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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-24
(45)【発行日】2024-02-01
(54)【発明の名称】鉄道車両用車輪
(51)【国際特許分類】
   B60B 17/00 20060101AFI20240125BHJP
   B61F 13/00 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
B60B17/00 F
B60B17/00 B
B61F13/00
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021506748
(86)(22)【出願日】2019-08-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-02
(86)【国際出願番号】 US2019046880
(87)【国際公開番号】W WO2020041141
(87)【国際公開日】2020-02-27
【審査請求日】2021-02-05
【審判番号】
【審判請求日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】16/110,679
(32)【優先日】2018-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】515346639
【氏名又は名称】ユニヴァーシティ オブ アイオワ リサーチ ファウンデーション
【氏名又は名称原語表記】University of Iowa Research Foundation
(74)【代理人】
【識別番号】110001553
【氏名又は名称】アセンド弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】山崎 陽介
(72)【発明者】
【氏名】近藤 修
(72)【発明者】
【氏名】加藤 孝憲
(72)【発明者】
【氏名】藤本 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】杉山 博之
(72)【発明者】
【氏名】フェルトマイヤー,クリストファー
【合議体】
【審判長】一ノ瀬 覚
【審判官】藤井 昇
【審判官】北中 忠
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第00/05118(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60B17/00
B61F13/00
B61F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レール上を走行する鉄道車両用の車輪であって、
前記車輪の外周部分に設けられ、前記レールの頭頂面に対向する踏面と、
前記車輪の外周部分に設けられ、前記車輪の半径方向において前記踏面よりも外側に突出するフランジと、
前記フランジの表面と前記踏面とを接続するスロート部であって、前記レール側に突出し前記スロート部の全周にわたって延びる凸部を有する、前記スロート部と、
を備え、
前記レールの曲線区間において、前記凸部が前記レールと接触する際は前記フランジも前記レールと接触することで、前記車輪に作用する横圧を前記凸部と前記フランジとに分散させる、車輪。
【請求項2】
請求項1に記載の車輪であって、
前記凸部は、前記スロート部のうち前記凸部以外の部分と曲面で接続される、車輪。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レール上を走行する鉄道車両用の車輪に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、鉄道車両用の車輪は、ボス部と、リム部と、板部と、を備える。ボス部には、車軸が挿入される。リム部は、車輪の外周部分を構成する。板部は、ボス部とリム部とを接続する。
【0003】
リム部は、踏面と、フランジと、スロート部と、を含む。踏面は、鉄道車両の走行時、レールの頭頂面に接触する。フランジは、車輪の半径方向において、踏面よりも外側に突出する。スロート部は、踏面とフランジの表面とを接続する曲面である。
【0004】
特許文献1は、リム部の構造に特徴を有する車輪を開示する。特許文献1によれば、従来の車輪は、通常、レールに対して一点で接触する。しかしながら、鉄道車両が急曲線を走行する場合、あるいはレールの摩耗が進行した場合、従来の車輪は、レールに対して二点で接触する。このとき、上下方向における接触点間の距離×2×円周率のすべりが車輪に発生する。そこで、特許文献1は、スロート部に凹状の溝を設けることを提案する。外軌側の車輪では、当該溝の両端縁がレールとの接触点A,Bとなる。接触点Aは、レールのコーナー部に対する車輪の接触点であり、フランジの基部近傍に位置している。接触点Bは、レールの頭頂面に対する車輪の接触点であり、踏面近傍に位置している。これにより、接触点A,B間の上下方向の距離が小さくなってすべりが低減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平05-278404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
