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特許7426122発動機およびその発動機を備える油圧ポンプ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-24
(45)【発行日】2024-02-01
(54)【発明の名称】発動機およびその発動機を備える油圧ポンプ装置
(51)【国際特許分類】
   F04B 9/133 20060101AFI20240125BHJP
   F15B 15/14 20060101ALI20240125BHJP
   F15B 15/18 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
F04B9/133
F15B15/14 320
F15B15/18
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021539206
(86)(22)【出願日】2020-07-31
(86)【国際出願番号】 JP2020029512
(87)【国際公開番号】W WO2021029236
(87)【国際公開日】2021-02-18
【審査請求日】2023-07-10
(31)【優先権主張番号】P 2019148215
(32)【優先日】2019-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】391003989
【氏名又は名称】株式会社コスメック
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】米澤 慶多朗
(72)【発明者】
【氏名】大久保 芳樹
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】実開平2-130401(JP,U)
【文献】特開昭60-208602(JP,A)
【文献】特許第3898695(JP,B2)
【文献】特開平5-44632(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0154103(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 9/133
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発動機本体(4)に形成されるシリンダ孔(7)に当該シリンダ孔(7)の軸方向へ移動可能に挿入されるピストン(8)と、
前記ピストン(8)の前記軸方向の一端側に形成される第1発動室(9)と、
前記ピストン(8)の前記軸方向の他端側に形成される第2発動室(10)と、
前記第2発動室(10)から圧力流体を排出すると共に前記第1発動室(9)に圧力流体を供給する状態と、前記第1発動室(9)から圧力流体を排出すると共に前記第2発動室(10)に圧力流体を供給する状態とを切り換える給排弁(13)と、
前記給排弁(13)の前記軸方向の他端側に形成される給圧室(28)であって、当該給圧室(28)に供給される圧力流体によって前記給排弁(13)を前記軸方向の一端側位置へ押動させる給圧室(28)と、
前記給排弁(13)の前記軸方向の一端側に形成される切換え作動室(36)であって、当該切換え作動室(36)に供給される圧力流体によって前記給排弁(13)を前記軸方向の他端側位置へ押動させる切換え作動室(36)と、
前記ピストン(8)から突設されるパイロット弁体(18)であって、当該パイロット弁体(18)の前記軸方向への移動によって前記切換え作動室(36)に圧力流体を供給および排出する状態を切り換えるパイロット弁体(18)と、を備え、
前記給排弁(13)が前記一端側位置または前記他端側位置へ移動されるときに、前記給排弁(13)の一部を構成する第1弁部材(25)によって前記第1発動室(9)への圧力流体の供給と排出とが切り換えられると共に、前記給排弁(13)の一部を構成する第2弁部材(26)によって前記第2発動室(10)への圧力流体の排出と供給とが切り換えられ、
前記給排弁(13)は、給排弁本体(24)と、
前記給排弁本体(24)の外周壁に前記軸方向へ移動可能に外嵌めされる筒状の前記第1弁部材(25)であって、第1バネ(39)によって前記軸方向の一端側へ付勢されると共に、前記給排弁本体(24)の外周壁から当該給排弁本体(24)の半径方向の外方へ突設される突起部(27)に前記軸方向の一端側から受け止められる前記第1弁部材(25)と、
前記給排弁本体(24)の外周壁に前記軸方向へ移動可能に外嵌めされる筒状の前記第2弁部材(26)であって、第2バネ(40)によって前記軸方向の他端側へ付勢されると共に、前記突起部(27)に前記軸方向の他端側から受け止められる前記第2弁部材(26)と、を備える、
ことを特徴とする発動機。
【請求項3】
発動機本体(4)に形成されるシリンダ孔(7)に当該シリンダ孔(7)の軸方向へ移動可能に挿入されるピストン(8)と、
前記ピストン(8)の前記軸方向の一端側に形成される第1発動室(9)と、
前記ピストン(8)の前記軸方向の他端側に形成される第2発動室(10)と、
前記第2発動室(10)から圧力流体を排出すると共に前記第1発動室(9)に圧力流体を供給する状態と、前記第1発動室(9)から圧力流体を排出すると共に前記第2発動室(10)に圧力流体を供給する状態とを切り換える給排弁(13)と、
前記給排弁(13)の前記軸方向の他端側に形成される給圧室(28)であって、当該給圧室(28)に供給される圧力流体によって前記給排弁(13)を前記軸方向の一端側位置へ押動させる給圧室(28)と、
前記給排弁(13)の前記軸方向の一端側に形成される切換え作動室(36)であって、当該切換え作動室(36)に供給される圧力流体によって前記給排弁(13)を前記軸方向の他端側位置へ押動させる切換え作動室(36)と、
前記ピストン(8)から突設されるパイロット弁体(18)であって、当該パイロット弁体(18)の前記軸方向への移動によって前記切換え作動室(36)に圧力流体を供給および排出する状態を切り換えるパイロット弁体(18)と、を備え、
前記給排弁(13)が前記一端側位置または前記他端側位置へ移動されるときに、前記給排弁(13)の一部を構成する第1弁部材(25)によって前記第1発動室(9)への圧力流体の供給と排出とが切り換えられると共に、前記給排弁(13)の一部を構成する第2弁部材(26)によって前記第2発動室(10)への圧力流体の排出と供給とが切り換えられ、
前記給排弁(13)は、給排弁本体(24)と、前記第1弁部材(25)と、前記第2弁部材(26)と、が一体に形成されてなる、
ことを特徴とする発動機。
【請求項4】
発動機本体(4)に形成されるシリンダ孔(7)に当該シリンダ孔(7)の軸方向へ移動可能に挿入されるピストン(8)と、
前記ピストン(8)の前記軸方向の一端側に形成される第1発動室(9)と、
前記ピストン(8)の前記軸方向の他端側に形成される第2発動室(10)と、
前記第2発動室(10)から圧力流体を排出すると共に前記第1発動室(9)に圧力流体を供給する状態と、前記第1発動室(9)から圧力流体を排出すると共に前記第2発動室(10)に圧力流体を供給する状態とを切り換える給排弁(13)と、
前記給排弁(13)の前記軸方向の他端側に形成される給圧室(28)であって、当該給圧室(28)に供給される圧力流体によって前記給排弁(13)を前記軸方向の一端側位置へ押動させる給圧室(28)と、
前記給排弁(13)の前記軸方向の一端側に形成される切換え作動室(36)であって、当該切換え作動室(36)に供給される圧力流体によって前記給排弁(13)を前記軸方向の他端側位置へ押動させる切換え作動室(36)と、
