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特許7426027事業者分類装置、方法、プログラム、事業者評価システム及び信用リスク評価システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-24
(45)【発行日】2024-02-01
(54)【発明の名称】事業者分類装置、方法、プログラム、事業者評価システム及び信用リスク評価システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/0635 20230101AFI20240125BHJP
   G06Q 40/12 20230101ALI20240125BHJP
【FI】
G06Q10/0635
G06Q40/12 420
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020004678
(22)【出願日】2020-01-15
(65)【公開番号】P2021111281
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2022-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】517106268
【氏名又は名称】アルトア株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】519356021
【氏名又は名称】d.a.t.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】弁理士法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡本 浩一郎
(72)【発明者】
【氏名】高橋 佐良人
(72)【発明者】
【氏名】築地 毅
(72)【発明者】
【氏名】藤本 浩司
【審査官】星野 裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-169986(JP,A)
【文献】特開2004-227426(JP,A)
【文献】特開2003-281403(JP,A)
【文献】特開2019-061637(JP,A)
【文献】特開2017-054554(JP,A)
【文献】特開2014-164604(JP,A)
【文献】特開2004-227601(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の事業者のそれぞれに関連する複数の項目を含む情報である事業者関連情報を取得する関連情報取得部と、
前記複数の事業者を全体集合の要素とし、前記事業者関連情報に基づいて、前記全体集合を複数の部分集合に分割するクラスタリングを実行し、1以上の事業者が属する複数のクラスタを生成し、当該生成した複数のクラスタのそれぞれを、事業者を分類するためのグループとして定めるグループ生成部と、
を有し、
前記事業者関連情報には、事業者が行った活動を数値で表す複数の項目が含まれ、
前記グループ生成部は、
事業者が支出する金銭に関する項目である複数のコスト項目を含むコスト項目群における前記コスト項目のそれぞれの構成比率と、事業者が所有している資産を金銭で表した項目である複数の資産項目を含む資産項目群における前記資産項目のそれぞれの構成比率とを算出し、
前記コスト項目群における前記コスト項目のそれぞれの構成比率と、前記資産項目群における前記資産項目のそれぞれの構成比率とを変数として前記クラスタリングを実行する事業者分類装置。
【請求項2】
前記コスト項目及び/または前記資産項目には、財務諸表に含まれる項目及び/または仕訳情報の勘定科目が含まれる、
請求項に記載の事業者分類装置。
【請求項3】
前記コスト項目及び前記資産項目として、前記仕訳情報の勘定科目、または前記仕訳情報の複数の勘定科目を合計した項目を用いる、
請求項に記載の事業者分類装置。
【請求項4】
前記コスト項目には、当期商品仕入と、製造原価と、人件費と、減価償却費とが含まれる、
請求項に記載の事業者分類装置。
【請求項5】
前記資産項目には、現金及び預金と、売上債権と、棚卸資産と、他流動資産と、土地建物と、固定資産とが含まれる、
請求項に記載の事業者分類装置。
【請求項6】
前記コスト項目及び前記資産項目は、財務諸表に含まれる項目であり、
前記グループ生成部は、前記コスト項目群における前記コスト項目のそれぞれの構成比率と、前記資産項目群における前記資産項目のそれぞれの構成比率とを変数として第1クラスタリングを実行し、生成された複数のクラスタのうち1以上を対象として、前記仕訳情報の勘定科目を変数として第2クラスタリングを実行し、前記第1クラスタリングにより生成された複数のクラスタのうち前記第2クラスタリングの対象としなかったクラスタと、第2クラスタリングにより生成されたクラスタとのそれぞれを、前記グループとして定める、
請求項に記載の事業者分類装置。
【請求項7】
前記関連情報取得部が新たな事業者の事業者関連情報を取得した場合、前記グループ生成部が既に定めた複数の既定グループの内から前記新たな事業者が属するグループを振り分けるグループ振分部をさらに有する、
請求項に記載の事業者分類装置。
