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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-24
(45)【発行日】2024-02-01
(54)【発明の名称】介護用補助テーブル
(51)【国際特許分類】
   A61G 12/00 20060101AFI20240125BHJP
   A47B 31/00 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
A61G12/00 D
A61G12/00 Z
A47B31/00 H
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020108660
(22)【出願日】2020-06-24
(65)【公開番号】P2021074498
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2023-04-21
(31)【優先権主張番号】P 2019205429
(32)【優先日】2019-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】599027574
【氏名又は名称】富山 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100085660
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 均
(74)【代理人】
【識別番号】100149892
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 弥生
(74)【代理人】
【識別番号】100185672
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 雅人
(72)【発明者】
【氏名】富山 隆
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0281652(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0279779(US,A1)
【文献】米国特許第5547247(US,A)
【文献】特開2001-286515(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 12/00
A47B 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置対象物の上面に着脱自在に設置される固定ベースと、該固定ベースの上面に沿って移動自在に配置された可動テーブルと、前記固定ベースに対して前記可動テーブルを前後方向へ進退自在に、且つ正逆回転自在に支持する回転連結部材と、
前記回転連結部材は、前記固定ベースにより一端部を正逆回転自在に軸支され、且つその他端部により前記可動テーブルの適所を正逆回転自在に軸支しており、
前記回転連結部材の回転範囲を規制するストッパを備えていることを特徴とする介護用補助テーブル。
【請求項2】
前記回転連結部材の前記他端部が最後方位置にある時に、前記回転連結部材の一端部は、前記他端部よりも所定距離だけ前方に位置していることを特徴とする請求項1に記載の介護用補助テーブル。
【請求項3】
前記ストッパが規制する前記回転連結部材の回転範囲は、180度であることを特徴とする請求項2に記載の介護用補助テーブル。
【請求項4】
環状の支持部材が取り付けられる支柱部と、前記支柱部と前記固定ベースとの間を回動自在に連結するアーム部とを備えたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の介護用補助テーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は介護用補助テーブルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
病院や、老人ホーム等の各種介護施設において、入院患者や入所者(以下、患者等という)が食事をする場合、椅子上に着座した患者等の前方に設置したテーブル上にトレイに載せた食器類を配置する配膳方法が行われる。
椅子に着座した状態の患者等がトレイ上の複数の食器から食事をする場合、希望する食器を片手で把持して持ち上げて口元に移動させつつ他方の手で箸などを用いて口に食物を入れたり、或いはトレイ上の食器に対して箸などを持った手を伸ばして食器内の食物を取り上げて口に移動する。しかし、患者等がトレイ上の遠方にある食器を掴もうと手を伸ばしたり、遠方にある食物を取ろうとして箸を延ばした際に手前や隣接する位置にある他の食器を腕で引っ掛けて押したり、倒すことにより、食器や食物をトレイ上やテーブル上や床面に落下させて汚したり、衣服を汚すことが多い。このような床面等の食べこぼしを清掃する作業は大変な労力となっている。また、汚れた衣服を洗濯する回数も増えることとなる。
仮に患者等がエプロンをしたとしても衣服の汚れを防止できる程度であり、テーブルや床面に落下することを防止する効果は少ない。
