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特許7426251ロッドを骨または椎骨に固定するための固定アセンブリ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-24
(45)【発行日】2024-02-01
(54)【発明の名称】ロッドを骨または椎骨に固定するための固定アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/70 20060101AFI20240125BHJP
   A61B 17/86 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
A61B17/70
A61B17/86
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020020581
(22)【出願日】2020-02-10
(65)【公開番号】P2020131025
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2022-11-15
(31)【優先権主張番号】19157004.3
(32)【優先日】2019-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】62/804,920
(32)【優先日】2019-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511211737
【氏名又は名称】ビーダーマン・テクノロジーズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】BIEDERMANN TECHNOLOGIES GMBH & CO. KG
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ティモ・ビーダーマン
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-058361(JP,A)
【文献】特開2013-248392(JP,A)
【文献】特開2008-155028(JP,A)
【文献】特開2007-021206(JP,A)
【文献】特開2009-142655(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02070485(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/70
A61B 17/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロッドを骨または脊椎に固定するための固定アセンブリであって、
軸部(2)と、前記軸部(2)に枢動可能に接続可能な受け部(5)とを含む骨固定装置を備え、前記受け部は、ロッドを受け入れるためのチャネル(54)を含み、前記固定アセンブリはさらに、
前記受け部(5)に対する前記軸部(2)の角度位置をロックするように構成された圧力要素(6)を備え、
前記圧力要素(6)は、
第1端(6a)と、前記第1端(6a)とは逆の第2端(6b)とを有する単一部材部分、および、前記第1端(6a)に隣接する凹部(66)として形成されており、前記凹部は2つの脚部(67,68)および基部(69)を形成し、前記凹部(66)の深さは、最小の直径と最大の直径との間の直径を有する全てのロッドにとって、前記脚部(67,68)が、挿入されたロッドの上側の面よりも上に延在するような深さであり、
前記固定アセンブリはさらに、
異なる直径を有し、前記チャネル(54)に互いに交換可能に受け入れられるように構成された少なくとも第1のロッド(101)および第2のロッド(102)と、
前記受け部と協働する第1の閉鎖要素(7)とを備え、前記第1の閉鎖要素(7)は、前記受け部の前記軸部(2)に対する角度位置をロックすることと、前記第1のロッド(101)または前記第2のロッド(102)を前記チャネル(54)に固定することとを、同時に行うよう、前記第1のロッド(101)または前記第2のロッド(102)が前記圧力要素(6)に圧力を加えるように、前記第1のロッド(101)または前記第2のロッド(102)に作用し、前記固定アセンブリはさらに、
前記受け部と協働する第2の閉鎖要素(8、8’)を備え、前記第2の閉鎖要素(8、8’)は、前記受け部(5)の前記軸部(2)に対する角度位置をロックすることと、前記第1のロッド(101)または前記第2のロッド(102)を固定することとを、別々に行うように、前記圧力要素および前記第1のロッド(101)または前記第2のロッド(102)に作用し、
前記第1の閉鎖要素(7)および前記第2の閉鎖要素(8、8’)は、互いに交換可能である、固定アセンブリ。
【請求項2】
前記圧力要素(6)前記2つの脚部(67,68)は、前記第1のロッド(101)または前記第2のロッド(102)が前記凹部に挿入され、前記基部(69)に載置されているときに、前記第1のロッド(101)または前記第2のロッド(102)より上に延在する、請求項1に記載の固定アセンブリ。
【請求項3】
前記圧力要素(6)および前記第1の閉鎖要素(7)、または前記圧力要素および前記第2の閉鎖要素(8、8’)は、前記第1のロッド(101)または前記第2のロッド(102)のいずれかが少なくとも3つの異なる接触領域(P1、P2、P3)の間において前記チャネル(54)に受けられると、前記第1のロッド(101)または前記第2のロッド(102)をクランプするよう、各々構成される、請求項2に記載の固定アセンブリ。
【請求項4】
