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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-24
(45)【発行日】2024-02-01
(54)【発明の名称】紫外線硬化樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 81/02 20060101AFI20240125BHJP
   C08G 75/045 20160101ALI20240125BHJP
   C08K 5/521 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
C08L81/02
C08G75/045
C08K5/521
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019219194
(22)【出願日】2019-12-04
(65)【公開番号】P2021088650
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000100698
【氏名又は名称】アイカ工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中野 佑紀
【審査官】宮内 弘剛
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-177924(JP,A)
【文献】特開2015-205943(JP,A)
【文献】国際公開第2014/017328(WO,A1)
【文献】特開2018-027944(JP,A)
【文献】国際公開第2015/080101(WO,A1)
【文献】特開2018-002765(JP,A)
【文献】特開2017-210456(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G
C08K
C08L
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを少なくとも含む多官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)と、(メタ)アクリレートモノマー(B)と、光重合開始剤(C)と、リン酸エステル(D)と、4官能以上のチオール(E)と、安定剤(F)を含み、前記(A)と(B)の合計100重量部に対する(E)の配合量が1.0~15重量部で、(F)の配合量が0.01~3重量部であり、前記(A)がポリテトラメチレンエーテル骨格を有することを特徴とする紫外線硬化樹脂組成物。
【請求項2】
前記(B)の(メタ)アクリレートモノマーが水酸基を含む単官能(メタ)アクリレートモノマー及び/又は2官能直鎖骨格(メタ)アクリレートモノマーを含むことを特徴とする請求項1記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
前記(A)における2官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの重量平均分子量が1000~10000であることを特徴とする請求項1又は2いずれか記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
前記(A)における2官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの配合比率が30~100重量%であることを特徴とする請求項1~3いずれか記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
注形成型用であることを特徴とする、請求項1~4いずれか記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線硬化型で保存安定性に優れた樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
アクリル系の光硬化型樹脂は、プラスチックフィルムやプラスチック成型物表面に特別な性能を付与するために多くの分野で使用されている。例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上に塗布して高硬度を付与したハードコートフィルムは、タッチパネル製品で大量に使用されており、また当該フィルムに粘性を付与した粘着フィルムはフラットパネルディスプレイ製品で最終製品をはじめ、製造工程における保護フィルムとしても使用されている。
【0003】
こうしたプラスチック表面に薄膜で塗布し、特別な性能を付与する分野以外でも、アクリル樹脂はその硬さや透明性を生かし、ブローチや小物などのアクセサリーを自作するための注形用樹脂として使用されている(特許文献1)。そして過去に出願人は、同用途でポリエーテル骨格の数平均分子量が1,000~7,000の2官能のウレタン(メタ)アクリレート樹脂と、単官能メタクリレートモノマーまたは芳香族アクリレートモノマーまたは極性基を持たない脂肪族アクリレートモノマーと、光重合開始剤からなる組成物を発明している(特許文献2)。
