(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-24
(45)【発行日】2024-02-01
(54)【発明の名称】発光モジュール、及び、照明装置
(51)【国際特許分類】
F21K 9/60 20160101AFI20240125BHJP
H05B 45/20 20200101ALI20240125BHJP
H05B 45/325 20200101ALI20240125BHJP
H05B 45/335 20200101ALI20240125BHJP
H05B 47/155 20200101ALI20240125BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240125BHJP
【FI】
F21K9/60
H05B45/20
H05B45/325
H05B45/335
H05B47/155
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2023510181
(86)(22)【出願日】2021-07-30
(86)【国際出願番号】 JP2021028507
(87)【国際公開番号】W WO2022208922
(87)【国際公開日】2022-10-06
【審査請求日】2023-09-22
(31)【優先権主張番号】P 2021055101
(32)【優先日】2021-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000168078
【氏名又は名称】江東電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148149
【氏名又は名称】渡邉 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100169753
【氏名又は名称】竹内 幸子
(72)【発明者】
【氏名】内田 大祐
(72)【発明者】
【氏名】岡 弘幸
【審査官】當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-119723(JP,A)
【文献】特開2019-114794(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21K 9/60
H05B 45/20
H05B 45/325
H05B 45/335
H05B 47/155
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の相関色温度を有する光を発光する第1光源と、
前記第1の相関色温度よりも高い第2の相関色温度を有する光を発光する第2光源と、
それぞれ異なる発光色の光を発光可能な5種類の有色光源と、
を備え、
前記第1光源、前記第2光源、及び、前記5種類の有色光源を、それぞれ所定割合の発光強度で発光させることで、相関色温度5000K以上6500K以下で、平均演色評価数Raが98以上、特殊演色評価数R9が98以上、及び、特殊演色評価数R12が94以上の混合光を発光可能である
ことを特徴とする発光モジュール。
【請求項2】
前記第1の相関色温度は2700Kである
ことを特徴とする請求項1に記載の発光モジュール。
【請求項3】
前記第2の相関色温度は5700Kである
ことを特徴とする請求項1または2に記載の発光モジュール。
【請求項4】
前記第1光源は電球色光源、前記第2光源は白色光源であり、
前記5種類の有色光源は、紫色の光源、青色の光源、シアン色の光源、ライム色の光源及び、赤色の光源を含む、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の発光モジュール。
【請求項5】
前記第1光源、前記第2光源、及び、前記5種類の有色光源を、それぞれ所定割合の発光強度で発光させることで、相関色温度5000K以上6500K以下で、平均演色評価数Ra及び特殊演色評価数R9が99の混合光を発光可能である
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の発光モジュール。
【請求項6】
前記第1光源、前記第2光源、及び、前記ライム色の光源をそれぞれ、前記5種類の有色光源のうち前記ライム色の光源以外の光源の発光強度の合計よりも十分に高い発光強度で発光させることで、相関色温度5000K以上6500K以下の混合光を発光する、
ことを特徴とする請求項4に記載の発光モジュール。
【請求項7】
前記第1光源の発光光の相関色温度は2700K、前記第2光源の発光光の相関色温度は5700Kであり、前記5種類の有色光源は、紫色の光を発光する第3光源、青色の光を発光する第4光源、シアン色の光を発光する第5光源、ライム色の光を発光する第6光源及び、赤色の光を発光する第7光源を含み、
前記第1から第7の光源を、
24000:0:0:0:0:0:0の光束の比で発光させることにより、2700Kの相関色温度の光を合成し、又は
22000:0:4.6:220:110:2750:0の光束の比で発光させることにより、3000Kの相関色温度の光を合成し、又は、
20000:4600:10.9:330:530:4000:0の光束の比で発光させることにより、3500Kの相関色温度の光を合成し、又は、
19000:11400:19.3:530:760:5300:0の光束の比で発光させることにより、4000Kの相関色温度の光を合成し、又は、
14800:14700:88:1050:1740:9590:87の光束の比で発光させることにより、5000Kの相関色温度の光を合成し、又は、
11000:16900:92:1350:1930:11000:230の光束の比で発光させることにより、5500Kの相関色温度の光を合成し、又は、
6000:18000:100.6:1500:1300:8000:0の光束比で発光させることにより、6500Kの色相関温度の光を合成し、又は、
3100:15000:111.5:1500:1000:6600:0の光束比で発光させることにより、8000Kの色相関温度の光を合成し、又は、
2200:15000:159.2:1500:1800:6600:0の光束比で発光させることにより、10000Kの色相関温度の光を合成し、又は、
0:15000:226.3:1500:2200:5200:0の光束比で発光させることにより、20000Kの混合光を合成する、
