(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-24
(45)【発行日】2024-02-01
(54)【発明の名称】機能性フロアコーティング用組成物および機能性フロアコーティング用組成物を用いた床のコーティング方法
(51)【国際特許分類】
C09D 175/04 20060101AFI20240125BHJP
C09D 7/63 20180101ALI20240125BHJP
C09D 5/00 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
C09D175/04
C09D7/63
C09D5/00 D
(21)【出願番号】P 2021181732
(22)【出願日】2021-11-08
【審査請求日】2022-10-27
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 〔ウェブサイトによる公開〕 掲載日 :令和3年9月1日 掲載アドレス:http://www.bansei-marketing.com/uvfloorcoating.html 〔展示場での公開〕 公開日 :令和3年9月1日 開催場所 :ハウススクエア横浜 住宅展示場 No.6 公開者 :万生マーケティング合同会社 〔刊行物による公開〕 発行日 :令和3年9月9日 刊行物名 :万生プレスリリース Vol.5 公開者 :万生マーケティング合同会社 〔販売による公開〕 販売日 :令和3年9月1日 販売場所 :エヌケンホーム株式会社 公開者 :万生マーケティング合同会社 〔施工による公開〕 施工日 :令和3年9月7日 公開者 :Grin Guvnor株式会社 〔刊行物による公開〕 発行日 :令和3年8月20日 刊行物名 :新建ハウジング Vol.906、2021年8月20日号 発行者 :新建新聞社
(73)【特許権者】
【識別番号】521489045
【氏名又は名称】Grin Guvnor株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮川 慎司
(72)【発明者】
【氏名】飯冨 卓彦
(72)【発明者】
【氏名】石井 勝己
【審査官】齊藤 光子
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-182950(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107183076(CN,A)
【文献】ファイトケミカル ーBANSEIー,ECOMOTION ecological in BANSEI ホームページ,日本,2021年05月05日,PAGE(S):1-2,https://ecomotion.house/bansei/
【文献】GOOD LIFE コラム 床暖房のフローリングにフロアコーティングは施工できる?,GOOD LIFE ホームページ,2020年12月26日,PAGE(S):1-4,https://www.good-life.co.jp/column/floorheating/
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00-201/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イタドリ、柿の葉及びヨモギからの抽出物
からなる植物抽出液
1~10%を、ウレタンアクリレート樹脂エマルジョン35~45%、フッ素系レベリング剤0.3%未満(但し、0%を除く)および残量として水を加え合計100%としたプライマーとして用いるフロアコーティング溶剤に配合することを特徴とする
プライマー用フロアコーティング用組成物。
【請求項2】
更に増粘剤0.3%未満(但し、0%を除く)、シリコン系消泡剤0.1%未満(但し、0%を除く)、リン散エステル系可塑剤0.3%未満(但し、0%を除く)、グリコールエーテル系溶剤0.5%未満(但し、0%を除く)およびテキザノール0.5~1.0%を加えることを特徴とする請求項1記載のプライマー用フロアコーティング用組成物。
【請求項3】
イタドリ、柿の葉及びヨモギからの抽出物からなる植物抽出液1~10%を、ウレタンアクリレート樹脂エマルジョン70~80%、レベリング剤0.5%未満(但し、0%を除く)、光重合開始剤0.5~1.5%および残量として水を加え100%としたフロアコーティング溶剤に配合することを特徴とする光重合化合物を含むフロアコーティング用組成物。
【請求項4】
更に増粘剤0.5%未満(但し、0%を除く)、および消泡剤0.1%未満(但し、0%を除く)を加えることを特徴とする請求項3記載の光重合化合物を含むフロアコーティング用組成物。
【請求項5】
塗布前にイタドリ、柿の葉及びヨモギからの抽出物
からなる植物抽出液
1~10%を、ウレタンアクリレート樹脂エマルジョン35~45%、フッ素系レベリング剤0.3%未満(但し、0%を除く)、および水を残量として加え100%としたプライマーとして用いる第1のフロアコーティング溶剤に添加混合した
第1のプライマー用フロアコーティング用組成物を
床面に塗布した後、
