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特許7425980糸監視装置、糸監視方法、糸巻取機及び糸監視システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-24
(45)【発行日】2024-02-01
(54)【発明の名称】糸監視装置、糸監視方法、糸巻取機及び糸監視システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 63/06 20060101AFI20240125BHJP
【FI】
B65H63/06 B
【請求項の数】 30
(21)【出願番号】P 2022514321
(86)(22)【出願日】2021-02-12
(86)【国際出願番号】 JP2021005320
(87)【国際公開番号】W WO2021205745
(87)【国際公開日】2021-10-14
【審査請求日】2022-09-28
(31)【優先権主張番号】P 2020068487
(32)【優先日】2020-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176245
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】中出 一彦
(72)【発明者】
【氏名】南野 勝巳
【審査官】松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/054528(WO,A1)
【文献】特開平11-325841(JP,A)
【文献】特開2018-177380(JP,A)
【文献】特開2019-128262(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 61/00-63/08
D01H 1/00-17/02
D04B 3/00-19/00
D04B 23/00-39/08
G01B 11/00-11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
糸が走行する走行領域に向かって光を照射する発光部と、
前記走行領域を挟んで前記発光部と対向する位置に配置され、前記発光部から照射され且つ前記糸によって一部が遮られた前記光を受光し、受光量に応じた検出信号を出力する受光部と、
前記検出信号に基づいて、前記走行領域を走行する前記糸の状態を検出する検出部と、を備え、
前記検出部は、前記検出信号から所定の周波数成分を抽出し、抽出した前記所定の周波数成分の標準偏差又は平均偏差を算出することにより、前記糸の本体部分から突出している毛羽の毛羽量を推定する、糸監視装置。
【請求項2】
前記検出部は、前記標準偏差又は前記平均偏差と閾値との比較結果に基づいて、毛羽過多状態か否かを判定する、請求項1に記載の糸監視装置。
【請求項3】
前記検出部は、前記標準偏差又は前記平均偏差と閾値とを比較し、その比較結果を出力する、請求項1又は2に記載の糸監視装置。
【請求項4】
前記検出部は、周波数フィルタによって前記所定の周波数成分を抽出する、請求項1~3のいずれか一項に記載の糸監視装置。
【請求項5】
前記周波数フィルタにおける通過帯域の下限周波数に対応する時間は、前記糸が1cmの長さを走行する時間と5cmの長さを走行する時間との間に設定される、請求項4に記載の糸監視装置。
【請求項6】
前記検出部は、前記検出信号に基づいて、前記糸の状態として、前記糸の外観上の異常有無を検出する、請求項1~5のいずれか一項に記載の糸監視装置。
【請求項7】
前記受光部は、1画素から構成される光電変換素子である、請求項1~6のいずれか一項に記載の糸監視装置。
【請求項8】
前記発光部及び前記受光部を保持し、且つ、前記走行領域が形成されたホルダを備え、
前記ホルダにおいて、前記走行領域に面する壁部のうち、少なくとも前記発光部及び前記受光部を保持する部分の色が黒色である、請求項1~7のいずれか一項に記載の糸監視装置。
【請求項9】
前記検出部は、前記標準偏差又は前記平均偏差を換算式に当てはめて毛羽数を算出する、請求項1~8のいずれか一項に記載の糸監視装置。
【請求項10】
前記検出部は、前記毛羽数を算出する際、前記糸の種類に応じた前記換算式を用いる、請求項9に記載の糸監視装置。
【請求項11】
前記検出部は、前記糸におけるサンプリング間隔長さごとに前記検出信号をサンプリングする、請求項1~10のいずれか一項に記載の糸監視装置。
【請求項12】
前記サンプリング間隔長さは、0.5mm以上5mm以下である、請求項11に記載の糸監視装置。
【請求項13】
前記検出信号は、前記糸の状態に応じて変化する電圧信号である、請求項1~12のいずれか一項に記載の糸監視装置。
【請求項14】
走行する糸に向かって発光部が光を照射し、前記発光部から照射され且つ前記糸によって一部が遮られた光を受光部が受光し、受光量に応じた検出信号を制御部に出力する糸監視装置において前記制御部が実行する糸監視方法であって、
前記検出信号から、所定の周波数成分を抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップにおいて抽出された前記所定の周波数成分の標準偏差又は平均偏差を算出することにより、前記糸の本体部分から突出している毛羽の毛羽量を推定する毛羽量推定ステップと、を含む、糸監視方法。
【請求項15】
前記毛羽量推定ステップでは、前記標準偏差又は前記平均偏差と閾値との比較結果に基づいて、毛羽過多状態か否かを判定する、請求項14に記載の糸監視方法。
【請求項16】
前記毛羽量推定ステップでは、前記標準偏差又は前記平均偏差と閾値とを比較し、その比較結果を出力する、請求項14又は15に記載の糸監視方法。
【請求項17】
前記抽出ステップでは、周波数フィルタによって前記所定の周波数成分を抽出する、請求項14~16のいずれか一項に記載の糸監視方法。
【請求項18】
前記周波数フィルタにおける通過帯域の下限周波数に対応する時間は、前記糸が1cmの長さを走行する時間と5cmの長さを走行する時間との間に設定される、請求項17に記載の糸監視方法。
【請求項19】
前記毛羽量推定ステップでは、前記検出信号に基づいて、前記糸の状態として、前記糸の外観上の異常有無を検出する、請求項14~18のいずれか一項に記載の糸監視方法。
【請求項20】
糸を供給可能な給糸部と、
前記給糸部から供給された前記糸をパッケージに巻き取る巻取部と、
前記給糸部によって供給される前記糸と前記巻取部によって巻き取られた前記糸とを継ぐ糸継動作を行う糸継部と、
請求項1~13のいずれか一項に記載の糸監視装置と、を備え、
前記糸監視装置は、前記給糸部と前記巻取部との間に配置されている、糸巻取機。
【請求項21】
前記糸の所定長さ当たりの前記標準偏差又は前記平均偏差を算出するための測定長を設定し、前記測定長に係る測定長情報を前記糸監視装置に出力する上位装置を備え、