鉄道車両が急曲線を通過する際には、車輪がレールから受ける水平方向の力(横圧)をフランジが負担する。そのため、外軌側の車輪においてフランジ及び踏面の二点の接触点間の上下方向の距離が小さくなっても、内軌側と外軌側との車輪半径差に起因したフランジでのすべりを低減することはできない。フランジで発生する前後接線力(縦クリープ力)により、フランジでの摩耗は進行する。フランジでの摩耗を低減するには、縦クリープ力及び接触面圧を下げることが重要である。
【0007】
しかしながら、特許文献1の車輪では、縦クリープ力及び接触面圧を下げる効果が得られない。詳述すると、特許文献1の車輪は、接触点Aに加え、接触点Bでレールに接触する。接触点Bは、踏面近傍に位置しているため、車輪に作用する横圧を負担することができない。よって、特許文献1の車輪では、フランジの基部近傍に位置する接触点Aのみで、横圧を負担することになる。このため、接触面圧が増大し、それにより縦クリープ力が増大して、フランジの基部が摩耗する。
【0008】
本開示は、鉄道車両用の車輪の摩耗を低減させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係る車輪は、レール上を走行する鉄道車両用の車輪である。車輪は、踏面と、フランジと、スロート部と、を備える。踏面は、車輪の外周部分に設けられる。踏面は、レールの頭頂面に対向する。フランジは、車輪の外周部分に設けられる。フランジは、車輪の半径方向において踏面よりも外側に突出する。スロート部は、フランジの表面と踏面とを接続する。スロート部は、凸部を有する。凸部は、レール側に突出する。凸部は、スロート部の全周にわたって延びている。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、鉄道車両用の車輪の摩耗を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態に係る車輪、及びレールの頭部を示す縦断面図である。
図2図2は、図1に示す車輪のスロート部の拡大図である。
図3図3は、図1に示す車輪の縦断面において、車輪の輪郭及びその曲率をそれぞれ表すグラフである。
図4図4は、従来の車輪の縦断面において、車輪の輪郭及びその曲率をそれぞれ表すグラフである。
図5図5は、図1に示す車輪とレールとの接触状態を示す図である。
図6図6は、実施例及び比較例における車輪の最大接触面圧を示すグラフである。
図7図7は、実施例及び比較例における車輪の摩耗重量を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施形態に係る車輪は、レール上を走行する鉄道車両用の車輪である。車輪は、踏面と、フランジと、スロート部と、を備える。踏面は、車輪の外周部分に設けられる。踏面は、レールの頭頂面に対向する。フランジは、車輪の外周部分に設けられる。フランジは、車輪の半径方向において踏面よりも外側に突出する。スロート部は、フランジの表面と踏面とを接続する。スロート部は、凸部を有する。凸部は、レール側に突出する。凸部は、スロート部の全周にわたって延びている。
【0013】
実施形態に係る車輪では、フランジだけでなく、スロート部の凸部もレールに接触する。スロート部の凸部は、車輪に作用する横圧を負担することができる。よって、横圧は、フランジと、凸部とに分散される。
【0014】
このように、実施形態に係る車輪によれば、横圧を複数の接触点に分散させることができる。よって、接触面圧及び縦クリープ力が低減され、車輪の摩耗を低減させることができる。
【0015】
凸部は、スロート部のうち凸部以外の部分と曲面で接続されることが好ましい。
【0016】
スロート部において凸部とその他の部分とを曲面で接続することにより、車輪をレール上で円滑に移動させることができる。よって、実施形態に係る車輪が採用される鉄道車両において、快適な乗り心地を確保することができる。
【0017】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。各図において同一又は相当の構成については同一符号を付し、同じ説明を繰り返さない。
【0018】
[車輪の構成]
図1は、実施形態に係る車輪100、及びレール200の頭部の概略構成を示す縦断面図である。車輪100の縦断面とは、回転軸Xを含む面で車輪100を切断したときの断面をいう。レール200の縦断面とは、レール200を鉛直面で切断したときの断面である。
【0019】
図1を参照して、車輪100は、図示しない鉄道車両に取り付けられる。鉄道車両は、レール200上を走行する。鉄道車両がレール200上を走行するとき、車輪100は、レール200に接触した状態で回転軸X周りに回転する。以下、回転軸Xが延びる方向を軸方向、軸方向に垂直な方向を半径方向という。
【0020】
車輪100は、概略円板状をなす。車輪100は、リム部10と、ボス部20と、板部30と、を備える。リム部10は、車輪100の外周部分を構成する。ボス部20には、車軸(図示略)が挿入される。車軸の中心が回転軸Xとなる。板部30は、リム部10とボス部20とを接続する。
【0021】
車輪100は、踏面11と、フランジ12と、スロート部13と、を備える。踏面11、フランジ12、及びスロート部13は、車輪100の外周部分に設けられる。踏面11、フランジ12、及びスロート部13は、リム部10に含まれる。車輪100の外径は、踏面11からフランジ12に向かって大きくなる。
