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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-24
(45)【発行日】2024-02-01
(54)【発明の名称】蓄電装置用端子フィルム及び蓄電装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/191 20210101AFI20240125BHJP
   H01M 50/184 20210101ALI20240125BHJP
   H01M 50/195 20210101ALI20240125BHJP
   H01M 50/197 20210101ALI20240125BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALI20240125BHJP
【FI】
H01M50/191
H01M50/184 C
H01M50/195
H01M50/197
H01M10/0562
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020078399
(22)【出願日】2020-04-27
(65)【公開番号】P2021174697
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-04-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(72)【発明者】
【氏名】村田 光司
【審査官】山本 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-001187(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0148888(US,A1)
【文献】特開2015-179618(JP,A)
【文献】国際公開第2011/055429(WO,A1)
【文献】特開2019-029305(JP,A)
【文献】国際公開第2015/115371(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/00-50/198
H01M 50/50-50/598
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電装置を構成する蓄電装置本体と電気的に接続される金属端子の一部の外周面を覆うように配置される蓄電装置用端子フィルムであって、
前記端子フィルムが硫化水素と反応して色が変化する硫化水素顕色材を含んでいることを特徴とする蓄電装置用端子フィルム。
【請求項2】
前記硫化水素顕色材が、銅、鉛、銀、マンガン、ニッケル、コバルト、錫、カドミウムのいずれかまたは複数を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の蓄電装置用端子フィルム。
【請求項3】
銅がCuSOを含む材料であり、鉛がPb(CHCOO)を含む材料であり、銀がAgSOを含む材料であることを特徴とする請求項2に記載の蓄電装置用端子フィルム。
【請求項4】
硫化水素を分解もしくは吸着する材料をさらに含んでいることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の蓄電装置用端子フィルム。
【請求項5】
当該蓄電装置用端子フィルムが多層構造であり、前記硫化水素顕色材と前記硫化水素を分解もしくは吸着する材料を含む層を有し
前記硫化水素顕色材と前記硫化水素を分解もしくは吸着する材料の総量が当該層の質量基準で、0.01質量%以上30質量%以下であることを特徴とする請求項に記載の蓄電装置用端子フィルム。
【請求項6】
当該蓄電装置用端子フィルムが単層構造であり、前記硫化水素顕色材と前記硫化水素を分解もしくは吸着する材料の総量が当該蓄電装置用端子フィルムの質量基準で、0.01質量%以上30質量%以下であることを特徴とする請求項4に記載の蓄電装置用端子フィルム。
【請求項7】
前記硫化水素を分解もしくは吸着する材料が、酸化亜鉛または亜鉛イオンを含むことを特徴とする請求項4~6のいずれか一項に記載の蓄電装置用端子フィルム。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の蓄電装置用端子フィルムと、
充放電する前記蓄電装置本体と、
前記蓄電装置本体と電気的に接続され、一部が前記蓄電装置用端子フィルムで覆われる一対の前記金属端子と、
前記蓄電装置本体の表面を覆うとともに、前記蓄電装置用端子フィルムの一部と接触するように配置された外装材と、
を備え、全固体電池であることを特徴とする蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電装置本体と、蓄電装置本体と電気的に接続される端子とを備える蓄電装置において端子の一部の外周面を覆うように配置される端子用樹脂フィルム及び該端子用樹脂フィルムを用いた蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電装置として、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、及び鉛蓄電池等の二次電池、並びに電気二重層キャパシタ等の電気化学キャパシタが知られている。なかでも、エネルギー密度が高いリチウムイオン電池が注目されている。リチウムイオン電池に用いられる外装材として、従来は金属製の缶が用いられていたが、軽量で、放熱性が高く、低コストで作製できる多層フィルムが用いられるようになっている。
【0003】
上記多層フィルムを外装材に用いるリチウムイオン電池は、ラミネート型リチウムイオン電池と称される。外装材が電池内容物(正極、セパレータ、負極、電解液等)を覆っており、内部への水分の浸入を防止する。ラミネート型のリチウムイオン電池は、例えば、外装材の一部に冷間成型によって凹部を形成し、該凹部内に電池内容物を収容し、外装材の残りの部分を折り返して縁部分をヒートシールで封止することによって製造される。
【0004】
ラミネート型リチウムイオン電池は、電流取り出し端子(「タブリード」と呼ばれることもある。)を備える。電流取出し端子と外装材の密着性を向上させる等の目的で、電流取出し端子の外周の一部を覆うように端子用樹脂フィルム(「タブシーラント」と呼ばれることもある。)が配置される場合がある。
【0005】
この様なリチウムイオン電池等の二次電池は、携帯電子機器や、電気を動力源とする電気自動車及びハイブリッド電気自動車等に広く用いられている。リチウムイオン電池の安全性を高めた電池として、有機溶媒電解質に代えて無機固体電解質を用いた全固体リチウム電池が検討されている。全固体リチウム電池は、短絡等による熱暴走が生じ難いという点でリチウムイオン電池よりも安全性に優れている。
【0006】
