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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-24
(45)【発行日】2024-02-01
(54)【発明の名称】シフト装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 20/02 20060101AFI20240125BHJP
【FI】
B60K20/02 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019232320
(22)【出願日】2019-12-24
(65)【公開番号】P2021098487
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000138462
【氏名又は名称】株式会社ユーシン
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】井立 和宏
【審査官】山本 健晴
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-170027(JP,U)
【文献】特開2008-239055(JP,A)
【文献】特開2005-082102(JP,A)
【文献】特開2007-055323(JP,A)
【文献】特開2017-097818(JP,A)
【文献】実開昭54-001823(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 20/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延在されたシャフトを有すると共に、平面視で第1方向及び前記第1方向に交差する第2方向に揺動可能に構成されたシフト部材と、
下側へ開放された椀形に形成され、前記シャフトが挿通された上側開口部を中央部に有する上ホルダと、
前記上ホルダの下側に配置され、下側へ開放された椀形に形成され、前記シャフトが挿通された下側開口部を中央部に有すると共に、前記上ホルダの下面に沿って前記第2方向に揺動可能に前記上ホルダに連結された下ホルダと、
前記上ホルダと前記下ホルダとの間に配置され、下側へ開放された椀形に形成され、前記上側開口部を閉塞すると共に、前記シャフトが挿通された挿通部を中央部に有し、前記シフト部材と連動して前記上ホルダの下面に沿って揺動するカバーと、
を備え、
前記カバーが、前記挿通部に対して前記カバーの径方向外側において、前記第1方向に相対揺動可能に且つ前記第2方向に一体揺動可能に前記下ホルダに連結されているシフト装置。
【請求項2】
前記カバー及び前記下ホルダの一方には、前記カバー及び前記下ホルダの他方側へ突出され且つ前記第1方向に延在された係合部が形成され、
前記カバー及び前記下ホルダの他方には、前記第1方向に延在され且つ前記係合部が前記第1方向に相対移動可能に挿入された被係合部が形成されており、
前記第2方向において、前記係合部が前記被係合部に係合している請求項1に記載のシフト装置。
【請求項3】
前記係合部は、前記カバーに形成され、前記被係合部は、前記下ホルダに形成されたスリットとして構成されており、
前記下ホルダは、前記係合部を支持するバネ性を有する受け部を有しており、
前記受け部は、前記スリットの下側において前記下ホルダの下面に沿って前記第1方向に延在され、前記受け部の長手方向両端部が、前記下ホルダに連結されており、
前記受け部が、前記係合部を上側へ付勢している請求項2に記載のシフト装置。
【請求項4】
前記カバーの外周部には、上側へ突出して前記上ホルダに当接された突起部が形成されている請求項1~請求項3の何れか1項に記載のシフト装置。
【請求項5】
前記上ホルダの外周部には、前記第1方向の端部において、下側へ延出された上ホルダ連結部が形成され、
前記下ホルダの外周部には、前記第1方向の端部において、下側へ延出された下ホルダ連結部が形成されており、
