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特許7426300コーヒーの抽出用水の製造装置、及びコーヒー抽出システム
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  • 特許-コーヒーの抽出用水の製造装置、及びコーヒー抽出システム 図1
  • 特許-コーヒーの抽出用水の製造装置、及びコーヒー抽出システム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-24
(45)【発行日】2024-02-01
(54)【発明の名称】コーヒーの抽出用水の製造装置、及びコーヒー抽出システム
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/00 20060101AFI20240125BHJP
   A47J 31/057 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
A47J31/00 307
A47J31/057
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020110471
(22)【出願日】2020-06-26
(65)【公開番号】P2022007465
(43)【公開日】2022-01-13
【審査請求日】2023-03-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000004400
【氏名又は名称】オルガノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 道雄
(72)【発明者】
【氏名】廣居 雅史
(72)【発明者】
【氏名】今西 健太
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/089297(WO,A1)
【文献】特開2005-080698(JP,A)
【文献】特開平03-216789(JP,A)
【文献】特開2017-074550(JP,A)
【文献】特表2011-530395(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/00-31/60
C02F 1/42、1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーヒーの抽出に用いる水の製造装置であって、
原水が供給される逆浸透装置と、
前記原水と前記逆浸透装置から排出される透過水と前記逆浸透装置から排出される濃縮水とを任意の混合割合で混合できる混合装置と、
を有する製造装置。
【請求項2】
イオン交換体を有して前記原水が供給される第1の軟水器と、イオン交換体を有して前記濃縮水が供給される第2の軟水器との少なくとも一方をさらに備え、
前記混合装置は、前記原水、前記透過水及び前記濃縮水に加えて前記第1の軟水器及び前記第2の軟水器の少なくとも一方の出口水を任意の混合割合で混合できる、請求項に記載の製造装置。
【請求項3】
前記混合装置の出口水の硬度及び導電率の少なくとも一方を測定するセンサーと、
前記センサーの出力に応じて前記混合装置における混合割合を制御する制御装置と、
をさらに備える、請求項またはに記載の製造装置。
【請求項4】
前記混合装置における混合割合を設定するための入力部をさらに備え、
前記制御装置は、前記入力部を介して設定された混合割合となるように前記混合装置を制御する、請求項に記載の製造装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記入力部を介して設定された混合割合と前記混合装置から排出される出口水の量とに応じた課金処理を実行する、請求項に記載の製造装置。
【請求項6】
請求項乃至のいずれか1項に記載の製造装置と、
前記混合装置の出口水が供給されてコーヒーの抽出を行うコーヒー抽出器と、
