(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-24
(45)【発行日】2024-02-01
(54)【発明の名称】データ検索装置およびデータ検索方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20240125BHJP
G06F 16/732 20190101ALI20240125BHJP
【FI】
G08G1/00 A
G06F16/732
(21)【出願番号】P 2019134824
(22)【出願日】2019-07-22
【審査請求日】2022-03-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北原 俊夫
【審査官】佐々木 佳祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-055581(JP,A)
【文献】特開2017-069917(JP,A)
【文献】特開2009-277059(JP,A)
【文献】特開2011-075437(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G06F 16/732
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載装置から収集した車両データから、所定の前記車両データを検索するコントローラを備えるデータ検索装置であって、
前記コントローラは、
前記車両データを時系列に示したグラフを画面に表示し、
前記グラフにおいて、前記データ検索装置の利用者によって指定された
グラフ形状の範囲を受け付け、
前記範囲に含まれるグラフが示す前記車両データの特性を算出し、
前記特性に基づいて、前記車両データから、所定の前記車両データを検索する、
データ検索装置。
【請求項2】
前記コントローラは、
前記グラフの形状の特性を前記車両データの特性として算出し、
前記グラフの形状の特性に基づいて、前記車両データから、所定の前記車両データを検索する、
請求項1に記載のデータ検索装置。
【請求項3】
前記グラフの形状の特性は、
山型の形状を示す特性、谷型の形状を示す特性、右上がりの形状を示す特性、および、左上がりの形状を示す特性の少なくともいずれかを含む、
請求項2に記載のデータ検索装置。
【請求項4】
前記コントローラは、
前記特性に基づいて、前記車両データから、前記特性と類似する特性を有する所定の前記車両データを検索する、
請求項1~3のいずれか一つに記載のデータ検索装置。
【請求項5】
前記コントローラは、
前記利用者によって指定された前記グラフに関する検索条件を受け付け、
前記検索条件に基づいて、前記検索条件と類似する所定の前記車両データを検索する、
請求項1~4のいずれか一つに記載のデータ検索装置。
【請求項6】
前記コントローラは、
前記車両データを時系列に示した前記グラフと、前記車載装置から収集した前記車両データに含まれ車両の周囲を撮像した映像データと、当該車両の位置を示す地図情報と、前記グラフが示す前記特性に基づく検索処理の実行指示を前記利用者から受け付ける検索条件設定欄とを一つの画面に表示する、
請求項1~5のいずれか一つに記載のデータ検索装置。
【請求項7】
前記コントローラは、
前記利用者によって選択され検索の基準となった前記グラフと、検索結果である所定の前記車両データを示すグラフとを並べて一つの画面に表示する、
請求項1~6のいずれか一つに記載のデータ検索装置。
【請求項8】
車載装置から収集した車両データから、所定の前記車両データを検索するコントローラが実行するデータ検索方法であって、
前記車両データを時系列に示したグラフを画面に表示し、
前記グラフにおいて、データ検索装置の利用者によって指定された
グラフ形状の範囲を受け付け、
前記範囲に含まれるグラフが示す前記車両データの特性を算出し、
前記特性に基づいて、前記車両データから、所定の前記車両データを検索する、
データ検索方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ検索装置およびデータ検索方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各車両に搭載された車載装置から道路情報を収集するデータ収集システムが知られている。かかるデータ収集システムでは、各車両の位置情報に基づき、道路情報の収集対象となる車両を選別することで、所望する位置の道路情報を収集する(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、データ収集システムには、端末装置と、データ収集装置と、車載装置とが含まれる。例えば、データ収集装置にあっては、車両に関する所定の車両データの収集要求をデータ利用者の端末装置から受け付け、受け付けられた収集要求に応じた車両データの採取指示を各車両に搭載された車載装置へ出力する。これにより、車載装置では、車両データが採取される。そして、データ収集装置は、端末装置から車両データの送信要求を受け付けると、送信要求に応じた送信指示を車載装置へ出力する。これにより、車載装置は、採取された車両データをデータ収集装置へ送信し、データ収集装置は、車載装置から送信されて収集した車両データを端末装置に送信(提供)する。
【0005】
上記した車載装置で採取される車両データの数は膨大になる。そのため、膨大な車両データの中から、例えばデータ利用者が所望する適切な車両データを効率良く検索できる技術が望まれていた。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、車載装置によって採取された車両データの中から、適切な車両データを効率良く検索することができるデータ検索装置およびデータ検索方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、端末装置と、データ収集装置と、車載装置とを含むデータ収集システムであり、前記端末装置は、車両に関する所定の車両データの収集要求を前記データ収集装置に出力し、前記データ収集装置は、前記端末装置から出力された車両データの収集要求に応じた車両データの採取指示を前記車載装置に出力し、前記車載装置は、前記データ収集装置から出力された車両データの採取指示に基づいて車両データを採取して記憶し、前記端末装置は、前記データ収集装置に所定の車両データの送信要求を出力し、前記データ収集装置は、前記端末装置から出力された車両データの送信要求に応じた車両データの送信指示を前記車載装置に出力し、前記車載装置は、前記データ収集装置から出力された車両データの送信指示に基づき、記憶している車両データを前記データ収集装置に送信し、前記データ収集装置は、前記車載装置から送信されて収集した車両データを前記端末装置に送信するデータ収集システム、において用いられるデータ検索装置であって、設定部と、検索部とを備える。