【0004】
この発明は、ブラックライト光源で硬化させても、べとつきなどを残さず充分に硬化するという特徴を有した優れたものであった。しかしながら、保存安定性という点では十分でなく、特に高温環境下では増粘しやすいという課題があり、LED光源であっても硬化性が高く、尚且つ高温環境下でも増粘しにくく保存安定性が高いという異なる要求性能を両立させる点で改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平10-264184号公報
【文献】特許6335853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、ブローチや小物などのアクセサリーを自作するような注形成型に適した紫外線硬化樹脂で、紫外線照射光源がLEDでも硬化性に優れ、且つ高温環境下でも増粘しにくく保存安定性にすぐれた樹脂組成物を提供する事にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、2官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを少なくとも含む多官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)と、(メタ)アクリレートモノマー(B)と、光重合開始剤(C)と、リン酸エステル(D)と、4官能以上のチオール(E)と、安定剤(F)を含み、前記(A)と(B)の合計100重量部に対する(E)の配合量が1.0~15重量部で、(F)の配合量が0.01~3重量部であり、前記(A)がポリテトラメチレンエーテル骨格を有することを特徴とする紫外線硬化樹脂組成物を提供する。
【0008】
請求項2記載の発明は、前記(B)の(メタ)アクリレートモノマーが水酸基を含む単官能(メタ)アクリレートモノマー及び/又は2官能直鎖骨格(メタ)アクリレートモノマーを含むことを特徴とする請求項1記載の紫外線硬化性樹脂組成物を提供する。
【0009】
請求項3記載の発明は、前記(A)における2官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの重量平均分子量が1000~10000であることを特徴とする請求項1又は2いずれか記載の紫外線硬化性樹脂組成物を提供する。
【0010】
請求項4記載の発明は、前記(A)における2官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの配合比率が30~100重量%であることを特徴とする請求項1~3いずれか記載の紫外線硬化性樹脂組成物を提供する。
【0011】
請求項5記載の発明は、注形成型用であることを特徴とする、請求項1~4いずれか記載の紫外線硬化性樹脂組成物を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の組成物は、紫外線照射光源がLEDでも硬化性に優れ、且つ高温環境下でも増粘しにくく保存安定性にすぐれており、ブローチや小物などのアクセサリーを自作する手芸用途に適した紫外線硬化型の注形成型用組成物として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の紫外線硬化樹脂組成物の構成は、多官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)と、(メタ)アクリレートモノマー(B)と、光重合開始剤(C)と、リン酸エステル(D)と、4官能以上チオール(E)と、安定剤(F)である。なお、本明細書において、(メタ)アクリレートは、アクリレートとメタクリレートとの双方を包含する。
【0014】
本発明に使用される多官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)は、硬化皮膜を構成する主要成分の1つで、例えばポリオールとポリイソシアネートを反応して得られる化合物の両末端に、更にヒドロキシ(メタ)アクリレートを反応させて生成され、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基とウレタン結合を有する構造が挙げられる。官能基数としては反応性、硬化収縮、保存安定性のバランスが良好な点で2官能のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含む。
【0015】
前記ポリオールとしてはポリエーテル系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリジエン系などが挙げられるが、これらの中では高伸度のポリエーテル系が好ましく、ポリテトラメチレングリコール(以下PTMG)が更に好ましい。またポリイソシアネートとしては芳香族系、脂肪族系、脂環族系などが挙げられるが、これらの中では耐候性に優れる非芳香族系が好ましく、硬度を高くできるイソホロンジイソシアネート(以下IPDI)が更に好ましい。
【0016】
