(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-24
(45)【発行日】2024-02-01
(54)【発明の名称】感知センサ付き報知装置
(51)【国際特許分類】
G08B 17/10 20060101AFI20240125BHJP
G08B 15/00 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
G08B17/10 G
G08B15/00
(21)【出願番号】P 2019199383
(22)【出願日】2019-10-31
【審査請求日】2022-10-10
(73)【特許権者】
【識別番号】599128206
【氏名又は名称】株式会社日惠製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100074125
【氏名又は名称】谷川 昌夫
(74)【代理人】
【識別番号】100129986
【氏名又は名称】森田 拓生
(72)【発明者】
【氏名】恩田 惠
【審査官】石井 則之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-112077(JP,A)
【文献】特開2011-227715(JP,A)
【文献】特開2013-037426(JP,A)
【文献】特開2016-167436(JP,A)
【文献】特開2012-098486(JP,A)
【文献】特開2004-235917(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0084844(US,A1)
【文献】特開2013-54454(JP,A)
【文献】特開2019-36260(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 13/00-17/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱状体からなる共に、箱状の側部に音響路を備え、箱状の上部に上板プレートを備え、箱状の下部に取付け面への取付け機構を備え、さらに内部ないし側部に電源装置を備えた箱状の本体と、
本体の上板プレートに下向き固定された防水スピーカと、
本体の上板プレートよりも上方に支持固定された、発光体付きの発光基板と、
本体の上板プレートを覆って取り付けられた、感知センサ付きのグローブと、
を備えてなる、感知センサ付き報知装置であって、
発光基板は基板形状の一部を切り欠き成形してなる切欠き部を有し、
グローブは、一部を窪み形成してなり、感知センサを保持する保持枠を有し、
発光基板の一部に形成された切欠き部が、グローブの一部に形成された保持枠と嵌合してなり、
感知センサの感知部が、グローブの一部に埋め込み固定されることを特徴とする感知センサ付き報知装置。
【請求項2】
前記発光基板は、円形または多角形の中央片の中央部から複数の張出片が放射状に張り出して一体成形された、放射形状の基板形状からなると共に、
複数の張出片のうちいずれか一群の張出片の先部を切り欠き成形してなる切欠き部を有し、各当該一群の張出片の先部に対して、グローブの保持枠が上方又は側方から組み合わされて嵌合され、また、
複数の張出片のうち前記一群の張出片を除く複数の張出片の下部を、本体から立脚させた支持柱で支持してなる、請求項1に記載の感知センサ付き報知装置。
【請求項3】
前記発光基板はさらに、前記基板形状の周囲の各固定位置に、複数の発光体を、前記中央片の中央部から放射状に拡がる側方向を照射方向として等間隔に固定してなり、
前記各固定位置は、複数の張出片のうち隣接する二つの張出位置の中間位置である、請求項2に記載の感知センサ付き報知装置。
【請求項4】
本体の上部の上板プレートは、平面視中央に、防水スピーカを固定するための中央孔を備え、
本体は、この中央孔から連通して側方へ開口する音響路を備え、
防水スピーカは、スピーカキャップを下向きにした下向き状態で、スピーカのフレームエッジを前記に周着されたガスケットを介して嵌め込み固定されてなり、
また前記グローブは、本体の上部寄りに周着されたガスケットを介して、本体の上方に覆設固定されてなり、
本体と防水スピーカとグローブとによって、グローブ内に封水空間が形成される、請求項1,2,3のいずれか記載の感知センサ付き報知装置。
【請求項5】
前記本体は、多角柱又は円柱状の箱体からなり、上部が中央孔を有した上板プレートで覆われると共に、本体の内部には、中央孔から外方へ連通して、平面視略放射状に拡がる複数の音響路を備え、音響路の端部の音響口が、本体の箱側面に複数開口して形成され、