無機固体電解質の中でも硫化物系固体電解質は、イオン伝導度が酸化物系固体電解質等と比較して高く、より高性能な全固体電池を得る上で多くの利点を有している。しかしながら、硫化物系固体電解質を用いた全固体電池は硫黄を含有しているため、電池内に浸入した水分と硫黄とが反応して、毒性を持った硫化水素(H2S)が発生する場合がある。そのため、電池の外装材が破壊された場合には、この硫化水素が漏れ出してしまうという懸念がある。硫化水素が漏れ出すことを防ぐために、例えば特許文献1及び2には、発生した硫化水素を捕捉して無毒化する安全設計が施された全固体電池が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2008-103283号公報
【文献】特開2008-103288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
硫化物系固体電解質を用いた全固体電池において、硫化水素が発生することは、硫化物系固体電解質の劣化が進んでいたり、外装材が破損していたりといった、何らかの異常が発生していることを意味する。このような異常が発生している全固体電池は、速やかに交
換する等の対応を行うことが望ましい。しかしながら、硫化水素は刺激臭を有するものの無色であるため、硫化水素が発生していることを把握し難い。また、特許文献1及び2に記載された方法では、発生した硫化水素を無毒化できたとしても、全固体電池の異常自体は解消できず、かえって異常の発見を遅らせてしまう恐れがある。
【0009】
本開示は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、全固体電池等の蓄電装置の異常を早期に発見できる電流取り出し端子を覆う端子フィルム及びそれを用いた蓄電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本開示は、蓄電装置を構成する蓄電装置本体と電気的に接続される金属端子の一部の外周面を覆うように配置される蓄電装置用端子フィルム(以下、単に「端子フィルム」とも呼ぶ。)であって、前記端子フィルムが硫化水素と反応して色が変化する硫化水素顕色材を含んでいることを特徴とする蓄電装置用端子フィルムを提供する。
【0011】
上記蓄電装置用端子フィルムによれば、上記顕色材を含有することにより、硫化物系固体電解質を含む全固体電池において硫化水素が発生した場合に、顕色材を含有する端子フィルムが変色するため、硫化水素の発生を視覚的に検知することができ、全固体電池の異常を目視にて早期発見することができる。
【0012】
上記蓄電装置用端子フィルムにおいて、前記硫化水素顕色材が、銅、鉛、銀、マンガン、ニッケル、コバルト、錫、カドミウムのいずれかまたは複数を含んでいて良い。上記元素を含む顕色材は、硫化水素の硫黄と反応して変色し易く、色の変化も視認し易いため、目視による全固体電池の異常の早期発見がより容易となる。
【0013】
上記蓄電装置用端子フィルムにおいて、銅がCuSO4を含む材料であり、鉛がPb(CH3COO)2を含む材料であり、銀がAg2SO4を含む材料であって良い。上記化合物を含む顕色材は、硫化水素の硫黄と反応して変色し易く、色の変化も視認し易いため、目視による全固体電池の異常の早期発見がより容易となる。
【0014】
上記蓄電装置用端子フィルムにおいて、硫化水素を分解もしくは吸着する材料をさらに含んでいて良い。
【0015】
上記蓄電装置用端子フィルムにおいて、上記硫化水素顕色材と上記硫化水素を分解もしくは吸着する材料の総量が、各層において、当該層全量を基準として0.01%以上30%以下であってよい。顕色材の含有量が上記下限値以上であることで、色の変化がより視認し易く、上記上限値以下であることで、顕色材を含有する層の機能(例えば、密着強度やシール強度等)の低下を抑制できる。
【0016】
上記蓄電装置用端子フィルムにおいて、上記硫化水素を分解もしくは吸着する材料が、酸化亜鉛または亜鉛イオンを含むものであってよい。酸化亜鉛または亜鉛イオンを含む硫化水素吸着物質は、硫化水素を吸着又は分解する性能に優れると共に、コストや取り扱い性も良好であるため好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、全固体電池の異常を早期に外観から容易に発見できる蓄電装置用端子フィルム及びそれを用いた全固体電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】全固体電池の一例を示す斜視図である。
図2】蓄電装置用外装材の一例を模式的に示す断面図である。
図3】蓄電装置用外装材が備えるシーラント層の構成を模式的に示す断面図である。
図4図1に示すIV-IV線方向の断面図であって、全固体電池のタブ(端子フィルム及び金属端子)の構成を模式的に示す断面図である。
図5】端子フィルムの構成の例を模式的に示す断面図である。
図6】実施例及び比較例で作製した評価用試料を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を適宜参照しながら、本開示の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0020】
<蓄電装置>
図1は、本実施形態に係る蓄電装置の概略構成を示す斜視図である。図1では、蓄電装置100の一例として、全固体電池を例に挙げて図示し、以下の説明を行う。なお、図1に示す構成の蓄電装置は、電池パック又は電池セルと呼ばれることがある。
【0021】
蓄電装置100は、全固体電池であり、蓄電装置本体50と、外装材10と、一対の金属端子30と、端子フィルム(タブシーラント)40とを備える。蓄電装置本体50は、充放電を行う電池本体である。外装材10は、蓄電装置本体50の表面を覆うとともに、端子フィルム40の一部と接触するように配置されている。
【0022】
[外装材]
図2は、外装材10の切断面の一例を示す断面図である。外装材10は、外側から内側(蓄電装置本体50側)に向けて、基材層11と、第1の接着剤層12と、バリア層13と、腐食防止処理層14と、第2の接着剤層17と、シーラント層16とをこの順序で備える多層構造を有する。
【0023】
(シーラント層)
シーラント層16は、外装材10に対し、ヒートシールによる封止性を付与する層であり、蓄電デバイスの組み立て時に内側に配置されてヒートシール(熱融着)される層である。
【0024】
シーラント層16としては、例えば、ポリオレフィン, ポリアミド, ポリエステル, ポリカーボネート, ポリフェニレンエーテル, ポリアセタール, ポリスチレン, ポリ塩化ビニル, ポリ酢酸ビニルなどの熱可塑性樹脂を用いることができ、耐熱性およびシール適性の観点から、ポリオレフィン, ポリアミド, ポリエステルを用いることが好ましい。なお、バリア層に接着剤を介さず直接ラミネートする場合には、少なくともバリア層に接する一層が酸やグリシジルなどよって変性されている物を用いることが好ましい。
【0025】
