(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-24
(45)【発行日】2024-02-01
(54)【発明の名称】ポリカーボネート樹脂組成物及び成形品
(51)【国際特許分類】
C08L 69/00 20060101AFI20240125BHJP
C08K 5/521 20060101ALI20240125BHJP
C08L 77/12 20060101ALI20240125BHJP
C08L 55/00 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
C08L69/00
C08K5/521
C08L77/12
C08L55/00
(21)【出願番号】P 2020009504
(22)【出願日】2020-01-23
【審査請求日】2022-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】396021575
【氏名又は名称】テクノUMG株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094190
【氏名又は名称】小島 清路
(74)【代理人】
【識別番号】100151644
【氏名又は名称】平岩 康幸
(74)【代理人】
【識別番号】100151127
【氏名又は名称】鈴木 勝雅
(72)【発明者】
【氏名】杉村 圭太郎
【審査官】武貞 亜弓
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-510217(JP,A)
【文献】特開2014-055231(JP,A)
【文献】特開2014-231561(JP,A)
【文献】国際公開第2014/148641(WO,A1)
【文献】特表2005-533890(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 69/00
C08L 77/12
C09K
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリカーボネート樹脂、
(B)帯電防止剤、及び、
(C)難燃剤
を含有するポリカーボネート樹脂組成物において、
前記ポリカーボネート樹脂(A)は、ポリカーボネート部及びポリオルガノシロキサン部を有するポリカーボネート・ポリオルガノシロキサン共重合体を含み、
前記ポリカーボネート樹脂(A)、前記帯電防止剤(B)及び前記難燃剤(C)の含有量は、これらの合計を100質量%とした場合に、それぞれ、50~95質量%、1~30質量%及び3~30質量%であり、
前記ポリカーボネート樹脂(A)の全体に対する、前記ポリオルガノシロキサン部の含有割合が4.0~15質量%であり、
前記ポリカーボネート樹脂組成物の全体に対する、前記ポリオルガノシロキサン部の含有割合は
2.5~10質量%であることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
【請求項2】
前記ポリカーボネート・ポリオルガノシロキサン共重合体が、ポリカーボネート・ポリジメチルシロキサン共重合体である請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
【請求項3】
前記帯電防止剤(B)の含有量が、前記ポリカーボネート樹脂(A)、前記帯電防止剤(B)及び前記難燃剤(C)の合計を100質量%とした場合に、7~30質量%である請求項1又は2に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
【請求項4】
前記ポリカーボネート樹脂(A)がポリオルガノシロキサン部を含まないポリカーボネート樹脂を含む請求項1乃至3のいずれか一項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
【請求項5】
前記帯電防止剤(B)が、ポリエーテルエステルアミド、ポリエーテルアミド及びポリエーテルエステルから選ばれた少なくとも1種を含む請求項1乃至4のいずれか一項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
【請求項6】
前記難燃剤(C)が、含リン化合物である請求項1乃至5のいずれか一項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
【請求項7】
前記難燃剤(C)が、縮合リン酸エステルである請求項1乃至6のいずれか一項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
【請求項8】
更に、含フッ素化合物からなる滴下防止剤を含有し、該滴下防止剤の含有割合が、前記ポリカーボネート樹脂(A)、前記帯電防止剤(B)及び前記難燃剤(C)の合計100質量部に対して、0.05~0.7質量部である請求項1乃至7のいずれか一項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
【請求項9】
更に、ゴム質重合体に由来するゴム質重合体部と、ビニル系単量体に由来する構造単位を含むビニル系樹脂部とを備えるゴム質重合体強化ビニル系樹脂、及び/又は、ビニル系単量体に由来する構造単位のみからなるビニル系樹脂を含有する請求項1乃至8のいずれか一項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載のポリカーボネート樹脂組成物を含むことを特徴とする成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形加工性に優れ、帯電防止性及び難燃性に優れた成形品を与えるポリカーボネート樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリカーボネート樹脂(PC樹脂)は、耐熱性に優れ、また、耐衝撃性等の機械特性に優れた性質を有することから、OA機器、電気電子機器、光学機器等のために、発熱部材を被覆する筐体(外装体)又はその周辺部材として用いられるだけでなく、建材、医療、車両等の部材としても広く用いられている。しかしながら、ポリカーボネート樹脂を含む樹脂成形品は、電気的絶縁性が高いため、静電気を帯びた場合にこれが消散されにくく、埃が付着しやすくなったり、機器の誤作動を招いたりすることがあった。そこで、近年、帯電防止性が付与された樹脂成形品の要望があり、例えば、特許文献1には、ポリアミド(a1)、ポリオレフィン(a2)及びポリアミドイミド(a3)からなる群から選ばれる少なくとも1種の疎水性ポリマー(a)のブロック、親水性ポリマー(b)のブロック、並びに芳香環含有疎水性ポリエーテル(c)のブロックを構成単位とするブロックポリマー(A)を含有してなり、屈折率が1.500~1.600である帯電防止剤と、ポリカーボネート樹脂とを含有する帯電防止性樹脂組成物が開示されている。特許文献2には、ポリエーテルを有しない疎水性ポリマー(a)のブロック、親水性ポリマー(b)のブロック、および(a)以外の芳香環含有疎水性ポリエーテル(c)のブロックを構成単位とするブロックポリマー(A)を含有してなる帯電防止剤と、ポリカーボネート樹脂とを含有してなり、(b)のブロックを除いた(A)のSP値と、(B)のSP値との差の絶対値が0.50以下である帯電防止性樹脂組成物が開示されている。
また、埃の付着は、易燃焼の原因にもなり得るため、難燃化の要望の高い用途においては、難燃剤が配合された樹脂組成物が広く用いられている。
特許文献3には、(イ)芳香族ポリカーボネート樹脂(A成分)、(ロ)ポリエーテルエステルアミド(B成分)、(ハ)リン酸エステル(C成分)、(ニ)平均粒径が0.5~10μmであるタルク、マイカ、ガラスフレーク、及び平均直径が0.5~10μmであるワラストナイトから選択される1種以上の無機充填剤(D成分)、(ホ)ゴム質重合体(E成分)、(ヘ)フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン(F成分)からなる樹脂組成物100重量%において、A成分、B成分、C成分、D成分、E成分及びF成分の含有割合が、それぞれ、50~80重量%、4.5~15重量%、3~12重量%、1~25重量%、0.5~8重量%及び0.05~1.5重量%である、難燃性を有する帯電防止性樹脂組成物が開示されている。特許文献4には、(A)芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとからエステル交換法にて製造された実質的に塩素原子を含まないポリカーボネート系樹脂5~98重量部と、(B)ゴム状重合体に、該ゴム状重合体と共重合可能な1種以上のビニル化合物をグラフト重合して得られるグラフト重合体と、ビニル重合体を含むゴム強化熱可塑性樹脂95~2重量部、(A)と(B)の合計が100重量部対して、(C)ポリエーテルアミド、ポリエーテルエステル、ポリエーテルエステルアミド、ポリアミドイミドエラストマーから選ばれた1種または2種以上0.5~30重量部、および(D)難燃剤0.1~30重量部からなることを特徴とするポリカーボネート系制電性難燃樹脂組成物が開示されている。また、特許文献5には、ポリカーボネート樹脂、ポリシロキサン含有耐衝撃性改良剤、帯電防止剤、及び当該組成物全体の約9wt%以上の量の難燃剤を含んでなる帯電防止性組成物が開示されており、耐衝撃性改良剤の好ましい割合が、組成物全体の約1~約20wt%であることが記載されている。そして、具体例として、ポリカーボネート樹脂73.1wt%と、ポリシロキサン含有耐衝撃性改良剤5wt%と、帯電防止剤9wt%と、難燃剤12wt%と、ドリップ抑制剤0.6wt%と、酸化防止剤0.3wt%とからなる組成物(実験例4)が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-166332号
