(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-24
(45)【発行日】2024-02-01
(54)【発明の名称】紙葉類取扱装置
(51)【国際特許分類】
B65H 31/26 20060101AFI20240125BHJP
G07D 11/14 20190101ALI20240125BHJP
【FI】
B65H31/26
G07D11/14
(21)【出願番号】P 2023500199
(86)(22)【出願日】2021-02-17
(86)【国際出願番号】 JP2021006005
(87)【国際公開番号】W WO2022176081
(87)【国際公開日】2022-08-25
【審査請求日】2023-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000237639
【氏名又は名称】富士通フロンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】飯田 直也
(72)【発明者】
【氏名】山田 知弘
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 宏
(72)【発明者】
【氏名】和泉 久雄
(72)【発明者】
【氏名】石井 信彦
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-116339(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 31/26
G07D 11/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取出し空間に排出される紙葉類に接近する方向と退避する方向とに移動することによって前記取出し空間の大きさを可変にする可動部を備え、
前記可動部は、可動部本体と、当該可動部本体に沿って収納される収納位置及び前記紙葉類を押圧する押圧位置に移動可能な押圧部とを有
し、
前記押圧部は、前記可動部本体によって第1回転軸において回転可能に支持され、前記収納位置において先端が前記第1回転軸よりも前記取出し空間の外部側に収納される第1レバーと、前記可動部本体のうち前記第1回転軸よりも前記取出し空間の内部側に位置する第2回転軸において前記可動部本体によって回転可能に支持される第2レバーと、当該第2レバーの先端が固定され、前記第1レバーに沿ってスライドするスライダとを含む
ことを特徴とする紙葉類取扱装置。
【請求項2】
前記可動部は、前記押圧部を前記押圧位置に向けて付勢する付勢部材を更に有する
ことを特徴とする請求項1記載の紙葉類取扱装置。
【請求項3】
前記押圧部は、前記可動部が退避した状態で前記付勢部材の付勢力に抗して前記収納位置に収納され、前記可動部が前記紙葉類に接近する方向に移動を開始すると前記付勢部材の付勢力によって前記押圧位置に向けて移動する
ことを特徴とする請求項2記載の紙葉類取扱装置。
【請求項4】
前記押圧部は、前記スライダに回転可能に固定され前記紙葉類に当接するコロを更に含む
ことを特徴とする請求項
1から3のいずれか1項記載の紙葉類取扱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙葉類取扱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙幣の出金時において、紙幣を入出金口から突出させるように紙幣を挟持した状態で搬送する入出金装置が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4889456号公報
【文献】特開昭59-11484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ATM(Automated Teller Machine)等の自動取引装置が特に屋外に配置される場合には、出金口が開放すると、出金される紙幣が取出し空間においてフリーな状態であることで、風などによって紙幣が飛ばされるという問題が生じる。
【0005】
