(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-24
(45)【発行日】2024-02-01
(54)【発明の名称】穿刺針、針カテーテル、及び、カテーテルシステム
(51)【国際特許分類】
A61M 5/46 20060101AFI20240125BHJP
A61M 5/158 20060101ALI20240125BHJP
A61B 17/34 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
A61M5/46
A61M5/158 500
A61B17/34
(21)【出願番号】P 2020043986
(22)【出願日】2020-03-13
【審査請求日】2022-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】390030731
【氏名又は名称】朝日インテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100160691
【氏名又は名称】田邊 淳也
(74)【代理人】
【識別番号】100157277
【氏名又は名称】板倉 幸恵
(72)【発明者】
【氏名】大島 史義
(72)【発明者】
【氏名】久保 佑太
(72)【発明者】
【氏名】浪間 聡志
【審査官】上石 大
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-309124(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0253447(US,A1)
【文献】特開平10-080484(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/46
A61M 5/158
A61B 17/34
A61M 25/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
穿刺針であって、
樹脂により形成された中空の針部と、
前記針部の内表面に形成され、前記針部の先端部から基端部までの間に延設された第1導電体層であって、第1導電体層の先端部が前記針部の先端面の少なくとも一部を覆っている第1導電体層と、
前記針部の外表面において、前記第1導電体層から離間して形成された第2導電体層と、
を備える、穿刺針。
【請求項2】
請求項1に記載の穿刺針であって、
前記第1導電体層は、さらに、前記針部の先端面から、前記針部の外表面の一部分まで延設されている、穿刺針。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の穿刺針であって、
前記第1導電体層の基端部が前記針部の基端面の少なくとも一部を覆っている、穿刺針。
【請求項4】
請求項3に記載の穿刺針であって、
前記第1導電体層は、さらに、前記針部の基端面から、前記針部の外表面の一部分まで延設されている、穿刺針。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の穿刺針であって、
前記第1導電体層は、前記針部の内表面全体に形成されている、穿刺針。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の穿刺針であって、
前記第1導電体層は、前記針部の内表面の一部分に形成され、
さらに、前記針部の内表面の残部には、前記針部の先端部から基端部までの間に延設された第3導電体層であって、第3導電体層の先端部が前記針部の先端面の少なくとも一部を覆っている第3導電体層を備える、穿刺針。
【請求項7】
針カテーテルであって、
ルーメンを有する長尺管形状の本体部と、
前記本体部の先端に設けられた請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の穿刺針と、
を備え、
前記本体部の肉厚部には、一端が前記第1導電体層に接続された第1導線と、一端が前記第2導電体層に接続された第2導線と、が埋設されている、針カテーテル。
【請求項8】
カテーテルシステムであって、
請求項7に記載の針カテーテルと、
前記針カテーテルの前記第1導線の他端と、前記針カテーテルの前記第2導線の他端と、にそれぞれ接続された電源と、
を備え、
前記第1導線を介して前記第1導電体層に通電し、前記第2導線を介して前記第2導電体層に通電することで、生体電位を測定し、前記穿刺針の穿刺深度を取得する、カテーテルシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穿刺針、針カテーテル、及び、カテーテルシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