前記ピストン(8)から突設されるパイロット弁体(18)であって、当該パイロット弁体(18)の前記軸方向への移動によって前記切換え作動室(36)に圧力流体を供給および排出する状態を切り換えるパイロット弁体(18)と、を備え、
前記給排弁(13)が前記一端側位置または前記他端側位置へ移動されるときに、前記給排弁(13)の一部を構成する第1弁部材(25)によって前記第1発動室(9)への圧力流体の供給と排出とが切り換えられると共に、前記給排弁(13)の一部を構成する第2弁部材(26)によって前記第2発動室(10)への圧力流体の排出と供給とが切り換えられ、
前記給排弁(13)は、給排弁本体(24)と、
前記給排弁本体(24)の外周壁に前記軸方向へ移動可能に外嵌めされる筒状の前記第1弁部材(25)であって、第1バネ(39)によって前記軸方向の一端側へ付勢されると共に、前記給排弁本体(24)に形成された段差部(85)に前記軸方向の一端側から受け止められる前記第1弁部材(25)と、
前記給排弁本体(24)の外周壁に前記軸方向へ移動可能に外嵌めされる筒状の前記第2弁部材(26)であって、第2バネ(40)によって前記軸方向の他端側へ付勢される前記第2弁部材(26)と、
前記第1弁部材(25)と前記第2弁部材(26)との間に挿入される筒状の伝動部材(87)であって、前記第2弁部材(26)を前記第2バネ(40)の付勢力に抗して前記軸方向の他端側から受け止める伝動部材(87)と、を備える、
ことを特徴とする発動機。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかの発動機において、
前記給排弁(13)の前記軸方向の一端側または他端側に補助バネ(38,81)が装着され、前記補助バネ(38,81)が前記給排弁(13)を前記軸方向の他端側または一端側へ付勢している、
ことを特徴とする発動機。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかの発動機において、
前記第2発動室(10)と前記切換え作動室(36)とが流路(78)によって連通され、その流路(78)の一部または全部に絞り路(79)が形成される、
ことを特徴とする発動機。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかの発動機において、
前記給圧室(28)に連通される第1作業用室(29)であって、内部に前記第1弁部材(25)が配置される第1作業用室(29)と、
前記給圧室(28)に連通される第2作業用室(31)であって、内部に前記第2弁部材(26)が配置される第2作業用室(31)と、
前記第1作業用室(29)と前記第2作業用室(31)とに連通される排圧室(34)であって、前記第1作業用室(29)と前記第2作業用室(31)との間に形成される排圧室(34)と、を備え、
前記第1作業用室(29)と前記排圧室(34)と前記第2作業用室(31)とが、前記軸方向に並べて設けられている、
ことを特徴とする発動機。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかの発動機と、前記発動機によって駆動されるポンプ(3)とを備える油圧ポンプ装置であって、
前記ピストン(8)に連結されると共に、前記ポンプ(3)内に前記軸方向へ移動可能に挿入されるプランジャ(22)であって、当該プランジャ(22)に形成される大径部(60)を有するプランジャ(22)と、
前記大径部(60)の前記軸方向の一端側に形成される第1ポンプ室(61)と、
前記大径部(60)の前記軸方向の他端側に形成される第2ポンプ室(62)と、
作動油の吸入口(63)を前記第1ポンプ室(61)に連通させる第1吸入路(63a)に設けられる第1吸入弁(65)であって、前記吸入口(63)から前記第1ポンプ室(61)への作動油の流れを許容すると共に、その逆の流れを制限する第1吸入弁(65)と、
前記吸入口(63)を前記第2ポンプ室(62)に連通させる第2吸入路(63b)に設けられる第2吸入弁(66)であって、前記吸入口(63)から前記第2ポンプ室(62)への作動油の流れを許容すると共に、その逆の流れを制限する第2吸入弁(66)と、
前記第1ポンプ室(61)を圧油の吐出口(64)に連通させる第1吐出路(64a)に設けられる第1吐出弁(67)であって、前記第1ポンプ室(61)から前記吐出口(64)への作動油の流れを許容すると共に、その逆の流れを制限する第1吐出弁(67)と、
前記第2ポンプ室(62)を作動油の吐出口(64)に連通させる第2吐出路(64b)に設けられる第2吐出弁(68)であって、前記第2ポンプ室(62)から前記吐出口(64)への作動油の流れを許容すると共に、その逆の流れを制限する第2吐出弁(68)と、を備える、
ことを特徴とする油圧ポンプ装置。
【請求項9】
請求項8の油圧ポンプ装置において、
前記プランジャ(22)は、前記ピストン(8)に連結される第1小径部(22a)と、その第1小径部(22a)よりも大径に形成されると共に、当該第1小径部(22a)に連結される前記大径部(60)と、前記第1小径部(22a)と略同じ直径寸法に形成されるように前記大径部(60)に連結される第2小径部(22b)とを備える、ことを特徴とする油圧ポンプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、圧力流体(例えば圧縮エア)によってピストンを駆動する形式の発動機およびその発動機を備える油圧ポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の油圧ポンプ装置には、従来では、特許文献1(日本国・実開平2-130401号公報)に記載されたものがある。その従来技術は、次のように構成されている。
【0003】
従来の油圧ポンプ装置では、ハウジング内にピストンが上下方向へ移動可能に挿入される。そのピストンの上側に往動作動室が形成されると共に、ピストンの下側に復動作動室が形成される。往動作動室に圧縮エアを供給する状態と排出する状態とを切り換える切換弁体が、ハウジング内に上下方向へ移動可能に挿入される。また、複動作動室に圧縮エアを供給する状態と供給停止する状態とを切り換える供給弁体が、ハウジング内の切換弁体とは別の箇所(上方の箇所)に上下方向へ移動可能に挿入される。さらに、複動作動室の圧縮エアを排出する状態と排出停止する状態とを切り換えるリリーフ弁体が、供給弁体に当接可能となるようにハウジング内に上下方向へ移動可能に挿入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開平2-130401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の従来技術の油圧ポンプ装置は、往動作動室に圧縮エアを供給および排出する状態を切り換える切換弁体と、複動作動室に圧縮エアを供給および排出する状態を切り換える供給弁体およびリリーフ弁体とが、ハウジング内に上下方向に離れた場所に別々に配置されている。このため、上記の油圧ポンプ装置は、切換弁体と供給弁体およびリリーフ弁体とが往動作動室および複動作動室などの圧力状態に応じて別々に駆動される構成となっている。従って、3つの弁体が別々に駆動されるので油圧ポンプ装置の構造が複雑になり、また、3つの弁体が別々の場所に配置されるので油圧ポンプ装置の上下方向の寸法も大きくなっている。
【0006】
本発明の目的は、簡素な構造でコンパクトな発動機およびその発動機を備える油圧ポンプ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明は、例えば、図1および図2図3,ならびに図4および図5に示すように、発動機を次のように構成した。
【0008】
