる電気モータを避けることができる。特に、本発明は、信頼性の高い、バネ支援直接始動を可能にする。
【0029】
本発明のさらなる利点、特徴および詳細は、好ましい例示的な実施形態の以下の説明および図面から明らかになる。上記の説明で述べた特徴および特徴の組み合わせ、並びに、以下の図の説明において言及されている、および/または単一の図に単独で示されている、特徴および特徴の組み合わせは、それぞれ指定された組み合わせにおいてのみならず、他の組み合わせにおいて、または単独でも、本発明の範囲を離れることなく使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】単一図において、この図面は、自動車両のドライブトレインの概略図を断面で示しており、このドライブトレインは本発明による内燃機関を含む。
【発明を実施するための形態】
【0031】
単一の図は、特に自動車両として、好ましくは乗用車として設計された自動車両のドライブトレイン10の概略図を断面で示す。これは、その完全に製造された状態の自動車両がドライブトレイン10を備えることを意味する。加えて、その完全に製造された状態の自動車両は、例えば、車両の前後方向において一方が他方の背後に配置された少なくともまたは正確に2つの車軸を含み、そのうち1つの車軸が、12でラベル付けされて、図に示されている。車軸12は、車両の横方向に互いに離間した、単に車輪とも呼ばれる、少なくともまたは正確に2つの車両車輪14を含む。さらに、ドライブトレイン10は、レシプロピストンエンジンの形態の内燃機関16を備え、それによって車輪14、ひいては自動車両全体をドライブトレイン10の変速機18を介して内燃機関によって駆動することができる。変速機18は、例えば、変速ギアボックスであり、したがって係合および離脱することができるいくつかのギアまたはギアステップを含む。車軸12は、差動歯車とも呼ばれる車軸歯車20を備え、これを介して車輪14を変速機18によって駆動することができる。
【0032】
内燃機関16は、例えばクランクハウジング、特にシリンダクランクハウジングの形態のハウジング22と、ハウジング22に対して回転軸26の周りを回転できるようにハウジング22に取り付けられている、例えばクランクシャフトの形態の出力軸24とを有する。内燃機関16は、出力軸24を介してまたは出力軸24によってトルクを提供することができ、それによって車軸歯車20および変速機18を介して車輪14を駆動することができる。
【0033】
例えば、内燃機関16は、ハウジング22によって形成されたシリンダによって部分的に境界を定められまたは形成された少なくとも1つの燃焼室を有する。内燃機関16の燃焼運転中に、内燃機関16が作動し、それによって、燃焼プロセスが、燃焼運転中に燃焼室で起こる。これらの燃焼プロセスによって、出力軸24が駆動され、ハウジング22に対して回転軸26を中心に回転する。内燃機関16は、出力軸24とは別に形成され、出力軸24とともに回転可能なフライホイール28を有し、このフライホイール28が例えばデュアルマスフライホイール(ZMS)として形成され、内燃機関16の特に円滑な運転を実現できる。フライホイール28は、内燃機関16または出力軸24の出力側30に配置され、これにより、変速機18も出力側30に配置される。
【0034】
制御側または前面側とも称される、内燃機関16の、または出力軸24の軸方向の出力側30と反対側の出力軸24の側32には、出力軸24とともに回転可能な、バネ要素とも称されるバネ34が設けられている。
【0035】
最初に作動し従って燃焼モードにある内燃機関16が停止にされると、燃焼室または内燃機関16全体において起こっている燃焼プロセスは終了する。しかしながら、その慣性のため、出力軸24は一定時間回転を続け、出力軸24は、内燃機関16の停止の結果として惰行し、すなわち、いわゆるコーストダウンまたはエンジンコーストダウンになる。惰行時には、出力軸24は駆動されず、出力軸24の回転速度は低下する。
【0036】
惰行中の出力軸24の回転によって、内燃機関16の停止により生じる出力軸24の惰行中に、回転軸26の周りのハウジング22に対して、すなわち出力軸24の回転エネルギーによって、バネ34に張力がかけられことになり、または張力がかけられ、その張力の結果として、バネ34はバネ力を提供し、それによって停止に続く内燃機関16の始動中に、出力軸24は、ハウジング22に対して回転軸26の周りの回転に設定することができ、または回転に設定される。これは、例えば、内燃機関16の始動を支援しまたは効果的にすることができる。
【0037】
