(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-24
(45)【発行日】2024-02-01
(54)【発明の名称】電子エアロゾル供給システム及び方法
(51)【国際特許分類】
A24F 40/50 20200101AFI20240125BHJP
【FI】
A24F40/50
(21)【出願番号】P 2022522943
(86)(22)【出願日】2020-09-17
(86)【国際出願番号】 GB2020052252
(87)【国際公開番号】W WO2021074583
(87)【国際公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-06-08
(32)【優先日】2019-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】モロニー, パトリック
(72)【発明者】
【氏名】チャン, ジャスティン ハン ヤン
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-538408(JP,A)
【文献】国際公開第2016/175320(WO,A1)
【文献】特開2018-007691(JP,A)
【文献】特表2013-545474(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者による吸引のためにエアロゾル生成材料からエアロゾルを生成するように構成されたエアロゾル供給システムのための使用者特徴付け方法であって、
前記エアロゾル供給システムでの使用者による吸引の開始と関連付けられた空気流を検出するステップと、
吸引の前記開始に続く第1の期間中の前記空気流に対する勾配を計算するステップと、
前記計算された勾配に基づいて、少なくとも吸引持続時間を予測するステップと、
前記予測された吸引持続時間に応答して、前記エアロゾル供給システムの1つ又は複数の動作パラメータを調整するステップとを含む方法。
【請求項2】
1つ又は複数の動作パラメータを調整する前記ステップが、
前記予測された吸引持続時間に応答して、前記エアロゾルの生成に対する終了時間を設定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記終了時間が、予め定められた量だけ前記予測された吸引持続時間の終了に先行するように設定される、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記予測された吸引持続時間の予め定められた部分内で、予め定められた量のエアロゾルを生成するステップを含む、
請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記予測された吸引持続時間内の予め定められた時点で、前記生成されたエアロゾルの組成を変更するステップを含む、
請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
予測する前記ステップが、ピーク空気流がいつ発生するかを予測することを含み、
前記エアロゾルの前記組成が、前記ピーク空気流が発生すると予測されるときに応答する時点で変更される、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記使用者の平均吸引容量を推定するステップを含み、
少なくとも吸引持続時間を予測する前記ステップが、前記空気流の前記計算された勾配に基づいて、前記使用者の前記平均吸引容量にいつ到達するかを推定することを含む、
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
吸引持続時間を予測する前記ステップが、
前記計算された勾配に吸引プロファイルを適合させることを含み、前記吸引プロファイルの積分が、前記使用者の前記推定された平均吸引容量に等しく、
前記プロファイルの結果として得られる持続時間が、前記吸引持続時間を予測する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記使用者の平均吸引容量を推定する前記ステップが、
計算された勾配の2つ以上の異なる範囲に対してそれぞれの平均吸引容量を推定することを含み、
少なくとも吸引持続時間を予測する前記ステップが
、現在の計算された勾配に対応する前記推定された平均吸引容量を選択することを含む、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
コンピュータシステムに、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法を実行させるように構成されたコンピュータ実行可能命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項11】
使用者による吸引のためにエアロゾル生成材料からエアロゾルを生成するように構成された電子エアロゾル供給システムを備えた使用者特徴付けシステムであって、前記電子エアロゾル供給システムが、空気流検出器を備え、前記使用者特徴付けシステムが、
前記
電子エアロゾル供給システムでの使用者による吸引の開始と関連付けられた空気流を検出するように動作可能なプロセッサと、
吸引の開始に続く第1の期間中の前記空気流に対する勾配を計算するように動作可能な勾配捕捉プロセッサと、
前記計算された勾配に基づいて、少なくとも吸引持続時間を予測するように動作可能な予測プロセッサと、
前記予測された吸引持続時間に応答して、前記
電子エアロゾル供給システムの1つ又は複数の動作パラメータの調整を引き起こすように動作可能なコントロールユニットとを備える、使用者特徴付けシステム。
【請求項12】
前記コントロールユニットが、前記予測された吸引持続時間に応答して、前記エアロゾルの生成に対する終了時間を設定するように動作可能である、請求項11に記載の使用者特徴付けシステム。
【請求項13】
前記終了時間が、予め定められた量だけ前記予測された吸引持続時間の終了に先行するように設定される、請求項12に記載の使用者特徴付けシステム。
【請求項14】
前記
電子エアロゾル供給システムの1つ又は複数の動作パラメータが、前記予測された吸引持続時間の予め定められた部分内で、予め定められた量のエアロゾルを生成するように調整される、請求項11~13のいずれか一項に記載の使用者特徴付けシステム。
【請求項15】
前記
電子エアロゾル供給システムの1つ又は複数の動作パラメータが、前記予測された吸引持続時間の予め定められた時点で、前記生成されたエアロゾルの組成を変更するように調整される、請求項11~14のいずれか一項に記載の使用者特徴付けシステム。
【請求項16】
前記予測プロセッサが、前記使用者の平均吸引容量を推定するように動作可能であり、
前記予測プロセッサが、少なくとも吸引持続時間を予測し、前記空気流の前記計算された勾配に基づいて、前記使用者の前記平均吸引容量にいつ到達するかを推定するように動作可能である、
