(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-24
(45)【発行日】2024-02-01
(54)【発明の名称】3Dプリンター用サポート材用光硬化性組成物ならびに3Dプリンター用サポート材
(51)【国際特許分類】
B29C 64/40 20170101AFI20240125BHJP
B29C 64/106 20170101ALI20240125BHJP
B29C 64/264 20170101ALI20240125BHJP
B29C 64/314 20170101ALI20240125BHJP
B33Y 70/10 20200101ALI20240125BHJP
【FI】
B29C64/40
B29C64/106
B29C64/264
B29C64/314
B33Y70/10
(21)【出願番号】P 2020047520
(22)【出願日】2020-03-18
【審査請求日】2022-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000004628
【氏名又は名称】株式会社日本触媒
(74)【代理人】
【識別番号】100161942
【氏名又は名称】鴨 みどり
(72)【発明者】
【氏名】溝口 大昂
(72)【発明者】
【氏名】鯉沼 僚輔
(72)【発明者】
【氏名】辻野 恭範
【審査官】▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/167948(WO,A1)
【文献】特開2018-034350(JP,A)
【文献】特開2014-136311(JP,A)
【文献】国際公開第2020/015905(WO,A1)
【文献】特開2019-155600(JP,A)
【文献】特開2019-157046(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00 - 64/40
C08C 19/00 - 19/44
C08F 6/00 -246/00
C08F301/00
C09D 11/00 - 13/00
B33Y 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1価の対イオンを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体と多価の金属イオンを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体とを含むイオン性水溶性単量体を10質量%~80質量%含み、
非イオン性水溶性単量体
(但し、アクリル酸を除く)を5質量%~50質量%含み、
非イオン性非水溶性単量体を0質量%~50質量%含み、
水の含有量が1.0質量%以下であり、
pHが5~8である、
3Dプリンター用サポート材用光硬化性組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の3Dプリンター用サポート材用光硬化性組成物を硬化した3Dプリンター用サポート材であって、濁度が40%未満である、3Dプリンター用サポート材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3Dプリンター用サポート材用光硬化性組成物ならびに3Dプリンター用サポート材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インクジェットノズルから吐出した液状の光硬化性樹脂を硬化させ、積層して光造形するインクジェット方式による光造形法が提案されている。この光造形法を用いたインクジェット3Dプリンター用インクは、UV等の光硬化により成型体を構成するモデル材と、モデル材を立体的に積み上げる際の支持材として使用するサポート材とを含んでいる。サポート材の上にモデル材を積層することで、オーバーハング構造や中空構造を造形することが可能となる。
【0003】
特許文献1には、エチレン重合性基を有する少なくとも2種類の単官能モノマーと光開始剤とを含有する3D造形用組成液であって、単官能モノマーとしてイオン性基を有する単官能モノマーおよびイオン性基を有しない単官能モノマーを含み、イオン性基の対イオンをさらに含有する3D造形用組成液と、サポート材組成液とを含む、3D造形用インクセットが記載されている。上記3D造形用組成液では、紫外線照射によって硬化させることができ、さらには高い靱性を有し、壊れにくい3D造形物が得られることが記載されている。
【0004】
サポート材用光硬化性組成物には、さらに、造形後に外観に優れた造形物を与えることが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の課題は、造形後に、外観に優れた造形物を与える、3Dプリンター用サポート材用光硬化性組成物ならびに3Dプリンター用サポート材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、所定の単量体を所定の配合で有し、水の含有量が少なく、所定のpHを有する、3Dプリンター用サポート材用光硬化性組成物ならびに3Dプリンター用サポート材により、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の3Dプリンター用サポート材用光硬化性組成物では、イオン性水溶性単量体を10質量%~80質量%含み、非イオン性水溶性単量体を5質量%~50質量%含み、非イオン性非水溶性単量体を0質量%~50質量%含み、水の含有量が1.0質量%以下であり、pHが5~8である。
また、本発明の3Dプリンター用サポート材は、濁度が40%未満である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の3Dプリンター用サポート材用光硬化性組成物ならびに3Dプリンター用サポート材によれば、モデル材をサポートする硬さと、溶剤への優れた溶解性を両立したインクジェット3Dプリンター用サポート材の製造方法、サポート材、及び光造形物の製造方法を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[3Dプリンター用サポート材用光硬化性組成物]