心筋梗塞等により機能が低下した心筋細胞を再生させるために、心筋細胞に対して薬液を注入する治療(以降「薬液注入治療」とも呼ぶ)が行われている。特許文献1~特許文献3には、このような薬液注入治療において使用可能な、針部(注射針、留置針)付きのデバイスが開示されている。例えば、特許文献1及び特許文献2に記載のカテーテルは、生体内の目的組織に治療用組成物を注入する注射針と、心臓の活動電位を測定する電極と、を備えている。例えば、特許文献3に記載の穿刺具は、留置針とカテーテルとに加えてさらに、ICタグ、アンテナ、電極部、及び配線部材を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-290582号公報
【文献】特開2004-290583号公報
【文献】特開2007-260113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上述した薬液注入治療においては、薬液の効果を十分に得るために、生体組織に対する穿刺針の穿刺有無や穿刺深度をモニタリングしつつ、薬液の注入を行うことが好ましい。この点、特許文献1~特許文献3に記載のデバイスは電極を備えており、穿刺有無や穿刺深度のモニタリングが可能である。しかし、特許文献1~特許文献3に記載のデバイスでは、いずれも、針部(注射針、留置針)が金属製である。このため、特許文献1~特許文献3に記載のデバイスでは、針部と電極との間、及び、針部と導線との間にそれぞれ絶縁被膜を形成する必要があり、針部の外径に対する内径の大きさが絶縁被膜の分だけ小さくなるという課題があった。また、特許文献1~特許文献3に記載のデバイスでは、導電性を有する金属製の針部の一部分を、電極として用いることもできる。この際、穿刺深度のモニタリングのために複数の電極を設ける場合、針部の体積が電極部分に対して非常に大きくなることから、各電極のインピーダンス差が大きくなり、外乱によるノイズの影響を受けて、計測精度が低下するという課題があった。
【0005】
なお、このような課題は、心筋細胞に薬液を注入する場合に限らず、生体組織に薬液を注入するために、血管系、リンパ腺系、胆道系、尿路系、気道系、消化器官系、分泌腺及び生殖器官等、人体内の各器官に挿入されるカテーテルや、当該カテーテルと組み合わせて使用される穿刺針、穿刺針を有する針カテーテルに共通する。また、このような課題は、治療のために生体組織に薬液を注入する場合に限らず、診断のために生体組織に薬液を注入する場合にも共通する。
【0006】
本発明は、上述した課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、穿刺深度を取得可能な穿刺針において、針部と電極との間の絶縁被膜を必要とせず、計測精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【0008】
(1)本発明の一形態によれば、穿刺針が提供される。この穿刺針は、樹脂により形成された中空の針部と、前記針部の内表面に形成され、前記針部の先端部から基端部までの間に延設された第1導電体層であって、第1導電体層の先端部が前記針部の先端面の少なくとも一部を覆っている第1導電体層と、前記針部の外表面において、前記第1導電体層から離間して形成された第2導電体層と、を備える。
【0009】
この構成によれば、穿刺針は、先端部が針部の先端面の少なくとも一部を覆う第1導電体層と、第1導電体層から離間した第2導電体層とを備えるため、第1導電体層の先端部を第1電極として使用し、第2導電体層を第2電極として使用することで、穿刺深度を取得できる。また、針部は、樹脂により形成されているため、導電性を有さず、針部と電極との間の絶縁被膜を必要としない。さらに、樹脂製の針部に対して、第1導電体層及び第2導電体層が形成されているため、導電性を有する金属製の針部の一部分を電極として用いる場合と比較して、外乱によるノイズの影響を低減することができ、計測精度を向上できる。これらの結果、本構成によれば、穿刺深度を取得可能な穿刺針において、針部と電極との間の絶縁被膜を必要とせず、計測精度を向上させることができる。また、本構成の穿刺針では、第1導電体層は、針部の内表面に形成されて、針部の先端部から基端部までの間に延設されている。このため、第1導電体層のうち、先端部よりも基端側の部分を、第1電極と電源とを接続するための導線としても使用できる。
【0010】
(2)上記形態の穿刺針において、前記第1導電体層は、さらに、前記針部の先端面から、前記針部の外表面の一部分まで延設されていてもよい。
この構成によれば、第1導電体層は、さらに、針部の先端面から、針部の外表面の一部分まで延設されている。このため、第1導電体層のうち、先端部と、針部の外表面の延設部分とを、第1電極として使用できる。すなわち、本構成によれば、第1電極の表面積を増加させることができるため、計測精度を向上できる。
【0011】
(3)上記形態の穿刺針において、前記第1導電体層の基端部が前記針部の基端面の少なくとも一部を覆っていてもよい。
この構成によれば、第1導電体層は、基端部が針部の基端面の少なくとも一部を覆っている。このため、第1導電体層の基端部に対する導線の接続を容易にできる。
【0012】
(4)上記形態の穿刺針において、前記第1導電体層は、さらに、前記針部の基端面から、前記針部の外表面の一部分まで延設されていてもよい。
この構成によれば、第1導電体層は、さらに、針部の基端面から、針部の外表面の一部分まで延設されている。このため、第1導電体層の基端部に対する導線の接続を、より一層容易にできる。
