(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-24
(45)【発行日】2024-02-01
(54)【発明の名称】音響デバイス及び発音装置
(51)【国際特許分類】
H04R 17/00 20060101AFI20240125BHJP
【FI】
H04R17/00
(21)【出願番号】P 2020041752
(22)【出願日】2020-03-11
【審査請求日】2022-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 晃
(72)【発明者】
【氏名】木嶋 薫
【審査官】大野 弘
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/067707(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電素子と、
前記圧電素子が配置されている筐体と、を備え、
前記筐体は、
前記圧電素子が配置されている振動面を含む振動部と、前記振動面と交差する第一方向に前記振動部から延在してい
る支持部とを含む本体部と、
前記本体部に接続されていると共に、前記振動面に沿った第二方向から見て、前記第二方向と交差する第三方向
に延在しているリブ部と、を有し、
前記筐体には、前記振動部と前
記支持部とによって画定されている中空領域と、前記リブ部と前記本体部とによって画定されていると共に前記中空領域に連通する開口と、が形成されており、
前記リブ部は、前記第二方向から見て、前記中空領域の中央を覆って
おり、
前記リブ部と前記本体部とによって画定されている前記開口は、前記第一方向に貫通している、音響デバイス。
【請求項2】
圧電素子と、
前記圧電素子が配置されている筐体と、を備え、
前記筐体は、
前記圧電素子が配置されている振動面を含む振動部と、前記振動面と交差する第一方向に前記振動部から延在している支持部とを含む本体部と、
前記本体部に接続されていると共に、前記振動面に沿った第二方向から見て、前記第二方向と交差する第三方向に延在しているリブ部と、を有し、
前記筐体には、前記振動部と前記支持部とによって画定されている中空領域と、前記リブ部と前記本体部とによって画定されていると共に前記中空領域に連通する開口と、が形成されており、
前記リブ部は、前記第二方向から見て、前記中空領域の中央を覆っており、
前記リブ部は、前記本体部に接続されている一対の端部と、前記一対の端部に接続されていると共に前記本体部から離間している中央部とを有し、
前記中央部は、前記圧電素子に面していると共に前記第二方向において前記圧電素子から離れるように湾曲した湾曲面を有する、音響デバイス。
【請求項3】
前記湾曲面は、前記一対の端部に連続して接続されており、前記一対の端部から離れるほど前記圧電素子から離れるように湾曲している、請求項
2に記載の音響デバイス。
【請求項4】
前記中央部は、複数の前記湾曲面を含み、前記第一方向から見て、互いに隣り合う前記湾曲面に挟まれた位置から前記振動部に向かって突出した突出部を有する、請求項
2に記載の音響デバイス。
【請求項5】
圧電素子と、
前記圧電素子が配置されている筐体と、を備え、
前記筐体は、
前記圧電素子が配置されている振動面を含む振動部と、前記振動面と交差する第一方向に前記振動部から延在している支持部とを含む本体部と、
前記本体部に接続されていると共に、前記振動面に沿った第二方向から見て、前記第二方向と交差する第三方向に延在しているリブ部と、を有し、
前記筐体には、前記振動部と前記支持部とによって画定されている中空領域と、前記リブ部と前記本体部とによって画定されていると共に前記中空領域に連通する開口と、が形成されており、
前記リブ部は、前記第二方向から見て、前記中空領域の中央を覆っており、
前記筐体は、互いに異なる位置において前記本体部に接続されている複数の前記リブ部を有し、
前記複数のリブ部は、各前記リブ部に対応する前記第二方向から見て、前記中空領域の中央を覆っている、音響デバイス。
【請求項6】
各前記支持部は、前記振動部に沿って延在していると共に前記振動部に接続されている第一縁と、前記第一方向において前記第一縁の反対側に位置している第二縁とを含み、
前記各支持部の前記第二縁は、前記第二方向から見て、前記第一方向において前記リブ部よりも前記振動面から離れている、請求項1から5のいずれか一項に記載の音響デバイス。
【請求項7】
前記本体部は、前記振動部の縁に沿って配置されている複数の前記支持部を含んでおり、
前記リブ部は、前記第三方向において互いに対向していると共に互いに離間している一対の前記支持部の間において前記第三方向に延在しており、
前記中空領域は、前記振動部と前記複数の支持部とによって画定されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の音響デバイス。
【請求項8】
請求項1から
7のうちいずれか一項に記載の音響デバイスと、
前記振動面と対向すると共に前
記支持部が接続されている取付面を有するカバー部材と、を備える、発音装置。
【請求項9】
音響デバイスと、
カバー部材と、を備え、
前記音響デバイスは、
圧電素子と、
前記圧電素子が配置されている筐体と、を備え、
前記筐体は、
前記圧電素子が配置されている振動面を含む振動部と、前記振動面と交差する第一方向に前記振動部から延在している支持部とを含む本体部と、
前記本体部に接続されていると共に、前記振動面に沿った第二方向から見て、前記第二方向と交差する第三方向に延在しているリブ部と、を有し、
前記カバー部材は、前記振動面と対向すると共に前記支持部が接続されている取付面を有し、
前記筐体には、前記振動部と前記支持部とによって画定されている中空領域と、前記リブ部と前記本体部とによって画定されていると共に前記中空領域に連通する開口と、が形成されており、
