(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-24
(45)【発行日】2024-02-01
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/639 20060101AFI20240125BHJP
【FI】
H01R13/639 Z
(21)【出願番号】P 2020203977
(22)【出願日】2020-12-09
【審査請求日】2023-04-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 寿紘
(72)【発明者】
【氏名】高木 耀一
【審査官】濱田 莉菜子
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-147981(JP,A)
【文献】特開2018-101604(JP,A)
【文献】特開平09-199246(JP,A)
【文献】特開平02-112180(JP,A)
【文献】特開2009-211932(JP,A)
【文献】特開2006-210052(JP,A)
【文献】特開2017-004737(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/56-13/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手側コネクタと前後方向に嵌合可能とされたコネクタであって、
ハウジングを備え、
前記ハウジングの上壁部には、前後方向に長く、前記上壁部と連結されたロックアームが設けられ、
前記上壁部の後部かつ左右方向における両端部には、一対の保護壁が前記上壁部から上方にのびて設けられ、
前記ロックアームの後部かつ上側には、前記ロックアームを下方に撓み変形させるために押圧される操作部が設けられ、
前記操作部の右端部は、前記ロックアームの右端部より右方に突出するとともに、前記操作部の左端部は、前記ロックアームの左端部より左方に突出しており、
前記操作部の下端部は、前記一対の保護壁の上端部と同じ高さ位置またはこれより高い位置に配され
、
前記ハウジングは、前記上壁部の左右両側に配された一対の側壁部を有し、
前記一対の保護壁のうち、一方は第1保護壁とされ、他方は第2保護壁とされ、
前記一対の側壁部のうち、前記第1保護壁側に位置する前記側壁部は第1側壁部とされ、前記第2保護壁側に位置する前記側壁部は第2側壁部とされ、
前記第1側壁部からの前記第1保護壁の突出寸法は、前記第2側壁部からの前記第2保護壁の突出寸法より大きく、
前記第1保護壁と前記第1側壁部とは、補強壁部により連結されている、コネクタ。
【請求項2】
前記ロックアームの後端部と前記一対の保護壁の後端部とは、一対の連結部により連結されている、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記操作部の後端部は、前記ロックアームの後端部と前後方向における同じ位置に配されている、請求項1または請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記操作部の前端部は、前記一対の保護壁の前端部よりも前方に配され、
前記一対の保護壁の前部には、前方に向かうにつれて前記上壁部からの高さ寸法が小さくなるように傾斜する傾斜部が設けられている、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記ハウジングは、前記上壁部の左右両側に配された一対の側壁部を有し、
前記一対の側壁部は、壁厚が薄く設定され、前記ハウジングの内方へ凹んで形成された凹部を有する、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記ロックアームの前端部には、前後方向に貫通する貫通孔が設けられている、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特開2000-182708号公報(下記特許文献1)に記載のコネクタが知られている。このコネクタは、ハウジング本体の上面に、前後方向にのびる片持ち状のロックアームを有する。ロックアームは、コネクタの嵌合操作の際、両ハウジングを嵌合状態に保持する。両ハウジングを離脱する際には、ロックアームを下方に撓ませることで、嵌合状態の保持を解除することができる。また、ロックアームの左右両側には、ロックアームを挟むように壁状のリブが設けられている。