(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-24
(45)【発行日】2024-02-01
(54)【発明の名称】局所組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/42 20060101AFI20240125BHJP
A61K 8/35 20060101ALI20240125BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20240125BHJP
A61K 8/55 20060101ALI20240125BHJP
A61K 8/06 20060101ALI20240125BHJP
A61K 8/40 20060101ALI20240125BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20240125BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20240125BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
A61K8/42
A61K8/35
A61K8/49
A61K8/55
A61K8/06
A61K8/40
A61K8/37
A61Q17/04
A61Q19/00
(21)【出願番号】P 2020533856
(86)(22)【出願日】2018-12-17
(86)【国際出願番号】 EP2018085106
(87)【国際公開番号】W WO2019121442
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-08-18
(32)【優先日】2017-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503220392
【氏名又は名称】ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】DSM IP ASSETS B.V.
【住所又は居所原語表記】Het Overloon 1, NL-6411 TE Heerlen,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】デュローン, マチルド
(72)【発明者】
【氏名】メンドロック-エディンガー, クリスティーン
【審査官】駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-178437(JP,A)
【文献】国際公開第2015/144333(WO,A1)
【文献】特開2014-172909(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0233310(US,A1)
【文献】特表平11-502872(JP,A)
【文献】特表2020-526540(JP,A)
【文献】特開2012-140404(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Japio-GPG/FX
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パンテノール、ヒドロキシアセトフェノン、及び微粒子化されたUVフィルターであるメチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノールを含む局所組成物であって、リン酸エステル乳化剤の存在下で水層に分散された油相を含む水中油型(O/W)エマルションであ
り、
前記微粒子化されたUVフィルター(実際の量に基づく)が、前記組成物の総重量に対して、1~8重量%の範囲で選択される量で使用され、パンテノールが、前記組成物の総重量に対して0.5~5重量%の範囲で選択される量で使用され、前記ヒドロキシアセトフェノンが、前記組成物の総重量に対して、0.1~2重量%の範囲で選択される量で使用される、局所組成物。
【請求項2】
パンテノールが、前記組成物の総重量に対して2~5重量%の範囲で選択される量で使用される、請求項1に記載の局所組成物。
【請求項3】
前記微粒子化されたUVフィルターが、光散乱により測定される200nm未満の平均粒径分布Dv50を有する、請求項1
又は2に記載の局所組成物。
【請求項4】
前記微粒子化されたUVフィルターが、前記微粒子化されたUVフィルターの粒子を含む水性分散液として使用される、請求項1
~3のいずれか一項に記載の局所組成物。
【請求項5】
前記微粒子化されたUVフィルターを含む前記水性分散液が、C
8~
16アルキルポリグルコシドをさらに含む、請求項
4に記載の局所組成物。
【請求項6】
前記ヒドロキシアセトフェノンがp-ヒドロキシアセトフェノンである、請求項1~
5のいずれか一項に記載の局所組成物。
【請求項7】
O/W乳化剤がセチルリン酸カリウムである、請求項1~
6のいずれか一項に記載の局所組成物。
【請求項8】
ブチルメトキシジベンゾイルメタン、オクトクリレン、及びサリチル酸エチルヘキシルをさらに含む、請求項1~
7のいずれか一項に記載の局所組成物。
【請求項9】
