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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-24
(45)【発行日】2024-02-01
(54)【発明の名称】まつ毛カール器
(51)【国際特許分類】
   A45D 2/48 20060101AFI20240125BHJP
【FI】
A45D2/48
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021089259
(22)【出願日】2021-05-27
(65)【公開番号】P2022181991
(43)【公開日】2022-12-08
【審査請求日】2023-04-11
(73)【特許権者】
【識別番号】521230296
【氏名又は名称】株式会社ユーシン工業
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100104938
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜澤 英久
(74)【代理人】
【識別番号】100210240
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 友幸
(72)【発明者】
【氏名】谷地田 正行
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-272320(JP,A)
【文献】特開2002-058523(JP,A)
【文献】特開2007-020758(JP,A)
【文献】登録実用新案第3190839(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 2/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
離間並行に配置された一対の支持杆と、
前記各支持杆の上端部に両端部を固定された固定挟圧体と、
前記両支持杆に沿って上下動自在な可動挟圧体と、
前記可動挟圧体の上部に設けられた弾性体と、
を備え、
前記固定挟圧体の下部と前記弾性体とでまつ毛を挟圧してカールするまつ毛カール器であって、
前記固定挟圧体の下部および前記弾性体は、それぞれの略中央が幅広に形成されていることを特徴とするまつ毛カール器。
【請求項2】
前記固定挟圧体は、弧状に湾曲した板状本体を備え、
前記板状本体の下部中央を外周方向に折曲した幅広部が形成されている
ことを特徴とする請求項1記載のまつ毛カール器。
【請求項3】
前記幅広部の外周は、前記板状本体と略同曲率の弧状に形成されていることを特徴とする請求項2記載のまつ毛カール器。
【請求項4】
前記固定挟圧体の下部および前記弾性体は、それぞれ両端側にいくに従って次第に幅狭に形成されている
ことを特徴とする請求項2または3に記載のまつ毛カール器。
【請求項5】
前記可動挟圧は、前記板状本体と略同曲率に形成され、
前記上部に前記弾性体を嵌着する溝部が長手方向に形成され、
前記溝部の溝幅は、略中央が広く形成され、両端側にいくに従って次第に狭く形成され、
前記弾性体は、前記嵌着により前記溝幅に応じて変形していることを特徴とする請求項4記載のまつ毛カール器。
【請求項6】
前記弾性体は、中空に形成されていることを特徴とする請求項1~5のいずれか記載のまつ毛カール器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に女性が使用するまつ毛カール器に関する。
【背景技術】
【0002】
まつ毛カール器(ビューラー)は、まつ毛を挟んでカールさせるアイテムであって、まつ毛をカールアップさせることで目もとを大きく華やかに見せる効果を持つ。
【0003】
図8(a)中の1は、特許文献1のまつ毛カール器を示している。このまつ毛カール器1は、離間並行に配置された一対の支持杆2と、各支持杆2の上端部4に固定された固定挟圧体3と、両支持杆2に沿って上下動自在な可動挟圧体5とを備え、可動挟圧体5の上部にゴム6が嵌着されている。
【0004】
固定挟持体3の下部には、図8(b)(c)に示すように、長手方向に沿ってプラスチック製の弧状板9が取り付けられている。この弧状板9は、金属製の固定挟圧体3と同じ曲率の弧状に形成され、使用時に瞼と接触する前側の当て板部9aと後側の押さえ板部9bとを備え、両部9a,9bの連続する下端にまつ毛の挟圧端9cが形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-92907
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