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度、中密度及び高密度のポリエチレン;エチレン-αオレフィン共重合体;ポリプロピレン;並びに、プロピレン-αオレフィン共重合体等が挙げられる。共重合体である場合のポリオレフィン樹脂は、ブロック共重合体であってもよく、ランダム共重合体であってもよい。
【0026】
ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)等が挙げられる。 これらポリエステル系樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、任意の酸とグリコールを共重合させたものを使用しても良い。
【0027】
シール性や耐熱性およびその他機能性を付与させるために、例えば酸化防止剤, スリップ剤、 難燃剤、アンチブロッキング剤、光安定剤、脱水剤、粘着付与剤、結晶核剤、可塑剤等を添加しても良い。
【0028】
シーラント層16の融解ピーク温度は、用途によって異なるが、全固体電池向けの外装材の場合、耐熱性が向上することから、160~280℃であることが好ましい。
【0029】
シーラント層16に含まれるベース樹脂材料として、ポリエステル系、ポリオレフィン系又はポリアミド系の樹脂を例示できる。
【0030】
ポリエステル系樹脂は、酸成分とグリコール成分とを共重合させることによって得ることができる。酸成分として、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸及びセバシン酸を例示できる。グリコール成分として、エチレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール及びプロパンジオールを例示できる。本発明者らの検討によると、一般なPET(テレフタル酸とエチレングリコールの共重合体)は、副分散ピークγが存在する温度が-130℃~-50℃の範囲外であり、室温下でのシール強度が不十分である。可塑剤をシーラント層16に配合しない場合、シーラント層16は、一種の酸成分に対して二種以上のグリコール成分が共重合されているポリエステル系樹脂を含むことが好ましい。
【0031】
ポリオレフィン系樹脂として、ポリエチレン及びポリプロピレン樹脂が挙げられる。一般的に用いられるポリオレフィン樹脂では、耐熱性が乏しいため、ポリエチレンやポリプロピレンなどにアミドなどが変性されている物を用いることが好ましい。
【0032】
ポリアミド系樹脂として、ナイロン6及びナイロン6,6を例示できる。
【0033】
シーラント層16の副分散ピークγ及び主分散ピークαが出現する温度を調整する観点から、シーラント層16は可塑剤を含有することが好ましい。可塑剤として、例えば、エステル系化合物を用いることができる。具体例として、グリコールジエステル、アジピン酸エステル、フタル酸エステル、ジアセチルモノアシルグリセロール誘導体、エーテル骨格を有するエステルが挙げられる。シーラント層16のベース樹脂材料にもよるが、シーラント層16の可塑剤の含有量は、シーラント層16の質量基準で、好ましくは30質量%以下である。シーラント層16に過剰の可塑剤を配合すると、副分散ピークγ及び主分散ピークαが出現する温度が過剰に低下するとともに、凝集力が低下する傾向にある。
【0034】
シーラント層16は、単層構造であっても二層以上の多層構造であってもよい(図3(a)~図3(c)参照)。シーラント層が単層構造である場合、その厚さは好ましくは10~300μmであり、より好ましくは20~100μmである。シーラント層16の厚さが10μm以上であることで密封性及び絶縁性を確保しやすく、他方、300μm以下であることでセル容積の確保を図ることができる。
【0035】
図3(b)は二層構造のシーラント層16を模式的に示す断面図である。同図に示すシーラント層16は、第1の樹脂層16aと、第1の樹脂層16aの内側の表面上に形成された第2の樹脂層16bとを有する。第1の樹脂層16aは、例えば、第2の樹脂層16bと異なる材料からなるものであってもよいし、第2の樹脂層16bと厚さが異なっていてもよい。第1の樹脂層16a及び第2の樹脂層16bの厚さは、それぞれ、例えば、5~300μmであり、20~200μmであってもよい。図3(c)に示すように、シー
ラント層16は、三層構造であって、第3の樹脂層16cを更に備えてもよい。
【0036】
全固体電池の電解質が硫化物系電解質である場合、シーラント層16は硫化水素吸着物質を含有することが好ましい。シーラント層16が硫化水素吸着物質を含有することで、硫化水素暴露後でも室温及び高温下における優れたシール強度を維持することができる。硫化水素吸着物質として、硫化水素を吸収又は吸着する性能を有する材料を使用できる。その具体例として、酸化亜鉛、非晶質金属ケイ酸塩、ジルコニウム・ランタノイド元素の水酸化物、四価金属リン酸塩、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム、酸化アルミニウム、水酸化鉄、硫酸銀、酢酸銀、イソシアネート化合物、ケイ酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、ゼオライト、活性炭、アミン系化合物及びアイオノマーが挙げられる。
【0037】
シーラント層16の硫化水素吸着物質の含有量は、シーラント層16の質量基準で、好ましくは1~50質量%であり、より好ましくは2~25質量%であり、更に好ましくは5~15質量%である。シーラント層16の硫化水素吸着物質の含有量が1質量%以上であることで硫化水素の吸着効果が発揮され、他方、50質量%以下であることでシーラント層16の密着性及びシーラント適性を両立できる。シーラント層16が多層構造である場合、全て又は一部の層が硫化水素吸着物質を含めばよい。なお、外装材10におけるシーラント層16以外の層(例えば、第2の接着剤層17)が硫化物系電解質を含んでもよいが、硫化水素吸着物質の含有量の観点から、少なくともシーラント層16が硫化水素吸着物質を含有していることが好ましい。
【0038】
(基材層)
基材層11は、蓄電装置を製造する際のシール工程における耐熱性を付与し、成型加工や流通の際に起こり得るピンホールの発生を抑制する役割を果たす。特に大型用途の蓄電デバイスの外装材の場合等は、耐擦傷性、耐薬品性、絶縁性等も付与できる。
【0039】
基材層11は、絶縁性を有する樹脂により形成された樹脂フィルムからなる層であることが好ましい。樹脂フィルムとしては、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリフェニレンスルファイドフィルム等の延伸又は未延伸フィルム等が挙げられる。基材層11は、これらいずれかの樹脂フィルムで構成された単層フィルムであってもよく、これらの樹脂フィルムの二種以上で構成された積層フィルムであってもよい。
【0040】
