(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-24
(45)【発行日】2024-02-01
(54)【発明の名称】電気装置
(51)【国際特許分類】
H04R 1/06 20060101AFI20240125BHJP
【FI】
H04R1/06 310
(21)【出願番号】P 2021040449
(22)【出願日】2021-03-12
【審査請求日】2022-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】390001812
【氏名又は名称】株式会社デンソーエレクトロニクス
(73)【特許権者】
【識別番号】000112565
【氏名又は名称】フォスター電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮田 晋
(72)【発明者】
【氏名】古賀 敦
【審査官】冨澤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-239881(JP,A)
【文献】特開2018-121249(JP,A)
【文献】特開2020-156080(JP,A)
【文献】特開平09-327083(JP,A)
【文献】特開2017-050863(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/00-1/08
G10K 9/12-9/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気装置であって、
筐体(1)と、
前記筐体の内部に配置された駆動部(63)と、
前記筐体の内部に配置され、前記駆動部を駆動させるための回路が形成された基板(7)と、
前記基板と前記筐体の外部とを電気的に接続するターミナル(5)と、を備え、
前記ターミナルは、前記筐体の内壁面から露出して前記基板に向かって突出したターミナル突出部(51)を備えており、前記ターミナル突出部の端部において前記基板に接続されて
おり、
前記基板は、第1基板取付部(281)、および、前記第1基板取付部よりも前記ターミナルと前記基板との接続部から遠い位置に配置された第2基板取付部(282)によって前記筐体の内部に固定されており、
前記第2基板取付部は、前記第1基板取付部よりも柔軟性が高くされている電気装置。
【請求項2】
前記ターミナルは、前記筐体を貫通する部分と前記ターミナル突出部との間にターミナル曲げ部(52)を備えており、
前記ターミナル曲げ部は、前記筐体の内壁面から露出している請求項1に記載の電気装置。
【請求項3】
前記駆動部と前記基板とを電気的に接続する端子金具(65)を備え、
前記端子金具は、前記駆動部を支持するフレーム(61)から露出して前記基板に向かって突出した端子金具突出部(652)を備えており、前記端子金具突出部の端部において前記基板に接続されており、
前記端子金具突出部は、前記ターミナル突出部よりも長くされている請求項1または2に記載の電気装置。
【請求項4】
前記端子金具は、前記駆動部に接続された端部(651)と前記端子金具突出部との間に端子金具曲げ部(653)を備えており、
前記端子金具突出部は、前記端子金具曲げ部によって、前記基板に向かって突出している請求項3に記載の電気装置。
【請求項5】
前記端子金具は、前記端子金具曲げ部と前記端子金具突出部との間に湾曲した形状の端子金具湾曲部(654)を備えている請求項4に記載の電気装置。
【請求項6】
前記第1基板取付部は、
前記筐体の内部に形成された隔壁(22)から突出しており、
側面から突出した連結部(283)によって前記筐体の内壁面に連結されている請求項
1ないし5のいずれか1つに記載の電気装置。
【請求項7】
前記第2基板取付部は、
前記筐体の内部に形成された隔壁(22)から突出しており、
側面が前記筐体の内壁面から離されている請求項
1ないし6のいずれか1つに記載の電気装置。
【請求項8】
前記駆動部は、発音体(6)のダイヤフラム(62)を振動させて音を発生させるためのものである請求項1ないし
7のいずれか1つに記載の電気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両用警報器や車両用接近通報装置等に用いられる車両用発音器として、例えば特許文献1に記載されたものがある。この発音器では、ボイスコイルに電流を流して、ボイスコイルに連結されたダイヤフラムを振動させることで音が発生するようになっており、ボイスコイルは、発音体の金具と、コネクタのターミナルとを介して外部ハーネスに電気的に接続されるようになっている。特許文献1では、発音体の金具をターミナルに圧入することで、金具とターミナルとを接続している。