本発明の3Dプリンター用サポート材用光硬化性組成物(以下、単にサポート材用光硬化性組成物という場合がある)では、イオン性水溶性単量体を10質量%~80質量%含み、非イオン性水溶性単量体を5質量%~50質量%含み、非イオン性非水溶性単量体を0質量%~50質量%含み、水の含有量が1.0質量%以下であり、pHが5~8である。
【0011】
(イオン性水溶性単量体)
本発明の3Dプリンター用サポート材用光硬化性組成物に含まれるイオン性水溶性単量体は、イオン性基と対イオンとを含有し、好ましくは水溶解度(20℃)が20g/L以上である単量体である。上記イオン性水溶性単量体としては、エチレン性不飽和基を分子内に1つ以上有し、イオン性基と対イオンとを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体が好ましい。イオン性基と対イオンとを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体は、イオン性基と対イオンとを含有することにより、水溶性が高い。水溶解度(20℃)は、100g/L以上であることが好ましく、200g/L以上であることがより好ましく、500g/L以上であることがさらに好ましい。
【0012】
エチレン性不飽和基としては、エチレン基、プロペニル基、ブテニル基、ビニルフェニル基、(メタ)アクリル基、アリルエーテル基、ビニルエーテル基、マレイル基、マレイミド基、(メタ)アクリルアミド基、アセチルビニル基およびビニルアミド基などが挙げられる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」は「アクリル」、「メタクリル」の双方又は何れかを意味し、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」、「メタクリレート」の双方又は何れかを意味する。なかでも、(メタ)アクリル基、ビニルエーテル基および(メタ)アクリルアミド基が好ましく、(メタ)アクリル基がより好ましい。
【0013】
上記イオン性基としては、カルボン酸、リン酸、スルホン酸等が挙げられる。中でもカルボン酸が好ましい。
【0014】
上記対イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオン等の1価の対イオン;亜鉛イオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、アルミニウムイオン、ネオジウムイオン等の多価の金属イオンなどが挙げられる。中でも、1価の対イオンが好ましく、ナトリウムイオン、カリウムイオン、またはアンモニウムイオンがより好ましく用いられ、さらに好ましくはカリウムイオンが用いられる。1価の対イオンに加えて、亜鉛イオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、アルミニウムイオン、またはネオジウムイオンなどの多価の金属イオンを用いることも好ましい。
【0015】
対イオンとして、1価の対イオンを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体と、多価の金属イオンを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体とを併用した場合に、サポート材用光硬化性組成物を光硬化して得られる硬化物のサポート性をより向上できる。また、これらに加えて、さらに後述の有機酸及び/又はその塩と併用することは本発明の好ましい形態である。多価金属イオンで好ましくは、亜鉛イオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオンである。
なお、本明細書において、サポート性(サポート力)とは、サポート材用光硬化性組成物の硬化物がモデル材の硬化物を支える性能であり、後述する方法で測定される、サポート材の硬化物の硬度(ショワE)で表すことができる。
【0016】
上記サポート材用光硬化性組成物中に含まれるイオン性水溶性単量体の含有量としては、上記組成物100質量%中、上限としては80質量%以下、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下であり、下限としては10質量%以上、好ましくは20質量%以上、より好ましくは25質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上である。このようにした場合に、該サポート材用光硬化性組成物を用いて造形後に、外観に優れた造形物が製造される。
【0017】
上記サポート材用光硬化性組成物中に含まれるイオン性基と対イオンとを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体の含有量としては、上記組成物100質量%中、上限としては80質量%以下、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下であり、下限としては10質量%以上、好ましくは20質量%以上、より好ましくは25質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上である。このようにした場合に、該サポート材用光硬化性組成物を用いて造形後に、外観に優れた造形物が製造される。
【0018】
対イオンとして1価の対イオンを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体と、対イオンとして多価の金属イオンを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体と、の合計含有量としては、サポート材用光硬化性組成物100質量%中、上限としては80質量%以下、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下であり、下限としては10質量%以上、好ましくは20質量%以上、より好ましくは25質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上である。