を有する、コーヒー抽出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーヒー豆を焙煎し粉砕したコーヒー粉からのコーヒーの抽出に関し、特に、コーヒーの抽出に用いる水を製造する装置、及び、コーヒーの風味を調整可能にコーヒーを抽出できるコーヒー抽出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
コーヒーの風味を左右する要因として、コーヒー豆の品種や産地、コーヒー豆の焙煎方法などが知られている。所望の風味のコーヒーを淹れるために、通常はコーヒー豆の種類や焙煎方法が細かく指定される。その一方で、コーヒーを淹れるときに使用される水、すなわちコーヒーの抽出に用いる水については、これまであまり注目されてこなかった。しかしながら近年、同じ種類のコーヒー豆を同じ焙煎方法で焙煎してコーヒーを抽出した場合であっても抽出に使用する水の質が異なると、抽出されたコーヒーの風味が大きく異なることが分かってきた。また、コーヒーの風味の変化は、抽出に用いる水での硬度成分(カルシウム及びマグネシウム)の濃度や導電率と相関が強いことも分かってきた。
【0003】
水質によってコーヒーの風味が異なることは、例えば、全国チェーンの各店舗で同一種類あるいは同一ブランドのコーヒーを提供するときに、店舗ごとに使用する水の硬度などが異なるため店舗間でコーヒーの風味が均一にならない、という問題をもたらす。そこでコーヒーの風味を均一にするために、イオン交換樹脂によって硬度成分を除去する軟水器を導入し、軟水器で処理された水を用いてコーヒーを抽出することも行われている。しかしながら軟水器で処理された水から淹れたコーヒーと未処理の原水で淹れたコーヒーとでは風味が異なることがあり、それを嫌って軟水器を導入しないケースも見られる。イオン交換樹脂を用いる軟水器は、イオン交換樹脂の再生あるいは定期的な交換が必要であり、カフェなどの店舗で運用するにはいさいさか煩雑な作業を必要とする。水質を変化させることによってコーヒーの風味を変化させるものとして特許文献1は、カチオン交換樹脂などからなり水から硬度成分を除去する軟水化手段と、カルシウム化合物あるいはマグネシウム化合物を添加することによって水の硬度を高める硬水化手段とを設け、これらの手段によって硬度を調節した水を用いてコーヒーの抽出を行うコーヒーメーカーを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-276351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
コーヒーの風味を管理するために、イオン交換樹脂を用いる軟水器を用いて硬度成分を除去することや、コーヒー抽出用の水に硬度成分を添加することは知られている。しかしながら、軟水器を用いた場合には適度に硬度成分を有する水を得ることが難しく、硬度成分を添加する方法では、添加材の補充が必要であるとともに、添加材の衛生管理や保管が非常に煩雑になるという課題がある。原水の水質の差によらずに均一な風味のコーヒーを提供するためには、水質の変化を抑制することが必要である。その一方で、水質の差に起因するさまざまなコーヒーの風味を楽しみたいという要望もある。
【0006】
本発明の目的は、原水の水質の変化によらずに均一な風味のコーヒーを提供できるとともに意図的にコーヒーの風味を変化させることができるコーヒーの風味調整方法及び抽出方法を実行するために用いられるコーヒー抽出用水の製造装置及びコーヒー抽出システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のコーヒー抽出用水の製造装置は、原水が供給される逆浸透装置と、原水と逆浸透装置から排出される透過水と逆浸透装置から排出される濃縮水とを任意の混合割合で混合できる混合装置と、を有する。
【0010】
本発明のコーヒー抽出システムは、本発明の製造装置と、製造装置内の混合装置の出口水が供給されてコーヒーの抽出を行うコーヒー抽出器と、を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、原水の水質の変化によらずに均一な風味のコーヒーを提供できるとともに意図的にコーヒーの風味を変化させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】コーヒー抽出用の水の製造方法を説明する図である。
