(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-23
(45)【発行日】2024-01-31
(54)【発明の名称】収容ラック供給システム、出荷システム、及び収容ラック取扱装置
(51)【国際特許分類】
B65G 1/00 20060101AFI20240124BHJP
B65G 1/14 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
B65G1/00 501Z
B65G1/14 M
(21)【出願番号】P 2023506590
(86)(22)【出願日】2021-03-17
(86)【国際出願番号】 JP2021010833
(87)【国際公開番号】W WO2022195764
(87)【国際公開日】2022-09-22
【審査請求日】2023-06-05
(73)【特許権者】
【識別番号】391032358
【氏名又は名称】平田機工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】飯島 敦彦
(72)【発明者】
【氏名】森田 周平
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-310208(JP,A)
【文献】特開昭62-280105(JP,A)
【文献】特開2017-36152(JP,A)
【文献】米国特許第2956763(US,A)
【文献】米国特許第3499398(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00
B65G 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部と、前記ベース部に対して折り畳み可能な仕切り部と、を備え、前記仕切り部が前記ベース部に対して折り畳まれた収容不能状態と、前記仕切り部が前記ベース部に対して立ち上がった収容可能状態と、に切り替え可能な収容ラックの供給に用いられる収容ラック供給システムであって、
前記収容不能状態の前記収容ラックを供給するラック供給部と、
前記収容不能状態の前記収容ラックを、前記収容可能状態の前記収容ラックにするラック準備部と、
前記ラック供給部から前記ラック準備部に前記収容不能状態の前記収容ラックを移送する移送装置と、
前記ラック準備部から前記収容可能状態の前記収容ラックを取り出すラック取出部と、
を備える、収容ラック供給システム。
【請求項2】
前記ラック準備部は、
前記収容ラックを位置決めする準備位置決めユニットと、
前記仕切り部に設定される被係合部と係合する係合部を有し、前記係合部を移動させる仕切り移動ユニットと、
を有する、請求項1に記載の収容ラック供給システム。
【請求項3】
前記収容ラックは、前記仕切り部として第一仕切り部と、第二仕切り部と、を備え、
前記収容不能状態の前記第一仕切り部及び前記第二仕切り部では、一方が他方の上方に配置され、
前記ラック準備部は、前記第一仕切り部及び前記第二仕切り部のうち、上方に位置する前記仕切り部を検出する上方仕切り検出部を有し、
前記収容ラック供給システムは、前記仕切り移動ユニットを制御する制御部を備え、
前記係合部が、前記第一仕切り部に設定される前記被係合部である第一被係合部と係合し、
前記係合部が、前記第二仕切り部に設定される前記被係合部である第二被係合部と係合するとし、
前記制御部は、
前記上方仕切り検出部の検出結果に基づいて、前記ベース部に対する前記収容不能状態の前記第一仕切り部及び前記第二仕切り部のいずれが上方に位置するかを判別する判別部と、
前記判別部の判別結果に基づいて、前記係合部を係合させる前記第一被係合部に対する第一係合位置、又は前記第二被係合部に対する第二係合位置を決定する係合位置決定部と、
を有する、
請求項2に記載の収容ラック供給システム。
【請求項4】
前記ラック供給部は、
複数の前記収容不能状態の前記収容ラックが積載されて載置されるラック載置部と、
前記複数の前記収容不能状態の前記収容ラックから一つの前記収容不能状態の前記収容ラックを分離させる積層分離部と、
を有し、
前記積層分離部は、
前記収容ラックの前記ベース部に係合するラック係合部と前記複数の前記収容不能状態の前記収容ラックを昇降させるラック昇降部とを含むラック分離ユニットと、
前記一つの前記収容不能状態の前記収容ラックを移送させるラック移送ユニットと、
を有する、請求項1
から3のいずれか一項に記載の収容ラック供給システム。
【請求項5】
ベース部と、前記ベース部に対して折り畳み可能な仕切り部と、を備え、前記仕切り部が前記ベース部に対して折り畳まれた収容不能状態と、前記仕切り部が前記ベース部に対して立ち上がった収容可能状態と、に切り替え可能な収容ラックに被収容物を収容させた出荷に用いられる出荷システムであって、
前記収容不能状態の前記収容ラックを供給するラック供給部と、
前記収容不能状態の前記収容ラックを、前記収容可能状態の前記収容ラックにするラック準備部と、
前記ラック供給部から前記ラック準備部に前記収容不能状態の前記収容ラックを移送する移送装置と、
前記ラック準備部から前記収容可能状態の前記収容ラックを取り出すラック取出部と、
前記収容可能状態の前記収容ラックに前記被収容物を収容させる収容部と、
を備える、出荷システム。
【請求項6】
前記ラック準備部は、
前記収容ラックを位置決めする準備位置決めユニットと、
前記仕切り部に設定される被係合部と係合する係合部を有し、前記係合部を移動させる仕切り移動ユニットと、
を有する、
請求項5に記載の出荷システム。
【請求項7】
前記収容部は、
前記収容可能状態の前記収容ラックを、前記被収容物の収容作業を行う収容位置で位置決めする収容位置決めユニットと、
収容前の前記被収容物を、前記被収容物の取出し作業を行う取出し位置で位置決めする収容物位置決めユニットと、
前記被収容物を保持する収容保持部を前記収容位置と前記取出し位置との間で移動させて、前記収容可能状態の前記収容ラックに移載する収容移載ユニットと、
を有する、請求項
5又は6に記載の出荷システム。
【請求項8】
前記収容部は、前記被収容物の種類及び大きさを含む被収容情報を取得する収容情報取得部を有し、
前記ラック供給部は、
種類及び大きさが第一分類の前記被収容物を収容可能な第一収容ラックを供給する第一ラック供給部と、
種類及び大きさの少なくとも一方が前記第一分類とは異なる第二分類の前記被収容物を収容可能な第二収容ラックを供給する第二ラック供給部と、
を有する、請求項
5から7のいずれか一項に記載の出荷システム。
【請求項9】
前記収容情報取得部で取得した前記被収容情報に基づいて前記ラック供給部からの前記収容ラックの移送を制御する制御部を更に備え、
前記制御部は、
前記被収容情報に基づいて前記被収容物の種類及び大きさに応じた前記収容ラックが載置される前記ラック供給部を決定する収容ラック決定部と、
前記収容ラック決定部により決定された前記収容ラックの供給がされる前記ラック供給部を選択するラック供給部決定部と、
を有する、
請求項8に記載の出荷システム。
【請求項10】
種類及び大きさが第一分類の前記被収容物である第一被収容物、及び種類及び大きさの少なくとも一方が前記第一分類とは異なる第二分類の前記被収容物である第二被収容物が保管される収容物保管部と、
前記第一被収容物及び前記第二被収容物を前記収容部に移送する収容移送部と、
を備える、請求項
5から9のいずれか一項に記載の出荷システム。
【請求項11】
前記被収容物はタイヤであり、
前記収容部は、
積層方向に複数の前記タイヤが積層された積層タイヤの姿勢を、前記積層方向が上下方向に沿う姿勢から前記積層方向が水平方向に沿う姿勢に変換する姿勢変換ユニットと、
前記積層タイヤを前記姿勢変換ユニットに移送する収容移送ユニットと、
を有し、
前記姿勢変換ユニットは、
前記積層タイヤを前記積層方向から保持する保持機構と、
前記保持機構を移動させることで前記積層タイヤの姿勢を変換する姿勢変換機構と、
を有する、
請求項8に記載の出荷システム。
【請求項12】
前記被収容物はタイヤであり、
前記収容物保管部は、
互いに同一の種類及び大きさの前記タイヤを複数積層させて、前記複数のタイヤを保管可能な保管エリアと、
前記保管エリアの上方に設けら
れ、前記保管エリア内に設けられる前記タイヤの搬出位置に前記タイヤを移送可能なタイヤ移送ユニットと、
前記保管エリアの外部から
、前記保管エリア内に設けられる取出し位置に前記タイヤを搬送する搬入部タイヤ移送ユニットと、
前記搬出位置から前記タイヤを前記収容移送部へ移送する搬出部タイヤ移送ユニットと、
を有する、
請求項10に記載の出荷システム。
【請求項13】
ベース部と、前記ベース部に対して折り畳み可能な仕切り部と、を備え、前記仕切り部が前記ベース部に対して折り畳まれた収容不能状態と、前記仕切り部が前記ベース部に対して立ち上がった収容可能状態と、に切り替え可能な収容ラックを取扱う収容ラック取扱装置であっ
て、
前記収容ラックを位置決めする準備位置決めユニットと、
前記仕切り部に設定される被係合部と係合する係合部を有し、前記係合部を移動させる仕切り移動ユニットと、
を備える、収容ラック取扱装置。
【請求項14】
前記仕切り移動ユニットは、
前記係合部を、
前記係合部が前記仕切り部に係合可能な係合位置と、
前記係合部が前記仕切り部に係合不能な非係合位置と、
の間で移動させる係合移動機構を有する、
請求項13に記載の収容ラック取扱装置。
【請求項15】
前記仕切り移動ユニットは、
前記係合部を上下方向に移動させる第一移動機構と、
前記係合部を水平方向に移動させる第二移動機構と、
を有する、請求項
13又は14に記載の収容ラック取扱装置。
【請求項16】
前記収容不能状態の前記仕切り部を移動させる補助係合部を有する移動補助ユニットを
更に備え、
前記移動補助ユニットは、
前記収容不能状態の前記収容ラックにおける前記仕切り部の位置と、前記収容可能状態の前記収容ラックにおける前記仕切り部の位置と、の間の位置に前記仕切り部を移動させる、請求項
13から15のいずれか一項に記載の収容ラック取扱装置。
【請求項17】
前記収容ラックは、前記仕切り部として第一仕切り部と、第二仕切り部と、を備え、
前記仕切り移動ユニットは、
前記係合部が前記第一仕切り部に設定される前記被係合部である第一被係合部と係合する第一係合部であり、前記第一係合部を移動させる第一仕切り移動ユニットと、
前記係合部が前記第二仕切り部に設定される前記被係合部である第二被係合部と係合する第二係合部であり、前記第二係合部を移動させる第二仕切り移動ユニットと、
を有する、請求項
13から16のいずれか一項に記載の収容ラック取扱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仕切り部が折り畳まれた状態の収容不能状態と、仕切り部が立ち上がって収容可能な収容可能状態と、に切り替え可能な収容ラックを供給する収容ラック供給システム、収容可能にした収容ラックに被収容物を収容させて出荷を行う出荷システム、及び収容不能状態と収容可能状態とに状態を切り替え可能な収容ラックを取扱う収容ラック取扱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1には、折り畳み可能な収容ラックを用い、バス・トラックに用いられる大型のタイヤ(被収容物)の移送を行うことが開示されている。収容ラックの支柱(仕切り部)を立ち上がらせて収容可能状態にした後、収容ラックを傾斜させることで、フォークリフトにより収容ラックへのタイヤの収納を行う。さらに、収容ラックの姿勢変換装置により、収容ラックを水平に姿勢変換した後、収容ラックと共に収容される複数の大型タイヤを、フォークリフトにより保管部に移送する。
