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  • 特許-高炉樋及び高炉樋の施工方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-24
(45)【発行日】2024-02-01
(54)【発明の名称】高炉樋及び高炉樋の施工方法
(51)【国際特許分類】
   C21B 7/14 20060101AFI20240125BHJP
   F27D 1/04 20060101ALI20240125BHJP
   F27D 3/14 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
C21B7/14 302
F27D1/04 Z
F27D3/14 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023120837
(22)【出願日】2023-07-25
【審査請求日】2023-07-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001971
【氏名又は名称】品川リフラクトリーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 建司
(72)【発明者】
【氏名】荻上 栞奈
(72)【発明者】
【氏名】田中 稔
【審査官】池田 安希子
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-332512(JP,A)
【文献】実開昭54-007206(JP,U)
【文献】特開2001-021271(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21B 7/00 - 9/16
B22D 33/00 - 47/02
F27D 3/14
F27D 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
列状に配置される複数の耐火ブロック部材を備える高炉樋において、
前記耐火ブロック部材を列状に複数個接合することによって形成される溝状の第一層と、
前記第一層の上に、前記耐火ブロック部材を列状に複数個接合することによって形成される溝状の第二層と、
長手方向における前記第一層と前記第二層の相対的位置を規定する係止部と、を備え、
前記第一層における耐火ブロック部材の接合部分の位置と、前記第二層における耐火ブロック部材の接合部分の位置とが、長手方向において互いにずれており、
前記係止部が、前記第一層及び前記第二層の両方にわたって係合可能な、係止用耐火部材を備えて構成されており、
前記第一層に形成された凹部と、前記第二層に形成された凹部とによって収容空間が形成され、前記係止用耐火部材が前記収容空間に収容されている高炉樋。
【請求項2】
前記第二層の凹部が、2つの前記耐火ブロック部材に分割されている請求項に記載の高炉樋。
【請求項3】
前記第二層の耐火ブロック部材の接合部分に、段差及び傾斜面のうちの少なくとも一つが形成されている請求項に記載の高炉樋。
【請求項4】
前記収容空間と前記係止用耐火部材が、前記第二層の外側面及び外底面のうちの少なくとも一方に設けられている請求項1~3のいずれか一項に記載の高炉樋。
【請求項5】
前記係止用耐火部材を収容した後に生じる前記収容空間における隙間が、充填材で埋められている請求項1~3のいずれか一項に記載の高炉樋
【請求項6】
請求項1に記載の高炉樋の施工方法であって、
耐火ブロック部材を列状に複数個接合することによって溝状の第一層を形成することと、
前記第一層の上に、耐火ブロック部材を列状に複数個接合することによって溝状の第二層を形成することと、を包含し、
前記第一層における耐火ブロック部材の接合部分の位置と、前記第二層における耐火ブロック部材の接合部分の位置とを、長手方向において互いにずらしつつ、前記第一層と前記第二層とを互いに係止させる高炉樋の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐火ブロック部材を列状に複数個並べることによって形成される溝状の溶融通路を備える高炉樋及びその施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の高炉樋としては、例えば、以下の特許文献1~3に示されるように、プレキャスト工法によって製造されるものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-077167号公報
