IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社デンソーの特許一覧 ▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-運転支援装置および運転支援プログラム 図1
  • 特許-運転支援装置および運転支援プログラム 図2
  • 特許-運転支援装置および運転支援プログラム 図3
  • 特許-運転支援装置および運転支援プログラム 図4
  • 特許-運転支援装置および運転支援プログラム 図5
  • 特許-運転支援装置および運転支援プログラム 図6
  • 特許-運転支援装置および運転支援プログラム 図7
  • 特許-運転支援装置および運転支援プログラム 図8
  • 特許-運転支援装置および運転支援プログラム 図9
  • 特許-運転支援装置および運転支援プログラム 図10
  • 特許-運転支援装置および運転支援プログラム 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-24
(45)【発行日】2024-02-01
(54)【発明の名称】運転支援装置および運転支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20240125BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20240125BHJP
   B60W 30/16 20200101ALI20240125BHJP
   B60T 7/12 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
G08G1/16 E
G08G1/09 H
B60W30/16
B60T7/12 F
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019221485
(22)【出願日】2019-12-06
(65)【公開番号】P2021092852
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 知彦
(72)【発明者】
【氏名】増井 洋平
(72)【発明者】
【氏名】新野 洋章
(72)【発明者】
【氏名】小坂 勇士
(72)【発明者】
【氏名】手塚 雄貴
(72)【発明者】
【氏名】楠本 直紀
【審査官】増子 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-166509(JP,A)
【文献】特開平10-109564(JP,A)
【文献】特開2004-106588(JP,A)
【文献】特開2017-174204(JP,A)
【文献】特開2018-200593(JP,A)
【文献】特開2009-166729(JP,A)
【文献】特開2016-068684(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00 - 10/30
B60W 30/00 - 60/00
G08G 1/00 - 99/00
B60T 7/12 - 8/1769
B60T 8/32 - 8/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転支援装置であって、
車両(80)の前方に位置する先行車(90)の前照灯(91)の点灯状態と、前記先行車の加減速度とに基づいて、前記先行車のテールランプと兼用されている制動灯(92)が点灯したか否かを判定する判定部(S140)と、
前記先行車の制動灯(92)が点灯したか否かに基づいて、前記車両の目標加減速度(Aacc、Ab)を演算する演算部(S120、S150)と、
前記目標加減速度に応じた前記車両の加減速度となるように前記車両を制御する制御部(S200)と、
を備え、
前記先行車は、前記先行車の後部のうち幅方向に複数並ぶ前記制動灯とは異なる位置に配置され、前記制動灯の点灯に応じて点灯する補助制動灯(93)を備えており、
前記判定部は、
前記車両の前方の画像に映る前記先行車以外の背景の輝度の減少量が閾値以上であるとき、前記先行車の前照灯が点灯していると判定し、
前記減少量が前記閾値未満であるとき、前記先行車の前照灯が点灯していないと判定し、
前記先行車の前照灯が点灯していないとき、前記補助制動灯の点灯状態の判定をしないで、
前記先行車の前照灯(91)が点灯していることで前記先行車のテールランプが点灯している状態であり、かつ、前記補助制動灯に関する輝度が閾値以上であるとき、前記制動灯が点灯したと判定する運転支援装置。
【請求項2】
運転支援装置であって、
車両(80)の前方に位置する先行車(90)の前照灯(91)の点灯状態と、前記先行車の加減速度とに基づいて、前記先行車のテールランプと兼用されている制動灯(92)が点灯したか否かを判定する判定部(S140)と、
前記先行車の制動灯(92)が点灯したか否かに基づいて、前記車両の目標加減速度(Aacc、Ab)を演算する演算部(S120、S150)と、
前記目標加減速度に応じた前記車両の加減速度となるように前記車両を制御する制御部(S200)と、
を備え、
前記先行車は、前記先行車の後部のうち幅方向に複数並ぶ前記制動灯とは異なる位置に配置され、前記制動灯の点灯に応じて点灯する補助制動灯(93)を備えており、
前記判定部は、
前記先行車のテールランプの輝度の増加量が第1閾値以上、第2閾値未満であるとき、前記先行車のテールランプが点灯しており、前記先行車の制動灯(92)が点灯しておらず、前記先行車の前照灯が点灯していると判定し、
前記増加量が前記第2閾値以上であるとき、前記先行車のテールランプ、前照灯(91)および制動灯(92)が点灯していると判定し、
前記先行車の前照灯が点灯していないとき、前記補助制動灯の点灯状態の判定をしないで、
前記先行車の前照灯(91)が点灯していることで前記先行車のテールランプが点灯している状態であり、かつ、前記補助制動灯に関する輝度が閾値以上であるとき、前記制動灯が点灯したと判定する運転支援装置。
【請求項3】
運転支援装置であって、
車両(80)の前方に位置する先行車(90)の前照灯(91)の点灯状態と、前記先行車の加減速度とに基づいて、前記先行車のテールランプと兼用されている制動灯(92)が点灯したか否かを判定する判定部(S140)と、
前記先行車の制動灯(92)が点灯したか否かに基づいて、前記車両の目標加減速度(Aacc、Ab)を演算する演算部(S120、S150)と、
前記目標加減速度に応じた前記車両の加減速度となるように前記車両を制御する制御部(S200)と、
を備え、
前記先行車は、前記先行車の後部のうち幅方向に複数並ぶ前記制動灯とは異なる位置に配置され、前記制動灯の点灯に応じて点灯する補助制動灯(93)を備えており、
前記判定部は、
前記車両の外部からの日射量(Ms)が日射閾値(Ms_th)以上であるとき、前記先行車の前照灯(91)およびテールランプが点灯していないと判定し、
前記日射量が前記日射閾値未満であるとき、前記先行車の前照灯(91)およびテールランプが点灯していると判定し、
前記先行車の前照灯が点灯していないとき、前記補助制動灯の点灯状態の判定をしないで、
前記先行車の前照灯(91)が点灯していることで前記先行車のテールランプが点灯している状態であり、かつ、前記補助制動灯に関する輝度が閾値以上であるとき、前記制動灯が点灯したと判定する運転支援装置。
【請求項4】
運転支援装置であって、
車両(80)の前方に位置する先行車(90)の前照灯(91)の点灯状態と、前記先行車の加減速度とに基づいて、前記先行車のテールランプと兼用されている制動灯(92)が点灯したか否かを判定する判定部(S140)と、
前記先行車の制動灯(92)が点灯したか否かに基づいて、前記車両の目標加減速度(Aacc、Ab)を演算する演算部(S120、S150)と、
前記目標加減速度に応じた前記車両の加減速度となるように前記車両を制御する制御部(S200)と、
を備え、
