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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-24
(45)【発行日】2024-02-01
(54)【発明の名称】アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/04 20060101AFI20240125BHJP
   H02K 7/116 20060101ALN20240125BHJP
【FI】
H02K5/04
H02K7/116
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019142180
(22)【出願日】2019-08-01
(65)【公開番号】P2020036525
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】201810864408.1
(32)【優先日】2018-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】10 2018 118 628.2
(32)【優先日】2018-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】518263944
【氏名又は名称】ジョンソン エレクトリック インターナショナル アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】イヴァン ブルキ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ソンチーニ
(72)【発明者】
【氏名】フレデリク ヘニ
【審査官】安池 一貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-074811(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0174280(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102006012554(DE,A1)
【文献】特開2018-099017(JP,A)
【文献】特開2001-061268(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0106219(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第104638802(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/04
H02K 7/116
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータ収容部を形成する内面を有するアクチュエータハウジングであって、前記ステータ収容部は、ロータ支持部材と、前記ロータ支持部材の周りに互いに離間して配置される複数のステータ当接突起とを備え、前記複数のステータ当接突起は、前記内面と一体に形成される、アクチュエータハウジングと、
複数の位置決め凹部を有するステータであって、前記複数の位置決め凹部は、前記ステータが前記アクチュエータハウジングの前記ステータ収容部に収容されると、前記複数のステータ当接突起と当接可能に係合可能であり、前記ステータを前記アクチュエータハウジングに対して相対的に位置決めするようになっている、ステータと、
を備え、
各前記ステータ当接突起は、中央支持材と、前記中央支持材から側方に延在する位置決めヘッドとを備え、前記位置決めヘッドの各々は、前記ロータ支持部材の方向に向けられ、各位置決めヘッドのロータ対向面は、前記ステータが前記ステータ収容部に収容されると、前記位置決め凹部のロータ近接内面に接触することを特徴とするアクチュエータ。
【請求項2】
各位置決めヘッドは、円弧状又は実質的に円弧状又は台形状の輪郭を有することを特徴とする、請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記ステータの各位置決め凹部は、前記ステータから延在する1対の側方突起によって形成されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記複数のステータ当接突起は、前記ロータ支持部材の周りに等角間隔に配置されることを特徴とする、請求項1乃至のいずれか一項に記載のアクチュエータ。
【請求項5】
前記ステータは、複数のステータ部材と、前記複数のステータ部材が係合可能であるコイル本体とを備える星形ステータであることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のアクチュエータ。
【請求項6】