請求項11~15のいずれか一項に記載の使用者特徴付けシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[開示の背景]
[分野]
本開示は、電子エアロゾル供給システム及び方法に関する。
【従来技術の説明】
【0002】
本明細書に提供する「背景」の説明は、本開示の文脈について概略的に提示することを目的とする。この背景の節に記載する範囲で本明細書に名前を挙げる発明者らの仕事、並びにその他の点では出願の時点で従来技術であると考えられない説明の態様は、明示又は暗示を問わず本開示において従来技術であると認められるものではない。
【0003】
電子タバコ(eシガレット)などの電子エアロゾル供給システムは一般に、ニコチンを典型的に含む配合剤を含有する原料液体のリザーバを含み、エアロゾルは、それから、たとえば加熱気化によって生成される。したがって、エアロゾル供給システム用のエアロゾル供給源は、たとえばウィッキング/毛細管作用によってリザーバから原料液体を受け取るように配置された加熱要素を有するヒーターを備えてもよい。植物物質、又は有効成分及び/若しくは香味剤などのゲルなどの他の供給源材料も同様に加熱して、エアロゾルを生じさせることができる。したがって、より一般的には、eシガレットは、加熱気化のためのペイロードを含む又は受け入れるものと考えることができる。
【0004】
使用者がデバイスを吸引する間、電力が加熱要素に供給されて、加熱要素の近くにあるエアロゾル供給源(ペイロードの一部分)を気化し、使用者による吸引のためのエアロゾルを生成する。そのようなデバイスは通常、システムの吸い口端部から離れたところに配置された1つ又は複数の空気入口孔を備える。使用者がシステムの吸い口端部に接続された吸い口を吸うと、空気は入口孔を通って引き込まれ、エアロゾル供給源を通過する。エアロゾル供給源と吸い口の開口との間を接続する流路があり、その結果、エアロゾル供給源を通過する空気は、エアロゾル供給源からエアロゾルの一部を運びながら、流路に沿って吸い口開口に引き込まれ続ける。エアロゾルを運ぶ空気は、使用者による吸引のための吸い口開口を通ってエアロゾル供給システムを出る。
【0005】
通常、使用者がデバイスを吸い込む/パフすると、ヒーターに電流が供給される。典型的に、使用者が吸引する/吸い込む/パフすると、流路に沿った空気流センサが起動することに応答して、又は使用者によるボタンの起動に応答して、電流がヒーター、たとえば抵抗加熱要素へ供給される。加熱要素によって生成された熱は、配合剤を気化するために使用される。放出された蒸気は、喫煙消費者によってデバイスに吸い込まれた空気と混合し、エアロゾルを形成する。これに代えて、又はこれに加えて、加熱要素は、タバコなどの植物を典型的には燃焼させずに加熱して、その有効成分を蒸気/エアロゾルとして放出するために使用される。
【0006】
使用者によって吸引される気化/エアロゾル化されるペイロードの量は、少なくとも部分的に、ある期間において、使用者がどれだけ長く及びどれだけ深く吸引するか、並びに同様に使用者がどれだけ頻繁に吸引するかに依存する。これらの使用者挙動は、使用者の気分に影響されることがある。
【0007】
即時、短期、又はより長期にかかわらず、これらの影響に応答することが望ましい。
【発明の概要】
【0008】
第1の態様では、エアロゾル供給システムのための使用者特徴付け方法が、請求項1によって提供される。
【0009】
別の態様では、使用者特徴付けシステムが、請求項14によって提供される。
【0010】
本開示の上記の一般的な概要及び以下の詳細な説明はどちらも、本開示の例示であり、制限するものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本開示及びそれに伴う利点の多くのより完全な理解は、以下の詳細な説明を参照し、添付の図面と関連して考慮することによってよりよく理解されることから、容易に得られる。
【0012】
【
図1】電子エアロゾル/蒸気供給システム(EVPS)を示す図である。
【
図5】EVPS及び遠隔デバイスを備えるシステムを示す図である。
【
図6】いくつかの吸引プロファイルを示す図である。
【実施形態の説明】
【0013】
電子エアロゾル供給システム及び方法が開示される。以下の説明では、本開示の実施形態の徹底的な理解を提供するために、複数の特有の詳細を提示する。しかし、本開示の実施形態を実施するためにこれらの特有の詳細を用いる必要がないことは、当業者には明らかである。逆に言えば、当業者に知られている特有の詳細は、説明を明確にする目的で必要に応じて省略される。
【0014】
上述したように、本開示は、エアロゾル供給システム(たとえば、非燃焼式エアロゾル供給システム)又はeシガレットなどの電子蒸気供給システム(EVPS)に関する。以下の説明全体を通して、「eシガレット」という用語が使用されることがあるが、この用語は、(電子)エアロゾル/蒸気供給システムと交換可能に使用することができる。同様に、「蒸気」及び「エアロゾル」という用語も本明細書では同等に参照される。
【0015】
一般に、電子蒸気/エアロゾル供給システムは、ベイピングデバイス又は電子ニコチン送達システム(END)としても知られている電子タバコとすることができるが、エアロゾル化可能材料内にニコチンが存在することは必要条件ではないことに留意されたい。いくつかの実施形態では、非燃焼式エアロゾル供給システムは、非燃焼加熱式システムとしても知られているタバコ加熱システムである。いくつかの実施形態では、非燃焼式エアロゾル供給システムは、エアロゾル化可能材料の組合せを使用してエアロゾルを生成するハイブリッドシステムであり、これらの材料のうちの1つ又は複数を加熱することができる。エアロゾル化可能材料の各々は、たとえば、固体、液体、又はゲルの形態であってもよく、ニコチンを含有しても又は含有しなくてもよい。いくつかの実施形態では、ハイブリッドシステムは、液体又はゲルのエアロゾル化可能材料と、固体のエアロゾル化可能材料とを含む。固体のエアロゾル化可能材料は、たとえば、タバコ又は非タバコ製品を含んでもよい。一方、いくつかの実施形態では、非燃焼式エアロゾル供給システムは、1つ又は複数のそのようなエアロゾル化可能材料から蒸気/エアロゾルを生成する。
【0016】
典型的に、非燃焼式エアロゾル供給システムは、非燃焼式エアロゾル供給デバイスと、非燃焼式エアロゾル供給システムとともに使用するための物品とを備えることができる。しかし、それ自体がエアロゾル生成構成要素にパワーを供給するための手段を備える物品は、それ自体が非燃焼式エアロゾル供給システムを形成することができると考えられる。一実施形態では、非燃焼式エアロゾル供給デバイスは、パワー源及びコントローラを備えることができる。パワー源は、電源であっても又は発熱パワー源であってもよい。一実施形態では、発熱パワー源は、発熱パワー源の近くのエアロゾル化可能材料又は熱伝達材料に熱の形態のパワーを分配するようにエネルギーを与えることができる炭素基材を含む。一実施形態では、発熱パワー源などのパワー源は、非燃焼式エアロゾル供給部を形成するように物品に設けられる。一実施形態では、非燃焼式エアロゾル供給デバイスとともに使用するための物品は、エアロゾル化可能材料を含んでもよい。