【0019】
対イオンとして1価の対イオンを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体の含有量は、サポート材用光硬化性組成物100質量%中、上限としては、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは35質量%以下であり、下限としては、好ましくは10質量%以上、より好ましくは13質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上である。
上記のようにした場合にサポート材用光硬化性組成物のサポート性とともに溶解性をより向上できる。
【0020】
対イオンとして多価の金属イオンを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体の含有量は、サポート材用光硬化性組成物100質量%中、上限としては、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下であり、下限としては、好ましくは5質量%以上、より好ましくは8質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上である。
上記のようにした場合にサポート材用光硬化性組成物のサポート性とともに溶解性をより向上できる。
【0021】
上記サポート材用光硬化性組成物に含まれる、イオン性基としてのカルボン酸と対イオンとを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、3-(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、4-(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2-ビニル安息香酸、3-ビニル安息香酸、4-ビニル安息香酸、N-(メタ)アクリロイルアスパラギン酸、ω-(メタ)アクロイルアルカン-1,1ジカルボン酸類の、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩及びアンモニウム塩等の1価塩;亜鉛塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩、またはネオジウム塩等の多価塩などが挙げられる。
中でも、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩及びアンモニウム塩等の1価塩が好ましく、より好ましくはナトリウム塩、カリウム塩又はアンモニウム塩である。さらに好ましくはカリウム塩である。
【0022】
カルボン酸の1価塩と多価金属塩を併用した場合に、サポート材用光硬化性組成物を光硬化して得られる硬化物のサポート性をより向上できる。また、これらに加えて、さらに後述の有機酸及び/又はその塩と併用することは本発明の好ましい形態である。カルボン酸多価金属塩で好ましくは、亜鉛塩、マグネシウム塩、カルシウム塩である。
【0023】
カルボン酸の1価塩と多価金属塩の合計含有量としては、サポート材用光硬化性組成物100質量%中、上限としては80質量%以下、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下であり、下限としては好ましくは20質量%以上、より好ましくは25質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上である。
【0024】
カルボン酸の1価塩の含有量は、サポート材用光硬化性組成物100質量%中、上限としては、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは35質量%以下であり、下限としては、好ましくは10質量%以上、より好ましくは13質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上である。
【0025】
カルボン酸の多価金属塩の含有量は、サポート材用光硬化性組成物100質量%中、上限としては、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下であり、下限としては、好ましくは5質量%以上、より好ましくは8質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上である。
上記のようにした場合に、サポート材用光硬化性組成物のサポート性とともに溶解性をより向上できる。
【0026】
イオン性基としてのカルボン酸と対イオンとを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体としては、カルボン酸に含まれる炭素数が3~15のナトリウム塩、カリウム塩、亜鉛塩、及びカルシウム塩が好ましく、炭素数3~12のナトリウム塩、カリウム塩、亜鉛塩、及びカルシウム塩がより好ましい。上記炭素数としては、炭素数3~9がより好ましく、炭素数3~6がさらに好ましい。中でも、(メタ)アクリル酸カリウム、(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸亜鉛、(メタ)アクリル酸カルシウムが特に好ましい。炭素数が少ない単量体を用いることにより、分子中の疎水性部分を小さくすることができ、水溶性エチレン性不飽和単量体の水溶性をより高められる。
【0027】