【0013】
(5)上記形態の穿刺針において、前記第1導電体層は、前記針部の内表面全体に形成されていてもよい。
この構成によれば、第1導電体層は、針部の内表面全体に形成されているため、第1電極の表面積を増加させることができ、計測精度を向上できる。
【0014】
(6)上記形態の穿刺針において、前記第1導電体層は、前記針部の内表面の一部分に形成され、さらに、前記針部の内表面の残部には、前記針部の先端部から基端部までの間に延設された第3導電体層であって、第3導電体層の先端部が前記針部の先端面の少なくとも一部を覆っている第3導電体層を備えていてもよい。
この構成によれば、穿刺針はさらに、先端部が針部の先端面の少なくとも一部を覆っている第3導電体層を備えるため、第3導電体層の先端部を第3電極として使用することで、より詳細な穿刺深度を取得できる。
【0015】
(7)本発明の一形態によれば、針カテーテルが提供される。この針カテーテルは、ルーメンを有する長尺管形状の本体部と、前記本体部の先端に設けられた上記形態の穿刺針と、を備え、前記本体部の肉厚部には、一端が前記第1導電体層に接続された第1導線と、一端が前記第2導電体層に接続された第2導線と、が埋設されている。
この構成によれば、針カテーテルは、ルーメンを有する長尺管形状の本体部と、本体部の先端に設けられた穿刺針とを備える。このため、穿刺針の穿刺深度を取得可能な針カテーテルを提供できる。また、本体部の肉厚部には、一端が第1導電体層に接続された第1導線と、一端が第2導電体層に接続された第2導線と、が埋設されている。このため、導電性の第1導線及び第2導線を本体部の表面に設ける場合と比較して、安全性と美観とを向上できる。
【0016】
(8)本発明の一形態によれば、カテーテルシステムが提供される。このカテーテルシステムは、上記形態の針カテーテルと、前記針カテーテルの前記第1導線の他端と、前記針カテーテルの前記第2導線の他端と、にそれぞれ接続された電源と、を備え、前記第1導線を介して前記第1導電体層に通電し、前記第2導線を介して前記第2導電体層に通電することで、生体電位を測定し、前記穿刺針の穿刺深度を取得する。
この構成によれば、カテーテルシステムは、針カテーテルと、針カテーテルの第1導線の他端と、針カテーテルの第2導線の他端と、にそれぞれ接続された電源とを備える。このため、穿刺針の穿刺深度を取得可能なカテーテルシステムを提供できる。
【0017】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、穿刺針、穿刺針を備える針カテーテル、針カテーテルを備えるカテーテルシステム、穿刺針を備える薬液注入装置、これらの装置及びシステムを製造する方法などの形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】第1実施形態のカテーテルシステムの構成を例示した説明図である。
【
図2】針カテーテルの先端側の断面構成を例示した説明図である。
【
図3】
図2のA-A線における横断面構成を例示した説明図である。
【
図4】
図2のB-B線における横断面構成を例示した説明図である。
【
図5】
図2のC-C線における横断面構成を例示した説明図である。
【
図6】穿刺針による穿刺深度の取得について説明する図である。
【
図7】第2実施形態の針カテーテルの先端側の断面構成を例示した説明図である。
【
図8】第3実施形態の針カテーテルの先端側の断面構成を例示した説明図である。
【
図9】第4実施形態の針カテーテルの先端側の断面構成を例示した説明図である。
【
図10】第5実施形態の針カテーテルの先端側の断面構成を例示した説明図である。
【
図11】第6実施形態の針カテーテルの先端側の断面構成を例示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態のカテーテルシステム100の構成を例示した説明図である。カテーテルシステム100は、穿刺針を有し、生体管腔内に挿入可能なカテーテル(以降「針カテーテル」とも呼ぶ)において、穿刺針による生体組織の穿刺の深さ(穿刺深度)を取得可能とするシステムである。ここで、生体管腔とは、血管系、リンパ腺系、胆道系、尿路系、気道系、消化器官系、分泌腺及び生殖器官といった種々の管腔を含む。カテーテルシステム100は、穿刺針1を備える針カテーテル2と、電源を備える制御装置3とを備えている。針カテーテル2は、穿刺針1と、本体部40と、コネクタ90とを備えている。
【0020】
図1では、穿刺針1及び針カテーテル2の中心を通る軸を軸線O(一点鎖線)で表す。
図1の例では、軸線Oは、穿刺針1及び針カテーテル2の各中心を通る軸と一致している。しかし、軸線Oは、穿刺針1及び針カテーテル2の各中心軸と相違していてもよい。
図1には、相互に直交するXYZ軸を図示する。X軸は穿刺針1及び針カテーテル2の長さ方向に対応し、Y軸は穿刺針1及び針カテーテル2の高さ方向に対応し、Z軸は穿刺針1及び針カテーテル2の幅方向に対応する。
図1の左側(-X軸方向)を穿刺針1、針カテーテル2及び各構成部材の「先端側」と呼び、
