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特許7426121CXCR3の切断可能な活性化因子および使用方法
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  • 特許-CXCR3の切断可能な活性化因子および使用方法 図1A
  • 特許-CXCR3の切断可能な活性化因子および使用方法 図1B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-24
(45)【発行日】2024-02-01
(54)【発明の名称】CXCR3の切断可能な活性化因子および使用方法
(51)【国際特許分類】
   C07K 14/52 20060101AFI20240125BHJP
   A61K 38/02 20060101ALI20240125BHJP
   A61K 38/03 20060101ALI20240125BHJP
   A61K 38/16 20060101ALI20240125BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20240125BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240125BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20240125BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20240125BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240125BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20240125BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240125BHJP
   C12N 15/10 20060101ALN20240125BHJP
   C12N 15/19 20060101ALN20240125BHJP
【FI】
C07K14/52 ZNA
A61K38/02
A61K38/03
A61K38/16
A61P3/10
A61P17/00
A61P17/02
A61P27/02
A61P29/00
A61P37/06
A61P43/00 105
A61P43/00 107
C12N15/10 200Z
C12N15/19
【請求項の数】 37
(21)【出願番号】P 2021521472
(86)(22)【出願日】2019-10-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-07
(86)【国際出願番号】 US2019056955
(87)【国際公開番号】W WO2020086400
(87)【国際公開日】2020-04-30
【審査請求日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】62/748,711
(32)【優先日】2018-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504279968
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ ピッツバーグ - オブ ザ コモンウェルス システム オブ ハイヤー エデュケイション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ウェルズ, アラン エイチ.
【審査官】福間 信子
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-526315(JP,A)
【文献】国際公開第2013/032853(WO,A1)
【文献】NOMIYAMA H et al.,“Systematic classification of vertebrate chemokines based on conserved synteny and evolutionary history.”,Genes to cells : devoted to molecular & cellular mechanisms,2012年,Vol. 18, No. 1,pp. 1-16
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組換えC-X-Cモチーフケモカインリガンド(CXCL)ペプチドであって、配列番号2~5のうちのいずれか1つと少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含み、ここで前記組換えCXCLペプチドは、カテプシンおよび/またはエラスターゼ切断のために配列番号1の14位に対応する位置にセリンからヒスチジンへの置換を含み、前記組換えCXCLペプチドは、血管新生をブロックする能力を保持し、かつ、前記組換えCXCLペプチドは、約12~約30アミノ酸の長さである、組換えC-X-Cモチーフケモカインリガンド(CXCL)ペプチド。
【請求項2】
前記カテプシンは、カテプシンGである、請求項に記載の組換えCXCLペプチド。
【請求項3】
前記カテプシンは、カテプシンKである、請求項に記載の組換えCXCLペプチド。
【請求項4】
前記エラスターゼは、好中球エラスターゼである、請求項に記載の組換えCXCLペプチド。
【請求項5】
前記ペプチドは、約18~約25アミノ酸の長さである、請求項1に記載の組換えCXCLペプチド。
【請求項6】
前記ペプチドは、21または22アミノ酸の長さである、請求項1に記載の組換えCXCLペプチド。
【請求項7】
前記ペプチドのアミノ酸配列は、配列番号と少なくとも90%同一である、請求項1に記載の組換えCXCLペプチド。
【請求項8】
前記ペプチドのアミノ酸配列は、配列番号と少なくとも95%同一である、請求項1に記載の組換えCXCLペプチド。
【請求項9】
前記ペプチドのアミノ酸配列は、配列番号2からなる、請求項1に記載の組換えCXCLペプチド。
【請求項10】
前記ペプチドのアミノ酸配列は、配列番号2を含む、請求項1に記載の組換えCXCLペプチド。
【請求項11】
前記ペプチドは、少なくとも1個の化学的改変を含む、請求項1に記載の組換えCXCLペプチド。
【請求項12】
前記少なくとも1個の化学的改変は、前記ペプチドのN末端における改変、前記ペプチドのC末端における改変、または両方を含む、請求項1に記載の組換えCXCLペプチド。
【請求項13】
前記N末端における改変は、ホルミル化、アセチル化、プロピオニル化、ピログルタミン酸形成、ミリストイル化、パルミチル化、S-パルミトイル化、モノメチル化、ジメチル化、トリメチル化、またはこれらの任意の組み合わせを含む、請求項1に記載の組換えCXCLペプチド。
【請求項14】
前記C末端における改変は、メチル化、α-アミド化、またはこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の組換えCXCLペプチド。
【請求項15】
前記少なくとも1個の化学的改変は、非標準的なペプチド結合を含む、請求項1に記載の組換えCXCLペプチド。
【請求項16】
少なくとも1個のD-アミノ酸を含む、請求項1に記載の組換えCXCLペプチド。
【請求項17】
少なくとも1個の非標準アミノ酸を含む、請求項1に記載の組換えCXCLペプチド。
【請求項18】
前記少なくとも1個の非標準アミノ酸は、改変された非標準アミノ酸である、請求項17に記載の組換えCXCLペプチド。
【請求項19】
前記ペプチドは、前記ペプチドのN末端、前記ペプチドのC末端、または両方において改変された非標準アミノ酸を含む、請求項18に記載の組換えCXCLペプチド。
【請求項20】
前記ペプチドは、前記N末端において改変された非標準アミノ酸を含み、前記改変は、ホルミル化、アセチル化、プロピオニル化、ピログルタミン酸形成、ミリストイル化、パルミチル化、S-パルミトイル化、モノメチル化、ジメチル化、トリメチル化、またはこれらの任意の組み合わせを含む、請求項19に記載の組換えCXCLペプチド。
【請求項21】
前記ペプチドは、前記C末端において改変された非標準アミノ酸を含み、前記改変は、メチル化、α-アミド化、またはこれらの組み合わせを含む、請求項19に記載の組換えCXCLペプチド。
【請求項22】
前記少なくとも1個の非標準アミノ酸は、メチル化アミノ酸、ポリエチレングリコールポリマーに結合体化したアミノ酸、ビオチンに結合体化したアミノ酸、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)に結合体化したアミノ酸、キャリアタンパク質に結合体化したアミノ酸、放射性同位体で標識したアミノ酸、またはこれらの任意の組み合わせである、請求項17に記載の組換えCXCLペプチド。
【請求項23】
徐放性製剤中にある、請求項1に記載の組換えCXCLペプチド。
【請求項24】
前記徐放性製剤は、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)(PLGA)、ヒドロゲルまたはコアセルベートを含む、請求項2に記載の組換えCXCLペプチド。
【請求項25】
請求項1に記載の組換えCXCLペプチドおよび薬学的に受容可能なキャリアを含む、組成物。
【請求項26】
局所投与、鼻内投与、吸入、静脈内投与、硝子体内投与、筋肉内投与、皮内投与、または皮下投与のために製剤化されている、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
エアロゾル化またはネブライザーによって肺に送達するために製剤化されている、請求項25に記載の組成物。
【請求項28】
カテーテルおよび点滴注入によって膀胱に送達するために製剤化されている、請求項25に記載の組成物。
【請求項29】
単位投与形態にある、請求項25に記載の組成物。
【請求項30】
被験体において線維症を阻害するための、請求項1に記載のCXCLペプチドを含む組成物。
【請求項31】