各音響路は、屈曲又は湾曲した音響路上下面及び/又は音響路内側面を有し、中央孔から音響口へ向かって断面が拡大するように形成される、請求項1,2,3,4のいずれか記載の感知センサ付き報知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工場、駐車場などの壁面又は天井面に設置され、外部からのセンサ検知信号又は操作信号によって、周囲へ警告光及び警告音を発する感知センサ付き報知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
信号光の報知を行う回転警告灯として、従来、透光性を有するグローブと、第1シャーシに装着され、該グローブ内に内蔵した回転灯ユニットから光機部分を構成したものが開示される(特許文献1参照)。この回転警告灯は、上記光機部分と、本体部分を一体に組み立てて構成し、該後ケース内に配線や回路基板などを収容しうる適宜空間を設けたものであって、大型のスピーカを採用しつつ、複数の回路基板を効率よく収容して、スピーカ内蔵の回転警告灯をコンパクトに提供することができた、とされる。
【0003】
また従来、パネル式警告灯として、一方の平面に表面処理を施した両翼若しくは片翼の透光性材料からなる薄型導光板パネルと、天井面及び壁面に設置可能な本体取付台と、本体取付台を覆う化粧カバーと、本体取付台に化粧カバーを固定する固着具と、本体取付台上部にて薄型導光板パネルの内側端面から外側に向くように配置された複数のカラーLED素子列及び制御回路で構成される光源と、電力を供給する電源装置とを具備したものが開示される(特許文献2参照)。これは、警告を視覚に伝えるうえで、遠方からの視認性を得るだけの十分な光量を有し、また、どの方角からも良好な視認性を継続して有するとともに、人に対する威圧感がない警告灯を提供する、とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平7-282362号公報
【文献】特開2017-59514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示されている回転警告灯をはじめ、従来のスピーカ一体型の警告灯の多くは、警告灯とは別に設置された感知センサ等の外部機器と有線又は無線で接続されたであり、外部機器からの信号を受けて警告動作を行うものであった。このため、感知センサと警告灯とを同じ箇所にコンパクトな形態で設置することができなかった。
【0006】
仮に、音及び光を発する報知装置に感知センサを併設しようとすると、感知センサによって発光領域の大きさや発光部の保持機能が制限されてしまう場合があり、コンパクトな形状で発光体の位置を定置に保持することが困難であった。また、コンパクトな形状で、発光体の発光領域を遮られることなく確保することが困難であった。或いは、発光装置や音の発生装置があることで、感知センサの感知領域が制限されてしまう場合も考えられる。さらに、屋外に設置する場合には、感知センサと報知装置だけでなく、これらを接続する接続配線や接続部にも耐候性、ないし耐水性が求められることとなる。
【0007】
そこで本発明は、音及び光を発する報知装置に感知センサを設けながら、発光領域の大きさや発光部の保持機能が制限されないよう、コンパクトな形状で、発光体31の発光領域や保持機能を確保できるものを提供することを課題とする。或いは、発光装置や音の発生装置によって、感知センサの感知領域が制限されないものを提供することを課題とする。或いは、屋外に設置する場合に耐候性、ないし耐水性を確保したものを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題に鑑みて、本発明においては、以下の手段を講じるものとしている。但し以下において構成の名称に続けて記載する数字乃至アルファベットは、図面の理解のために便宜的に付した符号であり、これによって構成の概念ないし形状、構造を限定する趣旨ではない。
【0009】
(1)本発明に係る感知センサ付き報知装置は、
箱状の側部に音響路11を備え、箱状の上部に上板プレート12を備え、箱状の下部に取付け面への取付け機構13を備え、さらに内部ないし側部に電源装置14を備えた箱状の本体1と、
本体1の上板プレート12に下向き固定された防水スピーカ2と、
本体1の上板プレート12よりも上方に支持固定された、発光体31付きの発光基板3と、
本体1の上板プレート12を覆って取り付けられた、感知センサ41付きのグローブ4と、を備えてなる感知センサ付き報知装置であって、
発光基板3は基板形状の一部を切り欠き成形してなる切欠き部3Dを有し、