【請求項8】
前記関連情報取得部は、取得する事業者関連情報の項目をユーザに提案する項目提案部を有する、
請求項に記載の事業者分類装置。
【請求項9】
前記グループ生成部は、バックグランドで1以上の事業者が属する複数のクラスタを生成し、当該複数のクラスタのそれぞれを、事業者を再分類するための新グループとして再び定めたときに、既に定めた複数の既定グループに対する新グループの歪みが所定の閾値以上の場合、前記複数の既定グループを複数の前記新グループに更新する、
請求項に記載の事業者分類装置。
【請求項10】
前記グループ生成部は、バックグランドで1以上の事業者が属する複数のクラスタを生成し、当該複数のクラスタのそれぞれを、事業者を再分類するための新グループとして再び定めたときに、既に定めた複数の既定グループから他の既定グループに移動した事業者の割合が所定の閾値以上の場合、前記複数の既定グループを複数の前記新グループに更新する、
請求項に記載の事業者分類装置。
【請求項11】
前記グループ生成部は、前記事業者関連情報に潜在的ディリクレ配分法を適用して複数のグループを生成する、
請求項に記載の事業者分類装置。
【請求項12】
請求項1乃至1の何れか一項に記載の事業者分類装置と、
前記グループ生成部が定めた複数のグループ毎の事業者関連情報に基づいて、当該複数のグループ毎の前記事業者に関する指標を算出するための指標算出モデルを前記グループ毎に生成する第1モデル生成部と、
前記第1モデル生成部によって生成された指標算出モデルに前記事業者の事業者関連情報を入力して当該事業者に関する前記指標を算出する指標算出部と、を備える、
事業者評価システム。
【請求項13】
前記グループのグループ名の入力をユーザに促す表示部をさらに有する、
請求項1に記載の事業者評価システム。
【請求項14】
前記事業者関連情報を記録するクラウド上のデータベースを備え、
前記データベースから前記事業者関連情報を取得する前記関連情報取得部を有する、
請求項1に記載の事業者評価システム。
【請求項15】
請求項1乃至1の何れか一項に記載の事業者分類装置と、
前記グループ生成部が定めた複数のグループ毎の事業者関連情報に基づいて、当該複数のグループ毎の前記事業者に関する信用リスクの指標を算出するための信用リスク指標算出モデルを前記グループ毎に生成する第2モデル生成部と、
前記第2モデル生成部によって生成された信用リスク指標算出モデルに前記事業者の事業者関連情報を入力して当該事業者に関する前記信用リスクの指標を算出する信用リスク算出部と、を備える、信用リスク評価システム。
【請求項16】
前記信用リスクの指標を表示する出力部をさらに有する、
請求項1に記載の信用リスク評価システム。
【請求項17】
コンピュータが備える関連情報取得部が、複数の事業者のそれぞれに関連する複数の項目を含む情報であると共に事業者が行った活動を数値で表す複数の項目が含まれる事業者関連情報を取得し、
コンピュータが備えるグループ生成部が、
事業者が支出する金銭に関する項目である複数のコスト項目を含むコスト項目群における前記コスト項目のそれぞれの構成比率と、事業者が所有している資産を金銭で表した項目である複数の資産項目を含む資産項目群における前記資産項目のそれぞれの構成比率とを算出し、
前記複数の事業者を全体集合の要素とし、前記事業者関連情報に基づいて、前記全体集合を複数の部分集合に分割するクラスタリングを、前記コスト項目群における前記コスト項目のそれぞれの構成比率と、前記資産項目群における前記資産項目のそれぞれの構成比率とを変数として実行し、1以上の事業者が属する複数のクラスタを生成し、当該生成した複数のクラスタのそれぞれを、事業者を分類するためのグループとして定める事業者分類方法。
【請求項18】
コンピュータが備える関連情報取得部に、複数の事業者のそれぞれに関連する複数の項目を含む情報であると共に事業者が行った活動を数値で表す複数の項目が含まれる事業者関連情報を取得させ、
コンピュータが備えるグループ生成部に、
事業者が支出する金銭に関する項目である複数のコスト項目を含むコスト項目群における前記コスト項目のそれぞれの構成比率と、事業者が所有している資産を金銭で表した項目である複数の資産項目を含む資産項目群における前記資産項目のそれぞれの構成比率とを算出させ、
前記複数の事業者を全体集合の要素とさせ、前記事業者関連情報に基づいて、前記全体集合を複数の部分集合に分散するクラスタリングを、前記コスト項目群における前記コスト項目のそれぞれの構成比率と、前記資産項目群における前記資産項目のそれぞれの構成比率とを変数として実行させ、1以上の事業者が属する複数のクラスタを生成させ、当該生成させた複数のクラスタのそれぞれを、事業者を分類するためのグループとして定めさせる事業者分類プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象事業者を分類する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