ガラス又はプラスチック表面への局所組成物の移行を減少させるための、微粒子化されたUVフィルターであるメチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、パンテノール、及びヒドロキシアセトフェノンの前記局所組成物中での使用の方法。
【請求項10】
局所組成物中に含まれている脂肪及び油の
、ガラス又はプラスチック表面への移行を減少させるための、微粒子化されたUVフィルターであるメチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、パンテノール、及びヒドロキシアセトフェノンの使用。
【請求項11】
前記局所組成物を皮膚に適用した後の前記移行を減少させるための、請求項
10に記載の使用。
【請求項12】
ガラス又はプラスチック表面への脂肪及び/又は油の移行を減少させる方法であって、微粒子化されたUVフィルターであるメチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、パンテノール、及びヒドロキシアセトフェノンの、そのような脂肪及び油を含む局所組成物への添加を包含する方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、パンテノール、ヒドロキシアセトフェノン、及び微粒子化されたUVフィルターを含む局所組成物に関する。
【0002】
サンケア製品は、長年にわたり大幅に発展してきた。初期の配合物は、かつてUV-B線が、しわ、皮膚疾患、及び皮膚癌の最も重大な原因であると考えられていたため、使用者をUV-B照射から保護することが意図されていた。しかし、最近の研究は、UV-A照射が、日光による損傷(solar damage)並びに紅斑性狼蒼及びメラノーマ及び非メラノーマ皮膚癌などの皮膚疾患の発生において、同様に又はさらにより重大であることを示した。そのため、現在は、UVA(320~400nm)及び/又はUVB(280~320nm)光をできるだけ多く除去することに焦点が置かれている。その結果、高いSPF(サンプロテクションファクター)及び高いUVA保護を示す一方で、光安定性であるサンケア製品がますます常に必要とされている。
【0003】
さらに、今日のサンケア製品は、肌に優しい防腐剤又は防腐剤ブースター(preservative boosters)を必要とするが、それらは従来の防腐剤に代わるものになり得る。サンケア製品の別の必要性は、保湿を改善し、皮膚に対する刺激を防ぐか又は減少させることである。
【0004】
しかし、サンケア製品は、多くの場合、相当な量の脂肪及び油を含み、皮膚への塗布後に、特に指の上で、タッチスクリーンなどの表面へのそのような脂肪及び油の望まれない移行を起こすことが多く、それによりその表面が汚れるが、それは末端消費者により非常に望まれない。
【0005】
したがって、本発明の目的は、従来技術の欠点を改善し、上記で概説された欠点を克服する、1種以上のUVフィルター、刺激の少ない防腐剤、及び沈静化剤(soothing agent)を含むサンケア製品を開発することであった。
【0006】
驚くべきことに、特定の沈静化剤及び特定の防腐剤を、微粒子化されたUVフィルターと組み合わせて含む組成物が、タッチスクリーンなどのガラス表面への著しく減少した組成物の移行を示すことが見出された。
【0007】
そのため、本発明は、一態様において、パンテノール、ヒドロキシアセトフェノン、及び微粒子化されたUVフィルターを含む局所組成物に関する。
【0008】
用語「局所」は、特に、皮膚、頭皮、まつ毛、眉毛、爪、粘膜、及び毛髪、好ましくは皮膚であるケラチン性物質への外用を意味すると本明細書で理解される。
【0009】
パンテノール(INCI)は、D-パンテノール、デクスパンテノール、プロビタミンB5、又は(+)-(R)-2,4-ジヒドロキシ-N-(3-ヒドロキシプロピル)-3,3-ジメチルブチルアミド(dimethylbutyramid)とも称される。パンテノールは、水和を改善し、皮膚のかゆみ及び炎症を減少させ、皮膚弾力性を改善し、表皮の創傷治癒を加速させる。パンテノールは、例えば、DSM Nutritional Products Europe LtdでD-パンテノールとして市販されている。
【0010】
用語ヒドロキシアセトフェノンは、o-、m-、又はp-ヒドロキシアセトフェノンを指す。本発明の全実施形態において特に好ましいのは、p-ヒドロキシアセトフェノン[CAS 99-93-4]であり、それは、1-(4-ヒドロキシフェニル)-エタノンとも呼ばれ、例えば、シムライズ(Symrise)でシムセーブ(SymSave)(登録商標)Hとして市販され、酸化防止性及び沈静化特性を有する多機能化粧品成分である。それは、刺激が少なく安全な防腐ブースター(preservation booster)として使用できる。
【0011】
本明細書で使用される用語「微粒子化された」は、一般的に、200nm未満、好ましくは約5nm~約200nm、より好ましくは約15nm~約100nm(ベックマン・コールター(Beckmann Coulter))の粒径Dv50を指す。
【0012】