上記サポート材用光硬化性組成物に含まれる、イオン性基としてのリン酸と対イオンとを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体としては、例えば、モノ(2-アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、モノ(2-メタクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、ジフェニル(2-アクリロイルオキシエチル)ホスフェート、ジフェニル(2-メタクリロイルオキシエチル)ホスフェート、フェニル(2-アクリロイルオキシエチル)ホスフェート、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート、メタクロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノメタクリレート、アシッド・ホスホオキシポリオキシプロピレングリコールメタクリレート、(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロピルアシッドホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシ-3-ヒドロキシプロピルアシッドホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシ-3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルアシッドホスフェート、ならびにビニルリン酸、p-ビニルベンゼンリン酸等の分子内にホスホノ基を有する化合物の、ナトリウム塩、カリウム塩、及びアンモニウム塩が挙げられる。
【0028】
上記サポート材用光硬化性組成物に含まれる、イオン性基としてのスルホン酸と対イオンとを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体としては、例えば、アリルスルホン酸、イソプレンスルホン酸、2-(メタ)アクリルアミドエチルスルホン酸、3-(メタ)アクリルアミドプロピルスルホン酸、4-(メタ)アクリルアミドブチルスルホン酸、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、p-ビニルベンゼンスルホン酸、およびビニルスルホン酸等の化合物の、ナトリウム塩、カリウム塩、及びアンモニウム塩が挙げられる。上記例示のイオン性基と対イオンとを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0029】
上記サポート材用光硬化性組成物中に含まれる水溶性エチレン性不飽和単量体としては、アクリル酸塩が好ましく、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩等、アクリル酸の1価塩がより好ましく、さらに好ましくはアルカリ金属塩又はアンモニウム塩、特に好ましくはナトリウム塩、カリウム塩又はアンモニウム塩である。最も好ましくはカリウム塩である。
【0030】
上記サポート材用光硬化性組成物中に含まれる水溶性エチレン性不飽和単量体としては、上記に加えて、亜鉛塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩、またはネオジウム塩等のアクリル酸多価金属塩を含んでいてもよい。アクリル酸多価金属塩で好ましくは、亜鉛塩、マグネシウム塩、カルシウム塩である。
【0031】
アクリル酸の1価塩と多価金属塩を併用した場合に、サポート材用光硬化性組成物を光硬化して得られる硬化物のサポート性をより向上できる。アクリル酸の1価塩と多価金属塩を併用する組み合わせとしては、アクリル酸カリウムとアクリル酸亜鉛の組み合わせが好ましい。アクリル酸亜鉛を併用することにより、より高い強度の硬化物を得ることができる。
【0032】
アクリル酸の1価塩と多価金属塩の合計含有量としては、サポート材用光硬化性組成物100質量%中、上限としては80質量%以下、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下であり、下限としては好ましくは20質量%以上、より好ましくは25質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上である。
中でも、アクリル酸カリウムとアクリル酸亜鉛の合計含有量が、サポート材用光硬化性組成物100質量%中、30~60質量%であることが好ましい。
上記のようにした場合にサポート材用光硬化性組成物のサポート性とともに溶解性をより向上できる。
【0033】
また、アクリル酸の1価塩の含有量は、上限としては、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは35質量%以下であり、下限としては、好ましくは10質量%以上、より好ましくは13質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上である。
アクリル酸の多価金属塩の含有量は、上限としては、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下であり、下限としては、好ましくは5質量%以上、より好ましくは8質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上である。
上記のようにした場合にサポート材用光硬化性組成物のサポート性とともに溶解性をより向上できる。
【0034】
(非イオン性水溶性単量体)
上記イオン性水溶性単量体以外の非イオン性水溶性単量体としては、(メタ)アクリル酸;アクリロイルモルホリン;N-ビニルピロリドン;(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、N-ヒドロキシエチルアクリルアミド、2N-イソプロピルアクリルアミド等のアクリルアミド、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート等が挙げられる。
【0035】
非イオン性水溶性単量体の合計含有量としては、サポート材用光硬化性組成物100質量%中、上限としては50質量%以下、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下であり、下限としては5質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上である。
