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特許7426182ボトル用キャップ、収容液収容ボトル及びボトル用キャップの製造方法
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  • 特許-ボトル用キャップ、収容液収容ボトル及びボトル用キャップの製造方法 図1
  • 特許-ボトル用キャップ、収容液収容ボトル及びボトル用キャップの製造方法 図2
  • 特許-ボトル用キャップ、収容液収容ボトル及びボトル用キャップの製造方法 図3
  • 特許-ボトル用キャップ、収容液収容ボトル及びボトル用キャップの製造方法 図4
  • 特許-ボトル用キャップ、収容液収容ボトル及びボトル用キャップの製造方法 図5
  • 特許-ボトル用キャップ、収容液収容ボトル及びボトル用キャップの製造方法 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-24
(45)【発行日】2024-02-01
(54)【発明の名称】ボトル用キャップ、収容液収容ボトル及びボトル用キャップの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/32 20060101AFI20240125BHJP
   B65D 39/08 20060101ALI20240125BHJP
   B65D 51/28 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
B65D81/32 T
B65D39/08
B65D51/28 100
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022132298
(22)【出願日】2022-08-23
【審査請求日】2023-08-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522335701
【氏名又は名称】株式会社グローイングリッチ
(74)【代理人】
【識別番号】100080768
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 実
(74)【代理人】
【識別番号】100166327
【弁理士】
【氏名又は名称】舟瀬 芳孝
(74)【代理人】
【識別番号】100106644
【弁理士】
【氏名又は名称】戸塚 清貴
(72)【発明者】
【氏名】田中 豊彦
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-513312(JP,A)
【文献】特開2003-081357(JP,A)
【文献】特開2011-230825(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0066677(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/32
B65D 39/08
B65D 51/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボトル本体から突出するボトル口部を内部に進入させた状態とすることにより、該ボトル口部の開口を封止し、内部に、前記ボトル本体内に投入するための投入粉末を収納しているボトル用キャップであって、
筒形状とされて、その軸線方向の一方側及び他方側の開口から内部に前記ボトル口部が進入可能とされ、しかも、その軸線方向内方側において仕切り壁部が設けられて、該仕切り壁部を基準として、前記一方側開口に連なる一方側空間と、前記他方側開口に連なる他方側空間とを形成するキャップ本体が、備えられ、
前記一方側空間は、前記一方側開口から前記仕切り壁部までの長さが、該一方側空間内に前記ボトル口部が所定以上進入されたときに、該仕切り壁部が該ボトル口部開口を閉塞する状態となる長さに設定され、
前記キャップ本体に、前記他方側開口から前記仕切り壁部までの間であって、前記ボトル口部が前記他方側開口から前記他方側空間内に進入可能とされる範囲において、破断可能な密閉シートが設けられて、該密閉シートと該仕切り壁部との間に密閉空間が形成され、
前記密閉空間内に、前記投入粉末が収納され、
前記キャップ本体が、該キャップ本体の他方側端部よりも該キャップ本体の軸線方向一方側部分を構成するキャップ主体部と、該キャップ主体部に着脱可能に接続されて該キャップ本体の他方側端部を構成するキャップ端部と、からなり、
前記密閉シートが前記キャップ主体部と前記キャップ端部とにより挟持されている、
ことを特徴とするボトル用キャップ。
【請求項2】
請求項1において、
前記密閉空間には、前記キャップ本体の軸線方向が上下方向に向けられているとき、前記投入粉末の上方において、該投入粉末が存在しない余裕空間が形成される、
ことを特徴とするボトル用キャップ。
【請求項3】
請求項2において、
前記密閉シートが、前記他方側空間内において、前記他方側開口よりも前記キャップ本体の軸線方向内方側に配置されて、前記他方側空間に、該密閉シートと該他方側開口との間において前記ボトル口部の案内のための進入案内空間が形成されている、
ことを特徴とするボトル用キャップ。
【請求項4】
請求項3において、
前記キャップ本体の端面のうち、前記他方側開口側において、該他方側開口を覆う保護シートが着脱可能に取付けられている、
ことを特徴とするボトル用キャップ。
【請求項5】
請求項1において、
前記キャップ端部に対する前記キャップ主体部の接続部分、前記キャップ主体部に対する前記キャップ端部の接続部分のうち、一方の接続部分の内周面が該一方の接続部分の内周面に連なる該一方の接続部分以外の内周面よりも拡径されて、該一方の接続部分の内周面と該一方の接続部分以外の内周面との間に段差面が形成され、
前記キャップ端部に対する前記キャップ主体部の接続部分、前記キャップ主体部に対する前記キャップ端部の接続部分のうち、他方の接続部分の外周面が該他方の接続部分の外周面に連なる該他方の接続部分以外の外周面よりも縮径され、
前記一方の接続部分の内周面に前記密閉シートが、該密閉シートの周縁部を前記段差面に当接させた状態で嵌め込まれ、
前記他方の接続部分が前記一方の接続部分内に螺合又は嵌合により進入状態とされて、前記他方の接続部分の先端面と前記段差面とが前記密閉シートの周縁部を挟持している、
ことを特徴とするボトル用キャップ。