個人事業者、法人及び団体等を含む事業者には様々な業種があり、それら業種や個々の事業者毎に活動は様々である。事業者の与信に用いる信用リスクのスコアは、事業者の属性や活動から得られる各種情報を基に算出することができる。事業者の信用リスクのスコアを良好な精度で求めるために、事業者を業種毎に分類し、業種毎に信用リスク指標算出モデルを構築し、その信用リスク指標算出モデルに各事業者の各種情報を入力する場合がある。一般に、個人事業者、法人及び団体等の事業者は、事業または営業の種類に応じて、建設業、卸売業、不動産業、小売飲食業、サービス業、製造業等の業種に分類される。
しかし、業種は事業者の申告であることが多く、業種の定義も曖昧であることが多い。
【0003】
特許文献1には、企業を既存の業種別に分類する技術が開示されている。特許文献1に開示された技術では、分類の対象となった企業の事業分野毎の売上の構成比率を演算し、売上の構成比率が最も高い事業分野をその企業の業種分類として決定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-227426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、特許文献1に開示された技術は、各企業を売上構成比率の高い業種に分類するものである。これは企業を、既存の枠組みとして予め準備された何れかの業種に当て嵌めるものである。
【0006】
しかし、近年では、複数の異なる事業を展開している事業者、副業としている事業が実は主な収益源となっている事業者、或いはシェアリングエコノミー等のような既存の業種には分類できないような事業を行っている事業者も増えてきている。そのため、特許文献1の方法では、事業者を適切に分類できていない可能性がある。
【0007】
本発明の目的は、事業者を適切に分類する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一つの実施例に従う事業者分類装置は、複数の事業者のそれぞれに関連す複数の項目の情報である事業者関連情報を取得する関連情報取得部と、前記複数の事業者を全体集合の要素とし、前記事業者関連情報に基づいて、前記全体集合を複数の部分集合に分割するクラスタリングを実行し、1以上の事業者が属する複数のクラスタを生成し、当該生成した複数のクラスタのそれぞれを、事業者を分類するためのグループとして定めるグループ生成部と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、事業者を適切に分類することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例1に係る事業者評価システムの全体図。
図2】実施例1に係る事業者分類装置の物理的な構成図。
図3】実施例1に係る事業者分類処理の流れ図。
図4】実施例1に係るグループ生成処理の流れ図。
図5】実施例1に係る出力画面の一例を示す図。
図6】実施例1に係るグループ名設定処理の流れ図。
図7】実施例1に係るグループ更新処理の流れ図。
図8】実施例2に係る事業者評価システムの全体図。
図9】実施例3に係る事業者評価システムの全体図。
図10】実施例4に係る信用リスク評価システムの全体図。
図11】実施例5に係るグループ更新処理の流れ図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0012】
まず、本実施例の事業者分類装置は、事業者のそれぞれに関連する情報に基づいて複数の事業者を含む全体集合をクラスタリングによって複数の部分集合に分割し、生成されたクラスタを、事業者を分類するためのグループと定めるものである。以下、事業者分類装置を備えた事業者評価システムの例を示す。
【0013】
図1は、実施例1に係る事業者評価システムの全体図である。事業者評価システム1Aは、同じグループにクラスタリングされた事業者を評価するためのシステムである。事業者は、個人事業者、各種法人、及び各種団体等でよい。
【0014】
事業者評価システム1Aは、図1に示すように、クラウド上のデータベース2と、事業者をクラスタリングによって分類する事業者分類装置3Aと、指標算出部4とを備えている。データベース2と事業者分類装置3Aとは、LANまたはネットワーク等の電気通信回線を介して相互に通信可能に接続されている。
【0015】
データベース2は、複数の事業者のそれぞれに関連する複数の項目が含まれる情報である事業者関連情報を記録する。事業者関連情報には、事業者が行った活動を数値で表す複数の項目が含まれる。複数の項目を含む項目群としては、例えば、コスト項目群と、資産項目群とがある。コスト項目群は、事業者が支出する金銭に関する項目である複数のコスト項目を含む。資産項目群は、事業者が所有している資産を金銭で表した項目である複数の資産項目を含む。尚、これらコスト項目及び資産項目として、仕訳情報の勘定科目、または仕訳情報の勘定科目を合計した項目を用いる。例えば、事業者関連情報は、事業者の会計に関連する値である会計関連情報と、事業者の資産に関連する値である資産関連情報とを大項目に含む。事業者関連情報は、会社の規模、取引相手、及びSNSサイト等のインターネット上の口コミ数、等の事業者に関する各種情報を含んでよい。
【0016】
会計関連情報は、事業者が支出する事業費用である。事業費用は、当期商品仕入と、製造原価と、人件費と、減価償却費とを小項目に含む。即ち、コスト項目には、当期商品仕入と、製造原価と、人件費と、減価償却費とが含まれる。尚、会計関連情報は、事業者の売上高及び利益を含んでよい。