【0003】
また、この種の発音器において、発音体に加えて、発音体を駆動するための回路が形成された基板も筐体の内部に配置される場合がある。この場合には、ターミナルと端子金具は、この基板上の回路を介して接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車両用発音器は、車両のエンジンルームに搭載されるため、低温から高温の温度環境にさらされることになる。このような環境で使用される部品には、温度変化による膨張収縮のストレスがかかり、不具合が発生するおそれがある。
【0006】
例えば、筐体の内部に基板が配置された発音器では、ターミナルと基板とを接続するはんだ付け部において、クラックが発生して導通不良が発生するおそれがある。また、ターミナルと端子金具とが直接接続された構成の発音器では、端子金具がターミナルから外れるおそれがある。
【0007】
このような不具合を回避するために、柔軟性の高いワイヤ線等を用いてターミナルと基板または端子金具とを接続する方法がある。しかしながら、このような方法では、ワイヤ線、コネクタ等の部品が増えるとともに、その部品の組付け工程も必要になるため、発音器の製造コストが高くなってしまう。
【0008】
発音器以外の電気装置においても、筐体の内部でターミナルと柔軟性の低い他の部材とを接続する構成では、温度変化によって同様に不具合が発生するおそれがあり、これを回避するためにワイヤ線等を用いると、製造コストが高くなってしまう。
【0009】
本発明は上記点に鑑みて、製造コストを抑えつつ不具合の発生を抑制できる電気装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、電気装置であって、筐体(1)と、筐体の内部に配置された駆動部(63)と、筐体の内部に配置され、駆動部を駆動させるための回路が形成された基板(7)と、基板と筐体の外部とを電気的に接続するターミナル(5)と、を備え、ターミナルは、筐体の内壁面から露出して基板に向かって突出したターミナル突出部(51)を備えており、ターミナル突出部の端部において基板に接続されており、基板は、第1基板取付部(281)、および、第1基板取付部よりもターミナルと基板との接続部から遠い位置に配置された第2基板取付部(282)によって筐体の内部に固定されており、第2基板取付部は、第1基板取付部よりも柔軟性が高くされている。
【0011】
このように、ターミナルを筐体の内壁面から突出させ、ターミナル突出部の端部において基板に接続することで、ターミナルの根元から基板との接続部までの距離が長くなる。これにより、ターミナルが温度変化に追従して柔軟に変形するようになり、ターミナルと基板との接続部に加わるストレスが低減される。したがって、ワイヤ線等を用いずにターミナルと基板とを接続して製造コストを抑えつつ、不具合の発生を抑制することができる。
また、ターミナルと基板との接続部から遠い第2基板取付部の柔軟性を第1基板取付部よりも高くすることにより、温度変化によって筐体が変形した場合に、第2基板取付部が大きく変形することで第1基板取付部の変形を低減し、ターミナルと基板との接続部に加わるストレスをさらに低減することができる。
例えば、請求項6、7に記載したように、第1、第2基板取付部を筐体の内部に形成された隔壁(22)から突出させ、第1基板取付部を側面から突出した連結部(283)によって筐体の内壁面に連結させ、第2基板取付部の側面を筐体の内壁面から離すことで、第2基板取付部の柔軟性を第1基板取付部よりも高くすることができる。
【0012】
また、請求項2に記載の発明では、ターミナルは、筐体を貫通する部分とターミナル突出部との間にターミナル曲げ部(52)を備えており、ターミナル曲げ部は、筐体の内壁面から露出している。
【0013】
これによれば、ターミナル曲げ部によって、ターミナルがさらに柔軟に変形するようになるため、ターミナルと基板との接続部に加わるストレスをさらに低減することができる。
【0014】
また、請求項3に記載の発明では、駆動部と基板とを電気的に接続する端子金具(65)を備え、端子金具は、駆動部を支持するフレーム(61)から露出して基板に向かって突出した端子金具突出部(652)を備えており、端子金具突出部の端部において基板に接続されており、端子金具突出部は、ターミナル突出部よりも長くされている。
【0015】
