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特許7426258シリカ含有アルミナ粉体及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-24
(45)【発行日】2024-02-01
(54)【発明の名称】シリカ含有アルミナ粉体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 33/12 20060101AFI20240125BHJP
   B01J 21/12 20060101ALI20240125BHJP
   C01B 33/26 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
C01B33/12 A
B01J21/12 A
C01B33/26
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020036196
(22)【出願日】2020-03-03
(65)【公開番号】P2021138565
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000215800
【氏名又は名称】テイカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002206
【氏名又は名称】弁理士法人せとうち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桝永 佳明
【審査官】宮脇 直也
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-500217(JP,A)
【文献】米国特許第04780446(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0122670(US,A1)
【文献】特表2015-508380(JP,A)
【文献】特開平11-157828(JP,A)
【文献】特開平04-354535(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102553616(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 33/12
C01B 33/26
B01J 21/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリカとアルミナとからなるシリカ含有アルミナ粉体であって、
前記シリカ含有アルミナ粉体全量100質量部に対して、シリカの含有量が2~20質量部であり、三酸化硫黄の含有量が0.3~1.5質量部であり、全細孔容積が1.4cm/g以上であり、平均細孔直径が25nm以上であり、かつCO-TPDによる100~400℃におけるCO脱離量が100μmol/g以下であることを特徴とするシリカ含有アルミナ粉体。
【請求項2】
シリカとアルミナの配合割合(シリカ/アルミナ)が質量比で2/98~20/80である請求項1に記載のシリカ含有アルミナ粉体。
【請求項3】
比表面積が150~300m/gである請求項1又は2に記載のシリカ含有アルミナ粉体。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載のシリカ含有アルミナ粉体を含む触媒担体。
【請求項5】
請求項1~3のいずれかに記載のシリカ含有アルミナ粉体を含む触媒。
【請求項6】
硫酸塩とアルミニウム塩とを同時添加してpHを4以上7未満に保持しながら水酸化アルミニウムスラリーを得る工程と、
珪酸ナトリウム及びシリカゾルからなる群から選択される少なくとも1種を添加してシリカ含有水酸化アルミニウムスラリーを得る工程と、
アンモニア水、炭酸アンモニウム及び炭酸水素アンモニウムからなる群から選択される少なくとも1種のpH調整剤を添加する工程と、
ろ過、洗浄を行ってシリカ含有水酸化アルミニウムケーキを得た後、前記シリカ含有水酸化アルミニウムケーキを水で再分散させてから、気流乾燥、噴霧乾燥、ドラム乾燥及び真空乾燥からなる群から選択される少なくとも1種により乾燥する工程と、
550~1100℃で焼成する工程とを有し、
前記pH調整剤を添加する工程において、前記水酸化アルミニウムスラリーにおける酸化アルミニウム換算固形分100質量部に対して、前記pH調整剤を30質量部以上添加する請求項1~3のいずれかに記載のシリカ含有アルミナ粉体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平均細孔直径が大きく、全細孔容積が高く、三酸化硫黄を一定量含むシリカ含有アルミナ粉体に関する。
【背景技術】
【0002】
