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  • 特許-昇降圧装置および昇降圧方法 図1
  • 特許-昇降圧装置および昇降圧方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-24
(45)【発行日】2024-02-01
(54)【発明の名称】昇降圧装置および昇降圧方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/07 20060101AFI20240125BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
H02M3/07
H02J7/00 K
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020060266
(22)【出願日】2020-03-30
(65)【公開番号】P2021158898
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 健
(72)【発明者】
【氏名】三宅 隆資
(72)【発明者】
【氏名】池田 達弥
(72)【発明者】
【氏名】安藤 裕也
(72)【発明者】
【氏名】中岡 佑輔
【審査官】井上 弘亘
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-125145(JP,A)
【文献】特開2004-222475(JP,A)
【文献】特開2013-034298(JP,A)
【文献】特開2000-060111(JP,A)
【文献】米国特許第06198645(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/07
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1バッテリと前記第1バッテリよりも定格電圧が低い第2バッテリとの間に設けられ、一端が前記第1バッテリと接続し、それぞれが並列に前記第2バッテリと接続する複数のキャパシタと、
前記複数のキャパシタそれぞれに設けられ、隣接する前記キャパシタとの接続状態を切り替える複数のスイッチと
を備え
前記複数のスイッチは、
前記複数のキャパシタを前記第1バッテリと接続する場合、隣接する前記キャパシタ同士を繋いだ状態で、前記第1バッテリと逆側の前記キャパシタを前記第1バッテリの定格電圧に応じたグランドに接続し、
前記複数のキャパシタを前記第2バッテリと接続する場合、前記隣接するキャパシタ同士を切り離した状態で、前記複数のキャパシタそれぞれを前記第2バッテリの定格電圧に応じたグランドに接続する
ことを特徴とする昇降圧装置。
【請求項2】
前記第1バッテリおよび前記第2バッテリの間での充放電時に前記スイッチを制御する制御部
を備える、請求項1に記載の昇降圧装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記第1バッテリから前記第2バッテリへ給電する場合、前記スイッチによって隣接する前記キャパシタ同士を繋いだ状態で、前記第1バッテリから前記キャパシタへ給電した後に、前記スイッチによって前記キャパシタ同士を切り離した状態で、前記キャパシタから前記第2バッテリへ給電すること
を特徴とする請求項に記載の昇降圧装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記第2バッテリから前記第1バッテリへ給電する場合、前記スイッチによって前記キャパシタ同士を切り離した状態で、前記第2バッテリから前記キャパシタへ給電した後に、前記スイッチによって前記キャパシタ同士を繋いだ状態で、前記キャパシタから前記第1バッテリへ給電すること
を特徴とする請求項またはに記載の昇降圧装置。
【請求項5】
第1バッテリと前記第1バッテリよりも定格電圧が低い第2バッテリとの間に設けられ、一端が前記第1バッテリに接続し、それぞれが並列して前記第2バッテリに接続する複数のキャパシタと、
前記複数のキャパシタそれぞれに設けられ、隣接する前記キャパシタとの接続状態を切り替える複数のスイッチと
を用い、
前記第1バッテリおよび前記第2バッテリの間での充放電時に前記スイッチを制御する制御工程
を含み、
前記複数のスイッチは、
前記複数のキャパシタを前記第1バッテリと接続する場合、隣接する前記キャパシタ同士を繋いだ状態で、前記第1バッテリと逆側の前記キャパシタを前記第1バッテリの定格電圧に対応するグランドに接続し、