発動機本体4に形成されるシリンダ孔7に、ピストン8が当該シリンダ孔7の軸方向へ移動可能に挿入される。前記ピストン8の前記軸方向の一端側に第1発動室9が形成される。前記ピストン8の前記軸方向の他端側に第2発動室10が形成される。前記第2発動室10から圧力流体を排出すると共に前記第1発動室9に圧力流体を供給する状態と、前記第1発動室9から圧力流体を排出すると共に前記第2発動室10に圧力流体を供給する状態とを給排弁13が切り換える。前記給排弁13の前記軸方向の他端側に給圧室28が形成され、当該給圧室28に供給される圧力流体によって前記給排弁13を前記軸方向の一端側位置へ押動させる。前記給排弁13の前記軸方向の一端側に切換え作動室36が形成され、当該切換え作動室36に供給される圧力流体によって前記給排弁13を前記軸方向の他端側位置へ押動させる。前記ピストン8からパイロット弁体18が突設され、当該パイロット弁体18の前記軸方向への移動によって前記切換え作動室36に圧力流体を供給および排出する状態を切り換える。前記給排弁13が前記一端側位置または前記他端側位置へ移動されるときに、前記給排弁13の一部を構成する第1弁部材25によって前記第1発動室9への圧力流体の供給と排出とが切り換えられると共に、前記給排弁13の一部を構成する第2弁部材26によって前記第2発動室10への圧力流体の排出と供給とが切り換えられる。
【0009】
上記の本発明は次の作用効果を奏する。
【0010】
本発明の発動機では、給排弁が、第1弁部材と第2弁部材とを当該給排弁と一体に、または、当該給排弁を構成する一群の部材のうちの一部として有している。その給排弁が第1弁部材と第2弁部材とを前記軸方向へ移動することにより、第1発動室への圧力流体の供給および排出と、第2発動室への圧力流体の供給および排出とを給排弁が同時に、または、時間ずらして同期して切り換えることができる。その結果、本発明の発動機を簡素な構造でコンパクトに作ることができる。
【0011】
上記の発明は、下記(1)から(8)の構成を加えることが好ましい。
【0012】
(1)前記給排弁13は、給排弁本体24と、前記第1弁部材25と、前記第2弁部材26とを備える。前記給排弁本体24の外周壁に筒状の前記第1弁部材25が前記軸方向へ移動可能に外嵌めされる。その第1弁部材25が、第1バネ39によって前記軸方向の一端側へ付勢されると共に、前記給排弁本体24の外周壁から当該給排弁本体24の半径方向の外方へ突設される突起部27に前記軸方向の一端側から受け止められる。また、前記給排弁本体24の外周壁に筒状の前記第2弁部材26が前記軸方向へ移動可能に外嵌めされる。その第2弁部材26が、第2バネ40によって前記軸方向の他端側へ付勢されると共に、前記突起部27に前記軸方向の他端側から受け止められる。
【0013】
この場合、給排弁が一端側位置へ移動されたときに、第1バネによって第1弁部材が一端側へ付勢されることにより、第1発動室から圧力流体を排出する流路が第1弁部材によって遮断されると共に、第1発動室に圧力流体を供給する流路が開放される。このとき、給排弁本体が突起部を介して第2弁部材を一端側へ移動させて、第2発動室に圧力流体を供給する流路が第2弁部材によって遮断されると共に、第2発動室から圧力流体を排出する流路が開放される。このため、給排弁は、第1発動室から圧力流体を排出する流路と、第2発動室に圧力流体を供給する流路とを確実に遮断することができる。
【0014】
また、給排弁が他端側位置へ移動されたときに、給排弁本体が突起部を介して第1弁部材を他端側へ移動させて、第1発動室に圧力流体を供給する流路が第1弁部材によって遮断されると共に、第1発動室から圧力流体を排出する流路が開放される。このとき、第2弁部材が第2バネによって他端側へ付勢されることにより、第2発動室から圧力流体を排出する流路が第2弁部材によって遮断されると共に、第2発動室に圧力流体を供給する流路が開放される。このため、給排弁は、第1発動室に圧力流体を供給する流路と、第2発動室から圧力流体を排出する流路とを確実に遮断することができる。
【0015】
(2)前記給排弁13は、給排弁本体24と、前記第1弁部材25と、前記第2弁部材26と、が一体に形成されてなる。
【0016】
この場合、給排弁が一端側位置へ移動されたときに、第1発動室から圧力流体を排出する流路が第1弁部材によって遮断されると共に、第1発動室に圧力流体を供給する流路が開放される。このとき、第2発動室に圧力流体を供給する流路が第2弁部材によって遮断されると共に、第2発動室から圧力流体を排出する流路が開放される。このため、給排弁は、第1発動室から圧力流体を排出する流路と、第2発動室に圧力流体を供給する流路とを確実かつほぼ同時に遮断することができる。
【0017】
また、給排弁が他端側位置へ移動されたときに、第1発動室に圧力流体を供給する流路が第1弁部材によって遮断されると共に、第1発動室から圧力流体を排出する流路が開放される。このとき、第2発動室から圧力流体を排出する流路が第2弁部材によって遮断されると共に、第2発動室に圧力流体を供給する流路が開放される。このため、給排弁は、第1発動室に圧力流体を供給する流路と、第2発動室から圧力流体を排出する流路とを確実かつほぼ同時に遮断することができる。
【0018】
(3)前記給排弁13は、給排弁本体24と、前記第1弁部材25と、前記第2弁部材26と、伝動部材87とを備える。前記給排弁本体24の外周壁に筒状の前記第1弁部材25が前記軸方向へ移動可能に外嵌めされる。その第1弁部材25が、第1バネ39によって前記軸方向の一端側へ付勢されると共に、前記給排弁本体24に形成された段差部85に前記軸方向の一端側から受け止められる。前記給排弁本体24の外周壁に筒状の前記第2弁部材26が前記軸方向へ移動可能に外嵌めされる。その第2弁部材26が、第2バネ40によって前記軸方向の他端側へ付勢される。また、前記第1弁部材25と前記第2弁部材26との間に筒状の伝動部材87が挿入される。その伝動部材87が、前記第2弁部材26を前記第2バネ40の付勢力に抗して前記軸方向の他端側から受け止める。
【0019】
この場合、給排弁が一端側位置へ移動されたときに、第1バネによって第1弁部材が一端側へ付勢されることにより、第1発動室から圧力流体を排出する流路が第1弁部材によって遮断されると共に、第1発動室に圧力流体を供給する流路が開放される。このとき、伝動部材が第2弁部材を一端側へ移動させて、第2発動室に圧力流体を供給する流路が第2弁部材によって遮断されると共に、第2発動室から圧力流体を排出する流路が開放される。このため、給排弁は、第1発動室から圧力流体を排出する流路と、第2発動室に圧力流体を供給する流路とを確実に遮断することができる。
【0020】
また、給排弁が他端側位置へ移動されたときに、給排弁本体の段差部が第1弁部材を他端側へ移動させて、第1発動室に圧力流体を供給する流路が第1弁部材によって遮断されると共に、第1発動室から圧力流体を排出する流路が開放される。このとき、第2弁部材が第2バネによって他端側へ付勢されることにより、第2発動室から圧力流体を排出する流路が第2弁部材によって遮断されると共に、第2発動室に圧力流体を供給する流路が開放される。このため、給排弁は、第1発動室に圧力流体を供給する流路と、第2発動室から圧力流体を排出する流路とを確実に遮断することができる。
【0021】
(4)前記給排弁13の前記軸方向の一端側または他端側に補助バネ38,81が装着される。前記補助バネ38,81が前記給排弁13を前記軸方向の他端側または一端側へ付勢している。
【0022】
この場合、給圧室に圧力流体の圧力が供給される前において、給排弁のパッキン抵抗力などの摩擦力や給排弁の自重による抵抗力を上回るように、補助バネが給排弁を一端側位置または他端側位置へ付勢して確実に移動させる。このため、給排弁が一端側位置と他端側位置との間にある中間位置に移動されて、第1発動室および第2発動室に圧力流体が供給されながら排出される状態になることで発動機が動作不能になることを防止できる。