【0003】
また、食器を倒さないとしても、患者等が前傾できなかったり、腕を伸ばせない等の身体的理由により、トレイ上の遠方にある食器に対して手が届きにくい場合には、食事に際して無用な時間と労力を要することとなり、患者等がストレスを感じて食欲を減ずる原因の一つとなっている。
特許文献1(特開2001-137054公報)には、電子レンジなどを載置する手段として、基部に設けた回転軸により回転自在に支持された載置台部を基部の表面に沿って横方向へスライド移動自在とした回転物品載置台が開示されている。
また、特許文献2(実全昭62-059448公報)には、テレビを乗せた状態で前後方向へ進退させたり、回転させるテレビ台が開示されている。
しかし、何れの特許文献1、2においても、病院等において使用される患者用のテーブル(トレイ)上に配置された食器を患者等が誤って倒して落下させることを防止する対策については示唆さえもなされていない。特に、これらの載置台部やテレビ台を患者等が食事をする際のテーブルに転用した場合には、トレイを載せた載置台部等をガイドレールによって直線的に進退させることになるため、患者等が軽く触れただけで載置台部等が横方向や前後方向へスライド移動して位置ずれを起こし易くなり、安定して食事を継続することが困難となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-137054公報
【文献】実全昭62-059448公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、各種介護施設において、患者等が自らの手を使ってテーブル(トレイ)上の食器から食事をする際に、手が届きにくい位置にある食器を簡単な操作により手前に移動させることにより食事をし易くするばかりでなく、食物をこぼすことを防止することができる介護用補助テーブルを提供するものである。
また、食事中に患者等が軽く触れただけでテーブルが動いて位置ズレを起こす不具合を解消することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、設置対象物の上面に着脱自在に設置される固定ベースと、該固定ベースの上面に沿って移動自在に配置された可動テーブルと、前記固定ベースに対して前記可動テーブルを前後方向へ進退自在に、且つ正逆回転自在に支持する回転連結部材と、前記固定ベース上面、又は/及び、前記可動テーブル下面に固定されて、前記固定ベース上面と前記可動テーブル下面との間に所定のスペースを形成するスペーサ部材と、を備え、前記回転連結部材は、前記固定ベースにより一端部を正逆回転自在に軸支され、且つその他端部により前記可動テーブルの適所を正逆回転自在に軸支しており、前記回転連結部材の回転範囲を規制するストッパを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
患者等がテーブル上の食器から食事をする際に、手が届きにくい位置にある食器を簡単な操作により手前に移動させることにより食事をし易くする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態の介護用補助テーブルを用いて患者等が食事をしている状態を示す説明図である。
図2】第1実施形態の介護用補助テーブルの前面側斜視図である。
図3】(a)(b)及び(c)は介護用補助テーブルの平面図、正面図、及びA-A断面図である。
図4】要部(回転機構)の一例を示す断面図である。
図5】(a)及び(b)は回転連結部材の平面図、及び斜視図である。
図6】エプロンシートの展開図である。
図7】第2実施形態の介護用補助テーブルを用いて患者等が食事をしている状態を示す説明図である。
図8】第2実施形態の介護用補助テーブルが備えた腕支持部の斜視図である。
図9】可動テーブルの上にトレイ、及び食器を載置した状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1実施形態>
以下、本発明を図面に示した実施の形態により詳細に説明する。最初に第1実施形態の介護用補助テーブルについて説明する。
図1は第1実施形態の介護用補助テーブルを用いて患者等が食事をしている状態を示す説明図であり、図2は第1実施形態の介護用補助テーブルの前面側斜視図であり、図3(a)(b)及び(c)は介護用補助テーブルの平面図、正面図、及びA-A断面図であり、図4は要部(回転機構)の一例を示す断面図であり、図5(a)及び(b)は回転連結部材の平面図、及び斜視図であり、図6はエプロンシートの展開図である。
【0010】
介護用補助テーブル1は、病院、介護施設等で使用されている食事用テーブル200のテーブル板(設置対象物)202の上面に対して着脱自在に設置されて患者、要介護者(以下、患者等という)Pが食事をする際の補助を行う手段である。
図示した食事用テーブル200は、下部にキャスターを備えた脚部205上にテーブル板202を片持ち固定した構成を備えており、椅子220に着座した患者等Pの前方にテーブル板202を位置決めした状態で、必要に応じてキャスターをロックして位置を固定する。なお、介護用補助テーブル1を設置する対象物として図示したものは一例に過ぎず、どのようなタイプのテーブル、デスク等であってもよい。
