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特許7426238建造物の固定枠とこれに固着された窓枠との組み合わせ
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  • 特許-建造物の固定枠とこれに固着された窓枠との組み合わせ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-24
(45)【発行日】2024-02-01
(54)【発明の名称】建造物の固定枠とこれに固着された窓枠との組み合わせ
(51)【国際特許分類】
   E06B 1/56 20060101AFI20240125BHJP
   E06B 1/30 20060101ALI20240125BHJP
   E06B 1/62 20060101ALI20240125BHJP
   E06B 7/14 20060101ALI20240125BHJP
   E04B 2/56 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
E06B1/56 Z
E06B1/30
E06B1/62 B
E06B7/14
E04B2/56 645A
E04B2/56 644A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020001247
(22)【出願日】2020-01-08
(65)【公開番号】P2021110118
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2022-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】300088186
【氏名又は名称】株式会社エクセルシャノン
(73)【特許権者】
【識別番号】390018717
【氏名又は名称】旭化成建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003524
【氏名又は名称】弁理士法人愛宕綜合特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100202692
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 吉文
(72)【発明者】
【氏名】高田 和規
(72)【発明者】
【氏名】冨田 直哉
(72)【発明者】
【氏名】中島 久則
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 梓
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-127739(JP,A)
【文献】特開2018-071257(JP,A)
【文献】特開2008-050793(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0133276(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02963222(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/56
E06B 1/30
E06B 1/62
E06B 7/14
E04B 2/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建造物の固定枠と該固定枠の内周面に外周面が固着され窓枠との組み合わせにおいて、
該窓枠の外側面は、該外周面の外側端から内周側に延び且つ該固定枠の外側面と面一である外周部と、該外周部の内周縁から外側に突出する肩部と、該肩部の外側縁から該外周部と平行に延びる内周部とを有する、
ことを特徴とする組み合わせ。
【請求項2】
該肩部は該外周部に対して垂直に突出する、請求項1記載の組み合わせ。
【請求項3】
該窓枠は合成樹脂製である、請求項1又は2記載の組み合わせ。
【請求項4】
該建造物は主要部が木製である木造建造部であり、該固定枠は一対の木製管柱又は間柱、木製まぐさ及び木製窓台を含んでおり、該窓枠は該一対の管柱又は間柱の内周面に夫々固着される一対の側部材と該まぐさの内周面に固着される上部材と該窓台の内周面に固着される下部材とを含む、請求項1から3までのいずれかに記載の組み合わせ。
【請求項5】
該管柱又は該間柱の外側面に配設された板部材の外側面及び該側部材の外側面における外周部に渡って断熱材が配設されており、該まぐさの外側面に配設された板部材の外側面及び該上部材の外側面における外周部に渡っても断熱材が配設されている、請求項4記載の組み合わせ。
【請求項6】
該管柱又は該間柱の該外側面に配設された該板部材の該外側面及び該側部材の該外側面における該外周部と該断熱材との間並びに該まぐさの該外側面に配設された該板部材の該外側面及び該上部材の該外側面における該外周部と該断熱材との間には防水テープが介在されている、請求項記載の組み合わせ。
【請求項7】
該窓枠の該下部材は捨て枠を介して該窓台の内周面に固着されており、該捨て枠の外側面も該下部材の外側面における外周部と面一である、請求項4から6までのいずれかに記載の組み合わせ。