【0008】
設定部は、所定の車両状態を示す車両状態情報を検索条件として設定する。検索部は、前記車載装置によって採取された車両データの中から、前記設定部によって設定された前記検索条件に対応する対応車両データを検索する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、車載装置によって採取された車両データの中から、適切な車両データを効率良く検索することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】
図1Aは、実施形態に係るデータ収集システムの概要を示す図である。
【
図1B】
図1Bは、実施形態に係るデータ収集システムの概要を示す図である。
【
図1C】
図1Cは、実施形態に係るデータ収集システムの概要を示す図である。
【
図1D】
図1Dは、実施形態に係るデータ収集システムの概要を示す図である。
【
図1E】
図1Eは、実施形態に係るデータ収集システムの概要を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るデータ収集システムの構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、データ収集装置の構成例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、収集データDBの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、検索条件DBの一例を示す図である。
【
図6A】
図6Aは、実データが表示された利用者端末の表示部の一例を示す図である。
【
図6B】
図6Bは、利用者端末に表示される検索条件設定画面の一例を示す図である。
【
図6C】
図6Cは、グラフの特性に基づいて車両データを検索する処理を説明する図である。
【
図7】
図7は、車載装置の構成例を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、利用者端末の構成例を示すブロック図である。
【
図9】
図9は、第1の実施形態に係るデータ収集装置が実行する処理の処理手順を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、第2の実施形態に係る利用者端末の構成例を示すブロック図である。
【
図11】
図11は、第2の実施形態に係る利用者端末が実行する処理の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本願の開示するデータ検索装置、データ収集システムおよびデータ検索方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0012】
(第1の実施形態)
<1.データ収集システムの概要>
まず、第1の実施形態に係るデータ収集システムの概要について、
図1A~
図1Eを用いて説明する。
図1A~
図1Eは、第1の実施形態に係るデータ収集システムの概要を示す図である。
【0013】
図1Aに示すように、本実施形態に係るデータ収集システム1は、データ収集装置10と、車両V-1,V-2,V-3…にそれぞれ搭載された車載装置100-1,100-2,100-3…と、利用者端末200とを含む。なお、以下では、車両全般を指す場合には「車両V」と、また、車載装置全般を指す場合には「車載装置100」と、それぞれ記載する。また、第1の実施形態では、本願に係るデータ検索装置が、データ収集装置10に含まれる場合を例に挙げて説明を行う。
【0014】
また、以下では、車両Vが自動運転車両であり、各車両Vにそれぞれ搭載された車両制御モデルによって自動運転制御されるものとするが、これに限定されるものではない。
【0015】
データ収集装置10は、例えばインターネットや携帯電話回線網等のネットワークを介したクラウドサービスを提供するクラウドサーバとして構成され、データ利用者から車両Vに関する所定の車両データの収集要求を受け付けるとともに、受け付けた収集要求に基づき、各車載装置100から車両データを収集する。そして、データ収集装置10は、収集された車両データを利用者へ提供する。
【0016】
車載装置100は、例えばカメラ、加速度センサ、GPS(Global Positioning System)センサ、車速センサ、アクセルセンサ、ブレーキセンサ、操舵角センサといった各種センサ、記憶デバイス、マイクロコンピュータなどを有する装置である。車載装置100は、データ収集装置10が受け付けた収集要求に応じた採取指示をデータ収集装置10から取得し、かかる採取指示に基づいて車両データを車両Vから採取(取得)する。
【0017】
上記したカメラは、例えば車両Vの周囲を撮像して動画データを出力することができる。なお、動画データは、映像データの一例である。また、映像データには、動画データに限られず、静止画データなどが含まれてもよい。
【0018】
また、加速度センサは車両Vに作用する加速度を検出し、GPSセンサは、車両Vの位置を検出する。車速センサは、車両Vの車速を検出する。また、アクセルセンサは、アクセルペダルの操作量を検出し、ブレーキセンサは、ブレーキペダルの操作量を検出する。また、操舵角センサは、車両Vのハンドルの操舵角を検出する。なお、車載装置100としては、例えばドライブレコーダを用いることができる。
【0019】
また、車載装置100は、採取した車両データをデータ収集装置10へ適宜アップロードする。このようにドライブレコーダを車載装置100として兼用することによって、車両Vへ搭載する車載部品を効率化することができる。なお、兼用することなく、車載装置100とドライブレコーダとを別体で構成してもよい。
【0020】
利用者端末200は、データ利用者が利用する端末であり、例えばノート型PC(Personal Computer)や、デスクトップ型PC、タブレット端末、PDA(Personal Digital Assistant)、スマートフォン、眼鏡型や時計型の情報処理端末であるウェアラブルデバイス(wearable device)などである。なお、利用者端末200は、端末装置の一例であり、データ利用者は、ユーザの一例である。
【0021】
本実施形態に係るデータ収集システム1では、利用者端末200を介して指定された収集条件を元に、データ収集装置10が車載装置100から車両データを収集し、利用者端末200へ提供することができる。そして、利用者端末200のデータ利用者は、提供された車両データを用いることで、車両データを収集した車両Vの挙動や車両Vに発生した事象などを分析することができる。
【0022】
以下、
図1A~
図1Eを用いて、データ収集システム1においてデータ利用者へ車両データが提供されるまでの一連の流れ、および、車両データの検索処理の流れについて説明する。