前記(A)における2官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの配合比率は30~100重量%であることが好ましく、80~100重量%であることが更に好ましく、90~100重量%であることが特に好ましい。30重量%以上とすることで、十分な保存安定性を確保できるが、80重量%以上とすることで更に安定性を向上させることができる。
【0017】
前記(A)の重量平均分子量(以下Mw)は、1000~20000であることが好ましく、1500~10000であることが更に好ましく、1500~5000であることが特に好ましい。1000以上とすることで十分な硬度の硬化物とすることができ、20000以下とすることで作業性に適した粘度に調整しやすくなる。なおMwは、ゲル浸透クロマトグラフィーにより、スチレンジビニルベンゼン基材の充填材を用いたカラムでテトラハイドロフラン溶離液を用いて、標準ポリスチレン換算の分子量を測定、算出した。
【0018】
前記(A)の配合量は、固形分全量に対し40~75重量%が好ましく、45~70重量%が更に好ましい。40重量%以上とすることで充分な硬化性を確保することが可能となり、75重量%以下とすることで作業性に適した粘度に調整しやすくなる。
【0019】
本発明に使用される(メタ)アクリレートモノマー(B)は、作業性の良い粘度に調整するための反応性希釈剤として配合される。官能基数は、2官能以下の(メタ)アクリレートモノマーの比率が(B)全体に対し80重量%以上を占めることが好ましい。80重量%未満の場合は硬化性が低下し、硬化物の表面にベタツキが残りやすくなり、また3官能以上の比率が多くなるにつれ硬化収縮が大きくなる傾向がある。
【0020】
前記2官能以下の(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば直鎖(分岐)アルキル骨格、脂肪族環式骨格、エーテル骨格、芳香環含有、水酸基含有、アミノ基含有、ヘテロ環含有などの(メタ)アクリレートモノマーが挙げられ、単独あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの中では、硬化性が良好な点で、水酸基含有の(メタ)アクリレートモノマー、及び直鎖骨格の(メタ)アクリレートモノマーが好ましく、例えば2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2‐ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1.4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1.6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートなどがが挙げられ、特に2‐ヒドロキシプロピルメタクリレート、1.6-ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート(n<10)が好ましい。
【0021】
前記(B)の配合量は、固形分全量に対し10~40重量%が好ましく、15~35重量%が更に好ましい。10重量%以上とすることで作業性に適した粘度に調整しやすくなりすることができ、40重量%以下とすることで充分な硬化性を確保できる。
【0022】
本発明で使用される光重合開始剤(C)は、紫外線や電子線などの照射でラジカルを生じ、そのラジカルが重合反応のきっかけとなるもので、ベンジルケタール系、アセトフェノン系、フォスフィンオキサイド系等汎用の光重合開始剤が使用できる。重合開始剤の光吸収波長を任意に選択することによって、紫外線領域から可視光領域にいたる広い波長範囲にわたって硬化性を付与することができる。具体的にはベンジルケタール系として2.2-ジメトキシ-1.2-ジフェニルエタン-1-オンが、α-ヒドロキシアセトフェノン系として1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン及び1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オンが、α-アミノアセトフェノン系として2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オンが、アシルフォスフィンオキサイド系として2.4.6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド及びビス(2.4.6‐トリメチルベンゾイル)‐フェニルフォスフィンオキサイド等があり、単独または2種以上を組み合わせて使用できる。
【0023】
前記(C)の中では、黄変しにくいα-ヒドロキシアセトフェノン系、及び内部硬化性に優れるアシルフォスフィンオキサイド系を含むことが好ましい。特に注形成型のように硬化皮膜が100μm以上と厚膜化する場合は、アシルフォスフィンオキサイド系の配合が効果的であり、更に両者の併用が好ましい。市販品としてはα-ヒドロキシアセトフェノン系でOmnirad184が、フォスフィンオキサイド系でOmnirad TPO H(商品名:iGM Resins社製)などがある。