図1の右側(+X軸方向)を穿刺針1、針カテーテル2及び各構成部材の「基端側」と呼ぶ。穿刺針1、針カテーテル2及び各構成部材について、先端側に位置する端部を「先端」と呼び、先端及びその近傍を「先端部」と呼ぶ。また、基端側に位置する端部を「基端」と呼び、基端及びその近傍を「基端部」と呼ぶ。先端側は生体内部へ挿入され、基端側は医師等の術者により操作される。これらの点は、
図1以降においても共通する。
【0021】
図2は、針カテーテル2の先端側の断面構成を例示した説明図である。
図2上段には、針カテーテル2の先端側の断面構成を表す。
図2下段の破線枠内には、穿刺針1の針部10の上面図(G方向から見た図)を表す。穿刺針1は、軸線Oに沿って延びる長尺状の中空針である。穿刺針1は、導電性を有さない(絶縁性の)針部10と、導電性を有する第1導電体層20及び第2導電体層30と、導電性を有する第1導線51及び第2導線52と、を備えている。
【0022】
針部10は、軸線Oに沿って延びる長尺状であり、穿刺針1の本体を構成する部材である。
図2上段に示すように、針部10は、先端部と基端部とにそれぞれ開口が形成され、内側に両開口を連通する内腔10Lが形成された中空状である。針部10の先端部には、鋭利な針先が形成されている。針部10の基端側の一部分は、針部10の内腔10Lと、本体部40の内腔40Lとを連通させた状態で本体部40の先端部に埋設されている。針部10の内腔10Lと、本体部40の内腔40Lとは、共に略同一の内径を有しており、薬液を収容する薬液ルーメンを構成している。
【0023】
針部10は、外側に位置した外表面11と、内側に位置した内表面12と、先端側に位置した先端面13と、基端側に位置した基端面14と、を有している。なお、
図2下段に示すように、針部10の先端部がなだらかに形成されており、先端面13と外表面11とが区別しづらい場合、針部10の先端側の穴10oの周囲の面を先端面13と呼ぶ。針部10は、導電性を有さない樹脂材料により形成されている。針部10は、抗血栓性及び生体適合性、耐キンク性、及びコシとしなやかさを兼ね備えた樹脂材料で形成されることが好ましく、例えば、ポリウレタン樹脂、フッ素樹脂(ETFE)等により形成できる。
【0024】
図3は、
図2のA-A線における横断面構成を例示した説明図である。
図4は、
図2のB-B線における横断面構成を例示した説明図である。第1導電体層20は、針部10の先端部から基端部までの間に延設された、導電性を有する被覆層である。第1導電体層20は、針部10の表面において連続して形成された第1外表面被覆部21と、内表面被覆部22と、先端面被覆部23と、基端面被覆部24と、第2外表面被覆部25と、を有している。
【0025】
図2に示すように、第1外表面被覆部21は、針部10の外表面11において、軸線O方向の先端側の一部分を被覆している。第2外表面被覆部25は、針部10の外表面11において、軸線O方向の基端側の一部分を被覆している。内表面被覆部22は、針部10の内表面12において、軸線O方向の全体を被覆している。先端面被覆部23は、針部10の先端面13を被覆している。基端面被覆部24は、針部10の基端面14を被覆している。なお、
図3及び
図4に示すように、第1外表面被覆部21、内表面被覆部22、先端面被覆部23、基端面被覆部24、及び第2外表面被覆部25のそれぞれは、針部10の周方向の全体に設けられている。
【0026】
第2導電体層30は、針部10の外表面11に形成された、導電性を有する被覆層である。第2導電体層30は、針部10の外表面11において、同じく外表面11に形成された第1外表面被覆部21及び第2外表面被覆部25のそれぞれから離間した位置に形成されている。
図3に示すように、第2導電体層30は、針部10の外表面11において、周方向の全体に設けられている。
【0027】
第1導電体層20及び第2導電体層30は、生体適合性を有すると共に、導電性を有する金属材料により形成されている。第1導電体層20及び第2導電体層30は、銅、チタン、SUS304等のステンレス鋼、ニッケルチタン合金、コバルトクロム合金等を採用できる。第1導電体層20及び第2導電体層30は、例えば、次のようにして作製できる。まず、針部10の外表面11の一部分(具体的には、第1導電体層20及び第2導電体層30により被覆されない部分)をシール材により被覆する。その後、針部10の全体を、上述した金属材料を用いてめっき処理、または蒸着処理する。その後、針部10からシール材を除去する。このようにすれば、針部10に対して、上述した構成を有する第1導電体層20及び第2導電体層30を簡単に形成できる。
【0028】
図5は、
図2のC-C線における横断面構成を例示した説明図である。第1導線51は、穿刺針1(第1導電体層20)と制御装置3とを接続する接続線である。第1導線51は、制御装置3から第1導電体層20への電力供給(通電)を行うと共に、第1導電体層20により計測された生体電位を制御装置3へと送信する。
図2及び
図4に示すように、第1導線51は、本体部40の肉厚部に埋設されている。
図2及び
図3に示すように、第1導線51の先端は、ハンダ62を用いて、第1導電体層20(