リブは、ロックアームを保護し、ロックアームとハウジング本体の上面との間の空間に異物が進入することを抑制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の構成により、コネクタを小型化する場合、ロックアームが小さくなり、コネクタの嵌合解除の操作性が損なわれるおそれがある。また、コネクタを小型化すると、ロックアームとリブとの間隔も狭くなる。このため、ロックアームとリブの隙間を設けるために細長い形状を有する金型パーツを用いてコネクタを製造しなければならず、金型パーツ強度を確保することが困難となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のコネクタは、相手側コネクタと前後方向に嵌合可能とされたコネクタであって、ハウジングを備え、前記ハウジングの上壁部には、前後方向に長く、前記上壁部と連結されたロックアームが設けられ、前記上壁部の後部かつ左右方向における両端部には、一対の保護壁が前記上壁部から上方にのびて設けられ、前記ロックアームの後部かつ上側には、前記ロックアームを下方に撓み変形させるために押圧される操作部が設けられ、前記操作部の右端部は、前記ロックアームの右端部より右方に突出するとともに、前記操作部の左端部は、前記ロックアームの左端部より左方に突出しており、前記操作部の下端部は、前記一対の保護壁の上端部と同じ高さ位置またはこれより高い位置に配されている、コネクタである。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、小型化しても、嵌合解除の操作性に優れ、製造が容易なコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態1にかかるコネクタの斜視図である。
【
図7】
図7は、
図2のB-B断面においてコネクタと相手側コネクタが嵌合する前の状態を示す図である。
【
図8】
図8は、
図2のB-B断面においてコネクタと相手側コネクタが嵌合した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。
【0009】
(1)本開示のコネクタは、相手側コネクタと前後方向に嵌合可能とされたコネクタであって、ハウジングを備え、前記ハウジングの上壁部には、前後方向に長く、前記上壁部と連結されたロックアームが設けられ、前記上壁部の後部かつ左右方向における両端部には、一対の保護壁が前記上壁部から上方にのびて設けられ、前記ロックアームの後部かつ上側には、前記ロックアームを下方に撓み変形させるために押圧される操作部が設けられ、前記操作部の右端部は、前記ロックアームの右端部より右方に突出するとともに、前記操作部の左端部は、前記ロックアームの左端部より左方に突出しており、前記操作部の下端部は、前記一対の保護壁の上端部と同じ高さ位置またはこれより高い位置に配されている。
【0010】
このような構成によると、コネクタを小型化しても、操作部の大きさを確保することができ、コネクタと相手側コネクタとの嵌合解除の操作が行いやすい。また、一対の保護壁とロックアームとの間隔を狭めなくてよく、コネクタの製造に用いられる金型パーツの強度を確保することができる。
【0011】
(2)前記ロックアームの後端部と前記一対の保護壁の後端部とは、一対の連結部により連結されていることが好ましい。
【0012】
このような構成によると、ロックアームの撓み変形の反力を向上させることができ、コネクタと相手側コネクタとの嵌合状態を維持しやすい。
【0013】
(3)前記操作部の後端部は、前記ロックアームの後端部と前後方向における同じ位置に配されていることが好ましい。
【0014】
このような構成によると、操作部を大きくすることができ、嵌合解除の操作が行いやすい。
【0015】
(4)前記操作部の前端部は、前記一対の保護壁の前端部よりも前方に配され、前記一対の保護壁の前部には、前方に向かうにつれて前記上壁部からの高さ寸法が小さくなるように傾斜する傾斜部が設けられていることが好ましい。
【0016】
このような構成によると、傾斜部に沿うように操作部を押し下げてロックアームを撓み変形させることができるため、嵌合解除の操作が行いやすい。また、ロックアームの過度な撓み変形を抑制することができる。
【0017】
(5)前記ハウジングは、前記上壁部の左右両側に配された一対の側壁部を有し、前記一対の側壁部は、壁厚が薄く設定され、前記ハウジングの内方へ凹んで形成された凹部を有することが好ましい。
【0018】
このような構成によると、コネクタに用いられる合成樹脂の量を削減するとともに、成形時のボイドの発生を抑制することができる。
【0019】