前記リブ部は、前記第二方向から見て、前記中空領域の中央を覆っており、
前記第二方向から見た場合に、前記カバー部材と一対の前記支持部と前記リブ部とによって画定されている開口が形成されている
、発音装置
。
【請求項10】
前記本体部は、前記振動部の縁に沿って配置されている複数の前記支持部を含んでおり、
前記リブ部は、前記第三方向において互いに対向していると共に互いに離間している一対の前記支持部の間において前記第三方向に延在しており、
前記中空領域は、前記振動部と前記複数の支持部とによって画定されている、請求項9に記載の発音装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音響デバイス及び発音装置に関する。
【背景技術】
【0002】
圧電素子を有する音響デバイスが知られている(たとえば特許文献1)。特許文献1に記載の音響デバイスでは、圧電素子は振動板の振動面に設けられている。圧電素子の駆動によって振動面が振動し、振動面の振動に応じて音が発せられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような音響デバイスは、カバー部材に設けられることでスピーカ又はブザーなどの発音装置として機能する。カバー部材は、たとえば、窓、壁、又は他の機能を有するデバイスの筐体などの別部材である。たとえば、音源に応じた電気信号を圧電素子に対して入力することで、入力した電気信号に応じて圧電素子が駆動する。圧電素子の駆動によって、上記カバー部材に設けられた振動板の振動面が振動する。この結果、上記音響デバイスは、カバー部材に設けられた状態で、音源に応じた音が発せられる。しかし、振動板がカバー部材に設けられた状態では、振動面がカバー部材に拘束されるため、音圧レベルが向上され難い。
【0005】
振動面が大気以外の物質と接する面積を低減することで、音響デバイスがカバー部材に設けられた状態において振動面に対する拘束が抑制される構造も検討されている。しかし、単に振動面に対する拘束が抑制されても、所望の周波数の音圧レベルが向上されないおそれがある。ヒトの可聴域において異なる周波数間の音圧レベルが変化すれば、ヒトが感じる音の大きさの比が異なる音程間で変化する。周波数ごとの音圧レベルを調整することで、より音源に近づけた音を発することができる。このため、所望の周波数帯域における音圧レベルが調整される構成が求められている。
【0006】
本発明の一つの態様は、カバー部材に設けられた状態において、所望の周波数帯域における音圧レベルが調整された音を発することができる音響デバイスを提供することを目的とする。本発明の別の態様は、所望の周波数帯域における音圧レベルが調整された音を発することができる発音装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一つの態様における音響デバイスは、圧電素子と、圧電素子が配置されている筐体とを備えている。筐体は、本体部と、リブ部とを有している。本体部は、振動部と複数の支持部とを含んでいる。振動部は、圧電素子が配置されている振動面を含んでいる。複数の支持部は、振動面と交差する第一方向に振動部から延在している。複数の支持部は、振動部の縁に沿って配置されている。リブ部は、本体部に接続されている。リブ部は、振動面に沿った第二方向から見て、第二方向と交差する第三方向において互いに対向していると共に互いに離間している一対の上記支持部の間において、第三方向に延在している。筐体には、中空領域と開口とが形成されている。中空領域は、振動部と複数の支持部とによって画定されている。上記開口は、リブ部と本体部とによって画定されていると共に中空領域に連通している。リブ部は、第二方向から見て、中空領域の中央を覆っている。
【0008】
この音響デバイスでは、第二方向から見て、リブ部が、振動部と複数の支持部とによって画定されている中空領域の中央を覆っている。この構成によれば、当該音響デバイスがカバー部材に設けられた状態において音が発せられる場合に、リブ部によって所望の周波数帯域における音圧レベルが調整される。換言すれば、この音響デバイスは、カバー部材に設けられた状態において、所望の周波数帯域における音圧レベルが調整された音を発することができる。
【0009】
上記一つの態様では、リブ部と本体部とによって画定されている上記開口は、第一方向に貫通していてもよい。この構成によれば、音響デバイスがカバー部材に設けられた状態において音を発する場合に、リブ部によって所望の周波数帯域における音圧レベルが調整されながら、全体の周波数帯域の音圧レベルが向上し得る。
【0010】
上記一つの態様では、各支持部は、第一縁と、第二縁とを含んでいてもよい。第一縁は、振動部に沿って延在していると共に振動部に接続されていてもよい。第二縁は、第一方向において第一縁の反対側に位置していてもよい。各支持部の第二縁は、第二方向から見て、第一方向においてリブ部よりも振動面から離れていてもよい。この構成によれば、音響デバイスがカバー部材に設けられた状態において、当該カバー部材とリブ部との間に中空領域に連通する開口が形成され得る。このため、当該音響デバイスがカバー部材に設けられた状態において音を発する場合に、リブ部によって所望の周波数帯域における音圧レベルが調整されながら、全体の周波数帯域の音圧レベルがさらに向上し得る。
【0011】
上記一つの態様では、リブ部は、一対の端部と、中央部とを有してもよい。一対の端部は、本体部に接続されていてもよい。中央部は、一対の端部に接続されていると共に本体部から離間していてもよい。中央部は、湾曲面を有していてもよい。湾曲面は、圧電素子に面していると共に第二方向において圧電素子から離れるように湾曲していてもよい。この構成によれば、音響デバイスがカバー部材に設けられた状態において音を発する場合に、リブ部によって所望の周波数帯域における音圧レベルがより適切に調整され得る。
【0012】