内燃機関16は、またロック装置36を有する。これは、例えば、少なくとも間接的に、特に直接的に、ハウジング22上に保持される。特に、ロック装置36は、ハウジング22に対して回転軸26の周りを回転しないように固定されている。以下でより詳細に説明するように、ロック装置36は、バネ34に張力がかけられた後およびバネに張力がかけられている間、ハウジング22に対して回転軸26の周りを回転しないように出力軸24を固定するために使用される。ロック装置36を用いて、ハウジング22に対して回転軸26の周りを回転しないように出力軸24を固定することにより、例えば、バネ34の少なくとも一部がまた、ハウジング22に対して回転軸26の周りを回転しないように固定される。
【0038】
内燃機関16の特に有利な運転を実施できるようにするために、内燃機関16は、ロック装置36に加えて設けられたブロック装置38を有し、それは特に、ロック装置36とは別に設計されている。ブロック装置38は、例えば、少なくとも間接的に、特に直接的に、ハウジング22上に保持される。特に、ブロック装置38は、ハウジング22に対して回転軸26の周りを回転しないように固定されている。ブロック装置38は、第1のブロック状態と第1のリリース状態との間で調整または切替えができる。
【0039】
ブロック状態では、バネ要素(バネ34)の少なくとも第1の部分T1は、ブロック装置38によって、ハウジング22に対して回転軸26の周りを回転しないように固定されるが、これは例えば、第1の部分T1がブロック装置38によってまたはそれを介して回転的に固定されてハウジング22に接続されるような方法で行われる。バネ34はまた、第1の部分T1から出力軸24の軸方向およびバネ34の軸方向に離間した第2部分T2を有し、その軸方向は出力軸24の軸方向と一致する。第2の部分T2は、出力軸24に非回転可能に接続されており、したがって、出力軸24とともに回転することができる。例えば、部分T1と部分T2とは、互いに一体的に形成されている。代替的に又は付加的に、部分T1およびT2は、バネ34の少なくとも1つのバネコイルの少なくとも1つの部分を形成する。同図に示す例示的な実施形態において、バネ34は、ねじりバネまたは回転バネとして設計されている。第1のリリース状態では、ブロック装置38は、ハウジング22に対して回転軸26の周りを回転する部分T1を解放する。つまり、第1のブロック状態では、ブロック装置38によってこれを防止するため、部分T1をハウジング22に対して回転軸26の周りを回転させることができない。しかし、第1のリリース状態では、部分T1をハウジング22に対して回転軸26の周りを回転させることができる。
【0040】
ロック装置36は、第2のブロック状態と第2のリリース状態との間で切り替え又は調整することができる。第2のブロック状態において、ロック装置36は、ハウジング22に対して回転軸26の周りを回転しないように出力軸24を固定する。部分T2は出力軸24に非回転可能に接続されているので、第2のブロック状態では、部分T2は、ロック装置36によって出力軸24を介してハウジング22に対して回転軸26の周りを回転しないように固定され、第2のブロック状態では、出力軸24および部分T2は、ハウジング22に対して回転軸26の周りを回転することができない。しかし、第2のリリース状態では、ロック装置36は、出力軸24を解放し、したがって、ハウジング22に対して回転軸26の周りを回転する部分T2を解放し、その結果、第2のリリース状態では、出力軸24およびそれに伴い、部分T2はハウジング22に対して回転軸26の周りを回転することができる。例えば、ロック装置36およびブロック装置38がそれぞれのリリース状態にあり、出力軸24が内燃機関16で行われている燃焼プロセスによって駆動され、したがってハウジング22に対して回転軸26の周りを回転する場合、バネ34、特にバネ34全体が、ハウジング22に対して回転軸26の周りを出力軸24とともに単に回転することができる。
【0041】
ただし、例えば、ブロック装置38が第1のブロック状態にある間に、例えば出力軸24およびそれに伴い部分T2がハウジング22に対して回転軸26の周りを回転する場合、部分T1およびT2は互いに回転軸26の周りを回転する。これにより、バネ34に張力がかかり、負荷または荷重がかかる。これにより、回転する出力軸24の回転エネルギーがバネエネルギーまたは位置エネルギーに変換され、バネ34に蓄えられる。例えば、ブロック装置38がまだ第2のブロック状態にあり、そのバネに張力がかけられている間に、ロック装置36がその第2のロック状態に移行された場合、バネ34は張力を保たれる。
【0042】
例えば、ロック装置36が前述の始動中にその第2のリリース状態に移行された場合、特にブロック装置38がその第1のブロック状態にある間に、バネ34は少なくとも部分的に弛緩することができる。したがって、出力軸24は、バネ34によって、またはそのバネ力によって加速され、したがって駆動され、したがってハウジング22に対して回転軸26の周りを回転し、それによって内燃機関16が始動され、または始動され得る。もちろん、例えば、特に内燃機関16を始動させるためにバネ34のバネの力によって出力軸24が回転してから短時間で、ブロック装置38もその第1のリリース状態に移行され、そのため、出力軸24は、内燃機関16で行われる燃焼プロセスによって駆動され、したがってバネ34、ロック装置36またはブロック装置38によって過度に損なわれることなく、ハウジング22に対して回転軸26の周りを回転することができる。
