(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-23
(45)【発行日】2024-01-31
(54)【発明の名称】樹脂製容器及び樹脂製容器の製造方法
(51)【国際特許分類】
B65D 77/30 20060101AFI20240124BHJP
【FI】
B65D77/30 A
(21)【出願番号】P 2023042757
(22)【出願日】2023-03-17
(62)【分割の表示】P 2018193824の分割
【原出願日】2018-10-12
【審査請求日】2023-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000115991
【氏名又は名称】ロート製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100176773
【氏名又は名称】坂西 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100186761
【氏名又は名称】上村 勇太
(72)【発明者】
【氏名】池田 直浩
(72)【発明者】
【氏名】川合 啓太
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/115752(WO,A1)
【文献】特開2015-123993(JP,A)
【文献】特開2012-135621(JP,A)
【文献】特開2000-042087(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 77/30
B65D 1/02-1/04
A61J 1/05-1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状収容物を収容する樹脂製の容器本体を備え、
前記容器本体が、前記液状収容物を収容する胴部と、該胴部よりも径の小さい注出口とを有しており、
前記液状収容物に接する前記容器本体の内壁面には環状オレフィンコポリマーが含まれており、
前記注出口の上流側の前記液状収容物の流路の少なくとも一部は、径が
1.5mm以上8.0mm以下であ
り、
前記内壁面を構成する樹脂に占める前記環状オレフィンコポリマーの割合が55質量%以上98質量%以下であり、
前記内壁面には直鎖状低密度ポリエチレン樹脂がさらに含まれている、
樹脂製容器。
【請求項2】
前記内壁面を構成する前記樹脂に占める前記環状オレフィンコポリマーの割合が80質量%以上98質量%以下である、請求項1に記載の樹脂製容器。
【請求項3】
前記胴部の内部横断面積(S
0
)が20mm
2
以上300mm
2
以下である、請求項1または請求項2に記載の樹脂製容器。
【請求項4】
前記胴部の前記内部横断面積(S
0
)と前記流路の横断面積(S
1
)との比率(S
0
/S
1
)が1.5以上60以下である、請求項3に記載の樹脂製容器。
【請求項5】
前記容器本体の容積が0.1mL以上10mL以下である、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の樹脂製容器。
【請求項6】
環状オレフィンコポリマー及び直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を含む内壁面を有するパリソンを作製する工程と、
割型で前記パリソンを挟み込み、胴部及び開口した注出口を有する容器本体を成型する工程と、
前記注出口を通じて前記容器本体に液状収容物を注入する工程と、
前記液状収容物の注入後、前記注出口を閉塞する工程と、を備え、
前記注出口の上流側の前記液状収容物の流路の少なくとも一部は、径が1.5mm以上8.0mm以下であり、
前記内壁面を構成する樹脂に占める前記環状オレフィンコポリマーの割合が55質量%以上98質量%以下である、
樹脂製容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は樹脂製容器及び樹脂製容器の製造方法に関し、より詳しくは、液状収容物を収容する樹脂製の容器本体を備えた樹脂製容器及び樹脂製容器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液状収容物を収容するために各種の樹脂製容器が広く用いられている。
この種の樹脂製容器としては、液状収容物を収容する胴部と、該胴部に連なる小径の首部とを備え、該首部の先端に液状収容物を外部に取り出すための注出口を備えた樹脂製容器が知られている(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
胴部よりも小径の首部を通じて液状収容物を外部に取り出すように構成された樹脂製容器においては、保管中に液状収容物が前記首部に入り込んで注出口を上に向けた状態にしても液状収容物が首部から落下せずに液溜りを形成させる場合がある。
このような状態になった樹脂製容器を開封すると、開封と同時に溜まった液状収容物が外部に飛び出してしまうおそれがある。