塗布前にイタドリ、柿の葉及びヨモギからの抽出物からなる植物抽出液1~10%を、ウレタンアクリレート樹脂エマルジョン70~80%、ラベリング剤0.3%未満(但し、0%を除く)、光重合開始剤0.5~1.5%、および水を残量として加え100%とした第2のフロアコーティング溶剤に添加混合した光重合化合物を含む第2のフロアコーティング用組成物を床面に塗布することを特徴とする、
床のコーティング方法。
【請求項6】
プライマーとして用いる第1のフロアコーティング溶剤に更に増粘剤0.3%未満(但し、0%を除く)、シリコン系消泡剤0.1%未満(但し、0%を除く)、リン散エステル系可塑剤0.3%未満(但し、0%を除く)、グリコールエーテル系溶剤0,5%未満(但し、0%を除く)、およびテキザノール0.5~1.0%を加え、
第2のフロアコーティング溶剤に、更に増粘剤0.5%未満(但し、0%を除く)、および消泡剤0.1%未満(但し、0%を除く)を加えることを特徴とする請求項5記載の床のコーティング方法。
【請求項7】
イタドリ、柿の葉及びヨモギからの抽出物
からなる植物抽出液
1~10%をプライマーとして用いる
ウレタンアクリレート樹脂エマルジョン35~45%、フッ素系レベリング剤0.3%未満(但し、0%を除く)および残量として水を加え合計100%とした第1のフロアコーティング溶剤とを混合して
、プライマーとして用いる第1のプライマー用フロアコーティング組成物を製造する工程、
イタドリ、柿の葉及びヨモギからの抽出物
からなる植物抽出液
1~10%と、光重合開始剤
0.5~1%を含む
ウレタンアクリレート樹脂エマルジョン70~80%、レベリング剤0.5%未満(但し、0%は除く)および残量として水を加え100%とした第2のフロアコーティング溶剤とを混合して、光重合開始剤を含む第2のフロアコーティング用組成物を製造する工程、
床面に第1のプライマー用フロアコーティング組成物を塗布し、乾燥する工程、床面に光重合開始剤を含む第2のフロアコーティング用組成物を塗布する工程、およびUV照射を行う工程を行うことを特徴とす
る床のコーティング方法。
【請求項8】
プライマーとして用いる第1のフロアコーティング溶剤に、更に増粘剤0.3%未満(但し、0%は除く)、シリコン系消泡剤0.1%未満(但し、0%は除く)、リン散エステル系可塑剤0.3%未満(但し、0%は除く)、グリコールエーテル系溶剤0,5%未満(但し、0%は除く)、およびテキザノール0.5~1.0%を加え、
第2のフロアコーティング溶剤に、更に増粘剤0.5%未満(但し、0%は除く)、および消泡剤0.1%未満(但し、0%は除く)を加えることを特徴とする
請求項7記載の床のコーティング方法。
【請求項9】
木材に、請求項7または8記載の床のコーティング方法によりフロアコーティング用組成物を塗布したことを特徴とする床材の製造方法。
【請求項10】
フロアコーティング溶剤に1~10%配合するためのイタドリ、柿の葉及びヨモギからの抽出物
からなる植物抽出液、
ウレタンアクリレート樹脂エマルジョン35~45%、フッ素系レベリング剤0.3%未満(但し、0%を除く)、および水を残量として加え100%としたプライマーとして用いるフロアコーティング溶剤、
並びに
光重合開始剤
0.5~1.5%を含む
ウレタンアクリレート樹脂エマルジョン70~80%、レベリング剤0.5%未満(但し、0%を除く)、および残量として水を加え100%としたフロアコーティング溶剤
を含
むフロアコーティング用キット。
【請求項11】
プライマーとして用いるフロアコーティング溶剤に
更に増粘剤0.3%未満(但し、0%は除く)、シリコン系消泡剤0.1%未満(但し、0%は除く)、リン散エステル系可塑剤0.3%未満(但し、0%は除く)、グリコールエーテル系溶剤0,5%未満(但し、0%は除く)、およびテキザノール0.5~1.0%を加え、
光重合開始剤を含むフロアコーティング溶剤に
更に増粘剤0.5%未満(但し、0%は除く)、および消泡剤0.1%未満(但し、0%は除く)を加えた、請求項10記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内空間の還元的環境を構築するためのフロアコーティング用組成物および床のコーティング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空気中の汚染物質としては、一般的に、これまで規制の対象とされてきた窒素酸化物(NOx)や硫黄酸化物(SOX)等の酸化物やディーゼルエンジンが発生する微粒子等が知られている。また、住宅の高気密化などが進むに従って、フロア等から発生する化学物質などによる室内空気汚染等と、それによる健康影響が指摘され「シックハウス症候群」という疾患まで発生している。
【0003】
これらの環境因子は、ヒトの体の中で反応性に富んだスーパーラジカル等活性酸素を発生させ生体内物質の酸化を促進するが、生体内にはその酸化を防止する酸化防止機構が存在しそのバランスが生体内酸化により生じる有害な事象を防いでいる(非特許文献1)。
【0004】
このような生体内の酸化還元機構を測定する方法として、唾液成分の酸化還元電位値を(ORP)を測定する方法が知られている。酸化還元電位測定装置は指示電極と参照電極を備え、指示電極と参照電極を試料溶液中に挿入し、溶液中の電解質の濃度や酸化体・還元体のイオン濃度比など酸化還元電位を測定する装置であるが、技術の進歩により、唾液成分の酸化還元電位の数値化判定測定装置が開発され活用されるようになった(特許文献1、特許文献2)。
【0005】