【請求項8】
該窓台の外側面に配設された板部材の外側面、該捨て枠の該外側面及び該下部材の該外側面における該外周部には防水テープが配設されている、請求項7記載の組み合わせ。
【請求項9】
該下部材の外側面における外周部には水切りの内側縁が固着されている、請求項7又は8記載の組み合わせ。
【請求項10】
該窓台の外側面に配設された該板部材の該外側面、該捨て枠の該外側面及び該下部材の該外側面における該外周部の該水切りよりも外周側の部分に渡って、該防水テープを介在させて断熱材が配設されている、請求項9記載の組み合わせ。
【請求項11】
該下部材には、該外側面における該肩部に開口する排水孔が形成されている、請求項9又は10記載の組み合わせ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建造物の固定枠とこれに固着された窓枠との組み合わせ、更に詳しくは、それに限定されるものではないが、主要部が木製である木造建造物の固定枠とこれに固着される合成樹脂製窓枠との組み合わせ、に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者等は、先に、下記特許文献1において、木造建造物の断熱特性を、外観を損ねる等の別個の問題を生成せしめることなく、充分良好なものにすることを可能にする、建造物の固定枠とこれに固着された窓枠との組み合わせを提供した。かかる組み合わせにおいては、窓枠を構成する一対の側部材、上部材及び下部材は、夫々、固定枠の一対の管柱又は間柱の内周面、まぐさの内周面及び窓台の内周面に固定される。一対の側部材、上部材及び下部材は、一対の管柱又は間柱、まぐさ及び窓台の外側面を超えて突出することがなく、好適には一対の側部材、上部材及び下部材の外側面は一対の管柱又は間柱、まぐさ及び窓台の外側面と面一である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-71257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者等が先に提案した上記組み合わせによれば、一対の側部材、上部材及び下部材は、一対の管柱又は間柱、まぐさ及び窓台の外側面を超えて外側に突出することがなく、好適には一対の側部材、上部材及び下部材の外側面は一対の管柱又は間柱、まぐさ及び窓台の外側面と面一である故に、外観を損ねる等の別個の問題を生成せしめることなく、固定枠の外側面から一対の側部材及び上部材の外側面における外周部に渡って断熱材を配設することができ(下部材の外側面の一部には水切りが位置するので、下部材に対する断熱材の配設は一対の側部材及び上部材の外側面に対する断熱材の配設とは異なる)、そしてまた断熱材を配設することによって外観が損なわれることがない。しかしながら、本発明者等の経験によれば、上記組み合わせも未だ充分に満足し得るものではなく、(1)窓枠の外側面における如何なる部位まで断熱材を配設するか、断熱材の施工に先立って実測し所謂墨だしを行うことが必要である、(2)下部材の外側面に排水孔を形成する必要があり、外観が毀損されるのを防止するためには排水孔に適宜のキャップ等を装着する必要がある、(3)窓台と下部材との間に介在された捨て枠と水切りの内側縁部とを、窓台の外側面よりも内側に引き込んだ領域において固着することが必要であり、それ故に一般的な水切りではなくて特の水切りを使用することが必要であると共に、下部材から窓台に至る外側面における気密性及び水密性の確保に煩雑な施工が必要である、という解決すべき問題が存在することが判明した。
【0005】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、本発明者等が先に提案した上記組み合わせに存在する上記問題を解決した、新規且つ改良された建造物の固定枠とこれに固着された窓枠との組み合わせを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、鋭意検討の結果、窓枠の外側面を固定枠の外側面と面一である外周部とこの外周部の内周縁から外側に突出する肩部と肩部の外周縁から外周部と平行に延びる内周部とを有する形態にすることによって上記主たる技術的課題を達成することができることを見出した。
【0007】
即ち、本発明によれば、上記主たる技術的課題を達成する建造物の矩形固定枠とこれに固着された窓枠との組み合わせとして、
建造物の固定枠と該固定枠の内周面に外周面が固着され窓枠との組み合わせにおいて、
該窓枠の外側面は、該外周面の外側端から内周側に延び且つ該固定枠の外側面と面一である外周部と、該外周部の内周縁から外側に突出する肩部と、該肩部の外側縁から該外周部と平行に延びる内周部とを有する、
ことを特徴とする組み合わせが提供される。
【0008】