(6)前記ロックアームの前端部には、前後方向に貫通する貫通孔が設けられていることが好ましい。
【0020】
このような構成によると、コネクタに用いられる合成樹脂の量を削減するとともに、成形時のボイドの発生を抑制することができる。
【0021】
(7)前記ハウジングは、前記上壁部の左右両側に配された一対の側壁部を有し、前記一対の保護壁のうち、一方は第1保護壁とされ、他方は第2保護壁とされ、前記一対の側壁部のうち、前記第1保護壁側に位置する前記側壁部は第1側壁部とされ、前記第2保護壁側に位置する前記側壁部は第2側壁部とされ、前記第1側壁部からの前記第1保護壁の突出寸法は、前記第2側壁部からの前記第2保護壁の突出寸法より大きく、前記第1保護壁と前記第1側壁部とは、補強壁部により連結されていることが好ましい。
【0022】
このような構成によると、コネクタが小型化されても、操作部の大きさを確保しやすい。また、補強壁部により、第1保護壁の強度を向上させることができる。
【0023】
[本開示の実施形態の詳細]
以下に、本開示の実施形態1について説明する。本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0024】
<実施形態1>
本開示の実施形態1について、
図1から
図8を参照しつつ説明する。以下の説明においては、矢線Zの示す方向を上方、矢線Xの示す方向を前方、矢線Yの示す方向を左方として説明する。なお、複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材の符号を省略する場合がある。
【0025】
[コネクタ、相手側コネクタ]
本実施形態1のコネクタ1は、
図6に示すように、後方にのびる電線Wに接続された雌端子11と、雌端子11を収容するハウジング10と、雌端子11がハウジング10から抜けないようにするリテーナ12と、を備えて構成されている。なお、雌端子11及び電線Wは、
図6から
図8においてのみ示している。
図7及び
図8に示すように、コネクタ1は、前方に配された相手側コネクタ2と嵌合するようになっている。相手側コネクタ2は、雄端子3と、雄端子3を収容する相手側ハウジング4と、を備えている。
【0026】
[ハウジング、上壁部、一対の側壁部]
図1に示すように、ハウジング10は、絶縁性の合成樹脂製であって、前後方向に細長い直方体形状をなしている。
図5に示すように、ハウジング10は、ハウジング10の上部を構成する上壁部13と、ハウジング10の下部を構成する下壁部14と、上壁部13及び下壁部14の左右両側に配され、上壁部13と下壁部14とを接続する一対の側壁部15と、を有している。ここで、一対の側壁部15は、第1側壁部15Aと、第2側壁部15Bと、から構成されている(詳細は後述する)。
【0027】
[凹部]
図1及び
図3に示すように、一対の側壁部15には、壁厚が薄く設定され、ハウジング10の内方へ凹んで形成された凹部16が設けられている。凹部16は、ハウジング10の前後方向中央部において、部分的にリテーナ12に覆われるようになっている。
図4に示すように、凹部16には、リテーナ12を係止するための仮係止部16A及び本係止部16Bが設けられている。
【0028】
図1に示すように、ハウジング10の内部には、前後方向に開口した雌端子収容部17が左右方向に2つ並列して設けられている。
図6に示すように、雌端子収容部17は、雌端子11を収容可能に形成されている。雌端子収容部17の前側には、雄端子3と接続される雌端子11の接続筒部11Aが配されるようになっている(
図8参照)。雌端子収容部17の前端部には、雌端子11の前端部が当接する前壁部18が設けられている。雌端子11に接続された電線Wは、雌端子収容部17の後方に引き出されるようになっている。雌端子収容部17の前側の下壁部14側には、ランス19が上下方向に撓み変形可能に設けられている。ランス19は、接続筒部11Aに設けられたランス受け部11Bに弾性的に係止するようになっている。
【0029】
図6に示すように、雌端子収容部17の前後方向中央部の下壁部14側には、リテーナ12が挿入されるリテーナ挿入孔20が設けられている。リテーナ12は、ハウジング10に対して仮係止位置(図示せず)及び本係止位置(
図4及び
図6参照)で係止可能となっている。すなわち、
図4において、リテーナ12の係止突起12Aが、仮係止部16Aに係止した状態が仮係止位置とされ、本係止部16Bに係止した状態が本係止位置とされている。リテーナ12が仮係止位置にあるときには、雌端子収容部17への雌端子11の挿入が可能となっており、リテーナ12が本係止位置にあるときには、雌端子11が雌端子収容部17から後方に抜けることを抑制するようになっている(