唾液中のORPとヒトの健康との関係に関しては、活性酸素によって、或いはその他の要因で体内が酸化状態になると、様々な病気を誘発し、体内が酸化され唾液も酸化されることから、ORP測定によって、唾液の酸化と還元状態を指標とする数値を測定することにより、唾液で体調度を客観的に示唆できると考えられている。発熱によりORPが増加し、解熱により減少すること、ビタミンに富んだ食品を摂取した後ORPが減少することも知られており、唾液のORPの測定が健康管理に役立つことも知られている(非特許文献2)。
【0006】
また、酸化還元電位値ORPは、酸化力、還元力と言う尺度で、水素イオン濃度を含むあらゆる元素や化合物の酸化力、還元力を示す指標だと考えられ、ORPの低下は水素イオン濃度の減少とその他の抗酸化物質の増加に伴い還元力が増加したものと理解されている(非特許文献3)。
【0007】
近年、室内空間の空気環境を良くする手段として空気清浄機等が普及しているが、電力が必要で装置も大きいため、玄関、廊下、クローゼット等住宅屋内の各部分に設置できるものではない。また、遠赤外線が住環境改善や人の健康増進に寄与する事が広く知られるようになり、その作用の一つに抗酸化作用があることから、「遠赤外線放射機能を有する微粒子を水溶液の状態にしてフロアに顔料、セメント微粒子パウダーまたは焼成用ミネラル微粒子と共に練り混ぜて定着させたり、あるいは陶磁器に練り混ぜて焼成しフロア部品に用いて活用することで、合成樹脂や合板から発生する有害ガスを除去したりフロアの酸化を阻止して劣化防止や酸化腐敗に起因するカビ菌類の発生を抑制する効果を発生させる建築工法」も知られているが(特許文献3)、木質や室内の壁材の持つナチュラルな美観を保てないという欠点があると同時に、当該工法により得られた建築物の抗酸化機能まで検証されていない。
【0008】
シロアリを駆除するために、フロアを少なくとも1つのマイクロカプセル化農薬及び少なくとも1つのフィルム形成結合剤の水分散液を含んでなるコーティング組成物であって、硬化の際に実質的に水不透性となる前記コーティング組成物によりコーティングする方法も知られているが(特許文献4)、同方法により得られたフロアは、表面に農薬を含有するものであるから、居住者の健康維持を目的とするものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特許第6142121号公報
【文献】特許第6454836号公報
【文献】特許第3741971号公報
【文献】特表2008-527065号公報
【非特許文献】
【0010】
【文献】吉村敏一、「フリーラジカルの医学」、 京府医大誌、2011年、120巻、6号、381―391頁。
【文献】岡澤美江子、「唾液のORP数値を限定して体調度を確認」、臨床検査、2009年、53巻、7号、767~777頁。
【文献】塩田正敏ら、「運動時の唾液酸化還元電位の変化」、山口大学研究論業、第三部、2014年、63巻、123-131頁。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
電力や装置も必要とせずに室内空間の環境を改善し、かつ居住者の健康改善を実証できる手段の提供が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は上記事情を鑑み、鋭意検討を行った結果、植物由来の植物性機能素材とフロア用のコーティング用組成物に配合し、コーティングを行うことにより、室内の還元化環境を構築し得ることを見出した。
【0013】
本発明は、
〔1〕 イタドリ、柿の葉及びヨモギからの抽出物を少なくとも含む植物抽出液を配合することを特徴とするフロアコーティング用組成物、
〔2〕 コーティングを施工した室内空間が還元化作用を持つことを特徴とする〔1〕記載のフロアコーティング用組成物、
〔3〕 イタドリ、柿の葉及びヨモギからの抽出物を少なくとも含む植物抽出液を1~10%含むことを特徴とする〔1〕または〔2〕記載のフロアコーティング用組成物、
〔4〕 イタドリ、柿の葉及びヨモギからの抽出物を少なくとも含む植物抽出液を5%含むことを特徴とする〔1〕~〔3〕いずれかひとつに記載のフロアコーティング用組成物、
〔5〕 フロアコーティング用組成物が、UVコーティング、ガラス系コーティングまたはシリコン系コーティングに用いることができる組成物である〔1〕~〔4〕いずれかひとつに記載のフロアコーティング用組成物、
〔6〕 ウレタンアクリレートを含むことを特徴とする〔1〕~〔5〕いずれかひとつに記載のフロアコーティング用組成物、
〔7〕フロアコーティング用組成物として、プライマーとして用いる第一のフロアコーティグ用組成物および光重合開始剤を含有する第二のフロアコーティング用組成物が含まれる〔6〕記載のフロアコーティング用組成物、
〔8〕塗布前にイタドリ、柿の葉及びヨモギからの抽出物を少なくとも含む植物抽出液をフロアコーティング溶剤に添加混合したフロアコーティング用組成物を、塗布することを特徴とする床のコーティング方法、
〔9〕 フロアコーティングを施工した室内空間が還元化作用を持つことを特徴とする〔8〕記載の床のコーティング方法、
〔10〕 フロアコーティング用組成物が、イタドリ、柿の葉及びヨモギからの抽出物を少なくとも含む植物抽出液を1~10%含むことを特徴とする〔8〕または〔9〕記載の床のコーティング方法、