このように、端子金具をフレームから突出させ、端子金具突出部の端部において基板に接続することで、端子金具の根元から基板との接続部までの距離が長くなる。これにより、端子金具が温度変化に追従して柔軟に変形するようになり、端子金具と基板との接続部に加わるストレスが低減される。
【0016】
また、請求項4に記載の発明では、端子金具は、駆動部に接続された端部(651)と端子金具突出部との間に端子金具曲げ部(653)を備えており、端子金具突出部は、端子金具曲げ部によって、基板に向かって突出している。
【0017】
これによれば、端子金具突出部の端部を基板に接続することができる。
【0018】
また、請求項5に記載の発明では、端子金具は、端子金具曲げ部と端子金具突出部との間に湾曲した形状の端子金具湾曲部(654)を備えている。
【0019】
これによれば、端子金具湾曲部によって、端子金具がさらに柔軟に変形するようになるため、端子金具と基板との接続部に加わるストレスをさらに低減することができる。また、端子金具突出部と基板との接続部の位置を、端子金具曲げ部の位置によらず設定することができる。
【0025】
例えば、請求項8に記載したように、駆動部は、発音体(6)のダイヤフラム(62)を振動させて音を発生させるためのものである。
【0026】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】第1実施形態にかかる発音器の全体構成を示す図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は下面図である。
【
図3】基板を取り付ける前の発音器の背面図である。
【
図5】基板を取り付ける前の発音器を背面側から見た斜視図である。
【
図6】第2実施形態にかかる発音器の断面図である。
【
図7】第3実施形態にかかる発音器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
【0029】
(第1実施形態)
第1実施形態について説明する。
図1~
図5に示す本実施形態の発音器は、例えば自動車の車室外に設置され、警報音を発生させるために使用される。
【0030】
図1、
図2に示すように、発音器は、内部に空間が形成された筐体1を備えている。筐体1は、それぞれ樹脂製のベース2と、カバー3と、ケース4とで構成されている。また、発音器は、ターミナル5と、筐体1の内部に配置された発音体6および基板7とを備えている。
【0031】
図2に示すように、ベース2は、略四角筒状のベース筒部21を備えている。ベース筒部21の一端側開口部には、この開口部を覆う板状のカバー3が嵌合されており、ベース筒部21の他端側開口部には、板状のケース4が接着にて気密的に接合されている。
【0032】
ベース筒部21内の空間は、ベース筒部21内に設けられた隔壁22によって、正面側と背面側に2分割されている。すなわち、筐体1の内部は、ベース筒部21、隔壁22、カバー3によって形成された空間と、ベース筒部21、隔壁22、ケース4によって形成された空間とに分かれている。
【0033】
隔壁22の内周部には、円形の貫通孔23が形成されている。貫通孔23は、発音体6によって塞がれている。具体的には、隔壁22は、貫通孔23の開口端において、カバー3に向かって突出している。この突出した部分の先端部は内側に折り返されており、これにより形成された凹部に後述するフレーム61が嵌合されている。
【0034】
発音体6の正面側には、遮蔽板24が配置されている。遮蔽板24は、カバー3の表面に付着した水等が発音体6に到達することを抑制し、水等の付着による発音体6の破損を防止するためのものである。遮蔽板24は、正面方向に広がる中空の円錐台形状の外周部と、正面側に凸となるドーム状の内周部とで構成されている。遮蔽板24は、図示しない梁状の部材によって隔壁22に連結されている。
【0035】
発音体6によって発生した音は、隔壁22の突出部と、遮蔽板24との間を通って筐体1の外部へ向かう。この隔壁22と遮蔽板24とで構成された音の通路を、音通路81とする。
【0036】
遮蔽板24は、音通路81を通過した音の音圧を増幅するための構成を備えている。具体的には、遮蔽板24には、内周部の外縁からカバー3に向かって突出した円筒部241が形成されている。そして、遮蔽板24の外周部と、円筒部241と、カバー3とによって共鳴室82が形成されている。また、遮蔽板24の内周部と、円筒部241と、カバー3とによって共鳴室83が形成されている。
【0037】