特許文献1には、収容ラックの収容態様の変更は、特に記載されていないが、作業者が行っていることが想定される。
【0003】
特許文献2では、ストレージ部から積層タイヤ群が積層状態のまま移送されることが開示されている。移送される途中で、タイヤを一つずつ分離し、検査する。その後、同じ種類及び同じサイズのタイヤ同士を複数積み重ねて、再び積層タイヤ群の状態にし、出荷部に移送する。出荷部に移送された積層タイヤ群は、水平方向に並んだ状態の水平姿勢に姿勢変換される。積層タイヤ群は、水平姿勢の状態で収容ラックに収容される。その後、タイヤ群が収容された収容ラックが、積み重ねられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】日本国特開平10-310208号公報
【文献】日本国特許第2539241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、収容不能状態と収容可能状態とに状態を切り替え可能な収容ラックを採用して、タイヤ群の移送が行われている。収容ラックの状態の切り替えは、フォークリフトを操作する作業者が、タイヤを収容する前にその都度行うことが想定される。この場合、作業効率が低下する虞がある。また、質量の大きい被収容物(例えば、大型タイヤや、連続するシート状の部材がロール状に巻かれたロール体等)の場合、強度や剛性が大きい収容ラックが採用されるため、可動する仕切り自体の質量も大きくなる。この場合、作業者が収容ラックの状態の切り替えを行うには、作業者の身体的負担が大きくなる虞がある。
【0006】
特許文献2では、収容可能状態の収容ラックを用いた出荷システムが開示されている。この出荷システムでは、収容可能状態の収容ラックを複数準備しておくには、準備しておくためのスペースが必要になる。
【0007】
本発明は、上記従来技術の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、収容ラックの収容不能状態から収容可能状態への切り替えを効率良く行う収容ラック供給システム、出荷システム、及び収容ラック取扱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
(1)本発明の第一態様は、ベース部と、前記ベース部に対して折り畳み可能な仕切り部と、を備え、前記仕切り部が前記ベース部に対して折り畳まれた収容不能状態と、前記仕切り部が前記ベース部に対して立ち上がった収容可能状態と、に切り替え可能な収容ラックの供給に用いられる収容ラック供給システムであって、前記収容不能状態の前記収容ラックを供給するラック供給部と、前記収容不能状態の前記収容ラックを、前記収容可能状態の前記収容ラックにするラック準備部と、前記ラック供給部から前記ラック準備部に前記収容不能状態の前記収容ラックを移送する移送装置と、前記ラック準備部から前記収容可能状態の前記収容ラックを取り出すラック取出部と、を備える収容ラック供給システムである。
【0009】
この構成によれば、ラック供給部により収容不能状態の収容ラックを供給し、移送装置により、ラック供給部からラック準備部に収容不能状態の収容ラックを移送する。その後で、ラック準備部により、収容不能状態の収容ラックを収容可能状態の収容ラックにする。そして、ラック取出部により、ラック準備部から収容可能状態の収容ラックを取り出すことができる。
このように、収容ラックの収容不能状態から収容可能状態への切り替えを、ラック準備部という専用の機械で行うことにより、収容ラックの収容不能状態から収容可能状態への切り替えを効率良く行うことができる。
【0010】
(3)前記(2)に記載の収容ラック供給システムでは、前記収容ラックは、前記仕切り部として第一仕切り部と、第二仕切り部と、を備え、前記収容不能状態の前記第一仕切り部及び前記第二仕切り部では、一方が他方の上方に配置され、前記ラック準備部は、前記第一仕切り部及び前記第二仕切り部のうち、上方に位置する前記仕切り部を検出する上方仕切り検出部を有し、前記収容ラック供給システムは、前記仕切り移動ユニットを制御する制御部と、備え、前記係合部が、前記第一仕切り部に設定される前記被係合部である第一被係合部と係合し、前記係合部が、前記第二仕切り部に設定される前記被係合部である第二被係合部と係合するとし、前記制御部は、前記上方仕切り検出部の検出結果に基づいて、前記ベース部に対する前記収容不能状態の前記第一仕切り部及び前記第二仕切り部のいずれが上方に位置するかを判別する判別部と、前記判別部の判別結果に基づいて、前記係合部を係合させる前記第一被係合部に対する第一係合位置、又は前記第二被係合部に対する第二係合位置を決定する係合位置決定部と、を有してもよい。
【0011】
(5)本発明の第二態様は、ベース部と、前記ベース部に対して折り畳み可能な仕切り部と、を備え、前記仕切り部が前記ベース部に対して折り畳まれた収容不能状態と、前記仕切り部が前記ベース部に対して立ち上がった収容可能状態と、に切り替え可能な収容ラックに被収容物を収容させた出荷に用いられる出荷システムであって、前記収容不能状態の前記収容ラックを供給するラック供給部と、前記収容不能状態の前記収容ラックを、前記収容可能状態の前記収容ラックにするラック準備部と、前記ラック供給部から前記ラック準備部に前記収容不能状態の前記収容ラックを移送する移送装置と、前記ラック準備部から前記収容可能状態の前記収容ラックを取り出すラック取出部と、前記収容可能状態の前記収容ラックに前記被収容物を収容させる収容部と、を備える出荷システムである。
【0012】
この構成によれば、ラック供給部により収容不能状態の収容ラックを供給し、移送装置により、ラック供給部からラック準備部に収容不能状態の収容ラックを移送する。その後で、ラック準備部により、収容不能状態の収容ラックを収容可能状態の収容ラックにする。そして、ラック取出部により、ラック準備部から収容可能状態の収容ラックを取り出すことができる。
このように、収容ラックの収容不能状態から収容可能状態への切り替えを、ラック準備部という専用の機械で行うことにより、収容ラックの収容不能状態から収容可能状態への切り替えを効率良く行うことができる。
さらに、収容部により、収容可能状態の収容ラックに被収容物を収容させることができる。
【0013】
(13)本発明の第三態様は、ベース部と、前記ベース部に対して折り畳み可能な仕切り部と、を備え、前記仕切り部が前記ベース部に対して折り畳まれた収容不能状態と、前記仕切り部が前記ベース部に対して立ち上がった収容可能状態と、に切り替え可能な収容ラックを取扱う収容ラック取扱装置であって、前記収容ラックを位置決めする準備位置決めユニットと、前記仕切り部に設定される被係合部と係合する係合部を有し、前記係合部を移動させる仕切り移動ユニットと、を備える収容ラック取扱装置である。
【0014】
この構成によれば、準備位置決めユニットにより、収容不能状態の収容ラックを位置決めする。そして、仕切り移動ユニットが係合部を移動させることにより、係合部と係合する仕切り部の被係合部を移動させる。これにより、収容ラックの仕切り部をベース部に対して立ち上げて、収容可能状態の収容ラックにすることができる。
以上のように、収容ラックの位置決め及び収容可能状態への切り替えを、準備位置決めユニット及び仕切り移動ユニットにそれぞれ分けて行わせることができる。
そして、収容ラックの収容不能状態から収容可能状態への切り替えを、収容ラック取扱装置という専用の機械で行うことにより、収容ラックの収容不能状態から収容可能状態への切り替えを効率良く行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の収容ラック供給システム、出荷システム、及び収容ラック取扱装置によれば、収容ラックの収容不能状態から収容可能状態への切り替えを効率良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態の出荷システムの斜視図である。
【
図2】同出荷システムに用いられる、タイヤの拡大図である。
【
図3】同出荷システムに用いられる、収容可能状態の収容ラックの斜視図である。
【
図5】収容不能状態の同収容ラックの側面図である。
【
図6】第二仕切り部が中間位置にあるときの、同収容ラックの斜視図である。
【
図9】
図8において、収容ラックを示さない図である。
【
図10】同出荷システムのラック準備部の斜視図である。
【
図13】同ラック準備部の動作の概要を示す図である。
【
図16】同出荷システムの制御部の概要を示す図である。
【
図17】同ラック準備部の動作を説明する斜視図である。
【
図19】同ラック準備部の動作を説明する斜視図である。
【
図20】同ラック準備部の動作を説明する斜視図である。
【
図21】本発明の一実施形態の第1変形例の収容ラック供給システムにおける、仕切り移動ユニットの平面図である。
【
図22】本発明の第2変形例の収容ラックの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る出荷システムの一実施形態を、
図1から
図22を参照しながら説明する。
図1に示す出荷システム1は、後述の収容物保管部10に保管されるタイヤ(被収容物)Tを収容ラック200に収容させて出荷させる際に用いられる。
図1では、タイヤTの数を少なくして示している。以下では、まずタイヤT及び収容ラック200について説明する。
【0018】
本実施形態では、タイヤTとして、第一タイヤ(第一被収容物)T1、第二タイヤ(第二被収容物)T2、及び第三タイヤT3が用いられる。例えば、第一タイヤT1、第二タイヤT2、及び第三タイヤT3は、互いに同一の種類で、互いに大きさが異なる。本実施形態のタイヤTとしての外径の大きさは、第一タイヤT1、第二タイヤT2、第三タイヤT3の順で大きくなる。第一タイヤT1は、種類及び大きさが第一分類のタイヤTである。第二タイヤT2は、大きさが第一分類とは異なる第二分類のタイヤTである。第三タイヤT3は、大きさが第一分類及び第二分類とはそれぞれ異なる第三分類のタイヤTである。
なお、
図1以下では、タイヤT1,T2,T3を互いに同一の大きさで示す。
【0019】
タイヤTの種類としては、例えば夏用タイヤ、冬用タイヤ、ラジアルタイヤ、バイアスタイヤ等が挙げられる。タイヤTの大きさは、例えば、タイヤTの幅、偏平率、タイヤTに用いられるリム径等を組み合わせて表される。
なお、タイヤT1,T2,T3は、互いに種類が異なるとしてもよい。この場合、第一分類、第二分類、及び第三分類は、互いに種類が異なる。
より一般的に言うと、タイヤT1,T2,T3は、種類及び大きさの少なくとも一方が互いに異なっていればよい。
本実施形態においては、タイヤTとして、3分類のタイヤT1,T2,T3が用いられているとした。しかし、出荷システム1に用いられるタイヤTの分類はこの限りではなく、1分類、2分類でもよいし、4分類以上でもよい。
【0020】
図2には、タイヤTの一例として、第一タイヤT1を示す。第一タイヤT1には、タイヤ情報(被収容情報)が記載されたタイヤコードT6が取付けられている。タイヤ情報は、第一タイヤT1の種類及び大きさの識別に用いる情報を含む。
図示の例では、タイヤ情報はバーコードにより示されているが、タイヤ情報はQRコード(登録商標)等により示されていてもよいし、タイヤTに取付けられたICタグ内に記録されてもよい。
タイヤT2,T3にも、第一タイヤT1のタイヤコードT6と同様のタイヤコードが取付けられている。
【0021】