これらの中でも、基材層11としては、成型性に優れることから、ポリエステルフィルム及びポリアミドフィルムが好ましく、ポリアミドフィルムがより好ましい。これらのフィルムは二軸延伸フィルムであることが好ましい。ポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレートが挙げられる。ポリアミドフィルムを構成するポリアミド樹脂としては、例えば、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6とナイロン6,6との共重合体、ナイロン6,10、ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)、ナイロン11、ナイロン12等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性、突刺強度及び衝撃強度に優れる観点から、ナイロン6(ONy)が好ましい。
【0041】
二軸延伸フィルムにおける延伸方法としては、例えば、逐次二軸延伸法、チューブラー二軸延伸法、同時二軸延伸法等が挙げられる。二軸延伸フィルムは、より優れた深絞り成型性が得られる観点から、チューブラー二軸延伸法により延伸されたものであることが好ましい。
【0042】
基材層11の厚さは、6~40μmであることが好ましく、10~30μmであることがより好ましい。基材層11の厚さが6μm以上であることにより、外装材10の耐ピン
ホール性及び絶縁性を向上できる傾向がある。基材層11の厚さが40μmを超えると外装材10の総厚が大きくなる傾向がある。
【0043】
(第1の接着剤層)
第1の接着剤層12は、基材層11とバリア層13とを接着する層である。第1の接着剤層12を構成する材料としては、具体的には、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、カーボネートポリオールなどの主剤に対し、二官能以上のイソシアネート化合物を作用させたポリウレタン樹脂等が挙げられる。上述した各種ポリオールは、外装材に求められる機能や性能に応じて、単独又は二種以上を組み合わせて用いることができる。また、接着剤に求められる性能に応じて、上述したポリウレタン樹脂に、その他の各種添加剤や安定剤を配合してもよい。
【0044】
第1の接着剤層12の厚さは、特に限定されるものではないが、所望の接着強度、追随性、及び加工性等を得る観点から、例えば、1~10μmが好ましく、3~7μmがより好ましい。
【0045】
(バリア層)
バリア層13は、水分が蓄電装置の内部に浸入することを防止する水蒸気バリア性を有する。また、バリア層13は、深絞り成型をするために延展性を有する。バリア層13としては、アルミニウム、ステンレス鋼、銅等の各種金属箔、及び金属蒸着膜、無機酸化物蒸着膜、炭素含有無機酸化物蒸着膜、これらの蒸着膜を設けたフィルムなどを用いることができる。質量(比重)、防湿性、加工性及びコストの面から、金属箔が好ましく、アルミニウム箔がより好ましい。
【0046】
アルミニウム箔としては、所望の成型時の延展性を付与できる点から、特に焼鈍処理を施した軟質アルミニウム箔を好ましく用いることができるが、更なる耐ピンホール性、及び成型時の延展性を付与させる目的で、鉄を含むアルミニウム箔を用いるのがより好ましい。アルミニウム箔中の鉄の含有量は、アルミニウム箔100質量%中、0.1~9.0質量%が好ましく、0.5~2.0質量%がより好ましい。鉄の含有量が0.1質量%以上であることにより、より優れた耐ピンホール性及び延展性を有する外装材10を得ることができる。鉄の含有量が9.0質量%以下であることにより、より柔軟性に優れた外装材10を得ることができる。未処理のアルミニウム箔を用いてもよいが、脱脂処理を施したアルミニウム箔を用いるのが好ましい。アルミニウム箔に脱脂処理する場合は、アルミニウム箔の片面のみに脱脂処理を施してもよく、両面に脱脂処理を施してもよい。
【0047】
バリア層13の厚さは、特に限定されるものではないが、バリア性、耐ピンホール性、加工性を考慮して9~200μmとすることが好ましく、15~100μmとすることがより好ましい。
【0048】
(腐食防止処理層)
腐食防止処理層14はバリア層13の腐食を防止するために設けられる層である。腐食防止処理層14としては、例えば、脱脂処理、熱水変成処理、陽極酸化処理、化成処理、あるいはこれらの処理の組み合わせにより形成される。
【0049】
脱脂処理としては、酸脱脂又はアルカリ脱脂が挙げられる。酸脱脂としては、硫酸、硝酸、塩酸、フッ酸などの無機酸の単独、又はこれらの混合液を使用する方法などが挙げられる。また、酸脱脂として、一ナトリウム二フッ化アンモニウムなどのフッ素含有化合物を上記無機酸で溶解させた酸脱脂剤を用いることで、特にバリア層13にアルミニウム箔を用いた場合に、アルミニウムの脱脂効果が得られるだけでなく、不動態であるアルミニウムのフッ化物を形成させることができ、耐腐食性という点で有効である。アルカリ脱脂
としては、水酸化ナトリウムなどを使用する方法が挙げられる。
【0050】
熱水変成処理としては、例えば、トリエタノールアミンを添加した沸騰水中にアルミニウム箔を浸漬処理するベーマイト処理が挙げられる。陽極酸化処理としては、例えば、アルマイト処理が挙げられる。
【0051】
化成処理としては、浸漬型、塗布型が挙げられる。浸漬型の化成処理としては、例えばクロメート処理、ジルコニウム処理、チタニウム処理、バナジウム処理、モリブデン処理、リン酸カルシウム処理、水酸化ストロンチウム処理、セリウム処理、ルテニウム処理、あるいはこれらの混合相からなる各種化成処理が挙げられる。一方、塗布型の化成処理としては、腐食防止性能を有するコーティング剤をバリア層13上に塗布する方法が挙げられる。
【0052】
これら腐食防止処理のうち、熱水変成処理、陽極酸化処理、化成処理のいずれかで腐食防止処理層の少なくとも一部を形成する場合は、事前に上述した脱脂処理を行うことが好ましい。なお、バリア層13として焼鈍工程を通した金属箔など脱脂処理済みの金属箔を用いる場合は、腐食防止処理層14の形成において改めて脱脂処理する必要なはい。
【0053】
塗布型の化成処理に用いられるコーティング剤は、好ましくは三価クロムを含有する。また、コーティング剤には、後述するカチオン性ポリマー及びアニオン性ポリマーからなる群より選択される少なくとも一種のポリマーが含まれていてもよい。
【0054】
上記処理のうち、特に熱水変成処理、陽極酸化処理では、処理剤によってアルミニウム箔表面を溶解させ、耐腐食性に優れるアルミニウム化合物(ベーマイト、アルマイト)を形成させる。そのため、アルミニウム箔を用いたバリア層13から腐食防止処理層14まで共連続構造を形成した形態になるので、上記処理は化成処理の定義に包含される。一方、後述するように化成処理の定義に含まれない、純粋なコーティング手法のみで腐食防止処理層14を形成することも可能である。この方法としては、例えば、アルミニウムの腐食防止効果(インヒビター効果)を有し、且つ、環境側面的にも好適な材料として、平均粒径100nm以下の酸化セリウムのような希土類元素酸化物のゾルを用いる方法が挙げられる。この方法を用いることで、一般的なコーティング方法でも、アルミニウム箔などの金属箔に腐食防止効果を付与することが可能となる。