前記基部(69)は、2つの別個の接触領域(P1、P2)を含む、請求項3に記載の固定アセンブリ。
【請求項5】
前記接触領域(P1、P2)は、各々、前記チャネル(54)の長手方向軸に実質的に平行な線を形成する、請求項4に記載の固定アセンブリ。
【請求項6】
前記第1の閉鎖要素(7)または前記第2の閉鎖要素(8、800)の下側(72;803)は、前記3つの接触領域(P1、P2、P3)のうちの第3の接触領域(P3)を含む、請求項3から5のいずれか1項に記載の固定アセンブリ。
【請求項7】
前記第1の閉鎖要素(7)および前記第2の閉鎖要素(8、8’)は各々、前記第1のロッド(101)または前記第2のロッド(102)が前記チャネル(54)に置かれ、前記第1の閉鎖要素(7)または第2の閉鎖要素(8、8’)が受け部(5)に挿入されその中において進められると、前記第1のロッド(101)および前記第2のロッド(102)のいずれかに接触するよう構成されるような長さを有する突起(72、803)を
含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の固定アセンブリ。
【請求項8】
前記第1の閉鎖要素(7)は、前記第1の閉鎖要素(7)が前記第1のロッド(101)または前記第2のロッド(102)に接触するときに、前記圧力要素(6)と前記第1の閉鎖要素(7)の下側(72)との間において軸方向に隙間がある間にのみ、前記第1のロッド(101)または前記第2のロッド(102)に圧力を加えるように構成される単一部品である、請求項1から7のいずれか1項に記載の固定アセンブリ。
【請求項9】
前記第2の閉鎖要素(8、8’)は、第1のロック部材(80,80’)と、前記第1のロック部材(80,80’)内に配置可能な第2のロック部材(800)とを含み、前記第1のロック部材は前記圧力要素(6)に圧力をかけるように構成され、前記第2のロック部材(800)は前記第1のロッド(101)または前記第2のロッド(102)に圧力をかけるように構成される、請求項1から8のいずれか1項に記載の固定アセンブリ。
【請求項10】
前記第1のロック部材(80,80’)に関する前記第2のロック部材(800)の前進を制限するよう停止部が設けられ、前記停止部は、前記第2の閉鎖要素(8、8’)が受け部(5)に挿入されると前記第1のロッド(101)または前記第2のロッド(102)に面する前記第1のロック部材(80、80’)の下部端(80b)またはその近くにある、請求項に記載の固定アセンブリ。
【請求項11】
前記停止部は、前記第1のロック部材(80、80’)の雌ねじ(82)のねじ山側面(82a)に当接するように構成された、前記第2のロック部材(800)の底部端におけるリング形状の突起(804,804a)によって形成される、請求項10に記載の固定アセンブリ。
【請求項12】
前記第1のロック部材(80)および前記第2のロック部材(800)は、独立して駆動可能である、請求項9から11のいずれか1項に記載の固定アセンブリ。
【請求項13】
第1の構成では、前記第1のロック部材(80’)および前記第2のロック部材(800)は、前記受け部(5)に対して一緒に移動可能であり、第2の構成では、前記第2のロック部材(800)は、所定のトルク(M1)より大きいトルクを前記第2のロック部材(800)に加えることにより、前記第1のロック部材に対して回転可能である、請求項9から11のいずれか1項に記載の固定アセンブリ。
【請求項14】
前記第2の閉鎖要素は、前記第2のロック部材(800)に設けられた単一の駆動部分(802)を含む、請求項13に記載の固定アセンブリ。
【請求項15】
2つの異なる第2の閉鎖要素(8、8’)を備え、前記第2の閉鎖要素は前記第1のロック部材(80、80’)に関して異なり、同一の第2のロック部材(800)を有する、請求項12から14のいずれか1項に記載の固定アセンブリ。
【請求項16】
多軸骨固定装置のための閉鎖要素であって、
第1のロック部材(80、80’)を備え、前記第1のロック部材(80、80’)は、第1の端部(80a)および第2の端部(80b)ならびに前記第1の端部(80a)から前記第2の端部(80b)まで前記第1のロック部材を貫通する穴を有し、前記穴は、前記第2の端部(80b)に最も近い下側ねじ山側面(82a)を有する雌ねじ(82)を含み、前記閉鎖要素はさらに、
雄ねじ(801)を含み、前記第1のロック部材(80、80’)のねじ切りされた穴に設けられる第2のロック部材(800)を備え、前記第2のロック部材(800)は、
前記第1のロック部材(80、80’)の前記第1の端部(80a)に向けられる第1の端部(800a)と、第2の端部(800b)と、前記第2の端部(800b)に近い当接面(804a)とを有し、前記当接面は前記第2のロック部材(800)の前記第1の端部(800a)に向かって面しており、前記第1のロック部材(80、80’)の前記第1の端部(80a)に向かう、前記第1のロック部材(80、80’)に対する前記第2のロック部材(800)の前進を制限する停止部が設けられ、
前記停止部は、前記第1のロック部材(80、80’)の雌ねじ(82)の下側ねじ山側面(82a)に当接する、前記第2のロック部材(800)の当接面(804a)の当接により形成される、閉鎖要素。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる直径を有する少なくとも2本のロッドを含む、骨または椎骨にロッドを固定するための固定アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