〔11〕 フロアコーティング用組成物が、イタドリ、柿の葉及びヨモギからの抽出物を少なくとも含む植物抽出液を5%含むことを特徴とする〔8〕~〔10〕いずれかひとつに記載の床のコーティング方法、
〔12〕 UVコーティング、ガラス系コーティングまたはシリコン系コーティングに用いることができる〔8〕~〔11〕いずれかひとつに記載の床のコーティング方法、
〔13〕 フロアコーティング用組成物がウレタンアクリレートを含むことを特徴とする〔8〕~〔12〕いずれかひとつに記載の床のコーティング方法、
〔14〕 UV照射によりフロアコーティング用組成物を硬化させることを特徴とする〔13〕記載の床のコーティング方法、
〔15〕 フロアコーテン用組成物が、プライマーとして用いる第1のフロアコーティング用組成物と光重合開始剤を含有する第二のフロアコーティング用組成物から構成される〔14〕記載の床のコーティング方法、
〔16〕イタドリ、柿の葉及びヨモギからの抽出物を少なくとも含む植物抽出液をプライマーとして用いるフロアコーティング溶剤と混合してプライマーとして用いる第1のプライマー用フロアコーティング組成物を製造する工程、イタドリ、柿の葉及びヨモギからの抽出物を少なくとも含む植物抽出液と、光重合開始剤を含む第2のフロアコーティング溶剤と混合して光重合開始剤を含む第2のフロアコーティング用組成物を製造する工程、床面に第1のプライマー用フロアコーティング組成物を塗布し、乾燥する工程、床面に光重合開始剤を含む第2のフロアコーティング用組成物を塗布する工程、およびUV照射を行う工程を行うことを特徴とする〔15〕記載の床のコーティング方法。
〔17〕 イタドリ、柿の葉及びヨモギからの抽出物を少なくとも含む植物抽出液とフロアコーティング溶剤を含むフロアコーティング用キット、
〔18〕イタドリ、柿の葉及びヨモギからの抽出物を少なくとも含む植物抽出液、プライマーとして用いるフロアコーティング溶剤、および光重合開始剤を含むフロアコーティング溶剤を含む〔17〕記載のフロアコーティング用キット、
〔19〕 コーティングを施工した室内空間が還元化作用を持つことを特徴とする〔17〕または〔18〕記載のフロアコーティング用キット、
〔20〕 〔1〕~〔7〕いずれかひとつ記載のフロアコーティング用組成物を塗布することにより製造したことを特徴とする床材、
〔21〕〔8〕~〔16〕記載のコーティング方法により製造することを特徴とする床材、及び
〔22〕 床材が構成する室内空間が還元化作用を持つことを特徴とする〔20〕または〔21〕記載の床材に関する。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、コーティングを施工した室内空間が還元化作用を持ち、居住者が還元化効果を示す、イタドリ、柿の葉及びヨモギからの抽出物を少なくとも含む植物抽出液を配合することを特徴とするフロアコーティング用組成物、塗布前にイタドリ、柿の葉及びヨモギからの抽出物を少なくとも含む植物抽出液をフロアコーティング溶剤に添加混合し塗布することを特徴とするフロアのコーティング方法、およびイタドリ、柿の葉及びヨモギからの抽出物を少なくとも含む植物抽出液とフロアコーティング溶剤を含むフロアコーティング用キットが提供される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明における、イタドリ、柿の葉及びヨモギからの抽出物を少なくとも含む植物抽出液とは、タデ科の多年生植物であるイタドリ、カキノキ属に属する落葉樹であるカキノキの葉およびキク科の多年草であるヨモギの抽出物を含む植物抽出物であればどのようなものでも良く、この3種類の植物に別の植物の抽出物を加えたものも含まれる。が、市販の抽出物としては商品名万生(有限会社ネイチャーグレイス製)を用いることが好ましい。
【0016】
3種の植物の抽出方法としては、通常医薬品、化粧品、食品等に用いられる抽出法であればどのようなものでも良いが、水蒸気蒸留法を用いることが好ましい。
【0017】
本発明における、イタドリ、柿の葉及びヨモギからの抽出物を少なくとも含む植物抽出液を配合することを特徴とするフロアコーティング用組成物とは、前記植物抽出物とフロアのコーティングに用いるフロアコーティング溶剤を配合した組成物を示し、イタドリ、柿の葉及びヨモギからの抽出物を少なくとも含む植物抽出液を組成物全体に対して1~15%、好ましくは1~10%、とりわけ好ましくは5%含む。
【0018】
本発明におけるフロアコーティング用組成物を塗布する対象とする床材とは、通常建築物に用いられる床材であればどのようなものでも良く、木材、磁器、タイル、リノリウム、プラスチック、コンクリート等が挙げられるが、とりわけ好ましくは木材が用いられる。
【0019】
本発明における、フロアコーティング用組成物、フロアコーティング溶剤とは、フロアコーティングに用いられる組成物であればどのようなものでも良いが、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等を含む組成物であって、UVコーティング、ガラス系コーティングまたはシリコン系コーティングに用いることができる組成物を意味し、UVコーティングに用いる場合は、ウレタンアクリレートを用いることが好ましい。
【0020】
