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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-24
(45)【発行日】2024-02-01
(54)【発明の名称】ポンプシステム
(51)【国際特許分類】
   F04D 15/00 20060101AFI20240125BHJP
   F04B 49/10 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
F04D15/00 Z
F04B49/10 311
F04D15/00 J
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020088927
(22)【出願日】2020-05-21
(65)【公開番号】P2021183817
(43)【公開日】2021-12-02
【審査請求日】2023-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】玉川 充
(72)【発明者】
【氏名】藤田 雅之
(72)【発明者】
【氏名】岩手 僚治
【審査官】丹治 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-163298(JP,A)
【文献】特開昭60-192896(JP,A)
【文献】特開昭62-240497(JP,A)
【文献】特開2002-098564(JP,A)
【文献】特開2003-067519(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 15/00-15/02
F04B 49/00-49/24
G01M 3/00- 3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプと、
前記ポンプを駆動するモータと、
水を使用していない状態で、前記ポンプの二次側の漏水の可能性ありの判定に用いる第1の閾値を記憶する記憶部と、
前記モータの駆動時間を前記記憶部に記憶し、前記モータの駆動時間と前記第1の閾値とを比較し、前記モータの前記駆動時間が前記第1の閾値以下であると、前記ポンプの二次側に小水量漏水が生じている可能性ありと判定する制御部と、
を備え
前記記憶部は、水を使用していない状態で、前記ポンプの二次側の小水量漏水の可能性ありの判定に用いる第2の閾値を記憶し、
前記制御部は、前記モータの停止時間を前記記憶部に記憶し、前記モータの前々回の停止時間及び前記モータの前回の停止時間との差の絶対値が前記第2の閾値以下であると、前記ポンプの二次側に小水量漏水が生じている可能性ありの判定をし、
前記記憶部は、給水先の異常警報の発報の有無判定に用いる第3の閾値を記憶し、
前記制御部は、前記ポンプの二次側に小水量漏水の可能性ありの判定回数が連続して前記第3の閾値以上であると、小水量漏水ありと判定するポンプシステム。
【請求項2】
前記記憶部は、前記給水先の異常の判定の為の第4の閾値を記憶し、
前記ポンプの二次側に流量を検出する流量検知器を備え、
前記制御部は、前記ポンプの運転・停止に関わらず、前記流量検知器の検知結果に基づいて判断流量以下と判断している継続時間を前記記憶部に記憶し、
前記判断流量以下であるとの判断の継続時間が前記第4の閾値以上であると、前記給水先に異常ありの判定をする、
請求項1に記載のポンプシステム。
【請求項3】
前記記憶部は、前記給水先の異常の判定の為の第5の閾値を記憶し、
前記制御部は、所定の時間帯での前記モータの始動回数、及び前記第5の閾値を比較し、前記モータの前記始動回数が前記第5の閾値以下であると、前記給水先に異常ありと判定する、
請求項1に記載のポンプシステム。
【請求項4】
前記ポンプの一次側または二次側に逆流を防止するためのチェック弁と、
前記ポンプの二次側に始動圧力を検知する圧力検知器と、
前記ポンプの二次側に停止流量を検知する流量検知器と、
前記ポンプの二次側に蓄圧するためのアキュムレータと、
を備え、
前記制御部は、前記圧力検知器により前記始動圧力以下を検知すると前記モータを駆動し、前記流量検知器により前記停止流量以下を検知すると前記モータの駆動を停止する、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のポンプシステム。
【請求項5】
前記制御部は、前記給水先に異常ありとの判定をすると、前記給水先の管理者に、警報を発報する、
請求項2又は請求項3に記載のポンプシステム。
【請求項6】
前記給水先の管理者に、警報を発報する手段として、有線又は無線通信にて警報を発報する、
請求項5に記載のポンプシステム。
【請求項7】
前記制御部は、有線又は無線通信にて、前記ポンプの始動または停止を示す運転状況と、前記流量検知器による小水量または大水量を示す流量判定状況のデータを、前記制御部とは別のサーバへ送信し、前記サーバにて管理・計算し、小水量漏水を含めて、給水先に異常ありと判定し、警報を発報する、