このタイプの骨固定アセンブリは、US8,257,399B2から公知である。骨固定アセンブリは、軸部と前記軸部に枢動可能に接続される頭部とを含む骨固定装置と、チャネルを規定する2つの実質的に垂直に延びる脚部を有する圧力要素と、同軸のねじ切りされた穴を有する第1の外側ねじとその穴の中に挿入される第2の内側ねじとを含む二部品固定要素とを含む。外側ねじは、圧力要素を頭部に押し付けることで、頭部の枢動位置を固定できる。内側ねじはロッドに作用する。これにより、ロッドは頭部とは無関係に固定できる。アセンブリは、異なる直径を有する2本のロッドをさらに含む。
【0003】
US7,955,359B2は、頭部を有する固定要素、頭部を収容する収容部、ロッドを収容する凹部、および頭部に結合するように構成された圧力要素を含む多軸骨固定装置を記載している。ロッドを凹部に、および頭部を収容部に同時に固定するための第1の閉鎖要素は、頭部とロッドとを独立して固定するように構成された第2の閉鎖要素と交換可能に使用できる。
【0004】
多軸骨固定装置用のさらなるタイプの閉鎖機構は、US9,339,302B2に記載されている。この文献に記載されている多軸骨固定装置は、軸部と、受け部に枢動可能に受けられる頭部とを備えた骨固定要素を含む。受け部は、ロッドを受け入れるためのチャネルも有する。圧力要素は、受け部に配置され、頭部に圧力を加えて頭部をロックするように構成される。さらに、チャネルに挿入可能なロックアセンブリが提供され、このロックアセンブリは、穴を有する第1のロック部材と、穴に設けられる第2のロック部材とを備える。多軸骨固定装置は、単一の駆動部分のみを備えたツールを使用して、受け部内の骨固定要素の頭部およびロッドを順次ロックすることを可能にする。この順次ロック機構により、最初に頭部をロックするか、または少なくとも事前にクランプし、その後、ロッドと頭部とを最後にロックすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】US8,257,399B2
【文献】US7,955,359B2
【文献】US9,339,302B2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の先行技術の骨固定装置およびアセンブリは、広範囲の用途を可能にするが、可能な限り少ない数の基本構成要素でより大きな汎用性を有する骨固定装置、アセンブリまたはその部品に対する要求がある。
【0007】
したがって、本発明の目的は、その用途が多用途であると同時にその構造が簡単な骨固定アセンブリおよび多軸骨固定装置用の閉鎖要素を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1に記載の固定アセンブリによって、および請求項15に記載の多軸骨固定装置用の閉鎖要素によって解決される。さらなる発展形態は従属請求項に記載される。
【0009】
1つの局面によれば、ロッドを骨または椎骨に固定するための固定アセンブリは、軸部と、軸部に枢動可能に接続可能な受け部とを含む骨固定装置を備え、受け部は、ロッドを受け入れるためのチャネルを含み、固定アセンブリはさらに、受け部に対する軸部の角度位置をロックするように構成された圧力要素と、異なる直径を有し、チャネルに互いに交換可能に受け入れられるように構成された少なくとも第1のロッドおよび第2のロッドと、受け部と協働する第1の閉鎖要素とを備え、第1の閉鎖要素は、受け部の軸部に対する角度位置をロックすることと、第1のロッドまたは第2のロッドをチャネルに固定することとを、同時に行うよう、第1のロッドまたは第2のロッドが圧力要素に圧力を加えるように、第1のロッドまたは第2のロッドに作用し、固定アセンブリはさらに、受け部と協働する第2の閉鎖要素を備え、第2の閉鎖要素は、受け部の軸部に対する角度位置をロックすることと、第1のロッドまたは第2のロッドを固定することとを、別々に行うように、圧力要素および第1のロッドまたは第2のロッドに作用し、第1の閉鎖要素および第2の閉鎖要素は、互いに交換可能である。
【0010】
固定アセンブリは、骨固定装置の使用時に異なる直径のロッドから選択すると同時に、異なるロック機構から選択することができる。第1のロック機構は、一方で軸部に対する受け部の角度位置をロックすることと、他方で受け部のチャネル内でロッドの位置を固定することとを、1つのステップで行なうように構成された第1の閉鎖要素を含む。同様に、角度位置のロックを解放することと、ロッドの固定を緩めることとが、第1の閉鎖要素を緩めるときに同時に行われる。
【0011】
第1の閉鎖要素の代わりに第2の閉鎖要素を使用する場合、第2のロック機構を実現することができる。第2のロック機構により、一方で軸部に対する受け部の角度位置のロックと、他方で受け部のチャネル内におけるロッドの位置の固定とを、別々に行うことができる。
【0012】
第1の実施形態では、第2の閉鎖要素は、軸部に対する受け部の角度位置をロックすることと、ロッドの位置を固定することとを、独立して行うようにされる。第2の実施形態では、第2の閉鎖要素は、軸部に対する受け部の角度位置をロックすることと、チャネル内においてロッドの位置を固定することとを、順次行うようにされている。軸部に対する受け部の角度位置のロックを解除することおよびロッドの固定を緩めることは、第1および第2の実施形態に従って、それぞれ、独立してまたは順次行うことができる。
【0013】
したがって、第1の閉鎖要素、第1の実施形態の第2の閉鎖要素、および第2の実施形態の第2の閉鎖要素は、1つの多軸骨固定装置内で完全に互いに交換可能であり、各々、異なる直径のロッドとともに用いることができる。異なる直径は、例えば、脊椎の安定化に使用される典型的なロッド直径である5.5mmまたは6.0mmであってもよい。
【0014】
