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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-24
(45)【発行日】2024-02-01
(54)【発明の名称】貯留システム
(51)【国際特許分類】
   E03F 1/00 20060101AFI20240125BHJP
【FI】
E03F1/00 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020112207
(22)【出願日】2020-06-30
(65)【公開番号】P2022011216
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2023-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(73)【特許権者】
【識別番号】000150110
【氏名又は名称】株式会社竹中土木
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】古川 靖英
(72)【発明者】
【氏名】向井 一洋
(72)【発明者】
【氏名】蓑茂 雄二郎
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康平
(72)【発明者】
【氏名】三輪 隆
(72)【発明者】
【氏名】田邉 康太
(72)【発明者】
【氏名】菅沼 優巳
【審査官】五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-032703(JP,A)
【文献】特開2017-094303(JP,A)
【文献】特開平03-233800(JP,A)
【文献】特開2010-131496(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03F 1/00-11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
雨水を貯留するための貯留システムであって、
地表面に形成され、且つ上端が開放状である溝部であって、当該溝部内で前記雨水を貯留可能な溝部と、
前記溝部の底部分から下方に設けられた貯留槽であって、鉛直方向に少なくとも1つ以上積層された貯留槽と、
前記溝部に連通された排水手段であって、前記溝部に貯留された前記雨水の余剰分を外部に排出させるための排水手段と、を備え、
前記排水手段は、
前記溝部に貯留された前記雨水の余剰分を取り入れるための第1排水管と、
前記第1排水管と連通された第2排水管と、
前記第2排水管と連通された第3排水管であり、前記第2排水管を介して前記第1排水管から送られた前記雨水を外部設備に送るための第3排水管と、を備え、
前記第1排水管を、前記溝部内において前記貯留槽の上面よりも上方に配置した、
貯留システム。
【請求項2】
前記第1排水管を、前記溝部の貯留上限量に対応する高さ位置と略同一の位置に配置した、
請求項1に記載の貯留システム。
【請求項3】
前記溝部の深さを、前記貯留槽の透水係数に応じた深さとした、
請求項1又は2に記載の貯留システム。
【請求項4】
前記少なくとも1つ以上積層された貯留槽は、
第1貯留槽と、
前記溝部の底部分と前記第1貯留槽との相互間において前記第1貯留槽の上方に設けられた第2貯留槽であって、前記第1貯留槽の浸透性よりも低い浸透性を有する第2貯留槽と、を含む、
請求項1から3のいずれか一項に記載の貯留システム。
【請求項5】
前記溝部の水位を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果に基づいて、前記溝部の水位が閾値以上である旨を報知するための報知手段と、を備える、
請求項1から4のいずれか一項に記載の貯留システム。
【請求項6】
当該貯留システムを、ため池又は調整池の近傍に設けた、
請求項1から5のいずれか一項に記載の貯留システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯留システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、雨水を貯留するためのシステムの一つとして、集水枡へと送水される水を、当該水が集水枡に至る前段階において貯留して浄化する貯留槽を備えるシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-094303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記従来のシステムにおいては、上述したように、貯留槽を備えるものの、例えば、当該システムの雨水の貯留量を高めようとした場合に、貯留槽のサイズを拡張しなければならないので、当該システムの設置コストが課題になるおそれがあることから、システムの設置コストを抑制しながら貯留量を高める観点からは改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、設置コストを抑制しながら貯留量を高めることが可能となる、貯留システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の貯留システムは、雨水を貯留するための貯留システムであって、地表面に形成され、且つ上端が開放状である溝部であって、当該溝部内で前記雨水を貯留可能な溝部と、前記溝部の底部分から下方に設けられた貯留槽であって、鉛直方向に少なくとも1つ以上積層された貯留槽と、前記溝部に連通された排水手段であって、前記溝部に貯留された前記雨水の余剰分を外部に排出させるための排水手段と、を備え、前記排水手段は、前記溝部に貯留された前記雨水の余剰分を取り入れるための第1排水管と、前記第1排水管と連通された第2排水管と、前記第2排水管と連通された第3排水管であり、前記第2排水管を介して前記第1排水管から送られた前記雨水を外部設備に送るための第3排水管と、を備え、前記第1排水管を、前記溝部内において前記貯留槽の上面よりも上方に配置した。
【0007】
請求項2に記載の貯留システムは、請求項1に記載の貯留システムにおいて、前記第1排水管を、前記溝部の貯留上限量に対応する高さ位置と略同一の位置に配置した。
【0008】
請求項3に記載の貯留システムは、請求項1又は2に記載の貯留システムにおいて、前記溝部の深さを、前記貯留槽の透水係数に応じた深さとした。
【0009】
請求項4に記載の貯留システムは、請求項1から3のいずれか一項に記載の貯留システムにおいて、前記少なくとも1つ以上積層された貯留槽は、第1貯留槽と、前記溝部の底部分と前記第1貯留槽との相互間において前記第1貯留槽の上方に設けられた第2貯留槽であって、前記第1貯留槽の浸透性よりも低い浸透性を有する第2貯留槽と、を含む。
【0010】
請求項5に記載の貯留システムは、請求項1から4のいずれか一項に記載の貯留システムにおいて、前記溝部の水位を検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に基づいて、前記溝部の水位が閾値以上である旨を報知するための報知手段と、を備える。
【0011】