図2】本発明の実施の一形態のコーヒー抽出システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して説明する。図1は、本発明に基づくコーヒー抽出用の水の製造方法を説明する図である。ここ示す製造方法では、水道水などの供給水を活性炭装置11によって処理して原水とし、原水から硬度及び導電率が調整された水を生成する。生成された水は、コーヒー抽出器20に供給されてコーヒーの抽出に用いられる。活性炭装置11は、供給水に含まれる遊離塩素を除去するだけでなく、フミン質などの臭気物質も吸着除去する。十分に水質がよく、遊離塩素を含まない供給水を利用できる場合は、活性炭装置11を設けることなく、供給水をそのまま原水として用いることが可能である。図では、活性炭装置11の出口水すなわち原水は、「活性炭処理水」と表わされている。コーヒー抽出器20としては、例えば、供給された水を加熱してコーヒー粉を通水させることによってコーヒーを抽出してカップなど容器に入れるドリップ方式のコーヒーメーカーなどが使用される。
【0014】
活性炭処理水の一部は、軟水器12及び逆浸透(RO;reverse osmosis)装置13に供給される。軟水器12は、Na型に調整されたカチオン交換樹脂を備えるものであって活性炭処理水中の硬度成分を除去する。軟水器12の出口水は、硬度がほぼ0であり、活性炭処理水と同程度の導電率を有する。図では、軟水器12の出口水は、「原水軟水」と表されている。逆浸透装置13は、内部に逆浸透膜14が設けられており、逆浸透膜14を透過してイオン性物質が除去されている透過水と、逆浸透膜14を透過せずにイオン性物質が濃縮している濃縮水とを排出する。透過水では硬度成分も含めてイオン性物質が除去されているので、透過水の導電率は0に近く、硬度もほぼ0である。図では、逆浸透装置13の透過水は、「純水」と表されている。一方、濃縮水は、供給された活性炭処理水よりもイオン性物質を多く含むので、活性体処理水すなわち原水よりも硬度と導電率の両方が高い。図では、逆浸透装置13の濃縮水は、「原水濃縮水」と表されている。本発明では、逆浸透装置13として、例えば塩阻止率が90%を超えるような逆浸透膜14を備えるものだけでなく、塩阻止率がそれよりも落ちるナノフィルター膜と呼ばれる膜を備えるものを用いることができる。すなわち逆浸透装置13として、ナノフィルター装置を用いてもよい。ナノフィルター装置を用いる場合には、その透過水である純水には若干の硬度成分が含まれ、また導電率も若干高くなる。
【0015】
原水濃縮水の一部は軟水器15に供給される。軟水器15もNa型に調整されたカチオン交換樹脂を備えており、原水濃縮水中の硬度成分を除去する。硬度成分以外のイオン性物質は除去されないから、軟水器15の出口水の導電率は活性炭処理水よりも高く、硬度はほぼ0である。図では、軟水器15の出口水は、「濃縮水軟水」と表されている。図1に示したものでは、供給水から活性炭処理水(原水)、原水軟水、純水、原水濃縮水及び濃縮水軟水の5種類の水が得られている。これらの水は、それぞれ、硬度及び導電率が異なっており、これらの水を混合することによって、所望の硬度と所望の導電率とを有する混合水を得ることできる。硬度と導電率とがそれぞれ一定となるようにした混合水をコーヒー抽出器20に供給し、その混合水を用いて所定の種類のコーヒーの抽出を行えば、供給水の水質によらずに風味が均一なコーヒーを得ることができる。その逆に、混合割合を変えることによって混合水の硬度と導電率とを変化させ、その混合水を用いてコーヒーの抽出を行えば、コーヒー豆や焙煎方法が同じであっても異なる風味でコーヒーを味わうことが可能になる。
【0016】
コーヒー抽出に用いる水の硬度と導電率とによって、抽出されるコーヒーの風味(ここでは、酸味、塩味及び苦味の3種類)が表1に示すように変化することが確認されている。表1に示す結果は官能試験によるものであるが、市販の味覚センサーを用いてもコーヒーの風味の違いを確認することができる。使用できる味覚センサーとしては、例えば、インテリジェントセンサーテクノロジー社製の型式:TS-5000Zが挙げられる。
【0017】
【表1】
【0018】