上述のように紙幣を挟持した状態で搬送することによって入出金口から突出させる入出金装置は、紙幣が飛ばされる問題は生じ難い。しかしながら、紙幣が搬送ベルトや搬送ローラなどによって挟持された状態では、顧客が紙幣を抜き取るのが困難になり、紙幣が破損するおそれがある。
【0006】
本発明の目的は、取出し空間において紙葉類を安定させることができるとともに、取出し空間から紙葉類を容易に取出すことができる紙葉類取扱装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
開示の紙葉類取扱装置は、取出し空間に排出される紙葉類に接近する方向と退避する方向とに移動することによって前記取出し空間の大きさを可変にする可動部を備え、前記可動部は、可動部本体と、当該可動部本体に沿って収納される収納位置及び前記紙葉類を押圧する押圧位置に移動可能な押圧部とを有する。
【発明の効果】
【0008】
開示の紙葉類取扱装置によれば、取出し空間において紙葉類を安定させることができるとともに、取出し空間から紙葉類を容易に取出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施の形態における自動取引装置の内部構造を示す左側面図である。
【
図2A】一実施の形態における自動取引装置の紙幣の搬送経路を説明するための説明図(その1)である。
【
図2B】一実施の形態における自動取引装置の紙幣の搬送経路を説明するための説明図(その2)である。
【
図2C】一実施の形態における自動取引装置の紙幣の搬送経路を説明するための説明図(その3)である。
【
図3】一実施の形態におけるルーフの紙幣に対する接近退避方向の移動を説明するための斜視図である。
【
図4】一実施の形態における、押圧部が押圧位置にあるルーフを示す斜視図(その1)である。
【
図5】一実施の形態における、押圧部が押圧位置にあるルーフを示す斜視図(その2)である。
【
図6】一実施の形態における、押圧部が押圧位置にあるルーフを示す斜視図(その3)である。
【
図7】一実施の形態におけるルーフ本体を示す斜視図である。
【
図8】一実施の形態における押圧部及び引っ張りバネを示す斜視図である。
【
図9A】一実施の形態における、押圧部の移動(収納位置)を説明するためのルーフを示す斜視図である。
【
図9B】一実施の形態における、押圧部の移動(押圧位置)を説明するためのルーフを示す斜視図である。
【
図10A】一実施の形態における、押圧部の移動(収納位置)を説明するためのルーフを示す断面図である。
【
図10B】一実施の形態における、押圧部の移動(押圧位置)を説明するためのルーフを示す断面図である。
【
図11A】一実施の形態におけるルーフの動作を説明するための取出し空間周囲の内部構造を示す左側面図(その1)である。
【
図11B】一実施の形態におけるルーフの動作を説明するための取出し空間周囲の内部構造を示す左側面図(その2)である。
【
図11C】一実施の形態におけるルーフの動作を説明するための取出し空間周囲の内部構造を示す左側面図(その3)である。
【
図11D】一実施の形態におけるルーフの動作を説明するための取出し空間周囲の内部構造を示す左側面図(その4)である。
【
図12A】一実施の形態におけるルーフの動作を説明するための取出し空間周囲の内部構造を示す断面図(その1)である。
【
図12B】一実施の形態におけるルーフの動作を説明するための取出し空間周囲の内部構造を示す断面図(その2)である。
【
図12C】一実施の形態におけるルーフの動作を説明するための取出し空間周囲の内部構造を示す断面図(その3)である。
【
図12D】一実施の形態におけるルーフの動作を説明するための取出し空間周囲の内部構造を示す断面図(その4)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施の形態に係る紙葉類取扱装置について、自動取引装置100を一例として、図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1は、自動取引装置100の内部構造を示す左側面図である。
【0012】
なお、
図1、並びに、後述する
図2A~
図2C、
図3、
図11A~
図11D、及び
図12A~
図12Dに示す上下、前後、左右の方向は、自動取引装置100の顧客側を前方向とした場合の一例にすぎないが、例えば、上下方向は鉛直方向であり、前後方向及び左右方向は水平方向である。