【0011】
また、図示しないベッド上で食事をする患者等のための介護用テーブルは、食事時のみに、ベッド上で上半身を起こした状態にある患者等の身体前方にテーブル板が配置され、食事以外の不要時には撤去できるように構成されている。
何れのタイプの介護用テーブルにあっても、患者等がテーブル板202上に直接載置されたトレイ上の食器から食事する際には、遠方にある食器を一方の手で把持して口元に近づけたり元の位置に戻す作業を繰り返すうちに他の食器に振れて倒したり、汁をこぼす等の不具合が発生し易くなる。また、患者等とテーブル板との間に食物が落下することを防止することは難しい。
【0012】
本発明に係る介護用補助テーブル1は、食事用テーブル200のテーブル板(設置対象物)202の上面に着脱自在に設置される固定ベース10と、該固定ベースの上面に沿って移動自在に配置された可動テーブル30と、固定ベースに対して可動テーブルを前後方向へ進退自在に、且つ正逆回転自在に支持する回転連結部材50と、固定ベース上面、又は/及び、可動テーブル下面に固定されて、固定ベース上面と可動テーブル下面との間に所定のスペースを形成するスペーサ部材を兼ねたガイドレール60と、を備え、回転連結部材は、固定ベースの中心部(中央部)により一端部を正逆回転自在に軸支され、且つその他端部により可動テーブルの適所を正逆回転自在に軸支している。
更に、介護用補助テーブル1は、固定ベース10の一端縁(一部)に対して着脱自在に取り付けられるエプロンシート80を備えている。
【0013】
固定ベース10は、木製、金属製、或いは樹脂製の四角い板(本例では、一辺30cmの正方形)から成る基材12と、基材12の底面の四隅、その他の適所に突設したゴム製の滑り止め突起14(図3を参照)と、基材12の上面に沿ってビス等によって固定されて前後方向へ延びる金属製の2本のガイドレール(スペーサ部材)60と、基材12の上面の左右方向中心部よりも左寄りにビス等により固定配置されて回転連結部材50と接して回動を停止させることによりその回動範囲(前後方向への移動の限界)を所定に規制する金属製のストッパ65(進退ガイド部材を兼ねる)と、固定ベース10の下面を介護用テーブルのテーブル板202の上面に載置した状態で、テーブル板202に締結されることにより固定ベースを固定する固定紐70と、を備える。
固定ベースは、四角形以外の形状、例えば、円形、その他の任意の形状としてもよい。
固定ベース10の一側端縁、本例では右側端縁に沿った位置には箸置き18が配置されている。箸置き18は、固定ベース10に固定された箸置き支持部18aと、箸置き支持部18a内に着脱可能に装着されて箸を直接収納する箸置き本体18bと、を有する。箸置き本体18bを箸置き支持部18aから取り出して洗浄することにより汚れを除去して清潔状態を維持することができる。
各ガイドレール60は、アルミニウム等の軽量金属からなる四角柱状の中空体であり、その平坦な上面にて可動テーブル30の下面と滑動的に接触する。各ガイドレールは、固定ベース10の左右端縁から等距離の位置に配置されて、固定ベースの前後方向全長に渡って延在させる。各ガイドレールは固定ベース10の上面と可動テーブル30の下面との間に回転連結部材50を配置するスペースを形成しつつ、可動テーブルの回転、左右前後動をスムーズにする。
【0014】
ストッパ65はガイドレール60と同様の材質、構成を備え、回転連結部材50がその回転中心52を中心として回転(回動)する過程で右側面にて回転連結部材50と接して回動範囲を所定の範囲、本例では180度に規制する手段である。なお、ストッパ65が回転連結部材50の回動を規制する範囲は180度に限らず、180度以上、或いは180度以下であってもよい。ストッパ65はガイドレール60よりも短尺であり、回転連結部材50が回転中心52を中心として180度正逆回動する過程で図3(a)中に示すように回転連結部材と接することができる程度の長さを有すればよい。
なお、本例では回転連結部材50の左側位置にストッパ65を配置しているために、回転連結部材がストッパを越えて左方向への移動が禁止されているが、これは一例に過ぎず、回転連結部材の右側位置にストッパ65を配置してもよい。この場合には回転連結部材はストッパを越えて右方向への移動が禁止されることになる。
【0015】
可動テーブル30は、木製、金属、或いは樹脂製の四角い板(本例では、一辺30cmの正方形)から成る基材32と、基材32の上面に積層一体化されて載置されるトレイや食器の滑りを防止するゴム、樹脂等から成る滑り止め層34と、を有する。可動テーブルの上には食器215を載せたトレイ210が載置される。なお、可動テーブルを四角形以外の形状、例えば、円形、その他の任意の形状としてもよいが、通常トレイが四角いため、トレイの形状、サイズに合わせる。
【0016】