【0023】
(5)前記第2発動室10と前記切換え作動室36とが流路78によって連通される。その流路78の一部または全部に絞り路79が形成される。
【0024】
上記の発動機では、切換え作動室に供給される圧力流体が給排弁を他端位置へ向けて押動させている状態において、その切換え作動室から、何らかの原因によって、圧力流体がわずかずつ漏れ出ることがある。この場合、給排弁が一端側位置と他端側位置との間にある中間位置へ移動しようとするが、第2発動室の圧力流体が流路(絞り路)を通って緩やかに切換え作動室へ供給されるので、給排弁が他端位置で保持される。その結果、発動機が動作不能となることを防止できる。
【0025】
(6)前記給圧室28に第1作業用室29が連通される。第1作業用室29の内部に前記第1弁部材25が配置される。また、前記給圧室28に第2作業用室31が連通される。第2作業用室31の内部に前記第2弁部材26が配置される。前記第1作業用室29と前記第2作業用室31とに排圧室34が連通される。排圧室34は前記第1作業用室29と前記第2作業用室31との間に形成される。前記第1作業用室29と前記排圧室34と前記第2作業用室31とが、前記軸方向に並べて設けられている。
【0026】
この場合、本発明の発動機を簡素な構造でコンパクトに作ることができる。
【0027】
(7)本発明の油圧ポンプ装置は、前記発動機と、前記発動機によって駆動されるポンプ3とを備える。前記ポンプ3は、プランジャ22と第1ポンプ室61と第2ポンプ室62と第1吸入弁65と第2吸入弁66と第1吐出弁67と第2吐出弁68とを備える。プランジャ22は、前記ピストン8に連結されると共に、前記ポンプ3内に前記軸方向へ移動可能に挿入される。そのプランジャ22の途中部に大径部60が形成される。前記大径部60の前記軸方向の一端側に第1ポンプ室61が形成される。前記大径部60の前記軸方向の他端側に第2ポンプ室62が形成される。作動油の吸入口63を前記第1ポンプ室61に連通させる第1吸入路63aに第1吸入弁65が設けられ、その第1吸入弁65が前記吸入口63から前記第1ポンプ室61への作動油の流れを許容すると共に、その逆の流れを制限する。前記吸入口63を前記第2ポンプ室62に連通させる第2吸入路63bに第2吸入弁66が設けられ、その第2吸入弁66が前記吸入口63から前記第2ポンプ室62への作動油の流れを許容すると共に、その逆の流れを制限する。前記第1ポンプ室61を作動油の吐出口64に連通させる第1吐出路64aに第1吐出弁67が設けられ、その第1吐出弁67が前記第1ポンプ室61から前記吐出口64への作動油の流れを許容すると共に、その逆の流れを制限する。前記第2ポンプ室62を作動油の吐出口64に連通させる第2吐出路64bに第2吐出弁68が設けられ、その第2吐出弁68が前記第2ポンプ室62から前記吐出口64への作動油の流れを許容すると共に、その逆の流れを制限する。
【0028】
この場合、プランジャは、発動機によって往路と復路において略同じ駆動力で移動され、その往路を移動するときと、復路を移動するときの両方において作動油を連続的に吐出できる。
【0029】
(8)前記プランジャ22は、第1小径部22aと大径部60と第2小径部22bとを有する。第1小径部22aは、前記ピストン8に連結されている。その第1小径部22aよりも大径に形成される前記大径部60が、第1小径部22aに連結される。前記第1小径部22aと略同じ直径寸法に形成される第2小径部22bが前記大径部60に連結される。
【0030】
この場合、本発明の油圧ポンプ装置は、往路と復路においてほぼ同じ量だけ作動油を連続的に吐出できる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によると、簡素な構造でコンパクトな発動機およびその発動機を備える油圧ポンプ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は、本発明の第1実施形態を示し、油圧ポンプ装置の断面視の模式図である。
図2図2は、上記油圧ポンプ装置の動作説明図であって、上記図1に類似する模式図である。
図3図3は、本発明の第2実施形態を示す油圧ポンプ装置の部分図であり、図2に類似する図である。
図4図4は、本発明の第3実施形態を示す油圧ポンプ装置の部分図であり、図1に類似する図である。
図5図5は、本発明の第3実施形態を示す油圧ポンプ装置の部分図であり、図2に類似する図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の第1実施形態を図1および図2を参照して説明する。
【0034】
図1に示す油圧ポンプ装置1は、圧力流体としての圧縮エアを利用して往復直線運動する空圧ピストン発動機(以下、単に発動機という)2と、その発動機2で駆動されて高圧油を吐出するプランジャ式油圧ポンプ(以下、単にポンプという)3とによって構成されている。その発動機2は、圧縮エアの圧力エネルギーを動力に変換する発動機本体4と、この発動機本体4に圧縮エアを供給・排出する圧縮エア給排機構(以下、単に給排機構という)5とから構成される。その発動機2と給排機構5とがポンプ3に固定される。
【0035】
上記の発動機本体4内にシリンダ孔7が上下方向(軸方向)に形成され、そのシリンダ孔7に駆動用のピストン8が保密状で上下方向(シリンダ孔の軸方向であり、以下、単に、前記軸方向という)へ移動可能に挿入される。その発動機本体4の上壁4aとピストン8との間、すなわち、ピストン8の上側(前記軸方向の一端側)に第1発動室9が形成される。また、発動機本体4の下壁4bとピストン8との間、すなわち、ピストン8の下側(前記軸方向の他端側)に第2発動室10が形成される。その第2発動室10から圧縮エアが排出されると共に、第1発動室9に圧縮エアが供給されると、ピストン8が下限位置へ移動されていく。また、第1発動室9から圧縮エアが排出されると共に、第2発動室10に圧縮エアが供給されると、ピストン8が上限位置へ移動されていく。
【0036】
上記の給排機構5は、発動機本体4の上側に配置された弁ケース12内に設けられ、給排弁13を有している。これにより、第1発動室9および第2発動室10が給排弁13によって給圧口14と排圧口15とに切換え接続可能となっている。給圧口14は、供給弁16を介して圧縮エア源17に接続されており、排圧口15が外界(弁ケース12の外部)へ連通されている。また、給排弁13は、ピストン8から上方へ突設されるパイロット弁体18によって、図1に示す上限位置に押動された状態と図2に示す下限位置に押動された状態とに切換え可能となるように構成されている。
【0037】
上記のポンプ3は、ピストン8から下方に突設されるプランジャ22を有し、ポンプ3内に上下方向へ形成されるポンプ室21内にプランジャ22が保密状で上下方向(前記軸方向)へ移動可能に挿入される。そのプランジャ22が上下方向へ移動することにより、ポンプ室21の作動油が吐出口64から送り出される。
【0038】
次に、上記の給排機構5の構成を、図1および図2を参照して説明する。
【0039】