【0017】
資産関連情報は、流動資産と、有形固定資産と、無形固定資産(図5中、その他)とを中項目に含む。流動資産は、現金及び預金と、売上債権と、棚卸資産と、他流動資産とを小項目に含む。有形固定資産は、土地建物と、機械装置と、車両運搬具と、器具備品とを小項目に含む。即ち、資産項目には、現金及び預金と、売上債権と、棚卸資産と、他流動資産と、土地建物と、機械装置と、車両運搬具と、器具備品と、無形固定資産とが含まれてよい。特に、資産項目には、現金及び預金と、売上債権と、棚卸資産と、他流動資産と、土地建物と、無形固定資産とが含まることが望ましい。
【0018】
事業費用及び資産関連情報は、各事業者の所定期間内(例えば、1年間)の仕訳情報を累積した値でよい。仕訳情報は、各事業者に発生した簿記上の取引を貸方と借方とに分けて、それぞれの勘定科目に分類した値である。仕訳情報は、簿記上の取引が発生する毎に更新される。仕訳情報は、各事業者及びそれら各事業者の会計関連情報を保有する会計事業者以外が閲覧不可能な非公開な値であってよい。仕訳情報は、目的に応じた任意の期間、またはエリア毎に演算して用いられてよい。これにより、事業者関連情報をユーザの使用目的に応じて変更することができる。
【0019】
事業者分類装置3Aは、関連情報取得部5と、グループ生成部6と、グループ振分部7とを有する。
【0020】
関連情報取得部5は、データベース2から事業者関連情報を取得し、取得した事業者関連情報をグループ生成部6に出力する。
【0021】
グループ生成部6には、関連情報取得部5から入力された事業者関連情報に含まれる、コスト項目群におけるコスト項目のそれぞれの構成比率と、資産項目群における資産項目のそれぞれの構成比率とを算出する。具体的には、グループ生成部6は、各事業者の小項目毎の事業費用を合算して総事業費用を算出すると共に、各事業者の小項目毎の資産関連情報を合算して総資産関連情報を算出する。グループ生成部6は、算出した総事業費用に占める各小項目の割合を算出すると共に、算出した総資産関連情報に占める各小項目の割合を算出する。
【0022】
次に、グループ生成部6は、複数の事業者を全体集合の要素として、事業者関連情報に基づいて、全体集合を複数の部分集合に分割するクラスタリングを実行し、1以上の事業者が属する複数のクラスタを生成する。ここでは、グループ生成部6は、コスト項目群におけるコスト項目のそれぞれの構成比率と、資産項目群における資産項目のそれぞれの構成比率のそれぞれの構成比率とを変数としてクラスタリングを実行する。グループ生成部6は、生成した複数のクラスタのそれぞれを、事業者を分類するためのグループとして定める。例えば、グループ生成部6は、各事業者関連情報の構成比率を変数としてクラスタリングによって複数のクラスタを生成し、生成した複数のクラスタのそれぞれを、グループとして定める。グループ生成部6は、定めた複数のグループを指標算出部4に出力する。グループ生成部6は、複数の事業者の事業費用及び資産関連情報に潜在的ディリクレ配分法またはk-means法を適用して複数のクラスタを生成してよい。これにより、事業者に応じたグループを適切に定めることができる。
【0023】
グループ振分部7は、グループ生成部6がグループを定めた後に、既に定めた複数のグループの内から新たな事業者が属するグループを振り分ける。例えば、グループ振分部7には、関連情報取得部5が新たな事業者の事業費用及び資産関連情報を取得した場合、取得した新たな事業者の事業費用及び資産関連情報が入力されると共に、グループ生成部6が定めた複数のグループが入力される。グループ振分部7は、新たな事業者の事業費用及び資産関連情報に基づいて、グループ生成部6が既に定めた複数のグループの内から新たな事業者が属するグループを振り分け、新たな事業者が属するグループを指標算出部4に出力する。
【0024】
指標算出部4は、グループ生成部6から入力された複数のグループの内、同一のグループに属する各事業者を評価する。具体的には、指標算出部4は、関連情報取得部5から入力された複数の事業者の事業費用及び資産関連情報に基づいて、同一のグループに属する事業者同士を相対的に比較して、事業者に関する「指標」の一例としてのスコアを算出すると共に、ディスプレイ装置29に出力する。
【0025】
図2は、実施例1に係る事業者分類装置の物理的な構成図である。
【0026】
上記した事業者分類装置(または端末)3Aには、プロセッサ(以下、CPU)21と、メモリ22と、補助記憶装置23と、通信インターフェース(通信I/F)24とを有する計算機20が用いられる。この計算機20は、一例として、パーソナルコンピュータ(PC)等の汎用的な計算機でよい。
【0027】
CPU21は、メモリ22に格納されたプログラムを実行する。CPU21の数は、1以上でもよい。計算機20は、複数のCPU21を有してもよい。さらに、CPU21は、複数のプロセッサコアを有する、いわゆるマルチコアプロセッサであってもよい。メモリ22は、不揮発性の記憶素子であるROM(Read Only Memory)及び揮発性の記憶素子であるRAM(Random Access Memory)を含む。ROMは、不変のプログラム(例えば、BIOS)等を格納する。RAMは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)のような高速かつ揮発性の記憶素子であり、CPU21が実行するプログラム及びプログラムの実行時に使用されるデータを一時的に格納する。