各閉鎖要素は、異なる直径を有するロッドの使用を可能にする。
このようにして、本発明はわずかな基本的な構成要素に限定される。同時に、用途の数、特に、固定アセンブリで実行されるさまざまな外科的ステップが増加する。
【0015】
別の局面によれば、多軸骨固定装置用の閉鎖要素は、第1のロック部材を備え、第1のロック部材は、第1の端部および第2の端部ならびに第1の端部から第2の端部まで第1のロック部材を貫通する穴を有し、穴は、第2の端部に最も近い下側ねじ山側面を有する雌ねじを含み、閉鎖要素はさらに、雄ねじを含み、第1のロック部材のねじ切りされた穴に設けられる第2のロック部材を備え、第2のロック部材は、第1のロック部材の第1の端部に向けられる第1の端部と、第2の端部と、第2の端部に近い当接面とを有し、当接面は第2のロック部材の第1の端部に向かって面しており、第1のロック部材の第1の端部に向かう、第1のロック部材に対する第2のロック部材の前進を制限する停止部が設けられ、停止部は、第1のロック部材の雌ねじの下側ねじ山側面に当接する、第2のロック部材の当接面の当接により形成される。
【0016】
この局面による第2の閉鎖要素は、軸部に対して受け部の角度位置をロックすること、およびロッドを固定することを、独立して行うために設計され得る二部品閉鎖要素である。同様に、この局面による第2の閉鎖要素は、受け部を軸部に対してロックすること、およびロッドを固定することを、順次行うために使用され得る二部品閉鎖要素である。これらのロック機構の両方について、第2のロック部材は同一であり、それぞれ適切な第1のロック部材と組み合わされて、第2の閉鎖要素を形成してもよい。これにより、必要な構成要素の数をさらに低減することができる。
【0017】
最後に、固定アセンブリのさらなる局面は、軸部と、軸部に枢動可能に接続可能な受け部とを含む骨固定装置を備え、受け部は、ロッドを受け入れるためのチャネルを含み、固定アセンブリはさらに、受け部に対する軸部の角度位置をロックするように構成された圧力要素と、異なる直径を有し、チャネル内に互いに交換可能に受けられるように構成された少なくとも第1のロッドおよび第2のロッドと、互いに交換可能な第1の実施形態の第2の閉鎖要素および第2の実施形態の第2の閉鎖要素とを備える。
【0018】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面による実施形態の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】骨固定アセンブリの実施形態の分解斜視図である。
図2】異なる閉鎖要素を備えた固定アセンブリの実施形態の断面図を示し、断面は、受け部の中心を通り、挿入されたロッドの長手方向軸に垂直に延びる平面で取られている図である。
図3図1および図2の骨固定装置の受け部の上部からの斜視図である。
図4図3の受け部の底部からの斜視図である。
図5図3および図4の受け部の上面図である。
図6図3図5の受け部の、図5の線A‐Aに沿った断面図である。
図7図1および図2の骨固定装置の圧力要素の上部から示す斜視図である。
図8図7の圧力要素の底部から示す斜視図である。
図9図7および図8の圧力要素の上面図である。
図10図7図9の圧力要素の、図9に示す線B‐Bに沿った断面図である。
図11図1および図2の骨固定アセンブリの第1の閉鎖要素の上部からの斜視図である。
図12】第1の閉鎖要素の底部からの斜視図である。
図13図1および図2に示す固定アセンブリの第2の閉鎖要素の第1の実施形態の第1のロック部材の上部からの斜視図である。
図14図13に示される第1のロック部材の底部からの斜視図である。
図15図1および図2に示す固定アセンブリの第2の閉鎖要素の第2の実施形態の第1のロック部材の上部からの斜視図である。
図16図15に示される第1のロック部材の底部からの斜視図である。
図17図1および図2に示す固定アセンブリの第2の閉鎖要素の第1および第2の実施形態の第2のロック部材の上部からの斜視図である。
図18図17に示される第2のロック部材の底部からの斜視図である。
図19図17および図18の第2のロック部材の断面図であって、第2のロック部材の回転軸を含む平面で取った断面図である。
図20】第1の実施形態による、第1の直径を有するロッドと第2の閉鎖要素とを備えた図1および図2の固定アセンブリの断面図である。
図21】第1の直径よりも小さい第2の直径を有する第2のロッドと第2の閉鎖要素の第2の実施形態とを備えた図1および図2の固定アセンブリの断面図である。
図22】第1の直径を有する第1のロッドと第1の閉鎖要素とを備えた図1および図2の固定アセンブリの断面図である。
図23】第1の直径よりも小さい第2の直径を有する第2のロッドと第1の閉鎖要素とを備えた図1および図2の固定アセンブリの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
実施形態による固定アセンブリが図1および図2に示される。固定アセンブリは、多軸骨固定装置と、少なくとも、第1の直径dを有する少なくとも第1のロッド101と第2の直径dを有する第2のロッド102とを含み、第2の直径dは、第1の直径dよりも小さい。骨固定装置は、ねじ部を有する軸部2と頭部3とを有する骨固定要素1を含む。頭部3は、球状の外面部分と、軸部2とは反対側に、ツールとの係合のための凹部4とを有する。骨固定要素1を第1のロッド101および第2のロッド102の一方にそれぞれ結合するために受け部5が設けられている。受け部5には、骨固定要素1の頭部3に圧力をかけるように圧力要素6が配置される。
【0021】