上記の弁ケース12内に筒状の給排弁13が上下方向(前記軸方向)へ移動可能に挿入される。その給排弁13は、筒状の給排弁本体24と、その給排弁本体24の下部の外周壁に保密状で上下方向(前記軸方向)へ移動可能に外嵌めされる筒状の第1弁部材25と、給排弁本体24の上部の外周壁に保密状で上下方向(前記軸方向)へ移動可能に外嵌めされる筒状の第2弁部材26とを有している。その第1弁部材25は、下側(前記軸方向の他端側)から順に形成される小径部と大径部とを有する。また、第2弁部材26は、下側(前記軸方向の他端側)から順に形成される大径部と小径部とを有する。その給排弁本体24の外周壁から突起部27が当該給排弁本体24の半径方向の外方へ周方向に突設される。その突起部27に第1弁部材25が上側(前記軸方向の一端側)から受け止められる。その突起部27に第2弁部材26が下側(前記軸方向の他端側)から受止められる。すなわち、給排弁13は、給排弁本体24に第1弁部材25と第2弁部材26とが組合わされた1つの組立体となっている。このため、本発明の発動機では、組立体が上限位置または下限位置へ一体的に移動されるときに、第1発動室9への圧縮エアの供給および排出と、第2発動室10への圧縮エアの供給および排出とを給排弁13が同時に、または、時間ずらして同期して切り換えることができるように構成される。従って、上記の従来技術に比べて、本発明の発動機は、簡素な構成となっている。なお、上記の突起部27と給排弁本体24と一体に加工されて形成されることに代えて、給排弁本体24と突起部27としての突起部材の2以上の部材を組み合わせることによって構成するようにしてもよい。例えば、給排弁本体24の外周壁に収容溝を周方向に形成し、リング状の部材を半分に割った形状の2以上の突起部材を収容溝に装着して、その突起部材の外周壁を止め輪で固定するようにしてもよい。また、突起部27は、給排弁本体24の外周壁に形成される孔に圧入や螺合されて固定されるピン部材によって構成されるようにしてもよい。
【0040】
上記の弁ケース12内で給排弁本体24の下側(前記軸方向の他端側)に給圧室28が形成される。その給圧室28は、弁ケース12に形成される給圧口14を介して圧縮エア源17に連通されている。その給圧室28は、給排弁13の下部の外周側に形成される第1作業用室29に連通されると共に、給排弁本体24に上下方向(前記軸方向)へ形成される連通路30を通って、給排弁13の上部の外周側に形成される第2作業用室31に連通される。第1作業用室29が、弁ケース12に形成される第1給排孔32を介して第1発動室9に連通される。また、第2作業用室31が、弁ケース12に形成される第2給排孔33を介して第2発動室10に連通される。第1作業用室29の内部に前記第1弁部材25が配置され、第2作業用室31の内部に前記第2弁部材26が配置される。
【0041】
上記の給排弁13の突起部27の外周側であって第1作業用室29と第2作業用室31との間に排圧室34が形成される。排圧室34が、第1作業用室29と第2作業用室31とに連通されると共に、消音器35を介して、弁ケース12の上部に形成される排圧口15にも連通されている。このため、上記の従来技術のように複数の弁や作業用室が離れた場所に配置される場合に比べて、本実施形態の発動機2では、給排弁13の外周側に、第1作業用室29と排圧室34と第2作業用室31とが上下に並べて一か所に設けられているので、簡素な構成となっている。また、本発明の発動機は、上下方向の寸法を小さくできる。
【0042】
上記の給排弁13を挟んで給圧室28とは反対側(上側)に切換え作動室36が形成される。より詳しくいえば、給排弁本体24の筒孔24aの内側および給排弁本体24の上端部の上側に切換え作動室36が形成される。
【0043】
上記の給排弁本体24の下半部分の直径より大径となるように給排弁本体24の上端部が形成されている。また、その上端部の受圧面積は、下半部分の受圧面積よりも広くなるように設定されている。このため、後述するように、パイロット弁体18が下限位置へ移動して、給圧室28がパイロット弁室45などを通って切換え作動室36に連通されたときには、給圧室28の圧縮エアの上向きの圧力が給排弁本体24の下半部分の受圧面に作用すると共に、切換え作動室36の圧縮エアの圧力が給排弁本体24の上端部の受圧面に作用する。従って、切換え作動室36の圧縮エアの圧力が上端部の受圧面積に作用する下方への押圧力から、給圧室28の圧縮エアの圧力が下半部分の受圧面積に作用する上向きの押圧力を差し引いた差力が給排弁本体24に下向きに作用する。ここで、下半部分の受圧面積とは、封止部材48よりもシリンダ孔の半径方向の外方であり、かつ、封止部材27aの前記半径方向の内方の下半部分の断面の面積であって、給圧室の圧縮エアの圧力が作用する下半部分の断面の面積である。また、上端部の受圧面積とは、封止部材48よりも前記半径方向の外方であり、かつ、封止部材27bの前記半径方向の内方の下半部分の断面の面積であって、切換え作動室36の圧縮エアの圧力が作用する下半部分の断面の面積である。
【0044】
上記の上端部の下側にバネ室37が形成される。そのバネ室37は、呼吸孔を通って排圧口15に連通される。そのバネ室37に補助バネ38が装着され、その補助バネ38が弁ケース12に対して給排弁本体24を上方(前記軸方向の一端側)に向けて付勢している。これにより、給圧口14に供給される圧縮エアの圧力が給排弁13に作用する前において、補助バネ38が給排弁13を上方へ確実に付勢するので、給排弁13が上限位置(前記軸方向の一端側位置)へ押動されている。その結果、給排弁13が上限位置と下限位置(前記軸方向の他端側位置)との間にある中間位置に移動することで、第1発動室9および第2発動室10が給圧口14および排圧口15の両方へ連通されて油圧ポンプ装置が動作不能となることを防止できる。ここで、補助バネ38の付勢力が、少なくとも、給排弁13とその給排弁13を収容する収容孔との間に生じる摩擦抵抗(パッキン抵抗)や給排弁の自重などによる抵抗力を上回る程度となるように当該補助バネ38のバネ定数が設定されている。
【0045】
上記の第1作業用室29内であってその第1作業用室29の底面と第1弁部材25の大径部の下面との間に第1バネ39が装着される。その第1バネ39が弁ケース12に対して第1弁部材25を上方へ付勢する。また、第2作業用室31内であって第2作業用室31の天井面と第2弁部材26の大径部の上面との間に第2バネ40が装着される。その第2バネ40が弁ケース12に対して第2弁部材26を下方へ付勢している。
【0046】
上記の第1作業用室29の底面に第1給圧側弁座29aが形成される。その第1給圧側弁座29aに当接可能な第1給圧側弁面25aが、第1弁部材25の下面に形成される。また、第1作業用室29の天井面に第1排圧側弁座29bが形成される。その第1排圧側弁座29bに当接可能な第1排圧側弁面25bが、第1弁部材25の上面に形成される。
【0047】
上記の第2作業用室31の天井面に第2給圧側弁座31aが形成される。その第2給圧側弁座31aに当接可能な第2給圧側弁面26aが、第2弁部材26の上面に形成される。また、第2作業用室31の底面に第2排圧側弁座31bが形成される。その第2排圧側弁座31bに当接可能な第2排圧側弁面26bが、第2弁部材26の下面に形成される。
【0048】
上記ピストン8からパイロット弁体18が上方に突設される。そのピストン8と同行してパイロット弁体18が上下方向へ移動することにより、給排弁13が給圧室28と前記切換え作動室36とを連通させる状態と、遮断させる状態とに切換える。その結果、給排弁13が上限位置と下限位置とに切換え操作される。そのパイロット弁体18を図1及び図2を参照して説明する。
【0049】
上記の給排弁本体24の筒孔24a内に、筒状のスリーブ44の下半部分である小径部が上下方向へ移動可能に挿入される。そのスリーブ44の筒孔内にパイロット弁室45が形成される。そのパイロット弁室45にパイロット弁体18が上下方向(前記軸方向)へ移動可能に挿入される。
【0050】
上記の給排弁本体24の筒孔24aの内周面とスリーブ44外周面との間に隙間が形成されている。パイロット弁体18の外周面と筒孔24aの内周面との間に環状封止部材48が保密状に挿入されている。その環状封止部材48は、スリーブ44の下端部に設けられる受止め部49によって上方への移動が制限されている。
【0051】