グローブ4は、カバー体の一部を窪み形成してなり、感知センサ41を保持する保持枠4Fを有し、
発光基板3の一部に形成された切欠き部3Dが、グローブ4の一部に形成された保持枠4Fと嵌合してなり、
感知センサ41の感知部が、グローブ4の一部に埋め込み固定されることを特徴とする。
【0010】
上記構成であれば、感知センサ41の感知部が、グローブ4の一部の特定位置に埋め込み固定されることで、音及び光を発する報知装置とセンサ感知するセンサ装置をコンパクトに一体化することができる。また、グローブ4が取り付けられた状態で、発光基板3の切欠き部3Dが、グローブ4の保持枠4Fと嵌合することで、発光基板3の発光体31の位置が、グローブ4に対してずれることなく定置に保持される。これにより、発光体31の発光領域が感知センサ41やその保持枠4Fによって遮られることなく確保される。すなわち、拡声プレートと止水材たるパッキンと防水スピーカとをドーム状のグローブの中央頂部に密着して組み合わせることで、コンパクトな全体形状からなる、止水性に優れた感知センサ付き報知装置をなすことができる。
【0011】
(2)前記感知センサ付き報知装置において、発光基板3は、円形または多角形の中央片の中央部から複数の張出片3Aが放射状に張り出して一体成形された、放射形状の基板形状からなると共に、
複数の張出片3Aのうちいずれか一群(一又は複数)の張出片3Aの先部を切り欠き成形してなる切欠き部3Dを有し、各当該一群の張出片3Aの先部に対して、グローブ4の保持枠4が上方又は側方から組み合わされて嵌合され、また、複数の張出片3Aのうち前記一群(一又は複数)の張出片3Aを除く複数の張出片3Aの下部を、本体1から立脚させた支持柱15で支持してなることが好ましい。
【0012】
このようなものであれば、複数の張出片3Aが放射状に張り出した放射形状からなり、複数の張出片3Aのうち、切欠き部3Dを有した一又は複数の張出片3Aがグローブ4の保持枠4Fと上方又は側方から組み合わされて嵌合すると共に、複数の張出片3Aのうち、切欠き部3Dを有さない残りの複数の張出片3Aが、本体1から立脚させた各支持柱15で立脚支持される。これにより、発光基板3が支持柱15によって下部から立脚支持されると共に、保持枠4Fによって上部ないし側部から嵌合支持される。この上下各方向からの複数支持によって、中空位置でありながら基板の発光位置を維持することができる。
【0013】
(3)前記感知センサ付き報知装置において、発光基板3はさらに、前記基板形状の周縁に沿った各発光位置に、複数の発光体31を、前記中央片の中央部から放射状に拡がる側方向を照射方向として等間隔に固定してなり、前記各発光位置は、複数の張出片3Aのうち隣接する二つの張出位置の中間位置であることが好ましい。
【0014】
このようなものであれば、発光体31が、隣接する二つの張出片3Aの中間位置に固定されるため、張出片3Aによる照度遮蔽の影響を抑えることができる。また、立脚支持又は嵌合固定された各張出片3Aの中間に略均等に固定されるため、発光体31の固定を両側部の張出片3Aによって確実なものとすることができる。
【0015】
(4)前記感知センサ付き報知装置において、本体1の上部の上板プレート12は、平面視中央に、防水スピーカ2を固定するための中央孔12Hを備え、
本体1は、この中央孔12Hから連通して側方へ開口する音響路11を備え、
防水スピーカ2は、スピーカキャップを下向きにした下向き状態で、スピーカのフレームエッジを前記中央孔12Hに周着されたガスケット12Gを介して嵌め込み固定されてなり、
また前記グローブ4は、本体1の上部寄りに周着されたガスケット14Gを介して、本体1の上方に覆設固定されてなり、
本体1と防水スピーカ2とグローブ4とによって、グローブ4内に封水空間が形成されることが好ましい。
【0016】
このようなものであれば、本体1と防水スピーカ2とグローブ4とによって、グローブ4内に封水空間が形成されるため、グローブ4内に浸水することがない。このため、グローブ4内の発光体31、発光基板3の発光回路、感知センサのセンサ回路及び配線、スピーカ音を発する上板プレート12上の発報回路及び配線のそれぞれが、外部との絶縁状態を維持できる。
例えば後述の実施例では、スピーカ2は上板プレート12の中央孔12Hに嵌め込み固定されるところ、この嵌め込み固定は、中央孔12Hの孔縁に沿うガスケット12Gを介した封水固定である。また、グローブ4は、本体1の上部周側部を覆って本体1の上方に覆設固定されるところ、この覆設固定は、本体1の周側面に沿うガスケット14Gを介した封水固定である。なお、本発明において「音響路」ないし「音響路11」とは、防水スピーカ2のスピーカ音を路内で空気伝播させて報音(音を発生)させるための通路をいい、このような機能を果たすものであれば形状、構造は問わない。