そこで、本発明は、このような問題を解決することを課題としており、液溜りを発生させ難い樹脂製容器を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決すべく本発明者が鋭意検討を行ったところ、樹脂製容器の内壁面に環状オレフィンコポリマーを含有させるとともに注出口の上流側を所定の径とすることで上記のような問題が生じ難くなることを見出して本発明を完成させるに至った。
【0006】
上記課題を解決すべく、本発明は、液状収容物を収容する樹脂製の容器本体を備え、前記容器本体が、前記液状収容物を収容する胴部と、該胴部よりも径の小さい注出口とを有しており、前記液状収容物に接する前記容器本体の内壁面には環状オレフィンコポリマーが含まれており、前記注出口の上流側の前記液状収容物の流路の少なくとも一部は、径が0.5mm以上8.0mm以下である、樹脂製容器を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、液溜りが形成され難い樹脂製容器が提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】容器本体と蓋体とを備えた樹脂製容器が複数連結されてなる連結体を示した正面図。
【
図2】容器本体と蓋体とを備えた樹脂製容器を連結体から単離した様子を示した正面図。
【
図3】連結体から単離した状態での樹脂製容器の様子を示した正面図。
【
図4】連結体から単離した状態での樹脂製容器の様子を示した側面図。
【
図6】別の実施形態に係る樹脂製容器を開封する様子を示した正面図。
【
図7】
図5のVII-VII線矢視断面を示した断面図。
【
図8】
図7のIIX-IIX線矢視断面(胴部横断面)を拡大して示した拡大断面図。
【
図9】
図7のIX-IX線矢視断面(首部横断面)を拡大して示した拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、図を参照しつつ本発明の樹脂製容器についての実施の形態を説明する。
以下においては、樹脂製容器が複数連結されて連結体を構成している場合を例に本発明の実施の形態を説明する。
図1は、5個の樹脂製容器1が連結されてなる連結体100を示した図である。
この図にも示されているように、本実施形態の樹脂製容器1は、液状収容物を収容するための収容部11と、前記液状収容物Cの注出口12とを有する容器本体10が備えられている。
【0010】
本実施形態における樹脂製容器1は、
図1~
図5に示すように前記容器本体10の注出口12を塞いで前記容器本体10を密封する樹脂製の蓋体20をさらに備えている。
本実施形態における樹脂製容器1は、該蓋体20と前記容器本体10とが一体成形物となっており、前記蓋体20を前記容器本体10から破断することによって注出口12が現れるように構成されている。
即ち、本実施形態における樹脂製容器1は、前記蓋体20と前記容器本体10との間で破断させて前記容器本体10から前記蓋体20を取り外すことによって開封可能となっている。
【0011】
本実施形態においては、前記容器本体10と前記蓋体20とを備えた樹脂製容器1が複数連なって前記連結体100を構成している。
本実施形態での前記連結体100では、前記注出口12の開口する方向が上向きとなるように配された複数の前記容器本体10が一列になって横並びとなっており、該横並びの方向において隣り合う2つの樹脂製容器1の間にこれらを接続する接続部を有している。
即ち、前記連結体100では、複数の樹脂製容器1が、それぞれの側縁部に設けられた前記接続部によって互いに接続されている。
前記接続部は、隣り合う容器本体10を点状に接続するものであっても線状に接続するものであってもよく、隣り合う蓋体20を点状に接続するものであっても線状に接続するものであってもよい。
即ち、前記接続部における接続状態は特に限定されない。
本実施形態で例示する前記連結体100では、該容器本体10の側縁部に沿って上下に延びる接続部31,32によって前記容器本体10どうしが接続されている。
本実施形態においては、前記容器本体10と前記蓋体20とを備えた個々の樹脂製容器1が一体成形物であるだけでなく前記連結体100が一体成形物となっており、前記接続部31,32を破断することによって複数の前記樹脂製容器1を1つずつ個別に分離可能となっている。
【0012】
本実施形態の前記容器本体10は、前記蓋体20で密封された状態での前記容器本体10の内容積に特に制限はないが、例えば、常温(例えば、23℃)、常圧(例えば、1.0atm)において10mL以下の内容積とすることができる。
本実施形態での前記内容積は、8mL以下とすることができ、6mL以下であってもよく、4mL以下であってもよい。
前記内容積は、0.1mL以上とすることができ、0.2mL以上とすることができる。
前記内容積は、0.3mL以上であってもよく、0.4mL以上であってもよい。
容器本体10の容積は、0.1mL以上10mL以下であることがより好ましい。
液溜りによる一部の液状収容物Cが開封時に漏洩した場合、そのことによって逸失される絶対量が僅かでも、このような樹脂製容器が小容量である場合には全体に占める逸失割合が大きなものとなる。