前記下ホルダ連結部が、前記上ホルダ連結部に前記第1方向を軸方向として回転可能に支持されている請求項1~請求項4の何れか1項に記載のシフト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シフト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載されたシフト装置では、レバー本体のレバーシャフト(シャフト)が、球状に形成されたレバーカバー(カバー)を挿通しており、レバーカバーが、シフトパネルの開口部を閉塞している。そして、レバー本体が操作されると、レバーカバーが、レバー本体と連動して揺動する。また、レバーカバーの揺動時には、レバーカバーのシフトパネルの開口部の閉塞状態が維持される。これにより、シフトパネルの開口部からシフト装置の内部が視認されることを、レバーカバーによって防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-82102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記シフト装置では、以下に示す点において改善の余地がある。すなわち、上記シフト装置では、レバーカバーが、レバー本体のレバーシャフトの軸回りに相対回転する可能性がある。この場合には、レバーカバーが、シフトパネルの開口部内をシフトパネルに対して相対回転する。これにより、シフト装置の見栄えが低下する可能性がある。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、見栄えを向上することができるシフト装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、上下方向に延在されたシャフトを有すると共に、平面視で第1方向及び前記第1方向に交差する第2方向に揺動可能に構成されたシフト部材と、下側へ開放された椀形に形成され、前記シャフトが挿通された上側開口部を中央部に有する上ホルダと、前記上ホルダの下側に配置され、下側へ開放された椀形に形成され、前記シャフトが挿通された下側開口部を中央部に有すると共に、前記上ホルダの下面に沿って前記第2方向に揺動可能に前記上ホルダに連結された下ホルダと、前記上ホルダと前記下ホルダとの間に配置され、下側へ開放された椀形に形成され、前記上側開口部を閉塞すると共に、前記シャフトが挿通された挿通部を中央部に有し、前記シフト部材と連動して前記上ホルダの下面に沿って揺動するカバーと、を備え、前記カバーが、前記挿通部に対して前記カバーの径方向外側において、前記第1方向に相対揺動可能に且つ前記第2方向に一体揺動可能に前記下ホルダに連結されているシフト装置である。
【0007】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記カバー及び前記下ホルダの一方には、前記カバー及び前記下ホルダの他方側へ突出され且つ前記第1方向に延在された係合部が形成され、前記カバー及び前記下ホルダの他方には、前記第1方向に延在され且つ前記係合部が前記第1方向に相対移動可能に挿入された被係合部が形成されており、前記第2方向において、前記係合部が前記被係合部に係合しているシフト装置である。
【0008】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記係合部は、前記カバーに形成され、前記被係合部は、前記下ホルダに形成されたスリットとして構成されており、前記下ホルダは、前記係合部を支持するバネ性を有する受け部を有しており、前記受け部は、前記スリットの下側において前記下ホルダの下面に沿って前記第1方向に延在され、前記受け部の長手方向両端部が、前記下ホルダに連結されており、前記受け部が、前記係合部を上側へ付勢しているシフト装置である。
【0009】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記カバーの外周部には、上側へ突出して前記上ホルダに当接された突起部が形成されているシフト装置である。
【0010】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記上ホルダの外周部には、前記第1方向の端部において、下側へ延出された上ホルダ連結部が形成され、前記下ホルダの外周部には、前記第1方向の端部において、下側へ延出された下ホルダ連結部が形成されており、前記下ホルダ連結部が、前記上ホルダ連結部に前記第1方向を軸方向として回転可能に支持されているシフト装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の1又はそれ以上の実施形態によれば、見栄えを向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施の形態に係るシフトレバー装置を示す右斜め後方から見た斜視図である。
図2図1に示されるシフトレバー装置を分解した分解斜視図である。
図3図1に示されるシフトレバー装置をパネル及びノブを取外した状態で示す上側から見た平面図である。