図1Aに示すように、まずデータ利用者は、データ収集装置10と接続された利用者端末200により収集条件を指定する。利用者端末200は、指定された収集条件を含む収集要求をデータ収集装置10に送信する。
【0023】
ここで、上記した収集条件には、収集のトリガとなる条件など各種パラメータが含まれ、かかる収集のトリガとなる条件の一例としては、例えば、車両Vが自動運転で走行する場合などである。なお、上記した収集のトリガとなる条件は、あくまでも例示であって限定されるものではなく、例えば、車両Vが自動運転ではなく、手動運転で走行する場合や、車速が所定速を超えた場合などその他の条件であってもよい。
【0024】
また、収集条件が指定される際に、データ収集装置10は、収集することとなる実データR(車両データの一例)に付加され、かかる実データRの検索や概要把握に用いられるインデックスデータとしての特性を有するタグデータTの生成用データを生成する。すなわち、タグデータTとは、実データRがメタ情報化されたメタデータである。なお、かかるタグデータTの生成用データは、利用者端末200あるいはデータ収集装置10に記憶されたプログラムや生成用データを用いつつ、データ利用者の操作に基づいて生成される。
【0025】
そして、指定された収集条件や、生成されたタグデータTの生成用データは、データ収集装置10に記憶される。また、データ収集装置10は、収集条件を含む収集要求に応じた採取指示を生成し、採取指示をタグデータTの生成用データとともに、データ収集の対象となる車両Vに配信し、車載装置100に記憶される。
【0026】
次に、
図1Bに示すように、各車載装置100は、各種センサの出力データを監視し、記憶している収集条件を満たすイベントが発生した場合に(ここでは車両Vが自動運転で走行している場合に)、採取指示に基づいた出力データや動画データ等の実データRを採取して記憶デバイスに記憶する。
【0027】
各車載装置100は、記憶しているタグデータTの生成用データと実データRとに基づき、当該実データRに対応するタグデータTを生成して記憶する。そして、各車載装置100は、タグデータTをデータ収集装置10にアップロードし、データ収集装置10はそのタグデータTを記憶する。なお、このとき、実データRは、データ収集装置10へはアップロードされない。つまり、
図1Bに示すように、データ収集装置10は、タグデータTのみを保有した状態となる。
【0028】
続いて、データ利用者が、利用者端末200により、収集状況の確認や実データRの収集のためにデータ収集装置10と接続すると、データ収集装置10により収集されたタグデータTに基づくメタ情報が利用者端末200に表示される。
【0029】
そして、
図1Cに示すように、データ利用者が、所定の実データR(車両データ。例えば動画データなど)を収集して送信を所望する場合、利用者端末200により、収集する実データRに対応するタグデータTを指定する。これにより、利用者端末200は、データ収集装置10に所定の実データR(車両データ)の送信要求を出力する。そして、データ収集装置10は、送信要求に応じた実データRの送信指示(言い換えると、実データRを指定する指示データ)を該当の車載装置100へ出力する。
【0030】
その後、
図1Dに示すように、送信指示に基づき、指定された実データRが、各車載装置100からデータ収集装置10へ送信(アップロード)され、データ収集装置10に記憶される。そして、データ利用者が、利用者端末200により、データ収集装置10に記憶された実データRにアクセスして、かかる実データRの閲覧やダウンロードなどデータ収集装置10から利用者端末200へ実データRの送信処理が行われる。
【0031】
なお、車載装置100のデータ容量の観点からは、データ収集装置10にアップロードされた実データRおよびこれに対応するタグデータTは、データ収集装置10へのアップロード後に車載装置100から削除されることが好ましい。
【0032】
また、タグデータTは、実データRの一部を単純に抜粋したようなデータではなく、データ利用者が参照したときに実データRの概要を把握し、実データRの要否を判断できる程度にメタ情報化されていることが好ましい。
【0033】
ところで、車載装置100で採取される実データR(車両データ)の数は膨大になる。そこで、本実施形態に係るデータ収集装置10にあっては、車載装置100によって採取された膨大な実データRの中から、例えばデータ利用者が所望する適切な実データRを効率良く検索することができるようにした。
【0034】
図1Eを参照して説明すると、例えば、データ利用者は、利用者端末200により検索条件を指定することができる。ここで、利用者端末200では、所定の車両状態を示す車両状態情報を検索条件として指定することができる。
【0035】
例えば、利用者端末200では、車両Vが自動運転で走行している車両状態や、所定の走行場所を走行する車両状態などを検索条件として指定できるが、これらに限られない。すなわち、例えば、車載装置100によって採取された車両データが既に、データ収集装置10から利用者端末200へ送信されている場合、利用者端末200では、かかる車両データに含まれる車両状態を示す映像データ(動画データ)210や、車両状態を示すグラフ220を検索条件として指定することができる。
【0036】
そして、データ収集装置10は、上記したような車両状態を示す車両状態情報を検索条件として設定する。データ収集装置10は、車載装置100によって採取された車両データの中から、検索条件に対応する対応車両データを検索する検索処理を行う。
【0037】
例えば、データ収集装置10は、車両Vが自動運転で走行している車両状態が検索条件として設定された場合、自動運転で走行している車両Vの車載装置100で採取された車両データを、対応車両データとして検索して抽出する。
【0038】
また、例えば、データ収集装置10は、車両状態を示す映像データ210が検出条件として設定された場合、映像データ210を画像解析する。データ収集装置10は、画像解析の結果に基づいて、例えば車線の数や前方車両の有無、天候などを含む映像データ210の特性を算出する。そして、データ収集装置10は、算出された映像データ210の特性に基づいて、対応車両データを検索して抽出する。
【0039】
また、例えば、データ収集装置10は、車両状態を示すグラフ220が検出条件として設定された場合、グラフ220の形状を解析する。データ収集装置10は、グラフ220の形状の解析の結果に基づいて、例えば山型、谷型、右上がり、左上がりなどグラフ220の特性を算出する。そして、データ収集装置10は、算出されたグラフ220の特性に基づいて、対応車両データを検索して抽出する。
【0040】