上記のスリーブ44の筒孔の内周壁に圧抜き弁座52が設けられ、この弁座52に圧抜き弁体53(圧抜きボール)が閉弁バネ54によって下方に向けて付勢される。その圧抜き弁体53は、パイロット弁体18の先端部にその一部として一体形成される圧抜き操作ロッド(以下、操作ロッドという)46と当接可能となっている。また、弁ケース12の上部に形成される圧抜き口55が、排圧口15を通って弁ケース12の外部(外界)に連通されている。
【0052】
上記のスリーブ44の上部に大径部が形成され、その大径部の外周壁と弁ケース12の収容孔77との間に絞り路Gが設けられる。その絞り路Gを開閉する開閉手段56が、スリーブ44の上端部と、弁ケース12の上部に設けられる上端壁57との間に設けられる。その開閉手段56は、上端壁57に形成される環状溝に装着される環状の封止部材47と、スリーブ44の上端面に形成される環状の係合面44bとを有している。そのスリーブ44の係合面44bと封止部材47とが当接可能に隙間をあけて対面されている。そのスリーブ44が上昇されて係合面44bが封止部材47に当接されると絞り路Gが閉鎖され、係合面44bが封止部材47から離間されると絞り路Gが開放される。すなわち、切換え作動室36の圧力が設定圧力を下回っているときには、上端壁57とスリーブ44との間に装着される圧縮バネ58の付勢力によって当該スリーブ44が下方へ移動されて絞り路Gが開放される(開閉手段56が開弁される)。また、切換え作動室36の圧力が設定圧力を上回るときには、切換え作動室36の圧縮エアがスリーブ44を上端位置へ移動させて絞り路Gが遮蔽される(開閉手段56が閉弁される)。
【0053】
上記パイロット弁体18(操作ロッド46)と開閉手段56とは、次のように作動する。
【0054】
上記のピストン8の下降に同行してパイロット弁体18が図1の上限位置から図2の下限位置に切換えられる(下降されていく)場合には、まず、圧抜き弁体53が閉弁バネ54によって圧抜き弁座52に着座されて、その圧抜き口51が閉じられる。次いで、圧抜き弁体53から操作ロッド46が離間される。引き続いて、図2に示すように、パイロット弁体18の外周面が環状封止部材48から下方へ離間される。
【0055】
すると、給圧室28内の圧縮エアが、パイロット弁体18と環状封止部材48との開弁隙間・パイロット弁室45・スリーブ44の貫通孔44aを通って切換え作動室36へ導入される。
【0056】
その切換え作動室36の圧縮エアによってスリーブ44が閉弁バネ54と圧縮バネ58の下方への付勢力に抗して上昇されて、スリーブ44の係合面44bが上端壁57の封止部材47に係合される。すると、切換え作動室36が急速に加圧されていき、切換え作動室36の圧縮エアが補助バネ38の上方への付勢力に抗して給排弁本体24を強力に押し下げて図2の下限位置に移動させる。すると、給排弁本体24の突起部27が第1弁部材25を第1バネ39に抗して押し下げると、第1排圧側弁面25bを第2排圧側弁座29bから離間(開弁)させると共に、第1給圧側弁面25aを第1給圧側弁座29aに係合(閉弁)させる。これにより、第1発動室9は、第1給排孔32と第1作業用室29と排圧室34とを通って排圧口15に連通される。また、第2バネ40の下方への付勢力と給圧室28からの圧縮エアの圧力によって第2弁部材26が押し下げられて、第2弁部材26の第2給圧側弁面26aを第2給圧側弁座31aから離間(開弁)させると共に、第2排圧側弁面26bを第2排圧側弁座31bに係合(閉弁)させる。これにより、第2発動室10は、第2給排孔33と第2作業用室31と給圧室28とを通って給圧口14に連通される。その結果、ピストン8の上昇復帰行程が開始される。
【0057】
そして、ピストン8の上昇に同行してパイロット弁体18が図2の下限位置から図1の上限位置に切換えられる(上昇される)場合には、まず、パイロット弁体18の外周面が環状封止部材48の内周面に封止接触する。次いで、操作ロッド46が圧抜き弁体53を閉弁バネ54に抗して圧抜き弁座52から離間させ、切換え作動室36内の圧縮エアをスリーブ44の貫通孔44a,圧抜き弁座52と圧抜き弁体53との間の開弁隙間,圧抜き口51の経路で排圧口15から弁ケース12の外部へ排出させる。これにより、給圧室28の圧縮エアの圧力および補助バネ38の付勢力によって給排弁本体24が押し上げられて上限位置に切換えられる。すると、給排弁本体24の突起部27が第2弁部材26を第2バネ40に抗して押し上げると、第2排圧側弁面26bを第2排圧側弁座31bから離間(開弁)させると共に、第2給圧側弁面26aを第2給圧側弁座31aに係合(閉弁)させる。これにより、第2発動室10は、第2給排孔33と第2作業用室31と排圧室34とを通って排圧口15に連通される。また、第1バネ39の上方への付勢力と給圧室28からの圧縮エアの圧力によって第1弁部材25を押し上げて、第1弁部材25の第1給圧側弁面25aを第1給圧側弁座29aから離間(開弁)させると共に、第1排圧側弁面25bを第1排圧側弁座29bに係合(閉弁)させる。これにより、第1発動室9は、第1給排孔32と第1作業用室29と給圧室28とを通って給圧口14に連通される。その結果、ピストン8の下降駆動行程が再び開始される。
【0058】
なお、本実施形態において、環状封止部材48は、Oリング等の断面が円形であるものに限られず、断面形状がV字状のものやU字状のものその他形状であってもよい。また、その材質は、ゴム等のシール性能が優れるものや、樹脂等の耐摩耗性が優れるものであってもよく、複数種の部材を組み合わせて構成してもよい。さらに、環状封止部材48は、スリーブ44の下面に装着することに代えて、スリーブ44の内周面に装着してもよい。
また、上記の発動機2は、上記の実施形態のように空圧作動式に構成することに代えて、窒素などの他の種類のガスで作動させたり、油圧で作動させたりすることもできる。
【0059】
次に、上記のプランジャ式油圧ポンプ3の構成を、図1および図2を参照して説明する。
上記ピストン8から下方へ突設されるプランジャ22が、ポンプ3の筐体20内に形成されるポンプ室21に上下方向へ移動可能に挿入される。そのプランジャ22は、上方(一端側)から順に形成される第1小径部22aと、その第1小径部22aよりも直径寸法が大きい大径部60と、第1小径部22aとほぼ同じ直径寸法の第2小径部22bとを有している。第1小径部22aの直径寸法と第2小径部22bの直径寸法とが略同じになるように設定されているため、そのプランジャ22がポンプ室21から押し出す作動油は、往路における吐出量と復路における吐出量とが略同じとなる。なお、往路における吐出量と復路における吐出量とに差を設けたい場合には、第1小径部22aの直径寸法と第2小径部22bの直径寸法とを異なる寸法に設定すればよい。この場合、第2小径部22bを省略してもよい。
【0060】
上記の大径部60がポンプ室21に保密状に挿入される。また、大径部60の上側に第1ポンプ室61が形成されると共に、大径部60の下側に第2ポンプ室62が形成される。その油圧ポンプ3の筐体20に吸入口63と吐出口64が形成されている。その吸入口63は、作動油のタンク(図示しない)に接続されており、吐出口64は、外部へと接続されている。吸入口63は、第1吸入路63aを介して第1ポンプ室61に連通されると共に、第2吸入路63bを介して第2ポンプ室62に連通される。また、吐出口64は、第1吐出路64aを介して第1ポンプ室61に連通されると共に、第2吐出路64bを介して第2ポンプ室62に連通される。第1吸入路63aの途中部に第1吸入弁65が設けられ、第2吸入路63bの途中部に第2吸入弁66が設けられる。その第1吸入弁65および第2吸入弁66は、プランジャ式油圧ポンプ3内に設けられる弁座と、その弁座に向けてバネによって付勢される弁体とから構成される逆止弁である。その第1吸入弁65は、吸入口63から第1ポンプ室61への油の流れを許容すると共に、その逆の流れを制限する。第2吸入弁66は、吸入口63から第2ポンプ室62への油の流れを許容すると共に、その逆の流れを制限する。また、第1吐出路64aの途中部に第1吐出弁67が設けられ、第2吐出路64bの途中部に第2吐出弁68が設けられる。その第1吐出弁67および第2吐出弁68とは、第1吸入弁65等と同様の構造の逆止弁である。第1吐出弁67は、第1ポンプ室61から吐出口64への油の流れを許容すると共に、その逆の流れを制限する。また、第2吐出弁68は、第2ポンプ室62から吐出口64への油の流れを許容すると共に、その逆の流れを制限する。