前記先行車は、前記先行車の後部のうち幅方向に複数並ぶ前記制動灯とは異なる位置に配置され、前記制動灯の点灯に応じて点灯する補助制動灯(93)を備えており、
前記判定部は、
前記車両の前照灯(81)が点灯していないとき、前記先行車の前照灯(91)が点灯していないと判定し、
前記車両の前照灯(81)が点灯しているとき、前記先行車の前照灯(91)が点灯していると判定し、
前記先行車の前照灯が点灯していないとき、前記補助制動灯の点灯状態の判定をしないで、
前記先行車の前照灯(91)が点灯していることで前記先行車のテールランプが点灯している状態であり、かつ、前記補助制動灯に関する輝度が閾値以上であるとき、前記制動灯が点灯したと判定する運転支援装置。
【請求項5】
前記演算部は、前記車両(80)の速度(Vc)と、前記車両の前方に位置する前記先行車(90)の速度(Vf)と、前記車両の加減速度(Ac)と、前記先行車の加減速度(Af)と、前記車両および前記先行車の間の車間距離(Lp)とに基づいて算出される、前記車両および前記先行車の間の相対加減速度が一定であるとしたときの前記車両が前記先行車と衝突するまでの推定時間(ETTC)に基づいて、前記目標加減速度(Aacc、Ab)を演算する請求項1ないし4のいずれか1つに記載の運転支援装置。
【請求項6】
前記演算部は、前記先行車の制動灯(92)が点灯したと前記判定部が判定したとき、前記車両から前記先行車までの距離を一定にさせるACC用目標加減速度(Aacc)よりも前記車両を大きく減速させる制動用目標減速度(Ab)を演算し、
前記制御部は、前記制動用目標減速度に応じた前記車両の加減速度となるように前記車両を制御する請求項1ないしのいずれか1つに記載の運転支援装置。
【請求項7】
前記車両は、前記車両の前方を撮像するカメラ(12)を有しており、
前記車両および前記先行車とは異なる車両のうち前記カメラによって撮像された画像に映る車両である非制御車両(6)の制動灯(7)が点灯したとき、前記車両のブレーキパッド(75)とブレーキディスク(77)との間の隙間(D)を、前記非制御車両の制動灯が点灯していないときよりも小さくするプレフィル実行部(S190)をさらに備える請求項1ないしのいずれか1つに記載の運転支援装置。
【請求項8】
前記プレフィル実行部は、前記車両の前方の信号機(5)の点灯が赤色であるとき、前記ブレーキパッドと前記ブレーキディスクとの間の隙間(D)を、前記非制御車両の制動灯が点灯していないときよりも小さくする請求項に記載の運転支援装置。
【請求項9】
前記プレフィル実行部は、前記車両の速度(Vc)が速度閾値(Vc_th)よりも大きいとき、前記ブレーキパッドと前記ブレーキディスクとの間の隙間(D)を、前記非制御車両の制動灯が点灯していないときよりも小さくする請求項またはに記載の運転支援装置。
【請求項10】
前記プレフィル実行部は、前記車両および前記車両とは異なる物体の速度に基づく前記車両と前記物体との衝突余裕時間(TTC)が時間閾値(TTC_th)未満であるとき、前記ブレーキパッドと前記ブレーキディスクとの間の隙間(D)を、前記非制御車両の制動灯が点灯していないときよりも小さくする請求項ないしのいずれか1つに記載の運転支援装置。
【請求項11】
運転支援装置を、
車両(80)の前方に位置する先行車(90)の前照灯(91)の点灯状態と、前記先行車の加減速度とに基づいて、前記先行車のテールランプと兼用されている制動灯(92)が点灯したか否かを判定する判定部(S140)、
前記先行車の制動灯(92)が点灯したか否かに基づいて、前記車両の目標加減速度(Aacc、Ab)を演算する演算部(S120、S150)、および、
前記目標加減速度に応じた前記車両の加減速度となるように前記車両を制御する制御部(S200)として、機能させ、
前記先行車は、前記先行車の後部のうち幅方向に複数並ぶ前記制動灯とは異なる位置に配置され、前記制動灯の点灯に応じて点灯する補助制動灯(93)を備えており、
前記判定部は、
前記車両の前方の画像に映る前記先行車以外の背景の輝度の減少量が閾値以上であるとき、前記先行車の前照灯が点灯していると判定し、
前記減少量が前記閾値未満であるとき、前記先行車の前照灯が点灯していないと判定し、
前記先行車の前照灯が点灯していないとき、前記補助制動灯の点灯状態の判定をしないで、
前記先行車の前照灯(91)が点灯していることで前記先行車のテールランプが点灯している状態であり、かつ、前記補助制動灯に関する輝度が閾値以上であるとき、前記制動灯が点灯したと判定する運転支援プログラム。
【請求項12】
運転支援装置を、
車両(80)の前方に位置する先行車(90)の前照灯(91)の点灯状態と、前記先行車の加減速度とに基づいて、前記先行車のテールランプと兼用されている制動灯(92)が点灯したか否かを判定する判定部(S140)、
前記先行車の制動灯(92)が点灯したか否かに基づいて、前記車両の目標加減速度(Aacc、Ab)を演算する演算部(S120、S150)、および、
前記目標加減速度に応じた前記車両の加減速度となるように前記車両を制御する制御部(S200)として、機能させ、
前記先行車は、前記先行車の後部のうち幅方向に複数並ぶ前記制動灯とは異なる位置に配置され、前記制動灯の点灯に応じて点灯する補助制動灯(93)を備えており、
前記判定部は、
前記先行車のテールランプの輝度の増加量が第1閾値以上、第2閾値未満であるとき、前記先行車のテールランプが点灯しており、前記先行車の制動灯(92)が点灯しておらず、前記先行車の前照灯が点灯していると判定し、
前記増加量が前記第2閾値以上であるとき、前記先行車のテールランプ、前照灯(91)および制動灯(92)が点灯していると判定し、
前記先行車の前照灯が点灯していないとき、前記補助制動灯の点灯状態の判定をしないで、
前記先行車の前照灯(91)が点灯していることで前記先行車のテールランプが点灯している状態であり、かつ、前記補助制動灯に関する輝度が閾値以上であるとき、前記制動灯が点灯したと判定する運転支援プログラム。
【請求項13】
運転支援装置を、
車両(80)の前方に位置する先行車(90)の前照灯(91)の点灯状態と、前記先行車の加減速度とに基づいて、前記先行車のテールランプと兼用されている制動灯(92)が点灯したか否かを判定する判定部(S140)、
前記先行車の制動灯(92)が点灯したか否かに基づいて、前記車両の目標加減速度(Aacc、Ab)を演算する演算部(S120、S150)、および、
前記目標加減速度に応じた前記車両の加減速度となるように前記車両を制御する制御部(S200)として、機能させ、
前記先行車は、前記先行車の後部のうち幅方向に複数並ぶ前記制動灯とは異なる位置に配置され、前記制動灯の点灯に応じて点灯する補助制動灯(93)を備えており、
前記判定部は、
前記車両の外部からの日射量(Ms)が日射閾値(Ms_th)以上であるとき、前記先行車の前照灯(91)およびテールランプが点灯していないと判定し、
前記日射量が前記日射閾値未満であるとき、前記先行車の前照灯(91)およびテールランプが点灯していると判定し、
前記先行車の前照灯が点灯していないとき、前記補助制動灯の点灯状態の判定をしないで、
前記先行車の前照灯(91)が点灯していることで前記先行車のテールランプが点灯している状態であり、かつ、前記補助制動灯に関する輝度が閾値以上であるとき、前記制動灯が点灯したと判定する運転支援プログラム。
【請求項14】
運転支援装置を、
車両(80)の前方に位置する先行車(90)の前照灯(91)の点灯状態と、前記先行車の加減速度とに基づいて、前記先行車のテールランプと兼用されている制動灯(92)が点灯したか否かを判定する判定部(S140)、
前記先行車の制動灯(92)が点灯したか否かに基づいて、前記車両の目標加減速度(Aacc、Ab)を演算する演算部(S120、S150)、および、
前記目標加減速度に応じた前記車両の加減速度となるように前記車両を制御する制御部(S200)として、機能させ、
前記先行車は、前記先行車の後部のうち幅方向に複数並ぶ前記制動灯とは異なる位置に配置され、前記制動灯の点灯に応じて点灯する補助制動灯(93)を備えており、
前記判定部は、
前記車両の前照灯(81)が点灯していないとき、前記先行車の前照灯(91)が点灯していないと判定し、