まつ毛カール器1は、レバー10,11の開閉動作に応じて可動挟圧体5が上下動し、固定挟圧体3の挟圧端9cと可動挟圧体5のゴム6とでまつ毛を挟圧することでカールさせている。
【0007】
しかしながら、挟圧端9cは周方向に沿って厚さが均一のため、挟圧時にまつ毛のすべてに同等な力が加わり、自然な形のカールができないおそれがある。また、挟圧端9cは薄く鋭く形成されているため、ゴム6を痛めるおそれもある。
【0008】
本発明は、このような従来技術の問題点を解決するためになされ、まつ毛の曲げ幅が大きくすることで自然な美しいカールを実現し、かつ可動挟圧体のゴムを痛めることのないまつ毛カール器の提供を解決課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明は、離間並行に配置された一対の支持杆と、
前記各支持杆の上端部に両端部を固定された固定挟圧体と、
前記両支持杆に沿って上下動自在な可動挟圧体と、
前記可動挟圧体の上部に設けられた弾性体と、
を備え、
前記固定挟圧体の下部と前記弾性体とでまつ毛を挟圧してカールするまつ毛カール器であって、
前記固定挟圧体の下部および前記弾性体は、それぞれの略中央が幅広に形成されていることを特徴としている。
【0010】
(2)本発明の一態様において、
前記固定挟圧体は、弧状に湾曲した板状本体を備え、
前記板状本体の下部中央を外周方向に折曲した幅広部が形成されている
ことを特徴としている。
【0011】
(3)本発明の他の態様において、
前記幅広部の外周は、前記板状本体と略同曲率の弧状に形成されていることを特徴としている。
【0012】
(4)本発明のさらに他の態様において、
前記固定挟圧体の下部および前記弾性体は、それぞれ両端側にいくに従って次第に幅狭に形成されていることを特徴としている。
【0013】
(5)本発明のさらに他の態様において、
前記可動挟圧部は、前記板状本体と略同曲率に形成され、
前記上部に前記弾性体を嵌着する溝部が長手方向に形成され、
前記溝部の溝幅は、略中央が広く形成され、両端側にいくに従って次第に狭く形成され、
前記弾性体は、前記嵌着により前記溝幅に応じて変形していることを特徴としている。
【0014】
(6)本発明のさらに他の態様において、
前記弾性体は、中空に形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、まつ毛の曲げ幅を大きくすることで自然な美しいカールを実現でき、また可動挟圧体のゴムの損傷も抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係るまつ毛カール器の正面斜視図。
図2】同 固定挟圧体の背面図。
図3図2のA-A断面図。
図4】同 可動挟圧体の平面図。
図5】(a)は同ゴムチューブの正面図、(b)は同側面図。
図6】同 ゴムチューブの変形図。
図7】(a)はゴムチューブの他例を示す正面図、(b)は同側面図。
図8】(a)は特許文献1のまつ毛カール器の斜視図、(b)は固定挟持体の正面図、(c)は同背面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本実施形態に係るまつ毛カール器を説明する。このまつ毛カール器は、まつ毛をカールアップさせることで目もとを大きく華やかに見せるアイテムに関する。
【0018】
図1中の21は、前記まつ毛カール器を示している。このまつ毛カール器1は、並行離間に配置された一対の支持杆22と、両支持杆22の上端部23に固定された固定挟圧体25と、両支持杆22に沿って上下方向(矢印S,T方向)に動可能に取り付けられた可動挟圧体26と、可動挟圧体26の上下動を操作する前後(矢印P,Q)の操作レバー27,28とを備えている。
【0019】
操作レバー27,28は、それぞれ一対のレバー27a,27b,28a,28bにより構成されている。この各レバー27a,27bの上端に各支持杆22が開脚状に延設されている一方、各レバー28a,28bの上端部に可動挟圧体26が支持されている。
【0020】
そして、操作レバー27,28間の開き角度を大きくすると可動挟圧体26が下方向に可動する一方、前記開き角度を小さくすると可動挟圧体26が上方向に可動し、固定挟圧体25と可動挟圧体26との間で挟圧され、カールが可能となる。
【0021】
≪固定挟圧体25≫
図1図3に基づき固定挟圧体25を説明する。固定挟圧体25は、図2に示すように、弧状に湾曲形成された板状本体30と、板状本体30の両端部35に形成された差込部31とを備えている。
【0022】