【0055】
上記希土類元素酸化物のゾルとしては、例えば、水系、アルコール系、炭化水素系、ケトン系、エステル系、エーテル系などの各種溶媒を用いたゾルが挙げられる。中でも、水系のゾルが好ましい。上記希土類元素酸化物のゾルには、通常その分散を安定化させるために、硝酸、塩酸、リン酸などの無機酸又はその塩、酢酸、りんご酸、アスコルビン酸、乳酸などの有機酸が分散安定化剤として用いられる。これらの分散安定化剤のうち、特にリン酸は、外装材10において、(1)ゾルの分散安定化、(2)リン酸のアルミキレート能力を利用したバリア層13との密着性の向上、(3)低温でもリン酸の脱水縮合を起こしやすいことによる腐食防止処理層14(酸化物層)の凝集力の向上、などが期待される。
【0056】
上記希土類元素酸化物ゾルにより形成される腐食防止処理層14は、無機粒子の集合体であるため、乾燥キュアの工程を経ても層自身の凝集力が低くなるおそれがある。そこで、この場合の腐食防止処理層は、凝集力を補うために、下記アニオン性ポリマー、又はカチオン性ポリマーにより複合化されていることが好ましい。
【0057】
腐食防止処理層14は、前述した層には限定されない。例えば、公知技術である塗布型クロメートのように、樹脂バインダー(アミノフェノールなど)にリン酸とクロム化合物
を配合した処理剤を用いて形成してもよい。この処理剤を用いれば、腐食防止機能と密着性の両方を兼ね備えた層とすることができる。また、塗液の安定性を考慮する必要があるものの、希土類元素酸化物ゾルとポリカチオン性ポリマーあるいはポリアニオン性ポリマーとを事前に一液化したコーティング剤を使用して腐食防止機能と密着性の両方を兼ね備えた層とすることができる。
【0058】
腐食防止処理層14の単位面積当たりの質量は、多層構造、単層構造いずれであっても、0.005~0.200g/mが好ましく、0.010~0.100g/mがより好ましい。上記単位面積当たりの質量が0.005g/m2以上であれば、バリア層13に腐食防止機能を付与しやすい。また、上記単位面積当たりの質量が0.200g/mを超えても、腐食防止機能はあまり変らない。一方、希土類元素酸化物ゾルを用いた場合には、塗膜が厚いと乾燥時の熱によるキュアが不十分となり、凝集力の低下を伴うおそれがある。なお、腐食防止処理層14の厚みについては、その比重から換算できる。
【0059】
腐食防止処理層14は、シーラント層16とバリア層13の密着性の観点から、例えば、酸化セリウムと、該酸化セリウム100質量部に対して1~100質量部のリン酸又はリン酸塩と、カチオン性ポリマーと、を含む態様であってもよく、バリア層13に化成処理を施して形成されている態様であってもよく、バリア層13に化成処理を施して形成されており、且つ、カチオン性ポリマーを含む態様であってもよい。
【0060】
(第2の接着剤層)
第2の接着剤層17は、腐食防止処理層14が形成されたバリア層13とシーラント層16とを接着する層である。第2の接着剤層17には、バリア層13とシーラント層16とを接着するための一般的な接着剤を用いることができる。
【0061】
腐食防止処理層14が上述したカチオン性ポリマー及びアニオン性ポリマーからなる群より選択される少なくとも一種のポリマーを含む層を有する場合、第2の接着剤層17は、腐食防止処理層14に含まれる上記ポリマーと反応性を有する化合物(以下、「反応性化合物」とも言う)を含む層であることが好ましい。
【0062】
例えば、腐食防止処理層14がカチオン性ポリマーを含む場合、第2の接着剤層17はカチオン性ポリマーと反応性を有する化合物を含む。腐食防止処理層14がアニオン性ポリマーを含む場合、第2の接着剤層17はアニオン性ポリマーと反応性を有する化合物を含む。また、腐食防止処理層14がカチオン性ポリマー及びアニオン性ポリマーを含む場合、第2の接着剤層17はカチオン性ポリマーと反応性を有する化合物と、アニオン性ポリマーと反応性を有する化合物とを含む。ただし、第2の接着剤層17は必ずしも上記2種類の化合物を含む必要はなく、カチオン性ポリマー及びアニオン性ポリマーの両方と反応性を有する化合物を含んでいてもよい。ここで、「反応性を有する」とは、カチオン性ポリマー又はアニオン性ポリマーと共有結合を形成することである。また、第2の接着剤層17は、酸変性ポリオレフィン樹脂を更に含んでいてもよい。
【0063】
カチオン性ポリマーと反応性を有する化合物としては、多官能イソシアネート化合物、グリシジル化合物、カルボキシ基を有する化合物、オキサゾリン基を有する化合物からなる群より選択される少なくとも一種の化合物が挙げられる。
【0064】
これら多官能イソシアネート化合物、グリシジル化合物、カルボキシ基を有する化合物、オキサゾリン基を有する化合物としては、カチオン性ポリマーを架橋構造にするための架橋剤として先に例示した多官能イソシアネート化合物、グリシジル化合物、カルボキシ基を有する化合物、オキサゾリン基を有する化合物などが挙げられる。これらの中でも、カチオン性ポリマーとの反応性が高く、架橋構造を形成しやすい点で、多官能イソシアネート化合物が好ましい。
【0065】
アニオン性ポリマーと反応性を有する化合物としては、グリシジル化合物、オキサゾリン基を有する化合物からなる群より選択される少なくとも一種の化合物が挙げられる。これらグリシジル化合物、オキサゾリン基を有する化合物としては、カチオン性ポリマーを架橋構造にするための架橋剤として先に例示したグリシジル化合物、オキサゾリン基を有する化合物などが挙げられる。これらの中でも、アニオン性ポリマーとの反応性が高い点で、グリシジル化合物が好ましい。
【0066】
第2の接着剤層17が酸変性ポリオレフィン樹脂を含む場合、反応性化合物は、酸変性ポリオレフィン樹脂中の酸性基とも反応性を有する(すなわち、酸性基と共有結合を形成する)ことが好ましい。これにより、腐食防止処理層14との接着性がより高まる。加えて、酸変性ポリオレフィン樹脂が架橋構造となり、外装材10の耐溶剤性がより向上する。
【0067】
反応性化合物の含有量は、酸変性ポリオレフィン樹脂中の酸性基に対し、等量から10倍等量であることが好ましい。等量以上であれば、反応性化合物が酸変性ポリオレフィン樹脂中の酸性基と十分に反応する。一方、10倍等量を超えると、酸変性ポリオレフィン樹脂との架橋反応としては十分飽和に達しているため、未反応物が存在し、各種性能の低下が懸念される。したがって、例えば、反応性化合物の含有量は、酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して5~20質量部(固形分比)であることが好ましい。
【0068】
酸変性ポリオレフィン樹脂は、酸性基をポリオレフィン樹脂に導入したものである。酸性基としては、カルボキシ基、スルホン酸基、酸無水物基などが挙げられ、無水マレイン酸基や(メタ)アクリル酸基などが特に好ましい。酸変性ポリオレフィン樹脂としては、例えば、シーラント層16に用いる変性ポリオレフィン樹脂と同様のものを用いることができる。
【0069】