請求項1から6の何れか1項に記載の発光モジュール。
【請求項8】
前記第1光源、前記第2光源、及び、前記5種類の有色光源を、それぞれ所定段階の分解能で調光可能な調光制御手段をさらに備え、
前記調光制御手段は、FM(Frequency Modulation)調光、PWM(Pulse Width Modulation)調光、及び、DC(Direct Current)調光を組み合わせて調光を行う
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の発光モジュール。
【請求項9】
複数の前記第1光源と、複数の前記第2光源と、がそれぞれ、円形の基板の中心近傍から円周に向かう方向に放射状に配置されている、
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の発光モジュール。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の発光モジュールを備える照明装置。
【請求項11】
前記第1光源、前記第2光源、及び、前記5種類の有色光源を調光させる調光制御手段を制御する制御装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記第1光源、前記第2光源、及び、前記5種類の有色光源の発光強度と前記相関色温度との関係を示すテーブルを予め記憶する記憶部を含み、前記記憶部に記憶されている前記テーブルを参照して、所望の前記相関色温度に対応する前記第1光源、前記第2光源、及び、前記5種類の有色光源の発光強度を決定し、決定した前記発光強度に基づいて、前記調光制御手段を制御する、
請求項10に記載の照明装置。
【請求項12】
前記発光モジュールの前記第1光源、前記第2光源、及び、前記5種類の有色光源の配列面に対して垂直の反射面を有し、前記発光モジュールが放射する光を反射する反射部と、前記反射部の前記発光モジュールと反対側に備えられ、前記反射部で反射された光を拡散する拡散板と、を備える、
ことを特徴とする請求項10又は11に記載の照明装置。
【請求項13】
前記発光モジュールの前記第1光源、前記第2光源、及び、前記5種類の有色光源の配列面に対して略平行に延在し、前記発光モジュールが放射する光を収束または発散させるレンズと、前記レンズに略平行に延在し、前記レンズを透過する光を拡散整形するレンズ拡散板と、を備える、
ことを特徴とする請求項10から12のいずれか1項に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光モジュール、及び、照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
第1の光と第2の光とを混ぜ合わせることで、色温度が2000K以上、3200K以下の範囲において、平均演色評価数Raが90以上、特殊演色評価数R9が90以上の光を出力する発光モジュールが提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のような発光モジュールにおいては、色温度が2000K~3200Kという、比較的低い相関色温度且つ狭い相関色温度の範囲においてのみ、高い演色評価数が得られている。しかし、3500K以上の比較的高い相関色温度については、開示がない。このため、比較的高い相関色温度で、或いは、より広い相関色温度範囲で高い演色性を有する光を出力できる発光モジュールが望まれる。
【0005】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたものであり、より高い演色性を有する光を発光する発光モジュール、及び、照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の発光モジュールは、
第1の相関色温度を有する光を発光する第1光源と、
前記第1の相関色温度よりも高い第2の相関色温度を有する光を発光する第2光源と、
それぞれ異なる発光色の光を発光可能な5種類の有色光源と、
を備え、
前記第1光源、前記第2光源、及び、前記5種類の有色光源を、それぞれ所定割合の発光強度で発光させることで、相関色温度5000K以上6500K以下で、平均演色評価数Raが98以上、特殊演色評価数R9が98以上、及び、特殊演色評価数R12が94以上の混合光を発光可能である。
【0007】
前記第1の相関色温度は2700Kであるようにしてもよい。
【0008】
前記第2の相関色温度は5700Kであるようにしてもよい。
【0009】
例えば、前記第1光源は電球色光源、前記第2の光源は白色光源、前記5種類の有色光源は、赤色の光源、青色の光源、紫色の光源、及び、シアン色の光源を含むようにしてもよい。
【0010】
前記第1光源、前記第2光源、及び、前記5種類の有色光源を、それぞれ所定割合の発光強度で発光させることで、相関色温度5000K以上6500K以下で、平均演色評価数Ra及び特殊演色評価数R9が99の混合光を発光可能であるようにしてもよい。
【0011】
前記第1光源、前記第2光源、及び、前記ライム色の光源をそれぞれ、前記5種類の有色光源のうち前記ライム色の光源以外の光源の発光強度の合計よりも十分に高い発光強度で発光させることで、相関色温度5000K以上6500K以下の混合光を発光するようにしてもよい。
【0012】
例えば、前記第1光源の発光光の相関色温度は2700K、前記第2光源の発光光の相関色温度は5700Kであり、前記5種類の有色光源は、紫色の光を発光する第3光源、青色の光を発光する第4光源、シアン色の光を発光する第5光源、ライム色の光を発光する第6光源及び、赤色の光を発光する第7光源を含んでもよい。
この場合に、前記第1から第7の光源を
24000:0:0:0:0:0:0の光束の比で発光させることにより、2700Kの相関色温度の光を合成し、又は
22000:0:4.6:220:110:2750:0の光束の比で発光させることにより、3000Kの相関色温度の光を合成し、又は、
20000:4600:10.9:330:530:4000:0の光束の比で発光させることにより、3500Kの相関色温度の光を合成し、又は、
19000:11400:19.3:530:760:5300:0の光束の比で発光させることにより、4000Kの相関色温度の光を合成し、又は、
14800:14700:88:1050:1740:9590:87の光束の比で発光させることにより、5000Kの相関色温度の光を合成し、又は、