そして、データ収集装置10は、検索して抽出した対応車両データが示された検索結果を利用者端末200へ送信する。利用者端末200において、検索結果の対応車両データが指定された場合、かかる対応車両データの閲覧やダウンロードなどデータ収集装置10から利用者端末200へ対応車両データの送信処理が行われる。
【0041】
このように、本実施形態に係るデータ収集装置10は、車両状態を示す車両状態情報を検索条件として設定し、車載装置100によって採取された車両データの中から、検索条件に対応する対応車両データを検索するようにした。
【0042】
これにより、本実施形態にあっては、車載装置100によって採取された膨大な車両データの中から、例えばデータ利用者が所望する適切な車両データを効率良く検索することができる。
【0043】
<2.データ収集システムの構成>
次に、第1の実施形態に係るデータ収集システム1の構成例について、より具体的に説明する。
【0044】
図2は、第1の実施形態に係るデータ収集システム1の構成例を示すブロック図である。なお、
図2等のブロック図では、実施形態の特徴を説明するために必要な構成要素のみを表しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
【0045】
換言すれば、
図2等のブロック図に図示される各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。例えば、各ブロックの分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。
【0046】
また、
図2以降の説明では、既に説明済みの構成要素については、説明を簡略するか、省略する場合がある。
【0047】
図2に示すように、本実施形態に係るデータ収集システム1は、データ収集装置10と、車載装置100と、利用者端末200とを含む。データ収集装置10と、車載装置100と、利用者端末200とは、ネットワークNを介して通信可能に接続される。
【0048】
<2.1.データ収集装置の構成>
まず、
図3を参照してデータ収集装置10から説明する。
図3は、データ収集装置10の構成例を示すブロック図である。
図3に示すように、データ収集装置10は、通信部11と、記憶部12と、制御部13とを備える。
【0049】
通信部11は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。通信部11は、ネットワークNと有線または無線で接続され、ネットワークNを介して、車載装置100(
図2参照)や、利用者端末200(
図2参照)との間で情報の送受信を行う。
【0050】
記憶部12は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現され、
図3の例では、収集条件情報DB12aと、収集データDB12bと、検索条件DB12cとを記憶する。
【0051】
収集条件情報DB12aは、利用者端末200から指定され、後述する受付部13aによって受け付けられた収集条件が蓄積される。すなわち、収集条件情報DB12aは、収集条件に関する過去の実績を含む。
【0052】
収集条件には、車両データの収集に関する各種パラメータが含まれる。例えば、各種パラメータは、対象となる車両Vの識別子や、収集対象となるデータの種別、収集のトリガとなる条件、収集する期間などである。収集のトリガとなる条件の一例として、車両Vが自動運転で走行する場合、詳しくは自動運転が解除された状態から自動運転が実行された状態へ移行した場合などがある。
【0053】
収集データDB12bは、後述する収集部13cによって各車載装置100から収集された収集データが蓄積される。すなわち、収集データDB12bは、収集データの過去の実績を含む。なお、収集データは、前述のタグデータTや実データRなどを含む。
【0054】
ここで、
図4を用いて、収集データDB12bについて説明する。
図4は、収集データDB12bの一例を示す図である。
図4に示すように、収集データDB12bには、「タグID」、「車両ID」、「車種」、「位置」、「日時」、「天候」、「運転モード」、「動画データ」、および、「運転状態」等の項目が含まれる。
【0055】
「タグID」は、タグデータTを識別する識別情報である。「車両ID」は、車両Vを識別する識別情報である。「車種」は、車両Vの車種を示す情報である。なお、
図4に示す例では、便宜上、「車種」を「車種B1」といったように抽象的な記載とするが、「車種B1」には具体的な情報が記憶されるものとする。以下、他の情報についても抽象的に記載する場合がある。
【0056】
「位置」は、収集条件が成立して車両データの採取が開始された位置や、車両Vが走行した位置を示す情報である。「日時」は、収集条件が成立して車両データの採取が開始された時間を示す情報である。「天候」は、車両Vが走行した位置の天気を示す情報である。「運転モード」は、車両Vが自動運転モードの状態であるのか、手動運転モードの状態であるのかを示す情報である。
【0057】
「動画データ」は、カメラによって撮像された動画データを示す情報である。「運転状態」は、車両Vの運転状態を示す情報であり、例えば、車速、アクセルやブレーキの操作量および操舵角など各種の運転状態を示す情報である。なお、収集データDB12bのうち、「位置」や「天候」など一部の情報は、外部サーバから収集される情報であってもよい。
【0058】
図4に示す例において、タグID「T1」で識別されるデータは、車両IDが「A01」、車種が「車種B1」、位置が「位置C1」、日時が「日時D1」、天候が「天候E1」、運転モードが「自動運転モード」、動画データが「動画F1」、運転状態が「運転状態G1」であることを示している。
【0059】
図3の説明に戻ると、検索条件DB12cは、例えば、利用者端末200から指定され、後述する設定部13eによって設定された検索条件を記憶する。
【0060】
ここで、
図5を用いて、検索条件DB12cについて説明する。
図5は、検索条件DB12cの一例を示す図である。
図5に示すように、検索条件DB12cには、「検索条件ID」および「検索条件」等の項目が含まれる。
【0061】
「検索条件ID」は、検索条件を識別する識別情報である。「検索条件」は、車両データの検索条件を示す情報である。検索条件には、上記した所定の車両状態を示す車両状態情報が含まれる。具体的には、検索条件としては、車両Vが自動運転で走行している車両状態、車両状態を示すグラフ220、車両状態を示す映像データ(動画データ)210、走行場所、走行日時、一般道・高速道などの道路種別、車種、天候などであるが、これらはあくまでも例示であって限定されるものではない。
【0062】