【0028】
補助記憶装置23は、例えば、磁気記憶装置(HDD)、フラッシュメモリ(SSD)等の大容量かつ不揮発性の記憶装置である。補助記憶装置23は、CPU21が実行するプログラム及びプログラムの実行時に使用されるデータを格納する。すなわち、プログラムは、補助記憶装置23から読み出された後、メモリ22にロードされ、CPU21によって実行される。通信インターフェース24は、所定のプロトコルに従って、他の装置との通信を制御するネットワークインターフェース装置である。
【0029】
計算機20は、入力インターフェース(入力I/F)25と、出力インターフェース(出力I/F)28とを有してもよい。入力インターフェース25には、キーボード26やマウス27等が接続される。入力インターフェース25は、オペレータからの入力を受けるインターフェースである。出力インターフェース28には、「表示部」の一例としてのディスプレイ装置29や図示しないプリンタ等が接続される。出力インターフェース等28は、プログラムの実行結果をオペレータが視認可能な形式で出力するインターフェースである。
【0030】
図3は、実施例1に係る事業者分類処理の流れ図である。
【0031】
事業者分類処理では、まず、関連情報取得部5は、データベース2から複数の事業者の事業費用及び資産関連情報を分類の目的に応じて取得し、取得した複数の事業者の事業費用及び資産関連情報をグループ生成部6に出力する(S301)。次に、グループ生成部6は、入力された複数の事業者の事業費用及び資産関連情報の小項目毎の複数の構成比率を算出する(S302)。次に、グループ生成部6は、算出した複数の事業者の事業費用及び資産関連情報の小項目毎の複数の構成比率に基づくクラスタリングによって複数のクラスタを生成し、生成した複数のクラスタのそれぞれを、グループとして定め、定めた複数のグループを指標算出部4及びディスプレイ装置29に出力する(S303)。
【0032】
図4は、実施例1に係るグループ生成処理の流れ図である。
【0033】
グループ生成処理では、まず、グループ生成部6は、複数の事業者を全体集合の要素し、複数の事業者の事業費用及び資産関連情報に基づいて、全体集合を複数の部分集合に分割するクラスタリングを実行し、1以上の事業者が属する複数のクラスタを生成する(S401)。次に、グループ生成部6は、生成した複数のクラスタを、グループとして定義する(S402)。次に、グループ生成部6は、定義した各グループにグループ名を設定する(S403)。
【0034】
このとき、グループ生成部6は、各グループに属する事業者の資産関連情報に基づいて、そのグループを代表する、コスト項目群におけるコスト項目のそれぞれの構成比率と、資産項目群における資産項目のそれぞれの構成比率と、をディスプレイ装置29にグラフィカルに表示し、そのグループのグループ名の入力をユーザに促してもよい。グループを代表するコスト項目群におけるコスト項目の構成比率として、そのグループに属する事業者の構成比率の平均値を用いてもよい。ユーザは、事業費用の構成比率及び資産の構成比率を参照して、コストや資産の特徴を表すようなグループ名を設定することができる。
【0035】
図5は、実施例1に係る出力画面の一例を示す図である。
【0036】
グループ生成部6が算出した複数の事業者の事業費用及び資産関連情報の小項目毎の複数の構成比率は、ディスプレイ装置29に表示される。各グループは、事業費用(図4中右側)及び資産関連情報(図4中左側)の各々の小項目毎の割合が円グラフとして表示される。図5に例示したグループは、事業費用に関する小項目の内、人件費の割合が相対的に多く、且つ資産関連情報に関する小項目の内、現金及び預金の割合が相対的に多い。したがって、このグループは、人を事業の源泉とする「ヒト型」の業務形態(大グループ)である。業務形態は、有形資産を事業の源泉とする「有形資産型」と、モノを事業の源泉とする「モノ型」とを含んでよい。
【0037】
図6は、実施例1に係るグループ名設定処理の流れ図である。
【0038】
グループ名設定処理では、グループ生成部6は、生成した複数のクラスタの内、相互に類似した複数のクラスタを3個の大グループに設定する。例えば、大グループは、人件費の割合が相対的に多い「ヒト型」と、減価償却費の割合が相対的に多い「有形資産型」と、製造原価または商品仕入の割合が相対的に多い「モノ型」との大グループでよい。
【0039】
尚、グループ生成部6は、大グループに含まれるクラスタの内、相互に類似した複数のクラスタを複数の小グループまたは中グループに設定してよい。具体的には、グループ生成部6は、「ヒト型」に属する大グループに含まれるクラスタの内、現金及び預金の割合が相対的に多いクラスタを「グループ1」の小グループに設定すると共に、現金及び預金の割合が相対的に少ないクラスタを「グループ7」の小グループに設定してよい。グループ生成部6は、「有形資産型」に属する大グループに含まれるクラスタを「グループ2」の小グループに設定してよい。グループ生成部6は、「モノ型」に属する大グループに含まれるクラスタの内、製造原価の割合が相対的に多いクラスタを「作って売る」の中グループに設定すると共に、商品仕入の割合が相対的に多いクラスタを「仕入れて売る」の中グループに設定する。
