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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-24
(45)【発行日】2024-02-01
(54)【発明の名称】配電モジュール
(51)【国際特許分類】
   H02H 7/18 20060101AFI20240125BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240125BHJP
   H02H 3/087 20060101ALI20240125BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20240125BHJP
【FI】
H02H7/18
H02J7/00 P
H02J7/00 S
H02H3/087
B60L3/00 J
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020117555
(22)【出願日】2020-07-08
(65)【公開番号】P2022014988
(43)【公開日】2022-01-21
【審査請求日】2022-12-26
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001966
【氏名又は名称】弁理士法人笠井中根国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100147717
【弁理士】
【氏名又は名称】中根 美枝
(74)【代理人】
【識別番号】100103252
【弁理士】
【氏名又は名称】笠井 美孝
(72)【発明者】
【氏名】藤村 勇貴
(72)【発明者】
【氏名】葛原 史浩
(72)【発明者】
【氏名】伊佐治 優介
(72)【発明者】
【氏名】川上 貴史
(72)【発明者】
【氏名】廣田 将義
(72)【発明者】
【氏名】増田 一輝
【審査官】清水 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-274378(JP,A)
【文献】特開2008-290604(JP,A)
【文献】特開2015-020619(JP,A)
【文献】特開平11-155240(JP,A)
【文献】特開平05-090104(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102018121729(DE,A1)
【文献】中国特許出願公開第110994706(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 3/08 - 3/253
H02H 7/00
H02H 7/10 - 7/20
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
B60L 1/00 - 3/12
B60L 7/00 - 13/00
B60L 15/00 - 58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリと負荷の間を繋ぐ電源ラインと、
前記電源ラインに接続されたメインリレーと、
前記メインリレーよりも前記バッテリ側で前記電源ラインに接続されたアクティブヒューズと、
前記メインリレーよりも前記負荷側で前記電源ラインに接続された第1電圧変換器と、
前記電源ラインの異常を検出する異常検出部と、
前記第1電圧変換器から延びて前記アクティブヒューズと前記異常検出部に接続された第1駆動制御用配線と、
ケースを含み、
前記電源ラインと、前記メインリレーと、前記アクティブヒューズと、前記第1電圧変換器と、前記異常検出部と、前記第1駆動制御用配線と、が前記ケース内に収容配置されており、
前記第1電圧変換器に搭載されて前記メインリレーを制御する制御部とは異なる第1制御部が、前記第1駆動制御用配線を通じて前記異常検出部により前記電源ラインの異常が検出された際に、前記第1駆動制御用配線を通じて前記アクティブヒューズを切断する制御信号を送信して、前記アクティブヒューズが切断される
配電モジュール。
【請求項2】
前記メインリレーよりも前記負荷側で前記電源ラインに接続された第2電圧変換器と、
前記第2電圧変換器から延びて前記アクティブヒューズに接続された第2駆動制御用配線と、を含み、