図2の例では第2外表面被覆部25の外表面)に接続されている。
図1に示すように、第1導線51の基端は、接続端子31を介して制御装置3に接続されている。
【0029】
第2導線52は、穿刺針1(第2導電体層30)と制御装置3とを接続する接続線である。第2導線52は、制御装置3から第2導電体層30への電力供給(通電)を行うと共に、第2導電体層30により計測された生体電位を制御装置3へと送信する。
図2及び
図4に示すように、第2導線52は、本体部40の肉厚部に埋設されている。
図2に示すように、第2導線52の先端は、ハンダ61を用いて、第2導電体層30の表面に接続されている。
図1に示すように、第2導線52の基端は、接続端子32を介して制御装置3に接続されている。
【0030】
第1導線51及び第2導線52は、導電性を有する金属材料により形成されている。第1導線51及び第2導線52は、銅、銅合金、アルミ合金等を採用できる。なお、第1導線51及び第2導線52は、絶縁性を有する樹脂材料により被覆されていてもよい。
【0031】
図1に戻り、説明を続ける。本体部40は、軸線Oに沿って延びる長尺状の部材である。本体部40は、先端部と基端部にそれぞれ開口が形成され、内側に両開口を連通する内腔が形成された中空の略円筒形状である。なお、本体部40の肉厚部には、柔軟性、トルク伝達性、押し込み性、耐キンク性、血管追従性、病変通過性、及び操作性のうちの少なくとも一部を向上させるために、コイル体や編組体が埋設されていてもよい。本体部40は、同一又は異なる材料により形成された複数の層により構成されていてもよい。本体部40は、抗血栓性、可撓性、生体適合性を有することが好ましく、樹脂材料や金属材料で形成できる。樹脂材料としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂等を採用できる。金属材料としては、例えば、SUS304等のステンレス鋼、ニッケルチタン合金、コバルトクロム合金等を採用できる。
【0032】
コネクタ90は、本体部40の基端部に接続されており、薬液ルーメンへの薬液の供給、及び薬液ルーメンへの他の医療用デバイス(ガイドワイヤ等)挿入のために使用される。コネクタ90は、樹脂材料、例えば、ポリウレタン、ポリプロピレン、硬質ポリ塩化ビニル等により形成できる。
【0033】
制御装置3は、第1導電体層20及び第2導電体層30により測定された生体電位から、生体組織に対する穿刺針1の穿刺有無や穿刺深度を取得する装置である。制御装置3は、第1導電体層20及び第2導電体層30に電力供給をするための電源を内蔵している。制御装置3は、接続端子31と、接続端子32と、基準電極33とを備えている。接続端子31及び接続端子32は、針カテーテル2にそれぞれ接続される。基準電極33は、生体電位の取得対象(患者)の体表に取り付けられ、第1導電体層20及び第2導電体層30による生体電位の測定に際して、電位の基準点を与える。
【0034】
図6は、穿刺針1による穿刺深度の取得について説明する図である。
図6上段には、穿刺針1を生体組織200に穿刺した様子を表す。
図6下段には、制御装置3により取得された生体電位(mV)と時間(T)の遷移の一例を表す。第1導電体層20及び第2導電体層30により測定される生体電位は、第1導電体層20及び第2導電体層30が体液(例えば血液)中に存在する場合と、生体組織(例えば心臓組織)内に存在する場合とにおいて大きく相違する。このため、制御装置3は、第1導電体層20及び第2導電体層30により測定された生体電位を用いて、穿刺針1による穿刺有無、及び穿刺深度を取得することができる。
【0035】
例えば、
図6の例では、第1導電体層20により測定された生体電位20V(
図6下段左側)は、時刻t1において大きく変化(上昇)している。一方で、第2導電体層30により測定された生体電位30V(
図6下段右側)は、同じ時刻t1において変化していない。従って、穿刺針1の第1外表面被覆部21は生体組織200の内部に位置し、第2導電体層30は生体組織200の外部に位置していることがわかる。また、第1導電体層20により測定された生体電位20Vと、第2導電体層30により測定された生体電位30Vとが共に変化(上昇)している場合は、第1導電体層20と第2導電体層30との両方が、生体組織200の内部に位置していることがわかる。このようにして、第1導電体層20及び第2導電体層30により測定された生体電位を用いて、制御装置3は、生体組織200に対する穿刺針1の穿刺有無や穿刺深度を取得できる。
【0036】