【文献】特開2017-101217号
【文献】特開平11-199767号
【文献】特開平9-310000号
【文献】特表2005-533890号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献5には、難燃剤を約9wt%以上含有させることで、高い帯電防止剤だけでなく、アンダーライターズラボラトリーズ社のサブジェクト94(以下、「UL94規格」という)のV-1(2mm)を達成できたことが示されている。しかしながら、特許文献5に記載された構成の組成物では、難燃性を更に高いレベルとすることは困難であった。
本発明の目的は、成形加工性に優れ、帯電防止性及び難燃性に優れた成形品を与えるポリカーボネート樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、ポリカーボネート部及びポリオルガノシロキサン部を有するポリカーボネート・ポリオルガノシロキサン共重合体を含むポリカーボネート樹脂と、帯電防止剤と、難燃剤とを含有する組成物において、優れた帯電防止性及び難燃性を発揮する組成について検討し、本発明を完成させるに至った。
本発明は、以下のとおりである。
1.(A)ポリカーボネート樹脂、(B)帯電防止剤、及び、(C)難燃剤を含有するポリカーボネート樹脂組成物において、上記ポリカーボネート樹脂(A)は、ポリカーボネート部及びポリオルガノシロキサン部を有するポリカーボネート・ポリオルガノシロキサン共重合体を含み、上記ポリカーボネート樹脂(A)、上記帯電防止剤(B)及び上記難燃剤(C)の含有量は、これらの合計を100質量%とした場合に、それぞれ、50~95質量%、1~30質量%及び3~30質量%であり、上記ポリカーボネート樹脂組成物の全体に対する、上記ポリオルガノシロキサン部の含有割合は0.8~10質量%であることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
2.上記ポリカーボネート・ポリオルガノシロキサン共重合体が、ポリカーボネート・ポリジメチルシロキサン共重合体である上記項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
3.上記ポリカーボネート樹脂(A)の全体に対する、上記ポリオルガノシロキサン部の含有割合が1~20質量%である上記項1又は2に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
4.上記ポリカーボネート樹脂(A)がポリオルガノシロキサン部を含まないポリカーボネート樹脂を含む上記項1乃至3のいずれか一項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
5.上記帯電防止剤(B)が、ポリエーテルエステルアミド、ポリエーテルアミド及びポリエーテルエステルから選ばれた少なくとも1種を含む上記項1乃至4のいずれか一項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
6.上記難燃剤(C)が、含リン化合物である上記項1乃至5のいずれか一項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
7.上記難燃剤(C)が、縮合リン酸エステルである上記項1乃至6のいずれか一項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
8.更に、含フッ素化合物からなる滴下防止剤を含有し、該滴下防止剤の含有割合が、上記ポリカーボネート樹脂(A)、上記帯電防止剤(B)及び上記難燃剤(C)の合計100質量部に対して、0.05~0.7質量部である上記項1乃至7のいずれか一項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
9.更に、ゴム質重合体に由来するゴム質重合体部と、ビニル系単量体に由来する構造単位を含むビニル系樹脂部とを備えるゴム質重合体強化ビニル系樹脂、及び/又は、ビニル系単量体に由来する構造単位のみからなるビニル系樹脂を含有する上記項1乃至8のいずれか一項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
10.上記項1乃至9のいずれか一項に記載のポリカーボネート樹脂組成物を含むことを特徴とする成形品。
【発明の効果】
【0006】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、成形加工性に優れ、また、帯電防止性及び難燃性に優れた成形品を得ることができる。本発明の成形品は、密閉環境及び屋外環境のいずれにおいても好適であり、例えば、車両、船舶、航空機等における内装用部材や、OA機器、家庭電化機器、電機・電子機器、建材等における構成部材(筐体等)や、日用雑貨、スポーツ用品、文具等の構成部材等に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を詳しく説明する。
本明細書において、「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルを、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートを、「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基及びメタクリロイル基を、「(共)重合体」は、単独重合体及び共重合体を意味する。
また、粘度平均分子量(Mv)は、ウベローデ型粘度計を用いて、20℃における塩化メチレン溶液の粘度を測定し、これより極限粘度[η]を求め、下記式にて算出されたものである。
[η]=1.23×10-4×Mv0.83
【0008】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート・ポリオルガノシロキサン共重合体を含むポリカーボネート樹脂(A)と、帯電防止剤(B)と、難燃剤(C)とを、特定の割合で含有する組成物である。
【0009】
上記ポリカーボネート樹脂(A)は、ポリカーボネート・ポリオルガノシロキサン共重合体を必須成分として含み、ポリカーボネート・ポリオルガノシロキサン共重合体のみからなるものであってよいし、このポリカーボネート・ポリオルガノシロキサン共重合体と、他のポリカーボネート樹脂とからなるものであってもよい。上記ポリカーボネート樹脂(A)が他のポリカーボネート樹脂を含む場合、ポリカーボネート・ポリオルガノシロキサン共重合体の含有割合の下限は、好ましくは10質量%、より好ましくは30質量%である。
【0010】
上記ポリカーボネート樹脂(A)の構成に関わらず、ポリカーボネート・ポリオルガノシロキサン共重合体に由来するポリオルガノシロキサン部の、ポリカーボネート樹脂(A)の全体に対する割合は、耐衝撃性及び難燃性の観点から、好ましくは1~20質量%、より好ましくは2~15質量%、更に好ましくは2.5~10質量%である。
【0011】
上記ポリカーボネート・ポリオルガノシロキサン共重合体は、ポリカーボネート部及びポリオルガノシロキサン部を有する共重合体である。ポリカーボネート部は、好ましくは、下記一般式(1)で表される構造単位を含む部分であり、ポリオルガノシロキサン部は、好ましくは、下記一般式(2)で表される構造単位を含む部分である。
【化1】
(式中、R
1及びR
2は、それぞれ、独立に、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭化水素基又はアルコキシ基であり、Xは、単結合、2価の炭化水素基、酸素原子、硫黄原子、-SO-、-SO
2-、又は、-CO-であり、p及びqは、それぞれ、独立に、0~4の整数である。)
【化2】
(式中、R
3及びR
4は、それぞれ、独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、又は、アルコキシ基である。)
【0012】
上記ポリカーボネート部に含まれる構造単位を表す一般式(1)において、R1及びR2は、それぞれ、独立に、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭化水素基又はアルコキシ基である。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。炭化水素基は、アルキル基、アリール基又はアラルキル基とすることができる。アルキル基の場合、直鎖状及び分岐状のいずれでもよく、炭素原子数は、好ましくは1~6、より好ましくは1~4である。また、アルコキシ基は、好ましくは炭素原子数1~6のアルコキシ基である。R1及びR2は、互いに同一であってよいし、異なってもよい。
p及びqは、それぞれ、独立に、0~4の整数であり、好ましくは0~2、より好ましくは0又は1である。pが2~4の整数である場合、各R1は、互いに同一であってよいし、異なってもよい。また、qが2~4の整数である場合、各R2は、互いに同一であってよいし、異なってもよい。
【0013】