第2の接着剤層17には、難燃剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、光安定剤、粘着付与剤等の各種添加剤を配合してもよい。
【0070】
第2の接着剤層17を形成する接着剤として、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、カーボネートポリオールなどの主剤に対し、二官能以上のイソシアネート化合物を作用させたポリウレタン樹脂やエポキシ基を有する主剤にアミン化合物などを作用させたエポキシ樹脂等が挙げられ、耐熱性の観点から好ましい。
【0071】
第2の接着剤層17の厚さは、特に限定されるものではないが、所望の接着強度、及び加工性等を得る観点から、1~10μmが好ましく、2~7μmがより好ましい。
【0072】
[金属端子]
図4は、図1に示す端子フィルム及び金属端子のIV-IV線方向の断面図である。一対の金属端子30,30のうち、一方の金属端子30は、蓄電装置本体50の正極と電気的に接続されており、他方の金属端子30は、蓄電装置本体50の負極と電気的に接続されている。一対の金属端子30,30は、蓄電装置本体50から外装材10の外部まで延びている。一対の金属端子30,30の形状は、例えば、平板形状とすることができる。
【0073】
金属端子30の材料としては、金属を用いることができる。金属端子30の材料となる金属は、蓄電装置本体50の構造やその構成要素の材料等を考慮して決めればよい。例えば、蓄電装置100が全固体電池の場合、蓄電装置本体50の正極と接続される金属端子
30の材料としては、アルミニウムを用いることが好ましい。蓄電装置本体50の負極と接続される金属端子30の材料としては、表面にニッケルめっき層が形成された銅、もしくはニッケルを用いることが好ましい。
【0074】
金属端子30の厚さは、全固体電池のサイズや容量に依存する。全固体電池が小型の場合、金属端子30の厚さは、例えば、50μm以上にするとよい。また、蓄電・車載用途等の大型の全固体電池の場合、金属端子30の厚さは、例えば、100~500μmの範囲内で適宜設定することができる。
【0075】
[端子フィルム]
図4に示すように、端子フィルム40は、金属端子30の一部の外周面を覆うように配置されている。金属端子30と外装材10との間に端子フィルム40を配置されることで、蓄電装置100の密封性及び絶縁性をより一層高度に達成することができる。
【0076】
(硫化水素顕色材)
端子フィルム40は、硫化水素と反応して色が変化する硫化水素顕色材を含んでいる。全固体電池の電解質には、一般的に硫化物系電解質、酸化物系電解質、有機高分子系電解質などが用いられる。硫化物系電解質が用いられる場合、電池内に浸入した水分と硫黄とが反応して、毒性を持った硫化水素(H2S)が発生することがある。このとき、端子フィルム40が硫化水素顕色材を含有することにより、硫化水素が発生した場合に端子フィルム40が変色するため、硫化水素の発生を視覚的に検知することができる。ここで、視覚的な検知は目視で行ってもよく、ルーペや顕微鏡等を用いて行ってもよい。
【0077】
端子フィルム40は単層構成であっても多層構成であっても良く、多層構成の場合に、上記硫化水素顕色材はそのうちの一つの層に含まれていて良く、また複数の層に含まれていても良い。硫化水素顕色材の例としては、銅、鉛、銀、マンガン、ニッケル、コバルト、錫、カドミウムが例示できる。これらの元素は金属またはイオンの形で、単体で含まれていても良く、複数種が含まれても良い。また、化合物の形のものを含んでも良く、例えば銅がCuSO4を含む材料であっても良く、鉛がPb(CH3COO)2を含む材料であっても良く、銀がAg2SO4を含む材料であっても良い。
【0078】
(硫化水素消臭剤)
端子フィルム40はまた、硫化水素を分解または吸着する物質を含有すると好ましい。全固体電池の電解質が硫化物系電解質である場合、セル内部に水分が混入すると硫化水素が発生し、金属端子(タブリード)30と端子フィルム(タブシーラント)40間の密着力の低下が懸念される。密着力が低下すると硫化水素が外部に流出して異臭が発生する恐れもある。硫化水素を分解または吸着する物質を添加することで、硫化水素が発生した場合でも室温・高温下におけるシール強度を維持することができ、また異臭の発生を抑えることが出来る。従って硫化水素を分解または吸着する物質はまた、硫化水素消臭剤でもあり、以下では硫化水素を分解または吸着する物質を硫化水素消臭剤と表記することがある。
【0079】
硫化水素を分解または吸着する物質(硫化水素消臭剤)の例としては、特段限定はされないが、例えば酸化亜鉛、非晶質金属ケイ酸塩、ジルコニウム・ランタノイド元素の水酸化物、4価金属リン酸塩過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム、酸化アルミニウム、水酸化鉄、硫酸銀、酢酸銀、イソシアネート化合物、ケイ酸アルミニウム、4価金属リン酸塩、硫酸アルミニウムカリウム、ゼオライト、活性炭、アミン系化合物、アイオノマー等を用いることが出来る。端子フィルム40が上記硫化水素消臭剤を含有することで、硫化水素暴露後でも室温及び高温下における優れたシール強度を維持することができ、また異臭の発生を抑制することができる。
【0080】
端子フィルム40において、上記硫化水素顕色材および上記硫化水素消臭剤を含有する総量は、端子フィルム40の質量基準で、各層において好ましくは0.01%以上30質量%以下である。端子フィルム40の各層の硫化水素顕色材および上記硫化水素消臭剤の含有量が0.01質量%以上であることで硫化水素の吸収効果もしくは吸着効果が発揮され、他方、30質量%以下であることで端子フィルム40の密着性及びシーラント適性を両立できる。端子フィルム40が多層構造である場合、金属端子30に対する密着性の観点から、金属端子30に接する層は硫化水素顕色材および硫化水素消臭剤を含まないことが好ましい。すなわち、外装材10に接する層(例えば、図5(b)における樹脂層40a又は図5(c)における樹脂層40a、40c)が硫化水素顕色材および硫化水素消臭剤を含むことが好ましく、端子フィルム40が三層以上からなる場合、中間層(例えば、図5(c)における樹脂層40a)が硫化水素顕色材および硫化水素消臭剤を含むことが好ましい。
【0081】
端子フィルム40を構成する樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂:ポリエチレン(LDPE、LLDPE、HDPE)、ポリプロピレン(ホモ、ブロック、ランダム)、ポリブテン、またはポリエステル系樹脂などを用いることが出来る。耐熱性や柔軟性の観点からポリプロピレンを用いることが好ましく、特にブロックポリプロピレンを用いることがより好ましい。また酸変性ポリオレフィンを用いることもでき、例えば不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸の酸無水物、不飽和カルボン酸のエステルのいずれかから変性される酸変性ポレオレフィン樹脂が挙げられる。