以上のように、第1実施形態の穿刺針1は、先端部が針部10の先端面13の少なくとも一部を覆う第1導電体層20(先端面被覆部23)と、第1導電体層20から離間した第2導電体層30とを備える。このため、第1導電体層20の先端部(先端面被覆部23)を第1電極として使用し、第2導電体層30を第2電極として使用することで、穿刺深度を取得できる。また、針部10は、樹脂により形成されているため、導電性を有さず、針部10と電極(第1導電体層20、第2導電体層30)との間の絶縁被膜を必要としない。さらに、樹脂製の針部10に対して、第1導電体層20及び第2導電体層30が形成されているため、導電性を有する金属製の針部の一部分を電極として用いる場合と比較して、外乱によるノイズの影響を低減することができ、計測精度を向上できる。これらの結果、第1実施形態の構成によれば、穿刺深度を取得可能な穿刺針1において、針部10と電極(第1導電体層20、第2導電体層30)との間の絶縁被膜を必要とせず、計測精度を向上させることができる。また、第1実施形態の穿刺針1では、第1導電体層20(内表面被覆部22)は、針部10の内表面12に形成されて、針部10の先端部から基端部までの間に延設されている。このため、第1導電体層20(内表面被覆部22)のうち、先端部よりも基端側の部分を、第1電極と電源(制御装置3)とを接続するための導線としても使用できる。
【0037】
また、第1実施形態の穿刺針1によれば、第1導電体層20は、さらに、針部10の先端面13(先端面被覆部23)から、針部10の外表面11の一部分(第1外表面被覆部21)まで延設されている。このため、第1導電体層20のうち、先端部(先端面被覆部23)と、針部10の外表面11の延設部分(第1外表面被覆部21)とを、第1電極として使用できる。すなわち、第1実施形態の穿刺針1によれば、第1電極の表面積を増加させることができるため、計測精度を向上できる。
【0038】
さらに、第1実施形態の穿刺針1によれば、第1導電体層20は、基端部が針部10の基端面14の少なくとも一部を覆っている(基端面被覆部24)。このため、第1導電体層20の基端部に対する第1導線51の接続を容易にできる。また、第1導電体層20は、さらに、針部10の基端面14(基端面被覆部24)から、針部10の外表面11の一部分(第2外表面被覆部25)まで延設されている。このため、第1導電体層20の基端部に対する第1導線51の接続を、より一層容易にできる。さらに、第1導電体層20は、針部10の内表面12の全体に形成されているため、第1電極の表面積を増加させることができ、計測精度を向上できる。
【0039】
さらに、第1実施形態のカテーテルシステム100は、針カテーテル2と、針カテーテル2の第1導線51の他端(基端)と、針カテーテル2の第2導線52の他端(基端)と、にそれぞれ接続された電源(制御装置3)とを備える。このため、穿刺針1の穿刺深度を取得可能なカテーテルシステム100を提供できる。
【0040】
さらに、第1実施形態のカテーテルシステム100では、針カテーテル2は、ルーメン40Lを有する長尺管形状の本体部40と、本体部40の先端に設けられた穿刺針1とを備える。このため、穿刺針1の穿刺深度を取得可能な針カテーテル2を提供できる。また、本体部40の肉厚部には、一端(先端)が第1導電体層20に接続された第1導線51と、一端(先端)が第2導電体層30に接続された第2導線52と、が埋設されている。このため、導電性の第1導線51及び第2導線52を本体部40の表面に設ける場合と比較して、安全性と美観とを向上できる。
【0041】
<第2実施形態>
図7は、第2実施形態の針カテーテル2Aの先端側の断面構成を例示した説明図である。第2実施形態の針カテーテル2Aは、穿刺針1に代えて穿刺針1Aを備える。穿刺針1Aは、第1導電体層20に代えて第1導電体層20Aを備える点を除き、第1実施形態と同様の構成を有している。第1導電体層20Aは、第1外表面被覆部21を有しておらず、針部10の先端面13に形成された先端面被覆部23が第1電極として機能する。このように、第1導電体層20Aの構成は種々の変更が可能であり、例えば、針部10の先端面13から外表面11に延設された第1外表面被覆部21が省略されてもよい。以上のような第2実施形態の穿刺針1Aによっても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0042】
<第3実施形態>
図8は、第3実施形態の針カテーテル2Bの先端側の断面構成を例示した説明図である。第3実施形態の針カテーテル2Bは、穿刺針1に代えて穿刺針1Bを備える。穿刺針1Bは、第1導電体層20に代えて第1導電体層20Bを備え、ハンダ62に代えてハンダ62Bを備える点を除き、第1実施形態と同様の構成を有している。第1導電体層20Bは、基端面被覆部24及び第2外表面被覆部25を有していない。第1導線51の先端は、ハンダ62Bを用いて、第1導電体層20B(
図8の例では、内表面被覆部22の基端部)に接続されている。このように、第1導電体層20Bの構成は種々の変更が可能であり、例えば、針部10の基端面14を覆う基端面被覆部24と、基端面14から外表面11に延設された第2外表面被覆部25とが省略されてもよい。以上のような第3実施形態の穿刺針1Bによっても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0043】
<第4実施形態>
図9は、第4実施形態の針カテーテル2Cの先端側の断面構成を例示した説明図である。第4実施形態の針カテーテル2Cは、穿刺針1に代えて穿刺針1Cを備える。穿刺針1Cは、第1導電体層20に代えて第1導電体層20Cを備え、ハンダ62に代えてハンダ62Cを備える点を除き、第1実施形態と同様の構成を有している。第1導電体層20Cは、基端面被覆部24及び第2外表面被覆部25を有しておらず、内表面被覆部22から連続して基端側に延伸した延伸部26を有している。第1導線51の先端は、ハンダ62Cを用いて、第1導電体層20C(