【0017】
いくつかの実施形態では、エアロゾル生成構成要素は、エアロゾル化可能材料から1つ又は複数の揮発成分を放出してエアロゾルを形成するようにエアロゾル化可能材料と相互作用することが可能なヒーターである。一実施形態では、エアロゾル生成構成要素は、加熱することなくエアロゾル化可能材料からエアロゾルを生成することが可能である。たとえば、エアロゾル生成構成要素は、たとえば振動手段、機械的手段、加圧手段、又は静電気的手段のうちの1つ又は複数によって、熱を加えることなくエアロゾル化可能材料からエアロゾルを生成することが可能である。
【0018】
いくつかの実施形態では、エアロゾル化可能材料は、活性材料、エアロゾル形成材料、及び任意選択で1つ又は複数の機能材料を含んでもよい。活性材料は、ニコチン(任意選択で、タバコ又はタバコ派生物に含まれる)又は1つ若しくは複数の他の非嗅覚的な生理活性材料を含んでもよい。非嗅覚的な生理活性材料は、嗅覚以外の生理学的応答を実現するためにエアロゾル化可能材料に含まれる材料である。エアロゾル形成材料は、グリセリン、グリセロール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、エリスリトール、メソ-エリスリトール、バニリン酸エチル、ラウリン酸エチル、スベリン酸ジエチル、クエン酸トリエチル、トリアセチン、ジアセチン混合物、安息酸ベンジル、フェニル酢酸ベンジル、トリブチリン、酢酸ラウリル、ラウリン酸、ミリスチン酸、及び炭酸プロピレンのうちの1つ又は複数を含んでもよい。1つ又は複数の機能材料は、香料、キャリア、pH調整剤、安定剤、及び/又は酸化防止剤のうちの1つ又は複数を含んでもよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、非燃焼式エアロゾル供給デバイスとともに使用するための物品は、エアロゾル化可能材料、又はエアロゾル化可能材料を受け入れるための領域を含んでもよい。一実施形態では、非燃焼式エアロゾル供給デバイスとともに使用するための物品は、吸い口を備えてもよい。エアロゾル化可能材料を受け入れるための領域は、エアロゾル化可能材料を貯蔵するための貯蔵領域であってもよい。たとえば、貯蔵領域はリザーバであってもよい。一実施形態では、エアロゾル化可能材料を受け入れるための領域は、エアロゾル生成領域から離れていても、又はエアロゾル生成領域と組み合わされていてもよい。
【0020】
次に図面を参照されたい。いくつかの図全体を通して、同じ参照番号が同一の部分又は対応する部分を指す。
【0021】
図1は、本開示のいくつかの実施形態によるeシガレット10などの電子蒸気/エアロゾル供給システム(EVPS)の概略図である(原寸に比例しない)。eシガレットは、破線LAによって示す長手方向軸線に沿って延びる略円筒形の形状を有し、2つの主要な構成要素、すなわち本体20及びカトマイザ30を備える。カトマイザは、たとえばニコチンを含む液体などのペイロードのリザーバと、気化器(ヒーターなど)と、吸い口35とを含む内部チャンバを含む。以下で述べる「ニコチン」は、単なる例示であり、任意の好適な有効成分に置き換えることができることを理解されたい。ペイロードとして述べる「液体」は、単なる例示であり、植物物質(たとえば、燃焼ではなく加熱されるタバコ)、又は有効成分及び/若しくは香味剤を含むゲルなどの任意の好適なペイロードに置き換えることができることを理解されたい。リザーバは、気化器へ送達することが必要とされるときまで液体を保持するための発泡体又は任意の他の構造とすることができる。液体/流動性ペイロードの場合、気化器は、その液体を気化するためのものであり、カトマイザ30は、少量の液体をリザーバから気化器の気化位置、又は気化器に隣り合う気化位置へ移送するためのウィック又は類似の手段をさらに含むことができる。以下では、ヒーターが気化器の具体例として使用されている。しかし、気化器の他の形態(たとえば、超音波を利用するもの)も使用することができることを理解されたい。使用される気化器のタイプはまた、気化されるペイロードのタイプに依存しうることも理解されたい。
【0022】
本体20は、eシガレット10に電力を供給するための再充電可能な電池又はバッテリーと、eシガレットを全体的に制御するための回路基板とを含む。回路基板によって制御されるように、ヒーターがバッテリーから電力を受け取ると、ヒーターは液体を気化し、次いでこの蒸気は吸い口35を通って使用者によって吸引される。いくつかの特有の実施形態では、本体は、本体の外側に配置された手動起動デバイス265、たとえばボタン、スイッチ、又はタッチセンサをさらに備える。
【0023】
本体20及びカトマイザ30は、
図1に示すように、長手方向軸線LAに平行な方向に分離することによって、互いから取外し可能とすることができるが、本体20とカトマイザ30との間の機械的及び電気的な接続を提供するために、
図1に25A及び25Bとして概略的に示す接続部によって、デバイス10が使用されるときにともに接合される。カトマイザ30に接続するために使用される本体20の電気コネクタ25Bはまた、本体20がカトマイザ30から取り外されたときに充電デバイス(図示せず)を接続するためのソケットとしても働く。充電デバイスの他方の端部をUSBソケットに差し込んで、eシガレット10の本体20内の電池を再充電することができる。他の実施態様では、本体20の電気コネクタ25BとUSBソケットとの間の直接接続のためにケーブルが提供されてもよい。
【0024】
eシガレット10には、空気入口用の1つ又は複数の孔(
図1には図示せず)が設けられている。これらの孔は、eシガレット10を通って吸い口35に至る空気通路に接続する。使用者が吸い口35を吸引すると、空気は、eシガレットの外側に好適に配置された1つ又は複数の空気入口孔を通ってこの空気通路に引き込まれる。ヒーターを起動させてカートリッジからニコチンを気化させると、空気流は生成された蒸気を通ってその蒸気と結合し、次いで空気流と生成された蒸気とが組み合わさって、吸い口35から流出して、使用者によって吸引される。1回限りの使用のデバイスを除いて、カトマイザ30は、液体の供給源が使い尽くされたとき、本体20から取り外されて処分されてもよい(所望される場合は別のカトマイザと交換される)。
【0025】
図1に示すeシガレット10は、例として提示されており、様々な他の実施態様を採用することができることが理解されよう。たとえば、いくつかの実施形態では、カトマイザ30は、2つの分離可能な構成要素として、すなわち液体リザーバ及び吸い口を備えるカートリッジ(リザーバからの液体が使い尽くされたときは交換することができる)、及びヒーターを備える気化器(一般的に保持される)として提供される。別の例として、充電手段は、車のシガーライタなどの追加又は代替の電源に接続してもよい。
【0026】
図2は、本開示のいくつかの実施形態による
図1のeシガレット10の本体20の概略図(簡略図)である。