フロアコーティング用組成物、フロアコーティング溶剤に用いるアクリル樹脂は、通常フロアコーティングに用いられるアクリル樹脂であればどのようなものでも良く、水溶性樹脂や水溶性エマルジョンを含む樹脂でも良い。
【0021】
例えば、アクリル系樹脂としては、アクリル系モノマーを主な構成単位とする重合体であるが、アクリル系モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸アルキル(アルキル基の炭素数は通常1~20、好ましくは1~10)エステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル(アルキル基の炭素数は通常2~4)エステルおよびそのラクトン付加物、アミノアルキル(メタ)アクリレ-ト、(メタ)アクリル酸アミドなどが挙げられる。アクリル樹脂は、これらアクリル系モノマーの単独重合体でもよいが、必要により、これらアクリル系モノマーに他のビニル系モノマー(スチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ブタジエン、イソブチレン、イソプレン、1・4-ペンタジエン、酢酸ビニル、ビニルメチルエーテルなど)を共重合させたものでもよい。
【0022】
フロアコーティング用組成物、フロアコーティング溶剤に用いるウレタン樹脂は、通常フロアコーティングに用いられるウレタン樹脂であればどのようなものでも良く、水溶性ウレタン樹脂やウレタン樹脂エマルジョンも含まれるが、ウレタンアクリレート樹脂を用いることが好ましい。
【0023】
前記ウレタンアクリレート樹脂を構成する成分としては、多官能アルコール成分、分子中に一個以上のアルコール性水酸基と一個以上のアクリル酸エステル又はアクリルアミドを有する化合物、ポリイソシアネート化合物が挙げられる。ウレタンアクリレート樹脂を構成する多官能アルコール成分としては、以下に例示した化合物から選ばれる一種類以上の化合物を単独又は必要に応じて任意の比率で二種類以上を混合して使用することができる。
【0024】
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、ジ(1,2-プロピレングリコール)、トリ(1,2-プロピレングリコール)、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,2-ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,3-ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロデカン、1,3-ビス(ヒドロキシメチル)アダマンタン、2,3-ビス(ヒドロキシメチル)ノルボルナン、2,5-ビス(ヒドロキシメチル)ノルボルナン、2,6-ビス(ヒドロキシメチル)ノルボルナン、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、ネオペンチルグリコールモノヒドロキシピバリン酸エステル、スピログリコール(3,9-ビス(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル)-2,4,8,10-テトラオキソスピロ[5.5]ウンデカン)、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパン、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸、グリセリン、エチレンオキサイド変性グリセリン、プロピレンオキサイド変性グリセリン、ペンタエリスリトール、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトール、プロピレンオキサイド変性ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、エチレンオキサイド変性ジトリメチロールプロパン、プロピレンオキサイド変性ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトール、プロピレンオキサイド変性ジペンタエリスリトール、精製ヒマシ油等が挙げられる。
【0025】
本組成物をUVコーティングに用いる場合は.紫外線硬化性樹脂として、以下の5官能以上の紫外線硬化性モノマーまたはその2量体以上の化合物を含むことができる。5官能以上の紫外線硬化性モノマーまたはその2量体以上の化合物としては、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタアクリレート、トリペンタエリスリトールオクタアクリレートなどが挙げられる。
【0026】