【0040】
さらに、グループ生成部6は、「作って売る」に属する中グループに含まれるクラスタを「グループ3」の小グループに設定してよい。グループ生成部6は、「仕入れて売る」に属する中グループに含まれるクラスタの内、売上債権の割合が相対的に多いクラスタを「グループ4」の小グループに設定し、現金及び預金の割合が相対的に多いクラスタを「グループ5」の小グループに設定し、それらの何れにも該当しないクラスタを「グループ6」の小グループに設定してよい。尚、「グループ4」及び「グループ5」は、卸売系のグループであり、「グループ6」は、小売系のグループである。これにより、グループ生成部6は、生成した複数のクラスタの内、類似した複数のクラスタを7個の小グループに設定することができる。
【0041】
図7は、実施例1に係るグループ更新処理の流れ図。
【0042】
本実施例のグループ生成部6は、定めたグループが歪んできた場合、グループを更新するグループ更新処理を実行する。
【0043】
グループ更新処理では、まず、グループ生成部6は、バックグランドで複数のクラスタのそれぞれを新グループとして再び定める(S701)。次に、グループ生成部6は、既に定めた複数の既定グループに対する再び定めた複数の新グループの歪みが所定の閾値以上か否かを判断する(S702)。S702の判断が真の場合(S702:YES)、グループ生成部6は、ユーザにグループを更新すべきことを提案する(S703)。S702の判断が偽の場合(S702:NO)、グループ生成部6は、既に定めた複数の既定グループに対する再び定めた複数のグループの歪みが所定の閾値以上になるまで待機する。ユーザは、グループを更新する提案を承諾するか否か判断する(S704)。S704の判断が真の場合(S704:YES)、グループ生成部6は、既に定めた複数の既定グループをバックグランドで再び定めた複数の新グループに更新する。S704の判断が偽の場合(S704:NO)、グループ生成部6は、ユーザがグループを更新する提案を承諾するまで待機する。
【0044】
この実施例によれば、事業者分類装置3Aは、関連情報取得部5と、グループ生成部6とを有する。関連情報取得部5は、複数の事業者のそれぞれに関連する複数の項目を含む情報である事業者関連情報を取得する。グループ生成部6は、複数の事業者を全体集合の要素とし、事業者関連情報に基づいて、全体集合を複数の部分集合に分割するクラスタリングを実行し、1以上の事業者が属する複数のクラスタを生成し、生成した複数のクラスタのそれぞれを、グループとして定める。これにより、事業者分類装置3Aは、事業者のそれぞれに関連する情報に基づいて複数の事業者を含む全体集合をクラスタリングによって複数の部分集合に分散し、生成されたクラスタを、事業者を分類するためのグループと定めることができる。したがって、事業者関連情報に基づくグループの枠組みによって、事業者を適切に分類することができる。
【0045】
事業者関連情報には、事業者が行った活動を数値で表す複数の項目が含まれ、グループ生成部6は、複数の項目を含む項目群における複数の項目のそれぞれの構成比率を算出し、構成比率を変数としてクラスタリングを実行する。これにより、事業者分類装置3Aは、事業者毎に項目群における複数の項目のそれぞれの構成比率を変数としてクラスタリングを実行するので、事業者の規模の違いによる影響を低減し、活動の類似の度合いにより、事業者の活動の性質を反映した適切なグループを生成することができる。したがって、事業者評価システム1Aは、適切に分類された事業者の内、同じグループにクラスタリングされた事業者同士を比較する場合、事業者の評価精度を高めることができる。
【0046】
項目群としては、事業者が支出する金銭に関する項目である複数のコスト項目を含むコスト項目群と、事業者が所有している資産を金銭で表した項目である複数の資産項目を含む資産項目群とがある。これにより、事業者の支出と蓄えとに着目することにより、事業者の特徴を捉え、事業者の体質などを反映した良好なクラスタリングが可能になる。
【0047】
グループ生成部6は、コスト項目群におけるコスト項目のそれぞれの構成比率と、資産項目群における資産項目のそれぞれの構成比率とを算出し、コスト項目群におけるコスト項目のそれぞれの構成比率と、資産項目群における資産項目のそれぞれの構成比率とを変数としてクラスタリングを実行する。これにより、事業者をコストの内訳におけるそれぞれの項目の構成比率と、資産の内訳におけるそれぞれの構成比率とを変数としてクラスタリングを実行するので、コスト構成及び資産構成の性質を反映した適切なグループを生成することができる。
【0048】
コスト項目及び資産項目として、仕訳情報の勘定科目、または仕訳情報の複数の勘定科目を合計した項目を用いる。これにより、仕訳情報として収集された詳細な情報から得られた項目を用いてクラスタリングを行うので、適切なグループを生成することができる。
【0049】
コスト項目には、当期商品仕入と、製造原価と、人件費と、減価償却費とが含まれるので、事業者の特徴を表す支出をクラスタリングの変数として用いるため、精度の高いクラスタリングが可能になる。
【0050】