図2は、概して、eシガレット10の長手方向軸線LAを通る平面における断面であると考えることができる。たとえば配線及びより複雑な形状など、本体の様々な構成要素及び詳細は、明確にするために
図2から省略されたことに留意されたい。
【0027】
本体20は、使用者によるデバイスの起動に応答してeシガレット10に電力を供給するためのバッテリー又は電池210を含む。加えて、本体20は、eシガレット10を制御するためのコントロールユニット(
図2には図示せず)、たとえば特定用途向け集積回路(ASIC)又はマイクロコントローラなどのチップを含む。マイクロコントローラ又はASICは、CPU又はマイクロプロセッサを含む。CPU及び他の電子構成要素の動作は、概して、CPU(又は他の構成要素)上で走るソフトウェアプログラムによって少なくとも部分的に制御される。そのようなソフトウェアプログラムは、マイクロコントローラ自体に組み込むことができ、又は別個の構成要素として設けることができる、ROMなどの不揮発性メモリに記憶されてもよい。CPUは、必要に応じて、及び必要とされるときに、ROMにアクセスして個々のソフトウェアプログラムをロード及び実行することができる。マイクロコントローラはまた、適当な場合、本体10内の他のデバイスと通信するための適当な通信インターフェース(及び制御ソフトウェア)を含む。
【0028】
本体20は、eシガレット10の遠方(遠位)端をシールして保護するためのキャップ225をさらに含む。典型的に、使用者が吸い口35を吸引すると、空気が本体20に流入することができるように、キャップ225に、又はキャップ225に隣り合って、空気入口孔が設けられる。コントロールユニット又はASICは、バッテリー210に沿って、又はバッテリー210の一端に、配置されてもよい。いくつかの実施形態では、ASICは、吸い口35での吸引を検出するためにセンサユニット215に取り付けられる(又はその代わりに、ASIC自体にセンサユニット215を設けてもよい)。空気入口から空気流センサ215及びヒーター(気化器又はカトマイザ30内)を通過して吸い口35に至る空気経路が、eシガレットに設けられている。したがって、使用者がeシガレットの吸い口を吸引すると、CPUは、空気流センサ215からの情報に基づいて、そのような吸引を検出する。
【0029】
キャップ225とは反対側の本体20の端部には、本体20をカトマイザ30に接合するためのコネクタ25Bがある。コネクタ25Bは、本体20とカトマイザ30との間の機械的及び電気的な接続を提供する。コネクタ25Bは、カトマイザ30への電気接続のための1つの端子(正又は負)として機能する金属(いくつかの実施形態では銀めっきされている)である本体コネクタ240を含む。コネクタ25Bは、第1の端子、すなわち本体コネクタ240とは反対の極性の、カトマイザ30への電気接続のための第2の端子を提供する電気接点250をさらに含む。電気接点250は、コイルばね255に取り付けられている。本体20がカトマイザ30に取り付けられると、カトマイザ30のコネクタ25Aは、コイルばねを軸線方向、すなわち長手方向軸線LAに平行な方向(長手方向軸線LAと一致する方向)に圧縮するように、電気接点250を押す。ばね255の弾性を考慮すると、この圧縮によって、ばね255が付勢されて伸びようとし、これには電気接点250をカトマイザ30のコネクタ25Aに対してしっかりと押し付ける効果があり、以て本体20とカトマイザ30との間の良好な電気接続を確実にするのに役立つ。本体コネクタ240及び電気接点250は、架台260によって分離されており、架台260は、2つの電気端子間の良好な絶縁を提供するために、非導電体(プラスチックなど)から作られている。架台260は、コネクタ25A及び25Bの相互の機械的係合を支援するような形状である。
【0030】
上述したように、手動起動デバイス265の形態を表すボタン265は、本体20の外側ハウジングに配置することができる。ボタン265は、使用者によって手動で起動されるように動作可能な任意の適当な機構を使用して、たとえば機械式ボタン又はスイッチ、静電容量型又は抵抗型のタッチセンサなどとして実施することができる。また、手動起動デバイス265は、本体20の外側ハウジングではなく、カトマイザ30の外側ハウジングに配置されてもよく、その場合、手動起動デバイス265は、接続部25A、25BによってASICに取り付けられてもよいことが理解されよう。ボタン265はまた、キャップ225の代わりに(又はキャップ225に加えて)、本体20の端部に配置されてもよい。
【0031】
図3は、本開示のいくつかの実施形態による
図1のeシガレット10のカトマイザ30の概略図である。
図3は、概して、eシガレット10の長手方向軸線LAを通る平面における断面であると考えることができる。配線及びより複雑な形状など、カトマイザ30の様々な構成要素及び詳細は、明確にするために
図3から省略されたことに留意されたい。
【0032】
カトマイザ30は、カトマイザ30の中心軸線(長手方向軸線)に沿って、吸い口35から、カトマイザ30を本体20に接合するためのコネクタ25Aまで延びる空気通路355を含む。液体のリザーバ360が、空気通路335の周りに設けられている。このリザーバ360は、たとえば液体に浸漬された綿又は発泡体を提供することによって実施することができる。カトマイザ30はまた、使用者がeシガレット10を吸引したことに応答して、蒸気を生成して空気通路355に流し、吸い口35から流出させるように、リザーバ360からの液体を加熱するためのヒーター365を含む。ヒーター365は、電線366及び367を通して電力が供給され、電線366及び367は、コネクタ25Aを介して本体20のバッテリー210の反対の極性(正極及び負極、又はその逆)に接続される(電力線366及び367とコネクタ25Aとの間の配線の詳細は、
図3から省略されている)。
【0033】
コネクタ25Aは内部電極375を含み、内部電極375は、銀めっきされても、又は何らかの他の好適な金属若しくは導電性材料から作られてもよい。カトマイザ30が本体20に接続されると、内部電極375は本体20の電気接点250に接触して、カトマイザ30と本体20との間に第1の電気経路を提供する。特に、コネクタ25A及び25Bが係合されると、内部電極375は、コイルばね255を圧縮するように電気接点250を押し、以て内部電極375と電気接点250との間の良好な電気接触を確実にするのに役立つ。
【0034】
内部電極375は絶縁リング372に取り囲まれており、絶縁リング372は、プラスチック、ゴム、シリコーン、又は任意の他の好適な材料から作ることができる。絶縁リングは、カトマイザコネクタ370によって取り囲まれており、カトマイザコネクタ370は、銀めっきされても、又は何らかの他の好適な金属若しくは導電性材料から作られてもよい。カトマイザ30が本体20に接続されると、カトマイザコネクタ370は本体20の本体コネクタ240に接触して、カトマイザ30と本体20との間に第2の電気経路を提供する。言い換えれば、内部電極375及びカトマイザコネクタ370は、適当な場合、本体20内のバッテリー210から供給線366及び367を介してカトマイザ30内のヒーター365へ電力を供給するための正端子及び負端子(又はその逆)として機能する。