微粒子化されたUVフィルターの例は、微粒子化された不溶性有機UVフィルター又は微粒子化された無機UVフィルターである。微粒子化された不溶性有機UVフィルターの例は、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール又はトリスビフェニルトリアジンである。微粒子化された無機UVフィルターの例は、微粒子化された二酸化チタン、微粒子化された酸化亜鉛、微粒子化された酸化セリウム、又は微粒子化された酸化鉄である。
【0013】
本明細書で使用される用語「不溶性」は、室温で(すなわちおよそ22℃)、例えば、安息香酸C12~15アルキル、プロピレングリコール、鉱油などの通常の化粧品用油にも、水にも、0.05重量%未満、好ましくは0.3重量%未満、最も好ましくは0.01重量%未満の溶解度を示すUV吸収剤を指す。さらなる実施形態によると、微粒子化されたUVフィルターは、UVAフィルターかUVBフィルターかブロードバンド(UVA及びUVB)フィルターのいずれかである。
【0014】
好ましい実施形態によると、微粒子化されたUVフィルターは、微粒子化された不溶性有機UVフィルターである。
【0015】
好ましい実施形態によると、本発明による微粒子化されたUVフィルターは、200nm未満の、光散乱により測定される平均粒径分布Dv50を有する不溶性有機UVフィルターである。
【0016】
より好ましくは、微粒子化された不溶性有機UVフィルターは、30~150nmの範囲、最も好ましくは特に40~110nmの範囲など35~125nmの範囲で選択された、光散乱により(すなわち光子相関分光法(PCS)により)測定された平均粒径分布Dv50を有する。特定の好都合な実施形態において、微粒子化された不溶性有機UV吸収剤は、50~80nmの範囲のDv10、75~125nmの範囲のDv50、及び140~180nmの範囲のDv90、並びにさらにより好ましくは、55~75nmの範囲のDv10、80~110nmの範囲のDv50、及び150~175nmの範囲のDv90を示す。本明細書で与えられる粒径は、一般的に、微粒子化された不溶性有機UV吸収剤の、超純水(Mili-Q精製)などの水中の好ましくは3mg/mlの濃度レベルの懸濁液で、ベックマン・コールター デルサナノ(Delsa Nano)Sを使用して測定される。
【0017】
さらなる実施形態によると、局所組成物は、微粒子化されたUVフィルターを、微粒子化されたUVフィルターの微粒子化された粒子を含む水性分散液として含む。好ましくは、水性分散液中の微粒子化されたUVフィルターの濃度は、10~90重量%、20~80重量%、30~70重量%の範囲、より好ましくは40~60重量%の範囲、例えば45~55重量%の範囲である。
【0018】
さらなる実施形態によると、微粒子化されたUVフィルターを含む水性分散液は、C8~16アルキルポリグルコシドをさらに含む。
【0019】
用語「アルキルポリグルコシド(APG)」は、一般式(generic formula)CnH2+nO(C6H10O5)XHを有する1種の非イオン性界面活性剤であって、nが2~22の範囲で選択される整数であり、xがグルコシド部分の平均重合度(モノ-、ジ-、トリ-、オリゴ-、及びポリ-グルコシド)を指す非イオン性界面活性剤を指す。これらのAPGは、家庭用及び産業用の用途に広く使用されている。それらは、一般的に、トウモロコシから誘導されたグルコース及び植物由来の脂肪族アルコールなどの再生可能な原料から誘導される。これらのアルキルポリグルコシドは、一般的に、1~1.7、好ましくは1.4~1.6など1.2~1.6の範囲のグルコシド部分の平均重合度を示す。
【0020】
本発明による全実施形態において特に好都合なものは、カプリリル(C8)及びカプリル(C10)ポリグルコシドから基本的になるC8~10アルキルポリグルコシドの使用である。好ましくは、そのようなカプリリル(C8)及びカプリル(C10)ポリグルコシドは、3:1~1:3の範囲、好ましくは約2:1~1:2の範囲、最も好ましくは1.5:1~1:1.5の範囲の、カプリリル(C8)モノグルコシドとカプリル(C10)モノグルコシドの比(%/%、ここで、全%はHPLC-MSにより測定される面積%である)をさらに示す。さらに、そのようなC8~10アルキルポリグルコシドは、好ましくは3重量%以下、より好ましくは2重量%以下、最も好ましくは1.5重量%以下のC12アルキルモノグルコシド(HPLC-MSにより測定される)を含む。そのようなアルキルポリグルコシドが、より高級な(すなわちC14~16)アルキルポリグルコシドを基本的に含まないことが理解される。
【0021】
本発明による特に好都合なC8~10アルキルポリグルコシドは、トウモロコシから誘導されたグルコース並びにココナツ及びパーム核油から誘導されたC8及びC10脂肪族アルコールから製造され、それは、例えば、商標Green APG 0810でシャンハイファインケミカル(Shanghai Fine Chemical)により水性分散液として販売されている。
【0022】
好ましくは、そのようなC8~16アルキルポリグルコシド又はその混合物は、水性分散液の総重量に対して2~15重量%、好ましくは5~10重量%の濃度で存在する。好ましくは、そのようなC8~16アルキルポリグルコシドはC8~10アルキルポリグルコシドである。
【0023】