前記被験体は、創傷、自己免疫疾患、炎症性の疾患もしくは障害、または医原性の疾患もしくは障害を有する、請求項3に記載の組成物。
【請求項32】
前記自己免疫疾患は、糖尿病、強皮症または自己免疫性線維症である、請求項3に記載の組成物。
【請求項33】
前記炎症性の疾患もしくは障害は、特発性肺線維症(IPF)である、請求項3に記載の組成物。
【請求項34】
前記医原性の疾患もしくは障害は、薬物誘導性肺線維症、カルメットゲラン桿菌(BCG)処置誘導性膀胱線維症、または化学療法誘導性膀胱線維症である、請求項3に記載の組成物。
【請求項35】
被験体において血管新生を阻害するための、請求項1に記載のCXCLペプチドを含む組成物。
【請求項36】
前記被験体は、眼の血管新生障害を有する、請求項35に記載の組成物。
【請求項37】
前記眼の血管新生障害は、ウェット型黄斑変性、糖尿病網膜症、未熟児網膜症、緑内障処置後再狭窄、血管新生緑内障または角膜新生血管である、請求項36に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2018年10月22日出願の米国特許出願第62/748,711号(その全体において本明細書に参考として援用される)の利益を主張する。
【0002】
分野
本開示は、炎症部位に存在するプロテアーゼによって切断され得るC-X-Cケモカインレセプター3(CXCR3)のペプチド活性化因子(activators)、およびその使用方法(例えば、炎症を引き起こすことなく線維症を阻害するため)に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
ケモカインレセプターCXCR3は、C-X-Cケモカインレセプターファミリーの中のGタンパク質共役レセプターである。CXCR3は、活性化Tリンパ球およびナチュラルキラー(NK)細胞上で主に発現される。CXCR3のリガンドとしては、C-X-Cモチーフケモカインリガンド4(CXCL4)、CXCL9、CXCL10およびCXCL11が挙げられる。CXCR3へのこれらのリガンドの結合は、多面的な効果(接着性細胞に対する抗線維化効果、ならびに先天性免疫系の細胞に対する炎症促進効果および線維化効果が挙げられる)を生じる。CXCR3の活性化因子は、線維芽細胞、内皮細胞および他の接着性細胞上で発現されるCXCR3レセプターを通じてシグナル伝達する場合に、線維症および血管新生を制限し得る。しかし、免疫細胞上のCXCR3の活性化は、炎症性の瘢痕化および線維症を促進し得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
要旨
プロテアーゼ(炎症応答の間に活性化されるプロテアーゼ)の切断部位を導入するように改変される組換えC-X-Cモチーフケモカインリガンド(CXCL)ペプチドが、本明細書で記載される。開示されるペプチドは、上記プロテアーゼによって分解されるまで、CXCR3を活性化する能力を有する。上記CXCLペプチド上のタンパク質分解性切断は、炎症促進性応答を最小限にし、線維症の発症を阻害する。
【0005】
プロテアーゼの切断部位を導入するように野生型CXCLアミノ酸配列に対して改変される組換えCXCLペプチドが、本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、上記CXCLは、C-X-Cケモカインレセプター3(CXCR3)のリガンド(例えば、CXCL10、CXCL4、CXCL9またはCXCL11)である。いくつかの実施形態において、上記プロテアーゼは、カテプシン、エラスターゼまたはマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)である。
【0006】
本明細書で開示される組換えCXCLペプチドを含む組成物がまた、提供される。上記組成物は、例えば、局所投与、鼻内投与、吸入、静脈内投与、硝子体内投与、筋肉内投与、皮内投与、または皮下投与のために製剤化され得る。いくつかの実施形態において、上記組成物は、単位投与形態にある。
【0007】
被験体において線維症を阻害する方法がまた、提供される。いくつかの実施形態において、上記方法は、本明細書で開示されるCXCLペプチドまたは組成物を上記被験体に投与する工程を包含する。いくつかの例では、上記被験体は、創傷、自己免疫疾患、炎症性の疾患もしくは障害、または医原性の疾患もしくは障害を有する。
【0008】
被験体において血管新生を阻害する方法がさらに、提供される。いくつかの実施形態において、上記方法は、本明細書で開示されるCXCLペプチドまたは組成物を上記被験体に投与する工程を包含する。いくつかの例では、上記被験体は、眼の血管新生障害を有する。
【0009】
本発明の前述および他の目的、特徴、および利点は、添付の図面を参照しながら進める以下の詳細な説明からより明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A図1A~1B:脈絡膜新生血管(CNV)を遮断することにおけるCXCL10由来切断可能ペプチドの有効性。改変されたペプチド110(配列番号2)を、CNVのマウスモデルにおいて試験した。マウスに、ビヒクル、ペプチド110、陽性コントロールペプチド(ペプチド102、105または107)、またはコントロールとして対応するスクランブルペプチドを投与した。ペプチドを、1μg(図1A)または3μg(図1B)の用量において投与した。Exp=実験ペプチド;CTRL=スクランブルコントロールペプチド。
図1B図1A~1B:脈絡膜新生血管(CNV)を遮断することにおけるCXCL10由来切断可能ペプチドの有効性。改変されたペプチド110(配列番号2)を、CNVのマウスモデルにおいて試験した。マウスに、ビヒクル、ペプチド110、陽性コントロールペプチド(ペプチド102、105または107)、またはコントロールとして対応するスクランブルペプチドを投与した。ペプチドを、1μg(図1A)または3μg(図1B)の用量において投与した。Exp=実験ペプチド;CTRL=スクランブルコントロールペプチド。
【発明を実施するための形態】
【0011】
配列表
添付の配列表に列挙される核酸配列およびアミノ酸は、37 C.F.R. 1.822に規定されるように、ヌクレオチド塩基に関して標準的な略字、およびアミノ酸に関しては3文字コードを使用して示される。各核酸配列の一方の鎖のみが示されるが、その相補鎖は、示される鎖への何らかの言及によって含まれるものと理解される。配列表は、ASCIIテキストファイルとして提出される(作成日:2019年10月16日、13.2 KB(本明細書に参考として援用される))。添付の配列表において:
【0012】
配列番号1は、野生型CXLC10ペプチドのアミノ酸配列である。
【0013】
配列番号2~7は、改変されたCXCL10ペプチドのアミノ酸配列である。各ペプチドのC末端プロリン残基は、必要に応じてアミド化またはメチル化される。
【0014】
配列番号8は、ヒトCXCL10のアミノ酸配列である。
【0015】
配列番号9は、ヒトCXCL4のアミノ酸配列である。
【0016】
配列番号10は、ヒトCXCL9のアミノ酸配列である。
【0017】
配列番号11は、ヒトCXCL11のアミノ酸配列である。
【0018】
配列番号12は、カテプシンG認識部位のアミノ酸配列である。
【0019】
配列番号13は、好中球エラスターゼ認識部位のアミノ酸配列である。
【0020】
配列番号14~16は、野生型CXLC4ペプチドのアミノ酸配列である。
【0021】
配列番号17~23は、改変されたCXCL4ペプチドのアミノ酸配列である。
【0022】
配列番号24~26は、野生型CXLC11ペプチドのアミノ酸配列である。
【0023】
配列番号27~34は、改変されたCXCL11ペプチドのアミノ酸配列である。
【0024】
配列番号35は、カテプシンK認識部位のアミノ酸配列である。
【0025】
配列番号36は、MMP2認識部位のアミノ酸配列である。
【0026】
詳細な説明
I.略語
BCG カルメットゲラン桿菌
CNV 脈絡膜新生血管
CXCR3 C-X-Cケモカインレセプター3
CXCL4 ケモカイン(C-X-Cモチーフ)リガンド4
CXCL9 ケモカイン(C-X-Cモチーフ)リガンド9
CXCL10 ケモカイン(C-X-Cモチーフ)リガンド10
CXCL11 ケモカイン(C-X-Cモチーフ)リガンド11
FITC フルオレセインイソチオシアネート
IP-10 インターフェロン-γ誘導性10kDaタンパク質
IPF 特発性肺線維症
MMP マトリクスメタロプロテイナーゼ
NV 新生血管
PLGA ポリ(乳酸-co-グリコール酸)
【0027】
II.用語および方法
別段注記されなければ、技術用語は、従来の使用法に従って使用される。分子生物学における一般的用語の定義は、以下において見出され得る:Benjamin Lewin, Genes X, 発行:Jones & Bartlett Publishers, 2009;およびMeyersら(編), The Encyclopedia of Cell Biology and Molecular Medicine, 発行:Wiley-VCH in 16 volumes, 2008;ならびに他の類似の参考文献。
【0028】
本明細書で使用される場合、単数形「1つの、ある(a)」、「1つの、ある(an)」、および「上記、その、この(the)」とは、文脈が別段明らかに示さなければ、単数形および複数形の両方に言及する。例えば、用語「1つの抗原(an antigen)」は、単数のまたは複数の抗原を含み、語句「少なくとも1つの抗原(at least one antigen)」に等しいとみなされ得る。本明細書で使用される場合、用語「含む、包含する(comprises)」とは、「含む(includes)」を意味する。核酸またはポリペプチドに関して示される任意のおよび全ての塩基サイズまたはアミノ酸サイズ、ならびに全ての分子量または分子質量の値が概算値であり、別段示されなければ、説明目的で提供されることは、さらに理解されるべきである。本明細書で記載されるものに類似または等価な多くの方法および材料が使用され得るが、特に適切な方法および材料が本明細書で記載される。矛盾する場合には、本明細書が用語の説明を含めて優先する。さらに、材料、方法、および例は、例証に過ぎず、限定するとは意図されない。種々の実施形態の検討を容易にするために、以下の用語の説明が提供される。