前記第2電圧変換器に搭載された第2制御部が、前記異常検出部により前記電源ラインの異常が検出された際に、前記アクティブヒューズを切断する制御信号を送信して、前記アクティブヒューズが切断される、請求項1に記載の配電モジュール。
【請求項3】
記ケースに対して、さらに前記第2電圧変換器と、前記第2駆動制御用配線と、が収容配置されている、請求項2に記載の配電モジュール。
【請求項4】
前記アクティブヒューズがパイロヒューズである、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の配電モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バッテリと負荷の間に接続される配電モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド車等の車両においては、高圧の二次電池からなるバッテリとモータ等の負荷の間の電源ラインの断続をメインリレーによって行うようになっている。そして、負荷が駆動を停止した場合やバッテリ周辺の回路に何らかの異常が起こった場合には、バッテリと負荷の間の電源ラインをメインリレーによって遮断することにより、バッテリからの電流が負荷に供給されないようになっている。
【0003】
ところで、バッテリ周辺の回路に何等かの異常が発生して電源ラインをメインリレーにより遮断する場合には、電源ラインに電流が流れている状態でメインリレーがオフにされるため、メインリレーの接点間にアーク放電が発生して電流の遮断ができないおそれがある。そこで、特許文献1には、バッテリとメインリレーの間の電源ライン上に、制御信号により切断が可能なアクティブヒューズを配設した構造が提案されている。これにより、異常発生時にアクティブヒューズによりバッテリとメインリレー間の電源ラインを遮断した後にメインリレーをオフすることができる。その結果、メインリレーをオフする際には電源ラインに電流が供給されておらず、メインリレーの接点間にアーク放電が発生することを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平7-274378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に記載の従来例にあっては、アクティブヒューズの切断を制御するために、アクティブヒューズと車両制御ユニットとの間への新たな駆動および制御用の配線の追加や、車両制御ユニットの構成の変更等が必要となり、コストアップが避けられなかった。また、バッテリ近傍に設けられたアクティブヒューズとバッテリから比較的離れた部位に設けられた車両制御ユニットを繋ぐ通電ラインは長くなるため、断線等の不具合が発生するリスクも高くなる。それゆえ、アクティブヒューズの確実な作動に対する信頼性が十分に担保できないという問題を内在していた。
【0006】
そこで、メインリレーのバッテリからの切断を、優れた信頼性とコスト優位性を持って実現することができる、新規な構造の配電モジュールを開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の配電モジュールは、バッテリと負荷の間を繋ぐ電源ラインと、前記電源ラインに接続されたメインリレーと、前記メインリレーよりも前記バッテリ側で前記電源ラインに接続されたアクティブヒューズと、前記メインリレーよりも前記負荷側で前記電源ラインに接続された第1電圧変換器と、前記電源ラインの異常を検出する異常検出部と、前記第1電圧変換器から延びて前記アクティブヒューズと前記異常検出部に接続された第1駆動制御用配線と、ケースを含み、前記電源ラインと、前記メインリレーと、前記アクティブヒューズと、前記第1電圧変換器と、前記異常検出部と、前記第1駆動制御用配線と、が前記ケース内に収容配置されており、前記第1電圧変換器に搭載されて前記メインリレーを制御する制御部とは異なる第1制御部が、前記第1駆動制御用配線を通じて前記異常検出部により前記電源ラインの異常が検出された際に、前記第1駆動制御用配線を通じて前記アクティブヒューズを切断する制御信号を送信して、前記アクティブヒューズが切断される配電モジュールである。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、メインリレーのバッテリからの切断を、優れた信頼性とコスト優位性を持って実現することができる、新規な構造の配電モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本開示の実施形態1に係る配電モジュールを示す平面図である。