従って、本発明の効果をより顕著に発揮させる上において樹脂製容器1は上記のような容積を有していることが好ましい。
本実施形態における容器本体10は、前記収容部11が有底筒状となっている。
具体的には、本実施形態における容器本体10は、筒状の胴部10aと、該胴部10aの上端に連なった肩部10bと、該肩部10bの上端に連なった首部10cとを備えており、該首部10cの上端面において前記注出口12が上方に向けて開口するように構成されている。
前記胴部10aは、水平面によって切断した際の断面形状(内径)が概ね一定した筒状である。
前記肩部10bは、水平面によって切断した際の断面形状(内径)が上方に向かうほど縮径するように形成されている。
【0013】
本実施形態の前記容器本体10は、前記肩部10bの上端から前記胴部10aよりも小径な筒状となって上方に延びる首部10cを有している。
本実施形態の樹脂製容器1は、蓋体20を取り除いて開封状態となった容器本体10を前記注出口12が下向きとなるように天地逆転させ、前記収容部11を前後から指先で摘まむなどして前記収容部11に圧力を加えて前記注出口12より注出させて液状収容物Cを取り出すことができる。
本実施形態で例示する前記樹脂製容器1は、開封状態において前記注出口12から前記液状収容物Cが滴下される滴下容器である。
本実施形態の容器本体10は、首部10cを有することで下向きにしたときに前記注出口12より液状収容物Cの全量が自重のみによって滴下することが抑制される。
そして、本実施形態の前記容器本体10は、前記収容部11が優れた柔軟性を有するため、加える圧力を調整するなどして前記注出口12から滴下する液状収容物Cの量を容易に調整することができる。
【0014】
本実施形態における前記首部10cは、前記胴部10aに収容された液状収容物Cを前記注出口12を通じて外部に注出する際において該注出口12の上流側での液状収容物Cの流路を形成している。
前記首部10cに液状収容物Cが意図せず侵入して液溜りが形成されてしまうことを抑制する上において前記首部10cは、内径(液状収容物Cの流路の径)が、0.5mm以上8.0mm以下の範囲内の何れかとなるように形成されることが好ましい。
前記内径は、0.7mm以上であることがより好ましく、0.9mm以上であることがさらに好ましく、1.0mm以上であることが特に好ましい。
前記内径は、7.5mm以下、7.0mm以下、6.5mm以下、6.0mm以下、5.5mm以下、5.0mm以下、4.5mm以下、4.0mm以下、3.5mm以下、3.0mm以下であってもよく、2.8mm以下であることがより好ましく、2.5mm以下であることがさらに好ましく、2.0mm以下であることがさらにより好ましく、1.8mm以下であることが特に好ましい。
【0015】
本実施形態において例示している樹脂製容器1は、前記のように首部10cを有しているが、前記注出口12の上流側の前記液状収容物Cの流路の少なくとも一部が上記のような径を有していることが好ましい点については、
図6に示すような、首部が無いような樹脂製容器1xにおいても同じである。
図6に示した樹脂製容器1xは、注出口12xを有する容器本体10xと、該注出口12xを塞いで容器本体を密封状態とする蓋体20xとを備えている点、及び、容器本体10xが後述する保持部14xなどを有している点についても
図1~
図5に示した樹脂製容器1と共通している。
一方で
図6に示した樹脂製容器1xは、胴部10axの上方に連なる肩部10bxの上端において注出口12xが開口している点において
図1~
図5に示した樹脂製容器1とは相違している。
しかしながら、前記液状収容物Cが前記注出口12から抽出される際の前記液状収容物Cの流れ方向における上流側に所定の径を有することで液溜りの形成が抑制され得る点については
図1~
図5に示した樹脂製容器1と共通している。
具体的には、前記注出口12の上流側における前記液状収容物Cの流路となる肩部10bxの上端部において、前記注出口12に至るまでの間に内径を上記のような範囲内(例えば、0.5mm~8.0mm)とすることで液溜りの形成が抑制され得る点については
図1~
図5に示した樹脂製容器1と共通している。
【0016】
液溜りの形成に関連する前記胴部10aの内部横断面積(S0)、及び、上記のような径を備えた部位での前記流路の横断面積(S1)は、所定の広さであることが好ましい。
前記胴部10aの内部横断面積(S0)(水平面で切断した際における内壁面よりも内側部分の面積)は、20mm2以上であることが好ましく、25mm2以上であることがより好ましく、30mm2以上であることが特に好ましい。
前記内部横断面積(S0)は、300mm2以下、260mm2以下、220mm2以下、180mm2以下であってよく、140mm2以下であることが好ましく、120mm2以下であることがより好ましく、100mm2以下であることが特に好ましい。
前記胴部10aの前記内部横断面積(S0)と前記流路の横断面積(S1)との比率(S0/S1)が1.5以上であることが好ましく、2以上であることがより好ましく、5以上であることがさらに好ましく、10以上であることが特に好ましい。