アルミナは大きい細孔径および高い細孔容積を示すことから、触媒担体として主に使用されている。しかしながら、このようなアルミナは、塩基性が高いことから硫黄を中心とした酸性物質を強く吸着することによる触媒被毒が問題として挙げられる。一方、シリカを含有するアルミナは、塩基性が低い傾向にあることが知られている。
【0003】
特許文献1には、シリカとアルミナとからなり、シリカの含有量が2重量%乃至30重量%の範囲であり、窒素吸着法による細孔分布測定において全細孔容積が0.3ml/g以上であり、かつ細孔直径100Å以上の細孔容積が全細孔容積の60%以上、更に空気中、1200℃で焼成した後の比表面積が20m/g以上である耐熱性無機多孔質組成物からなる触媒担体が記載されている。これによれば、低温条件下での使用だけでなく、高温条件下での触媒の失活を少なくし、高い反応活性を保持し得るとされている。しかしながら、特許文献1に記載のシリカとアルミナとからなる組成物は、細孔容積が必ずしも高くないため、触媒活性が必ずしも良好ではなかった。
【0004】
また、特許文献2には、高い表面積、高い細孔体積の多孔性アルミナであって、酸化アルミニウム、任意に酸化ケイ素及びアルミノケイ酸塩、及び、任意に1種又はそれ以上のドーパントを含み、該酸化アルミニウムは、1グラム当たり約100~約500平方メートルの比表面積を有し、900℃で2時間焼成後の総細孔体積が1グラム当たり1.2立方センチメートル以上であり、ここで、総細孔体積の15%以下は10ナノメートル未満の直径を有する細孔の多孔性アルミナが記載されており、更に、約60~約98質量部の酸化アルミニウム、約2~約40質量部の酸化ケイ素、及び選択的に更に遷移金属酸化物又は希土類元素酸化物から選択される1種又はそれ以上のドーパントである、アルミナ及びシリカを含む多孔性アルミナが記載されている。このような多孔性アルミナの製造方法として、約4~6未満のpHで水性の媒体中でアルミニウム水和物粒子のスラリーを形成する工程と、約8~11未満のpHに水性の媒体中でアルミニウム水和物粒子のスラリーのpHを調節する工程と、水性の媒体からアルミニウム水和物粒子を単離する工程と、単離した酸化アルミニウム粒子を乾燥させる工程と、乾燥酸化アルミニウム粒子を焼成して、高い表面積、高い細孔体積の多孔性アルミナを形成する工程とを含む方法が記載されている。しかしながら、特許文献2に記載の方法では、三酸化硫黄の含有量が一定範囲にあるとともに、平均細孔直径が大きく、全細孔容積が高く、塩基量が一定以下に抑えられた多孔性アルミナを得ることは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特公平8-29931号公報
【文献】特表2014-500217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、高い触媒活性を維持できる触媒担体として好適に用いることのできる、平均細孔直径が大きく、全細孔容積が高く、三酸化硫黄を一定量含むシリカ含有アルミナ粉体を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、シリカとアルミナとからなるシリカ含有アルミナ粉体であって、前記シリカ含有アルミナ粉体全量100質量部に対して、シリカの含有量が2~20質量部であり、三酸化硫黄の含有量が0.3~1.5質量部であり、全細孔容積が1.4cm/g以上であり、平均細孔直径が25nm以上であり、かつCO-TPDによる100~400℃におけるCO脱離量が100μmol/g以下であることを特徴とするシリカ含有アルミナ粉体を提供することによって解決される。
【0008】
このとき、シリカとアルミナの配合割合(シリカ/アルミナ)が質量比で2/98~20/80であることが好適であり、比表面積が150~300m/gであることが好適である。前記シリカ含有アルミナ粉体を含む触媒担体であることが好適な実施態様であり、前記シリカ含有アルミナ粉体を含む触媒であることが好適な実施態様である。
【0009】
また、上記課題は、硫酸塩とアルミニウム塩とを同時添加してpHを4以上7未満に保持しながら水酸化アルミニウムスラリーを得る工程と、珪酸ナトリウム及びシリカゾルからなる群から選択される少なくとも1種を添加してシリカ含有水酸化アルミニウムスラリーを得る工程と、アンモニア水、炭酸アンモニウム及び炭酸水素アンモニウムからなる群から選択される少なくとも1種のpH調整剤を添加する工程と、ろ過、洗浄を行ってシリカ含有水酸化アルミニウムケーキを得た後、前記シリカ含有水酸化アルミニウムケーキを水で再分散させてから、気流乾燥、噴霧乾燥、ドラム乾燥及び真空乾燥からなる群から選択される少なくとも1種により乾燥する工程と、550~1100℃で焼成する工程とを有するシリカ含有アルミナ粉体の製造方法を提供することによっても解決される。