図3に示すように、隔壁22には、貫通孔23および発音体6から離れた場所に通気孔25が形成されている。通気孔25は、ベース筒部21、隔壁22、カバー3によって形成された空間と、ベース筒部21、隔壁22、ケース4によって形成された空間との間に、温度変化によって圧力差が発生することを抑制するためのものである。通気孔25には、通気膜26が張られている。通気膜26は、空気を通し、水を遮断するように構成されている。
【0038】
カバー3は、ベース筒部21に対応して略四角形状とされている。
図1、
図2に示すように、カバー3の内周部には、遮蔽板24の外周部に対応する位置に、円周状の貫通孔31が形成されている。貫通孔31は、音通路81を通って共鳴室82、83により音圧が増幅された音を筐体1の外部に放出するためのものである。
【0039】
図1に示すように、貫通孔31の内側と外側は、梁状の連結部32によって連結されている。連結部32は複数形成されており、複数の連結部32によって貫通孔31が複数に分けられている。この複数に分けられた貫通孔31によって、筐体1の内部の空間を大気に開放し、発音体6が発生させた音を外部に放出するための放音孔84が構成されている。
【0040】
図2に示すように、カバー3の外周部には、筐体1の内部に向かって突出する円筒状の筒部33が形成されている。筒部33は、ベース筒部21と、隔壁22と、カバー3の側壁とで囲まれた空間に突出するように配置されている。ベース筒部21と、隔壁22と、カバー3の側壁とで囲まれた空間のうち、筒部33の内側の部分および外側の部分がそれぞれ共鳴室85、86とされている。
【0041】
発音体6が発生させた音は、音通路81を通り、共鳴室82、83、85、86によって音圧が増幅されて、放音孔84から筐体1の外部に放出される。
【0042】
ベース筒部21の外側には、略四角筒状のコネクタ27が形成されている。コネクタ27は、ベース筒部21の下面に配置されており、筐体1の下方向に開口している。
【0043】
コネクタ27の内部には、ターミナル5が配置されている。ターミナル5は、基板7と筐体1の外部とを電気的に接続するものである。ターミナル5は、ベース筒部21の側壁を貫通しており、ターミナル5のうちベース筒部21の内壁面から露出した部分は、接着剤91によって根元が覆われ、ベース筒部21に固定されている。
【0044】
ターミナル5のうち、ベース筒部21の内壁面および接着剤91から露出した部分は、基板7に向かって突出している。この突出した部分を、ターミナル突出部51とする。基板7は、ベース筒部21と、隔壁22と、ケース4とによって形成された空間において、ターミナル突出部51の根元よりもケース4に近い部分に配置されており、ターミナル突出部51は、ケース4に向かって突出している。ターミナル5は、ターミナル突出部51の先端部において、はんだにより基板7に接続されている。
【0045】
ターミナル5のうちベース筒部21を貫通する部分と、ターミナル突出部51との間の部分は、曲がった形状とされている。この曲がった形状とされた部分を、ターミナル曲げ部52とする。ターミナル曲げ部52は、ベース筒部21の内壁面および接着剤91から露出している。
【0046】
ターミナル5は、ベース筒部21を貫通する直線状の部分と、垂直または略垂直に曲がったターミナル曲げ部52と、直線状のターミナル突出部51によって、L字状とされている。
図1に示すように、コネクタ27には6つのターミナル5が配置されており、6つのターミナル5は、それぞれ、ターミナル突出部51とターミナル曲げ部52とを備えてL字状とされている。
【0047】
図2に示すように、発音体6は、フレーム61と、ダイヤフラム62と、駆動部63と、リード線64と、端子金具65とを備えている。
【0048】
フレーム61は、ダイヤフラム62および駆動部63を支持するものである。略段付円筒状とされており、正面側において背面側よりも大きく開口している。フレーム61の正面側の開口部は、ダイヤフラム62によって塞がれている。発音体6は、フレーム61の正面側の開口端部において、隔壁22の凹部に嵌合され、接着にて気密的に接合されている。フレーム61は、樹脂で構成されている。
【0049】
ダイヤフラム62は、正面方向に広がる中空の円錐台形状の外周部と、正面側に凸となるドーム状の内周部とで構成されている。前述したように、遮蔽板24も同様の形状とされており、遮蔽板24の内周部、外周部は、それぞれ、ダイヤフラム62の内周部、外周部に対向している。ダイヤフラム62の背面には、駆動部63が接続されている。
【0050】