回転連結部材50は、図3図4図5(a)(b)に示すように、アルミニウム等の金属板を断面長方形状で長手方向両端部を円弧状に面取りした中空体であり、一端に設けた回転中心(軸部)52を固定ベース10の中心部10Aよりも所定距離L(本例では5cm)だけ前方へ偏った固定ベース上の軸支部16に位置決め設定されている。言い換えれば、回転連結部材の他端にある軸部54が固定ベース上の最後方位置にある時に(図3の初期位置30Aにある時に)、回転連結部材の一端にある回転中心52は軸部54(軸支部16)よりも所定距離Lだけ前方に位置している。つまり、回転連結部材50は一端寄りに設けた回転中心52を固定ベースの軸支部16により固定ベース上面と並行に正逆回動自在に軸支されている。回転連結部材50の回動範囲は、ストッパ65によりストッパの右側領域内において180度の範囲に規制される。また、回転連結部材50の他端部寄りに設けた軸部54は、可動テーブルの中心部36を360度正逆回転可能に軸支している。可動テーブルの回転はストッパにより規制されることがない。
なお、回転連結部材の回転中心52は、固定ベースの厳密な意味での中心部10Aにより回転自在に軸支する必要はなく、中心部10A(軸支部16)は固定ベース面のほぼ中央部であればよい。或いは、固定ベース面の中心部から上下左右、斜め方向へ若干ずれた位置を軸支部16としてもよい。
【0017】
軸部54は、ストッパ65による規制作用によって、図3(a)中において可動テーブル30が実線で示した初期位置30Aにある時には固定ベースの上面全体と重なり合った状態で最後方位置にあり、同図中において可動テーブルが二点鎖線で示した突出位置30Bにある時には固定ベースの前端縁を越えた最前方位置(手前に位置する患者等に接近した位置)にある。
回転連結部材50の長さを伸縮可能な入れ子式(多段状)とすることにより、患者等の好みに対応して可動テーブルの初期位置と突出位置との間の距離を調整可能にするようにしてもよい。ここで入れ子式とは、回転連結部材を構成する四角柱の筒状体として直径の異なるものを二本用意し、一方の筒状体の一端部から他方の筒状体の一端部を差し込み式とする。更に、各筒状体の連結長さを決めた段階で両筒状体をビス、或いはビニルテープによって固定する。これにより、患者等の個人特性に応じて可動テーブルの突出位置を調整することが可能となる。
【0018】
可動テーブル30は、回転連結部材50が回転中心52を中心として180度正逆回動するため、図3(a)中において実線で示した初期位置(最後方位置)30Aと、二点鎖線で示した突出位置(最前方位置)30Bと、その中間位置との間で進退しながら回動自在となっている。
また、各位置30A、30B、及びその任意の中間位置(移動途中の位置)において、可動テーブルは回転連結部材の他端部寄り設けた軸部54を中心として360度正逆回転が自在である。例えば符号30Cは、突出位置30Bの可動テーブル30を約45度回転させた状態を示している。従って後述するように、各位置30A、30Bにある可動テーブルを回転させるだけの簡単な操作を行うことにより可動テーブル上に載置されたトレイ上の食器のうちの希望する食器を患者等Pの手元に移動させた上で食器を把持して食事することが可能となる。言い換えれば、希望する食器以外の食器を後方へ退避させておくことにより腕等が食器に触れて倒したり、食器を揺らせて汁をこぼすことを未然に防止できる。
【0019】
また、可動テーブル30が初期位置30Aにある時には回転連結部材50は前後方向と並行な姿勢を維持しているため、患者等が可動テーブルを前方へ引いたり、或いは後方へ押圧したとしても回転連結部材を回転させる方向への力は作用せず、初期位置30Aから移動しない。また、可動テーブル30が突出位置30Bにある時にも同様に回転連結部材50は前後方向と並行な姿勢を維持しているため、患者等が可動テーブルを前方へ引いたり、或いは後方へ押圧したとしても回転連結部材を回転させる方向への力は作用せず、突出位置30Bから移動しない。
【0020】
一方、特許文献1、2に記載のスライド式のテレビ台などを食事用のテーブルに転用した場合には、患者等の身体の一部がテーブルに触れることにより押圧したり引く力が作用した際に、患者等の意に反してテーブルと共にトレイが後方、或いは前方へ動いてしまう不具合がある。例えば、テーブルを手前に引き出して食事をしている間に、患者等の身体がテーブルに触れて後方へ押圧すると、テーブルは患者等の意に反して後方へ移動してしまう。このため、テーブルを元に位置に引き戻す操作が必要となったり、テーブルの移動中にトレイ上の食器内の汁物がこぼれたり、手によって食器を掴み損なったり、箸等により掴み損なう等々の不利不便が発生する。その理由は各特許文献のテレビ台等は、ガイドレールによって前後方向、横方向などに沿って直線的に往復可能にガイドされており、定位置で停止させるストッパ手段も存在しないため、押圧しただけで移動する構造となっているからである。
【0021】