11000:16900:92:1350:1930:11000:230の光束の比で発光させることにより、5500Kの相関色温度の光を合成し、又は、
6000:18000:100.6:1500:1300:8000:0の光束比で発光させることにより、6500Kの色相関温度の光を合成し、又は、
3100:15000:111.5:1500:1000:6600:0の光束比で発光させることにより、8000Kの色相関温度の光を合成し、又は、
2200:15000:159.2:1500:1800:6600:0の光束比で発光させることにより、10000Kの色相関温度の光を合成し、又は、
0:15000:226.3:1500:2200:5200:0の光束比で発光させることにより、20000Kの混合光を合成するようにしてもよい。
【0013】
前記第1光源、前記第2光源、及び、前記5種類の有色光源を、それぞれ所定段階の分解能で調光可能な調光制御手段をさらに備え、
前記調光制御手段は、FM(Frequency Modulation)調光、PWM(Pulse Width Modulation)調光、及び、DC(Direct Current)調光を組み合わせて調光を行うようにしてもよい。
【0014】
複数の前記第1光源と、複数の前記第2光源と、がそれぞれ、円形の基板の中心近傍から円周に向かう方向に放射状に配置されていてもよい。
【0015】
また、本発明の照明装置は、
前記発光モジュールを備える照明装置であって、
前記第1光源、前記第2光源、及び、前記5種類の有色光源を調光させる調光制御手段を制御する制御装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記第1光源、前記第2光源、及び、前記5種類の有色光源の発光強度と前記相関色温度との関係を示すテーブルを予め記憶する記憶部を含み、前記記憶部に記憶されている前記テーブルを参照して、所望の前記相関色温度に対応する前記第1光源、前記第2光源、及び、前記5種類の有色光源の発光強度を決定し、決定した前記発光強度に基づいて、前記調光制御手段を制御するようにしてもよい。
【0016】
前記照明装置は、
前記発光モジュールの前記第1光源、前記第2光源、及び、前記5種類の有色光源の配列面に対して垂直の反射面を有し、前記発光モジュールが放射する光を反射する反射部と、前記反射部の前記発光モジュールと反対側に備えられ、前記反射部で反射された光を拡散する拡散板と、を備えてもよい。
【0017】
前記照明装置は、
前記発光モジュールの前記第1光源、前記第2光源、及び、前記5種類の有色光源の配列面に対して略平行に延在し、前記発光モジュールが放射する光を収束または発散させるレンズと、前記レンズに略平行に延在し、前記レンズを透過する光を拡散整形するレンズ拡散板と、を備えてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、演色性の高い光を発光できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施の形態1における発光モジュールの構成例を示す平面図である。
【
図2】発光モジュールを構成するLED(光源)の一例を示す図である。
【
図3】発光モジュールの構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】LEDドライバの出力電流とLEDの階調との関係を示す図である。
【
図5】PWM調光におけるデューティー比等を示す図である。
【
図6】発光モジュールによる演色性等を示す図である。
【
図7】発光モジュールによる光のスペクトル波形を示す図である。
【
図8】実施の形態1における発光モジュールを適用したスポットライト照明装置の構成図である。
【
図9】発光モジュールを構成するLED(光源)の他の例を示す図である。
【
図10】実施の形態2における発光モジュールを適用したスポットライト照明装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1に係る発光モジュールについて図面を参照しながら説明する。
【0021】
(発光モジュール)
図1は、本実施の形態に係る発光モジュール1の構成例を示す平面図である。
図1に示すように、発光モジュール1は、基板10と、それぞれ複数のLED(Light Emitting Diode)21~27と、から構成される。
【0022】
基板10は、例えばチップ型のLEDを半田付け等により設置するためのLED基板である。基板10は、例えば、銅などの金属板の表面を絶縁材料で被覆して、被覆層の上に配線パターンが形成されたものである。基板10には、設置されたLEDを電源やLEDドライバと電気的に接続するための入出力端子が設けられる。
【0023】
この実施の形態の基板10は、
図1に示すように円形に構成され、3分割された3つの領域10A、10B、10Cを有する。
図1では、領域10AのみにLED21~27が設置されている様子を示しているが、領域10Bと10Cにも同様の配置でLED21~27が配列される。即ち、発光モジュール1では、基板10の領域10A、10B、10Cに設置された全てのLED21~27を用いて、合成光を生成して発光可能になっている。
【0024】
なお、
図1に示す発光モジュール1、基板10の構成(領域の有無や配線パターン、LEDの設置位置)は一例である。この実施の形態のものに限定されず、所望の色、輝度(光束)の光を発する光源として機能させるため、所望の種類、数のLED等の発光素子が配列できるようになっていればよい。また、基板10に、放熱のための放熱機構等、他の構成が設けられていてもよい。
【0025】
LED21~27には、第1の相関色温度を有する光(例えば電球色の光)を発光する第1光源となる複数の第1色LED21と、第1の相関色温度よりも高い第2の相関色温度を有する光(例えば昼光色の光)を発光する第2光源となる複数の第2色LED22と、複数の第3色LED23と、複数の第4色LED24と、複数の第5色LED25と、複数の第6色LED26と、複数の第7色LED27と、が含まれる。
【0026】
第3色LED23、第4色LED24、第5色LED25、第6色LED26、及び、第7色LED27は、それぞれ異なる色を発光可能なカラーLEDであり、5種類の有色光源として機能する。
【0027】
