(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-24
(45)【発行日】2024-02-01
(54)【発明の名称】送達ビヒクル
(51)【国際特許分類】
A24B 15/167 20200101AFI20240125BHJP
【FI】
A24B15/167
(21)【出願番号】P 2020554209
(86)(22)【出願日】2019-04-16
(86)【国際出願番号】 GB2019051083
(87)【国際公開番号】W WO2019202311
(87)【国際公開日】2019-10-24
【審査請求日】2020-10-26
【審判番号】
【審判請求日】2022-07-28
(32)【優先日】2018-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(74)【代理人】
【識別番号】100135242
【氏名又は名称】江守 英太
(72)【発明者】
【氏名】ベイリー, チェルシー エリザベス
(72)【発明者】
【氏名】ディケンズ, コリン
(72)【発明者】
【氏名】ヘプワース, リチャード
【合議体】
【審判長】間中 耕治
【審判官】平城 俊雅
【審判官】槙原 進
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/108992(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/207443(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0251723(US,A1)
【文献】特表2017-515493(JP,A)
【文献】中国実用新案第204120232(CN,U)
【文献】国際公開第2004/089126(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0189388(US,A1)
【文献】特表2007-532118(JP,A)
【文献】特表2019-512432(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾルが送達ビヒクルに近接して流れるときにエアロゾルを機能化するための送達ビヒクルであって、少なくとも1種の配合物が熱可塑性ポリマーの細孔内に保持されるように、少なくとも1種の配合物で含浸された少なくとも1種の多孔質熱可塑性ポリマーの粒子を含む多孔質基材材料を含み、前記配合物は、少なくとも1種の機能化成分を含み、前記多孔質熱可塑性ポリマー内に保持された前記配合物の量は、前記多孔質基材を基準として少なくとも30%w/wであ
り、前記少なくとも1種の熱可塑性ポリマーは、アクリロニトリルブタジエンスチレン、天然ゴム、ナイロン6、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリジメチルシロキサン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリオキシメチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニル、及びこれらの混合物から選択される、送達ビヒクル。
【請求項2】
多孔質基材がハウジングに収容されている、請求項1に記載の送達ビヒクル。
【請求項3】
前記ハウジングが、エアロゾル送達デバイスに取り外し可能に取り付けられるように構成されている、請求項2に記載の送達ビヒクル。
【請求項4】
前記ハウジングが、エアロゾル送達デバイスの出口に取り外し可能に取り付けられるように構成されている、請求項3に記載の送達ビヒクル。
【請求項5】
前記少なくとも1種の機能化成分が少なくとも1種の香料成分である、請求項1~4のいずれか一項に記載の送達ビヒクル。
【請求項6】
前記少なくとも1種の香料成分が、(4-(パラ-)メトキシフェニル)-2-ブタノン、バニリン、γ-ウンデカラクトン、メントン、5-プロペニルグアエトール、メンソール、パラ-メンタ-8-チオール-3-オン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項5に記載の送達ビヒクル。
【請求項7】
前記少なくとも1種の香料成分が少なくともメンソールである、請求項6に記載の送達ビヒクル。
【請求項8】
前記少なくとも1種の機能化成分が、前記配合物を基準として少なくとも50wt.%の総量で存在する、請求項1~7のいずれか一項に記載の送達ビヒクル。
【請求項9】
前記少なくとも1種の機能化成分が、前記配合物を基準として少なくとも70wt.%の総量で存在する、請求項1~7のいずれか一項に記載の送達ビヒクル。
【請求項10】
前記多孔質熱可塑性ポリマー内に保持された前記配合物の量が、前記多孔質基材を基準として少なくとも50%w/wである、請求項1~9のいずれか一項に記載の送達ビヒクル。
【請求項11】
前記多孔質熱可塑性ポリマー内に保持された前記配合物の量が、前記多孔質基材を基準として少なくとも70%w/wである、請求項1~9のいずれか一項に記載の送達ビヒクル。
【請求項12】
前記少なくとも1種の熱可塑性ポリマーが少なくともポリプロピレンである、請求項1~11のいずれか一項に記載の送達ビヒクル。
【請求項13】
送達ビヒクルが第1の熱可塑性ポリマーと第2の熱可塑性ポリマーとを含み、前記第1の熱可塑性ポリマーと前記第2の熱可塑性ポリマーが互いに異なる、請求項1~
12のいずれか一項に記載の送達ビヒクル。
【請求項14】
前記機能化成分が40℃の温度で固体である、請求項1~
13のいずれか一項に記載の送達ビヒクル。
【請求項15】
前記機能化成分が60℃の温度で固体である、請求項1~
14のいずれか一項に記載の送達ビヒクル。
【請求項16】
前記機能化成分が粉末である、請求項1~
15のいずれか一項に記載の送達ビヒクル。
【請求項17】
前記粉末が自由流動粉末である、請求項
16に記載の送達ビヒクル。
【請求項18】
送達ビヒクルが担体を更に含む、請求項1~
15のいずれか一項に記載の送達ビヒクル。
【請求項19】
前記担体が、
(i)水、グリセロール、プロピレングリコール、及びこれらの混合物から選択されるか、
(ii)グリセロール、プロピレングリコール、又はこれらの混合物から選択されるか、又は
(iii)グリセロールとプロピレングリコールの混合物である、請求項
18に記載の送達ビヒクル。
【請求項20】
送達ビヒクルが活性剤を更に含む、請求項1~
19のいずれか一項に記載の送達ビヒクル。
【請求項21】
前記活性剤が少なくともニコチンである、請求項
20に記載の送達ビヒクル。
【請求項22】
前記少なくとも1種の多孔質熱可塑性ポリマーの粒子が粉末、ペレット又は顆粒の形態である、請求項1~21のいずれか一項に記載の送達ビヒクル。
【請求項23】
前記少なくとも1種の多孔質熱可塑性ポリマーの粒子が乾燥した自由流動状態である、請求項22に記載の送達ビヒクル。
【請求項24】