【0013】
図1に示す自動取引装置100は、例えばATM、BRU(Bill Recycle Unit)、CD(Cash Dispenser)、TCR(Teller Cash Recycler)などであり、本体部110と、中間搬送部120と、収納部130とを備える。一例ではあるが、本体部110と収納部130とは、図示しない仕切りを介して異なる空間に配置されており、中間搬送部120は、上記の仕切りを貫通するように紙幣B(
図2A参照)を搬送する。なお、紙幣Bは、紙葉類の一例である。
【0014】
本体部110は、紙幣入出金部1と、搬送部111,113と、鑑別部112と、一時保留部114と、リジェクト部115とを有する。
紙幣入出金部1は、ステージ10と、可動部の一例であるルーフ20と、プッシャ30と、取込み搬送部40と、排出搬送部50と、前面パネル60と、シャッタ70と、
図3に示すタイミングベルト81、連結部材82、及びベルト駆動モータ83とを有する。なお、紙幣入出金部1のみを紙葉類取扱装置の一例とみなすこともできる。
【0015】
紙幣入出金部1のルーフ20については後述するが、ステージ10、ルーフ20、及びプッシャ30は、矩形板状を呈し、互いに平行に配置されている。
【0016】
取込み搬送部40は、ステージ10とプッシャ30との間に投入された紙幣Bを搬送することによって自動取引装置100の内部に取込む。
【0017】
排出搬送部50は、紙幣Bをルーフ20とプッシャ30との間に排出する。
【0018】
前面パネル60は、自動取引装置100の上部前面において、上方にいくほど後方に位置するように、鉛直方向と水平方向とに傾斜して配置されている。前面パネル60には、投入取出し口61が設けられている。
【0019】
シャッタ70は、投入取出し口61を開放可能に塞ぐ。なお、
図1には、開いた状態のシャッタ70を実線で図示し、閉じた状態のシャッタ70を点線で図示する。
【0020】
搬送部111は、紙幣入出金部1から鑑別部112へ紙幣Bを搬送するとともに、鑑別部112と中間搬送部120との間で紙幣Bを搬送する。
【0021】
鑑別部112は、紙幣Bの真贋、汚れ、角折れ等を判定する。
【0022】
搬送部113は、鑑別部112と一時保留部114との間で紙幣Bを搬送するとともに、鑑別部112から紙幣入出金部1へ紙幣Bを搬送する。
【0023】
一時保留部114は、紙幣入出金部1に投入され、鑑別部112において正常と判定された紙幣Bを一時的に収納する。
【0024】
リジェクト部115は、鑑別部112において異常と判定された紙幣Bのうち返却されない紙幣Bを収納する。
【0025】
中間搬送部120は、本体部110と収納部130との間で紙幣Bを搬送する。
【0026】
収納部130は、本体部110の下方に配置され、複数の紙幣収納カセット131,132,133,134,135と、収納搬送部136とを有する。
【0027】
複数の紙幣収納カセット131~135は、例えば互いに異なる金種の紙幣Bを収納する。紙幣収納カセット131~135は、収納された紙幣Bを排出可能である。そのため、紙幣収納カセット131~135に収納された紙幣Bは、出金に利用される。
【0028】
収納搬送部136は、中間搬送部120と各紙幣収納カセット131~135との間で紙幣Bを搬送する。
【0029】
図2A~
図2Cは、自動取引装置100の紙幣Bの搬送経路R1~R4を説明するための説明図である。
【0030】
まず、
図2Aに太い実線矢印で示す搬送経路R1のように、紙幣入出金部1に投入された紙幣Bは、取込み搬送部40及び搬送部111によって鑑別部112に搬送される。また、鑑別部112において正常と判定された紙幣Bは、搬送部113によって一時保留部114に搬送される。
【0031】
一方、
図2Aに太い点線矢印で示す搬送経路R2のように、鑑別部112において異常と判定された紙幣B(偽造紙幣など)は、搬送部113及び排出搬送部50によって紙幣入出金部1に返却される。
【0032】
図2Bに太い実線矢印で示す搬送経路R3のように、一時保留部114に一時的に収納された紙幣Bは、搬送部113、鑑別部112、搬送部111、中間搬送部120、及び収納搬送部136によって各紙幣収納カセット131~135に搬送される。