これに対して、本発明においては、初期位置30Aにある可動テーブルを意図的に円軌道を描かせながら右手前方向へ引きつけない限り、また、突出位置30Bにある可動テーブルを意図的に円軌道を描かせながら右後方へ押圧しない限り、可動テーブルは原位置30A、30Bを維持し続けることができ、各位置から前後方向へは移動しない。言い換えれば、可動テーブルが各位置30A、30Bにある時には、回転連結部材50は前後方向に沿って延びているために、可動テーブルに対して前後方向へ引く力や押圧する力が作用したとしても、その力は回転力に変換されない。このため可動テーブルが各位置30A、30Bにある時に患者等の身体の一部が可動テーブルに触れることにより前後方向へ押圧したり引く力が作用した場合であっても、患者等の意に反して可動テーブルと共にトレイが後方、或いは前方へ動いてしまうことがない。このため、患者等の意に反して前記各位置から位置ズレしてしまった可動テーブルを改めて希望する位置へ戻す操作が必要となったり、トレイ上の食器内の汁物がこぼれたり、食器を掴み損なったり、箸による狙いがはずれたり等々の不利不便が発生することがない。つまり、回転連結部材50は、可動テーブルが初期位置と突出位置において意に反して前後方向へ移動することを阻止するロック機能を有している。特許文献1、2に記載されたスライド式のテーブルの構成ではこのようなロック機能を発揮することが不可能である。
【0022】
次に、図4は固定ベース、回転連結部材、可動テーブル間の連結構造を示す断面図である。
固定ベース10と回転連結部材50との連結は、固定ベースの軸支部16を構成する貫通穴16a内にボルトBを挿通し、ボルトのネジ部端部をナットN、及びスプリングワッシャSWにて締結する。また、ボルトのネジ部の外周と貫通穴16aとの間に軸受として機能するアルミ製のスリーブS(アルミ筒)を介在させることにより、固定ベースに対して回転連結部材がスムーズに相対回転するようにしている。即ち、スリーブSが存在しない場合には回転連結部材の回転に伴ってボルトとナットが連れ回りして弛み易くなるが、スリーブSを介在させることによりそのような事態を防止できる。
【0023】
可動テーブル30と回転連結部材50との連結は、固定ベースと回転連結部材の連結構造と同様に、可動テーブル30の中心部36を構成する貫通穴36a内にボルトBを挿通し、ボルトのネジ部をナットN、及びスプリングワッシャSWにて締結する。また、ボルトのネジ部の外周と貫通穴36aとの間に軸受として機能するアルミ製のスリーブSを介在させることにより、固定ベースに対して回転連結部材がスムーズに相対回転するようにしている。
固定紐70としては、図1図2図3などに示すように面ファスナーを備えた平紐とし、その一端を固定ベース10の前端縁適所に固定するとともに、固定ベースの下面に沿って後方へ延ばしたその中間部を固定ベースの後端縁中心部に設けた折り返し片72に挿通して前方へ折り返してから、更に固定紐先端の面ファスナー部を固定紐中間部の面ファスナー部に吸着させる。介護用補助テーブル1をテーブル板202の上面に設置する場合には、テーブル板上面に固定ベース10を載置した状態で、固定紐70をテーブル板202の下方を通して後方へ延ばし、折り返し片72に挿通して前方へ折り返してから緩みがない状態に引き絞ってから面ファスナー同士を吸着させる。取り外す作業は上記と逆を行えば良い。
【0024】
エプロンシート80は、図6に示すようにビニルシートなどから成るシート本体81と、シート本体の一端縁に取り付けられた長さ調整可能な首掛け紐82と、固定ベース10の前端縁に配置した面ファスナー部90に着脱されるようにシート本体81の他端縁に設けられた面ファスナー84と、を備える。なお、シート本体81の左右両端縁の適所には互いに着脱する一対の面ファスナー85a、85bを隣接させて固定しておき、折り曲げ線86に沿ってシート本体の両端縁を折り曲げてから両ファスナー85a、85b同士を図1に示すように吸着させる。シート本体の両端縁は折り曲げ線86の位置で折り曲げられた状態で固定されるので、シート本体上に落下した食べこぼしを折り曲げ部により形成される凹所内に溜めることができ、衣服に付着したり、床に落下することを効果的に防止できる。
【0025】
また、エプロンシートは取り外して何度でも洗浄し、繰り返し使用することができる。
また、介護用補助テーブル1を使用しない時はエプロンシートを上から被せておくことにより埃などの付着を防止できる。
また、固定ベース10の前端縁には物掛け紐100がループを描くように固定されている。物掛け紐100は樹脂製の紐の外周をビニール製の筒状体で覆った構成を備えており、任意の物を取り付けるのに適している。本例では、診察券、保険証などを入れるケース102や、スマートフォン、筆記具などの小物を入れるボックス104を物掛け紐100の両端部に吊り下げている。また、物掛け紐に洗濯挟み106を取り付けることによりゴミ袋やタオルなどを取り付けることができる。
【0026】
次に、図1のようにテーブル202上に介護用補助テーブル1を設置した状態で患者等Pが食事を採る際の操作手順について説明する。
患者等Pが椅子に着席する前の段階では、可動テーブル30は図3(a)の初期位置30Aにあり、患者等が椅子220に着席してから食事し易いようにテーブル202との位置関係を調整して椅子を位置決めする。食事をする際には、可動テーブルを初期位置30Aから突出位置30Bまで移動させつつ回転させることにより、食器に手を伸ばす前の段階で左手で把持したい食器を自分の直近位置まで移動させる操作を行う。希望の食器を図1のように自分の身体の直近位置(取り上げ易い位置)まで回転移動させた段階で目的とする食器を手で把持して口元に移動する等して箸などにより口内に入れることができる。食器をトレイ上に戻す場合にはトレイ上の元のスペースに戻せば良い。
【0027】