上記一般式(1)において、Xは、単結合、2価の炭化水素基、酸素原子、硫黄原子、-SO-、-SO2-、又は、-CO-である。2価の炭化水素基としては、アルキレン基、アルキリデン基、シクロアルキレン基、シクロアルキリデン基、フルオレンジイル基、アリールアルキレン基、アリールアルキリデン基等が挙げられる。アルキレン基は、炭素原子数が好ましくは1~8、より好ましくは1~5の、直鎖状又は分岐状のアルキレン基である。アルキリデン基としては、炭素原子数が好ましくは2~8の、直鎖状又は分岐状のアルキリデン基である。シクロアルキレン基は、炭素原子数が好ましくは5~15、より好ましくは5~10のシクロアルキレン基である。シクロアルキリデン基は、炭素原子数が好ましくは5~15、より好ましくは5~10、特に好ましくは5~8のシクロアルキリデン基であり、シクロヘキシリデン基、3,5,5-トリメチルシクロヘキシリデン基、2-アダマンチリデン基等が挙げられる。アリールアルキレン基及びアリールアルキリデン基におけるアリール部としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基等の環形成炭素原子数6~14のアリール基が挙げられる。
【0014】
上記ポリカーボネート部に含まれる、上記一般式(1)で表される構造単位の種類は、特に限定されず、1のみであってよいし、2以上であってもよい。
【0015】
また、上記ポリカーボネート・ポリオルガノシロキサン共重合体に含まれる、ポリカーボネート部の割合は、耐衝撃性及び難燃性の観点から、好ましくは85~98質量%、より好ましくは91.5~97質量%、更に好ましくは92.5~96.8質量%である。
【0016】
上記ポリオルガノシロキサン部に含まれる構造単位を表す一般式(2)において、R3及びR4は、それぞれ、独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、又は、アルコキシ基である。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。炭化水素基は、アルキル基、アリール基又はアラルキル基とすることができる。アルキル基の場合、直鎖状及び分岐状のいずれでもよく、炭素原子数は、好ましくは1~6、より好ましくは1~4、特に好ましくは1である。アリール基は、好ましくは炭素原子数6~12のアルコキシ基である。また、アルコキシ基は、好ましくは炭素原子数1~6のアルコキシ基である。R3及びR4は、互いに同一であってよいし、異なってもよい。
【0017】
上記ポリオルガノシロキサン部に含まれる、上記一般式(2)で表される構造単位の種類は、特に限定されず、1のみであってよいし、2以上であってもよい。
【0018】
また、上記ポリカーボネート・ポリオルガノシロキサン共重合体に含まれる、ポリオルガノシロキサン部の割合は、耐衝撃性及び難燃性の観点から、好ましくは2~15質量%、より好ましくは3~8.5質量%、更に好ましくは3.2~7.5質量%である。
【0019】
上記ポリカーボネート・ポリオルガノシロキサン共重合体の粘度平均分子量(Mv)は、好ましくは10000~25000であり、より好ましくは12000~23000である。
【0020】
上記ポリカーボネート・ポリオルガノシロキサン共重合体は、従来、公知の方法で製造されたものとすることができる。例えば、芳香族ポリカーボネートオリゴマーと、ポリオルガノシロキサン部(セグメント)を構成する末端に反応性基(o-アリルフェノール残基、p-ヒドロキシスチレン残基、オイゲノール残基等)を有するポリオルガノシロキサンとを、溶媒(塩化メチレン、クロロベンゼン、クロロホルム等)に溶解させ、第3級アミン(トリエチルアミン等)、第4級アンモニウム塩(トリメチルベンジルアンモニウムクロライド等)等の触媒の存在下、ビスフェノールA等の2価フェノールを加えて、界面重縮合反応することにより得られたものとすることができる。このようにして得られるポリカーボネート・ポリオルガノシロキサン共重合体において、ポリカーボネート部の重合度は、好ましくは3~100程度、ポリオルガノシロキサン部の重合度は、好ましくは2~500程度である。
【0021】
上記ポリカーボネート樹脂(A)は、上記のように、ポリカーボネート・ポリオルガノシロキサン共重合体と、他のポリカーボネート樹脂とからなるものであってもよい。
他のポリカーボネート樹脂は、主鎖にカーボネート結合を有し、且つ、ポリオルガノシロキサン部を含まないポリカーボネート樹脂であれば、特に限定されず、芳香族ポリカーボネート、脂環式ポリカーボネート及び脂肪族ポリカーボネートのいずれでもよい。また、これらを組み合わせて用いてもよい。本発明においては、耐衝撃性及び難燃性の観点から、芳香族ポリカーボネートが好ましい。
【0022】
上記芳香族ポリカーボネートとしては、芳香族ジヒドロキシ化合物及び炭酸ジエステルを溶融によりエステル交換(エステル交換反応)して得られたもの、ホスゲンを用いた界面重縮合法により得られたもの、ピリジンとホスゲンとの反応生成物を用いたピリジン法により得られたもの等を用いることができる。
【0023】
芳香族ジヒドロキシ化合物としては、分子内にヒドロキシ基を2つ有する化合物であればよく、ヒドロキノン、レゾルシノール等のジヒドロキシベンゼン、4,4’-ビフェノール、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、「ビスフェノールA」という。)、2,2-ビス(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル-3-メチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3、5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1-ビス(p-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(p-ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(p-ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1-ビス(p-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(p-ヒドロキシフェニル)-4-イソプロピルシクロヘキサン、1,1-ビス(p-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(p-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、9,9-ビス(p-ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(p-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、4,4’-(p-フェニレンジイソプロピリデン)ビスフェノール、4,4’-(m-フェニレンジイソプロピリデン)ビスフェノール、ビス(p-ヒドロキシフェニル)オキシド、ビス(p-ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(p-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(p-ヒドロキシフェニル)エステル、ビス(p-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(p-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)スルフィド、ビス(p-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(p-ヒドロキシフェニル)スルホキシド等が挙げられる。これらは、単独であるいは2つ以上を組み合わせて用いることができる。
【0024】
上記芳香族ヒドロキシ化合物のうち、2つのベンゼン環の間に炭化水素基を有する化合物が好ましい。尚、この化合物において、炭化水素基は、ハロゲン置換された炭化水素基であってもよい。また、ベンゼン環は、そのベンゼン環に含まれる水素原子がハロゲン原子に置換されたものであってもよい。従って、上記好ましい化合物としては、ビスフェノールA、2,2-ビス(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル-3-メチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3、5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1-ビス(p-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(p-ヒドロキシフェニル)ブタン等が挙げられる。これらのうち、ビスフェノールAが特に好ましい。
【0025】
芳香族ポリカーボネートをエステル交換反応により得るために用いる炭酸ジエステルとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ-tert-ブチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等が挙げられる。これらは、単独であるいは2つ以上を組み合わせて用いることができる。
【0026】
他のポリカーボネート樹脂の平均分子量及び分子量分布は、組成物が、成形加工性を有する限り、特に限定されない。他のポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、好ましくは10000~32000、より好ましくは12000~30000、更に好ましくは15000~25000である。
【0027】
本発明の組成物において、上記ポリカーボネート樹脂(A)の含有量は、成形加工性に優れ、また、帯電防止性及び難燃性に優れた成形品が得られることから、帯電防止剤(B)及び難燃剤(C)との合計を100質量%とした場合に、50~95質量%であり、好ましくは60~90質量%、より好ましくは65~85質量%である。
【0028】
上記帯電防止剤(B)は、従来、熱可塑性樹脂組成物に配合される帯電防止剤であれば、特に限定されない。