図1に示すように、本実施形態では、収容ラック200として、タイヤT1,T2,T3を収容可能な第一収容ラック200A、第二収容ラック200B、第三収容ラック200Cを有する。例えば、第一収容ラック200Aは第一タイヤT1用の収容ラックである。
【0022】
本実施形態では、第一収容ラック200Aの構成と収容ラック200B,200Cの構成とは、互いに後述する載置部203A以外同一である。このため、第一収容ラック200Aの構成を、符号の数字、又は数字及び英小文字に英大文字「A」を付加することで示す。収容ラック200B,200Cのうち第一収容ラック200Aに対応する構成を、第一収容ラック200Aの符号と同一の数字、又は数字及び英小文字に英大文字「B」、「C」を付加することで示す。これにより、重複する説明を省略する。収容ラック200A,200B,200Cを区別せず言うときには、収容ラック200と言う。
後述するラック供給部40A,40B,40C等についても、同様である。
【0023】
図3に示すように、第一収容ラック200Aは、底部201Aと、第一仕切り部(仕切り部)211Aと、第二仕切り部(仕切り部)221Aと、を備える。
図3では、ベース部202Aに対して、仕切り部211A,221Aにおける、一方の支持端部が離間してそれぞれ支持された状態で、他方の移動端部がそれぞれ移動されベース部202Aに対して立ち上がった、第一収容ラック200Aの収容可能状態P1を示している。
【0024】
底部201Aは、ベース部202Aと、載置部203Aと、支持部204Aと、を有する。
ベース部202Aは、平面視で矩形を呈する平板状である。平面視において、ベース部202Aの第一外縁202aAは、第一外縁202aAに直交する第二外縁202bAより長い。以下では、第一収容ラック200Aにおいて、第一外縁202aAに沿う方向を、第一の方向として長手方向と言う。第二外縁202bAに沿う方向を、第二の方向として短手方向と言う。
ベース部202Aには、長手方向に互いに間隔を空けて一対の貫通孔202cAが形成される。一対の貫通孔202cAは、平面視でそれぞれ矩形状を呈する。
【0025】
載置部203Aは、一対の載置部材206Aを有する。一対の載置部材206Aは、それぞれ長手方向に延びる棒状の部材である。一対の載置部材206Aは、短手方向に互いに間隔を空けて配置される。一対の載置部材206Aは、ベース部202Aの上面にそれぞれ固定される。
底部201Aは、支持部204Aを4つ備える。支持部204Aは、第一支持部207Aと、受け部208Aと、を有する。第一支持部207Aは、上下方向に延びる棒状の部材である。第一支持部207Aにおける上下方向の中間部は、ベース部202Aの各隅部に固定されている。
受け部208Aは、第一支持部207Aの下端部に設けられる。
図4に示すように、受け部208Aの下面には、上方の第一支持部207Aに向かって徐々に傾斜する傾斜面を含んで凹む窪み208aAが形成される。
【0026】
図3に示すように、第一仕切り部211Aは、ベース部202Aにおける長手方向の第一端部に取付けられる。第一仕切り部211Aは、一対の回動部212Aと、一対の第二支持部213Aと、連結部214Aと、を有する。
一対の回動部212Aは、ベース部202Aを短手方向に挟むように配置される。それぞれの回動部212Aは、回動部212Aの第一端部において、回転軸216Aを介してベース部202Aに回動可能に接続されている。
【0027】
第二支持部213Aは、回動部212Aにおける第一端部とは反対の第二端部に固定される。第二支持部213Aは、回動部212Aから上方に延びる棒状の部材である。第二支持部213Aの下端部は、支持部204Aの第一支持部207Aの上端部と合う。
連結部214Aは、複数の棒状部材(符号省略)により構成される。連結部214Aは、一対の第二支持部213Aを連結する。
【0028】
第二仕切り部221Aは、第一仕切り部211Aの一対の回動部212A、一対の第二支持部213A、連結部214Aと同様に構成された、一対の回動部222Aと、一対の第二支持部223Aと、連結部224Aと、を有する。第二仕切り部221Aは、ベース部202Aにおける長手方向における一方側に設けられる第一端部とは反対の他方側に設けられる第二端部に取付けられる。
【0029】
以上のように構成された第一収容ラック200Aでは、
図5に示すように、回転軸216A,226A回りに仕切り部211A,221Aのそれぞれの支持端部が支持されることで、それぞれを回動させることができる。仕切り部211A,221Aを回動させると、仕切り部211A,221Aのそれぞれの移動端部がベース部202Aに近づくように移動してほぼ沿うように位置することで、仕切り部211A,221Aがベース部202Aに対して折り畳まれる。そして、第一収容ラック200Aは、仕切り部211A,221Aがベース部202Aに対して折り畳まれることで収容不能状態P2になる。本実施形態の仕切り部211A,221Aは、ベース部202Aの長手方向の長さの2分の1の長さより長い。そのため、収容不能状態P2の第一収容ラック200Aの仕切り部211A,221Aでは、仕切り部211A,221Aのうち、一方が他方の上方に配置される。第一仕切り部211Aが第二仕切り部221Aより上方に配置される場合もあれば、第二仕切り部221Aが第一仕切り部211Aより上方に配置される場合もある。
【0030】
このように、第一収容ラック200Aは、仕切り部211A,221Aの配置状態を変化させることで収容可能状態P1と、収容不能状態P2と、に切り替え可能である。
さらに、
図6に示すように、第二仕切り部221Aは、収容不能状態P2の第一収容ラック200Aにおける第二仕切り部221Aの位置と、収容可能状態P1の収容ラック200Aにおける第二仕切り部221Aの位置と、の間の第二仕切り部221Aの位置である中間位置P3に移動できる。
第一仕切り部211Aについても、同様である。
【0031】
なお、第一支持部207Aに第二支持部213Aを突き合わせ、第一収容ラック200Aを収容可能状態P1にした後で、第一収容ラック200Aにおいて、第一支持部207Aに第二支持部213Aを固定できる構成になっていることが好ましい。この構成として、例えば、第一支持部207A内に第二支持部213Aを落とし込み、溝とピンとで係合させる構成が挙げられる。
また、第二収容ラック200Bでは、第一収容ラック200Aの一対の載置部材206A間の距離よりも一対の載置棒206B間の距離よりも長い。第三収容ラック200Cでは、第二収容ラック200Bの一対の載置棒206B間の距離よりも一対の載置棒206C間の距離よりも長い。
【0032】
収容ラック200A,200B,200Cには、それぞれを識別するためのラック情報が記載されたラックコードが取付けられていることが好ましい。
【0033】
図1及び
図7に示すように、出荷システム1は、ラック供給部40と、移送装置55と、本実施形態のラック準備部(収容ラック取扱装置)65と、ラック取出部110と、を備える。また、出荷システム1は、収容物保管部10と、収容移送部30と、収容部115と、を備える。また、出荷システム1は、制御部140を備える。
なお、ラック供給部40、移送装置55、ラック準備部65、ラック取出部110、及び制御部140で、本実施形態の収容ラック供給システム2を構成する。収容ラック供給システム2は、収容ラック200の供給に用いられる。
【0034】
図1に示すように、収容物保管部10には、タイヤT1,T2,T3が保管される。収容物保管部10は、保管エリア11と、搬入部タイヤ移送ユニット12と、タイヤ移送ユニット13と、搬出部タイヤ移送ユニット14と、を有する。
保管エリア11は、互いに同一の種類及び大きさのタイヤTを複数積層させた積層タイヤT10(複数のタイヤT)を保管可能である。積層タイヤT10では、積層方向に複数のタイヤTが積層されている。積層方向は、タイヤTの中心軸に沿う方向である。
複数の第一タイヤT1が積層方向に積層されることで、積層タイヤT10である第一積層タイヤT11が構成される。複数の第二タイヤT2が積層方向に積層されることで、積層タイヤT10である第二積層タイヤT12が構成される。複数の第三タイヤT3が積層方向に積層されることで、積層タイヤT10である第三積層タイヤT13が構成される。
【0035】
ここで、出荷システム1が設置される設置面Fに沿う、第1設置方向X及び第2設置方向Yを規定する。第1設置方向X及び第2設置方向Yは、互いに直交する。第1設置方向X及び第2設置方向Yは、それぞれ水平面に沿う方向である。
保管エリア11は、保管台17A,17Bを有する。そして、保管エリア11内には、タイヤTを実際に保管するための保管位置P6A,P6Bと、タイヤTを保管位置P6A,P6Bに移載するために保管エリア11外から移送されたタイヤTの取出し位置P7A,P7Bと、タイヤTを保管位置P6A,P6Bから保管エリア11外へ搬出するための搬出位置P8A,P8Bと、が設けられる。また、保管エリア11内には、保管されたにタイヤTを取り出すための取出し待機位置P9A,P9Bが設けられる。
【0036】
保管台17A,17Bは、平面視においてそれぞれ第1設置方向Xに長い矩形状を呈する。保管台17A,17Bは、第2設置方向Yに並べて配置される。保管台17A,17Bの上面に、保管位置P6A,P6Bが設定される。具体的には、保管位置P6A,P6Bは、保管台17A,17Bの大きさ、及びタイヤTのサイズに応じて、制御部140によって、保管台17A,17Bの一部として割り付けられる位置である。積層タイヤT11,T12,T13は,保管位置P6A,P6Bで保管される。
【0037】
搬入部タイヤ移送ユニット12は、保管エリア11の外部から取出し位置P7A,P7BにタイヤTを搬送する。例えば、取出し位置P7A,P7Bは、保管位置P6A,P6Bよりも第1設置方向Xの第1側X1となる保管エリア11内の一方端部に設定される。また、搬入部タイヤ移送ユニット12は、保管エリア11のタイヤTを取り出す取出し待機位置P9A,P9Bに、タイヤTを搬送する。例えば、取出し待機位置P9A,P9Bは、取出し位置P7A,P7Bと異なり、保管位置P6A,P6Bよりも第1設置方向Xの第1側X1となる保管エリア11内の一方端部に設定される。
【0038】
搬入部タイヤ移送ユニット12は、搬入コンベア19A,19B、および待機コンベア20A,20Bを有する。例えば、搬入コンベア19A,19B、および待機コンベア20A,20Bには、公知のローラコンベアが用いられる。搬入コンベア19A,19Bは、保管台17A,17Bよりも第1側X1となる保管エリア11の一方端部に保管エリア11の内部と外部に亘って配置される。また、待機コンベア20A,20Bは、保管台17A,17Bよりも第1側X1となる保管エリア11の一方端部に保管エリア11の内部と外部に接続される接続位置に臨んで配置される。
【0039】
搬入コンベア19A,19Bは、保管エリア11の外部から取出し位置P7A,P7BにタイヤTを搬送する。待機コンベア20A,20Bは、取出し位置P7A,P7Bまたは保管位置P6A,P6Bから保管エリア11の外部にタイヤTを搬送する。待機コンベア20A,20Bは、取出し位置P7A,P7Bに搬入されたタイヤTの種類及び大きさが、保管エリア11に保管すべき種類及び大きさのタイヤTとは異なる場合、または、強制的に保管対象外とされた場合に用いられる。
【0040】
タイヤ移送ユニット13は、保管エリア11の上方に設けられる。タイヤ移送ユニット13は、取出し位置P7A,P7BからタイヤTを取出すとともに、取出し位置P7A,P7Bから搬出位置P8A,P8BにタイヤTを移送できる。
なお、タイヤ移送ユニット13は、保管エリア11内から搬出位置P8A,P8BにタイヤTを移送できるとしてもよい。