前記糸監視装置は、前記上位装置から出力された前記測定長情報に基づいて、前記標準偏差又は前記平均偏差を算出する、請求項20に記載の糸巻取機。
【請求項22】
請求項1~13のいずれか一項に記載の糸監視装置と、
前記糸監視装置との間でデータ通信可能な上位装置と、を備える、糸監視システム。
【請求項23】
前記上位装置は、前記糸の所定長さごとの前記標準偏差又は前記平均偏差を算出するための測定長に係る測定長情報を前記糸監視装置に送信し、
前記検出部は、前記上位装置から受信した前記測定長情報に基づいて、前記標準偏差又は前記平均偏差を算出する、請求項22に記載の糸監視システム。
【請求項24】
前記上位装置において前記測定長を設定変更可能である、請求項23に記載の糸監視システム。
【請求項25】
前記上位装置は、閾値に係る閾値情報を前記糸監視装置に送信し、
前記糸監視装置は、前記標準偏差又は前記平均偏差と前記上位装置から受信した前記閾値情報とに基づいて、毛羽過多状態を判定する、請求項22~24のいずれか一項に記載の糸監視システム。
【請求項26】
前記上位装置において毛羽数を設定可能であり、
前記上位装置は、前記毛羽数に係る毛羽数情報を前記閾値情報に変換し、変換後の前記閾値情報を前記糸監視装置に送信する、請求項25に記載の糸監視システム。
【請求項27】
前記糸監視装置は、前記標準偏差又は前記平均偏差を前記上位装置に送信し、
前記上位装置は、前記糸監視装置から送信された前記標準偏差又は前記平均偏差を受信し、受信した前記標準偏差又は前記平均偏差を換算式に当てはめて毛羽数を算出する、請求項26に記載の糸監視システム。
【請求項28】
前記上位装置は、前記毛羽数を算出する際、前記糸の種類に応じた換算式を用いる、請求項27に記載の糸監視システム。
【請求項29】
前記上位装置が算出した前記毛羽数を表示する表示部を備える、請求項27又は28に記載の糸監視システム。
【請求項30】
前記検出部は、前記糸の所定長さごとに、糸速度を取得すると共に、前記標準偏差又は前記平均偏差の算出を実行し、
前記表示部は、前記糸速度に応じた前記毛羽数のトレンドを表示する、請求項29に記載の糸監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糸監視装置、糸監視方法、糸巻取機及び糸監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の糸監視装置として、例えば、特許文献1に記載の装置が知られている。特許文献1に記載の糸監視装置は、走行する糸の太さに応じた検出信号の偏差を算出すると共に、算出結果の値に基づいて糸表層の異常を判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-299037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
糸監視装置によって検出する糸欠陥としては、例えば、糸の太さムラ(見かけ太さの変動)と、毛羽の過多がある。従来の糸監視装置では、糸の太さムラと区別して毛羽の過多を検出することが困難であった。
【0005】
本発明の一側面は、糸の外観上の異常有無検出と並行して、簡単な処理によって高精度に毛羽量の推定が行える糸監視装置、糸監視方法、糸巻取機及び糸監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、糸の太さに応じて変化する検出信号の所定の周波数成分は、糸本体部分の太さムラの影響を受け難いことを見出した。そして、検出信号から所定の周波数成分を抽出し、所定の周波数成分の標準偏差又は平均偏差を算出してこの値を利用すれば、毛羽量を簡単な処理によって高精度に推定できることを更に見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
そこで、本発明の一側面に係る糸監視装置は、糸が走行する走行領域に向かって光を照射する発光部と、走行領域を挟んで発光部と対向する位置に配置され、発光部から照射され且つ糸によって一部が遮られた光を受光し、受光量に応じた検出信号を出力する受光部と、検出信号に基づいて、走行領域を走行する糸の状態を検出する検出部と、を備え、検出部は、検出信号から所定の周波数成分を抽出し、抽出した所定の周波数成分の標準偏差又は平均偏差を算出することにより、糸の毛羽量を推定する。
【0008】
本発明の一側面に係る糸監視装置では、検出部は、所定の周波数成分の標準偏差又は平均偏差を算出することにより、糸の毛羽量を推定する。検出信号の所定の周波数成分は、糸本体部分の太さムラの影響を受け難い。そのため、糸監視装置では、糸の太さムラと糸の毛羽の過多とを区別して検出することが可能となる。したがって、糸監視装置では、カメラで撮像した二次元画像の画像処理等の複雑な処理を行うことなく、所定の周波数成分を抽出して標準偏差又は平均偏差を算出するという簡単な処理によって高精度に毛羽量の推定が行える。その結果、糸監視装置では、糸の外観上の異常有無検出と並行して、簡単な処理によって高精度に毛羽量の推定が行える。
【0009】
一実施形態においては、検出部は、標準偏差又は平均偏差と閾値との比較結果に基づいて、毛羽過多状態か否かを判定してもよい。この構成では、標準偏差又は平均偏差と閾値とを比較し、標準偏差又は平均偏差が閾値を超えている場合には毛羽過多と判断できる。したがって、毛羽過多状態か否かを適切に判定することができる。
【0010】
一実施形態においては、検出部は、標準偏差又は平均偏差と閾値とを比較し、その比較結果を出力してもよい。この構成では、標準偏差又は平均偏差と閾値とを比較し、標準偏差又は平均偏差が閾値を超えている場合には毛羽多、超えていない場合には毛羽少と判別できる。そのため、比較結果を出力することにより、毛羽の状態を出力することができる。これにより、作業者等が毛羽の状態を確認することができる。
【0011】
一実施形態においては、検出部は、周波数フィルタによって所定の周波数成分を抽出してもよい。この構成では、所定の周波数成分を適切に抽出することができる。
【0012】
一実施形態においては、周波数フィルタにおける通過帯域の下限周波数に対応する時間は、糸が1cmの長さを走行する時間と5cmの長さを走行する時間との間に設定されてもよい。
【0013】
一実施形態においては、検出部は、検出信号に基づいて、糸の状態として、糸の外観上の異常有無を検出してもよい。この構成では、糸の外観上の異常の有無を検出できる。
【0014】
一実施形態においては、受光部は、1画素から構成される光電変換素子であってもよい。
【0015】