【0022】
踏面11は、レール200の頭頂面201に対向する。踏面11は、回転軸Xを中心とする概ね環状の面である。踏面11の直径は、スロート部13に向かって徐々に大きくなる。踏面11の形状は、特に限定されるものではない。踏面11は、例えば、円すい踏面や円弧踏面であってもよいし、その他の踏面であってもよい。踏面11のうち、少なくともスロート部13に隣接する領域は、実質的に一定の勾配を有する。
【0023】
フランジ12は、車輪100の全周にわたって形成される。フランジ12は、車輪100の半径方向において、踏面11よりも外側に突出する。フランジ12は、レール200を含む線路の幅方向において、レール200の内側に配置される。フランジ12の先端部の表面は、主として、車輪100の半径方向において外側に凸の曲面で構成される。フランジ12のうち、スロート部13に隣接する領域の表面は、実質的に一定の勾配を有する。当該領域が回転軸Xに平行な面となす角をフランジ角という。
【0024】
スロート部13は、踏面11とフランジ12との間に配置される。スロート部13は、踏面11とフランジ12とを接続する。
【0025】
図2は、スロート部13の拡大図である。車輪100の外周面は、踏面11とスロート部13との境界B1、及びスロート部13とフランジ12との境界B2において、勾配の変化点を有する。スロート部13の勾配は、踏面11の勾配よりも大きい。スロート部13の勾配は、フランジ12のうちスロート部13に隣接する領域、すなわちフランジ角を構成する領域の勾配よりも小さい。
【0026】
図2に示すように、スロート部13は、凸部131を有する。本実施形態では、1つの凸部131がスロート部13に形成されている。ただし、複数の凸部131をスロート部13に設けることもできる。
【0027】
凸部131は、レール200(図1)側に突出する。凸部131は、スロート部13の全周にわたって延びている。すなわち、凸部131は、回転軸X(図1)を中心とする環状をなす。凸部131は、スロート部13の全周にわたって一定の形状を有することが好ましい。
【0028】
スロート部13は、1種類以上の曲面で構成されている。凸部131、及び凸部131に隣接する部分132は、それぞれ、1種類以上の曲面を含む。ただし、凸部131は、他の部分132と逆向きに曲がっている。他の部分132を構成する曲面の曲率中心は、車輪100の半径方向で、当該曲面の外側に位置する。凸部131を構成する曲面の曲率中心は、スロート部13の輪郭線を挟んで、他の部分132の曲率中心の反対側に位置する。
【0029】
従来の車輪では、スロート部を構成する曲面の方向は一致している。従来、スロート部における曲面の曲率中心は、全て車輪100の外側に位置する。図2において、凸部131が存在しない従来のスロート部の形状を破線で示す。
【0030】
図3は、車輪100の縦断面において、車輪100の輪郭(外形)及びその曲率をそれぞれ表すグラフである。図3の上図では、車輪100の半径方向における位置を縦軸とし、車軸方向の位置を横軸とした座標系において、車輪100の輪郭座標をプロットしたグラフを示す。当該グラフは、車輪100の輪郭の車軸方向の中央からフランジ12側を示すものであり、半径方向(縦軸)では車軸側を正、車軸方向(横軸)ではフランジ12側を正とする。また、図3の下図では、車輪100において、車軸方向の各輪郭座標での曲率をプロットしたグラフを示す。当該グラフでは、曲率中心が上図の車輪の輪郭よりも下側にある場合の曲率を正、曲率中心が上図の車輪の輪郭よりも上側にある場合の曲率を負とする。
【0031】
図3を参照して、踏面11では、曲率がほぼゼロに維持されている。踏面11からスロート部13に入ると、曲率が正側に大きく変化する。フランジ12では、曲率が概ね負の値で推移している。曲率は、フランジ12とスロート部13との境界でほぼゼロになり、スロート部13に入ると正側に変化する。
【0032】
すなわち、踏面11からスロート部13に向かって車輪100の外周面の曲率の変化を見たとき、曲率は、車軸方向の輪郭座標C1において、実質ゼロの値から正の値に変化し始める。フランジ12からスロート部13に向かって車輪100の外周面の曲率の変化を見たとき、曲率は、車軸方向の輪郭座標C2において、実質ゼロの値から正の値に変化し始める。車輪100の外周面のうち、輪郭座標C1から輪郭座標C2までの部分がスロート部13である。輪郭座標C1は、踏面11とスロート部13との境界B1(図2)の車軸方向における位置に相当する。輪郭座標C2は、スロート部13とフランジ12との境界B2(図2)の車軸方向における位置に相当する。
【0033】
図3に示すように、スロート部13では、凸部131を除き、曲率が正の値に維持される。凸部131は、負の曲率を有する。スロート部13の曲率は、凸部131において、正の値から負の値に一旦変化する。
【0034】
一方、従来の車輪では、スロート部に凸部131が設けられていない。図4は、従来の車輪の輪郭(外形)及びその曲率を、図3と同様の方法で表すグラフである。図4に示すように、従来の車輪でも、その外周面のうち、曲率が実質ゼロから正側に変化し始める輪郭座標C1,C2の間の部分がスロート部となる。ただし、従来のスロート部は、全体として正の曲率を有する。すなわち、従来のスロート部は、凸部131が形成されていないため、曲率が負の値となる部分を有しない。