【0033】
図2Cに太い実線矢印で示す搬送経路R4のように、各紙幣収納カセット131~135に収納された紙幣Bは、出金時に、収納搬送部136、中間搬送部120、搬送部111、鑑別部112、搬送部113、及び排出搬送部50によって紙幣入出金部1に排出される。
【0034】
次に、ルーフ20の構成について説明する。
【0035】
図3は、ルーフ20の紙幣Bに対する接近退避方向Dの移動を説明するための斜視図である。
【0036】
図4~
図6は、ルーフ本体21が押圧位置P2にあるルーフ20を示す斜視図である。
【0037】
【0038】
図8は、押圧部22及び引っ張りバネ23を示す斜視図である。
【0039】
図9Aは、押圧部22の移動(収納位置P1)を説明するためのルーフ20を示す斜視図である。
【0040】
図9Bは、押圧部22の移動(押圧位置P2)を説明するためのルーフ20を示す斜視図である。
【0041】
図10Aは、押圧部22の移動(収納位置P1)を説明するためのルーフ20を示す断面図である。
【0042】
図10Bは、押圧部22の移動(押圧位置P2)を説明するためのルーフ20を示す断面図である。
【0043】
図3に示すルーフ20は、無端帯状のタイミングベルト81に固定された連結部材82に連結されている。アクチュエータの一例であるベルト駆動モータ83が図示しない駆動伝達機構を介してタイミングベルト81を回転動作させることによって、連結部材82に連結されたルーフ20が、取出し空間Sに排出される紙幣Bに接近する方向及び退避する方向(接近退避方向D)に移動する。ルーフ20は、このように接近退避方向Dに移動することによって、取出し空間Sの大きさを可変にする。なお、ルーフ20は、例えば
図1に示す例では、プッシャ30との間に取出し空間Sを形成する。
【0044】
図4~
図6に示すように、ルーフ20は、ルーフ本体21と、左右一対に設けられた2つの押圧部22と、押圧部22のそれぞれに設けられた引っ張りバネ23とを有する。
【0045】
図7に示すように、ルーフ本体21は、溝や孔や凹凸が設けられているが、全体として矩形板状を呈する。ルーフ本体21は、2つの第1回転軸21aと、2箇所に設けられた第2回転軸用孔21bと、2つのバネ固定部材21cとを含む。なお、ルーフ本体21は、可動部本体の一例である。
【0046】
第1回転軸21aは、
図4~
図6に示す押圧部22の後述する第1レバー22aの回転中心となる。
【0047】
2箇所の第2回転軸用孔21bのそれぞれは、
図4~
図6に示す押圧部22の後述する第2回転軸22eが挿入される2つの孔を含む。
【0048】
2つのバネ固定部材21cは、例えば別体の部材としてルーフ本体21に固定されている。バネ固定部材21cには、上述の第1回転軸21aが設けられている。また、バネ固定部材21cには、引っ張りバネ23の一端が固定される。
【0049】
2つの押圧部22は、ルーフ本体21に沿って収納される収納位置P1(
図9A及び
図10A参照)と、紙幣Bを押圧する押圧位置P2(
図9B及び
図10B参照)に移動可能である。
【0050】
図8に示すように、2つの押圧部22のそれぞれは、第1レバー22aと、第2レバー22bと、スライダ22cと、コロ22dと、第2回転軸22eとを含む。
【0051】
第1レバー22aは、ルーフ本体21によって第1回転軸21aにおいて回転可能に支持されている。また、第1レバー22aは、
図9A及び
図10Aに示す収納位置P1において紙幣B(コロ22d)側の先端が第1回転軸21aよりも
図3に示す取出し空間Sの外部側に収納される。
【0052】
第2レバー22bは、ルーフ本体21のうち第1回転軸21aよりも取出し空間Sの内部側に位置する第2回転軸22eにおいてルーフ本体21によって一端を回転可能に支持される。
【0053】
スライダ22cは、第2レバー22bの他端である先端が固定され、第1レバー22aに沿ってスライドする。そのため、スライダ22cには、第1レバー22aが挿入される挿入孔が設けられている。
【0054】
コロ22dは、スライダ22cに回転可能に固定され、紙幣Bに当接する。
【0055】
第2回転軸22eは、第2レバー22bのうちスライダ22cとは反対側の上記一端に設けられており、上述のようにルーフ本体21の第2回転軸用孔21bに挿入される。