なお、以下の説明において、第1色LED21、第2色LED22、第3色LED23、第4色LED24、第5色LED25、第6色LED26、第7色LED27を、単に、LED21、LED22、LED23、LED24、LED25、LED26、LED27とも表記する。
【0028】
図1では、LED21~27が領域10Aに6個ずつ設けられている例を示しているが、LED21~27の数は、それぞれの光源として所望の光束(輝度)の光を発光することができれば任意の数でよい。各LEDの必要数は、各LEDの光源として必要な輝度とLED1個あたりの輝度(最大輝度)とにより定まる。例えば、この実施の形態の発光モジュール1では、
図6にて後述するように、2700KのLED21を最大で24000ルーメン(Lm)で発光させる。従って、LED21の1個当たりの光束が400ルーメンであるとすれば、LED21は基板10全体で少なくとも60個(=24000/400)設けられればよい。また、シアン色のLED25を最大で2200ルーメン(Lm)で発光させるため、LED21は1個当たりの光束が100ルーメンであれば、LED21は基板10全体で少なくとも22個(=2200/100)設けられればよい。
【0029】
図2は、LED21~27の一例を示す図である。
図2に示すように、この実施の形態のLED21は、電球色LEDから構成される。より詳細には、LED21は、例えば、相関色温度2700K(ケルビン)で、CIE(国際照明委員会)で規定された色度図(CIE1931)における色度座標(中央値)が(0.4578,0.4101)の電球色の光を発光可能なLEDから構成される。
また、LED22は、白色LEDから構成される。より詳細には、LED22は、例えば、相関色温度5700K(ケルビン)で、CIE1931における色度座標(中央値)が(0.3287,0.3417)の光を発光可能である。
【0030】
なお、相関色温度とは、光源色と最も近い色に見える黒体放射の色(温度)で表される温度である。相関色温度の単位はケルビン(K)である。相関色温度は、光源の光色(青っぽい、赤っぽいなど)を表す尺度であり、光源と最も近い色に見える黒体放射の色(温度)で表示した値である。
【0031】
また、LED23は、ピーク波長λpが420nm~430nmの範囲に位置し、紫(VLT)色の光を発光可能である。
LED24は、ドミナント波長λdが475nm~480nmの範囲に位置し、青(BLU)色の光を発光可能となっている。
LED25は、ドミナント波長λdが496nm~500nmの範囲に位置し、シアン(CYN)色の光を発光可能となっている。
LED26は、例えば、CIE1931における色度座標(中央値)が(0.4140,0.5430)のライムグリーン(LME)の光を発光可能である。
LED27は、ドミナント波長λdが624nm~634nmの範囲に位置し、赤(RED)色の光を発光可能となっている。
【0032】
なお、
図2に示すLEDの特性は一例であり、これに限定されず、特性が略同一または誤差範囲内のLEDを採用してもよい。例えば、同色のLEDであればピーク波長やドミナント波長が異なったLEDを採用してもよい。具体的には、ピーク波長やドミナント波長について中央値が一致していれば、発光する光の帯域の幅が異なっていてもよい。
【0033】
また、LEDは製品で個体差があること等から、LED特性等の数値は完全一致していなくてもよく、当該分野において同一の範囲内と解される範囲内であればよい。例えば、相関色温度2700Kとは、2646K~2754Kといった所定の誤差範囲(例えば2%)のものを含む。以下、この実施の形態における各数値についても同様である。
【0034】
図3は、発光モジュール1の構成の一例を示すブロック図である。
図3に示すように、複数のLED21が直列に互いに接続され、LEDドライバ30に接続される。LEDドライバ30は、LED21を、所定の光束(輝度)で点灯させるための回路で構成され、直列接続されている複数のLED21に電流を流す。
図3では、LED21にLEDドライバ30が接続されている例を示しているが、LEDドライバ30が各色LED21~27毎に設けられる。LEDドライバ30は、それぞれの出力電流を制御する制御装置40に接続されている。LEDドライバ30は、制御装置40の制御に基づいて、所定段階(例えば8192段階)の分解能により、各色のLED21~27それぞれを所望の光束で点灯可能となっている。即ち、LEDドライバ30は、所定段階の分解能により、各色LED21~27それぞれを所望の輝度に調光可能となっている。
【0035】
この実施の形態のLEDドライバ30は、PWM(Pulse Width Modulation)制御により調光を行うPWM調光、及び、電流の増減によって調光を行うDC(Direct Current)調光を組み合わせて、LEDの調光を行うようになっている。
【0036】
図4は、1つのLEDドライバ30の出力電流とLEDの階調との関係を示す図である。
図4に示すように、LEDドライバ30は、低輝度の0~1023階調(1024段階)では、出力電流を一定としつつ、パルス波の出力の周波数やデューティー比を変化させるPWM調光によりLEDの調光を行う。そして、LEDドライバ30は、1024~8191階調では、出力電流のレベルを増減させるDC調光によりLEDの調光を行う。このように、この実施の形態のLEDドライバ30は、PWM調光、及び、DC調光の組み合わせにより、合計8192段階(13ビット)の分解能で、LEDを調光できるようになっている。
【0037】
このように、この実施の形態のLEDドライバ30は、基準未満の低輝度の階調ではPWM調光を採用することで、細やかな調光を実現でき、所定以上の高輝度の階調ではDC調光を採用することで、点滅によるちらつき(フリッカー)を防止できる。
【0038】
なお、
図4における電流レベルのMAXの値やPWM時定電流の値は、制御対象のLEDの特性により定まる。
【0039】
図5は、低輝度時のPWM調光におけるデューティー比等を示す図である。PWM調光の分解能は、1024段階(10ビット)の分解能である。
図5に示すように、制御装置40が出力する1つの調光信号による調光周期は2000μsであり、2000μsの1周期の中にPWMのパルス波が8つ生成される。各パルスのデューティー比の範囲は0/128~128/128となっている。また、パルス波の最小パルス幅(デューティー比1/128)は約1.95μs(=2000μs/8/128)である。つまり、各パルスのパルス幅は1.95~250μsの範囲で変化する。