【0061】
上記のピストン8を下降駆動させると、プランジャ22の大径部60が下降する。このとき、その第2ポンプ室62の作動油の圧力が高められて、その第2ポンプ室62内の高圧の作動油が第2吐出弁体76を押し開いて、その高圧の作動油が吐出口64から外部へ吐出される。また、このとき、第1ポンプ室61の内圧が吸入口63内の作動油の圧力よりも低くなり、吸入口63の作動油が第1吸入弁体70を押し開いて、吸入口63の作動油が第1ポンプ室61に吸入される。
【0062】
上記のピストン8を上昇駆動させると、プランジャ22の大径部60が上昇する。このとき、第1ポンプ室61の作動油の圧力が高められて、その第1ポンプ室61内の高圧の作動油が第1吐出弁体74を押し開いて、その高圧の作動油が吐出口64から外部へ吐出される。また、このとき、第2ポンプ室62の内圧が吸入口63内の作動油の圧力よりも低くなり、吸入口63の作動油が第2吸入弁体72を押し開いて、吸入口63の作動油が第2ポンプ室62に吸入される。以上の行程を繰り返すことにより、高圧の作動油が往路と復路との両方で吐出口64から外部へ送り出される。このため、プランジャ22は、発動機2によって往路と復路において略同じ駆動力で移動され、その往路を移動するときと、復路を移動するときの両方において圧油を連続的に吐出できる。往路においてのみ圧油を吐出する従来技術に比べて、圧油の吐出量を増やすことができる。また、本発明の油圧ポンプ装置は、圧油を連続して吐出するので、圧油の脈動を低減できる。
【0063】
図3は、本発明の第2実施形態を示している。この第2実施形態においては、上記の第1実施形態の構成部材と同じ部材(または類似する部材)には原則として同一の参照数字を付けて説明する。
【0064】
上記の第1実施形態と異なる点は次の通りである。
【0065】
図3に示す第2実施形態の油圧ポンプ装置1では、給排弁本体24の上端部の上側であって切換え作動室36内に補助バネ81が装着される。その補助バネ81が弁ケース12に対して給排弁本体24を下方(前記軸方向の他端側)へ付勢している。これにより、油圧ポンプ装置の給圧口14に圧縮エアが供給される前において、補助バネ81が給排弁13を下方へ確実に付勢する。その結果、給排弁13が中間位置に移動されて油圧ポンプ装置1が動作不能となることを防止できる。
【0066】
上記図1に示す第1実施形態の油圧ポンプ装置1の給排弁13が、給排弁本体24と第1弁部材25と第2弁部材26の別々の部材が組み合わされて構成されているのに代えて、第2実施形態の油圧ポンプ装置1では、給排弁13が給排弁本体24と第1弁部材25と第2弁部材26とが一体に形成されている。このため、本発明の第1実施形態の給排弁13よりも、本実施形態の給排弁の方が簡素な構造となっている。
【0067】
上記油圧ポンプ装置1の第1作業用室29の底壁に収容溝が周方向へ形成され、リング状の第1弁座部材82が装着される。その第1弁座部材82の上面に第1給圧側弁座29aが形成される。その給排弁13が下限位置へ移動して、第2弁部材26の第2排圧側弁面26bが第2排圧側弁座31bに当接すると共に、第1弁部材25の第1給圧側弁面25aが第1弁座部材82の第1給圧側弁座29aに当接される。このとき、第1弁座部材82は、給排弁13によって弾性変形されるので、給排弁13と弁ケース12との加工誤差や組付け誤差などを吸収するように上記の弁面と弁座とが確実かつ同時または時間をずらして同期して当接(閉弁)される。ここで、第1弁座部材82(および、後述する第2弁座部材83)は、樹脂、ゴム、その他の素材、それらの2以上の素材を組み合わせたもの、また、皿バネやコイルバネとリング状の部材とを組み合わせたものなどによって構成されるようにしてもよい。なお、上記の第1弁座部材82が、第1作業用室29の底壁の収容溝に装着されることに代えて、第1作業用室29の天井壁に形成される収容溝に装着されるようにしてもよい。この場合、第1弁座部材82の下面に第1排圧側弁座29bが形成される。
【0068】
また、第2作業用室31の天井壁に収容溝が周方向へ形成され、その収容溝に第1弁座部材82と同様のリング状の第2弁座部材83が装着される。その弁座部材83の下面に第2弁座31aが形成される。その給排弁13が上限位置へ移動して、第1弁部材25の第1排圧側弁面25bが第1排圧側弁座29bに当接されると共に、第2弁部材26の第2給圧側弁面26aが第2弁座部材83の第2排圧側弁座31aに当接する。このとき、第2弁座部材83は、給排弁13によって弾性変形されるので、給排弁13と弁ケース12との加工誤差や組付け誤差などを吸収するように上記の弁面と弁座とが確実に当接される。なお、上記の第2弁座部材83が、第2作業用室31の天井壁の収容溝に装着されることに代えて、第2作業用室31の底壁に形成される収容溝に装着されるようにしてもよい。この場合、第2弁座部材83の上面に第2排圧側弁座31bが形成される。
【0069】
また、スリーブ44の大径部が挿入される収納孔77と給圧口14とを連通させる流路78が、弁ケース12に形成される。その流路78の途中部に絞り部79が形成される。これにより、給圧口14に供給される圧縮エアが、流路78の絞り部79,絞り部Gを通って切換え作動室36に供給される。
【0070】
ここで、流路78を有さない図1、2に示す油圧ポンプ装置では、圧抜き弁体53が圧抜き弁座52に当接されて閉弁された状態において、パイロット弁室45の圧縮エアが何らかの原因によって漏れ出ていくことがありえる。この場合、給排弁13が図3の下限位置から中立位置へ上昇するので、給圧口14が第1作業用室29および第2作業用室31を通って排圧口15へ連通されると共に、第1発動室9および第2発動室10が排圧口15へ連通される。このため、最悪の場合、圧油ポンプ装置が動作不能状態となる。
【0071】
これに対して、本実施形態の油圧ポンプ装置では、第2発動室10経由で上記の流路78を通って緩やかに切換え作動室36へ供給された圧縮エアが、パイロット弁室45から漏れた圧縮エアを補うことになり、上記のような油圧ポンプ装置の動作不能状態となるのを防止できる。
【0072】
なお、本実施形態の流路78のように、その流路78の一部に絞り路79を設けることに代えて、流路78の全部に絞り路79を設けるようにしてもよい。
【0073】
図4および図5は、本発明の第3実施形態を示している。この第3実施形態においては、上記の第1および第2実施形態の構成部材と同じ部材(または類似する部材)には原則として同一の参照数字を付けて説明する。上記の第1および第2実施形態と異なる点は次の通りである。
【0074】
上記本実施形態の給排機構5は、図4および図5のように次のように構成される。
【0075】