図4図3に示される上ホルダ、下ホルダ、カバーを示す右側から見た断面図(図3の4-4線断面図)である。
図5図3に示される上ホルダ、下ホルダ、カバーを示す後側から見た断面図(図3の5-5線断面図)である。
図6】(A)は、図4に示される下ホルダのスリットの一端部を示す前側からみた拡大した断面図(図4の6A-6A線断面図)であり、(B)は、図4に示される下ホルダのスリットの長手方向中間部を示す前側からみた拡大した断面図(図4の6B-6B線断面図)である。
図7】(A)は、図4に示されるシフトレバーが後側へ操作されたときのカバーの揺動状態を示す図4に対応する断面図であり、(B)は、図5に示されるシフトレバーが右側へ操作されたときのカバーの揺動状態を示す図5に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を用いて、本実施の形態に係る「シフト装置」としてのシフトレバー装置10について説明する。なお、図面において、適宜示される矢印UP、矢印FR,矢印RHは、それぞれシフトレバー装置10の上側、前側、右側を示している。そして、以下の説明において、上下、前後、左右の方向を用いて説明するときには、特に断りのない限り、シフトレバー装置10の上下、前後、左右として説明する。
【0014】
図1及び図2に示されるように、シフトレバー装置10は、パネル20と、「シフト部材」としてのシフトレバー30と、上ホルダ40と、下ホルダ50と、カバー60と、を含んで構成されている。また、本実施の形態のシフトレバー装置10は、車両(自動車)に搭載されており、一例として、所謂バイワイヤ式のシフトレバー装置として構成されている。そして、シフトレバー30が、「第1方向」としての前後方向(シフト方向ともいう)及び「第2方向」としての左右方向(セレクト方向ともいう)に操作可能に構成されており、所定のシフト位置に配置される構成になっている。以下、シフトレバー装置10の各構成について説明する。
【0015】
(パネル20について)
パネル20は、略上下方向を板厚方向とした矩形板状に形成されて、車両のセンタコンソール等に設置されている。パネル20の前部における左右方向中央部には、後述するシフトレバー30のシャフト34を挿通させるための円形状のパネル開口部21が貫通形成されている。
【0016】
(シフトレバー30について)
シフトレバー30は、シャフトホルダ32と、シャフト34と、を含んで構成されている。シャフトホルダ32は、全体として上下方向を軸方向とした略円筒状に形成されており、シャフトホルダ32の軸方向中間には、ホルダ側連結孔32Aが前後方向に貫通形成されている。また、シャフト34は、上下方向を軸方向とした略円柱状に形成されており、シャフト34の軸方向中間部には、シャフト側連結孔34Aが前後方向に貫通形成されている。そして、シャフト34がシャフトホルダ32内に挿入されて、ホルダ側連結孔32A及びシャフト側連結孔34Aに、前後方向を軸方向とした支持ピン36が挿入されている。これにより、シャフトホルダ32とシャフト34とが連結されている。
【0017】
そして、シフトレバー30は、レバーホルダ(図示省略)を介してシフトレバー装置10の筐体(図示省略)に前後方向及び左右方向に揺動操作可能に連結されている。具体的には、シフトレバー30が、支持ピン36の軸線L1(図2参照)の軸回りに左右方向に揺動可能に構成されている。また、シフトレバー30は、左右方向に沿った軸線L2(図2参照)の軸回りに前後方向に揺動可能に構成されている。なお、軸線L2は、軸線L1とシャフト34の軸線との交点を通過しており、軸線L1と軸線L2との交点を、仮想中心点CP(図2参照)としている。
【0018】
また、シャフト34は、パネル20のパネル開口部21の中央部を挿通しており、シャフト34の上端部がパネル20から上側へ突出している。また、シャフト34の上端部には、ノブ38が設けられており、シフトレバー30の操作時には、操作者がノブ38を把持するように構成されている。
【0019】
(上ホルダ40について)
図2図5に示されるように、上ホルダ40は、パネル20の下側に配置されて、パネル20に保持されている。上ホルダ40は、下側へ開放された略半球状の椀形に形成されている。すなわち、上ホルダ40は、上側から見た平面視で、略円形状に形成されており、左右方向から見て、径方向外側へ向かうに従い下側へ曲線状に傾斜している。また、上ホルダ40の上面及び下面は、仮想中心点CPを中心とした球面状に形成されている。つまり、上側から見た平面視で、上ホルダ40が、パネル開口部21と同軸上に配置されている。