【請求項6】
請求項1において、
前記密閉シートが可食性フィルムである、
ことを特徴とするボトル用キャップ。
【請求項7】
請求項1において、
前記密閉シートに、前記キャップ端部内に臨む領域において、弱化部が形成され、
前記弱化部のパターンが、該弱化部が破断したときには、該弱化部のパターンに従う開孔のみを形成して、前記密閉シートから離れる独立の破断片を形成しないように設定されている、
ことを特徴とするボトル用キャップ。
【請求項8】
請求項1において、
前記ボトル口部の外周面に雄ねじが形成されていることを前提として、
前記キャップ本体の内周面に、前記ボトル口部の雄ねじが螺合可能な雌ねじが形成されている、
ことを特徴とするボトル用キャップ。
【請求項9】
商品としての販売時に、ボトル本体内に収容液を収容すると共に、該ボトル本体から突出するボトル口部の開口がボトル用キャップにより閉栓されている収容液収容ボトルにおいて、
前記ボトル用キャップとして、前記請求項1~8のいずれか1項に係るボトル用キャップが用いられ、
前記請求項1~8のいずれか1項に係るボトル用キャップは、前記商品としての販売時に、前記一方側空間内にボトル口部を進入させた状態とされている、
ことを特徴とする収容液収容ボトル。
【請求項10】
ボトル本体から突出するボトル口部を内部に進入させた状態とすることにより、該ボトル口部の開口を封止し、内部に、前記ボトル本体内に投入するための投入粉末を収納しているボトル用キャップの製造方法において、
筒形状とされて、その軸線方向の一方側及び他方側の開口から内部に前記ボトル口部が進入可能とされ、しかも、その軸線方向内方側において仕切り壁部が設けられて、該仕切り壁部を基準として、前記一方側開口に連なる一方側空間と、前記他方側開口に連なる他方側空間とを形成するキャップ本体と、破断可能な密閉シートとを用意し、
先ず、前記キャップ本体を、該キャップ本体の他方側空間が一方側空間に対して上方側となるように配置した上で、該他方側空間内に前記投入粉末を供給し、
次に、前記キャップ本体に、前記他方側開口から前記仕切り壁部までの間であって、前記ボトル口部が前記他方側開口から前記他方側空間内に進入可能とされる範囲において、前記密閉シートを設けて、前記投入粉末を、該投入粉末の上方に余裕空間を残した状態で前記他方側空間内に密閉するものであって、
前記キャップ本体を、該キャップ本体の他方側端部よりも該キャップ本体の軸線方向一方側部分を構成するキャップ主体部と、該キャップ主体部に着脱可能に接続されて該キャップ本体の他方側端部を構成するキャップ端部とで構成した上で、
前記キャップ主体部における接続部分の開口を上方に向けつつ、該開口から該キャップ主体部内に前記投入粉末を供給し、
次に、前記キャップ主体部における接続部分と前記キャップ端部における接続部分とを、該両接続部分間に前記密閉シートを介在させた状態で接続して、該密閉シートの周縁部を、該キャップ主体部における接続部分と該キャップ端部における接続部分とで挟持する、
ことを特徴とするボトル用キャップの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボトル用キャップ、収容液収容ボトル及びボトル用キャップの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
収容液収容ボトルは、商品として販売される時には、一般に、ボトル本体内に収容液が収容され、そのボトル本体から突出するボトル口部の開口は、ボトル用キャップにより閉栓されている。このような収容液収容ボトルにおいて、近時、ボトル用キャップの内部に、ボトル本体内に投入するための投入粉末を収納しておき、ユーザが使用する時に、そのボトル用キャップ内部の投入粉末をボトル本体内の収容液に投入するものが提案されている。
【0003】
このようなボトル用キャップとしては、例えば、特許文献1に示すように、有蓋円筒状のスクリューキャップ本体と、そのスクリューキャップ本体の蓋部内面から離れる方向に伸びその内部に投入粉末を収納する円筒状の原料収容部と、環状凹部を有しその環状凹部に前記原料収容部の先端部を嵌合させて該原料収容部の先端開口を閉塞するボトムシールキャップと、前記原料収容部の先端側部分を囲むようにして配置されて、前記ボトムシールキャップとの間で、該ボトムシールキャップの上昇と回転とを規制する係合関係を形成するリングホルダと、を備えたものがある。このボトル用キャップをボトル口部に装着して閉栓状態とするには、そのボトル用キャップの原料収納部及びリングホルダをボトル口部内に挿通させつつ、そのボトル口部に対してスクリューキャップ本体の閉栓操作(ねじ込み)を行い、その後、リングホルダとボトル口部内周面とを固定する。これにより、商品として販売される収容液収容ボトルが完成されたことになる。
【0004】
これにより、この収容液収容ボトルをユーザが使用するときには、ボトル用キャップを開栓操作すれば、スクリューキャップ本体及び原料収容部がボトル口部から上方へ抜け出していく一方で、ボトムシールキャップは、その上昇と回転とが、ボトル口部に固定されるリングホルダにより規制されるため、原料収容部から分離離脱する。この結果、原料収容部内の投入粉末はボトル本体内に投入され、ボトル本体内の収容液は使用状態となる(特許文献1の図11参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6895034号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、ボトル口部に対して上記ボトル用キャップを用いた場合には、ボトル口部の開口に対する開栓に伴い、その内部の投入粉末をボトル本体内に投入できるものの、下記に示す問題点が生じる。
(1)原料収容部からボトム本体内に投入粉末を投入するべく、原料収容部の先端部からボトムシールキャップを分離離脱させるためには、リングホルダを特別に用意して、そのリングホルダをボトル口部の内周面に溶着等により固定しなければならない。しかも、そのリングホルダとボトムシールキャップとの間に所定の係合関係を形成しなければならず、リングホルダ及びボトムシールキャップを複雑な形状とした上でそれらを組付ける必要がある。
(2)投入粉末を収納する原料収容部の先端開口は、ボトムシールキャップにより閉塞されているものの、ボトル本体内の収容液上方に位置することになることから、原料収容部内の投入粉末がボトル本体内における収容液の蒸気により湿り気を帯び又は変質する(以下、変質等する)おそれがある。このため、原料収納部の先端部とボトムシールキャップ(環状凹部)とを溶着等することによりシール性(気密性)を高める構造とする必要がある(特許文献1[0021]参照)。