一実施形態においては、発光部及び受光部を保持し、且つ、走行領域が形成されたホルダを備え、ホルダにおいて、走行領域に面する壁部のうち、少なくとも発光部及び受光部を保持する部分の色が黒色であってもよい。この構成では、壁部において光の反射が発生することを抑制できる。そのため、糸監視装置では、壁部において反射した光が受光部に入射することを抑制できる。そして、糸によって一部が遮られた光及び毛羽による反射光の合計受光量の割合を相対的に高めることができる。したがって、糸監視装置では、高精度に毛羽量の推定が行える。
【0016】
一実施形態においては、検出部は、標準偏差又は平均偏差を換算式に当てはめて毛羽数を算出してもよい。この構成では、毛羽量に加えて、毛羽数を算出することができる。
【0017】
一実施形態においては、検出部は、毛羽数を算出する際、糸の種類に応じた換算式を用いてもよい。この構成では、糸の種類に応じて、毛羽数を適切に算出することができる。
【0018】
一実施形態においては、検出部は、糸におけるサンプリング間隔長さごとに検出信号をサンプリングしてもよい。この構成では、糸の速度にかかわらずサンプリング間隔長さごとにサンプリング値を得ることができるため、毛羽の検出を的確に行うことができる。
【0019】
一実施形態においては、サンプリング間隔長さは、0.5mm以上5mm以下であってもよい。
【0020】
一実施形態においては、検出信号は、糸の状態に応じて変化する電圧信号であってもよい。
【0021】
本発明の一側面に係る糸監視方法は、走行する糸に向かって発光部が光を照射し、発光部から照射され且つ糸によって一部が遮られた光を受光部が受光し、受光量に応じた検出信号を制御部に出力する糸監視装置において制御部が実行する糸監視方法であって、検出信号から、所定の周波数成分を抽出する抽出ステップと、抽出ステップにおいて抽出された所定の周波数成分の標準偏差又は平均偏差を算出することにより、糸の毛羽量を推定する毛羽量推定ステップと、を含む。
【0022】
本発明の一側面に係る糸監視方法では、毛羽量推定ステップでは、所定の周波数成分の標準偏差又は平均偏差を算出することにより、糸の毛羽量を推定する。検出信号の所定の周波数成分は、糸本体部分の太さムラの影響を受け難い。そのため、糸監視方法では、糸の太さムラと糸の毛羽の過多とを区別して検出することが可能となる。したがって、糸監視方法では、カメラで撮像した二次元画像の画像処理等の複雑な処理を行うことなく、所定の周波数成分を抽出して標準偏差又は平均偏差を算出するという簡単な処理によって高精度に毛羽量の推定が行える。その結果、糸監視方法では、糸の外観上の異常有無検出と並行して、簡単な処理によって高精度に毛羽量の推定が行える。
【0023】
一実施形態においては、毛羽量推定ステップでは、標準偏差又は平均偏差と閾値との比較結果に基づいて、毛羽過多状態か否かを判定してもよい。この方法では、標準偏差又は平均偏差と閾値とを比較し、標準偏差又は平均偏差が閾値を超えている場合には毛羽過多と判断できる。したがって、毛羽過多状態か否かを適切に判定することができる。
【0024】
一実施形態においては、毛羽量推定ステップでは、標準偏差又は平均偏差と閾値とを比較し、その比較結果を出力してもよい。この方法では、標準偏差又は平均偏差と閾値とを比較し、標準偏差又は平均偏差が閾値を超えている場合には毛羽多、超えていない場合には毛羽少と判断できる。そのため、比較結果を出力することにより、毛羽の状態を出力することができる。
【0025】
一実施形態においては、抽出ステップでは、周波数フィルタによって所定の周波数成分を抽出してもよい。この方法では、所定の周波数成分を適切に抽出することができる。
【0026】
一実施形態においては、周波数フィルタにおける通過帯域の下限周波数に対応する時間は、糸が1cmの長さを走行する時間と5cmの長さを走行する時間との間に設定されてもよい。
【0027】
一実施形態においては、毛羽量推定ステップでは、検出信号に基づいて、糸の状態として、糸の外観上の異常有無を検出してもよい。この方法では、糸の外観上の異常の有無を検出できる。
【0028】
本発明の一側面に係る糸巻取機は、糸を供給可能な給糸部と、給糸部から供給された糸をパッケージに巻き取る巻取部と、給糸部によって供給される糸と巻取部によって巻き取られた糸とを継ぐ糸継動作を行う糸継部と、上記の糸監視装置と、を備え、糸監視装置は、給糸部と巻取部との間に配置されている。
【0029】
本発明の一側面に係る糸巻取機は、上記の糸監視装置を備えている。これにより、糸巻取機では、糸の外観上の異常有無検出と並行して、簡単な処理によって高精度に毛羽量の推定が行える。
【0030】
一実施形態においては、糸の所定長さ当たりの標準偏差又は平均偏差を算出するための測定長を設定し、測定長に係る測定長情報を糸監視装置に出力する上位装置を備え、糸監視装置は、上位装置から出力された測定長情報に基づいて、標準偏差又は平均偏差を算出してもよい。この構成では、糸の速度にかかわらず測定長ごとの標準偏差又は平均偏差を算出することができるため、毛羽の検出を的確に行うことができる。
【0031】
本発明の一側面に係る糸監視システムは、上記の糸監視装置と、糸監視装置との間でデータ通信可能な上位装置と、を備える。
【0032】
本発明の一側面に係る糸監視システムは、上記の糸監視装置を備えている。これにより、糸監視システムでは、糸の外観上の異常有無検出と並行して、簡単な処理によって高精度に毛羽量の推定が行える。
【0033】
一実施形態においては、上位装置は、糸の所定長さごとの標準偏差又は平均偏差を算出するための測定長に係る測定長情報を糸監視装置に送信し、検出部は、上位装置から受信した測定長情報に基づいて、標準偏差又は平均偏差を算出してもよい。この構成では、糸の速度にかかわらず測定長ごとの標準偏差又は平均偏差を算出することができるため、毛羽の検出を的確に行うことができる。
【0034】
一実施形態においては、上位装置において測定長を設定変更可能であってもよい。この構成では、糸の糸種等の糸処理条件に応じて測定長を設定変更できる。
【0035】
一実施形態においては、上位装置は、閾値に係る閾値情報を糸監視装置に送信し、糸監視装置は、標準偏差又は平均偏差と上位装置から受信した閾値情報とに基づいて、毛羽過多状態を判定してもよい。この構成では、標準偏差又は平均偏差と閾値とを比較し、標準偏差又は平均偏差が閾値を超えている場合には毛羽過多と判断できる。したがって、毛羽過多状態か否かを適切に判定することができる。
【0036】
一実施形態においては、上位装置において毛羽数を設定可能であり、上位装置は、毛羽数に係る毛羽数情報を閾値情報に変換し、変換後の閾値情報を糸監視装置に送信してもよい。この構成では、毛羽数に応じて閾値を設定することができる。
【0037】
一実施形態においては、糸監視装置は、標準偏差又は平均偏差を上位装置に送信し、上位装置は、糸監視装置から送信された標準偏差又は平均偏差を受信し、受信した標準偏差又は平均偏差を換算式に当てはめて毛羽数を算出してもよい。この構成では、毛羽量に加えて、毛羽数を算出することができる。
【0038】