さらに、固定アセンブリは、受け部5に対して骨固定要素1の角度位置をロックをすることと、受け部5内に第1のロッド101および第2のロッド102の一方の位置を固定することとを、同時に行うように構成される第1の閉鎖要素7を含む。第2の閉鎖要素8が、第1の閉鎖要素7と交換可能な態様で、受け部5とともに組み立てられてもよい。第2の閉鎖要素8は、軸部2に対して受け部5の角度位置をロックすることと、受け部5に第1のロッド101または第2のロッド102を固定することとを、別々に行うよう構成される。
【0022】
第1の実施形態の第2の閉鎖要素8は、第1または外側ロック部材80と、第1のロック部材80と協働する第2または内側ロック部材800とを含む。第1のロック部材80および第2のロック部材800は、受け部5を軸部2に対して、および第1のロッド101または第2のロッド102を受け部5内において、独立した態様でロックするように構成される。第2の実施形態の第2の閉鎖要素8’は、第1の実施形態の第2のロック部材と同一であり得る第2または内側のロック部材800と協働する第1または外側のロック部材80’を含む。第1のロック部材80’および第2のロック部材800は、軸部2に対する受け部5の角度位置のロック、および第1のロッド101または第2のロッド102の固定を、順次行うように構成される。第1および第2の実施形態の第2の閉鎖要素8、8’は互いに交換可能に使用することができる。
【0023】
第1のロッド101および第2のロッド102は、全長に沿って円形断面を有してもよい。代替的に、それらは、特定のセクション、例えば、受け部5に受容されるように構成されたロッドのセクションでのみ円形断面を有してもよい。第1のロッド101および第2のロッド102は、ロッド軸の周りで回転可能であり、および/またはチャネル54内で変位可能であるようなサイズを有してもよい。好ましくは、ロッドは滑らかな外面を有する。第1のロッド101および第2のロッド102は、異なる形状を有してもよい。
【0024】
図3図6を参照すると、受け部5は、第1または頂部端5aと、頂部端5aの反対側の第2または底部端5bとを有する。受け部5は、頂部端5aおよび底部端5bを通って延びる長手方向軸Cを有する実質的に円筒形の外形であってもよい。長手方向軸Cと同軸に、頂部端5aから底部端5bまで延び、底部端5bに開口部52を形成する通路51が設けられている。頂部端5aからある距離で、通路は、頭部3および圧力要素6の少なくとも一部を受け入れるように構成された収容空間53に広がる。底部端5bの開口部52に隣接して、収容空間53は、例えば、テーパ面、特に圧力要素6の一部と協働して頭部3を受け部5に摩擦によりクランプするかまたは完全にロックする円錐面で、開口部52に向かって狭くなる。開口部52は、頭部3が底部端5bから収容空間53に挿入されるように、頭部3の最大幅よりも大きくてもよい。したがって、実施形態は、底部装填多軸骨固定装置を示す。底部装填を可能にするために、収容空間53の幅は、以下に説明するように、圧力要素6がその中で拡張して頭部3の挿入を可能にするようなものである。
【0025】
受け部5は、頂部端5aから始まって底部端5bの方向に延びる実質的にU字形の凹部54をさらに備える。U字形凹部54により、第1の端部5aに向かって開いており、第1のロッド101または第2のロッド102を受けるためのチャネルを画定する2つの自由脚部55、56が形成される。上端部5aに隣接して、雌ねじ57を有する部分が脚部55、56の内面に設けられている。図示の実施形態では、雌ねじ57は、実質的に水平な上下のねじ山側面を有する平ねじである。このねじ山形状は、第1の閉鎖要素7または第2の閉鎖要素8、8’が締め付けられたときに、脚部55、56の広がりを低減する。しかしながら、他のねじ山形式が雌ねじ57に対して同様に実現されてもよい。さらに、横穴58の対が、それぞれ、中心軸Cに垂直な方向に、各脚部55、56の周方向のほぼ中央の位置で、脚部55、56を貫通してもよい。横穴58は、横穴58を通ってチャネル内に延びるピン59を収容する役割を果たすことができる。ピン59は、圧力要素6と係合して、圧力要素6を回転に抗して固定する固定装置を形成するように構成される。さらに、ピンは、圧力要素6の上方への動きを制限し得る。脚部の上部において、周方向の実質的に中央に、ツールとの係合のための凹部50が形成され得る。通路51を形成する内壁には、圧力要素6の下方への移動を制限するための縁部51aを設けることができる。
【0026】
圧力要素6は、第1または上部端6aと上部端6aの反対側の第2または下部端6bとを有する一体部品として形成することができる。圧力要素は、上部端6aに隣接して、通路51の内径よりわずかに小さい外径を有する実質的に円筒形の第1の部分61を備え、第1の部分61は通路51に受け入れられ、その中で軸方向に移動することができる。下部端6bに隣接して、受け部5の収容空間53内に少なくとも部分的に延びるように構成される第2の実質的に円筒形の部分62が形成される。第2の部分62は、第1の部分と比べてわずかに小さい外幅を有することができ、段部61aが第1の部分61と第2の部分62との間に形成される。段部61aにより、圧力要素6は、受け部5の通路51の内壁に形成された縁部51aに載ることができる。下部端6bに隣接して、骨固定要素1の頭部3を摩擦で保持するように設計およびサイズ決めされた実質的に球形の切片形状の凹部63が第2の部分62に形成されている。複数の長手方向スリット64が、下部端6bに開口し、下部端6bからある距離まで壁内を延びる。長手方向スリット64は、第2の部分62を柔軟にする。スリット64の数および形状は、所望の柔軟性が達成されるように選択され得る。柔軟性を高めるために、スリットはそれらの閉鎖端64aで広げられてもよい。下部端6bに隣接して、第2の部分62の外面は、受け部5の収容空間53の狭小部分53aと協働するように構成されたテーパ部分65、好ましくは円錐形テーパ部分を含む。圧力要素6および受け部のそれぞれの協働面65、53aにより、圧力要素6の柔軟な第2の部分62を圧縮して、その中に頭部3をクランプまたはロックすることができる。図2にさらに示されるように、圧力要素6の第2の部分62は、段部61aが縁部51aに当接すると、圧力要素6のテーパ面65および受け部5の53aが接触し、圧力要素6がより低い位置にあるような形状およびサイズである。