前記複数のキャパシタを前記第2バッテリと接続する場合、前記隣接するキャパシタ同士を切り離した状態で、前記複数のキャパシタそれぞれを前記第2バッテリの定格電圧に対応するグランドに接続する
昇降圧方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇降圧装置および昇降圧方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、電圧の昇降圧を行うDCDCコンバータは、電圧伝達の効率が高いなどといったメリットがあるものの、コストが高いなどといったデメリットが存在する。このため、DCDCコンバータの機能をキャパシタとHブリッジ回路とで代替した電源装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-144339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、昇圧または降圧を行う際に、Hブリッジ回路に設けられた複数のスイッチング素子を適切に制御しなければならず、煩雑な制御を必要とするため、改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、昇降圧動作を簡便な制御で行うことができる昇降圧装置および昇降圧方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、実施形態に係る昇降圧装置は、複数のキャパシタと、複数のスイッチとを備える。前記複数のキャパシタは、第1バッテリと前記第1バッテリよりも定格電圧が低い第2バッテリとの間に設けられ、一端が前記第1バッテリに接続し、それぞれが並列して前記第2バッテリに接続する。前記複数のスイッチは、前記複数の前記キャパシタそれぞれに設けられ、隣接する前記キャパシタとの接続状態を切り替える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、昇降圧動作を容易な制御で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、電源システムの構成例を示す模式図である。
図2図2は、キャパシタ部による昇圧動作の一例を示す図である。
図3図3は、キャパシタ部による昇圧動作の一例を示す図である。
図4図4は、キャパシタ部による降圧動作の一例を示す図である。
図5図5は、キャパシタ部による降圧動作の一例を示す図である。
図6図6は、昇圧動作時におけるキャパシタ部の模式図である。
図7図7は、降圧動作時におけるキャパシタ部の模式図である。
図8図8は、昇降圧装置が実行する処理手順を示すフローチャートである。
図9図9は、昇降圧装置が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明にかかる昇降圧装置および昇降圧方法の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
まず、図1を用いて、実施形態に係る昇降圧装置を含む電源システムの構成例について説明する。図1は、電源システムの構成例を示す模式図である。なお、以下では、電源システム100が、電気自動車等の車両に搭載される場合を例に挙げて説明する。
【0011】
図1に示すように、電源システム100は、昇降圧装置1と、エンジン10と、MG(Motor Generator:モータジェネレータ)11と、負荷12と、メインバッテリ20と、補機バッテリ40とを備える。
【0012】
エンジン10は、車両を走行する動力発生源として機能し、エンジン10で発生した回転エネルギーを図示しないタイヤシャフトへ伝達する。MG11は、車両のエンジン10の始動時や走行時にエンジン10の駆動をアシストする電動機と、車両の減速時に発生する回生エネルギーによって発電する回転電機として機能する。
【0013】
負荷12は、補機バッテリ40またはキャパシタC1~C4それぞれから供給される電力によって動作する各種補機であり、安全系補機と、快適系補機とが含まれる。また、安全系補機は、例えば、ブレーキECU等である。快適系補機は、例えば、A/V(オーディオ/ビデオ)装置等である。
【0014】
メインバッテリ20は、例えば、LiB(lithium-ion rechargeable battery)で構成される2次電池であり、定格電圧が48Vのバッテリである。また、メインバッテリ20は、MG11と、ラッチリレーRcを介して接続し、キャパシタ部30とはさらに第1リレーR1を介して接続される。
【0015】