図9の例では、延伸部26の外表面)に接続されている。第1導電体層20Cは、例えば、導電性を有する金属材料により形成された管状体を加工することで形成できる。このように、第1導電体層20Cの構成は種々の変更が可能であり、例えば、針部10の基端面14よりも基端側に延びる延伸部26を有していてもよい。以上のような第4実施形態の穿刺針1Cによっても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0044】
<第5実施形態>
図10は、第5実施形態の針カテーテル2Dの先端側の断面構成を例示した説明図である。
図10上段には、針カテーテル2Dの先端側の断面構成を表す。
図10下段には、D-D線における横断面構成を例示する。第5実施形態の針カテーテル2Dは、穿刺針1に代えて穿刺針1Dを備える。穿刺針1Dは、第1導電体層20に代えて第1導電体層20Dを備える点を除き、第1実施形態と同様の構成を有している。
【0045】
第1導電体層20Dは、第1外表面被覆部21Dと、内表面被覆部22Dと、先端面被覆部23Dと、基端面被覆部24Dと、第2外表面被覆部25Dと、を有している。
図10下段に示すように、第1外表面被覆部21D、内表面被覆部22D、先端面被覆部23D、基端面被覆部24D、及び第2外表面被覆部25Dのそれぞれは、針部10の周方向の一部分(図示の例では、-Y軸方向の一部分)にのみ設けられている。針部10の周方向において、第1導電体層20Dは、約90度の範囲に設けられている。
【0046】
このように、第1導電体層20Dの構成は種々の変更が可能であり、例えば、針部10の周方向の一部分にのみ設けられていてもよい。図示の例では、第1外表面被覆部21D、内表面被覆部22D、先端面被覆部23D、基端面被覆部24D、及び第2外表面被覆部25Dは全て、針部10の周方向の一部分に設けられるとした。しかし、第1外表面被覆部21D、内表面被覆部22D、先端面被覆部23D、基端面被覆部24D、及び第2外表面被覆部25Dの一部が針部10の周方向の一部分に設けられ、残余の部分は針部10の周方向の全体に設けられてもよい。また、図示の例では、第1導電体層20Dは-Y軸方向の一部分に設けられるとしたが、第1導電体層20Dは任意の方向(例えば、+Y軸方向、+Z軸方向、-Z軸方向等)に設けられてもよい。さらに、針部10の周方向において、第1導電体層20Dが形成される範囲は、約90度に限られず、任意に定めることができる。以上のような第5実施形態の穿刺針1Dによっても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0047】
<第6実施形態>
図11は、第6実施形態の針カテーテル2Eの先端側の断面構成を例示した説明図である。
図11上段には、針カテーテル2Eの先端側の断面構成を表す。
図11下段には、E-E線における横断面構成を例示する。第6実施形態の針カテーテル2Eは、穿刺針1に代えて穿刺針1Eを備える。穿刺針1Eは、第1導電体層20Dに加えてさらに、第3導電体層70と、第3導線53とを備える点を除き、第5実施形態と同様の構成を有している。
【0048】
第3導電体層70は、針部10の先端部から基端部までの間に延設された、導電性を有する被覆層である。第3導電体層70は、針部10の表面において連続して形成された第1外表面被覆部71と、内表面被覆部72と、先端面被覆部73と、基端面被覆部74と、第2外表面被覆部75と、を有している。第1外表面被覆部71は、針部10の外表面11において、軸線O方向の先端側の一部分を被覆している。第2外表面被覆部75は、針部10の外表面11において、軸線O方向の基端側の一部分を被覆している。内表面被覆部72は、針部10の内表面12において、軸線O方向の全体を被覆している。先端面被覆部73は、針部10の先端面13を被覆している。基端面被覆部74は、針部10の基端面14を被覆している。
【0049】
図11下段に示すように、第1外表面被覆部71、内表面被覆部72、先端面被覆部73、基端面被覆部74、及び第2外表面被覆部75のそれぞれは、針部10の周方向の一部分であって、第1導電体層20Dが設けられていない一部分(図示の例では、+Y軸方向の一部分)に設けられている。針部10の周方向において、第1導電体層20Dと第3導電体層70とは互いに離間しており、第3導電体層70は、約90度の範囲に設けられている。第3導電体層70は、第1導電体層20及び第2導電体層30と同様に、生体適合性を有すると共に、導電性を有する金属材料により形成されている。第3導電体層70の材料は、第1導電体層20または第2導電体層30と同じでもよく、相違してもよい。
【0050】
第3導線53は、穿刺針1E(第3導電体層70)と制御装置3とを接続する接続線である。第3導線53は、制御装置3から第3導電体層70への電力供給(通電)を行うと共に、第3導電体層70により計測された生体電位を制御装置3へと送信する。