前記(S0/S1)は、60以下であることが好ましく、50以下であることがより好ましく、40以下であることがさらに好ましく、30以下であることが特に好ましい。
【0017】
本実施形態の前記胴部10aは、上記例示のように筒状である必要はない。
その場合、胴部は、液状収容物を注出する際に指先などで圧縮される部分となる最も径大な箇所が上記のような内部横断面積(S0)を有していることが好ましく、高さ方向中央部が上記のような内部横断面積(S0)となるように形成されていることが好ましい。
【0018】
前記首部10cの内径(流路の径)は、通常、液状収容物Cの流通方向と直交する平面で前記首部10cを切断した際に該首部10cの内表面によって画定される図形の断面積を求め、該断面積と同じ面積を有する円の直径として求めることができる。
前記内径は、
図6に示す樹脂製容器1xにおいても同様に求めることができ、首部の断面積に代えて肩部10bxの上端部の断面積を求めることで流路の径を求めることができる。
【0019】
前記首部10cは、上記のような好ましい内径を有する部分が0.5mm以上12mm以下の長さで備えられていることが好ましい。
前記長さは、0.7mm以上であることがより好ましく、0.9mm以上であることがさらに好ましい。
前記長さは、10mm以下であることがより好ましく、8mm以下であることがさらに好ましい。
【0020】
本実施形態の前記容器本体10は、前記収容部11の下端から中空な矩形板状となって下方に延びる保持部14をさらに有している。
より詳しくは、本実施形態の前記容器本体10では、正面視における形状が縦長な長方形となった中空板状の保持部14の上方において上記のようなボトル形状となった収容スペースを有している。
尚、本実施形態の前記容器本体10は、前記液状収容物Cを収容可能なのはこのボトル形状部だけであり、前記保持部14の中空部分は前記収容部11の内部空間とは連通しておらず隔離された空間となっている。
ここで、前記容器本体10の内容積とは、前記液状収容物Cを収容できる部分の容積を意味し、該保持部14の中空部分の容積は含まない。
【0021】
上記のように本実施形態においては矩形板状の保持部14を有することから該保持部に製品名や使用期限などの情報を表示することができる。
尚、前記収容部11に多くの容積を確保したいような場合は、必要に応じて、当該保持部14を小さくしたり、無くしたりしてもよい。
【0022】
本実施形態における前記連結体100は前記胴部10aの側縁どうしを接続領域が上下に延びる線状となるように接続する第1接続部31と、前記保持部14の側縁どうしを接続領域が上下に延びる線状となるように接続する第2接続部32とによって隣り合う樹脂製容器1どうしが接続されて5個の樹脂製容器1が連結されている。
本実施形態における連結体100は、後述するようにブロー・フィル・シール法による成形物である。
従って、本実施形態における前記樹脂製容器1は、液状収容物Cを収容部11に収容させる際の異物混入を抑制することができる。
そして、本実施形態における前記樹脂製容器1は、前記のように液状収容物Cの収容量が少ないユニットドーズ容器として利用される。
【0023】
前記樹脂製容器1から液状収容物Cを取り出す際には、
図2に示すように、まず、前記連結体100の第1接続部31と、第2接続部32とにおいて当該接続部を破断し、前記連結体100より1つの樹脂製容器1を取り出し、次いで、連結体100より取り出した樹脂製容器1から
図5に示すように蓋体20を取り除いて容器本体10を開封状態にさせるような手順を採用すればよい。
【0024】
本実施形態の連結体100は、ハサミやカッターナイフなどの工具を用いることなく隣り合う樹脂製容器1を引き離すように力を加えて前記接続部31,32を手の力だけで破断することができる。
また、本実施形態の樹脂製容器1における容器本体10と蓋体20との間も手で引き千切る形で工具を用いることなく破断することができる。
従来、連結体より1つの樹脂製容器を破断する場合には、破断後の接続部31’,32’に鋸刃状の凹凸が形成され易く、又、注出口の周縁部にはバリが形成され易い。
この破断後の接続部31’,32’における凹凸は、樹脂製容器を保持する際の触感に悪影響を与えるおそれがある。
また、注出口の周縁部におけるバリは、本来であれば重力によって滴下すべき液状収容物の液滴の正常なる滴下を妨げてしまうおそれがある。
しかしながら、本実施形態においては、樹脂製容器1が特定の材料で構成されているために上記のような問題が生じることを抑制することができる。
【0025】
本実施形態においては、
図7、
図8、
図9などにも示されているように、前記容器本体10は、前記液状収容物Cに接する最内層である第1層L1と、該第1層L1に外側から接する第2層L2とを備えた多層構造を有し、前記第1層L1が、環状オレフィンコポリマー(COC)と直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(PE-LLD)とを含み、前記第2層が、低密度ポリエチレン樹脂(PE-LD)を含んでいる。
【0026】