好ましくは、該肩部は該外周部に対して垂直に突出する。該窓枠は合成樹脂製であるのが好都合である。好適形態においては、該建造物は主要部が木製である木造建造部であり、該固定枠は一対の木製管柱又は間柱、木製まぐさ及び木製窓台を含んでおり、該窓枠は該一対の管柱又は間柱の内周面に夫々固着される一対の側部材と該まぐさの内周面に固着される上部材と該窓台の内周面に固着される下部材とを含む。該管柱又は該間柱の外側面に配設された板部材の外側面及び該側部材の外側面における外周部に渡って断熱材が配設されており、該まぐさの外側面に配設された板部材の外側面及び該上部材の外側面における外周部に渡っても断熱材が配設されているのが好適である。該管柱又は該間柱の該外側面に配設された該板部材の該外側面及び該側部材の該外側面における該外周部と該断熱材との間並びに該まぐさの該外側面に配設された該板部材の該外側面及び該上部材の該外側面における該外周部と該断熱材との間には防水テープが介在されているのが望ましい。好適には、該窓枠の該下部材は捨て枠を介して該窓台の内周面に固着されており、該捨て枠の外側面も該下部材の外側面における外周部と面一である該窓台の外側面に配設された板部材の該外側面、該捨て枠の外側面及び該下部材の該外側面における該外周部には防水テープが配設されているのが望ましい。該下部材の外側面における外周部には水切りの内側縁が固着されているのが好都合である。該窓台の外側面に配設された該板部材の該外側面、該捨て枠の該外側面及び該下部材の該外側面における該外周部の該水切りよりも外周側の部分に渡って、該防水テープを介在させて断熱材が配設されているのが望ましい。該下部材には、該外側面における該肩部に開口する排水孔が形成されているのが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明に従って構成された建造物の固定枠とこれに固着された窓枠との組み合わせにおいては、(1)窓枠の外側面における肩部によって、配設する断熱材の内側縁の位置を規定することができ、実測し所謂墨だしを行う必要なくして断熱材を所要とおりに施工することができ、(2)下部材の外側面における内周部よりも内側に位置している外周部に、一般的な形態である水切りの内側縁を固着することができ、従って下部材の外側面における肩部は水切りの内側部の上方に位置する故に、この肩部に開口する排水孔を形成することができ、かかる排水孔は建造物の外側から目視されることがない故にキャップ等を装着しなくても外観が損なわれることはなく、(3)そして更に窓台の外側面及び下部材の外側面における外周部に渡って単に防水テープを配設することよって所要気密性及び水密性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に従って構成された建造物の固定枠とこれに固着された窓枠との組み合わせの好適実施形態を示す横断面図。
図2図1に図示する組み合わせの縦断面図。
図3図1に図示する組み合わせにおける下部材に配設された排水孔を示す拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明に従って構成された建造物の固定枠とこれに固着された窓枠との組み合わせの好適実施形態について、更に詳細に説明する。
【0012】
図1及び図2を参照して説明すると、図示の実施形態においては、建造物(その一部のみを図示している)はその主要部が木製である木造建造物であり、全体を番号2で示す固定枠は矩形状であり、その両側部に配設された一対の木製管柱4a及び4b(図1)、その上部に配設された木製まぐさ6(図2)、及びその下部に配設された木製窓台8(図2)を含んでいる。
【0013】
図1に図示するとおり、横断面形状が長方形である管柱4a及び4bの外側面(図1において上側面)には合板でよい板部材10a及び10bが配設されている。板部材10a及び10bは管柱4a及び4bの内周面(図1において、管柱4aの右側面、管柱4bの左側面)を越えて突出している。管柱4a及び4bの内側(図1において下側)には石膏ボード12a及び12bが配設されている。この石膏ボード12a及び12bは管柱4a及び4bの内周面を越えて突出しており、その突出端部には管柱4a及び4bの内周面に対向して位置する木製額縁14a及び14bが連結されている。管柱4a及び4bの外周面(図1において、管柱4aの左側面、管柱4bの右側面)には断熱材16a及び16bが配設されている。
【0014】
図2に図示するとおり、横断面形状が長方形であるまぐさ6の外側面(図2において左側面)には合板でよい板部材18が配設されている。板部材18はまぐさの下側面を越えて下方に突出している。まぐさの内側(図2において右側)には石膏ボード20が配設されている。この石膏ボード20はまぐさ6の内周面(図2において下側面)を越えて突出しており、その突出端にはまぐさ6の内周面に対向して位置する木製額縁22が連結されている。まぐさ6の外周面(図2において上側面)には断熱材24が配設されている。
【0015】
横断面形状が長方形である窓台8の外側面(図2において左側面)には合板でよい板部材26が配設されている。板部材26は窓台8の内周面(図2において上端面)を超えて上方に突出している。窓台8の内周面にも合板でよい板部材28が配設されており、板部材28の内周面(図2において上側面)と上記板部材26の内周面とは面一である。窓台8の内側面(図2において右側面)には断熱材30が配設されている。上記板部材2の内周面(図2において上側面)にも断熱材32が配設され、この断熱材32の内周面(図2において上側面)には合板でよい板部材34が配設され、そして更に板部材34の内周面(図2において上側面)には木製額縁36が配設されている。