図6参照)。
【0030】
[ロックアーム、貫通孔]
図1及び
図3に示すように、ハウジング10の上壁部13には、前後方向にのびるロックアーム21が設けられている。ロックアーム21は、両持ち状の構成となっており、ロックアーム21の前端部は上壁部13の前側と接続されている。
図1及び
図4に示すように、ロックアーム21の後端部21RRは、後述する一対の保護壁25と連結されている。ロックアーム21は、主として、ロックアーム21の前後方向中央部が上下方向に撓み変形可能に構成されている。
図3に示すように、ロックアーム21と上壁部13との間の空間は、ロックアーム21が撓み変形可能な弾性変形領域22とされている。
図1に示すように、ロックアーム21の前端部には、前後方向に貫通する貫通孔21Aが設けられている。
【0031】
[操作部]
図1から
図3に示すように、ロックアーム21の前後方向中央部には、上方に突出するロック部23が設けられている。ロックアーム21の後部かつ上側には、操作部24が設けられている。
図8に示すように、ロック部23は、相手側コネクタ2の相手側ハウジング4に設けられたロック受け部5と係止するようになっている。ロック部23とロック受け部5との係止により、コネクタ1と相手側コネクタ2との嵌合状態が維持される。操作部24は、ロックアーム21を下方に撓み変形させるために押圧される部材であって、ロック部23とロック受け部5との係止を解除し、コネクタ1と相手側コネクタ2との嵌合を解除して離脱するために用いられる。なお、本実施形態1の操作部24は、
図1及び
図2に示すように、ロック部23の形成のためにロック部23の後方を避けるように構成され、ロックアーム21の左側に配される第1操作部24Aと、ロックアーム21の右側に配される第2操作部24Bと、から構成されている。
【0032】
図5に示すように、操作部24の右端部24Rは、ロックアーム21の右端部21Rより右方に突出するとともに、操作部24の左端部24Lは、ロックアーム21の左端部21Lより左方に突出している。
図2に示すように、操作部24の後端部24RRは、ロックアーム21の後端部21RRと前後方向における同じ位置に配されている。このように操作部24をロックアーム21より左右方向に拡張するとともに、各後端部24RR,21RRを揃えて構成することで、コネクタ1が小型化されても、嵌合解除操作に十分な大きさの操作部24を設けることができる。
【0033】
[一対の保護壁、一対の連結部]
図1及び
図4に示すように、上壁部13の後部かつ左右方向における両端部には、一対の保護壁25が上壁部13から上方にのびて設けられている。
図4に示すように、ロックアーム21の後端部21RRと一対の保護壁25の後端部25RRとは、一対の連結部26により連結されている。一対の連結部26は、ロックアーム21の左右方向の両端部と一対の保護壁25の上部とを接続している。
図5に示すように、一対の保護壁25は、弾性変形領域22の後側を左右方向から覆うように配置されている。
図8に示すように、コネクタ1と相手側コネクタ2とが嵌合した状態においては、弾性変形領域22の大半は、相手側ハウジング4及び一対の保護壁25により覆われるようになっている。これにより、弾性変形領域22内に異物(例えば電線や端子等)が進入し、嵌合解除操作が阻害されることを抑制することができる。
【0034】
[操作部の下端部、一対の保護壁の上端部]
図5に示すように、本実施形態1では、操作部24の下端部24LWは、一対の保護壁25の上端部25Uと同じ高さ位置に配されている。すなわち、操作部24と一対の保護壁25が、高さ方向においてずれて配されており、左右方向において互いに干渉しないようになっている。このような配置によれば、操作部24の左右方向の寸法S1を大きくしても、一対の保護壁25とロックアーム21との左右方向の間隔S2,S3を狭める必要がない。したがって、ロックアーム21と一対の保護壁25との間の空間(間隔S2,S3で図示した領域)を形成するための金型パーツ部分の強度を確保することができる。
【0035】
[第1保護壁、第2保護壁、第1側壁部、第2側壁部]
図1に示すように、一対の保護壁25は、第1保護壁25Aと、第2保護壁25Bと、を有する。一対の側壁部15のうち、第1保護壁25A側(本実施形態1では左側)に位置するものは第1側壁部15Aとされ、第2保護壁25B側(本実施形態1では右側)に位置するものは第2側壁部15Bとされている。第1保護壁25A及び第2保護壁25Bは、それぞれ第1側壁部15A及び第2側壁部15Bよりもハウジング10の外方に突出して設けられている。ここで、