必要によりフロアコーティング用組成物、フロアコーティング溶剤には、光重合開始剤を配合する。光重合開始剤は、紫外線照射によって紫外線硬化性樹脂の反応を開始させるために樹脂組成物に添加されるものであり、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテルベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾインまたはベンゾインアルキルエーテル類、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸などの芳香族ケトン類、ベンジルなどのアルファージカルボニル類、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタールなどのベンジルケタール類、アセトフェノン、1-(4-ドデシルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-プロパン-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチル-プロパン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパノン-1などのアセトフェノン類、2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-t-ブチルアントラキノンなどのアントラキノン類、2,4-ジメチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン類、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイドなどのフォスフィンオキサイド類、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-[o-エトキシカルボニル]オキシムなどのアルファーアシルオキシム類、p-ジメチルアミノ安息香酸エチル、p-ジメチルアミノ安息香酸イソアミルなどのアミン類などを使用することができる。 光重合開始剤は、表面硬化性に優れるものと内部硬化性に優れるもの、2種以上を併用することが好ましい。
【0027】
フロアコーティング用組成物、フロアコーティング溶剤をシリコンコーティングに用いる場合は、アクリルオリゴマーとしてシリコンアクリレートを用いることが好ましく、シリコンアクリレートとしては、例えばポリジメチルシロキサンの両末端をエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドの少なくとも一方で変性したアクリレートを用いてもよい。また、シリコンアクリレートとしては、ウレタンアクリレートおよびポリエステルアクリレートの少なくとも一方であり、かつシリコーン骨格を有するものを用いてもよい。
【0028】
フロアコーティング用組成物、フロアコーティング溶剤をガラスコーティングに用いる場合は、テトラアルコキシシラン、トリアルコキシシラン、ジアルコキシシラン、モノアルコキシシラン等のアルコキシシラン類、クロロシラン類、ビニルトリクロロシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、p-スチルリトリメトキシシラン等のシランカップリング剤、シラザン等のシラン化合物を含有するコーティング剤を前記組成物に添加すると、ガラス系コーティング剤を塗布すると、シラン化合物が架橋反応してシロキサン結合が形成されて架橋被膜が形成される。
【0029】
更に任意の成分として、ワックス、可塑剤、分散剤、消泡剤、レベリング剤、増粘剤等を含有させることが出来る。
【0030】
本発明のフロアコーティング用組成物、フロアコーティング溶剤で用いる溶剤としては、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、n-ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族または脂環式炭化水素、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル等のエステル類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテルを挙げることができるが、エマルジョン等の常法により水溶性にした場合は、水を溶剤として用いる。
【0031】
本発明におけるイタドリ、柿の葉及びヨモギからの抽出物を少なくとも含む植物抽出液を配合することを特徴とするフロアコーティング用組成物は、予めイタドリ、柿の葉及びヨモギからの抽出物を少なくとも含む植物抽出液とフロアコーティング溶剤を所望量添加混合して貯蔵しておいても良いが、好ましくは、塗布前にイタドリ、柿の葉及びヨモギからの抽出物を少なくとも含む植物抽出液をフロアコーティング溶剤に添加混合して製造する。フロアコーティング溶剤には、プライマーとして用いるフロアコーティング溶剤、光重合開始剤を含むフロアコーティング溶剤が含まれる。
【0032】
本発明の塗布前にイタドリ、柿の葉及びヨモギからの抽出物を少なくとも含む植物抽出液をフロアコーティング溶剤に添加混合し塗布することを特徴とするフロアのコーティング方法とは、前記のように塗布即ち工事施工の前にイタドリ、柿の葉及びヨモギからの抽出物を少なくとも含む植物抽出液を、フロアコーティング溶剤に添加混合することを特徴とし、UVコーティング、ガラス系コーティングまたはシリコン系コーティングに用いることができる。イタドリ、柿の葉及びヨモギからの抽出物を少なくとも含む植物抽出液をフロアコーティング溶剤に配合しフロアコーティング用組成物を製造する場合、室温でイタドリ、柿の葉及びヨモギからの抽出物を少なくとも含む植物抽出液を組成物全体に対して1~15%、好ましくは1~10%、とりわけ好ましくは5%配合することを特徴とする。
【0033】