さらなる実施形態によると、微粒子化されたUVフィルターは、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール又はトリスビフェニルトリアジンである。好ましい実施形態において、UVフィルターは、微粒子化されたメチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノールである。
【0024】
メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール(INCI)は、MBBT、2,2’-メチレン-ビス-(6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-フェノールとも称され、MBBT及びアルキルポリグルコシドを含む水性分散液として、DSMニュートリショナル・プロダクツリミテッド(DSM Nutritional Products Ltd)(パルソール(PARSOL)(登録商標)MAX)により、並びにビーエーエスエフエスイー(BASF SE)(チノソーブ(Tinosorb)(登録商標)M)により販売されている。メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノールは、UVA及びUVB光を除くブロードスペクトルUVフィルターである。
【0025】
トリスビフェニルトリアジンは、2,4,6-トリス([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1,3,5-トリアジンとも称され、チノソーブ(登録商標)A2Bとしてビーエーエスエフエスイーにより販売されているUVフィルターである。
【0026】
本発明の全実施形態において、本発明による局所組成物中に存在する微粒子化されたUVフィルターの量(実際の量に基づく)、好ましくはメチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール又はトリスビフェニルトリアジンの量、最も好ましくはメチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノールの量は、好都合には、組成物の総重量に対して、0.1~20重量%の範囲、特に0.2~15重量%の範囲、最も特に0.3~10重量%の範囲で選択される。さらなる好ましい範囲は、組成物の総重量に対して、0.5~10重量%、1~8重量%、及び1~5重量%、及び2~5重量%である。
【0027】
本発明の全実施形態において、本発明による局所組成物中に存在するパンテノールの量は、好都合には、組成物の総重量に対して、0.001~10重量%の範囲、好ましくは0.01~7重量%の範囲、より好ましくは0.1~6重量%の範囲、最も好ましくは0.5~5重量%の範囲で選択される。さらなる好ましい範囲は、組成物の総重量に対して、0.5~4.5重量%、0.6~4重量%、0.6~3.5重量%、1~5重量%、2~5重量%、3~5重量%、1~6重量%、2~6重量%、3~6重量%、並びに4~6重量%のパンテノールである。
【0028】
本発明の全実施形態において、本発明による局所組成物中に存在するヒドロキシアセトフェノンの量は、好都合には、組成物の総重量に対して、0.001~5重量%の範囲、好ましくは0.01~4重量%の範囲、より好ましくは0.1~3重量%の範囲で選択される。さらなる好ましい範囲は、組成物の総重量に対して、0.005~4.5重量%、0.05~4.3重量%、及び0.25~2.9重量%、並びに0.25~2重量%又は0.25~1重量%である。
【0029】
本発明の一実施形態は、ガラス又はプラスチック表面への局所組成物の移行を減少させるための、微粒子化されたUVフィルターの、特に本明細書で記載及び定義されたパンテノール及びヒドロキシアセトフェノンと組み合わせた、本発明による局所組成物中での使用の方法に関する。
【0030】
本発明の特定の実施形態において、本発明は、ガラス又はプラスチック表面への局所組成物の移行を減少させるための、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、パンテノール、及びp-ヒドロキシアセトフェノンの、本発明による局所組成物中での使用の方法に関する。
【0031】
別の実施形態において、本発明は、記載及び定義された微粒子化されたUVフィルター、パンテノール、及びヒドロキシアセトフェノンを使用して、特にガラス又はプラスチック表面などの表面、例えばタッチスクリーンなどへの本発明による局所組成物に含まれる脂肪及び油の移行を減少させることに関する。
【0032】
さらなる実施形態において、本発明は、特にガラス又はプラスチック表面などの表面、例えばタッチスクリーンなどへの脂肪及び/又は油の移行を減少させる方法であって、記載及び定義された微粒子化されたUVフィルター、パンテノール、及びヒドロキシアセトフェノンの、そのような脂肪及び油を含む本発明による局所組成物への添加を包含する方法に関する。
【0033】
本発明の全実施形態における好ましい局所組成物は、特にO/W、W/O、Si/W、W/Si、O/W/O、W/O/W多重又はピッカリングエマルションなど、油相及び水相を含むエマルションである。そのようなエマルション中に存在する油相(すなわち、全油及び脂肪を含む相)の量は、組成物の総重量に対して、10~60重量%の範囲、好ましくは15~50重量%の範囲、最も好ましくは15~40重量%の範囲など、好ましくは少なくとも10重量%である。