上記一つの態様では、湾曲面は、一対の端部に連続して接続されていてもよい。湾曲面は、一対の端部から離れるほど圧電素子から離れるように湾曲していてもよい。この構成によれば、音響デバイスがカバー部材に設けられた状態において音を発する場合に、リブ部によって所望の周波数帯域における音圧レベルがより適切に調整され得る。
【0013】
上記一つの態様では、中央部は、複数の湾曲面を含んでもよい。中央部は、突出部を有してもよい。突出部は、第一方向から見て、互いに隣り合う湾曲面に挟まれた位置から振動部に向かって突出していてもよい。この構成によれば、音響デバイスがカバー部材に設けられた状態において音を発する場合に、リブ部によって所望の周波数帯域における音圧レベルがより適切に抑制され得る。
【0014】
上記一つの態様では、筐体は、複数の上記リブ部を有していてもよい。複数のリブ部は、互いに異なる位置において本体部に接続されていてもよい。複数のリブ部は、各リブ部に対応する第二方向から見て、中空領域の中央を覆っていてもよい。この構成によれば、筐体は複数のリブ部を有し、各リブ部は第二方向から見て中空領域の中央を覆っている。この構成によれば、当該音響デバイスが音響デバイスがカバー部材に設けられた状態において音を発する場合に、各リブ部によって所望の周波数帯域における音圧レベルがより適切に調整され得る。全体の周波数帯域の音圧レベルがさらに向上し得る。
【0015】
本発明の別の態様における発音装置は、上述の音響デバイスと、カバー部材とを備えている。カバー部材は、上記振動面と対向すると共に複数の支持部が接続されている取付面を有している。
【0016】
この発音装置では、第二方向から見て、リブ部が、振動部と複数の支持部によって画定されている中空領域の中央を覆っている。この構成によれば、リブ部によって所望の周波数帯域における音圧レベルが調整される。このため、この発音装置は、所望の周波数帯域における音圧レベルが調整された音を発することができる。
【0017】
上記別の態様では、第二方向から見た場合に、カバー部材と一対の支持部とリブ部とによって画定されている開口が形成されていてもよい。この場合、カバー部材とリブ部との間に開口が形成されているため、リブ部によって所望の周波数帯域における音圧レベルが調整されながら、全体の周波数帯域の音圧レベルがさらに向上する。
【0018】
本発明のさらに別の態様における音響デバイスは、圧電素子と、圧電素子が配置されている筐体とを備えている。筐体は、本体部と、リブ部とを有している。本体部は、振動部と支持部とを含んでいる。振動部は、圧電素子が配置されている振動面を含んでいる。支持部は、振動面と交差する第一方向に振動部から延在している。リブ部は、本体部に接続されている。リブ部は、振動面に沿った第二方向から見て、第二方向と交差する第三方向に延在している。筐体には、中空領域と開口とが形成されている。中空領域は、振動部と支持部とによって画定されている。上記開口は、リブ部と本体部とによって画定されていると共に中空領域に連通している。リブ部は、第二方向から見て、中空領域の中央を覆っている。
【0019】
この音響デバイスでは、第二方向から見て、リブ部が、振動部と支持部とによって画定されている中空領域の中央を覆っている。この構成によれば、当該音響デバイスがカバー部材に設けられた状態において音が発せられる場合に、リブ部によって所望の周波数帯域における音圧レベルが調整される。換言すれば、この音響デバイスは、カバー部材に設けられた状態において、所望の周波数帯域における音圧レベルが調整された音を発することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一つの態様は、音響デバイスがカバー部材に設けられた状態において、所望の周波数帯域における音圧レベルが調整された音を発することができる音響デバイスを提供する。本発明の別の態様は、所望の周波数帯域における音圧レベルが調整された音を発することができる発音装置を提供する。本発明のさらに別の態様は、音響デバイスがカバー部材に設けられた状態において、所望の周波数帯域における音圧レベルが調整された音を発することができる音響デバイスを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本実施形態にかかる発音装置の斜視図である。
【
図6】本実施形態の変形例における音響デバイスの平面図である。
【
図7】本実施形態の変形例における音響デバイスの斜視図である。
【
図8】本実施形態の別の変形例における音響デバイスの正面図である。
【
図9】本実施形態の別の変形例における音響デバイスのリブ部の斜視図である。
【
図10】本実施形態の別の変形例における音響デバイスの平面図である。
【
図11】本実施形態の別の変形例における音響デバイスの側面図である。
【
図12】発音装置における周波数ごとの音圧レベルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態が詳細に説明される。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号が用いられ、重複する説明は省略される。
【0023】
図1から
図5を参照して、本実施形態にかかる発音装置及び発音装置に含まれる音響デバイスの構成を説明する。発音装置1は、たとえば、スピーカとして機能する。
図1は、発音装置の斜視図である。
図1では、音響デバイスの座標軸をXYZ軸で示している。X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに直交している。
【0024】
発音装置1は、カバー部材2と、音響デバイス3とを備えている。カバー部材2は、音響デバイス3を設ける取付面2aを有している。カバー部材2は、たとえば、板状の部材である。カバー部材2は、音響デバイス3と一体に構成されていてもよいし、音響デバイス3と別体として構成されていてもよい。カバー部材2は、たとえば、窓、壁、又は音響デバイス3とは別の機能を持った装置の筐体であってもよい。音響デバイス3は、カバー部材2の取付面2aに設けられた状態で動作する。