【0041】
タイヤ移送ユニット13は、第一移送ユニット22A,22Bと、第二移送ユニット23A,23Bと、を有する。移送ユニット22A,22B,23A,23Bには、第1設置方向X及び第2設置方向YにタイヤTをそれぞれ移送する、公知の移送装置が用いられる。第一移送ユニット22A,22Bは、取出し位置P7A,P7BからタイヤTを取出し、保管位置P6A,P6Bに移送する。第二移送ユニット23A,23Bは、保管位置P6A,P6Bから搬出位置P8A,P8Bに積層タイヤT10(タイヤT)を移送する。搬出位置P8A,P8Bは、保管位置P6A,P6Bよりも第1設置方向Xのうち第1側X1とは反対の第2側X2となる保管エリア11の他方端部に設定される。
【0042】
搬出部タイヤ移送ユニット14は、保管エリア11内に設けられる搬出位置P8A,P8Bから積層タイヤT10を、保管エリア11外に設けられる収容移送部30へ移送する。
図7に示すように、搬出部タイヤ移送ユニット14は、搬出コンベア25A,25Bと、第一回転・移送台26と、を有する。搬出コンベア25A,25B及び第一回転・移送台26は、保管台17A,17Bよりも第2側X2となる保管エリア11の他方端部に配置される。
【0043】
搬出コンベア25Aは、保管台17A,17Bにおける第2設置方向Yの中心側となる第一方向の一方側に、搬出コンベア25Bは、保管台17A,17Bにおける第2設置方向Yの中心側となる第一方向の他方側に、積層タイヤT10をそれぞれ搬送する。積層タイヤT10は、積層方向が上下方向に沿う姿勢で搬送される。
第一回転・移送台26は、搬出コンベア25Aと、搬出コンベア25Bとの間に配置される。第一回転・移送台26は、積層タイヤT10の向きを変更するとともに、積層タイヤT10を第2側X2所定の向きであり第一方向と交差する第二方向に移送する。
【0044】
収容移送部30は、積層タイヤT11,T12,T13を収容部115に移送する。収容移送部30は、第一移送コンベア31と、第二回転・移送台32と、第二移送コンベア33と、を有する。
第一移送コンベア31は、第一回転・移送台26よりも第2側X2となる第二方向側の位置に配置される。第一移送コンベア31は、積層タイヤT10を第2側X2となる第二方向に移送する。
第二回転・移送台32は、第一回転・移送台26と同様に構成される。第二回転・移送台32は、第一移送コンベア31よりも第2側X2となる第二方向側の位置に配置される。第二移送コンベア33は、第二回転・移送台32よりも第2設置方向Yの第1側Y1となる第一方向側の位置に配置される。第二移送コンベア33は、積層タイヤT10を第1側Y1となる第一方向の一方側に移送する。
【0045】
図7に示すように、ラック供給部40は、収容不能状態P2の収容ラック200を供給する。ラック供給部40は、第一収容ラック200A、第二収容ラック200B、第三収容ラック200Cにそれぞれ対応した第一ラック供給部40A、第二ラック供給部40B、第三ラック供給部40Cを有する。以下では、ラック供給部40A,40B,40Cのうち、第一ラック供給部40Aを例にとって説明する。
本実施形態では、ラック供給部40は、第一分類から第三分類の3つの分類に対応してラック供給部40A,40B,40Cという3つのラック供給部を有する。しかし、ラック供給部40は、タイヤTの分類数に対応した数のラック供給部を有すればよい。
【0046】
図8及び
図9に示すように、第一ラック供給部40Aは、収容不能状態P2の第一収容ラック200Aを供給する。第一ラック供給部40Aは、ラック載置部41Aと、積層分離部42Aと、を有する。
ラック載置部41Aは、第一収容ラック200Aの移送を行うラック移送ユニット41aAを備える。ラック移送ユニット41aAには、例えば、ホイールコンベア等の公知のコンベアが用いられる。ラック載置部41Aは、ラック移送ユニット41aA上に設けられる載置位置を含む。ラック載置部41Aには、収容不能状態P2の収容ラック200Aが複数積み重ねて積層された状態で不図示の移送手段により移載され、ラック移送ユニット41aAに載置される。具体的には、ラック移送ユニット41aAに設定される載置位置に、収容ラック200Aが載置される。
【0047】
以下では、積層された複数の収容不能状態P2の収容ラック200Aを、積層収容ラック230Aと言う。積層収容ラック230Aでは、上方に配置された収容ラック200Aの支持部204Aにおける窪み208aAと、下方に配置された収容ラック200Aの支持部204Aの上端部とが嵌まり合うことで、積層状態が維持される。
ラック移送ユニット41aAは、載置位置に載置された積層収容ラック230Aを移送方向となる第1側X1に移送する。
【0048】
積層分離部42Aは、積層収容ラック230Aから一つの収容不能状態P2の収容ラック200Aを分離させ、分離させた収容ラック200Aを移送する。具体的には、積層収容ラック230Aの最下層の収容ラック200Aを分離させ、分離させた収容ラック200Aを移送方向に移送する。積層分離部42Aは、ラック分離ユニット42aAと、ラック移送ユニット48Aと、を有する。
【0049】
ラック分離ユニット42aAは、ラック係合部45Aと、ラック昇降部46Aと、を備える。また、ラック分離ユニット42aAは、ラック係合部45Aとラック昇降部46Aとが固定され、これらを一体に支持する支持ベース部材42bAを備える。支持ベース部材42bAは、矩形状に形成される板状の部材である。
ラック係合部45Aは、ラック移送ユニット48Aの移送方向と直交する幅方向となる第2設置方向Yに所定の間隔を空けて、ラック係合機構49aAを一対有する。
【0050】
ラック係合機構49aA,49aAは、幅方向に所定の間隔を空けて配置され、幅方向にお互いが接近・離間可能な一対の係合部49A,49Aと、一対の係合部49A,49Aを係合位置と待機位置との間で進退移動させる駆動機部49bA,49bAと、を有する。一対の係合部49A,49Aは、それぞれ幅方向となる第2設置方向Yに延びる棒状の部材である。一対の係合部49A,49Aは、第1設置方向Xに互いに間隔を空けてそれぞれ配置される。一対の係合部49A,49Aは、進出移動されることでラック昇降部46Aによって上昇された収容ラック200Aのベース部202Aの下方に進出移動される。そして、昇降部46Aに載置される収容ラック200Aが下方に移動されることで収容ラック200Aのベース部202Aの下方に待機する一対の係合部49A,49Aに係合し、支持される。より詳しく説明すると、一対の係合部49A,49Aは、積層収容ラック230Aのうち下方から2番目の収容ラック200Aのベース部202Aの下方に進出移動し、進出した状態で待機し、ラック昇降部46Aが下方に動作することで積層収容ラック230Aのうち下方から2番目の収容ラック200Aのベース部202Aと係合する(
図5参照)。
【0051】
ラック昇降部46Aは、昇降ステージ47Aと、昇降ステージ47Aを昇降移動させるラック昇降機構46aAと、を備える。ラック昇降機構46aAは、例えば油圧ジャッキである。ラック昇降部46Aは昇降ステージ47Aを上下方向に移動させることにより、積層収容ラック230Aの最下層の収容ラック200Aに当接し、載置支持することで積層収容ラック230Aを昇降させ、分離位置で停止維持する。
昇降ステージ47Aは、ラック係合部45Aよりも下方に配置される。
【0052】
ラック移送ユニット48Aは、ラック移送ユニット41aAと同様に構成される。ラック移送ユニット48Aは、一つの収容不能状態P2の収容ラック200Aを搬送方向となる第1側X1に移送させる。
【0053】
第一ラック供給部40Aと同様に、第二ラック供給部40Bは、第二収容ラック200Bを供給する。第三ラック供給部40Cは、第三収容ラック200Cを供給する。
【0054】
図7に示すように、移送装置55は、ラック供給部40からラック準備部65に収容不能状態P2の収容ラック200を移送する。
移送装置55は、第一移送コンベア56と、第二移送コンベア57と、第三移送コンベア58と、を有する。移送コンベア56,57,58は、ラック載置部41Aと同様に構成される。
【0055】
第一移送コンベア56は、ラック供給部40の移送方向と直交する方向となる第2設置方向Yに延設される。第一移送コンベア56は、ラック供給部40A,40B,40Cのラック移送ユニット48A,48B,48Cよりもそれぞれの移送方向の下流側となる第1側X1に配置される。第一移送コンベア56は、ラック供給部40A,40B,40Cのラック移送ユニット48A,48B,48Cにより移送された収容不能状態P2の収容ラック200A,200B,200Cを第1側Y1にそれぞれ移送させる。
【0056】
また、第一移送コンベア56は、ラック移送ユニット48A,48B,48Cが接続されるそれぞれの接続部に、それぞれのラック移送ユニット48A,48B,48Cから移送される収容ラック200A,200B,200Cを受け取り、第一移送コンベア56に載置させる第一移送補助ユニット(符号省略)をそれぞれ備える。また、第一移送コンベア56は、第二移送コンベア57との接続部に、第一移送コンベア56から第二移送コンベア57に収容ラック200を移送させる第二移送補助ユニット(符号省略)を備える。
【0057】
第二移送コンベア57は、第一移送コンベア56の移送方向となる第1側Y1の端部であって、第一移送コンベア56の移送方向と直交する方向の第1側X1に配置される。第二移送コンベア57は、収容ラック200を移送方向となる第1側X1に移送させる。
【0058】
第三移送コンベア58は、第二移送コンベア57の移送方向となる第1側X1の端部側に配置される。第三移送コンベア58は、収容ラック200を第一移送コンベア56の移送方向と対向する方向となる第2側Y2に移送させる。また、第三移送コンベア58は、第二移送コンベア57と接続する接続部に、第二移送コンベア57から移送される収容ラック20を第三コンベア58に移送する第三移送補助ユニット(符号省略)を備える。
【0059】
ラック準備部65は、収容ラック200を取扱う。ラック準備部65は、収容不能状態P2の収容ラック200から、収容可能状態P1の収容ラック200へ収容ラック200の状態を変化させる作業を行う。
図10及び
図11に示すように、ラック準備部65は、準備位置決めユニット66と、仕切り移動ユニット67と、を有する。また、ラック準備部65は、移動補助ユニット68と、上方仕切り検出部69と、を有する。また、ラック準備部65は、第三移送コンベア58の移送経路上に設けられ、収容ラック200を移送すると共に収容ラック200の準備作業を行う準備位置が設定される準備移送ユニット70を有する。
【0060】
準備位置決めユニット66は、準備位置に配置される収容ラック200の位置決めを行う。準備位置決めユニット66は、停止ユニット72と、位置決め部73と、を有する。
【0061】
停止ユニット72は、係止部76と、駆動部77と、を有する。
図12に示すように、係止部76は、収容ラック200のベース部202における一方側となる第2側Y2(移送方向の下流側)の一方端部と係合する。駆動部77は、係止部76を上下方向に移動させるアクチュエータである。本実施形態においては、停止ユニット72は、準備移送ユニット70により移送される収容ラック200の搬送面より上方の係止位置と、搬送面より下方の回避位置と、の間で係止部76の移動を駆動部77の作動により可能としている。そして、係止部76を係止位置に移動させ、待機させることにより、準備移送ユニット70により移送される収容ラック200が係止部76に係止することで、収容ラック200を準備位置に停止させることができる。
【0062】