【0035】
図2に戻り、凸部131は、好ましくは、他の部分132と曲面で接続される。すなわち、凸部131は、他の部分132と滑らかに接続されることが好ましい。ただし、凸部131、及び凸部131と他の部分132との接続部分の形状は、特に限定されるものではない。
【0036】
本実施形態において、凸部131は、スロート部13のうち、踏面11よりもフランジ12に近い領域に配置される。凸部131は、軸方向におけるスロート部13の中心線Yよりもフランジ12側に設けられている。凸部131は、スロート部13の中心線Y上に設けられてもよいし、中心線Yよりも踏面11側に設けられてもよい。
【0037】
凸部131の大きさは、適宜決定すればよい。詳しくは後述するが、凸部131は、フランジ12又はスロート部13の他の部分132と同時に、レール200に接触する部分である。例えば、フランジ12又はスロート部13の他の部分132とレール200との接触が凸部131によって阻害されないよう、接触幾何解析を実施して、凸部131の大きさを決定することができる。
【0038】
[車輪とレールとの接触]
次に、鉄道車両が曲線を走行する際の車輪100とレール200との接触について、図5を参照しつつ説明する。本実施形態では、レール200が外軌である場合について説明する。図5は、鉄道車両が曲線を走行する場合における車輪100とレール200との接触状態を示す図である。
【0039】
図5に示すように、鉄道車両が曲線を走行する場合、外軌側の車輪100は、フランジ12においてレール200と接触する。図5に示す例では、車輪100は、フランジ12の点P1でレール200に接触する。
【0040】
車輪100は、フランジ12だけでなく、凸部131でもレール200と接触する。フランジ12の点P1がレール200に接触しているとき、凸部131の点P2がレール200に接触する。車輪100は、レール200との接触点として、フランジ12の点P1と、凸部131の点P2と、を有する。すなわち、鉄道車両が曲線を走行しているとき、車輪100は、レール200と二点で接触する。
【0041】
[実施形態の効果]
本実施形態に係る車輪100は、スロート部13の全周にわたって、凸部131が設けられている。鉄道車両が曲線を走行する際、車輪100は、この凸部131の接触点P2と、フランジ12の接触点P1との二点でレール200に接触する。このため、凸部131と、フランジ12とに横圧を分散させることができる。このように横圧を分散させることにより、接触面圧及び縦クリープ力が低減され、車輪100の摩耗、より具体的にはフランジ12の摩耗を低減させることが可能となる。
【0042】
本実施形態において、凸部131は、好ましくは、スロート部13の他の部分132と曲面で接続される。これにより、車輪100をレール200上で円滑に移動させることができる。よって、車輪100が取り付けられる鉄道車両において、快適な乗り心地を確保することができる。
【0043】
以上、本開示に係る実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【実施例
【0044】
以下、実施例によって本開示をさらに詳しく説明する。ただし、本開示は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0045】
市販の機構解析ソフトウェア(ダッソー・システムズ社製、Simpack)を使用して、鉄道車両用の台車の曲線通過を模擬した運動解析を行った。運動解析では、1台車枠及び2輪軸から成るモデルを構築した。このモデルにおいて、実施例として図1及び図2に示す車輪100の形状を使用し、比較例として、スロート部13に凸部131がないことを除き、車輪100と同一の車輪形状を使用した。実施例及び比較例の各々について、以下に示す軌道及び走行条件で運動解析を実施し、最大接触面圧を評価した。
<軌道及び走行条件>
・曲線半径:200m
・曲線区間:200m
・速度 :40km/h
【0046】
図6は、実施例及び比較例の車輪の最大接触面圧を示すグラフである。図6に示すように、実施例に係る車輪の最大接触面圧は、比較例に係る車輪の最大接触面圧よりも小さい。よって、スロート部13に凸部131を設けることにより、最大接触面圧が低減されることがわかる。
【0047】
実施例及び比較例の各々について、上記運動解析の結果にTγの摩耗則を適用して、摩耗進展シミュレーションを行った。摩耗進展シミュレーションでは、上述した軌道及び走行条件で実施例及び比較例に係るモデルを繰返し走行させたときの車輪の摩耗重量を推定した。
【0048】
図7は、実施例及び比較例の各々について、第1軸の外軌側の車輪の摩耗重量を示すグラフである。図7に示すように、実施例に係る車輪の摩耗重量は、比較例に係る車輪の摩耗重量よりも減少している。よって、スロート部13に凸部131を設けることにより、車輪の耐摩耗性が向上することがわかる。
【0049】
以上より、本開示に係る車輪の構成によれば、車輪とレールとの接触面圧(横圧)を低減でき、車輪の耐摩耗性を向上させられることが確認された。
【符号の説明】
【0050】
100:車輪
11:踏面
12:フランジ
13:スロート部
131:凸部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7