駆動部63は、ダイヤフラム62を振動させるものである。駆動部63は、ボビン631と、ボイスコイル632と、磁気回路部633とを備えている。
【0051】
ボビン631は円筒状とされ、ダイヤフラム62の内周部の外縁に接合されている。ボビン631の外側には、ボイスコイル632が巻かれている。
【0052】
磁気回路部633は、ボイスコイル632に磁界を印加するものである。磁気回路部633は、有底筒状のヨークと、ヨークの内底面に配置された円板状の磁石と、磁石に積層された円板状のトッププレートとを備えている。ヨークおよびトッププレートは、磁性体で構成されている。ヨークは、ダイヤフラム62に向かって開口し、フレーム61の背面側の開口部を塞ぐように配置されている。
【0053】
磁石およびトッププレートとヨークの側壁との間には隙間が形成されており、この隙間にボイスコイル632が入ることで、トッププレートとヨークの側壁との間に発生する磁界がボイスコイル632に印加される。この状態でボイスコイル632に電流を流すことで、ボビン631が軸方向に変位し、ダイヤフラム62が振動して、音が発生する。
【0054】
ボイスコイル632は、リード線64および端子金具65によって基板7に接続されている。リード線64の一端はボイスコイル632に接続されており、他端は端子金具65に接続されている。
【0055】
端子金具65は、インサート成型によってフレーム61と一体に構成され、両端がフレーム61の背面側に露出している。
図4、
図5に示すように、端子金具65の一方の端部はリード線64にはんだ付けされており、他方の端部は基板7に向かって突出している。このリード線64にはんだ付けされた端部を端子金具端部651とし、基板7に向かって突出した部分を端子金具突出部652とする。端子金具突出部652は、直線状とされている。端子金具65は、端子金具突出部652の先端部において、はんだによって基板7に接続されている。
【0056】
端子金具突出部652の根元から基板7との接続部までの長さは、ターミナル突出部51の根元から基板7との接続部までの長さよりも長くされている。
【0057】
図4に示すように、端子金具端部651は、発音体6の背面側から見た形状がクランク状とされている。端子金具端部651は、一部がフレーム61から露出しており、この露出した部分においてリード線64にはんだ付けされている。
【0058】
図2、
図4に示すように、端子金具65は、曲がった形状の端子金具曲げ部653を備えており、端子金具端部651と端子金具突出部652は、端子金具曲げ部653によって連結されている。端子金具曲げ部653はフレーム61に覆われている。
【0059】
端子金具曲げ部653は、端子金具突出部652の突出方向を設定している。具体的には、端子金具曲げ部653は、端子金具端部651とは反対側の端部において基板7に向かって立設されることで、筐体1の側面から見た形状がL字状となっており、これにより端子金具突出部652が基板7に向かって突出している。
【0060】
図3~
図5に示すように、発音体6は2つの端子金具65を備えている。2つの端子金具65は、それぞれ端子金具端部651、端子金具突出部652、端子金具曲げ部653を備えている。
【0061】
前述したように、基板7は、発音体6の背面側の空間、すなわち、ベース筒部21、隔壁22、ケース4によって形成された空間に配置されている。基板7には、ボイスコイル632に電流を流して駆動部63を駆動するための回路が、図示しない抵抗、コンデンサ等によって形成されている。この抵抗、コンデンサ等の回路部品は、基板7と隔壁22およびフレーム61との間に配置されている。
【0062】
基板7上の駆動回路は、リード線64および端子金具65によってボイスコイル632に接続されている。また、この駆動回路は、ターミナル5によって車両のECU等に接続されるようになっている。そして、ECU等からターミナル5を介して駆動回路に信号が送信されると、この信号に応じてボイスコイル632に電流が流される。
【0063】
基板7には、端子金具65およびターミナル5を通すための貫通孔が形成されている。端子金具65およびターミナル5は、この貫通孔において、はんだによって基板7上の駆動回路に接続されている。
【0064】
基板7には、ベース2に形成された基板取付部28を通すための貫通孔が形成されている。基板取付部28は、基板7を筐体1の内部に固定するための部材であり、
図2に示すように、隔壁22からケース4に向かって突出している。
【0065】
基板取付部28は、ベース筒部21の4つの角部に1つずつ配置されている。