図11に示すように、本実施形態では、準備位置決めユニット66は位置決め部73を一対有する。一対の位置決め部73は、準備移送ユニット70の移送方向と直交する幅方向となる第1設置方向Xに互いに間隔を空けて配置される。また、位置決め部73は、停止ユニット72よりも搬送方向上流側に配置される。
なお、準備位置決めユニット66が有する位置決め部73の数は、1つでもよい。
【0063】
位置決め部73は、当接部80と、駆動部81と、を有する。なお、
図10及び
図11では、当接部80を簡略化して示す。
図12に示すように、当接部80は、支持部84と、当接片85と、付勢部材86と、を有する。
当接片85は、搬送方向となる第1側Y1の一端部が、軸部材87により支持部84に回転可能に接続され、搬送方向となる他端部が、揺動可能に設けられる。
駆動部81は、当接部80を搬送方向に往復移動させるアクチュエータである。駆動部81は、本実施形態においては、流体を駆動源として用いて動作する圧力シリンダである。当接部80は、駆動部81の作動により、搬送方向の下流側に設定される位置決め位置と、搬送方向の上流側に設定される待機位置との間で移動される。
【0064】
付勢部材86は、バネ等である。付勢部材86は、当接片85の搬送方向となる第2側Y2の他端部を上方に付勢する。当接片85は、一方端が搬送面より下側で支持され、他方端が付勢部材86により搬送面より上方で維持するように支持される。当接片85の上面は、搬送方向の上流側から下流側となる第2側Y2に向かうに従い漸次、上方に向かうように傾斜するように支持部84に支持される。当接片85は、収容ラック200のベース部202における搬送方向の上流側となる第1側Y1(移送方向の上流側)の他端部に係合できる。
【0065】
当接片85は、準備移送ユニット70により収容ラック200が準備位置に移送される際に、収容ラック200のベース部202が当接片85上に当接されると、収容ラック200の質量により、付勢部材86の付勢力に抗して、当接片85の第2側Y2の他端部が軸部材87回りに下方に徐々に移動され、搬送面よりも下側の位置(
図12中に点線で示す位置)に移動される。収容ラック200は、ベース部202が位置決め部73の当接片85を第2側Y2に乗り越えながら移送されることができる。
【0066】
当接片85は、収容ラック200のベース部202の乗り越えが完了し、収容ラック200による搬送面よりも下方への抗力が解放されると、付勢部材86の付勢力により、当接片85の第2側Y2の他端部が軸部材87を支点に上方に移動し、当接片85の他端部が搬送面よりも上方に移動する。当接片85は、駆動部81の作動により、搬送方向の上流側の待機位置から搬送方向の下流側に向かって移動されることで、収容ラック200のベース部202における搬送方向の上流側となる第1側Y1の他端部に当接し、ベース部202を搬送方向の下流側に押し付ける。
【0067】
収容ラック200は、ベース部202に当接した当接片85を含む当接部80が駆動部81の作動力により搬送方向の下流側へ押付を継続することで、停止ユニット72の係止部76にベース部202が押し付けられる。そして、停止ユニット72と位置決め部73とにより、収容ラック200が準備位置に位置決めされ、保持される。
【0068】
図10に示すように、仕切り移動ユニット67は、所定の高さを有する支持部材67aに支持される。支持部材67aは、二つの支持体67b,67bと、二つの支持体67b,67bに亘って支持される梁部材67cと、を備える。
二つの支持体67b,67bは、準備移送ユニット70の側部であって、搬送方向に離間して設けられ、梁部材67cの延設方向が準備移送ユニット70の搬送方向と平行になる様に配置される。
【0069】
仕切り移動ユニット67は、第一仕切り部211、第二仕切り部221に設定される第一被係合部(被係合部)211a、第二被係合部(被係合部)221a(
図3参照)と係合する係合部90と、係合部90を移動させる係合移動機構90Aと、を有する。
係合部90は、所定の長さおよび径を有する棒状の部材である。係合部90は、上下方向に延びる第一移動支持部材91の下端部に、中心軸が水平方向(水平面に沿う方向)に延びるように設けられ、中心軸を中心に回転可能に係合移動機構90Aに支持される。
【0070】
係合移動機構90Aは、第一移動機構94と、第二移動機構95と、係合位置移動機構96と、を有する。
第一移動機構94は、上下方向に所定の長さを有する第一移動支持部材91と、第一移動支持部材91を上下方向に移動させる第一駆動モータ94Mと、を備える。
第二移動機構95は、水平方向に所定の長さを有する固定支持部材95Aと、固定支持部材95Aに設けられるガイドレールに沿って移動可能な第二移動支持部材94Aと、第二移動支持部材94Aに固定されると共に第二移動支持部材94Aを移動させる第二駆動モータ95Mと、を備える。
固定支持部材95Aは、梁部材67cに支持される。また、第二移動支持部材94Aは、第一移動支持部材91を上下方向に移動可能に支持する。
【0071】
係合位置移動機構96は、
図13に示すように、係合部90を回転可能に支持する係合支持部材96Aと、係合位置P11と、非係合位置P12と、の間で係合支持部材96Aを移動させる係合位置変更機構96Bと、を備える。
係合支持部材96Aは、L字状の部材である。係合支持部材96Aにおいて、水平方向に延設される一方部が係合位置変更機構96Bに固定され、上下方向に延設される他方部に係合部90が回転可能に取り付けられる。
係合位置変更機構96Bは、第一移動支持部材91に固定される変更固定部96B1と、変更固定部96B1に対して移動可能に支持され、係合支持部材96Aが固定される変更移動部96B2と、を備える。変更移動部96B2は、不図示の駆動モータにより駆動される。本実施形態における係合位置変更機構96Bでは、変更移動部96B2を回転させて位置を変更させる回転機構が採用される。係合位置変更機構96Bは、変更移動部96B2を変更固定部96B1に対して回転可能に支持する。
【0072】
係合部90の姿勢である係合位置P11と、非係合位置P12とでは、係合部90における第一移動支持部材91の軸線C1回りの位置、及び係合部90の中心軸の延出方向が異なる。係合位置移動機構96は、係合部90を軸線C1回りに回転させる。
係合位置P11の係合部90は、準備移送ユニット70の搬送方向と直交する幅方向であって、収容ラック200の搬送移動軌道の範囲内となる第1設置方向Xの第1側X1に延びた状態で配置され、仕切り部211,221に係合可能である。係合位置P11は、一方の仕切り部の被係合位置に対応する位置においては、第一係合位置P26Aとして設定され、他方の仕切り部の被係合位置に対応する位置においては、第二係合位置P26Bとして設定される。非係合位置P12の係合部90は、準備移送ユニット70の搬送方向と平行な方向であって、収容ラック200の搬送移動軌道の範囲外となる第2設置方向Yに延びた状態で配置され、収容ラック200の仕切り部211,221に係合不能である。
係合位置移動機構96は、予め係合部90を非係合位置P12に配置する。
【0073】
図11に示すように、ラック準備部65は、移動補助ユニット68として、第一移動補助ユニット99Aと、第二移動補助ユニット99Bと、を有する。第一移動補助ユニット99Aは、第二移動補助ユニット99Bよりも第2側Y2(準備移送ユニット70の移送方向の下流側)に配置される。
また、第二移動補助ユニット99Bは、第一移動補助ユニット99Aよりも第1側Y1(準備移送ユニット70の移送方向の上流側)に配置される。本実施形態における第一移動補助ユニット99Aおよび第二移動補助ユニット99Bは、停止ユニット72と位置決め部73との間に配置される。具体的には、第一移動補助ユニット99Aは、停止ユニット72側に配置され、第二移動補助ユニット99Bは、位置決め部73側に配置される。
【0074】
第一移動補助ユニット99Aは、第一補助係合部(補助係合部)100Aと、第一駆動部101Aと、を有する。第一補助係合部100Aは、平板状に形成され、平面部を備える部材であり、平面部が水平面に沿うように配置される。第一補助係合部100Aは、準備位置決めユニット66により位置決めされた収容ラック200のベース部202の貫通孔202cA内であって、一対の載置部材206Aの間を通って、搬送面の下方の第一補助待機位置と搬送面よりも上方の第一補助係合位置との間を移動可能に配置される。第一補助係合部100Aは、収容不能状態P2の第一仕切り部211を第一補助待機位置に移動させる。
第一駆動部101Aは、第一補助係合部100Aを上下方向に移動させる。
【0075】
第二移動補助ユニット99Bは、第二補助係合部100Bと、第二駆動部101Bと、を有する。第二補助係合部100Bは、平板状に形成され、平面部を備える部材であり、平面部が水平面に沿うように配置される。第二補助係合部100Bは、第二準備位置決めユニット66により位置決めされた収容ラック200のベース部202の貫通孔202cA内であって、一対の載置部材206Aの間を通って、搬送面の下方の第二補助待機位置と搬送面よりも上方の第二補助係合位置との間を移動可能に配置される。第二補助係合部100Bは、収容不能状態P2の第二仕切り部221を第二補助待機位置に移動させる。
第二駆動部101Bは、第二補助係合部100Bを上下方向に移動させる。
【0076】
図10に示すように、例えば、上方仕切り検出部69は、第一検出部104Aと、第二検出部104Bと、を有する。上方仕切り検出部69は、第一仕切り部211及び第二仕切り部221のうち、上方に位置する仕切り部を検出する。検出部104A,104Bは、近接センサ、レーザセンサ等である。第一検出部104Aおよび第二検出部104Bは、停止ユニット72と位置決め部73との間であって、搬送面より上方の所定の位置に配置される。本実施形態の収容ラック200は、
図5に示すように、例えば、収容不能状態P2の収容ラック200において、第一仕切り部211または第二仕切り部221のいずれか一方が下側に配置され、いずれか他方が上側に重なって配置された状態の収容ラック200が採用される。本実施形態においては、第一仕切り部211が第二仕切り部221の上方に重なった状態で配置される場合について説明する。
上方に配置される第一仕切り部211における基端側の領域211bでは、載置部203との間に隙間が広く形成されやすい。下方に配置される第二仕切り部221における基端側の領域221bでは、載置部203との間に隙間が形成され難い。また、下方に配置される第二仕切り部221は、載置部203から一定の位置に配置される。
【0077】
第一検出部104Aは、搬送方向の下流側に配置され、搬送方向の下流側となる第一仕切り部211または第二仕切り部221のいずれか一方の状態を検出する。本実施形態において、第一検出部104Aは、第一仕切り部211が搬送方向の下流側であって、第一仕切り部211が第二仕切り部221の上方に重なった状態で配置される場合、載置部203と第一仕切り部211との間に形成される隙間を検出する。
また、第二検出部104Bは、搬送方向の上流側に配置され、搬送方向の上流側となる第一仕切り部211または第二仕切り部221のいずれか他方の状態を検出する。本実施形態において、第二検出部104Bは、第二仕切り部221が搬送方向の上流側であって、第一仕切り部211が第二仕切り部221の上方に重なった状態で配置される場合、第二仕切り部221を検出する。
【0078】
ラック取出部110は、ラック準備部65から収容可能状態P1の収容ラック200を取り出す。