【0029】
投与(administration):選択された経路による被験体への組成物(例えば、タンパク質またはペプチド)の導入。例えば、その選択された経路が静脈内である場合、上記組成物は、上記組成物を被験体の静脈に導入することによって投与される。例示的な投与経路としては、注射(例えば、眼内、硝子体内、皮下、筋肉内、皮内、腹腔内、および静脈内)、経口、管内、舌下、経皮、鼻内、局所、吸入経路および医療用移植物を介するものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
血管新生(angiogenesis):既存の血管から新しい血管が成長することが関わる生理学的プロセス。血管新生は、成長および発生において、ならびに創傷治癒においておよび肉芽組織において、正常なかつ極めて重要なプロセスである。しかし、それは、休眠状態から悪性の状態への腫瘍の移行における基礎的な工程でもあり、多くの他の障害が、異常な血管新生から生じる。「異常な血管新生(aberrant angiogenesis)」とは、多くの異なる疾患(眼の障害、例えば、緑内障処置後再狭窄、ウェット型黄斑変性、糖尿病網膜症、未熟児網膜症または血管新生緑内障が挙げられる)に存在する制御されないまたは病的な血管新生をいう。
【0031】
血管新生障害(angiogenic disorder):異常な血管新生から生じる任意の状態、疾患または障害。血管新生障害の例としては、例えば、がん、糖尿病網膜症、黄斑変性、未熟児網膜症、角膜新生血管および血管新生緑内障が挙げられる。この用語はまた、医療介入から生じる異常な病的血管新生から生じる状態(例えば、緑内障処置後再狭窄および角膜移植から生じる血管新生)を含む。
【0032】
眼の血管新生障害(angiogenic disorder of the eye):任意の眼内または眼の外部の血管新生障害を含む。例えば、眼内血管新生障害としては、眼の内部の障害(例えば、糖尿病網膜症、ウェット型黄斑変性、未熟児網膜症、緑内障処置後再狭窄および血管新生緑内障)が挙げられる。眼の外部血管新生障害は、眼の外側にある(例えば、角膜新生血管)。
【0033】
自己免疫疾患(autoimmune disease):免疫系が内因性の抗原に対して免疫応答(例えば、B細胞またはT細胞応答)を生じ、結果として組織に対する傷害を伴う障害。自己免疫疾患としては、1型糖尿病、関節リウマチ、乾癬、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス(狼瘡)、炎症性腸疾患、アジソン病、グレーブス病、シェーグレン症候群、橋本甲状腺炎、重症筋無力症およびセリアック病が挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
キャリアタンパク質(carrier protein):分子の免疫原性を促進するために、別の分子(例えば、ペプチド、低分子、または有機化合物)に付着され得る免疫原性タンパク質。キャリアタンパク質の例としては、ウシ血清アルブミン、オボアルブミン、およびキーホールリンペット・ヘモシアニンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0035】
カテプシン(cathepsin):プロテアーゼの1タイプ。プロテアーゼのカテプシンファミリーとしては、セリンプロテアーゼ(カテプシンA、カテプシンG)、システインプロテアーゼ(カテプシンB、カテプシンC、カテプシンF、カテプシンH、カテプシンK、カテプシンL1、カテプシンL2、カテプシンO、カテプシンS、カテプシンW、カテプシンZ)、およびアスパルチルプロテアーゼ(カテプシンD、カテプシンE)が挙げられる。
【0036】
カテプシンG(cathepsin G):炎症部位において細胞内病原体を排除するおよび炎症部位において組織を分解することにおいて役割を果たすことが公知のセリンプロテアーゼ。カテプシンGは、好中球および他の免疫細胞において見出される貯蔵されたアズール親和性顆粒である。
【0037】
コアセルベート(coacervate):疎水性の力によって一緒に保持されたコロイド液滴の球状凝集物。コアセルベート液滴は、直径が概して約1~100μmである。
【0038】
保存的改変体(conservative variant):「保存的」アミノ酸置換は、タンパク質またはペプチドの活性または抗原性に実質的に影響を及ぼさないまたは減少させないそれらの置換である。例えば、本明細書で開示されるペプチドは、多くても約1個、多くても約2個、多くても約3個、多くても約4個または多くても約5個の保存的置換(例えば、1個、2個、3個、4個、または5個の保存的置換)を含み得、生物学的活性(例えば、CXCR3に結合する能力)を保持し得る。保存的置換の具体的な非限定的例としては、以下の例が挙げられる:
【表1-1】
【表1-2】
【0039】
用語保存的改変体はまた、置換されていない親アミノ酸の代わりに置換されたアミノ酸の使用を含む。非保存的置換は、活性または抗原性を低減するものである。
【0040】
角膜新生血管(corneal neovascularization):低酸素受容によって引き起こされる角膜縁血管叢から角膜への血管の過剰な内方成長(ingrowth)。最も一般的な原因のうちの1つは、コンタクトレンズの装着、特に、長期間のコンタクトレンズ装着に由来する。角膜新生血管はまた、眼の傷害に対する一般的な応答であり、角膜移植後にも起こり得る。
【0041】
ケモカイン(C-X-Cモチーフ)リガンド4(Chemokine (C-X-C motif) ligand 4)(CXCL4):CXCケモカインファミリーに属する小さなサイトカイン。CXCL4は、血小板第4因子(PF4)としても公知である。CXCL4は、活性化血小板のα顆粒から放出される70アミノ酸のタンパク質であり、ヘパリンに対して高い親和性で結合する。その主要な生理学的役割は、血管の内皮表面上のヘパリン様分子の中和であるようであり、それによって、局所的なアンチトロンビンIII活性を阻害し、凝固を促進する。好中球および線維芽細胞の強い化学誘因物質として、CXCL4は、炎症および創傷修復において役割を果たすと考えられる。CXCL4は、CXCR3のBアイソフォーム(CXCR3-B)を結合することが公知である。CXCL4の配列は、公に入手可能である(例えば、GENBANKTM Gene ID 5196を参照のこと)。例示的なヒトCXCL4配列は、本明細書において配列番号9として示される。
【0042】
ケモカイン(C-X-Cモチーフ)リガンド9(CXCL9):CXCケモカインファミリーのメンバー。CXCL9タンパク質は、T細胞トラフィッキングに関与すると考えられる。CXCL9は、CXCR3に結合し、リンパ球の化学誘因物質であるが、好中球の化学誘因物質ではない。CXCL4の配列は、公に入手可能である(例えば、GENBANKTM Gene ID 4283を参照のこと)。例示的なヒトCXCL4は、本明細書において配列番号10として示される。
【0043】
ケモカイン(C-X-Cモチーフ)リガンド10(CXCL10):CXCサブファミリーのケモカインおよびレセプターCXCR3のリガンド。CXCL10は、インターフェロン-γ誘導性10kDaタンパク質(IP-10)としても公知である。CXCR3へのこのタンパク質の結合は、多面的な効果(単球、ナチュラルキラー細胞およびT細胞移動の刺激、接着分子発現の調節、ならびに血管形成の阻害が挙げられる)を生じる。CXCL10配列は、公に入手可能である(例えば、GENBANKTMを通じて(例えば、ヒトIP-10配列に関してはGene ID 3627を参照のこと;GENBANKTMアクセッション番号P02778も参照のこと)。例示的なヒトCXCL10配列は、本明細書において配列番号8として示される。
【0044】
ケモカイン(C-X-Cモチーフ)リガンド11(CXCL11):CXCサブファミリーのケモカインおよびレセプターCXCR3のリガンド。CXCL11タンパク質は、活性化T細胞における化学走性応答を誘導し、CXCR3の優勢なリガンドである。このタンパク質をコードする遺伝子は、4個のエキソンおよび発現の細胞特異的調節を反映し得る少なくとも3個のポリアデニル化シグナルを含む。IFN-γは、この遺伝子の転写の強力な誘導因子である。CXCL11の配列は、公に入手可能である(例えば、GENBANKTM Gene ID 6373を参照のこと)。例示的なヒトCXCL11配列は、本明細書において配列番号11として示される。
【0045】
CXCR3(C-X-Cケモカインレセプター3):4種のケモカイン、CXCL4/PF4(血小板第4因子)、CXCL9/Mig(インターフェロン-γによって誘導されるモノカイン)、CXCL10/IP-10(インターフェロン-γ誘導性10kDaタンパク質)およびCXCL11/I-TAC(インターフェロン誘導性T細胞a-化学誘因物質)に対する選択性を有するGタンパク質共役レセプター。このタンパク質へのケモカインの結合は、白血球トラフィッキングに関与する細胞応答(最も顕著であるのは、インテグリン活性化、細胞骨格変化および化学走性移動)を誘導する。あるいは、異なるアイソフォームをコードするスプライスされた転写物改変体が、この遺伝子に関して見出されている。アイソフォームのうちの1つ(CXCR3-B)は、ケモカインCXCL4に対して高い親和性結合を示す。
【0046】
糖尿病網膜症(diabetic retinopathy):網膜に対する損傷が糖尿病の合併症に起因して起こる障害。増殖性網膜症(これは、疾患の進行したステージにおいて概して起こる)は、硝子体腔へと延びる硝子体表面での新たな血管の異常な形成によって特徴づけられる。
【0047】
エラスターゼ(elastase):エラスチンを分解するセリンプロテアーゼ。エラスターゼは、キモトリプシン様エラスターゼ、キモトリプシンエラスターゼ、好中球エラスターゼおよびマクロファージエラスターゼを含む。好中球エラスターゼは、細菌膜タンパク質および病原性因子(virulence factor)を分解し得る。