上記の給排機構5の弁ケース12内に筒状の給排弁13が上下方向(前記軸方向)へ移動可能に挿入される。その給排弁13は、筒状の給排弁本体24と、その給排弁本体24の下部の外周壁に保密状で上下方向(前記軸方向)へ移動可能に外嵌めされる筒状の第1弁部材25と、給排弁本体24の上部の外周壁に保密状で上下方向(前記軸方向)へ移動可能に外嵌めされる筒状の第2弁部材26と、第1弁部材25と第2弁部材26との間に挿入される筒状の伝動部材87とを有している。その第1弁部材25は、下側(前記軸方向の他端側)から順に形成される小径部と大径部とを有する。また、第2弁部材26は、下側(前記軸方向の他端側)から順に形成される大径部と小径部とを有する。給排弁13は、給排弁本体24に第1弁部材25と第2弁部材26と伝動部材87とが組合わされた1つの組立体となっている。このため、本発明の発動機では、組立体が上限位置または下限位置へ一体的に移動されるときに、第1発動室9への圧縮エアの供給および排出と、第2発動室10への圧縮エアの供給および排出とを給排弁13が同時に、または、時間ずらして同期して切り換えることができるように構成される。
【0076】
その給圧室28は、給排弁13の下部の外周側に形成される第1作業用室29に連通されると共に、給排弁本体24に上下方向(前記軸方向)へ形成される連通路30を通って、給排弁13の上部の外周側に形成される第2作業用室31に連通される。第1作業用室29が、弁ケース12に形成される第1給排孔32を介して第1発動室9に連通される。また、第2作業用室31が、弁ケース12に形成される第2給排孔33を介して第2発動室10に連通される。第1作業用室29の内部に前記第1弁部材25が配置され、第2作業用室31の内部に前記第2弁部材26が配置される。また、排圧室34の内部に伝動部材87が配置される。その伝動部材87の下部が第1弁部材25の筒孔に上下方向に移動可能で保密状に挿入されると共に、伝動部材87の上端面が第2弁部材26に当接可能となっている。その伝動部材87の下面と第1弁部材25の上面との間に作動室88が形成され、その作動室88に圧縮エアを給排する流路84が第1弁部材25に形成される。その流路84が作動室88と第1作業用室29とを連通させている。
【0077】
上記の給排弁本体24が、下側から順に形成される小径部と大径部とを有する。その給排弁本体24の大径部の外周側であって第1作業用室29と第2作業用室31との間に排圧室34が形成される。
【0078】
パイロット弁体18(操作ロッド46)と開閉手段56とは、次のように作動する。
【0079】
ピストン8の下降に同行してパイロット弁体18が図4の上限位置から図5の下限位置に切換えられる(下降されていく)場合には、まず、圧抜き弁体53が閉弁バネ54によって圧抜き弁座52に着座されて、その圧抜き口51が閉じられる。次いで、圧抜き弁体53から操作ロッド46が離間される。引き続いて、図5に示すように、パイロット弁体18の外周面が環状封止部材48から下方へ離間される。
【0080】
すると、給圧室28内の圧縮エアが、パイロット弁体18と環状封止部材48との開弁隙間・パイロット弁室45・スリーブ44の貫通孔44aを通って切換え作動室36へ導入される。
【0081】
その切換え作動室36の圧縮エアによってスリーブ44が閉弁バネ54と圧縮バネ58の下方への付勢力に抗して上昇されて、スリーブ44の係合面44bが上端壁57の封止部材47に係合される。すると、切換え作動室36が急速に加圧されていき、切換え作動室36の圧縮エアが補助バネ38の上方への付勢力に抗して給排弁本体24を強力に押し下げて図5の下限位置に移動させる。すると、給排弁本体24の大径部と小径部との間に形成される段差部85が第1弁部材25を第1バネ39に抗して押し下げると、第1排圧側弁面25bを第2排圧側弁座29bから離間(開弁)させると共に、第1給圧側弁面25aを第1給圧側弁座29aに係合(閉弁)させる。これにより、第1発動室9は、第1給排孔32と第1作業用室29と排圧室34とを通って排圧口15に連通される。次いで、第2バネ40の下方への付勢力と給圧室28からの圧縮エアの圧力によって第2弁部材26が押し下げられて、第2弁部材26の第2給圧側弁面26aが第2給圧側弁座31aから離間(開弁)されると共に、第2排圧側弁面26bが第2排圧側弁座31bに係合(閉弁)される。これにより、第2発動室10は、第2給排孔33と第2作業用室31と給圧室28とを通って給圧口14に連通される。その結果、ピストン8の上昇復帰行程が開始される。
【0082】
そして、ピストン8の上昇に同行してパイロット弁体18が図5の下限位置から図4の上限位置に切換えられる(上昇される)場合には、まず、パイロット弁体18の外周面が環状封止部材48の内周面に封止接触する。次いで、操作ロッド46が圧抜き弁体53を閉弁バネ54に抗して圧抜き弁座52から離間させ、切換え作動室36内の圧縮エアをスリーブ44の貫通孔44a,圧抜き弁座52と圧抜き弁体53との間の開弁隙間,圧抜き口51の経路で排圧口15から弁ケース12の外部へ排出させる。これにより、給圧室28の圧縮エアの圧力および補助バネ38の付勢力によって給排弁本体24が押し上げられて上限位置に切換えられる。すると、給排弁本体24の外周壁に装着される封止部材86と第1弁部材25との間に作用する摩擦力と第1バネ39の上方への付勢力と給圧室28の圧力による押圧力とが第1弁部材25を押し上げて、第1弁部材25の第1給圧側弁面25aを第1給圧側弁座29aから離間(開弁)させると共に、第1排圧側弁面25bを第1排圧側弁座29bに係合(閉弁)させる。これにより、第1発動室9は、第1給排孔32と第1作業用室29と給圧室28とを通って給圧口14に連通される。また、第1作業用室29内の圧縮エアが作動室88に供給され、その作動室88の圧縮エアによる押圧力が伝動部材87を介して第2弁部材26を第2バネ40に抗して押し上げる。すると、第2排圧側弁面26bが第2排圧側弁座31bから離間(開弁)されると共に、第2給圧側弁面26aが第2給圧側弁座31aに係合(閉弁)される。これにより、第2発動室10は、第2給排孔33と第2作業用室31と排圧室34とを通って排圧口15に連通される。その結果、ピストン8の下降駆動行程が再び開始される。
【0083】
上記の各実施形態は次のように変更可能である。
【0084】
上記の圧力流体は、例示した圧縮エアに代えて、他の気体または圧油等の液体であってもよい。
【0085】
上記の給排弁13は、下側から順に形成される小径部と大径部とを有するように構成されるのに代えて、下側から順に形成される大径部と小径部とを有するようにしてもよい。
【0086】
上記の給圧室28を給排弁13の下側(前記軸方向の他端側)に設けることに代えて、給排弁13の上側(前記軸方向の一端側)に設けてもよい。また、切換え作動室36を給排弁13の上側(前記軸方向の一端側)に設けることに代えて、給排弁13の下側(前記軸方向の他端側)に設けてもよい。
【0087】
上記給圧口14を油圧ポンプ装置の右側に設けることに代えて、上側やほかの場所に設けてもよい。
【0088】
上記の補助バネ38および補助バネ81を省略してもよい。上記の第1バネ39および第2バネ40を省略してもよい。
【0089】
その他に、当業者が想定できる範囲で種々の変更を行えることは勿論である。
【符号の説明】
【0090】
3:ポンプ,4:発動機本体,5:給排機構,7:シリンダ孔,8:ピストン,9:第1発動室,10:第2発動室,12:弁ケース,13:給排弁,22:プランジャ,24:給排弁本体,24a:筒孔,25:第1弁部材,26:第2弁部材,27:突起部,28:給圧室,29:第1作業用室,31:第2作業用室,34:排圧室,36;切換え作動室,38:補助バネ,39:第1バネ,40:第2バネ,46:操作ロッド,60:大径部,61:第1ポンプ室,62:第2ポンプ室,63:吸入口,63a:第1吸入路,63b第2吸入路,64:吐出口,64a:第1吐出路,64b:第2吐出路,65:第1吸入弁,66:第2吸入弁,67:第1吐出弁,68:第2吐出弁,73:第1吐出路,78:流路,79:絞り路,81:補助バネ,85:段差部,87:伝動部材.
図1
図2
図3
図4
図5