【0035】
カトマイザコネクタ370には、eシガレット10の長手方向軸線から離れて反対の方向に延びる2つの突起又はタブ380A、380Bが設けられている。これらのタブは、カトマイザ30を本体20に接続するために、本体コネクタ240とともにバヨネット式の取付具を提供するために使用される。このバヨネット式の取付具は、カトマイザ30と本体20との間に確実で堅牢な接続を提供し、その結果、カトマイザ及び本体は互いに対して固定位置に保持され、ぐらつき又はたわみが最小限に抑えられ、偶発的な分離の可能性が非常に小さい。同時に、バヨネット式の取付具は、挿入してから回転させて接続すること、及び回転(逆方向)させてから引っ張って分離することによって、簡単で迅速な接続及び切断を提供する。他の実施形態は、スナップ嵌め又はねじ接続など、本体20とカトマイザ30との間で異なる形態の接続を使用することができることが理解されよう。
【0036】
図4は、本開示のいくつかの実施形態による本体20の端部にあるコネクタ25Bの特定の詳細の概略図である(ただし、説明を明確にするため、架台260など、
図2に示すコネクタの内部構造の大部分は省略する)。特に、
図4は、概ね円筒チューブの形態を有する本体20の外部ハウジング201を示す。この外部ハウジング201は、たとえば、紙などで外側が覆われた金属の内側チューブを備えてもよい。外部ハウジング201はまた、手動起動デバイス265が使用者にとって容易にアクセス可能となるように、手動起動デバイス265(
図4には図示せず)を備えてもよい。
【0037】
本体コネクタ240は、本体20のこの外部ハウジング201から延びる。
図4に示す本体コネクタ240は、2つの主要な部分、本体20の外部ハウジング201にちょうど嵌るようなサイズの中空の円筒チューブの形状のシャフト部分241、及びeシガレットの主長手方向軸線(LA)から離れる方向に、半径方向に外向きに向けられたリップ部分242を備える。シャフト部分が外部ハウジング201と重複しないところで、カラー又はスリーブ290が、本体コネクタ240のシャフト部分241を取り囲んでおり、カラー290もまた円筒チューブの形状である。カラー290は、本体コネクタ240のリップ部分242と本体の外部ハウジング201との間に保持され、これらはともに、カラー290の軸線方向(すなわち、軸線LAに平行な方向)の移動を防止する。しかし、カラー290は、シャフト部分241(したがって、軸線LAでもある)の周りを自由に回転することができる。
【0038】
上述したように、キャップ225には、使用者が吸い口35を吸引すると空気が流れることができるように、空気入口孔が設けられている。しかし、いくつかの実施形態では、使用者が吸引するとデバイスに入る空気の大部分は、
図4に2つの矢印によって示すように、カラー290及び本体コネクタ240を通って流れる。
【0039】
2つの異なる吸引の空気流プロファイル(c
1、c
2)を示す
図6、及び流れ図である
図7を次に参照すると、本開示の一実施形態では、使用者による吸引のためにエアロゾル生成材料からエアロゾルを生成するように構成されたエアロゾル供給システム(本明細書に前述したものなど)のための使用者特徴付け方法が提供される。
【0040】
第1のステップs710で、この方法は、エアロゾル供給システムでの使用者による吸引の開始と関連付けられた空気流(i1、i2)を検出することを含む。
【0041】
第2のステップs720で、この方法は、吸引の開始に続く第1の期間(ts)中の空気流に対する勾配(d1、d2)を計算することを含む。
【0042】
第3のステップs730で、この方法は、計算された勾配に基づいて、吸引強度(p1、p2)及び持続時間(t1、t2)のうちの少なくとも1つを予測することを含む。
【0043】
第4のステップs740で、この方法は、少なくとも1つの予測された吸引強度及び持続時間に応答して、エアロゾル供給システムの1つ又は複数の動作パラメータを調整することを含む。
【0044】
第1のステップで、空気流は、EVPS内の動圧降下、又は実際の空気速度若しくは流量/体積の測定値など、任意の好適なプロキシによって示すことができる。さらに、勾配及び/又は予測は、任意選択で、概念的な空気流値への変換なしに、プロキシ測定からの値に基づいて実施されてもよい。したがって、この方法の目的で、実際の空気流及びそのための任意のプロキシは同等であると考えることができることが理解されよう。
【0045】
第1のステップで、使用者による吸引の開始は、EVPSが、その吸引が始まったことを正常に検出し、エアロゾルを生成するプロセスを始めることによって正常に応答する時点であることが理解されよう。任意選択で、より高い空気流閾値での実際の吸引が確認される前に、EVPSがより低い空気流閾値での潜在的な吸引(たとえば、ヒーターを事前加熱するため)を検出した場合、使用者による吸引の開始は、より高い閾値に到達した後により低い閾値で始まると考えることができる。
【0046】
空気流値(又はそのプロキシ)(i1、i2)は、使用者による吸引の開始後、サンプリング時間tsにサンプリングすることができる。任意選択で、この値は、複数のサンプリング時間にサンプリングされてもよい。
【0047】
第2のステップで、空気流値及びサンプリング時間からの第1の近似として、勾配(d1、d2)を、d1=i1/ts、d2=i2/tsとして計算することができる。任意選択で、複数のサンプルが得られた場合、第1の期間tsにわたって展開するにつれて、この値/時間の関係、したがって勾配を組み込むパラメトリック適合が生成されてもよい。
【0048】
勾配に基づいて吸引強度及び持続時間のうちの少なくとも1つを予測する第3のステップでは、
図6の吸引プロファイルc
1及びc
2から、使用者の吸引容量が有限であるため、勾配から外挿される曲線の積分が使用者の吸引容量を超過する可能性がないことから、吸引の初期勾配により、吸引の全体的な強度(たとえば、ピーク空気流)及びその持続時間を予測することができることが理解されよう。
【0049】
したがって、使用者の吸引容量に等しい積分を有する初期勾配に曲線を適合させることで、始まったばかりの吸引プロファイルの予測のための良好な第1の近似が提供される。特に、曲線のピークは、ピーク空気流(p1、p2)を予測し、曲線の終端は、持続時間(t1、t2)を予測する。
【0050】
使用者の吸引容量は、使用者の肺の容量と必ずしも同じではなく、すなわち使用者は、自身の肺を完全に膨張させるような吸引を習慣的に行っているわけではないことが理解されよう。したがって任意選択で、較正期間中に、又は進行中の測定プロセスとして、複数のサンプリングされた吸引行為における使用者の総吸引容量を分析して、標的積分として使用するための平均吸引容量を判定してもよい。
【0051】