【0082】
ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂、ポリブチレンナフタレート(PBN)樹脂、及び、それらの共重合体等が挙げられる。
【0083】
(酸変性ポリオレフィン樹脂)
酸変性ポリオレフィン樹脂は、酸性基をポリオレフィン樹脂に導入したものである。酸性基としては、カルボキシ基、スルホン酸基、酸無水物基などが挙げられ、無水マレイン酸基や(メタ)アクリル酸基などが特に好ましい。酸変性ポリオレフィン樹脂としては、例えば、酸変性ポリプロピレン系樹脂等の変性ポリプロピレン系樹脂であってよい。変性ポリプロピレン系樹脂は、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸の酸無水物、不飽和カルボン酸のエステルのいずれかから導かれる不飽和カルボン酸誘導体成分が、ポリプロピレン系樹脂にグラフト変性された樹脂であることが好ましい。この場合のポリプロピレン系樹脂としては、ホモポリプロピレン及びランダムポリプロピレン等が挙げられる。
【0084】
これらのポリプロピレン系樹脂をグラフト変性する際に用いる化合物としては、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸の酸無水物、不飽和カルボン酸のエステルのいずれかから導かれる不飽和カルボン酸誘導体成分が挙げられる。
【0085】
具体的には、不飽和カルボン酸として、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン酸などが挙げられる。
【0086】
不飽和カルボン酸の酸無水物としては、例えば無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン酸無水物などの不飽和カルボン酸の酸無水物などが挙げられる。
【0087】
不飽和カルボン酸のエステルとしては、例えばアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸モノメチル、フマール酸ジエチル、イタコン酸ジメチル、シトラコン酸ジエチル、テトラヒドロ無水フタル酸ジメチル、ビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン酸ジメチルなどの不飽和カルボン酸のエステルなどが挙げられる。
【0088】
変性ポリプロピレン系樹脂は、ベースとなるポリプロピレン系樹脂100質量部に対し、上述した不飽和カルボン酸誘導体成分0.2~100質量部をラジカル開始剤の存在下、グラフト重合(グラフト変性)することで製造することができる。グラフト変性の反応温度は、50~250℃が好ましく、60~200℃がより好ましい。また、反応時間は、製造方法に応じて適宜設定されるが、例えば二軸押出機による溶融グラフト重合の場合、押出機の滞留時間内、具体的には2~30分が好ましく、5~10分がより好ましい。なお、グラフト変性は、常圧、加圧のいずれの条件下においても実施できる。
【0089】
グラフト変性に用いられるラジカル開始剤としては、アルキルパーオキサイド、アリールパーオキサイド、アシルパーオキサイド、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、パーオキシカーボネート、パーオキシエステル、ハイドロパーオキサイドなどの有機過酸化物が挙げられる。
【0090】
これらの有機過酸化物は、上述した反応温度や反応時間の条件によって適宜選択して用いることができる。例えば、二軸押出機による溶融グラフト重合の場合、アルキルパーオキサイド、パーオキシケタール、パーオキシエステルが好ましく、具体的にはジ-t-ブチルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ-t-ブチルペルオキシ-ヘキシン-3、ジクミルペルオキシドなどが好ましい。
【0091】
具体的な製品としては、例えば下記を用いることができ、酸変性マレイン酸を用いることが好ましい。
無水マレイン酸:アドマー(三井化学)、モディック(三菱ケミカル)、トーヨータック(東洋紡)、サンスタック(三洋化成)。
【0092】
端子フィルム40は上述の様に単層構造または多層構造を有する。端子フィルム40が単層構造である場合、端子フィルム40は樹脂層40aからなる(図5(a)参照)。端子フィルム40が多層構造である場合、端子フィルム40が上記の各条件を満たす樹脂層(樹脂層40a)を少なくとも一層含めばよい(図5(b)及び図5(c)参照)。なお、端子フィルム40が多層構造である場合、隣接する層間の密着性の点から、全層が同系の樹脂材料からなることが好ましい。
【0093】
端子フィルム40の厚さは、埋込性及び絶縁性の観点から、好ましくは15μm以上であり、より好ましくは30~300μmであり、さらに好ましくは50~200μmである。端子フィルム40が上記の様な組成の樹脂層を備えることで、端子フィルム40は硫化水素の発生を視覚的に検知することができ、また異臭の発生を抑制することができる。
【0094】
端子フィルム40は必要に応じて添加剤を含む。添加剤として、可塑剤、酸化防止剤、スリップ剤、難燃剤、AB剤、光安定剤、脱水剤及び粘着付与剤を例示できる。
【0095】
以上、本開示の実施形態について詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本開示の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0096】
例えば、上記実施形態においては、バリア層13の一方の表面(第2の接着剤層17側)上のみに腐食防止処理層14が設けられた態様を例示したが、バリア層13のもう一方の表面(第1の接着剤層12側)上にも腐食防止処理層14を設けてもよい。また、例えば、熱ラミネーションによってバリア層13にシーラント層16を貼り付ける場合は第2の接着剤層17を無くしてもよい。塗布又は塗工により基材層11を設ける場合は第1の接着剤層12を設けなくてもよい。上記実施形態においては、外装材10が適用される蓄電装置として全固体電池を例示したが、外装材10をその他の蓄電装置(例えば、リチウムイオン電池)に適用してもよい。
【実施例
【0097】
以下、実施例に基づいて本開示をより具体的に説明するが、本開示は以下の実施例に限定されるものではない。
【0098】
[使用材料]
実施例及び比較例に係る端子フィルムを作製するため、以下の材料を準備した。
<樹脂材料>
・樹脂A:ブロックポリプロピレン(ノバテックPP、日本ポリプロピレン製)と無水マレイン酸変性ポリオレフィン(トーヨータック、東洋紡製)のブレンド。
・樹脂B:ブロックポリプロピレン(ノバテックPP、日本ポリプロピレン製)。
・樹脂C:ランダムポリプロピレン(F744NP、プライムポリマー製)と無水マレイン酸変性ポリオレフィン(トーヨータック、東洋紡製)のブレンド。
【0099】
<顕色材>