【0010】
このとき、前記pH調整剤を添加する工程において、前記水酸化アルミニウムスラリーにおける酸化アルミニウム換算固形分100質量部に対して、前記pH調整剤を25質量部以上添加することが好適な実施態様である。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、平均細孔直径が大きく、全細孔容積が高く、三酸化硫黄を一定量含むシリカ含有アルミナ粉体が得られる。こうして得られるシリカ含有アルミナ粉体は、塩基量が一定以下に抑えられ、酸性物質が過度に吸着することがないため、高い触媒活性を維持できる触媒担体として好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のシリカ含有アルミナ粉体は、シリカとアルミナとからなるシリカ含有アルミナ粉体であって、前記シリカ含有アルミナ粉体全量100質量部に対して、シリカの含有量が2~20質量部であり、三酸化硫黄の含有量が0.3~1.5質量部であり、全細孔容積が1.4cm/g以上であり、平均細孔直径が25nm以上であり、かつCO-TPDによる100~400℃におけるCO脱離量が100μmol/g以下であることを特徴とする。このように、シリカと三酸化硫黄の含有量がそれぞれ一定範囲にあり、全細孔容積と平均細孔直径がそれぞれ一定以上であり、かつ100~400℃におけるCO脱離量が一定以下である構成を全て満たすことにより、高い触媒活性を維持できる触媒担体として使用可能なシリカ含有アルミナ粉体であることが明らかとなった。後述する実施例と比較例との対比から明らかなように、シリカの含有量が下限値未満の場合には塩基量が高くなり、シリカの含有量が上限値を超える場合には塩基量は低く抑えられているが、全細孔容積が小さくなる結果となった。また、三酸化硫黄の含有量が下限値未満の場合、全細孔容積と平均細孔直径が小さくなる結果となり、塩基量が高くなる傾向であった。本発明者は、全細孔容積と平均細孔直径が小さくなると触媒活性が低下するため触媒担体としての使用に適さず、塩基量が高いと酸性物質の吸着が過度となり、高い触媒活性の維持が困難になることを確認している。このことから、上記構成を全て満たすことにより、高い触媒活性を維持できる触媒担体として使用可能なシリカ含有アルミナ粉体が得られるため、本発明の意義は大きい。
【0013】
本発明のシリカ含有アルミナ粉体において、シリカの含有量は、前記シリカ含有アルミナ粉体全量100質量部に対して、2~20質量部である。シリカの含有量が2質量部未満の場合、塩基量が高くなり、高い触媒活性の維持が困難となる。一方、シリカの含有量が20質量部を超える場合、全細孔容積が小さくなり、触媒活性が低下するおそれがあり、18質量部以下であることが好ましく、16質量部以下であることがより好ましく、15質量部以下であることが更に好ましい。
【0014】
本発明のシリカ含有アルミナ粉体において、アルミナの含有量は、前記シリカ含有アルミナ粉体全量100質量部に対して、78.5~97.7質量部であることが好ましい。アルミナの含有量が78.5質量部未満の場合、全細孔容積が小さくなり、触媒活性が低下するおそれがあり、80質量部以上であることがより好ましく、82質量部以上であることが更に好ましく、85質量部以上であることが特に好ましい。一方、アルミナの含有量が97.7質量部を超える場合、塩基量が高くなり、高い触媒活性の維持が困難となるおそれがあり、97質量部以下であることがより好ましく、96質量部以下であることが更に好ましい。
【0015】
本発明のシリカ含有アルミナ粉体において、シリカとアルミナの配合割合(シリカ/アルミナ)が質量比で2/98~20/80であることが好ましい。前記配合割合(シリカ/アルミナ)が2/98未満の場合、塩基量が高くなり、高い触媒活性の維持が困難となるおそれがあり、3/97以上であることがより好ましい。一方、前記配合割合(シリカ/アルミナ)が20/80を超える場合、全細孔容積が小さくなり、触媒活性が低下するおそれがあり、18/82以下であることがより好ましく、15/85以下であることが更に好ましい。
【0016】
本発明のシリカ含有アルミナ粉体において、三酸化硫黄の含有量は、前記シリカ含有アルミナ粉体全量100質量部に対して、0.3~1.5質量部である。三酸化硫黄の含有量が0.3質量部未満の場合、全細孔容積と平均細孔直径が小さくなり、触媒活性が低下するおそれがあり、更に塩基量が高くなり、高い触媒活性の維持が困難となるおそれもある。三酸化硫黄の含有量は、0.35質量部以上であることが好ましく、0.4質量部以上であることがより好ましく、0.5質量部以上であることが更に好ましく、0.55質量部以上であることが特に好ましい。一方、三酸化硫黄の含有量が1.5質量部を超える場合、シリカ含有アルミナ粉体の細孔において三酸化硫黄が過剰に存在してしまい、触媒活性が低下するおそれがあり、1.45質量部以下であることが好ましく、1.4質量部以下であることがより好ましく、1.35質量部以下であることが更に好ましい。