このように患者等の遠方に位置する食器を取り上げたい場合であっても無理に手を伸ばしたり、前屈みになる必要がないため、周辺の食器に振れて倒したり、中身をこぼしたり、袖を汚す等の不具合がなくなる。また、患者等にとって手が届きにくい位置にある食器であっても、可動テーブルを任意の位置に移動させ、且つ回転させることにより、任意順序で把持して最適な状態で食事に供することが可能となる。
椅子やベッドに座った状態から上半身を前後左右に動かすことが困難な患者にとっては、可動テーブルを簡単な操作により前後方向、及び回転方向へ自由自在に移動させることができれば、食事に際しての負担が大幅に軽減されることは明らかである。
【0028】
また、一方の手が不自由なために食器を把持することができない患者等の場合には、食器を持ち上げることなくトレイ上の食器内の食物を使える方の手で保持した箸、スプーン、フォーク等を用いて摘んだり、刺したり、掬い上げることにより口元に運ぶことになる。この場合にも食器が身体から離れた位置にあると箸などの操作が困難になるが、身体の直近まで希望する食器を移動させることができれば食事が楽になる。本発明の介護用補助テーブル1によればこのような患者等にとっても無理することのない気楽な食事を楽しむことが可能となる。
また、可動テーブル30は、初期位置と、突出位置の各位置で前後方向への移動を停止させた安定状態にできるので、食事中に可動テーブル上のトレイが不意に移動することがなくなり、安定して食事を継続し易い。
【0029】
<第2実施形態>
次に第2実施形態の介護用補助テーブル1Aについて説明する。図7は第2実施形態の介護用補助テーブルを用いて患者等Pが食事をしている状態を示す説明図、図8は第2実施形態の介護用補助テーブルが備えた腕支持部20の斜視図、図9は可動テーブル30の上にトレイ210、及び食器215を載置した状態を示す説明図である。
なお、第2実施形態の介護用補助テーブル1Aにおいて、第1実施形態の介護用補助テーブル1と同じ部分については同じ符号を付して説明を省略する。
【0030】
患者等Pの症状は様々であり、患者等の中には身体的理由によって一方の腕が不自由な者もいる。このような患者等は、一方の腕が思うように動かせないことから、一方の手に茶碗等の食器215を持ち、他方の手で箸やスプーン等を持って食事をすることが困難な場合があり、他者の介助を受けて食事をすることも少なくない。
一方の腕が不自由な患者等であっても、他者による介助をできるだけ少なくして食事が行えることが望ましい。
【0031】
図7に示すように、第2実施形態の介護用補助テーブル1Aは、患者等Pの一方の腕等(例えば前腕部や手首)を所定位置に支持する腕支持部20を備えたことを特徴としている。図7乃至図9の例において、腕支持部20は固定ベース10の左側に取り付けられており、患者等の左前腕部や左手首を支持する構成を採っているが、腕支持部20を固定ベース10の右側に取り付けて患者等の右前腕部や右手首を支持する構成を採ってもよい。
図8に示すように、腕支持部20は、患者等の腕等が挿通されるループ形状(環状)の腕支持ベルト(支持部材)21と、先端に設けたフック部22aに対して腕支持ベルト21が引っ掛けられる支柱部22と、支柱部22の下端(基端)と固定ベース10との間を回動自在に連結するアーム部23とを備えている。また、支柱部22には、ティッシュボックス230を保持する保持部MPが設けられている。
腕支持ベルト21は、例えば図9にも示すように、内面をループ面とし外面をフック面とした面ファスナーによる平紐であり、一端部21aの内面と他端部21bの外面とを互いに吸着させることによってループ形状にしている。腕支持ベルト21は、一端部21aと他端部21bとの重なり部分の長さを変更することにより、ループの大きさを調整することができる。ループの大きさを調整することにより、腕支持ベルト21内に挿通され、且つ腕支持ベルト21によって支持される患者等Pの腕等を所望の高さに位置付けることができる。
なお、腕支持ベルト21は、面ファスナーによる平紐に限られず、他の構成を採ってもよい。例えば、柔軟性を有したロープの両端を結んでループ形状にしたものを用いてもよいし、三角巾の2つの頂部を結んでループ形状にしたものを用いてもよい。
【0032】
図8に示すように、支柱部22は、腕支持ベルト21が引っ掛けられるフック部22aを先端に設けた金属性の棒状部材であり、下端(基端)22bとその周辺部がアーム部23(軸受け部23e等)に対して回動自在に支持されている。
支柱部22は、下端から上方に延びた軸部22cと、軸部の上端から側方に延びた腕部22dと、腕部の先端から下方に垂下し、軸部よりも短尺な垂下部22eと、垂下部の下端から斜め上方に屈曲されたフック部22aとを備えている。
支柱部22は、例えば一本の丸鋼(ステンレス鋼)を屈曲させることによって作製されるが、この構成に限定されない。例えば、複数本の円筒パイプを溶接することによって作製してもよい。
【0033】