図3の説明に戻ると、制御部13は、コントローラ(controller)であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、データ収集装置10内部の記憶デバイスに記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部13は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現することができる。
【0063】
制御部13は、受付部13aと、配信部13bと、収集部13cと、提供部13dと、設定部13eと、検索部13fとを備え、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。
【0064】
受付部13aは、データ利用者により、利用者端末200から指定された収集条件を通信部11を介して受け付け、配信部13bへ通知する。また、受付部13aは、データ利用者により指定された収集条件を収集条件情報DB12aへ格納する。
【0065】
また、受付部13aは、収集条件等を含む収集要求や、実データR(車両データ)の送信要求を利用者端末200から通信部11を介して受け付ける。受付部13aは、受け付けた収集要求や送信要求を、配信部13bや収集部13cへ通知する。
【0066】
配信部13bは、収集条件情報DB12aへ格納され、データ利用者によって指定された収集条件を、対象車両となる車両Vへ、例えばファイル形式で通信部11を介して配信する。例えば、配信部13bは、収集要求が通知されると、収集要求に応じた車両データの採取指示を生成し、生成された車両データの採取指示を車両Vの車載装置100に通信部11を介して出力(配信)する。
【0067】
収集部13cは、受付部13aから実データRの送信要求が通知されると、送信要求に応じた実データRの送信指示を通信部11を介して車載装置100へ送信する。
【0068】
また、収集部13cは、配信部13bによって配信された収集条件に基づいて取得(採取)された車両データであって、車載装置100からアップロードされるタグデータTや、送信要求に応じて車載装置100からアップロードされる実データRを、通信部11を介して収集し、収集データとして収集データDB12bへ蓄積する。
【0069】
提供部13dは、収集データDB12bに蓄積された収集データを、例えば利用者端末200へ通信部11を介して提供する。例えば、提供部13dは、指定された実データRを利用者端末200へ提供する、詳しくは、車載装置100から送信されて収集した実データRを利用者端末200に送信して提供する。
【0070】
ここで、
図6Aを用いて、実データRが提供されて表示された利用者端末200について説明する。
図6Aは、実データRが表示された利用者端末200の表示部(画面)203の一例を示す図である。
【0071】
図6Aに示すように、利用者端末200の表示部203には、映像データ(動画データ)210、グラフ情報220、地図情報230、表示設定欄240、および、データ検索ボタン250などが表示される。
【0072】
映像データ210は、実データRに含まれるデータであり、車両Vの周囲を撮像したデータである。グラフ情報220は、実データRに含まれるデータであり、車両Vの車速やアクセル、ブレーキ、操舵角などを示す情報である。なお、
図6Aにおいてグラフ情報220として、車速、アクセル、ブレーキおよび操舵角を示したが、これらはあくまでも例示であって限定されるものではない。地図情報230は、実データRに含まれるデータであり、地図上の車両Vの位置などを示す情報である。
【0073】
表示設定欄240は、利用者端末200に表示される情報を設定する表示欄である。
図6Aに示す例では、表示設定欄240に「自動運転区間のみ表示」がチェックボックスにより設定可能とされ、データ利用者によって「自動運転区間のみ表示」が設定される例を示している。従って、利用者端末200には、自動運転区間で採取された実データRのみが表示される。
【0074】
なお、自動運転にレベル(完全自動運転、緊急ブレーキ動作等の特定動作のみ自動制御、等の自動運転の程度によるレベル)が存在する場合、自動運転レベルを指定した設定も有効な方法である。
【0075】
データ検索ボタン250は、データ利用者が実データRの検索を所望する際に押下されるボタンである。例えば、データ検索ボタン250が押下されると、
図3に示す設定部13eや検索部13fなどによって実データRの検索処理が開始される。なお、かかる実データRの検索処理には、検索条件と一致する実データRを検索する「完全一致検索」や「部分一致検索」に限らず、検索条件と類似する実データRを検索する「類似検索」が含まれてもよい。
【0076】
上記した実データRの検索処理について、具体的に説明すると、設定部13eは、所定の車両状態を示す車両状態情報を検索条件として設定することができる。例えば、設定部13eが設定する検索条件は、利用者端末200によって指定された検索条件であってもよい。
【0077】
かかる検索条件の設定について、
図6Bを用いて説明する。
図6Bは、利用者端末200の表示部203に表示される検索条件設定画面270の一例を示す図である。
【0078】
例えば、
図6Bに示す検索条件設定画面270に入力された入力情報が、利用者端末200によって指定された検索条件であり、よって設定部13eは、かかる入力情報を検索条件として設定する。
【0079】
具体的に、検索条件設定画面270には、運転モード設定欄271、走行場所設定欄272、走行日時設定欄273、道路種別設定欄274、車種設定欄275、天候設定欄276などが表示される。
【0080】
運転モード設定欄271は、検索条件としての運転モードを設定することができる。
図6Bの例では、運転モード設定欄271において、「自動運転モード」、「手動運転モード」を設定することができる。
【0081】
走行場所設定欄272は、検索条件としての走行場所を設定することができる。
図6Bの例では、走行場所設定欄272は、データ利用者によって走行場所が入力される欄や、地図から走行場所を入力する欄、基準となる実データR(例えば
図6Aに示す情報で)と同じ走行ルートを指定する欄などを含む。
【0082】
走行日時設定欄273は、検索条件としての走行日時を設定することができる。道路種別設定欄274は、検索条件としての道路種別を設定することができる。
図6Bの例では、道路種別設定欄274において、「一般道」、「高速道」を設定することができる。
【0083】
車種設定欄275は、検索条件として車種を設定することができる。
図6Bの例では、車種設定欄275において、「車種XXX」、「車種YYY」、「軽自動車」、「普通車」および「大型車」などを設定することができる。
【0084】
天候設定欄276は、検索条件として天候を設定することができる。
図6Bの例では、天候設定欄276において、「晴れ」、「雨」および「雪」などを設定することができる。なお、上記した検索条件の設定内容は、あくまでも例示であって限定されるものではない。
【0085】
なお、検索条件設定画面270は、例えばデータ検索ボタン250(