実施例において、下記の顕色材a~cを、端子フィルムの各層に添加した。添加の有無、及び、配合量については、表1に示した。配合量は、各層の全量(100質量%)に占める割合(質量%)を示している。顕色材は、各層を構成する材料と混合して用いた。
顕色材a:酢酸鉛(Pb(CH3COO)2)
顕色材b:硫酸銅(CuSO4)
顕色材c:硫酸銀(Ag2SO4)
【0100】
<硫化水素(H2S)消臭剤>
一部の実施例及び比較例において、下記の硫化水素消臭剤A~Cを、各層に添加した。添加の有無、及び、配合量については、表1に示した。配合量は、各層の全量(100質量%)に占める割合(質量%)を示している。硫化水素消臭剤は、各層を構成する材料と混合して用いた。
硫化水素消臭剤A:酸化亜鉛(ZnO、白色顔料)
硫化水素消臭剤B:ダイムシューPE-M 3000-Z、ポリエチレンマスターバッチ品(大日精化工業株式会社製)
硫化水素消臭剤C:ケスモンNS10C(東亞合成株式会社製)。
【0101】
<層構成>
・単層:樹脂Aの単層構成とした(実施例1~11、比較例1、2)。
・複層:樹脂C/樹脂B/樹脂Cの3層構成とした(実施例12、13)。
各層の厚みは表1に示す。
【0102】
[評価方法]
(試料作成)
上記樹脂材料を用いた各実施例の試料として、50mm(TD)×100mm(MD)にカットした端子フィルムサンプルを作成し、50mm×50mmにカットした化成処理済ALに対して、2つに折り畳み、1辺を10mm幅のシールバーで165℃、0.6MPa、10secで熱封緘した。その後、熱封緘部分を15mm幅にカットした。試料の概略形状は図6参照。
【0103】
<初期シール強度>
室温(23℃)において剥離速度50mm/分でシール強度を測定した。その結果に基づき、以下の基準で評価した。表1に結果を示す。
A:バースト強度が20N/15mm以上。
B:バースト強度が15N/15mm以上、20N/15mm未満。
C:バースト強度が15N/15mm未満。
【0104】
<硫化水素顕色性>
2S 5ppm 2L の容器内で室温72h後に変色が目視で確認できれば合格。
具体的には、50mm×50mmに端子フィルムサンプルを切り出し、2Lのテドラーバックに入れて封止を行う。サンプルの入ったテドラーバックに5ppm2LのH2Sガスを流し込み、その後室温にて72h放置し、端子フィルムの変色を確認する。
【0105】
<硫化水素吸収性>
2S 20ppm 2L の容器内で室温144h後に10ppm以下となれば合格。
具体的には、50mm×50mmに端子フィルムサンプルを切り出し、2Lのテドラーバックに入れて封止を行う。サンプルの入ったテドラーバックに20ppm2LのH2Sガスを流し込み、その後室温にて144h放置し、容器内の濃度が10ppm以下5ppmより高ければ「△」、5ppm以下となれば「○」とし、△および○は合格とした。
【0106】
(実施例1)
インフレーション法によって、以下の樹脂組成物からなる端子用樹脂フィルム(単層、厚さ:100μm)を作製した。
・樹脂:樹脂A
・硫化水素顕色剤:顕色材aを0.1%添加。
【0107】
(実施例2)
インフレーション法によって、以下の樹脂組成物からなる端子用樹脂フィルム(単層、厚さ:100μm)を作製した。
・樹脂:樹脂A
・硫化水素顕色剤:顕色材aを0.3%添加。
【0108】
(実施例3)
インフレーション法によって、以下の樹脂組成物からなる端子用樹脂フィルム(単層、厚さ:100μm)を作製した。
・樹脂:樹脂A
・硫化水素顕色剤:顕色材aを3%添加。
【0109】
(実施例4)
インフレーション法によって、以下の樹脂組成物からなる端子用樹脂フィルム(単層、厚さ:100μm)を作製した。
・樹脂:樹脂A
・硫化水素顕色剤:顕色材aを10%添加。
【0110】
(実施例5)
インフレーション法によって、以下の樹脂組成物からなる端子用樹脂フィルム(単層、厚さ:100μm)を作製した。
・樹脂:樹脂A
・硫化水素顕色剤:顕色材aを30%添加。
【0111】
(実施例6)
インフレーション法によって、以下の樹脂組成物からなる端子用樹脂フィルム(単層、厚さ:100μm)を作製した。
・樹脂:樹脂A
・硫化水素顕色剤:顕色材bを3%添加。
【0112】
(実施例7)
インフレーション法によって、以下の樹脂組成物からなる端子用樹脂フィルム(単層、厚さ:100μm)を作製した。
・樹脂:樹脂A
・硫化水素顕色剤:顕色材cを3%添加。
【0113】
(実施例8)
インフレーション法によって、以下の樹脂組成物からなる端子用樹脂フィルム(単層、厚さ:100μm)を作製した。
・樹脂:樹脂A
・硫化水素顕色剤:顕色材aを1%添加。
・硫化水素消臭剤:硫化水素消臭剤Aを3%添加。
【0114】
(実施例9)
インフレーション法によって、以下の樹脂組成物からなる端子用樹脂フィルム(単層、厚さ:100μm)を作製した。
・樹脂:樹脂A
・硫化水素顕色剤:顕色材aを3%添加。
・硫化水素消臭剤:硫化水素消臭剤Aを10%添加。
【0115】
(実施例10)
インフレーション法によって、以下の樹脂組成物からなる端子用樹脂フィルム(単層、厚さ:100μm)を作製した。
・樹脂:樹脂A
・硫化水素顕色剤:顕色材aを0.1%添加。
・硫化水素消臭剤:硫化水素消臭剤Aを3%添加。
【0116】
(実施例11)
インフレーション法によって、以下の樹脂組成物からなる端子用樹脂フィルム(単層、厚さ:100μm)を作製した。
・樹脂:樹脂A
・硫化水素顕色剤:顕色材aを50%添加。
【0117】
(実施例12)
インフレーション法によって、三層構造の端子用樹脂フィルム(25μm/50μm/25μm)を作製した。
・外装材側の層:樹脂Cに顕色材aを0.3%添加。
・中間層:樹脂Bに硫化水素消臭剤Aを3%添加。
・金属端子側の層:樹脂C
【0118】
(実施例13)
インフレーション法によって、三層構造の端子用樹脂フィルム(25μm/50μm/25μm)を作製した。
・外装材側の層:樹脂Cに顕色材aを0.3%、硫化水素消臭剤Aを3%添加。
・中間層:樹脂Bに硫化水素消臭剤Aを3%添加。
・金属端子側の層:樹脂C
【0119】
(比較例1)
硫化水素顕色材を添加しないこと以外は実施例1と同様とした。
【0120】
(比較例2)
硫化水素顕色材を添加せず、硫化水素消臭剤Aを3%添加したこと以外は実施例1と同様とした。
【0121】
以上の各実施例、比較例の評価結果は表1に示す。
【0122】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0123】
本開示の蓄電装置用端子フィルムによれば、硫化水素が発生した場合に端子フィルムの色が変化するため、全固体電池の異常を目視にて早期に発見することができる。
【符号の説明】
【0124】
10,20…外装材、11…基材層、12…第1の接着剤層、13…バリア層、14…腐食防止処理層、16…シーラント層、17…第2の接着剤層、30…金属端子、40…端子フィルム、50…蓄電装置本体、100…蓄電装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6