機能化エアロゾルを形成するための方法であって、
(a)請求項1~
23のいずれか一項に記載の送達ビヒクルを用意するステップ、及び
(b)エアロゾルを前記送達ビヒクルに近接して配置するステップ
を含む、方法。
【請求項25】
(a)エアロゾル発生デバイス、及び
(b)請求項1~
23のいずれか一項に記載の送達ビヒクル
を備える、電子エアロゾル供給システム。
【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本開示は、送達ビヒクル、送達ビヒクルが収容された容器、及び前記製品を組み込んだ電子エアロゾル送達システム(例えばeシガレット)等の電子エアロゾル供給システムに関する。
【発明の背景】
【0002】
eシガレット等の電子蒸気供給システムは一般に、典型的にはニコチンを含有する気化される液体のリザーバを収容する。ユーザがデバイスで吸入すると、ヒーターが作動して少量の液体を気化させ、したがってこれをユーザが吸入する。
【0003】
英国におけるeシガレットの使用は急速に増加しており、推定では、英国では現在およそ300万人がeシガレットを使用している。
【0004】
現在の吸引製品は、エアロゾルを生成するヒーターへとウィックされる液体を使用している。エアロゾルはユーザによって吸入され、タバコを吸うのと同様の感覚的経験をもたらす。エアロゾルは、ニコチン及び/又は香料を送達するためにも使用できる。吸引製品の中には、ニコチンを送達するが、香料は含有しないものがある。香料は送達するが、ニコチンは送達しないものもある。香料とニコチンの両方を送達するものもある。現在のeシガレット配合物は、典型的には液体としてグリセロール及び/又はプロピレングリコールを利用している。香料送達システムにおいて、感覚的効果を送達するための香料又は別の機能化成分を送達されるエアロゾル中に保持するために材料を使用できることが公知である。例えば、米国特許出願公開第2005/0172976号において、香料又は別の機能化成分は、ビーズ、フィルム又は包摂錯体等の香料放出添加剤に保持させることができる。香料をカプセル化するのに適すると教示されている材料としては、様々な公知の材料が挙げられ、所定の温度でその香料を放出するように設計されている。しかし、香料又は別の機能化成分の高充填量を有する材料は、保存中に香料又は別の機能化成分の枯渇を被ることがある。
【発明の概要】
【0005】
一態様において、送達ビヒクルに近接するエアロゾルを機能化するための送達ビヒクルであって、少なくとも1種の多孔質熱可塑性ポリマーと、熱可塑性ポリマー内に保持された少なくとも1種の配合物とを含む多孔質基材材料を含み、配合物は、少なくとも1種の機能化成分を含み、多孔質熱可塑性ポリマー内に保持された配合物の量は、多孔質基材を基準として少なくとも30%w/wである、送達ビヒクルが提供される。
【0006】
本発明は、エアロゾルを機能化するための容器入り送達ビヒクルであって、
(a)容器;及び
(b)送達ビヒクルに近接するエアロゾルを機能化するための送達ビヒクルであって、少なくとも1種の多孔質熱可塑性ポリマーと、熱可塑性ポリマー内に保持された少なくとも1種の配合物とを含む多孔質基材材料を含み、配合物は、少なくとも1種の機能化成分を含み、多孔質熱可塑性ポリマー内に保持された配合物の量は、多孔質基材を基準として少なくとも30%w/wである、送達ビヒクル
を備える容器入り送達ビヒクルを更に提供する。
【0007】
本発明は、
(a)エアロゾル形成材料;及び
(b)送達ビヒクルに近接するエアロゾルを機能化するための送達ビヒクルであって、少なくとも1種の多孔質熱可塑性ポリマーと、熱可塑性ポリマー内に保持された少なくとも1種の配合物とを含む多孔質基材材料を含み、配合物は、少なくとも1種の機能化成分を含み、多孔質熱可塑性ポリマー内に保持された配合物の量は、多孔質基材を基準として少なくとも30%w/wである、送達ビヒクル
を備える、エアロゾル化可能製品を更に提供する。
【0008】
本発明は、機能化エアロゾルを形成するための方法であって、
(a)送達ビヒクルに近接するエアロゾルを機能化するための送達ビヒクルであって、少なくとも1種の多孔質熱可塑性ポリマーと、熱可塑性ポリマー内に保持された少なくとも1種の配合物とを含む多孔質基材材料を含み、配合物は、少なくとも1種の機能化成分を含み、多孔質熱可塑性ポリマー内に保持された配合物の量は、多孔質基材を基準として少なくとも30%w/wである、送達ビヒクルを用意するステップ;及び
(b)エアロゾルを送達ビヒクルに近接して配置するステップ
を含む方法を更に提供する。
【0009】
本発明は、
(a)エアロゾル発生デバイス;及び
(b)送達ビヒクルに近接するエアロゾルを機能化するための送達ビヒクルであって、少なくとも1種の多孔質熱可塑性ポリマーと、熱可塑性ポリマー内に保持された少なくとも1種の配合物とを含む多孔質基材材料を含み、配合物は、少なくとも1種の機能化成分を含み、多孔質熱可塑性ポリマー内に保持された配合物の量は、多孔質基材を基準として少なくとも30%w/wである、送達ビヒクル
を備える、電子エアロゾル供給システムを更に提供する。
【詳細な説明】
【0010】
本明細書において論じるように、本発明は、送達ビヒクルに近接するエアロゾルを機能化するための送達ビヒクルであって、少なくとも1種の多孔質熱可塑性ポリマーと、熱可塑性ポリマー内に保持された少なくとも1種の配合物とを含む多孔質基材材料を含み、配合物は、少なくとも1種の機能化成分を含み、多孔質熱可塑性ポリマー内に保持された配合物の量は、多孔質基材を基準として少なくとも30%w/wである、送達ビヒクルを提供する。
【0011】
本発明者らは、少なくとも30%w/wの機能化成分充填容量を有する少なくとも1種の多孔質熱可塑性ポリマーを含む多孔質基材材料を含む送達ビヒクルを使用することにより、相当量の機能化成分が熱可塑性ポリマー内に保持され得るが、機能化されるエアロゾルの気流経路内に送達ビヒクルを配置した場合に、送達ビヒクル全体にわたる圧力降下を低減できることを見出している。これは、ユーザが、送達ビヒクル全体にわたる圧力降下に影響を及ぼすことなく(又はほとんど影響を及ぼすことなく)エアロゾルを機能化するために送達ビヒクルをエアロゾル送達デバイスに追加することを可能にするため、有利である。eシガレット等のエアロゾル送達デバイスのユーザは、吸入中のデバイス全体にわたる圧力降下に敏感であるため、エアロゾルの気流経路に配置されたときに(あったとしても)大幅な追加の圧力降下をもたらさない送達ビヒクルを提供することが有利である。
【0012】
参照を容易にするため、ここで、本発明のこれらの態様及び更なる態様を、適切な節見出しの下で論じる。ただし、各節の教示はそれぞれの特定の節に必ずしも限定されるものではない。
【0013】
多孔質基材材料
【0014】
本明細書において論じるように、本発明は、少なくとも1種の多孔質熱可塑性ポリマーと、熱可塑性ポリマー内に保持された少なくとも1種の配合物とを含む多孔質基材材料を含み、配合物は、少なくとも1種の機能化成分を含み、多孔質熱可塑性ポリマー内に保持された配合物の量は、多孔質基材を基準として少なくとも30%w/wである、送達ビヒクルを提供する。