各差込部31は、支持杆22の上端部23に形成された図示省略の差込孔に挿通された後にカシメ固定されている。なお、図2中の差込部31は、前記カシメ後の状態を表している。
【0023】
板状本体30の下部32は、可動挟圧体26の上昇時にまつ毛を挟圧する挟圧部としての役割を果たしている(以下、挟圧部32と呼ぶ。)。この挟圧部32の周方向の略中央には、図2および図3に示すように、外周方向(矢印Q方向)に弧状に突出した幅広部33が折曲形成されている。
【0024】
したがって、挟圧部32の前後方向(P-Q方向)の幅)は、均一ではなく、幅広部33で最大となり、幅広部33から両端35側にいくに従って次第に狭く形成されている。
【0025】
≪可動挟圧体≫
図1および図4図5に基づき可動挟圧体26を説明する。ここでは図1に示すように、一対の支持部36の下端部がレバー28a,28bの上端部に回動自在に連結され、支持部36の上端部に可動挟圧体26が固定されている。
【0026】
可動挟圧体26は、図1および図4に示すように、板状本体30と略同曲率に湾曲形成された弧状の本体37と、本体37の両端部38に形成された挿通孔39と、本体37に着脱自在に嵌着されたゴムチューブ40とを備え、挿通孔39に支持杆22が摺動自在に挿通されている。
【0027】
本体37は、ゴムチューブ40用のゴムケースとして形成され、上部にゴムチューブ40を収容する溝部41が形成されている。この溝部41の溝底には支持部36の上端部が挿通固定される孔部41aが形成されている。また、ゴムチューブ40は、図5(a)(b)に示すように、軸方向に貫通孔40aを有する中空円筒状に形成され、図6に示すように径方向の弾性変形が容易となっている。
【0028】
ただし、溝部41の溝幅(溝壁42,43の間隔)は、特許文献1などの従来例と相違する。図4中の一点鎖線Cは従来例の溝壁の形成位置を示し、ほぼ均一の溝幅に形成されている。
【0029】
これに対して溝部41の溝幅は、挟圧部32の前後方向の幅と略同等に形成されており、略中央が広く形成され、両端側にいくに従って次第に狭く形成されている。したがって、ゴムチューブ40は、溝部41内に収容嵌着される際に溝部41内と相似の弧状に弾性変形し、長手方向中央の横幅が幅広であるものの、両端側にいくに従って次第に幅狭に変形する。
【0030】
≪作用効果≫
前記まつ毛カール器21は、操作レバー27,28の開き角度を小さくすると可動挟圧体26が上昇し、固定挟圧体25の挟圧部32と可動挟圧体26のゴムチューブ40との間が挟圧され、まつ毛をカールすることが可能となる。このとき以下の効果を得ることができる。
【0031】
(1)特許文献1などの従来例は、前述のように固定挟圧体3の板厚が均一なため、挟圧時にまつ毛のすべてに同等な力が加わり、自然な形のカールが難しい。
【0032】
これに対して前記まつ毛カール器21は、幅広部33により挟圧部32の略中央が幅広に形成され、かつゴムチューブ40の略中央も幅広となっている。これにより挟圧時にまつ毛中央に当たる面積が広くなり、その曲げ幅を大きくでき、この点で美しいカールを実現可能となる。
【0033】
なお、挟圧部32に幅広部33が設けられているため、ゴムチューブ40への当たりが柔らかく、ゴムチューブ40が傷つき難い効果も得られる。
【0034】
(2)通常、人のまつ毛は瞼の真ん中で長く、瞼縁で短くなっている。この点につき従来例は、ゴム6の横幅が均一なため、瞼中央のまつ毛をカールできるものの、瞼縁のカールが不十分となり易い。
【0035】
これに対して前記まつ毛カール器21のゴムチューブ40は、溝部41内の収容嵌着時に両端側の横幅が狭く変形しているため、瞼縁のまつ毛に小さなカールを作ることができ、この点で全体的に自然なカールを実現できる。
【0036】
(3)従来例は、無垢のゴム6でまつ毛を挟圧するため、負荷が強く、まつ毛が切れるおそれがある。これに対して前記まつ毛カール器21は、中空のゴムチューブ40により挟圧するため、当たりが優しく、まつ毛を切るおそれがない。
【0037】
(4)ゴムチューブ40が破損した場合には、本体37の溝部41内に交換品を収容して嵌着させればいので、接着などの必要がなく、交換が容易である。
【0038】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載された範囲内で変形して実施することができる。例えばゴムチューブ40は、図7に示すように、中空の四角柱状に形成してもよいものとする。
【符号の説明】
【0039】
21…まつ毛カール器
22…支持杆
23…上端部
25…固定挟圧体
26…可動挟圧体
30…板状本体
33…幅広部
40…ゴムチューブ
41…溝部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8