【0017】
なお、本発明のシリカ含有アルミナ粉体には、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、シリカ、アルミナ及び三酸化硫黄以外の他の成分が含有されていても構わない。シリカ含有アルミナ粉体全量100質量部に対して、他の成分の含有量は、通常1質量部以下である。
【0018】
本発明のシリカ含有アルミナ粉体において、平均細孔直径は25nm以上である。平均細孔直径が25nm未満の場合、触媒活性が低下するため、触媒担体としての使用に適さないおそれがある。平均細孔直径は、26nm以上であることが好ましい。一方、平均細孔直径は、通常、50nm以下であり、好適には45nm以下であり、より好適には40nm以下であり、更に好適には38nm以下である。本発明のシリカ含有アルミナ粉体の平均細孔直径(nm)は、比表面積(m/g)と全細孔容積(cm/g)から下記式により求められる。
【数1】
【0019】
本発明のシリカ含有アルミナ粉体において、全細孔容積は1.4cm/g以上である。全細孔容積が1.4cm/g未満の場合、平均細孔直径が大きなシリカ含有アルミナ粉体が得られないおそれがあり、触媒活性が低くなって触媒担体としての使用に適さないおそれがある。全細孔容積は、1.45cm/g以上であることが好ましく、1.5cm/g以上であることがより好ましく、1.6cm/g以上であることが更に好ましく、1.65cm/g以上であることが特に好ましく、1.7cm/g以上であることが最も好ましい。一方、全細孔容積は、通常、2.2cm/g以下であり、好適には2cm/g以下であり、より好適には1.9cm/g以下である。本発明における全細孔容積(cm/g)は、相対圧p/p=0.990でのNガス吸着量を液体状態のNの体積に換算することにより求められる。
【0020】
本発明のシリカ含有アルミナ粉体において、BET比表面積は、150~300m/gであることが好ましい。BET比表面積が150m/g未満の場合、全細孔容積が小さくなるおそれがあり、170m/g以上であることがより好ましく、185m/g以上であることが更に好ましく、195m/g以上であることが特に好ましく、215m/g以上であることが最も好ましい。一方、BET比表面積が300m/gを超える場合、平均細孔直径が大きなシリカ含有アルミナ粉体が得られないおそれがあり、触媒活性が低くなって触媒担体としての使用に適さないおそれがある。BET比表面積は、280m/g以下であることがより好ましく、270m/g以下であることが更に好ましい。本発明におけるBET比表面積(m/g)は、圧力pにおいてN分子が固体表面に吸着するときのガス吸着量vと、p/p(相対圧p:飽和水蒸気圧)との関係(吸着等温線)に対し、BET理論を適用することにより算出される。
【0021】
本発明のシリカ含有アルミナ粉体において、CO-TPDによる100~400℃におけるCO脱離量が100μmol/g以下である。前記CO脱離量が100μmol/gを超える場合、塩基量が高くなり、高い触媒活性の維持が困難となる。前記CO脱離量は、85μmol/g以下であることが好ましく、70μmol/g以下であることがより好ましく、60μmol/g以下であることが更に好ましく、50μmol/g以下であることが特に好ましく、40μmol/g以下であることが最も好ましい。一方、前記CO脱離量は、通常、5μmol/g以上である。なお、CO-TPDによる100~400℃におけるCO脱離量は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
【0022】
本発明のシリカ含有アルミナ粉体の製造方法としては特に限定されない。硫酸塩とアルミニウム塩とを同時添加してpHを4以上7未満に保持しながら水酸化アルミニウムスラリーを得る工程と(以下、「中和工程」と略記することがある)、珪酸ナトリウム及びシリカゾルからなる群から選択される少なくとも1種を添加してシリカ含有水酸化アルミニウムスラリーを得る工程と(以下、「シリカ含有工程」)、アンモニア水、炭酸アンモニウム及び炭酸水素アンモニウムからなる群から選択される少なくとも1種のpH調整剤を添加する工程と(以下、「熟成工程」と略記することがある)、ろ過、洗浄を行ってシリカ含有水酸化アルミニウムケーキを得た後、前記シリカ含有水酸化アルミニウムケーキを水で再分散させてから、気流乾燥、噴霧乾燥、ドラム乾燥及び真空乾燥からなる群から選択される少なくとも1種により乾燥する工程と(以下、「乾燥工程」と略記することがある)、550~1100℃で焼成する工程(以下、「焼成工程」と略記することがある)とを行うことによって、本発明のシリカ含有アルミナ粉体を好適に得ることができる。