【0040】
各階調における各パルスのデューティー比、及び、パルス幅の合計値は
図5に示す通りである。このパルス幅の合計値が大きい程、LEDの輝度が高くなる。
【0041】
また、0~7階調では、デューティー比0の期間を設けることで、パルス波を間引いている。これにより、2000μsの1周期の間に出力するパルスの数が0~8と変化するため、結果としてPWMのパルス波の周波数が0Hz~4KHzと変化することになる。即ち、0~8階調では、周波数変調によるFM(Frequency Modulation)調光であるともいえる。
【0042】
このように、この実施の形態のLEDドライバ30は、FM調光、PWM調光、及び、DC調光を組み合わせることで、好適にLEDを調光できる。
【0043】
なお、例えば、LEDドライバ30の調光信号は13ビットで構成され、制御装置40が調光操作等に応じた値の調光信号をLEDドライバ30に入力することで、制御対象のLEDを所定の輝度で点灯させることができる。
【0044】
LEDドライバ30に接続されるLEDの数は任意でよく、直列に接続されるものに限定されず、直列と並列を組み合わせて接続されるものであってもよい。また、LEDドライバ30は、この実施の形態のものに限定されず、各色LED21~27それぞれを所定の分解能で点灯可能であればよく、PWM調光またはDC調光のいずれかのみでLEDを点灯させるものであってもよいし、他の制御方法を採用するものであってもよい。また、LEDドライバ30の分解能も8192(13ビット)段階に限定されず、PWM調光からDC調光に切り替える階調も任意に変更可能である。また、
図5に示したデューティー比も変更可能で有り、例えばパルス幅合計が階調値に対応していればよい。
【0045】
(演色性)
図6は、発光モジュール1を相関色温度2000K~20000Kで発光させたときの、各LEDの光束(輝度)、全光束、演色性(Ra、R9、R12、TLCI)の測定結果等を示す図である。
【0046】
Ra(average of Rendering index)は、CIEが定める平均演色評価数であり、8色(R1-R8)の色票を用いて評価した演色評価数を平均した評価数を表す。R9、R12は、CIEが定める特殊演色評価数であり、それぞれ、R9とR12の試験色の色票を用いた演色評価数を示す。TLCI(Television Lighting Consistency Index)は、欧州放送連盟が定めるスタジオ照明と照明器具の評価基準である。これらの評価数は、それぞれ演色性の指標であり、専用の測定器等により測定可能である。各指標の値の範囲は0~100であり、100が最も演色性が高いことを示す。
【0047】
なお、
図6は、LED21~27として、
図2に示すLEDを採用した例である。各LEDの光束は、Raが100のCIE標準光源の波形(D50、D55、D65等)に合うように調整した値である。なお、紫(VLT)のLEDは、色調と演色に寄与するが、人の視感度特性から(Lm)にはあまり寄与しない。このため、
図6では、紫に関しては、(W)と(Lm)の値を共に示す。なお、本例では、Lm=係数K×W(係数K=8.38)の関係にある。
【0048】
具体的には、
図6から以下のことが理解できる。
i) LED21~27を、24000(Lm)、0(Lm)、0(Lm)、0(Lm)、0(Lm)、0(Lm)、0(Lm)でそれぞれ発光させることにより、相関色温度2700Kで、全光束が24000(Lm)の合成光が得られる。そのときの消費電力は292.1(W)であり、発光効率が82.2(Lm/W)である。このとき、Raが96、R9が97、R12が95、TLCIが95であり、高い演色性が得られる。
【0049】
ii) LED21~27を、22000(Lm)、0(Lm)、4.6(Lm)、220(Lm)、110(Lm)、2750(Lm)、0(Lm)でそれぞれ発光させることにより、相関色温度3000Kで、全光束が25085(Lm)の合成光が得られる。そのときの消費電力は292.7(W)であり、発光効率が85.7(Lm/W)である。このとき、Raが97、R9が99、R12が95、TLCIが99であり、高い演色性が得られる。
【0050】
iii) LED21~27を、20000(Lm)、4600(Lm)、10.9(Lm)、330(Lm)、530(Lm)、4000(Lm)、0(Lm)でそれぞれ発光させることにより、相関色温度3500Kで、全光束が29471(Lm)の合成光が得られる。そのときの消費電力は331.8(W)であり、発光効率が88.8(Lm/W)である。このとき、Raが98、R9が96、R12が97、TLCIが99であり、高い演色性が得られる。
【0051】
iv) LED21~27を、19000(Lm)、11400(Lm)、19.3(Lm)、530(Lm)、760(Lm)、5300(Lm)、0(Lm)でそれぞれ発光させることにより、相関色温度4000Kで、全光束が37009(Lm)の合成光が得られる。そのときの消費電力は405.5(W)であり、発光効率が91.3(Lm/W)である。このとき、Raが98、R9が97、R12が94、TLCIが99であり、高い演色性が得られる。
【0052】
v) LED21~27を、14800(Lm)、14700(Lm)、88.0(Lm)、1050(Lm)、1740(Lm)、9590(Lm)、87(Lm)でそれぞれ発光させることにより、相関色温度5000Kで、全光束が42055(Lm)の合成光が得られる。そのときの消費電力は459.6(W)であり、発光効率が91.5(Lm/W)であり、Ra及びR9が99、R12が98、TLCIが99であり、高い演色性が得られる。
【0053】
vi) LED21~27を、11000(Lm)、16900(Lm)、92.0(Lm)、1350(Lm)、1930(Lm)、11000(Lm)、230(Lm)でそれぞれ発光させることにより、相関色温度5500Kで、全光束が42502(Lm)の合成光が得られる。そのときの消費電力は458.9(W)であり、発光効率が92.6(Lm/W)である。このとき、Ra及びR9が99、R12が94、TLCIが99であり、高い演色性が得られる。
【0054】