【0036】
また、上記サポート材用光硬化性組成物に含まれる単量体総量に対する、上記イオン性水溶性単量体の含有量と上記非イオン性水溶性単量体の含有量の合計である水溶性単量体の含有量は、上記サポート材用光硬化性組成物の水溶性を向上させる観点から、45~100質量%であることが好ましく、50~100質量%であることがより好ましい。
【0037】
(非イオン性非水溶性単量体)
上記サポート材用光硬化性組成物は、上記水溶性単量体以外の他の不飽和単量体(例えば、水溶解度(20℃)が20g/L未満の非イオン性非水溶性単量体)を含んでいてもよい。上記非イオン性非水溶性単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、n-ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、メトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル-ジグリコール(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-シアノエチル(メタ)アクリレート、メチル=2-(ヒドロキシメチル)アクリレート、および2-エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート;フェニルアリルエーテル、o-,m-,p-クレゾールモノアリルエーテル、ビフェニル-2-オールモノアリルエーテル、ビフェニル-4-オールモノアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、シクロヘキシルアリルエーテル、およびシクロヘキサンメタノールモノアリルエーテル等のアリルエーテル;ブチルビニルエーテル、ブチルプロペニルエーテル、ブチルブテニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、エチルエトキシビニルエーテル、アセチルエトキシエトキシビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、およびアダマンチルビニルエーテル等のビニルエーテル;フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド、およびn-ヘキシルマレイミド等のマレイミド;ベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエトキシエチルアクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールAのEO付加物ビス(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO付加物ビス(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAのEO付加物ビス(メタ)アクリレート等の芳香族基を有するモノマーおよび脂環式基を有するモノマー;ポリオキシエチレンジ(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレンジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレンジ(メタ)アクリレート;ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらは1種で単独使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0038】
上記非イオン性非水溶性単量体の含有量としては、上記組成物100質量%中、50質量%以下であり、好ましくは20~50質量%、より好ましくは25~45質量%である。また、非イオン性非水溶性単量体の含有量が、サポート材用光硬化性組成物100質量%中、5質量%未満であることも好ましく、0質量%であってもよい。このようにした場合に、サポート材用光硬化性組成物の臭気をより抑制できる。
【0039】
また、サポート材用光硬化性組成物の水溶性を向上させる観点から、上記非イオン性非水溶性単量体の含有量としては、0質量%以上50質量%未満であることが好ましく、0質量%以上40質量%未満であることがより好ましい。なお、2種以上含まれる場合、含有量は、各成分の含有量の合計である。
【0040】
上記サポート材用光硬化性組成物には重合開始剤が含まれていることが好ましい。上記重合開始剤としては、例えばベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン化合物;アセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1,1-ジクロロアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-フェニルプロパン-1-オン、ジエトキシアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン等のアセトフェノン化合物;2-エチルアントラキノン、2-t-ブチルアントラキノン、2-クロロアントラキノン、2-アミルアントラキノン等のアントラキノン化合物;2,4-ジエチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、[3-(3,4-ジメチル-9-オキソチオキサンテン-2-イル)オキシ-2-ヒドロキシプロピル]-トリメチルアザニウムクロリド等のチオキサントン化合物;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール化合物;ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、4,4’-ビスメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物;2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス-(2、6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド等のホスフィンオキシド;およびこれらの混合物等が挙げられる。