請求項4に記載のポンプシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水を増圧して給水するポンプを備えるポンプシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従前から、建造物に給水する給水設備に用いられるポンプ装置が知られている。このようなポンプ装置として、例えば、ポンプの二次側の圧力が始動圧力に下がるとモータを駆動することでポンプを運転して水を増圧して給水し、ポンプの二次側の流量が停止流量まで減るとモータの駆動を停止する技術が知られている。
【0003】
また、このようなポンプ装置では、ポンプの二次側の漏水を検知する技術が知られている。
漏水を検知する技術として、例えば、圧力検知センサによってポンプの二次側の圧力の変化がないことを検知した後、モータの回転数を増速することでポンプの二次側の圧力を上昇させる。そして、その後、ポンプの二次側の圧力の変化がないことを検出すると、モータの駆動を停止する。このような、モータの駆動を一定の周期で行う状況が一定時間継続すると、漏水を検知することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、ポンプの吐出流量が停止流量未満である状態で圧力タンクに加圧水を貯えるための漏水運転の要求が任意の回数に達すると、漏水を検知する技術が知られている。(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第3064786号公報
【文献】特開2006-118414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の、圧力検知センサによってポンプの二次側の圧力に基づいて漏水を検知する技術であると、圧力検知の為のセンサを要する。または、ポンプの吐出流量に基づいて漏水を検知する技術であると、流量検知の為のセンサを要する。この為、漏水の検知の為に、センサを要することから、漏水検知の為のシステムの構成が複雑になる。
【0007】
そこで、本発明は、新たにセンサを追加することなく漏水を検知できるポンプシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態に係るポンプシステムは、ポンプと、前記ポンプを駆動するモータと、水を使用していない状態で前記ポンプの二次側の漏水の可能性ありの判定に用いる第1の閾値を記憶する記憶部と、前記モータの駆動時間を前記記憶部に記憶し、前記モータの駆動時間と前記第1の閾値とを比較し、前記モータの前記駆動時間が前記第1の閾値以下であると、前記ポンプの二次側に小水量漏水が生じている可能性ありと判定する制御部と、を備え、前記記憶部は、前記ポンプの二次側の小水量漏水の可能性ありの判定に用いる第2の閾値を記憶し、前記制御部は、前記モータの停止時間を前記記憶部に記憶し、前記モータの前々回の停止時間及び前記モータの前回の停止時間との差の絶対値が前記第2の閾値以下であると、前記ポンプの二次側に小水量漏水が生じている可能性ありの判定をし、前記記憶部は、給水先の異常警報の発報の有無判定に用いる第3の閾値を記憶し、前記制御部は、前記ポンプの二次側に小水量漏水の可能性ありの判定回数が連続して前記第3の閾値以上であると、小水量漏水ありと判定する
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、新たにセンサを追加することなく漏水を検知できるポンプシステムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係るポンプ装置を含む給水設備の構成を示す説明図。
図2】同ポンプ装置に用いられる制御部の動作の一例を示す流れ図。
図3】同ポンプ装置を含むポンプシステムの構成を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態に係るポンプ装置(ポンプシステム)10を、図1及び図2を用いて説明する。本実施形態においては、ポンプ装置10は、井戸等の水源1から住居に給水する給水設備5に用いられる構成を例に用いて説明する。
【0012】
図1は、ポンプ装置10を含む給水設備5の構成を示す説明図である。図2は、ポンプ装置10に用いられる制御部92の動作の一例を示す流れ図である。
【0013】
図1に示すように、給水設備5は、住居等の建物内に設けられる配管や給水先となる例えば蛇口を含む建物側設備6と、ポンプ装置10と、を備える。
【0014】
ポンプ装置10は、ポンプユニット20と、吸込管30と、逆止弁(チェック弁)40と、吐出管50と、アキュムレータ55と、流量検知器60と、圧力検知器70と、制御装置90と、を備える。ポンプ装置10は、給水先に異常が生じていることを判定できるポンプシステムの一例である。
【0015】
ポンプユニット20は、ポンプ21と、モータ22と、を備える。ポンプ21は、吸込管30及び逆止弁40介して、水源1に流体的に接続される。ポンプ21は、水源1の水を増圧して二次側に吐出可能に構成される。モータ22は、ポンプ21を駆動可能に構成される。
【0016】
吸込管30は、ポンプ21の一次側に接続される。吸込管30は、水源1の水をポンプ21に送水可能に構成される。
【0017】