【0017】
(5)前記感知センサ付き報知装置において、本体1は、多角柱又は円柱状の箱体からなり、上部が中央孔12Hを有した上板プレート12で覆われると共に、本体1の内部には、中央孔12Hから外方へ連通して、平面視略放射状に拡がる複数の音響路11を備え、音響路11の端部の音響口11Mが、本体1の箱側面に複数開口して形成され、
各音響路11は、屈曲又は湾曲した音響路上下面及び/又は音響路内側面を有し、中央孔12Hから音響口11Mへ向かって断面が拡大するように形成されることが好ましい。
【0018】
このようなものであれば、本体1は上部中央の中央孔12Hから内部連通して側部開口する複数の音響路11が内部形成される。この音響路11は本体1の内部から側面にかけて形成され、本体1の上方を覆うグローブ4と上下に区画されるため、音響路によって発光動作や感知センサのセンサ動作に障害を与えることがない。また、下方を向いた防水スピーカの報知音を箱体の側部方向へ拡声させることができる。
【0019】
また上記構造において、中央孔12Hに防水スピーカ2のフレームをはめ込んで封止した場合、本体1の側部が音響口11Mで開口するにもかかわらず、防水区画を形成することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は上記手段を講じることで、光及び音を発する報知装置と感知センサとを一体化させたコンパクトな構成とすると共に、発光領域の大きさや発光部の保持機能が制限されないよう、発光体31の発光領域や保持機能を確保できるものとなった。また、発光装置や音の発生装置によって感知センサの感知領域が制限されないものとなった。さらに、屋外に設置する場合にも耐候性、ないし耐水性を確保したものとなった。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施例1の感知センサ付き報知装置の外観を示す上方斜視図である。
【
図2】実施例1の感知センサ付き報知装置の外観を示す上方斜視図である。
【
図3】実施例1の感知センサ付き報知装置の外観及び一部(発光基板)の内部構造を示す平面説明図である。
【
図4】実施例1の感知センサ付き報知装置の外観及び一部(発光基板、スピーカ、音響路)の内部構造を示す正面説明図である。
【
図5】実施例1の感知センサ付き報知装置の外観及び一部(保持枠、発光基板、スピーカ)の内部構造を示す側面説明図である。
【
図6】実施例1の感知センサ付き報知装置の内部構造を示す側面視中央断面図である。
【
図7】実施例1の感知センサ付き報知装置の構成を示す、第一分解状態の中央断面説明図である。
【
図8】実施例1の感知センサ付き報知装置の構成を示す
図7の分解状態(第一分解状態)の平面図である。
【
図9】実施例1の感知センサ付き報知装置の構成を示す第二分解状態(第一分解状態からスピーカ2を取り付けた状態)の平面図である。
【
図10】実施例1の感知センサ付き報知装置の構成を示す第三分解状態(第二分解状態から発光基板3を取り付けた状態)の平面図である。
【
図11】本発明の実施例2の感知センサ付き報知装置の構成を示す第三分解状態(グローブのみ取り外した状態)の斜視図である。
【
図12】示す実施例2の感知センサ付き報知装置の内部構造を示す、側面視における中央断面図である。
【
図13】本発明の実施例3の感知センサ付き報知装置の構成を示す第三分解状態(グローブのみ取り外した状態)の斜視図である。
【
図14】示す実施例3の感知センサ付き報知装置の内部構造を示す、側面視における中央断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る感知センサ付き報知装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。但し以下において構成の名称に続けて記載する数字乃至アルファベットは、図面の理解のために便宜的に付した符号であり、これによって構成の概念ないし形状、構造を限定する趣旨ではない。
【0023】
本発明の感知センサ付き報知装置100の構成は、
図1ないし
図12(実施例1)に示すように、
箱状の下部に取付け面への取付け機構13を備え、さらに内部ないし側部に電源装置14を備えた箱状の本体1と、
本体1の上板プレート12に下向き固定された防水スピーカ2と、
本体1の上板プレート12よりも上方に支持固定された、発光体31付きの発光基板3と、