【0020】
また、上ホルダ40の外周部には、前後方向両端部において、前後一対の上ホルダ連結部41が形成されている。上ホルダ連結部41は、前後方向を板厚方向とした略矩形板状に形成されて、上ホルダ40から下側へ延出されている。上ホルダ連結部41には、円形状の支持孔42がそれぞれ貫通形成されており、支持孔42は、軸線L1と同軸上に配置されている。
【0021】
上ホルダ40の中央部には、円形状の上側開口部43が貫通形成されており、上側開口部43の直径が、パネル開口部21の直径よりも大きく設定されている。そして、シフトレバー30のシャフト34が、上側開口部43の内部を挿通している。
【0022】
(下ホルダ50について)
下ホルダ50は、樹脂材によって構成されている。下ホルダ50は、上ホルダ40と同様に、下側へ開放された略半球状の椀形に形成されて、上ホルダ40の下側に配置されている。すなわち、下ホルダ50は、上側から見た平面視で、略円形状に形成されており、左右方向から見て、径方向外側へ向かうに従い下側へ曲線状に傾斜している。また、下ホルダ50の上面及び下面は、仮想中心点CPを中心とした球面状に形成されている。つまり、上側から見た平面視で、下ホルダ50が、上ホルダ40と同軸上に配置されており、仮想中心点CPから下ホルダ50までの距離が、仮想中心点CPから上ホルダ40までの距離よりも小さく設定されている。これにより、上ホルダ40と下ホルダ50との間には、隙間Gが形成されている。
【0023】
下ホルダ50の外周部には、前後方向両端部において、前後一対の下ホルダ連結部51が形成されている。下ホルダ連結部51は、前後方向を板厚方向とした略矩形板状に形成されて、下ホルダ50から下側へ延出されると共に、上ホルダ連結部41の前後方向内側に隣接して配置されている。下ホルダ連結部51には、上ホルダ40の支持孔42に対応する位置において、支持軸52が形成されている。支持軸52は、前後方向を軸方向とした円柱状に形成され、下ホルダ連結部51から前後方向外側へ突出して、支持孔42内に回転可能に挿入されている。これにより、下ホルダ50が、軸線L1回りに上ホルダ40に揺動可能に連結されている。換言すると、下ホルダ50が、上ホルダ40の下面に沿って左右方向に揺動可能に上ホルダ40に連結されている。
【0024】
下ホルダ50の中央部には、円形状の下側開口部53が貫通形成されており、下側開口部53の直径が、上ホルダ40の上側開口部43の直径よりも小さく設定されている。そして、シフトレバー30のシャフト34が、下側開口部53の内部を挿通している。
【0025】
下ホルダ50には、前後一対の「被係合部」としてのスリット54が形成されており、スリット54は、平面視で、前後方向に直線状に延在されると共に、軸線L1上に配置されている。すなわち、スリット54は、平面視で、下側開口部53の径方向外側において、下ホルダ50の径方向に沿って前後方向に延在されている。スリット54は、上下方向に貫通しており、スリット54の一端部(下ホルダ50の径方向内側の端部)が、下側開口部53と連通している。スリット54の他端部(下ホルダ50の径方向外側の端部)は、下ホルダ連結部51に形成されており、下ホルダ50の径方向外側から見て上側へ開放された略U字形溝状に形成されている。すなわち、スリット54は、他端部を除いて、上下方向に貫通している。
【0026】
図2、及び図4図6(A)に示されるように、下ホルダ50の下面には、スリット54の一端部において、一対のスリット連結部55がそれぞれ形成されている。スリット連結部55は、前後方向から見て、上側へ開放された略U字形状に形成されている。具体的には、スリット連結部55は、左右方向に延在された底壁55Aと、底壁55Aの左右方向両端部から上側へ延出された側壁55Bと、を含んで構成されている(図6(A)参照)。そして、側壁55Bの上端部が、スリット54の一端部の縁部である下ホルダ50の下面に接続されている。これにより、スリット連結部55が、下ホルダ50から下側へ突出すると共に、スリット54の一端部を跨ぐように形成されている。また、スリット連結部55の側壁55Bの内周面は、スリット54の内周面と面一に配置されており、スリット連結部55の内部とスリット54の一端部の内部とが連通している(図6(A)参照)。
【0027】