第2の近似として、使用者の複数の吸引容量を特徴付けることができる。したがってたとえば、吸引行為c1は、EVPSでの短い集中的な吸込みを特徴付けることができ、吸引行為c2は、より長くよりリラックスした吸込みを特徴付けることができ、その結果、この例では、全体的により大きい体積が吸引される。したがって、これらのタイプの吸引に対して異なる平均吸引容量が想定された場合、より正確な曲線を推定することができる。
【0052】
そのような複数の吸引容量は、たとえば閾値勾配を上回る勾配及び閾値勾配を下回る勾配に対する平均容量を判定することによって判定することができ、閾値勾配は、製造時に設定すること、若しくはユーザインターフェースを介して設定すること、及び/又は使用者の挙動の分析によって判定することができる。この後者の場合、たとえば初期に、N回の測定された吸引から、関連付けられた分散とともに、第1の平均容量が判定されてもよい。分散が閾値を上回る場合、これは、より正確な容量推定値が必要又は可能であることを示し、N回の測定された吸引を、それぞれの勾配に基づいて2つ以上のグループに分割して、2つ以上の別個の平均及び関連付けられた分散を生成することができ、分割(複数可)は、結果として生じる全体的な分散を最小にするように選択される。これにより、使用者の挙動に適当な勾配閾値(複数可)が得られる。所与の初期勾配若しくは勾配範囲に対する1つ若しくは複数の分散が再び閾値を上回る場合、平均容量を更新するためにこのプロセスを繰り返すこと、及び/又は同様に、1つの勾配範囲が他の範囲と比較すると特に高い分散を示す場合、このプロセスを勾配のサブセットに再帰的に適用することができることが明らかであることが理解されよう。また、1組のN回の測定された吸引に対して、k平均法などの他の分割方法が考慮されてもよく、ここでkは、モデル化される所望の吸引容量の数である。
【0053】
いずれにしても、使用者の複数の吸引容量が特徴付けられたとき、現在推定された勾配に適当な1つの吸引容量を、時間tsに勾配に適合される曲線に対する標的積分値として使用することができる。
【0054】
次いで、吸引強度(典型的に、ピーク吸引p1、p2、或いは任意選択で、吸引の持続時間又はそのピークの前及び/若しくは後の固定の期間に対する平均)、及び/又は現在想定される吸引容量に到達した持続時間t1、t2を予測することができる。
【0055】
したがって、より一般的に、EVPSは、使用者の平均吸引容量を推定することができ、吸引強度及び持続時間のうちの少なくとも1つを予測することは、空気流の計算された勾配に基づいて、使用者の平均吸引容量にいつ到達するかを推定することを含む。一方、吸引持続時間を予測することは、計算された勾配に吸引プロファイルを適合させることを含むことができ、吸引プロファイルの積分は、使用者の推定された平均吸引容量に等しく、プロファイルの結果として得られる持続時間が、吸引持続時間を予測し、プロファイルのピークの結果として得られる位置が、吸引強度(及びタイミング)を予測する。さらに上述したように、それぞれの平均吸引容量は、計算された勾配の2つ以上の異なる範囲に対して推定することができ、吸引強度及び持続時間のうちの少なくとも1つを予測するステップは、現在の計算された勾配に対応する推定された平均吸引容量を選択することを含む。
【0056】
最終的に、第4のステップで、少なくとも1つの予測された吸引強度及び持続時間に応答して、エアロゾル供給システムの1つ又は複数の動作パラメータを調整することができる。
【0057】
これらの調整は、使用者へのエアロゾルの送達の改善、及び/又はEVPSの効率の改善のために加えることができる。
【0058】
したがって、本開示の一実施形態では、1つ又は複数の動作パラメータを調整するステップは、予測された吸引持続時間に応答して、エアロゾルの生成に対する終了時間を設定することを含むことができる。
【0059】
したがって、たとえばヒーターは、予測された持続時間(t1、t2)に、又は任意選択で、予め定められた量(非限定的な例として、5%若しくは10%以上などの相対的な量、又は0.1秒若しくは0.2秒以上などの固定の量)だけ予測された吸引持続時間の前に、停止(又は気化温度を下回るまで冷却)してもよい。
【0060】
これは、吸引の終了間近に、EVPSを通って吸い込まれる空気は、使用者の肺に到達する可能性が低く、したがって生理学的な効果がなく、したがってこの時点で有効成分を気化させることは潜在的に無駄になるという観察を利用している。さらに、残りの吸引がまだ存在している間に、蒸気の生成を停止させることで、EVPS内に残っている生成された蒸気をデバイスからさらに抜き出して、吸引が行われた後にデバイス内に残っている蒸気が凝結してデバイスを詰まらせる可能性を低減させることが可能になる。
【0061】
予測された終了時間(又は該当する場合、予め定められた先行する瞬間)において、使用者がまだ、閾値を上回るレベルでデバイスから吸引している場合、推定が誤っていたことが明白な事象では、ヒーターは停止しないことがあり、又は必要に応じて使用者への供給を維持/回復するために再開(又は気化温度を上回るまで再び加熱)しないことがあることが明らかである。
【0062】
EVPSが、予測された時間において、蒸気の生成を実際的に停止するように構成されているか否かにかかわらず、任意選択で、デバイスは、予測された吸引持続時間の予め定められた部分内で、予め定められた量のエアロゾルを生成するように構成されてもよい。
【0063】
したがって、たとえばデバイス製造者は、使用者による単一の吸引に対して、特定の量の有効成分の送達が理想的であると決定してもよい。この量は、EVPSによる生成速度に時間を掛けた値に応じて供給することができる。
【0064】
したがって、予測された吸引持続時間を考慮して、予測された持続時間にわたって理想的な量の有効成分を使用者へ送達するように、EVPSの蒸気生成速度を設定することができる。生成速度は、ヒーター温度の変化、気化温度を上回る/下回るヒーターのデューティーサイクル、気化/エアロゾル化のためのヒーターへのペイロードの送達速度などのうちの1つ又は複数によって修正することができる。
【0065】
上述したように、予測された吸引持続時間を考慮して、予測された吸引持続時間の予め定められた部分、典型的には肺への蒸気の吸込みをもたらす可能性が高い吸引の初期期間を予測することも可能である。その結果、具体的には吸引持続時間のこの予め定められた部分にわたって、理想的な量の有効成分を使用者へ送達するように、VPSの蒸気生成速度を調整することができる。
【0066】
その後、EVPSは、肺の中に取り込まれないかもしれないが、引き続き使用者へ蒸気を送達してもよいし、又は吸引の残り部分に関して蒸気の生成を止めてもよい。
【0067】
場合により、ある意味では、蒸気の生成を止めることで、有効成分の無駄を回避するのに対して、使用者は、吸引行為の後半に蒸気を味わったり又は感じたりすることができない場合、不満に思う可能性もある。したがってその代わりに、EVPSは、たとえばデューティーサイクルをヒーターとして使用することによって、吸引の残り部分に関して蒸気の生成を単に低減させてもよい。
【0068】