【0056】
引っ張りバネ23は、上述のように一端がバネ固定部材21cに固定され、他端が第1レバー22aのうち紙幣B(コロ22d)とは反対側の一端に固定されている。
図10Bに示すように、引っ張りバネ23が第1レバー22aを引っ張ることにより第1レバー22aが第1回転軸21aを回転中心として
図10Bにおける時計回りに回転し、それに伴い第2レバー22bが第2回転軸22eを回転中心として
図10Bにおける時計回りに回転する。これにより、押圧部22が押圧位置P2に移動する。
【0057】
なお、引っ張りバネ23は、押圧部22を押圧位置P2に向けて付勢する付勢部材の一例である。この付勢部材としては、ねじりバネなどの他の弾性体が用いられてもよい。
【0058】
次に、ルーフ20の動作について説明する。
【0059】
図11A~
図11Dは、ルーフ20の動作を説明するための取出し空間S周囲の内部構造を示す左側面図である。
【0060】
図12A~
図12Dは、ルーフ20の動作を説明するための取出し空間S周囲の内部構造を示す断面図である。
【0061】
図11A及び
図12Aに示すように、ルーフ20が紙幣Bから退避した状態で、押圧部22は、例えば第1レバー22aにおいて図示しない接触部材に接触して押圧されることによって、引っ張りバネ23の付勢力に抗して収納位置P1に収納される。この状態で、取出し空間Sには、上述の
図1に示す排出搬送部50などによって出金用の紙幣Bが搬送される。
【0062】
図11B及び
図12Bに示すように、取出し空間Sの顧客への開放の前に、上述の
図3に示すベルト駆動モータ83の駆動によってタイミングベルト81が回転し、このタイミングベルト81に固定された連結部材82とともに、この連結部材82に連結されたルーフ20が接近退避方向Dの紙幣Bに接近する方向に移動を開始する。押圧部22では、上述の図示しない接触部材との接触が解除され、引っ張りバネ23の付勢力によって上述の第1レバー22a及び第2レバー22bが押圧位置P1に向けて回転移動する(位置P2→P1)。なお、ルーフ20は、取出し空間Sに排出される紙幣Bの枚数が少ないほど、取出し空間Sが狭くなるように接近退避方向Dの紙幣Bに接近する方向への移動量が多くなるとよい。
【0063】
図11C及び
図12Cに示すように、ルーフ20の移動が終了したとき、押圧部22は、引っ張りバネ23の付勢力によって、コロ22dにおいて紙幣Bに当接し、押圧位置P1にとどまる。この状態で、自動取引装置100の顧客は、引っ張りバネ23の付勢力のみで押圧された紙幣Bを容易に取出し空間Sから取出すことができる。
【0064】
図11D及び
図12Dに示すように、顧客が紙幣Bを取り忘れた場合には、ルーフ20が上述の
図1に示すプッシャ30とともに取込み搬送部40側まで移動し、ルーフ20とプッシャ30とによって挟み込まれた紙幣Bを取込み搬送部40が自動取引装置100の内部に取込むとよい。
【0065】
なお、本実施の形態では、可動部の一例であるルーフ20が紙幣入出金部1に配置されているが、ルーフ20は、出金専用の出金部に配置されていてもよい。また、第2レバー22b、スライダ22c、コロ22d、プッシャ30などが省略されてもよいし、紙幣入出金部1の構成は特に限定されない。また、押圧部22は、第1レバー22a及び第2レバー22bの回転移動ではなく直進移動してもよいし、第1レバー22aのみの回転移動によって第1レバー22aの先端(例えばコロ)において紙幣Bに当接してもよい。また、コロ22dが省略される場合には、押圧部22の紙幣Bとの当接部分は、低摩擦な部材によって形成されているとよい。
【0066】
以上説明した本実施の形態では、紙葉類取扱装置の一例である自動取引装置100は、取出し空間Sに排出される紙葉類の一例である紙幣Bに接近する方向及び退避する方向(接近退避方向D)に移動することによって取出し空間Sの大きさを可変にする可動部の一例であるルーフ20を備える。このルーフ20は、可動部本体の一例であるルーフ本体21と、このルーフ本体21に沿って収納される収納位置P1及び紙幣Bを押圧する押圧位置P2に移動可能な押圧部22とを有する。
【0067】
これにより、押圧部22が紙幣Bを取出し空間Sにおいて押さえることができるため、自動取引装置100が特に屋外に配置される場合に、