本体1の上板プレート12を覆って取り付けられた、感知センサ41付きのグローブ4と、を備えてなる。以下、各構成について詳述する。
【0024】
発光基板3は基板形状の一部を切り欠き成形してなる切欠き部3Dを有し、
グローブカバー4は、カバー体の一部を窪み形成してなり、感知センサ41を保持する保持枠4Fを有し、切欠き部3Dと保持枠4Fとが嵌合して、発光基板3が保持枠4Fを有するグローブカバー4に位置規定されることを特徴とする。
【0025】
(本体1)
本体1は、下面を取り付け面とした密閉式の多角柱又は円柱状の箱体からなり、上部が中央孔12Hを有した上板プレート12で覆われる。箱体の側部には音響路11を備え、箱状の下部に取付け面への取付け機構13を備え、さらに内部ないし側部に電源装置14を備える。
(上板プレート12)
本体1の上部の上板プレート12は、発光素子の発光及び防水スピーカの発声を制御する制御基板及びコネクタを備える。またプレートの平面視中央に、防水スピーカ2を組み込むための、防水スピーカ2のフレームエッジの円形に対応した大きさの中央孔12Hを中心位置に備える。中央孔12Hの孔縁に沿ってガスケット12Gが取り付けられており、防水スピーカ2を取り付けたときに孔縁が封水構造となる。また中央孔12Hの孔縁近傍の三か所に、防水スピーカ2を固定ビス2Sで固定するための固定穴を有し、この3か所の固定穴の近傍から、計3本の支持柱15が立脚形成される。また、上板プレート12の平面視四隅寄りの位置に、グローブ4をビス固定するための複数の固定穴14Hを有する。
【0026】
(音響路11)
本体1の内部には、中央孔12Hから外方へ連通して、平面視略放射状に拡がり、側方へ開口する複数の音響路11を備える。なお、本発明において「音響路」とは、防水スピーカ2のスピーカ音を路内で空気伝播させて報音(音を発生)させるための通路をいい、このような機能を果たすものであれば形状は問わない。音響路11の端部の音響口11Mが、本体1の箱側面に複数開口して形成され、各音響路11は、屈曲又は湾曲した音響路上下面及び/又は音響路内側面を有し、中央孔12Hから音響口11Mへ向かって断面が拡大するように形成される。電源装置14は本体内下部の電池収容部と、本体側部の防水スイッチ14Sと、これらに電気的接続されて本体内で制御する図示しない制御装置とからなる。このうち電池収容部は本体内下部で防水区画されており、外部からの浸水がおこらないものとなっている。
【0027】
(防水スピーカ2)
防水スピーカ2は、グローブ4の前記中央孔20の下方を覆ってグローブ4の内側に取り付けられる。防水スピーカ2は具体的には、報音側のスピーカ面の周囲にフレームエッジが形成され、スピーカ面の中央に、スピーカキャップを有し、スピーカ面と反対側の基部面には円筒状のヨークが突出する。本発明の防水スピーカ2は、フレーム面の中心のスピーカキャップを下向きにした下向き状態で、本体1の上板プレート12に取り付けられ、上板プレート12のプレート面11SF上に螺子止めされる固定ビス2Sによって、上板プレート12上に抑えられるように固定される。また、ヨークの円筒形状に対応して、発光基板の中央孔3Hが嵌め込まれる。
【0028】
(発光基板3)
発光基板3は、中央孔3Hを有した円形または多角形の中央片と、中央片の中央から放射状に張り出した複数の張出片3Aとから一体成形された、放射形状の基板からなると共に、複数の張出片3Aのうちいずれか一群(一又は複数)の張出片3Aの先部を切り欠き成形してなる切欠き部3Dを有する。発光基板3はさらに、前記基板形状の周縁に沿った各発光位置に、複数の発光体31を、前記中央片の中央部から放射状に拡がる側方向を照射方向として等間隔に固定してなり、前記各発光位置は、複数の張出片3Aのうち隣接する二つの張出位置の中間位置に規定される。発光基板3は複数の張出片3Aのうち一つ以上の群の片先に固定穴が設けられ、各固定穴は、本体から立脚した支持脚15の先端位置に対応している。支持脚15上に発光基板の固定穴部分を配置して、上方から固定ビスによって固定されることで、上板プレートから上方の位置に中空固定される。また中央孔3Hは、防水スピーカ2のヨークの円筒形状に対応した孔形状からなり、中空固定された状態で、下向き固定された防水スピーカ2の背面側のヨークに、上方から嵌め込んだ状態となる。
【0029】
図3にて破線で示すように、発光基板3の側部には、4個の発光素子が平面視周方向に配置されると共に、各発光素子の上部を覆って、平面視8方向の連続成形部からなるプリズム放光体13が固定される。警告光の作動時には、8個の発光素子が周方向に沿って隣り合う順に発光、もしくは一斉点滅し、この光がプリズム放光体によって反射及び放光されることで、警告光を回転灯様、もしくは点滅表示灯様に報知する。