【文献】特開2014-077168号公報
【文献】特開平08-001310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1及び2では、高炉樋に耐火ブロック部材を使用することで省力化と高耐用化を実現するとともに、溶融物が流れる方向に対して左右に耐火ブロック部材を分割して、耐火ブロック部材同士の接合面を不連続に配置する事で目地損傷の軽減を図っている。しかしながら、溶融物の流れる方向の接合面に関しては、稼働終了後の冷却された際に目地開きが発生しやすく、複数回使用する事が困難な問題があった。また、目地が多くなる事により、溶銑等粘度の低い溶融物が通った場合、溶融物が目地に差し込む危険性が高い。
【0005】
一方、特許文献3では、挿入煉瓦により小型煉瓦をつなぎとめ、目地開きを防止している。しかしながら、溶融物に接している挿入煉瓦が浸食等により破損した場合には目地開きを起こし溶融物が目地に差し込む危険性が高い。
【0006】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、耐火ブロック部材間の目地開きを防止して、溶融金属、溶滓等の溶融物の目地への差し込みを防止すると共に、溶融物の目地への差し込みが発生した場合においても樋外への溶融物の漏れを防止する高炉樋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る高炉樋の特徴は、
列状に配置される複数の耐火ブロック部材を備える高炉樋において、
前記耐火ブロック部材を列状に複数個接合することによって形成される溝状の第一層と、
前記第一層の上に、前記耐火ブロック部材を列状に複数個接合することによって形成される溝状の第二層と、
長手方向における前記第一層と前記第二層の相対的位置を規定する係止部と、を備え、
前記第一層における耐火ブロック部材の接合部分の位置と、前記第二層における耐火ブロック部材の接合部分の位置とが、長手方向において互いにずれており、
前記係止部が、前記第一層及び前記第二層の両方にわたって係合可能な、係止用耐火部材を備えて構成されており、
前記第一層に形成された凹部と、前記第二層に形成された凹部とによって収容空間が形成され、前記係止用耐火部材が前記収容空間に収容されている点にある。
【0009】
本発明に係る高炉樋においては、前記第二層の凹部が、2つの前記耐火ブロック部材に分割されていると好適である。
【0010】
本発明に係る高炉樋においては、前記第二層の耐火ブロック部材の接合部分に、段差及び傾斜面のうちの少なくとも一つが形成されていると好適である。
【0011】
本発明に係る高炉樋においては、前記収容空間と前記係止用耐火部材が、前記第二層の外側面及び外底面のうちの少なくとも一方に設けられていると好適である。
【0012】
本発明に係る高炉樋においては、前記係止用耐火部材を収容した後に生じる前記収容空間における隙間が、充填材で埋められていると好適である。
【0013】
本発明に係る高炉樋の施工方法の特徴は、
上述の高炉樋の施工方法であって、
耐火ブロック部材を列状に複数個接合することによって溝状の第一層を形成することと、
前記第一層の上に、耐火ブロック部材を列状に複数個接合することによって溝状の第二層を形成することと、を包含し、
前記第一層における耐火ブロック部材の接合部分の位置と、前記第二層における耐火ブロック部材の接合部分の位置とを、長手方向において互いにずらしつつ、前記第一層と前記第二層とを互いに係止させる点にある。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、第一層における耐火ブロック部材の接合部分の位置と、第二層における耐火ブロック部材の接合部分の位置とが、長手方向において互いにずれていることから、たとえ第二層の耐火ブロック部材に溶融物の差し込みが発生した場合においても、第一層の耐火ブロック部材によって留めておくことができる。また、長手方向における第一層と第二層との相対的位置を規定する係止部を備えることによって、第一層及び第二層のそれぞれにおける耐火ブロック部材の接合部分の目地開きを防止することができる。その結果、一旦稼働終了し冷却された高炉樋においても耐火ブロック部材間の目地開きが発生せずに、漏銑等の溶融物が漏れるリスクを大幅に低減することができる。さらに、補修無しで再度稼働する事ができることにより、補修工期、作業負荷、耐火物原単位を低減することができる。また、第一層の耐火ブロック部材に損傷が無い場合は、第二層の耐火ブロック部材のみを交換することで、補修の作業負荷、及び耐火物原単位を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】高炉樋の外観斜視図である。