上記帯電防止剤(B)としては、高分子型帯電防止剤、ポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤、多価アルコール型非イオン界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アミノ酸型両性界面活性剤、ベタイン型両性界面活性剤等が挙げられる。これらは、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。上記帯電防止剤(B)としては、高分子型帯電防止剤が好ましい。
【0029】
上記高分子型帯電防止剤としては、ポリエーテルエステルアミド、ポリエーテルアミド、ポリエーテルエステル、ポリエーテルアミドイミド等の、疎水性ブロック及び親水性ブロックが、エステル結合、エーテル結合、アミド結合、イミド結合、ウレタン結合又はウレア結合を介して結合されているブロック共重合体;エチレンオキサイド・エピクロルヒドリン共重合体等のポリアルキレンオキサイド系重合体;ポリアルキルベンゼンスルホン酸塩;ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート共重合体、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート共重合体等のアクリル系共重合体;第4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレート共重合体、第4級アンモニウム塩基含有マレイミド共重合体、第4級アンモニウム塩基含有メタクリルイミド共重合体等の第4級アンモニウム塩基系共重合体;カルボベタイングラフト共重合体等のベタイン系共重合体、ワックス、アイオノマー樹脂等が挙げられる。これらのうち、ブロック共重合体が好ましく、ポリエーテルエステルアミド、ポリエーテルアミド及びポリエーテルエステルがより好ましく、ポリエーテルエステルアミドが特に好ましい。
【0030】
上記ブロック共重合体を構成する疎水性ブロックとしては、ポリオレフィンブロック、アルキレン基、アリール基等の疎水性基を有する疎水性アミン、疎水性エステル、疎水性アミド、疎水性イミド、疎水性エステルアミド等が挙げられる。
また、親水性ブロックとしては、ポリエーテルブロック、ポリエーテル含有親水性ポリマーブロック、カチオン性ポリマーブロック、アニオン性ポリマーブロック等が挙げられる。ポリエーテルブロックは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール・プロピレングリコール共重合体等に由来するブロックとすることができる。ポリエーテル含有親水性ポリマーブロックは、ポリエーテルセグメントを有するものであり、ポリエーテルジアミン、ポリエーテルエステルアミド、ポリエーテルアミドイミド、ポリエーテルエステル、ポリエーテルアミド、エーテルウレタン等に由来するブロックとすることができる。カチオン性ポリマーブロックは、BF4-、PF6-、BF3Cl-、PF5Cl-等の超強酸アニオンを対イオンとする4級アンモニウム塩構造、又は、ホスホニウム塩構造が、非イオン性分子鎖で隔てられたブロック等とすることができる。アニオン性ポリマーブロックは、スルホニル基のみが塩となったスルホニル基を有する芳香族ジカルボン酸又は脂肪族ジカルボン酸と、ジオール又はポリエーテとが共重合したポリマーブロック等とすることができる。
【0031】
本発明の組成物において、上記帯電防止剤(B)の含有量は、成形加工性に優れ、また、帯電防止性及び難燃性に優れた成形品が得られることから、ポリカーボネート樹脂(A)及び難燃剤(C)との合計を100質量%とした場合に、1~30質量%であり、好ましくは4~25質量%、より好ましくは7~20質量%である。
【0032】
上記難燃剤(C)は、従来、熱可塑性樹脂組成物に配合される難燃剤であれば、特に限定されない。
上記難燃剤(C)としては、含リン化合物、含ハロゲン化合物、シリコーン化合物、グアニジン化合物、無機化合物等が挙げられる。これらは、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。上記難燃剤(C)としては、含リン化合物が好ましい。
【0033】
上記含リン化合物は、好ましくは有機リン化合物であり、下記一般式(4)で表されるリン酸エステル及びその塩、下記一般式(5)で表される亜リン酸エステル及びその塩、下記一般式(6)で表されるホスホン酸エステル及びその塩、下記一般式(7)で表される縮合リン酸エステル、ホスファゼン誘導体等が挙げられる。
O=P(OR
11)
s(OM
n+
1/n)
3-s (4)
(式中、各R
11は、独立して、炭素原子数1~30の炭化水素基であり、各Mは、独立して、水素原子、又は、周期表の第1A族、第1B族、第2A族及び第2B族から選ばれる金属原子であり、sは1、2又は3であり、nは1又は2である。)
P(OR
11)
t(OM
n+
1/n)
3-t (5)
(式中、各R
11は、独立して、炭素原子数1~30の炭化水素基であり、各Mは、独立して、水素原子、又は、周期表の第1A族、第1B族、第2A族及び第2B族から選ばれる金属原子であり、tは1、2又は3であり、nは1又は2である。)
O=P(R
12)(OM
n+
1/n)
2 (6)
(式中、R
12は、水素原子、又は、炭素原子数1~30の炭化水素基であり、各Mは、独立して、水素原子、又は、周期表の第1A族、第1B族、第2A族及び第2B族から選ばれる金属原子であり、nは1又は2である。但し、R
2及びMのすべてが水素原子である場合を除く。)
【化3】
(式中、R
14、R
15、R
16及びR
17は、それぞれ、互いに独立して、アリール基又はアラルキル基であり、Xはアリーレン基であり、j、k、l及びmは、それぞれ、互いに独立して、0又は1であり、Nは1~5の整数である。)
【0034】
上記一般式(4)で表されるリン酸エステルにおいて、R11は、炭素原子数1~30の炭化水素基であるが、脂肪族炭化水素基(直鎖状でも、分岐状でもよい。)、脂環族炭化水素基(置換基を有してもよい。)、及び、芳香族炭化水素基(置換基を有してもよい。)のいずれでもよく、また、飽和型でも不飽和型でもよい。好ましい炭素原子数は、6~28であり、より好ましくは10~24である。尚、s=2又はs=3の場合、2つのR11によって環構造を形成していてもよい。
【0035】
上記一般式(5)で表される亜リン酸エステルにおいて、R11は、炭素原子数1~30の炭化水素基であるが、脂肪族炭化水素基(直鎖状でも、分岐状でもよい。)、脂環族炭化水素基(置換基を有してもよい。)、及び、芳香族炭化水素基(置換基を有してもよい。)のいずれでもよく、また、飽和型でも不飽和型でもよい。好ましい炭素原子数は、6~28であり、より好ましくは10~24である。
【0036】
上記一般式(6)で表されるホスホン酸エステルにおいて、R12は、水素原子、又は、炭素原子数1~30の炭化水素基であるが、後者の場合、脂肪族炭化水素基(直鎖状でも、分岐状でもよい。)、脂環族炭化水素基(置換基を有してもよい。)、及び、芳香族炭化水素基(置換基を有してもよい。)のいずれでもよく、また、飽和型でも不飽和型でもよい。好ましい炭素原子数は、6~28であり、より好ましくは10~24である。
【0037】
上記一般式(7)で表される縮合リン酸エステルにおいて、R14、R15、R16及びR17は、アリール基又はアラルキル基であり、好ましくはクレジル基、フェニル基、キシレニル基、プロピルフェニル基及びブチルフェニル基である。また、Xは、アリーレン基であり、好ましくはレゾルシノール、ハイドロキノン又はビスフェノールAに由来する炭化水素基である。
上記縮合リン酸エステルとしては、アルキレンビス[リン酸ジフェニル]、アルキレンビス[リン酸ジ{o-、m-又はp-}メチルフェニル]、レゾルシンビス[リン酸ジフェニル]、レゾルシンビス[リン酸ジ(o-、m-又はp-)メチルフェニル]、レゾルシンビス[リン酸ジ(o-、m-又はp-)エチルフェニル]、レゾルシンビス[リン酸ビス(2,3-、2,4-、2,5-、2,6-、3,4-又は3,5-)ジメチルフェニル]、ヒドロキノンビス[リン酸ジフェニル]、ヒドロキノンビス[リン酸ジ(o-、m-又はp-)メチルフェニル]、ヒドロキノンビス[リン酸ジ(o-、m-又はp-)エチルフェニル]、ヒドロキノンビス[リン酸ビス(2,3-、2,4-、2,5-、2,6-、3,4-又は3,5-)ジメチルフェニル]、ビスフェノールAビス[リン酸ジフェニル]、ビスフェノールAビス[リン酸ジ(o-、m-又はp-)メチルフェニル]、ビスフェノールA[リン酸ジ〔o-、m-又はp-〕エチルフェニル]、ビスフェノールAビス[リン酸ビス(2,3-、2,4-、2,5-、2,6-、3,4-又は3,5-)ジメチルフェニル]等が挙げられる。本発明においては、レゾルシノールビスジフェニルホスフェート、レゾルシノールビス(ジキシレニル)ホスフェート(別名:1,3-フェニレンビス(ジキシレニル)ホスフェート及びビスフェノールAビスジフェニルホスフェートが好ましく、レゾルシノールビス(ジキシレニル)ホスフェートが特に好ましい。
【0038】
上記ホスファゼン誘導体としては、環状ホスファゼン化合物(シクロホスファゼン化合物)、鎖状ホスファゼン化合物、架橋フェノキシホスファゼン化合物等が挙げられる。
【0039】
上記含リン化合物としては、縮合リン酸エステルが特に好ましい。
【0040】