【0048】
線維症:結合組織の肥厚化および瘢痕化と関連する状態。しばしば、線維症は、傷害に応じて(例えば、組織を損傷する疾患または状態から)起こる。線維症は、重篤な場合には、正常な器官機能に干渉し得る過大な創傷治癒応答である。線維症は、肺(肺線維症、嚢胞性線維症、放射線誘導性肺傷害)、肝臓(肝硬変、胆道閉鎖症)、心臓(動脈線維症、心内膜心筋線維症、以前の心筋梗塞)、脳、皮膚(強皮症、硬化症)、腎臓、関節および腸(クローン病)におけるものを含む身体のほぼどのような組織でも起こり得る。
【0049】
緑内障(glaucoma):視神経が損傷を被り、影響を及ぼされた眼において恒久的に視力に損傷を与え、処置されないままであれば完全に失明するまで進行する眼の障害。それは一般に、眼の中の流体(眼房水)の圧力の増大と関連する。
【0050】
ヒドロゲル(hydrogel):架橋されたポリマー鎖のネットワークから構成される高分子のポリマーゲル。
【0051】
医原性の疾患もしくは障害(iatrogenic disease or disorder):医療的処置または診断手順によって引き起こされる疾患または障害。例示的な医原性の疾患/障害としては、薬物誘導性(例えば、ブレオマイシン誘導性)肺線維症、カルメットゲラン桿菌(BCG)処置誘導性膀胱線維症、および化学療法誘導性膀胱線維症が挙げられる。
【0052】
炎症性の疾患もしくは障害(Inflammatory disease or disorder):炎症によって特徴づけられる疾患または障害。例としては、特発性肺線維症、アレルギー、喘息、自己免疫疾患、セリアック病、肝炎、炎症性腸疾患、再灌流傷害および移植片拒絶が挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
黄斑変性(macular degeneration):黄斑の萎縮または変性を生じる状態。加齢黄斑変性は、高齢者において視力喪失の原因第1位である。黄斑変性には、ドライ型およびウェット型といわれる2つの異なるタイプが存在する。萎縮型黄斑変性(ドライ型)では、黄斑領域に色素異常が存在するが、上昇した黄斑の瘢痕または黄斑の領域において出血または滲出物は存在しない。対照的に、滲出型黄斑変性(ウェット型)では、脈絡膜新生血管の網膜下ネットワークの形成が存在する。
【0054】
マトリクスメタロプロテイナーゼ(matrix metalloproteinase)(MMP):カルシウム依存性亜鉛含有エンドペプチダーゼ。MMPは、細胞外マトリクスの構成要素を分解し得、細胞表面レセプターの切断、アポトーシスリガンド(例えば、FASリガンド)の放出、およびケモカイン/サイトカインの不活性化において役割を果たすことも公知である。
【0055】
血管新生緑内障(neovascular glaucoma):非常に処置が困難な緑内障の1タイプ。この状態は、増殖性糖尿病網膜症または網膜中心静脈閉塞症によってしばしば引き起こされる。血管新生緑内障は、網膜または毛様体の虚血を生じる他の状態によっても誘発され得る。眼の血流が不足している個体は、この状態のリスクが高い。血管新生緑内障は、新たな異常な血管が排水を遮断し始める眼の角度において発生し始める場合に生じる。この状態を有する患者は、彼らの視力を急激に失い始める。ときおり、その疾患は非常に急激に、特に白内障手術後に、出現する。
【0056】
非標準アミノ酸(Non-canonical amino acid):遺伝コードにおける三つ組のコドンによって直接的にコードされる20個のアミノ酸のうちの1つではないアミノ酸。非標準アミノ酸は、「非標準的(non-standard)」アミノ酸ともいわれる。
【0057】
ペプチドまたはポリペプチド(Peptide or polypeptide):アミド結合を介して一緒に結合される、モノマーがアミノ酸残基であるポリマー。アミノ酸がα-アミノ酸である場合、L-光学異性体またはD-光学異性体のいずれかが使用され得、L-異性体が好ましい。用語「ポリペプチド」、「ペプチド」または「タンパク質」とは、本明細書で使用される場合、任意のアミノ酸配列を包含し、改変された配列(例えば、糖タンパク質)を含むことが意図される。用語「ポリペプチド」および「ペプチド」は、天然に存在するタンパク質、ならびに組換え生成または合成して生成されるものを網羅することが具体的に意図される。いくつかの実施形態において、ペプチドは、10~200アミノ酸の間の長さ(10~100、10~50、10~30、15~50、15~30または18~25アミノ酸の長さを含む)である。特定の例では、上記ペプチドは、約21または約22アミノ酸の長さである。「残基(residue)」とは、アミド結合またはアミド結合摸倣物によってポリペプチドに組み込まれるアミノ酸またはアミノ酸摸倣物に言及する。
【0058】
薬学的に受容可能なキャリア(Pharmaceutically acceptable carriers):有用な薬学的に受容可能なキャリアは、従来どおりである。E. W. Martin, Mack Publishing Co., Easton, PAによるRemington’s Pharmaceutical Sciences, 第15版, 1975は、本明細書で開示されるペプチドの薬学的送達に適した組成物および製剤を記載する。一般に、キャリアの性質は、使用される特定の投与様式に依存する。例えば、非経口製剤は通常、ビヒクルとして薬学的におよび生理学的に受容可能な流体(例えば、水、生理食塩水、平衡塩類溶液、水性デキストロース、グリセロールなど)を含む注射用流体を含む。固体組成物(例えば、散剤、丸剤、錠剤、またはカプセル剤形態)に関して、従来の非毒性固体キャリアとしては、例えば、製薬グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、またはステアリン酸マグネシウムが挙げられ得る。生物学的に中性のキャリアに加えて、投与されるべき薬学的組成物は、少量の非毒性補助物質(例えば、湿潤剤または乳化剤、保存剤、およびpH緩衝化剤など)、例えば、酢酸ナトリウムまたはソルビタンモノラウレートを含み得る。眼への局所適用に関して、薬剤は、例えば、人工涙液および他のエマルジョンと混合され得る。
【0059】
ポリ(乳酸-co-グリコール酸)(poly(lactic-co-glycolic acid))(PLGA):生分解性かつ生体適合性の、グリコール酸および乳酸のコポリマー。
【0060】
プロテアーゼ:タンパク質およびペプチドを加水分解(分解)する酵素。
【0061】
再狭窄(restenosis):狭窄(血管が狭くなること)の再発。制限された血流をもたらす。狭窄(または再狭窄)は、壁の肥厚化、内腔が狭くなる、および特定の経路によって供給される組織の機能の喪失をもたらす傷害に対する応答の形態である。介入手順(例えば、緑内障手術)の間の物理的傷害は、管の上皮内張に損傷を生じる。物理的傷害後の組織の修復は、再生(同じタイプの細胞による傷害された細胞の置き換わり)および線維症(結合組織による傷害された細胞の置き換わり)が伴う。線維症のプロセスは、事象の中でもとりわけ、新たな血管の形成(血管新生)を含む。
【0062】
未熟児網膜症(retinopathy of prematurity):未熟児で生まれた乳児に影響を及ぼす眼の疾患。それは、瘢痕化および網膜剥離を生じ得る網膜血管の無秩序な成長によって引き起こされると考えられる。上記疾患は、軽度であり得、自然に解消され得るが、重篤な症例では失明をもたらすこともある。
【0063】
配列同一性(sequence identity):アミノ酸配列の間の類似性は、配列間の類似性に関して表され、そうでなければ、配列同一性として言及される。配列同一性は、頻繁には、同一性(または類似性もしくは相同性)のパーセンテージに関して測定される;そのパーセンテージが高いほど、その2つの配列はより類似である。特定のポリペプチドのホモログまたは改変体は、標準的方法を使用して整列させた場合に、比較的高い程度の配列同一性を有する。
【0064】
比較のための配列アラインメントの方法は、当該分野で周知である。種々のプログラムおよびアラインメントアルゴリズムが、以下に記載される: Smith and Waterman, Adv. Appl. Math. 2:482, 1981; Needleman and Wunsch, J. Mol. Biol. 48:443, 1970; Pearson and Lipman, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 85:2444, 1988; Higgins and Sharp, Gene 73:237, 1988; Higgins and Sharp, CABIOS 5:151, 1989; Corpetら, Nucleic Acids Research 16:10881, 1988;およびPearson and Lipman, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 85:2444, 1988。さらに、Altschulら, Nature Genet. 6:119, 1994は、配列アラインメント法および相同性計算の詳細な考慮事項を示す。
【0065】
NCBI Basic Local Alignment Search Tool(BLAST)(Altschulら, J. Mol. Biol. 215:403, 1990)は、配列分析プログラムblastp、blastn、blastx、tblastnおよびtblastxに関連して使用するために、National Center for Biotechnology Information(NCBI, Bethesda, MD)を含むいくつかの情報源から、およびインターネット上で入手可能である。このプログラムを使用して配列同一性を決定する方法の詳細は、インターネット上のNCBIウェブサイトで入手可能である。
【0066】