図7に示すように、ラック取出部110は、第三移送コンベア58の移送経路上に設けられ、収容ラック200を移送する取出移送ユニット110Aを有する。取出移送ユニット110Aには、
図7に示すように、公知のローラコンベアが用いられる。ラック取出部110は、ラック準備部65よりも搬送方向の下流側となる第2側Y2に配置される。ラック取出部110は、収容可能状態P1の収容ラック200をラック準備部65の準備移送ユニット70と協働して搬送方向の下流側となる第2側Y2に移送する。
【0079】
図7及び
図14に示すように、収容部115は、収容可能状態P1の収容ラック200に積層タイヤT10(タイヤT)を収容させる。収容部115は、収容位置決めユニット116と、収容移送ユニット118と、収容物位置決めユニット(姿勢変換ユニット)119と、収容移載ユニット120と、を有する。また、収容部115は、収容可能状態P1の収容ラック200の移送を行う収容部ラック移送ユニット123を備える。また、収容部115は、タイヤTの情報を取得する収容情報取得部121を備える。
収容位置決めユニット116は、収容可能状態P1の収容ラック200を、積層タイヤT10の収容作業を行う収容位置P16で位置決めする。
収容位置決めユニット116は、位置決めユニット(不図示)を有する。
収容部ラック移送ユニット123は、ラック取出部110よりも搬送方向となる第2側Y2に配置される。収容ラック移送ユニット123は、収容可能状態P1の収容ラック200を搬送方向となる第2側Y2に移送する。例えば、位置決めユニットは、前記準備位置決めユニット66と同様に構成される。位置決めユニットは、収容可能状態P1の収容ラック200を、収容位置P16で位置決めする。
【0080】
収容準備移送ユニット117は、第二回転・移送台32の下流側に配置され、第二回転・移送台32から移送される積層タイヤT10を収容移送ユニット118へ移送する中継の移送を行う。収容準備移送ユニット117には、例えば公知のローラコンベアが用いられる。
【0081】
収容移送ユニット118は、積層タイヤT10を収容物位置決めユニット119に移送する。収容移送ユニット118は、第一回転・移送台26と同様に構成される。収容移送ユニット118は、収容準備移送ユニット117よりも第2側X2に配置される。収容移送ユニット118は、収容準備移送ユニット117と協働して、積層タイヤT10を移送する。収容移送ユニット118は、積層タイヤT10の向きを変えるとともに、積層タイヤT10を第2側Y2に移送し、収容物位置決めユニット119に送る。
【0082】
収容物位置決めユニット119は、収納前の積層タイヤT10を、積層タイヤT10の取出し作業を行う取出し位置P18で位置決めする。
図14に示すように、収容物位置決めユニットとしての姿勢変換ユニット119は、姿勢移送ユニット119Aと(
図7参照)、保持機構124と、姿勢変換機構125と、を有する。
姿勢移送ユニット119Aは、
図7に示すように、公知のローラコンベアが用いられる。姿勢移送ユニット119Aは、収容移送ユニット118の搬送方向の下流側(第2側Y2)に隣接して配置される。姿勢移送ユニット119Aには、搬送方向と直交する幅方向に所定の間隔を空けて設けられる一対のローラコンベア119Aaが配置される。一対のローラコンベア119Aaは、同じ速度で積層タイヤT10の移送を行う。姿勢移送ユニット119Aは、収容移送ユニット118と協働して積層タイヤT10を搬送方向に移送する。
図14に示すように、保持機構124は、一対の保持部材128と、一対の保持部材128の移動を行う図示しない保持移動機構と、を有する。一対の保持部材128は、保持する積層タイヤT10の積層方向と交差する方向に沿って延びる所定の長さを有する棒状の部材であり、積層方向に互いに間隔を空けて配置される。保持移動機構は、一対の保持部材128が互いに近づくように一対の保持部材128を移動させる。一対の保持部材128,128は、積層タイヤT10を積層方向の一方側および他方側からそれぞれ移動して挟むように配置される。保持機構124は、一対の保持部材128の間の積層タイヤT10を積層方向から保持する。
【0083】
姿勢変換機構125は、支持台131と、移動台132と、駆動ユニット125Aと、を有する。支持台131は、設置面F上に配置される。なお、
図14以下では、支持台131が有する一対の搬送ローラを、簡略化して示している。また、支持台131には、一対の保持部材128に保持される姿勢変換前の積層タイヤT10が待機する待機位置P17が設定される。
移動台132は、支持台131から上方に延びる。移動台132は、下端部が支持台131に対して支持され、上端部が下端部側を中心に所定の角度の範囲を移動可能に構成される。駆動ユニット125Aは、移動台132の移動を行い、本実施例においては、駆動モータが採用される。移動台132は、支持台131に対して立上がった垂直状態となる立上がり状態P21と、
図15に示す支持台131から水平面に沿って延びる水平状態となる傾倒状態P22と、に移動可能であり、駆動ユニット125Aにより移動される。保持機構124は、一対の保持部材128の移動方向と移動台132の延設方向とが同じ方向になる様に、移動台132に取付けられる。
姿勢変換機構125は、保持機構124を所定の角度に移動させることで保持機構124に保持される積層タイヤT10の姿勢を変換する。収容物位置決めユニットとしての姿勢変換ユニット119は、積層タイヤT10の姿勢を、積層方向が上下方向に沿う姿勢から積層方向が水平方向に沿う姿勢に変換する。
移動台132が傾倒状態P22であるときの積層タイヤT10の位置が、取出し位置P18である。
【0084】
図14に示すように、収容移載ユニット120は、収容保持部135と、3軸移動機構136と、を有する。
収容保持部135は、積層方向が水平方向に変換された積層タイヤT10を保持するとともに、この保持を開放する。3軸移動機構136は、収容保持部135を、上下方向、第1設置方向Xおよび第2設置方向Yにそれぞれ移動させる。収容移載ユニット120は、収容保持部135を収容位置P16と取出し位置P18との間で移動させて、収容可能状態P1の収容ラック200に積層タイヤT10を移載する。
なお、収容移載ユニット120は、収容保持部135を移動させる移動機構として、収容位置P16と取出し位置P18との間で移動させて、収容可能状態P1の収容ラック200に積層タイヤT10を移載する移動機構であればよい。本実施形態の移動機構としては、収容保持部135の移動を直交方向に移動させる3軸移動機構を採用しているが、他の移動機構でもよく、例えば、多関節移動機構を有するロボットを採用してもよい。
【0085】
収容情報取得部121は、
図7に示すように、タイヤコードT6を読み取るセンサである。タイヤコードT6を読み取るセンサとしては、二次元リーダやICリーダ等が採用される。収容情報取得部121は、第二回転・移送台32の側方に配置される。収容情報取得部121は、第二回転・移送台32上の積層タイヤT10から、タイヤ情報を取得する。
【0086】
制御部140は、仕切り移動ユニット67等の動作および収容ラック供給システム2を含む出荷システム1の管理を制御する。制御部140は、収容情報取得部121で取得したタイヤ情報に基づいてタイヤTの種類及び大きさを識別し、識別したタイヤTの収容に適する収容ラック200に対応するラック供給部40を判別し、判別したラック供給部40からの収容ラック200の移送を制御する。
図16に示すように、例えば、制御部140としてコンピュータが用いられる。制御部140は、CPU(Central Processing Unit)141と、主記憶装置150と、補助記憶装置151と、入出力インタフェース(IO・I/F)152と、を備えている。CPU141、主記憶装置150、補助記憶装置151、及び入出力インタフェース152は、バス153により互いに接続される。
【0087】
主記憶装置150は、CPU141のワークエリア等になるRAM(Random Access Memory)等である。
入出力インタフェース152は、キーボードやマウス等の入力装置152a、モニター等の表示装置152b、およびセンサー、ボタンやモータ、ソレノイドバルブ等の入出力機器152cと接続される。
補助記憶装置151は、各種データやプログラム等が記憶されるハードディスクドライブ装置等である。補助記憶装置151には、前記CPU141を、判別部142、係合位置決定部143、収容ラック決定部144、及びラック供給部決定部145として機能させるための制御プログラム151aや、OSプログラム等の各種プログラム等が格納されている。
【0088】
CPU141は、各種演算処理を実行する。CPU141は、機能的に、判別部142と、係合位置決定部143と、収容ラック決定部144と、ラック供給部決定部145と、を有する。CPU141の機能構成要素である判別部142、係合位置決定部143、収容ラック決定部144、及びラック供給部決定部145は、補助記憶装置151に格納されている制御プログラム151a等をCPU141が実行することで機能する。
【0089】
判別部142は、上方仕切り検出部69の検出結果に基づいて、ベース部202に対する収容不能状態P2の第一仕切り部211及び第二仕切り部221のいずれが上方に位置するかを判別する。
係合位置決定部143は、判別部142の判別結果に基づいて、ラック準備部65の係合部90を係合させる第一被係合部211aに対する第一係合位置、又は第二被係合部221aに対する第二係合位置を決定する。
収容ラック決定部144は、タイヤ情報に基づいてタイヤTの種類及び大きさに応じた収容ラック200が載置されるラック供給部40A,40B,40Cを決定する。
ラック供給部決定部145は、収容ラック決定部144により決定された収容ラック200の供給がされるラック供給部40A,40B,40Cを選択する。
【0090】
次に、以上のように構成された出荷システム1の動作について、ラック準備部65及び収容部115に重点をおいて説明する。
例えば、上方仕切り検出部69が、ラック準備部65に移送され、位置決めされた収容不能状態P2の収容ラック200において、第一仕切り部211及び第二仕切り部221のうち、上方に位置する第二仕切り部221を検出すると、判別部142は、第二仕切り部221が上方に位置すると判別する。
図17に示す様に、ラック準備部65の収容不能状態P2の収容ラック200は、搬送方向の下流側に第一仕切り部211が配置され、搬送方向の上流側に第二仕切り部221が配置されて位置決めされる。
係合位置決定部143は、
図6、
図17及び
図18に示すように、判別部142の判別結果に基づいて、第二仕切り部221に対応する第二移動補助ユニット99Bを動作させ、第二仕切り部221を中間位置P3に移動させる。中間位置P3は、具体的には第二移動補助ユニット99Bの上方の位置であり、第二中間位置P3Bとして設定される。
また、係合位置決定部143は、仕切り移動ユニット67の係合部90を係合させる係合位置P11としての第二被係合部221aに対する第二係合位置P26Bを決定する。
【0091】
図13に示すように、制御部140が、仕切り移動ユニット67を制御することで第一移動機構94を動作させ、非係合位置P12にある係合部90を下方に移動させる。係合部90の高さが、収容ラック200の底部201と、中間位置P3の第二仕切り部221との間の位置に到達すると、制御部140は、係合位置移動機構96を動作させる。係合部90は、係合位置移動機構96の動作により第一移動支持部材91の軸線C1回りに移動され、係合位置P11(第一係合位置P26A)に移動することで中間位置P3の第二仕切り部221の下側の位置に配置される。次に、第一移動機構94が作動され、係合部90が上方に移動される。係合部90が、上方に移動される途中で第二仕切り部221の第二被係合部221aに係合する。また、第二移動機構95も作動することにより、係合部90が適宜第2設置方向Yに移動されることで、第二仕切り部221をベース部202に対して立ち上がらせる。
