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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-24
(45)【発行日】2024-02-01
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/525 20060101AFI20240125BHJP
   G03G 15/01 20060101ALI20240125BHJP
   H04N 1/60 20060101ALI20240125BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
B41J2/525
G03G15/01 Y
H04N1/60
G06T1/00 510
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020075513
(22)【出願日】2020-04-21
(65)【公開番号】P2021171948
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114971
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修
(72)【発明者】
【氏名】松尾 昌
【審査官】大関 朋子
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-134487(JP,A)
【文献】特開2018-074542(JP,A)
【文献】特開2013-229652(JP,A)
【文献】特開2008-312198(JP,A)
【文献】特開2005-175806(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/525
G03G 15/01
H04N 1/60
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の用紙種別のプリント用紙の色再現特性に対応する補正特性を示す複数のプロファイルと、
前記複数のプロファイルのいずれかに従ってプリント画像を補正する画像処理部と、
前記複数の用紙種別のうちのいずれかの用紙種別のプリント用紙に、補正後の前記プリント画像をプリントするプリント装置と、
前記複数のプロファイルのプロファイル更新処理を実行するプロファイル管理部とを備え、
前記プロファイル管理部は、前記プロファイル更新処理において、(a)前記複数の用紙種別のうちのいずれかの用紙種別を基準用紙種別として選択し、前記基準用紙種別のプリント用紙上に測色用パッチを前記プリント装置にプリントさせて調整チャートを生成し、前記調整チャート上の測色用パッチの測色結果に基づいて、前記基準用紙種別のプリント用紙のプロファイルを作成し、作成した前記プロファイルで、前記基準用紙種別のプリント用紙の現在のプロファイルを更新し、(b)前記複数の用紙種別のうちの基準用紙種別以外の用紙種別を対象用紙種別として選択し、前記基準用紙種別のプロファイル更新前の、前記基準用紙種別のプロファイルによる補正特性と前記対象用紙種別のプロファイルによる補正特性との間の対応関係特性と、前記基準用紙種別のプロファイル更新後の、前記基準用紙種別のプロファイルによる補正特性と前記対象用紙種別のプロファイルによる補正特性との間の対応関係特性とに基づいて、前記対象用紙種別のプリント用紙のプロファイルを、前記対象用紙種別の調整チャートを使用せずに校正すること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記プロファイル管理部は、前記補正特性における所定階調レベルの色差に基づき前記複数の用紙種別をグルーピングして得られる1または複数の用紙種別グループについて、(a)各用紙種別グループにつき1つの前記基準用紙種別を選択し、前記基準用紙種別のプロファイル更新を行い、(b)各用紙種別グループにおける前記基準用紙種別以外の前記対象用紙種別を選択し、当該グループの前記基準用紙種別と当該グループの前記対象用紙種別との間の前記対応関係特性に基づいて、当該グループの前記対象用紙種別のプリント用紙のプロファイルを更新することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記プロファイル管理部は、前記プロファイル更新処理後の前記補正特性における前記所定階調レベルの色差に基づき、前記1または複数の用紙種別グループを更新することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記プロファイル管理部は、前記複数の用紙種別から、前回の前記プロファイル更新処理で選択した前記基準用紙種別とは異なる用紙種別を前記基準用紙種別として選択することを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ある画像処理装置は、複数用紙に対応する複数のプロファイルを備え、プリントに使用する用紙に応じたプロファイルに基づいてプリント画像を補正しており、プロファイルがない用紙について、その用紙のプロファイルを、既知のプロファイルから生成している(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-252053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えばプロダクションプリントでは、ファインアート紙、厚紙など複数の用紙種別のプリント用紙が使用されるため、用紙種別ごとにプロファイルが用意され、プリント用紙に応じたプロファイルが使用される。
【0005】
このような複数の用紙種別のプリント用紙についての色再現特性はプリント機構の特性変動(経時変化など)に起因して変化するため、適切な色再現のために、既存の複数の用紙種別のプリント用紙についてのプロファイルの更新が必要になる。
【0006】
そのため、既存の複数の用紙種別のプリント用紙のプロファイルの更新を行う場合、それぞれの用紙種別について、チャートのプリント、測色、およびプロファイルの作成を行う必要があり、既存の複数の用紙種別のプリント用紙のプロファイルの更新に手間や時間がかかってしまう。
【0007】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、既存の複数の用紙種別のプリント用紙のプロファイルを比較的簡単に更新する画像形成装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る画像形成装置は、複数の用紙種別のプリント用紙の色再現特性に対応する補正特性を示す複数のプロファイルと、前記複数のプロファイルのいずれかに従ってプリント画像を補正する画像処理部と、前記複数の用紙種別のうちのいずれかの用紙種別のプリント用紙に、補正後の前記プリント画像をプリントするプリント装置と、前記複数のプロファイルのプロファイル更新処理を実行するプロファイル管理部とを備える。そして、前記プロファイル管理部は、前記プロファイル更新処理において、(a)前記複数の用紙種別のうちのいずれかの用紙種別を基準用紙種別として選択し、前記基準用紙種別のプリント用紙上に測色用パッチを前記プリント装置にプリントさせて調整チャートを生成し、前記調整チャート上の測色用パッチの測色結果に基づいて、前記基準用紙種別のプリント用紙のプロファイルを作成し、作成した前記プロファイルで、前記基準用紙種別のプリント用紙の現在のプロファイルを更新し、(b)前記複数の用紙種別のうちの基準用紙種別以外の用紙種別を対象用紙種別として選択し、前記基準用紙種別のプロファイル更新前の、前記基準用紙種別のプロファイルによる補正特性と前記対象用紙種別のプロファイルによる補正特性との間の対応関係特性と、前記基準用紙種別のプロファイル更新後の、前記基準用紙種別のプロファイルによる補正特性と前記対象用紙種別のプロファイルによる補正特性との間の対応関係特性とに基づいて、前記対象用紙種別のプリント用紙のプロファイルを、前記対象用紙種別の調整チャートを使用せずに校正する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、既存の複数の用紙種別のプリント用紙のプロファイルを比較的簡単に更新する画像形成装置が得られる。
【0010】
本発明の上記又は他の目的、特徴および優位性は、添付の図面とともに以下の詳細な説明から更に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置10の電気的な構成を示すブロック図である。
図2図2は、図1に示す画像形成装置10によりプリントされる調整チャートの一例を示す図である。
図3図3は、用紙種別間の補正特性の対応関係特性の一例を示す図である。
図4図4は、プリント機構の特性変動に起因する色再現特性の変化について説明する図である。
図5図5は、対象用紙種別の補正特性の校正について説明する図である。