図2】溶融物が流れる方向から見た場合の高炉樋の縦断面の概略構成図である。
図3】高炉樋の長手方向に沿う縦断面の概略構成図である。
図4】別実施形態に係る高炉樋の長手方向に沿う縦断面の概略構成図である。
図5】別実施形態に係る高炉樋の長手方向に沿う縦断面の概略構成図である。
図6】別実施形態に係る高炉樋の平面の概略構成図である。
図7】溶融物が流れる方向から見た場合の別実施形態に係る高炉樋の縦断面の概略構成図である。
図8】別実施形態に係る高炉樋の長手方向に沿う縦断面の概略構成図である。
図9】別実施形態に係る高炉樋の平面の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(高炉樋)
本発明に係る高炉樋1の実施形態について、図面を参照しながら説明をする。
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る高炉樋1は、列状に配置される複数の耐火ブロック部材を備える高炉樋1であって、第一耐火ブロック部材20を列状に複数個接合することによって形成される溝状の第一層2と、第一層2の上に、第二耐火ブロック部材30を列状に複数個接合することによって形成される溝状の第二層3と、を備える。尚、第二層3の長手方向に溝状の溶湯通路35が形成される。
【0017】
第一層2を構成する第一耐火ブロック部材20は、底部21と、底部21の右端側に立設する右側壁部22と、底部21の左端側に立設する左側壁部23とを備え、縦断面形状が略Uの字状の形状となっている。尚、本実施形態のごとく、第一耐火ブロック部材20の、右側壁部22の内側面と、左側壁部23の内側面とは、底部21の側ほど幅が狭くなるように傾斜していることが望ましい。
【0018】
第二層3を構成する第二耐火ブロック部材30は、底部31と、底部31の右端側に立設する右側壁部32と、底部31の左端側に立設する左側壁部33とを備え、縦断面形状が略Uの字状の形状となっている。尚、本実施形態のごとく、右側壁32部の内側面と、左側壁部33の内側面とは、底部31の側ほど幅が狭くなるように傾斜していることが望ましい。
【0019】
第二耐火ブロック部材30は、第一耐火ブロック部材20の内側に嵌め込むことができるように寸法設計されており、第二耐火ブロック部材30の右側壁部32の外側面、左側壁部33の外側面、外底面のそれぞれが、第一耐火ブロック部材20の右側壁部22の内側面、左側壁部23の内側面、底部21に密着する。このため、本実施形態のごとく、第一耐火ブロック部材20の右側壁部22の内側面と左側壁部23の内側面とが底部21の側ほど幅が狭くなるように傾斜している場合、これに合わせて、第二耐火ブロック部材30の右側壁部32の外側面と左側壁部33の外側面は、外底面の側ほど幅が狭くなるように傾斜する傾斜面となる。
【0020】
本実施形態に係る高炉樋1は、長手方向における第一層2と第二層3の相対的位置を規定する係止部4を備えており、これにより長手方向における第一層2に対する第二層3の位置が固定される。
【0021】
本実施形態においては、係止部4が、第一耐火ブロック部材20及び第二耐火ブロック部材30の一方に設けられた凹部40,42と、他方に設けられた凸部41,43とによって構成される。また、凸部は、接合する2つの耐火ブロック部材に分割されている。
【0022】
詳細には、図3に示すように、第一耐火ブロック部材20は、その接合部分24を両端として、中間部分に凹部40が設けられ、且つその両端部分のそれぞれに凸部41の一部が設けられており、第一耐火ブロック部材20同士を接合することによって、その接合部分24に凸部41が形成される。また、第二耐火ブロック部材30についても同様に、その接合部分34を両端として、中間部分に凹部42が設けられ、且つその両端部分のそれぞれに凸部43の一部が設けられており、第二耐火ブロック部材30同士を接合することによって、その接合部分に凸部43が形成される。