液状収容物Cを収容した容器本体10では内壁面を構成する前記第1層L1に環状オレフィンコポリマー(COC)を含むことで液状収容物Cに対する適度な濡れが発揮され得る。
そして、このことと前記首部10cが適度な内径を有することで本実施形態においては首部10cに液溜りが形成されることが抑制される。
本実施形態においては、前記第1層L1に外側から接する前記第2層を有するため、前記第1層L1の厚さを薄くしても前記第2層L2によって前記容器本体10のトータル厚さを一定以上の値とすることができる。
従って、本実施形態においては、ピンホールなどを原因とした容器本体10からの漏液が発生することを抑制させ得る容器厚さを確保できる。
【0027】
本実施形態においては、PE-LDが前記第2層L2に含まれることで前記容器本体10に柔軟性を発揮させることができる。
さらに、本実施形態においては、前記第1層L1にCOCとともにPE-LLDが含有されているためPE-LLDが含まれていない場合に比べて前記第1層L1と前記第2層L2との親和性を向上させ得る。
そのため、前記第1層L1と前記第2層L2とを熱融着させてこれらを積層一体化させた際にはこれらの間に優れた接着性が発揮され、これらの間で層間剥離が発生することを抑制させ得る。
【0028】
一般にポリエチレン樹脂シートを引き裂いた場合には、破断面に糸状のバリ(突起)が形成され易いことが知られており、本実施形態の樹脂製容器1をポリエチレン樹脂だけで形成させたりすると破断後の接続部31’,32’や注出口12の周縁部に該当する箇所にバリが形成されるおそれがある。
しかし、本実施形態においては、前記容器本体10が上記のような樹脂が用いられてなる2層構造を備えていることで前記破断後の接続部31’,32’での鋸刃状の凹凸や前記注出口12の周縁部に形成されるバリの形成高さを低く抑えることができる。
【0029】
前記第1層L1に含有させるPE-LLDは、エチレンを主モノマーとし、炭素数が4以上のα-オレフィン(例えば、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、4-メチルペンテン-1など)をコモノマーとした一般的なものを採用できる。
該PE-LLDは、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、1-ヘキセンや1-オクテンをコモノマーとして含有していることが好ましく、1-ヘキセンをコモノマーとして含有していることがより好ましい。
【0030】
前記PE-LLDは、前記コモノマーによって分子構造内に短鎖分岐を導入し、結晶化度が低減されて低密度化が図られていることが好ましい。
前記短鎖分岐は、エチレンによる構造単位が1000単位当たりに5以上100以下となる割合で導入されていることが好ましく、10以上50以下となる割合で導入されていることがより好ましい。
即ち、前記PE-LLDは、前記コモノマーがエチレンとの合計量に占める割合が0.5mol%以上10mol%以下の範囲内となっていることが好ましく、前記割合が1mol%以上5mol%以下の範囲内となっていることがより好ましい。
そして、前記PE-LLDは、密度が910kg/m3以上であることが好ましく、密度が915kg/m3以上であることがより好ましい。
前記PE-LLDの密度は、930kg/m3以下であることが好ましい。
前記PE-LLDのメルトマスフローレイト(MFR)は0.5g/10min以上であることが好ましく、0.6g/10min以上であることがより好ましい。
前記メルトマスフローレイトは、5.0g/10min以下であることが好ましく、4.0g/10min以下であることがより好ましく、3.0g/10min以下であることがさらに好ましい。
【0031】
前記PE-LLDや前記PE-LDのメルトマスフローレイトは、JIS K7210:2014「プラスチック-熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の求め方-第1部:標準的試験方法」に記載のA法(質量測定法)に基づいて求めることができ、温度190℃、公証荷重2.16kgの条件下で求めることができる。
同様にCOCのメルトマスフローレイトは、温度260℃、公証荷重2.16kgの条件下で求めることができる。
【0032】
前記PE-LLDは、チーグラーナッタ触媒のようなマルチサイト触媒による重合品であっても、メタロセン触媒のようなシングルサイト触媒による重合品であっても、何れでもよい。
【0033】
本実施形態の前記第1層L1は、1種類のPE-LLDだけを含有するだけでなく、2種類以上のPE-LLDを含有してもよい。
【0034】
上記のようなPE-LLDとともに前記第1層L1に含有されるCOCは、1種または2種以上のノルボルネン系モノマーと、エチレンとを公知の方法によって付加共重合させたもの、又は、これを常法に従って水素添加したもので、具体的には下記の一般式(1)に示すような構造を有するものである。
【0035】
【0036】
(ここで、式(1)におけるR1およびR2は、同一又は異なって、水素、炭化水素残基、又は、ハロゲン、エステル、ニトリル、ピリジルの何れかの極性基を示す。R1およびR2は、互いに結合して環を形成してもよい。x及びzは1以上の整数、yは0又は1以上の整数である。)