前記車両の前照灯(81)が点灯しているとき、前記先行車の前照灯(91)が点灯していると判定し、
前記先行車の前照灯が点灯していないとき、前記補助制動灯の点灯状態の判定をしないで、
前記先行車の前照灯(91)が点灯していることで前記先行車のテールランプが点灯している状態であり、かつ、前記補助制動灯に関する輝度が閾値以上であるとき、前記制動灯が点灯したと判定する運転支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、運転支援装置および運転支援プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載されているように、車両の前方の先行車の制動灯の点灯状態に基づいて、その車両の目標加減速度を変化させる運転支援装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-68684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明者等の検討によれば、先行車の前照灯が点灯するとき、先行車の制動灯と兼用されるテールランプが点灯するため、先行車の制動灯が点灯し先行車が減速したと装置が誤認することがある。これにより、例えば、先行車が減速していないのに車両が減速することがある。したがって、車両は、適切に減速できないことがある。
【0005】
本開示は、先行車に追従する車両を適切に減速させる運転支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、運転支援装置であって、車両(80)の前方に位置する先行車(90)の前照灯(91)の点灯状態と、先行車の加減速度とに基づいて、先行車のテールランプと兼用されている制動灯(92)が点灯したか否かを判定する判定部(S140)と、先行車の制動灯(92)が点灯したか否かに基づいて、車両の目標加減速度(Aacc、Ab)を演算する演算部(S120、S150)と、目標加減速度に応じた車両の加減速度となるように車両を制御する制御部(S200)と、を備え、先行車は、先行車の後部のうち幅方向に複数並ぶ制動灯とは異なる位置に配置され、制動灯の点灯に応じて点灯する補助制動灯(93)を備えており、判定部は、車両の前方の画像に映る先行車以外の背景の輝度の減少量が閾値以上であるとき、先行車の前照灯が点灯していると判定し、減少量が閾値未満であるとき、先行車の前照灯が点灯していないと判定し、先行車の前照灯が点灯していないとき、補助制動灯の点灯状態の判定をしないで、先行車の前照灯(91)が点灯していることで先行車のテールランプが点灯している状態であり、かつ、補助制動灯に関する輝度が閾値以上であるとき、制動灯が点灯したと判定する運転支援装置である。
また、請求項2に記載の発明は、運転支援装置であって、車両(80)の前方に位置する先行車(90)の前照灯(91)の点灯状態と、先行車の加減速度とに基づいて、先行車のテールランプと兼用されている制動灯(92)が点灯したか否かを判定する判定部(S140)と、先行車の制動灯(92)が点灯したか否かに基づいて、車両の目標加減速度(Aacc、Ab)を演算する演算部(S120、S150)と、目標加減速度に応じた車両の加減速度となるように車両を制御する制御部(S200)と、を備え、先行車は、先行車の後部のうち幅方向に複数並ぶ制動灯とは異なる位置に配置され、制動灯の点灯に応じて点灯する補助制動灯(93)を備えており、判定部は、先行車のテールランプの輝度の増加量が第1閾値以上、第2閾値未満であるとき、先行車のテールランプが点灯しており、先行車の制動灯(92)が点灯しておらず、先行車の前照灯が点灯していると判定し、増加量が第2閾値以上であるとき、先行車のテールランプ、前照灯(91)および制動灯(92)が点灯していると判定し、先行車の前照灯が点灯していないとき、補助制動灯の点灯状態の判定をしないで、先行車の前照灯(91)が点灯していることで先行車のテールランプが点灯している状態であり、かつ、補助制動灯に関する輝度が閾値以上であるとき、制動灯が点灯したと判定する運転支援装置である。
【0007】
請求項3に記載の発明は、運転支援装置であって、車両(80)の前方に位置する先行車(90)の前照灯(91)の点灯状態と、先行車の加減速度とに基づいて、先行車のテールランプと兼用されている制動灯(92)が点灯したか否かを判定する判定部(S140)と、先行車の制動灯(92)が点灯したか否かに基づいて、車両の目標加減速度(Aacc、Ab)を演算する演算部(S120、S150)と、目標加減速度に応じた車両の加減速度となるように車両を制御する制御部(S200)と、を備え、先行車は、先行車の後部のうち幅方向に複数並ぶ制動灯とは異なる位置に配置され、制動灯の点灯に応じて点灯する補助制動灯(93)を備えており、判定部は、車両の外部からの日射量(Ms)が日射閾値(Ms_th)以上であるとき、先行車の前照灯(91)およびテールランプが点灯していないと判定し、日射量が日射閾値未満であるとき、先行車の前照灯(91)およびテールランプが点灯していると判定し、先行車の前照灯が点灯していないとき、補助制動灯の点灯状態の判定をしないで、先行車の前照灯(91)が点灯していることで先行車のテールランプが点灯している状態であり、かつ、補助制動灯に関する輝度が閾値以上であるとき、制動灯が点灯したと判定する運転支援装置である。
また、請求項4に記載の発明は、運転支援装置であって、車両(80)の前方に位置する先行車(90)の前照灯(91)の点灯状態と、先行車の加減速度とに基づいて、先行車のテールランプと兼用されている制動灯(92)が点灯したか否かを判定する判定部(S140)と、先行車の制動灯(92)が点灯したか否かに基づいて、車両の目標加減速度(Aacc、Ab)を演算する演算部(S120、S150)と、目標加減速度に応じた車両の加減速度となるように車両を制御する制御部(S200)と、を備え、先行車は、先行車の後部のうち幅方向に複数並ぶ制動灯とは異なる位置に配置され、制動灯の点灯に応じて点灯する補助制動灯(93)を備えており、判定部は、車両の前照灯(81)が点灯していないとき、先行車の前照灯(91)が点灯していないと判定し、車両の前照灯(81)が点灯しているとき、先行車の前照灯(91)が点灯していると判定し、先行車の前照灯が点灯していないとき、補助制動灯の点灯状態の判定をしないで、先行車の前照灯(91)が点灯していることで先行車のテールランプが点灯している状態であり、かつ、補助制動灯に関する輝度が閾値以上であるとき、制動灯が点灯したと判定する運転支援装置である。
【0008】
請求項11に記載の発明は、運転支援装置を、車両(80)の前方に位置する先行車(90)の前照灯(91)の点灯状態と、先行車の加減速度とに基づいて、先行車のテールランプと兼用されている制動灯(92)が点灯したか否かを判定する判定部(S140)、先行車の制動灯(92)が点灯したか否かに基づいて、車両の目標加減速度(Aacc、Ab)を演算する演算部(S120、S150)、および、目標加減速度に応じた車両の加減速度となるように車両を制御する制御部(S200)として、機能させ、先行車は、先行車の後部のうち幅方向に複数並ぶ制動灯とは異なる位置に配置され、制動灯の点灯に応じて点灯する補助制動灯(93)を備えており、判定部は、車両の前方の画像に映る先行車以外の背景の輝度の減少量が閾値以上であるとき、先行車の前照灯が点灯していると判定し、減少量が閾値未満であるとき、先行車の前照灯が点灯していないと判定し、先行車の前照灯が点灯していないとき、補助制動灯の点灯状態の判定をしないで、先行車の前照灯(91)が点灯していることで先行車のテールランプが点灯している状態であり、かつ、補助制動灯に関する輝度が閾値以上であるとき、制動灯が点灯したと判定する運転支援プログラムである。