図6図6は、図1に示す画像形成装置の動作について説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置10の電気的な構成を示すブロック図である。この実施の形態に係る画像形成装置10は、プリンター、コピー機、ファクシミリ機、複合機などといった装置である。図1に示すように、画像形成装置10は、プリント装置1、画像読取装置2、記憶装置3、操作パネル4、および演算処理装置5を備える。
【0014】
プリント装置1は、電子写真方式、インクジェット方式などで、プリント用紙にプリント画像をプリントする。
【0015】
画像読取装置2は、原稿シートから原稿画像を光学的に読み取り、原稿画像の画像データを生成する。
【0016】
記憶装置3は、画像形成装置10の制御に必要なデータ、プログラムなどを記憶する書換可能な不揮発性の記憶装置(フラッシュメモリー、ハードディスクドライブなど)である。記憶装置3には、プロファイル登録データ11、およびプロファイルデータ12が記憶されている。
【0017】
プロファイル登録データ11は、プロファイルデータ12に含まれている複数のプロファイルの属性データを有する。属性データには、プロファイルに対応する用紙種別、その用紙種別の属する用紙種別グループなどが含まれる。
【0018】
プロファイルデータ12は、複数の用紙種別のプリント用紙の色再現特性に対応する補正特性(色補正、階調補正などの特性)を示す複数のプロファイルを有する。この実施の形態では、このプロファイルは、ICCプロファイルである。
【0019】
各プロファイルは、例えばルックアップテーブルとして実装され、画像データの色座標系(RGB座標系、CMY座標系、Lab座標系,XYZ座標系など)を変換するとともに色調(色座標値)などを変換するものでもよいし、画像データの色座標系を変換せずに色調などを変換するものでもよい。
【0020】
例えば、プロファイルが所定の色座標系における補正特性を示す場合、画像データの色座標系が、元の色座標系から当該プロファイルの色座標系へ変換された後に、当該プロファイルに基づく補正(変換)が行われ、補正後、プリント装置1で使用される色材(トナーやインク)の色に対応する色座標系へ変換される。
【0021】
この複数のプロファイルは、互いに異なる色再現特性で画像が形成されてしまう複数のプリント用紙において形成される画像の色再現特性が略同一(あるいは所定誤差内で同様)になるような入出力特性を有するように作成されている。
【0022】
ここで、色再現特性は、当該画像形成装置10で、調整チャートを作成すべき用紙種別のプリント用紙上にプリントした一連の測色用パッチの測色値(例えば、輝度、色相、および彩度のうちの1つまたは複数)である。なお、あるプリント用紙の色再現特性としての測色値は、当該画像形成装置10の画像読取装置2で測色用パッチを読み取って測色して特定してもよいし、専用の測色装置を使用して測色して特定してもよい。
【0023】
操作パネル4は、画像形成装置10の筐体表面に配置され、液晶ディスプレイなどの表示装置、およびハードキー、タッチパネルなどの入力装置を備え、その表示装置でユーザーに対して各種メッセージを表示し、その入力装置でユーザー操作を受け付ける。
【0024】
演算処理装置5は、プログラムに従って動作するコンピューター、所定動作を実行するASIC(Application Specific Integrated Circuit)などを備え、各種処理部として動作する。そのコンピューターは、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを備え、ROM、記憶装置3などに記憶されているプログラムをRAMにロードし、CPUで実行することで、(必要に応じてASICとともに)各種処理部として動作する。
【0025】
ここでは、演算処理装置5は、制御部21、画像処理部22、およびプロファイル管理部23として動作する。
【0026】
制御部21は、プリント装置1、画像読取装置2などを使用して、ユーザーにより要求されたジョブを実行する。例えば、制御部21は、プリント装置1を制御し、ユーザーにより要求されたプリントジョブを実行する。その際、制御部21は、プリントジョブの要求で指定されているプリント用紙の用紙種別を特定し、プロファイル登録データ11を参照して、その用紙種別に対応するプロファイルを選択し、選択したプロファイルで、画像処理部22にそのプリントジョブのプリント画像についての画像処理(補正処理)を行わせる。
【0027】
画像処理部22は、RIP(Raster Image Processing)、色変換、ハーフトーニングなどの所定の画像処理を、プリント用紙にプリントすべきプリント画像の画像データに対して実行する。