【0024】
前記(C)の配合量は、ラジカル重合性成分100重量部に対して、1~25重量部配合することが好ましく、10~20重量部が更に好ましく、12~18重量部が特に好ましい。この範囲で配合する事により、組成物を効率的に硬化させる事ができる。α-ヒドロキシアセトフェノン系とアシルフォスフィンオキサイド系を併用する場合の配合比率は、α-ヒドロキシアセトフェノン系100重量部に対し、アシルフォスフィンオキサイド系20~60重量部が好ましい。
【0025】
本発明に使用されるリン酸エステル(D)は、高温たとえば60℃での保存時における粘度増加を抑える役割で配合する。硬化皮膜からのブリードが発生しにくくなるよう、(メタ)アクリロイル基等の光反応官能基を有することが好ましい。市販品としてはPM-2(商品名:日本化薬社製)及びPM-21(商品名:同社製)などがある。
【0026】
前記(D)の配合量は、(A)と(B)の合計100重量部に対し0.1~4.5重量部であることが好ましく、0.3~4重量部であることが更に好ましく、0.4~3.5重量部であることが特に好ましい。この範囲内とすることで、60℃での保存でも粘度増加を抑えることが可能となり、十分な保存安定性を確保できる。
【0027】
本発明に使用される4官能以上チオール(E)は、紫外線硬化反応を促進させる役割で配合し、酸素による硬化阻害を抑制できるエンチオール反応が可能で、4官能以上と官能基数が多いため反応性が非常に高いチオールである。例えば4官能ではペンタエリスリトールテトラキス(3‐メルカプトプロピオネート)が、6官能ではジペンタエリスリトールヘキサ-3-メルカプトプロピオネート等があり、単独あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。4官能未満のチオールでは反応性が十分でなく、紫外線照射後の硬化物表面にべとつきが残り不可である。また反応性が高い点で2級よりも1級チオールであることが好ましい。
【0028】
前記(E)の配合量は、(A)と(B)の合計100重量部に対し1.0~15重量部であり、1.5~12重量部が好ましく、2.0~5.0重量部が更に好ましい。1.0重量部以上で硬化性を向上させ硬化後の皮膜表面にべとつきを無くすことができ、15重量部以下することで高温環境下での保存安定性を確保できる。市販品ではPEMP(商品名:SC有機化学社製、4官能)及びDPMP(商品名:同社製、6官能)がある。
【0029】
本発明に使用される安定剤(F)は、前記(D)同様、高温保存時における粘度増加を抑える役割で配合する。安定剤の種類としては光安定剤及び酸化防止剤などが挙げられ、具体的にはベンゾトリアゾール系やトリアジン系に代表される紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系、ヒンダードフェノール系、ホスファイト系、チオエーテル系の酸化防止剤が挙げられ、単独あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0030】
前記(F)の配合量は、(A)と(B)の合計100重量部に対し0.01~3.0重量部であり、0.05~2重量部が好ましく、0.08~1.5重量部が更に好ましい。0.01重量部以上とすることで高温下での粘度上昇を抑える効果があり、3.0重量部以下とすることで硬化時の表面べとつきを抑えることが可能となる。市販品ではヒンダードアミン系としてTinuvin123及びTinuvin249(商品名:BASFジャパン社製)、ヒンダードフェノール系としてIrganox1076(商品名:BASFジャパン社製)、チオエーテル系としてAO-503(商品名:アデカ社製)がある。
【0031】
本願組成物には、高温保存時における粘度増加を抑える役割で、更に重合禁止剤(G)を含むことが好ましい。(G)を少量添加することで、前記(D)及び(F)の性能を効果的に引き出すことが可能となり、その配合量も低減できる。具体的にはジブチルヒドロキシトルエンが挙げられ、配合量としては光反応性成分100重量部に対し0.03~0.3重量部が好ましい。
【0032】
本発明の組成物には性能を損なわない範囲で、必要によりレベリング剤、可塑剤、粘着付与剤、顔料、染料、消泡剤、増粘剤、及び濡れ性調整剤等の各種添加剤が含まれていても良い。
【0033】
本組成物の25℃における粘度は、500~15000mPa・sであることが好ましく、1000~10000mPa・sであることが更に好ましい。500mPa・s以上とすることで作業性が向上し注形作業がしやすくなり、15000mPa・s以下とすることで注形型の再現性や気泡抜けが良好となる。
【0034】
本組成物の保存安定性については、加速試験として60℃環境下における増粘率を測定することに
より判断できる。具体的には60℃で14日間放置後の組成物粘度が、初期粘度に対し増加率が20%以下が好ましく、10%以下であることが更に好ましい。20%以下であれば実用上の保存性は十分あると判断される。
【0035】