逆止弁40は、ポンプ21の一次側またはポンプ21の二次側に設けられる。本実施形態では、一例として、逆止弁40は、吸込管30及びポンプ21の間に設けられる。すなわち、逆止弁40は、一例として、ポンプ21の一次側に設けられる。逆止弁40は、ポンプ21から水源1への水の流れを規制し、水源1からポンプ21への水の流れを許容する。なお、逆止弁40がポンプ21の二次側に設けられる構成の場合、逆止弁40は、ポンプ21の二次側からポンプ21への水の流れを規制し、ポンプ21からポンプ21の二次側への水の流れを許容する。
【0018】
吐出管50は、ポンプ21の二次側に接続される。吐出管50は、給水先となる住居への流路を構成する。
アキュムレータ55は、ポンプ21の二次側に設けられる。アキュムレータ55は、例えば、吐出管50に接続される。
【0019】
流量検知器60は、例えばポンプ21の二次側に設けられる。流量検知器60は、例えば、吐出管50に設けられる。流量検知器60は、少なくともポンプ21の停止流量を検知可能に構成される。本実施形態では、流量検知器60は、吐出管50を流れる水の流量を検知可能に構成される。流量検知器60は、検知結果に応じた信号を制御装置90の後述する制御部92に送信する。
【0020】
圧力検知器70は、ポンプ21の二次側に設けられる。圧力検知器70は、例えば、吐出管50に設けられる。圧力検知器70は、ポンプ21の二次側の圧力を検知可能に構成される。圧力検知器70は、検知結果に応じた信号を制御部92に送信する。
【0021】
制御装置90は、記憶部91と、制御部92と、を備える。制御装置90は、ポンプ21の二次側に漏水が生じている可能性ありの判定をすることが可能に構成される。また、制御装置90は、給水先の住人に異常が生じているとの判定を可能に構成される。ここで、給水先の住人の異常とは、例えば、給水先の住人の健康状態に異常が生じる等して通常の生活が営めない状態である。
【0022】
記憶部91には、モータ22を始動する始動圧力、及びモータ22の駆動を停止する停止流量が記憶されている。また、記憶部91は、ポンプ21の二次側の漏水の可能性有の判定に用いる情報、給水先6の住人に異常が生じているとの判定に用いる情報が記憶される。
【0023】
ポンプ21の二次側の漏水の可能性ありの判定に用いる情報は、第1の閾値T1及び第2の閾値T2である。
第1の閾値T1は、モータ22の駆動開始後に次に停止流量を検知しモータ22を停止するまでの時間と比較される閾値である。なお、モータ22が駆動されるとは、ポンプ21が駆動されることである。モータ22の駆動開始後、停止流量を検知するまでの時間は、水の使用の用途に応じて異なる。第1の閾値T1は、例えば、モータ22の駆動時間の最短時間以上に設定される。本実施形態では、第1の閾値T1は、モータ22の駆動時間の最短時間に、所定時間を加えた時間に設定される。ここで、所定時間とは、第1の閾値T1を、モータ22の駆動時間の最短時間に対して少し余裕を持たせる為に設定される時間である。
【0024】
第2の閾値T2は、前々回のモータ22の停止時間及び前回のモータ22の停止時間の差の絶対値と比較される閾値である。漏水が生じると、水が使用されてない場合では、定期的に始動圧力となる。この為、モータ22の停止時間は、略同じ時間となる。第2の閾値T2は、例えば、漏水が生じている場合であって水が使用されていない状態でのモータ22の停止時間の誤差と考えらえる時間である。
【0025】
なお、ここで言うモータ22の前回の停止時間とは、モータ22が停止している状態または駆動している状態にあるときに、その状態より1つ前のモータ22の停止していた状態の時間である。モータ22の前々回の停止時間とは、モータ22が停止している状態または駆動している状態にあるときに、その状態より2つ前のモータ22の停止していた状態の時間である。
【0026】
また、記憶部91は、警報を発報するか否かの判定に用いられる第3の閾値T3を記憶する。第3の閾値T3は、小水量漏水の可能性ありの判定の回数と比較される閾値である。
【0027】
給水先6の異常が生じているとの判定のひとつとして用いる情報は、第4の閾値T4である。第4の閾値は、流量検知器60で計測する判断流量(停止流量)の連続小水量検出時間と比較される閾値である。流量検知器60の連続小水量検出時間が第4の閾値T4以上であると、給水先に異常が生じている可能性があると判定される。
【0028】
給水先に異常が生じると、水の使用の頻度が低減する場合が生じえる。特に、給水先の住人の健康状態に異常が生じると、水を用いた家事を行いにくくなる。水を用いた家事を行いにくくなることで、水の使用の頻度が低減する。第4の閾値T4は、給水先に異常が生じていない状態での水の使用の頻度に基づいて決定される。すなわち、第4の閾値T4は、水の給水先の住人が健康であるときの水の使用の頻度、換言すると、水の給水先の住人が健康であるときの水の使用間隔のうち、最も長い間隔よりも長い時間に設定される。例えば、最も長水の給水先の住人が健康であるときの水の使用間隔のうち最も長い間隔よりもわずかに長い時間が第4の閾値T4に設定される。
【0029】