補機バッテリ40は、例えば、鉛電池で構成される2次電池であり、定格電圧が12Vのバッテリである。補機バッテリ40は、第2リレーR2を介してキャパシタ部30に接続される。より具体的には、補機バッテリ40に対して、キャパシタC1~C4が並列に接続される。なお、メインバッテリ20は、第1バッテリの一例であり、補機バッテリ40は、第2バッテリの一例である。
【0016】
昇降圧装置1は、キャパシタ部30と、制御IC50とを備える。キャパシタ部30は、メインバッテリ20と補機バッテリ40との間に設けられ、昇降圧を行う電力変換器として機能する。すなわち、実施形態において、キャパシタ部30は、DCDCコンバータの機能を代替する。
【0017】
図1に示すように、キャパシタ部30は、並列接続された複数のキャパシタC1~C4と、複数のスイッチSWとを備える。複数のキャパシタC1~C4は、隣り合うキャパシタ同士がスイッチSWを介して接続される。
【0018】
また、図1に示すように、キャパシタC1~C3にそれぞれ設置されたスイッチSWは、12Vの第1グランドG1または隣り合うキャパシタC2~C4の間でキャパシタC1~C3それぞれの接続先を切り替えることができる。
【0019】
なお、キャパシタC4に設置されたリレーRは、下流側にキャパシタがないので、48Vの第2グランドに接続される。また、キャパシタ部30は、一端(キャパシタC1)がメインバッテリ20に接続され、キャパシタC1~C4それぞれが並列して補機バッテリ40に接続される。
【0020】
このように、キャパシタC1~C4は、リレーRによって直列接続または並列接続を切り替えることができる。以下では、キャパシタC1~C4を区別する必要がない場合、単に「キャパシタC」と記載する場合がある。
【0021】
制御IC50は、電源システム100全体を制御する制御装置である。なお、制御ICは、制御部の一例に対応する。制御IC50は、メインバッテリ20、キャパシタ部30および補機バッテリ40の充放電に伴い、ラッチリレーRc、第1リレーR1、第2リレーR2、および、キャパシタ部30の各スイッチSWを制御する。
【0022】
より具体的には、制御IC50は、メインバッテリ20および補機バッテリ40間での充放電において、スイッチSWの接続先を切り替えることで、キャパシタ部30による昇圧動作または降圧動作を制御する。以下、この点の詳細について、図2以降の図面を参照して説明する。
【0023】
まず、補機バッテリ40からメインバッテリ20へ給電する場合について説明する。図2および図3は、キャパシタ部30による昇圧動作の一例を示す図である。なお、以下では、電源システム100の一部を抜粋して示す。
【0024】
図2に示すように、補機バッテリ40からメインバッテリ20へ給電する場合、まず、第2リレーR2を繋ぐことで、補機バッテリ40に対して各キャパシタCを並列に接続する。すなわち、この場合、制御IC50は、各スイッチSWを第1グランドG1側に接続した状態で、第2リレーR2を接続する。
【0025】
これにより、図2に太線で示すように、補機バッテリ40から各キャパシタCへ給電される。なお、制御IC50は、キャパシタ部30から充放電される電流を電流計によって計測することで、各キャパシタ部30の充電容量を算出することができる。
【0026】
その後、制御IC50は、補機バッテリ40から各キャパシタCへの給電を終えると、図3に示すように、各スイッチSWを対応するキャパシタC2~C3または第2グランドG2に接続する。
【0027】
これにより、図3に示すように、キャパシタCがそれぞれ直列接続されるので、それぞれ12VのキャパシタCを48Vの1つの蓄電池として動作させることができる。
【0028】
かかる状態において、制御IC50は、ラッチリレーRcおよび第1リレーR1を繋ぐことで、キャパシタC1~C4から48Vの電力をメインバッテリ20へ給電することができる。
【0029】
このように、昇降圧装置1では、補機バッテリ40からメインバッテリ20へ給電する場合、補機バッテリ40からキャパシタCそれぞれに対して給電した後に、キャパシタC1~C4を直列接続し、キャパシタCからメインバッテリ20へ給電する。
【0030】
次に、図4および図5を用いて、メインバッテリ20から補機バッテリ40へ給電する場合の動作について説明する。図4および図5は、キャパシタ部30による降圧動作の一例を示す図である。
【0031】
図4に示すように、メインバッテリ20から補機バッテリ40へ給電する場合、まず、スイッチSWによって各キャパシタC1~C4を直列に接続することで、キャパシタC1~C4を48Vの蓄電池として機能させる。
【0032】
そして、ラッチリレーRcおよび第1リレーR1を繋ぐことで、メインバッテリ20から各キャパシタCへの給電を開始する。メインバッテリ20から各キャパシタCへの給電を終えると、図5に示すように、リレーRをそれぞれ第1グランドG1へ接続することで、各キャパシタCを並列接続に組み替える。