【0028】
特に、画像処理部22は、プリント画像の画像データの色補正や階調補正を、そのプリント用紙に対応するプロファイルに従って実行する。制御部21は、画像データの色補正や階調補正の後、プリント装置1に、その画像データに基づきプリントを実行させる。プリント装置1は、上述の複数の用紙種別(プロファイルデータ12内にプロファイルのある用紙種別)のうちのいずれかの用紙種別のプリント用紙に、補正後のプリント画像をプリントする。
【0029】
プロファイル管理部23は、上述の複数のプロファイルのプロファイル更新処理を実行する。
【0030】
具体的には、プロファイル管理部23は、プロファイル更新処理において、(a)上述の複数の用紙種別のうちのいずれかの用紙種別を基準用紙種別として選択し、基準用紙種別のプリント用紙上に測色用パッチをプリント装置1にプリントさせて調整チャートを生成し、調整チャート上の測色用パッチの測色結果に基づいて、基準用紙種別のプリント用紙のプロファイルを作成し、作成したプロファイルで、基準用紙種別のプリント用紙の現在のプロファイルを更新し、(b)上述の複数の用紙種別のうちの基準用紙種別以外の用紙種別を対象用紙種別として選択し、基準用紙種別のプロファイル更新前の、基準用紙種別のプロファイルによる補正特性と対象用紙種別のプロファイルによる補正特性との間の対応関係特性と、基準用紙種別のプロファイル更新後の、基準用紙種別のプロファイルによる補正特性と対象用紙種別のプロファイルによる補正特性との間の対応関係特性とに基づいて、対象用紙種別のプリント用紙のプロファイルを、対象用紙種別の調整チャートを使用せずに校正する。
【0031】
図2は、図1に示す画像形成装置10によりプリントされる調整チャートの一例を示す図である。例えば図2に示すように、調整チャート101には、当該用紙種別を示す可視コード111(例えばQRコード(登録商標)といった2次元コードなど)と、色座標系における色値や階調レベルを示す複数の測色用パッチ112とがプリントされる。なお、画像読取装置2によって測色が行われる場合には、可視コード111の読取画像に基づいて、調整チャート101に対応する用紙種別が自動的に特定される。
【0032】
図3は、用紙種別間の補正特性の対応関係特性の一例を示す図である。図4は、プリント機構の特性変動に起因する色再現特性の変化について説明する図である。図5は、対象用紙種別の補正特性の校正について説明する図である。
【0033】
用紙種別間の補正特性の対応関係特性は、例えば図3に示すように、一方の用紙種別についての階調レベルと他方の用紙種別についての階調レベルとの対応関係を示す。なお、図3に示す対応関係特性は、色座標系における1座標(1次元)についてのものであり、色座標系の次元数分の対応関係特性がそれぞれ特定される。
【0034】
具体的には、対応関係特性は、基準用紙種別のプロファイルによる補正特性(補正前後の入出力特性)と対象用紙種別のプロファイルによる補正特性(補正前後の入出力特性)とに基づいて、これらの2つの補正特性において同一の出力値の得られる2つの入力値の対応関係、あるいは、これらの2つの補正特性において同一の入力値について得られる2つの出力値の対応関係を示している。
【0035】
そして、プリント機構の特性変動に起因して、例えば図4に示すように、色再現特性が変化する。つまり、プリント機構の特性変動の前後において画像データが同一の階調レベルを示していても、例えば図4に示すように、プリント用紙上の階調レベルは変化してしまう。そして、基準用紙種別(ここでは用紙種別A)のプロファイルを更新すると、当該用紙種別(ここでは用紙種別A)と他の用紙種別(ここでは用紙種別B)との間の対応関係特性は、例えば図5に示すように変化する。
【0036】
そして、他の用紙種別(ここでは用紙種別B)についてのプロファイル校正は、次のように行われる。
【0037】
例えば図5に示すように、(a)プロファイル更新前の対応関係特性に基づき、当該用紙種別についての補正特性の入力値または出力値となる各階調レベルLbに対応する階調レベルLaが特定され、(b)プロファイル更新後の対応関係特性に基づき、この階調レベルLaに対応する、当該用紙種別についての補正特性の階調レベルLb’が特定され、(c)当該用紙種別についての補正特性における階調レベルLbが階調レベルLb’に変更されることで、プロファイル校正が行われる。
【0038】
このようにして、基準用紙種別(ここでは用紙種別A)のプロファイル更新に基づいて、対象用紙種別(ここでは用紙種別B)のプロファイル校正が行われる。