制御部92は、例えば信号線93を介して、モータ22、流量検知器60、及び圧力検知器70に接続される。また、制御部92は、警報を発報可能に構成される。ここで言う警報を発報するとは、例えば、給水先を管理する管理先の通信端末80に、給水先の住人に異常が生じていると判定したことを通知するメールを送信することも含まれる。給水先を管理する管理先は、例えば、ポンプ装置10の管理会社、給水先の住人が所属する自治体の事務所、または給水先の住人とは居を別にする家族の家である。給水先の管理先の通信端末80にメールを送信することは、給水先の管理者にメールを送信することである。通信端末80は、例えば、モバイル端末(例えば、タブレット、スマートフォン、ラップトップ、など)、PC(Personal Computer)、などである。
【0030】
制御部92は、圧力検知器70からの信号に基づいて始動圧力を検知する。制御部92は、始動圧力を検知すると、記憶部91に記憶されたプログラムに準じてモータ22を駆動する。制御部92は、流量検知器60からの信号に基づいて停止流量を検知する。制御部92は、停止流量を検知すると、モータ22の駆動を停止する。
【0031】
また、制御部92は、モータ22の駆動時間をカウントするカウンタ機能を有している。制御部92は、カウンタ機能によりカウントしたモータ22の駆動時間を記憶部91に記憶する。また、制御部92は、モータ22の停止時間をカウントするカウンタ機能を有している。制御部92は、カウンタ機能によりカウントしたモータ22の停止時間を記憶部91に記憶する。
【0032】
また、制御部92は、以下の(1)及び(2)の機能を有する。
(1)ポンプ21の二次側に小水量漏水の可能性ありと判定する機能。
(2)給水先に異常が生じている可能性があると判定する機能。
【0033】
制御部92が有する(1)及び(2)の機能について説明する。
(1)の機能は、ポンプ21の運転時間、すなわちモータ22の駆動時間が第1の閾値T1以下であり、かつ、モータ22の前回の停止時間、及びモータ22の前々回の停止時間の差の絶対値が第2の閾値T2以下であると、漏水の可能性ありと判定する機能である。第1の閾値T1が給水先の住人に応じて想定される、モータ22の駆動時間の最短時間に所定時間を加えた値に設定されることで、モータ22の駆動時間が第1の閾値T1以下であることで小水量漏水の可能性ありと判定できる。さらに、モータ22の前々回の停止時間、及びモータ22の前回の停止時間の差の絶対値が第2の閾値T2以下であることで、漏水の可能性有と判定できる。さらに、これら2つの判定を行うことで、小水量漏水の可能性ありの判定の精度を高められる。
【0034】
(1)の機能の具体例を以下説明する。(1)の機能の具体例として、制御部92は、カウンタ機能によりカウントしたモータ22の駆動時間及び第1の閾値T1を比較し、モータ22の駆動時間が第1の閾値T1以下であると、記憶部91に記憶された、モータ22の前々回の停止時間、及びモータ22の前回の停止時間の差を算出し、この算出結果の絶対値及び第2の閾値T2を比較する。
【0035】
制御部92は、モータ22の前々回の停止時間、及びモータ22の前回の停止時間の差の絶対値が、第2の閾値T2以下であると、小水量漏水の可能性有ありと判定し、その判定の回数を記憶部91に記憶する。そして、制御部92は、小水量漏水の可能性ありの判定の回数が、第3の閾値T3以上となると、ポンプ21の二次側で漏水が発生している可能性が大きいと判定して、警報を発報する。
(2)の機能は、流量検知器60で計測する判断流量(停止流量)の連続小水量検出時間が第4の閾値T4以上であると、給水先に異常が生じている可能性があると判定する機能である。
【0036】
(2)の機能の具体例を以下説明する。(2)の機能の具体例として、制御部92は、モータ22の始動・停止に関わらず、流量検知器60で計測する判断流量(停止流量)の連続小水量検出時間と、記憶部91に記憶された、モータ22の前回停止時間と第4の閾値T4とを比較する。制御部92は、流量検知器60で計測する判断流量(停止流量)の連続小水量検出時間が第4の閾値T4以上であると、給水先に異常が生じている可能性があると判定する。そして、制御部92は、給水先に異常が生じている可能性があると判定すると、警報を発報する。
【0037】
このように構成されるポンプ装置10、及び通信端末80は、ポンプ管理システム2を構成する。
【0038】
次に、制御部92の動作の一例を説明する。図2に示すように、制御部92は、圧力検知器70によりポンプ21の始動圧力を検知すると(ステップST1のYES)、モータ22を始動してポンプ21を始動する(ステップST2)。制御部92は、記憶部91に記憶されたプロラムに準じてモータ22を駆動する。
【0039】
また、制御部92は、カウンタ機能によりモータ22の駆動時間のカウントを開始する。また、制御部92は、モータ22を始動すると、カウンタ機能によるモータ22の停止時間のカウントを停止する。
【0040】
次に、制御部92は、記憶部91に記憶された、モータ22の前回停止時間を、前々回停止時間として更新し、カウンタ機能によりカウントしたモータ22の停止時間を、前回停止時間として記憶部91に更新する(ステップST3)。
【0041】
次に、制御部92は、流量検知器60からの信号に基づいてポンプ21の停止流量を検知すると(ステップST4のYES)、モータ22の駆動を停止することでポンプ21の運転を停止する(ステップST5)。なお、制御部92は、停止流量を検知するまでは、流量検知器60からの信号を監視する。
【0042】