上記含ハロゲン化合物としては、臭素化ポリエチレン、テトラブロモエタン、テトラブロモシクロオクタン、ヘキサブロモシクロドデカン、ジブロモエチルジブロモシクロヘキサン、ジブロモジメチルヘキサン、2-(ブロモメチル)-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオール、ジブロモネオペンチルグリコール、トリブロモネオペンチルアルコール、ペンタエリスリチルテトラブロミド、モノブロモジペンタエリスリトール、ジブロモジペンタエリスリトール、トリブロモジペンタエリスリトール、テトラブロモジペンタエリスリトール、ペンタブロモジペンタエリスリトール、ヘキサブロモジペンタエリスリトール、ヘキサブロモトリペンタエリスリトール、ポリブロム化ペンタエリスリトール等の、臭素化脂肪族化合物若しくはその誘導体、又は、臭素化脂環式化合物若しくはその誘導体;テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールA-ジアリルエーテル、テトラブロモビスフェノールA-ジメタリルエーテル、テトラブロモビスフェノールA-ジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノールA-ジグリシジルエーテルのトリブロモフェノール付加物、テトラブロムビスフェノールA-ビス(2-ヒドロキシジエチルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA-ビス(2-ブロモエチルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールS-ビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA-ポリカーボネートオリゴマー、テトラブロモビスフェノールA-ジグリシジルエーテルのブロム化ビスフェノール付加物エポキシオリゴマー等の、臭素化ビスフェノール類又はその誘導体;ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモトルエン、エチレンビスペンタブロモジフェニル、デカブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、ビス(2,4,6-トリブロモフェノキシ)エタン、テトラブロモ無水フタル酸、オクタブロモトリメチルフェニルインダン、トリブロモフェニルアリルエーテル、2,3-ジブロモプロピルペンタブロモフェニルエーテル、オクタブロモ-1,1,3-トリメチル-1-フェニルインダン、デカブロモジフェニルオキサイド、オクタブロモジフェニルオキサイド、テトラブロモジフェニルオキサイド、エタン-1,2-ビス(ペンタブロモフェニル)、ビス(2,4,6-トリブロモフェノキシ)エタン、エチレンビステトラブロモフタルイミド、ポリジブロモフェニレンオキサイド、1,1-スルホニル[3,5-ジブロモ-4-(2,3-ジブロモプロポキシ)]ベンゼン、トリス(2,3-ジブロモプロピル-1)イソシアヌレート、トリス(トリブロモフェニル)シアヌレート、アタクチック構造の臭素化ポリスチレン、アタクチック構造の臭素化スチレン・プロピレン系共重合体等の、臭素化芳香族化合物又はその誘導体;ペンタブロモベンジルアクリレート、アタクチック構造の臭素化スチレン・メチルメタクリレート系共重合体、アタクチック構造の臭素化スチレン・メチルメタクリレート・グリシジルメタクリレート系共重合体、アタクチック構造の臭素化スチレン・グリシジルメタクリレート系共重合体、ポリペンタブロモベンジルアクリレート等の臭素化(メタ)アクリル系化合物;エチレンビスジブロモノルボルナンジカルボキシイミド、トリス(2,3-ジブロモプロピル)イソシアヌレート等の、臭素原子及び窒素原子含有化合物;塩素化パラフィン、塩素化ナフタレン、パークロロペンタデカン等の、塩素化芳香族化合物、塩素化脂環式化合物等が挙げられる。
【0041】
上記シリコーン化合物としては、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、シリコーンオイル等が挙げられる。
上記シリコーン樹脂としては、SiO2、RSiO3/2、RSiO又はRSiO1/2(Rは、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;フェニル基、ベンジル基等のアリール基等である)の構造単位を組み合わせてできる三次元網目構造を有する樹脂等が挙げられる。
上記シリコーンオイルとしては、ポリジメチルシロキサン;ポリジメチルシロキサンの側鎖あるいは末端の少なくとも1つのメチル基が、水素原子、アルキル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、アミノ基、エポキシ基、ポリエーテル基、カルボキシル基、メルカプト基、ハロゲン化アルキル基、アルキル高級アルコールエステル基、アルコール基、アラルキル基、ビニル基等により変性された変性ポリシロキサン等が挙げられる。
【0042】
上記無機化合物としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、ホウ酸亜鉛、ジルコニウム系化合物、モリブデン系化合物、スズ酸亜鉛等が挙げられる。
【0043】
本発明の組成物において、上記難燃剤(C)の含有量は、成形加工性に優れ、また、帯電防止性及び難燃性に優れた成形品が得られることから、ポリカーボネート樹脂(A)及び帯電防止剤(B)との合計を100質量%とした場合に、3~30質量%であり、好ましくは7~25質量%、より好ましくは10~20質量%である。
【0044】
本発明の組成物は、目的、用途等に応じて、他の成分を含有することができる。他の成分としては、滴下防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、エステル交換防止剤、可塑剤、充填剤、老化防止剤、滑剤、安定剤、耐候剤、撥水剤、撥油剤、抗菌剤、防腐剤、着色剤、他の熱可塑性樹脂等が挙げられる。
【0045】
滴下防止剤は、上記難燃剤(C)と併用することにより、難燃性を改良する成分である。この滴下防止剤としては、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体等の、テトラフルオロエチレンに由来する構造単位を含む(共)重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレン等の含フッ素化合物が挙げられる。これらは、単独であるいは2つ以上を組み合わせて用いることができる。
【0046】
本発明の組成物が滴下防止剤を含有する場合、その含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)、帯電防止剤(B)及び難燃剤(C)の合計100質量部に対して、好ましくは0.05~0.7質量部、より好ましくは0.1~0.5質量部、より好ましくは0.2~0.4質量部である。
【0047】
酸化防止剤としては、ホスファイト系化合物、チオエーテル系化合物、ヒンダードアミン系化合物、ハイドロキノン系化合物、ヒンダードフェノール系化合物等が挙げられる。
上記ホスファイト系化合物としては、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジラウリルハイドロジェンホスファイト、トリエチルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリス(2-エチルヘキシル)ホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、トリステアリルホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト、モノフェニルジデシルホスファイト、ジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイト、テトラフェニルテトラ(トリデシル)ペンタエリスリトールテトラホスファイト、水添ビスフェノールAフェノールホスファイトポリマー、ジフェニルハイドロジェンホスファイト、4,4’-ブチリデン-ビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェニルジ(トリデシル)ホスファイト)テトラ(トリデシル)4,4’-イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジラウリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(4-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、水添ビスフェノールAペンタエリスリトールホスファイトポリマー、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(2,4-ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。
上記チオエーテル系化合物としては、ペンタエリスリチルテトラキス(3-ラウリルチオプロピオネート)、ジラウリル-3,3’-チオジプロピオネート、ジミリスチル-3,3’-チオジプロピオネート、ジステアリル-3,3’-チオジプロピオネート等が挙げられる。