(3)ボトル口部に対するボトル用キャップの開栓に伴い、ボトムシールキャップが原料収容部及びリングホルダから外れて、原料収容部内の投入粉末がボトル本体内の収容液に投入されるものの(図11参照)、大多数の投入粉末は、その収容液への投入粉末の投入だけでは直ちに完全に溶解するとは言い難い。このため、そのような場合には、再び、ボトル口部にボトル用キャップを装着し(閉栓)、そのボトルを振って投入粉末を収容液中で激しく撹拌混合させ、その後あらためて、ボトル口部からボトル用キャップを取外して(開栓)、投入粉末が溶けた収容液をボトル内から取り出す必要がある。
【0007】
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その第1の目的は、投入粉末を変質等させることなく収納すると共にその収納された投入粉末を的確且つ容易にボトル内に投入し、さらにはその収容液中に投入された投入粉末を迅速且つ効果的に溶解させることを、極力簡素な構造の下で実現するボトル用キャップを提供することにある。第2の目的は、上記ボトル用キャップを用いた収容液収容ボトルを提供することにある。第3の目的は、上記ボトル用キャップを製造するボトル用キャップの製造方法を提供することにある。
【0008】
前記第1の目的を達成するため本発明にあっては、次の(1)~(8)の構成とされている。
【0009】
(1)ボトル本体から突出するボトル口部を内部に進入させた状態とすることにより、該ボトル口部の開口を封止し、内部に、前記ボトル本体内に投入するための投入粉末を収納しているボトル用キャップであって、
筒形状とされて、その軸線方向の一方側及び他方側の開口から内部に前記ボトル口部が進入可能とされ、しかも、その軸線方向内方側において仕切り壁部が設けられて、該仕切り壁部を基準として、前記一方側開口に連なる一方側空間と、前記他方側開口に連なる他方側空間とを形成するキャップ本体が、備えられ、
前記一方側空間は、前記一方側開口から前記仕切り壁部までの長さが、該一方側空間内に前記ボトル口部が所定以上進入されたときに、該仕切り壁部が該ボトル口部開口を閉塞する状態となる長さに設定され、
前記キャップ本体に、前記他方側開口から前記仕切り壁部までの間であって、前記ボトル口部が前記他方側開口から前記他方側空間内に進入可能とされる範囲において、破断可能な密閉シートが設けられて、該密閉シートと該仕切り壁部との間に密閉空間が形成され、
前記密閉空間内に、前記投入粉末が収納され、
前記キャップ本体が、該キャップ本体の他方側端部よりも該キャップ本体の軸線方向一方側部分を構成するキャップ主体部と、該キャップ主体部に着脱可能に接続されて該キャップ本体の他方側端部を構成するキャップ端部と、からなり、
前記密閉シートが前記キャップ主体部と前記キャップ端部とにより挟持されている構成とされている。
【0010】
この構成によれば、キャップ本体において軸線方向他方側に伸びる他方側空間(キャップ本体における他方側の内部空間)と、密閉シートとを利用するだけで、密閉空間を形成し、その密閉空間内に投入粉末を収納できる。その一方で、ボトル口部に装着されていた当該ボトル用キャップを取外した後、反転させて、当該ボトル用キャップにおける他方側空間内にボトル口部を進入させれば、それだけで、そのボトル口部(先端)により密閉シートが破断され、密閉空間内に収納されていた投入粉末をボトル本体内に投入することができる。このため、投入粉末をボトル本体内に投入するに当たり、リングホルダ(開栓操作に伴い作動してボトル用キャップ内部の投入粉末をボトル本体内に投入可能とする部品(特許文献1参照))のような複雑な部品(要素)を、別途用意することも、ボトル口部に取付けることも、複雑な別部品(ボトムシールキャップ(特許文献1参照))と関係付けることもなくすことができる。
【0011】
またこの場合、当該ボトル用キャップがボトル口部に装着されているときには(未使用状態の閉栓時)、その単純な基本構造を利用して、一方側空間に対して他方側空間を仕切り壁部で遮断し、その他方側空間をボトル本体内(収容液)に臨ませないことから、ボトル内に収容液の蒸発成分(例えば水分)が他方側空間へ移動することはなく、密閉シート及び他方側空間に対して特別なシール構造を設けなくても、投入粉末を、ボトル内の収容液の蒸発成分により変質等させることなく当該ボトル用キャップ内部に収納できる。
【0012】
また、投入粉末がボトル本体内の収容液中に投入されたときには、ボトル口部は、当該ボトル用キャップにより閉栓状態にあり、そのまま直ちに、そのボトル用キャップが装着されたボトルを振って投入粉末を収容液中で激しく撹拌混合させることができる。これにより、ボトル本体内における収容液中への投入粉末の投入と、その投入粉末と収容液との撹拌混合とを連続して行うことができ、投入粉末が溶けた収容液を迅速且つ効果的に得ることができる。
【0013】
したがって、当該ボトル用キャップにおいては、投入粉末を変質等させることなく収納すると共にその収納された投入粉末を的確且つ容易にボトル内に投入し、さらにはその収容液中に投入された投入粉末を迅速且つ効果的に溶解させることを、極力簡素な構造の下で実現できる。
また、この構成によれば、キャップ主体部とキャップ端部との着脱可能な接続関係を利用して、その両者により密閉シートを挟持でき、密閉シートを、他方側空間における所定配置位置に的確且つ容易に配置できる。また、キャップ端部の内部空間を利用して、ボトル口部の進入案内のための進入案内空間を形成でき、キャップ端部の軸線方向長さを設定することにより、簡単に進入案内空間の軸線方向長さを所望のものにすることができる。
【0014】
(2)前記(1)の構成の下で、
前記密閉空間には、前記キャップ本体の軸線方向が上下方向に向けられているとき、前記投入粉末の上方において、該投入粉末が存在しない余裕空間が形成される構成とされている。
【0015】
この構成によれば、キャップ本体における他方側空間にボトル口部が進入するとき、密閉シートを破断して該密閉シートの配置位置よりも内方に進むことができ、密閉空間内に投入粉末が充填されている場合のように投入粉末によりボトル口部の進入が押し止められることはない。このため、密閉シートの確実な破断により投入粉末をボトル内の収容液中に的確に投入することができる。