【0023】
中和工程で用いられる硫酸塩としては特に限定されないが、硫酸アルミニウムが好適に用いられる。後述する実施例と比較例との対比から明らかなように、硫酸アルミニウム等の硫酸塩の代わりに硝酸アルミニウムを使用した場合、全細孔容積と平均細孔直径が大きなシリカ含有アルミナ粉体を得ることができなかった。このようなシリカ含有アルミナ粉体は、触媒活性が低下するため触媒担体としての使用に適さないおそれがある。したがって、本発明の中和工程において、硫酸塩を用いることが好適な実施態様であり、硫酸アルミニウムを用いることがより好適な実施態様である。また、中和工程で用いられるアルミニウム塩としては特に限定されないが、アルミン酸ソーダ、アルミン酸カリウム等のアルミン酸アルカリ金属塩が好適に用いられる。
【0024】
中和工程において、前記硫酸塩と前記アルミニウム塩とを反応させることにより水酸化アルミニウムスラリーが得られることになるが、pHを4以上7未満に保持する観点から、前記硫酸塩と前記アルミニウム塩とを同時添加することが好適な実施態様である。後述する実施例と比較例との対比から明らかなように、水酸化アルミニウムスラリーを得る際のpHが7~8の場合、全細孔容積と平均細孔直径が大きなシリカ含有アルミナ粉体を得ることができず、また塩基量も高くなったことが確認された。一方、中和工程におけるpHが4未満の場合、平均細孔直径が小さくなるおそれがある。したがって、本発明のシリカ含有アルミナ粉体の製造方法において、前記硫酸塩と前記アルミニウム塩とを同時添加してpHを4以上7未満に保持しながら水酸化アルミニウムスラリーを得る方法を採用することが好適な実施態様である。中和工程におけるpHは4.5以上であることがより好ましく、4.8以上であることが更に好ましく、5以上であることが特に好ましい。一方、中和工程におけるpHは6.5以下であることがより好ましく、6.2以下であることが更に好ましく、6以下であることが特に好ましい。
【0025】
中和工程における反応温度としては特に限定されないが、10~90℃であることが好ましい。反応温度が10℃未満の場合、得られるシリカ含有アルミナ粉体の平均細孔直径が小さくなり、触媒活性が低下するおそれがあり、25℃以上であることがより好ましく、30℃以上であることが更に好ましい。一方、反応温度が90℃を超える場合、全細孔容積と平均細孔直径が大きなシリカ含有アルミナ粉体が得られないおそれがあり、80℃以下であることがより好ましく、70℃以下であることが更に好ましく、65℃以下であることが特に好ましい。
【0026】
中和工程における反応時間としては特に限定されないが、1~120分であることが好ましい。反応時間が1分未満の場合、得られるシリカ含有アルミナ粉体の細孔制御が困難になるおそれがあり、5分以上であることがより好ましく、10分以上であることが更に好ましい。一方、反応時間が120分を超える場合、生産性が低下するおそれがあり、60分以下であることがより好ましく、25分以下であることが更に好ましい。
【0027】
前記水酸化アルミニウムスラリーに対し、珪酸ナトリウム及びシリカゾルからなる群から選択される少なくとも1種を添加してシリカ含有水酸化アルミニウムスラリーを得るシリカ含有工程を行うことが好ましい。珪酸ナトリウム及びシリカゾルからなる群から選択される少なくとも1種を添加することにより、前記水酸化アルミニウムスラリーと、珪酸ナトリウム及びシリカゾルからなる群から選択される少なくとも1種とが接触し、シリカ含有水酸化アルミニウムスラリーを得ることができる。このシリカ含有工程は、単独で行ってもよいし、後述する熟成工程と同時に行ってもよい。珪酸ナトリウム及びシリカゾルとしては、公知のものを使用することができる。シリカゾルのシリカ濃度としては、1~50質量%であることが好ましく、10~40質量%であることがより好ましい。珪酸ナトリウム及びシリカゾルからなる群から選択される少なくとも1種の使用量を変更することにより、得られるシリカ含有アルミナ粉体におけるシリカ含有量を調整することができる。
【0028】
本発明のシリカ含有アルミナ粉体の製造方法において、アンモニア水、炭酸アンモニウム及び炭酸水素アンモニウムからなる群から選択される少なくとも1種のpH調整剤を添加する熟成工程を行うことが好ましい。前記中和工程を行った直後に熟成工程を行ってもよいし、珪酸ナトリウム及びシリカゾルからなる群から選択される少なくとも1種を添加し、前記シリカ含有工程と熟成工程とを同時に行ってもよいし、前記シリカ含有工程の後に熟成工程を行ってもよい。また、熟成工程を複数回行っても構わない。本発明者は、前記pH調整剤を添加して熟成工程を行わなかった場合には、平均細孔直径が大きなシリカ含有アルミナ粉体が得られなかったことを確認している。したがって、前記pH調整剤を添加する熟成工程を行うことが好適な実施態様である。中でも、後工程で触媒活性を低下させる夾雑物等を容易に取り除くことができる観点から、アンモニア水、炭酸アンモニウム及び炭酸水素アンモニウムからなる群から選択されるpH調整剤を少なくとも2種併用することが好適な実施態様である。