各ステータ部材は、前記コイル本体内に挿入可能な中央位置決めアームと、前記コイル本体の周りに係合可能な1対の外側アームとを含み、前記外側アームの各々は、前記位置決め凹部を少なくとも部分的に形成するためのストッパを含むことを特徴とする、請求項5に記載のアクチュエータ。
【請求項7】
各位置決め凹部は、隣接するステータ部材の間の境界面に形成されることを特徴とする、請求項5又は6に記載のアクチュエータ。
【請求項8】
前記ステータ部材の数は、前記ステータ当接突起の数に等しいことを特徴とする、請求項5乃至7のいずれか一項に記載のアクチュエータ。
【請求項9】
前記ステータ収容部は、更に、前記ステータを位置合わせするための複数の2次案内部材を備え、前記2次案内部材は、直立ステータアーム支持壁として設けられることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のアクチュエータ。
【請求項10】
使用中の前記ステータ当接突起は、前記ステータの外面に当接することを特徴とする、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のアクチュエータ。
【請求項11】
ステータ収容部を形成する内面を有するアクチュエータハウジングであって、前記ステータ収容部は、ロータ支持部材と、前記ロータ支持部材の周りに互いに離間して配置される複数のステータ当接突起とを備え、前記複数のステータ当接突起は、前記内面と一体に形成される、アクチュエータハウジングと、
複数の位置決め凹部を有するステータであって、前記複数の位置決め凹部は、前記ステータが前記アクチュエータハウジングの前記ステータ収容部に収容されると、前記複数のステータ当接突起と当接可能に係合可能であり、前記ステータを前記アクチュエータハウジングに対して相対的に位置決めするようになっている、ステータと、
を備え、
各前記ステータ当接突起は、中央支持材と、前記中央支持材から側方に延在する位置決めヘッドとを備え、前記ステータの各位置決め凹部は、前記ステータから延在する1対の側方突起によって形成されることを特徴とするアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0002] 本発明は、アクチュエータに関し、特に、星形モータなどの電気モータを有するアクチュエータの一部として用いられるが、必ずしもこれに限られない。本発明は、更に、アクチュエータハウジングに関する。また、アクチュエータを組み立てる方法及びアクチュエータハウジングを形成する方法も提供される。
【背景技術】
【0002】
[0003] ブラシレス直流モータ又はステッパモータを有するアクチュエータは、通常、プラスチックハウジングを有して製造され、これにより、モータの安価且つ効率的な製造を可能にする。多くの従来のアクチュエータは、直流又はブリキ缶(tin-can)型ステッパモータを有するが、いくつかのより現代のアクチュエータは、星形ブラシレス直流モータを利用し始めている。
【0003】
[0004] 星形モータの問題点は、それらが、ブリキ缶(tin-can)型モータと比較して、比較的平坦であり、その結果、モータの高さよりもずっと大きい幅及び長さを有することである。ロータは、星形ステータ内に配置可能であり、高速で回転することができる。したがって、ロータの正確な位置決めは、効果的な作動にとって非常に重要であり、ロータの円滑な回転を可能にすることによって、騒音を低減することができるように、ステータを配置しなければならない。
【0004】
[0005] 既存のアクチュエータハウジングは、ステータを、ステータの外形に形成されるハウジングの開口部に挿入することによって、組み立てられる。しかしながら、ステータ及びハウジングの製造の両方の製造公差により、ステータとステータ形開口部との間に、遊びがある可能性がある。これにより、使用中のステータのずれ、ひいてはステータに対するロータの中心ずれを招く可能性がある。これは、多構成部品ステータの特定の問題である。代替案は、単一の型打ち品の積層体として形成されるステータを提供することであり、ステータラミネーション上へのコイルの挿入は、自動化が困難である。
【0005】
[0006] この問題の従来の解決法は、ばね又は同様の付勢部材を、ハウジングの内部に設けて、ステータをその正しい位置内に付勢することである。これは、公差の問題を解決するが、組立工程がより複雑になるので、製造コストを著しく増大させ、また、構成部品の故障のリスクも増大させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[0007] 本発明は、組立時に公差の問題を引き起こすことなく、ステータをアクチュエータハウジング内に固定することができる簡単な機構を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[0008] 本発明の第1の態様では、ステータ収容部を形成する内面を有するアクチュエータハウジングであって、前記ステータ収容部は、ロータ支持部材と、前記ロータ支持部材の周りに互いに離間して配置される複数のステータ当接突起とを備え、前記複数のステータ当接突起は、前記内面と一体に形成される、アクチュエータハウジングと、複数の位置決め凹部を有するステータであって、前記複数の位置決め凹部は、前記ステータが前記アクチュエータハウジングの前記ステータ収容部に収容されると、前記複数のステータ当接突起と当接可能に係合可能であり、前記ステータを前記アクチュエータハウジングに対して相対的に位置決めするようになっている、ステータと、を備えるアクチュエータを提供するものである。