【0025】
図2は、音響デバイスの平面図である。
図3は、音響デバイスの斜視図である。
図4は、発音装置1の正面図である。
図5は、音響デバイスの側面図である。
図2から
図5は、音響デバイスの座標軸をXYZ軸で示している。音響デバイス3は、圧電素子10と、配線部材20と、筐体30とを備えている。圧電素子10は、筐体30に収容され、配線部材20から電力を供給されることで動作する。本実施形態の変形例として、音響デバイス3は、配線部材20を備えずに、後から音響デバイス3の動作時に配線部材を取り付ける構成であってもよい。
【0026】
圧電素子10は、圧電素体10aと、一対の外部電極(不図示)と、を有している。圧電素体10aは、複数の圧電体層(不図示)が積層されて構成されている。各圧電体層は、圧電材料からなる。本実施形態では、各圧電体層は、圧電セラミック材料からなる。圧電セラミック材料には、たとえば、PZT[Pb(Zr、Ti)O3]、PT(PbTiO3)、PLZT[(Pb,La)(Zr、Ti)O3]、又はチタン酸バリウム(BaTiO3)が用いられる。各圧電体層は、たとえば、上述した圧電セラミック材料を含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成されている。実際の圧電素体10aでは、各圧電体層は、各圧電体層の間の境界が認識できない程度に一体化されている。圧電素体10a内には、複数の内部電極(不図示)が配置されている。各内部電極は、導電性材料からなる。導電性材料には、たとえば、Ag、Pd、又はAg-Pd合金が用いられる。
【0027】
配線部材20は、たとえば、フレキシブルプリント基板(FPC:Flexible Printed Circuit)である。配線部材20は、圧電素子10の各外部電極に電気的に接続されている。配線部材20は、圧電素子10と電気的かつ物理的に接続されている一端部と、音響デバイス3が搭載される電子機器(不図示)と電気的かつ物理的に接続されている他端部とを有している。
【0028】
筐体30は、カバー部材2との間に圧電素子10を収容している。筐体30は、本体部31とリブ部35とを有している。圧電素子10は、本体部31に配置されている。リブ部35は、本体部31に接続されている。筐体30は、本体部31の縁とリブ部35の縁とによって画定されている開口S1を有している。
図2に示されているように、開口S1は、Z軸方向に音響デバイス3を貫通している。本体部31は、振動部32と、支持部33とを有している。筐体30を構成する材料は、たとえば、ポリカーボネート樹脂とABS樹脂との合成材、ABS樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、及び、液晶ポリマー樹脂を含んでいる。
【0029】
振動部32は、圧電素子10の変位に応じて振動する振動板として機能する。振動部32は、平板形状を呈しており、一対の主面α,βを有している。本実施形態では、主面α,βは、平面である。主面αと主面βとは、互いに反対側に位置している。各主面α,βは、Z軸方向に直交する。各主面α、βは、X軸方向及びY軸方向に沿っている。本実施形態では、各主面α、βは、X軸方向及びY軸方向に平行である。主面βは、Z軸方向においてカバー部材2の取付面2aと対向する。圧電素子10は、たとえば、接着剤又は両面テープなどの接着部材によって、主面βに配置されている。圧電素子10は、たとえば、主面βに直交する方向から見て、主面βの中央に配置されている。主面βは、圧電素子10の動作に応じて振動する振動面である。たとえば、圧電素子10は、主面β上に配置され、動作時に主面βを振動させる。
【0030】
振動部32は、主面βを画定する縁32a,32b,32c,32dを含んでいる。本実施形態では、振動部32は、主面βに直交する方向から見て、縁32a,32b,32c,32dによって画定されている矩形状である。主面βは、矩形状の平面である。縁32aと縁32cとは、X軸方向において互いに反対側に位置している。縁32bと縁32dとは、Y軸方向において互いに反対側に位置している。
【0031】
支持部33は、振動部32を支持している。支持部33は、振動部32の主面βに沿って延在しており、振動部32の主面βに接続されている。支持部33は、それぞれ、振動部32の縁32b,32c,32dに沿って配置されている。本実施形態では、支持部33は、振動部32の縁32b,32c,32dに接続されている。本実施形態の変形例として、支持部33は、振動部32の縁から離間して、振動部32の縁に沿って配置されていてもよい。支持部33は、主面βと交差する方向に振動部32から延在している。本実施形態では、支持部33は、主面βからZ軸方向に延在している。
【0032】
支持部33は、筐体30がカバー部材2の取付面2aに取付られた状態において、主面βからカバー部材2の取付面2aに向かって延在している。支持部33は、カバー部材2と振動部32の主面βとが離間するように、振動部32を支持する。支持部33は、カバー部材2の取付面2aに接続されている。
【0033】
筐体30には、振動部32と支持部33とによって画定されている中空領域Vが形成されている。換言すれば、中空領域Vは、振動部32と支持部33とによって囲まれた空間である。筐体30がカバー部材2の取付面2aに取付られた状態において、中空領域Vは、取付面2aと、振動部32と、支持部33とによって画定される。圧電素子10は、中空領域Vに収容されている。中空領域Vは、開口S1に連通している。
【0034】