【0016】
而して、建造物の上述したとおりの固定枠2自体の構成は、本発明に従って構成された組み合わせの新規な特徴を構成するものではなく、周知の形態でよく、それ故に固定枠2の詳細な説明は本明細書においては省略する。
【0017】
図1及び図2を参照して説明を続けると、全体を番号40で示す図示の窓枠は、実質上鉛直に延びる一対の側部材42a及び42b(図1)並びに実質上水平に延びる上部材44及び下部材46(図2)から構成されている。側部材42a及び42b、上部材44並びに下部材46は、硬質塩化ビニル樹脂の如き合成樹脂から押出成形される細長い押出製品を所要長さに切断することによって形成され、側部材42a及び42b、上部材44並びに下部材46の横断面形状は同一である。上部材44の両端は側部材42a及び42bの上端に接続され、下部材46の両端は側部材42a及び42bの下端に接続され、かくして矩形固定枠2の形状に対応した矩形窓枠40が形成される。周知の如く、上部材44と一対の側部材42a及び42bとの接続端面は夫々45度の傾斜面であり、同様に下部材46と一対の側部材42a及び42bとの接続端面も45度の傾斜面である。図示の実施形態においては、側部材42a及び42b、上部材44並びに下部材46は横断面形状が略長方形状の中空部材であり、外周面48、外側面50、内側面52及び内周面54を有する。外周面48の両側部には鍵状突起56が付設されている。内側面52は平坦である(外側面50については後に説明する)。内周面54には段差部が存在し、内周面54の内側部は外側部に対して外周方向に変位されている。内周面54の外側部には内周方向に突出し且つ収納溝を有する中空突出部58が付設されている。内周面54の内側部には収容溝部60が規定され、中間部には内周方向に突出し且つ収納溝を有する収容部62が規定されている。側部材42a及び42b、上部材44並びに下部材46には、略長方形状の中空空間を複数個の空洞部に区画する複数個の補強壁が配設されている。図示の実施形態においては、一対の側部材42a及び42b並びに上部材44においては補強壁によって区画された複数個の空洞部のうちの2個の空洞部に、下部材46において補強壁によって区画された複数個の空洞部のうちの1個の空洞部に、商品名「ネオマフォーム」として市販されている断熱材であるのが好都合である断熱材64が充填されている。図1及び図2に二点鎖線で示す如く、窓枠40内には嵌め殺しガラス或いは内開き式又は摺動開き式等の障子Wが収容され、建造物の窓が規定される。側部材42a及び42b、上部材44並びに下部材46の内周壁54に配設されている中空突出部58の収納溝、収容溝部60及び収容部62の収納溝には、嵌め殺しガラス或いは障子Wに密接される周知の形態でよいシール片(図示していない)或いは押縁(図示していない)が配設される。嵌め殺しガラス或いは障子Wに配設されるガラスは、単層のガラス板から構成することもできるが、断熱性の向上の点から複数枚のガラス板を間隔をおいて積層した形態であるのが好都合である。
【0018】
本発明に従って構成された組み合わせにおいては、窓枠40の外側面は、固定枠2の外側面と面一である外周部50aと、この外周部50aの内周縁から外側に突出する肩部50bと、肩部50bの外側縁から上記外周部50aと平行に延びる内周部50cとを有することが重要である。図示の実施形態においては、窓枠40を構成する上記側部材42a及び42b、上部材42並びに下部材46の外側面50は、夫々、管柱4a及び4bに配設された板部材10a及び10bの外側面、まぐさ8の外側面に配設された板部材18の外側面並びに窓台6の外側面に配設された板部材26の外側面と面一である外周部50aと、かかる外周部50aの内周縁から外側に外周部50aに対して垂直に突出する肩部50bと、肩部50bの外側縁から上記外周部50aと平行に延びる内周部50cとを有する。
【0019】
窓枠40を構成する側部材42a及び42bは、その外周面48に装着される金属製連結片66を管柱4a及び4bの内周面に固定された木製ブロック68に連結することによって、管柱4a及び4bに固着される。上部材44も同様に、その外周壁48に装着される金属製連結片66をまぐさ6の内周面に固定された木製ブロック68に連結することよって、まぐさに固着される。連結片66自体は上記特許文献1に開示されている連結片と実質上同一でよい。一方、下部材46は、その外周面48に固定された捨て枠70を窓台8の内周面に固定することによって、窓台8に固着される。硬質塩化ビニルの如き適宜の合成樹脂から押出成型することができる捨て枠70は略長方形上の横断面を有する中空部材から構成されており、複数個の補強壁によって複数個の空間が規定されている。中央に位置する空間には、商品名「ネオマフォーム」として市販されている断熱材であるのが好都合である断熱材64が充填されている。捨て枠70の外側面も、固定枠2の外側面、従って窓台8の外側面に配設された板部材26の外側面と面一をなすの好適である。
【0020】