また、請求項12に記載の発明は、運転支援装置を、車両(80)の前方に位置する先行車(90)の前照灯(91)の点灯状態と、先行車の加減速度とに基づいて、先行車のテールランプと兼用されている制動灯(92)が点灯したか否かを判定する判定部(S140)、先行車の制動灯(92)が点灯したか否かに基づいて、車両の目標加減速度(Aacc、Ab)を演算する演算部(S120、S150)、および、目標加減速度に応じた車両の加減速度となるように車両を制御する制御部(S200)として、機能させ、先行車は、先行車の後部のうち幅方向に複数並ぶ制動灯とは異なる位置に配置され、制動灯の点灯に応じて点灯する補助制動灯(93)を備えており、判定部は、先行車のテールランプの輝度の増加量が第1閾値以上、第2閾値未満であるとき、先行車のテールランプが点灯しており、先行車の制動灯(92)が点灯しておらず、先行車の前照灯が点灯していると判定し、増加量が第2閾値以上であるとき、先行車のテールランプ、前照灯(91)および制動灯(92)が点灯していると判定し、先行車の前照灯が点灯していないとき、補助制動灯の点灯状態の判定をしないで、先行車の前照灯(91)が点灯していることで先行車のテールランプが点灯している状態であり、かつ、補助制動灯に関する輝度が閾値以上であるとき、制動灯が点灯したと判定する運転支援プログラムである。
【0009】
請求項13に記載の発明は、運転支援装置を、車両(80)の前方に位置する先行車(90)の前照灯(91)の点灯状態と、先行車の加減速度とに基づいて、先行車のテールランプと兼用されている制動灯(92)が点灯したか否かを判定する判定部(S140)、先行車の制動灯(92)が点灯したか否かに基づいて、車両の目標加減速度(Aacc、Ab)を演算する演算部(S120、S150)、および、目標加減速度に応じた車両の加減速度となるように車両を制御する制御部(S200)として、機能させ、先行車は、先行車の後部のうち幅方向に複数並ぶ制動灯とは異なる位置に配置され、制動灯の点灯に応じて点灯する補助制動灯(93)を備えており、判定部は、車両の外部からの日射量(Ms)が日射閾値(Ms_th)以上であるとき、先行車の前照灯(91)およびテールランプが点灯していないと判定し、日射量が日射閾値未満であるとき、先行車の前照灯(91)およびテールランプが点灯していると判定し、先行車の前照灯が点灯していないとき、補助制動灯の点灯状態の判定をしないで、先行車の前照灯(91)が点灯していることで先行車のテールランプが点灯している状態であり、かつ、補助制動灯に関する輝度が閾値以上であるとき、制動灯が点灯したと判定する運転支援プログラムである。
また、請求項14に記載の発明は、運転支援装置を、車両(80)の前方に位置する先行車(90)の前照灯(91)の点灯状態と、先行車の加減速度とに基づいて、先行車のテールランプと兼用されている制動灯(92)が点灯したか否かを判定する判定部(S140)、先行車の制動灯(92)が点灯したか否かに基づいて、車両の目標加減速度(Aacc、Ab)を演算する演算部(S120、S150)、および、目標加減速度に応じた車両の加減速度となるように車両を制御する制御部(S200)として、機能させ、先行車は、先行車の後部のうち幅方向に複数並ぶ制動灯とは異なる位置に配置され、制動灯の点灯に応じて点灯する補助制動灯(93)を備えており、判定部は、車両の前照灯(81)が点灯していないとき、先行車の前照灯(91)が点灯していないと判定し、車両の前照灯(81)が点灯しているとき、先行車の前照灯(91)が点灯していると判定し、先行車の前照灯が点灯していないとき、補助制動灯の点灯状態の判定をしないで、先行車の前照灯(91)が点灯していることで先行車のテールランプが点灯している状態であり、かつ、補助制動灯に関する輝度が閾値以上であるとき、制動灯が点灯したと判定する運転支援プログラムである。
【0010】
これにより、先行車に追従する車両は、適切に減速できる。
【0011】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態の運転支援装置が用いられる車載システムの構成図。
図2】車両の模式図。
図3】車両のブレーキシステムの構成図。
図4】運転支援装置の処理を示すフローチャート。
図5】先行車の制動灯が点灯したと判定したときの模式図。
図6】先行車の後部のカメラ画像図。
図7】先行車の制動灯が点灯したと判定したときの模式図。
図8】時刻に対する減速度の関係図。
図9】信号機の赤灯が点灯したときのカメラ画像図。
図10】非制御車両の制動灯が点灯したときのカメラ画像図。
図11】ブレーキプレフィル制御を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0014】
本実施形態の運転支援装置50は、車両80の車載システム1に適用されており、車両80の走行を支援する。まず、この車載システム1について説明する。
【0015】
図1に示すように、車載システム1は、周辺監視センサ10、車両状態センサ20、入力操作部30、車車間通信機40、運転支援装置50、エンジンECU60、ブレーキECU65およびブレーキシステム70を備える。
【0016】
周辺監視センサ10は、車両80の周辺の環境に応じた信号を後述の運転支援装置50に出力する。具体的には、周辺監視センサ10は、日射センサ11、画像センサ12および探査波送受信部13を有する。
【0017】
日射センサ11は、車両80の外部からの日射量Msに応じた信号を運転支援装置50に出力する。
【0018】
画像センサ12は、カメラを有しており、車両80の前方、後方および側方を撮像する。また、画像センサ12は、この撮像したカメラ画像を運転支援装置50に出力するとともに、この撮像した画像に基づいて、車両80の周辺の障害物の種類等の情報を運転支援装置50に出力する。
【0019】
探査波送受信部13は、ミリ波、ソナーおよび赤外線等の探査波を車両80の前方の物体に送信する。また、探査波送受信部13は、この物体で反射された探査波を受信する。そして、探査波送受信部13は、この探査波から得られる情報に基づいて、車両80の前方の物体の位置、速度および加減速度に応じた信号を運転支援装置50に出力する。なお、ここでは、加減速度とは、加速度および減速度の両方を示す。また、加速度は、単位時間あたりの速度の増加分である。さらに、減速度は、単位時間あたりの速度の減少分である。また、ここでは、車両80が加速する方向を正方向とする。
【0020】
車両状態センサ20は、車両80の走行状態に応じた信号を運転支援装置50に出力する。具体的には、車両状態センサ20は、車速センサ21および慣性センサ22を有する。
【0021】
車速センサ21は、車両80の速度に応じた信号を運転支援装置50に出力する。
【0022】
慣性センサ22は、ジャイロセンサや加速度センサを含み、車両80の加減速度に応じた信号を運転支援装置50に出力する。
【0023】
入力操作部30は、車両80の運転者によって操作されることにより、各操作設定を示す信号を運転支援装置50に出力する。具体的には、入力操作部30は、ACCスイッチ31および前照灯スイッチ32を有する。
【0024】
ACCスイッチ31は、車両80の運転者によるオンオフ操作によって、後述の運転支援装置50のプログラムを実行させる。なお、ACCは、Adaptive Cruise Controlの略である。
【0025】
前照灯スイッチ32は、車両80の運転者によるオンオフ操作によって、図2に示すように、車両80の前照灯である自車前照灯81を点灯させる。
【0026】
車車間通信機40は、車両80の周辺に位置する別車両と車車間通信を行うことにより、別車両のアクセル操作状態、ブレーキ操作状態、前照灯操作状態、速度および加減速度等に関する情報である別車両情報を受信する。そして、車車間通信機40は、図1に示すように、この受信した別車両情報を運転支援装置50に出力する。
【0027】
運転支援装置50は、取得部、判定部、演算部、制御部、プレフィル実行部に対応しており、マイコン等を主体として構成されており、CPU、ROM、RAM、フラッシュメモリ、I/Oおよびこれらの構成を接続するバスライン等を備えている。また、運転支援装置50は、運転支援装置50のROMに記憶されているプログラムを実行すると、後述のエンジンECU60およびブレーキECU65に指令信号を出力する。