【0029】
前記pH調整剤を添加する工程において、前記水酸化アルミニウムスラリーにおける酸化アルミニウム換算固形分100質量部に対して、前記pH調整剤を25質量部以上添加することが好適な実施態様である。前記pH調整剤の添加量が25質量部未満の場合、得られるシリカ含有アルミナ粉体の全細孔容積と平均細孔直径が小さくなるおそれがあり、更に塩基量が高くなるおそれがある。前記pH調整剤の添加量は、30質量部以上であることがより好ましい。一方、コスト高となる観点から、前記pH調整剤の添加量は、200質量部以下であることが好ましい。
【0030】
熟成工程における反応温度としては特に限定されないが、40~105℃であることが好ましい。反応温度が40℃未満の場合、得られるシリカ含有アルミナ粉体の平均細孔直径が小さくなり、触媒活性が低下するおそれがあり、50℃以上であることがより好ましく、60℃以上であることが更に好ましい。一方、反応温度は、通常、105℃以下であり、95℃以下であることがより好ましく、90℃以下であることが更に好ましい。
【0031】
熟成工程における反応時間としては特に限定されないが、1分~2時間であることが好ましい。反応時間が1分未満の場合、得られるシリカ含有アルミナ粉体の平均細孔直径が小さくなり、触媒活性が低下するおそれがあり、3分以上であることがより好ましく、5分以上であることが更に好ましい。一方、反応時間が2時間を超える場合、得られるシリカ含有アルミナ粉体の全細孔容積が小さくなるおそれがあり、1.8時間以下であることがより好ましく、1.5時間以下であることが更に好ましい。
【0032】
熟成工程におけるpHとしては特に限定されないが、前記pH調整剤を添加してpHを7.5~11に調整することが好ましい。熟成工程におけるpHが7.5未満の場合、得られるシリカ含有アルミナ粉体の平均細孔直径が小さくなり、触媒活性が低下するおそれがあるとともに、触媒活性を低下させる夾雑物等が残存するおそれがある。熟成工程におけるpHは8以上であることがより好ましい。一方、熟成工程におけるpHが11を超える場合、得られるシリカ含有アルミナ粉体の平均細孔直径が小さくなり、触媒活性が低下するおそれがあり、pHは10以下であることがより好ましく、9以下であることが更に好ましい。
【0033】
前記熟成工程を行った後に、ろ過、洗浄を行うことが好適な実施態様である。ろ過、洗浄を行うことにより、得られるシリカ含有アルミナ粉体の触媒活性を低下させる夾雑物を取り除くことが可能となる。ろ過、洗浄方法としては公知の方法が採用される。夾雑物を十分に取り除く観点から、ろ過、洗浄を行ってシリカ含有水酸化アルミニウムケーキを得た後、前記シリカ含有水酸化アルミニウムケーキを水で再分散させてシリカ含有水酸化アルミニウムスラリーとし、再度ろ過、洗浄を行うことが好適な実施態様である。このとき、再分散後のシリカ含有水酸化アルミニウムスラリーを40~90℃に加熱し、アンモニア水等を加えてpHを7.5~11に調整することが好ましい。
【0034】
ろ過、洗浄を行った後に、次いで乾燥工程を行うことが好適な実施態様である。乾燥工程としては特に限定されないが、ろ過、洗浄を行ってシリカ含有水酸化アルミニウムケーキを得た後、前記シリカ含有水酸化アルミニウムケーキを水で再分散させてから、気流乾燥、噴霧乾燥、ドラム乾燥及び真空乾燥からなる群から選択される少なくとも1種により乾燥する工程を行うことが好ましい。このように、均一化して乾燥することが好適な実施態様であり、中でも、気流乾燥、噴霧乾燥、及び真空乾燥からなる群から選択される少なくとも1種により乾燥する方法がより好適である。乾燥温度としては、80~150℃であることが好ましい。
【0035】
前記乾燥工程を行った後に、550~1100℃で焼成する焼成工程を行うことが好適な実施態様である。焼成温度が550℃未満の場合、平均細孔直径の大きなシリカ含有アルミナ粉体が得られないおそれがあり、600℃以上であることがより好ましく、700℃以上であることが更に好ましく、750℃以上であることが特に好ましい。一方、焼成温度が1100℃を超える場合、平均細孔直径が低下するおそれがあり、1050℃以下であることがより好ましく、1000℃以下であることが更に好ましく、950℃以下であることが特に好ましい。
【0036】
上述のようにして得られる本発明のシリカ含有アルミナ粉体は、塩基量が一定以下に抑えられ、酸性物質が過度に吸着することがないため、高い触媒活性を維持できる触媒担体として好適に用いることができる。特に、自動車等の排ガス浄化触媒として好適に用いることができる。