【0027】
上部端6aに隣接して、凹部66は、好ましくは対向する平坦な内壁を有する2つの開放脚部67、68と、基部69とを形成する。基部69は、中心軸Cに垂直な方向で見て実質的にV字形の輪郭を有する。それは、その最深位置および平坦な側壁への移行部で丸みを帯びていてもよい。凹部66の内側壁間の距離および基部69のV字の角度は、少なくとも第1の直径dを有する第1のロッド101および第2の直径dを有する第2のロッド102が凹部66に受け入れられることができるようになっている。より一般的には、凹部66は、たとえば図2に示すように、最大直径を有するロッドおよび最小直径を有するロッドが挿入され、ロッド軸に平行な2つの接触線P1、P2で基部69に接触できるような形状およびサイズである。凹部66の深さは、最小直径と最大直径との間の直径を有する全てのロッドに対して、脚部67、68が挿入されたロッドの上面よりも上に延びるような深さである。
【0028】
さらに、圧力要素6は、ツールで頭部3の凹部4にアクセスするのに役立つ同軸穴600を含む。さらに、2つの対向する凹部601が、脚部67、68の内壁に形成され、上部端6aから基部69に向かって延びる。凹部601は、円筒切片形状を有してもよい。特に、凹部601は、第1のロッド101または第2のロッド102のいずれかが挿入され、第1の閉鎖要素7または第2のロック要素800によって接触されるときに、軸方向、つまり中心軸Cに平行な方向において、圧力要素6と第1の閉鎖要素7または第2の閉鎖要素8、8’の第2のロック要素800との間に隙間が設けられるような深さを、軸方向に有する。これにより、圧力要素6と第1の閉鎖要素7または第2の閉鎖要素8、8’の第2のロック部材800との相互作用は禁止される。脚部67、68の周方向のほぼ中央において、脚部は各々、長軸が中心軸Cに実質的に平行に延びる長穴602を含む。長穴602は、ピン59によって係合されるように構成される。ピン59と長穴602との間の協働により、受け部内の圧力要素6の回転が防止される。また、ピン59は、頭部3が受け部の下部開口部52を通って圧力要素6の凹部63に挿入されるときの圧力要素6の上方への移動に対する停止部を形成する。
【0029】
図1および図2ならびにさらに図11および図12を参照して、第1の閉鎖要素7について説明する。この実施形態における第1の閉鎖要素7は、内側ねじまたは止めねじの形態の単一部品閉鎖要素である。それは、上部端7aと下部端7bと、受け部5の脚部55、56に設けられた雌ねじ57と協働する雄ねじ71とを備える。上部端7aにおいて、ねじ込みツールと係合するための凹部70が形成される。底部端には、円筒形突起72が設けられており、その外径は、凹部601の位置において圧力要素6の凹部66の内径よりもわずかに小さい。その結果、圧力要素6が受け部5にあり、第1の閉鎖要素7が脚部56、57の間にねじ込まれると、図22および図23に示すように、突起72は受け部5にあり、突起72は圧力要素6に対して軸方向に力を加えない。突起72の軸方向の長さは、圧力要素6が受け部5にあり、頭部3が挿入されたとき、突起72は、圧力要素6に圧力をかけることなく、凹部66に受け入れ可能な最小直径と最大直径との間の任意のロッドに接触するように構成されるような長さである。
【0030】
第2の閉鎖要素8,8’は、二部品閉鎖要素である。第1の実施形態では、第2の閉鎖要素8は、図13および図14により詳細に示す第1のロック要素80と、図17図19により詳細に示す第2のロック要素とを含む。第1のロック部材80は、受け部5の脚部55、56の間にねじ込むことができるナットからなる。ナットは、第1の上部端80aと反対側の第2の下部端80bとを有する。その下部端80bに隣接して、小さな無ねじ山環状面84が内側穴の壁に設けられている。ナットは、脚部55、56の雌ねじ57と協働する雄ねじ81を備える。したがって、雄ねじ81も好ましくは平ねじである。好ましくは、ナットの内側ねじ山82も、実質的に水平な上下のねじ山側面を有する平らなねじ山である。より好ましくは、中心軸Cに垂直な方向における雌ねじ82のねじ山側面の長さは、受け部の脚部55、56に設けられた雌ねじ57のねじ山側面の長さよりも短い。雌ねじ82は、メートルねじであっても、他のねじ形態であってもよいことに留意されたい。上部端80aには、ドライバーと係合するためのスリット83などの駆動部が設けられている。第1のロック部材80の軸方向の長さは、第1のロック部材80が受け部5の脚部55、56の間にねじ込まれ、圧力要素6の上側6aを押すと、第1のロック部材80aの上側80aが、軸方向において受け部の頂部側5aと同一平面にあるかまたはその下に位置するような長さであってもよい。(図20および図21を参照)。スリット83の数および形状は、使用されるツールに適合されてもよい。
【0031】