【0023】
この場合、係止部4は、第一耐火ブロック部材20に設けられている凹部40と第二耐火ブロック部材30に設けられている凸部43とが係合可能に構成されている第一係止部分、及び第一耐火ブロック部材20に設けられている凸部41と第二耐火ブロック部材30に設けられている凹部42とが係合可能に構成されている第二係止部分を備えて構成される。
【0024】
尚、図示しないが、第一耐火ブロック部材20及び第二耐火ブロック部材30の構成については、上述の形態に限らず、その接合部分を両端として、中間部分に凸部が設けられ、且つその両端部分のそれぞれに凹部の一部が設けられており、第一耐火ブロック部材20及び第二耐火ブロック部材30のそれぞれを、複数接合することによって、その接合部分に凹部が形成されるような構成としても良い。この場合も、係止部4は、第一層2の耐火ブロック部材に設けられている凹部と第二層3の耐火ブロック部材に設けられている凸部とが係合可能に構成されている第一係止部分、及び第一層2の耐火ブロック部材に設けられている凸部と、第二層3の耐火ブロック部材に設けられている凹部とが係合可能に構成されている第二係止部分を備えて構成される。
【0025】
図3に示される形態では、第二耐火ブロック部材30の接合部分34が垂直面となっているが、この構成に限定されるものではなく、他にも例えば、図4に示すように第二耐火ブロック部材30の接合部分34に段差を形成しても良く、或いは図5に示すように第二耐火ブロック部材30の接合部分34に傾斜面を形成しても良い。このように接合部分に段差や傾斜面を形成することによって、溶銑の流れによる浮き上がりが生じ難くなり、第二耐火ブロック部材30の位置ずれを防止することができる。
【0026】
上述の実施形態では、第二耐火ブロック部材30に設けられる凹部42及び凸部43が、第二耐火ブロック部材30の外底面に設けられており、第一耐火ブロック部材20に設けられる凹部40及び凸部41が、第一耐火ブロック部材20の底部21の上面に設けられている構成が示されているがこの構成に限定されるものでない。
【0027】
他にも例えば、図6に示されるように、第二耐火ブロック部材30の外側面、即ち第二耐火ブロック部材30の右側壁部32の外側面と左側壁部33の外側面に、凹部42及び凸部43が設けられており、第一耐火ブロック部材20の右側壁部22の内側面と左側壁部23の内側面に、凹部40及び凸部41が設けられている構成としても良い。即ち、第二耐火ブロック部材30に設けられる凹部42又は凸部43が、第二耐火ブロック部材30の外側面及び外底面のうちの少なくとも一方に設けられているように構成しても良い(勿論、第一耐火ブロック部材20における凹部40又は凸部41については、第二耐火ブロック部材30の凹部42又は凸部43に対応して設けられる)。
【0028】
図7図9に示されるように、係止部4については、上述の実施形態に限定されるものではなく、他にも例えば、係止部4が、第一層2及び第二層3の両方にわたって係合可能な、係止用耐火部材5を備えて構成されているものとしてもよい。
【0029】
本実施形態においては、第一耐火ブロック部材20に凹部40が形成されている。第二耐火ブロック部材30の構成については、その接合部分34を両端として、中間部分に凸部43が設けられ、且つその両端部分のそれぞれに凹部42の一部が設けられており、第二耐火ブロック部材30を、複数接合することによって、その接合部分34に凹部42が形成される。そして、第一耐火ブロック部材20に凹部40と、第二耐火ブロック部材30の凹部42とによって、係止用耐火部材5を収容するための収容空間Sを形成することができるように構成されている。第一耐火ブロック部材20と第二耐火ブロック部材30の両方にわたる係止用耐火部材5を設けることによって、長手方向における第一層2に対する第二層3の位置が固定される。この構成によれば、第一層2の第一耐火ブロック部材20と第二層3の第二耐火ブロック部材30との間に係止用耐火部材5が設けられており、係止用耐火部材5が溶融物に直接接触するものではないため、浸食等により破損が発生し難い。尚、図9に示されるように、係止用耐火部材5を収容空間Sに収容した後に隙間が生じる場合は、その隙間にモルタルなどの充填材6を詰めて埋めるようにしても良い。
【0030】