ポリペプチドのホモログおよび改変体は、代表的には、デフォルトパラメーターに設定したNCBI Blast 2.0、gapped blastpを使用して、ポリペプチドのアミノ酸配列との全長アラインメントに対して計数した少なくとも約75%、例えば、少なくとも約80%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有することによって特徴づけられる。約30個超のアミノ酸のアミノ酸配列の比較のために、デフォルトパラメーター(ギャップ存在コスト(gap existence cost) 11、および1残基あたりのギャップコスト(per residue gap cost) 1)に設定したデフォルトのBLOSUM62マトリクスを使用して、Blast 2配列関数が使用される。短いペプチド(およそ30個より少ないアミノ酸)を整列させる場合、アラインメントは、デフォルトパラメーター(オープンギャップ 9、伸長ギャップ 1 ペナルティー)に設定したPAM30マトリクスを使用するBlast 2配列関数を使用して行われるべきである。参照配列に対してさらにより大きな類似性を有するタンパク質は、この方法によって評価される場合、増大するパーセンテージ同一性(例えば、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性)を示す。全体より小さい配列が配列同一性に関して比較されている場合、ホモログおよび改変体は、代表的には、10~20アミノ酸の短い枠にわたって少なくとも80% 配列同一性を有し、それらの参照配列に対する類似性に応じて、少なくとも85%または少なくとも90%または95%の配列同一性を有し得る。そのような短い枠にわたる配列同一性を決定するための方法は、インターネット上のNCBIウェブサイトで入手可能である。当業者は、これらの配列同一性範囲が、ガイダンスのために提供されるに過ぎないことを認識する;提供される範囲の外側に入る強く有意なホモログが、得られ得ることは、全く可能である。
【0067】
被験体:生きている多細胞脊椎動物。ヒトおよび獣医学的被験体の両方を含む(ヒトおよび非ヒト哺乳動物を含む)カテゴリー。
【0068】
治療上有効な量(therapeutically effective amount):特定された薬剤(例えば、CXCLペプチド)で処置されている被験体、細胞または培養物において所望の効果を達成するために十分な、その薬剤の量。
【0069】
III.いくつかの実施形態の概説
細胞表面Gタンパク質共役レセプターCXCR3の活性化因子は、線維芽細胞、内皮細胞、周皮細胞、および他の接着性細胞上のこれらのレセプターを介して作用する線維症および血管新生を制限およびさらには改善し得る。CXCR3の活性化は、m-カルパイン阻害を介して移動を停止させ、β3インテグリンのμ-カルパイン切断を介して内皮細胞においてアノイキスも引き起こす。これら2つの作用は、瘢痕化を制限するように利用され得、眼のものを含む血管障害を防止または改善し得る。CXCR3活性化因子の作用は、線維症および血管新生の促進因子を超えて優勢である。
【0070】
免疫応答の細胞はまた、CXCR3レセプターを発現するが、移動促進様式において応答して、これらのリガンドに向かって化学遊走する。これは、潜在的に混乱した状況を作り出し、ここでCXCR3活性化因子は、接着性細胞(例えば、線維芽細胞、内皮細胞、および上皮細胞)に対する効果を介して即座の瘢痕化を制限し得ると同時に、免疫細胞(白血球、リンパ球、マクロファージなど)を誘因および活性化することによって、遅い瘢痕化を促進する。その実際の結果は、これら2つの細胞集団の定量的なバランスによって決定される。遅い炎症促進性の反応のリスクは、急性のおよび進行中の炎症の状況において最も高い。
【0071】
このリスクを除去するために、活発な炎症の間に存在する細胞外プロテアーゼによる切断によって不活性化され得るCXCR3の活性化因子(リガンド)が、本明細書で記載される。炎症性の瘢痕化は、休止中のマトリクスを分解して、それを瘢痕マトリクスで置き換えるプロテアーゼの生成によって達成される。これらのプロテアーゼとしては、多数のカテプシンおよびエラスターゼが挙げられる。これらのプロテアーゼによる切断に感受性であるCXCR3のリガンドを使用することは、上記リガンドが急性炎症の存在下で不活性化されるにつれて、不要な炎症促進性シグナル伝達の消失を可能にする。
【0072】
開示されるペプチドは、瘢痕化、血管障害、強皮症および自己免疫性線維症の処置のためを含め、線維性および血管新生の疾患の処置のために使用され得る。これらの疾患および障害は、身体の任意の器官において(例えば、皮膚、肺、肝臓、腎臓、心臓、および眼において)起こり得る。上記疾患はまた、創傷、自己免疫性病理、糖尿病、および未知の病因のものによって引き起こされるもの(例えば、ウェット型加齢黄斑変性(AMD)および特発性肺線維症(IPF))を含む。
【0073】
プロテアーゼの切断部位を導入するように野生型CXCLアミノ酸配列に対して改変される組換えC-X-Cモチーフケモカインリガンド(CXCL)ペプチドが、本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、上記CXCLは、C-X-Cケモカインレセプター3(CXCR3)のリガンドである。いくつかの例では、上記CXCLは、CXCL10、CXCL4、CXCL9またはCXCL11である。具体的な非限定的例では、上記CXCLは、CXCL10である。
【0074】
いくつかの実施形態において、上記プロテアーゼは、炎症応答(例えば、急性炎症応答)の間に活性化されるプロテアーゼである。いくつかの例では、上記プロテアーゼは、カテプシン、エラスターゼまたはマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)である。具体例では、上記カテプシンは、カテプシンGまたはカテプシンKである。他の具体例では、上記MMPは、MMP2である。他の具体例では、上記エラスターゼは、好中球エラスターゼである。
【0075】
いくつかの実施形態において、上記ペプチドは、約12~約30アミノ酸の長さ(例えば、約18~約25アミノ酸の長さ、例えば、約20~約23アミノ酸の長さ、例えば、約21または22アミノ酸の長さ)である。いくつかの例では、上記ペプチドは、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30アミノ酸の長さである。
【0076】
いくつかの実施形態において、上記ペプチドのアミノ酸配列は、配列番号2~7、17~23および27~34のうちのいずれか1つと、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99% 同一である。いくつかの例では、上記ペプチドのアミノ酸配列は、配列番号2~7、17~23および27~34のうちのいずれか1つを含むかまたはからなる。
【0077】
いくつかの実施形態において、上記ペプチドは、アミド化またはメチル化されているC末端プロリンを含む。
【0078】
いくつかの実施形態において、上記ペプチドは、少なくとも1個の化学的改変を含む。例えば、化学的改変は、上記ペプチドの分解を阻害するおよび/または上記ペプチドの半減期を増大させるために、導入され得る。いくつかの例では、上記少なくとも1個の改変は、上記ペプチドのN末端における改変、上記ペプチドのC末端における改変、または両方を含む。具体的な非限定的例では、上記N末端における改変は、ホルミル化、アセチル化、プロピオニル化、ピログルタミン酸形成、ミリストイル化、パルミチル化、S-パルミトイル化、モノメチル化、ジメチル化、トリメチル化、またはこれらの任意の組み合わせを含む。他の具体的な非限定的例では、上記C末端における改変は、チル化、α-アミド化、またはこれらの組み合わせを含む。他の実施形態において、上記少なくとも1個の改変は、非標準的なペプチド結合を含む。
【0079】
いくつかの実施形態において、上記組換えCXCLペプチドは、少なくとも1個のD-アミノ酸を含む。いくつかの例では、上記CXCLペプチドは、多数のD-アミノ酸(例えば、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、少なくとも20個または少なくとも21個のD-アミノ酸)を含む。
【0080】
いくつかの実施形態において、上記組換えCXCLペプチドは、少なくとも1個の非標準アミノ酸を含む。いくつかの例では、上記少なくとも1個の非標準アミノ酸は、改変された非標準アミノ酸である。上記ペプチドは、上記ペプチドのN末端において、上記ペプチドのC末端において、または両方において改変された非標準アミノ酸を含み得る。具体的な非限定的例では、上記ペプチドは、N末端において改変された非標準アミノ酸を含み、上記改変は、ホルミル化、アセチル化、プロピオニル化、ピログルタミン酸形成、ミリストイル化、パルミチル化、S-パルミトイル化、モノメチル化、ジメチル化、トリメチル化、またはこれらの任意の組み合わせを含む。他の具体的な非限定的例では、上記ペプチドは、C末端において改変された非標準アミノ酸を含み、上記改変は、メチル化、α-アミド化、またはこれらの組み合わせを含む。
【0081】
いくつかの実施形態において、上記少なくとも1個の非標準アミノ酸は、メチル化アミノ酸、ポリエチレングリコールポリマーに結合体化したアミノ酸、ビオチンに結合体化したアミノ酸、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)に結合体化したアミノ酸、キャリアタンパク質に結合体化したアミノ酸、放射性同位体で標識したアミノ酸、またはこれらの任意の組み合わせである。いくつかの例では、上記メチル化アミノ酸は、モノメチル化アミノ酸、ジメチル化アミノ酸、またはトリメチル化アミノ酸である。いくつかの例では、上記キャリアタンパク質は、ウシ血清アルブミン、オボアルブミン、またはキーホールリンペット・ヘモシアニンである。いくつかの例では、放射活性同位体は、H、15N、13C、または15Nおよび13Cの両方である。
【0082】
いくつかの実施形態において、上記組換えCXCLペプチドは、徐放性製剤中に存在する。いくつかの例では、上記徐放性製剤は、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)(PLGA)、ヒドロゲルまたはコアセルベートを含む。