【0008】
[0009] アクチュエータハウジングのステータ当接突起に合わせた位置決め凹部を有するステータを設けることによって、有利なことに、ステータを、突出部に対して、ある程度までロータ支持部材に対して相対的に自動的に位置合わせしながら、ステータをハウジングに容易に挿入することができる。
【0009】
[0010] 好ましくは、各前記ステータ当接突起は、中央支持材と、前記中央支持材から側方に延在する位置決めヘッドとを備えることができる。
【0010】
[0011] ステータ当接突起の構造は、ステータ当接突起が、ステータの2つの隣接するステータ部材又はステータ部分の間に形成される位置決め凹部の狭い領域内に嵌合することができるようになっている。したがって、T字状又は実質的にT字状のステータ当接突起は、有利なことに、この条件を満たすことができる。
【0011】
[0012] 好ましくは、前記位置決めヘッドの各々は、前記ロータ支持部材の方向に向けられることができる。
【0012】
[0013] 位置決めヘッドをロータ支持部材の方向に向けることによって、位置決めヘッドは、位置決め凹部のロータ近接内面と接触することができ、これによって、位置決めヘッドは、使用中のステータに抗して正の保持力を与えることができる。
【0013】
[0014] 任意選択的に、各位置決めヘッドのロータ対向面は、前記ステータが前記ステータ収容部に収容されると、前記位置決め凹部のロータ近接内面に接触することができる。
【0014】
[0015] 位置決めヘッドが位置決め凹部に直接接触することによって、物理的保持力が、同時にいくつかの方向から生じて、ロータに対する位置合わせを維持する。
【0015】
[0016] 好ましくは、各位置決めヘッドは、円弧状又は実質的に円弧状又は台形状の輪郭を有することができる。
【0016】
[0017] 位置決めヘッドの実質的に円弧状又は台形状の輪郭によって、自然な支持形状を与えることができ、これにより、ステータを、アクチュエータハウジングのロータ支持部材に対して相対的に所定位置に保持するのを助ける。
【0017】
[0018] 任意選択的に、前記ステータの各位置決め凹部は、前記ステータから延在する1対の側方突起によって形成されることができる。
【0018】
[0019] ステータのステータ部分の側面に形成される物理的な側方突起を設けることによって、本発明の有用な位置決め凹部を形成することができる簡単な機構を提供して、ステータが、アクチュエータハウジングのステータ当接突起に位置合わせ可能であることを確実にする。
【0019】
[0020] 前記複数のステータ当接突起は、前記ロータ支持部材の周りに等角間隔に配置されることができる。
【0020】
[0021] ステータに均一な保持力を与えるためには、案内突起が、ロータ支持部材の周りに等間隔に配置されることが有益である。
【0021】
[0022] 好ましくは、前記ステータは、星形ステータであることができる。
【0022】
[0023] 中央ロータ収容部から半径方向に延在する複数のアームを有する星形モータの非標準的な形状は、都合よく、ステータにおいて位置決め凹部が位置することができる様々な位置を与える。
【0023】
[0024] 一実施形態では、前記ステータは、複数のステータ部材と、前記複数のステータ部材が係合可能であるコイル本体とを備えることができる。
【0024】
[0025] 多構成部品ステータは、従来、公差の問題がより生じやすいので、ロータとの位置合わせがより困難である。組立の観点から、多構成部品ステータは好ましく、本発明は、アクチュエータの効果への公差の影響を制限するように働く。
【0025】
[0026] 好ましくは、各ステータ部材は、前記コイル本体内に挿入可能な中央位置決めアームと、前記コイル本体の周りに係合可能な1対の外側アームとを含むことができ、前記外側アームの各々は、前記位置決め凹部を少なくとも部分的に形成するためのストッパを含む。
【0026】
[0027] ステータ部材の側方突起は、アクチュエータハウジング内へのステータの有用な位置決め部として働いて、ステータ当接突起と係合可能な位置決め凹部を形成するだけでなく、潜在的に、2次ステータ当接部材が存在する場合、それと結合するようにも働く。