これらは1種で単独使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0041】
重合開始剤の含有量としては、例えば、上記水溶性単量体100質量%に対して、好ましくは0.05~10.0質量%、より好ましくは0.1~7.0質量%、さらに好ましくは0.2~5.0質量%、特に好ましくは0.5~4.0質量%である。
【0042】
上記サポート材用光硬化性組成物は、溶媒を含んでいてもよい。上記溶媒としては、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、グリセロール、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコールなどのオキシプロピレン基を含むアルキレンオキサイド付加物等のグリコールが挙げられる。上記溶剤は1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記溶媒は、サポート材用光硬化性組成物100質量%中、水の含有量が1.0質量%以下となるように使用する。上記溶媒としては、炭素数3~6のグリコールが好ましく、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセロールがより好ましく、プロピレングリコール、グリセロールが特に好ましい。
【0043】
上記組成物100質量%中、上記溶媒の含有量は、下限としては、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上、上限としては、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下である。但し、上記組成物100質量%中、水の含有量は1.0質量%以下である。
【0044】
上記炭素数3~6のグリコールは合計で、上記組成物100質量%中、30~70質量%含まれていることが好ましく、35~65質量%含まれていることがより好ましく、40~60質量%含まれていることがさらに好ましく、45~55質量%含まれていることが特に好ましい。
中でも、上記組成物100質量%中、プロピレングリコールもしくはグリセロールの含有量が、30~70質量%であることが好ましく、35~65質量%であることがより好ましく、40~60質量%であることがさらに好ましく、45~55質量%であることが特に好ましい。
【0045】
上記サポート材用光硬化性組成物には、必要によりその他の添加剤を含有させることができる。具体的には、例えば、光開始助剤、重合禁止剤、界面活性剤、着色剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、充填剤等が挙げられる。
【0046】
光開始助剤としては、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジエチルアニリン、N,N-ジメチル-p-トルイジン、N,N-ジメチルアミノ-p-安息香酸エチルエステル、N,N-ジメチルアミノ-p-安息香酸イソアミルエチルエステル、N,N-ジヒドロキシエチルアニリン、トリエチルアミンおよびN,N-ジメチルヘキシルアミン等の第3級アミン化合物が挙げられる。
【0047】
重合禁止剤としては、(アルキル)フェノール、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、p-メトキシフェノール、t-ブチルカテコール、t-ブチルハイドロキノン、ピロガロール、1,1-ピクリルヒドラジル、フェノチアジン、p-ベンゾキノン、ニトロソベンゼン、2,5-ジ-t-ブチル-p-ベンゾキノン、ジチオベンゾイルジスルフィド、ピクリン酸、クペロン、アルミニウムN-ニトロソフェニルヒドロキシルアミン、トリ-p-ニトロフェニルメチル、N-(3-オキシアニリノ-1,3-ジメチルブチリデン)アニリンオキシド、ジブチルクレゾール、シクロヘキサノンオキシムクレゾール、グアヤコール、o-イソプロピルフェノール、ブチラルドキシム、メチルエチルケトキシム、シクロヘキサノンオキシム等が挙げられる。
【0048】
界面活性剤としては、ノニルフェノールのエチレンオキサイド(以下EOと略記)1~40モル付加物、ステアリン酸EO1~40モル付加物等のPEG型非イオン界面活性剤;ソルビタンパルミチン酸モノエステル、ソルビタンステアリン酸モノエステル、ソルビタンステアリン酸トリエステル等の多価アルコール型非イオン界面活性剤;パーフルオロアルキルEO1~50モル付加物、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルベタイン等のフッ素含有界面活性剤;ポリエーテル変性シリコーンオイル、(メタ)アクリレート変性シリコーンオイル等の変性シリコーンオイル等が挙げられる。
【0049】
着色剤としては、トルイジンレッド、パーマネントカーミンFB、ファストイエローG、ジスアゾイエローAAA、ジスアゾオレンジPMP、溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニンブルー、インダントロンブルー、キナクリドンレッド、ジオキサジンバイオレット、塩基性染料、酸性染料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、無機顔料としての金属酸化物、カーボンブラック等が挙げられる。
【0050】
酸化防止剤としては、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ジラウリル3,3’-チオジプロピオネート、トリフェニルホスファイト、オクチル化ジフェニルアミン、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)等が挙げられる。