請求項6に記載の貯留システムは、請求項1から5のいずれか一項に記載の貯留システムにおいて、当該貯留システムを、ため池又は調整池の近傍に設けた。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の貯留システムによれば、地表面に形成され、且つ上端が開放状である溝部であって、当該溝部内で雨水を貯留可能な溝部と、溝部の底部分から下方に設けられた貯留槽であって、鉛直方向に少なくとも1つ以上積層された貯留槽と、を備えるので、溝部及び貯留槽に雨水を貯留でき、従来技術(貯留槽のみを設ける技術)に比べて、貯留システムの設置コストを抑制しながら貯留量を高めることができる。また、溝部のみを設ける場合に比べて、溝部で所望の貯留量を確保しながら、貯留槽で水を通すのに時間を掛けることができ、貯留システムが設けられている領域において豪雨時等のピークカットの効果期間を持続できる。以上のことから、貯留システムの貯留性を高めることができる。
また、溝部に連通された排水手段であって、溝部に貯留された雨水の余剰分を外部に排出させるための排水手段を備えたので、溝部に貯留された雨水の余剰分を排水手段を介して排出でき、貯留システムが設けられている領域の地表面において溝部に貯留された雨水が溢れることを回避しやすくなる。
【0013】
請求項3に記載の貯留システムによれば、溝部の深さを、貯留槽の透水係数に応じた深さとしたので、溝部の深さを貯留槽の透水係数に応じた深さに設定でき、貯留槽の透水性に合致した溝部を構成することができる。
【0014】
請求項4に記載の貯留システムによれば、少なくとも1つ以上積層された貯留槽が、第1貯留槽と、溝部の底部分と第1貯留槽との相互間において第1貯留槽の上方に設けられた第2貯留槽であって、第1貯留槽の浸透性よりも低い浸透性を有する第2貯留槽と、を含むので、第2貯留槽を備えない場合に比べて、第1貯留槽及び第2貯留槽において水を通すのに時間を掛けることができる。よって、貯留システムが設けられている領域において豪雨時等のピークカットの効果期間を持続しやすくなるため、貯留システムの貯留性を高めやすくなる。
【0015】
請求項5に記載の貯留システムによれば、溝部の水位を検出する検出手段と、検出手段の検出結果に基づいて、溝部の水位が閾値以上である旨を報知するための報知手段と、を備えるので、溝部の水位が閾値以上である旨を報知でき、例えば貯留システムの周辺にいる人に対して注意喚起を行うことができる。
【0016】
請求項6に記載の貯留システムによれば、当該貯留システムを、ため池又は調整池の近傍に設けたので、ため池又は調整池が氾濫又は決壊した際に、ため池又は調整池に貯められた水を貯留システムで貯留でき、氾濫又は決壊による水害のリスクを効果的に低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施の形態1に係る設置場所及び貯留システムの概要を示す平面図である。
図2図1のA-A矢視断面図である(一部図示省略)。
図3】実施の形態2に係る貯留システムの概要を示す図であって、図2に対応する領域を示す図である。
図4】実施の形態3に係る貯留システムの概要を示す図であって、図2に対応する領域を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る貯留システムの実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕実施の形態の基本的概念を説明した後、〔II〕実施の形態の具体的内容について説明し、最後に、〔III〕実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0020】
〔I〕実施の形態の基本的概念
まず、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、雨水を貯留するため貯留システムに関する。
【0021】
ここで、「雨水」とは、降雨、雪、みぞれ等の自然現象によって発生した水を意味する。また、「貯留」とは、水を一時的に貯めることを意味する。なお、「貯留」される期間や量は、限定されないものとする。また、貯留システムの適用対象については任意であるが、例えば、各種の構造物(一例として、戸建て住宅、集合住宅、オフィスビル、商業施設、公共施設(道路、ため池、調整池等)、又は駐車場等)の近傍に設けられる緑地帯や休耕地等を含む概念であるが、実施の形態では、ため池又は調整池の近傍に設けられる緑地帯として説明する。
【0022】
〔II〕実施の形態の具体的内容
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
【0023】
〔実施の形態1〕
まず、実施の形態1に係る貯留システムについて説明する。この実施の形態1は、溝部及び貯留槽を備える形態である。
【0024】
(構成-設置場所)
最初に、実施の形態1に係る貯留システム10が設置される設置場所の構成について説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係る設置場所及び貯留システム10の概要を示す平面図である。ここで、図1のX方向を設置場所の地盤1の左右方向(-X方向を地盤1の左方向、+X方向を地盤1の右方向)、図1のY方向を地盤1の前後方向(+Y方向を地盤1の前方向、-Y方向を地盤1の後方向)、後述する図2のZ方向を地盤1の上下方向(+Z方向を地盤1の上方向、-Z方向を地盤1の下方向)と称する。
【0025】
設置場所の地盤1は、構造物(図示省略)が設置される略平坦な地盤であり(又は非平坦な地盤であってもよい)、この地盤1の領域は、具体的には、図1に示すように、概略的に、設置領域2、貯留領域3、及び排水領域4に区分されている。
【0026】
(構成-設置場所-設置領域)
設置領域2は、構造物(具体的には、ため池又は調整池)が設置される領域である。この設置領域2は、地盤1において少なくとも1つ以上設けられており、図1に示すように、平面方向から見て地盤1の略中央部分において1つ配置されている。
【0027】
(構成-設置場所-貯留領域)
貯留領域3は、当該貯留領域3の地表に溜まった雨水又は構造物から溢れた雨水を貯留するための貯留システム10が設置される領域である。この貯留領域3は、地盤1における設置領域2の近傍に少なくとも1つ以上設けられており、具体的には、図1に示すように、平面方向から見て設置領域2の周囲を囲繞するように複数配置されている。
【0028】
(構成-設置場所-排水領域)
排水領域4は、排水設備4aが設置される領域である。この排水領域4は、地盤1における貯留領域3の近傍に少なくとも1つ以上設けられており、図1に示すように、平面方向から見て貯留領域3よりも設置領域2から離れた位置に複数設けられている。
【0029】
ここで、「排水設備4a」の具体的な種類については任意であるが、例えば、地盤1に浸透した雨水を排水桝に送るための図示しない排水路(一例として、公知の浸透トレンチ等)、排水路にて送られた雨水を集水する図示しない排水桝(一例として、公知の浸透桝)、排水路から送られた雨水を一時的に貯留する図示しない貯留設備(一例として、公知の地下貯留槽)等が該当する。
【0030】
(構成-貯留システム)
次に、実施の形態1に係る貯留システム10の構成について説明する。図2は、図1のA-A矢視断面図である(一部図示省略)。
【0031】
この貯留システム10は、図1図2に示すように、貯留領域3を掘削して形成された凹部3a内に設けられており、溝部20、貯留槽30、及び排水部40を備えている。
【0032】
ここで、凹部3aの具体的な形状及び大きさについては任意であるが、実施の形態1では以下の通りに設定している。
【0033】