図5に示すように、基板7を取り付ける前の基板取付部28は、先細りの段付円柱状とされており、基板7の貫通孔に基板取付部28を通すことで、段になった部分に基板7が当接して位置決めされる。そして、基板7が位置決めされた状態で、基板取付部28の先端部を熱で溶かしてかしめることで、
図2に示すように基板7が基板取付部28に固定される。
【0066】
図3、
図5に示すように、4つの基板取付部28のうち、筐体1の下部に配置された2つの基板取付部28の間に、6つのターミナル5がベース筒部21の下側の側壁に沿って並んでいる。また、2つの端子金具65は、ベース筒部21の下部において、6つのターミナル5に沿って並んでいる。
【0067】
4つの基板取付部28のうち、ターミナル5および端子金具65に近い下側の基板取付部28を、それぞれ基板取付部281とする。また、基板取付部281よりもターミナル5および端子金具65と基板7との接続部から遠い上側の角部に配置された2つの基板取付部28を、それぞれ基板取付部282とする。基板取付部281、282は、それぞれ第1、第2基板取付部に相当する。
【0068】
基板取付部282は、基板取付部281よりも柔軟性が高くされている。具体的には、
図3に示すように、基板取付部281は、側面から突出した板状の連結部283によってベース筒部21の内壁面に連結されており、基板取付部281とベース筒部21は、一体に構成されている。一方、基板取付部282は、ベース筒部21の内壁面から離された状態で隔壁22から突出しているため、基板取付部281よりも変形しやすくなっている。
【0069】
本実施形態の効果について説明する。本実施形態では、ターミナル5を筐体1の内壁面から突出させ、ターミナル突出部51の端部において基板7に接続することで、ターミナル5の根元から基板7との接続部までの距離が長くなる。これにより、ターミナル5が温度変化に追従して柔軟に変形するようになり、ターミナル5と基板7との接続部に加わるストレスが低減される。したがって、ワイヤ線等を用いずにターミナル5と基板7とを接続して製造コストを抑えつつ、不具合の発生を抑制して、製品寿命を延ばすことができる。
【0070】
また、上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0071】
(1)ターミナル5は、筐体1を構成するベース2のベース筒部21を貫通する部分とターミナル突出部51との間にターミナル曲げ部52を備えており、ターミナル曲げ部52は、ベース筒部21の内壁面から露出している。これによれば、ターミナル曲げ部52によって、ターミナル5がさらに柔軟に変形するようになるため、ターミナル5と基板7との接続部に加わるストレスをさらに低減することができる。
【0072】
(2)駆動部63と基板7とを電気的に接続する端子金具65は、駆動部63を支持するフレーム61から露出して基板7に向かって突出した端子金具突出部652を備えている。端子金具65は、端子金具突出部652の端部において基板7に接続されており、端子金具突出部652は、ターミナル突出部51よりも長くされている。
【0073】
このように、端子金具65をフレーム61から突出させ、端子金具突出部652の端部において基板7に接続することで、端子金具65の根元から基板7との接続部までの距離が長くなる。これにより、端子金具65が温度変化に追従して柔軟に変形するようになり、端子金具65と基板7との接続部に加わるストレスが低減されて、端子金具65と基板7とを接続するはんだ付け部におけるクラックの発生等を抑制することができる。
【0074】
(3)端子金具65は、端子金具端部651と端子金具突出部652との間に曲がった形状の端子金具曲げ部653を備えており、端子金具突出部652は、端子金具曲げ部653によって、基板7に向かって突出している。これにより、端子金具突出部652の先端部を基板7に接続することができる。
【0075】
(4)基板7は、基板取付部281、および、基板取付部281よりもターミナル5と基板7との接続部から遠い位置に配置された基板取付部282によって、筐体1を構成するベース2の内部に固定されている。そして、基板取付部281をベース筒部21の内壁面に連結させ、基板取付部282をベース筒部21の内壁面から離すことで、基板取付部282の柔軟性が基板取付部281よりも高くされている。
【0076】
このように、ターミナル5と基板7との接続部から遠い基板取付部282の柔軟性を基板取付部281よりも高くすることにより、温度変化によってベース2が変形した場合に、基板取付部282が大きく変形することで基板取付部281の変形が低減される。したがって、ターミナル5と基板7との接続部に加わるストレスをさらに低減することができる。