【0027】
[0028] 任意選択的に、各位置決め凹部は、隣接するステータ部材の間の境界面に形成されることができる。
【0028】
[0029] 位置決め凹部が、隣接するステータ部材の突出部の間に形成される場合、ステータ部材又はステータ部品のいずれにも、専用の位置決め凹部を形成する必要がないので、位置決め凹部の作成は、ずっと簡単である。
【0029】
[0030] 前記ステータ部材の数は、前記ステータ当接突起の数に等しいとすることができる。
【0030】
[0031] 突起の数をステータ部材の数に一致させることによって、各ステータ部材に対して、確実に、保持の均一化を図ることによって、ロータに対する位置合わせをずっと効果的にする。
【0031】
[0032] 好ましくは、前記ステータ収容部は、更に、前記ステータを位置合わせするための複数の2次ステータ当接部材を備えることができる。前記2次ステータ当接部材は、直立ステータアーム支持壁として設けられることができる。
【0032】
[0033] 2次案内部材は、特に、星形モータのアームの位置合わせを助けることによって、ステータ収容領域におけるステータの位置決めしやすさを向上させることができる。
【0033】
[0034] 任意選択的に、前記ステータ当接突起は、使用中に、前記ステータの外面に当接することができる。
【0034】
[0035] ステータ当接突起は、ステータの外面に当接することによって、効果的な保持力又はくさび力で、ステータの位置を固定して、使用中のステータが側方に外れるのを防ぐことができる。
【0035】
[0036] 本発明の第2の態様では、ステータ収容部を形成する内壁を備えるアクチュエータハウジングであって、前記ステータ収容部は、ロータ支持部材と、前記ロータ支持部材の周りに互いに離間して配置される複数のステータ当接突起とを備え、前記複数のステータ当接突起は、前記内壁と一体に形成される、アクチュエータハウジングを提供するものである。
【0036】
[0037] ステータと係合するのに適したステータ当接突起が一体に形成されているアクチュエータハウジングによって、ロータ支持部材によって規定される予想ロータ位置に対する位置合わせの問題を引き起こすことなく、ステータを容易に挿入することができる。
【0037】
[0038] 好ましくは、各前記ステータ当接突起は、中央支持材と、前記中央支持材から側方に延在する位置決めヘッドとを備えることができる。
【0038】
[0039] 前記位置決めヘッドの各々は、前記ロータ支持部材の方向に向けられることができる。
【0039】
[0040] 任意選択的に、各位置決めヘッドは、円弧状又は実質的に円弧状の輪郭を有することができる。
【0040】
[0041] 前記ステータ当接突起の各々は、前記ロータ支持部材の周りに等角間隔に配置されることができる。
【0041】
[0042] 好ましくは、前記ステータ収容部は、更に、前記ステータを位置合わせするための複数の2次案内部材を備えることができる。
【0042】
[0043] 前記2次案内部材は、直立ステータアーム支持壁として設けられることができる。
【0043】
[0044] 本発明の第3の態様では、本発明の第2の態様によるアクチュエータハウジングを形成する方法であって、前記方法は、前記ロータ支持部材及び前記複数のステータ当接突起が、一緒に一体に形成されるように、前記アクチュエータハウジングを成形するステップを含む、方法を提供するものである。
【0044】
[0045] アクチュエータのステータ当接突起及びロータ支持部材を、単一の成形ステップで形成することによって、これらの構成部品の相対的な位置決めが固定される。これにより、多構成部品ステータのより大きな問題であるステータの製造の公差を補償する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】本発明の第1の態様によるアクチュエータの一実施形態の分解斜視図である。
図2図1のアクチュエータのアクチュエータハウジングの平面図である。
図3】アクチュエータハウジングのステータ収容部にステータを挿入した状態の図1のアクチュエータを示す図である。
図4図1のアクチュエータのステータの平面図である。
図5図3に示すアクチュエータの平面図である。
図6】ロータ、歯車列、及びアクチュエータハウジングの第2の部分を含む、図1のアクチュエータの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
[0046] ここで、添付図面を参照して、単なる例示として、本発明をより詳細に説明する。
【0047】
[0053] 図1は、ステッパモータ又は同様の(好ましくは星形)ブラシレス直流モータとして用いるのに適しているアクチュエータ(全体を符号10で示す)を示す。アクチュエータ10は、アクチュエータハウジング12と、アクチュエータハウジング12のステータ収容部16に挿入可能であるステータ14とを備える。