すなわち、図2に示す凹部3aのY-Z平面に沿った断面形状については、矩形状に設定している。ただし、これに限らず、例えば、台形状、半円形状、半楕円形状等に設定してもよい。
【0034】
また、凹部3aの左右方向の長さについては、貯留領域3の左右方向の長さと略同一に設定しており(又は、貯留領域3の左右方向の長さよりも短く設定してもよい)、凹部3aの前後方向の長さについては、貯留領域3の前後方向の長さと略同一に設定しており(又は、貯留領域3の前後方向の長さよりも短く設定してもよい)、凹部3aの上下方向の長さについては、貯留領域3の難透水層3bの上下方向の長さと略同一に設定している(又は、難透水層3bの上下方向の長さよりも短く設定してもよい)。
【0035】
なお、「難透水層3b」とは、粘性土や固結岩盤等によって形成され、透水層3cに比べて透水性が劣る地層を意味する。また、「透水層3c」とは、難透水層3bよりも下方に位置しており、地下水によって飽和している地層を意味する。
【0036】
(構成-貯留システム-溝部)
溝部20は、貯留システム10の基本構造体の一部であって、当該溝部20内において雨水を貯留可能なものである。この溝部20は、貯留領域3の地表面に形成されており、具体的には、図2に示すように、凹部3a内の上方側に配置されている。
【0037】
また、溝部20の具体的な構成については任意であるが、実施の形態1では以下の通りに構成されている。
【0038】
すなわち、図2に示すように、溝部20のY-Z平面に沿った断面形状については、略矩形状に設定している。ただし、これに限らず、例えば、略台形状、略半円形状、又は略半楕円形状等に設定してもよい。
【0039】
また、溝部20の左右方向の長さについては、凹部3aの左右方向の長さと略同一に設定しており、溝部20の前後方向の長さについては、凹部3aの前後方向の長さと略同一に設定している。
【0040】
また、溝部20の上下方向の長さ(深さ)については、凹部3aの上下方向の長さよりも短く設定している。具体的には、貯留槽30の透水係数に応じた長さ(深さ)に設定している。より具体的には、貯留槽30の透水係数が閾値よりも高い場合には、基準長さよりも短く(浅く)設定し、貯留槽30の透水係数が閾値よりも低い場合には基準長さよりも長く(深く)設定している。なお、一例として、後述する貯留槽30の構成である場合には、貯留槽30の透水係数の大きさに関わらず、少なくとも30cm以上の長さに設定してもよい。このような設定により、溝部20の深さを貯留槽30の透水係数に応じた深さに設定でき、貯留槽30の透水性に合致した溝部20を構成することができる。
【0041】
また、溝部20の設置方法については、溝部20の上端が開放状となるように設置しており、具体的には、図2に示すように、凹部3aの上端に蓋部を設けることなく、凹部3aの上端から貯留槽30の上端に至るように設置している。
【0042】
(構成-貯留システム-貯留槽)
貯留槽30は、貯留システム10の基本構造体の他の一部であって、雨水を貯留するためのものである。この貯留槽30は、溝部20の底部分から下方に設けられていると共に、鉛直方向に少なくとも1つ以上積層されており、具体的には、図2に示すように、凹部3a内の下方側において1つ設けられている。
【0043】
また、この貯留槽30の具体的な構成については任意であるが、実施の形態1では以下の通りに構成されている。
【0044】
すなわち、図2に示すように、貯留槽30のY-Z平面に沿った断面形状については、略矩形状に設定している。ただし、これに限らず、例えば、略台形状、略半円形状、又は略半楕円形状等に設定してもよい。
【0045】
また、貯留槽30の左右方向の長さについては、凹部3aの左右方向の長さと略同一に設定しており、貯留槽30の前後方向の長さについては、凹部3aの前後方向の長さと略同一に設定しており、貯留槽30の上下方向の長さについては、凹部3aの上下方向の長さよりも短く設定している。
【0046】
また、貯留槽30の設置方法については、図2に示すように、溝部20の底部分から凹部3aの底部分に至るように設置している。
【0047】
また、貯留槽30のその他の構成については、浄化性及び意匠性を高める観点から、図2に示すように、下部層31、中間層32、及び上部層33を備えている。
【0048】
(構成-貯留システム-貯留槽-下部層)
下部層31は、貯留槽30の基本構造体の一部であり、例えば所定の径を有する砂利、礫、又はぐり石等を用いて構成されており、図2に示すように、凹部3aの底部分全体にわたって敷設されている。
【0049】
(構成-貯留システム-貯留槽-中間層)
中間層32は、貯留槽30の基本構造体の他の一部であり、例えば下部層31の砂利等の径よりも大きい径を有する砂、砂利、礫、又は土壌を用いて構成されており、図2に示すように、下部層31の上面全体にわたって敷設されている。
【0050】
(構成-貯留システム-貯留槽-上部層)
上部層33は、貯留槽30の基本構造体の他の一部であり、例えば中間層32の砂等の径よりも大きい径を有する土壌であって、植物Pが植栽可能な土壌(一例として、礫等を含む自然土壌等)又は砂利を用いて構成されており、図2に示すように、中間層32の上面全体にわたって敷設されている。
【0051】
このような貯留槽30の構成により、貯留槽30が比較的高い浄化性と設置環境になじみやすい意匠性とを有することができ、貯留槽30の使用性及び設置性を高めることができる。また、溝部20に雨水が貯留されていない場合には、上部層33に太陽光が照射されるので、上部層33において植物Pを植栽しやすくなることから、貯留システム10の意匠性が設置領域2の意匠性となじみやすく、且つ生物多様性保全を図ることができる。
【0052】
(構成-貯留システム-貯留槽-排水部)
排水部40は、溝部20に貯留された雨水の余剰分を外部に排出させるための排水手段である。ここで、「溝部20に貯留された雨水の余剰分」とは、溝部20に貯留された雨水のうち、溝部20の貯留上限量を超えた部分(量)を意味する。
【0053】
この排水部40は、図2に示すように、当該排水部40の一部が溝部20に連通されていると共に、当該排水部40の他の一部が排水領域4に埋設されており、第1排水管41、第2排水管42、及び第3排水管43を備えている。
【0054】
(構成-貯留システム-貯留槽-排水部-第1排水管)
第1排水管41は、溝部20に貯留された雨水の余剰分を取り入れて第2排水管42に送るための管である。この第1排水管41は、例えば公知のオーバーフロー管等を用いて構成されており、図2に示すように、溝部20内に設けられており、具体的には、溝部20の貯留上限量に対応する高さ位置と略同一の位置に配置されている。
【0055】
(構成-貯留システム-貯留槽-排水部-第2排水管)
第2排水管42は、第1排水管41から送られた雨水を第3排水管43に送るための管である。この第2排水管42は、例えば公知の無孔管等を用いて構成されており、図2に示すように、当該第2排水管42の少なくとも一部が貯留槽30に埋設され、且つ第1排水管41と連通されており、具体的には、第1排水管41から貯留槽30の下部層31に至るように設けられている。
【0056】
(構成-貯留システム-貯留槽-排水部-第3排水管)
第3排水管43は、第2排水管42から送られた雨水を外部設備(一例として、上記排水設備4a、図示しない他の貯留槽等)に送るための管である。この第3排水管43は、例えば公知の無孔管等を用いて構成されており、図2に示すように、当該第3排水管43の少なくとも一部が貯留槽30に埋設され、且つ第2排水管42及び外部設備と連通されており、具体的には、第2排水管42の下端から外部設備に至るように設けられている。