図2図2は、バッテリから負荷に至る経路における配電モジュールの電気的構成を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<本開示の実施形態の説明>
最初に、本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示の配電モジュールは、
(1)バッテリと負荷の間を繋ぐ電源ラインと、前記電源ラインに接続されたメインリレーと、前記メインリレーよりも前記バッテリ側で前記電源ラインに接続されたアクティブヒューズと、前記メインリレーよりも前記負荷側で前記電源ラインに接続された第1電圧変換器と、前記電源ラインの異常を検出する異常検出部と、前記第1電圧変換器から延びて前記アクティブヒューズと前記異常検出部に接続された第1駆動制御用配線と、ケースを含み、前記電源ラインと、前記メインリレーと、前記アクティブヒューズと、前記第1電圧変換器と、前記異常検出部と、前記第1駆動制御用配線と、が前記ケース内に収容配置されており、前記第1電圧変換器に搭載されて前記メインリレーを制御する制御部とは異なる第1制御部が、前記第1駆動制御用配線を通じて前記異常検出部により前記電源ラインの異常が検出された際に、前記第1駆動制御用配線を通じて前記アクティブヒューズを切断する制御信号を送信して、前記アクティブヒューズが切断される配電モジュールである。
【0011】
本開示の配電モジュールによれば、メインリレーよりもバッテリ側で電源ラインに接続されたアクティブヒューズが、異常検出部により電源ラインの異常が検出された際に制御信号に基づき作動されるようになっている。それゆえ、異常発生時にアクティブヒューズによりバッテリとメインリレー間の電源ラインを遮断した後にメインリレーをオフすることができる。その結果、メインリレーをオフする際には電源ラインに電流が供給されておらず、メインリレーの接点間にアーク放電が発生することを防止することができる。これにより、アーク消弧用に接点間距離を大きくしたり永久磁石を備えた特殊構造のメインリレーを必要とすることがなく、比較的安価なメインリレーを採用することができ、コストの低減を図ることができる。
【0012】
また、アクティブヒューズが、配電モジュール内に搭載された第1電圧変換器から延びる第1駆動制御用配線に接続されている。これにより、配電モジュール内でアクティブヒューズ用の駆動制御用配線を完成させることができ、車両制御ユニットとアクティブヒューズの間に駆動制御用配線を配索する必要があった従来構造に比して、アクティブヒューズ用の駆動制御用配線を短くすることができる。その結果、コストの低減を図りつつ、アクティブヒューズ用の駆動制御用配線に断線等の不具合が発生するリスクを有利に低減でき、アクティブヒューズの作動信頼性の向上を図ることができる。
【0013】
さらに、第1電圧変換器に搭載されてメインリレーを制御する制御部とは異なる第1制御部を用いて、アクティブヒューズの作動を制御できることから、配電モジュール内で、アクティブヒューズを作動制御する構成を構築することができる。それゆえ、車両制御ユニット等の外部の機器の調整や変更の必要性を低減することができ、その分コストの低減を図ることもできる。加えて、配電モジュール内でアクティブヒューズ用の駆動制御用配線が完成していることから、仮に、車両制御ユニットに不具合が発生した場合でも、電源ラインの異常時にアクティブヒューズを作動させることができる。これにより、アクティブヒューズの作動信頼性を一層有利に向上できるのである。また、本開示の配電モジュールの各構成要素が、ケース内に収容配置されていることから、配電モジュールの取扱性や車両への組付作業性の向上を有利に図ることができる。
【0014】
なお、電源ラインの異常を検出する異常検出部は、例えば電流センサや電圧センサ等によって構成することができる。また、アクティブヒューズは、外部からの制御信号に基づいて切断が可能なものであればいずれでもよい。
【0015】