【0028】
エンジンECU60は、マイコン等を主体として構成されており、CPU、ROM、RAM、フラッシュメモリ、I/Oおよびこれらの構成を接続するバスライン等を備えている。また、エンジンECU60は、エンジンECU60のROMに記憶されているプログラムを実行すると、運転支援装置50からの信号に基づいて、車両80の図示しないエンジンを制御する。
【0029】
ブレーキECU65は、マイコン等を主体として構成されており、CPU、ROM、RAM、フラッシュメモリ、I/Oおよびこれらの構成を接続するバスライン等を備えている。また、ブレーキECU65は、ブレーキECU65のROMに記憶されているプログラムを実行すると、運転支援装置50からの信号に基づいて、車両80のブレーキシステム70を制御する。
【0030】
ブレーキシステム70は、図3に示すように、ブレーキペダル71、ストロークセンサ72およびマスタシリンダ73を有する。また、ブレーキシステム70は、ピストン74、2つのブレーキパッド75、ブレーキキャリパ76、ブレーキディスク77を1組として車両80の各車輪82に有する。
【0031】
ブレーキペダル71は、車両80の運転者によって踏まれる。ストロークセンサ72は、ブレーキペダル71のストローク量を検出する。マスタシリンダ73は、ブレーキペダル71の踏み込みに応じて油圧を発生させる。この発生した油圧は、各車輪82に対応するピストン74に流れる。このピストン74は、油圧により2つのブレーキパッド75をブレーキディスク77に接触させる。また、2つのブレーキパッド75は、ブレーキディスク77を互いで挟むように配置されている。さらに、ブレーキキャリパ76は、ピストン74および2つのブレーキパッド75を支持する。また、ブレーキディスク77は、車輪82とともに回転する。これにより、ブレーキシステム70では、ピストン74の油圧によりブレーキパッド75がブレーキディスク77に接触したとき、ブレーキディスク77の回転が減速されるため、ブレーキディスク77とともに回転する車輪82の回転も減速される。したがって、車両80は、減速される。
【0032】
以上のように、車載システム1は構成されている。ここでは、この車載システム1の運転支援装置50の処理により、車両80は、車両80の前方に位置する先行車90に追従走行する。
【0033】
次に、図4のフローチャートを参照して、運転支援装置50の処理について説明する。ここでは、ACCスイッチ31がオン、かつ、車両80の前方に位置する先行車90が検出されたとき、運転支援装置50は、運転支援装置50のROMに記憶されているプログラムを実行する。なお、車両80の前方に位置する先行車90の検出は、例えば、周辺監視センサ10によって車両80の前方の所定の範囲内に位置する別車両が検出されることにより行われる。そして、この周辺監視センサ10により検出された先行車90の情報が運転支援装置50に出力される。
【0034】
ステップS110において、運転支援装置50は、周辺監視センサ10、車両状態センサ20、入力操作部30および車車間通信機40から各種情報を取得する。例えば、運転支援装置50は、車両80と先行車90との間の車間距離、ならびに、先行車90の速度および加減速度を探査波送受信部13から取得する。また、運転支援装置50は、車両80の速度を車速センサ21から取得する。さらに、運転支援装置50は、画像センサ12により撮像されたカメラ画像を画像センサ12から取得する。なお、このとき、運転支援装置50は、先行車90の速度および加減速度を車車間通信機40から取得してもよい。
【0035】
続いて、ステップS120において、運転支援装置50は、例えば、以下関係式(1-1)に示すように、車両80と先行車90との車間距離を一定にさせる加減速度であるACC用目標加減速度Aaccを演算する。ここで、関係式(1-1)において、Lpは、車両80と先行車90との間の車間距離である。Ltは、車両80と先行車90との目標車間距離であって、以下関係式(1-2)のように示される。Vfは、先行車90の速度である。Vcは、車両80の速度である。K1は、車間距離と目標車間距離との誤差のフィードバックゲインであって、実験やシミュレーション等によって設定される。K2は、車両80に対する先行車90の相対速度の誤差のフィードバックゲインであって、実験やシミュレーション等によって設定される。また、関係式(1-2)において、hは、例えば、車両80が現時点の車両80の速度で走行するときに先行車90の位置に到達するまでの時間に基づいて設定される。Lsは、実験やシミュレーション等によって設定される定数である。
【0036】
【数1】
【0037】
続いて、ステップS130において、運転支援装置50は、ステップS110にて取得したカメラ画像およびそのカメラ画像の輝度のRGB値に基づいて、赤灯があるか否かを判定する。なお、ここでは、赤灯とは赤色灯を示す。
【0038】
例えば、運転支援装置50は、車両80の前方を映すカメラ画像上において、予め設定された画素ブロックを走査する。この場合に、この画素ブロック内における輝度のRGB値のうちR成分の平均が閾値以上であるとき、カメラ画像上の赤灯の位置が特定されつつ、処理は、ステップS140に移行する。また、この画素ブロック内における輝度のRGB値のうちR成分の平均が閾値未満であるとき、赤灯が検出されないため、処理は、ステップS200に移行する。
【0039】
ステップS130に続くステップS140において、運転支援装置50は、ステップS130にて検出した赤灯のうち先行車90の制動灯である先行車制動灯92が点灯したか否かを判定する。ここでは、運転支援装置50は、先行車90の前照灯である先行車前照灯91の点灯状態と、先行車90の加減速度と、先行車90の補助制動灯93の点灯状態とに基づいて、この判定を行う。なお、ここでは、先行車制動灯92は、先行車90のテールランプと兼用されている。
【0040】
具体的には、運転支援装置50は、ステップS110にて取得した車両80の前方の画像の輝度の時間変化である輝度変化に基づいて、先行車前照灯91が点灯しているか否かを判定する。ここで、例えば、車両80および先行車90がトンネルに入る場合や時間帯が昼から夜になる場合、車両80の前方の画像に映る先行車90以外における背景の輝度変化が閾値以上になる。このとき、運転支援装置50は、先行車前照灯91が点灯していると判定する。なお、この先行車前照灯91の点灯に関する輝度変化の閾値は、実験やシミュレーション等により設定される。
【0041】
また、先行車前照灯91が点灯している場合において、運転支援装置50は、ステップS110にて探査波送受信部13から取得した先行車90の加減速度に基づいて、先行車90が減速しているか否かを判定する。例えば、運転支援装置50は、先行車90の加減速度が負の値であるとき、先行車90が減速すると判定する。また、運転支援装置50は、先行車90の加減速度がゼロであるとき、先行車90が等速走行すると判定する。さらに、運転支援装置50は、先行車90の加減速度が正の値であるとき、先行車90が加速すると判定する。
【0042】
そして、運転支援装置50は、図5に示すように、先行車前照灯91が点灯し、かつ、先行車90が減速するとき、先行車制動灯92が点灯したと判定する。なお、図5において、先行車90の減速が模式的に矢印で示されている。
【0043】
また、運転支援装置50は、先行車前照灯91が点灯しているが、先行車90が等速走行および加速走行のいずれかをするとき、先行車制動灯92が点灯していないと判定する。さらに、車両80の前方の画像に映る先行車90以外の背景の輝度変化が閾値未満であるとき、運転支援装置50は、先行車前照灯91が点灯していないと判定する。そして、先行車前照灯91が点灯していない場合において、運転支援装置50は、先行車90の補助制動灯93の点灯状態に基づいて、先行車制動灯92が点灯したか否かを判定する。なお、先行車90の加減速度が検出されなかった場合においても、運転支援装置50は、先行車90の補助制動灯93の点灯状態に基づいて、先行車制動灯92が点灯したか否かを判定する。