【0037】
前記COCは、ガラス転移温度(Tg)が60℃以上であることが好ましく、63℃以上であることがより好ましく、65℃以上であることが好ましく、67℃以上であることがさらに好ましい。前記ガラス転移温度(Tg)が130℃以下であることが好ましく、120℃以下であることがより好ましく、110℃以下であることが好ましく、100℃以下であることがさらに好ましく、90℃以下であることが特に好ましい。
尚、本明細書中における「ガラス転移温度(Tg)」とは、特段のことわりがない限りにおいてJIS K7121に準じ、昇温速度10℃/minの条件で測定することで特定される中間点ガラス転移温度を意味する。
2種以上のCOCを使用した場合、COCのTgは、各環状オレフィン樹脂の加重平均として特定される。
【0038】
樹脂製容器1の成形性を考慮するとノルボルネン系モノマー由来の構成単位がCOCに占める割合は、70質量%以下であることが好ましい。
前記割合は、68質量%以下であることがより好ましく、66質量%以下であることがさらに好ましく、64質量%以下であることが特に好ましい。
前記割合は、15質量%以上であることが好ましく、18質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることがさらに好ましく、22質量%以上であることが特に好ましい。
【0039】
先の一般式(1)で表される構造単位を有するポリマーの具体例としては、三井化学(株)製の商品名「アペル(登録商標)」、Advanced Polymers GmbH製の商品名「トパス(登録商標)」等が挙げられる。
【0040】
前記COCは、成形性や成形品の力学的特性等の観点から、メルトフローレイト(MFR(260℃、2.16kg))が、10g/10min以上40g/10min以下であることが好ましい。
【0041】
前記第1層L1は、ガラス転移温度を測定した際に、60℃以上130℃以下のガラス転移温度を示すようにCOCとPE-LLDとが配合されていることが好ましい。前記ガラス転移温度(Tg)は、60℃以上であることが好ましく、63℃以上であることがより好ましく、65℃以上であることが好ましく、67℃以上であることがさらに好ましい。前記ガラス転移温度(Tg)が130℃以下であることが好ましく、120℃以下であることがより好ましく、110℃以下であることが好ましく、100℃以下であることがさらに好ましく、90℃以下であることが特に好ましい。
【0042】
前記第1層におけるCOCの含有量は、50質量%を超えていることが好ましく、55質量%以上であることがより好ましく、60質量%以上であることが特に好ましい。
前記第1層におけるCOCの含有量は、95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましく、85質量%以下であることが特に好ましい。
【0043】
本実施形態の前記第1層は、COCをPE-LLDよりも多く含んでいる。
前記第1層L1に含まれるCOCとPE-LLDとの合計量に示すCOCの割合は、50質量%を超えていることが好ましく、55質量%以上であることがより好ましく、60質量%以上であることが特に好ましい。
前記割合は、95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましく、85質量%以下であることが特に好ましい。
言い換えると、前記第1層L1におけるCOCとPE-LLDとの合計量に占めるPE-LLDの割合は、5質量%以上50質量%未満であることが好ましい。
【0044】
本実施形態の樹脂製容器1は、ブロー成形によって形成され、より詳しくは、ブロー・フィル・シール法によって形成される。
そのため、樹脂製容器1は、例えば、外側が前記第2層L2となった高温のパリソンにエアが吹き込まれ、内側から外向きに加圧されたパリソンが成形型に当接されるような方法で作製され得る。
【0045】
尚、前記第1層L1は、COCやPE-LLD以外にも添加剤成分(ゴム・プラスチック薬剤、フィラーなどの充填材、抗酸化剤、他の樹脂等)を含有してもよいが、その含有量は5質量%以下とすることが好ましく、3質量%以下とすることがより好ましく、1質量%以下とすることがさらに好ましい。
前記第1層L1は、実質的にCOCとPE-LLDだけで構成されることが特に好ましい。
【0046】
該第1層L1とともに前記容器本体10を構成すべく前記第1層L1に外側から接する第2層L2は、PE-LDを含んでいる。
第2層L2を形成するPE-LDは、密度が910kg/m3以上930kg/m3以下であることが好ましく、915kg/m3以上925kg/m3以下であることが好ましい。
【0047】
PE-LDは、上記のように嵩高い分子構造を有し、しかも、分子鎖の絡み合いが多く存在するものが好ましい。
具体的には、第2層L2を形成するPE-LDは、高圧重合法による重合物で長鎖分岐を分子構造中に存在させていることが好ましい。