Vii) LED21~27を、6000(Lm)、18000(Lm)、100.6(Lm)、1500(Lm)、1300(Lm)、8000(Lm)、0(Lm)で発光させることにより、相関色温度6500Kで、全光束が34901(Lm)の合成光が得られる。そのときの消費電力は385.5(W)であり、発光効率が90.5(Lm/W)である。このとき、Ra及びR9が99、R12が95、TLCIが100であり、高い演色性が得られる。
【0055】
Viii) LED21~27を、3100(Lm)、15000(Lm)、111.5(Lm)、1500(Lm)、1000(Lm)、6600(Lm)、0(Lm)で発光させることにより、相関色温度8000Kで、全光束が27311(Lm)の合成光が得られる。そのときの消費電力は311.0(W)であり、発光効率が87.8(Lm/W)である。このとき、Ra及びR9が98、R12が93、TLCIが99であり、高い演色性が得られる。
【0056】
ix) LED21~27を、2200(Lm)、15000(Lm)、159.2(Lm)、1500(Lm)、1800(Lm)、6600(Lm)、0(Lm)で発光させることにより、相関色温度10000Kで、全光束が27259(Lm)の合成光が得られる。そのときの消費電力は323.4(W)であり、発光効率が84.3(Lm/W)である。このとき、Raが98、R9が99、R12が85、TLCIが100であり、高い演色性が得られる。
【0057】
x) LED21~27を、0(Lm)、15000(Lm)、226.3(Lm)、1500(Lm)、2200(Lm)、5200(Lm)、0(Lm)で発光させることにより、相関色温度20000Kで、全光束が24126(Lm)の合成光が得られる。そのときの消費電力は310.6(W)であり、発光効率が77.7(Lm/W)である。このとき、Raが97、R9が98、R12が78、TLCIが99であり、十分な演色性が得られる。
【0058】
このように、この実施の形態の発光モジュール1では、LED21~27を
図6に示す強度(光束)で発光させることで、日中の太陽光の色温度相当である相関色温度5000~6500KでRa及びR9が98以上(99)、R12が94以上、TLCI99以上を達成できる(合成光を発光できる)。
【0059】
図6に示した例において、相関色温度5000~6500KでRa及びR9が98以上(99)、R12が94以上を達成したときの発光強度の割合は、2700KのLED21、5600KのLED22及びライム色のLEDのそれぞれの発光強度が、他の4種類の有色光源の発光強度の合計よりも十分に高い割合であった。
【0060】
さらに、発光モジュール1では、相関色温度3500K~10000KでRaが98以上(2700K~20000Kで96以上、2500K~20000Kで90以上)、相関色温度2700K~20000KでR9が97以上、相関色温度2700K~6500KでR12が95以上(2500K~8000Kで93以上)、相関色温度3000K~20000KでTLCI99以上(相関色温度2700K~20000Kで95以上、相関色温度2500K~20000Kで91以上)といった高い演色性を達成できる。
【0061】
また、相関色温度2700K~8000Kという広い範囲で、Ra、R9及びR12が全て93以上という極めて高い演色性を達成できる。また、RaとR9に限れば、相関色温度3000K~20000Kという広い範囲で、97以上を達成できる。
【0062】
LED21~27の光束を
図6に示す割合に維持すれば、全光束(明るさ)が変化しても、同様の演色性を奏することができる。即ち、
図6に示す光束割合を確保したまま各LEDの光束を上下させることで、同様の演色性を確保しつつ明るさを変化させることができる。
【0063】
このように、この実施の形態の発光モジュール1は、7色のLED21~27に接続された各LEDドライバ30を、制御装置40の制御に基づいて駆動することにより、7色のLEDを所定割合の強度(光束、輝度)で点灯させる。これにより発光モジュール1は、高演色の合成光を発光させることができる。このような発光モジュール1は、演色性を求める照明装置に好適に適用することができる。
【0064】
図6から得られる各相関色温度における、各LED21~27の発光光の光束の比(輝度比)は厳格なものではない。±10%程度の偏差は問題ない。請求項の解釈においても同様である。制御を容易にするため、比をより分かり易いものとしてもよい。例えば、相関色温度が5000Kのときの光束の比を15000:15000:90:1050:1750:9600:90=1500:1500:9:105:175:960:9というように簡略化(調整)してもよい。同様に、例えば、相関色温度が6500Kのときの光束の比を6000:18000:100:1500:1300:8000:0=60:18:1:15:13:80:0というように簡略化してもよい。また、非点灯とされているLEDも強調されないレベルで点灯されてもよい。
【0065】
図7は、発光モジュール1を相関色温度5500Kで発光させたときのスペクトル波形を示している。
図7に示すように、発光モジュール1によれば、太陽光相当の相関色温度5500Kにて、CIE標準光源の波形D55と近似するスペクトル波形を得ることができる。同様に、発光モジュール1によれば、相関色温度5000K,6500K,7500Kにおいて、波形D50、D65、D75等に近似するスペクトル波形を得ることができる。なお、ここでも、相関色温度は6%程度の誤差を許容するものである。
【0066】
なお、2000K、2500Kは照明としての効率、演色性とも悪いため、発光モジュール1は、2700K~20000Kの幅で使用されることが望ましい。
【0067】
(照明装置)
次に、本実施の形態の発光モジュール1の適用例として、発光モジュール1を適用したスポットライト照明装置100について説明する。
図8は、本実施の形態に係るスポットライト照明装置100の構成図である。スポットライト照明装置100は、上述の発光モジュール1、放熱部(ヒートシンク)101、筐体102、レンズ103から構成される。また、スポットライト照明装置100は、照射光の相関色温度や輝度を制御するための制御装置40及び図示せぬ電源を備える。
【0068】
放熱部(ヒートシンク)101は、発光モジュール1において発生した熱を外部に放射する。放熱部101の一方の端部には、発光モジュール1が設けられている。放熱部101は、例えば、銅などを含む複数の放熱板、複数の放熱板に接続されたヒートパイプ等から構成される。