制御部92は、モータ22の駆動を停止すると、カウンタ機能によるモータ22の駆動時間のカウントを停止する。制御部92は、モータ22の駆動を停止すると、カウンタ機能によりカウントしたモータ22の駆動時間、すなわちポンプ21の運転時間を記憶部91に記憶する(ステップST6)。
【0043】
次に、制御部92は、モータ22の駆動時間すなわちポンプ21の運転時間及び第1の閾値T1を比較し、モータ22の駆動時間が第1の閾値T1以下であるか否かを判定する(ステップST7)。制御部92は、モータ22の駆動時間が第1の閾値T1より大きいと判定すると(ステップST7のNO)、ステップST1に戻る。
【0044】
制御部92は、モータ22の駆動時間が第1の閾値T1以下であると判定すると(ステップST7のYES)、次に、記憶部91に記憶された、モータ22の前々回の停止時間及びモータ22の前回の停止時間の差を算出する(ステップST8)。そして、制御部92は、この算出値の絶対値及び第2の閾値T2を比較し、算出値の絶対値が第2の閾値T2以下であるか否かを判定する(ステップST9)。
【0045】
制御部92は、モータ22の前々回の停止時間、及びモータ22の前回の停止時間の差の絶対値が第2の閾値T2より大きいと判定すると(ステップST9のNO)、ステップST1に戻る。
【0046】
制御部92は、算出値の絶対値が第2の閾値T2以下である判定すると(ステップST9のYES)、小水量漏水の可能性ありと判定する。次に、制御部92は、小水量漏水の可能性ありの判定が連続であるか否かを判定する(ステップST10)ここで、前回のステップST9の処理においても停止時間の差の絶対値が第2の閾値T2以下であり、小水量漏水の可能性ありの判定を行っていると、小水量漏水の可能性ありの判定が連続であるとする。
【0047】
制御部92は、小水量漏水の可能性有の判定が連続であると判定すると(ステップST10のYES)、小水量漏水の可能性ありの判定の連続回数を更新する(ステップST11)。
【0048】
次に、制御部92は、記憶部91に記憶された、小水量漏水の可能性ありの判定の連続回数、及び第の3閾値T3を比較し、小水量漏水の可能性ありの判定の連続回数が第3の閾値T3以上であるか否かを判定する(ステップST12)。制御部92は、記憶部91に記憶された、小水量漏水の可能性ありの判定の連続回数が第3の閾値T3以上であると(ステップST12のYES)、給水先に異常が生じている可能性が大きいと判定して(ステップST13)、警報を発報する(ステップST22)。なお、ステップST13で言う給水先の異常とは、小水量漏水を含む異常である。すなわち、小水量漏水の可能性ありの判定の連続回数が第3の閾値T3以上であることから、小水量漏水が生じている可能性が大きい。なお、給水先の異常において、小水量漏水以外としては、例えば、蛇口の故障が考えられる。
【0049】
次に、制御部92は、流量検知器60で現在の検知した流量が判断流量(停止流量)より大水量側であるのか、または小水量側であるのかを検出する(ステップST14,ステップST15)。換言すると、制御部92は、流量検知器60で検知した流量が、判断流量の一例である停止流量以下であるか否かを判定する(ステップST15)。
【0050】
制御部92は、流量検知器60により検知した流量が、判断流量(停止流量)以下であると判定すると(ステップST15のYES)、次に、制御部92は、モータ22の始動・停止に関わらず、流量検知器60で検知する判断流量(停止流量)の連続小水量検出時間を記録する(ステップST16)。ここで、連続小水量検出時間とは、流量検知器60により検知した流量が、判断流量(停止流量)以下を維持する時間である。
【0051】
次に制御部92は、連続小水量検出時間と第4の閾値T4とを比較し、連続小水量検出時間が第4の閾値T4以上であるか否かを判定する(ステップST17)。制御部92は、流量検知器60の検知結果に基づく連続小水量検出時間が第4の閾値T4以上であると(ステップST17のYES)、給水先に異常が生じている可能性があると判定する(ステップST21)。制御部92は、給水先に異常が生じている可能性があると判定すると、警報を発報する(ステップST22)。
【0052】
また、制御部92は、流量検知器60の検知結果に基づく連続小水量検出時間が、第4の閾値T4未満であると、給水先に異常が生じていないと判定して(ステップST17のNO)、ステップST14に戻る。
【0053】
このように構成されるポンプ装置10によれば、モータ22の駆動時間、及び第1の閾値T1の比較に基づいて、ポンプ21の二次側の漏水が生じている可能性ありの判定を行うことが可能である。このように、センサの検出結果を用いることなく、ポンプ21の二次側の漏水の可能性ありの判定を行うことが可能である。
【0054】
さらに、モータ22の駆動時間及び第1の閾値T1の比較結果、及びモータ22の前回停止時間及びモータ22の前々回停止時間の差の絶対値及び第2の閾値の比較に基づいて、ポンプ21の二次側の漏水が生じている可能性ありの判定を行うことで、漏水が生じている可能性ありの判定の精度を高めることが可能となる。
【0055】
さらに、ポンプ21の二次側で漏水が生じている可能性ありの判定の回数が、第3の閾値T3以上となる警報を発報することで、漏水を周囲に報知することが可能となる。