一実施形態においては、上位装置は、毛羽数を算出する際、糸の種類に応じた換算式を用いてもよい。この構成では、糸の種類に応じて、毛羽数を適切に算出することができる。
【0039】
一実施形態においては、上位装置が算出した毛羽数を表示する表示部を備えていてもよい。この構成では、毛羽数が表示部に表示されるため、作業者等が毛羽数を確認することができる。
【0040】
一実施形態においては、検出部は、糸の所定長さごとに、糸速度を取得すると共に、標準偏差又は平均偏差の算出を実行し、表示部は、糸速度に応じた毛羽数のトレンドを表示してもよい。この構成では、作業者等が毛羽数のトレンドを確認することができる。
【発明の効果】
【0041】
本発明の一側面によれば、糸の外観上の異常有無検出と並行して、簡単な処理によって高精度に毛羽量の推定が行える。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1図1は、一実施形態に係る糸巻取機である紡績機を示す正面図である。
図2図2は、図1に示される紡績機の側面図である。
図3図3は、糸監視装置の構成を模式的に示す図である。
図4図4は、FFTアナライザによる検出信号の分析結果として周波数と電圧との関係を示す図である。
図5図5は、他の実施形態に係る糸巻取機である自動ワインダを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0044】
図1に示されるように、空気紡績機(糸巻取機)1は、複数の紡績ユニット(巻取ユニット)2と、糸継台車3と、玉揚台車(図示省略)と、第1エンドフレーム4と、第2エンドフレーム5と、を備えている。複数の紡績ユニット2は、一列に配列されている。各紡績ユニット2は、糸Yを生成してパッケージPに巻き取る。糸継台車3は、ある紡績ユニット2で糸Yが切断されたり、何らかの理由で糸Yが切れたりした場合、当該紡績ユニット2で糸継動作を行う。玉揚台車は、ある紡績ユニット2でパッケージPが満巻になった場合、パッケージPを玉揚げし、新しいボビンBを当該紡績ユニット2に供給する。
【0045】
第1エンドフレーム4には、紡績ユニット2で発生した繊維屑及び糸屑等を回収する回収装置等が収容されている。第2エンドフレーム5には、空気紡績機1に供給される圧縮空気(空気)の空気圧を調整して空気紡績機1の各部に空気を供給する空気供給部、及び紡績ユニット2の各部に動力を供給するための駆動モータ等が収容されている。第2エンドフレーム5には、機台制御装置(検出部)5aと、表示画面(表示部)5bと、入力キー5cと、が設けられている。機台制御装置5aは、空気紡績機1の各部を集中的に管理及び制御する。表示画面5bは、紡績ユニット2の設定内容及び/又は状態に関する情報等を表示することができる。オペレータが入力キー5cを用いて適宜の操作を行うことにより、紡績ユニット2の設定作業を行うことができる。
【0046】
各紡績ユニット2は、糸Yの走行方向において上流側から順に、ドラフト装置6と、空気紡績装置(給糸部)7と、糸監視装置8と、テンションセンサ9と、糸貯留装置11と、ワキシング装置12と、巻取装置(巻取部)13と、を備えている。ユニットコントローラ10は、所定数の紡績ユニット2ごとに設けられており、紡績ユニット2の動作を制御する。ユニットコントローラ10は、例えば一以上のコンピュータ装置により構成されている。ユニットコントローラ10は、プロセッサであるCPU(Central Processing Unit)、記録媒体であるRAM(Random Access Memory)又はROM(Read Only Memory)等を含んで構成される。ユニットコントローラ10は、CPU及びRAM等のハードウェア上にプログラム等を読み込ませることにより、各種の制御を実行する。
【0047】
ドラフト装置6は、スライバ(繊維束)Sをドラフトする。空気紡績装置7は、ドラフト装置6でドラフトされた繊維束Fに旋回空気流によって撚りを与えて糸Yを生成する。
【0048】
糸監視装置8は、空気紡績装置7と糸貯留装置11との間において、走行する糸Yを監視し、糸欠陥の有無を検出する。検出する糸欠陥には、毛羽の過多を含む。さらに、糸欠陥には、例えば、ネップ、スラブ、色糸欠陥、異番手異常、弱糸、及び、糸物性変化等の少なくとも何れか1つを糸欠陥として含んでもよい。糸監視装置8は、糸欠陥を検出した場合、糸欠陥検出信号をユニットコントローラ10に送信する。糸監視装置8と機台制御装置5aとは、ユニットコントローラ10を介して、データ通信可能である。糸監視装置8と機台制御装置5aとは、糸監視システムを構成している。
【0049】
テンションセンサ9は、空気紡績装置7と糸貯留装置11との間において、走行する糸Yのテンションを測定し、テンション測定信号をユニットコントローラ10に送信する。糸監視装置8及び/又はテンションセンサ9の検出結果に基づきユニットコントローラ10が異常有りと判断した場合、紡績ユニット2において、糸Yが切断される。
【0050】
糸貯留装置11は、空気紡績装置7と巻取装置13との間において、糸Yの弛みを取る。ワキシング装置12は、糸貯留装置11と巻取装置13との間において、糸Yにワックスを付与する。
【0051】
巻取装置13は、糸YをボビンBに巻き取ってパッケージPを形成する。巻取装置13は、クレードルアーム14と、巻取ドラム15と、トラバース機構16と、を有している。クレードルアーム14は、ボビンBを回転可能に支持する。
【0052】
図2に示されるように、糸継台車3は、糸Yが切断された紡績ユニット2まで走行し、当該紡績ユニット2において糸継動作を行う。糸継台車3は、糸継装置(糸継部)3aを有している。糸継装置3aは、空気紡績装置7によって供給される糸Yと巻取装置13によって巻き取られた糸Yとを継ぐ糸継動作を行う。糸継装置3aは、圧縮空気を用いるスプライサ、又は、糸Yを機械的に継ぐノッターである。
【0053】
続いて、糸監視装置8について、詳細に説明する。図3に示されるように、糸監視装置8は、ホルダ20と、発光部22と、受光部24と、制御部(検出部)26と、ケーシング28と、を備えている。図3では、糸Yの走行方向から見た糸監視装置8の構成を示している。
【0054】
ホルダ20は、発光部22と、受光部24とを保持する。ケーシング28は、ホルダ20と制御部26とを収容する。ホルダ20は、例えば、立方体形状を呈している。ホルダ20には、走行領域Rが設けられている。走行領域Rは、糸Yの走行方向に沿って延在し且つ機台前側に開口する空間である。換言すれば、走行領域Rは、走行する糸Yが通過する通路であり、糸Yの走行方向の上流から下流に沿って延び且つ機台前側に開口する溝状に形成されている。走行領域Rは、ホルダ20の壁部20a,20bによって区画されている。壁部20a,20bは、黒色である。発光部22と受光部24とは、糸Yの走行方向において同じ位置に配置されていると好ましい。より詳細には、壁部20aは、少なくとも、発光部22と受光部24とが保持されている糸Yの走行方向の位置(範囲)の壁面の色が黒色であると好ましい。なお、「黒色」は、厳密に真っ黒には限定されない。糸Yの色(多くは白色)と明確に区別することが目的であるため、その目的が達成される濃い色であればよく、多少彩度があってもよい。