上記ヒンダードアミン系化合物としては、テトラキス(2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)ブタン-1,2,3,4-テトラカルボキシレート、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ブタン-1,2,3,4-テトラカルボキシレート、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸-1,2,3-トリス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)-4-トリデシル、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸-1-ヘキサデシル-2,3,4-トリス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート)、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1-ウンデカノキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)カーボネート、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル (メタ)アクリレート、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル(メタ)アクリレート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、メチル-1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルセバケート等が挙げられる。
【0048】
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物等が挙げられる。
【0049】
エステル交換防止剤としては、メチルホスフェート、エチルホスフェート、イソプロピルホスフェート、ブチルホスフェート、ラウリルホスフェート、ステアリルホスフェート、ドデシホスフェート、オクタデシルホスフェート、ベヘニルホスフェート、ジメチルホスフェート、ジエチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジラウリルホスフェート、ジステアリルホスフェート、ジドデシルホスフェート、ジベヘニルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート等のホスフェート系化合物が挙げられる。
【0050】
可塑剤としては、フタル酸エステル、トリメリット酸エステル、ピロメリット酸エステル、脂肪族一塩基酸エステル、脂肪族二塩基酸エステル、リン酸エステル、多価アルコールのエステル、エポキシ系可塑剤、高分子型可塑剤、塩素化パラフィン等が挙げられる。
【0051】
充填剤としては、重質炭酸カルシウム、膠質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、カーボンブラック、クレー、タルク、フュームドシリカ、焼成シリカ、沈降シリカ、粉砕シリカ、溶融シリカ、カオリン、硅藻土、ゼオライト、酸化チタン、生石灰、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化バリウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、硫酸アルミニウム、ガラス繊維、炭素繊維、ガラスバルーン、シラスバルーン、サランバルーン、フェノールバルーン等が挙げられる。
【0052】
老化防止剤としては、ナフチルアミン系化合物、ジフェニルアミン系化合物、p-フェニレンジアミン系化合物、キノリン系化合物、ヒドロキノン誘導体系化合物、モノフェノール系化合物、ビスフェノール系化合物、トリスフェノール系化合物、ポリフェノール系化合物、チオビスフェノール系化合物、ヒンダードフェノール系化合物、亜リン酸エステル系化合物、イミダゾール系化合物、ジチオカルバミン酸ニッケル塩系化合物、リン酸系化合物等が挙げられる。
【0053】
他の熱可塑性樹脂は、好ましくは、ポリカーボネート樹脂(A)と相容性を有する樹脂、又は、相溶化剤等との併用によりポリカーボネート樹脂(A)と相容性を与える樹脂である。他の熱可塑性樹脂としては、ゴム質重合体に由来するゴム質重合体部と、ビニル系単量体に由来する構造単位を含む樹脂部とからなるゴム強化グラフト樹脂、ビニル系単量体に由来する構造単位のみからなるビニル系(共)重合体(アクリル系(共)重合体、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂等)、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。これらは、単独であるいは2つ以上を組み合わせて用いることができる。
【0054】
上記ゴム強化グラフト樹脂は、ゴム質重合体の存在下に、ビニル系単量体を重合して得られた樹脂であり、ビニル系単量体に由来する構造単位を含む(共)重合体が、ゴム質重合体にグラフトしている樹脂である。
【0055】
上記ゴム強化グラフト樹脂を構成するゴム質重合体部の形成に用いられるゴム質重合体は、ジエン系ゴム、水添ジエン系ゴム、アクリルゴム及びエチレン・α-オレフィン系ゴムから選ばれた少なくとも1種である。
【0056】
上記ジエン系ゴムは、単独重合体であってよいし、共重合体であってもよい。更に、このジエン系ゴムは、架橋重合体であってよいし、非架橋重合体であってもよい。
上記ジエン系ゴムとしては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン等の単独重合体;スチレン・ブタジエン共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、アクリロニトリル・スチレン・ブタジエン共重合体等のスチレン・ブタジエン系共重合体ゴム;スチレン・イソプレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレン共重合体、アクリロニトリル・スチレン・イソプレン共重合体等のスチレン・イソプレン系共重合体ゴム;天然ゴム等が挙げられる。これらの共重合体は、ブロック共重合体でもよいし、ランダム共重合体でもよい。また、これらの共重合体は水素添加(但し、水素添加率は50%未満。)されたものであってもよい。
【0057】
上記水添ジエン系ゴムは、共役ジエン系化合物に由来する構造単位を含む(共)重合体を水素添加(但し、水素添加率は50%以上。)してなる(共)重合体である。
上記水添ジエン系ゴムとしては、下記の構造を有する共役ジエンブロック共重合体の水素添加物が挙げられる。即ち、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位からなる重合体ブロックP;1,2-ビニル結合含量が25モル%を超える共役ジエン系化合物に由来する構造単位からなる重合体の二重結合部分を95モル%以上水素添加してなる重合体ブロックQ;1,2-ビニル結合含量が25モル%以下の共役ジエン系化合物に由来する構造単位からなる重合体の二重結合部分を95モル%以上水素添加してなる重合体ブロックR;並びに、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位と共役ジエン系化合物に由来する構造単位とからなる共重合体の二重結合部分を95モル%以上水素添加してなる重合体ブロックSのうち、2種以上を組み合わせたものからなるブロック共重合体である。
【0058】
上記ブロック共重合体の分子構造は、分岐状、放射状又はこれらの組み合わせでもよい。また、ブロック構造は、ジブロック、トリブロックもしくはマルチブロック又はこれらの組み合わせでもよい。
上記ブロック共重合体の構造としては、P-(Q-P)n、(P-Q)n、P-(Q-R)n、R-(Q-R)n、(Q-R)n、P-(S-P)n、(P-S)n、P-(S-R)n、R-(S-R)n、(S-R)n、P-(Q-R-S)n、(P-Q-R-S)n〔但し、nは1以上の整数である。〕等が挙げられ、好ましくは、P-Q-P、P-Q-P-Q、P-Q-R、P-S-R、R-Q-Rである。
【0059】
上記ブロック共重合体を構成する重合体ブロックP及びSの形成に用いられる芳香族ビニル化合物としては、少なくとも1つのビニル結合と、少なくとも1つの芳香族環とを有する化合物であれば、特に限定されない。その例としては、スチレン、α-メチルスチレン、メチルスチレン、ビニルキシレン、p-tert-ブチルスチレン、エチルスチレン、ビニルナフタレン等が挙げられる。
上記ブロック共重合体を構成する重合体ブロックPの含有割合は、重合体の全体に対して、好ましくは0~65質量%、より好ましくは10~40質量%である。
【0060】
上記重合体ブロックQ、R及びSは、共役ジエン系化合物及び芳香族ビニル化合物を用いて得られた水素添加前ブロック共重合体を水素添加することにより形成される。上記重合体ブロックQ、R及びSの形成に用いられる共役ジエン系化合物としては、1,3-ブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン、クロロプレン等が挙げられる。
【0061】
上記重合体ブロックQ、R及びSの水素添加率は、いずれも95モル%以上であり、好ましくは96モル%以上である。
上記重合体ブロックQにおける1,2-ビニル結合含量は、好ましくは25モル%を超え90モル%以下、より好ましくは30~80モル%である。
また、上記重合体ブロックRにおける1,2-ビニル結合含量は、好ましくは25%モル以下、より好ましくは20モル%以下である。
【0062】
上記重合体ブロックSにおける1,2-ビニル結合含量は、好ましくは25~90モル%、より好ましくは30~80モル%である。
また、上記重合体ブロックSにおける芳香族ビニル化合物単位量は、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。
【0063】
上記水添ジエン系ゴムとしては、水添ポリブタジエン、水添スチレン・ブタジエンゴム、スチレン・エチレンブチレン・オレフィン結晶ブロックポリマー、オレフィン結晶・エチレンブチレン・オレフィン結晶ブロックポリマー、スチレン・エチレンブチレン・スチレンブロックポリマー、ブタジエン・アクリロニトリル共重合体の水素添加物等が挙げられる。