配線部材20は、カバー部材2と支持部33との間を通って、中空領域Vから外部に延在している。本実施形態の変形例として、支持部33と取付面2aとの間に緩衝部材が設けられてもよい。この場合、配線部材20は、緩衝部材と支持部33との間を通って、中空領域Vから中空領域Vの外部に延在していてもよい。緩衝部材を構成する材料は、たとえば、ゴム、ウレタン樹脂、及び、フェノール樹脂を含んでいる。ゴムは、発泡ブチルゴムを含んでいる。
【0035】
支持部33は、複数の支持部34a,34b,34cを含んでいる。本実施形態では、複数の支持部34a,34b,34cは、互いに一体に接続されている。支持部34a及び支持部34bは、それぞれ支持部33の一端部及び他端部である。各支持部34a,34b,34cは、平板形状を呈している。各支持部34a,34b,34cは、は、平面視で矩形状であり、縁33a,33b,33c,33dを含んでいる。縁33aと縁33cとは、X軸方向において互いに反対側に位置している。縁33bと縁33dとは、Z軸方向において互いに反対側に位置している。縁33b,33dの長さは、縁33a,33cの長さよりも大きい。各支持部34a,34b,34cは、の縁33b,33dは、主面βに沿って延在している。本実施形態では、縁33b,33dは、主面βに平行である。各支持部34a,34b,34cは、の縁33a,33cは、主面βと交差する方向に延在している。各支持部34a,34b,34cは、の縁33bは、振動部32の主面βに接続されている。本実施形態の変形例として、複数の支持部34a,34b,34cは、互いに離間していてもよい。当該変形例において、支持部33は、支持部34cを含んでいなくてもよい。
【0036】
支持部34aと支持部34bとは、Y軸方向において互いに対向していると共に互いに離間している。支持部34aと支持部34bとは、X軸方向から見てY軸方向において圧電素子10を挟むように位置している。支持部34cは、一対の支持部34a,34bに接続されている。支持部34cの縁33aは支持部34aの縁33cと連結されており、支持部34cの縁33cは支持部34bの縁33cと連結されている。圧電素子10は、複数の支持部34a,34b,34cに囲まれている。圧電素子10は、一対の支持部34a,34bの対向方向において、支持部34a,34bの間に位置している。本実施形態では、圧電素子10は、Y軸方向から見て、支持部34aの縁33aと縁33cとの間に位置していると共に、支持部34bの縁33aと縁33cとの間に位置している。
【0037】
本実施形態では、支持部34a,34b,34cの縁33bは、それぞれ、振動部32の縁32b,32c,32dに連結されており、連結された縁32b,32c,32dに沿って延在している。複数の支持部34a,34b,34cは、振動部32の縁32b,32c,32dから主面βと直交する方向に延在している。各支持部34a,34b,34cの縁33a,33cは、Z軸方向に延在している。支持部34cの縁33b,33dは、Y軸方向に延在している。一対の支持部34a,34bの縁33b,33dは、Z軸方向に直交すると共にY軸方向に交差する方向に延在している。筐体30がカバー部材2の取付面2aに取付られた状態において、中空領域Vは、取付面2aと、振動部32の縁32aと、支持部34aの縁33aと、支持部34bの縁33aとによって画定される。
【0038】
本実施形態では、配線部材20は、支持部34cの縁32dと取付面2aとの間を通って、中空領域Vから中空領域Vの外側に延在している。音響デバイス3がカバー部材2に取り付けられた状態において、配線部材20は、支持部34cの縁32dに接している。
【0039】
本体部31には、振動部32の縁32aと、支持部34aの縁33aと、支持部34bの縁33aとによって画定されている開口S2が形成されている。開口S2は、中空領域Vに連通している。本実施形態では、開口S2は、X軸方向から見て、振動部32の縁32aと支持部34aの縁33aと支持部34bの縁33aとを3辺とする矩形状を呈している。筐体30がカバー部材2の取付面2aに取付られた状態において、開口S2は、取付面2aと、振動部32の縁32aと、支持部34aの縁33aと、支持部34bの縁33aとによって画定される。
【0040】
リブ部35は、本体部31に接続されている。本実施形態では、リブ部35は、支持部34aの縁33aと支持部34bの縁33aとに接続されている。リブ部35は、一対の支持部34a,34bが互いに対向する方向に延在している。リブ部35は、Y軸方向に長辺が延在する長尺形状を有している。リブ部35は、X軸方向から見て、一対の支持部34a,34bの間においてY軸方向に延在している。
【0041】
リブ部35は、X軸方向から見て、少なくとも開口S2の中央を覆っている。換言すれば、リブ部35は、X軸方向から見て、中空領域Vの中央を覆っている。「領域の中央を覆う」とは、少なくとも領域の幾何中心を覆うことを意味する。本実施形態では、リブ部35のXY軸平面による断面形状は、Z軸方向において同一である。リブ部35のZ軸方向における幅は、たとえば、1~10mm程度である。
図1に示されている構成では、リブ部35のZ軸方向における幅は、5mmである。
【0042】
リブ部35は、一対の端部36,37と、一対の端部36,37に接続されている中央部38とを有している。一対の端部36,37は、本体部31に接続されている。中央部38は、本体部31から離間している。本実施形態では、一対の端部36,37は、それぞれ本体部31に接着剤又は両面テープなどの接着部材によって接続されている。本実施形態の変形例として、リブ部35は、本体部31と一体に構成されていてもよい。本実施形態では、リブ部35の端部36は、支持部34aの縁33aに接続されている。リブ部35の端部37は、支持部34bの縁33aに接続されている。本実施形態の変形例として、一対の端部36,37の少なくとも一方が、縁33a以外の部分に接続されていてもよい。たとえば、一対の端部36,37の少なくとも一方が、振動部32の縁32aに接続されていてもよい。