【0034】
さらなる実施形態において、本発明は、日焼け止め剤として使用するための、本明細書に記載の実施形態による局所組成物、本明細書に記載の実施形態による局所組成物の日焼け止め剤としての使用にそれぞれ関する。
【0035】
微粒子化されたUVフィルター、特に微粒子化されたメチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール又はトリスビフェニルトリアジンの他に、さらなるUVフィルターも本発明による局所組成物に存在し得る。これらのUVフィルターは、全て市販のUVフィルター物質であり、特に(INCI名)ポリシリコーン-15、フェニルベンズイミダゾール(phenylbenzimidazol)スルホン酸、3-ベンジリデンカンファー、オクトクリレン、メトキシケイ皮酸エチルヘキシル、サリチル酸エチルヘキシル、ホモサレート、エチルヘキシルトリアゾン、酸化亜鉛、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、ベンゾフェノン(benzophenon)-3、二酸化チタン、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、フェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸2ナトリウム、及びジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルなどであるが、これらに限定されない。好ましくは、本発明による局所組成物は、さらなるUVフィルターとして、少なくともオクトクリレン、サリチル酸エチルヘキシル、及びブチルメトキシジベンゾイルメタンを含む。
【0036】
別の好都合な実施形態において、本発明による局所組成物は、メチリデンカンファー(3-(4-メチルベンジリデン)カンファー)及び/又はオクトクリレンを含まない。
【0037】
本発明による局所組成物が、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールエーテル、及びポリエチレングリコールエステル(PEG-誘導体)を含まないならば、さらに好都合である。
【0038】
本発明による局所組成物が、パラベン、塩化ベンゼトニウム、ピロクトンオラミン、ラウロイルアルギナート(lauroyl arginate)、安息香酸、ソルビン酸、メチルイソチアゾリノン、クロロメチルイソチアゾリノン、ブロノポール、塩化ベンザルコニウム、ホルムアルデヒド放出物質(releasers)、サリチル酸、トリクロサン、デヒドロ酢酸、DMDMヒダントイン、クロロフェネシン(chlorophenesin)、IPBCを含まないならば、やはり好都合である。
【0039】
本発明による局所組成物は局所適用向けであるので、それらは、生理的に許容できる媒体、すなわち、皮膚、粘膜、及びケラチン繊維などのケラチン性物質と適合性のある媒体を含む。特に、生理的に許容できる媒体は、化粧品として許容できる担体である。
【0040】
化粧品として許容できる担体という用語は、化粧用組成物に従来使用されている、全ての担体及び/又は賦形剤及び/又は希釈剤を指す。
【0041】
本発明による好ましい局所組成物は、スキンケア調合物、装飾的調合物、及び機能的調合物である。
【0042】
スキンケア調合物の例は、特に、光保護調合物、抗加齢調合物、光老化の治療のための調合物、ボディオイル、ボディローション、ボディゲル、トリートメントクリーム、皮膚保護軟膏、スキンパウダー、モイスチャライジングゲル、モイスチャライジングスプレー、顔及び/又は体用保湿剤、皮膚日焼け調合物(すなわち、ヒト皮膚の人工/サンレスタンニング及び/又は褐色化のための組成物)、例えばセルフタンニングクリーム、並びに皮膚美白調合物である。
【0043】
装飾的調合物の例は、特に、口紅、アイシャドウ、マスカラ、ドライ及びモイストメイクアップ配合物、ルージュ、及び/又はパウダーである。
【0044】
機能的調合物の例は、非限定的に、ホルモン調合物、ビタミン調合物、野菜抽出物調合物、抗加齢調合物、及び/又は抗微生物(抗菌性又は抗真菌性)調合物など、有効成分を含む化粧用又は医薬組成物である。
【0045】
特定の実施形態において、本発明による局所組成物は、SPF(サンプロテクションファクター)のあるサンプロテクションミルク、サンプロテクションローション、サンプロテクションクリーム、サンプロテクションオイル、日焼け止め、又はデイケアクリームなどの光保護調合物(サンケア製品)である。特に興味深いのは、サンプロテクションクリーム、サンプロテクションローション、サンプロテクションミルク、及びサンプロテクション調合物である。
【0046】
本発明による局所組成物は、溶媒又は脂肪性物質中の懸濁液又は分散液の形態のことがあり、或いは、エマルション若しくはマイクロエマルション(特に、水中油(O/W-)又は油中水(W/O-)タイプ、水中シリコーン(Si/W-)又はシリコーン中水(W/Si-)タイプ、PIT-エマルション、多重エマルション(例えば、油中水中油(O/W/O-)又は水中油中水(W/O/W-)タイプ)、ピッカリングエマルション、ハイドロゲル、アルコール性ゲル、リポゲル、単相若しくは多相溶液若しくはベシクル分散液の形態、又は他の通常の形態であり得て、それらは、ペンにより、マスクとして、又はスプレーとして適用できる。