図6A参照)が押下されると、利用者端末200に表示されるが、これに限定されるものではない。
【0086】
例えば、検索条件設定画面270は、例えば地図情報230や映像データ210が指定された状態で、データ検索ボタン250が押下されるときにも、利用者端末200に表示されるようにしてもよい。かかる場合、検索条件設定画面270には、指定された地図情報230が走行場所設定欄272に自動的に入力された状態で表示されるようにしてもよい。これにより、例えば、データ利用者が地図情報230を検索条件の走行場所として指定したい場合、上記のように地図情報230を指定した後にデータ検索ボタン250が押下することで、検索条件の入力を容易にすることができる。
【0087】
図3の説明に戻ると、検索部13fは、車載装置100によって採取された実データRの中から、設定部13eによって設定された検索条件に対応する対応車両データを検索する。これにより、本実施形態にあっては、車載装置によって採取された車両データの中から、適切な車両データ(対応車両データ)を効率良く検索することができる。
【0088】
また、提供部13dは、検索部13fによって検索された対応車両データを、車載装置100から送信させて提供するようにしてもよい。すなわち、例えば、提供部13dは、データ収集装置10に収集される前の車両データであって、車載装置100にのみ存在する車両データを、検索部13fによって検索された場合に、車載装置100から送信させて利用者端末200へ提供するようにしてもよい。
【0089】
これにより、本実施形態にあっては、データ収集装置10に収集される前の車両データであっても、検索の対象にすることができるとともに、かかる車両データが検索条件に該当する場合に、利用者端末200へ提供することができる。
【0090】
また、検索部13fは、車両状態を示すグラフ220(
図6C参照)の特性に基づいて、検索条件に対応する対応車両データを検索することができる。具体的に
図6Cを参照しつつ説明する。
図6Cは、グラフ220の特性に基づいて車両データを検索する処理を説明する図である。
【0091】
図6Cに示すように、例えば、利用者端末200の表示部203には、検索条件設定欄251が表示される。
図6Cでは、検索条件設定欄251においては、「映像で検索」、「グラフ形状で検索」、「しきい値で検索」などドロップダウンリストにより選択可能とされ、データ利用者によって「グラフ形状で検索」が選択されて設定される例を示している。
【0092】
次いで、枠252で示されるように、グラフ220が指定された状態で、データ検索ボタン250が押下されると、検索部13fは、グラフ220の形状を解析する(例えば、任意のグラフ形状解析アルゴリズムを用いた解析処理を行う)。検索部13fは、グラフ220の形状解析の結果に基づいて、例えば山型、谷型、右上がり、左上がりなどグラフ220の特性を算出する。そして、検索部13fは、算出されたグラフ220の特性に基づいて、対応車両データを検索して抽出することができる。
【0093】
このように、本実施形態にあっては、グラフ220の特性に基づいて、検索条件に対応する対応車両データを検索することで、より適切な車両データ(対応車両データ)を効率良く検索することができる。
【0094】
また、検索部13fは、車両状態を示す映像データ210(
図6C参照)の特性に基づいて、検索条件に対応する対応車両データを検索することができる。具体的な図示は省略するが、映像データ210が指定された状態で、データ検索ボタン250が押下されると、検索部13fは、映像データ210を画像解析(例えば、任意の画像解析アルゴリズムを用いた画像解析)を行う。検索部13fは、かかる画像解析の結果に基づいて、例えば車線の数や前方車両の有無、天候などを含む映像データ210の特性を算出する。そして、検索部13fは、算出された映像データ210の特性に基づいて、対応車両データを検索して抽出する。
【0095】
このように、本実施形態にあっては、映像データ210の特性に基づいて、検索条件に対応する対応車両データを検索することで、より適切な車両データ(対応車両データ)を効率良く検索することができる。
【0096】
検索部13fは、車載装置100によって採取された車両データのうち、検索条件に含まれる車両状態情報と類似する車両データを、対応車両データとして検索してもよい。例えば、検索部13fは、車載装置100によって採取された車両データと、検索条件に含まれる車両状態情報との類似度を算出する。
【0097】
そして、検索部13fは、算出された類似度に基づいて対応車両データを検索する。具体的には、検索部13fは、算出された類似度が所定類似度以上で比較的高い場合に、対応車両データとして検索して抽出する。
【0098】
このように、本実施形態にあっては、検索条件と一致する車両データを検索する「完全一致検索」や「部分一致検索」のみならず、検索条件と類似する車両データを検索する「類似検索」を行うことができる。
【0099】
ここで、類似検索の検索結果について、
図6Dを参照しつつ説明する。
図6Dは、検索結果を説明する図である。なお、かかる検索結果は、利用者端末200の表示部203に表示される。
【0100】
図6Dに示すように、検索結果の画面280には、表示欄281で示すように、検索部13fで算出された類似度を示す情報が含まれるようにしてもよい。具体的には、かかる類似度を示す情報は、提供部13dによって提供される。また、検索結果の画面280において、検索対象となったグラフ形状の部分を枠252で囲んで、強調表示されるようにしてもよい。
【0101】
このように、本実施形態にあっては、算出された類似度を示す情報を利用者端末200に提供するようにした。これにより、データ利用者は、提供された類似度を示す情報をもとに、車両データの検索を容易に行うことが可能になる。
【0102】
<2.2.車載装置の構成>
次に、車載装置100について
図7を参照して説明する。
図7は、車載装置100の構成例を示すブロック図である。
図7に示すように、車載装置100は、通信部101と、記憶部102と、制御部103とを備える。また、車載装置100には、上述したように、カメラ、加速度センサ、GPSセンサなどの各種センサ150が接続される。
【0103】
通信部101は、通信部11と同様に、例えばNIC等によって実現される。通信部101は、ネットワークNと無線で接続され、ネットワークNを介して、データ収集装置10との間で情報の送受信を行う。また、通信部101は、各種センサ150の出力データを受信する。
【0104】
記憶部102は、記憶部12と同様に、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現され、
図7の例では、収集条件情報記憶部102aと、車両データ情報記憶部102bとを備える。
【0105】