【0016】
(3)前記(2)の構成の下で、
前記密閉シートが、前記他方側空間内において、前記他方側開口よりも前記キャップ本体の軸線方向内方側に配置されて、前記他方側空間に、該密閉シートと該他方側開口との間において前記ボトル口部の案内のための進入案内空間が形成されている構成とされている。
【0017】
この構成によれば、密閉シートと他方側開口との間において進入案内空間が形成されていることから、その進入案内空間を区画するキャップ本体の内周壁を利用して、他方側開口から他方側空間へのボトル口部の進入を容易にして、密閉シートを的確に破断することができる。
【0018】
(4)前記(3)の構成の下で、
前記キャップ本体の端面のうち、前記他方側開口側において、該他方側開口を覆う保護シートが着脱可能に取付けられている構成とされている。
【0019】
この構成によれば、保護シートが他方側開口を覆って、キャップ本体の端面のうち、他方側開口側を平坦な閉塞面とすることができる。これにより、保護シートの存在により、当該ボトル用キャップにおいて、投入粉末が未使用であることを視認することできる。また、キャップ本体の端面のうち、一方側開口だけが開口することになり、商品として、収容液を収容し口部が閉栓された収容液収容ボトルを完成させる際に、当該ボトル用キャップの一方側開口からボトル口部を間違いなく進入させて、ボトル口部を閉栓状態とすることができる。勿論、保護シートにより他方側開口からキャップ本体内に埃が入ることも防止できる。
【0020】
【0021】
【0022】
(5)前記(1)の構成の下で、
前記キャップ端部に対する前記キャップ主体部の接続部分、前記キャップ主体部に対する前記キャップ端部の接続部分のうち、一方の接続部分の内周面が該一方の接続部分の内周面に連なる該一方の接続部分以外の内周面よりも拡径されて、該一方の接続部分の内周面と該一方の接続部分以外の内周面との間に段差面が形成され、
前記キャップ端部に対する前記キャップ主体部の接続部分、前記キャップ主体部に対する前記キャップ端部の接続部分のうち、他方の接続部分の外周面が該他方の接続部分の外周面に連なる該他方の接続部分以外の外周面よりも縮径され、
前記一方の接続部分の内周面に前記密閉シートが、該密閉シートの周縁部を前記段差面に当接させた状態で嵌め込まれ、
前記他方の接続部分が前記一方の接続部分内に螺合又は嵌合により進入状態とされて、前記他方の接続部分の先端面と前記段差面とが前記密閉シートの周縁部を挟持している構成とされている。
【0023】
この構成によれば、一方の接続部分の内周面に密閉シートが、該密閉シートの周縁部を段差面に当接させた状態で嵌め込まれていることから、一方の接続部分に、密閉シートを位置決めした状態で保持でき、その一方の接続部分内に他方の接続部分を螺合又は嵌合により進入状態にしさえすれば、他方の接続部分の先端面と一方の接続部分の段差面とが、他方側空間の所定位置で密閉シートの周縁部を挟持することになり、密閉シートを他方側空間において的確且つ容易に保持できる。
【0024】
(6)前記(1)の構成の下で、
前記密閉シートが可食性フィルムである構成とされている。
【0025】
この構成によれば、可食性フィルムの破断容易性を利用して、キャップ本体における他方側空間へのボトル口部の進入により、密閉シートを容易に破断でき、その破断開孔を通じて投入粉末をボトル本体に的確に投入できる。この場合、密閉シートの破断に基づき、密閉シートの破断片が生成され、その破断片が投入粉末と共にボトル本体内に導かれることになるが、その破断片については、可食性フィルムの速溶性に基づき素早くボトル内の収容液に溶かすことができ、密閉シートの破断片に基づき投入粉末の収容液への投入等に支障を与えることはない。しかも、密閉シートが可食性フィルムの可食性を利用できることから、その密閉シート(可食性フィルム)の断片が収容液に溶けていても、その使用に当たり、人体に害を及ぼすことはない。
【0026】
(7)前記(1)の構成の下で、
前記密閉シートに、前記キャップ端部内に臨む領域において、弱化部が形成され、
前記弱化部のパターンが、該弱化部が破断したときには、該弱化部のパターンに従う開孔のみを形成して、前記密閉シートから離れる独立の破断片を形成しないように設定されている構成とされている。
【0027】
この構成によれば、密閉シートの弱化部が破断したときには、密閉空間内の投入粉末が開孔を通り抜けることができる一方で、破断片がボトル内に入り込むことを防止できる。
【0028】
(8)前記(1)の構成の下で、
前記ボトル口部の外周面に雄ねじが形成されていることを前提として、
前記キャップ本体の内周面に、前記ボトル口部の雄ねじが螺合可能な雌ねじが形成されている構成とされている。
【0029】
この構成によれば、キャップ本体内周面の雌ねじとボトル口部外周面の雄ねじとの螺合関係を利用して、ボトル口部を密閉シートに向けて押し込むことができる。このため、密閉シートを確実に破断して投入粉末をボトル内に収納することができる。
【0030】
前記第2の目的を達成するために本発明にあっては、次の(9)の構成とされている。
【0031】
(9)商品としての販売時に、ボトル本体内に収容液を収容すると共に、該ボトル本体から突出するボトル口部の開口がボトル用キャップにより閉栓されている収容液収容ボトルにおいて、
前記ボトル用キャップとして、前記請求項1~のいずれか1項に係るボトル用キャップが用いられ、
前記請求項1~のいずれか1項に係るボトル用キャップは、前記商品としての販売時に、前記一方側空間内にボトル口部を進入させた状態とされている構成とされている。
【0032】
この構成によれば、請求項1~のいずれか1項に係るボトル用キャップを用いることから、収容液収容ボトルが商品としての販売時の態様にあるときには、投入粉末を、ボトル用キャップの内部にボトル本体内の収容液の蒸気によって変質等させることなく収納できる。そしてこの後、ユーザが投入粉末をボトル内に投入して使用するときには、当該ボトル用キャップを反転させた状態でボトル口部に取付け直せば、密閉シートが破断されて、投入粉末がボトル本体内に投入される。この投入粉末が投入されたボルト本体を直ちに振って投入粉末を収容液に撹拌混合すれば、収容液を投入粉末が溶けたものにすることができ、その収容液を、ボトル用キャップをボトル口部から取り外すことにより取り出すことができる。このため、当該収容液収容ボトルにおいては、複雑な構造を組み込まなくても、簡単な構造の下で、投入粉末を変質等させることなく収納でき、また、その投入粉末をボトル本体内の収容液中に投入、溶解させて、投入粉末を溶かした収容液を得ることができる。