【0092】
次に、制御部140は、第一仕切り部211に対応する第一移動補助ユニット99Aを作動させ、第一仕切り部211を中間位置P3に移動させる。中間位置P3は、具体的には第一移動補助ユニット99Aの上方の位置であり、第一中間位置P3Aとして設定される。制御部140は、仕切り移動ユニット67の係合部90を係合させる係合位置P11としての第一被係合部211aに対する第一係合位置P26Aを決定する。制御部140が、第一移動機構94及び第二移動機構95を作動させ、係合部90を第二仕切り部221と同様に係合部90を移動させることで、第一仕切り部211をベース部202に対して立ち上がらせる。そして、
図3に示すように、第一収容ラック200を収容可能状態P1に切り替える。
【0093】
収容部115は、
図14に示すように、待機位置P17に移送された積層タイヤT10を、収容物位置決めユニットとしての姿勢変換ユニット119の保持機構124を作動させることで一対の保持部材128を移動させ、積層タイヤT10の積層方向から保持させる。移動台132は、
図15に示すように、姿勢変換機構125が作動することにより、傾倒状態P22に移動される。傾倒状態P22の移動台132に構成される保持機構124により保持される取出し位置P18の積層タイヤT10は、
図19に示すように、収容保持部135により保持され、保持機構124による積層タイヤT10の保持が解除されることで収容保持部135による積層タイヤT10の保持が完了する。
図20に示すように、収容保持部135を収容位置P16と取出し位置P18との間で移動させて、収容可能状態P1の収容ラック200に積層タイヤT10を移載する。
【0094】
この後で、積層タイヤT10が収容された収容ラック200は、収容部ラック移送ユニット123により収容部115から移送され、出荷システム1の外部に運び出し、積層タイヤT10を出荷する。
【0095】
以上説明したように、本実施形態の収容ラック供給システム2によると、ラック供給部40により収容不能状態P2の収容ラック200を供給し、移送装置55により、ラック供給部40からラック準備部65に収容不能状態P2の収容ラック200が移送される。その後で、ラック準備部65により、収容不能状態P2の収容ラック200から収容可能状態P1の収容ラック200へ状態を変化させる。そして、ラック取出部110により、ラック準備部65から収容可能状態P1の収容ラック200が移送され、取り出すことができる。
このように、収容ラック200の収容不能状態P2から収容可能状態P1へ状態の切り替えを、ラック準備部65という専用の機械で行うことにより、収容ラック200の収容不能状態P2から収容可能状態P1へという状態の切り替えを効率良く行うことができる。
【0096】
ラック準備部65は、準備位置決めユニット66と、仕切り移動ユニット67と、を有する。準備位置決めユニット66により、収容不能状態P2の収容ラック200を位置決めする。そして、仕切り移動ユニット67が係合部90を移動させることにより、係合部90と係合する仕切り部211,221の被係合部211a,221aを移動させる。これにより、収容ラック200の仕切り部211,221をベース部202に対して立ち上げて、収容可能状態P1の収容ラック200にすることができる。
【0097】
仕切り移動ユニット67は、仕切り部211,221を係合させる係合部90と、係合部90を移動させる係合位置移動機構96と、を有する。このような構成により、係合部90を仕切り部211,221に係合可能な係合位置P11と、仕切り部211,221と係合しない非係合位置P12とに移動させて対応することができる。
仕切り移動ユニット67は、仕切り部211,221係合させる係合部90と、係合部90を上下方向に移動させる第一移動機構94と、係合部90を水平方向に移動させる第二移動機構95と、を有する。このような構成により、係合部90の上下方向への移動及び係合部90の水平方向への移動を、第一移動機構94及び第二移動機構95にそれぞれ分けて行わせることができる。
【0098】
ラック準備部65は、仕切り部211,221のそれぞれと係合する係合部90と、係合部90を移動させることで仕切り部211,221のそれぞれの中間位置P3,P3に移動させる移動補助ユニット68を備える。このような構成により、仕切り部211,221がそれぞれの中間位置P3,P3に移動されることで、ベース部202とそれぞれの仕切り部211,221との間が離間され、その離間した空間に係合部90を配置させてそれぞれの仕切り部211,221と係合させやすくなる。
【0099】
ラック準備部65は、重なり合う二つの仕切り部211,221の内、上側に配置される仕切り部211を検出する上方仕切り検出部69を有し、制御部140は、判別部142と、係合位置決定部143と、を有する。
この様な構成により、重なり合う二つの仕切り部211,221の内、上側に配置される仕切り部211を判別することができる。また、制御部140の判別部142の判別結果に基づき、係合位置決定部143は、係合部90を係合させる第二被係合部221aに対する係合位置となる第二係合位置P26B(
図17及び
図18参照)を決定することができる。そして、仕切り移動ユニット67は、係合位置決定部143により決定された係合位置となる第二係合位置P26Bへ係合部90を移動させ、最初に移動させる収容ラック200の第二仕切り部221をベース部202に対して立ち上げることができる。
【0100】
ラック供給部40はラック載置部41と、積層分離部42とを有し、積層分離部42はラック係合部45とラック昇降部46とを含むラック分離ユニット42aAと、ラック移送ユニット48と、を有する。
このような構成により、収容不能状態P2な収容ラック200が複数積み重ねられた状態から、一つの収容不能状態P2の収容ラック200を分離させることができる。
【0101】
また、本実施形態の出荷システム1によると、収容不能状態P2の収容ラック200が供給されるラック供給部40と、収容ラック200の状態が収容不能状態P2から収容可能状態P1へ変換を行うラック準備部65と、ラック準備部65から収容可能状態P1の収容ラック200を取り出すラック取出部110と、を備える。このような構成により、収容ラック200の収容不能状態P2から収容可能状態P1への切り替えを効率良く連続して行うことができる。 さらに、本実施形態の出荷システム1によると、ラック準備部65によって収容不能状態P2から収容可能状態P1へ切り替えられた収容ラック200に被収容物を収容させる収容部115を備える。このような構成により、例えば、被収容物としてのタイヤTの収容に対して収容可能状態P1の収容ラック200を連続して準備し、効率よく収容させることができる。
【0102】
本実施形態の出荷システム1によると、収容部115は被収容物に付与される被収容情報を取得する収容情報取得部121を有し、ラック供給部40は、被収容物の種類に対応する複数の収容ラック200の供給部として、第一ラック供給部40Aと、第二ラック供給部40Bと、第三ラック供給部40Cと、を有する。このような構成により、被収容物が複数種類およびサイズであっても収容情報取得部121が被収容物に付与される被収容情報を取得することで、取得した被収容物(タイヤT)の被収容情報(タイヤ情報)に基づいて、それぞれのラック供給部40に供給された収容ラック200の中から、被収容物の種類に応じて収容に最適な収容ラック200が供給されるラック供給部40を選択し、収容ラック200を供給することができる。
【0103】
本実施形態の出荷システム1によると、収容ラック供給システム2は、タイヤ情報に基づいてラック供給部40からの収容ラック200の移送を制御する制御部140を備える。制御部140は、収容ラック決定部144と、ラック供給部決定部145と、を有する。制御部140が、収容ラック決定部144により、被収容物情報(タイヤ情報)に基づいて被収容物(タイヤT)の種類及び大きさに応じて準備された複数の収容ラック200の中から収容に最適な収容ラック200を決定し、決定された収容ラック200が載置される第一ラック供給部40A、第二ラック供給部40B、第三ラック供給部40C、のいずれかを決定することで被収容物の収容に最適な収容ラック200を移送させることができる。
【0104】
出荷システム1は、収容物保管部10と、収容移送部30と、を備える。このような構成により、収容物保管部10によりタイヤT1,T2,T3を保管するでき、収容移送部30により収容物保管部10からタイヤT1,T2,T3を収容部115へ移送することができる。
【0105】
収容物保管部10は、保管エリア11と、搬入部タイヤ移送ユニット12と、タイヤ移送ユニット13と、搬出部タイヤ移送ユニット14と、を有する。このような構成により、保管エリア11の外部から保管エリア11の内部の取出し位置P7A,P7BにタイヤTを搬送させ、互いに同一の種類及び大きさのタイヤTを複数積層させて、複数のタイヤTを保管エリア11に保管することができる。
また、取出し位置P7A,P7Bと、搬出位置P8A,P8Bと、保管エリア11との間でタイヤTを移送することができる。また、搬出位置P8A,P8Bから積層タイヤT10を収容部115に移送できる。
【0106】
本実施形態の収容ラック供給システム2等は、以下に説明するようにその構成を様々に変形させることができる。
図21に示す第1変形例の収容ラック供給システム2Aに構成されるラック準備部65は、仕切り移動ユニット155を2つ備える。仕切り移動ユニット155は、第一仕切り移動ユニット156Aと、第二仕切り移動ユニット156Bと、を有する。
第一仕切り移動ユニット156A及び第二仕切り移動ユニット156Bは、それぞれ仕切り移動ユニット67と同様にそれぞれ構成される。第一仕切り移動ユニット156Aは、準備移送ユニット70の幅方向の一方側に配置され、第二仕切り移動ユニット156Bは、準備移送ユニット70の幅方向の他方側に配置される。
【0107】
第一仕切り移動ユニット156Aは、第一仕切り部211に設定される第一被係合部(被係合部)211aまたは第二仕切り部221に設定される第二被係合部(被係合部)221aのいずれかに係合可能な第一係合部157Aを備える。
第1変形例において、第一仕切り移動ユニット156Aの第一係合部(係合部)157Aは、第一仕切り部211に設定される第一被係合部(被係合部)211aと係合する。第一仕切り移動ユニット156Aは、第一係合部157Aを上下方向及び第2設置方向Yにそれぞれ移動させる。
【0108】
第二仕切り移動ユニット156Bは、第一仕切り部211に設定される第一被係合部(被係合部)211aまたは第二仕切り部221に設定される第二被係合部(被係合部)221aのいずれかに係合可能な第二係合部157Bを備える。
第1変形例において、第二仕切り移動ユニット156Bの第二係合部(係合部)157Bは、第二仕切り部221に設定される第二被係合部(被係合部)221aと係合する。
第二仕切り移動ユニット156は、第二被係合部221aを上下方向及び第2設置方向Yにそれぞれ移動させる。
【0109】
第1変形例のラック準備部65の仕切り移動ユニット155は、第一仕切り移動ユニット156Aが第一仕切り部211または第二仕切り部221のいずれか一方を移動させ、第二仕切り移動ユニット156Bが第一仕切り部211または第二仕切り部221のいずれか他方を移動させる。