【0030】
(組合せによる嵌合)
グローブ4を取り付けた状態では、
図3、
図5、
図6等に示すように、切欠き部3Dを片先に有した一群の張出片3Aの先部に対して、グローブ4の保持枠4が上方又は側方から組み合わされて嵌合され、また、複数の張出片3Aのうち前記一群(一又は複数)の張出片3Aを除く複数の張出片3Aの下部を、本体1から立脚させた支持柱15で支持してなる。防水スピーカ2は上板プレート12に下向きに
【0031】
本発明の主な特徴として、
図1,2,4,5,8に示すように、上板プレート12の中央部には中央孔が形成されると共に、中央孔に発声側のフレームエッジが嵌め込まれるようにして、防水スピーカ2が下向きに固定され、中央孔から連通して本体内部を側方に拡がる音響路11を通じて本体1の側面に音響口11Mが開口する。警告音の作動時には、防水スピーカ音が本体側部の音響口11Mから拡声されることで、警告音を報知する。
【0032】
(グローブ4)
グローブ4は、全体が透光性を有した着色体で、先窄みの段差付円筒状に形成されたドーム形状の透光カバーからなる。内面にプリズムカットが施され、グローブ4内の発光を拡散させてグローブ4外へ放光する。本実施例では、先窄みとなった先側のドーム頂面の端寄りの位置を内側へ円筒状に窪ませて保持枠4Fを形成すると共に、この保持枠4F内に感知センサ41を埋め込み固定してなる。感知センサ41は球冠状の感知部のみがグローブ4の頂面内に露出する。
なお、グローブ4は、本体1と固定させるための固定ビス4Sを挿通させる円筒状の複数のビス枠部が、グローブの内側へ突出形成されている。このビス枠部は、本体1の上板プレートの平面視四隅に形成された中央孔14Hの平面位置に対応して形成され、固定ビス4Sがビス枠部内に収容され、中央孔14H内で螺子止めされることでグローブ4が本体1に取り付けられる。このときグローブ4の内周部は本体1の上部寄りに周設されたガスケット14Gによって密閉され、グローブ4の内部が封水状態となる。
【0033】
図7~
図11は、実施例1の感知センサ付き報知装置の組立て状態を段階的に示す、第一分解状態、第二分解状態、第三分解状態の説明図である。このうち
図7及び
図8は、グローブ4、発光基板3、防水スピーカ2、を分解した、第一分解状態の説明図である。
図9は、第一分解状態からスピーカ2のみを取り付けた第二分解状態の説明図である。
図10及び
図11は、第二分解状態から発光基板3を取り付けた第三分解状態の説明図である。第三分解状態は、グローブのみ取り外した状態である。
【0034】
(取付け機構13)
本体1の底部カバー13の底面形状よりも一回り小さなドーナツ形状の磁着体13Mをはめ込む取付け機構13を有し、また選択式に、取付け面に係止するアングル部品13Pを一側方へ突出した状態で取り付けることができる(
図2)。
【0035】
(実施例2)
図11、
図12は、本発明の実施例2の感知センサ付き報知装置の構成を示す斜視図及び中央断面図である。
図11は第三分解状態(グローブのみ取り外した状態)の斜視図である。実施例2の感知センサ付き報知装置は実施例1と異なり、2個の感知センサ41を、グローブ4の頂面ではなく、先窄みの段差付円筒状に形成されたドーム形状の段差側面に埋め込み固定してなる。
具体的には
図11に示すように、感知センサ41は略90度の平面中心角をなすように2個設けられ、それぞれ背面方向と左側面方向を検知方向として横向きに配向される。保持枠4Fは2箇所の段差側面それぞれに形成され、
図12に示すように、略水平方向に内側突出した円筒枠からなる。
また実施例2の感知センサ付き報知装置は実施例1と異なり、発光基板3の計4本の突出片のうち、隣り合う2本の突出片の先側に、それぞれ三方矩形枠状の切欠き部3Dが形成される。横方向に内部突出した保持枠4Fの円筒枠の先部が、発光基板3の各突出片に設けられた切り欠き3Dに嵌合して、突出片の先部を保持する。
【0036】
(実施例3)
図13、
図14は、本発明の実施例3の感知センサ付き報知装置の構成を示す斜視図及び中央断面図である。
図13は第三分解状態(グローブのみ取り外した状態)の斜視図である。実施例3の感知センサ付き報知装置は実施例1と異なり、2個の感知センサ41を、グローブ4の頂面ではなく、先窄みの段差付円筒状に形成されたドーム形状の段差側面との境界である角部に斜めに埋め込み固定してなる。
具体的には
図13に示すように、感知センサ41は互いに離反した略180度の平面中心角をなすように2個設けられ、それぞれ正面側斜め方向と背面側斜め方向を検知方向として斜めに配向される。保持枠4Fは2箇所の段差角部それぞれに形成され、