【0033】
前記第3の目的を達成するために本発明にあっては、次の(10)の構成とされている。
【0034】
(10)ボトル本体から突出するボトル口部を内部に進入させた状態とすることにより、該ボトル口部の開口を封止し、内部に、前記ボトル本体内に投入するための投入粉末を収納しているボトル用キャップの製造方法において、
筒形状とされて、その軸線方向の一方側及び他方側の開口から内部に前記ボトル口部が進入可能とされ、しかも、その軸線方向内方側において仕切り壁部が設けられて、該仕切り壁部を基準として、前記一方側開口に連なる一方側空間と、前記他方側開口に連なる他方側空間とを形成するキャップ本体と、破断可能な密閉シートとを用意し、
先ず、前記キャップ本体を、該キャップ本体の他方側空間が一方側空間に対して上方側となるように配置した上で、該他方側空間内に前記投入粉末を供給し、
次に、前記キャップ本体に、前記他方側開口から前記仕切り壁部までの間であって、前記ボトル口部が前記他方側開口から前記他方側空間内に進入可能とされる範囲において、前記密閉シートを設けて、前記投入粉末を、該投入粉末の上方に余裕空間を残した状態で前記他方側空間内に密閉するものであって、
前記キャップ本体を、該キャップ本体の他方側端部よりも該キャップ本体の軸線方向一方側部分を構成するキャップ主体部と、該キャップ主体部に着脱可能に接続されて該キャップ本体の他方側端部を構成するキャップ端部とで構成した上で、
前記キャップ主体部における接続部分の開口を上方に向けつつ、該開口から該キャップ主体部内に前記投入粉末を供給し、
次に、前記キャップ主体部における接続部分と前記キャップ端部における接続部分とを、該両接続部分間に前記密閉シートを介在させた状態で接続して、該密閉シートの周縁部を、該キャップ主体部における接続部分と該キャップ端部における接続部分とで挟持する構成とされている。
【0035】
この構成によれば、前記請求項1、2に係るボトル用キャップを製造するのに好ましい製造方法を提供できる。
【0036】
【0037】
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、投入粉末を変質等させることなく収納すると共にその収納された投入粉末を的確且つ容易にボトル内に投入し、さらにはその収容液中に投入された投入粉末を迅速且つ効果的に溶解させることを、極力簡素な構造の下で実現するボトル用キャップを提供できる。また、上記ボトル用キャップを用いた好適な収容液収容ボトル、さらには上記ボトル用キャップを製造するために好ましいボトル用キャップの製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】第1実施形態に係る収容液収容ボルトを示す斜視図。
図2】第1実施形態に係るキャップを示す縦断面図。
図3図2のX3-X3線断面図。
図4】第1実施形態に係る製造工程を説明する説明図。
図5】第1実施形態に係るキャップについてのユーザの使用方法を説明する説明図。。
図6】第2実施形態に係るキャップを示す横断面図。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1において、符号1は、本実施形態に係る収容液収容ボトルを示す。この収容液収容ボトル1は、商品として販売される状態を示しており、この収容液収容ボトル1には、収容液(例えば、純水、炭酸水等)2を収容するボトル本体3と、そのボトル本体3の上部においてそのボトル本体3から上方に突出するボトル口部4と、内部に、ボトル本体3内に投入するための投入粉末5(図1では図示略)を収納した状態でボトル口部4に装着されているボトル用キャップ(以下、キャップという)6と、が備えられている。
【0041】
前記ボトル本体3及びボトル口部4は、既知の通り、樹脂やアルミニウム合金等を用いて一体的に成形されている。ボトル本体3は、投入粉末5を溶かす収容液2の量を考慮して容量が設定され、そのボトル本体3内にはその量の収容液2が収容されている。ボトル口部4には、その外周面において雄ねじ7が形成されており、そのボトル口部4の外周面には前記キャップ6が螺合関係をもって装着可能となっている。
【0042】
前記キャップ6は、図1図3に示すように、円筒状のキャップ本体8と、平面視円形状の保護シート9とを備えている。キャップ本体8は、樹脂又は金属を用いて一体的に成形されおり、その内径及び外径は、軸線方向全長に亘って、それぞれ同一径とされている。キャップ本体8の軸線方向の一方側(図2中、下側)及び他方側(図2中、上側)の各開口10,11は、前記ボトル口部4が進入可能な径(大きさ)とされ、そのキャップ本体8の内周面には、その各開口10,11から軸線方向内方に向けて、前記ボトル口部4の雄ねじ7が螺合可能となる雌ねじ12がそれぞれ形成されている。このため、キャップ本体8の軸線方向の一方側開口10及び他方側開口11のいずれからも、キャップ本体8の内周面にボトル口部4を螺合させて、ボトル口部4をキャップ本体8内に進入させることができる。
【0043】
前記キャップ本体8内には、図1図2に示すように、該キャップ本体8の軸線方向内方側において、仕切り壁部13が設けられている。これにより、キャップ本体8内には、仕切り壁部13を基準として、一方側開口10に連なる一方側空間14と、他方側開口11に連なる他方側空間15とが形成されており、その一方側空間14と他方側空間15とは、仕切り壁部13により完全に遮断され、水分等の蒸気は、一方側空間14と他方側空間15との間を移動することが規制される。この仕切り壁部13は、キャップ本体8が成形される際に、同時に成形される。
【0044】
前記一方側空間14は、その一方側開口10から仕切り壁部13までの長さが所定長さに設定されている。具体的には、キャップ本体8の内周面にボトル口部4の外周面を螺進させてそのボトル口部4を一方側空間14に所定長さ以上進入させたときには、ボトル口部4の先端が仕切り壁部13に当接して、そのボトル口部4の先端開口が閉塞されることになる。
【0045】