【0015】
多孔質熱可塑性ポリマーは、任意の適切な熱可塑性ポリマーであってもよい。一態様において、熱可塑性ポリマーは、アクリロニトリルブタジエンスチレン、天然ゴム、ナイロン6、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリジメチルシロキサン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリオキシメチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニル、及びこれらの混合物から選択される。一態様において、熱可塑性ポリマーは、少なくともポリプロピレンである。適切なポリプロピレン等の適切なポリマーは、任意の適切な物理的形態で供給されてもよく、例えば、それらは、ペレット、粉末、顆粒又はフィルムの形態で供給されてもよい。本明細書に記載するような機能化成分が充填された場合であっても、粉末、ペレット又は顆粒の形態の熱可塑性ポリマーは乾燥した自由流動状態を保ち、注入及び取り扱いに好都合である。
【0016】
一態様において、送達ビヒクルは、第1の多孔質熱可塑性ポリマーと第2の多孔質熱可塑性ポリマーとを含み、第1の熱可塑性ポリマーと第2の熱可塑性ポリマーは、互いに異なるものである。一態様において、第1の熱可塑性ポリマーは、アクリロニトリルブタジエンスチレン、天然ゴム、ナイロン6、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリジメチルシロキサン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリオキシメチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニル、及びこれらの混合物から選択される。一態様において、第1の熱可塑性ポリマーは、少なくともポリプロピレンである。一態様において、第2の熱可塑性ポリマーは、アクリロニトリルブタジエンスチレン、天然ゴム、ナイロン6、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリジメチルシロキサン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリオキシメチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニル、及びこれらの混合物から選択される。一態様において、第2の熱可塑性ポリマーは、少なくともポリプロピレンである。
【0017】
本送達ビヒクルの少なくとも1種の多孔質熱可塑性ポリマーは、0.01~1μmの公称細孔径を有していてもよい。一態様において、送達システムに存在する多孔質熱可塑性ポリマーは、0.01~1μmの公称細孔径を有する多孔質熱可塑性ポリマーからなる。
【0018】
多孔質基材材料は、全体的に又は部分的に、0.01~1μmの公称細孔径を有する熱可塑性ポリマーから形成されていてもよい。一態様において、0.01~1μmの公称細孔径を有する熱可塑性ポリマーは、多孔質基材材料を基準として少なくとも10wt.%の量で存在する。一態様において、0.01~1μmの公称細孔径を有する熱可塑性ポリマーは、多孔質基材材料を基準として少なくとも20wt.%の量で存在する。一態様において、0.01~1μmの公称細孔径を有する熱可塑性ポリマーは、多孔質基材材料を基準として少なくとも30wt.%の量で存在する。一態様において、0.01~1μmの公称細孔径を有する熱可塑性ポリマーは、多孔質基材材料を基準として少なくとも40wt.%の量で存在する。一態様において、0.01~1μmの公称細孔径を有する熱可塑性ポリマーは、多孔質基材材料を基準として少なくとも50wt.%の量で存在する。一態様において、0.01~1μmの公称細孔径を有する熱可塑性ポリマーは、多孔質基材材料を基準として少なくとも60wt.%の量で存在する。一態様において、0.01~1μmの公称細孔径を有する熱可塑性ポリマーは、多孔質基材材料を基準として少なくとも70wt.%の量で存在する。一態様において、0.01~1μmの公称細孔径を有する熱可塑性ポリマーは、多孔質基材材料を基準として少なくとも80wt.%の量で存在する。一態様において、0.01~1μmの公称細孔径を有する熱可塑性ポリマーは、多孔質基材材料を基準として少なくとも90wt.%の量で存在する。一態様において、0.01~1μmの公称細孔径を有する熱可塑性ポリマーは、多孔質基材材料を基準として少なくとも95wt.%の量で存在する。一態様において、0.01~1μmの公称細孔径を有する熱可塑性ポリマーは、多孔質基材材料を基準として少なくとも99wt.%の量で存在する。一態様において、多孔質基材材料は、0.01~1μmの公称細孔径を有する熱可塑性ポリマーから本質的になる。一態様において、多孔質基材材料は、0.01~1μmの公称細孔径を有する熱可塑性ポリマーからなる。
【0019】
一態様において、少なくとも1種の熱可塑性ポリマーは、0.01~0.9μmの公称細孔径を有する。一態様において、少なくとも1種の熱可塑性ポリマーは、0.01~0.8μmの公称細孔径を有する。一態様において、少なくとも1種の熱可塑性ポリマーは、0.01~0.7μmの公称細孔径を有する。一態様において、少なくとも1種の熱可塑性ポリマーは、0.01~0.6μmの公称細孔径を有する。一態様において、少なくとも1種の熱可塑性ポリマーは、0.01~0.5μmの公称細孔径を有する。一態様において、少なくとも1種の熱可塑性ポリマーは、0.01~0.4μmの公称細孔径を有する。一態様において、少なくとも1種の熱可塑性ポリマーは、0.01~0.3μmの公称細孔径を有する。一態様において、少なくとも1種の熱可塑性ポリマーは、0.05~0.3μmの公称細孔径を有する。一態様において、少なくとも1種の熱可塑性ポリマーは、0.1~0.3μmの公称細孔径を有する。
【0020】
一態様において、送達システムに存在する熱可塑性ポリマーは、0.01~0.9μmの公称細孔径を有する熱可塑性ポリマーからなる。一態様において、送達システムに存在する熱可塑性ポリマーは、0.01~0.8μmの公称細孔径を有する熱可塑性ポリマーからなる。一態様において、送達システムに存在する熱可塑性ポリマーは、0.01~0.7μmの公称細孔径を有する熱可塑性ポリマーからなる。一態様において、送達システムに存在する熱可塑性ポリマーは、0.01~0.6μmの公称細孔径を有する熱可塑性ポリマーからなる。一態様において、送達システムに存在する熱可塑性ポリマーは、0.01~0.5μmの公称細孔径を有する熱可塑性ポリマーからなる。一態様において、送達システムに存在する熱可塑性ポリマーは、0.01~0.4μmの公称細孔径を有する熱可塑性ポリマーからなる。一態様において、送達システムに存在する熱可塑性ポリマーは、0.01~0.3μmの公称細孔径を有する熱可塑性ポリマーからなる。一態様において、送達システムに存在する熱可塑性ポリマーは、0.05~0.3μmの公称細孔径を有する熱可塑性ポリマーからなる。一態様において、送達システムに存在する熱可塑性ポリマーは、0.1~0.3μmの公称細孔径を有する熱可塑性ポリマーからなる。