(2)前記メインリレーよりも前記負荷側で前記電源ラインに接続された第2電圧変換器と、前記第2電圧変換器から延びて前記アクティブヒューズに接続された第2駆動制御用配線と、を含み、前記第2電圧変換器に搭載された第2制御部が、前記異常検出部により前記電源ラインの異常が検出された際に、前記アクティブヒューズを切断する制御信号を送信して、前記アクティブヒューズが切断されることが好ましい。配電モジュールに搭載された第2電圧変換器からもアクティブヒューズに対して第2駆動制御用配線が接続され、第2電圧変換器に搭載された第2制御部によっても、アクティブヒューズの作動制御ができるようになっている。これにより、仮に第1/第2制御部のいずれか一方に不具合が発生した場合でも、いずれか他方により電源ラインの異常時におけるアクティブヒューズの作動を確実に実行することができる。これにより、アクティブヒューズの作動信頼性の更なる向上を図ることができる。しかも、配電モジュール内に搭載された第2電圧変換器から延びる第2駆動制御用配線は、第1駆動制御用配線と同様に短くできることから、第1駆動制御用配線と同様に、断線等のリスクの発生も有利に低減されている。
【0017】
(3)上記(2)において、前記ケースに対して、さらに前記第2電圧変換器と、前記第2駆動制御用配線と、が収容配置されていることが好ましい。本開示の配電モジュールの各構成要素が、ケース内に収容配置されていることから、配電モジュールの取扱性や車両への組付作業性の向上を有利に図ることができる。
【0018】
(4)前記アクティブヒューズがパイロヒューズであることが好ましい。アクティブヒューズがパイロヒューズによって構成されていることから、火薬着火による爆発力によって、瞬時且つ確実にバッテリとメインリレー間の電源ラインの遮断を行うことができるからである。
【0019】
<本開示の実施形態の詳細>
本開示の配電モジュールの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0020】
<実施形態1>
以下、本開示の実施形態1の配電モジュール10について、図1および図2を参照しつつ説明する。配電モジュール10は、例えば、電気自動車やハイブリッド自動車等の車両(図示せず)に搭載されている。配電モジュール10は、図1および図2に示すように、バッテリ12と負荷14の間を繋ぐ電源ライン16を含んでおり、電源ライン16には、直列にメインリレー18が接続されている。すなわち、正極側電源ライン16aにはメインリレー18aが接続されており、負極側電源ライン16bにはメインリレー18bが接続されている。そして、バッテリ12からメインリレー18aおよびメインリレー18bを介して、車両を走行させ負荷14を構成するモータ20に電力が供給されている。ここで、メインリレー18aおよびメインリレー18bは、機械式のリレーであって、ECU等を含んで構成された車両制御ユニット22からの制御信号に基づいて、オン/オフ制御がなされている。メインリレー18aおよびメインリレー18bは、オン時にはバッテリ12とモータ20を接続してモータ20に電力を供給し、オフ時にはバッテリ12とモータ20間の電流を遮断してモータ20に対する電力の供給を止める。なお、複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材については符号を省略する場合がある。
【0021】
<配電モジュール10>
配電モジュール10は、図2に示すように、正極側電源ライン16aおよび負極側電源ライン16bを有する電源ライン16を備えている。正極側電源ライン16aの入力側には、バッテリ12の正極側が接続されており、負極側電源ライン16bの入力側には、バッテリ12の負極側が接続されている。正極側電源ライン16aの出力側には、負荷14の正極側が接続されており、負極側電源ライン16bの出力側には、負荷14の負極側が接続されている。
【0022】
図1および図2に示すように、バッテリ12と負荷14の正極側を接続するメインリレー18aよりもバッテリ12側で正極側電源ライン16aに、アクティブヒューズであるパイロヒューズ24が接続されている。また、メインリレー18aよりも負荷14側で正極側電源ライン16aに、正極側電源ライン16aの電流を検出することにより電源ライン16の異常を検出し異常検出部を構成する電流センサ26が接続されている。さらに、配電モジュール10は、メインリレー18aおよびメインリレー18bよりも負荷14側で正極側電源ライン16aおよび負極側電源ライン16bに接続される第1電圧変換器であるDC/DCコンバータ28が接続されている。
【0023】
加えて、配電モジュール10は、メインリレー18aおよびメインリレー18bよりも負荷14側で正極側電源ライン16aおよび負極側電源ライン16bに急速充電用電源30と普通充電用電源32が接続されている。