【0055】
発光部22は、ホルダ20の走行領域Rを走行する糸Yに向かって光を照射するように配置されている。発光部22は、互いに対向する一対の壁部20a,20bのうちの一方の壁部20a側に配置されている。発光部22としては、例えばLED(Light Emitting Diode)等を採用できる。発光部22の発光色は、特に限定されず、青色、黄色、又は緑色等であってもよい。また、発光部22は、赤外線を照射してもよい。発光部22は、駆動回路(図示省略)によって駆動される。
【0056】
受光部24は、発光部22から照射された光を受光する。受光部24は、互いに対向する一対の壁部20a,20bのうちの他方の壁部20b側に配置されている。受光部24は、発光部22と対向する位置に配置されている。すなわち、受光部24は、ホルダ20において、走行領域Rを間に挟んで発光部22と対向する位置に配置されている。受光部24は、1画素から構成される光電変換素子である。受光部24としては、例えばフォトダイオード等を採用できる。受光部24は、糸Yによって一部が遮られた後の受光量に応じた検出信号(アナログ信号:波形データ)を制御部26に出力する。検出信号は、糸Yの太さ(状態)に応じて変化する電圧信号である。
【0057】
制御部26は、糸監視装置8を制御する。制御部26は、CPU(Central Processing Unit)、記録媒体であるRAM(Random Access Memory)又はROM(Read Only Memory)等を含んで構成されている。制御部26は、増幅部、ローパスフィルタ及びサンプルホールド回路(いずれも図示省略)を有している。制御部26は、受光部24から出力された検出信号を、増幅部、ローパスフィルタ及びサンプルホールド回路によって処理する。
【0058】
制御部26は、受光部24の検出信号に基づいて、糸欠陥の有無を検出する。本実施形態では、糸欠陥として、毛羽の過多(毛羽過多状態)を検出する方法(糸監視方法)について詳細に説明する。制御部26は、検出信号から所定の高周波成分を抽出し、高周波成分の偏差に基づいて、糸Yの毛羽を検出する。所定の高周波成分とは、所定の周波数よりも高い周波数成分、又は、所定の周波数よりも高い範囲の周波数成分を意味する。所定の高周波成分は、糸Yの種類、糸Yの速度等に応じて設定される。
【0059】
制御部26は、受光部24から出力された検出信号をデジタル処理する。制御部26は、検出信号であるアナログ信号にサンプリング処理を行い、デジタル信号に変換する。制御部26は、アナログ信号を所定のサンプリング周波数でサンプリングする。所定のサンプリング周波数は、下記の式(1)によって設定される。本実施形態では、制御部26は、糸Yにおけるサンプリング間隔長さごとにアナログ信号をサンプリングする。サンプリング間隔長さは、0.5mm以上5mm以下である。制御部26は、糸速度の変化に応じて、サンプリング周波数を変化させて、一定の糸Yの長さ(サンプリング間隔長さ)ごとにサンプリングを行う。本実施形態では、この一定の糸Yの長さは、例えば1mmである。すなわち、制御部26は、糸速度の大小にかかわらず、糸Yの長さ1mmごとにサンプリングを行う。なお、制御部26は、糸速度の変化の有無にかかわらず、一定時間ごとにアナログ信号をサンプリングしてもよい。
【数1】
【0060】
制御部26は、デジタル処理したデジタル信号を分析する。制御部26はデジタル信号に対して所定の周波数成分を抽出する(抽出ステップ)。所定の周波数成分は、糸Yの本体部分の太さムラ(見かけ太さの変動)の影響を受けない周波数帯域である。所定の周波数成分の下限周波数は、周期に基づいて設定される。周期は、糸Yの走行速度と長さとから求まる時間である。所定の周波数成分の下限周波数に対応する時間は、糸Yが1cmの長さを走行する時間と、糸Yが5cmの長さを走行する時間との間に設定される。本実施形態では、制御部26は、糸Yが2cmの長さを走行する時間に対応する下限周波数以上の周波数帯域を所定の周波数成分として抽出する。所定の周波数成分は、例えば、250Hz以上の周波数である。例えば、糸Yが2cmの長さを走行する時間は、糸Yの走行速度が5m/秒のときに4msである。このとき、所定の周波数成分は250Hz以上となる。
【0061】
制御部26は、検出信号をハイパスフィルタ(周波数フィルタ)によって処理することにより、所定の周波数成分を抽出する。制御部26は、通過帯域の下限周波数が250Hzのハイパスフィルタによって、所定の周波数成分を抽出する。なお、上記のように、糸速度に応じて、ハイパスフィルタのカットオフ周波数は異なる。そのため、一定周期のサンプリングでは、周期に応じたハイパスフィルタが必要となる。しかし、本実施形態のように、一定の糸Yの長さごとにサンプリングを行う場合には、フィルタ係数を一定にすることができる。
【0062】
制御部26は、抽出した高周波成分の信号において、標準偏差を算出する(毛羽量推定ステップ)。標準偏差は、測定長(例えば、1m以上20m以下)に基づいて算出される。制御部26は、糸Yの測定長(例えば、10m)ごとに標準偏差を算出する。測定長は、機台制御装置(上位装置)5aにおいて予め設定されている。機台制御装置5aは、測定長を設定変更可能である。機台制御装置5aは、測定長に係る測定長情報を、糸監視装置8に出力(送信)する。制御部26は、測定長情報を受け取ると、測定長情報に基づいて標準偏差を算出する。なお、制御部26は、標準偏差に替えて、平均偏差を算出してもよい。平均偏差も、糸Yの測定長ごとに算出される。
【0063】
制御部26は、標準偏差を算出すると、標準偏差の値と閾値とを比較し、毛羽過多部を検出する。すなわち、制御部26は、標準偏差の値と閾値とを比較し、毛羽過多状態か否かを判定する。閾値は、予め設定される値であり、記録媒体に記憶されている。閾値は、毛羽検出(毛羽過多状態)の判断基準となる値であり、適宜変更可能な値である。閾値は、機台制御装置5aから送信される閾値情報に基づいて設定される。機台制御装置5aでは、糸Yの毛羽数を設定可能である。機台制御装置5aは、設定された毛羽数に係る毛羽数情報を閾値情報に変換し、閾値情報をユニットコントローラ10を介して糸監視装置8に送信する。糸監視装置8は、受信した閾値情報に基づく閾値を用いて、毛羽過多部を検出する。
【0064】
制御部26は、標準偏差の値が閾値を越える場合には、ユニットコントローラ10に制御信号(糸欠陥信号)を出力する。本実施形態では、制御部26は、閾値を超えた回数が連続して所定回数以上となった場合に、ユニットコントローラ10に制御信号を出力する。ユニットコントローラ10は、制御信号を受け取ると、各紡績ユニット2にアラーム、糸送り停止、糸切断等の所定の処理を行わせる。