以下、本発明について実施例及び比較例を挙げてより詳細に説明するが、具体例を示すものであって、特にこれらに限定するものではない。なお表記が無い場合は、室温は25℃相対湿度65%の条件下で測定を行った。また配合量は重量部を示す。
【実施例
【0036】
実施例1
遮光ビンに、前記(A)として2官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(PTMGとIPDIの反応物にヒドロキシ(メタ)アクリレートを反応、Mw.3000)及び6官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを、(B)としてライトエステルHOP(N)(商品名:共栄社化学社製、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート)を、(C)としてOmnirad184(iGM社製、α-ヒドロキシアセトフェノン系)及びOmnirad TPO H(G)(iGM社製、アシルフォスフィンオキサイド系)を、(D)としてPM-21(商品名:日本化薬社製)を、(E)としてPEMP(商品名:SC有機化学社製、ペンタエリスリトールテトラキス(3‐メルカプトプロピオネート))を、(F)としてTinuvin249(商品名:BASFジャパン社製、ヒンダードアミン系)を、(G)としてジブチルヒドロキシトルエンを、レベリング剤としてKL-700(商品名:共栄社化学社製、有機基含有ポリジメチルシロキサン)を、表1に示す量入れ、撹拌脱泡機を用いて均一になるまで15分以上撹拌し実施例1の樹脂組成物を調整した。
【0037】
実施例2~15
実施例1で用いた材料の他、前記(B)として1.6HX-A(商品名:共栄社化学社製、1.6ヘキサンジオールジアクリレート)及びM-240(商品名:東亜合成社製、ポリエチレングリコール(n≒4)ジアクリレート)を、(D)としてPM-2(商品名:日本化薬社製)を、前記(E)としてDPMP(商品名:SC有機化学社製、ジペンタエリスリトールヘキサ-3-メルカプトプロピオネート)を、(F)としてIrganox1076(商品名:BASFジャパン社製)及びAO-503(商品名:アデカ社製)を、表2記載の配合にて撹拌脱泡機を用いて均一になるまで15分以上撹拌し実施例2~15の樹脂組成物を調製した。
【0038】
比較例1~6
実施例で用いた材料の他、3官能チオールとしてTMMP-LV(商品名:SC有機化学社製、トリメチロールプロパン トリス(3-メルカプトプロピオネート))及びTEMPIC(商品名:SC有機化学社製、トリス-[(3-メルカプトプロピオニルオキシ)-エチル]-イソシアヌレート)を用い、表2記載の配合にて撹拌脱泡機を用いて均一になるまで15分以上撹拌し比較例1~6の樹脂組成物を調製した。
【0039】
硬化物の作製
室温の樹脂組成物3gを、シリコーン型(エルベール社製、シリコーンモチーフRSSD-2、20mm×32mm×t5mm)に投入し、樹脂面より4cmの高さから、LED照射機SUN mini(パーツクラブ製)を用い、出力6W、照度6mW/cm2(365nm)(13W/cm2(405nm))で1分間、更に裏面から1分間照射して硬化させた。その後シリコーン型から硬化物を取り出し、23±2℃にて30分放置して作製した。
【0040】
表1
【0041】
表2
【0042】
評価方法は以下の通りとした。
【0043】
粘度:東機産業製のコーンプレート型粘度計RC-550を用い、コーン角3°R17.65で25±1℃、回転数は500~2000mPa・sは20rpm、2000~5000mPa・sは10rpm、5000~10000mPa・sは5rpmで測定した。
【0044】
硬化性:前記硬化物のLEDライト照射面のべたつき度合いを指触により確認し、べたつきが無い場合は○、ある場合は×とした。
【0045】
外観:前記硬化物の透明性、色味を目視にて確認し、無色透明を○、白濁や変色等の異常が見られた場合を×とした。
【0046】
硬化収縮:前記硬化物の反りや気泡の有無を目視にて確認し、気泡がなく反りが2mm未満の場合を○、気泡がある場合、又は反りが2mm以上ある場合は×とした。
【0047】
保存性:50mLの遮光ボトルに樹脂組成物を20g量り取り、60℃の恒温槽で14日間保管後、粘度を測定し、初期粘度からの増粘率が10%以下を◎、10%超~20%を○、20%超を×とした。
【0048】
実施例の評価結果を表2に示す。
表3
【0049】
比較例の評価結果を表4に示す。
表4
【0050】
実施例の樹脂組成物は粘度、硬化性、外観、硬化収縮、保存性のいずれも良好であった。
【0051】
一方、2官能のウレアクを含まない比較例1、(F)を含まない比較例5は保存安定性が劣り、(E)の配合量が少ない比較例2、4官能未満のチオールを用いた比較例3~4、(F)の配合量が多い比較例6は硬化性が劣り、いずれも本願発明に適さないものであった。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の紫外線硬化樹脂組成物は、LED光源を使用しても硬化性に優れると共に、高温下での粘度増加率が低く、保存性が良好であるため、ブローチや小物などのアクセサリーを自作する手芸用途に適した注形成型用樹脂として有用である。