【0024】
<バッテリ12>
バッテリ12は、充電可能な複数の二次電池を直列に接続して出力電圧を高く、例えば100V~400Vとしている。また、複数の二次電池を並列に接続して電流容量を大きくすることもできる。この二次電池には、リチウムイオン二次電池、リチウムポリマー二次電池、ニッケル水素電池などが使用できる。また、二次電池に代えて、あるいはこれに加えて、電気二重層キャパシタ(EDLC)等のキャパシタを利用することもできる。本明細書において二次電池にはキャパシタも含む。
【0025】
<負荷14>
図2に示すように、負荷14は、例えば、大容量のコンデンサ34と、DC/ACインバータ36が並列に接続したものを有している。ここで、負荷14は、DC/ACインバータ36を介してバッテリ12をモータ20に接続している。DC/ACインバータ36は、バッテリ12の直流を交流に変換してモータ20に供給する。なお、モータ20の回生制動時には、モータ20を発電機としてバッテリ12を充電する。本開示の実施形態1では、DC/ACインバータ36を用いているが、DC/DCコンバータを用いても構わない。
【0026】
<パイロヒューズ24>
図2に示すように、パイロヒューズ24は、アクティブヒューズである。ここで、アクティブヒューズとは、外部からの制御信号に基づいて切断が可能な素子のことである。より詳細には、パイロヒューズ24は、第1電圧変換器を構成するDC/DCコンバータ28に搭載された後述する第1制御部38からの制御信号に基づいて切断が可能となっている。
【0027】
<DC/DCコンバータ28>
図2に示すように、第1電圧変換器であるDC/DCコンバータ28の入力側は、メインリレー18aおよびメインリレー18bよりも負荷14側で正極側電源ライン16aおよび負極側電源ライン16bに接続されている。DC/DCコンバータ28の出力側は、例えば鉛蓄電池からなる低圧バッテリ40および低圧バッテリ40の負荷42に接続されている。これにより、バッテリ12から電源ライン16およびDC/DCコンバータ28を介して、低圧バッテリ40が充電され且つ低圧バッテリ40の負荷42に電圧が供給されている。
【0028】
図2に示すように、第1電圧変換器であるDC/DCコンバータ28に搭載された第1制御部38から、第1駆動制御用配線44が延びている。第1駆動制御用配線44は、電流センサ26に接続されて電流センサ26の電流値を受け取る電流値受信用配線44aと、パイロヒューズ24に接続されてパイロヒューズ24に切断信号を送信する切断信号送信用配線44bと、を備えている。
【0029】
<急速充電用電源30>
図2に示すように、配電モジュール10は、正極側電源ライン16aおよび負極側電源ライン16bに対してリレー46を介して急速充電用電源30が接続されている。モータ20を停止し、メインリレー18a,18bをオンした状態で、急速充電用電源30に充電ステーション等で高圧DC電源を接続後、リレー46,46をオンすることにより、高圧のバッテリ12が急速充電可能となっている。
【0030】
<普通充電用電源32>
図2に示すように、配電モジュール10は、メインリレー18aよりも負荷14側で正極側電源ライン16aおよび負極側電源ライン16bに、第2電圧変換器であるAC/DCコンバータ48の出力側がリレー50,50を介して接続されている。なお、正極側電源ライン16a側のリレー50には、ヒューズ52が直列に接続されている。AC/DCコンバータ48の入力側には、普通充電用電源32が接続されている。より詳細には、普通充電用電源32は、モータ20を停止し、メインリレー18a,18bをオンした状態で、普通充電用電源32に家庭用電源等の低圧AC電源を接続後、リレー50,50をオンすることにより、高圧のバッテリ12が普通充電可能となっている。
【0031】
図2に示すように、第2電圧変換器であるAC/DCコンバータ48に第2制御部54が搭載されており、第2制御部54が搭載されたAC/DCコンバータ48から第2駆動制御用配線56が延びている。第2駆動制御用配線56は、電流センサ26に接続されて電流センサ26の電流値を受け取る電流値受信用配線56aと、パイロヒューズ24に接続されてパイロヒューズ24に切断信号を送信する切断信号送信用配線56bと、を備えている。
【0032】