【0048】
[0054] アクチュエータ10は、星形モータ専用に設計されているので、ステータ14は、星形として示される。しかしながら、ステッパモータ又はブラシレス直流モータなどの従来のブラシレスモータなどの他のモータ構成のために、本発明を実施することができる。
【0049】
[0055] 図2に別個に示すアクチュエータハウジング12は、アクチュエータの必要な構成部品をアクチュエータハウジング12に挿入することができるように、形成される。したがって、アクチュエータハウジング12のベース20の内面18は、前記構成部品を収容するように構成される形状を有することができ、その周囲に直立外壁22を有し、直立外壁22は、アクチュエータハウジング12の大きさを規定する。
【0050】
[0056] ステータ収容部16は、ロータ支持部材24を含み、ロータ支持部材24は、ロータのための軸支持材として示され、ここでは、中空ロータと係合するように所定位置に軸26を有して示され、ステータ14のための中央位置を規定する。軸26は、通常、別個の部材として設けられるが、ハウジング12のロータ支持部材24と一体に形成される、ひいてはハウジング12と一体に形成されるように設けることができる。ロータ支持部材は、軸支持材として示されているが、また、軸そのもの、又は実際にロータのための軸受支え及び/又は軸受とすることができる。ロータ支持部材24は、ロータを、ステータ14に対して相対的に回転するように位置決めするように働く。
【0051】
[0057] ステータ収容部16の1次位置決め機構は、複数のステータ当接突起28として設けられ、ステータ当接突起28は、アクチュエータハウジング12の内面18から、好ましくは軸26と平行な方向に直立しており、ステータ14と当接可能に係合して、ステータ14を、アクチュエータハウジング12の所定位置に保持するように設計される。ここでは、4つのステータ当接突起28が示され、4つのアームの星形ステータ14と対応する。ステータ当接突起28の数がステータ14のアームの数に等しいこと、及び/又はステータ当接突起28の数がステータ14のアームの間の接合部の数に等しいことが好ましいが、等しくない数の場合、しかしながら、特に多数のアームを有する星形モータの場合、確実な係合を実現することができる。
【0052】
[0058] 各ステータ当接突起28は、好ましくは、中央支持材30と、中央支持材30から側方に延在する位置決めヘッド32とを備えて、平面で見て略T字状の輪郭を有するようになっている。ここでは、中央支持材30は、第一に、構造支持材に設けられ、必要な場合には、省くことができる。ステータ当接突起28は、一旦挿入されると、ステータ14を支持するように働く。
【0053】
[0059] 各位置決めヘッド32は、円弧状、略円弧状、傾斜面状、テーパ状、凹状又は台形状の輪郭を有することができ、それ自体は、ロータ支持部材24の方向に向けられる。ステータの挿入を助けるように好ましくは傾斜又は面取りされた上部自由端縁に加えて、各位置決めヘッド32は、好ましくは、ロータ対向面32aを有し、ロータ対向面32aは、ステータがステータ収容部16に収容されると、ステータ14に接触し、位置決めヘッド32の外側方に突出する部材(例えばアーム又は翼部など)は、ステータ14の固定手段として働くように構成される。位置決めヘッド32の形状は、ステータ14自体の形状によって決定されやすいが、本ステータ当接突起28の形状は、対応するロータを取り囲むステータ14の概ね円形の中央部を支持するのに役立つことができると理解されるであろう。
【0054】
[0060] ステータ収容部16は、ステータ14のための溝又は収容部などの2次案内部材34を含むことができ、ここでは、直立ステータアーム支持壁36として形成され、これらは、対になって、ステータ14のアーム38を収容して位置合わせするための溝を形成することができ、これは、図3及び図5に示す接続構成から最も良く視覚化することができ、図では、ステータ14は、ステータ収容部16に挿入されて、軸26が、ステータ14のロータ収容空間40を貫通して延在するようになっている。実際に、且つ図1で分かるように、2次案内部材34とステータ当接突起28との間の空間は、ステータ14の部分が着座することができるサドルを効果的に形成することができる。スナップ嵌合係合部材又は成形品などの他の2次案内部材34が考えられる。
【0055】
[0061] 追加の軸42(この場合も、好ましくは、アクチュエータハウジング12から延在する直立スピンドル、シャフト又は軸状である)を用いて、アクチュエータの歯車列を支持する。例示的な追加の軸42は、図3で分かり、歯車列の歯車の位置を示したり固定したりするのを助ける。また、これらは、ここでは別個の構成部品として示されるが、潜在的に、アクチュエータハウジング12と一体に形成されるか、又はアクチュエータハウジング12の一部として形成されることができる。