【0056】
さらに、流量検知器60で計測する判断流量(停止流量)の連続小水量検出時間、及び第4の閾値T4の比較に基づいて、ポンプ21の給水先の異常の可能性ありを判定できる。さらに、第4の閾値T4を、給水先の住人の健康状態の異常を判定できる値に設定することで、給水先の住人の健康状態に異常が生じていることを判定することが可能となる。
【0057】
さらに、給水先に異常が生じていると判定すると、警報を発報することで、給水先の管理者は、給水先に異常が生じたことを知ることできる。警報を発報する手段として、有線又は無線通信にて警報を発報してもよい。
【0058】
なお、上述の例では、ポンプ装置10の制御部92が、ポンプ21の二次側の小水量漏水の可能性ありの判定、及び給水先6に異常の可能性が生じているとの判定に基づいて警報を発報する構成が一例として説明されたが、これに限定されない。
【0059】
他の例では、図3に示す変形例のように、ポンプ装置10と異なる外部のサーバ100が、ポンプ21の二次側の漏水の可能性ありの判定、給水先6に異常が生じているとの判定、及び警報の発報を行う構成であってもよい。
【0060】
すなわち、ポンプ装置10、通信端末80、及びサーバ100により、ポンプ管理システム2が構成される。この構成の場合、ポンプ管理システム2が、ポンプ21の二次側に漏水が生じている可能性有の判定、及び給水先に異常が生じていることを判定できるポンプシステムの一例を構成する。さらに、このように構成されるポンプ管理システム2は、複数のポンプ装置10、及びポンプ装置10のそれぞれに係る警報の発報先となる通信端末80を含む構成であってもよい。
【0061】
図3に示すように、複数のポンプ装置10、複数のポンプ装置10のそれぞれに係る警報の発報先となる通信端末80、及びサーバ100を備えるポンプ管理システム2では、サーバ100は、複数のポンプ装置10のそれぞれに応じた、上述の説明の記憶部91に記憶された、第1の閾値T1、第2の閾値T2、第3の閾値T3、及び第4の閾値T4を有する。換言すると、ポンプ管理システム2が、複数のポンプ装置として、第1のポンプ装置10A、及び第2のポンプ装置10Bを備える構成である場合、サーバ100は、第1のポンプ装置10Aに応じた、第1の閾値T1、第2の閾値T2、第3の閾値T3、及び第4の閾値T4を有する。同様に、サーバ100は、第2のポンプ装置10Bに応じた、第1の閾値T1、第2の閾値T2、第3の閾値T3、及び第4の閾値T4を有する。
【0062】
各ポンプ装置10の制御部92は、サーバ100に、モータ22の駆動情報、及び、流量検知器60による検知結果を送信する。なお、モータ22の駆動情報は、ポンプ21の始動または停止を示す運転状況の情報である。流量検知器60の検知結果は、小水量または大水量を示す流量判定状況の情報を含む。ここで、小水量とは、停止流量以下の流量である。大水量は、小水量よい大きい流量である。
【0063】
そして、サーバ100は、モータ22の駆動情報、及び、流量検知器60の検知結果から、小水量漏水を含めて、給水先に異常が生じている可能性ありの判定を行う。
【0064】
サーバ100は、各ポンプ装置10の制御部92から受信したモータ22の駆動情報に基づいて、ポンプ装置10ごとに、モータ22の前回停止時間及び第4の閾値T4を比較して、給水先6に異常が生じているか否か判定を行う。さらに、サーバ100は、給水先6に異常が生じている可能性があると判定すると、警報を発報する。
【0065】
また、サーバ100は、ポンプ装置10ごとに、モータ22の駆動時間及び第1の閾値T1を比較し、さらに、モータ22の前々回停止時間及びモータ22の前回停止時間の差の絶対値を算出し、この算出値の絶対値及び第2の閾値T2を比較して、ポンプ21の二次側の漏水の可能性について判定をする。さらに、サーバ100は、ポンプ装置10ごとに、漏水が生じている可能性ありの判定の回数を記憶し、判定回数及び第3の閾値T3を比較して漏水の可能性が大きいことを判定すると、警報を発報する。
【0066】
また、サーバは、ポンプ装置10ごとに、流量検知器60からの検知結果に基づいて、小水量漏水を含む給水先の異常の可能性ありの判定を行う。例えば、サーバは、流量検知器60からの検知結果により、小水量を検知した時刻にポンプ21が駆動していない場合は、小水量漏水が生じている可能性があると判定する。
【0067】
このように、サーバ100は、これらの作業を、複数のポンプ装置10のそれぞれに対して行う。
【0068】
または、サーバ100で、制御部92が給水先6に異常が生じているとの判定を行うことが可能な情報、及び制御部92がポンプ21の二次側で漏水が生じている可能性ありの判定を行うことが可能な情報を作成し、サーバ100がこの情報を複数のポンプ装置10のそれぞれの制御部92に送信し、制御部92がサーバ100からの情報に基づいて、ポンプ21の二次側で漏水が生じている可能性ありの判定、及び給水先6に異常が生じている可能性ありとの判定を行い、警報を発報する構成であってもよい。
【0069】