【0083】
本明細書で開示される組換えCXCLペプチドおよび薬学的に受容可能なキャリアを含む組成物がまた、本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、上記組成物は、局所投与、鼻内投与、吸入、静脈内投与、硝子体内投与、筋肉内投与、皮内投与、または皮下投与のために製剤化されている。いくつかの例では、上記組成物は、エアロゾル化またはネブライザーによって肺に送達するために(例えば、嚢胞性線維症の処置のために)製剤化されている。他の例では、上記組成物は、カテーテルおよび点滴注入によって膀胱に送達するために製剤化されている。線維症は、初期膀胱がん処置および慢性膀胱感染の主な合併症であり、過敏性膀胱症候群をもたらす。従って、膀胱への送達のために製剤化されている組成物は、これらの状態を処置するために使用され得る。
【0084】
いくつかの実施形態において、上記組成物は、単位投与形態において提供される。
【0085】
いくつかの実施形態において、上記組成物は、プロテアーゼインヒビター、保存剤、等張化剤、緩衝化剤、pH調節剤、滅菌溶媒またはこれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態において、上記プロテアーゼインヒビターとしては、TIMP1、オダナカチブ、カルペプチン、バチマスタット、イロマスタット、またはこれらの任意の組み合わせが挙げられ得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、上記等張化剤としては、等張性緩衝化剤(例えば、塩化ナトリウム)が挙げられ得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、上記緩衝化剤としては、リン酸、酢酸、クエン酸、ホスフェート緩衝化物質、ヒスチジン、トロメタミン、グルコン酸、乳酸、酒石酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、α-ケトグルタル酸、またはこれらの組み合わせが挙げられ得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、上記pH調節剤としては、塩酸が挙げられ得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、上記滅菌溶媒としては、滅菌水が挙げられ得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、上記組成物はまた、安定化剤(例えば、トレハロースが挙げられるが、これらに限定されない)を含み得る。いくつかの実施形態において、上記組成物はまた、界面活性剤(例えば、ポリソルベート)を含み得る。
【0086】
被験体において線維症を阻害する方法がさらに、本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、上記方法は、本明細書で開示されるCXCLペプチドまたは組成物を、上記被験体に投与する工程を包含する。いくつかの例では、上記被験体は、創傷、自己免疫疾患、炎症性の疾患もしくは障害、または医原性の疾患もしくは障害を有する。具体例では、上記自己免疫疾患は、糖尿病、強皮症または自己免疫性線維症である。他の具体例では、上記炎症性の疾患もしくは障害は、特発性肺線維症(IPF)である。他の具体例では、上記医原性の疾患もしくは障害は、薬物誘導性(例えば、ブレオマイシン誘導性)肺線維症、カルメットゲラン桿菌(BCG)処置誘導性膀胱線維症、または化学療法誘導性膀胱線維症である。
【0087】
被験体において血管新生を阻害する方法がまた、本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、上記方法は、本明細書で開示されるCXCLペプチドまたは組成物を、上記被験体に投与する工程を包含する。いくつかの例では、上記被験体は、眼の血管新生障害を有する。特定の例では、上記眼の血管新生障害は、ウェット型黄斑変性、糖尿病網膜症、未熟児網膜症、緑内障処置後再狭窄、血管新生緑内障または角膜新生血管である。
【0088】
IV.ペプチド配列
本開示は、CXCR3のリガンドとして機能するCXCLタンパク質に由来する改変されたペプチドを記載する。開示されるペプチドは、約12~約30アミノ酸の長さ、例えば、約18~約25アミノ酸の長さ例えば、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29または約30アミノ酸の長さである。上記ペプチドは、プロテアーゼ切断部位を含むように改変され、その組み込まれた切断部位を認識するプロテアーゼの存在下で上記ペプチドの不活性化を可能にする。場合によっては、上記切断部位は、カテプシン(例えば、カテプシンGまたはカテプシンK)、エラスターゼ(例えば、好中球エラスターゼ)、またはMMP(例えば、MMP2)の切断部位である。当業者は、適切なプロテアーゼ切断部位を、例えば、オンラインツール(例えば、ExPASy Bioinformatics Resource PortalまたはProtease Specificity Prediction Server(PROSPER;Songら, PLoS One 7(11):e50300, 2012もまた参照のこと))の助けを借りて、決定し得る。
【0089】
当業者は、プロテアーゼ切断部位を生じる適切なアミノ酸置換を同定および導入し得る。例えば、カテプシンGは、-/V/L/LHF†S/-S/A/V(配列番号12)を認識することが公知であり、カテプシンKは、-/-/LPV/EA†GE/-/-/-(配列番号35)を認識することが公知であり、MMP2は、-/P/-/-†LI/-/-/-(配列番号36)を認識することが公知であり(Songら, PLoS One 7(11):e50300, 2012);そして好中球エラスターゼは、FIRW(配列番号13)を認識することが公知である(Schulenburgら, Analyst 141(5):1645-1648, 2016)。
【0090】
いくつかの実施形態において、上記ペプチドは、本明細書において配列番号8として示される、ヒトCXCL10に由来する。上記ペプチドは、配列番号8の約18~約25個の連続するアミノ酸を含むCXCL10の任意の部分から構成され得、ここで1個またはこれより多くのアミノ酸は、選択されたプロテアーゼの切断部位を導入するように置換され、ここで上記改変されたペプチドは(上記プロテアーゼの非存在下で)CXCR3を活性化する能力を保持する。
【化1】
【0091】
本明細書中のいくつかの実施形態において、上記CXCL10ペプチドは、C末端ペプチドに基づく:
【化2】
【0092】
配列番号1は、プロテアーゼ切断部位(例えば、カテプシンG、好中球カテプシンまたは好中球エラスターゼの切断部位)を導入するように改変され得る。ヒトCXCL10に基づいて改変されたペプチドの非限定的な例は、以下に提供される。
【0093】
カテプシンGおよび好中球エラスターゼの切断部位配列を有する例示的ペプチド:
【化3】
【0094】
好中球カテプシン切断部位を有するペプチド:
【化4】
【0095】
好中球エラスターゼ切断部位を有するペプチド:
【化5】
【0096】
配列番号2、3および7のペプチドに関して、アルギニン(R)からメチオニン(M)への置換は、プロテアーゼ切断部位を導入する変異に関連しない。
【0097】
いくつかの実施形態において、上記ペプチドは、本明細書で配列番号9として示されるヒトCXCL4に由来する。上記ペプチドは、配列番号9の約18~約25個の連続するアミノ酸を含むCXCL4の任意の部分から構成され得、ここで1個またはこれより多くのアミノ酸は、選択されたプロテアーゼの切断部位を導入するように置換され、ここで上記改変されたペプチドは(上記プロテアーゼの非存在下で)CXCR3を活性化する能力を保持する。
【化6】
【0098】
いくつかの実施形態において、上記改変されたCXCL4ペプチドは、以下のCXCL4ペプチドのうちの1つに基づく:
【化7-1】
【化7-2】
【0099】
配列番号14、15または16は、プロテアーゼ切断部位(例えば、カテプシンKまたはマトリクスメタロプロテイナーゼ2(MMP2)の切断部位)を導入するように改変され得る。ヒトCXCL4に基づいて改変されたペプチドの非限定的例は、以下に提供される。
【0100】
カテプシンK切断部位配列を有する例示的ペプチド:
【化8】
【0101】
MMP2切断部位配列を有する例示的ペプチド:
【化9】
【0102】
いくつかの実施形態において、上記ペプチドは、本明細書で配列番号10として示されるヒトCXCL9に由来する。上記ペプチドは、配列番号10の約18~約25個の連続するアミノ酸を含むCXCL9の任意の部分から構成され得、ここで1個またはこれより多くのアミノ酸は、選択されたプロテアーゼの切断部位を導入するように置換され、ここで上記改変されたペプチドは(上記プロテアーゼの非存在下で)CXCR3を活性化する能力を保持する。
【化10】
【0103】
いくつかの実施形態において、上記ペプチドは、本明細書で配列番号11として示されるヒトCXCL11に由来する。上記ペプチドは、配列番号11の約18~約25個の連続するアミノ酸を含むCXCL11の任意の部分から構成され得、ここで1個またはこれより多くのアミノ酸は、選択されたプロテアーゼの切断部位を導入するように置換され、ここで上記改変されたペプチドは(上記プロテアーゼの非存在下で)CXCR3を活性化する能力を保持する。
【化11】
【0104】
いくつかの実施形態において、上記改変されたCXCL1ペプチドは、以下のCXCL11ペプチドのうちの1つに基づく:
【化12】
【0105】
配列番号24、25または26は、プロテアーゼ切断部位(例えば、カテプシンKまたはMMP2の切断部位)を導入するように改変され得る。ヒトCXCL11に基づいて改変されたペプチドの非限定的例は、以下に提供される。
【0106】
カテプシンK切断部位配列を有する例示的ペプチド:
【化13】
【0107】
MMP2切断部位配列を有する例示的ペプチド:
【化14】
【0108】
V.例示的実施形態