図1に示した例では、軟水器11,15の少なくとも一方を設けなくても、混合水における硬度及び導電率の基本的な調整を行うことができる。軟水器12,15におけるカチオン交換樹脂の再生や交換の労力を省きたいときは、逆浸透装置13だけを設け、活性炭処理水、純水及び原水濃縮水の混合割合を制御して均一な風味のコーヒーを得たり、所望の風味の変化を有するコーヒーを得たりすることができる。また、原水濃縮水は活性炭処理水すなわち原水よりも硬度及び導電率が高く、濃縮水軟水は硬度がほぼ0であるが導電率が活性炭処理水よりも高いので、原水濃縮水及び濃縮水軟水の少なくとも一方を含む水においては、硬度や導電率を高くするための添加材を用いることなく活性炭処理水よりも硬度及び導電率の少なくとも一方を高くすることができる。原水濃縮水及び濃縮水軟水の少なくとも一方を含む水を用いることにより、手軽に、硬度や導電率が高い水で抽出されたコーヒーを味わうことができるようになる。
【0019】
以下、どのように水を混合することによって、あるいはどの水を単独で使用することによって、どのような硬度と導電率とを有する水を得ることができるかについて、具体的に説明する。ここでは、活性炭処理水(原水)の水質は、硬度が50mg-CaCO3mg/L、導電率が250μS/cmであるものとする。また、逆浸透装置13における流量比が透過水:濃縮水=50:50であるものとする。このとき、原水軟水の硬度はほぼ0mg-CaCO3mg/Lであって導電率はほぼ250μS/cmである。原水濃縮水の硬度は100-CaCO3mg/Lであって導電率は例えば500μS/cmであり、濃縮水軟水の硬度はほぼ0-CaCO3mg/Lであって導電率はほぼ500μS/cmである。表1は、水の配合によってどのような硬度とどのような導電率を有する水が得られるかを示している。表中、[1]は活性炭処理水(原水)を示し、[2]は原水軟水を示し、[3]は純水(逆浸透膜透過水)を示し、[4]は原水濃縮水を示し、[5]は濃縮水軟水を示している。また、『[A]+[B]』の記載は、[A]の水と[B]の水とを混合することを示している。
【0020】
【表2】
【0021】
表2から、硬度がほぼ0mg-CaCO3mg/Lであって、導電率がほぼ0μS/cmの水を得るためには、[3]の純水のみを用いればよいことが分かる。硬度が0mg-CaCO3mg/Lを超えて50mg-CaCO3mg/Lまでであって、導電率が0μS/cmを超えて250μS/mまでの水を得るためには、[1]の活性炭処理水と[2]の原水軟水とを混合するか、[1]の活性炭処理水と[3]の純水とを混合すればよいことが分かる。なおここに示した例では、軟水器12,15によって処理された水(原水軟水及び濃縮水軟水)以外の水もブレンドしてコーヒー抽出用の水とすることにより、軟水器で処理された水のみを用いてコーヒー抽出用の水とする場合に比べ、軟水器における硬度成分の吸着負荷を軽減できて、軟水器のイオン交換樹脂の再生寿命または交換寿命を長くすることができる。
【0022】
図2は、抽出されるコーヒーの風味を均一に保ち、また所望に応じて風味を変化させることができる、本発明の実施の一形態のコーヒー抽出システムを示している。このコーヒー抽出システムは、上述した方法によってコーヒーの抽出に用いられる水を製造する抽出用水製造装置10と、抽出用水製造装置10で製造された水が供給されてコーヒーの抽出を行うコーヒー抽出器20とを備えている。コーヒー抽出器20は、例えばドリップ式のコーヒーメーカーであり、利用者のボタン操作などによって自動的にコーヒーを抽出してカップなどの容器に注ぐ、セルフサービス型の機械であることが好ましい。
【0023】
抽出用水製造装置10では、図1に示したものと同様に活性炭装置11、軟水器12,15及び逆浸透装置13が設けられており、供給水から活性炭処理水、原水軟水、純水、原水濃縮水及び濃縮水軟水が生成する。さらに抽出用水製造装置10は、活性炭処理水、原水軟水、純水、原水濃縮水及び濃縮水軟水を任意割合で混合するための混合装置30と、制御装置40とを備えている。混合装置30は、活性炭処理水、原水軟水、純水、原水濃縮水及び濃縮水軟水の各配管ごとに設けられて開度を0%から100%までの間で設定可能な電磁弁31を備えており、これらの電磁弁31の出口は接続配管32に共通に接続している。接続配管32は混合装置30の出口水の配管であってその先端はコーヒー抽出器20に接続する。したがって、混合装置30は、混合装置30の出口水における活性炭処理水、原水軟水、純水、原水濃縮水及び濃縮水軟水の各々の含有率を、含有率が0%となる場合も含めて変化させることができる。接続配管32には、混合装置30の出口水の硬度及び導電率をそれぞれ計測する硬度計41及び導電率計42が接続している。硬度計41及び導電率計42も抽出用水製造装置10を構成する。