また、図1に示すように、バッテリ12は、上方に開口する矩形状の有底箱体形状を有するケース58を含んでおり、ケース58内に複数の単電池60が収容配置されている。さらに、配電モジュール10は、上方に開口する矩形状の有底箱体形状を有するケース62を含んでいる。そして、ケース62に対して、例えば、バスバーからなる電源ライン16と、メインリレー18と、パイロヒューズ24と、第1制御部38が搭載されたDC/DCコンバータ28と、電流センサ26と、第1駆動制御用配線44と、が収容配置されている。加えて、配電モジュール10は、第2制御部54が搭載されたAC/DCコンバータ48と、第2駆動制御用配線56と、が収容配置されている。
【0033】
次に、本開示の実施形態1の配電モジュール10の動作について、簡単に説明する。本開示の実施形態1では、電力供給開始当初において、バッテリ12とモータ20が接続されてモータ20に電力を供給することを可能にしている。なお、以下の説明において、かかる状態を、適宜通常状態という。
【0034】
上記の通常状態において異常検出部である電流センサ26の電流値が異常値(例えば規定の電流値範囲外の電流値)を示し、電源ライン16の異常が検出された際には、DC/DCコンバータ28に搭載された第1制御部38およびAC/DCコンバータ48に搭載された第2制御部54からパイロヒューズ24に切断信号が送信される。すなわち、パイロヒューズ24に対して切断信号送信用配線44b,56bを通して切断信号を送信し、パイロヒューズ24が切断するように作動される。
【0035】
このような構造とされた本開示の配電モジュール10によれば、メインリレー18aよりもバッテリ12側で正極側電源ライン16aにアクティブヒューズであるパイロヒューズ24が接続されている。そして、異常検出部である電流センサ26の電流値が異常値を示し、電源ライン16の異常が検出された際には、第1制御部38および第2制御部54からパイロヒューズ24に切断信号が送信され、パイロヒューズ24が切断するように作動する。したがって、異常発生時にはパイロヒューズ24によってバッテリ12とメインリレー18a間の正極側電源ライン16aが遮断されている。それゆえ、メインリレー18a,18bをオフする際には正極側電源ライン16a,負極側電源ライン16bに電流が流れておらず、メインリレー18a,18bの接点間にアーク放電が発生することを防止することができる。これにより、アーク消弧用に接点間距離を大きくしたり永久磁石を備えた特殊構造のメインリレーを必要とすることがなく、比較的安価なメインリレーを採用することができることから、コストの低減を図ることができる。
【0036】
また、第1電圧変換器であるDC/DCコンバータ28に搭載された第1制御部38から第1駆動制御用配線44が延びている。第1駆動制御用配線44は、電流センサ26に接続されて電流センサ26の電流値を受け取る電流値受信用配線44aと、パイロヒューズ24に接続されてパイロヒューズ24に切断信号を送信する切断信号送信用配線44bと、を備えている。これにより、配電モジュール10内で電流センサ26の電流値の受信と異常発生時の切断信号の送信を行うことができる。それゆえ、車両制御ユニット22と電流センサ26およびパイロヒューズ24の間に駆動制御用配線を配索する必要があった従来構造の配電モジュールに比して、駆動制御用配線を短くすることができる。したがって、コストの低減を図りつつ、駆動制御用配線に断線等の不具合が発生するリスクを有利に低減でき、パイロヒューズ24の作動信頼性の向上を図ることができる。
【0037】
さらに、第1電圧変換器であるDC/DCコンバータ28に搭載された第1制御部38を用いてパイロヒューズ24の作動を制御できることから、配電モジュール10内でパイロヒューズ24を作動制御する構成を構築できる。それゆえ、車両制御ユニット22等の外部の機器の調整や変更の必要性を低減することができ、その分コストの低減を図ることもできる。加えて、配電モジュール10内にパイロヒューズ24用の第1駆動制御用配線44がなされていることから、仮に車両制御ユニット22に不具合が発生した場合であっても、電源ライン16の異常が検出された際にはパイロヒューズ24を作動させることができる。したがって、パイロヒューズ24の作動信頼性を一層有利に向上できる。
【0038】