【0051】
連鎖移動剤としては、ヒドロキノン、ジエチルメチルアミン、ジフェニルアミン、ジエチルジスルフィド、ジ-1-オクチルジスルフィド、トルエン、キシレン、1-ブテン、1-ノネン、ジクロロメタン、四塩化炭素、メタノール、1-ブタノール、エチルチオール、1-オクチルチオール、アセトン、メチルエチルケトン、2-メチル-2-プロピルアルデヒド、1-ペンチルアルデヒド、フェノール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-クレゾール等が挙げられる。
【0052】
充填剤としては、アルミナ粉、シリカ粉、タルク、マイカ、クレー、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、アルミニウム粉、銅粉、炭素繊維、ガラス繊維、コットン繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、レーヨン繊維、マイクロバルーン、カーボンブラック、金属硫化物、木粉等が挙げられる。
【0053】
上記サポート材用光硬化性組成物は必要に応じて、さらに、その他の添加剤を、本発明の効果を害しない範囲内において含んでいてもよい。例えば、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、防錆剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、キレート剤、乾燥防止剤(湿潤剤)、着色剤、褪色防止剤、比抵抗調整剤、皮膜調整剤、酸化防止剤、及び界面活性剤等の公知の添加剤が挙げられる。これらの各種添加剤は、たとえば直接添加できる。
【0054】
上記添加物は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記添加物の含有量としては、上記組成物100質量%中、好ましくは0.02~30質量%、より好ましくは0.05~20質量%である。
【0055】
上記サポート材用光硬化性組成物は、硬化後の硬化物がサポート材として使用されるため、サポート材の必須要件として、硬化物の硬度が優れている。硬度は、例えば、サポート材用光硬化性組成物を2cm×2cm×4mmの穴が開いたシリコン枠に流し込み、メタルハライドランプで紫外線を500mJ/cm2照射して硬化させた場合に、Eデュロメーターにおける測定開始から15秒後の硬度が50以上であることが好ましく、60以上であることがより好ましく、70以上であることが特に好ましい。
【0056】
上記サポート材用光硬化性組成物は、硬化後の硬化物がサポート材として使用されるため、サポート材の必須要件として、硬化物の水溶性が優れている。水溶性は、例えば、硬化物0.5g(表面積4cm2)を金網の上に置き、常温(例えば25℃前後)の水5g中に浸漬した場合に、120分以内に溶解することが好ましく、90分以内に溶解して不溶物が目視で観察されないことがより好ましい。
【0057】
上記サポート材用光硬化性組成物は、硬化後の硬化物がサポート材として使用されるため、サポート材の必須要件として、硬化物のブリードアウト性が優れている。ブリードアウト性は、例えば、サポート材用光硬化性組成物を2cm×2cm×4mmの穴が開いたシリコン枠に流し込み、メタルハライドランプで紫外線を500mJ/cm2照射して硬化させた後に、硬化物を60℃、50%RHに設定した恒温恒湿機中に5時間静置し、静置後のブリードアウトが目視にて認められないことが好ましい。
【0058】
上記サポート材用光硬化性組成物は、上述した各種成分を用いて調製することができ、その調製手段や条件は特に限定されないが、例えば、一般的な撹拌羽根や超音波ホモジナイザー、高速ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、遊星撹拌装置、3本ロール、ボールミル、キティーミル、ディスクミル、ピンミル、ダイノーミル等の混合又は撹拌できる装置を用いて撹拌・混合する方法が挙げられる。溶液調製後に各種フィルターを用いてろ過をしてもよい。
【0059】
上記サポート材用光硬化性組成物は、pHが5~8である。このため、3Dプリンターのプリンターヘッドの腐食を抑制できる。
【0060】
上記サポート材用光硬化性組成物では、25℃における粘度は5~300mPa・sが好ましい。また、25℃における表面張力は25~70mN/mが好ましい。
【0061】
上記サポート材用光硬化性組成物は、インクジェットヘッドからの吐出性を良好にする観点からは、吐出温度での粘度が20mPa・s以下であることが好ましい。なお、サポート材用光硬化性組成物の粘度測定は、JIS Z 8803に準拠し、R100型粘度計を用いて行われる。
【0062】
上記サポート材用光硬化性組成物は、インクジェット用3Dプリンター用サポート材用光硬化性組成物として使用することが好ましい。インクジェットヘッドからの吐出性を良好にする観点からは、吐出温度での表面張力が25.0~35.0mN/mであることが好ましい。表面張力の測定は、例えば、全自動平衡式エレクトロ表面張力計ESB-V(共和界面科学社製)を用いて行われる。
【0063】
[3Dプリンター用サポート材]
本発明の3Dプリンター用サポート材は、濁度が40%未満である。本発明の3Dプリンター用サポート材では、濁度が40%未満であるため、透明性に優れており、該サポート材がモデル材に残留した場合でも、外観に優れた造形物を製造できる。また、本発明の3Dプリンター用サポート材は、硬化後の硬化物の全光線透過率が60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましい。上記全光線透過率と濁度は、ヘイズメーターを用いて測定できる。
【0064】