【0043】
図4は、発音装置1をX軸方向から見た図である。
図4において、圧電素子10及び配線部材20は省略されている。支持部34a,34b,34cの縁33dは、
図4に示されているように、X軸方向から見て、Z軸方向においてリブ部35よりも振動部32の主面βから離れている。換言すれば、支持部34a,34b,34cは、X軸方向から見て、Z軸方向においてリブ部35から突出している。このため、カバー部材2に音響デバイス3が設けられている発音装置1には、X軸方向から見た場合に、カバー部材2と一対の支持部34a,34bとリブ部35とによって画定された開口S3が形成されている。音響デバイス3がカバー部材2に取り付けられた状態において、リブ部35の中央部38は、振動部32から離間している。
【0044】
中央部38は、端部36及び端部37の一方から他方に向かって、Y軸方向に延在している矩形状を呈している。中央部38は、Y軸方向に延在している縁38a,38bを含んでいる。縁38a,38bは、中央部38の長辺である。縁38aと縁38bとは、Z軸方向において互いに反対側に位置している。中央部38の縁38aは、振動部32の縁32aとともに開口S1を画定している。中央部38は、X軸方向から見て、少なくとも開口S2の中央を覆っており、圧電素子10に面している。中央部38は、X軸方向から見て、一対の支持部34a,34bの間に配置されている。換言すれば、中央部38は、X軸方向から見て、中空領域Vと重なるように配置されている。
【0045】
中央部38は、少なくとも1つの湾曲面39を有している。湾曲面39は、圧電素子10に面している。湾曲面39は、支持部34cに対向している。湾曲面39は、X軸方向において圧電素子10から離れるように湾曲している。湾曲面39は、Z軸方向から見て、X軸方向において主面βから離れるように湾曲している。
図2に示されているように、湾曲面39は、Z軸方向から見て、X軸方向に凸形状となるように弓状に湾曲している。湾曲面39の曲率半径は、たとえば、148mm~150mm程度である。
【0046】
本実施形態では、中央部38は、1つの湾曲面39を有している。湾曲面39は、一対の端部36,37に連続して接続されている。湾曲面39は、一対の端部36,37から離れるほどX軸方向において圧電素子10から離れるように湾曲している。湾曲面39は、Z軸方向から見て、一対の端部36,37から離れるほどX軸方向において主面βから離れるように湾曲している。
【0047】
次に、
図6及び
図7を参照して、上述した実施形態の変形例における音響デバイスについて説明する。本変形例において、音響デバイス3Aは、音響デバイス3とリブ部の形状が異なる点、及び、配線部材が貫通する貫通口が本体部に形成されている点で、上述した実施形態における音響デバイス3と異なっている。以下、上述した実施形態との相違点を主として説明する。
図6は、本変形例における音響デバイス3Aの平面図である。
図7は、本変形例における音響デバイス3Aの斜視図である。
【0048】
音響デバイス3Aは、筐体30の代わりに筐体30Aを備えている。筐体30Aは、本体部31Aとリブ部35Aとを有している。本体部31Aは、貫通口51が形成された支持部34cを有する点で本体部31と異なる。配線部材20は、貫通口51を通って、中空領域Vから中空領域Vの外側に延在している。
【0049】
リブ部35Aは、リブ部35と以下の点で異なる。リブ部35Aの中央部38は、複数の湾曲面39を有している。
図6に示されているように、この中央部38は、互いに隣り合う湾曲面39に挟まれた位置から突出した突出部53を有している。突出部53は、Z軸方向から見て、X軸方向に振動部32に向かって突出している。突出部53は、Z軸方向に延在している。突出部53は、本体部31から離間している。突出部53のXY軸平面による断面形状は、Z軸方向において同一である。リブ部35AのXY軸平面による断面形状は、Z軸方向において同一である。
【0050】
本変形例において、中央部38は、2つの湾曲面39を有している。各湾曲面39は、一対の端部36,37の一方と突出部53とに連続して接続されている。本変形例のさらなる変形例として、突出部53は、振動部32に連結されていてもよい。
【0051】
次に、
図8及び
図9を参照して、上述した実施形態のさらに別の変形例における音響デバイスについて説明する。本変形例において、音響デバイス3Bは、音響デバイス3とリブ部の形状が異なる点で、上述した実施形態における音響デバイス3と異なっている。以下、上述した実施形態との相違点を主として説明する。
図8は、本変形例における音響デバイス3Bの正面図である。
図9は、本変形例における音響デバイス3Bのリブ部の斜視図である。
【0052】
音響デバイス3Bは、筐体30の代わりに筐体30Bを備えている。筐体30Bは、本体部31とリブ部35Bとを有している。
図8は、音響デバイス3BをX軸方向から見た図である。
図8において、圧電素子10及び配線部材20は省略されている。リブ部35Bは、リブ部35と以下の点で異なる。
【0053】
リブ部35Bの中央部38は、少なくとも1つの湾曲面39を有している。リブ部35Bの中央部38は、少なくとも1つの皿形状部61を含んでいる。本変形例では、中央部38は、2つの皿形状部61を含んでおり、さらに2つの皿形状部61を連結する鞍形状部62を含んでいる。皿形状部61は、メニスカス形状を呈しており、凸面62aと凹面62bを含んでいる。凸面62aと凹面62bとは、互いに反対側に位置している。凹面62bは、湾曲面39を含んでいる。X軸方向から見て、皿形状部61の縁は、中空領域Vの縁から離間している。
【0054】
次に、
図10及び
図11を参照して、上述した実施形態のさらに別の変形例における音響デバイスについて説明する。本変形例において、音響デバイス3Cは、複数のリブ部35を有している点で、上述した実施形態における音響デバイス3と異なっている。以下、上述した実施形態との相違点を主として説明する。