【0033】
その後、第2リレーR2を繋ぐことで、キャパシタC1~C4それぞれから12Vの電力を補機バッテリ40へ供給することになる。
【0034】
次に、図6および図7を用いて、昇圧動作および降圧動作について模式的に説明する。図6は、昇圧動作の模式図である。図7は、降圧動作の模式図である。図6に示すように、降圧動作時においては、補機バッテリ40から各キャパシタC1~C4それぞれに対して給電した後に、各キャパシタC1~C4をリレーRによって直列接続することで、48Vの蓄電池とし、キャパシタC1~C4からメインバッテリ20へ給電を行う。
【0035】
また、図7に示すように、降圧動作時においては、各キャパシタC1~C4をリレーRによって直列接続することで、48Vの蓄電池とした状態で、メインバッテリ20からキャパシタC1~C4へ給電を行う。その後、キャパシタC1~C4の接続を解除することで、キャパシタC1~C4それぞれを12Vの蓄電池へと組み替えた後に、キャパシタC1~C4それぞれから補機バッテリ40へ給電を行う。
【0036】
このように、実施形態に係る昇降圧装置1は、各スイッチSWを切り替えることで、各キャパシタC1~C4の並列接続および直列接続を切り替えることで、キャパシタ部30によって昇降圧を行うことができる。
【0037】
また、実施形態に係る昇降圧装置1では、キャパシタ部30による昇降圧動作において、各スイッチSWを切り替えるだけでよいので、例えば、DCDCコンバータなどを用いて昇降圧動作を行う場合に比べて、昇降圧動作の制御を簡略化することが可能となる。
【0038】
また、昇降圧装置1では、補機バッテリ40と各キャパシタC1~C4との間で充放電を行う場合、各キャパシタC1~C4で電位差が生じないように、各キャパシタC1~C4の充電容量は均等化されることになる。すなわち、昇降圧装置1は、各キャパシタC1~C4の蓄電容量を平均化することで、各キャパシタC1~C4の電池寿命の偏りを抑えることができる。
【0039】
次に、図8および図9を用いて、制御IC50が実行する処理手順について説明する。図8および図9は、制御IC50が実行する処理手順を示すフローチャートである。まず、図8を用いて、補機バッテリ40からメインバッテリ20へ給電際の昇圧時に処理手順について説明する。
【0040】
図8に示すように、制御IC50は、メインバッテリ20の電池電圧が閾値以下かを判定し(ステップS101)、メインバッテリ20の電池電圧が閾値以下であった場合(ステップS101,Yes)、補機バッテリ40の電池電圧は閾値以上か否かを判定する(ステップS102)。
【0041】
すなわち、ステップS101の判定では、メインバッテリ20に対する充電の要否を判定し、ステップS102の判定では、補機バッテリ40からメインバッテリ20へ給電か否かを判定する。
【0042】
制御IC50は、ステップS102の判定において、補機バッテリ40の電池電圧が閾値以上であった場合(ステップS102,Yes)、キャパシタC1~C4を並列に接続する(ステップS103)。すなわち、ステップS103は、各キャパシタC1~C4のスイッチSWによる接続を解除する。
【0043】
その後、制御IC50は、補機バッテリ40からキャパシタC1~C4へ給電を行うと(ステップS104)、スイッチSWによってキャパシタC1~C4を直列に組み替える(ステップS105)。
【0044】
そして、制御IC50は、直列接続のキャパシタC1~C4からメインバッテリ20へ給電し(ステップS106)、処理を終了する。また、制御IC50は、ステップS101の判定において、メインバッテリ20の電池電圧が閾値を超える場合、または、ステップS102の判定において、補機バッテリ40の電池電圧が閾値未満である場合(ステップS101/S102,No)、昇圧動作を行わず(ステップS107)、処理を終了する。
【0045】
次に、図9を用いて、降圧時における制御IC50の処理手順について説明する。図9に示すように、制御IC50は、補機バッテリ40の電池電圧が閾値以下か否かを判定し(ステップS111)、電池電圧が閾値以下である場合(ステップS111、Yes)、メインバッテリ20の電池電圧が閾値以上か否かを判定する(ステップS112)。
【0046】
制御IC50は、ステップS112の判定において、メインバッテリ20の電池電圧が閾値以上であった場合(ステップS112,Yes)、スイッチSWによってキャパシタC1~C4を直列に接続する(ステップS113)。
【0047】