アーム部23は、基端が固定ベース10の表側に配置され、先端が固定ベース10よりも外側に配置された細長い平板形状の表側アーム片23aと、基端が固定ベース10の裏側に配置され、先端が固定ベース10よりも外側に配置された細長い平板形状の裏側アーム片23bと、固定ベース10の厚さ方向を貫通し、且つ表側アーム片23aの基端、及び裏側アーム片23bの基端を回動自在に軸支する軸支部23cと、固定ベース10よりも外側において表側アーム片23aと裏側アーム片23bとを連結する連結部23dと、裏側アーム片23bの表面に設けられ、支柱部22の下端22bが回動可能に位置付けられる円形リング形状の軸受け部23eと、を備えている。なお、表側アーム片23aにおける連結部よりも先端よりの位置には、軸部22cが回動自在に挿通される孔が設けられている。
表側アーム片23a、及び裏側アーム片23bの組は軸支部23cを中心にして一体に回動する。各アーム片の先端には支柱部22の軸部22c(下端22b)が取り付けられているため、各アーム片の回動に伴って支柱部22が移動する。また、支柱部22は、軸部22c(下端22b)を中心に回動自在であり、フック部22aに引っ掛けられた腕支持ベルト21の位置が調整される。
【0034】
保持部MPは、支柱部22の軸部22cが挿通されて軸部22cを中心に回動可能なガイド管24と、ガイド管24に沿って配置された縦長長方形状の保持プレート25と、保持プレートの上部とガイド管の上部との間に介在して両者を連結し、且つティッシュボックス230の上部を固定する上部固定具26と、保持プレートの下部とガイド管の下部との間に介在して両者を連結し、且つティッシュボックス230の下部を固定する下部固定具27と、を備えている。
ガイド管24は、内径が支柱部の軸部よりも僅かに大きく、長さが軸部よりも多少短い金属製丸パイプであり、例えばステンレス管によって作製されている。なお、ガイド管24は、ステンレス管以外の金属管、例えばアルミニウム管を用いてもよいし、樹脂管を用いてもよい。
保持プレート25は、ティッシュボックス230の底面と略等しい縦長長方形状の板であり、例えばポリエチレンやポリプロピレン等の合成樹脂板によって作製されている。なお、保持プレート25は、ステンレス板やアルミ板等の金属板を用いてもよいし、ベニヤ板等の木製板材を用いてもよい。
【0035】
上部固定具26は、断面がL字形状の上部Lアングル26aと、上部Lアングルの左右両端の間に架け渡された上部ゴムバンド26bと、を備えている。上部Lアングル26aは例えばステンレス板やアルミ板等の金属によって作製され、その長さは保持プレート25の横幅よりも若干短く、一方の片が保持プレート25の背面上部に横方向に沿って配置されてネジ止め固定されている。上部Lアングル26aの他方の片の左右中央部には、ガイド管24が貫通状態で固定されている。
下部固定具27は、断面がL字形状の下部Lアングル27aと、下部Lアングルの左右両端の間に架け渡された下部ゴムバンド27bと、を備えている。下部Lアングル27aは例えばステンレス板やアルミ板等の金属によって作製され、その長さは上部Lアングル26aと同様に、保持プレート25の横幅よりも若干短い。下部Lアングル27aは、一方の片が保持プレート25の背面上部に横方向に沿って配置されてネジ止め固定されており、他方の片の左右中央部にはガイド管24が貫通状態で固定されている。
第2実施形態の介護用補助テーブル1Aにおいて、腕支持部20以外の構成については、第1実施形態の介護用補助テーブル1と同じであることから、説明を省略する。
【0036】
次に、介護用補助テーブル1Aの使用方法、特に腕支持部20の使用方法について説明する。
図9に示すように、保持部MPにはティッシュボックス230を保持させる。例えば、ティッシュボックス230の底面を保持プレート25の表面に対して位置を合わせて載置し、上部ゴムバンド26b、及び下部ゴムバンド27bをそれぞれティッシュボックス230の表面に沿って周回させる。
各アーム片23a、23bを回動させて支柱部22(軸部22c)を所望の位置へ移動させた後、ティッシュの取り出し口が患者等P側を向くように保持部MPを回動させる。これにより、保持部MPに保持されたティッシュボックス230は、患者等Pが容易に手の届く範囲に位置付けられる。
また、フック部22aに腕支持ベルト21を引っ掛けた状態で、軸部22cを中心に支柱部22を回動させてフック部を患者等Pの身体の近くに位置付ける。その後、患者等Pは、フック部に引っ掛けられた腕支持ベルト21内に腕等を挿通する。腕支持ベルト21のループは患者等の腕等の太さよりも十分に大きいため、患者等は自らの力で腕支持ベルト21内に腕等を挿入できる。患者等の腕等は、腕支持ベルト21にて支持されることにより、食事に適した位置(例えば、茶碗の保持位置)に位置付けられる。
なお、予め患者等Pの腕等を腕支持ベルト21内に挿通しておき、その後、腕等が挿通された腕支持ベルト21をフック部22aに引っ掛けるようにしてもよい。この場合も、患者等は、自由に動かせる他方の手を用いることにより、腕支持ベルト21をフック部22aに対して容易に引っ掛けることができる。
【0037】
図7に示すように、患者等Pは、腕支持ベルト21によって腕等が支持されることにより、茶碗を食事に適した位置に保持することができ、第1実施形態の介護用補助テーブル1を使用したときと比較して、他者による介助の頻度を低減することができる。
また、保持部MPにはティッシュボックス230が保持されているため、患者等Pはティッシュボックス230からティッシュを容易に引き出すことができ、ティッシュ使用時におけるストレスを軽減できる。