図1に示す投入取出し口61のシャッタ70が開放しても、出金される紙幣Bが取出し空間Sから風などによって飛ばされるのを防止することができる。更には、紙幣Bを挟持して搬送する1対の搬送ベルトなどによって紙幣Bを取出し空間Sから突出させる比較例と比較して、ルーフ本体21に沿って収納可能に配置される押圧部22の押圧力を弱くすることができるため、顧客が紙幣Bを抜き取るのを容易にし、ひいては紙幣Bが破損するのを抑制することができる。よって、本実施の形態によれば、取出し空間Sにおいて紙幣B(紙葉類)を安定させることができるとともに、取出し空間Sから紙幣B(紙葉類)を容易に取出すことができる。
【0068】
また、本実施の形態では、可動部20は、押圧部22を押圧位置P2に向けて付勢する付勢部材の一例である引っ張りバネ23を更に有する。このように引っ張りバネ23を用いることで、取出し空間Sの紙幣Bの枚数によらず紙幣Bを押さえることができる。また、顧客が紙幣Bを抜き取る際に押圧部22を容易に押し返すことができるため、顧客が紙幣Bを抜き取るのをより一層容易にすることができる。更には、適度な付勢力を設定して紙幣Bを押さえることができるため、紙幣Bが押さえられていない構成と比較して、顧客が紙幣Bを抜き取る際に紙幣Bを不意に落とすのを抑制することもできる。
【0069】
また、本実施の形態では、押圧部22は、可動部20が退避した状態で引っ張りバネ23の付勢力に抗して収納位置P1に収納され、可動部20が紙幣Bに接近する方向(接近退避方向D)に移動を開始すると引っ張りバネ23の付勢力によって押圧位置P2に向けて移動する。これにより、押圧部22をルーフ本体21に沿って収納される収納位置P1や紙幣Bを押圧する押圧位置P2に移動させる構成を簡素な構成で実現することができる。
【0070】
また、本実施の形態では、押圧部22は、ルーフ本体21によって第1回転軸21aにおいて回転可能に支持され、収納位置P1において先端が第1回転軸21aよりも取出し空間Sの外部側に収納される第1レバー22aと、ルーフ本体21のうち第1回転軸21aよりも取出し空間Sの内部側に位置する第2回転軸22eにおいてルーフ本体21によって回転可能に支持される第2レバー22bと、この第2レバー22bの先端が固定され、第1レバー22aに沿ってスライドするスライダ22cとを含む。これにより、第1レバー22a及び第2レバー22bの回転を利用した簡素かつ強固な押圧部22によって、紙幣Bを押さえることができる。
【0071】
また、本実施の形態では、押圧部22は、スライダ22cに回転可能に固定され紙幣Bに当接するコロ22dを更に含む。これにより、コロ22dの回転によって顧客が紙幣Bを抜き取るのをより一層容易にすることができる。
【0072】
なお、本発明は、上述の実施の形態そのままに限定されず、構成要素を変形して具体化することができる。例えば、本実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。このように、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において発明の種々の変形や応用が可能である。
【符号の説明】
【0073】
1 紙幣入出金部
10 ステージ
11 ステージ本体
11a 第1の開口部
12 第1のシャッタ
13,14 ギア
15 ラック
20 ルーフ(可動部)
21 ルーフ本体(可動部本体)
21a 第1回転軸
21b 第2回転軸用孔
21c バネ固定部材
22 押圧部
22a 第1レバー
22b 第2レバー
22c スライダ
22d コロ
22e 第2回転軸
23 引っ張りバネ(付勢部材)
30 プッシャ
40 取込み搬送部
41 ピックローラ
42 ラック
50 排出搬送部
60 前面パネル
61 投入取出し口
70 シャッタ
81 タイミングベルト
82 連結部材
83 ベルト駆動モータ
100 自動取引装置
110 本体部
111 搬送部
112 鑑別部
113 搬送部
114 一時保留部
115 リジェクト部
120 中間搬送部
130 収納部
131~135 紙幣収納カセット
136 収納搬送部
B 紙幣
D 接近退避方向
P1 収納位置
P2 押圧位置
R1~R4 搬送経路
S 取出し空間