図10は、本変形例における音響デバイス3Cの平面図である。
図11は、本変形例における音響デバイス3Cの側面図である。音響デバイス3Cは、筐体30Cを備えている。筐体30Cは、以下の点で筐体30と異なる。
【0055】
筐体30Cは、本体部31Cとリブ部35とリブ部35C,35Dとを有している。本体部31Cは、支持部34a,34bの構成について本体部31と異なる。本体部31Cの支持部34a,34bは、主面βと交差する方向に延在する柱形状を呈している。このため、
図11に示されているように、本体部31Cの支持部34bにおいて、縁33b,33dの長さは、縁33a,33cの長さよりも小さい。本体部31Cの支持部34aも同様である。本体部31Cの支持部34a,34bは、支持部34cから離間している。
【0056】
本体部31Cには、開口S2に加えて、開口S4,S5が形成されている。開口S4は、振動部32の縁32bと、支持部34aの縁33cと、支持部34cの縁33aとによって画定されている。開口S5は、振動部32の縁32dと、支持部34bの縁33cと、支持部34cの縁33cとによって画定されている。開口S4,S5は、中空領域Vに連通している。本変形例では、開口S4は、Y軸方向から見て、振動部32の縁32bと支持部34aの縁33cと支持部34cの縁33aとを3辺とする矩形状を呈している。開口S5は、Y軸方向から見て、振動部32の縁32dと支持部34bの縁33cと支持部34cの縁33cとを3辺とする矩形状を呈している。
【0057】
リブ部35C,35Dは、リブ部35と同一の形状を呈している。リブ部35,35C,35Dは、互いに異なる位置において、それぞれ本体部31に接続されている。本実施形態では、一対のリブ部35C,35Dは、それぞれ本体部31Cに接着剤又は両面テープなどの接着部材によって接続されている。リブ部35C,35Dは、本体部31Cと一体に構成されていてもよい。リブ部35C,35Dは、Z軸方向に直交すると共にY軸方向に交差する方向に長辺が延在する長尺形状を有している。リブ部35C,35Dは、X軸方向に延在している。
【0058】
リブ部35Cは、Y軸方向から見て、支持部34aと支持部34cとの間においてX軸方向に延在している。リブ部35Cは、Y軸方向から見て、少なくとも開口S4の中央を覆っている。換言すれば、リブ部35Cは、リブ部35Cに対応する方向から見て、中空領域Vの中央を覆っている。リブ部35Cは、一対の端部36C,37Cと、一対の端部36C,37Cに接続されている中央部38Cとを有している。一対の端部36C,37Cは、本体部31Cに接続されている。中央部38Cは、本体部31Cから離間している。本変形例では、リブ部35Cの端部36Cは支持部34cに接続されており、リブ部35Cの端部37Cは支持部34aに接続されている。
【0059】
中央部38Cは、端部36C及び端部37Cの一方から他方に向かって、X軸方向に延在している。中央部38Cは、中央部38と同一形状を呈している。中央部38Cの縁38aは、振動部32の縁32bとともに開口S1を画定している。中央部38Cは、X軸方向から見て、少なくとも開口S4の中央を覆っており、圧電素子10に面している。中央部38Cは、Y軸方向から見て、一対の支持部34a,34cの間に配置されている。換言すれば、中央部38Cは、Y軸方向から見て、中空領域Vと重なるように配置されている。
【0060】
リブ部35Dは、Y軸方向から見て、支持部34bと支持部34cとの間においてX軸方向に延在している。リブ部35Dは、Y軸方向から見て、少なくとも開口S5の中央を覆っている。換言すれば、リブ部35Dは、リブ部35Dに対応する方向から見て、中空領域Vの中央を覆っている。リブ部35Dは、一対の端部36D,37Dと、一対の端部36D,37Dに接続されている中央部38Dとを有している。一対の端部36D,37Dは、本体部31Cに接続されている。中央部38Dは、本体部31Cから離間している。本変形例では、リブ部35Dの端部36Dは支持部34bに接続されており、リブ部35Dの端部37Dは支持部34cに接続されている。
【0061】
中央部38Dは、端部36D及び端部37Dの一方から他方に向かって、X軸方向に延在している。中央部38Dは、中央部38と同一形状を呈している。中央部38Dの縁38aは、振動部32の縁32bとともに開口S1を画定している。中央部38Dは、X軸方向から見て、少なくとも開口S5の中央を覆っており、圧電素子10に面している。中央部38Dは、Y軸方向から見て、一対の支持部34b,34cの間に配置されている。換言すれば、中央部38Dは、Y軸方向から見て、中空領域Vと重なるように配置されている。
【0062】
本変形例のさらなる変形例として、音響デバイス3Cのリブ部35,35C,35Dは、それぞれ、リブ部35A,35Bと同一の形状のリブ部に置き換えられてもよい。この場合、リブ部35,35C,35Dのうち少なくとも1つが、リブ部35A,35Bと同一の形状のリブ部に置き換えられてもよい。
【0063】
以上説明したように、音響デバイス3,3A,3B,3Cでは、X軸方向から見て、リブ部35,35A,35Bが振動部32と複数の支持部34a,34bとによって画定された中空領域Vの中央を覆っている。この構成によれば、音響デバイス3,3A,3B,3Cがカバー部材2などに設けられた状態において音が発せられる場合に、リブ部35,35A,35Bによって所望の周波数帯域における音圧レベルが調整される。換言すれば、この音響デバイス3,3A,3B,3Cは、カバー部材2に設けられた状態において、所望の周波数帯域における音圧レベルが調整された音を発することができる。すなわち、発音装置1は、所望の周波数帯域における音圧レベルが調整された音を発することができる。
【0064】