PE-LDのMFR(190℃、2.16kg)は、1.5g/10min以下であることが好ましく、1.3g/10min以下であることが好ましく、1.1g/10min以下であることがさらに好ましく、1.0g/10min以下であることが特に好ましい。
PE-LDのMFRは、0.1g/10min以上であることが好ましく、0.2g/10min以上であることがより好ましく、0.3g/10min以上であることがさらに好ましい。
【0048】
尚、前記第2層L2は、PE-LD以外にも僅かであれば添加剤成分(ゴム・プラスチック薬剤、フィラーなどの充填材、抗酸化剤、着色剤、他の樹脂等)を含有してもよいが、その含有量は5質量%以下とすることが好ましく、3質量%以下とすることがより好ましく、1質量%以下とすることがさらに好ましい。
前記第2層L2は、実質的にPE-LDだけで構成されることが特に好ましい。
【0049】
前記第1層L1と前記第2層L2とのそれぞれの厚さは、樹脂製容器1の用途などによっても異なるが、本実施形態での例示のように収容部11における液状収容物Cの容量が10mL以下となる小型容器であれば両者の合計厚さが0.15mm以上1mm以下となるように設定されることが好ましい。
尚、前記収容部11は、容器内の内圧を高めることによって液状収容物Cの注出口12からの取り出しを加勢する上においては薄くて変形容易であることが好ましい一方で破れてしまうおそれがないように一定以上の厚さを有していることが好ましい。
前記第1層L1の厚さ(t1)と前記第2層L2の厚さ(t2)との合計厚さ(t1+t2)は、少なくとも前記収容部11で液状収容物Cの収容空間を構成している箇所においては、0.2mm以上であることが好ましく、0.24mm以上であることがより好ましく、0.28mm以上であることがさらに好ましい。
前記合計厚さ(t1+t2)は、0.8mm以下であることが好ましく、0.7mm以下であることがより好ましく、0.6mm以下であることがさらに好ましい。
【0050】
前記第1層L1の厚さ(t1)は、0.05mm以上0.4mm以下であることが好ましく、0.1mm以上0.35mm以下であることがより好ましく、0.15mm以上0.30mm以下であることがさらに好ましい。
前記第2層L2の厚さ(t2)は、0.1mm以上0.6mm以下であることが好ましく、0.1mm以上0.55mm以下であることがより好ましく、0.15mm以上0.5mm以下であることがさらに好ましい。
【0051】
前記収容部11に収容される液状収容物Cは、流動性を有する。特に限定されず、例えば、飲食物(飲料、調味料、飲み薬、栄養剤、等)、外用剤(スキンケア剤、ヘアケア剤、メイクアップ化粧料等の化粧料点眼剤、コンタクトレンズ用剤等の眼科用組成物、点鼻薬、消毒薬、うがい薬、忌避剤等)、機能性薬剤(洗剤、柔軟剤、芳香剤、消臭剤、接着剤等)などが挙げられる。
【0052】
前記液状収容物Cなかでも、眼科用組成物は、適量を滴下させることが求められる点において本実施形態の樹脂製容器1に収容する液状収容物Cとして好適である。
樹脂製容器1に収容する眼科用組成物としては、例えば、点眼剤、コンタクトレンズ用点眼剤、人工涙液、洗眼剤(洗眼液又は洗眼薬と同義)、コンタクトレンズ装着剤、コンタクトレンズケア用品(消毒剤、保存剤、洗浄剤等を含む)等が挙げられる。
【0053】
本実施形態の樹脂製容器1は、当該樹脂製容器1を作製する際に上記のような液状収容物Cを収容させる「ブロー・フィル・シール法」によって作製され得る。
具体例を挙げると、本実施形態の樹脂製容器(連結体)は、以下のようにして作製され得る。
(1)ブロー工程
第1層を形成するための原材料(環状オレフィンコポリマー(COC)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(PE-LLD))を溶融混練して得られた溶融混練物が内側となり、第2層を形成するための原材料(低密度ポリエチレン(PE-LD))を溶融混練して得られた溶融混練物が外側となるように押出された2層構造のパリソンを作製し、次いで、閉型時に前記連結体に対応したキャビティーが形成されるように構成されている割型で前記パリソンを挟み込み、該パリソンの内部に空気を圧入するか、割型の成形面に設けた真空孔よりパリソンを吸引するかの何れか又は両方を実施し、パリソンに収容部や保持部などの各部の形状を設ける。
但し、この時点では蓋体を形成せず個々の樹脂製容器の注出口が開口した状態となった連結体を作製する。
(2)充填工程
個々の樹脂製容器の収容部の内部に前記注出口を通じてノズルを差し入れるなどし、該ノズルから液状収容物を所定量流出させて収容部に液状収容物を収容させる。
(3)シール工程
前記収容部に所定量の液状収容物を収容させた後は、前記注出口を閉塞するように蓋部を形成する。
【0054】
尚、本実施形態の連結体は、上記のような方法以外でも作製可能である。
また、本実施形態においては樹脂製容器を連結体の状態で作製することを例示しているが、樹脂製容器は連結体を構成するように作製される必要はない。
さらに、本実施形態においては、連結体や個々の樹脂製容器に関して特定の形状を有するものを例示しているが、本発明の樹脂製容器はこのような例示のものに限定されるものではない。