図2図4図5、及び図6(B)に示されるように、下ホルダ50は、後述するカバー60の係合リブ62を受ける、前後一対の受け部56を有している。受け部56は、スリット54の下側において前後方向に延在されると共に、左右方向から見て、下ホルダ50と同心円状に湾曲されている(図4参照)。すなわち、左右方向から見て、受け部56が、スリット54と平行に延在されている。そして、受け部56の一端部(下ホルダ50の径方向内側端部)が、スリット連結部55の底壁55Aに接続され、受け部56の他端部(下ホルダ50の径方向外側端部)が、下ホルダ連結部51に接続されている。これにより、受け部56の長手方向両端部が、下ホルダ50に連結されている。また、受け部56は、その長手方向から見て、矩形状に形成されており、受け部56の上面が、スリット連結部55の底壁55Aの上面と面一に配置されている。
【0028】
また、受け部56は、その長手方向から見て、上下方向に弾性変形可能に構成されている。すなわち、受け部56は、その長手方向両端部が下ホルダ50によって支持された、バネ性を有する板バネ又は棒バネとして構成されている。
【0029】
(カバー60について)
図2図6に示されるように、カバー60は、上ホルダ40及び下ホルダ50と同様に、下側へ開放された略半球状の椀形に形成されている。また、カバー60の上面及び下面は、仮想中心点CPを中心とした球面状に形成されており、カバー60は、上ホルダ40と下ホルダ50との間の隙間Gに配置されて、下ホルダ50によって支持されている。つまり、上側から見た平面視で、カバー60が、上ホルダ40及び下ホルダ50と同軸上に配置されており、仮想中心点CPからカバー60まで距離が、仮想中心点CPから上ホルダ40までの距離よりも小さく、仮想中心点CPから下ホルダ50までの距離よりも大きく設定されている。
【0030】
また、平面視におけるカバー60の直径が、パネル20のパネル開口部21、上ホルダ40の上側開口部43、及び下ホルダ50の下側開口部53の直径よりも大きく設定されている。これにより、カバー60によって、上側開口部43及び下側開口部53が閉塞されており、カバー60の中央部がパネル開口部21から露出している(図1参照)。
【0031】
カバー60の中央部には、上側へ突出した略円筒状の挿通部61が形成されており、挿通部61の内部は上下方向に貫通している。そして、シフトレバー30のシャフト34が挿通部61内を挿通しており、シフトレバー30の操作に連動して、カバー60が下ホルダ50の上面及び上ホルダ40の下面に沿って前後方向又は左右方向に揺動する構成になっている。
【0032】
カバー60の下面には、挿通部61の径方向外側において、下側(下ホルダ50側)へ突出した前後一対の「係合部」としての係合リブ62が形成されている。係合リブ62は、平面視で、前後方向に直線状に延在されると共に、軸線L1上に配置されている。すなわち、係合リブ62は、平面視で、挿通部61の径方向外側において、カバー60の径方向に沿って前後方向に延在されている。また、係合リブ62の下面は、左右方向から見て、カバー60の下面と平行になるように円弧状に湾曲されており、係合リブ62の幅寸法が、下ホルダ50のスリット54の幅寸法よりも僅かに小さく設定されている。
【0033】
そして、係合リブ62が、下ホルダ50のスリット54内に、前後方向に相対移動可能に且つ左右方向に係合可能に挿入されている(図6(A)及び(B)参照)。すなわち、カバー60が、前後方向に相対揺動可能に且つ左右方向に係合可能に下ホルダ50に連結されている。これにより、シフトレバー30が、前後方向に揺動操作されたときには、カバー60が、上ホルダ40及び下ホルダ50に対して前後方向に相対揺動し、シフトレバー30が、左右方向に揺動操作されたときには、カバー60が、下ホルダ50と共に、上ホルダ40に対して左右方向に相対揺動する構成になっている。
【0034】
また、シフトレバー30の揺動操作時には、上ホルダ40の上側開口部43及び下ホルダ50の下側開口部53に対するカバー60の閉塞状態が維持されるように、カバー60の大きさが設定されている。
【0035】
さらに、カバー60の係合リブ62が下ホルダ50のスリット54内に挿入された状態では、係合リブ62の下面が、下ホルダ50の受け部56の上面に面で当接するように設定されている。これにより、係合リブ62がスリット54内を前後方向に相対移動するときには、係合リブ62の下面が、受け部56の上面を摺動する構成になっている。
【0036】
また、カバー60の上面は、上ホルダ40の下面に対して下側に所定距離離間して配置されている。すなわち、カバー60の板厚が、隙間Gの上下方向の厚みよりも薄く設定されており、カバー60と上ホルダ40との間には所定の間隙が形成されている。カバー60の外周部には、上側へ突出した突起部63(図4の部分拡大図参照)が形成されており、突起部63は、カバー60の周方向全周に亘って形成されている。突起部63は、カバー60の周方向から見て、上側へ凸となる略半円状に形成されて、上ホルダ40の下面に隣接して配置されている。