資産項目には、現金及び預金と、売上債権と、棚卸資産と、他流動資産と、土地建物と、固定資産とが含まれるので、事業者の特徴を表す資産をクラスタリングの変数として用いるため、精度の高いクラスタリングが可能になる。
【0051】
関連情報取得部5が新たな事業者の事業者関連情報を取得した場合、グループ生成部6が既に定めた複数の既定グループの内から新たな事業者が属するグループを振り分けるグループ振分部7をさらに有する。これにより、新たな事業者を適切なグループに分類することができる。
【0052】
グループ生成部6は、バックグランドで複数のクラスタのそれぞれを新グループとして再び定めたときに、既に定めた複数の既定グループに対する新グループの歪みが所定の閾値以上の場合、既に定めた複数の既定グループを再び定めた複数の新グループに更新する。これにより、複数のグループの歪みが大きい場合に、複数のグループを更新することができる。
【0053】
事業者評価システム1Aは、会計関連情報をクラウド上に記録するデータベース2と、データベース2から会計関連情報を取得する関連情報取得部5を有する事業者分類装置3Aとを備えるので、会計関連情報をクラウド上で管理でき、事業者の分類に利用し易くなる。尚、データベース2は、ローカルな各種デバイスであってもよい。
【実施例2】
【0054】
実施例2に係る事業者評価システム1Bについて説明する。本実施例を含む以下の各実施例は、実施例1の変形例に相当する。実施例2に係る事業者評価システム1Bは、実施例1に係る事業者評価システム1Aとは、関連情報取得部の構成が異なるだけであり、その他の構成は、実施例1に係る事業者評価システム1Aと同様である。したがって、実施例1との相違点を中心に述べる。
【0055】
図8は、実施例2に係る事業者評価システムの全体図である。
【0056】
本実施例の事業者分類装置3Bの関連情報取得部5は、データベース2から取得する事業者関連情報の小項目をユーザに提案する項目提案部5aを有している。
【0057】
本実施例によれば、関連情報取得部5は、取得する事業者関連情報の小項目をユーザに提案する項目提案部5aを有するので、クラスタリングに用いる情報をユーザが任意に選択することができ、ユーザの知見及び経験を事業者の分類結果に反映させることができる。
【実施例3】
【0058】
実施例3に係る事業者評価システム1Cについて説明する。実施例3に係る事業者評価システム1Cは、実施例1に係る事業者評価システム1Aとは、指標算出部及び第1モデル生成部の構成が異なるだけであり、その他の構成は、実施例1に係る事業者評価システム1Aと同様である。したがって、実施例1との相違点を中心に述べる。
【0059】
図9は、実施例3に係る事業者評価システムの全体図である。
【0060】
本実施例の事業者評価システム1Cは、実施例1に係る事業者評価システム1Aに比べ、第1モデル生成部9をさらに備えている。第1モデル生成部9には、関連情報取得部5から事業者の事業者関連情報が入力されると共に、グループ生成部6から複数のグループが入力される。第1モデル生成部9は、複数のグループ毎の事業者の事業者関連情報に基づいて、事業者に関する「指標」の一例としてのスコアを算出するための「指標算出モデル」の一例としてのスコア算出モデルをグループ毎に生成する。
【0061】
指標算出部4Cは、第1モデル生成部9によって生成されたスコア算出モデルに事業者の事業者関連情報を入力して事業者に関するスコアを算出すると共に、ディスプレイ装置29に出力する。これにより、ユーザが事業者に関するスコアを確認することができる。
【0062】
本実施例によれば、事業者評価システム1Cは、第1モデル生成部9と、指標算出部4Cと、を有する。第1モデル生成部9は、グループ生成部6が設定した複数のグループ毎の事業者の事業者関連情報に基づいて、その複数のグループ毎の事業者に関するスコアを算出するためのスコア算出モデルをグループ毎に生成する。指標算出部4Cは、第1モデル生成部9によって生成されたスコア算出モデルに事業者の事業者の事業者関連情報を入力してその事業者のスコアを算出する。これにより、事業者に関するスコアを容易に算出することができ、算出した事業者に関するスコアに基づいて事業者を適切に評価することができる。
【実施例4】
【0063】
実施例4に係る信用リスク評価システム11について説明する。実施例4に係る信用リスク評価システム11は、実施例1に係る事業者評価システム1Aとは、第2モデル生成部及び信用リスクスコア算出部の構成が異なるだけであり、その他の構成は、実施例1に係る事業者評価システム1Aと同様である。したがって、実施例3との相違点を中心に述べる。
【0064】
図10は、実施例4に係る信用リスク評価システムの全体図である。
【0065】
本実施例の信用リスク評価システム11は、同じグループにクラスタリングされた事業者の信用リスクを評価するためのシステムである。信用リスク評価システム11は、実施例1に係る事業者評価システム1Aに比べ、第2モデル生成部10と、「信用リスク指標算出部」の一例としての信用リスクスコア算出部12とをさらに備えている。第2モデル生成部10には、関連情報取得部5から事業者の事業者関連情報が入力されると共に、グループ生成部6から複数のグループが入力される。第2モデル生成部10は、複数のグループ毎の事業者の事業者関連情報に基づいて、事業者に関する信用リスクのスコアを算出するための「信用リスク指標算出モデル」の一例としての信用リスクスコア算出モデルをグループ毎に生成する。