【0021】
一実施形態において、本送達ビヒクルの少なくとも1種の多孔質熱可塑性ポリマーは、0.01~1μmの平均細孔径を有していてもよい。平均細孔径の判定に適切な方法としては、走査型電子顕微鏡による方法が挙げられる。
【0022】
一態様において、少なくとも1種の熱可塑性ポリマーは、0.01~0.9μmの平均細孔径を有する。一態様において、少なくとも1種の熱可塑性ポリマーは、0.01~0.8μmの平均細孔径を有する。一態様において、少なくとも1種の熱可塑性ポリマーは、0.01~0.7μmの平均細孔径を有する。一態様において、少なくとも1種の熱可塑性ポリマーは、0.01~0.6μmの平均細孔径を有する。一態様において、少なくとも1種の熱可塑性ポリマーは、0.01~0.5μmの平均細孔径を有する。一態様において、少なくとも1種の熱可塑性ポリマーは、0.01~0.4μmの平均細孔径を有する。一態様において、少なくとも1種の熱可塑性ポリマーは、0.01~0.3μmの平均細孔径を有する。一態様において、少なくとも1種の熱可塑性ポリマーは、0.05~0.3μmの平均細孔径を有する。一態様において、少なくとも1種の熱可塑性ポリマーは、0.1~0.3μmの平均細孔径を有する。
【0023】
一態様において、送達システムに存在する熱可塑性ポリマーは、0.01~0.9μmの平均細孔径を有する熱可塑性ポリマーからなる。一態様において、送達システムに存在する熱可塑性ポリマーは、0.01~0.8μmの平均細孔径を有する熱可塑性ポリマーからなる。一態様において、送達システムに存在する熱可塑性ポリマーは、0.01~0.7μmの平均細孔径を有する熱可塑性ポリマーからなる。一態様において、送達システムに存在する熱可塑性ポリマーは、0.01~0.6μmの平均細孔径を有する熱可塑性ポリマーからなる。一態様において、送達システムに存在する熱可塑性ポリマーは、0.01~0.5μmの平均細孔径を有する熱可塑性ポリマーからなる。一態様において、送達システムに存在する熱可塑性ポリマーは、0.01~0.4μmの平均細孔径を有する熱可塑性ポリマーからなる。一態様において、送達システムに存在する熱可塑性ポリマーは、0.01~0.3μmの平均細孔径を有する熱可塑性ポリマーからなる。一態様において、送達システムに存在する熱可塑性ポリマーは、0.05~0.3μmの平均細孔径を有する熱可塑性ポリマーからなる。一態様において、送達システムに存在する熱可塑性ポリマーは、0.1~0.3μmの平均細孔径を有する熱可塑性ポリマーからなる。
【0024】
多孔質基材材料は、エアロゾルの機能化という所望の目的を実現するための任意の適切な量で存在してもよい。一態様において、多孔質基材材料は、少なくとも0.2gの量で存在する。一態様において、多孔質基材材料は、少なくとも0.3gの量で存在する。一態様において、多孔質基材材料は、少なくとも0.4gの量で存在する。一態様において、多孔質基材材料は、少なくとも0.5gの量で存在する。一態様において、多孔質基材材料は、少なくとも0.6gの量で存在する。一態様において、多孔質基材材料は、少なくとも0.7gの量で存在する。一態様において、多孔質基材材料は、少なくとも0.8gの量で存在する。一態様において、多孔質基材材料は、少なくとも0.9gの量で存在する。一態様において、多孔質基材材料は、少なくとも1.0gの量で存在する。一態様において、多孔質基材材料は少なくとも1.5g、の量で存在する。一態様において、多孔質基材材料は、少なくとも2.0gの量で存在する。
【0025】
一態様において、多孔質基材材料は、最大10.0gの量で存在する。一態様において、多孔質基材材料は、最大9.0gの量で存在する。一態様において、多孔質基材材料は、最大8.0gの量で存在する。一態様において、多孔質基材材料は、最大7.0gの量で存在する。一態様において、多孔質基材材料は、最大6.0gの量で存在する。一態様において、多孔質基材材料は、最大5.0gの量で存在する。一態様において、多孔質基材材料は、最大4.0gの量で存在する。一態様において、多孔質基材材料は、最大3.0gの量で存在する。一態様において、多孔質基材材料は、最大2.9gの量で存在する。一態様において、多孔質基材材料は、最大2.8gの量で存在する。一態様において、多孔質基材材料は、最大2.7gの量で存在する。一態様において、多孔質基材材料は、最大2.6gの量で存在する。一態様において、多孔質基材材料は、最大2.5gの量で存在する。
【0026】
機能化成分
【0027】
機能化成分は、接触するエアロゾルの性質を改変する任意の材料であってもよい。一態様において、少なくとも1種の機能化成分は、香料成分、プロトン化成分、活性成分、及びこれらの混合物から選択されてもよい。一態様において、少なくとも1種の機能化成分は、少なくとも1種の香料成分である。香料成分は、エアロゾルに香りを付与する材料である。一態様において、少なくとも1種の香料成分は、(4-(パラ-)メトキシフェニル)-2-ブタノン、バニリン、γ-ウンデカラクトン、メントン、5-プロペニルグアエトール、メンソール、パラ-メンタ-8-チオール-3-オン、及びこれらの混合物からなる群から選択される。一態様において、少なくとも1種の香料成分は、少なくともメンソールである。
【0028】
機能化成分は、固体又は液体であってもよい。一態様において、機能化成分は、40℃の温度で固体である。一態様において、機能化成分は、60℃の温度で固体である。一態様において、機能化成分は、自由流動粉末等の粉末である。
【0029】
少なくとも1種の機能化成分は、エアロゾルの機能化という所望の目的を実現するための任意の適切な量で存在してもよい。一態様において、少なくとも1種の機能化成分は、多孔質基材を基準として少なくとも1wt.%の量で存在する。一態様において、少なくとも1種の機能化成分は、多孔質基材を基準として少なくとも2wt.%の量で存在する。一態様において、少なくとも1種の機能化成分は、多孔質基材を基準として少なくとも3wt.%の量で存在する。一態様において、少なくとも1種の機能化成分は、多孔質基材を基準として少なくとも4wt.%の量で存在する。一態様において、少なくとも1種の機能化成分は、多孔質基材を基準として少なくとも5wt.%の量で存在する。一態様において、少なくとも1種の機能化成分は、多孔質基材を基準として少なくとも10wt.%の量で存在する。一態様において、少なくとも1種の機能化成分は、多孔質基材を基準として少なくとも15wt.%の量で存在する。一態様において、少なくとも1種の機能化成分は、多孔質基材を基準として少なくとも20wt.%の量で存在する。一態様において、少なくとも1種の機能化成分は、多孔質基材を基準として少なくとも25wt.%の量で存在する。一態様において、少なくとも1種の機能化成分は、多孔質基材を基準として少なくとも30wt.%の量で存在する。一態様において、少なくとも1種の機能化成分は、多孔質基材を基準として少なくとも40wt.%の量で存在する。一態様において、少なくとも1種の機能化成分は、多孔質基材を基準として少なくとも50wt.%の量で存在する。一態様において、少なくとも1種の機能化成分は、多孔質基材を基準として少なくとも60wt.%の量で存在する。一態様において、少なくとも1種の機能化成分は、多孔質基材を基準として少なくとも70wt.%の量で存在する。一態様において、少なくとも1種の機能化成分は、多孔質基材を基準として少なくとも80wt.%の量で存在する。一態様において、少なくとも1種の機能化成分は、多孔質基材を基準として少なくとも90wt.%の量で存在する。