【0037】
また、係合リブ62の下面と突起部63の上端との間の距離H1(図4の部分拡大図参照)が、下ホルダ50の受け部56の上面と上ホルダ40の下面との間の距離H2(図4の部分拡大図参照)よりも若干大きく設定されている。このため、係合リブ62が下ホルダ50のスリット54に挿入された状態では、受け部56が係合リブ62によって下側へ弾性変形して、受け部56が係合リブ62を上側へ付勢するように構成されている。これにより、突起部63が上ホルダ40の下面に当接する構成になっている。すなわち、係合リブ62がスリット54内を前後方向に相対移動するときには、突起部63の上端が、上ホルダ40の下面を摺動する構成になっている。
【0038】
(作用効果)
次に、本実施の形態の作用及び効果について説明する。
【0039】
上記のように構成されたシフトレバー装置10では、シフトレバー30を前後方向に揺動操作すると、カバー60がシフトレバー30と共に、軸線L2を中心に上ホルダ40に対して前後方向に相対揺動する。また、このときには、下ホルダ50の左右方向の揺動が、カバー60の係合リブ62によって制限される。したがって、図7(A)に示されるように、カバー60のみがシフトレバー30の揺動操作に連動して、前後方向に揺動する。なお、図7(A)では、シフトレバー30が後側へ揺動操作された例を図示している。また、このときには、カバー60による上ホルダ40の上側開口部43の閉塞状態が維持される。したがって、シフトレバー装置10の内部が視認されることをカバー60によって防止できる。
【0040】
一方、シフトレバー30を左右方向に揺動操作すると、カバー60がシフトレバー30と共に、軸線L1を中心に上ホルダ40に対して左右方向に相対揺動する。また、このときには、カバー60の係合リブ62が下ホルダ50のスリット54の内周面に係合する。したがって、図7(B)に示されるように、下ホルダ50が、カバー60と共に、軸線L2回りに上ホルダ40に対して左右方向に相対揺動する。なお、図7(B)では、シフトレバー30が右側へ揺動操作された例を図示している。また、このときには、カバー60による上ホルダ40の上側開口部43の閉塞状態が維持される。したがって、シフトレバー装置10の内部が視認されることをカバー60によって防止できる。
【0041】
以上説明したように、シフトレバー装置10では、上ホルダ40、下ホルダ50、及びカバー60が、下側へ開放された椀形状に形成されている。そして、カバー60が、上ホルダ40と下ホルダ50との間に配置されて、上ホルダ40の上側開口部43及び下ホルダ50の下側開口部53を閉塞している。また、シフトレバー30のシャフト34が、カバー60の挿通部61を挿通しており、カバー60がシフトレバー30の揺動と連動して揺動する。
【0042】
また、カバー60の下面には、挿通部61の径方向外側において、前後一対の係合リブ62が形成されており、係合リブ62は、前後方向に延在されている。また、下ホルダ50には、前後一対のスリット54が形成されており、スリット54が、前後方向に延在されている。
【0043】
ここで、係合リブ62がスリット54内に前後方向に相対移動可能に且つ左右方向に係合可能に挿入されている。つまり、カバー60が、挿通部61の径方向外側において、前後方向に相対揺動可能に且つ左右方向に一体揺動可能に下ホルダ50に連結されている。このため、カバー60における下ホルダ50との連結部(すなわち、係合リブ62)がカバー60の回転止めとして機能する。これにより、カバー60が、パネル20に対してシャフト34の軸回りに相対回転することを防止できる。したがって、シフトレバー装置10の見栄えを向上することができる。
【0044】
また、上ホルダ40の外周部には、下側へ延出された前後一対の上ホルダ連結部41が形成されており、下ホルダ50の外周部には、下側へ延出された前後一対の下ホルダ連結部51が形成されている。そして、下ホルダ連結部51の支持軸52が上ホルダ連結部41の支持孔42内に挿入されて、下ホルダ50が、前後方向を軸方向として回動可能に上ホルダ40に支持されている。これにより、簡易な構成で、下ホルダ50を上ホルダ40の下面に沿って左右方向に揺動可能に構成することができる。
【0045】