図14に示すように、斜め方向に内側突出した円筒枠からなる。
また実施例3の感知センサ付き報知装置は実施例1と異なり、発光基板3の計4本の突出片のうち、離反する2本の突出片の先側に、それぞれ円弧状の切欠き部3Dが形成される。
斜め方向に内部突出した保持枠4Fの円筒枠の先部が、発光基板3の各突出片に設けられた切り欠き3Dに嵌合して、突出片の先部を保持する。
【0037】
本発明の各実施例の感知センサ付き報知装置は、煙センサ、温度センサ、人感センサ等の感知センサによって有線信号が送信されることで作動する。グローブに感知センサを一体化すると共に封水構造のグローブ4内で配線することで、耐候性、耐水性に優れたものとなり、確実なセンサ感知動作を果たす。
【0038】
(中央堰11W)
実施例では、中央孔12Hと平面視にて重複する中央位置には、縦断面視山型の中央堰11Wが形成され、中央堰11Wに連なって、音響路幅が徐々に拡がる音響路11が左右側方に形成される。中央堰11Wは平面視にて、2つの同じ径の半円が背中合わせに対称配置された形状からなり、各半円が左右それぞれの音響路の基部形状を構成する。中央堰11Wの中央の頂部は仕切り枠11SFを形成する。
また、中央堰11Wの堰面は仰角35度以上(40度以下)の角度で急傾斜した急傾斜面からなる。また、音響路11の上下面は中央堰11Wよりも緩やかな仰角3度以上(10度以下)の角度で傾斜した緩傾斜面からなる。音響路11の内側面11Sは湾曲面からなり、音響口へ向かって音響路断面が徐々に拡がってなる。
【0039】
動作時に比較的高熱となる発光基板12を、グローブ4のカバー空間内に中空支持することで、上板プレート12上に感知及び発音制御の回路ないし配線を設け、発光基板12の発光回路と分離構成することで、配線の高温化による動作不良を回避している。また、防水スピーカ2をグローブ4内に倒立すなわちスピーカキャップ(センターキャップ)やエッジフレームを下向きにして上板プレート12内に封水状態で組み合わせ、さらにグローブ4を本体1の側部外周に被せて封水状態で覆設することで、グローブ4内の空間が封水状態で区画化され、内部に浸水しにくい構造となっている。
【0040】
(発光基板12)
発光基板12は中央片の周側部に、基板配線された複数の発光体31(例えば、LED等の発光素子)を、外形周りに等間隔に離間配置してなる。発光体31は
図3,
図6,
図7,
図8等に示されるように、発光基板2の板面に対して取付基部を垂直に立てた縦型方向で配置固定される。各実施例では
図8,9,10のように、略正方形の中央片を平面視ダイヤ方向に配置し、中央片の四辺に沿って固定溝を形成し、この固定溝によって、発光体31を、裏側の取付け基部面が縦方向を向くように差し込み固定してなる。また各実施例では中央片の各角部から外方へ略矩形の張出片が平面視放射状に張出形成されると共に、このうち3つ以上の各張出片の先部近傍であって特定の片側寄りの位置に、支持柱15で立脚支持するための固定穴が形成される。また各実施例では、複数の張出片のうち1つまたは2つの先片に、湾曲凹状又は屈曲凹状の切欠き部3Dが形成される。切欠き部3Dの切欠き面は、支持枠4Fとの当接角度に応じて傾斜面又は湾曲面に形成されていてもよい。実施例のように4つの張出片の場合は、平面視十字方向に放射状に張り出してなり、このうち3つの張出片が支持柱15で立脚支持される。また中央孔3Hが防水スピーカ2の背面のヨークに嵌め込み支持される。
【0041】
(封水構造)
実施例のスピーカ2は上板プレート12の中央孔12Hに嵌め込み固定されるところ、この嵌め込み固定は、中央孔12Hの孔縁に沿うガスケット12Gを介した封水固定である。また、実施例のグローブ4は、本体1の上部周側部を覆って本体1の上方に覆設固定されるところ、この覆設固定は、本体1の周側面に沿うガスケット14Gを介した封水固定である。これにより、本体1の上板プレー12の上方が防水区画された封水構造となる。
また、実施例の底部カバー13は、本体1の下部周側部を覆って本体1の下方に覆設固定されるところ、この覆設固定は、本体1の周側面に沿うガスケット13Gを介した封水固定である。これにより、本体1の下部の電源装置14が防水区画された封水構造となる。
【0042】
(取付け機構13)