【0056】
[0062] 本発明のステータ14は、図4により詳細に示され、アクチュエータハウジング内の元の位置にあるところが、図5により効果的に示されている。本発明は、多構成部品ステータを想定してなされたものである。というのは、各構成部品の製造公差は、完成したステータ14において累積して、使用中のステータ14の心合わせに伴う本技術分野で公知の問題を悪化させるからである。
【0057】
[0063] ステータ14は、好ましくは、ロータ収容空間40を形成する中央部を有するコイル本体44と、ステータ14のアーム38を形成する複数の半径方向に延在する部材とを備える。コイル巻線46を、半径方向に延在する部材の各々の周りに巻き付けることができる。コイル本体44は、好ましくは、電気絶縁材料から形成される。
【0058】
[0064] ステータ14は、また、複数の別個のステータ部材48を備え、ステータ部材48は、ここでは、3つの結合されたアーム、すなわち、2つの外側ステータアーム50及び中央位置決めアーム52を有するように形成される。各外側ステータアーム50の端部は、コイル本体44の半径方向に延在する部材の周りに係合するように形成され、中央位置決めアーム52は、コイル本体44の半径方向に延在する部材内に収容可能である。
【0059】
[0065] ステータ14は、全体として、複数の位置決め凹部54を有するように形成され、複数の位置決め凹部54は、ステータ14がアクチュエータハウジング12のステータ収容部16に挿入されると、ステータ当接突起28と収容可能に係合可能である。位置決め凹部54の形状は、ステータ部材48の外側ステータアーム50の各々から外方に突出する側方突起56の存在によって形成されて、一旦ステータ14が組み付けられると、位置決め凹部54が、2つの隣接するステータ部材48の間に、及び/又は、2つの隣接するステータ部材48の間の境界面に形成されるようになっている。
【0060】
[0066] 側方突起56は、好ましくは、側方突起56の対向する対の間の収縮又はスロートアクセス部54aになる形状を与える。スロートアクセス部54aを有する位置決め凹部54は、ステータ当接突起28の位置決めヘッド32を軸方向に収容して側方に保持するのに適している。ステータ当接突起28は、好ましくは、ステータ14を、ロータ支持部材24に対して所定位置に拘束して保持するように配置される。側方突起56は、2次案内部材34に当接して、ステータ14に、更に大きい正の側方位置決め力を与えて、ステータ14を、特に使用時に、よりしっかりと保持することもできる。したがって、側方突起56は、使用中に、2次案内部材34とステータ当接突起28との間のサドルに着座することができる。
【0061】
[0067] したがって、位置決めヘッド32のロータ対向面32aの形状は、好ましくは、各位置決め凹部54のロータ近接内面58と一致するように形成することができる。ここでは、これは、位置決めヘッド32の擬似円弧状の輪郭と一致し、また、部分的に台形状とすることによって、ロータ近接内面58を反映することも考えられる。
【0062】
[0068] ロータ近接内面58は、位置決め凹部54の面とすることが考えられる。その面は、第1のステータ部材48の第1のストッパを形成する第1の側方突起56から、コイル本体44の中心に向かって外側ステータアーム50に沿って、隣接するステータ部材48の間の境界面を横切って、又は潜在的に、ステータ部材48が互いにわずかに離間している場合、コイル本体44を横切って、第2のステータ部材48の隣接する外側ステータアーム50に達して、第2のステータ部材48の第2のストッパを形成する第2の側方突起56まで延在するものに至り且つそれを含む。
【0063】
[0069] 少なくともステータ当接突起28及びロータ支持部材24、好ましくは2次案内部材34も備えるアクチュエータハウジング12は、この実施形態では、一体型ユニットとして形成されるので、アクチュエータハウジング12の製造公差は、著しく低減される。これらの構成部品の互いに対する位置決めが固定されるので、多構成部品ステータ14の構造の小さい公差を吸収することができ、ステータ当接突起28は、好ましくは、一旦ステータ収容部16に挿入されると、ステータ14に対して保持付勢力を与える。
【0064】
[0070] このようなアクチュエータハウジング12を形成するため、ロータ支持部材24及び複数のステータ当接突起28が、一緒に一体に形成されるように、例えば射出成形による成形が、都合よく考えられる。
【0065】
[0071] 完全なアクチュエータ装置60が、図6に示されている。アクチュエータハウジング12は、好ましくは、2つの部分からなるハウジングであり、前述のベース部62と、ベース部62と係合可能である蓋部64とを備える。ロータ支持部材24に収容可能な軸26は、ロータ66と同軸であり、ロータ66は、ロータ収容空間40内に収容される。また、コネクタユニット68が設けられ、コネクタユニット68は、電気コネクタを含み、電気コネクタは、電源に接続されて、コイル巻線46を付勢することができる。