【0057】
また、排水部40の単位時間当たりの排出量については任意であるが、例えば、貯留槽30の単位時間当たりの雨水の浸透量よりも多く設定してもよい。これにより、豪雨時等において貯留槽30に貯留された雨水が貯留領域3の地表面に溢れることを抑制しやすくなる。ただし、これに限らず、例えば、貯留槽30の単位時間当たりの雨水の浸透量よりも少なく、又は略同一に設定してもよい。
【0058】
このような排水部40の構成により、溝部20に貯留された雨水の余剰分を排水部40を介して排出でき、溝部20に貯留された雨水が貯留領域3の地表面に溢れることを回避しやすくなる。
【0059】
以上のような貯留システム10により、溝部20及び貯留槽30に雨水を貯留でき、従来技術(貯留槽のみを設ける技術)に比べて、貯留システム10の設置コストを抑制しながら貯留量を高めることができる。また、溝部20のみを設ける場合に比べて、溝部20で所望の貯留量を確保しながら、貯留槽30で水を通すのに時間を掛けることができ、貯留領域3において豪雨時等のピークカットの効果期間を持続できる。以上のことから、貯留システム10の貯留性を高めることができる。また、貯留システム10がため池又は調整池の近傍に設けられているので、ため池又は調整池が氾濫又は決壊した際に、ため池又は調整池に貯められた水を貯留システム10で貯留でき、氾濫又は決壊による水害のリスクを効果的に低減できる。
【0060】
(貯留システムの作用について)
次に、このように構成された貯留システム10の作用について説明する。
【0061】
例えば、まず、雨等によって貯留領域3の地表面に溜まった雨水、又は構造物(具体的には、ため池又は調整池)が氾濫又は決壊することで当該構造物から溢れた雨水は、溝部20に貯留される。
【0062】
ここで、溝部20の雨水の貯留量が上限量を超えていない場合には、溝部20に貯留された後に、貯留槽30に浸透しながら貯留される。一方で、溝部20の雨水の貯留量が上限量を超えた場合には、当該雨水の余剰分が排水部40によって外部(具体的には、外部設備)に排出されるので、当該雨水が貯留領域3の地表面に溢れることを回避しやすくなる。
【0063】
そして、貯留槽30に貯留された雨水は、貯留領域3の透水層3cに浸透するように下方に移動する。
【0064】
以上のような作用により、溝部20又は貯留槽30において上記雨水を貯留しながら、当該雨水が貯留領域3の地表面に溢れないように、当該雨水を貯留領域3の透水層3cに排水できることから、貯留領域3において豪雨時等のピークカットの効果期間を持続できる。
【0065】
(貯留システムの施工方法)
続いて、貯留システム10の施工方法について説明する。実施の形態1に係る貯留システム10の施工方法は、形成工程、第1設置工程、第2設置工程、及び植栽工程を含んでいる。
【0066】
(貯留システムの施工方法-形成工程)
まず、形成工程について説明する。形成工程は、貯留領域3に凹部3aを形成する工程である。
【0067】
具体的には、公知の掘削器具等を用いて、貯留領域3を掘削することにより、形成する。
【0068】
(貯留システムの施工方法-第1設置工程)
次に、第1設置工程について説明する。第1設置工程は、形成工程の後に、形成工程にて形成された凹部3a内に、排水部40を設置する工程である。
【0069】
具体的には、凹部3a内において、排水部40を所定位置に設け、その後排水部40の第3排水管43と外部設備とを連通するように接続する。
【0070】
(貯留システムの施工方法-第2設置工程)
次に、第2設置工程について説明する。第2設置工程は、第1設置工程の後に、形成工程にて形成された凹部3a内に貯留槽30及び溝部20を設置する工程である。
【0071】
具体的には、まず、所定量の砂利等を凹部3aに投入し、その後公知のならし器具を用いて当該投入した砂利等をならした後に転圧することにより、下部層31を凹部3aの底部分全体にわたって敷設する。次に、所定量の砂等を凹部3aにさらに投入し、次いで転圧器具を用いて当該投入した砂等を締め固め、その後上記ならし器具を用いて当該締め固めた砂等の表面をならすことにより、中間層32を下部層31の上面全体にわたって敷設する。その後、所定量の土壌等を投入し、その後上記ならし器具を用いて当該投入した土壌等をならすことにより、上部層33を中間層32の上面全体にわたって敷設する。これにより、凹部3a内に貯留槽30及び溝部20が同時に設置されると共に、排水部40の一部(第2排水管42及び第3排水管43)が貯留槽30に埋設される。
【0072】
(貯留システムの施工方法-植栽工程)
続いて、植栽工程について説明する。植栽工程は、設置工程の後に、植物Pを植栽する工程である。
【0073】
具体的には、設置工程にて設置された上部層33に植物Pを植栽する。これにて、貯留システム10の施工が終了する。
【0074】
以上のような施工方法により、特殊な方法を用いることなく、図2の貯留システム10を施工でき、貯留システム10の施工性を高めることができる。
【0075】
(実施の形態1の効果)
このように実施の形態1によれば、地表面に形成され、且つ上端が開放状である溝部20であって、当該溝部20内で雨水を貯留可能な溝部20と、溝部20の底部分から下方に設けられた貯留槽30であって、鉛直方向に少なくとも1つ以上積層された貯留槽30と、を備えるので、溝部20及び貯留槽30に雨水を貯留でき、従来技術(貯留槽のみを設ける技術)に比べて、貯留システム10の設置コストを抑制しながら貯留量を高めることができる。また、溝部20のみを設ける場合に比べて、溝部20で所望の貯留量を確保しながら、貯留槽30で水を通すのに時間を掛けることができ、貯留システム10が設けられている領域において豪雨時等のピークカットの効果期間を持続できる。以上のことから、貯留システム10の貯留性を高めることができる。
【0076】
また、溝部20の深さを、貯留槽30の透水係数に応じた深さとしたので、溝部20の深さを貯留槽30の透水係数に応じた深さに設定でき、貯留槽30の透水性に合致した溝部20を構成することができる。
【0077】
また、溝部20に連通された排水部40であって、溝部20に貯留された雨水の余剰分を外部に排出させるための排水部40を備えたので、溝部20に貯留された雨水の余剰分を排水部40を介して排出でき、貯留システム10が設けられている領域の地表面において溝部20に貯留された雨水が溢れることを回避しやすくなる。
【0078】
また、貯留システム10を、ため池又は調整池の近傍に設けたので、ため池又は調整池が氾濫又は決壊した際に、ため池又は調整池に貯められた水を貯留システム10で貯留でき、氾濫又は決壊による水害のリスクを効果的に低減できる。
【0079】
〔実施の形態2〕
次に、実施の形態2に係る貯留システムについて説明する。この実施の形態2は、複数の貯留槽を備える形態である。ただし、この実施の形態2の構成は、特記する場合を除いて、実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたものと同一の符号及び/又は名称を必要に応じて付して、その説明を省略する。
【0080】
(構成-設置場所)
最初に、実施の形態2に係る設置場所の構成について説明する。実施の形態2に係る設置場所の地盤1は、実施の形態1に係る地盤1と同一に構成されている。また、実施の形態2に係る地盤1の領域は、実施の形態1に係る地盤1と同一に区分されている。
【0081】
(構成-貯留システム)