図21においては、第一仕切り移動ユニット156Aが位置決め部73側に配置される第一仕切り部211の移動を実施し、第二仕切り移動ユニット156Bが停止ユニット72側に配置される第二仕切り部221の移動を実施する。
なお、
図21では、停止ユニット72及び位置決め部73を示していない。
【0110】
以上のように構成された収容ラック供給システム2Aでは、第一仕切り移動ユニット156Aが第一係合部157Aを移動させることにより、位置決め部73側に配置される第一仕切り部211の第一被係合部211aに第一係合部157Aが係合することで第一仕切り部211を移動させる。これにより、収容ラック200の第一仕切り部211をベース部202に対しての立ち上げ専用に第一仕切り移動ユニット156Aを利用することできる。
【0111】
同様に、第二仕切り移動ユニット156Bが第二係合部157Bを移動させることにより、停止ユニット72側に配置される第二仕切り部221の第二被係合部221aに第二係合部157Bが係合することで第二仕切り部221を移動させる。これにより、収容ラック200の第二仕切り部221をベース部202に対しての立ち上げ専用に第二仕切り移動ユニット156Bを利用することができる。
【0112】
収容ラック供給システム2Aのラック準備部65に採用される仕切り移動ユニット155は、第一仕切り移動ユニット156Aおよび第二仕切り移動ユニット156Bが分担して第一仕切り部211および第二仕切り部221を移動させることで作業効率を向上させることができる。
【0113】
なお、ラック準備部65に構成される移動補助ユニット68を備えずに、移動補助ユニット68による作業を第一仕切り移動ユニット156Aまたは第二仕切り移動ユニット156Bのいずれか一方が代行し、いずれか他方が第一仕切り部211および第二仕切り部221の移動を行う様にしてもよい。また、第一仕切り移動ユニット156Aおよび第二仕切り移動ユニット156Bは、第一係合部157Aおよび第二係合部157Bをそれぞれ移動させる移動機構を多関節移動機構にそれぞれ置き換えると共に、それぞれの多関節移動機構を1つの支持部に備えた双腕ロボットを採用してもよい。
【0114】
本実施形態では、収容ラックは、ベース部及び仕切り部を備えれば、特に限定されない。例えば、
図22に示す第2変形例のように、収容ラック235が、ベース部236と、4つの仕切り部237と、を備えてもよい。
各仕切り部237は、ベース部236に対して折り畳み可能である。このような収容ラック235の4つの仕切り部237を順次移動させる際にも、本実施形態における仕切り移動ユニットを採用させることができる。
【0115】
以上、本発明の一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。
例えば、前記実施形態では、仕切り移動ユニット67は、係合位置移動機構96を有さなくてもよい。
仕切り移動ユニット67は、移動機構94,95に代えて、係合部90を上下方向及び第2設置方向Yに移動させる、一体となった機構を有してもよい。
出荷システム1は、判別部142、係合位置決定部143、収容ラック決定部144、及びラック供給部決定部145を有さなくてもよい。
【0116】
ラック準備部65は、上方仕切り検出部69を有さなくてもよい。
係合部は、吸着、電気又は磁気的な力により、仕切り部に係合してもよい。
被収容物がタイヤであるとした。しかし、被収容物はタイヤに限定されず、ロール状に巻かれた紙や布等でもよく、また、矩形または円形等の板状の部材等でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明によれば、収容ラックの収容不能状態から収容可能状態への切り替えを効率良く行う収容ラック供給システム、出荷システム、及び収容ラック取扱装置を提供できる。よって、産業上の利用可能性は大きい。
【0118】
なお、本明細書には、以下に記載した発明も開示されている。
(付記請求項1)
ベース部と、前記ベース部に対して折り畳み可能な仕切り部と、を備え、前記仕切り部が前記ベース部に対して折り畳まれた収容不能状態と、前記仕切り部が前記ベース部に対して立ち上がった収容可能状態と、に切り替え可能な収容ラックを取扱う収容ラック取扱装置であって、
前記収容不能状態の前記収容ラックを位置決めする準備位置決めユニットと、
前記仕切り部に設定される被係合部と係合する係合部を有し、前記係合部を移動させる仕切り移動ユニットと、
を備える、収容ラック取扱装置。
(付記請求項2)
前記収容不能状態の前記収容ラックにおける前記仕切り部の位置と、前記収容可能状態の前記収容ラックにおける前記仕切り部の位置と、の間の前記仕切り部の位置に、前記収容不能状態の前記仕切り部を移動させる補助係合部を有する移動補助ユニットを備える、付記請求項1に記載の収容ラック取扱装置。
【0119】
(付記請求項3)
前記収容ラックの供給に用いられる収容ラック供給システムであって、
前記収容不能状態の前記収容ラックを供給するラック供給部と、
付記請求項1又は2に記載の収容ラック取扱装置と、
前記ラック供給部から前記収容ラック取扱装置に前記収容不能状態の前記収容ラックを移送する移送装置と、
前記収容ラック取扱装置から前記収容可能状態の前記収容ラックを取り出すラック取出部と、
を備える、収容ラック供給システム。
【0120】
(付記請求項4)
前記収容ラックは、前記仕切り部として第一仕切り部と、第二仕切り部と、を備え、
前記収容不能状態の前記第一仕切り部及び前記第二仕切り部では、一方が他方の上方に配置され、
前記収容ラック取扱装置は、前記第一仕切り部及び前記第二仕切り部のうち、上方に位置する前記仕切り部を検出する上方仕切り検出部を有し、
前記収容ラック供給システムは、前記仕切り移動ユニットを制御する制御部と、
備え、
前記係合部が、前記第一仕切り部に設定される前記被係合部である第一被係合部と係合し、
前記係合部が、前記第二仕切り部に設定される前記被係合部である第二被係合部と係合するとし、
前記制御部は、
前記上方仕切り検出部の検出結果に基づいて、前記ベース部に対する前記収容不能状態の前記第一仕切り部及び前記第二仕切り部のいずれが上方に位置するかを判別する判別部と、
前記判別部の判別結果に基づいて、前記係合部を係合させる前記第一被係合部に対する第一係合位置、又は前記第二被係合部に対する第二係合位置を決定する係合位置決定部と、
を有する、付記請求項3に記載の収容ラック供給システム。
【0121】
(付記請求項5)
付記請求項3又は4に記載の収容ラック供給システムと、
前記収容可能状態の前記収容ラックに前記被収容物を収容させる収容部と、
を備え、
前記収容部は、
前記収容可能状態の前記収容ラックを、前記被収容物の収容作業を行う収容位置で位置決めする収容位置決めユニットと、
収容前の前記被収容物を、前記被収容物の取出し作業を行う取出し位置で位置決めする収容物位置決めユニットと、
前記被収容物を保持する収容保持部を前記収容位置と前記取出し位置との間で移動させて、前記収容可能状態の前記収容ラックに移載する収容移載ユニットと、
を有する、出荷システム。
【0122】
(付記請求項6)
前記収容部は、前記被収容物の種類及び大きさを含む被収容情報を取得する収容情報取得部を有し、
前記ラック供給部は、
種類及び大きさが第一分類の前記被収容物を収容可能な第一収容ラックを供給する第一ラック供給部と、
種類及び大きさの少なくとも一方が前記第一分類とは異なる第二分類の前記被収容物を収容可能な第二収容ラックを供給する第二ラック供給部と、
を有する、付記請求項5に記載の出荷システム。
【0123】
(付記請求項7)
前記収容部は、前記被収容物の種類及び大きさを含む被収容情報を取得する収容情報取得部を有し、
前記ラック供給部は、
種類及び大きさが第一分類の前記被収容物を収容可能な第一収容ラックを供給する第一ラック供給部と、
種類及び大きさの少なくとも一方が前記第一分類とは異なる第二分類の前記被収容物を収容可能な第二収容ラックを供給する第二ラック供給部と、
を有する、付記請求項5又は6に記載の出荷システム。
【0124】
(付記請求項8)
種類及び大きさが第一分類の前記被収容物である第一被収容物、及び種類及び大きさの少なくとも一方が前記第一分類とは異なる第二分類の前記被収容物である第二被収容物が保管される収容物保管部と、
前記第一被収容物及び前記第二被収容物を前記収容部に移送する収容移送部と、
を備え、
前記被収容物はタイヤであり、
前記収容物保管部は、
互いに同一の種類及び大きさの前記タイヤを複数積層させて、前記複数のタイヤを保管可能な保管エリアと、
前記保管エリアの上方に設けられ、前記保管エリア内に設けられる取出し位置から前記タイヤを取出すとともに、前記保管エリア内又は前記取出し位置から、前記保管エリア内に設けられる前記タイヤの搬出位置に前記タイヤを移送可能なタイヤ移送ユニットと、
前記保管エリアの外部から前記取出し位置に前記タイヤを搬送する搬入部タイヤ移送ユニットと、
前記搬出位置から前記タイヤを前記収容移送部へ移送する搬出部タイヤ移送ユニットと、
を有する、付記請求項5から7のいずれか一項に記載の出荷システム。
【0125】
(付記請求項9)
前記被収容物はタイヤであり、
前記収容部は、
積層方向に複数の前記タイヤが積層された積層タイヤの姿勢を、前記積層方向が上下方向に沿う姿勢から前記積層方向が水平方向に沿う姿勢に変換する姿勢変換ユニットと、
前記積層タイヤを前記姿勢変換ユニットに移送する収容移送ユニットと、
を有し、
前記姿勢変換ユニットは、
前記積層タイヤを前記積層方向から保持する保持機構と、
前記保持機構を移動させることで前記積層タイヤの姿勢を変換する姿勢変換機構と、
を有する、付記請求項7に記載の出荷システム。
【符号の説明】
【0126】
1 出荷システム
2,2A 収容ラック供給システム
10 収容物保管部
11 保管エリア
12 搬入部タイヤ移送ユニット
13 タイヤ移送ユニット
14 搬出部タイヤ移送ユニット
30 収容移送部
40 ラック供給部
40A 第一ラック供給部
40B 第二ラック供給部
41A ラック載置部
42A 積層分離部
45A ラック係合部
46A ラック昇降部
48A ラック移送ユニット
55 移送装置
65 ラック準備部(収容ラック取扱装置)
66 準備位置決めユニット
67 仕切り移動ユニット
68 移動補助ユニット
69 上方仕切り検出部
90 係合部
90A 係合移動機構
94 第一移動機構
95 第二移動機構
100A,100B 補助係合部
110 ラック取出部
116 収容位置決めユニット
117 収容準備移送ユニット
118 収容移送ユニット
119 収容物位置決めユニット(姿勢変換ユニット)
121 収容情報取得部
120 収容移載ユニット
124 保持機構
125 姿勢変換機構
140 制御部
142 判別部
143 係合位置決定部
144 収容ラック決定部
145 ラック供給部決定部
156A 第一仕切り移動ユニット
156B 第二仕切り移動ユニット
157A 第一係合部(係合部)
157B 第二係合部(係合部)
200 収容ラック
200A 第一収容ラック
200B 第二収容ラック
202,202A ベース部
211,211A 第一仕切り部(仕切り部)
211a,211aA 第一被係合部(被係合部)
221,221A 第二仕切り部(仕切り部)
221a,221aA 第二被係合部(被係合部)
P1 収容可能状態
P2 収容不能状態
P11 係合位置
P12 非係合位置
P16 収容位置
P18 取出し位置
P7A,P7B 取出し位置
P8A,P8B 搬出位置
T タイヤ(被収容物)