【0047】
本発明による局所組成物は、好都合には、O/W乳化剤の存在下で水相に分散された油相を含む水中油型(O/W)エマルションの形態である。そのようなO/Wエマルションの調合物は当業者に周知であり、実施例に示される。
【0048】
好都合な一実施形態において、本発明によるO/W乳化剤は、リン酸エステル乳化剤である。リン酸エステル乳化剤という用語は、式(II)のリン酸エステル乳化剤を指す
【化1】
(式中、R
5、R
6、及びR
7は、水素、1~22個の炭素、好ましくは12~18個の炭素のアルキル;又は1~22個の炭素、好ましくは12~18個の炭素を有し、1以上、好ましくは2~25、最も好ましくは2~12モルのエチレンオキシドを有するアルコキシ化アルキルであってよく、但し、R
5、R
6、及びR
7の少なくとも1つが、先に定義された通りであるが、少なくとも6個のアルキル炭素を前記アルキル又はアルコキシ化アルキル基中に有するアルキル又はアルコキシ化アルキルであることを条件とする)。
【0049】
R5及びR6が水素であり、R7が、10~18個の炭素のアルキル基、並びに10~18個の炭素及び2~12モルのエチレンオキシドのアルコキシ化脂肪族アルコールから選択されるモノエステルが好ましい。好ましいリン酸エステル乳化剤には、C8~10アルキルエチルホスフェート、C9~15アルキルホスフェート、セテアレス-2リン酸、セテアレス-5リン酸、セテス-8リン酸、セテス-10リン酸、リン酸セチル、C6~10パレス-4リン酸、C12~15パレス-2リン酸、C12~15パレス-3リン酸、DEA-セテアレス-2リン酸、セチルリン酸DEA、オレス-3リン酸DEA、セチルリン酸カリウム、デセス-4リン酸、デセス-6リン酸、及びトリラウレス-4リン酸がある。本発明による特定のリン酸エステル乳化剤は、例えば、アンフィソル(Amphisol)(登録商標)KとしてDSMニュートリショナル・プロダクツリミテッド カイザーアウグスト(Kaiseraugst)で市販のセチルリン酸カリウムである。
【0050】
本発明によるさらなる好適なO/W乳化剤は、ジポリヒドロキシステアリン酸PEG-30、ジラウリン酸PEG-4、ジオレイン酸PEG-8、オレイン酸PEG-40ソルビット、ヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリル、PEG-20アーモンド脂肪酸グリセリル、PEG-25水添ヒマシ油、ステアリン酸グリセリル(及び)ステアリン酸PEG-100、オリーブ油脂肪酸PEG-7、オレイン酸PEG-8、ラウリン酸PEG-8、PEG-60アーモンド脂肪酸グリセリル、セスキステアリン酸PEG-20メチルグルコース、ステアリン酸PEG-40、ステアリン酸PEG-100、ラウリン酸PEG-80ソルビタン、ステアレス-2、ステアレス-12、オレス-2、セテス-2、ラウレス-4、オレス-10、オレス-10/ポリオキシル10オレイルエーテル、セテス-10、イソステアレス-20、セテアレス-20、オレス-20、ステアレス-20、ステアレス-21、セテス-20、イソセテス-20、ラウレス-23、ステアレス-100、クエン酸ステアリン酸グリセリル(glycerylstearatcitrate)、ステアリン酸グリセリル(glycerylstearate)(自己乳化型)、ステアリン酸、ステアリン酸の塩、ジステアリン酸ポリグリセリル-3-メチルグリコース(methylglycose)を包含する。さらなる好適な乳化剤は、オレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、ラウリルグルコシド、デシルグルコシド、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、ポリステアリン酸スクロース、及び水和されたポリイソブテン(hydrated Polyisobuten)である。さらに、1種以上の合成ポリマーを乳化剤として使用できる。例えば、PVPエイコセンコポリマー、アクリレーツ/アクリル酸C10~30アルキルクロスポリマー、アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20コポリマー、PEG-22/ドデシルグリコールコポリマー、PEG-45/ドデシルグリコールコポリマー、及びその混合物。
【0051】
別の特定の好適な種類のO/W乳化剤は、例えば、商標オリベム(OLIVEM)1000で販売されている(INCI名)オリーブ油脂肪酸セテアリル及びオリーブ油脂肪酸ソルビタン(化学組成物:オリーブ油脂肪酸のソルビタンエステル及びセテアリルエステル)として知られている、オリーブ油から誘導された非イオン性自己乳化系である。
【0052】
さらなる好適なものは、商標ペムレン(Pemulen)(登録商標)TR-1及びTR-2でノベオン(Noveon)により市販されているアクリレーツ/アクリル酸C10~30アルキルクロスポリマーなどの疎水化ポリアクリル酸などの市販のポリマー性乳化剤である。
【0053】