【0044】
ここで、先行車制動灯92は、図6に示すように、先行車90の後部のうち幅方向に2つ並んで配置されている。また、先行車90の補助制動灯93は、先行車90の後部のうち先行車制動灯92とは異なる位置、例えば、先行車90の後部のうち中央上側に配置されている。さらに、先行車90の補助制動灯93は、先行車前照灯91の点灯状態に依存しないで、先行車制動灯92の点灯に応じて点灯する。
【0045】
このため、運転支援装置50は、ステップS110取得した画像に映る先行車90の後部の輝度に基づいて、先行車90の補助制動灯93の点灯状態を判定する。具体的には、運転支援装置50は、先行車90の補助制動灯93の輝度と、先行車90の補助制動灯93の周囲の輝度との差を比較する。例えば、先行車90の補助制動灯93の輝度と先行車90の後部のうち中央の輝度との差が閾値以上であるとき、先行車90の補助制動灯93が点灯するため、運転支援装置50は、図7に示すように、先行車制動灯92が点灯したと判定する。また、先行車90の補助制動灯93の輝度と先行車90の後部のうち中央の輝度との差が閾値未満であるとき、先行車90の補助制動灯93が点灯していないため、運転支援装置50は、先行車制動灯92が点灯していないと判定する。なお、この先行車90の補助制動灯93の点灯状態に関する輝度の閾値は、実験やシミュレーション等により設定される。
【0046】
このようにして、運転支援装置50は、先行車制動灯92が点灯したか否かを判定する。そして、先行車制動灯92が点灯したとき、処理は、ステップS150に移行する。また、先行車制動灯92が点灯していないとき、処理は、ステップS160に移行する。
【0047】
ステップS140に続くステップS150において、運転支援装置50は、ACC用目標加減速度Aaccよりも大きく車両80を減速させる減速度である制動用目標減速度Abを演算する。例えば、図8に示すように、制動用目標減速度Abの絶対値は、ACC用目標加減速度Aaccのうち減速度の絶対値よりも大きくなるように設定されている。また、ここでは、車両80の減速度を制動用目標減速度Abにする場合の時間に対する車両80の減速度の変化量は、車両80の減速度をACC用目標加減速度Aaccにする場合の時間に対する車両80の減速度の変化量よりも大きくなっている。その後、処理は、ステップS200に移行する。なお、図8の縦軸は、車両80の減速度の絶対値を示す。また、図8において、車両80の減速度を制動用目標減速度Abにする場合の時刻に対する減速度の変化が実線で記載されている。さらに、車両80の減速度をACC用目標加減速度Aaccにする場合の時刻に対する減速度の変化が破線で記載されている。
【0048】
ステップS140に続くステップS160において、運転支援装置50は、ステップS130にて検出した赤灯が信号機5の赤灯であるか否かを判定する。例えば、運転支援装置50は、予め設定された信号機5のテンプレート画像と画像センサ12のカメラ画像内に映る赤灯の物体とを照合することにより、そのカメラ画像に映る赤灯が信号機5の赤灯であるか否かを検出する。図9に示すように、そのカメラ画像に映る赤灯が信号機5の赤灯であるとき、処理は、ステップS170に移行する。
【0049】
また、運転支援装置50は、そのカメラ画像に映る信号機5を検出しないとき、ステップS130にて検出した赤灯が信号機5の赤灯ではないと判定する。その後、運転支援装置50は、ステップS130にて検出した赤灯が非制御車両6の制動灯7であるか否かを判定する。なお、ここでは、非制御車両6とは、車両80および先行車90以外の車両である。
【0050】
例えば、運転支援装置50は、画像センサ12のカメラ画像内に映る先行車90を除いて、予め設定された非制御車両6のテンプレート画像と赤灯の物体とを照合することにより、そのカメラ画像に映る赤灯が非制御車両6の制動灯7であるか否かを検出する。そして、図10に示すように、そのカメラ画像に映る赤灯が非制御車両6の制動灯7であるとき、処理は、ステップS170に移行する。また、運転支援装置50は、そのカメラ画像に映る非制御車両6を検出しなかったとき、ステップS130にて検出した赤灯が非制御車両6の制動灯7ではないと判定する。その後、処理は、ステップS200に移行する。なお、上記では、運転支援装置50は、信号機5の赤灯であるか否かの判定後に、非制御車両6の制動灯7であるか否かの判定を行っている。これに対して、運転支援装置50は、非制御車両6の制動灯7であるか否かの判定後に、信号機5の赤灯であるか否かの判定を行ってもよい。
【0051】
ステップS160に続くステップS170において、信号機5の赤灯が点灯または非制御車両6の制動灯7が点灯しているため、運転支援装置50は、先行車90、信号機5、非制御車両6等の各障害物と車両80とが衝突する可能性が高いか否かを判定する。具体的には、運転支援装置50は、車両80の速度であるVcが速度閾値Vc_thより大きいか否かを判定する。車両80の速度であるVcが速度閾値Vc_thより大きいとき、処理は、ステップS180に移行する。また、自車速度Vcが速度閾値Vc_th以下であるとき、処理は、ステップS200に移行する。なお、速度閾値Vc_thは、実験やシミュレーション等により設定される。
【0052】
ステップS170に続くステップS180において、運転支援装置50は、車両80と各障害物とが衝突する可能性が高いか否かを判定するために、車両80と各障害物とのTTCが時間閾値TTC_th未満であるか否かを判定する。具体的には、運転支援装置50は、車両80と各障害物との相対距離をそれぞれ演算する。また、運転支援装置50は、この各相対距離の方向に対応する車両80に対する各障害物の相対速度をそれぞれ演算する。そして、運転支援装置50は、障害物毎に、この演算した相対距離をこの相対距離に対応する相対速度で除算することにより、車両80と各障害物とのTTCをそれぞれ演算する。そして、TTCが時間閾値TTC_th未満であるとき、処理は、ステップS190に移行する。また、TTCが時間閾値TTC_th以上であるとき、処理は、ステップS200に移行する。なお、TTCは、Time to Collisionの略である。また、時間閾値TTC_thは、実験やシミュレーション等により設定される。
【0053】
ステップS180に続くステップS190において、車両80の速度であるVcが比較的速く、かつ、車両80と各障害物とのTTCが比較的短いため、車両80と各障害物とが衝突する可能性が比較的高い。したがって、運転支援装置50は、ブレーキプレフィル制御を実行する。具体的には、運転支援装置50は、この制御のための指令信号をブレーキECU65に出力する。ブレーキECU65は、この運転支援装置50からの信号により、車両80のブレーキシステム70を制御する。例えば、ブレーキシステム70の図示しない電動ポンプが制御されることにより、ブレーキシステム70のピストン74の油圧が上昇する。これにより、2つのブレーキパッド75がブレーキディスク77にそれぞれ接近する。このため、ブレーキパッド75とブレーキディスク77との隙間が小さくなる。ここで、ブレーキパッド75がブレーキディスク77に接触する方向におけるブレーキパッド75からブレーキディスク77までの距離をDとする。このとき、図11に示すように、このブレーキパッド75からブレーキディスク77までの距離であるDが、信号機5の赤灯が点灯していない、かつ、非制御車両6の制動灯7が点灯していないときと比較して小さくなる。したがって、このとき、車両80では、車両80の減速の応答性が高くなるため、車両80と各障害物とが衝突しにくくなる。その後、処理は、ステップS200に移行する。
【0054】
ステップS200において、運転支援装置50は、車両80の加減速度が目標加減速度となるように車両80の運転を支援する。
【0055】