これに代えて、又はこれに加えて、EVPSは、予測された吸引持続時間内の予め定められた時点で、生成されるエアロゾルの組成を変更してもよい。たとえば、デバイスが、ニコチンなどの有効成分を含む液体のリザーバと、香味剤を含む液体のリザーバとを備える場合、吸引の初期期間と、吸引行為の予測された終了より前の後半期間との間で、有効成分と香料との比を変化させることができる。したがって、たとえばEVP’sは、使用者の肺に到達する初期期間中に高濃度の有効成分を送達し、次いで吸引された空気が使用者の口の中に残る可能性が高い残りの期間には、低濃度の有効成分及びより高濃度の香味剤に切り換わることができる。
【0069】
この場合も、そのような技法に対する初期期間と後半期間との間の転換点は、異なる吸引容量及び/又は初期勾配に対して異なってもよく、したがって吸引容量自体と同様に、異なる転換点がそれぞれの勾配、勾配範囲、吸引プロファイルなどと関連付けられてもよいことが理解されよう。
【0070】
任意選択で、初期勾配(i1、i2)に応答して、デバイスは、予測された吸引強度に応答するエアロゾル生成速度を調整することができる。したがって、「高」強度(急勾配)の吸引は、短期間における大量の蒸気の送達(たとえば、高電力を使用)を示唆し、「低」強度の吸引は、より長い期間における少量の蒸気の送達(たとえば、低電力を使用)を示唆する。この場合も、蒸気の生成は、温度、デューティーサイクル、ヒーターへのペイロードの送達、又は任意の他の好適な機構によって制御することができる。
【0071】
エアロゾル生成速度は、初期勾配と関連付けられた又は初期勾配から予測されたプロファイルに応答して、吸引の予測された強度の一部又はすべてを追跡するようにさらに調整されてもよい。第1の近似として、エアロゾル生成速度は、ピーク空気流(p1、p2)が発生すると予測されるときに応答する期間にわたって増大させることができる。したがって、たとえば生成中のピークは、このピークの前及び/又は後の期間、典型的にはこのピークも含む期間中に提供することができる。
【0072】
当然ながら、EVPSによって実施される手法はより簡単であってもよく、急勾配(たとえば、予め定められた閾値を上回る)が検出されたとき、短期間(たとえば、製造者によって経験的に判定される期間)にわたって、高電力がヒーターへ供給され、浅い勾配(たとえば、予め定められた閾値を下回る)が検出されたとき、より長い期間(たとえば、この場合も製造者によって経験的に判定される期間)にわたって、低電力がヒーターへ供給される。次いで任意選択で、そのようなシステムはまた、判定された期間の前に吸引が止まった場合の電源遮断など、任意のさらなる機能的修正にかけられてもよい。
【0073】
吸引の予測された終了の前に終了する期間中の有効成分の前述の送達を参照すると、同様に上記の手法を使用して、吸引の開始から、予測されたピーク空気流のすぐ後まで、有効成分のほとんどを実際的に送達することができ、ここで「ほとんど」とは、予め定められた割合とすることができ、同様に「すぐ」とは、予め定められた相対的又は絶対的な期間とすることができる。
【0074】
この場合も同様に、予測するステップが、ピーク空気流(p1、p2)がいつ発生するかを予測することを含む場合、ピーク空気流が発生すると予測されるときに応答する時点で、エアロゾルの組成が変更されてもよい。したがってこの場合も、この時点で有効成分から香料へのリバランス又は遷移が実施されてもよい。
【0075】
したがって、より一般的に、吸引の全体的な持続時間に応答して、又はこれに代えて、若しくはこれに加えて、ピーク吸引の予測されたタイミングに応答して、蒸気/エアロゾルの強度、体積、持続時間、及び組成への変更が加えられてもよい。特に、全体的な持続時間と比較すると、初期勾配に基づいて、ピーク吸引の予測されたタイミングの分散をより小さくすることができ、したがってピークに基づく変更は、予測された持続時間に基づくものに比べて、使用者にとってより確実なものとなりうる。
【0076】
上記の方法は、該当する場合はソフトウェア命令によって好適に構成された従来のハードウェアで実施されてもよく、又は専用のハードウェアの包含若しくは置換えによって実施されてもよいことが理解されよう。
【0077】
したがって、従来の同等なデバイスの既存の部品を適合させるのに必要なことは、フロッピーディスク、光ディスク、ハードディスク、固体状態ディスク、PROM、RAM、フラッシュメモリ、又はこれら若しくは他の記憶媒体の任意の組合せなどの非一時的機械可読媒体に記憶されたプロセッサ実行可能命令を含むコンピュータプログラム製品の形態で実施することができ、或いはASIC(特定用途向け集積回路)又はFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)、又は従来の同等なデバイスを適合させる際に使用するのに好適な他の構成可能な回路としてハードウェアで実現することができる。これとは別に、そのようなコンピュータプログラムは、イーサネット、無線ネットワーク、インターネット、又はこれら若しくは他のネットワークの任意の組合せなどのネットワークで、データ信号を介して伝送することができる。
【0078】
図1及び
図5を再び参照すると、好適に構成されたデバイスはEVPS10を含み、EVPS10は、独立しており、又はスマートフォン100及び/若しくは任意選択で遠隔サーバなどの遠隔コンピューティングデバイスと通信している。
【0079】
したがって、本開示の実施形態では、使用者特徴付けシステムは、本明細書に前述したように、使用者による吸引のためにエアロゾル生成材料からエアロゾルを生成するように構成された電子エアロゾル供給システム10を備えており、EVPSは、空気流検出器/センサ215を備える。
【0080】
使用者特徴付けシステムは、エアロゾル供給システムでの使用者による吸引の開始と関連付けられた空気流を検出するように(たとえば、好適なソフトウェア命令下で)動作可能なプロセッサと、吸引の開始に続く第1の期間中の空気流に対する勾配を計算するように(たとえば、好適なソフトウェア命令下で)動作可能な勾配捕捉プロセッサと、計算された勾配に基づいて、吸引強度及び持続時間のうちの少なくとも1つを予測するように(たとえば、好適なソフトウェア命令下で)動作可能な予測プロセッサと、少なくとも1つの予測された吸引強度及び持続時間に応答して、エアロゾル供給システムの1つ又は複数の動作パラメータの調整を引き起こすように(たとえば、好適なソフトウェア命令下で)動作可能なコントロールユニット(たとえば、制御プロセッサ)とを備える。
【0081】
上記のプロセッサは、実際には、これらのそれぞれの役割で動作するようにソフトウェア命令によって構成された1つ又は複数の汎用プロセッサであってもよいことが理解されよう。
【0082】
また、1つ又は複数のプロセッサは、EVPS自体並びに/又は移動電話及び/若しくは遠隔サーバ内に配置されてもよいことが理解されよう。
【0083】