【0039】
また、この実施の形態では、プロファイル管理部23は、上述の補正特性における所定階調レベルの色差に基づき複数の用紙種別をグルーピングして得られる1または複数の用紙種別グループについて、(a)各用紙種別グループにつき1つの基準用紙種別を選択し、基準用紙種別のプロファイル更新を行い、(b)各用紙種別グループにおける基準用紙種別以外の対象用紙種別を選択し、当該グループの基準用紙種別と当該グループの対象用紙種別との間の対応関係特性に基づいて、当該グループの対象用紙種別のプリント用紙のプロファイルを更新する。なお、用紙種別グループに属する用紙種別は、プロファイル登録データ11に基づいて特定される。
【0040】
なお、上述の所定階調レベルは、プリント用紙の白色、プリント装置1におけるプリントプロセスの色座標系(インクやトナーの色の座標系であって、例えばCMYK座標系)の各1次元座標値の最大濃度、プリント装置1で表現可能な最も濃い色などである。また、上述の色差は、その階調レベルを出力値としたときのそれぞれの補正特性における入力値の色差や、上述の色差は、その階調レベルを入力値としたときのそれぞれの補正特性における出力値の色差とされる。なお、例えば、色差は、色座標系における2点間の距離として計算される。
【0041】
また、上述の色差が所定閾値未満である複数の用紙種別が、1つの用紙種別グループに属する。例えば、3つ以上の用紙種別については、いずれの2つの用紙種別の対についての色差が所定閾値未満である用紙種別が、1つの用紙種別グループに属する。なお、上述の色差が所定閾値未満である別の用紙種別がない用紙種別については、その用紙種別だけで1つの用紙種別グループが構成される。
【0042】
あるいは、プロファイルにより示される補正特性のおけるすべての階調レベル(離散値)についての色差が所定閾値未満である用紙種別が1つの用紙種別グループに属するようにしてもよい。
【0043】
このようにすることで、色差の小さいプロファイル(つまり、色再現特性の近い用紙種別)が1つの用紙種別グループに属するため、基準用紙種別のプロファイル更新に基づいて、対象用紙種別のプロファイル校正を行っても、色差が小さいため、校正の誤差が抑制される。
【0044】
なお、プロファイル管理部23は、新規の用紙種別のプロファイルをプロファイルデータ12に追加することができる。新規の用紙種別のプロファイルをプロファイルデータ12に追加する場合、プロファイル管理部23は、所定のユーザー操作に従って、その新規の用紙種別のプリント用紙に測色用パッチをプリントして調整チャートを作成し、その調整チャートにおける測色用パッチの測色結果に基づいてプロファイルを作成し、プロファイルデータ12にそのプロファイルを追加するとともに、プロファイル登録データ11にそのプロファイルの属性データを追加する。なお、その際、この新規の用紙種別の属する上述の用紙種別グループ
も併せて特定される。
【0045】
次に、上記画像形成装置の動作について説明する。図6は、図1に示す画像形成装置10の動作について説明するフローチャートである。
【0046】
制御部21は、プリントジョブ要求を受け付けると、その要求で指定されているプリント用紙の用紙種別を特定し、特定した用紙種別に対応するプロファイルを特定し、特定したプロファイルを指定して、画像処理部22に、プリントジョブ要求で指定されたプリント画像に対する補正処理を実行させ、補正処理後のプリント画像のプリントをプリント装置1に実行させる。
【0047】
また、制御部21は、定期的にまたは所定のタイミングで、プロファイル管理部23に、用紙種別グループごとに、以下のプロファイル更新処理を実行させる。例えば、制御部21またはプロファイル管理部23が、プロファイル更新タイミングが到来すると、その旨を操作パネル4に表示してユーザーに報知し、その報知に対応して操作パネル4に対して行われる所定のユーザー操作に従って、プロファイル管理部23にプロファイル更新処理を実行させる。
【0048】
まず、プロファイル管理部23は、上述のように、用紙種別グループにおける1つの用紙種別を基準用紙種別として選択し(ステップS1)、その基準用紙種別についての調整チャートのプリントをプリント装置1に実行させるとともに、調整チャートの測色結果を取得する(ステップS2)。
【0049】