図1及び図2を参照して説明を続けると、管柱4a及び4bの外側面に配設された板部材10a及び10bの外側面(固定枠2の外側面を構成する)及びこれと面一である側部材42a及び42bの外側面50における外周部50aに渡って、断熱材72a及び72bが配設されている。板部材10a及び10bの外側面及び側部材42a及び42bの外側面50における外周部50aと断熱材72a及び72bとの間には防水テープ74a及び74bが介在されている。同様に、まぐさ6の外側面に配設された板部材18の外側面及びこれと面一である上部材44の外側面50における外周部50aに渡って、断熱材76が配設されている。板部材18の外側面及び上部材44の外側面50における外周部50aと断熱材76との間には防水テープ78が介在されている。断熱材72a及び72b並びに7の露呈する表面上には適宜の表面材8a及び8b並びに82が被覆されている。而して、断熱材72a及び72b、防水テープ74a及び74b、断熱材76、防水テープ78の各々は夫々の内周縁を、側部材42a及び42b並びに上部材44の外側面50における肩部50bに合致せしめて配設することによって、所要位置に必然的に位置付けられる。換言すれば、窓枠40を構成する側部材42a及び42b、並びに上部材46の外側面50における肩部50bによって、配設すべき断熱材72a及び72b、防水テープ74a及び74b、断熱材76、防水テープ78の各々の内側縁の位置が規定されている。従って、断熱材72a及び72b、防水テープ74a及び74b、断熱材76、防水テープ78の各々を施工する際に、配設位置の決定のために実測し所謂墨出しを遂行する必要がない。
【0021】
一方、窓台8に固着された下枠部46の外側面50における外周部50aには、水切り84の内側縁が固着されている。かかる固着は、図2において図面に垂直な方向に間隔をおいて複数個の締結ねじ86を水切り84の所定部位を通して下枠部材46の外側面50における外周部50aに螺着することによって遂行することができる。水切り84は、特殊な形態である必要はなく、一般的に使用されている周知の形態でよい。図示の水切り84にはシール材87が付設されている。窓台8の外側面に配設された板部材26の外側面、並びにこれと面一である捨て枠70の外側面及び下部材46外側面50における外周部50aの上記水切り84の内側縁が固着されている部分よりも外周側の部分に渡って、断熱材88が配設されている。図に明確に図示する如く、窓台8の外側面に配設された板部材26の外側面、並びにこれと面一である捨て枠70の外側面及び下部材46外側面50における外周部50aには防水テープ90が配設されており、上記断熱材88は防水テープ90上に配設されている(換言すれば、防水テープ90は窓台8の外側面に配設された板部材26の外側面、並びにこれと面一である捨て枠70の外側面及び下部材46外側面50における外周部50aと断熱材88との間に介在されている)。窓台8の外側面に配設された板部材26の外側面捨て枠70の外側面及び下部材46外側面50における外周部50aは面一であるので、上記防水テープ90の施工は充分に容易であり、そしてまた防水テープ90によって充分な気密性及び水密性を確立することができる。断熱材88の表面上にも表面材92が配設されている。
【0022】
図3を参照して説明を続けると、下部材46には、偶発的に進入し得る雨水を排水するために、その内周面54の外側部に開口する排水孔94が形成されている共にその外側面50における肩部50bに開口する(即ち肩部50bを規定している壁に)排水孔96が形成されている。本発明に従って構成された組み合わせにおいては、下部材46の外側面50における外周部5aに水切り84の内側縁が固着され、下部材46の外側面50における肩部50bが水切り84の上方に位置する。それ故に、下部材46の外側面50における内周部50cではなくて肩部50bに開口する排水孔96を形成することができる。外側面50の肩部50bに形成された排水孔96は建造物の外側からは目視されることがなく、排水孔96の形成に起因して外観が損なわれることがなく、それ故に排水孔96にキャップ等を装着する必要がない。図示の実施形態においては、下部材46には、更に、内周面54における内側部に開口する排水孔98が形成されていると共に補強壁に排水孔100が形成されている。上記排水孔94、96、98及び100は図3において紙面に垂直な方向に間隔をおいて複数個形成することができる。
【0023】
図1及び図2には図示していないが、固定枠2と窓枠40との間の熱伝導を可及的に低減するために、必要に応じて両者間に存在する空隙乃至空間、例えば一対の管柱4a及び4bに固定された木製ブロック68の周囲に存在する空間、まぐさ6に固定された木製ブロック68の周囲に存在する空間、及び窓台8に固定された捨て枠70の内側に存在する空間、に適宜の断熱材、好ましくは商品名「ネオマフォーム」として市販されている断熱材、を充填することできる。
【符号の説明】
【0024】
2:固定枠
4a:管柱
4b:管柱
6:まぐさ
8:窓台
40:窓枠
42a:側部材
42b:側部材
44:上部材
46:下部材
50:側部材、上部材及び下部材の外側面
50a:外側面の外周部
50b:外側面の肩部
50c:外側面の内周部
72a:断熱材
72b:断熱材
74a:防水テープ
74b:防水テープ
76:断熱材
78:防水テープ
84:水切り
88:断熱材
90:防水テープ
96:下部材の外側面における肩部に開口する排水孔
図1
図2
図3