このように組成物を製造した後、モップ、好ましくは市販のフロアコーティング専用塗布用モップ等を用いて、フロアコーティング用組成物の塗布を行う。その際使用する本発明のフロアコーティング用組成物の量は、床面積に対して5~30g/m2、好ましくは10~20g/m2を用いて、コーティングの対象とするフロアに塗布する。施行方法は、一度のみの塗布であっても、二重塗布であってもよく、二重塗布の場合、一度目と二度目の塗布では、適宜フロアコーティング組成物の組成や塗布面に対する塗布量を変更させても良い。本発明のフロアコーティング用組成物を塗布して45分~120分、好ましくは1時間、乾燥させた後、フロアコーティングを完成させる。
【0034】
本発明のフロアコーティングをUVコーティングで行う場合は、以下の施工法を用いることができる。
【0035】
(1)イタドリ、柿の葉及びヨモギからの抽出物を少なくとも含む植物抽出液を、組成物全体に対して1~15%、好ましくは1~10%、とりわけ好ましくは5%になるように、プライマーとして用いるフロアコーティング溶剤と混合して、プライマーとして用いる第1のプライマー用フロアコーティング用組成物を塗布前に製造する。
【0036】
(2)イタドリ、柿の葉及びヨモギからの抽出物を少なくとも含む植物抽出液を、組成物全体に対して1~15%、好ましくは1~10%、とりわけ好ましくは5%になるように調整して、光重合開始剤を含むフロアコーティング溶剤と混合して、光重合開始剤を含む第2のフロアコーティング用組成物を製造する。
【0037】
(3)床面に第1のプライマー用フロアコーティング用組成物を、モップ、好ましくは市販のコーティング専用塗布用モップを用い、床面積に対して5~15g/m2、好ましくは10g/m2を塗布する。塗布後30~90分間、好ましくは60分間乾燥させる。
【0038】
(4)プライマーを乾燥させた後、光重合開始剤を含むフロアコーティング用組成物を、モップ、好ましくは市販のUVコーティング専用塗布用モップを用い、15~30g/m2、好ましくは20g/m2を、(3)の工程で塗布が行われた床面に二重塗布する。塗布後30~90分間、好ましくは60分間養生させる。
【0039】
(5)(4)の工程で二重塗布が行われ、養生が終了した床面に対して、UV照射機によりUV照射を行う。UV照射の条件は機種固有のものなので、その条件に従えば良い。
【0040】
本発明において、コーティングを施工した室内空間が還元化作用を持つこととは、本発明のフロアコーティング用組成物を床面に塗布した室内の空間が還元作用を持つことを示し、例えば環境省が定める大気汚染に係る環境基準で定められた酸化物質の濃度が、フロアコーティング用組成物の塗布により減少が認められることでも良いが、居住者の健康環境をより直接的に証明するためには、室内空間に居住するヒトの唾液のORPを測定し、居住者の体内で抗酸化物質の増加等に由来する還元化作用を示すことを測定することが好ましい(非特許文献2,非特許文献3,特許文献1,特許文献2参照)。
【0041】
イタドリ、柿の葉及びヨモギからの抽出物を少なくとも含む植物抽出液を配合することを特徴とするフロアコーティング用組成物は、コーティングを施工した室内空間が還元化作用を示し、塗布前にイタドリ、柿の葉及びヨモギからの抽出物を少なくとも含む植物抽出液をアクリル成分を含む樹脂を含むコーティング用組成物に添加混合し塗布することを特徴とするフロアのコーティング方法により、コーティング施行された室内空間は前記還元化作用を持つ。
【0042】
また、本発明のイタドリ、柿の葉及びヨモギからの抽出物を少なくとも含む植物抽出液とフロアコーティング溶剤を含むフロアコーティング用キットとは、塗布前にイタドリ、柿の葉及びヨモギからの抽出物を少なくとも含む植物抽出液をフロアコーティング用溶剤に添加混合しフロアコーティング用組成物として塗布することを特徴とするフロアコーティング方法に用いるために、イタドリ、柿の葉及びヨモギからの抽出物を少なくとも含む植物抽出液とフロアコーティング溶剤の両者を含むフロアコーティング用品を示す。当該キットはフロアコーティング溶剤として、プライマーに用いるフロアコーティング溶剤、および光重合開始剤を含むフロアコーティング溶剤を含むものであっても良い。当該フロアコーティング用キットを用いて、本発明方法によりフロアコーティングを施工した場合、室内空間が還元化作用を持つ。
【0043】
本発明の、イタドリ、柿の葉及びヨモギからの抽出物を少なくとも含む植物抽出液を配合することを特徴とするフロアコーティング用組成物を塗布することにより製造したことを特徴とする床材とは、木材、磁器、タイル、リノリウム、プラスチック等が挙げられるが、とりわけ好ましくは木材が用いられる。
【0044】
当該床材の製造方法としては、イタドリ、柿の葉及びヨモギからの抽出物を少なくとも含む植物抽出液をフロアコーティング溶剤に配合しフロアコーティング用組成物をイタドリ、柿の葉及びヨモギからの抽出物を少なくとも含む植物抽出液を組成物全体に対して1~15%、好ましくは1~10%、とりわけ好ましくは5%配合するように、調製し、専用モップによる塗布、スプレー塗布、ローラーによる塗布等、通常工業的に床材をコーティングする塗布方法にて、本発明のフロアコーティング用組成物を床材の床面積に対して5~30g/m2、好ましくは10~20g/m2を用いて、床材に塗布する。塗布方法は、一度のみの塗布であっても、二重塗布であってもよく、二重塗布の場合、一度目と二度目の塗布では、適宜フロアコーティング組成物の組成や塗布面に対する塗布量を変更させても良い。本発明のフロアコーティング用組成物を塗布して45分~120分、好ましくは1時間、乾燥させた後、本発明の組成物が塗布された床材が製造される。