別の種類の特に好適な乳化剤は、ポリグリセリルエステル/ジエステル(すなわち、脂肪酸がエステル化によりポリグリセリンに結合しているポリマー)とも称される脂肪酸のポリグリセロールエステル又はジエステルであり、例えば、エボニック(Evonik)でイソラン(Isolan)GPS[INCI名 (ジイソステアリン酸/ポリヒドロキシステアリン酸/セバシン酸)ポリグリセリル-4(すなわち、イソステアリン酸、ポリヒドロキシステアリン酸、及びセバシン酸の混合物とポリグリセリン-4のジエステル)]として、又はデヒムルス(Dehymuls)PGPHとしてコグニス(Cognis)(INCI ジポリヒドロキシステアリン酸ポリグリセリル-2)で市販されているものなどである。
【0054】
やはり好適なものは、例えば、クローダ(Croda)で市販されているブリジ(Brij)72(ポリオキシエチレン(2)ステアリルエーテル)又はブリジ721(ポリオキシエチレン(21)ステアリルエーテルなどのポリアルキレングリコールエーテルである。
【0055】
少なくとも1種のO/W、Si/W乳化剤はそれぞれ、組成物の総重量に対して、特に0.5~5重量%の範囲など、最も特に0.5~4重量%の範囲など、好ましくは0.5~10重量%の量で使用される。
【0056】
好適なW/O-又はW/Si-乳化剤は、ジポリヒドロキシステアリン酸(dipolyhydroxystearat)ポリグリセリル-2、ジポリヒドロキシステアリン酸PEG-30、セチルジメチコンコポリオール、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3 オレイン酸/イソステアリン酸のポリグリセロールエステル、ポリグリセリル-6ヘキサリシノレート(hexaricinolate)、オレイン酸ポリグリセリル-4、オレイン酸ポリギルセリル(polygylceryl)-4/ヤシ油脂肪酸PEG-8プロピレングリコール、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、リシノール酸カリウム、ヤシ脂肪酸ナトリウム、牛脂脂肪酸ナトリウム、ヒマシ油脂肪酸カリウム、オレイン酸ナトリウム、及びその混合物である。さらなる好適なW/Si-乳化剤は、ラウリルポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン及び/又はPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン及び/又はセチルPEG/PPG-10/1ジメチコン及び/又はPEG-12ジメチコンクロスポリマー及び/又はPEG/PPG-18/18ジメチコンである。少なくとも1種のW/O乳化剤は、組成物の総重量に対して、好ましくは約0.001~10重量%の量で、より好ましくは0.2~7重量%の量で使用される。
【0057】
本発明による局所組成物は、さらに好都合には、例えば、モノ-及びジグリセリド並びに/又は脂肪族アルコールの群から選択されるなどの、少なくとも1種の共界面活性剤を含む。共界面活性剤は、一般に、組成物の総重量に対して、特に0.5~7重量%の範囲、最も特に1~5重量%の範囲など、0.1~10重量%の範囲で選択される量で使用される。特定の好適な共界面活性剤は、アルキルアルコール、例えば、セチルアルコール(Lorol C16、ラネッテ(Lanette)16)、セテアリルアルコール(ラネッテO)、ステアリルアルコール(ラネッテ18)、ベヘニルアルコール(ラネッテ22)など、ステアリン酸グリセリル、ミリスチン酸グリセリル(Estol 3650)、水添ココグリセリル(リポシア(Lipocire)Na10)、並びにその混合物のリストから選択される。
【0058】
本発明によるO/Wエマルションの形態の組成物は、例えば、O/Wエマルション用の全配合物形態で、例えばセラム、ミルク、又はクリームの形態で提供でき、それらは、通常の方法に従って調製される。本発明の主題である組成物は、局所適用向けであり、特に、例えばヒトの皮膚を紫外線の有害作用から保護することが意図される(抗しわ、抗加齢、保湿、抗光保護(anti-sun protection)など)皮膚科用又は化粧用組成物を構成し得る。
【0059】
本発明の好都合な実施形態によると、組成物は化粧用組成物を構成し、皮膚への局所適用向けである。
【0060】
最後に、本発明の主題は、特に皮膚などのケラチン性物質の美容的処置であって、上記で定義された組成物が特に皮膚などの前記ケラチン性物質に適用される美容的処置である。方法は、特に日焼け及び/又は光老化などの紫外線の有害作用から皮膚を保護するのに特に好適である。
【0061】
本発明によると、本発明による組成物は、皮膚美白;日焼け防止;色素沈着の治療;ざ瘡、しわ(wrinkles)、しわ(lines)、萎縮及び/若しくは炎症を予防若しくは減少させること;キレート化剤及び/若しくは封鎖剤;抗セルライト及び痩身(例えば、フィタン酸)、引き締め、保湿及び活性化、セルフタンニング、沈静化のための成分、並びに弾力性及び皮膚バリアを改善する薬剤、並びに/又はさらなるUVフィルター物質並びに従来局所組成物に使用されている担体及び/若しくは賦形剤若しくは希釈剤などのさらなる成分を含み得る。他に何も述べられていない場合、下記に言及される賦形剤、添加剤、希釈剤などは本発明による局所組成物に好適である。化粧用及び皮膚科用補助剤及び添加剤の必要な量は、所望の製品に基づいて、当業者により容易に決定され得る。追加の成分は、適切であると思われる通り、油相にも、水相にも、別々にも加えることができる。添加の様式は、当業者により容易に適応され得る。