次に、実施の形態2に係る貯留システム100の構成について説明する。図3は、実施の形態2に係る貯留システム100の概要を示す図であって、図2に対応する領域を示す図である。
【0082】
実施の形態2に係る貯留システム100は、図3に示すように、貯留領域3の凹部3a内に設けられており(ただし、排水部40は除く)、溝部20、支持部110、貯留槽120、及び排水部40を備えている。
【0083】
(構成-貯留システム-溝部)
実施の形態2に係る溝部20は、実施の形態1に係る溝部20と略同様に構成されており、図3に示すように、凹部3a内の上方側に配置されている。
【0084】
また、溝部20の上下方向の長さ(深さ)については任意であるが、実施の形態2では、貯留槽120の透水係数(具体的には、後述する第1貯留槽130及び第2貯留槽140の透水係数)に応じた長さ(深さ)に設定している。
【0085】
(構成-貯留システム-支持部)
支持部110は、貯留槽120を支持するための支持手段であり、図3に示すように、貯留槽120よりも下方に埋設されており、支持層111及び不陸調整部112を備えている。
【0086】
(構成-貯留システム-支持部-支持層)
支持層111は、支持部110の基本構造体であり、例えば公知の支持材料(一例として、砕石等)を用いて構成されており、図3に示すように、凹部3aの底部分全体にわたって敷設されている。
【0087】
(構成-貯留システム-支持部-不陸調整部)
不陸調整部112は、支持層111の不陸を調整するための不陸調整手段であり、例えば公知の不陸支持手段(一例として、砂等からなる不陸支持手段)を用いて構成されており、図3に示すように、支持層111の上面全体にわたって敷設されている。
【0088】
(構成-貯留システム-貯留槽)
実施の形態2に係る貯留槽120は、実施の形態1に係る貯留槽30と略同様に、溝部20の底部分から下方に設けられていると共に、鉛直方向に少なくとも1つ以上積層されており、具体的には、図3に示すように、第1貯留槽130及び第2貯留槽140を積層して構成されている(すなわち、上記少なくとも1つ以上積層の貯留槽120は、第1貯留槽130及び第2貯留槽140を含んでいる)。
【0089】
(構成-貯留システム-貯留槽-第1貯留槽)
第1貯留槽130は、積層される貯留槽120の一部であり、溝部20の底部分よりも下方に設けられており、具体的には、図3に示すように、凹部3a内において支持部110よりも上方に埋設されている。
【0090】
また、第1貯留槽130の具体的な構成については任意であるが、実施の形態2では、第1貯留部131を鉛直方向(上下方向)に少なくとも1つ以上積層することにより形成されている。
【0091】
具体的には、図3に示すように、支持部110の不陸調整部112の上面全体にわたって複数の第1貯留部131を鉛直方向に積層して敷設することにより、形成されており、より具体的には、第1貯留槽130の上下方向の長さが支持部110の上下方向の長さよりも長くなるように、形成されている(ただし、これに限らず、例えば、支持部110の上下方向の長さよりも短く又は略同一になるように、形成されてもよい)。
【0092】
(構成-貯留システム-貯留槽-第1貯留槽-第1貯留部)
ここで、「第1貯留部131」とは、第1貯留槽130の基本構造体であり、実施の形態2では、複数の樹脂ブロック体132(例えば、比較的高い耐久性(具体的には、耐圧性)と後述する第2貯留部141よりも高い貯留性とを有し、且つ相互に接続可能な略籠状の樹脂ブロック体132)を水平方向に並設してなる貯留部である。具体的には、図3に示すように、樹脂ブロック体132を左右方向及び前後方向においてそれぞれ複数並設することにより、形成されている。ただし、これに限らず、例えば、非樹脂製のブロック体(一例として、コンクリート製、金属製、石製等のブロック体)を水平方向に複数並設することにより、形成されてもよい。
【0093】
また、第1貯留部131の積層数の設定方法については、所望量の貯留量が得られる限りに任意に設定でき、実施の形態2では、4つに設定している。ただし、これに限らず、例えば、4つ未満に設定してもよく、あるいは、5つ以上に設定してもよい。
【0094】
(構成-貯留システム-貯留槽-第1貯留槽-その他)
また、第1貯留槽130の設置方法については任意であるが、実施の形態2では、図3に示すように、第1貯留槽130の表面全体を透水シート133(例えば、樹脂製の透水シート133等)で覆うように設置することにより、雨水に含まれる図示しない不要物(例えば、砂、泥、木片等)が少なくとも一部の第1貯留部131に入り込むことによって第1貯留槽130の浸透性が低下することを抑制できる。ただし、これに限らず、例えば、上記透水シート133を省略して、設置してもよい。
【0095】
このような第1貯留槽130の構成により、第1貯留槽130が比較的高い浸透性及び耐久性を有することができ、第1貯留槽130の使用性及び設置性を高めることができる。
【0096】
(構成-貯留システム-貯留槽-第2貯留槽)
第2貯留槽140は、積層される貯留槽120の他の一部であり、溝部20の底部分と第1貯留槽130との相互間において第1貯留槽130の上方に設けられており、具体的には、図3に示すように、凹部3a内において、第2貯留槽140の上面が外部に露出するように設けられている。
【0097】
また、この第2貯留槽140の具体的な構成については、第1貯留槽130の浸透性よりも低い浸透性(具体的には、透水層3cの浸透性よりも低い浸透性等)を有する限り任意に構成することができるが、実施の形態2では、第2貯留部141を鉛直方向に少なくとも1つ以上積層することにより形成されている。
【0098】
具体的には、図3に示すように、第1貯留槽130の上面全体にわたって1つの第2貯留部141を敷設することにより、形成されており、より具体的には、第2貯留槽140の上下方向の長さが第1貯留槽130の上下方向の長さよりも短くなるように、形成されている(ただし、これに限らず、例えば、第1貯留槽130の上下方向の長さよりも長く又は略同一になるように、形成されてもよい)。
【0099】
(構成-貯留システム-貯留槽-第2貯留槽-第2貯留部)
ここで、「第2貯留部141」とは、第2貯留槽140の基本構造体であり、実施の形態2では、砂、砂利、礫、砕石、又は土壌からなる貯留部であり、具体的には、図3に示すように、実施の形態1に係る貯留槽30と略同様に、下部層142、中間層143、及び上部層144を備えて構成されている。ただし、これに限らず、例えば、下部層142、中間層143、又は上部層144のいずれか1つ又は2つのみを備えて構成されてもよい。あるいは、砂からなる貯留部のみを備えて構成されてもよい。
【0100】
また、第2貯留部141の積層数の設定方法については、所望量の貯留量が得られる限りに任意に設定でき、実施の形態2では、上述したように、1つに設定しているが、これに限らず、例えば、2つ以上に設定してもよい。
【0101】
このような第2貯留槽140の構成により、第2貯留槽140が比較的高い浄化性と設置環境になじみやすい意匠性とを有することができ、第2貯留槽140の使用性及び設置性を高めることができる。
【0102】
(構成-貯留システム-排水部)
排水部40は、例えば公知のオーバーフロー管等を用いて構成されており、溝部20の近傍の地中に埋設されている。具体的には、図3に示すように、凹部3aの外部において排水部40の一方の端部が溝部20に連通され、且つ排水部40の他方の端部が外部設備に連通されるように、略水平に配置されている。
【0103】