【0045】
本発明の床材の製造方法を、紫外線照射により固定化する方法で行う場合は、以下の施工法を用いることができる。
【0046】
(1)イタドリ、柿の葉及びヨモギからの抽出物を少なくとも含む植物抽出液を、組成物全体に対して1~15%、好ましくは1~10%、とりわけ好ましくは5%になるように、プライマーとして用いるフロアコーティング溶剤と混合して、プライマーとして用いる第1のプライマー用フロアコーティング組成物を予め製造する。
【0047】
(2)イタドリ、柿の葉及びヨモギからの抽出物を少なくとも含む植物抽出液を、組成物全体に対して1~15%、好ましくは1~10%、とりわけ好ましくは5%になるように調整して、光重合開始剤を含むフロアコーティング溶剤と混合して、光重合開始剤を含む第2のフロアコーティング用組成物を製造する。
【0048】
(3)床材に第1のプライマー用フロアコーティング用組成物を、床面積に対して5~15g/m2、好ましくは10g/m2を常法により塗布し、乾燥時間は温度等によっても変動できるが、室温の場合、塗布後30~90分間、好ましくは60分間乾燥させる。
【0049】
(4)床材のプライマーを乾燥させた後、第2の光重合開始剤を含むフロアコーティング用組成物を、床材の単位面積に対して15~30g/m2、好ましくは20g/m2を常法により、床材に二重塗布する。室温の場合塗布後30~90分間、好ましくは60分間養生させる。
【0050】
(5)(4)の工程で二重塗布が行われ、養生が終了した床面に対して、UV照射機によりUV照射を行う。UV照射の条件は機種固有のものなので、その条件に従えば良い。
本工程の収量により、本発明の床材が製造される。
【実施例】
【0051】
実施例1
(組成物の製造と室内のコーティング)
イタドリ、柿の葉及びヨモギからの抽出物を少なくとも含む植物抽出液として市販の万生液(商品名:有限会社ネーチャーグレース製)と、プライマー用フロアコーティング溶剤として第1表に示した組成を持つウレタンアクリレートを主成分とする水性プライマー(商品名:AKO株式会社製)を室温で、全体に占める万生き液の濃度が全体に対して5%になるように配合した後撹拌し、イタドリ、柿の葉及びヨモギからの抽出物を少なくとも含む植物抽出液を5%配合することを特徴とするプライマー用フロアコーティング用組成物(以下、組成物1)を製造した。
【0052】
【0053】
次いで、イタドリ、柿の葉及びヨモギからの抽出物を少なくとも含む植物抽出液として市販の万生液(商品名:有限会社ネーチャーグレース製)と第2表に示した組成を持つウレタンアクリレートを主成分としてUV硬化性の機能を持つUVトップM2-A(商品名AKO株式会社製)を室温で、全体に占める万生液の濃度が全体に対して5%になるように配合した後撹拌し、イタドリ、柿の葉及びヨモギからの抽出物を少なくとも含む植物抽出液を5%配合することを特徴とする光重合開始剤含有フロアコーティング用組成物(以下、組成物2)を製造した。
【0054】
【0055】
組成物1をモデルルームの床面に関して、床面積1m2あたり10gを専用モップを用いて床に塗布した後、約1時間乾燥させた。乾燥させた床面に対して、組成物2を床面積1m2あたり10gを専用モップを用いて床に塗布した後、約1時間養生させた。
1時間養生した後、UV照射機としてモバイルロボットHD1500(オムロン株式会社製)により、UV強度600mWで紫外線を照射し樹脂を硬化させ、床面に本発明組成物のコーティング層を形成させた。
【0056】
実施例2
(居住者の唾液中のORPの測定)
実施例1の方法に従って、本発明組成物によるフロアコーティングを施工したマンションの部屋において、8名の被験者(男性4名、女性4名、年齢20歳代~50歳代)を、入室させ床から60cmまでの高さに頭がくるように90分間座らせた。この間飲食は行わなかった。
【0057】
各人に対して入出前および入出後10分、30分、40分、50分、60分、90分後の唾液を採取し、唾液のORPを酸化還元電位計を用いて測定した(特許文献1、特許文献2参照)。結果を第3表に示した。
【0058】
【0059】
第3表によれば、被験者8人の本発明のフロアコーティングを施工した部屋に入室する前に採取測定した唾液のORPと、入室10分後の唾液のORPを対比すると、入室前から突出して強い還元作用を示した1人の被験者を除けば、8名中7名全員が、明確に還元方向を示していた。 入室30分後に測定したORPは被験者によりデトックス作用による一時的な酸化方向を示したものの、40分以降、60分後の長時間経過後においても、前述の被験者7名が、入室前よりも強い還元傾向を明確に示した。
【0060】
今回の検証結果により、唾液中のORPの基準値は40~50mVが体調良好と体調不良の境界数値であることから、入室前にマイナス47、マイナス24mVを示した2人の被験者も含め90分後の長時間の経時測定においても、基準値の40mVより体調良好の還元方向の数値を示した。
【0061】
本検証結果により、本発明を用いた室内空間は、特定非営利活動法人日本ORP測定検証協会から還元検証を受けた。