図11上段に示すように、第3導線53の先端は、ハンダ63を用いて、第3導電体層70(
図11の例では第2外表面被覆部75の外表面)に接続されている。第3導線53の基端は、接続端子を介して制御装置3に接続されている。第3導線53は、第1導線51及び第2導線52と同様に、導電性を有する金属材料により形成されている。第3導線53の材料は、第1導線51または第2導線52と同じでもよく、相違してもよい。
【0051】
このように、穿刺針1Eの構成は種々の変更が可能であり、針部10の表面の一部分に形成された複数の導電体層を有していてもよい。
図11の例では、第1導電体層20Dと第3導電体層70とからなる2つの導電体層を例示したが、針部10には、3つ以上の導電体層が形成されていてもよい。針部10の周方向において、第1導電体層20D及び第3導電体層70が形成される範囲は、約90度に限られず、任意に定めることができる。以上のような第6実施形態の穿刺針1Eによっても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、第6実施形態の穿刺針1Eは、さらに、先端部が針部10の先端面13の少なくとも一部を覆っている第3導電体層70を備えるため、第3導電体層70の先端部(先端面被覆部73)を第3電極として使用することで、より詳細な穿刺深度を取得できる。
【0052】
<本実施形態の変形例>
本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0053】
[変形例1]
上記第1~6実施形態では、カテーテルシステム100の構成の一例を示した。しかし、カテーテルシステム100の構成は種々の変更が可能である。例えば、本体部40を備えずに、穿刺針1と制御装置3のみでカテーテルシステム100を構成してもよい。また、穿刺針1のみでカテーテルシステム100を構成してもよい。穿刺針1のみでカテーテルシステム100を構成する場合、穿刺針1は、第1導電体層20及び第2導電体層30に電力を供給するバッテリを内蔵していてもよい。例えば、上述しない他のデバイス(例えば、ガイドワイヤ等)を含んで、カテーテルシステム100を構成してもよい。
【0054】
[変形例2]
上記第1~6実施形態では、針カテーテル2,2A~2Eの構成の一例を示した。しかし、針カテーテル2の構成は種々の変更が可能である。例えば、針カテーテル2は、薬液用のルーメンとは異なる別途のルーメンを備える、マルチルーメンカテーテルとして構成されてもよい。例えば、針カテーテル2の薬液ルーメン内には、薬液の逆流(ワイヤ挿入口側や、薬液供給口側への移動)を規制するための弁部材が配置されていてもよい。例えば、針カテーテル2は、生体管腔内において穿刺針1の位置決めをするためのメッシュ部材を備えていてもよい。例えば、針カテーテル2は、生体管腔内を流れる体液(例えば血液)の流通を阻害し、かつ、穿刺針1の位置決めをするためのバルーン部材を備えていてもよい。
【0055】
[変形例3]
上記第1~6実施形態では、穿刺針1,1A~1Eの構成の一例を示した。しかし、穿刺針1の構成は種々の変更が可能である。例えば、穿刺針1の第1導線51と第2導線52との少なくとも一方は、本体部40の肉厚部に埋設されていなくてもよい。例えば、本体部40と針部10とが一体的に形成されていてもよい。例えば、針部10の内腔10Lの内径は、本体部40の内腔40Lの内径と相違していてもよい。
【0056】
[変形例4]
第1~6実施形態の穿刺針1,1A~1E及び針カテーテル2,2A~2Eの構成、及び上記変形例1~3の穿刺針1,1A~1E及び針カテーテル2,2A~2Eの構成は、適宜組み合わせてもよい。例えば、第5及び第6実施形態で説明した第1導電体層20Dや、第6実施形態で説明した第3導電体層70において、第2~第4実施形態で説明した構成を採用してもよい。
【0057】
以上、実施形態、変形例に基づき本態様について説明してきたが、上記した態様の実施の形態は、本態様の理解を容易にするためのものであり、本態様を限定するものではない。本態様は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本態様にはその等価物が含まれる。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することができる。
【符号の説明】
【0058】
1,1A~1E…穿刺針
2,2A~2E…針カテーテル
3…制御装置
10…針部
11…外表面
12…内表面
13…先端面
14…基端面
20,20A~20D…第1導電体層
21,21D…第1外表面被覆部
22,22D…内表面被覆部
23,23D…先端面被覆部
24,24D…基端面被覆部
25,25D…第2外表面被覆部
26…延伸部
30…第2導電体層
31,32…接続端子
33…基準電極
40…本体部
51…第1導線
52…第2導線
53…第3導線
61,62,62B,62C,63…ハンダ
70…第3導電体層
71…第1外表面被覆部
72…内表面被覆部
73…先端面被覆部
74…基端面被覆部
75…第2外表面被覆部
90…コネクタ
100…カテーテルシステム