【実施例
【0037】
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。
【0038】
(1)BET比表面積、全細孔容積、平均細孔直径の測定
マイクロトラック・ベル株式会社製「BELSORP mini」を用いて測定した。粉末試料の測定前において、試料表面や細孔内に物理吸着している水分などを取り除くため、前処理として真空排気しながら加熱した。真空度は10-2Pa、温度は150℃であった。比表面積(m/g)は、圧力pにおいてN分子が固体表面に吸着するときのガス吸着量vと、p/p(相対圧p:飽和水蒸気圧)との関係(吸着等温線)に対し、BET理論を適用することにより算出した。
全細孔容積(cm/g)は、相対圧p/p=0.990でのNガス吸着量を液体状態のNの体積に換算することにより求めた。
平均細孔直径(nm)は、比表面積(m/g)と全細孔容積(cm/g)から下記式により求めた。
【数2】
【0039】
(2)シリカ含有量の測定
波長分散型蛍光X線分析装置(株式会社リガク製「Supermini Rigaku」)を用いて、シリカ含有アルミナ粉体全量100質量部に対するシリカ(SiO)の含有量を測定した。粉末試料を数10~数100kNで加圧し、ペレット状に成形することにより測定した。X線管球のターゲット材質にはPdを用い、真空排気系にて試料から発生する蛍光X線を検出し、SiO換算値をシリカ(SiO)の含有量とした。
【0040】
(3)三酸化硫黄(SO)の含有量の測定
波長分散型蛍光X線分析装置(株式会社リガク製「Supermini Rigaku」)を用いて、シリカ含有アルミナ粉体全量100質量部に対する三酸化硫黄(SO)の含有量を測定した。粉末試料を数10~数100kNで加圧し、ペレット状に成形することにより測定した。X線管球のターゲット材質にはPdを用い、真空排気系にて試料から発生する蛍光X線を検出し、SO換算値を三酸化硫黄(SO)の含有量とした。
【0041】
(4)触媒担体活性評価(CO-TPD測定)
CO-TPD(二酸化炭素昇温脱離法)は、固体触媒に二酸化炭素を吸着させた後、一定の昇温速度に制御して連続的に昇温させて脱離する二酸化炭素量及び二酸化炭素の脱離温度を測定する方法である。固体触媒の塩基点のうち、弱い塩基点に吸着している二酸化炭素は低温で脱離し、強い塩基点に吸着している二酸化炭素は高温で脱離することから、触媒の塩基量や塩基強度を測定することができる。触媒分析装置(マイクロトラック・ベル株式会社製「BELCAT-B)を用いて、二酸化炭素昇温脱離法によるCO-TPD測定を行い、触媒担体活性を評価した。具体的には、濃度既知のCO/Heバランスガスを標準ガスとして検量線を作成し、この検量線を基にCO脱離量を測定する。ピークの検出は、熱伝導度型検出器を用いて、ピークの面積計算にて定量を行う。以下のような条件で、前処理、二酸化炭素吸着処理を順に行った後、TPD測定を行い、100~400℃におけるCO脱離量を測定した。なお、CO脱離量は塩基量を示しており、CO脱離量が小さいほど塩基量が抑えられていることを示す。
・前処理:He中400℃まで40分で昇温し、1時間保持する。He中100℃まで任意の時間で降温し、10分保持する。
・CO吸着処理:100℃、20ml/minで30分間COを吸着する。
・TPD測定:Heガスを30mL/minで流通し、昇温速度10℃/minで400℃まで昇温する。
【0042】
実施例1
市水400Lを2mのタンクに投入し、約40℃に加熱した後、Al濃度104g/Lの硫酸アルミニウム水溶液400Lを25L/min、Al濃度250g/Lのアルミン酸ソーダ水溶液230Lを14.4L/minの速度にて定速ポンプを用いて異なる注入口より連続的に添加したところ、水酸化アルミニウムスラリー液が得られた。添加操作を続けた16分間の温度は、約40℃、pHは5~6であり、反応後のpHは5.5であった。続いて作製したスラリー液にSiO濃度30wt.%のSiOゾル10.5kgを投入し、重炭酸アンモニウム50kgと24%アンモニア水をpH調整剤として併用し、pHを8.2に調整した。水酸化アルミニウムスラリーを80℃で10分間加熱し、24%アンモニア水にてpH8.2に再調整し、ろ過洗浄操作を行った。得られたろ過ケーキを市水に再分散させ、1500Lのシリカ含有水酸化アルミニウムスラリーとし、再度80℃にて加熱し、24%アンモニア水にてpH8.2に調整してろ過洗浄操作を行った。得られたケーキを市水にて再度スラリー化し、気流式乾燥機を用いて120℃で乾燥した。その後焼成炉に入れて大気雰囲気下にて800℃で2時間焼成してシリカアルミナ担体Aを得た。上記(1)~(4)に記載の方法にしたがって得られた結果を表1に示す。