収集条件情報記憶部102aは、データ収集装置10から配信された収集条件を含む情報である。車両データ情報記憶部102bは、後述する採取部103cによって採取された車両データを含む情報である。なお、車両データは、前述のタグデータTおよび実データRを含む。
【0106】
制御部103は、制御部13と同様に、コントローラであり、例えば、CPUやMPU等によって、車載装置100内部の記憶デバイスに記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部103は、例えば、ASICやFPGA等の集積回路により実現することができる。
【0107】
制御部103は、取得部103aと、検出部103bと、採取部103cと、アップロード部103dとを備え、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。
【0108】
取得部103aは、データ収集装置10から配信された収集条件を取得し、収集条件情報記憶部102aへ格納する。詳しくは、取得部103aは、データ収集装置10から出力された、収集条件等を含む車両データの採取指示を取得し、取得された収集条件等を収集条件情報記憶部102aへ格納する。
【0109】
検出部103bは、各種センサ150からの出力データを監視し、収集条件においてトリガとなる事象の発生を検出する。例えば、検出部103bは、収集条件において車両データを採取するトリガとなる事象の発生を検出した場合に(ここでは車両Vが自動運転で走行する場合に)、採取部103cに車両データを採取させる。また、例えば検出部103bは、収集条件において車両データをデータ収集装置10へアップロードさせるトリガとなる事象の発生を検出した場合に、アップロード部103dに車両データをアップロードさせる。
【0110】
採取部103cは、車両データの採取指示に基づいて車両データを採取し、採取された車両データを記憶部102に記憶する。例えば、採取部103cは、検出部103bによって車両データを採取するトリガの発生が検出された場合に、各種センサ150の出力データに基づく車両データを採取して車両データ情報記憶部102bへ格納する。また、採取部103cは、検出部103bによって車両データの採取を停止するトリガの発生が検出された場合に、車両データの採取を停止する。
【0111】
アップロード部103dは、検出部103bによって車両データをアップロードするトリガの発生が検出された場合に、車両データ情報記憶部102bに格納された車両データをデータ収集装置10へアップロードする。また、アップロード部103dは、実データRの送信指示を通信部11を介して受信することができる。そして、アップロード部103dは、データ収集装置10から出力された実データRの送信指示に基づき、車両データ情報記憶部102bに記憶している実データRをデータ収集装置10にアップロード(送信)することができる。
【0112】
<2.3.利用者端末の構成>
次に、利用者端末200について説明する。
図8は、利用者端末200の構成例を示すブロック図である。
図8に示すように、利用者端末200は、操作部201と、通信部202と、表示部203と、記憶部204と、制御部205とを備える。
【0113】
操作部201は、データ利用者から各種操作を受け付ける入力デバイスである。例えば、操作部201は、データ利用者の操作による車両データの収集要求や送信要求、検索条件を受け付けることができる。そして、操作部201は、データ利用者から受け付けた操作内容を示す情報を制御部205へ出力する。
【0114】
通信部202は、通信部11と同様に、例えばNIC等によって実現される。通信部101は、ネットワークNと無線で接続され、ネットワークNを介して、データ収集装置10との間で情報の送受信を行う。
【0115】
表示部203は、例えば液晶ディスプレイである。例えば、表示部203は、タグデータTや、送信指示に応じて送信された実データR、検索条件設定画面270(
図6B参照)、検索結果の画面280(
図6D参照)などを表示することができる。
【0116】
記憶部204は、記憶部12と同様に、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現され、
図7の例では、収集条件情報DB204aと、収集データDB204bとを記憶する。
【0117】
収集条件情報DB204aは、データ利用者による操作部201の操作によって入力された収集条件であって、上記した収集要求に含まれる収集条件を記憶する。
【0118】
収集データDB204bは、データ収集装置10によって収集された収集データであって、データ収集装置10から送信された収集データを記憶する。言い換えると、収集データDB204bは、データ収集装置10の収集データDB12bと同様の収集データ、または、収集データDB12bの収集データの一部を記憶する。なお、収集データは、前述のタグデータTや実データRなどを含んでもよい。
【0119】
制御部205は、制御部13と同様に、コントローラであり、例えば、CPUやMPU等によって、利用者端末200内部の記憶デバイスに記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部205は、例えば、ASICやFPGA等の集積回路により実現することができる。
【0120】
制御部205は、受付部205aと、送信部205bと、取得部205cと、表示制御部205dとを備え、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。
【0121】
受付部205aは、操作部201を介して入力された車両データの収集要求や送信要求、検索条件を受け付ける。そして、例えば、受付部205aは、受け付けた収集要求に含まれる収集条件を収集条件情報DB204aに記憶する。また、例えば、受付部205aは、受け付けた送信要求や検索条件を送信部205bへ出力する。
【0122】
送信部205bは、収集条件を示す情報などをデータ収集装置10へ送信する。例えば、送信部205bは、収集条件情報DB204aにアクセスし、収集条件を含む収集要求を通信部202を介してデータ収集装置10へ送信することができる。また、送信部205bは、受付部205aから入力された送信要求や検索条件を、通信部202を介してデータ収集装置10へ送信することができる。
【0123】
取得部205cは、データ収集装置10によって収集されて送信された収集データ(車両データ(実データR))を通信部202を介して取得し、収集データDB204bに記憶する。また、取得部205cは、データ収集装置10における検索の結果に関する情報を取得し、表示制御部205dに出力することができる。
【0124】