図2に示すように、第1側壁部15Aからの第1保護壁25Aの突出寸法S4は、第2側壁部15Bからの第2保護壁25Bの突出寸法S5よりも大きくなっている。
【0036】
[補強壁部]
図1及び
図5に示すように、第1保護壁25Aと第1側壁部15Aとは、補強壁部27により連結されている。補強壁部27は、第1保護壁25Aの下端部から下方にのびた後、右側に折れ曲がり、第1側壁部15Aに接続されている。
【0037】
上記のように一対の保護壁25をハウジング10に対して外方に突出させることにより、コネクタ1が小型化された場合でも、操作部24の大きさを確保しやすい。なお、本実施形態1とは異なる実施形態として、一対の保護壁を一対の側壁部に対して同じだけ外方に突出させる構成も考えられるが、本実施形態1では、第2保護壁25Bの突出寸法S5を小さくすることができるため、第2保護壁25Bの強度低下を抑えることができる。一方、外方に大きく突出する第1保護壁25Aは強度低下が懸念されるが、補強壁部27により第1保護壁25Aと第1側壁部15Aとが連結されることで、第1保護壁25Aの強度が改善されている。よって、本実施形態1では、一対の保護壁25の強度低下を抑制しつつ、操作部24を大きくすることが可能となっている。
【0038】
また、本実施形態1では、一対の保護壁25は、ハウジング10に対して非対称に配置されている。例えば、コネクタの配設スペースの最適化や、嵌合及び離脱の操作性を考慮した場合、一対の保護壁を対称に配置できない場合もありうるが、本実施形態1によれば、そのような場合にも対応できる。
【0039】
[傾斜部]
図3に示すように、操作部24の前端部24FRは、一対の保護壁25の前端部25FRよりも前方に配されている。一対の保護壁25の前部には、前方に向かうにつれて上壁部13からの高さ寸法が小さくなるように傾斜する傾斜部28が設けられている。上記の構成によれば、特に、一対の保護壁25の間隔S6(
図4参照)が操作者の手指の太さよりも小さい場合等に、傾斜部28に沿うように操作部24を押し下げてロックアーム21を撓み変形させることができるため、嵌合解除の操作が行いやすい。また、傾斜部28の上壁部13からの高さ寸法を適切に設定することにより、ロックアーム21の過度な撓み変形を抑制することができる。
【0040】
[実施形態1の作用効果]
本実施形態1によれば、以下の作用、効果を奏する。
本実施形態1にかかるコネクタ1は、相手側コネクタ2と前後方向に嵌合可能とされたコネクタ1であって、ハウジング10を備え、ハウジング10の上壁部13には、前後方向に長く、上壁部13と連結されたロックアーム21が設けられ、上壁部13の後部かつ左右方向における両端部には、一対の保護壁25が上壁部13から上方にのびて設けられ、ロックアーム21の後部かつ上側には、ロックアーム21を下方に撓み変形させるために押圧される操作部24が設けられ、操作部24の右端部24Rは、ロックアーム21の右端部21Rより右方に突出するとともに、操作部24の左端部24Lは、ロックアーム21の左端部21Lより左方に突出しており、操作部24の下端部24LWは、一対の保護壁25の上端部25Uと同じ高さ位置に配されている。
【0041】
上記の構成によれば、コネクタ1を小型化しても、操作部24の大きさを確保することができ、コネクタ1と相手側コネクタ2との嵌合解除の操作が行いやすい。また、一対の保護壁25とロックアーム21との間隔S2,S3を狭めなくてよく、コネクタ1の製造に用いられる金型パーツの強度を確保することができる。
【0042】
本実施形態1では、ロックアーム21の後端部21RRと一対の保護壁25の後端部25RRとは、一対の連結部26により連結されている。
【0043】
上記の構成によれば、ロックアーム21の撓み変形の反力を向上させることができ、コネクタ1と相手側コネクタ2との嵌合状態を維持しやすい。
【0044】
本実施形態1では、操作部24の後端部24RRは、ロックアーム21の後端部21RRと前後方向における同じ位置に配されている。
【0045】
上記の構成によれば、操作部24を大きくすることができ、嵌合解除の操作が行いやすい。
【0046】
本実施形態1では、操作部24の前端部24FRは、一対の保護壁25の前端部25FRよりも前方に配され、一対の保護壁25の前部には、前方に向かうにつれて上壁部13からの高さ寸法が小さくなるように傾斜する傾斜部28が設けられている。
【0047】
上記の構成によれば、傾斜部28に沿うように操作部24を押し下げてロックアーム21を撓み変形させることができるため、嵌合解除の操作が行いやすい。また、ロックアーム21の過度な撓み変形を抑制することができる。