【0030】
一態様において、少なくとも1種の機能化成分は、多孔質基材を基準として1~90wt.%の量で存在する。一態様において、少なくとも1種の機能化成分は、多孔質基材を基準として2~90wt.%の量で存在する。一態様において、少なくとも1種の機能化成分は、多孔質基材を基準として3~90wt.%の量で存在する。一態様において、少なくとも1種の機能化成分は、多孔質基材を基準として4~90wt.%の量で存在する。一態様において、少なくとも1種の機能化成分は、多孔質基材を基準として5~90wt.%の量で存在する。一態様において、少なくとも1種の機能化成分は、多孔質基材を基準として10~90wt.%の量で存在する。一態様において、少なくとも1種の機能化成分は、多孔質基材を基準として20~90wt.%の量で存在する。一態様において、少なくとも1種の機能化成分は、多孔質基材を基準として20~90wt.%の量で存在する。
【0031】
一態様において、配合物は、機能化成分と担体とを含む。担体は、水、例えばグリセロール、プロピレングリコール及びトリエチレングリコール等の多価アルコール、又はクエン酸トリエチル若しくはトリアセチン等のエステル、又は高沸点炭化水素、又は例えばグリコール、ソルビトール若しくは乳酸等の非ポリオールから選択されてもよい。担体は、例えばグリセロール、プロピレングリコール及びトリエチレングリコール等の多価アルコール、又はクエン酸トリエチル若しくはトリアセチン等のエステル、又は高沸点炭化水素、又は例えばグリコール、ソルビトール若しくは乳酸等の非ポリオールから選択されてもよい。一態様において、担体は、多価アルコール(グリセロール、プロピレングリコール及びトリエチレングリコール等)、エステル(クエン酸トリエチル及びトリアセチン等)、高沸点炭化水素、非ポリオール(グリコール、ソルビトール及び乳酸等)、及びこれらの混合物から選択される。
【0032】
担体は、水、トリエチレングリコール、クエン酸トリエチル、トリアセチン、グリコール、ソルビトール、乳酸、グリセロール、プロピレングリコール、及びこれらの混合物から選択されてもよい。担体は、トリエチレングリコール、クエン酸トリエチル、トリアセチン、グリコール、ソルビトール、乳酸、グリセロール、プロピレングリコール、及びこれらの混合物から選択されてもよい。
【0033】
一態様において、担体は、水、グリセロール、プロピレングリコール、及びこれらの混合物から選択される。一態様において、担体は、グリセロール、プロピレングリコール、及びこれらの混合物から選択される。一態様において、担体は、グリセロールとプロピレングリコールの混合物である。
【0034】
機能化成分に応じ、1又は複数種の担体が配合物中に任意の適切な量で存在してもよい。一態様において、1又は複数種の担体は、配合物を基準として少なくとも1wt.%の総量で存在する。一態様において、1又は複数種の担体は、配合物を基準として少なくとも2wt.%の総量で存在する。一態様において、1又は複数種の担体は、配合物を基準として少なくとも5wt.%の総量で存在する。一態様において、1又は複数種の担体は、配合物を基準として少なくとも10wt.%の総量で存在する。一態様において、1又は複数種の担体は、配合物を基準として少なくとも20wt.%の総量で存在する。一態様において、1又は複数種の担体は、配合物を基準として少なくとも30wt.%の総量で存在する。一態様において、1又は複数種の担体は、配合物を基準として少なくとも40wt.%の総量で存在する。一態様において、1又は複数種の担体は、配合物を基準として少なくとも50wt.%の総量で存在する。
【0035】
一態様において、1又は複数種の担体は、配合物を基準として1~990wt.%の総量で存在する。一態様において、1又は複数種の担体は、配合物を基準として2~50wt.%の総量で存在する。一態様において、1又は複数種の担体は、配合物を基準として5~50wt.%の総量で存在する。一態様において、1又は複数種の担体は、配合物を基準として10~50wt.%の総量で存在する。一態様において、1又は複数種の担体は、配合物を基準として20~50wt.%の総量で存在する。一態様において、1又は複数種の担体は、配合物を基準として30~50wt.%の総量で存在する。
【0036】
本明細書において論じるように、一態様において、担体は、少なくともグリセロールである。グリセロールは、配合物中に任意の適切な量で存在してもよい。一態様において、グリセロールは、配合物を基準として少なくとも1wt.%の総量で存在する。一態様において、グリセロールは、配合物を基準として少なくとも2wt.%の総量で存在する。一態様において、グリセロールは、配合物を基準として少なくとも5wt.%の総量で存在する。一態様において、グリセロールは、配合物を基準として少なくとも10wt.%の総量で存在する。一態様において、グリセロールは、配合物を基準として少なくとも20wt.%の総量で存在する。一態様において、グリセロールは、配合物を基準として少なくとも30wt.%の総量で存在する。一態様において、グリセロールは、配合物を基準として少なくとも40wt.%の総量で存在する。一態様において、グリセロールは、配合物を基準として少なくとも50wt.%の総量で存在する。
【0037】
一態様において、グリセロールは、配合物を基準として1~99wt.%の総量で存在する。一態様において、グリセロールは、配合物を基準として1~90wt.%の総量で存在する。一態様において、グリセロールは、配合物を基準として1~80wt.%の総量で存在する。一態様において、グリセロールは、配合物を基準として1~70wt.%の総量で存在する。一態様において、グリセロールは、配合物を基準として1~60wt.%の総量で存在する。一態様において、グリセロールは、配合物を基準として1~90wt.%の総量で存在する。一態様において、グリセロールは、配合物を基準として2~50wt.%の総量で存在する。一態様において、グリセロールは、配合物を基準として.5~50wt.%の総量で存在する。一態様において、グリセロールは、配合物を基準として10~50wt.%の総量で存在する。一態様において、グリセロールは、配合物を基準として20~50wt.%の総量で存在する。一態様において、グリセロールは、配合物を基準として30~50wt.%の総量で存在する。