表示制御部205dは、表示部203を制御する。例えば、表示制御部205dは、収集データDB204bにアクセスし、収集データDB204bに記憶された収集データに基づいて、送信指示に応じて送信された実データR(例えば動画データやグラフ)などを表示部203に表示することができる。また、表示制御部205dは、取得部205cから出力された検索結果に関する情報を表示部203に表示することができる。
【0125】
<3.データ収集装置の制御処理>
次に、
図9を用いて、第1の実施形態に係るデータ収集装置10が実行する処理の処理手順について説明する。
図9は、第1の実施形態に係るデータ収集装置10が実行する処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、
図9に示す処理は、データの検索処理が必要な際、例えば特定の条件のデータの表示処理等を行う際(利用者による操作等に基づき、データ収集装置10にデータ提供要求があった際等)に実行される。
【0126】
図9に示すように、まず、データ収集装置10の制御部13は、車載装置100によって採取された車両データを収集する(ステップS10)。次いで、制御部13は、所定の車両状態を示す車両状態情報を検索条件として設定する(ステップS11)。
【0127】
次いで、制御部13は、車載装置100によって採取された車両データと、検索条件に含まれる車両状態情報との類似度を算出する(ステップS12)。そして、制御部13は、算出された類似度に基づいて、車載装置100によって採取された車両データの中から、対応車両データを検索する(ステップS13)。
【0128】
なお、検索された車両データは、利用者の操作等に応じて、利用者端末200に送信され、別途画像表示、グラフ表示、統計処理等の処理が行われて利用者に利用されることになる。
【0129】
上述してきたように、第1の実施形態においては、利用者端末(端末装置の一例)200と、データ収集装置10と、車載装置100とを含むデータ収集システム1であり、利用者端末200は、車両Vに関する所定の車両データの収集要求をデータ収集装置10に出力し、データ収集装置10は、利用者端末200から出力された車両データの収集要求に応じた車両データの採取指示を車載装置100に出力し、車載装置100は、データ収集装置10から出力された車両データの採取指示に基づいて車両データを採取して記憶し、利用者端末200は、データ収集装置10に所定の車両データの送信要求を出力し、データ収集装置10は、利用者端末200から出力された車両データの送信要求に応じた車両データの送信指示を車載装置100に出力し、車載装置100は、データ収集装置10から出力された車両データの送信指示に基づき、記憶している車両データをデータ収集装置10に送信し、データ収集装置10は、車載装置100から送信されて収集した車両データを利用者端末200に送信するデータ収集システム1、において用いられるデータ検索装置(第1の実施形態では、データ収集装置10)であって、設定部13eと、検索部13fとを備える。
【0130】
設定部13eは、所定の車両状態を示す車両状態情報を検索条件として設定する。検索部13fは、車載装置100によって採取された車両データの中から、設定部13eによって設定された検索条件に対応する対応車両データを検索する。これにより、車載装置によって採取された車両データの中から、適切な車両データを効率良く検索することができる。
【0131】
(第2の実施形態)
<4.第2の実施形態に係る利用者端末の構成>
次いで、第2の実施形態について説明する。上記した第1の実施形態では、データ検索装置が、データ収集装置10に含まれる場合を例に挙げたが、これに限定されるものではない。すなわち、第2の実施形態では、データ検索装置が、利用者端末200に含まれるようにした。
【0132】
第2の実施形態の構成について
図10を参照して説明する。
図10は、第2の実施形態に係る利用者端末200の構成例を示すブロック図である。なお、以下においては、第1の実施形態と共通の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0133】
図10に示すように、第2の実施形態に係る利用者端末200の記憶部204は、検索条件DB204cをさらに記憶する。また、利用者端末200の制御部205は、設定部205eと、検索部205fとをさらに備える。
【0134】
検索条件DB204cは、第1の実施形態に係る検索条件DB204c(
図5参照)と同様な情報が格納されるため、詳細な説明は省略する。
【0135】
制御部205の設定部205eは、第1の実施形態の設定部13eと同様に、所定の車両状態を示す車両状態情報を検索条件として設定する。また、検索部205fは、第1の実施形態の検索部13fと同様に、車載装置100によって採取された車両データの中から、設定部205eによって設定された検索条件に対応する対応車両データを検索する。
【0136】
これにより、第2の実施形態にあっては、第1の実施形態と同様、車載装置100によって採取された膨大な車両データの中から、例えばデータ利用者が所望する適切な車両データを効率良く検索することができる。
【0137】
<5.第2の実施形態に係る利用者端末の制御処理>
次に、
図11を用いて、第2の実施形態に係る利用者端末200が実行する処理の処理手順について説明する。
図11は、第2の実施形態に係る利用者端末200が実行する処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、
図11に示す処理は、データの検索処理が必要な際、例えば特定の条件のデータの表示処理等を行う際(利用者による利用者端末200の操作等に基づく処理の際)に実行される。
【0138】
図11に示すように、まず、利用者端末200の制御部205は、車載装置100によって採取された車両データを収集する(ステップS100)。次いで、制御部205は、所定の車両状態を示す車両状態情報を検索条件として設定する(ステップS101)。
【0139】
次いで、制御部205は、車載装置100によって採取された車両データと、検索条件に含まれる車両状態情報との類似度を算出する(ステップS102)。そして、制御部205は、算出された類似度に基づいて、車載装置100によって採取された車両データの中から、対応車両データを検索する(ステップS103)。
【0140】
なお、検索された車両データは、利用者の操作等に応じて、利用者端末200で別途画像表示、グラフ表示、統計処理等の処理が行われ、利用者に利用されることになる。
【0141】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0142】
1 データ収集システム
10 データ収集装置
13 制御部
13a 受付部
13b 配信部
13c 収集部
13d 提供部
13e 設定部
13f 検索部
100 車載装置
200 利用者端末
205 制御部
205e 設定部
205f 検索部