【0065】
制御部26は、標準偏差をユニットコントローラ10に出力する。ユニットコントローラ10は、標準偏差を受け取ると、機台制御装置5aに出力する。
【0066】
機台制御装置5aは、毛羽数(所定長さ当たりの毛羽数)を算出する。機台制御装置5aは、第1毛羽数、及び/又は、第2毛羽数を算出する。第1毛羽数は、第1長さ範囲における毛羽の数である。第1長さ範囲は、1mm以上3mm未満である。第2毛羽数は、第1長さ範囲より長い第2長さ範囲における毛羽の数である。第2長さ範囲は、3mm以上である。第1長さ範囲及び第2長さ範囲で言う長さとは、糸Yの本体部分から径方向に突出している毛羽の長さである。機台制御装置5aは、標準偏差の値を所定の換算式に当てはめて毛羽数を算出する。機台制御装置5aは、毛羽数を算出する際、糸Yの種類に応じた換算式を用いる。糸Yの種類に応じた換算式は、記録媒体に記憶されている。換算式は、第1毛羽数と第2毛羽数とで、以下のようにそれぞれ別々に予め設定されている。
第1毛羽数=標準偏差×a1+b1
第2毛羽数=標準偏差×a2+b2
【0067】
上記式において、a1及びa2は、係数(傾き)である。本実施形態では、例えば、a1は、a2よりも大きい(a1>a2)。b1及びb2は、切片である。本実施形態では、例えば、b1は、b2よりも大きい(b1>b2)。機台制御装置5aは、標準偏差を上記換算式のそれぞれに当てはめることによって、第1毛羽数及び第2毛羽数を同時に算出することができる。換算式は、既存の代表的な毛羽測定器(Zweigle社製:G567)で測定した毛羽の測定値に相当する値に換算されるように設定されている。
【0068】
以上説明したように、本実施形態に係る空気紡績機1の糸監視装置8では、制御部26は、検出信号から所定の周波数成分を抽出し、所定の周波数成分の標準偏差に基づいて、糸Yの毛羽を検出する。また、機台制御装置5aは、制御部26から受信した標準偏差を換算式に当てはめて毛羽数を算出する。
【0069】
図4は、FFTアナライザによる検出信号の分析結果であり、周波数と信号強度との関係を示す図である。図4では、横軸は周波数[Hz]を示しており、縦軸は信号強度として電圧[V]を示している。図4において実線で示すグラフは、標準紡績速度で紡績した糸Yの分析結果を示している。図4において破線で示すグラフは、標準紡績速度よりも速い速度で紡績した糸Yの分析結果を示している。標準紡績速度よりも速い速度で紡績した糸Yは、標準紡績速度で紡績した糸Yに比べて、毛羽が多くなる。図4の例では、約250Hz以上約2500Hz以下の範囲において、紡績速度の違いに応じて信号強度の違いが顕著に出ていることが分かる。
【0070】
図4に示されるように、毛羽の量が異なる2種類の糸は、所定の周波数帯域(約250Hz以上)において分析結果に差異が現れている。したがって、本発明者は、所定の周波数帯域において、検出信号と毛羽量との間に高い相関があることを推測し、相関関係を検証した結果、相関が高い結果を得られることを特定することができた。検出信号の所定の周波数成分は、糸Yの本体部分の太さムラの影響を受け難くなっていると推測される。そのため、糸監視装置8では、所定値以上の周波数帯域、例えば2cmの長さを走行する時間に対応する下限周波数の周波成分の標準偏差に基づく毛羽の検出を行うことにより、糸Yの太さムラと糸Yの毛羽(毛羽過多部)とを区別して検出することが可能となる。したがって、糸監視装置8では、カメラで撮像した二次元画像の画像処理等の複雑な処理を行うことなく、所定の周波数成分を抽出して標準偏差を算出するという簡単な処理によって高精度に毛羽量の推定が行える。よって、糸監視装置8では、糸Yの外観上の異常有無検出と並行して、簡単な処理によって高精度に毛羽量の推定が行える。なお、外観上の異常とは、例えば、糸Yの太さ異常(許容できない太さムラ)であり、毛羽量の異常(毛羽過多等)は含まない。
【0071】
本実施形態に係る空気紡績機1では、糸監視装置8の制御部26は、標準偏差と閾値との比較結果に基づいて、毛羽過多状態か否かを判定する。この構成では、標準偏差と閾値とを比較し、標準偏差が閾値を超えている場合には毛羽過多と判断できる。したがって、毛羽過多状態か否かを適切に判定することができる。
【0072】
本実施形態に係る空気紡績機1では、糸監視装置8の制御部26は、検出信号をハイパスフィルタによって処理することにより、所定の周波数成分を抽出する。この構成では、所定の周波数成分を適切に抽出することができる。
【0073】
本実施形態に係る空気紡績機1では、糸監視装置8は、発光部22及び受光部24を保持し、且つ、走行領域Rが形成されたホルダ20を備えている。ホルダ20において、発光部22及び受光部24を保持する壁部20a,20bの色が黒色である。この構成では、壁部20a,20bにおいて光の反射が発生することを抑制できる。そのため、糸監視装置8では、壁部20a,20bにおいて反射した光が受光部24に入射することを抑制できる。そして、糸Yによって一部が遮られた光及び毛羽による反射光の合計受光量の割合を相対的に高めることができる。したがって、糸監視装置8では、毛羽の検出精度の向上がより一層図れる。
【0074】
本実施形態に係る空気紡績機1では、機台制御装置5aは、糸Yの種類に応じた換算式を用い、標準偏差を換算式に当てはめて算出した毛羽数の値を出力する。この構成では、毛羽の検出に加えて、毛羽数を表示することができる。また、糸監視装置8では、糸Yの巻き取りを行いながら、毛羽量を推定することが可能となる。また、空気紡績機1では、機台制御装置5aにおいて換算式を用いて毛羽数の値を算出するため、換算式の設定及び管理等を機台制御装置5aで集中的に行うことができる。これにより、換算式を糸監視装置8のそれぞれにおいて設定したり、糸監視装置8に対して換算式に係るデータを出力したりする必要がない。したがって、換算式の変更等を容易に行うことができる。
【0075】
本実施形態に係る空気紡績機1では、糸監視装置8の制御部26は、糸Yにおけるサンプリング間隔長さごとに検出信号をサンプリングする。サンプリング間隔長さは、1mmである。この構成では、糸Yの速度にかかわらず一定の糸長さごとのサンプリング値を得ることができるため、毛羽の検出を的確に行うことができる。また、糸速度に応じてフィルタ処理を変更する必要がなくなり、所定の周波数成分の抽出が簡易になる。
【0076】
本実施形態に係る空気紡績機1は、糸Yの所定長さ当たりの標準偏差を算出するための測定長を設定し、測定長に係る測定長情報を糸監視装置8に出力する機台制御装置5aを備える。糸監視装置8は、機台制御装置5aから出力された測定長情報に基づいて、標準偏差を算出する。この構成では、糸Yの速度にかかわらず測定長ごとの標準偏差を算出することができるため、毛羽の検出を的確に行うことができる。また、空気紡績機1では、機台制御装置5aにおいて測定長を設定し、機台制御装置5aから複数の糸監視装置8(紡績ユニット2)のそれぞれに測定長情報を出力するため、測定長の設定及び管理等を一台の機台制御装置5aで一括して行うことができる。したがって、測定長の変更等を容易に行うことができる。