【0064】
上記水添ジエン系ゴムの重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1万~100万、より好ましくは3万~80万、更に好ましくは5万~50万である。
【0065】
上記アクリルゴムとしては、好ましくは、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、エトキシエトキシエチルアクリレート、メトキシトリプロピレングリコールアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系化合物を含む単量体を(共)重合して得られたゴムである。
また、上記単量体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系化合物以外に、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物;メタクリル酸変性シリコーン、フッ素含有ビニル化合物等の各種のビニル系単量体を30質量%以下の範囲で含んでいてもよい。
【0066】
上記エチレン・α-オレフィン系ゴムは、エチレン単位と、炭素原子数3以上のα-オレフィンからなる構造単位とを含む共重合体であり、エチレン・α-オレフィン共重合体、エチレン・α-オレフィン・非共役ジエン共重合体等が挙げられる。
上記エチレン・α-オレフィン共重合体としては、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン-1共重合体等が挙げられる。また、上記エチレン・α-オレフィン・非共役ジエン共重合体としては、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体、エチレン・ブテン-1・非共役ジエン共重合体等が挙げられる。
【0067】
上記α-オレフィンは、好ましくは、炭素原子数3~20のα-オレフィンであり、具体的には、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-ヘキサデセン、1-エイコセン等が挙げられる。上記α-オレフィンにおいて、より好ましい炭素原子数は3~12であり、更に好ましくは3~8である。
【0068】
上記エチレン・α-オレフィン系ゴムを構成する、エチレン単位及びα-オレフィン単位の割合は、これらの合計を100質量%とした場合、それぞれ、好ましくは5~95質量%及び5~95質量%、より好ましくは50~90質量%及び10~50質量%、更に好ましくは60~88質量%及び12~40質量%、特に好ましくは70~85質量%及び15~30質量%である。
【0069】
上記エチレン・α-オレフィン系ゴムが、エチレン・α-オレフィン・非共役ジエン共重合体である場合、非共役ジエンとしては、5-エチリデン-2-ノルボルネン等のアルケニルノルボルネン;ジシクロペンタジエン等の環状ジエン;脂肪族ジエン等が挙げられる。これらの化合物は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記非共役ジエンに由来する構造単位の含有量は、上記エチレン・α-オレフィン・非共役ジエン共重合体を構成する構造単位の全量に対して、好ましくは1~30質量%、より好ましくは2~20質量%である。
【0070】
上記ゴム質重合体としては、ジエン系ゴムが好ましい。本発明の組成物が、ジエン系ゴムに由来するゴム質重合体部を含むゴム強化グラフト樹脂を更に含有する場合、帯電防止性及び成形加工性を向上させることができる。
【0071】
上記ゴム強化グラフト樹脂を構成する樹脂部の形成に用いられるビニル系単量体は、好ましくは、芳香族ビニル化合物を含み、更に、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、マレイミド系化合物、不飽和酸無水物、カルボキシル基含有不飽和化合物、ヒドロキシル基含有不飽和化合物、エポキシ基含有不飽和化合物、オキサゾリン基含有不飽和化合物等から選ばれた少なくとも1種を含むことができる。
【0072】
上記ビニル系単量体に含まれる芳香族ビニル化合物の割合の下限は、外観性及び成形加工性の観点から、好ましくは50質量%、より好ましくは60質量%、更に好ましくは65質量%である。
【0073】
芳香族ビニル化合物は、少なくとも1つのビニル結合と、少なくとも1つの芳香族環とを有する化合物であれば、特に限定されない。その例としては、スチレン、α-メチルスチレン、o-メチルスチレン、p-メチルスチレン、β-メチルスチレン、エチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノブロモスチレン、ジブロモスチレン、トリブロモスチレン、フルオロスチレン等が挙げられる。これらのうち、スチレン及びα-メチルスチレンが好ましく、スチレンが特に好ましい。
【0074】
上記ビニル系単量体が、芳香族ビニル化合物と、他のビニル系単量体とからなる場合、芳香族ビニル化合物及び他のビニル系単量体の使用比率は、これらの合計を100質量%とした場合、それぞれ、好ましくは50~95質量%及び5~50質量%、より好ましくは60~90質量%及び10~40質量%、更に好ましくは70~85質量%及び15~30質量%である。
【0075】
他のビニル系単量体のうち、シアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル、α-エチルアクリロニトリル、α-イソプロピルアクリロニトリル、α-クロロアクリロニトリル、α-フルオロアクリロニトリル等が挙げられる。
【0076】
(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec-ブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等が挙げられる。
【0077】
マレイミド系化合物としては、マレイミド、N-メチルマレイミド、N-イソプロピルマレイミド、N-ブチルマレイミド、N-ドデシルマレイミド、N-フェニルマレイミド、N-(2-メチルフェニル)マレイミド、N-(4-メチルフェニル)マレイミド、N-(2、6-ジメチルフェニル)マレイミド、N-(2、6-ジエチルフェニル)マレイミド、N-(2-メトキシフェニル)マレイミド、N-ベンジルマレイミド、N-(4-ヒドロキシフェニル)マレイミド、N-ナフチルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。尚、ゴム強化グラフト樹脂に、マレイミド系化合物に由来する構造単位を導入する他の方法としては、例えば、無水マレイン酸の不飽和ジカルボン酸無水物を共重合し、その後イミド化する方法がある。
【0078】
上記不飽和酸無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等が挙げられる。
上記カルボキシル基含有不飽和化合物としては、(メタ)アクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸等が挙げられる。
【0079】
上記ヒドロキシル基含有不飽和化合物としては、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチルにε-カプロラクトンを付加して得られた化合物等のヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル;o-ヒドロキシスチレン、m-ヒドロキシスチレン、p-ヒドロキシスチレン、o-ヒドロキシ-α-メチルスチレン、m-ヒドロキシ-α-メチルスチレン、p-ヒドロキシ-α-メチルスチレン、2-ヒドロキシメチル-α-メチルスチレン、3-ヒドロキシメチル-α-メチルスチレン、4-ヒドロキシメチル-α-メチルスチレン、4-ヒドロキシメチル-1-ビニルナフタレン、7-ヒドロキシメチル-1-ビニルナフタレン、8-ヒドロキシメチル-1-ビニルナフタレン、4-ヒドロキシメチル-1-イソプロペニルナフタレン、7-ヒドロキシメチル-1-イソプロペニルナフタレン、8-ヒドロキシメチル-1-イソプロペニルナフタレン、p-ビニルベンジルアルコール、3-ヒドロキシ-1-プロペン、4-ヒドロキシ-1-ブテン、シス-4-ヒドロキシ-2-ブテン、トランス-4-ヒドロキシ-2-ブテン、3-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロペン等が挙げられる。
【0080】
上記エポキシ基含有不飽和化合物としては、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸3,4-オキシシクロヘキシル、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、メタリルグリシジルエーテル等が挙げられる。
上記オキサゾリン基含有不飽和化合物としては、ビニルオキサゾリン等が挙げられる。
【0081】
上記ゴム強化グラフト樹脂において、グラフト率、即ち、ゴム質重合体部に対する樹脂部の質量割合は、耐衝撃性及び外観性の観点から、好ましくは20~150質量%、より好ましくは35~100質量%である。
【0082】
本発明の組成物において、組成物全体に対する、ポリカーボネート・ポリオルガノシロキサン共重合体に由来するポリオルガノシロキサン部の含有割合は、帯電防止性及び難燃性に優れた成形品が得られることから、0.8~10質量%であり、好ましくは1.5~8質量%、より好ましくは2.5~6質量%である。
【0083】