図7図9に示される実施形態では、第二耐火ブロック部材30の外側面及び外底面の両方に、係止用耐火部材5を設ける構成が示されているが、この構成に限定されるものではなく、第二耐火ブロック部材30の外側面及び外底面のうちの少なくとも一方に設けられているように構成しても良い。
【0031】
上述の第一耐火ブロック部材20、第二耐火ブロック部材30、及び係止用耐火部材5に使用可能な主要原料としては、例えば、シリカ・アルミナ系原料またはMgO-Al系スピネル原料、炭化珪素原料などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、必要に応じて、例えば各種バインダーや、分散剤、硬化時間調整剤、爆裂防止剤、酸化防止剤等のような各種添加剤を使用しても良い。
【0032】
上記耐火ブロック部材及び係止用耐火部材は、原料粉砕工程、混合・混練工程、成形工程、乾燥・熱処理工程、焼成工程、及び加工・仕上げ工程などを含む、公知の耐火物製造方法によって製造することができる。
【0033】
(高炉樋の施工方法)
上述の実施形態における高炉樋1の施工方法は、第一耐火ブロック部材20を列状に複数個接合することによって溝状の第一層2を形成する工程と、第一層2の上に、第二耐火ブロック部材30を列状に複数個接合することによって溝状の第二層3を形成する工程と、を包含し、
第二層3を形成する工程において、第一耐火ブロック部材20の接合部分24の位置と、第二耐火ブロック部材30の接合部分34の位置とを、長手方向において互いにずらしつつ、係止部4を介して、第二層3を第一層2に対して係止させる。
【0034】
〔その他の実施形態〕
1.上述の実施形態における高炉樋は、第一層及び第二層を備えて構成されているが、この構成に限定されるものではなく、第三層、第四層、・・・と、必要に応じてさらなる層を備えるように構成しても良い。
【0035】
2.本発明に係る高炉樋の施工方法は、上述の実施形態に限定されるものではなく、他にも例えば、第一層を構成する耐火ブロック部材と第二層を構成する耐火ブロック部材とを予め組み合わせたものを複数作成しておき、現場において、その組み合わせたものを、長手方向に順次繋ぎ合わせていくことによって、施工するようにしても良い。この場合の施工方法にも、耐火ブロック部材を列状に複数個接合することによって溝状の第一層を形成することと、前記第一層の上に、耐火ブロック部材を列状に複数個接合することによって溝状の第二層を形成すること、が包含される。
【0036】
尚、上述のように図面を参照しつつ本発明を説明したが、本発明は当該図面の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において様々な態様で実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明に係る高炉樋は、例えば、溶融金属や溶滓などを運ぶ経路として、滓樋、溶銑樋、傾注樋、主樋等に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 高炉樋
2 第一層
20 第一耐火ブロック部材
21 底部
22 右側壁部
23 左側壁部
24 接合部分
3 第二層
30 第二耐火ブロック部材
31 底部
32 右側壁部
33 左側壁部
34 接合部分
35 溶湯通路
4 係止部
40 第一耐火ブロック部材の凹部
41 第一耐火ブロック部材の凸部
42 第二耐火ブロック部材の凹部
43 第二耐火ブロック部材の凸部
5 係止用耐火部材
6 充填材
S 収容空間
【要約】
【課題】耐火ブロック部材間の目地開きを防止して、溶融金属、溶滓等の溶融物の目地への差し込みを防止すると共に、溶融物の目地への差し込みが発生した場合においても樋外への溶融物の漏れを防止する高炉樋を提供すること。
【解決手段】列状に配置される複数の耐火ブロック部材を備える高炉樋1において、耐火ブロック部材20を列状に複数個接合することによって形成される溝状の第一層2と、第一層2の上に、耐火ブロック部材30を列状に複数個接合することによって形成される溝状の第二層3と、長手方向における第一層2と第二層3の相対的位置を規定する係止部4と、を備え、第一層2における耐火ブロック部20材の接合部分24の位置と、第二層3における耐火ブロック部材30の接合部分34の位置とが、長手方向において互いにずれている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9