【0038】
本明細書において論じるように、一態様において、担体は、少なくともプロピレングリコールである。プロピレングリコールは、配合物中に任意の適切な量で存在してもよい。一態様において、プロピレングリコールは、配合物を基準として少なくとも1wt.%の総量で存在する。一態様において、プロピレングリコールは、配合物を基準として少なくとも2wt.%の総量で存在する。一態様において、プロピレングリコールは、配合物を基準として少なくとも5wt.%の総量で存在する。一態様において、プロピレングリコールは、配合物を基準として少なくとも10wt.%の総量で存在する。一態様において、プロピレングリコールは、配合物を基準として少なくとも20wt.%の総量で存在する。一態様において、プロピレングリコールは、配合物を基準として少なくとも30wt.%の総量で存在する。一態様において、プロピレングリコールは、配合物を基準として少なくとも40wt.%の総量で存在する。一態様において、プロピレングリコールは、配合物を基準として少なくとも50wt.%の総量で存在する。
【0039】
一態様において、プロピレングリコールは、配合物を基準として1~99wt.%の総量で存在する。一態様において、プロピレングリコールは、配合物を基準として1~90wt.%の総量で存在する。一態様において、プロピレングリコールは、配合物を基準として1~80wt.%の総量で存在する。一態様において、プロピレングリコールは、配合物を基準として1~70wt.%の総量で存在する。一態様において、プロピレングリコールは、配合物を基準として1~60wt.%の総量で存在する。一態様において、プロピレングリコールは、配合物を基準として1~50wt.%の総量で存在する。一態様において、プロピレングリコールは、配合物を基準として2~50wt.%の総量で存在する。一態様において、プロピレングリコールは、配合物を基準として5~50wt.%の総量で存在する。一態様において、プロピレングリコールは、配合物を基準として10~50wt.%の総量で存在する。一態様において、プロピレングリコールは、配合物を基準として20~50wt.%の総量で存在する。一態様において、プロピレングリコールは配合物を基準として30~50wt.%の総量で存在する。
【0040】
本明細書において論じるように、一態様において、担体は、少なくとも水である。水は、配合物中に任意の適切な量で存在してもよい。一態様において、水は、配合物を基準として少なくとも1wt.%の総量で存在する。一態様において、水は、配合物を基準として少なくとも2wt.%の総量で存在する。一態様において、水は、配合物を基準として少なくとも5wt.%の総量で存在する。一態様において、水は、配合物を基準として少なくとも10wt.%の総量で存在する。一態様において、水は、配合物を基準として少なくとも20wt.%の総量で存在する。一態様において、水は、配合物を基準として少なくとも30wt.%の総量で存在する。一態様において、水は、配合物を基準として少なくとも40wt.%の総量で存在する。一態様において、水は、配合物を基準として少なくとも50wt.%の総量で存在する。
【0041】
一態様において、水は、配合物を基準として1~50wt.%の総量で存在する。一態様において、水は、配合物を基準として2~50wt.%の総量で存在する。一態様において、水は、配合物を基準として5~50wt.%の総量で存在する。一態様において、水は、配合物を基準として10~50wt.%の総量で存在する。一態様において、水は、配合物を基準として20~50wt.%の総量で存在する。一態様において、水は、配合物を基準として30~50wt.%の総量で存在する。
【0042】
多孔質熱可塑性ポリマー内に保持された配合物の量は、多孔質基材を基準として少なくとも30wt.%である。一態様において、多孔質熱可塑性ポリマー内に保持された配合物の量は、多孔質基材を基準として少なくとも40wt.%である。一態様において、多孔質熱可塑性ポリマー内に保持された配合物の量は、多孔質基材を基準として少なくとも50wt.%である。一態様において、多孔質熱可塑性ポリマー内に保持された配合物の量は、多孔質基材を基準として少なくとも60wt.%である。一態様において、多孔質熱可塑性ポリマー内に保持された配合物の量は、多孔質基材を基準として少なくとも70wt.%である。一態様において、多孔質熱可塑性ポリマー内に保持された配合物の量は、多孔質基材を基準として少なくとも80wt.%である。
【0043】
エアロゾル化可能製品
【0044】
本発明の送達ビヒクルは、1又は複数種の更なる成分を含有してもよく、それは、配合物中に存在しても、多孔質基材に付着させても、又は送達ビヒクル上の他の場所にあってもよい。これらの成分は、配合物の性質に応じて選択してもよい。一態様において、送達ビヒクルは、活性剤を更に含む。「活性剤」とは、蒸気が吸入されたときに対象に対して生物学的効果を有する薬剤を意味する。1又は複数種の活性剤は、ニコチン、植物性物質、及びこれらの混合物から選択されてもよい。1又は複数種の活性剤は、合成又は天然由来のものであってもよい。活性物質は、タバコ科の植物等の植物性物質からの抽出物とすることもできる。例示的活性物質は、ニコチンである。
【0045】
一態様において、活性剤は、少なくともニコチンである。ニコチンは、ユーザによって吸入される所望の用量に応じ、任意の適切な量で提供されてもよい。一態様において、ニコチンは、送達ビヒクルの全重量を基準として6wt%以下の量で存在する。一態様において、ニコチンは、送達ビヒクルの全重量を基準として0.4~6wt%の量で存在する。一態様において、ニコチンは、送達ビヒクルの全重量を基準として0.8~6wt%の量で存在する。一態様において、ニコチンは、送達ビヒクルの全重量を基準として1~6wt%の量で存在する。一態様において、ニコチンは、送達ビヒクルの全重量を基準として1.8~6wt%の量で存在する。一態様において、ニコチンは、送達ビヒクルの全重量を基準として0.4~5wt%の量で存在する。一態様において、ニコチンは、送達ビヒクルの全重量を基準として0.8~5wt%の量で存在する。一態様において、ニコチンは、送達ビヒクルの全重量を基準として1~5wt%の量で存在する。一態様において、ニコチンは、送達ビヒクルの全重量を基準として1.8~5wt%の量で存在する。一態様において、ニコチンは、送達ビヒクルの全重量を基準として4wt%以下の量で存在する。一態様において、ニコチンは、送達ビヒクルの全重量を基準として0.4~4wt%の量で存在する。一態様において、ニコチンは、送達ビヒクルの全重量を基準として0.8~4wt%の量で存在する。一態様において、ニコチンは、送達ビヒクルの全重量を基準として1~4wt%の量で存在する。一態様において、ニコチンは、送達ビヒクルの全重量を基準として1.8~4wt%の量で存在する。