また、上述の例では、制御部92は、モータ22駆動されるたびに、ポンプ21の二次側の漏水が生じている可能性の有無の判定を行う構成が一例として説明されたが、これに限定されない。他の例では、制御部92は、所定の時間帯で、ポンプ21の二次側の漏水が生じている可能性の有無の判定を行う構成であってもよい。この場合、所定の時間帯は、例えば、給水先で水が使用されない時間外である。給水先で水が使用されない時間帯に、ポンプ21の二次側で漏水が生じている可能性の有無の判定を行うことで、漏水の可能性ありの判定を行いやすくなる。なお、給水先で水が使用されない時間帯は、例えば、給水先の住人が就寝する時間帯である。この所定の時間帯は、給水先に応じて設定可能である。
【0070】
また、上述の例では、制御部92は、流量検知器60の検知結果に基づく判断流量(停止流量)の連続小水量検出時間及び第4の閾値T4を比較し、流量検知器60の検知結果に基づく判断流量(停止流量)の連続小水量検出時間が第4の閾値T4以上であると、給水先に異常が生じている可能性ありと判定する構成が一例として説明されたが、これに限定されない。他の例では、制御部92は、例えば、さらに、所定の時間帯でのモータ22の始動回数、及び第5の閾値T5を比較し、所定の時間帯でのモータ22の始動回数が、第5の閾値T5以下であると、給水先に異常が生じている可能性ありと判断してもよい。
【0071】
すなわち、制御部92は、図2に示すようにポンプ21の二次側の漏水の可能性の有無の判定、及び第4の閾値T4に基づく給水先の異常の有無の判定に加えて、第5の閾値T5に基づく給水先の異常の可能性の有無の判定を行ってもよい。
【0072】
第5の閾値T5は、記憶部91に予め記憶される。第5の閾値T5は、例えば、給水先に異常がない場合での始動回数より小さい値である。例えば、給水先の異常として給水先の住人の異常の有無を判定する場合、所定の時間帯は、給水先の住人が健康である場合に水を複数回使用する時間帯が設定される。所定の時間帯は、例えば、朝の家事を行う時間帯であり、具体例としては、6時から9時の間である。給水先の住人が健康である場合、6時から9時の時間帯において、朝食の準備、食器の洗い物、洗濯等で複数回、例えば、通常8回水を使用すると、第5の閾値T5は、例えば5回に設定される。6時から9時の時間帯で水の使用回数、すなわちモータ22の始動回数が5回以下であると、給水先の住人の健康状態に異常が生じている可能性ありと判定できる。すなわち、所定の時間帯での水の使用回数、換言するとモータ22の始動回数が少ないことから、給水先の住人の健康状態に異常が生じることで水を使用する家事を行いにくくなっていると推定できる為、給水先に異常の可能性ありの判定を行う。所定の時間帯、及び第5の閾値T5は、給水先に応じて設定可能である。
【0073】
第5の閾値T5に基づく給水先の異常の有無の判定の一例を含むポンプ装置10の変形例の動作の一例について、図2を用いて説明する。この変形例では、ステップST2及びステップST3の間に、ステップST18乃至ステップST22の処理を有する。
【0074】
制御部92は、ポンプ21を始動すると(ステップST2)、次に、ポンプ21を始動した時刻が所定の時間帯に含まれるか否かを判定する(ステップST18)。制御装置90は、ポンプ21を始動した時刻が所定の時間帯に含まれないと判定すると(ステップST18のNO)、ステップST3に進む。
【0075】
制御部92は、ポンプ21を始動した時刻が所定の時間帯に含まれると判定すると(ステップST18のYES)、次に、所定の時間帯でのポンプ21の始動回数を記憶部91に記憶する(ステップST19)。
【0076】
次に、制御部92は、所定の時間帯のポンプ21の始動回数と第5の閾値T5とを比較し、ポンプ21の始動回数が第5の閾値T5以下であるか否かを判定する(ステップST20)。
【0077】
制御部92は、所定の時間帯でのポンプ21の始動回数が第5の閾値T5以下であると判定すると(ステップST20のYES)、ステップST21に進み、給水先の異常の可能性ありの判定を行う。
【0078】
また、上述の例では、第1の閾値T1、第2の閾値T2、第3の閾値T3、及び第4の閾値T4は、予め記憶部91に記憶された値が用いられる構成が一例として説明されたが、これに限定されない。
【0079】
他の例では、制御部92は、人工知能(AI: artificial intelligence)機能を有していてもよい。この場合、制御部92は、人工知能機能を利用して、機械学習またはディープラーニングを行って、第1の閾値T1、第2の閾値T2、第3の閾値T3、及び第4の閾値T4を、給水先6に応じてより適切なものに変更して、記憶部91に更新してもよい。
【0080】
また、上述の例では、制御部92は、ポンプ21の二次側の漏水の可能性ありの判定回数が、複数回となる第3の閾値T3以上となると、警報を発報する構成が一例として説明されたが、これに限定されない。他の例では、制御部92は、一度のポンプ21の二次側の漏水の可能性ありの判定で、警報を発報する構成であってもよい。
【0081】