【0024】
制御装置40は、混合装置30における活性炭処理水、原水軟水、純水、原水濃縮水及び濃縮水軟水の混合割合を制御するものであり、具体的には混合装置30内の各電磁弁31の開閉とそれらの電磁弁31の開度とを制御する。制御装置40の内部には、供給水あるいは原水の水質が標準的なものであるとして、活性炭処理水、原水軟水、純水、原水濃縮水及び濃縮水軟水の混合割合をいくつかのパターンとして記述したテーブルが設けられている。各パターンは、コーヒーの風味をどのように変化させるかに対応する。例えば、原水を用いた場合に比べて苦味と塩味を強めた風味とするためのパターンでは、硬度と導電率の両方が高くなるような混合割合が設定されている。そして制御装置40は、選択されたパターンに応じて混合装置30を制御する。
【0025】
パターンに規定されている混合割合は、供給水あるいは原水の水質が標準的なものであるとしたときのものであるので、混合装置30での混合割合が固定されていると、供給水あるいは原水の水質変動があった場合に、混合装置30の出口水の性状も変化する。原水側の水質変動によらずに出口水の性状が変化しないようにするため、各パターンにはそのパターンに対応した硬度及び導電率の値が管理目標として定められており、制御装置40は、硬度計41で測定された硬度と導電率計42で測定された導電率とが管理目標である硬度と導電率とに一致するように、混合装置30での実際の混合割合を変化させる。制御装置40がこのような制御を行うことにより、供給水や原水の水質変動にも関わらずに同一種類のコーヒーに関して均一な風味のコーヒーを提供することが可能になるとともに、意図的にコーヒーの風味を変化させる場合においても、意図した通りに風味が変化したコーヒーを得ることが可能になる。
【0026】
さらに抽出用水製造装置10には、混合装置30における混合割合を設定するための、より具体的には制御装置40内のテーブルに記載されているパターンを選択してそのパターンによって制御装置40が混合装置30を制御するようにするための入力部43が設けられていてもよい。入力部43は、例えば、コーヒー抽出器20に近接して配置され、あるいはコーヒー抽出器20の操作パネルに組み込まれ、利用者によるボタン操作によっていずれか1つのパターンが選択されるように設けられる。ボタン操作によってパターンの選択が行われる入力部43を設けた場合、コーヒー抽出器20によってコーヒーを淹れようとする利用者は、その好みに応じて入力部43を操作する。その結果、制御装置40は利用者が選択したパターンで混合装置30を制御し、混合装置30からコーヒー抽出器20に対し、利用者の好みである風味のコーヒーを抽出するのに適した水が供給される。利用者は、自ら選択した風味のコーヒーを味わうことができるようになる。
【0027】
入力部43により混合割合を設定できるようにした場合、制御装置40は、入力部43を介して設定された混合割合と混合装置30から排出される出口水の量とに応じた課金処理を実行してもよい。すなわち、抽出用水製造装置10からコーヒー抽出器20に供給される水の量と性状とに応じて課金処理を実行してもよい。課金処理の例として、コーヒー抽出器20がベンディングマシン(自動販売機)形式のものである場合、1杯分のコーヒーの抽出に要する水の量は一定であるとして、利用者が特別の風味のコーヒーを要求してパターンを選択した場合には、制御装置40は、通常のコーヒー代金のほかに追加料金を課すような処理をコーヒー抽出器20と協働して行うことができる。
【符号の説明】
【0028】
10 抽出用水製造装置
11 活性炭装置
12,15 軟水器
13 逆浸透装置
14 逆浸透膜
20 コーヒー抽出器
30 混合装置
31 電磁弁
32 接続配管
40 制御装置
41 硬度計
42 導電率計
43 入力部
図1
図2