【0069】
筐体102は、放熱部101及び発光モジュール1を覆うように設けられ箱状部材であり、脚部により支持される。筐体102の発光モジュール1側の端部に開口が設けられる。筐体102は、例えば、アルミニウム合金等から構成される。
【0070】
レンズ103は、筐体102開口部に設けられ、発光モジュール1から放射された光を収束または発散させる。レンズ103は、例えば、のこぎり状の断面を有するフレネルレンズであればよい。
【0071】
なお、スポットライト照明装置100は、発光モジュール1のレンズ103に対する位置を調整するための位置調整機構や、照射光の色を変更するためのカラーフィルタを備えていてもよい。
【0072】
制御装置40は、例えば、記憶部40aとプロセッサ40bを含む。記憶部40aは、予め、相関色温度と7色のLED21~27の強度の割合とを対応づけたテーブルを記憶している。例えば、
図6に示した相関色温度2700K、3000K、3500K、4000K、5000K、5500K、6500K、8000K、10000K、20000Kに対するLED21~27の光束の全光束に対する割合を示したテーブルが記憶部40aに記憶されている。記憶部40aは、LED21~LED27それぞれについて、光束とその光束を得るために必要な駆動方法との対応関係を示すテーブルを記憶している。具体的は、記憶部40aは、小光束については、
図5に示す「階調」を光束(Lm)に置換したテーブル、大光束(デューティー比1以上で駆動する必要のある光束)に関しては、光束とLEDの直列回路に流すDC電流の電流値とを対応付けるテーブルを記憶する。
【0073】
プロセッサ40bは、内部メモリに記憶されたプログラムに従って、制御動作を実行する。プロセッサ40bは、操作者が、制御用つまみを操作して、或いは、外部装置から所望の光の相関色温度及び明るさ(総光束)を入力したとき、これらの情報を取り込む。プロセッサ40bは、記憶部40aから、入力された相関色温度に対するLED21~27の光束の割合を読み出し、読み出した割合に明るさに応じた値を掛け合わせることにより、各LED21~27の輝度(光束)を求める。
【0074】
プロセッサ40bは、求めた各LED21~27の輝度を得るための駆動方法を特定する。プロセッサ40bは、特定した駆動方法に基づいて、FM調光、PWM調光、及び、DC調光等を実行するための調光信号をLEDドライバ30に対して出力する。LEDドライバ30は、調光信号に基づいて駆動しLED21~27を発光させる。このようにして照明装置100は、所望の相関色温度及び明るさの合成光を放射する。
【0075】
なお、制御装置40は、プロセッサを用いる構成に限定されない。制御装置40は、ASIC(application specific integrated circuit)技術を用いた専用チップ等から構成されてもよい。
【0076】
本実施の形態に係るスポットライト照明装置100によれば、上述ように演色性の高い発光モジュール1を光源とするので、自然光に近い光を照射でき、舞台やスタジオなどの演出空間において好適に使用できる。
【0077】
スポットライト照明装置100は、天井や壁などに固定するものであってもよいし、スタンドにセットされるものであってもよい。なお、ここでは照明装置として、発光モジュール1をスポットライト照明装置100に適用した例について説明したが、照明装置はスポットライトに限定されるわけではなく、上述の発光モジュール1を備えるもの(例えば電球等)であればよい。
【0078】
上記実施の形態1では、光源をLEDで構成していたが、光源をレーザーダイオードや有機EL(Electro-Luminescence)等の他の発光素子で構成してもよい。なお、発光素子は、砲弾型、表面実装型、チップ状の発光素子のいずれであってもよい。
また、用途に応じて、基板10上に、LED21~27以外のLEDや光源が配置されていてもよい。
【0079】
なお、
図1においては、発光素子(LED21~27)の形状が正方形の場合を例示したが、発光素子の形状は長方形でもよい。また、発光素子の大きさが同じ(平面寸法が同じ)場合を例示したが、発光素子の大きさは異なっていてもよい。この場合、複数の発光素子において、大きさや形状の異なる発光素子が設けられていたりしてもよい。
【0080】
また、
図1においては、円形の基板10に複数の発光素子(LED21~27)が配置される場合を例示したが、基板の形状、または、複数の発光素子が配置される領域の形状は適宜変更することができる。例えば、四角形の基板や領域に複数の発光素子が配置されるようにしてもよい。また、発光素子の配置も
図1の例に限定されず、複数の発光素子を格子状、一列、放射状等に並べてもよいし、ランダムな配置にしてもよい。
【0081】
図9は、発光素子(LED21~27)の配置構成の他の例を示す図である。
図9の示す発光モジュール1は、
図1に示す発光モジュール1と、基板10上における発光素子の配置が異なる。基板10は、
図1に示す例と同様に円形で構成され、3分割された3つの領域10A、10B、10Cで構成されている。
図9では、領域10AのみにLED21~27が設置されている例を示しているが、領域10A、10B、10Cには同様の配置でLED21~27が配列される。即ち、発光モジュール1では、基板10の領域10A、10B、10Cに設置された全てのLED21~27を用いて、合成光を生成して発光可能になっている。
【0082】
図9の例において、複数の第1色LED21と、複数の第2色LED22と、がそれぞれ、円形の基板10の中心近傍から円周に向かう方向に放射状に配置されている。第1色LED21は、第1の相関色温度を有する光(例えば電球色の光)を発光する第1光源であり、第2色LED22は、第1の相関色温度よりも高い第2の相関色温度を有する光(例えば昼光色の光)を発光する第2光源である。相関色温度は、例えば、LED21が2700Kであり、LED22が5700Kである。
【0083】
図9に示したLED21、LED22が配置された箇所以外の、黒塗りで表した箇所に複数の第3色LED23が配列されており、網掛けで表した箇所に複数の第4色LED24、複数の第5色LED25、複数の第6色LED26、及び、複数の第7色LED27が配列されている。LED21~27は、上記配置においても、光束を
図6に示す割合にすることにより、高い演色性を奏することができる。
【0084】