また、本体1の底部カバー13の底面には、底部カバー13の底面形状よりも一回り小さな磁着体13Mを固定してなる。取付け面への取付けは、この磁着体13Mの磁着力によって行うことができる。さらに、取付け用のアングル部品や、壁面又は天井面から突出したりはみ出したりする部材を有することがない。このため、本発明の一体型の感知センサ付き報知装置を、取付け面に沿って体裁よく取り付けることができる。また下枠内一杯に磁着体13Mが設けられるのではなく、下枠内と磁着体13Mとの間に弦と円弧で囲われた部分円からなる下部空間150が複数個形成される。この底部カバー13と下部空間150の形成によって、取付け面との間に止水ないし浸水防止スペースが確保され、取付け面の防水機能に優れたものとなる。
【0043】
本発明は、本体1上部のグローブ4内に、発光部31(例えばLEDランプ)を備えた発光基板3を立脚して中空支持し、感知センサ41をグローブ4の支持枠4F内に埋め込んで感知部のみが露出するように組み込み構成し、そして前記中空支持した発光基板3の一部を、グローブ4内で感知センサ41の保持枠4Fと嵌合させている。これにより、感知領域や発光領域の干渉をなくすと共に、立脚支持した発光基板3をさらに保持枠4Fで上方又は側方支持し、感知センサ41と発光部31との配置関係を維持している。
【0044】
また本発明は、グローブ4に埋め込み固定した感知センサ41(例えば赤外線センサ)によって、スピーカと人体、動物の動き、障害物の動き、或いは煙やガスないし温度の異常状態を本体と一体化した感知センサで感知し、本体内に直接感知信号を生じさせることができる。そして、この感知信号に基づいてグローブ4内部の発光部31によって点滅光又は回転光が光表示され、音響路からは音声、即ち警告音、メッセージ、音楽が発せられる。さらに本体内部及び側部は、電源としての乾電池で構成される電源装置が収容され、本体下部は、取付け面への磁着式または吊り下げ式の取付け機構を有する。
【0045】
音声のパターンは、予め作成した複数の音声データを所定のファイルフォーマットで予め着脱可能なメモリに記憶させておき、上板プレート12上のメモリ読み取り部に装着しておく。同様に発光パターンは、予め作成した複数の発光体31それぞれの発光パターン(各色の短時間点滅、スロー点滅、点灯のいずれか)と、複数の発光体31同士の発光タイミング(同時発光、隣り合う発光体31で順次リレー式発光、又は選択された一の発光体31群と他の発光体31群と交互に発光)に関する発光パターンデータと発光タイミングデータを所定のファイルフォーマットで予めメモリに記憶させておき、上板プレート12上のメモリ読み取り部に保存しておく。感知センサ41が感知領域から侵入物の存在、或るいはガス濃度、温度の変化等を感知すると、その感知内容に応じて、予め記憶させた複数の音声データから一の音声データを選択して上板プレート12上の再生回路で選択データを再生し、スピーカ2で発声する。これとともに、感知センサ41の感知内容に応じて、予め記憶させた複数の発光パターンから一の発光パターンデータと一の発光タイミングデータとの組み合わせを選択して、当該選択した発光パターン及び発光タイミングの信号を、配線3Lを通じて発光基板3に信号伝達し、発光基板3の複数の発光体31で発光する。
音声データは工事現場では通行人に注意を促す音声が流れ、留守宅への侵入者には警告音を鳴らし、田畑の農作物でのカラス、猪などの害獣に対しても、天敵の動物の声、警報音を鳴らし追い返すなどの用途など多方面に使用できる。
【0046】
その他、本発明の特徴として、底面に強力マグネットが付いており金属部に固定できる点、光表示は点滅と回転が選べる点、音声は複数のパターンから選ぶ事ができ、また音楽、メッセージ、効果音など最大60秒の音声が登録できる(メーカ録音)点、高感度人感センサで人物、動物が検知でき音と光で知らせる点、スピーカは防水コーンスピーカを使用しており、本体1上部のグローブ4内及び本体1内の電源構造を封水構造とすることで、保護特性IP54の屋外仕様となっている点、が挙げられる。
【0047】
以上、本発明の実施の形態を詳細に説明したが、前述までの説明はあらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく、種々の改良や変更を行うことができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0048】
1 本体
音響路11
音響口 11M
中央堰 11W
音響路内側面11S
仕切り枠 11SF
上板プレート12
中央孔12H
ガスケット12G,13G,14G
取付け機構13
取付け部カバー13C
磁着体13M
取付けプレート13P
電源装置14
電源スイッチ14S
支持柱15
ビス15S
2 防水スピーカ
スピーカ線2L
3 発光基板
発光体31
張り出し部3A,3B
切欠き部3D
中央孔3H
4 グローブカバー
感知センサ41
保持枠4F
ビス4S