その際、ユーザーによって調整チャートの測色が行われる。画像読取装置2で測色を行う場合には、ユーザーは、調整チャートを画像読取装置2にセットし、操作パネル4に所定のユーザー操作を行う。このユーザー操作を操作パネル4で検出すると、プロファイル管理部23は、画像読取装置2に、調整チャートの画像を読み取らせ、調整チャートの読取画像を取得し、調整チャートの読取画像内の各測色用パッチの色値を特定して、測色結果を取得する。一方、図示せぬ測色装置で測色が行われる場合には、ユーザーは、測色装置で調整チャートの測色を行い、その測色結果を操作パネル4などで入力し、プロファイル管理部23は、入力された測色結果を取得する。
【0050】
そして、プロファイル管理部23は、既存の方法で、この測色結果に基づいて、当該基準用紙種別のプロファイルを作成し、作成したプロファイルで、プロファイルデータ12における当該基準用紙種別のプロファイルを更新する(ステップS3)。
【0051】
次に、プロファイル管理部23は、当該用紙種別グループ内に、プロファイルが未校正である用紙種別が存在するか否かを判定し(ステップS4)、当該用紙種別グループ内に、プロファイルが未校正である用紙種別が存在しなければ、プロファイル更新処理を終了する。
【0052】
一方、当該用紙種別グループ内に、プロファイルが未校正である用紙種別が存在する場合、プロファイル管理部23は、プロファイルが未校正である用紙種別を1つ、対象用紙種別として選択し(ステップS5)、選択した対象用紙種別について、上述のように、基準用紙種別のプロファイル更新前後の対応関係特性に基づいて、プロファイルの校正を実行する(ステップS6)。
【0053】
対象用紙種別のプロファイルの校正が完了すると、ステップS4に戻り、当該用紙種別グループ内で、プロファイルが未校正である用紙種別がなくなるまで(つまり、当該用紙種別グループ内のすべての用紙種別についてプロファイル更新またはプロファイル校正が行われるまで)、同様の処理(ステップS4~S6)が実行される。
【0054】
以上のように、上記実施の形態によれば、プロファイル管理部23は、プロファイル更新処理において、(a)複数の用紙種別のうちのいずれかの用紙種別を基準用紙種別として選択し、基準用紙種別のプリント用紙上に測色用パッチをプリント装置1にプリントさせて調整チャートを生成し、調整チャート上の測色用パッチの測色結果に基づいて、基準用紙種別のプリント用紙のプロファイルを作成し、作成したプロファイルで、基準用紙種別のプリント用紙の現在のプロファイルを更新し、(b)その複数の用紙種別のうちの基準用紙種別以外の用紙種別を対象用紙種別として選択し、基準用紙種別のプロファイル更新前の、基準用紙種別のプロファイルによる補正特性と対象用紙種別のプロファイルによる補正特性との間の対応関係特性と、基準用紙種別のプロファイル更新後の、基準用紙種別のプロファイルによる補正特性と対象用紙種別のプロファイルによる補正特性との間の対応関係特性とに基づいて、対象用紙種別のプリント用紙のプロファイルを、対象用紙種別の調整チャートを使用せずに校正する。
【0055】
これにより、調整チャートのプリントおよび測色が基準用紙種別に対してのみ行われ、その他の対象用紙種別に対しては行われないため、既存の複数の用紙種別のプリント用紙のプロファイルが比較的簡単に更新される。
【0056】
なお、上述の実施の形態に対する様々な変更および修正については、当業者には明らかである。そのような変更および修正は、その主題の趣旨および範囲から離れることなく、かつ、意図された利点を弱めることなく行われてもよい。つまり、そのような変更および修正が請求の範囲に含まれることを意図している。
【0057】
例えば、上記実施の形態において、プロファイル管理部23は、上述のプロファイル更新処理後の補正特性における所定階調レベルの色差に基づき、上述の用紙種別グループを更新するようにしてもよい。つまり、プロファイル更新処理によって、上述の色差も変化する可能性があるため、上述のプロファイル更新処理後に再度グルーピングが行われるようにしてもよい。
【0058】
さらに、上記実施の形態において、プロファイル管理部23は、上述の複数の用紙種別から、前回のプロファイル更新処理で選択した基準用紙種別とは異なる用紙種別を基準用紙種別として選択するようにしてもよい。例えば、上述の複数の用紙種別から、所定の順序で繰り返し、基準用紙種別が順番に選択されるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、例えば、画像形成装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 プリント装置
10 画像形成装置
22 画像処理部
23 プロファイル管理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6