図9には、複数のLED21を直列に接続するための配線31、複数のLED22を直列に接続するための配線32、複数のLED23を直列に接続するための配線33を例示している。各配線31,32,33はLEDドライバ30に接続されている。このように、複数の第1色LED21と、複数の第2色LED22と、を放射状に配置することにより、発光モジュール1内での色むらも抑制でき、また、各配線が交差し回路が複雑化することを回避することが可能となる。
【0085】
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2に係る照明装置について図面を参照しながら説明する。発光モジュール1の構成及び動作は実施の形態1と同様である。
【0086】
(照明装置)
本実施の形態の発光モジュール1を適用した照明装置であるスポットライト照明装置200について説明する。
図10は、本実施の形態に係るスポットライト照明装置200の構成図である。スポットライト照明装置200は、実施の形態1と同様の、発光モジュール1、放熱部(ヒートシンク)101及び筐体102を備え、さらに、反射部(リフレクタ)201、拡散板202、レンズ203及びレンズ拡散板204を備える。また、スポットライト照明装置200は、図示せぬ電源や、照射光の相関色温度や輝度を制御するための制御装置40を備える。
【0087】
放熱部(ヒートシンク)101は、発光モジュール1において発生した熱を外部に放射する。放熱部101の一方の端部には、発光モジュール1が設けられている。放熱部101は、例えば、銅などを含む複数の放熱板、複数の放熱板に接続されたヒートパイプ等から構成される。
【0088】
筐体102は、放熱部101及び発光モジュール1を覆うように設けられ箱状部材であり、脚部により支持される。筐体102の発光モジュール1側の端部に円形の開口が設けられる。筐体102は、例えば、アルミニウム合金等から構成される。
【0089】
反射部201は、発光モジュール1から筐体102の開口までの間に位置し、発光モジュール1が放射する光を反射してミキシングする。反射部201は、円筒形状を有し、円筒形状の内壁に反射面を有する。つまり、反射面は、発光モジュール1の発光素子(LED21~27)の配列面に対して垂直方向に延在する。反射部201の反射面は、アルミニウム反射材等の任意の反射材から構成される。
【0090】
拡散板202は、筐体102の開口に、発光モジュール1の発光素子(LED21~27)の配列面に対して略平行に設置される。つまり、拡散板202は、反射部201の発光モジュール1と反対側に位置する。拡散板202は、発光モジュール1が放射し反射部201で反射されミキシングされた光を拡散して光のムラを整える。拡散板202は円盤形状を有し、例えば、アクリル板又はポリカーボネート等から構成される。
【0091】
レンズ203は、拡散板202の発光モジュール1と反対側に位置し、拡散板202から一定の距離を離間して拡散板202に略平行に設置される。つまり、レンズ203は、発光モジュール1の発光素子(LED21~27)の配列面に対して略平行に備えられる。レンズ203は、発光モジュール1が放射した光を収束または発散させる。レンズ103は、例えば、のこぎり状の断面を有するフレネルレンズである。
【0092】
レンズ拡散板204は、レンズ203と共に用いることにより、レンズ203を透過する光を拡散整形する特性を有する。レンズ拡散板204を透過した光は、出射角を予め定めた範囲内に制限させることができる。レンズ拡散板204は、例えば、Light Shaping Diffusers(LSD)である。レンズ拡散板204は、レンズ203に略平行に設置され、好ましくは、レンズ203に対して発光モジュール1の反対側に位置する。
【0093】
レンズ203及びレンズ拡散板204の特性は、スポットライト照明装置100の照度又は1/2照度角を含む要求仕様に応じて選択する。レンズ203及びレンズ拡散板204は、レンズ筐体205により支持されており、レンズ筐体205は、発光モジュール1を備える筐体102に対して固定される。レンズ筐体205は、筐体102に着脱可能であってもよく、あるいは、筐体102と一体化されていてもよい。
【0094】
以上のように構成されたスポットライト照明装置200は、反射部(リフレクタ)201、拡散板202、レンズ203及びレンズ拡散板204を備えない構成と比較して、照度が高く、色分離も抑制することが可能となる。このため、従来のスポットライト照明の周囲に発生していた青白いリング状部の発生を抑えることができる。
スポットライト照明装置200は、反射部201及び拡散板202と、レンズ203及びレンズ拡散板204と、を両方備えてもよく、あるいは、いずれか一方を備えてもよい。
【0095】
なお、スポットライト照明装置200は、発光モジュール1のレンズ203に対する位置を調整するための位置調整機構や、照射光の色を変更するためのカラーフィルタをさらに備えていてもよい。
【0096】
本実施の形態に係るスポットライト照明装置200によれば、上述のように演色性の高い発光モジュール1を光源とし、高効率で放射するため、自然光に近い光を照射でき、舞台やスタジオなどの演出空間において好適に使用できる。
【0097】
なお、ここでは照明装置として、発光モジュール1をスポットライト照明装置200に適用した例について説明したが、照明装置はスポットライトに限定されるわけではなく、上述の発光モジュール1を備えるもの(例えば電球等)であればよい。
【0098】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、請求の範囲によって示される。そして、請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
【0099】
本出願は、2021年3月29日に出願された、日本国特許出願特願2021-55101号に基づく。本明細書中に日本国特許出願特願2021-55101号の明細書、特許請求の範囲、図面全体を参照として取り込むものとする。
【符号の説明】
【0100】
1 発光モジュール
10 基板
21~27 LED
30 LEDドライバ
31~33 配線
40 制御装置
40a 記憶部
40b プロセッサ
100,200 スポットライト照明装置
101 放熱部
102 筐体
201 反射部
202 拡散板
203 レンズ
204 レンズ拡散板
205 レンズ筐体