1. 組換えC-X-Cモチーフケモカインリガンド(CXCL)ペプチドであって、ここで前記ペプチドは、プロテアーゼの切断部位を導入するように野生型CXCLアミノ酸配列に対して改変される、組換えC-X-Cモチーフケモカインリガンド(CXCL)ペプチド。
2. 前記CXCLは、C-X-Cケモカインレセプター3(CXCR3)のリガンドである、実施形態1に記載の組換えCXCLペプチド。
3. 前記CXCLは、CXCL10、CXCL4、CXCL9またはCXCL11である、実施形態1または2に記載の組換えCXCLペプチド。
4. 前記プロテアーゼは、カテプシン、エラスターゼまたはマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)である、実施形態1~3のいずれか1つに記載の組換えCXCLペプチド。
5. 前記カテプシンは、カテプシンGである、実施形態4に記載の組換えCXCLペプチド。
6. 前記カテプシンは、カテプシンKである、実施形態4に記載の組換えCXCLペプチド。
7. 前記エラスターゼは、好中球エラスターゼである、実施形態4に記載の組換えCXCLペプチド。
8. 前記MMPは、MMP2である、実施形態4に記載の組換えCXCLペプチド。
9. 前記ペプチドは、約12~約30アミノ酸の長さである、実施形態1~8のいずれか1つに記載の組換えCXCLペプチド。
10. 前記ペプチドは、約18~約25アミノ酸の長さである、実施形態1~9のいずれか1つに記載の組換えCXCLペプチド。
11. 前記ペプチドは、21または22アミノ酸の長さである、実施形態1~10のいずれか1つに記載の組換えCXCLペプチド。
12. 前記ペプチドのアミノ酸配列は、配列番号2~7のうちのいずれか1つと少なくとも90% 同一である、実施形態1~11のいずれか1つに記載の組換えCXCLペプチド。
13. 前記ペプチドのアミノ酸配列は、配列番号2~7のうちのいずれか1つと少なくとも95% 同一である、実施形態1~11のいずれか1つに記載の組換えCXCLペプチド。
14. 前記ペプチドのアミノ酸配列は、配列番号2~7のうちのいずれか1つを含むかまたはからなる、実施形態1~11のいずれか1つに記載の組換えCXCLペプチド。
15. 前記ペプチドのアミノ酸配列は、配列番号2を含むかまたはからなる、実施形態1~14のいずれか1つに記載の組換えCXCLペプチド。
16. 前記ペプチドは、少なくとも1個の改変を含む、実施形態1~15のいずれか1つに記載の組換えCXCLペプチド。
17. 前記少なくとも1個の改変は、前記ペプチドのN末端における改変、前記ペプチドのC末端における改変、または両方を含む、実施形態16に記載の組換えCXCLペプチド。
18. 前記N末端における改変は、ホルミル化、アセチル化、プロピオニル化、ピログルタミン酸形成、ミリストイル化、パルミチル化、S-パルミトイル化、モノメチル化、ジメチル化、トリメチル化、またはこれらの任意の組み合わせを含む、実施形態17に記載の組換えCXCLペプチド。
19. 前記C末端における改変は、メチル化、α-アミド化、またはこれらの組み合わせを含む、実施形態17または実施形態18に記載の組換えCXCLペプチド。
20. 前記少なくとも1個の改変は、非標準的なペプチド結合を含む、実施形態16に記載の組換えCXCLペプチド。
21. 少なくとも1個のD-アミノ酸を含む、実施形態1~20のいずれか1つに記載の組換えCXCLペプチド。
22. 少なくとも1個の非標準アミノ酸を含む、実施形態1~21のいずれか1つに記載の組換えCXCLペプチド。
23. 前記少なくとも1個の非標準アミノ酸は、改変された非標準アミノ酸である、実施形態22に記載の組換えCXCLペプチド。
24. 前記ペプチドは、前記ペプチドのN末端、前記ペプチドのC末端、または両方において改変された非標準アミノ酸を含む、実施形態23に記載の組換えCXCLペプチド。
25. 前記ペプチドは、前記N末端において改変された非標準アミノ酸を含み、前記改変は、ホルミル化、アセチル化、プロピオニル化、ピログルタミン酸形成、ミリストイル化、パルミチル化、S-パルミトイル化、モノメチル化、ジメチル化、トリメチル化、またはこれらの任意の組み合わせを含む、実施形態24に記載の組換えCXCLペプチド。
26. 前記ペプチドは、前記C末端において改変された非標準アミノ酸を含み、全改変は、メチル化、α-アミド化、またはこれらの組み合わせを含む、実施形態24または実施形態25に記載の組換えCXCLペプチド。
27. 前記少なくとも1個の非標準アミノ酸は、メチル化アミノ酸、ポリエチレングリコールポリマーに結合体化したアミノ酸、ビオチンに結合体化したアミノ酸、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)に結合体化したアミノ酸、キャリアタンパク質に結合体化したアミノ酸、放射性同位体で標識したアミノ酸、またはこれらの任意の組み合わせである、実施形態22に記載の組換えCXCLペプチド。
28. 徐放性製剤中にある、実施形態1~27のいずれか1つに記載の組換えCXCLペプチド。
29. 前記徐放性製剤は、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)(PLGA)、ヒドロゲルまたはコアセルベートを含む、実施形態28に記載の組換えCXCLペプチド。
30. 実施形態1~29のいずれか1つに記載の組換えCXCLペプチドおよび薬学的に受容可能なキャリアを含む、組成物。
31. 局所投与、鼻内投与、吸入、静脈内投与、硝子体内投与、筋肉内投与、皮内投与、または皮下投与のために製剤化されている、実施形態30に記載の組成物。
32. エアロゾル化またはネブライザーによって肺に送達するために製剤化されている、実施形態30に記載の組成物。
33. カテーテルおよび点滴注入によって膀胱に送達するために製剤化されている、実施形態30に記載の組成物。
34. 単位投与形態にある、実施形態30~33のいずれか1つに記載の組成物。
35. 被験体において線維症を阻害する方法であって、前記方法は、実施形態1~29のいずれか1つに記載のCXCLペプチドまたは実施形態30~34のいずれか1つに記載の組成物を前記被験体に投与する工程を包含する方法。
36. 前記被験体は、創傷、自己免疫疾患、炎症性の疾患もしくは障害、または医原性の疾患もしくは障害を有する、実施形態35に記載の方法。
37. 前記自己免疫疾患は、糖尿病、強皮症または自己免疫性線維症である、実施形態36に記載の方法。
38. 前記炎症性の疾患もしくは障害は、特発性肺線維症(IPF)である、実施形態36に記載の方法。
39. 前記医原性の疾患もしくは障害は、薬物誘導性肺線維症、カルメットゲラン桿菌(BCG)処置誘導性膀胱線維症、または化学療法誘導性膀胱線維症である、実施形態36に記載の方法。
40. 被験体において血管新生を阻害する方法であって、前記方法は、実施形態1~29のいずれか1つに記載のCXCLペプチドまたは実施形態30~34のいずれか1つに記載の組成物を前記被験体に投与する工程を包含する方法。
41. 前記被験体は、眼の血管新生障害を有する、実施形態40に記載の方法。
42. 前記眼の血管新生障害は、ウェット型黄斑変性、糖尿病網膜症、未熟児網膜症、緑内障処置後再狭窄、血管新生緑内障または角膜新生血管である、実施形態41に記載の方法。
【0109】
以下の実施例は、ある種の特定の特徴および/または実施形態を例証するために提供される。これらの実施例は、本開示を、その記載される特定の特徴または実施形態に限定するとは解釈されるべきでない。
【実施例
【0110】
実施例1:プロテアーゼ切断に感受性の改変されたペプチド
この実施例は、急性炎症応答の細胞外プロテアーゼによる切断に感受性であるように操作されたペプチドを記載する。
【0111】
以前の研究は、CXCR3の天然のリガンド(例えば、CXCL10)の直線状のペプチドフラグメントが、CXCR3に結合し、活性化し得ることを示した(米国特許第9,180,167号;同第9,452,200号;および同第9,872,889号を参照のこと(これらの内容は、それらの全体において本明細書に参考として援用される))。CXCR3を通じてシグナル伝達するケモカインは、接着性細胞に対して抗線維化効果を誘導し得、先天性免疫系の細胞に対しても炎症および線維化効果を促進し得る。炎症応答の間のCXCR3活性化因子の線維化効果を制限するために、急性炎症応答の間に存在するプロテアーゼによる切断に感受性のペプチドを、設計した。従って、炎症応答の誘導の際に、その操作されたペプチドは切断され、それによって、その線維化促進効果を制限する。
【0112】
ペプチド110(配列番号2)は、ヒトCXCL10(IP-10としても公知)の改変されたフラグメントである。野生型ヒト配列(配列番号1)と比較して、ペプチド110は、アルギニンからメチオニンへの置換を含み、セリン残基をヒスチジンで置き換える。後者の置換は、カテプシンGおよび好中球エラスターゼの切断部位の導入を生じる。置換された残基は、太字と下線で示される:
【化15】
【0113】
ヒスチジンからセリンへの置換は、非保存的アミノ酸の変化であることから、実験を行って、その操作されたペプチドが、脈絡膜新生血管(CNV)のマウスモデルにおいて血管新生および線維症を遮断する能力を保持することを確認した。
【0114】
レーザー誘導性CNV
マウスCNVを、以前に記載されるように、ブルッフ膜のレーザー光凝固誘導性破裂によって誘導した。簡潔には、7~8週齢の雌性C57BL/6Jマウスを、ケタミン塩酸塩(100mg/kg 体重)で麻酔し、1% トロピカミドで散瞳させた。532nm ダイオードレーザー光凝固(スポットサイズ、75mm;継続時間、0.1秒;出力、120mW)の3箇所の熱傷を、網膜をみるために、コンタクトレンズとしてカバースリップを使用して、OcuLight GLダイオードレーザー(Iridex, Mountain View, CA)のスリットランプ送達システムで各網膜に送達した。熱傷を、網膜の後極部の9時、12時、および3時の位置に行った。ブルッフ膜の破裂を示す、レーザー照射時の気泡の生成は、脈絡膜新生血管(NV)を得るにあたって重要な因子であり、従って、気泡が生成された熱傷のみを、研究に含めた。