具体的には、運転支援装置50は、ステップS150にて制動用目標減速度Abを演算していないとき、車両80の加減速度がACC用目標加減速度Aaccとなるようにする。この場合、例えば、車両80の加減速度がACC用目標加減速度Aaccよりも小さいとき、運転支援装置50は、この支援のための指令信号をエンジンECU60に出力する。このとき、エンジンECU60によって車両80の図示しないエンジンの回転数が上昇することにより、車両80の加減速度がACC用目標加減速度Aaccになる。また、例えば、車両80の加減速度がACC用目標加減速度Aaccよりも大きいとき、運転支援装置50は、この支援のための指令信号をブレーキECU65に出力する。このとき、ブレーキECU65によってブレーキシステム70のピストン74の油圧が上昇することにより、ブレーキパッド75とブレーキディスク77とが摩擦接触する。これにより、ブレーキディスク77とともに車輪82の回転が減速されるため、車両80が減速される。したがって、車両80の加減速度がACC用目標加減速度Aaccになる。
【0056】
よって、このように車両80の加減速度がACC用目標加減速度Aaccになることにより、車両80と先行車90との車間距離が維持される。これにより、車両80は、先行車90に追従走行する。
【0057】
また、運転支援装置50は、ステップS150にて制動用目標減速度Abを演算したとき、車両80の加減速度が制動用目標減速度Abとなるようにする。この場合、例えば、上記と同様に、ブレーキECU65によってブレーキシステム70のピストン74の油圧が上昇することにより、ブレーキパッド75とブレーキディスク77とが摩擦接触する。これにより、車両80が減速されるため、車両80の加減速度が制動用目標減速度Abになる。
【0058】
したがって、このように車両80の加減速度が制動用目標減速度Abになることにより、車両80と先行車90との車間距離が維持される。このため、車両80は、先行車90に追従走行する。また、ここでは、車両80の加減速度が、ACC用目標加減速度Aaccよりも大きく車両80を減速させる減速度である制動用目標減速度Abにされる。このため、車両80は、先行車90の減速に対し迅速に対応できるため、比較的安全に先行車90に追従走行する。
【0059】
以上のように、運転支援装置50の処理が行われることにより、車両80は、先行車90に追従走行する。
【0060】
次に、運転支援装置50によって、先行車90に追従する車両80が適切な減速を可能になることについて説明する。
【0061】
運転支援装置50は、先行車前照灯91の点灯状態と先行車90の加減速度とに基づいて、先行車制動灯92が点灯したか否かを判定する。具体的には、運転支援装置50は、図5に示すように、先行車前照灯91が点灯しており、かつ、先行車90が減速しているとき、先行車制動灯92が点灯したと判定する。これにより、先行車制動灯92と兼用されるテールランプが点灯しても、先行車90に追従する車両80は、車両80の減速の早出し等をすることができるため、適切に減速できる。
【0062】
また、運転支援装置50は、先行車制動灯92とは異なる位置の補助制動灯93の点灯状態に基づいて、先行車制動灯92が点灯したか否かを判定する。具体的には、運転支援装置50は、図7に示すように、先行車90の補助制動灯93が点灯したと判定したとき、先行車制動灯92が点灯したと判定する。これにより、上記と同様に、先行車制動灯92と兼用されるテールランプが点灯しても、先行車90に追従する車両80は、適切に減速できる。
【0063】
また、運転支援装置50は、以下に説明するような効果も奏する。
【0064】
図9および図10に示すように信号機5の赤灯または非制御車両6の制動灯7が点灯しており、車両80の速度であるVcが速度閾値Vc_thより大きく、かつ、TTCが時間閾値TTC_th未満であるとする。このとき、運転支援装置50は、ブレーキプレフィル制御を実行する。これにより、信号機5の赤灯が点灯していない、かつ、非制御車両6の制動灯7が点灯していないときと比較して、ブレーキパッド75とブレーキディスク77との隙間が小さくなる。具体的には、図11に示すように、ブレーキパッド75からブレーキディスク77までの距離であるDが、信号機5の赤灯が点灯していない、かつ、非制御車両6の制動灯7が点灯していないときと比較して小さくなる。これにより、車両80では、車両80の減速の応答性が高くなるため、車両80と各障害物との衝突が抑制される。
【0065】
(変形例1-1)
上記実施形態では、運転支援装置50は、画像センサ12から取得した車両80の前方の画像の輝度変化に基づいて、先行車前照灯91が点灯しているか否かを判定する。これに対して、この判定は、車両80の前方の画像の輝度変化に基づくことに限定されない。例えば、運転支援装置50は、車両80の外部からの日射量Msに基づいて、先行車前照灯91が点灯しているか否かを判定してもよい。具体的には、運転支援装置50は、ステップS110にて、上記情報に加えて、車両80の外部からの日射量Msを日射センサ11から取得する。ここで、この運転支援装置50により取得された日射量Msが日射閾値Ms_th以上、例えば、時間帯が昼であるとする。この場合、その周辺の環境が前照灯を点灯させる状況ではないため、運転支援装置50は、ステップS140にて先行車前照灯91が点灯していないと判定する。また、この運転支援装置50により取得された日射量Msが日射閾値Ms_th未満、例えば、車両80および先行車90がトンネルに入る場合や時間帯が夜であるとする。この場合、その周辺の環境が前照灯を点灯させる状況であるため、運転支援装置50は、ステップS140にて先行車前照灯91が点灯していると判定する。
【0066】
(変形例1-2)
また、運転支援装置50は、自車前照灯81の点灯状態、ここでは、前照灯スイッチ32のオンオフに基づいて、先行車前照灯91が点灯しているか否かを判定してもよい。具体的には、前照灯スイッチ32がオンであるとき、自車前照灯81が点灯しているため、先行車前照灯91も自車前照灯81と同様に点灯していると推定される。このため、運転支援装置50は、前照灯スイッチ32がオンであるとき、先行車前照灯91が点灯していると判定する。また、前照灯スイッチ32がオフであるとき、自車前照灯81が点灯していないため、先行車前照灯91も自車前照灯81と同様に点灯していないと推定される。このため、運転支援装置50は、前照灯スイッチ32がオフであるとき、先行車前照灯91が点灯していないと判定する。
【0067】
(変形例1-3)
また、運転支援装置50は、先行車90の前照灯のスイッチのオンオフに基づいて、先行車前照灯91が点灯しているか否かを判定してもよい。具体的には、車車間通信機40は、先行車90と車車間通信することにより、先行車90の前照灯のスイッチのオンオフを取得する。また、運転支援装置50は、ステップS110にて、上記情報に加えて、先行車90の前照灯のスイッチのオンオフを車車間通信機40から取得する。そして、先行車90の前照灯のスイッチがオンであるとき、運転支援装置50は、ステップS140にて、先行車制動灯92が点灯したと判定する。また、先行車90の前照灯のスイッチがオフであるとき、運転支援装置50は、先行車制動灯92が点灯していないと判定する。
【0068】
また、運転支援装置50は、車両80の前方の画像の輝度変化、車両80の外部からの日射量Ms、自車前照灯81の点灯状態、先行車90における前照灯のスイッチのオンオフの組み合わせに基づいて、先行車前照灯91が点灯しているか否かを判定してもよい。
【0069】
(変形例2-1)
上記実施形態では、運転支援装置50は、先行車前照灯91の点灯状態と、先行車90の加減速度と、先行車90の補助制動灯93の点灯状態とに基づいて、先行車制動灯92が点灯したか否かを判定する。運転支援装置50は、この組み合わせに基づいて、先行車制動灯92が点灯したか否かを判定することに限定されない。例えば、運転支援装置50は、ステップS110にて取得したカメラ画像において、先行車90の後部のうち左右の端部の輝度変化に基づいて、先行車制動灯92が点灯したか否かを判定してもよい。具体的には、運転支援装置50は、先行車制動灯92が点灯していないときである通常状態からの輝度変化に基づいて、先行車制動灯92が点灯したか否かを判定する。
【0070】