【0062】
本明細書において有用な化粧品として有効な成分は、いくつかの場合に、2種以上の利益を与えることも、2種以上の作用様式で作用することもある。
【0063】
本発明の局所化粧用組成物は、通常の化粧品用補助剤及び添加剤、例えば、防腐剤/酸化防止剤、脂肪性物質/油、水、有機溶媒、シリコーン、増粘剤、柔軟剤、乳化剤、日焼け止め剤、消泡剤、保湿剤、香料などの美的成分、界面活性剤、充填剤、金属封鎖剤、アニオン性、カチオン性、非イオン性、若しくは両性ポリマー若しくはその混合物、噴射剤、酸性化若しくは塩基性化剤、染料、着色料/着色剤、研磨剤、吸収剤、精油、皮膚センセート(sensates)、収れん剤、消泡剤、顔料若しくはナノ顔料、例えば、紫外線を物理的に遮断することにより光保護効果を与えるのに適したもの、又は通常化粧用組成物に製剤される他のあらゆる成分も含み得る。本発明の組成物における使用に好適な、スキンケア産業で通常使用されるそのような化粧品用成分は、例えば、非限定的に、online INFO BASE(http://online.personalcarecouncil.org/jsp/Home.jsp)によりアクセス可能な、米国パーソナルケア製品評議会(Personal Care Product Council)(http://www.personalcarecouncil.org/)による、the International Cosmetic Ingredient Dictionary & Handbookに記載されている。
【0064】
化粧品用及び皮膚科用の補助剤及び添加剤の必要な量は、所望の製品に基づいて、当業者により容易に選択され得るが、非限定的に実施例に示されるだろう。
【0065】
当然ながら、当業者は、上述の任意選択の追加の化合物若しくは複数の化合物及び/又はそれらの量を、本発明による組合せと本質的に関連する好都合な性質が、想定される添加又は複数の添加により、悪影響を受けないか、又は実質的に悪影響を受けないように注意して選択するだろう。
【0066】
本発明による局所組成物は、一般的に、3~10の範囲のpH、好ましくは4~8の範囲のpH、最も好ましくは4~7の範囲のpHを有する。pHは、例えばクエン酸などの好適な酸又はNaOHなどの塩基により、当技術分野における標準的な方法に従って、望まれる通りに容易に調整できる。
【0067】
本発明による局所組成物は、皮膚を鎮静させ軟化させる1種以上の軟化剤をさらに含み得る。例としては、軟化剤は、炭酸ジカプリリル又は安息香酸C12~15アルキルであり得る。さらなる軟化剤は、シリコーン(ジメチコン、シクロメチコン)、植物油(グレープシード、ゴマ種子、ホホバなど)、バター(カカオバター、シアバター)、アルコール(ステアリルアルコール、セチルアルコール)、及びペトロラタム誘導体(ワセリン、鉱油)である。
【0068】
本発明による化粧用組成物は、好都合には、防腐剤又は防腐剤ブースターを含む。好ましくは、追加の防腐剤、防腐剤ブースターはそれぞれ、フェノキシエタノール、エチルヘキシルグリセリン、カプリル酸グリセリル、カプリリルグリコール、1,2-ヘキサンジオール、プロパンジオール、プロピレングリコール、並びにその混合物からなる群から選択される。存在する場合、防腐剤、防腐剤ブースターはそれぞれ、組成物の総重量に対して、好ましくは0.01~2重量%の量、より好ましくは0.05~1.5重量%の量、最も好ましくは0.1~1.0重量%の量で使用される。本発明による化粧用組成物が、例えばパラベン及び/又はメチルイソチアゾリジンなどのさらなる/他の防腐剤を全く含まないことが特に好ましい。
【0069】
以下の実施例は、本発明の組成物及び効果をさらに説明するために提供される。これらの実施例は例示のためのみのものであり、本発明の範囲を決して限定するものではない。
【0070】
[実験パート]
表1に概説する配合物(O/Wエマルション)を、当技術分野における標準的な方法に従って調製した。
【0071】
次いで、耐移行性(transfer resistance)を、以下に概説するスポンジ試験により試験した(試験は、常に同じ試験設定で実施した(同じ日、人、温度、湿度など)):
-スポンジクロスを、7.5cm×2.5cmの部分に切る
-スポンジ試料の風袋を量る
-400mgのクリームを適用し、7.5×2.5cmのスポンジ表面全体にわたり均質に分布させる
-試料が適用されたスポンジを秤量する
-顕微鏡スライド(ガラスプレート)の風袋を量る
-顕微鏡スライド(ガラスプレート)をスポンジの上に載せて500gの圧力を10秒間かける
-ガラスプレートに移行したクリームの量を量る([mg]の移行量)
-各配合物に関して試験を10回繰り返して、各配合物の平均値を受け取る
【0072】
結果を表2に概説する。
【0073】
【0074】
【0075】
表2から読み取れる通り、p-HAP、パンテノール、及びMBBTの局所組成物への添加のみが、ガラス表面に移行したクリームの量を著しく減少させた。