一態様において、ニコチンは、送達ビヒクルの全重量を基準として3wt%以下の量で存在する。一態様において、ニコチンは、送達ビヒクルの全重量を基準として0.4~3wt%の量で存在する。一態様において、ニコチンは、の量で存在する。0.8~3wt%送達ビヒクルの全重量を基準として.一態様において、ニコチンは、送達ビヒクルの全重量を基準として1~3wt%の量で存在する。一態様において、ニコチンは、送達ビヒクルの全重量を基準として1.8~3wt%の量で存在する。一態様において、ニコチンは、送達ビヒクルの全重量を基準として1.9wt%以下の量で存在する。一態様において、ニコチンは、送達ビヒクルの全重量を基準として1.8wt%以下の量で存在する。一態様において、ニコチンは、送達ビヒクルの全重量を基準として0.4~1.9wt%の量で存在する。一態様において、ニコチンは、送達ビヒクルの全重量を基準として0.4~1.8wt%の量で存在する。一態様において、ニコチンは、送達ビヒクルの全重量を基準として0.5~1.9wt%の量で存在する。一態様において、ニコチンは、送達ビヒクルの全重量を基準として0.5~1.8wt%の量で存在する。一態様において、ニコチンは、送達ビヒクルの全重量を基準として0.8~1.9wt%の量で存在する。一態様において、ニコチンは、送達ビヒクルの全重量を基準として0.8~1.8wt%の量で存在する。一態様において、ニコチンは、送達ビヒクルの全重量を基準として1~1.9wt%の量で存在する。一態様において、ニコチンは、送達ビヒクルの全重量を基準として1~1.8wt%の量で存在する。一態様において、ニコチンは、送達ビヒクルの全重量を基準として1.9wt%未満の量で存在する。一態様において、ニコチンは、送達ビヒクルの全重量を基準として1.8wt%未満の量で存在する。一態様において、ニコチンは、送達ビヒクルの全重量を基準として0.4~1.9wt%未満の量で存在する。一態様において、ニコチンは、送達ビヒクルの全重量を基準として0.4~1.8wt%未満の量で存在する。一態様において、ニコチンは、送達ビヒクルの全重量を基準として0.5~1.9wt%未満の量で存在する。一態様において、ニコチンは、送達ビヒクルの全重量を基準として0.5~1.8wt%未満の量で存在する。一態様において、ニコチンは、送達ビヒクルの全重量を基準として0.8~1.9wt%未満の量で存在する。一態様において、ニコチンは、送達ビヒクルの全重量を基準として0.8~1.8wt%未満の量で存在する。一態様において、ニコチンは、送達ビヒクルの全重量を基準として1~1.9wt%未満の量で存在する。一態様において、ニコチンは、送達ビヒクルの全重量を基準として1~1.8wt%未満の量で存在する。
【0046】
送達ビヒクル
【0047】
先に説明したように、送達ビヒクルは一般に、多孔質基材と多孔質基材内に含有された配合物との両方を含む。これに関して、多孔質基材は一般に、接続端とマウスピース端とを有するハウジング内に保持される。接続端は、エアロゾル送達デバイスにおける開口部に取り付けられ、マウスピース端は、機能化されたエアロゾルの吸入のための出口を含む。
【0048】
一態様において、ハウジングは、空洞を含み、その中に多孔質基材が保持されている。多孔質基材は、送達ビヒクル全体にわたる圧力降下に対する影響が最小限となるように空洞内に保持されてもよい。一態様において、多孔質基材は、多孔質基材のない送達ビヒクルと比較した送達ビヒクル全体にわたる圧力降下の増加が20mmH2O未満となるように、送達ビヒクルの空洞内に保持されている。一態様において、多孔質基材は、多孔質基材のない送達ビヒクルと比較した送達ビヒクル全体にわたる圧力降下の増加が15mmH2O未満となるように、送達ビヒクルの空洞内に保持されている。一態様において、多孔質基材は、多孔質基材のない送達ビヒクルと比較した送達ビヒクル全体にわたる圧力降下の増加が10mmH2O未満となるように、送達ビヒクルの空洞内に保持されている。一態様において、多孔質基材は、多孔質基材のない送達ビヒクルと比較した送達ビヒクル全体にわたる圧力降下の増加が7.5mmH2O未満となるように、送達ビヒクルの空洞内に保持されている。一態様において、多孔質基材は、多孔質基材のない送達ビヒクルと比較した送達ビヒクル全体にわたる圧力降下の増加が5mmH2O未満となるように、送達ビヒクルの空洞内に保持されている。
これに関して、多孔質基材は、圧力降下の増加が最小限となるよう、様々な形態でハウジングの空洞内に保持することができる。例えば、多孔質基材は、ペレットの形態をとることができる。
【0049】
理解されることであるが、上記態様において、送達ビヒクルは、多孔質基材に特異的に含浸させる配合物を含まない多孔質基材と共に供給されてもよい。そのような構成は、ユーザが自身で多孔質基材を機能化することを可能にし得る。
【0050】
更なる態様
【0051】
本発明の送達ビヒクルは、ハウジング又は容器を備えてもよい。一態様において、ハウジングは、エアロゾル送達デバイスに、具体的には、エアロゾル送達デバイスの気流経路に沿った箇所に取り外し可能に取り付けられるように構成される。更に、本発明は、エアロゾルを機能化するための容器入り送達ビヒクルであって、(a)ハウジング/容器;及び(b)送達ビヒクルに近接するエアロゾルを機能化するための送達ビヒクルであって、少なくとも1種の多孔質熱可塑性ポリマーと、熱可塑性ポリマー内に保持された少なくとも1種の配合物とを含む多孔質基材材料を含み、配合物は、少なくとも1種の機能化成分を含み、多孔質熱可塑性ポリマー内に保持された配合物の量は、少なくとも30%w/wである、送達ビヒクルを備える容器入り送達ビヒクルを更に提供する。
【0052】
本明細書において論じるように、一態様において、送達ビヒクルは、上記の担体のいずれかをエアロゾル形成材料として含有してもよい。更なる態様において、送達ビヒクルとは異なるエアロゾル形成材料が提供され得る。したがって、更なる態様において、本発明は、(a)エアロゾル形成材料;及び(b)送達ビヒクルに近接するエアロゾルを機能化するための送達ビヒクルであって、少なくとも1種の多孔質熱可塑性ポリマーと、熱可塑性ポリマー内に保持された少なくとも1種の配合物とを含む多孔質基材材料を含み、配合物は、少なくとも1種の機能化成分を含み、多孔質熱可塑性ポリマー内に保持された配合物の量は、少なくとも30%w/wである、送達ビヒクルを備えるエアロゾル化可能製品を更に提供する。この点に関して、「エアロゾル化可能製品」という用語は、1又は複数種の材料の組合せを指し、そのうちの少なくとも1種は、適切な温度への加熱後に凝結エアロゾルを形成することができる。したがって、本発明のエアロゾル化可能製品の全ての成分が「エアロゾル化」される必要はない。
【0053】
本発明は、機能化エアロゾルを形成するための方法であって、
(a)送達ビヒクルに近接するエアロゾルを機能化するための送達ビヒクルであって、少なくとも1種の多孔質熱可塑性ポリマーと、熱可塑性ポリマー内に保持された少なくとも1種の配合物とを含む多孔質基材材料を含み、配合物は、少なくとも1種の機能化成分を含み、多孔質熱可塑性ポリマー内に保持された配合物の量は、少なくとも30%w/wである、送達ビヒクルを用意するステップ;及び