【0048】
本実施形態1では、ハウジング10は、上壁部13の左右両側に配された一対の側壁部15を有し、一対の側壁部15は、壁厚が薄く設定され、ハウジング10の内方へ凹んで形成された凹部16を有する。
【0049】
上記の構成によれば、コネクタ1に用いられる合成樹脂の量を削減するとともに、成形時のボイドの発生を抑制することができる。
【0050】
本実施形態1では、ロックアーム21の前端部には、前後方向に貫通する貫通孔21Aが設けられている。
【0051】
上記の構成によれば、コネクタ1に用いられる合成樹脂の量を削減するとともに、成形時のボイドの発生を抑制することができる。
【0052】
本実施形態1では、一対の保護壁25のうち、一方は第1保護壁25Aとされ、他方は第2保護壁25Bとされ、一対の側壁部15のうち、第1保護壁25A側に位置する側壁部15は第1側壁部15Aとされ、第2保護壁25B側に位置する側壁部15は第2側壁部15Bとされ、第1側壁部15Aからの第1保護壁25Aの突出寸法S4は、第2側壁部15Bからの第2保護壁25Bの突出寸法S5より大きく、第1保護壁25Aと第1側壁部15Aとは、補強壁部27により連結されている。
【0053】
上記の構成によれば、コネクタ1が小型化されても、操作部24の大きさを確保しやすい。また、補強壁部27により、第1保護壁25Aの強度を向上させることができる。
【0054】
<他の実施形態>
(1)上記実施形態1では、コネクタ1はリテーナ12を備える構成としたが、これに限られることはなく、コネクタはリテーナを備えない構成としてもよい。
(2)上記実施形態1では、操作部24の下端部24LWは、一対の保護壁25の上端部25Uと同じ高さ位置に配されている構成としたが、これに限られることはなく、操作部の下端部は、一対の保護壁の上端部より高い位置に配されている構成としてもよい。
(3)上記実施形態1では、ロックアーム21の後端部21RRと一対の保護壁25の後端部25RRとは、一対の連結部26により連結されている構成としたが、これに限られることはなく、ロックアームの後端部は、一対の保護壁の後端部と連結されず、上壁部の後端部と接続されている構成としてもよい。
(4)上記実施形態1では、ロックアーム21は、両持ち状とされ、上壁部13の前側及び一対の保護壁25と接続されている構成としたが、これに限られることはなく、ロックアームは、片持ち状とされ、上壁部の前側とのみ接続されていてもよい。
(5)上記実施形態1では、第1側壁部15Aからの第1保護壁25Aの突出寸法S4は、第2側壁部15Bからの第2保護壁25Bの突出寸法S5より大きく、第1保護壁25Aと第1側壁部15Aとは、補強壁部27により連結されている構成としたが、これに限られることはない。例えば、一対の側壁部からの一対の保護壁の突出寸法は同一であってもよい。
(6)上記実施形態1では、操作部24は、第1操作部24Aと、第2操作部24Bと、から構成されていたが、これに限られることはなく、操作部は、左右別個に分かれておらず、一体に設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1: コネクタ
2: 相手側コネクタ
3: 雄端子
4: 相手側ハウジング
5: ロック受け部
10: ハウジング
11: 雌端子
11A: 接続筒部
11B: ランス受け部
12: リテーナ
12A: 係止突起
13: 上壁部
14: 下壁部
15: 一対の側壁部
15A: 第1側壁部
15B: 第2側壁部
16: 凹部
16A: 仮係止部
16B: 本係止部
17: 雌端子収容部
18: 前壁部
19: ランス
20: リテーナ挿入孔
21: ロックアーム
21A: 貫通孔
21L: ロックアームの左端部
21R: ロックアームの右端部
21RR: ロックアームの後端部
22: 弾性変形領域
23: ロック部
24: 操作部
24A: 第1操作部
24B: 第2操作部
24FR: 操作部の前端部
24L: 操作部の左端部
24LW: 操作部の下端部
24R: 操作部の右端部
24RR: 操作部の後端部
25: 一対の保護壁
25A: 第1保護壁
25B: 第2保護壁
25FR: 一対の保護壁の前端部
25RR: 一対の保護壁の後端部
25U: 一対の保護壁の上端部
26: 一対の連結部
27: 補強壁部
28: 傾斜部
S1: 操作部の左右方向の寸法
S2,S3: 一対の保護壁とロックアームとの間隔
S4: 第1側壁部からの第1保護壁の突出寸法
S5: 第2側壁部からの第2保護壁の突出寸法
S6: 一対の保護壁の間隔
W: 電線