また、上述の例では、制御部92は、流量検知器60で計測する判断流量(停止流量)の連続小水量検出時間が第4の閾値T4以上であると給水先に異常が生じていると判定する構成が一例として説明されたが、これに限定されない。他の例では、制御部92は、ポンプ21の二次側で漏水が生じている可能性ありの判定を所定回数以上行うと、給水先に異常が生じていると判定する構成であってもよい。水を使用しない場合、モータ22が駆動されることがないことから、漏水が生じていると、始動圧力以下となる場合が生じる。この為、ポンプ21の二次側で漏水が生じている可能性ありの判定を所定回以上行うことで、水が使用されていないことを検知できる。水が使用されていないことで、給水先に異常が生じていることを判定できる。なお、ここで、所定回数は、任意に設定可能であり、一回でも複数回でもよい。
【0082】
また、上述の例では、制御部92は、モータ22の駆動時間と第1の閾値T1との比較に基づいて漏水の可能性ありの判定を行う構成が一例として説明されたが、これに限定されない。他の例では、制御部92は、給水先の水の使用に起因する流量に基づいて、漏水の可能性ありの判定を行ってもよい。
【0083】
また、上述の例では、モータ22の駆動時間が第1の閾値T1以下であり、かつ、モータ22の前々回の停止時間及びモータ22の前回の停止時間の差の絶対値が第2の閾値T2以下であると、漏水の可能性ありの判定を行う構成が一例として説明されたが、これに限定されない。他の例では、モータ22の前々回の停止時間及びモータ22の前回の停止時間の差の絶対値及び第2の閾値T2の比較は行わずに、モータ22の駆動時間が第1の閾値T1以下であると、ポンプ21の二次側に漏水の可能性ありの判定を行う構成であってもよい。または、モータ22の駆動時間及び第1の閾値T1の比較を行わずに、モータ22の前々回の停止時間及びモータ22の前回の停止時間の差の絶対値と第2の閾値T2との比較に基づいて、ポンプ21の二次側の漏水の可能性の判定を行う構成であってもよい。
【0084】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明と同等の記載を付記する。
[1] ポンプと、
前記ポンプを駆動するモータと、
前記ポンプの二次側の漏水の可能性ありの判定に用いる第1の閾値を記憶する記憶部と、
前記モータの駆動時間を前記記憶部に記憶し、前記モータの駆動時間と前記第1の閾値とを比較し、前記モータの前記駆動時間が前記第1の閾値以下であると、前記ポンプの二次側に小水量漏水が生じている可能性ありと判定する制御部と、
を備えるポンプシステム。
[2] 前記記憶部は、前記ポンプの二次側の小水量漏水の可能性ありの判定に用いる第2の閾値を記憶し、
前記制御部は、前記モータの停止時間を前記記憶部に記憶し、前記モータの前々回の停止時間及び前記モータの前回の停止時間との差の絶対値が前記第2の閾値以下であると、前記ポンプの二次側に小水量漏水が生じている可能性ありの判定をする、
[1]に記載のポンプシステム。
[3] 前記記憶部は、給水先の異常警報の発報の有無判定に用いる第3の閾値を記憶し、
前記制御部は、前記ポンプの二次側に小水量漏水の可能性ありの判定回数が連続して前記第3の閾値以上であると、小水量漏水を含めて、前記給水先に異常ありと判定し、警報を発報する、
[2]に記載のポンプシステム。
[4] 前記記憶部は、前記給水先の異常の判定の為の第4の閾値を記憶し、
前記ポンプの二次側に流量を検出する流量検知器を備え、
前記制御部は、前記ポンプの運転・停止に関わらず、前記流量検知器の検知結果に基づいて判断流量以下と判断している継続時間を前記記憶部に記憶し、
前記判断流量以下であるとの判断の継続時間が前記第4の閾値以上であると、前記給水先に異常ありの判定をする、
[3]に記載のポンプシステム。
[4] 前記記憶部は、前記給水先の異常の判定の為の第5の閾値を記憶し、
前記制御部は、所定の時間帯での前記モータの始動回数、及び前記第5の閾値を比較し、前記モータの前記始動回数が前記第5の閾値以下であると、前記給水先に異常ありと判定する、
[3]に記載のポンプシステム。
[6] 前記ポンプの一次側または二次側に逆流を防止するためのチェック弁と、
前記ポンプの二次側に始動圧力を検知する圧力検知器と、
前記ポンプの二次側に停止流量を検知する流量検知器と、
前記ポンプの二次側に蓄圧するためのアキュムレータと、
を備え、
前記制御部は、前記圧力検知器により前記始動圧力以下を検知すると前記モータを駆動し、前記流量検知器により前記停止流量以下を検知すると前記モータの駆動を停止する、 [1]~[5]のいずれか1項に記載のポンプシステム。
[7] 前記制御部は、前記給水先に異常ありとの判定をすると、前記給水先の管理者に、警報を発報する、
[3]~[5]のいずれか1項に記載のポンプシステム。
[8] 前記給水先の管理者に、警報を発報する手段として、有線又は無線通信にて警報を発報する、
[7]に記載のポンプシステム。
[9] 前記制御部は、有線又は無線通信にて、前記ポンプの始動または停止を示す運転状況と、前記流量検知器による小水量または大水量を示す流量判定状況のデータを、前記制御部とは別のサーバへ送信し、前記サーバにて管理・計算し、小水量漏水を含めて、給水先に異常ありと判定し、警報を発報する、
[6]に記載のポンプシステム。
【符号の説明】
【0085】
6…給水先、10…ポンプ装置、20…ポンプユニット、21…ポンプ、22…モータ、30…吸込管、40…逆止弁、50…吐出管、55…アキュムレータ、60…流量検知器、70…圧力検知器、80…通信端末、90…制御装置、91…記憶部、92…制御部。
図1
図2
図3