本発明の組成物は、押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール等を用い、原料成分を混練することにより、製造することができる。混練に際しては、原料成分を一括して混練してよいし、多段添加方式で混練してもよい。
本発明の組成物は、成形加工性に優れ、ISO 1133に準ずるメルトマスフローレート(以下、「MFR」ともいう)は、温度220℃及び荷重98Nの条件において、好ましくは15~120g/10分、より好ましくは25~100g/10分である。
【0084】
本発明の成形品は、上記本発明のポリカーボネート樹脂組成物、又は、その構成成分を形成することとなる原料成分を、射出成形装置、押出成形装置、異形押出成形装置、中空成形装置、圧縮成形装置、真空成形装置、発泡成形装置(超臨界流体を注入する方法を含む)、ブロー成形装置、射出圧縮成形装置、ガスアシスト成形装置、ウォーターアシスト成形装置、断熱金型成形装置、急速加熱冷却金型成形装置、二色成形装置、サンドイッチ成形装置、超高速射出成形装置等、公知の成形装置で加工することにより製造することができる。即ち、本発明の成形品は、上記本発明のポリカーボネート樹脂組成物を含む。
【0085】
上記成形装置を用いて、成形品を製造する場合、成形温度及び金型温度は、使用する原料成分(他の重合体を含む)の種類等によって、適宜、選択される。
成形品を製造する場合の成形装置のシリンダー温度は、通常、210℃~250℃である。また、金型温度は、通常、30℃~70℃である。
尚、上記のいずれの場合にも、成形品が大型である場合には、一般に、シリンダー温度は、上記温度より高めに設定される。
【0086】
本発明の成形品は、目的、用途等に応じて、任意の位置に、貫通孔、溝、凹部、凸部等を備えてもよい。
【0087】
本発明の成形品は、帯電防止性に優れ、成形品を製造後、温度23℃、相対湿度50%で24時間保存したときの表面固有抵抗は、好ましくは1.0×108~5.0×1011Ω、より好ましくは1.0×109~5.0×1010Ωである。
【0088】
本発明の成形品は、難燃性に優れ、UL94規格の垂直燃焼試験に準ずる燃焼レベルは、好ましくは、厚さ2.0mmの試験片において、V-0であり、更に好ましくは、厚さ2.0mm未満の試験片において、V-0である。本発明においては、必須成分であるポリカーボネート樹脂(A)、帯電防止剤(B)及び難燃剤(C)の含有割合を、それぞれ、73~80質量%、6~12質量%及び12~20質量%、好ましくは75~78質量%、7~10質量%及び14~18質量%とし、且つ、ポリカーボネート樹脂(A)に含まれるポリカーボネート・ポリオルガノシロキサン共重合体の割合を50質量%以上、好ましくは80質量%以上、特に好ましくは100質量%とすることにより、上記の表面固有抵抗を有し、厚さ1.5mmの試験片において、V-0を得ることができる。
【実施例】
【0089】
以下に、実施例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明の主旨を超えない限り、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。尚、下記において、部及び%は、特に断らない限り、質量基準である。
【0090】
1.製造原料
ポリカーボネート樹脂組成物の製造に用いた原料は、以下の通りである。
【0091】
1-1.原料(A)
A-1として、出光興産社製ポリカーボネート-ポリジメチルシロキサン共重合体「FG1700」(商品名)を用いた。重合度(n)は90、ポリオルガノシロキサン部の含有量は6%、粘度平均分子量(Mv)は17,500である。
A-2として、出光興産社製ビスフェノールAホモポリカーボネート樹脂「FN1700A」(商品名)を用いた。粘度平均分子量(Mv)は17,500である。
【0092】
1-2.原料(B)
帯電防止剤として、三洋化成工業社製ポリエーテルエステルアミドブロックポリマー「ペレクトロンAS」(商品名)を用いた。
1-3.原料(C)
難燃剤として、大八化学工業社製1,3-フェニレンビス(ジキシレニル)ホスフェート「PX-200」(商品名)を用いた。
1-4.原料(D)
滴下防止剤として、ダイキン工業社製ポリテトラフルオロエチレン樹脂「ポリフロン FA-500H」(商品名)を用いた。
【0093】
1-5.原料(E)
他の熱可塑性樹脂として、下記方法により得られた組成物(ABS樹脂)を用いた。
攪拌機付き重合器に、水280部およびジエン系ゴム質重合体として、重量平均粒子径280nm、ゲル分率90%のポリブタジエンラテックス60部(固形分換算)、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.3部、硫酸第一鉄0.0025部及びエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.01部を仕込み、脱酸素後、窒素気流中で撹拌しながら60℃に加熱した後、アクリロニトリル10部、スチレン28部、2-ヒドロキシエチルアクリレート2部、tert-ドデシルメルカプタン0.2部及びクメンハイドロパーオキサイド0.3部からなる単量体混合物を60℃で5時間かけて連続的に滴下した。滴下終了後、重合温度を65℃にし、1時間撹拌を続けた後、重合反応を終了させ、グラフト共重合体のラテックスを得た。その後、得られたラテックスに、2,2′-メチレン-ビス(4-エチレン-6-tert-ブチルフェノール)0.2部を添加し、硫酸を用いて凝固し、洗浄、濾過及び乾燥の各工程を経て、パウダー状の樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物のグラフト率は55%、アセトン可溶分の極限粘度[η]は0.38dl/gであった。
【0094】
1-6.原料(F)
酸化防止剤として、ADEKA社製トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト「アデカスタブ 2112」(商品名)を用いた。
1-7.原料(G)
エステル交換防止剤として、ADEKA社製オクタデシルホスフェート「アデカスタブ AX71」(商品名)を用いた。
【0095】
2.ポリカーボネート樹脂組成物の製造及び評価
実施例1~12及び比較例1~7
原料(A)~(G)を、表1及び表2に記載の割合で、ヘンシェルミキサーを用いて混合した。その後、この混合物を、シリンダー設定温度を220℃としたプラスチック工学研究所社製2軸押出機「SBTN32」(型式名)に供給して溶融混練し、ポリカーボネート樹脂組成物からなるペレットを得た。
【0096】
得られた組成物を、以下の各種評価試験に供し、その結果を表1及び表2に併記した。
(1)流動性
ISO 1133に準じて、温度220℃、荷重98Nで測定したメルトマスフローレートにより評価した。
(2)耐熱性
ISO 75に準じて、曲げ応力1.8MPaで測定した荷重たわみ温度により評価した。
(3)耐衝撃性
ISO 179に準じて、ノッチ付き、温度23℃で測定したシャルピー衝撃強さにより評価した。
(4)曲げ特性
ISO 178に準じて、温度23℃で測定した曲げ弾性率により評価した。
(5)難燃性
UL94規格に定められた方法により、厚さ1.5mm及び2mmの試験片を使用して評価した。試験片は、上記ペレットを十分に乾燥した後、シリンダーの設定温度を220℃、金型温度を50℃とした東芝機械社製射出成形機「EC40」(型式名)を用いて作製した。評価結果は、試験片の厚さが1.5mmの場合、V-0ランクを「◎」とし、試験片の厚さが2mmの場合、V-0ランクを「○」とし、V-0ランク不合格のものを「NG」と表記した。
(6)帯電防止性
以下の方法で測定した表面固有抵抗値により評価した。
上記ペレットを十分に乾燥した後、樹脂温度を220℃、金型温度を50℃とした日精樹脂工業社製射出成形機「NEX30」(型式名)により、中心にゲートを有する円板(直径100mm、厚さ2mm)を作製し、これを試験片とした。この試験片を、温度23℃、湿度50%RHの条件下で1日間放置した後、アジレント・テクノロジー社製抵抗率計「HIGH RESISTANCE METER(4339B:HIGH RESISTANCE METER+16008:RESISTIVITY CELL)」(商品名)を用いて、印加電圧500Vで表面固有抵抗(Ω)を測定した。
【0097】
【0098】
【0099】
表1及び表2より、以下のことが分かる。
実施例1~12は、本発明の構成を有するポリカーボネート樹脂組成物の例であり、成形加工性、帯電防止性及び難燃性に優れていた。特に、実施例6~8では、厚さ1.5mmの試験片において、V-0を得ることができ、優れた難燃性を示した。尚、比較例1は、組成物の全体に対するポリオルガノシロキサン部の含有割合が本発明の範囲外で低い組成物の例であり、難燃性が不十分であった。比較例2及び6は、帯電防止剤(B)の含有割合が本発明の範囲外で低い組成物の例であり、表面固有抵抗が高く帯電防止性に劣っていた。比較例3は、帯電防止剤(B)の含有割合が本発明の範囲外で高い組成物の例であり、耐熱性及び難燃性に劣っていた。比較例4及び7は、難燃剤(C)の含有割合が本発明の範囲外で低い組成物の例であり、流動性及び難燃性に劣っていた。比較例5は、難燃剤(C)の含有割合が本発明の範囲外で高い組成物の例であり、耐熱性及び難燃性に劣っていた。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、成形加工性に優れるため、広い用途の成形品の製造に好適である。そして、得られる成形品は、例えば、車両、船舶、航空機等における内装用部材や、OA機器、家庭電化機器、電機・電子機器、建材等における構成部材(筐体等)や、日用雑貨、スポーツ用品、文具等の構成部材等に好適である。