ここで図17から図19を参照すると、第2のロック部材800は、第1のロック部材80に受容されるように構成された内側ねじまたは止めねじである。それは、上部端800aおよび反対側の下部端800b、ならびにナットの雌ねじ82と協働する雄ねじ801を有する。雄ねじ801は、上部端800aから、下部端800bからのある距離まで延びている。上部端800aには、ドライバーと係合するための凹部802が設けられている。凹部802は、六角形状の凹部もしくはトルクス(登録商標)形状の凹部であってもよく、またはドライバーと協働するのに適した他の形状を有してもよい。下部端800bには、実質的に平坦な下面803がある。
【0032】
図19に最もよく見られるように、下部端に隣接して、環状リム804が外側に形成され、それに続いて環状リム804と雄ねじ801との間に無ねじ面部分805が続く。雄ねじ801に面する環状リム804の上面804aは、第2のロック部材800が第1のロック部材80の下部端80bから第1のロック部材80の穴にねじ込まれると、雌ねじ82の最後のねじ山巻きの下側ねじ山側面82aに当接するように構成される。図2に示すように、第1のロック部材80と第2のロック部材800とが組み立てられた状態では、上面804aは、第2の閉鎖要素8が受け部5への挿入のために組み立てられると、下側ねじ山側面82aに当接する。軸方向における環状リム804の厚さは、第2のロック部材800の下面803が図2に示される第1のロック部材の下面72と実質的に同一平面であるような厚みである。したがって、環状リム804は第1のロック部材80の無ねじ山環状面84の周りにフィットする。
【0033】
次に図15および図16図17図19と関連して参照して、第2の実施形態による第2の閉鎖要素8’を説明する。第2のロック部材800は、第2の閉鎖要素8’の第2の実施形態については、第1の実施形態と同じである。第1のロック部材80’は、第2の閉鎖要素8の第1の実施形態の第1のロック部材80と同様のナットである。しかしながら、ナットは、係合凹部83を欠いている。より一般的には、第1のロック部材80'は、第2の閉鎖要素8'が受け部5に挿入されると、受け部5の脚部55、56の間において第1のロック部材80'を前進させるために用いることができる外部駆動部がない。
【0034】
組み立てられた状態では、図2に示すように、第2のロック部材800は、環状リム804の上面804aが雌ねじ82の下側ねじ山側面82aに当接するまで、第1のロック部材80’にねじ込まれる。第2のロック部材800の下面803は第1のロック部材80’の下部端80bと実質的に面一である。第1のロック部材80’と第2のロック部材800との組み立て中において、第2のロック部材800は、雌ねじ82によって与えられる当接部82aに対して所定の締め付けトルクM0で締め付けられる。これにより、第1のロック部材80’および第2のロック部材800は、暫定的な方法で、互いに対して回転的に固定される。第2のロック部材800を仮固定から解放するには、所定の解放トルクM1よりも大きいトルクM2を反対方向に加えなければならない。解放トルクM1は、摩擦および他の影響による損失のため、締め付けトルクM0と同じであっても、小さくてもよい。仮固定は、係合部802においてツールと係合し、解放トルクM1より小さいトルクが加えられたときに、第2のロック部材800が第1のロック部材80’の下部端80bに向かって前進するのを防ぐ。加えて、当接部82aは、第2のロック部材800が第1のロック部材80’の上部端80aを通過することを防止する。
【0035】
固定アセンブリの部品および要素は、好ましくは生体適合性材料、たとえばチタンまたはステンレス鋼、生体適合性合金、たとえばNiTi合金、たとえばニチノール、マグネシウムまたはマグネシウム合金、または生体適合性プラスチック材料、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)もしくはポリ-L-ラクチド酸(PLLA)などから形成されてもよい。部品は、同じ材料で作成することも、互いに異なる材料で作成することもできる。
【0036】
使用中、受け部5は、ピン59を介して受け部に保持される圧力要素6と予め組み立てられてもよい。圧力要素6を伴った受け部5は、次いで、骨固定要素1に結合されてもよい。これは、頭部3が開口部52を介して圧力要素6の凹部63に挿入される手術前のステップにおいて行われることができる。頭部3が凹部63に入ると、圧力要素6は、さらなる上方への移動がピン59によって制限されるまで、通路51内を上方に移動する。圧力要素6の柔軟な第2の部分62は、収容空間53内で拡張し、頭部3上に留まる。次いで、圧力要素6は、受け部の協働面53aと圧力要素6の65とが頭部3を受け部に枢動可能な態様で予備的に保持するように係合するように、押し下げられてもよい。別の使用方法では、骨固定要素1を最初に骨または椎骨に挿入し、予め組み立てられた圧力要素6を伴う受け部5を頭部3に取り付けてもよい。
【0037】
次に、少なくとも2つの骨固定装置を、接続されるべき骨部分または椎骨に挿入する。第1のロッド101または第2のロッド102の一方が選択され、第1のロッド101または第2のロッド102が基部69上に載るまで、受け部、および圧力要素6の凹部66によって形成されたチャネルに挿入される。骨固定要素1の頭部3、したがって軸部2も、受け部5に枢動可能に連結され、受け部5は、ロッドの挿入を容易にするように位置合わせすることができる。軸部2に対する受け部5の角度位置をロックし、挿入された第1のロッド101または第2のロッド102の位置を固定するために、第1の閉鎖要素7および第2の閉鎖要素8、8’の2つの実施形態の1つを選択することができる。実行する必要のある修正手順に応じて、異なる骨固定装置に対して異なる閉鎖要素を選択することができる。第1の閉鎖要素7が使用される場合、突起72の下面が挿入された第1のロッド101または第2のロッドの上面と接触するまで、第1の閉鎖要素7を形成する内側ねじが脚部55、56の間にねじ込まれる。脚部67、68の内壁の凹部601は、突起72の案内面として機能し得る。内側ねじの最終締め付け時に、突起72の下面が挿入された第1のロッドまたは第2のロッドを押し、それが、圧力要素6の基部69を押す。第1の閉鎖要素7は圧力要素6に圧力を加えず、挿入された第1のロッド101または第2のロッド102のみに圧力を加え、それ自体が圧力要素6を介して頭部3に圧力をかけ、頭部3および第1のロッド101または第2のロッド102は同時に固定される。