例えば、本実施形態においては、樹脂製容器が2層構造である場合を例示しているが、本発明の樹脂製容器は、前記第2層の外側にさらに別の機能性層(ガス透過防止層、水蒸気透過防止層、光線透過防止層、収容物透過防止層)を有する3層以上の積層構造を有していてもよい。
このように本発明は上記例示に何等限定されるものではない。本発明は、例えば以下の形態に関するものであってよい。
[A1]
液状収容物を収容する樹脂製の容器本体を備え、
前記容器本体が、前記液状収容物を収容する胴部と、該胴部よりも径の小さい注出口とを有しており、
前記液状収容物に接する前記容器本体の内壁面には環状オレフィンコポリマーが含まれており、
前記注出口の上流側の前記液状収容物の流路の少なくとも一部は、径が0.5mm以上8.0mm以下である、樹脂製容器。
[A2]
前記内壁面を構成する樹脂に占める前記環状オレフィンコポリマーの割合が55質量%以上98質量%以下である、[A1]に記載の樹脂製容器。
[A3]
前記内壁面には直鎖状低密度ポリエチレン樹脂がさらに含まれる、[A1]又は[A2]記載の樹脂製容器。
[A4]
前記胴部の内部横断面積(S0)が20mm2以上300mm2以下である、[A1]乃至[A3]の何れかに記載の樹脂製容器。
[A5]
前記胴部の前記内部横断面積(S0)と前記流路の横断面積(S1)との比率(S0/S1)が1.5以上60以下である、[A4]に記載の樹脂製容器。
[A6]
前記容器本体の容積が0.1mL以上10mL以下である、[A1]乃至[A5]の何れかに記載の樹脂製容器。
[A7]
前記液状収容物が外用剤である、[A1]乃至[A6]の何れかに記載の樹脂製容器。
[A8]
前記容器本体が複数連なった連結体を構成し、前記連結体では、前記注出口の開口する方向が上向きとなるように配された複数の前記容器本体が横並びとなり、隣り合う樹脂製容器どうしが側縁部に設けられた接続部によって接続されており、前記連結体が一体成形物で、前記接続部を破断することによって個々に分離可能である、[A1]乃至[A7]の何れかに記載の樹脂製容器。
【実施例】
【0055】
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0056】
図1に示すような連結体となった樹脂製容器を作製し、首部での液溜りに関する評価を実施した。
なお、これらの評価に用いた原材料は下記の通りである。
【0057】
<供試材料>
COC1:
環状オレフィンコポリマー(ガラス転移温度78℃、密度1010kg/m3、メルトフローレイト32g/10min(260℃)、商品名「TOPAS8007S」(ポリプラスティック(株)製))
COC2:
環状オレフィンコポリマー(ガラス転移温度80℃、密度1020kg/m3、メルトフローレイト30g/10min(260℃)、商品名「アペルAPL6509T」(三井化学(株)製))
PE-LLD:
直鎖状低密度ポリエチレン(密度920kg/m3、メルトフローレイト0.95g/10min(190℃))
PE-LD:
低密度ポリエチレン(密度922kg/m3、メルトフローレイト0.60g/10min(190℃))
【0058】
<評価>
環状オレフィンコポリマーと、直鎖状低密度ポリエチレンとを表1に示す配合比率(%)で含有する第1層(内層)と、低密度ポリエチレンを含有する第2層(外層)とを備えた2層構造の樹脂製容器を作製した。また、低密度ポリエチレンを含有する第1層(内層)と、低密度ポリエチレンを含有する第2層(外層)とを備えた2層構造の樹脂製容器を作製した。
樹脂製容器は、5個の樹脂製容器が連結された連結体となるようにブロー・フィル・シール法で作製した。
樹脂製容器の蓋をねじり裂き、開口部を作製した。
緩衝液(リン酸水素ナトリウム0.6質量%、リン酸二水素ナトリウム0.07質量%含有)を用意し、樹脂製容器を開口部が下向きにとなる状態で収容部を押して内部の空気を僅かに追い出し、開口部を緩衝液の液面に接触させるとともに収容部を押す力を緩めて開口部から緩衝液を吸い上げた。
緩衝液の量は容器首部を満たす量となるように、収容部を押す力を調節した。
次に、開口部が上を向くように容器を固定し、開口部の液面が首部長の10%下がるまでの時間を計測した(時間A)。
時間Aの首部の緩衝液量を測定した。
各試験例の樹脂製容器について同様に緩衝液を吸い上げ、開口部が上を向くように容器を固定した時から時間Aが経過した時の首部の緩衝液量を計測した。
式1に従い、首部の液の残留改善度を算出した。
[式1]
残留改善度(%)={1-(実施例の容器の首部の液量/COCを含有しない容器の首部の液量)}×100
各試験例の容器について5回測定し、残留改善度の平均をその試験例の残留改善度とした。評価基準に従って評価した結果を表に示す。
◎:残留改善度30%以上
○:残留改善度20%以上30%未満
△:残留改善度20%未満
【0059】
【0060】
以上のことから、本発明の樹脂製容器は、首部での液溜りが生じ難いことがわかる。
【符号の説明】
【0061】
1:樹脂製容器、10:容器本体、11:収容部、12:注出口、14:保持部、20:蓋体、31,32:接続部、100:連結体、L1:第1層、L2:第2層