図12は、リブ部35が設けられている発音装置1とリブ部35が取り外された発音装置1とにおける、周波数ごとの音圧レベルを示す。グラフ71は、リブ部35が設けられている発音装置1の周波数ごとの音圧レベルを示している。グラフ72は、リブ部35が取り外された発音装置1の周波数ごとの音圧レベルを示している。
図12に示されているように、リブ部35が設けられた場合に、ヒトの可聴域のうち、周波数帯域Fにおいて音圧レベルの著しい向上が観測され、周波数帯域F以外の帯域において音圧レベルの大きな変化は観測されなかった。このように発音装置1によれば、所望の周波数帯域における音圧レベルが調整された音を発することが確認された。
【0065】
音響デバイス3,3A,3B,3Cにおいて、リブ部35,35A,35B,35C,35Dと本体部31とによって画定されている開口S1は、Z軸方向において貫通している。この構成によれば、音響デバイス3,3A,3B,3Cがカバー部材2に設けられた状態において音が発せられる場合に、リブ部35によって所望の周波数帯域における音圧レベルが調整されながら、全体の周波数帯域の音圧レベルが向上し得る。
【0066】
音響デバイス3,3A,3B,3Cにおいて、各支持部34a,34bは、縁33bと縁33dとを含んでいる。各支持部34a,34bの縁33dは、X軸方向から見て、Z軸方向においてリブ部35,35A,35B,35C,35Dよりも主面βから離れている。この構成によれば、カバー部材2に設けられた状態において、当該カバー部材2とリブ部35,35A,35B,35C,35Dとの間に中空領域Vに連通する開口S3が形成される。発音装置1では、X軸方向から見た場合に、カバー部材2と一対の支持部34a,34bとリブ部35,35A,35B,35C,35Dとによって画定されている開口S3が形成されている。この場合、リブ部35,35A,35B,35C,35Dによって所望の周波数帯域における音圧レベルが調整されながら、全体の周波数帯域の音圧レベルがさらに向上する。
【0067】
音響デバイス3,3A,3B,3Cにおいて、リブ部35,35A,35Bは、一対の端部36,37と、中央部38とを有している。中央部38は、湾曲面39を有している。湾曲面39は、圧電素子10に面していると共にX軸方向において圧電素子10から離れるように湾曲している。音響デバイス3Cにおいて、リブ部35Cは、一対の端部36C,37Cと、中央部38Cとを有している。音響デバイス3Cにおいて、リブ部35Dは、一対の端部36D,37Dと、中央部38Dとを有している。中央部38Dは、湾曲面39を有している。この構成によれば、カバー部材2に設けられた状態において音が発せられる場合に、リブ部35,35A,35B,35C,35Dによって所望の周波数帯域における音圧レベルがより適切に調整され得る。
【0068】
音響デバイス3,3Cにおいて、リブ部35の湾曲面39は、一対の端部36,37に連続して接続されている。湾曲面39は、一対の端部36,37から離れるほど圧電素子10から離れるように湾曲している。リブ部35Cの湾曲面39は、一対の端部36C,37Cに連続して接続されている。湾曲面39は、一対の端部36C,37Cから離れるほどX軸方向において圧電素子10から離れるように湾曲している。リブ部35Dの湾曲面39は、一対の端部36D,37Dに連続して接続されている。湾曲面39は、一対の端部36D,37Dから離れるほど圧電素子10から離れるように湾曲している。この構成によれば、カバー部材2に設けられた状態において音が発せられる場合に、リブ部35,35C,35Dによって所望の周波数帯域における音圧レベルがより適切に調整され得る。
【0069】
音響デバイス3Aにおいて、中央部38は、複数の湾曲面39を含んでいる。中央部38は、突出部53を有している。突出部53は、Z軸方向から見て、互いに隣り合う湾曲面39に挟まれた位置から振動部32に向かって突出している。この構成によれば、カバー部材2に設けられた状態において音が発せられる場合に、リブ部35によって所望の周波数帯域における音圧レベルがより適切に抑制され得る。
【0070】
音響デバイス3Cにおいて、筐体30Cは、互いに異なる位置において本体部31Cに接続されている複数のリブ部35,35C,35Dを有している。この構成によれば、当該音響デバイス3Cがカバー部材に設けられた状態において音が発せられる場合に、各リブ部35,35C,35Dによって所望の周波数帯域における音圧レベルがより適切に調整され得る。全体の周波数帯域の音圧レベルがさらに向上し得る。
【0071】
以上、本発明の実施形態及び変形例について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0072】
上記実施形態及び変形例において、リブ部35,35A,35B,35C,35Dは、湾曲面39に沿って、湾曲面39と反対側の面も湾曲している。しかし、湾曲面39と反対側の面は、湾曲面39に沿った面でなくともよい。たとえば、湾曲面39と反対側の面は、平面であってもよい。たとえば、リブ部35Bは、湾曲面39を含む凹面61bの反対側に凸面61aを有している。しかし、凹面61bの反対側の面は、平面であってもよい。
【0073】
複数の支持部34a,34b,34cは、一体に構成された一枚の湾曲板状に形成されていてもよい。この場合、Z軸方向から見て、支持部33は、圧電素子10を囲うように湾曲していてもよい。
【符号の説明】
【0074】
1…発音装置、2…カバー部材、2a…取付面、3,3A,3B,3C…音響デバイス、10…圧電素子、30,30A,30B,30C…筐体、31,31A,31C…本体部、32…振動部、32a,32b,32d,33b,33d…縁、33,34a,34b,34c…支持部、35,35A,35B,35C,35D…リブ部、36,36C,36D,37,37C,37D…端部、38,38C,38D…中央部、39…湾曲面、53…突出部、S1,S3…開口、β…主面、V…中空領域。