【0043】
図1に示される例示的な実施形態において、バネ34は、出力軸24の前端に配置され、部分T2がその前端に非回転で接続されるように、その前端で出力軸24に非回転で接続される。
【0044】
さらに、バネ34とは別に形成されたブロック要素40が設けられており、それはポジティブロック要素、ブロックディスクまたはロックディスクとも呼ばれる。出力軸24の軸方向において、バネ34は、ブロック要素と出力軸24との間に、少なくとも部分的に、特に少なくとも広範に又は完全に配置される。この場合、部分T1は、回転固定方式でブロック要素40に接続される。ブロック要素40は、その周囲上にまたはその周囲に交差して凹部42を有し、特に均等に分布した凹部42を有し、これらは例えばボアとして形成される。ブロック装置38は、アクチュエータ44およびさらなるブロック要素46を、例えばピンまたはボルトの形態で有し、これは、ブロック要素40に対して、特に並進的に、破線48によって、図に図示される移動方向にアクチュエータ44によって移動させることができる。移動方向は、回転軸26に対して斜めまたは垂直である。これは、例えば、回転軸26に垂直な第1の平面が、移動方向に垂直な第2の平面に垂直であることを意味する。第1のブロック状態では、例えばロックピンの形態であるブロック要素46は、凹部42の1つに係合し、その結果、ブロック装置38は、形状嵌合方式でロック要素40と相互作用する。その結果、ブロック要素40、および、それを介して部分T1は、ハウジング22に対して、回転軸26の周りの回転に対してブロック装置38によって形状嵌合方式で固定される。
【0045】
最初に作動され、したがってその燃焼モードにある内燃機関16が停止される、例えばすなわちスイッチオフされる場合、点火および噴射が停止され、その結果、燃料が内燃機関16の燃焼室に導入されなくなり、燃焼室で行われる点火が停止する。その結果、出力軸24はその惰行状態に入り、出力軸24の回転速度が低下することになる。
【0046】
ここで、内燃機関16は、センサ50を有しており、これにより、例えば出力軸24の回転数が検出される。特に、フライホイール28の回転速度と、これを介して、出力軸24の回転速度とが、センサ50によって検出される。センサ50は、例えば、信号、特に電気的な信号を提供し、これはセンサ50によって検出された回転速度を特徴付ける。図において特に模式的に示す内燃機関16の電子計算装置52は、例えば、センサ50によって提供される信号を受信し、回転速度を特徴付け、次いで、例えば、ロック装置36および/またはブロック装置38を受信信号の関数として制御することができ、例えば、ロック装置36および/またはブロック装置38を、検出された回転速度の関数として動作させることができ、または動作させる。特に、センサ50は、出力軸24またはフライホイール28のそれぞれの回転または角度位置、および結果として、フライホイール28または出力軸24の回転速度を検出するように設計されている。フライホイール28は、例えば、出力軸24に回転固定式に連結されているので、フライホイール28の回転速度は、出力軸24の回転速度に相当する。
【0047】
例えば、センサ50によって検出されたフライホイール28または出力軸24のそれぞれの角度または回転位置が、いわゆる停止マップまたは停止マップに格納されたデータまたは位置と比較され、それによって、停止マップおよびしたがってそのデータまたは位置が、例えば電子計算装置52に格納される。センサ50によって検出された回転位置と格納された位置とを比較することにより、出力軸24の回転速度のさらなる将来の推移について予測を行うことができる。例えば、ロック装置36および/またはブロック装置38は、上述の予測に応じて動作する。
【0048】
フライホイール28は、その外周に凹部54、特に均等に分布した凹部を有し、これは例えばボアとして設計することができる。ロック装置36は、第2のアクチュエータ56と、例えばボルトの形態のロック要素58とを有する。ロック要素58は、例えば係止ボルトとして形成されている。ロック要素58は、アクチュエータ56によって、フライホイール28に対して、または出力軸24に対して、特に並進的に、第2の移動方向に、破線60で図に図示されるように移動することができる。第2の移動方向は、例えば、回転軸26に対して斜め又は垂直に伸び、その結果、例えば、第2の移動方向に垂直に伸びる第3の平面は、回転軸26に垂直に伸びる平面に対して垂直に伸びる。
【0049】
第1のリリース状態では、ブロック要素46は、凹部42または全ての凹部42と係合せず、そのためブロック要素46とブロック要素40との間に相互作用はない。その結果、ブロック装置38は、ブロック要素40を解放し、したがってハウジング22に対して回転軸26の周りを回転する部分T1を解放する。