(b)エアロゾルを送達ビヒクルに近接して配置するステップ
を含む方法を更に提供する。
【0054】
本発明の方法は、列挙したステップの前、列挙したステップの後、又は列挙したステップの1つ又は複数の間のいずれかに追加のステップを含んでもよい。
【0055】
本発明は、
(a)エアロゾル送達/発生デバイス;及び
(b)送達ビヒクルに近接するエアロゾルを機能化するための送達ビヒクルであって、少なくとも1種の多孔質熱可塑性ポリマーと、熱可塑性ポリマー内に保持された少なくとも1種の配合物とを含む多孔質基材材料を含み、配合物は、少なくとも1種の機能化成分を含み、多孔質熱可塑性ポリマー内に保持された配合物の量は、少なくとも30%w/wである、送達ビヒクル
を備える、電子エアロゾル供給システムを更に提供する。
【0056】
一態様において、エアロゾル送達/発生デバイスは、デバイスによって生成されるエアロゾルが流れる気流経路を有する。一態様において、送達ビヒクルは、気流経路内に位置している。一態様において、送達ビヒクルは、エアロゾルが多孔質基材を通過するように、気流経路内に位置している。
【0057】
添付図面を参照して、本発明をただの例として更に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【0059】
ここで本発明を、下記の非限定例を参照して説明する。
【実施例】
【0060】
本実施例においては、多孔質ポリマーであるAccurel(登録商標)MP/XP材料を利用した。MP及びXP製品種目は、異なるセル形成剤を用いて製造されており、気孔率レベル、添加剤充填時間及び充填レベル等の特性がわずかに異なっている。製品は、PP、PE、EVA、PS、PET、PA6 PA12、PC、PLA、SAN及びPMNAを使用して製造可能である。PVOHバージョンも利用可能である。Accurel(登録商標)の多孔質構造は、大量の液体又は低融点添加剤を吸収することが可能である。混合すると、毛細管作用によって添加剤がセル構造に浸透し、自由流動性の乾燥した超濃縮物が得られる。
【0061】
香料/フレグランス充填量
【0062】
この調査では、ACCUREL微孔性ポリマーMP100-PP-ポリプロピレンを使用した。
【0063】
サンプル1 - 10gのAccurel MP100-PP(10g)をガラス瓶に入れ、23.1gのチェリーフレグランス又はメンソールを添加した。ガラス瓶に、スピンドルが取り付けられたアルミニウムの蓋をした。スピンドルは、水平にセットした回転撹拌器のチャックに取り付けた。瓶と内容物を室温で2時間、44rpmで穏やかに回転させ(Caframoトップスターラー、モデルBDC50)、その際に全ての液体が多孔質粒子に入り、重量で70%がフレグランス/香料である最終的な乾燥自由流動生成物が得られた。
【0064】
サンプル2 - サンプル1の調製方法を繰り返し、メンソールを50%ペパーミント油/50%メンソールで置きかえた。
【0065】
試験
【0066】
次いで、充填済粒子のアリコート(5g)を関連温度でインキュベート(3回)し、次いで、最初の24時間の期間中、規則的な間隔で計量した。重量損失を計算し、時間に対してプロットした。比較のため、対照の香料粒子をメンソール/チェリー充填粒子と並行してインキュベートした。20℃、40℃、60℃、80℃及び100℃での対照サンプルを
図1に示す。20℃、40℃、60℃、80℃及び100℃でのサンプル1を
図2に示す。20℃、40℃、60℃、80℃及び100℃でのサンプル2を
図2に示す。
【0067】
24時間以内に、Accurelからの重量損失は、チェリーフレグランスとペパーミント/メンソールの両方で70%に近づいていた。15~20時間頃に100℃で記録された山は、プロットプログラムに関するものであり、実際の結果ではない。
【0068】
達成された充填量は非常に高いことが見出された。高温では、この多孔質材料は、含有物を特に良好に保持するものではない。しかし、製品が通常保管される温度等の中程度の温度では、経時的な損失はわずかであった。
【0069】
本実施例で使用した熱可塑性ポリマーは、液体香料を含有する高濃度の自由流動性基材を製造するための非常に良好な材料であることが特定された。
【0070】
圧力降下調査
【0071】
エアロゾル送達デバイス全体にわたる圧力降下に対する送達ビヒクルの影響を試験するため、下記の実験を行った。
【0072】
British American Tabaccoから入手可能なエアロゾル送達デバイス(eTank Pro、www.govype.com)を使用して、典型的なデバイス全体にわたる圧力降下に対する機能化多孔質基材を含む送達ビヒクルの影響を評価した。eTank Proデバイスは、取り外し可能なドリップチップ(マウスピース)を有し、そのため、これを本発明の送達ビヒクルで置きかえることが可能である。
【0073】
この実施例で使用した送達ビヒクルは、Accurel MP100-PP(およそ2.75mm×2.89mm×1.69mmの半円筒形プリズムペレット、32個のペレットの質量を基準として、ペレット当たり34.40mgの平均質量を有するペレット)を含んでいた。15~20個のペレットを、eTankProのマウスピースと同様のサイズにした送達ビヒクルのマウスピースに充填した。ペレットが保持されたマウスピースの円筒形の空洞は、655mm3の総体積を有していた。比較目的で、多孔質基材を含まず、多孔質基材の代わりに酢酸セルロースを含む同じ送達ビヒクルマウスピース使用した。
【0074】
【0075】
表1からわかるように、多孔質熱可塑性ポリマー内に保持された配合物の量が少なくとも30%w/wである少なくとも1種の多孔質熱可塑性ポリマーを含む多孔質基材を含む送達ビヒクルを使用すると、デバイス全体にわたる圧力降下に対する影響は、酢酸セルロースを含む同じ送達ビヒクルマウスピースを使用した場合と比べて、遙かに小さい。これは、本発明による送達ビヒクルを使用した場合、ユーザはデバイス全体にわたる圧力降下の有意な変化に(あったとしても)気がつかないため、利点である。他方、熱可塑性ポリマーの多孔質の性質のため、多孔質基材に比較的多量の配合物を充填し、それによって、エアロゾルが送達ビヒクルを通過する際に、その適切な機能化をもたらすことが可能である。
【0076】
本発明の様々な修正形態及び変形形態は、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく当業者には明らかである。本発明を特定の好ましい実施形態に関して説明したが、特許請求される発明は、そのような特定の実施形態に過度に限定されるべきではないことを理解すべきである。実際、化学又は関連分野の当業者に明らかである、記載した本発明を実施するための形態の様々な修正形態は、下記の特許請求の範囲内にあることが意図されている。