【0043】
実施例2
実施例1において、SiOゾルの使用量を16.5kgとした以外は、実施例1と同様にしてシリカアルミナ担体Bを得た。上記(1)~(4)に記載の方法にしたがって得られた結果を表1に示す。
【0044】
実施例3
実施例1において、SiOゾルの使用量を16.5kgとし、大気雰囲気下にて900℃で2時間焼成した以外は、実施例1と同様にしてシリカアルミナ担体Cを得た。上記(1)~(4)に記載の方法にしたがって得られた結果を表1に示す。
【0045】
実施例4
実施例1において、SiOゾルの使用量を36kgとした以外は、実施例1と同様にしてシリカアルミナ担体Dを得た。上記(1)~(4)に記載の方法にしたがって得られた結果を表1に示す。
【0046】
実施例5
実施例1において、SiOゾルの使用量を36kgとし、24%アンモニア水にてpH8.2に調整する代わりに24%アンモニア水にてpH8.7に調整した以外は、実施例1と同様にしてシリカアルミナ担体Eを得た。上記(1)~(4)に記載の方法にしたがって得られた結果を表1に示す。
【0047】
実施例6
実施例1において、SiOゾルの使用量を60kgとし、24%アンモニア水にてpH8.2に調整する代わりに24%アンモニア水にてpH8.7に調整した以外は、実施例1と同様にしてシリカアルミナ担体Fを得た。上記(1)~(4)に記載の方法にしたがって得られた結果を表1に示す。
【0048】
比較例1
実施例1において、SiOゾルを使用しなかった以外は、実施例1と同様にしてシリカアルミナ担体Gを得た。上記(1)~(4)に記載の方法にしたがって得られた結果を表1に示す。
【0049】
比較例2
実施例1において、SiOゾルの使用量を16.5kgとし、重炭酸アンモニウムの使用量を25kgとした以外は、実施例1と同様にしてシリカアルミナ担体Hを得た。このとき、重炭酸アンモニウム25kgと24%アンモニア水を用いて調整されたpHは8.2であった。上記(1)~(4)に記載の方法にしたがって得られた結果を表1に示す。
【0050】
比較例3
実施例1において、Al濃度104g/Lの硫酸アルミニウム水溶液400Lの代わりに、Al濃度100g/Lの硝酸アルミニウム水溶液900Lを用い、Al濃度250g/Lのアルミン酸ソーダ水溶液230Lの代わりに、24%苛性ソーダ水溶液約40Lを用い、SiOゾルの使用量を36kgとした以外は、実施例1と同様にしてシリカアルミナ担体Iを得た。上記(1)~(4)に記載の方法にしたがって得られた結果を表1に示す。
【0051】
比較例4
実施例1において、Al濃度104g/Lの硫酸アルミニウム水溶液400Lの代わりに、Al濃度100g/Lの硝酸アルミニウム水溶液850Lを用い、Al濃度250g/Lのアルミン酸ソーダ水溶液230Lの代わりに、24%苛性ソーダ水溶液約40Lを用い、SiOゾルの使用量を60kgとした以外は、実施例1と同様にしてシリカアルミナ担体Jを得た。上記(1)~(4)に記載の方法にしたがって得られた結果を表1に示す。
【0052】
比較例5
実施例1において、SiOゾルの使用量を95kgとした以外は、実施例1と同様にしてシリカアルミナ担体Kを得た。上記(1)~(4)に記載の方法にしたがって得られた結果を表1に示す。
【0053】
比較例6
実施例1において、SiOゾルの使用量を16.5kgとし、気流式乾燥機の代わりに棚式乾燥機で乾燥した以外は、実施例1と同様にしてシリカアルミナ担体Lを得た。上記(1)~(4)に記載の方法にしたがって得られた結果を表1に示す。
【0054】
比較例7
市水400mLを約40℃に加熱した後、Al濃度104g/Lの硫酸アルミニウム水溶液340mLを21.3mL/min、Al濃度250g/Lのアルミン酸ソーダ水溶液260mLを16.3mL/minの速度にて定速ポンプを用いて異なる注入口より連続的に添加したところ、水酸化アルミニウムスラリー液が得られた。添加操作を続けた16分間の温度は、約40℃、pHは7~8であり、反応後のpHは8.3であった。続いて作製したスラリー液にSiO濃度30wt.%のSiOゾル10.5gを投入し、重炭酸アンモニウム50gと24%アンモニア水を併用してpHを8.2に調整した。水酸化アルミニウムスラリーを80℃に加熱し、24%アンモニア水にてpH8.2に再調整し、ろ過洗浄操作を行った。得られたろ過ケーキを市水に再分散させ、1500mLのシリカ含有水酸化アルミニウムスラリーとし、再度80℃にて加熱し、24%アンモニア水にてpH8.2に調整してろ過洗浄操作を行った。得られたケーキを市水にて再度スラリー化し、気流式乾燥機を用いて120℃で乾燥した。その後焼成炉に入れて大気雰囲気下にて800℃で2時間焼成してシリカアルミナ担体Mを得た。上記(1)~(4)に記載の方法にしたがって得られた結果を表1に示す。
【0055】
【表1】