また、カバー60には、下ホルダ50側へ突出した前後一対の係合リブ62が形成されており、係合リブ62は、挿通部61の径方向外側において、前後方向に延在されている。さらに、下ホルダ50には、前後一対のスリット54が形成されており、スリット54は、下側開口部53の径方向外側において、前後方向に延在されている。そして、係合リブ62が前後方向に相対移動可能に且つ左右方向に係合可能にスリット54内に挿入されている。これにより、係合リブ62及びスリット54によって、カバー60を、挿通部61の径方向外側において、前後方向に相対揺動可能に且つ左右方向に一体揺動可能に下ホルダ50に連結させることができる。
【0046】
また、下ホルダ50の下面には、スリット54の一端部において、スリット54を跨ぐスリット連結部55が形成されている。また、スリット54の下側には、前後方向に延在されたバネ性を有する受け部56が形成されており、受け部56の一端部がスリット連結部55に接続され、受け部56の他端部が下ホルダ連結部51に接続されている。そして、受け部56が、スリット54内に挿入された係合リブ62を下側から支持すると共に、係合リブ62を上側へ付勢している。換言すると、受け部56は、長手方向両端部が下ホルダ50に支持された板バネ又は棒バネとして構成されて、係合リブ62を上側へ付勢している。このため、受け部56の付勢力によって、カバー60を、上側へ付勢して、上ホルダ40の下面に当接させることができる。その結果、上ホルダ40と下ホルダ50との間に配置されたカバー60のガタなどを抑制することができる。したがって、例えば、上ホルダ40とカバー60との間で異音等が発生することを抑制できる。
【0047】
また、カバー60の外周部には、上側へ突出した突起部63が形成されており、突起部63が、上ホルダ40の下面に当接している。これにより、カバー60の外周部を上ホルダ40の下面に当接させて、カバー60の上面の全体が上ホルダ40の下面に当接することを抑制できる。したがって、シフトレバー30と共にカバー60が揺動するときの、上ホルダ40の対するカバー60の摺動抵抗を低減することができる。したがって、カバー60を上ホルダ40に対してスムースに相対揺動させることができる。
【0048】
また、突起部63は、カバー60の周方向から見て、上側へ凸となる略半円状に形成されている。このため、カバー60の外周部を上ホルダ40に線接触させることができる。これにより、上ホルダ40の対するカバー60の摺動抵抗を一層低減することができる。換言すると、シフトレバー30の揺動操作に対する受け部56の付勢力の影響を抑制しつつ、受け部56の付勢力によって突起部63を上ホルダ40に当接させて、カバー60のガタツキ等を抑制することができる。
【0049】
なお、本実施の形態のシフトレバー装置10において、上ホルダ40、下ホルダ50、及びカバー60を平面視で90度回転させた位置に配置した構成にしてもよい。この場合には、下ホルダ50が上ホルダ40に左右方向を軸方向として揺動可能に連結される。また、下ホルダ50のスリット54及び受け部56が、平面視で左右方向に延在され、カバー60の係合リブ62が、平面視で左右方向に延在される。このため、この場合には、左右方向が本発明の「第1方向」に対応し、前後方向が本発明の「第2方向」に対応する。
【0050】
また、本実施の形態では、下ホルダ50にスリット54が形成されており、カバー60に係合リブ62が形成されている。これに代えて、下ホルダ50に上側へ突出した「係合部」としての係合リブを形成し、当該係合リブが挿入される「被係合部」としての有底の溝を、カバー60の下面に形成してもよい。
【0051】
また、本実施の形態では、下ホルダ50のスリット54が、他端部を除いて、上下方向に貫通形成されている。これに代えて、スリット54を上側へ開放された有底の溝状に形成してもよい。この場合には、下ホルダ50において、スリット連結部55及び受け部56を省略してもよい。すなわち、スリット54の底面で、カバー60の係合リブ62の下端を受けるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0052】
10 シフトレバー装置(シフト装置)
30 シフトレバー(シフト部材)
34 シャフト
40 上ホルダ
41 上ホルダ連結部
43 上側開口部
50 下ホルダ
51 下ホルダ連結部
53 下側開口部
54 スリット(被係合部)
55 スリット連結部
56 受け部
60 カバー
61 挿通部
62 係合リブ(係合部)
63 突起部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7