本発明の3Dプリンター用サポート材は、上記本発明の3Dプリンター用サポート材用光硬化性組成物を硬化することにより、製造できる。上記本発明の3Dプリンター用サポート材用光硬化性組成物の硬化は、100~2000mJ/cm2程度の紫外線を、上記本発明の3Dプリンター用サポート材用光硬化性組成物に照射して光硬化させることで実施できる。本発明の3Dプリンター用サポート材を、上記本発明の3Dプリンター用サポート材用光硬化性組成物を硬化させて得ることにより、透明性と水溶性に優れたサポート材を得ることができる。
【0065】
[光造形品の製造方法]
光造形品の製造方法は、サポート材の形成工程と;モデル材の形成工程と;該サポート材の除去工程とを含んでいる。
【0066】
サポート材の形成工程では、上記本発明の3Dプリンター用サポート材用光硬化性組成物をノズルから噴射、印刷等にて造形後、100~2000mJ/cm2程度の紫外線を照射して光硬化させて、上記本発明の3Dプリンター用サポート材を形成する。
【0067】
モデル材の形成工程では、公知のモデル材用組成物をノズルから噴射、印刷等にて造形後、100~2000mJ/cm2程度の紫外線を照射して光硬化させてモデル材を形成する。
【0068】
サポート材の除去工程では、本発明の3Dプリンター用サポート材用光硬化性組成物を硬化して得たサポート材が透明性と水溶性に優れているため、サポート材を水等の極性溶媒にて容易に除去でき、また、除去されずに残留していでも外観に優れた造形品を製造できる。
除去方法としては、安全面やコスト面から、硬化物を水中に静置してサポート材を除去する方法が好ましい。
【0069】
上記光造形物の製造方法では、上記本発明の3Dプリンター用サポート材用光硬化性組成物を硬化してなる上記本発明の3Dプリンター用サポート材が、透明性と水溶性に優れているため、外観に優れた光造形品を製造できる。
【実施例】
【0070】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0071】
・サポート材用光硬化性組成物の調製
表1に示す各成分を、表1に示す分量(質量部)にて配合し、混合撹拌装置を用いて均一に混合して実施例1~11と比較例1~4のサポート材用光硬化性組成物を調製し、次いで光硬化した。硬化条件は、サポート材組成物を2cm×2cm×4mmの穴が開いたシリコン枠に流し込み、メタルハライドランプで紫外線を500mJ/cm2照射して硬化させた。
実施例1~11のサポート材用光硬化性組成物では、水の含有量は1.0質量%以下、pHは5~8であった。
得られたサポート材用光硬化性組成物の硬化後の硬化物の全光線透過率及び濁度、硬度、溶解性、耐ブリードアウト性を下記の方法で評価した。結果を表1~2に示す。
【0072】
(1)硬化後の硬化物の全光線透過率及び濁度の評価
硬化後の硬化物の全光線透過率及び濁度を日本電色工業社製ヘイズメーターNDH-7000型を使用して測定した。評価基準は、次の通りである。結果を表1~2に示す。
[全光線透過率]
〇 :70%以上
△ :60%以上70%未満
× :60%未満
[濁度]
〇 :40%未満
△ :40%以上70%未満
× :70%以上
【0073】
(2)硬化後の硬度評価
硬化後の硬化物について、デュロメーターE型(高分子計器社製)を用いて、硬さを測定して評価した。評価基準は、次の通りである。結果を表1~2に示す。
◎ :80以上
○ :60以上80未満
△ :40以上60未満
× :40未満
【0074】
(3)溶解性評価
硬化後の硬化物片(1×1×0.5cm)を金網の上に置き、水温25℃の水10mLに水中で保持し、溶解性を目視にて不溶物の有無で評価した。評価基準は、次の通りである。結果を表1~2に示す。
◎:1.5時間以内に溶解。
○:2時間以内に溶解。
△:3時間以内に溶解。
×:3時間以内に溶解せず。
【0075】
(4)ブリードアウト評価
硬化後の硬化物を60℃、50%RHに設定した恒温恒湿機中に5時間静置し、静置後のブリードアウトの有無を目視で評価した。結果を表1~2に示す。
〇:ブリードアウトなし。
×:ブリードアウトあり。
【0076】
【0077】
【0078】
表1~2における化合物名は、以下のとおりである。
AAK:アクリル酸カリウム(日本触媒社製)
AAZn:アクリル酸亜鉛(日本触媒社製)
ACMO:アクリロイルモルホリン(東京化成社製)
NVP:N-ビニルピロリドン(日本触媒社製)
AM-90G:メトキシポリエチレングリコール#400アクリレート(新中村化学工業社製)
NIPAM:イソプロピルアクリルアミド(東京化成工業社製)
HEAA:ヒドロキシエチルアクリルアミド(東京化成社製)
AOMA:アリルオキシメチルアクリル酸メチル(日本触媒社製)
IBOA:イソボルニルアクリレート(日本触媒社製)
DG:ジエチレングリコール(富士フイルム和光純薬社製)
PG:プロピレングリコール(富士フイルム和光純薬社製)
DGME:ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル(日本乳化剤社製)
Gly:グリセリン(富士フイルム和光純薬社製)
PPG400:ポリプロピレングリコール400(富士フイルム和光純薬社製)
MEHQ:4-メトキシフェノール(富士フイルム和光純薬社製)
NPAL:N-ニトロソN-フェニルヒドロキシルアミンアンモニウム(東京化成工業社製)
TEMPO:2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル(東京化成工業社製)
IrgTPO:2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(BASF社製)
Irg184:1-ヒドロキシシクロヘキシル―フェニルケトン(BASF社製)
Irg2959:1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-メチルプロパノン(BASF社製)
【0079】
実施例のサポート材用光硬化性組成物では、イオン性水溶性単量体の含有量を10質量%~80質量%、非イオン性水溶性単量体の含有量を5質量%~50質量%、非イオン性非水溶性単量体を0質量%~50質量%、水の含有量を1.0質量%以下、pHを5~8とすることにより、硬化後に、溶解性に優れ、且つ透明なサポート材が得られた。