なお、図7乃至図9に例示した介護用補助テーブル1Aにおいて、腕支持部20は固定ベース10の左側に取り付けていたが、右側に取り付けてもよい。
【0038】
<本発明の実施態様例と作用、効果のまとめ>
第1の実施態様に係る介護用補助テーブル1は、テーブル、或いはデスク(設置対象物)の上面に着脱自在に設置される固定ベース10と、該固定ベースの上面に沿って移動自在に配置された可動テーブル30と、固定ベースに対して可動テーブルを前後方向へ進退自在に、且つ正逆回転自在に支持する回転連結部材50と、固定ベース上面、又は/及び、可動テーブル下面に固定されて、固定ベース上面と可動テーブル下面との間に所定のスペースを形成するスペーサ部材60と、を備え、回転連結部材は、固定ベースの中心部(中央部)10Aにより一端部を正逆回転自在に軸支され、且つその他端部により可動テーブルの適所を正逆回転自在に軸支しており、回転連結部材の回転範囲を規制するストッパ65を備えていることを特徴とする。
本発明によれば、各種介護施設において、入院患者等が自らの手を使ってテーブル上の食器から食事をする際に、手が届きにくい位置にある食器を簡単な操作(押す、引く、回転させる操作)により手前に移動させ、且つ同時に不要な食器を遠方に退避させることにより食事をし易くするばかりでなく、食物をこぼすことを防止することができる。
可動テーブルが後方位置、或いは前方位置にある時に、それぞれ可動テーブルを回転させるだけで可動テーブル上の食器を食事し易い手元に移動させることができるので、好みの位置にある食器内の食物を好きな順序でストレスなく食べることができる。椅子の上に着座した患者等が遠方へ腕を伸ばしたり、前傾することが難しい場合であっても、苦痛を感じることなく常に手元に食器を位置させた食事が可能となる。しかも、後方位置である初期位置と、突出位置である最も手前位置でそれ以上の前方への移動、及び後方への移動を停止させることができるので、各位置でテーブルが安定し、食べやすい。
【0039】
第2の実施態様に係る介護用補助テーブル1は、回転連結部材の他端部(軸部54)が固定ベース上の最後方位置(30A)にある時に、回転連結部材の一端部52は、他端部54よりも所定距離Lだけ前方に位置していることを特徴とする。
固定ベースが回転連結部材を回転自在に軸支する軸支部16の位置を、可動テーブルが最後方位置にある時の回転連結部材の他端部54よりも前方位置とすることにより、ストッパ65との協働により、可動テーブルの停止位置を最後方位置と突出位置に夫々設定、位置決めすることが可能となる。
【0040】
第3の実施態様に係る介護用補助テーブルは、ストッパ65が規制する回転連結部材の回転範囲が180度であることを特徴とする。
ストッパが規制する回動範囲は何度であってもよいが、実施形態のように180度とすることにより、可動テーブルを最後方位置と突出位置の各位置で位置決めすることが可能となる。ストッパの形状をシンプル化できるメリットもある。
【0041】
第4の実施態様に係る介護用補助テーブルは、腕支持ベルト21(環状の支持部材)が取り付けられる支柱部22と、支柱部と固定ベースとの間を回動自在に連結するアーム部23とを備えたことを特徴とする。
腕支持ベルト21の環内に患者等Pの腕(手首、前腕部)を挿通することにより、患者等の腕が腕支持ベルト21によって支持され、食事に適した位置(例えば、茶碗の保持位置)に位置付けることができる。
【符号の説明】
【0042】
1…介護用補助テーブル、10…固定ベース、10A…中心部、14…突起、16…軸支部、16a…貫通穴、18a…支持部、18b…本体、20…腕支持部、21…腕支持ベルト、22…支柱部、22a…フック部、22b…支柱部の下端、22c…支柱部の軸部、22d…支柱部の腕部、22e…支柱部の垂下部、23…アーム部、23a…表側アーム片、23b…裏側アーム片、23c…軸支部、23d…連結部、23e…軸受け部、24…ガイド管、25…保持プレート、26…上部固定具、26a…上部Lアングル、26b…上部ゴムバンド、27…下部固定具、27a…下部Lアングル、27b…下部ゴムバンド、30…可動テーブル、30A…初期位置(最後方位置)、30B…突出位置(最前方位置)、30C…回転位置、32…基材、34…滑り止め層、36…中心部、36a…貫通穴、50…回転連結部材、52…回転中心、54…軸部、60…ガイドレール、65…ストッパ、70…固定紐、72…折り返し片、80…エプロンシート、81…シート本体、82…首かけ紐、84…面ファスナー、85a、85b…面ファスナー、86…折り曲げ線、90…面ファスナー部、100…紐、102…ケース、104…ボックス、200…介護用テーブル、202…テーブル、202…テーブル板、205…脚部、210…トレイ、215…食器、220…椅子、MP…保持部。
図1
図2
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図4
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図7
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