また、以上のような貯留システム100により、第2貯留槽140を備えない場合に比べて、第1貯留槽130及び第2貯留槽140において水を通すのに時間を掛けることができる。よって、貯留領域3において豪雨時等のピークカットの効果期間を持続しやすくなるため、貯留システム100の貯留性を高めやすくなる。
【0104】
(貯留システムの作用について)
次に、このように構成された貯留システム100の作用について説明する。
【0105】
例えば、まず、雨等によって貯留領域3の地表面に溜まった雨水等は、溝部20に貯留される(なお、溝部20に貯留された雨水の余剰分は、排水部40によって外部に排出される)。
【0106】
次に、溝部20に貯留された雨水は、第2貯留槽140に浸透しながら貯留される。この場合には、上記雨水が第2貯留槽140を通過するのに時間を掛けることができるため、第1貯留槽130の貯留量が直ぐに満杯になることを回避しやすくなる。また、上記通過によって上記雨水を浄化できることから、上記雨水に含まれる不要物が少なくとも一部の第1貯留部131に入り込むことによって第1貯留槽130の浸透性が低下することが抑制される。
【0107】
次いで、第2貯留槽140に貯留された雨水は、第1貯留槽130に浸透しながら貯留される。具体的には、第1貯留槽130の貯留量が閾値を超えていない場合には、上記雨水は第1貯留槽130に貯留され、第1貯留槽130の貯留量が閾値を超えると、第1貯留槽130及び第2貯留槽140にわたって貯留される。
【0108】
そして、第1貯留槽130に貯留された雨水は、支持層111を介して貯留領域3の透水層3cに浸透するように下方に移動する。
【0109】
以上のような作用により、豪雨時等において溝部20、第1貯留槽130、又は第2貯留槽140において雨水を貯留しながら、当該雨水が貯留領域3の地表面に溢れないように、当該雨水を貯留領域3の透水層3cに排水できることから、貯留領域3において豪雨時等のピークカットの効果期間を持続できる。
【0110】
(貯留システムの施工方法)
続いて、貯留システム100の施工方法について説明する。実施の形態2に係る貯留システム100の施工方法は、形成工程、第1設置工程、第2設置工程、第3設置工程、第4設置工程、及び植栽工程を含んでいる。なお、実施の形態2に係る形成工程及び植栽工程は、実施の形態1に係る形成工程及び植栽工程と略同一に行われるので、以下ではその説明を省略する。
【0111】
(貯留システムの施工方法-第1設置工程)
次に、第1設置工程について説明する。第1設置工程は、形成工程の後に、排水部40を設置する工程である。
【0112】
具体的には、溝部20の近傍の地中を掘削し、当該掘削した部分に排水部40を配置し、且つ排水部40と外部設備とを連通するように接続した後に、掘削した土の一部を埋め戻すことにより、設置する。
【0113】
(貯留システムの施工方法-第2設置工程)
次に、第2設置工程について説明する。第2設置工程は、第1設置工程の後に、形成工程にて形成された凹部3a内に支持部110を設置する工程である。
【0114】
具体的には、公知の方法を用いて、支持層111を凹部3aの底部分全体にわたって敷設した後に、不陸調整部112を支持層111の上面全体にわたって敷設することにより、設置する。
【0115】
(貯留システムの施工方法-第3設置工程)
次に、第3設置工程について説明する。第3設置工程は、第2設置工程の後に、形成工程にて形成された凹部3a内に第1貯留槽130を設置する工程である。
【0116】
具体的には、公知の方法を用いて、凹部3aの側壁部分及び支持部110の不陸調整部112の上面にわたって透水シート133を設置し、この不陸調整部112の上面全体にわたって複数の第1貯留部131を鉛直方向に積層して敷設し、その後複数の第1貯留部131の上面を透水シート133で覆うことにより、設置する。
【0117】
なお、複数の第1貯留部131における樹脂ブロック体132については、隣接する樹脂ブロック体132同士を相互に接続することにより、第1貯留槽130に加わる力を効果的に分散できるようにしてもよい。
【0118】
(貯留システムの施工方法-第4設置工程)
次に、第4設置工程について説明する。第4設置工程は、第3設置工程の後に、形成工程にて形成された凹部3a内に第2貯留槽140を設置する工程である。
【0119】
具体的には、まず、所定量の砂利等を凹部3aに投入し、その後公知のならし器具を用いて当該投入した砂利等をならした後に転圧することにより、下部層142を第1貯留槽130の上面全体にわたって敷設する。次に、所定量の砂等を凹部3aにさらに投入し、次いで転圧器具を用いて当該投入した砂等を締め固め、その後上記ならし器具を用いて当該締め固めた砂等の表面をならすことにより、中間層143を下部層142の上面全体にわたって敷設する。その後、所定量の土壌等を投入し、その後上記ならし器具を用いて当該投入した土壌等をならすことにより、上部層144を中間層143の上面全体にわたって敷設する。これにより、凹部3a内に第2貯留槽140及び溝部20が同時に設置されると共に、排水部40と溝部20とが連通される。
【0120】
以上のような施工方法により、特殊な方法を用いることなく、図3の貯留システム100を施工でき、貯留システム100の施工性を高めることができる。
【0121】
(実施の形態2の効果)
このように実施の形態2によれば、少なくとも1つ以上積層された貯留槽120が、第1貯留槽130と、溝部20の底部分と第1貯留槽130との相互間において第1貯留槽130の上方に設けられた第2貯留槽140であって、第1貯留槽130の浸透性よりも低い浸透性を有する第2貯留槽140と、を含むので、第2貯留槽140を備えない場合に比べて、第1貯留槽130及び第2貯留槽140において水を通すのに時間を掛けることができる。よって、貯留システム100が設けられている領域において豪雨時等のピークカットの効果期間を持続しやすくなるため、貯留システム100の貯留性を高めやすくなる。
【0122】
〔実施の形態3〕
次に、実施の形態3に係る貯留システムについて説明する。この実施の形態3は、検出手段及び報知手段を備える形態である。ただし、この実施の形態3の構成は、特記する場合を除いて、実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたものと同一の符号及び/又は名称を必要に応じて付して、その説明を省略する。
【0123】
(構成-設置場所)
最初に、実施の形態3に係る設置場所の構成について説明する。実施の形態3に係る設置場所の地盤1は、実施の形態1に係る地盤1と同一に構成されている。また、実施の形態3に係る地盤1の領域は、実施の形態1に係る地盤1と同一に区分されている。
【0124】
(構成-貯留システム)
次に、実施の形態3に係る貯留システム200の構成について説明する。図4は、実施の形態3に係る貯留システム200の概要を示す図であって、図2に対応する領域を示す図である。
【0125】
実施の形態2に係る貯留システム200は、図4に示すように、貯留領域3の凹部3a内に設けられており(ただし、後述する報知ユニット220を除く)、溝部20、貯留槽30、検出部210、及び報知ユニット220を備えている。
【0126】
(構成-貯留システム-溝部)
実施の形態3に係る溝部20は、実施の形態1に係る溝部20と略同様に構成されており、図4に示すように、凹部3a内の上方側に配置されている。
【0127】
(構成-貯留システム-貯留槽)