【0066】
信用リスクスコア算出部12は、第2モデル生成部10によって生成された信用リスクスコア算出モデルに事業者の事業者関連情報を入力して事業者に関する信用リスクのスコアを算出する。
【0067】
本実施例によれば、信用リスク評価システム11は、第2モデル生成部10と、信用リスクスコア算出部12と、を有する。第2モデル生成部10は、グループ生成部6が設定した複数のグループ毎の事業者の事業者関連情報に基づいて、その複数のグループ毎の事業者に関する信用リスクのスコアを算出するための信用リスクスコア算出モデルをグループ毎に生成する。指標算出部8は、第2モデル生成部10によって生成された信用リスクスコア算出モデルに事業者の事業者関連情報を入力してその事業者の信用リスクのスコアを算出する。これにより、事業者に関する信用リスクのスコアを算出することができ、算出した事業者に関する信用リスクのスコアに基づいて事業者の信用リスクを適切に評価することができる。
【実施例5】
【0068】
実施例5に係る事業者評価システム1Eについて説明する。本実施例を含む以下の各実施例は、実施例1の変形例に相当する。実施例5に係る事業者評価システム1Eは、実施例1に係る事業者評価システム1Aとは、グループ更新処理の構成が異なるだけであり、その他の構成は、実施例1に係る事業者評価システム1Aと同様である。したがって、実施例1との相違点を中心に述べる。
【0069】
図11は、実施例5に係るグループ更新処理の流れ図である。
【0070】
本実施例のグループ生成部6は、他のグループに移動した事業者の割合が多い場合、グループ更新処理を実行する。
【0071】
グループ更新処理では、まず、グループ生成部6は、バックグランドで複数のグループを再設定する(S1101)。次に、グループ生成部6は、他のグループに移動した事業者の割合が所定の閾値以上か否かを判断する(S1102)。次に、グループ生成部6は、実施例1のS703~S705に相当するS1103~S1105を実行する。
【0072】
本実施例によれば、グループ生成部6は、バックグランドで複数のグループを再設定したときに設定した複数のグループから他のグループに移動した事業者の割合が所定の閾値以上の場合、設定した複数のグループを再設定したグループに更新する。これにより、他のグループに移動した事業者の割合が多い場合に、複数のグループを更新することができる。
【0073】
上述した本発明の実施例は、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をそれらの実施例にのみ限定する趣旨ではない。当業者は、本発明の範囲を逸脱することなしに、他の様々な態様で本発明を実施することができる。
【0074】
例えば、上記した各実施例では、コスト項目及び資産項目には、仕訳情報の勘定科目が含まれた。これに限らずに、コスト項目または資産項目の少なくとも何れかには、公開された財務諸表に含まれる項目または仕訳情報の勘定科目が含まれてよい。これにより、コスト項目または資産項目の少なくとも何れかの項目として財務諸表の項目と仕訳の勘定科目とを用いるので、大きな分類の項目と小さな分類の項目とを適切に用いて、コスト構成及び資産構成の性質を良好に反映した適切なグループを生成することができる。
【0075】
例えば、上記した各実施例では、事業者分類装置3A~3Dは、1回のクラスタリングによって複数のクラスタを生成した。これに限らずに、事業者分類装置3A~3Dは、毎回異なる事業者関連情報に基づく複数回のクラスタリングによって複数のクラスタを生成してよい。具体的には、事業者分類装置3A~3Dは、事業者関連情報の内、公開された財務諸表に含まれる財務情報に基づくクラスタリングによって複数のクラスタを生成し、生成した複数のクラスタをグループに設定する。次に、事業者分類装置3A~3Dは、設定したグループ毎に目的に応じて複数の仕訳情報を加算や減算し、加算や減算した仕訳情報に基づくクラスタリングによって設定したグループ毎に複数のサブクラスタを生成し、生成した複数のサブクラスタをサブグループに設定してもよい。これにより、例えば財務情報による第1クラスタリングで事業者が十分に分割されなかったクラスタについて、仕訳情報による第2クラスタリングにより更に分割するので、演算量を抑制しながら事業者が適切に分割されたグループを定めることができる。
【0076】
例えば、上記した各実施例では、事業者を7グループに設定した。これに限らずに、事業者は、2グループ以上に設定されればよい。
【符号の説明】
【0077】
1A,1B,1C事業者評価システム、2…データベース、3A…事業者分類装置、3B…事業者分類装置、3C…事業者分類装置、5…関連情報取得部、5a…項目提案部、5…構成比率算出部、6…グループ生成部、7…グループ振分部、8C…指標算出部、9…第1モデル生成部、10…第2モデル生成部、11…信用リスク評価システム、12…信用リスク算出部、29…ディスプレイ装置
図1
図2
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図11