【0077】
(5)筐体1の内部に基板7が配置されている。これにより、筐体1の外側に基板7を配置する場合に比べて、装置全体の体格を小型化することができる。
【0078】
(6)基板7上の抵抗、コンデンサ等の回路部品は、基板7と隔壁22およびフレーム61との間の空間に配置されている。これによれば、フレーム61の形状により形成された隙間に回路部品を配置することで、発音器をさらに小型化することができる。
【0079】
(第2実施形態)
第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して端子金具65の形状を変更したものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0080】
図6に示すように、本実施形態では、端子金具65は、端子金具突出部652と端子金具曲げ部653との間に、湾曲した形状の端子金具湾曲部654を備えている。端子金具湾曲部654は、2箇所で垂直または略垂直に曲がっており、これにより、端子金具65は、筐体1の側面から見た形状がクランク状とされている。なお、
図6では、端子金具端部651を破線で示している。本実施形態では、端子金具曲げ部653は、筐体1の上下方向から見た形状がL字状とされている。
【0081】
本実施形態は、第1実施形態と同様の構成および作動からは第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0082】
また、上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0083】
(1)端子金具65は、端子金具曲げ部653と端子金具突出部652との間に湾曲した形状の端子金具湾曲部654を備えている。このように、端子金具65のうちフレーム61から露出した部分を曲がった形状とすることで、端子金具65がさらに柔軟に変形するようになるため、端子金具65と基板7との接続部に加わるストレスをさらに低減することができる。また、端子金具突出部652と基板7との接続部の位置を、端子金具曲げ部653の位置によらず設定することができる。
【0084】
(第3実施形態)
第3実施形態について説明する。本実施形態は、第2実施形態に対してターミナル5と端子金具65との接続方法を変更したものであり、その他については第2実施形態と同様であるため、第2実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0085】
図7に示すように、本実施形態では、筐体1の内部に基板7が配置されておらず、ターミナル5と端子金具65とが直接接続されており、ターミナル5は端子金具65と筐体1の外部とを電気的に接続している。
【0086】
具体的には、端子金具湾曲部654が略垂直に曲がった形状とされており、これにより、端子金具突出部652がターミナル5に向かって突出している。ターミナル5には図示しないスリットが形成されており、端子金具突出部652の先端部をこのスリットに圧入することで、ターミナル5と端子金具65とが電気的に接続されている。なお、本実施形態では、ターミナル5の数は、端子金具65に対応して2つとされている。
【0087】
このように、端子金具65をターミナルに向かって突出させ、該突出した部分においてターミナル5に接続することで、端子金具65の根元からターミナル5との接続部までの距離が長くなるため、端子金具65が温度変化に追従して柔軟に変形するようになる。また、端子金具65を曲がった形状とすることで、端子金具65がさらに柔軟に変形するようになる。これにより、ターミナル5と端子金具65との接続部に加わるストレスが低減される。したがって、ワイヤ線等を用いずにターミナル5と端子金具65とを接続して製造コストを抑えつつ、不具合の発生を抑制することができる。
【0088】
(他の実施形態)
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。
【0089】
例えば、上記各実施形態では発音器について説明したが、発音器以外の電気装置に本発明を適用してもよい。
【0090】
また、第2実施形態では端子金具65がクランク状とされたが、他の形状とされてもよい。例えば、端子金具曲げ部653を2箇所でU字状に曲がった形状とすることで、端子金具65をS字状としてもよい。
【符号の説明】
【0091】
1 筐体
5 ターミナル
51 ターミナル突出部
63 駆動部
7 基板