実施の形態3に係る貯留槽30は、実施の形態1に係る貯留槽30と略同様に構成されており、図4に示すように、凹部3a内の下方側において1つ設けられている。
【0128】
(構成-貯留システム-検出部)
検出部210は、溝部20の水位を検出する検出手段である。この検出部210は、例えば公知の検出センサ(一例として、水位センサ)等を用いて構成されており、図4に示すように、溝部20内に設けられており、具体的には、溝部20の水位が閾値以上であるか否かを判定可能な位置に配置されている。
【0129】
(構成-貯留システム-報知ユニット)
報知ユニット220は、検出部210の検出結果に基づいて、溝部20の水位が閾値以上である旨を報知するための報知手段である。この報知ユニット220は、例えば公知の報知装置等を用いて構成されており、図4に示すように、溝部20の近傍(具体的には、溝部20の上端の近傍等)に設けられており、通信部(図示省略)、電源部(図示省略)、出力部221、制御部(図示省略)、及び記憶部(図示省略)を備えている。
【0130】
(構成-貯留システム-報知ユニット-通信部)
通信部は、検出部210及び外部装置(例えば、基地局に設けられたサーバ等)の各々との間で通信するための通信手段であり、例えば公知の有線式又は無線式の通信手段を用いて構成されている。
【0131】
(構成-貯留システム-報知ユニット-出力部)
出力部221は、溝部20の水位が閾値以上である旨を示す情報(以下、「報知情報」と称する)を出力する出力手段であり、例えば、報知情報を表示するディスプレイ又は表示灯等の如き公知の表示手段、あるいは音声出力するスピーカ等の如き公知の音声出力手段等を用いて構成されている。この出力部221により出力される音声の具体的な態様は任意であり、必要に応じて生成された合成音声や、予め録音された音声を出力することができる。
【0132】
(構成-貯留システム-報知ユニット-電源部)
電源部は、図示しない商用電源又は電池(例えば、バッテリ等)から供給された電力を、図示しない配線を介して報知ユニット220の各部に供給すると共に、配線230を介して検出部210にも供給する電源手段である。
【0133】
(構成-貯留システム-報知ユニット-制御部)
制御部は、報知ユニット220の各部を制御する制御手段であって、検出部210の検出結果に基づいて報知情報を出力部221によって出力させる制御手段である。この制御部は、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである。
【0134】
(構成-貯留システム-報知ユニット-記憶部)
記憶部は、報知ユニット220の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記憶する記憶手段であり、書き換え可能な記録媒体を用いて構成され、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性記録媒体を用いることができる。
【0135】
また、以上のような貯留システム200により、溝部20の水位が閾値以上である旨を報知でき、例えば貯留システム200の周辺にいる人に対して注意喚起を行うことができる。
【0136】
(貯留システムの作用について)
次に、このように構成された貯留システム200の作用について説明する。
【0137】
例えば、雨等によって貯留領域3の地表面に溜まった雨水等は、実施の形態1に係る貯留システム10の作用と略同様に、まず溝部20に貯留され、次いで貯留槽30に浸透しながら貯留された後、貯留領域3の透水層3cに浸透するように下方に移動する。
【0138】
また、報知ユニット220の制御部によって、検出部210にて検出された溝部20の水位が閾値以上であるか否かが監視(判定)されている。そして、溝部20の水位が閾値以上であると判定されると、報知情報が出力部221によって出力され、又は通信部を介して外部装置に送信されることで、報知情報の報知が行われる。
【0139】
以上のような作用により、実施の形態1に係る貯留システム10と略同様の効果に加えて、上記報知情報の報知によって貯留システム200の周辺にいる人に対して注意喚起を行うことができる。
【0140】
(貯留システムの施工方法)
続いて、貯留システム200の施工方法について説明する。実施の形態3に係る貯留システム200の施工方法は、形成工程、第1設置工程、第2設置工程、第3設置工程、及び植栽工程を含んでいる。なお、実施の形態3に係る形成工程、第1設置工程、第2設置工程、及び植栽工程は、実施の形態1に係る形成工程、第1設置工程、第2設置工程、及び植栽工程と略同一に行われるので、以下ではその説明を省略する。
【0141】
(貯留システムの施工方法-第3設置工程)
第3設置工程は、第2設置工程の後(又は植栽工程の後)に、検出部210及び報知ユニット220を設置する工程である。
【0142】
具体的には、図4に示すように、検出部210を溝部20内に設置すると共に、報知ユニット220を溝部20の近傍に設置する。
【0143】
以上のような施工方法により、特殊な方法を用いることなく、図4の貯留システム200を施工でき、貯留システム200の施工性を高めることができる。
【0144】
(実施の形態3の効果)
このように実施の形態3によれば、溝部20の水位を検出する検出部210と、検出部210の検出結果に基づいて、溝部20の水位が閾値以上である旨を報知するための報知ユニット220と、を備えるので、溝部20の水位が閾値以上である旨を報知でき、例えば貯留システム200の周辺にいる人に対して注意喚起を行うことができる。
【0145】
〔III〕実施の形態に対する変形例
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0146】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【0147】
(形状、数値、構造、時系列について)
実施の形態や図面において例示した構成要素に関して、形状、数値、又は複数の構成要素の構造若しくは時系列の相互関係については、本発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。
【0148】
(設置場所について)
上記実施の形態1から3では、設置場所の地盤1の領域に、設置領域2及び排水領域4が含まれていると説明したが、これに限らず、例えば、設置領域2又は排水領域4の少なくともいずれか一方を省略してもよい。
【0149】
(貯留システムについて)
上記実施の形態2では、貯留システム100が、支持部110を備えていると説明したが、これに限らず、例えば、貯留領域3の透水層3cが所望の支持力を有している場合には、支持部110を省略してもよい。この場合には、上記実施の形態2に係る貯留システム100の施工方法において、第2設置工程を省略できる。
【0150】
(溝部について)
上記実施の形態1から3では、溝部20の深さを、貯留槽の透水係数に応じた深さに設定していると説明したが、これに限らない。例えば、溝部20に貯留された雨水が貯留領域3の地表面に溢れない限り、貯留槽の透水係数に応じた深さよりも深く設定してもよく、あるいは、貯留槽の透水係数に応じた深さよりも浅く設定してもよい。
【0151】
(貯留槽について)
上記実施の形態1から3では、貯留槽の設置数が1つ又は2つであると説明したが、これに限らず、例えば、3つ以上であってもよい。
【0152】