ここで、先行車制動灯92のうちのテールランプが点灯したときの輝度は、先行車90のブレーキ操作によって先行車制動灯92が点灯したときの輝度よりも小さい。したがって、通常状態からの先行車90の後部のうち左右の端部の輝度の変化量が第1閾値以上、第2閾値未満であるとき、先行車制動灯92のうちのテールランプが点灯したことが推定される。このため、このとき、運転支援装置50は、先行車制動灯92が点灯していないと判定する。また、通常状態からの先行車90の後部のうち左右の端部の輝度の変化量が第2閾値以上であるとき、先行車90のブレーキ操作により先行車制動灯92が点灯したことが推定される。このため、このとき、運転支援装置50は、先行車制動灯92が点灯したと判定する。なお、第1閾値および第2閾値は、実験やシミュレーション等により設定される。
【0071】
(変形例2-2)
また、例えば、運転支援装置50は、加減速度を考慮した衝突余裕時間ETTCに基づいて、先行車制動灯92が点灯したか否かを判定してもよい。具体的には、運転支援装置50は、ステップS140にて、以下関係式(2)に示すように、加減速度を考慮した衝突余裕時間ETTCを演算する。なお、ETTCは、Enhanced Time to Collisionの略である。また、関係式(2)において、Vfは、上記したように、先行車90の速度である。Vcは、上記したように、車両80の速度である。Afは、先行車90の加減速度である。Acは、車両80の加減速度である。Lpは、上記したように、車両80と先行車90との間の車間距離である。
【0072】
【数2】
【0073】
そして、運転支援装置50は、ステップS140にて前回演算した衝突余裕時間ETTCと比較して衝突余裕時間ETTCが減少したとき、先行車制動灯92が点灯したと判定する。また、このとき、運転支援装置50は、ステップS140に続くステップS150において、加減速度を考慮した衝突余裕時間ETTCに基づいて、制動用目標減速度Abを演算してもよい。例えば、運転支援装置50は、加減速度を考慮した衝突余裕時間ETTCが短くなるに伴い、制動用目標減速度Abの絶対値が大きくなるように、ここでは、車両80の減速が大きくなるように制動用目標減速度Abを演算する。なお、運転支援装置50は、前回演算した衝突余裕時間ETTCと比較して衝突余裕時間ETTCが変化していないとき、先行車制動灯92が点灯していないと判定する。また、運転支援装置50は、前回演算した衝突余裕時間ETTCと比較して衝突余裕時間ETTCが増加したとき、先行車制動灯92が点灯していないと判定する。
【0074】
(変形例2-3)
また、例えば、運転支援装置50は、先行車90のブレーキ操作状態に基づいて、先行車制動灯92が点灯したか否かを判定してもよい。具体的には、車車間通信機40は、先行車90と車車間通信することにより、先行車90のブレーキ操作状態を取得する。また、運転支援装置50は、ステップS110にて、上記情報に加えて、先行車90のブレーキ操作状態を車車間通信機40から取得する。そして、先行車90のブレーキ用ペダルが踏まれているとき、運転支援装置50は、ステップS140にて、先行車制動灯92が点灯したと判定する。また、先行車90のブレーキ用ペダルが踏まれていないとき、運転支援装置50は、先行車制動灯92が点灯していないと判定する。
【0075】
また、運転支援装置50は、先行車前照灯91の点灯状態、先行車90の加減速度、先行車90の補助制動灯93の点灯状態、加減速度を考慮した衝突余裕時間ETTC、先行車90のブレーキ操作状態の組み合わせに基づいて、上記判定をしてもよい。
【0076】
(他の実施形態)
本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、上記実施形態に対して、適宜変更が可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0077】
本開示に記載の制御部等およびその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部等およびその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部等およびその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0078】
(1)上記実施形態では、運転支援装置50は、先行車前照灯91の点灯状態、先行車90の加減速度、先行車90の補助制動灯93の点灯状態の組み合わせに基づいて、先行車制動灯92が点灯したか否かを判定する。これに対して、運転支援装置50は、先行車前照灯91の点灯状態、先行車90の加減速度の2つの条件のみに基づいて、先行車制動灯92が点灯したか否かを判定してもよい。また、運転支援装置50は、先行車90の補助制動灯93の点灯状態のみに基づいて、先行車制動灯92が点灯したか否かを判定してもよい。
【0079】
(2)上記実施形態では、運転支援装置50は、上記関係式(1-1)のK1、Lp、Lt、K2、Vf、Vcに基づいて、ACC用目標加減速度Aaccを演算する。なお、上記したように、Lpは、車両80と先行車90との間の車間距離である。Ltは、車両80と先行車90との目標車間距離であって、上記関係式(1-2)のように示される。Vfは、先行車90の速度である。Vcは、車両80の速度である。K1は、車間距離と目標車間距離との誤差のフィードバックゲインである。K2は、車両80に対する先行車90の相対速度の誤差のフィードバックゲインである。hは、車両80が現時点の車両80の速度で走行するとき、先行車90の位置に到達するまでの時間である。Lsは、実験やシミュレーション等により設定される定数である。
【0080】
これに対して、運転支援装置50は、上記関係式(1-1)のK1、Lp、Lt、K2、Vf、Vcに基づいて、ACC用目標加減速度Aaccを演算することに限定されない。例えば、運転支援装置50は、加減速度を考慮した衝突余裕時間ETTCに基づいて、ACC用目標加減速度Aaccを演算してもよい。具体的には、運転支援装置50は、加減速度を考慮した衝突余裕時間ETTCが減少するとき、例えば、車両80と先行車90とが接近するとき、ACC用目標加減速度Aaccのうち減速度が大きくなるように、ACC用目標加減速度Aaccを演算してもよい。また、運転支援装置50は、加減速度を考慮した衝突余裕時間ETTCが増加するとき、例えば、車両80と先行車90とが離れるとき、ACC用目標加減速度Aaccのうち加速度が大きくなるように、ACC用目標加減速度Aaccを演算する。
【0081】
(3)上記実施形態では、車両80は、内燃機関を有する。これに対して、車両80は、内燃機関を有することに限定されない。例えば、車両80は、電気自動車やハイブリット自動車等の電動車両および燃料電池自動車であってもよい。
【0082】
(4)上記実施形態では、運転支援装置50は、ステップS110にて取得した車両80の前方の画像の輝度の時間変化である輝度変化に基づいて、先行車前照灯91が点灯しているか否かを判定する。これに対して、この判定は、輝度変化に基づくことに限定されない。例えば、運転支援装置50は、ステップS110にて取得した車両80の前方の画像の輝度および輝度勾配に基づいて、先行車前照灯91が点灯しているか否かを判定してもよい。また、上記実施形態では、運転支援装置50は、ステップS110取得した画像に映る先行車90の後部の輝度に基づいて、先行車90の補助制動灯93の点灯状態を判定する。これに対して、この判定は、輝度に基づくことに限定されない。例えば、運転支援装置50は、輝度変化および輝度勾配に基づいて、先行車90の補助制動灯93の点灯状態を判定してもよい。
【符号の説明】
【0083】
50 運転支援装置
60 エンジンECU
65 ブレーキECU
70 ブレーキシステム
80 車両
81 自車前照灯
90 先行車
91 先行車前照灯
92 先行車制動灯
93 補助制動灯
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11