【0066】
[0072] また、追加の軸42は、歯車列の様々な歯車70と同一直線上に示され、ロータ66からの駆動力をアクチュエータ60の出力に伝達する。歯車70の配置は、星形モータに関連する大面積の必要を考慮して、アクチュエータハウジング12の最小限の高さしか要さないようにする。
【0067】
[0073] したがって、このようなアクチュエータは、ステータ14をアクチュエータハウジング12のステータ収容部16に挿入することによって、組み立てることができる。複数の位置決め凹部54は、複数のステータ当接突起28と係合して、ステータ14をロータ支持部材24に対して位置合わせし、好ましくは、ステータ当接突起28は、各々、ステータ14に接触して、均一又は比較的均一な保持力を、少なくとも側方に与える。
【0068】
[0074] ステータ14の軸方向保持力を向上させるため、ステータ当接突起の1つ又はそれ以上は、デテント、キャッチ、ラッチ又はフックなどの軸方向保持部材を含むことができる。例えば、傾斜外面を有する突出フィンガなどの外方に突出するカンチレバーフックを設けることによって、ステータは、位置決め凹部54でステータ当接突起上に摺動することができ、フックは、ステータがその上に押されると、曲がり、そして、例えばロータ近接内面58において又はロータ近接内面58に隣接して、ステータ本体の端縁上に突出するように戻る。したがって、ステータ14は、使用時、振動又は震動などの軸方向の力を受けるときも、適所により弾性的に保持される。
【0069】
[0075] 多構成部品ステータ14の場合、ステータ収容部16に挿入する前の組立は、星形構成を有するコイル本体44を設け、複数のステータ部材48をコイル本体44のアームと係合することによって、行うことができ、各位置決め凹部54は、隣接するステータ部材48の間の境界面に形成される。
【0070】
[0076] 本発明について、アクチュエータハウジングのステータ当接突起が挿入可能であり、ステータを元の位置に位置合わせして位置決めする凹部を有するステータを有するものとして説明してきた。ステータから延在し、アクチュエータハウジングの対応する凹部に挿入可能である突起を設けることができると理解されるであろう。
【0071】
[0077] したがって、ステータが、アクチュエータハウジングの内部に直接且つ容易に位置決め可能であるアクチュエータを提供することができる。アクチュエータハウジングには、ステータにある位置決め凹部と相互に係合可能な複数のステータ当接突起が設けられる。ステータ当接突起は、アクチュエータハウジングと一体に形成され、ひいてはアクチュエータのロータの軸に対して相対的に固定されるので、ステータの位置も固定される。これは、通常、単体のステータよりもずっと大きい製造公差を有する多構成部品ステータの構成にとって有利である。これによって、構成部品の故障のリスクも著しく軽減しながら、付勢部品がステータに必要ないので、費用効果的なステータを製造することができる。
【0072】
[0078] 「備える(comprises/comprising)」という語及び「有する/含む(having/including)」という語は、本発明を参照して本明細書で用いられる場合、説明する特徴、整数、工程又は部品の存在を規定するために使用され、他の1つ以上の特徴、整数、工程、部品又はそれらのグループの存在又は追加を排除するものではない。
【0073】
[0079] 明確にするために別個の実施形態に関連して説明されている本発明の特定の特徴は、1つの実施形態において組み合わせて提供してもよいものと理解される。逆に、簡潔にするために1つの実施形態に関連して説明されている本発明の種々の特徴を、個別に又はそれらを適当に組み合わせて提供してもよい。
【0074】
[0080] 上記の実施形態は単なる例示であり、本明細書で定義する本発明の範囲から逸脱することなく、他の様々な修正が、当業者にとって明らかである。
【符号の説明】
【0075】
10 アクチュエータ
12 アクチュエータハウジング
14 ステータ
16 ステータ収容部
18 内面
20 ベース
22 直立外壁
24 ロータ支持部材
26 軸
28 ステータ当接突起
30 中央支持材
32 位置決めヘッド
32a ロータ対向面
34 2次案内部材
36 直立ステータアーム支持壁
38 アーム
40 ロータ収容空間
42 追加の軸
44 コイル本体
46 コイル巻線
48 ステータ部材
50 外側ステータアーム
52 中央位置決めアーム
54 位置決め凹部
54a スロートアクセス部
56 側方突起
58 ロータ近接内面
60 アクチュエータ
62 ベース部
64 蓋部
66 ロータ
68 コネクタユニット
70 歯車
図1
図2
図3
図4
図5
図6