また、上記実施の形態1、3では、貯留槽30が、下部層31、中間層32、及び上部層33を備えていると説明したが、これに限らず、例えば、下部層31、中間層32、又は上部層33のいずれか1つ、又はいずれか2つを省略してもよい。あるいは、下部層31、中間層32、及び上部層33に加えて、保持部を備えてもよい(なお、実施の形態2に係る第2貯留部141についても略同様とする)。あるいは、砂からなる貯留部のみを備えてもよく、又は実施の形態2に係る第1貯留部131の構成と略同様に構成されてもよい。
【0153】
ここで、「保持部」とは、下部層31、中間層32、及び上部層33を保持するための保持手段であり、例えば金属製のメッシュ材からなる籠状体であり、下部層31、中間層32、及び上部層33の表面全体を略覆うように設けられる。これにより、下部層31、中間層32、及び上部層33の状態を保持でき、貯留槽30の耐久性を高めることができる。
【0154】
(第1貯留槽について)
上記実施の形態2では、第1貯留槽130の第1貯留部131が、第2貯留部141よりも高い貯留性を有し、且つ相互に接続可能な略籠状の樹脂ブロック体132を水平方向に並設してなる貯留部であると説明したが、これに限らない。例えば、第2貯留部141よりも低い又は略同一の貯留性を有する籠状の樹脂ブロック体132を水平方向に並設してなる貯留部であってもよい。あるいは、相互に接続不能な略籠状の樹脂ブロック体132又は非籠状の樹脂ブロック体132を水平方向に並設してなる貯留部であってもよい。
【0155】
(第2貯留槽について)
上記実施の形態2では、第2貯留槽140が、第1貯留槽130の浸透性よりも低い浸透性を有し、且つ透水層3cの浸透性よりも低い浸透性を有するように構成されていると説明したが、これに限らない。例えば、第1貯留槽130の浸透性よりも低い浸透性を有し、且つ透水層3cの浸透性よりも高い又は略同一の浸透性を有するように構成されてもよい。
【0156】
(排水部について)
上記実施の形態1、2では、貯留システムが、排水部40を備えていると説明したが、これに限らず、例えば、排水部40を省略してもよい。また、上記実施の形態3では、貯留システム200が、排水部40を備えていないと説明したが、これに限らず、例えば、排水部40を備えてもよい。
【0157】
(支持部について)
上記実施の形態2では、支持部110が、支持層111及び不陸調整部112を備えていると説明したが、これに限らず、例えば、支持層111又は不陸調整部112のいずれか1つを省略してもよい。
【0158】
(貯留システムの施工方法について)
上記実施の形態1から3では、貯留システムの施工方法が、形成工程を含むと説明したが、これに限らない。例えば、貯留領域3に凹部3aが既設されている場合には、形成工程を省略してもよい。
【0159】
(付記)
付記1の貯留システムは、雨水を貯留するための貯留システムであって、地表面に形成され、且つ上端が開放状である溝部であって、当該溝部内で前記雨水を貯留可能な溝部と、前記溝部の底部分から下方に設けられた貯留槽であって、鉛直方向に少なくとも1つ以上積層された貯留槽と、を備える。
【0160】
付記2の貯留システムは、付記1に記載の貯留システムにおいて、前記溝部の深さを、前記貯留槽の透水係数に応じた深さとした。
【0161】
付記3の貯留システムは、付記1又は2に記載の貯留システムにおいて、前記少なくとも1つ以上積層された貯留槽は、第1貯留槽と、前記溝部の底部分と前記第1貯留槽との相互間において前記第1貯留槽の上方に設けられた第2貯留槽であって、前記第1貯留槽の浸透性よりも低い浸透性を有する第2貯留槽と、を含む。
【0162】
付記4の貯留システムは、付記1から3のいずれか一項に記載の貯留システムにおいて、前記溝部に連通された排水手段であって、前記溝部に貯留された前記雨水の余剰分を外部に排出させるための排水手段を備えた。
【0163】
付記5の貯留システムは、付記1から4のいずれか一項に記載の貯留システムにおいて、前記溝部の水位を検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に基づいて、前記溝部の水位が閾値以上である旨を報知するための報知手段と、を備える。
【0164】
付記6の貯留システムは、付記1から5のいずれか一項に記載の貯留システムにおいて、当該貯留システムを、ため池又は調整池の近傍に設けた。
【0165】
(付記の効果)
付記1に記載の貯留システムによれば、地表面に形成され、且つ上端が開放状である溝部であって、当該溝部内で雨水を貯留可能な溝部と、溝部の底部分から下方に設けられた貯留槽であって、鉛直方向に少なくとも1つ以上積層された貯留槽と、を備えるので、溝部及び貯留槽に雨水を貯留でき、従来技術(貯留槽のみを設ける技術)に比べて、貯留システムの設置コストを抑制しながら貯留量を高めることができる。また、溝部のみを設ける場合に比べて、溝部で所望の貯留量を確保しながら、貯留槽で水を通すのに時間を掛けることができ、貯留システムが設けられている領域において豪雨時等のピークカットの効果期間を持続できる。以上のことから、貯留システムの貯留性を高めることができる。
【0166】
付記2に記載の貯留システムによれば、溝部の深さを、貯留槽の透水係数に応じた深さとしたので、溝部の深さを貯留槽の透水係数に応じた深さに設定でき、貯留槽の透水性に合致した溝部を構成することができる。
【0167】
付記3に記載の貯留システムによれば、少なくとも1つ以上積層された貯留槽が、第1貯留槽と、溝部の底部分と第1貯留槽との相互間において第1貯留槽の上方に設けられた第2貯留槽であって、第1貯留槽の浸透性よりも低い浸透性を有する第2貯留槽と、を含むので、第2貯留槽を備えない場合に比べて、第1貯留槽及び第2貯留槽において水を通すのに時間を掛けることができる。よって、貯留システムが設けられている領域において豪雨時等のピークカットの効果期間を持続しやすくなるため、貯留システムの貯留性を高めやすくなる。
【0168】
付記4に記載の貯留システムによれば、溝部に連通された排水手段であって、溝部に貯留された雨水の余剰分を外部に排出させるための排水手段を備えたので、溝部に貯留された雨水の余剰分を排水手段を介して排出でき、貯留システムが設けられている領域の地表面において溝部に貯留された雨水が溢れることを回避しやすくなる。
【0169】
付記5に記載の貯留システムによれば、溝部の水位を検出する検出手段と、検出手段の検出結果に基づいて、溝部の水位が閾値以上である旨を報知するための報知手段と、を備えるので、溝部の水位が閾値以上である旨を報知でき、例えば貯留システムの周辺にいる人に対して注意喚起を行うことができる。
【0170】
付記6に記載の貯留システムによれば、当該貯留システムを、ため池又は調整池の近傍に設けたので、ため池又は調整池が氾濫又は決壊した際に、ため池又は調整池に貯められた水を貯留システムで貯留でき、氾濫又は決壊による水害のリスクを効果的に低減できる。
【符号の説明】
【0171】
1 地盤
2 設置領域
3 貯留領域
3a 凹部
3b 難透水層
3c 透水層
4 排水領域
4a 排水設備
10 貯留システム
20 溝部
30 貯留槽
31 下部層
32 中間層
33 上部層
40 排水部
41 第1排水管
42 第2排水管
43 第3排水管
100 貯留システム
110 支持部
111 支持層
112 不陸調整部
120 貯留槽
130 第1貯留槽
131 第1貯留部
132 樹脂ブロック体
133 透水シート
140 第2貯留槽
141 第2貯留部
142 下部層
143 中間層
144 上部層
200 貯留システム
210 検出部
220 報知ユニット
221 出力部
230 配線
P 植物
図1
図2
図3
図4