【0077】
本実施形態に係る糸監視装置8の制御部26は、検出信号であるアナログ信号にサンプリング処理を行い、デジタル信号に変換する。制御部26は、アナログ信号を所定のサンプリング周波数でサンプリングする。制御部26は、デジタル信号に対してフィルタ処理(所定範囲周波数の抽出処理)を行う。この構成では、抽出する周波数範囲(カットオフ周波数)を簡単に変更することができる。例えば、糸Yの糸種等の各種糸処理条件に応じて、抽出する周波数範囲を変更することができる。
【0078】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0079】
上記実施形態では、制御部26が、検出信号をハイパスフィルタによって処理することにより、所定の周波数成分を抽出する形態を一例に説明した。しかし、所定の周波数成分を抽出する方法はこれに限定されない。例えば、バンドパスフィルタ(周波数フィルタ)によって所定の周波数成分を抽出するようにしてもよい。
【0080】
上記実施形態では、機台制御装置5aが毛羽数を算出する形態を一例に説明した。しかし、糸監視装置8が毛羽数を算出してもよいし、ユニットコントローラ10が毛羽数を算出してもよい。なお、各装置おいて処理を分担することにより、各装置での処理負荷及び/又は各装置間の通信負荷の軽減を図ることができる。
【0081】
上記実施形態では、機台制御装置5aが第1毛羽数及び第2毛羽数を算出する形態を一例に説明した。しかし、機台制御装置5aは、1種類の毛羽数を算出してもよいし、3種類以上の毛羽数を算出してもよい。例えば、機台制御装置5aは、「2mm未満、3mm未満、3mm以上」の長さ範囲における毛羽数を算出してもよい。換算式は、係数及び切片を変更することによって、様々なパターンの毛羽数を算出できる。
【0082】
上記実施形態では、制御部26が、標準偏差をユニットコントローラ10に出力する形態を一例に説明した。しかし、制御部26は、標準偏差又は平均偏差と閾値とを比較し、その比較結果を出力してもよい。この構成では、標準偏差又は平均偏差と閾値とを比較し、標準偏差又は平均偏差が閾値を超えている場合には毛羽多、超えていない場合には毛羽少と判別できる。制御部26は、2以上の閾値を用いた場合、毛羽の状態を3段階以上に判別することができる。制御部26が比較結果(判別結果)を出力することにより、毛羽の状態を報知(表示)することができる。この構成では、糸走行中(糸巻取中)にリアルタイムで糸Yの毛羽の状態を報知することができる。これにより、作業者等が毛羽の状態を確認することができる。
【0083】
上記実施形態では、制御部26によって算出された標準偏差が所定条件を満たした場合に、ユニットコントローラ10が紡績ユニット2にアラーム、糸送り停止、糸切断等の所定の処理を行わせるとした。しかしながら、空気紡績機1はこのような所定の処理まで行わなくてもよい。例えば、制御部26によって算出された標準偏差を毛羽数に換算し、毛羽数を表示するだけでもよい。標準偏差は毛羽量に相当する。算出された標準偏差に基づいて、空気紡績機1は毛羽に関する多様な対応(表示、カウント、アラーム等)を行うことができ、少なくともいずれか1つの対応が行われればよい。
【0084】
上記実施形態では、紡績ユニット2は糸速度を検出(取得)する手段を備えていると好ましい。さらに、糸監視装置8が糸速度を検出する手段を備えていると好ましい。これによれば、糸監視装置8の制御部26が、検出した糸速度に基づいてサンプリング間隔長さに応じたサンプリングを行うことができる。なお、紡績ユニット2が糸監視装置8とは別に糸速度を検出する手段を備える構成であってもよい。また、制御部26は、機台制御装置5a等の設定装置に設定された糸速度(オペレータによって入力された目標巻取速度である糸速度)に基づいて、サンプリング間隔長さに応じたサンプリングを行ってもよい。
【0085】
上記実施形態では、毛羽数を表示することができるとしたが、毛羽数を単に表示するだけではなく、例えば、糸速度に対応して毛羽数(又は毛羽量)のトレンドを表示してもよい。すなわち、糸速度の変化に対応させて毛羽数(又は毛羽量)の変化を表示してもよい。
【0086】
紡績ユニット2では、糸貯留装置11が空気紡績装置7から糸Yを引き出す機能を有していたが、デリベリローラとニップローラとで空気紡績装置7から糸Yが引き出されてもよい。デリベリローラとニップローラとで空気紡績装置7から糸Yを引き出す場合、糸貯留装置11の代わりに、吸引空気流で糸Yの弛みを吸収するスラックチューブ又は機械的なコンペンセータ等を設けてもよい。
【0087】
空気紡績機1では、高さ方向において、上側で供給された糸Yが下側で巻き取られるように各装置が配置されていた。しかし、下側で供給された糸が上側で巻き取られるように各装置が配置されていてもよい。
【0088】
空気紡績機1では、ドラフト装置6のボトムローラの少なくとも一つ及びトラバース機構16が、第2エンドフレーム5からの動力によって(すなわち、複数の紡績ユニット2共通で)駆動されていた。しかし、紡績ユニット2の各部(例えば、ドラフト装置、空気紡績装置、巻取装置等)が紡績ユニット2ごとに独立して駆動されてもよい。
【0089】
糸Yの走行方向において、テンションセンサ9が糸監視装置8の上流側に配置されてもよい。ユニットコントローラ10は、紡績ユニット2ごとに設けられてもよい。紡績ユニット2において、ワキシング装置12及びテンションセンサ9は、省略されてもよい。
【0090】
図1では、空気紡績機1は、チーズ形状のパッケージPを巻き取るように図示されているが、コーン形状のパッケージを巻き取ることも可能である。コーン形状のパッケージの場合、糸のトラバースにより糸の弛みが発生するが、当該弛みは、糸貯留装置11で吸収することができる。各構成の材料及び形状には、上述した材料及び形状に限らず、様々な材料及び形状を採用することができる。
【0091】
上記実施形態では、糸監視装置8が空気紡績機1に備えられている形態を一例に説明した。しかし、糸監視装置は、自動ワインダ、リング精紡機等に備えられていてもよい。
【0092】
一例として、糸監視装置が自動ワインダに備えられている構成について説明する。図5に示されるように、自動ワインダ(糸巻取機)30は、複数の巻取ユニット32と、玉揚台車34と、第1エンドフレーム36と、第2エンドフレーム38と、を備えている。
【0093】
第2エンドフレーム5には、機台制御装置(検出部)40aと、表示画面(表示部)40bと、入力キー40cと、が設けられている。機台制御装置40aは、自動ワインダ30の各部を集中的に管理及び制御する。