本実施形態においては、キャップ本体8は、図2に示すように、該キャップ本体8の他方側端部より該キャップ本体8の軸線方向一方側部分を構成するキャップ主体部16と、該キャップ主体部16に着脱可能に接続されて該キャップ本体8の他方側端部を構成するキャップ端部17と、を備える。キャップ端部17に対するキャップ主体部16の接続部分(一方の接続部分)16aは、その内周面16iaがその内周面16iaに連なるキャップ主体部16における接続部分16a以外の内周面16ibよりも拡径されており、キャップ主体部16における接続部分16aの内周面16iaと該キャップ主体部16における接続部分16a以外の内周面16ibとの間には段差面18が形成されている。キャップ主体部16に対するキャップ端部17の接続部分(他方の接続部分)17aは、その外周面17oaがその外周面17oaに連なるキャップ端部17における接続部分17a以外の外周面17obよりも縮径されている。このキャップ主体部16における接続部分16aの内周面16iaには雌ねじ19が形成され、キャップ端部17における接続部分17aの外周面17oaには、前記雌ねじ19に螺合可能な雄ねじ20が形成されている。これに基づき、キャップ主体部16における接続部分16aの内周面16iaに対してキャップ端部17における接続部分17aの外周面17oaが螺合され、キャップ端部17における接続部分17aの先端面は、キャップ主体部16における段差面18に当接するまで進入できる(一体化)。このようにキャップ主体部16とキャップ端部17とを一体化することによりキャップ本体8が構成された場合でも、キャップ主体部16及びキャップ端部17の外径、キャップ主体部16及びキャップ端部17の内径は、それぞれ段差なく同一径に維持され、キャップ端部17の内周面17i及びキャップ主体部16の内周面16iには、ボトル口部4外周面の雄ねじ7が螺合する前記雌ねじ12が形成されている。
【0046】
前記キャップ本体8における前記他方側空間15内には、図2に示すように、破断可能な密閉シート22が配置されている。密閉シート22は、平面視円形の薄いシートとして形成され、その密閉シート22には、本実施形態においては可食性フィルムが用いられている。可食性フィルムは、既知の如く、デンプンやゼラチン等の食品素材をベースにして作られたフィルムであり、その特性として、可食性、速溶性及び破断容易性等を有している。この密閉シート22は、その周縁部22oが、キャップ主体部16における段差面18とキャップ端部17における接続部分17aの先端面とによって挟持され、密閉シート22の周縁部22oよりも径方向内方側部分22iが、キャップ主体部16内とキャップ端部17内との連通を遮断している。これにより、キャップ本体8における他方側空間15内には、密閉シート22と仕切り壁部13との間において密閉空間23が形成されている。この密閉シート22は、ボトル口部4が他方側開口11から他方側空間15内に進入可能とされる範囲内において配置されている。後述するように、ボトル口部4(先端)の進入により密閉シート22を破断可能とすると共に、他方側開口11から密閉シート22までの他方側空間15において、ボトル口部4の進入を案内する進入案内空間24を形成するためである。このため、本実施形態においては、この密閉シート22の配置位置、進入案内空間24との関係から、キャップ端部17の軸線方向長さが決定されている。
【0047】
前記密閉空間23内には、図2に示すように、前記投入粉末5が収納されている。投入粉末5としては、ボトル本体3内の収容液2に溶かすことにより飲料、液状の化粧品及び健康食品等となるものが用いられ、特に、投入粉末5として、その量が収容液2の量(溶媒量)との関係で厳密さが要求されるもの、粉体状(固体状)では安定性を示し、収容液2に溶解した後には、その本来の機能が次第に低下するもの等に用いることが好ましい。例えば、水素水生成粉末、収容液2に溶解すると、酸化が進むビタミン粉末等である。密閉空間23の容積は、収納すべき投入粉末5の体積との関係から設定されており、本実施形態においてはさらに、その収納すべき投入粉末5の体積に加えて、投入粉末5を収納したときにその上方に余裕空間25が確保されることが考慮されている(図2参照)。このため、本実施形態においては、この観点から、キャップ主体部16(キャップ本体8)の軸線方向長さが設定されている。
【0048】
前記保護シート9は、図1図2に示すように、キャップ本体8(キャップ端部17)の軸線方向他方側端面に着脱可能に貼り付けられている。この保護シート9は、キャップ本体8の他方側開口11を閉塞しており、これにより、キャップ本体8の一方側開口10のみが開口され、ボトル口部4を閉栓するに際して、そのボトル口部4を間違いなく一方側開口10から一方側空間14に進入(螺進)させることができることになっている。この保護シート9としては、樹脂シート、金属シート等の保護シール、樹脂板、金属板等の板状シールを用いることができ、そのような保護シート9は、剥離可能な接着剤を用いてキャップ本体8(キャップ端部17)の軸線方向他方側端面に接着されている。
【0049】
このようなキャップ6は、収容液収容ボトル1を商品として販売するときには、その一方側開口11から一方側空間14内にボトル口部4が進入されて、そのボトル口部4の開口が閉栓状態とされている。そして、これ以後、ボトル口部4に対してキャップ6の開栓操作が行われたか否か(ユーザの初めての使用か否か)については、ボルト口部4及びキャップ6を包み込む包装フィルム(図示略)の存在の有無、キャップ6の軸線方向一方側端に分離可能に設けられるロック用リング(図示略)の分離の有無等により、ユーザは判断できることになっている。これらの内容については、既知であるので、説明を省略する。
【0050】
このようなキャップ6を製造するに当たっては、図4に示すように、次のような工程を経る。
【0051】
先ず、キャップ本体8のうち、キャップ主体部16を用意し、そのキャップ主体部16を、その他方側空間15が一方側空間14に対して上側に位置するように起立させ、そのキャップ主体部16の上端開口からその他方側空間15内に投入粉末5を供給する(図4中、左から1番目及び2番目の説明図参照)。このとき、投入粉末5の供給量は、その上面5aがキャップ主体部16の段差面18よりも多少、低い位置までとされる(図4中、左から3番目の説明図参照)。
【0052】
次に、キャップ主体部16の段差面18上に密閉シート22を載置する(図4中、左から3番目及び4番目の説明図参照)。これにより、密閉シート22は、外部に対して、段差面18よりも下方側の他方側空間15を塞いで密閉空間23を形成する。このとき、前述の投入粉末5の供給量に基づき、密閉シート22と、密閉空間23に収納された投入粉末5の上面5aとの間に余裕空間25が形成される。
【0053】