続いて、制御IC50は、メインバッテリ20から直列接続されたキャパシタC1~C4へ給電し(ステップS114)、スイッチSWによってキャパシタC1~C4を並列に組み替える(ステップS115)。
【0048】
その後、制御IC50は、キャパシタC1~C4から補機バッテリ40へ給電させて(ステップS116)、処理を終了する。また、制御IC50は、ステップS111の判定において、補機バッテリ40の電池電圧が閾値を超える場合、または、ステップS112の判定において、メインバッテリ20の電池電圧が閾値未満である場合(ステップS111/S112,No)、降圧動作を行わず(ステップS117)、処理を終了する。
【0049】
上述したように、実施形態に係る昇降圧装置1は、複数のキャパシタC1~C4と、複数のスイッチSWとを備える。複数のキャパシタC1~C4は、メインバッテリ20(第1バッテリの一例)とメインバッテリよりも定格電圧が低い補機バッテリ40(第2バッテリ)との間に設けられ、一端がメインバッテリ20に接続し、それぞれが並列して補機バッテリ40に接続する。
【0050】
複数のスイッチSWは、複数のキャパシタC1~C4それぞれに設けられ、隣接するキャパシタC2~C4との接続状態を切り替える。したがって、実施形態に係る昇降圧装置1によれば、昇降圧動作を容易な制御で行うことができる。
【0051】
ところで、上述した実施形態では、メインバッテリ20および補機バッテリ40との間で充放電を行う場合に、キャパシタ部30を介在させて昇降圧を行う場合について説明したが、これに限定されるものではない。
【0052】
すなわち、例えば、MG11などの外部電源から供給される電力を直接キャパシタ部30へ給電しておき、キャパシタ部30からメインバッテリ20または補機バッテリ40へ給電することにしてもよい。また、キャパシタ部30からメインバッテリ20や補機バッテリ40を介さずに、MG11や負荷12へ直接給電することにしてもよい。
【0053】
特に、電圧変動が大きい場合に、メインバッテリ20または補機バッテリ40と、MG11または負荷12との間で直接充放電を行うと、メインバッテリ20または補機バッテリ40の劣化を早めることになる。
【0054】
これに対して、キャパシタ部30とMG11または負荷12との間で直接充放電を行うことで、メインバッテリ20または補機バッテリ40の劣化を抑制することが可能となる。
【0055】
なお、電圧変動が大きい場合として、MG11によるエンジン10の始動時や、車両の減速に伴うMG11の発電時、電動パワーステアリングの動作時、急ブレーキによるABS(Anti-lock Braking System)の作動時などが挙げられる。
【0056】
また、キャパシタ部30とMG11との間で充放電を行う場合、スイッチSWによってキャパシタC1~C4を直列に接続し、キャパシタ部30と負荷12との間で充放電を行う場合、スイッチSWを切り離してキャパシタC1~C4を並列に接続しておくことが好ましい。
【0057】
また、上述した実施形態では、昇降圧装置1が車両に搭載された電源システム100に搭載される場合について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、定格電圧が異なる複数の2次電池によって構成されるその他のシステムに本願発明を適用することも可能である。
【0058】
また、上述した実施形態では、メインバッテリ20が48Vであり、補機バッテリ40が12Vであるため、キャパシタ部30にそれぞれが12Vの4つのキャパシタC1~C4を設ける場合について説明したが、これに限定されるものではない。
【0059】
すなわち、各キャパシタの数および定格電圧は、第1バッテリと、第2バッテリとの定格電圧によって任意に変更することにしてもよい。また、キャパシタ部30は、DCDCコンバータの代替として動作させることが可能である。
【0060】
キャパシタ部30は、第1バッテリと、第2バッテリとの間に必ずしも設けられる必要はなく、従来DCDCコンバータが設定される位置にDCDCコンバータに代えて設けることにしてもよい。
【0061】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0062】
1 昇降圧装置
10 エンジン
12 負荷
20 メインバッテリ(第1バッテリの一例)
30 キャパシタ部
40 補機バッテリ(第2バッテリの一例)
50 制御IC(制御部の一例)
C、C1~C4 キャパシタ
G1 第1グランド
G2 第2グランド
R1 第1リレー
R2 第2リレー
Rc ラッチリレー
SW スイッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9