【0094】
複数の巻取ユニット32は、一列に配列されている。巻取ユニット32は、給糸ボビンSBから解舒された糸Y1を綾振りしつつ巻取ボビンに巻き取ることにより、パッケージP1を形成する。
【0095】
巻取ユニット32は、給糸部42と、糸解舒補助装置44と、テンション付与装置46と、糸継装置48と、糸監視装置50と、巻取装置(巻取部)52と、を有している。
【0096】
給糸部42は、ボビン搬送システム(図示せず)により搬送されてきた給糸ボビンSBを所定の位置において保持する。糸解舒補助装置44は、給糸ボビンSBから解舒された糸Y1によって形成されたバルーンを適切な大きさに制御することにより、糸Y1の円滑な解舒を補助する。テンション付与装置46は、走行する糸Y1に所定のテンションを付与する。糸継装置48は、糸監視装置50が糸欠陥を検出して行なう糸切断時、又は給糸ボビンSBからの解舒中の糸切れ時等に、給糸ボビンSBからの下糸と、パッケージP1からの上糸とを糸継ぎする。巻取装置52は、糸Y1を綾振りしながらパッケージP1に巻き取る。
【0097】
糸監視装置50は、空気紡績機1の糸監視装置8と同様の構成を有している。すなわち、糸監視装置50は、糸監視装置8のホルダ20、発光部22、受光部24、制御部26及びケーシング28に相当する構成を備えている。
【0098】
糸監視装置50は、検出信号から所定の周波数成分を抽出し、所定の周波数成分の標準偏差(平均偏差)に基づいて、糸Yの毛羽を検出する。糸監視装置50は、抽出した高周波成分の信号において、標準偏差を算出する。標準偏差は、測定長(例えば、1m以上20m以下)に基づいて算出される。糸監視装置50は、測定長に基づいて、糸Yの所定長さ当たり(例えば、10m当たり)の標準偏差を算出する。測定長は、機台制御装置(上位装置)40aにおいて予め設定されている。機台制御装置40aは、測定長に係る測定長情報を、糸監視装置50に出力(送信)する。糸監視装置50は、測定長情報を受け取ると、測定長情報に基づいて標準偏差を算出する。なお、糸監視装置50は、標準偏差に替えて、平均偏差を算出してもよい。平均偏差も、糸Yの所定長さ当たりで算出される。
【0099】
糸監視装置50は、標準偏差(平均偏差)を算出すると、標準偏差(平均偏差)の値と閾値とを比較し、毛羽過多部を検出する。糸監視装置50は、標準偏差(平均偏差)の値が閾値を越える場合には、ユニットコントローラ10に制御信号(糸欠陥信号)を出力する。ユニットコントローラ10は、制御信号を受け取ると、各巻取ユニット32にアラーム停止、糸切断等の所定の処理を行わせる。また、糸監視装置50は、標準偏差をユニットコントローラ10に出力する。ユニットコントローラ10は、標準偏差を受け取ると、機台制御装置40aに出力する。機台制御装置40aは、毛羽数(所定長さ当たりの毛羽数)を算出する。機台制御装置40aは、第1毛羽数、及び/又は、第2毛羽数を算出する。機台制御装置40aは、標準偏差の値を所定の換算式に当てはめて毛羽数を算出する。換算式は、糸Yの種類に応じて設定されている。糸Yの種類は、例えばリング糸の場合では、カード糸、コーマ糸等である。
【0100】
以上説明したように、自動ワインダ30では、糸監視装置50は、高周波成分の標準偏差に基づいて、糸Y1の毛羽量を推定する。検出信号の所定の高周波成分は、糸Y1の本体部分の太さムラの影響を受け難い。そのため、糸監視装置50では、糸Y1の太さムラと糸Y1の毛羽の過多とを区別して検出することが可能となる。したがって、糸監視装置50では、毛羽の検出精度の向上が図れる。
【0101】
自動ワインダ30は、糸Yの所定長さ当たりの標準偏差を算出するための測定長を設定し、測定長に係る測定長情報を糸監視装置50に出力する機台制御装置40aを備える。糸監視装置50は、機台制御装置40aから出力された測定長情報に基づいて、標準偏差を算出する。この構成では、糸Yの速度にかかわらず測定長ごとの標準偏差を算出することができるため、毛羽の検出を的確に行うことができる。
【0102】
自動ワインダ30では、新しい給糸ボビンSBの糸Y1の巻き取りを開始したときに、測定長分だけ巻き取った時点で糸監視装置50が毛羽過多部を検出した場合、給糸ボビンSBが毛羽の多い不良ボビンであるとして、糸Y1の巻き取りを中止して当該給糸ボビンSBを巻取ユニット32から排出する。そのため、測定長が短めに設定されている場合には、不良ボビンであることを早期に検出できるため、糸Y1の無駄な巻き取りを回避できる。一方で、測定長が短すぎると、標準偏差の値が安定しない。そのため、測定長は、例えば、1m以上20m以下に設定される。
【0103】
上記実施形態では、巻取ユニット32は糸速度を検出する手段を備えていると好ましい。さらに、糸監視装置50が糸速度を検出する手段を備えていると好ましい。これによれば、糸監視装置50の制御部が、検出した糸速度に基づいてサンプリング間隔長さに応じたサンプリングを行うことができる。なお、巻取ユニット32が糸監視装置50とは別に糸速度を検出する手段を備える構成であってもよい。また、制御部は、機台制御装置40a等の設定装置に設定された糸速度(オペレータによって入力された目標巻取速度である糸速度)に基づいて、サンプリング間隔長さに応じたサンプリングを行ってもよい。
【0104】
上記実施形態では、毛羽数を表示することができるとしたが、毛羽数を単に表示するだけではなく、例えば、糸速度に対応して毛羽数(又は毛羽量)のトレンドを表示してもよい。すなわち、糸速度の変化に対応させて毛羽数(又は毛羽量)の変化を表示してもよい。または、例えば、給糸ボビンSBごとに毛羽数(又は毛羽量)のトレンドを表示してもよい。すなわち、給糸ボビンSBごとに、解舒開始時から完了時までの毛羽数(又は毛羽量)の変化を表示してもよい。
【0105】
上記実施形態では、上位装置が機台制御装置5a,40aである形態を一例に説明した。しかし、上位装置は、機台制御装置5a,40aに限定されず、機台制御装置5a,40aとは別に設けられた装置であってもよい。
【0106】
上記実施形態に加えて、標準偏差又は平均偏差を算出する際、他の要素を組み合わせて算出してもよい。他の要素は、例えば、歪度又は尖度を用いることができる。標準偏差又は平均偏差を算出に他の要素を組み合わせることにより、毛羽量推定の精度を上げることができる。
【符号の説明】
【0107】
1…空気紡績機(糸巻取機)、3a…糸継装置(糸継部)、5a…機台制御装置(検出部)、5b…表示画面(表示部)、7…空気紡績装置(給糸部)、8,50…糸監視装置、13…巻取装置(巻取部)、20…ホルダ、20a,20b…壁部、22…発光部、24…受光部、26…制御部(検出部)、30…自動ワインダ(糸巻取機)、40a…機台制御装置(検出部)、40b…表示画面(表示部)、42…給糸部、48…糸継装置(糸継部)、52…巻取装置(巻取部)、R…走行領域、Y,Y1…糸。
図1
図2
図3
図4
図5