同様に、コントロールユニットは、EVPS自体に配置されてもよいし、又は移動電話若しくはサーバ内に配置されてもよい。これらの後者の場合、コントロールユニットは、EVPSへ制御コマンドを伝送することによって、パラメータの調整を引き起こし、EVPS内に、これらのコマンドを規定する2次コントロールユニットを備える。
【0084】
上記の使用者特徴付けシステムの実施形態は、本明細書に記載する技法の任意の選択された態様を実施するために必要とされるそれらの手段を含むことができることが理解されよう。これらの技法は、それだけに限定されるものではないが、
予測された吸引持続時間に応答して、エアロゾルの生成に対する終了時間を設定するように動作可能なプロセッサを含み、
任意選択で、終了時間は、予め定められた量だけ予測された吸引持続時間の終了に先行するように設定される。
【0085】
使用者特徴付けシステムは、予測された吸引持続時間の予め定められた部分内で、予め定められた量のエアロゾルを生成するように動作可能である。
【0086】
使用者特徴付けシステムは、予測された吸引持続時間内の予め定められた時点で、生成されたエアロゾルの組成を変更するように動作可能である。
【0087】
使用者特徴付けシステムは、予測された吸引強度に応答して、エアロゾル生成速度を調整するように動作可能である。
【0088】
予測プロセッサは、ピーク空気流がいつ発生するかを予測するように動作可能であり、使用者特徴付けシステムは、ピーク空気流が発生すると予測されるときに応答する期間にわたって、エアロゾル生成速度を増大させるように動作可能である。
【0089】
予測プロセッサは、ピーク空気流がいつ発生するかを予測するように動作可能であり、使用者特徴付けシステムは、ピーク空気流が発生すると予測されるときに応答する時点で、エアロゾルの組成を変更するように動作可能である。
【0090】
予測プロセッサは、使用者の平均吸引容量を推定し、空気流の計算された勾配に基づいて、使用者の平均吸引容量にいつ到達するかを推定するように動作可能である。
予測プロセッサは、任意選択で、計算された勾配に吸引プロファイルを適合させるように動作可能であり、吸引プロファイルの積分は、使用者の推定された平均吸引容量に等しく、プロファイルの結果として得られる持続時間が、吸引持続時間を予測する。
予測プロセッサは、任意選択で、計算された勾配に吸引プロファイルを適合させるように動作可能であり、吸引プロファイルに積分は、使用者の推定された平均吸引容量に等しく、プロファイルのピークの結果として得られる位置が、吸引強度を予測する。
予測プロセッサは、任意選択で、計算された勾配の2つ以上の異なる範囲に対してそれぞれの平均吸引容量を推定し、吸引強度及び持続時間のうちの少なくとも1つを予測するとき、現在の計算された勾配に対応する推定された平均吸引容量を選択するように動作可能である。
【0091】
図1を再び参照すると、上述された使用者特徴付けシステムは、自己内蔵型ユニット(デバイス自体が従来のシガレットの形状又は寸法に必ずしも一致しない場合でも、一般にeシガレットと呼ばれる)とすることができる。そのようなeシガレットは、空気流測定手段、処理手段、並びに任意選択で、触覚、音声、及び/又は光/表示手段などの1つ又は複数のフィードバック手段を備えることができる。
【0092】
その代わりに、
図5を参照すると、上述された使用者特徴付けシステムは、EVPS/eシガレット10、及びたとえばブルートゥース(登録商標)を介してeシガレットと通信するように(たとえば、少なくともeシガレットからのデータを受け取るように)動作可能な移動電話又は類似のデバイス(タブレットなど)100など、2つの構成要素を備えることができる。
【0093】
次いで、移動電話は、eシガレットのものの代わりに、又はそれに加えて、処理手段、並びに触覚、音声、及び/又は光/表示手段などの1つ又は複数のフィードバック手段を備えることができる。
【0094】
任意選択で、使用者特徴付けシステムは、移動電話100と通信するように動作可能なEVPSeシガレット10を備えることができ、移動電話は、EVPSに対する1つ若しくは複数のパラメータ又は他のデータ(使用者による使用の1つ又は複数の態様に特徴的なデータなど)を記憶し、eシガレットからそのようなパラメータ/データを受け取る。次いで、電話は、任意選択で、そのようなパラメータ/データに関する処理を実行し、処理済みのデータ及び/若しくは命令をEVPSへ戻し、結果を使用者に表示し(又は別の行為を実行する)、又は処理済み及び/若しくは未処理のパラメータ/データを遠隔サーバへ転送することができる。
【0095】
何度も既に記載されたように、任意選択で、移動電話又はEVPS自体は、そのような遠隔サーバで使用者のアカウントに関連付けられたデータに無線でアクセスするように動作可能であってもよい。
【0096】
本開示の変形実施形態では、使用者の第1のEVPSは、その使用者設定の一部又は全部を別のEVPSへ通信することができる。使用者設定は、使用者挙動に特徴的なデータ、及び/又はEVPS動作の修正に関するデータなど、上記で開示した方法の実施態様に関係する設定を含むことができる。
【0097】
そのようなデータは、デバイス間で直接(たとえば、ブルートゥース(登録商標)又は近距離通信を介して)中継することができ、又は2つのデバイスの使用者によって所有される移動電話若しくは使用者がアカウントを有するサーバなどの1つ若しくは複数の仲介デバイスを介して中継することができる。
【0098】
このようにして、たとえば使用者が、2つのEVPSデバイスを有する場合、又は使用者が、蓄積された個人化データを失うことなく、1つのEVPSを別のEVPSに交換したいと考えた場合、使用者は、1つのデバイスから別のデバイスへデータを容易に共有することができる。
【0099】
任意選択で、この実施形態では、第2のEVPSが第1のEVPSとはタイプが異なる場合(たとえば、異なるデフォルトパワーレベル又は加熱効率を有することによる)、動作パラメータを第1のEVPSから第2のEVPSへ変換するための変換係数又はルックアップテーブルを用いてもよい。これは、第2のEVPSのソフトウェア又はファームウェアで提供することができ、直接通信するとき(又はデータが電話などの仲介を介した変化なく中継されるとき)、第1のEVPS、したがって適当な変換を識別する。これに代えて、又はこれに加えて、電話のアプリにより変換を提供してもよく、任意選択で第1及び第2のEVPSの識別情報に応答して、関連する変換をダウンロードしてもよい。この場合も、これに代えて、又はこれに加えて、遠隔サーバが、使用者のアカウントに関連付けられた第1及び第2のEVPSの識別情報に応答して、変換を提供してもよい。
【0100】
上記の議論は、本開示の単なる例示的な実施形態を開示及び説明する。当業者には理解されるように、本開示は、本開示の本質的な特徴から逸脱することなく、他の特有の形態で実施してもよい。それに応じて、本開示の開示は、本開示の範囲並びに他の特許請求の範囲の限定ではなく説明であることを意図したものである。本開示は、本明細書の教示のあらゆる容易に認識できる変形形態を含めて、本発明の主題が公衆に専用に供されないように、上記の特許請求の範囲の術語の範囲を部分的に定義する。