【0050】
第2のブロック状態では、ロック要素58は、例えばボアとして形成された凹部54の1つに係合し、そのため第2のブロック状態では、ロック装置36はフライホイール28と明確に相互作用する。その結果、フライホイール28および、そのフライホイールを介して、出力軸24は、ハウジング22に対して回転軸26の周りを回転しないようにロック装置36によって明確に固定される。しかしながら、第2のリリース状態では、ロック要素58は、フライホイール28の凹部又は全ての凹部54と係合せず、その結果、第2のリリース状態では、ロック装置36はフライホイール28を解放し、したがってハウジング22に対して回転軸26の周りを回転する出力軸24を解放する。
【0051】
例えば、出力軸24がランアウトすると、センサ50は、特にフライホイール28を介して、回転位置とも呼ばれるそれぞれの回転位置、および出力軸24の回転速度を検出する。出力軸24の回転数が、例えば内燃機関16のアイドリング速度に対応する所定又は予め決定可能な閾値を下回った場合、ブロック要素46がトリガされる。これは、ブロック装置38がその第1のリリース状態からその第1のブロック状態に導かれることを意味し、その結果、ブロック要素40、および後者を介して、部分T1は非回転的にロックされ、すなわちハウジング22に対して回転軸26の周りを回転しないように固定される。しかし、ロック装置36はまだその第2のリリース状態にあるので、出力軸24はまだ回転することができ、それによって出力軸24はバネ34によって制動される。その過程で、バネ34はねじれ、すなわち張力または負荷がかかる。特に、出力軸24は、例えば出力軸24が停止するように、ねじりバネとして設計されたバネ34によって、その惰行の間に制動される。出力軸24が停止した後、出力軸24が再び停止するまで、出力軸24は、例えば、その後に張力をかけられたバネ34によって後方に回転される。出力軸24の第2の停止状態では、例えば、ブロック要素58がトリガされ、すなわちロック装置36がその第2のリリース状態から第2のブロック状態に移行される。これにより、出力軸24はロックされ、ハウジング22に対して回転軸26の周りを回転しないように固定される。バネ34は、その後、張力をかけられ、特に、ロック装置36がそのブロック状態から第2のリリース状態に移行するときに、バネ34またはそのバネの力によって出力軸24が第1の回転方向に回転するように、張力が保たれる。これにより、出力軸24は、始動のために正しい第1の回転方向に加速又は回転する。
【0052】
これにより、燃焼運転中には、出力軸24がハウジング22に対して回転軸26の周りを第1の回転方向に回転する。この出力軸24は、この第1の回転方向に回転され、内燃機関16を始動させる。その惰行の間、出力軸24は駆動されずに第1の回転方向に回転し続ける。ここで、出力軸24は、バネ34によって制動され、これによりバネ34に張力がかけられる。
【0053】
この停止の後、出力軸24は、そのとき張力がかけられたバネ34によって,ハウジング22に対して回転軸26の周りを逆回転し、すなわち第1の回転方向と反対の第2の回転方向に回転し、特に出力軸24は、特に第2の停止状態に戻る。この第2の停止状態では、バネ34に張力がかかり、ロック装置36が第2のリリース状態から第2のロック状態に移行される。
【0054】
例えば、ブロック要素58がその後、ロック装置36がその第2のリリース状態に移行されるように、凹部54に係合しなくなるように後退する場合、バネ34は弛緩することができる。その結果、出力軸24が第1の回転方向に回転し、これにより内燃機関16の始動が実行され、すなわち、誘発または支援されることができる。
【0055】
たとえば、従来の始動の場合、ピストンが上死点を通過する最初のシリンダが点火され、次に後続のすべてのシリンダが点火される。直接始動の場合、停止時にピストンが点火上死点をすでに通過しているシリンダが点火され、次に後続のすべてのシリンダが点火される。バネ34が解放されるような方法で、バネ34が始動中に出力軸24を回転させるとすぐに、ブロック要素46も後退し、すなわちブロック装置38は、バネ34が内燃機関16の始動または関連する始動を妨げないように、その第1のリリース状態に移行される。
【符号の説明】
【0056】
10 ドライブトレイン
12 車軸
14 車輪
16 内燃機関
18 変速機
20 車軸歯車
22 ハウジング
24 出力軸
26 回転軸
28 フライホイール
30 出力側
32 側
34 バネ
36 ロック装置
38 ブロック装置
40 ブロック要素
42 凹部
44 アクチュエータ
46 ブロック要素
48 破線
50 センサ
52 電子計算装置
54 凹部
56 アクチュエータ
58 ブロック要素
60 破線
T1 第1の部分
T2 第2の部分


図1