【0115】
レーザー処置直後に、マウスに、1μg(図1A)もしくは3μg(図1B)のいずれかのペプチド110(配列番号2)、または3種の陽性コントロールペプチド(ペプチド102、ペプチド105またはペプチド107)のうちの1種を、1μlの容積において片眼に注射し、対側の眼にスクランブルペプチドをコントロールとして注射した。他のコントロールマウスに、ビヒクルのみを注射した。注射後に、角膜を抗生物質軟膏剤で保護した。レーザー処置の7日後に、上記マウスを安楽死させた。眼を摘出し、10% PBS緩衝化ホルマリン中で3時間固定した。脈絡膜を解剖し、1.5ml エッペンドルフチューブの中に入れ、FITC結合体化GSA-Lectin IB4(1:150, Vector, Frederick, MD)で、4℃において一晩開店させながら染色した。PBSTで3回洗浄した後、脈絡膜をスライドガラス上に載せ、蛍光顕微鏡法によって調べた。画像を、3色CCDビデオカメラおよびフレーム取り込み装置でデジタル化した。画像分析ソフトウェア(Image-Pro Plus; MediaCybernetics, Silver Spring, MD)を使用して、各破裂部位における脈絡膜NVの総面積を測定した。
【0116】
図1A~1Bに示されるように、ペプチド110は、ペプチドの両方の用量において、脈絡膜新生血管の有意な低減によって証明されるとおりのその抗血管新生活性を保持した。
【0117】
実施例2:操作されたプロテアーゼ切断部位を有するCXCR3活性化ペプチド
この実施例は、急性炎症の間に活性化されるプロテアーゼの1個より多くの切断部位を含むように設計された、ヒトCXCL10、ヒトCXCL4またはヒトCXCL11の配列に基づくさらなるペプチドを記載する。
【0118】
カテプシンGおよび好中球エラスターゼの切断部位を有するCXCL10由来ペプチド:
【化16】
【0119】
好中球カテプシン切断部位を有するCXCL10由来ペプチド:
【化17】
【0120】
好中球エラスターゼ切断部位を有するCXCL10由来ペプチド:
【化18】
【0121】
カテプシンK切断部位配列を有するCXCL4由来ペプチド:
【化19】
【0122】
MMP2切断部位配列を有するCXCL4由来ペプチド:
【化20】
【0123】
カテプシンK切断部位配列を有するCXCL11由来ペプチド:
【化21】
【0124】
MMP2切断部位配列を有するCXCL11由来ペプチド:
【化22】
【0125】
開示される主題の原理が適用され得る多くの考えられる実施形態に鑑みれば、例証される実施形態が本開示の好ましい例に過ぎないことは認識されるべきであり、本開示の範囲を限定するとして解釈されるべきではない。むしろ、本開示の範囲は、以下の請求項によって規定される。従って、本発明者らは、これら請求項の範囲および趣旨内に入るもの全てを、本発明者らの発明として主張する。
特定の実施形態では、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
組換えC-X-Cモチーフケモカインリガンド(CXCL)ペプチドであって、ここで前記ペプチドは、プロテアーゼの切断部位を導入するように野生型CXCLアミノ酸配列に対して改変される、組換えC-X-Cモチーフケモカインリガンド(CXCL)ペプチド。
(項目2)
前記CXCLは、C-X-Cケモカインレセプター3(CXCR3)のリガンドである、項目1に記載の組換えCXCLペプチド。
(項目3)
前記CXCLは、CXCL10、CXCL4、CXCL9またはCXCL11である、項目1に記載の組換えCXCLペプチド。
(項目4)
前記プロテアーゼは、カテプシン、エラスターゼまたはマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)である、項目1に記載の組換えCXCLペプチド。
(項目5)
前記カテプシンは、カテプシンGである、項目4に記載の組換えCXCLペプチド。
(項目6)
前記カテプシンは、カテプシンKである、項目4に記載の組換えCXCLペプチド。
(項目7)
前記エラスターゼは、好中球エラスターゼである、項目4に記載の組換えCXCLペプチド。
(項目8)
前記MMPは、MMP2である、項目4に記載の組換えCXCLペプチド。
(項目9)
前記ペプチドは、約12~約30アミノ酸の長さである、項目1に記載の組換えCXCLペプチド。
(項目10)
前記ペプチドは、約18~約25アミノ酸の長さである、項目1に記載の組換えCXCLペプチド。
(項目11)
前記ペプチドは、21または22アミノ酸の長さである、項目1に記載の組換えCXCLペプチド。
(項目12)
前記ペプチドのアミノ酸配列は、配列番号2~7、17~23および27~34のうちのいずれか1つと少なくとも90% 同一である、項目1に記載の組換えCXCLペプチド。
(項目13)
前記ペプチドのアミノ酸配列は、配列番号2~7、17~23および27~34のうちのいずれか1つと少なくとも95% 同一である、項目1に記載の組換えCXCLペプチド。
(項目14)
前記ペプチドのアミノ酸配列は、配列番号2~7、17~23および27~34のうちのいずれか1つを含むかまたはからなる、項目1に記載の組換えCXCLペプチド。
(項目15)
前記ペプチドのアミノ酸配列は、配列番号2を含むかまたはからなる、項目1に記載の組換えCXCLペプチド。
(項目16)
前記ペプチドは、少なくとも1個の化学的改変を含む、項目1に記載の組換えCXCLペプチド。
(項目17)
前記少なくとも1個の化学的改変は、前記ペプチドのN末端における改変、前記ペプチドのC末端における改変、または両方を含む、項目16に記載の組換えCXCLペプチド。
(項目18)
前記N末端における改変は、ホルミル化、アセチル化、プロピオニル化、ピログルタミン酸形成、ミリストイル化、パルミチル化、S-パルミトイル化、モノメチル化、ジメチル化、トリメチル化、またはこれらの任意の組み合わせを含む、項目17に記載の組換えCXCLペプチド。
(項目19)
前記C末端における改変は、メチル化、α-アミド化、またはこれらの組み合わせを含む、項目17に記載の組換えCXCLペプチド。
(項目20)
前記少なくとも1個の化学的改変は、非標準的なペプチド結合を含む、項目16に記載の組換えCXCLペプチド。
(項目21)
少なくとも1個のD-アミノ酸を含む、項目1に記載の組換えCXCLペプチド。
(項目22)
少なくとも1個の非標準アミノ酸を含む、項目1に記載の組換えCXCLペプチド。
(項目23)
前記少なくとも1個の非標準アミノ酸は、改変された非標準アミノ酸である、項目22に記載の組換えCXCLペプチド。
(項目24)
前記ペプチドは、前記ペプチドのN末端、前記ペプチドのC末端、または両方において改変された非標準アミノ酸を含む、項目23に記載の組換えCXCLペプチド。
(項目25)
前記ペプチドは、前記N末端において改変された非標準アミノ酸を含み、前記改変は、ホルミル化、アセチル化、プロピオニル化、ピログルタミン酸形成、ミリストイル化、パルミチル化、S-パルミトイル化、モノメチル化、ジメチル化、トリメチル化、またはこれらの任意の組み合わせを含む、項目24に記載の組換えCXCLペプチド。
(項目26)
前記ペプチドは、前記C末端において改変された非標準アミノ酸を含み、前記改変は、メチル化、α-アミド化、またはこれらの組み合わせを含む、項目24に記載の組換えCXCLペプチド。
(項目27)
前記少なくとも1個の非標準アミノ酸は、メチル化アミノ酸、ポリエチレングリコールポリマーに結合体化したアミノ酸、ビオチンに結合体化したアミノ酸、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)に結合体化したアミノ酸、キャリアタンパク質に結合体化したアミノ酸、放射性同位体で標識したアミノ酸、またはこれらの任意の組み合わせである、項目22に記載の組換えCXCLペプチド。
(項目28)
徐放性製剤中にある、項目1に記載の組換えCXCLペプチド。
(項目29)
前記徐放性製剤は、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)(PLGA)、ヒドロゲルまたはコアセルベートを含む、項目28に記載の組換えCXCLペプチド。
(項目30)
項目1に記載の組換えCXCLペプチドおよび薬学的に受容可能なキャリアを含む、組成物。
(項目31)
局所投与、鼻内投与、吸入、静脈内投与、硝子体内投与、筋肉内投与、皮内投与、または皮下投与のために製剤化されている、項目30に記載の組成物。
(項目32)
エアロゾル化またはネブライザーによって肺に送達するために製剤化されている、項目30に記載の組成物。
(項目33)
カテーテルおよび点滴注入によって膀胱に送達するために製剤化されている、項目30に記載の組成物。
(項目34)
単位投与形態にある、項目30に記載の組成物。
(項目35)
被験体において線維症を阻害する方法であって、前記方法は、項目1に記載のCXCLペプチドを前記被験体に投与する工程を包含する方法。
(項目36)
前記被験体は、創傷、自己免疫疾患、炎症性の疾患もしくは障害、または医原性の疾患もしくは障害を有する、項目35に記載の方法。
(項目37)
前記自己免疫疾患は、糖尿病、強皮症または自己免疫性線維症である、項目36に記載の方法。
(項目38)
前記炎症性の疾患もしくは障害は、特発性肺線維症(IPF)である、項目36に記載の方法。
(項目39)
前記医原性の疾患もしくは障害は、薬物誘導性肺線維症、カルメットゲラン桿菌(BCG)処置誘導性膀胱線維症、または化学療法誘導性膀胱線維症である、項目36に記載の方法。
(項目40)
被験体において血管新生を阻害する方法であって、前記方法は、項目1に記載のCXCLペプチドを前記被験体に投与する工程を包含する方法。
(項目41)
前記被験体は、眼の血管新生障害を有する、項目40に記載の方法。
(項目42)
前記眼の血管新生障害は、ウェット型黄斑変性、糖尿病網膜症、未熟児網膜症、緑内障処置後再狭窄、血管新生緑内障または角膜新生血管である、項目41に記載の方法。
図1A
図1B
【配列表】
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