次に、キャップ主体部16における接続部分16aの内周面16iにキャップ端部17における接続部分17aの外周面17oを螺合し、キャップ主体部16における段差面18とキャップ端部17における接続部分17a先端面とで密閉シート22の周縁部22oを挟持する(図4中、左から4番目及び5番目の説明図参照)。これにより、キャップ本体8が組立てられると共に、密閉シート22がキャップ本体8内に保持され、その密閉シート22よりも上方には、キャップ端部17の内部空間を利用してボトル口部4のための進入案内空間24が形成される。
【0054】
この後、キャップ本体8の他方側開口端面(キャップ端部17の端面)に保護シート9が貼り付けられ、その保護シート9により、キャップ本体8の他方側開口11は閉塞される。(図4中、左から4番目及び5番目の説明図参照)これにより、キャップ6が完成されたことになり、そのキャップ6の一方側開口10から一方側空間14内にボトル口部4を螺進(進入)させることによりそのボトル口部4の開口が閉栓される。
【0055】
次に、収容液収容ボトル1の使用方法について、キャップ6の使用を中心として、図5に基づき説明する。
【0056】
先ず、未使用の収容液収容ボトル1において、キャップ6をボトル口部4から開栓操作により取外し、そのキャップ6の保護シート9を剥がす(図5中、左から1番目及び2番目の説明図参照)。
【0057】
次に、キャップ6を反転させて、その他方側開口11を下側に向け、そのキャップ6の他方側開口11からその他方側空間15内にボトル口部4を、キャップ6の他方側端部の内周面とボトル口部4の外周面との螺合関係に基づく螺進により進入させる(図5中、左から3番目及び4番目の説明図参照)。これにより、ボトル口部4の先端開口周縁部4toが密閉シート22の位置を超えて進入すると、その密閉シート22がボトル口部4の先端開口周縁部4toにより破断されて破断開孔が形成され、その破断開孔を通って、密閉空間23内に収納されていた投入粉末5がボトル本体3内に落下する(図5中、左から5番目の説明図参照)。
【0058】
この場合、キャップ6の他方側端部内には、他方側開口11と密閉シート22との間に進入案内空間24が形成されることから、キャップ6の他方側端部の内周面にボトル口部4の外周面を螺合させ易くなると共に、その他方側端部の内周面によってボトル口部4を安定した状態で進入(螺進)させて、そのボトル口部4の先端開口周縁部4toを的確に密閉シートに突入させることができる。またこの場合、キャップ6を反転させても、仕切り壁部13と密閉空間23内の投入粉末5の上面5aとの間に余裕空間25が形成されることから、キャップ6の他方側空間15へのボトル口部4の進入に伴い、ボトル口部4の先端開口周縁部4toは、密閉空間23の投入粉末5を密閉シート22介して押し上げつつさらに進むことができる。このため、密閉シート22の周縁部22oがキャップ主体部16(段差面18)とキャップ端部17(接続部分17aの先端面)とにより挟持されていること、密閉シート22が可食性フィルムであることも相まって、ボトル口部4の先端開口周縁部4toにより、密閉シート22は確実に破断される。このとき、密閉シート22がボトル口部4の先端開口周縁部4toにより切り取られるように破断されて、その破断片がボトル本体3内の収容液2中に入り込むことになるが、その破断片が可食性フィルムからなることから、その破断片は、その速溶性に基づき素早く収容液2に溶ける。このため、密閉シート22から破断された破断片が、収容液2に対する投入粉末5の投入、溶解に支障を与えることはない。さらに、キャップ本体8のうち、キャップ主体部16の他方側端部の内周面には、極力、雌ねじ12が形成されないようにされている。このため、投入粉末5は雌ねじ(の凹凸)に残らずに円滑にボトル本体3内に落下する(図2図5参照)。
【0059】
密閉シート22が破断されて投入粉末5がボトル本体3内に入ると、キャップ6がボトル口部4に装着された状態のボトル本体3を直ちに振る(シェィク)。これにより、ボトル本体3内の収容液2と、その中に入り込んだ投入粉末5とが撹拌混合されると共に、キャップ6の他方側端部内に付着等により残っている投入粉末5がボトル本体3内に洗い出されることになり、密閉空間23に収納されていた投入粉末5の全てが、収容液2に溶解される。このとき、キャップ6が、片手で握り易い円筒形状に形成されていると共にボトル口部4に螺合関係をもって強固に結合されていることから、キャップ6を片手で握り、さらにはボトル本体3を支えつつ、シェィクすることができ、ユーザは、シェィク作業を容易且つ確実に行うことができる。
【0060】
上記シェィク作業を終えると、キャップ6をボトル口部4から開栓操作により外し、投入粉末5が溶けた収容液2を、使用に供すべく、ボトル口部4から取り出す。この場合、投入粉末5が溶けた収容液2が飲料又は化粧品となる場合には、それに密閉シート22の破断片が溶けているとしても、その破断片が可食性フィルムであることから、それを飲み又は皮膚等に付けても人体に影響を与えることはない。
【0061】
これに対して、前記特許文献1においては、ボトル口部に対するボトル用キャップの開栓に伴い、キャップ内部の投入粉末がボトル本体内の収容液に投入されるものの(特許文献1図11参照)、大多数の投入粉末は、その収容液への投入粉末の投入だけでは直ちに完全に溶解するとは言い難い。このため、投入粉末を完全に収容液に溶解するためには、再び、ボトル口部にボトル用キャップを装着し(閉栓)、そのボトル本体を振って投入粉末と収容液とを激しく撹拌混合し、その後あらためて、ボトル口部からボトル用キャップを取外して(開栓)、投入粉末が溶けた収容液をボトル本体内から取り出す必要がある。このため、特許文献1においては、投入粉末が溶けた収容液を使用するに当たり、開栓、閉栓、開栓の順で操作を行う順序の点、操作数の点、さらには、そのうちの閉栓中にボトル本体をシェイクする点で、前記第1実施形態と共通する。しかし、特許文献1においては、複数の複雑な部品を用いて、部品同士及びボトル口部に関係付ける構造としなければならない点、ボトル本体への投入粉末の投入後、ボトル口部を閉栓操作しなければならず、直ちにボトル本体をシェイクできない点で(迅速性)、前記第1実施形態と異なる。
【0062】