【0038】
第1の閉鎖要素7を緩めると、頭部3のロックとロッドの固定とが同時に解除される。
第2の閉鎖要素8の第1の実施形態が使用される場合、図2に示されるように、事前に組み立てられた第2の閉鎖要素8が受け部5に挿入され、第1のロック部材80は、その下部端80bが圧力要素6の上部端6aを押すまで、下方にねじ込まれる。第1のロック部材80を締めると、受け部5に対する頭部3の角度位置がロックされる。その後、突起72の下面が第1のロッド101または第2のロッド102と接触するまで第2のロック部材800が下方にねじ込まれる。第2のロック部材800を締めることにより、挿入されたロッドの位置が固定される。また、まず、ロッドの位置を、第2のロック部材800を締め付けることにより固定することができ、その後、頭部3の角度位置を、第1のロック部材80を締め付けることによりロックすることができることにも留意されたい。
【0039】
頭部3のロックまたはロッドの固定を緩めることは、独立して行うこともできる。これにより、さまざまな修正および調整ステップを繰り返し実行できる。適切なツールは、独立したドライバー、例えば、第1のロック要素800用のチューブ状ドライバー内にある第2のロック要素80用の1つのドライバーを含む。
【0040】
第2の閉鎖要素8’の第2の実施形態を使用する場合、わずか1つの駆動部分を有するドライバーで十分である。第2の閉鎖要素8’は、第2のロック部材800が第1のロック部材80’の当接部82aに対して所定の締め付けトルクM0で締め付けられるように予め組み立てられてもよい。予め組み立てられた第2の閉鎖要素8’は、受け部の脚部55、56の間に挿入され、挿入された第1のロッド101または第2のロッド102に向かって進められ、ドライバは第2のロック部材800のみと係合する。最初は、第2のロック部材800に加えられるトルクは解放トルクM1よりも小さい。したがって、第1のロック部材80’および第2のロック部材800は、暫定的な方法で、互いに対して回転的に固定されたままである。第1のロック部材80’がその下部端80bで圧力要素6aの上面に接触すると、挿入された頭部3への圧力要素6を介する圧力が、圧力要素が狭小部分53a内により深く押圧されるにつれ、増大する。それにより、頭部3は摩擦によりクランプされる。クランプの強度は、頭部に対する圧力要素6の第2の部分62の寸法と、受け部の狭小部分53aによって頭部3に加えることができる力とに依存し得る。第2のロック部材800に加えられるトルクM2が解放トルクM1よりも大きい場合、第2のロック部材800は当接部82aから解放され、第1のロック部材80’を通って進められる。第2のロック部材800は、下面803が挿入された第1のロッド101または第2のロッド102に接触するまでさらに進められる。次いで、挿入された第1のロッド101または第2のロッド102は、骨固定装置全体も完全にロックするトルクM3を加えることにより最終的に固定される。したがって、頭部およびロッドは、順次クランプおよびロックされるように構成されている。第2のロック部材800を反対方向に前進させることにより、ロックを解除することも順次行われる。
【0041】
図20図23に示すように、挿入されたロッドは3つの異なる接触領域P1、P2、P3の間にクランプされ、それらのうち2つP1、P2は基部69上に、および1つP3は閉鎖要素の下面72、803により、設けられる。
【0042】
第2の閉鎖要素8、8’の第1および第2の実施形態を組み立てることは、実行が容易である。第2のロック部材800は両方の実施形態で同じであるため、アセンブリの基本的な構成要素の数は少ない。したがって、アセンブリまたはキットはそれぞれ、広くさまざまな用途に適している。
【0043】
アセンブリのさまざまな変更が考えられる。示されている多軸骨固定装置は特定のタイプの底部装填多軸骨固定装置であるが、上部装填多軸骨固定装置も使用されてもよい。このタイプでは、固定要素は頂部端から受け部に挿入される。このような実施形態では、圧力要素は、受け部の下部の座部に着座する頭部の上部を押すように構成されてもよい。多くの異なる形状が可能である。受け部および/または圧力要素は、二部品設計を有していてもよい。さらに、圧力要素を伴う受け部の形状は、示された実施形態に限定されない。骨固定要素には、骨または椎骨、特に骨釘に固定するのに適したすべての種類の骨固定要素を使用することができる。
【0044】
圧力要素の基部ならびに第1および第2の閉鎖要素の下面については、閉鎖要素の下側にV字形を有し、圧力要素の基部として平坦部分を有することが可能である。ロッド表面より上に延びる脚部を有する圧力要素の代わりに、圧力要素の上面は平坦であってもよく、第2の閉鎖要素が、圧力要素に作用する下向きに延びる脚部を有してもよい。V字形だけでなく、異なる直径のロッドをクランプする他の形状も考えられる。
【符号の説明】
【0045】
2 軸部、5 受け部、6 圧力要素、7 第1の閉鎖要素、8、8’ 第2の閉鎖要素、101 第1のロッド、102 第2のロッド
図1
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