また、第2電圧変換器であるAC/DCコンバータ48に搭載された第2制御部54から第2駆動制御用配線56が延びている。第2駆動制御用配線56は、電流センサ26に接続されて電流センサ26の電流値を受け取る電流値受信用配線56aと、パイロヒューズ24に接続されてパイロヒューズ24に切断信号を送信する切断信号送信用配線56bと、を備えている。これにより、第2制御部54によっても、配電モジュール10内で電流センサ26の電流値の受信と異常発生時の切断信号の送信を行うことができる。したがって、仮に第1制御部38と第2制御部54のいずれか一方に不具合が発生した場合であっても、いずれか他方により電源ライン16の異常時におけるパイロヒューズ24を作動して切断を確実に実行することができる。それゆえ、パイロヒューズ24の作動信頼性の更なる向上を図ることができる。しかも、第2制御部54から延びる第2駆動制御用配線56も第1駆動制御用配線44と同様に短くできることから、断線等のリスクの発生も有利に低減されている。
【0039】
加えて、本開示の配電モジュール10のケース62には、電源ライン16と、メインリレー18と、パイロヒューズ24と、第1制御部38が搭載されたDC/DCコンバータ28と、電流センサ26と、第1駆動制御用配線44と、が収容配置されている。また、配電モジュール10のケース62には、第2制御部54が搭載されたAC/DCコンバータ48と、第2駆動制御用配線56と、も収容配置されている。このように配電モジュール10の構成要素がケース62内に収容配置されていることから、配電モジュール10の取扱性や車両への組付作業性の向上を有利に図ることができる。
【0040】
さらに、アクティブヒューズがパイロヒューズ24によって構成されている。これにより、電源ライン16の異常が検出された際には、火薬着火による爆発力によって瞬時且つ確実にバッテリ12とメインリレー18a間の正極側電源ライン16aの遮断を行うことができる。それゆえ、メインリレー18a,18bをオフする際に正極側電源ライン16a,負極側電源ライン16bに電流が流れておらず、メインリレー18a,18bの接点間にアーク放電が発生することを防止することができる。
【0041】
<変形例>
以上、本開示の具体例として、実施形態1について詳述したが、本開示はこの具体的な記載によって限定されない。本開示の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本開示に含まれるものである。例えば次のような実施形態の変形例も本開示の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、電源ライン16の異常を検出する異常検出部として、電流センサ26を例示して説明を行ったが、これに限定されず、異常検出部は電圧センサ等によって構成されていてもよい。
(2)上記実施形態では、異常検出部である電流センサ26により電源ライン16に異常が検出された際にアクティブヒューズであるパイロヒューズ24を作動させるものとして、第1制御部38および第2制御部54を例示して説明を行ったが、これに限定されない。第1制御部38および第2制御部54のどちらか一方だけがあってもよいし、さらに第3制御部があってもよい。
(3)上記実施形態では、アクティブヒューズとしてパイロヒューズ24を例示して説明を行ったが、これに限定されない。外部からの信号によって切断可能な素子であればよい。例えば、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)を用いてアクティブヒューズが構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0042】
10 配電モジュール
12 バッテリ
14 負荷
16 電源ライン
16a 正極側電源ライン
16b 負極側電源ライン
18 メインリレー
18a メインリレー(正極側)
18b メインリレー(負極側)
20 モータ(負荷)
22 車両制御ユニット
24 パイロヒューズ(アクティブヒューズ)
26 電流センサ(異常検出部)
28 DC/DCコンバータ(第1電圧変換器)
30 急速充電用電源
32 普通充電用電源
34 コンデンサ
36 DC/ACインバータ
38 第1制御部
40 低圧バッテリ
42 負荷
44 第1駆動制御用配線
44a 電流値受信用配線
44b 切断信号送信用配線
46 リレー
48 AC/DCコンバータ(第2電圧変換器)
50 リレー
52 ヒューズ
54 第2制御部
56 第2駆動制御用配線
56a 電流値受信用配線
56b 切断信号送信用配線
58 ケース
60 単電池
62 ケース
図1
図2