したがって、第1実施形態に係る上記キャップ6を用いれば、その円筒形状のキャップ本体8における他方側空間15と密閉シート22とを利用するだけで密閉空間23を形成でき、その密閉空間23に投入粉末5を収納できる。その一方で、閉栓時にボトル口部4に装着されていたキャップ6を取外し、そのキャップ6を反転させて、そのキャップ6の他方側空間15内にボトル口部4を進入させれば、それだけで、そのボトル口部4の先端開口周縁部4toが密閉シート22を破断し、密閉空間23内に収納されていた投入粉末5はボトル本体3内に投入される。このため、キャップ6内に投入粉末5を収納し、また、投入粉末5をボトル本体3内に投入するに当たり、リングホルダ(開栓操作に伴い作動してボトル用キャップ内部の投入粉末をボトル本体内に投入可能とする部品)、ボトムシールキャップ6(特許文献1参照)等のような複雑な部品(要素)を別途用意することも、組付けること等も必要でなくなる。
【0063】
この場合、キャップ6がボトル口部4に装着されているときには(投入粉末5使用前の閉栓時)、仕切り壁部13により遮断して他方側空間15をボトル本体3内(収容液2)に臨ませないようにしていることから、ボトル内に収容液2の蒸発成分(例えば水分)が他方側空間15へ移動することはなく、密閉シート22及び他方側空間15に対して特別なシール構造を設けなくても、投入粉末5を、ボトル本体3内の収容液2の蒸発成分により変質等されることなくキャップ6内部に収納保存できる。
【0064】
また、投入粉末5がボトル内の収容液2中に投入されたときには、キャップ6は、ボトル口部4の開口を閉栓状態としており、投入粉末5を完全に収容液2に溶解させるべく、直ちに、シェイク作業に移ることができる。これにより、ボトル本体3内における収容液2中への投入粉末5の投入と、その投入粉末5と収容液2との撹拌混合とを連続して行うことができ、投入粉末5が溶けた収容液2を迅速且つ効果的に得ることができる。この場合、キャップ6が、片手で握り易い円筒形状に形成されると共にボトル口部4に螺合関係をもって強固に装着されていることから、キャップ6を片手で握り、或いはさらにはボトル本体3を支えつつ、そのボトル本体3をシェイクすることができ、ユーザは、シェイク作業を容易且つ確実に行うことができる。
【0065】
図6は第2実施形態を示す。この第2実施形態において、前記第1実施形態と同一構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0066】
図6に示す第2実施形態においては、密閉シート22として、キャップ端部17内に臨む領域において、弱化部(破線をもって示す)27が形成されたものが用いられている。弱化部27は、本実施形態においては、放射状の一態様としての十字状のパターンをもって形成され、その弱化部27においては、密閉シート23の厚みが他の部分よりも薄くされている。このため、密閉シート22に対してボトル口部4の先端開口周縁部4toの外力が作用すると、密閉シート22は、弱化部27のパターンに従い、密閉シート22の径方向中央部を中心として開孔し、その開孔からボトル本体3内に、密閉空間23内に収納されていた投入粉末5が入り込む。このとき、密閉シート22における十字状パターンの弱化部27の破断に伴って、破断片は生成されず、複数(4つ)の三角状の垂れ片部28が、キャップ端部17とキャップ主体部16とにより挟持されている密閉シート22の周縁部22oから連なようにして形成されるだけである。このため、この第2実施形態においては、密閉シート22が破断されても、破断片自体が生ぜず、破断片がボトル本体3内に入り込むことはない。
【0067】
以上形態について説明したが本発明においては、次の態様を包含する。
(1)密閉シート22が保護シート9を兼ねること。
(2)キャップ本体8の他方側端部端面に密閉シート22を貼り付け、その密閉シート22にさらに保護シート9を貼り付けること。
(3)密閉シート22における弱化部27のパターンとして、密閉シート22から離れる独立の破断片が生成されない限り、種々のものを用いることができること。
(4)弱化部27が形成される密閉シート22にも可食性フィルムを用いること。
(5)一方の接続部分をキャップ端部17の接続部分17aとし、他方の接続部分をキャップ主体部16の接続部分16aとすること。この場合には、キャップ端部17における接続部分17aの内周面に密閉シート22を段差面18に当接させつつ嵌め込んだ状態とし、そのキャップ端部17における接続部分17aの内周面にキャップ主体部16における接続部分16aの外周面を螺合して、キャップ端部17の接続部分17aとキャップ主体部16の接続部分16aとで密閉シート22の周縁部22oを挟持すること。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、投入粉末を変質等させることなく収納すると共にその収納された投入粉末を的確且つ容易にボトル内に投入し、さらにはその収容液中に投入された投入粉末を迅速且つ効果的に溶解させることを、極力簡素な構造の下で実現することに利用できる。
【符号の説明】
【0069】
1 収容液収容ボトル
2 収容液
3 ボトル本体
4 ボトル口部
5 投入粉末
6 キャップ(ボトル用キャップ)
8 キャップ本体
9 保護シート
10 一方側開口
11 他方側開口
12 雌ねじ
13 仕切り壁部
14 一方側空間
15 他方側空間
16 キャップ主体部
16a キャップ主体部の接続部分
17 キャップ端部
17a キャップ端部の接続部分
18 段差面
22 密閉シート
23 密閉空間
24 進入案内空間
25 余裕空間
27 弱化部
28 垂れ片部
【要約】
【課題】投入粉末を変質等させることなく収納すると共にその収納された投入粉末を的確且つ容易にボトル内に投入し、さらにはその収容液中に投入された投入粉末を迅速且つ効果的に溶解させることを、極力簡素な構造の下で実現するボトル用キャップ、収容液収容ボトル及びボトル用キャップの製造方法を提供する。
【解決手段】一方側及び他方側の開口10,11から内部にボトル口部4が進入可能とされると共に、その内方側において仕切り壁部13が設けられて一方側空間14と他方側空間15とを形成する円筒状キャップ本体8が備えられている。一方側空間14は、一方側開口10から仕切り壁部13までの長さが、所定以上進入したボトル口部4の開口を仕切り壁部13で閉塞する長さとされ、他方側空間15内に破断可能な密閉シート22が設けられて密閉空間23が形成されている。その密閉空間23内には投入粉末5が収納されている。
【選択図】 図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6