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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-24
(45)【発行日】2024-02-01
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/31 20180101AFI20240125BHJP
   F21S 43/14 20180101ALI20240125BHJP
   F21S 43/20 20180101ALI20240125BHJP
   F21W 103/00 20180101ALN20240125BHJP
   F21W 103/35 20180101ALN20240125BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240125BHJP
【FI】
F21S43/31
F21S43/14
F21S43/20
F21W103:00
F21W103:35
F21Y115:10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020126593
(22)【出願日】2020-07-27
(65)【公開番号】P2022023568
(43)【公開日】2022-02-08
【審査請求日】2023-06-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】中元 琢也
【審査官】坂口 達紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-96458(JP,A)
【文献】特開2015-115205(JP,A)
【文献】特開2020-17518(JP,A)
【文献】特開2012-164515(JP,A)
【文献】特開2006-19160(JP,A)
【文献】特開2019-192434(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0160777(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21K 9/00-9/90
F21S 2/00-45/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に隙間を挟んで隣接した状態で配置される第1発光領域と第2発光領域との間の前記隙間を介して視認される第3発光領域を形成する車両用灯具であって、
発光面を有する光源と、
前記発光面が写り込む反射面と、を備え、
前記光源は、前記隙間より後方に、前記発光面を下向きにした状態で配置され、
前記反射面は、前記光源より後方に配置された上端部と、前記上端部と前記隙間との間かつ前記隙間より下方に配置された下端部と、前記上端部と前記下端部との間に配置され、前記隙間に向かって凹の曲面反射面と、を含み、
前記隙間を介して視認される、前記曲面反射面に写り込む前記発光面の像が、視点位置にかかわらず、前記隙間からはみ出ないように前記曲面反射面は構成されている車両用灯具。
【請求項2】
前記第1発光領域は、車両の後端部に配置され、
前記第2発光領域は、前記第1発光領域に対して可動する可動部に配置されている請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記隙間と前記反射面との間には、前記曲面反射面に写り込む前記像が透過する際、当該像が対応する領域が発光する隙間用レンズ部が配置されている請求項1又は2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記隙間用レンズ部は、正面視において、前記隙間より下方に延びている請求項3に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記隙間用レンズ部は、正面視において、前記隙間より上方かつ下方に延びている請求項3に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記曲面反射面は、焦点が前記光源の発光面に位置する放物面形状の反射面であり、
前記隙間を介して視認される、前記曲面反射面に写り込む前記発光面の像が、視点位置にかかわらず、前記隙間からはみ出ないように、前記曲面反射面は、その面形状及び傾きが調整されている請求項1から5のいずれか1項に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関し、特に、視点位置にかかわらず、第1発光領域及び第2発光領域が一体的に(繋がって)発光しているように視認させることができる車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
図5(a)は特許文献1に記載の車両用灯具の横断面図、図5(b)は図5(a)のA1-A1断面図である。
【0003】
図5(a)に示すように、車両の後端部の左右両側に設けられるリアコンビネーションランプ100と車両のトランクリッド等の可動部に設けられるリッドランプ110とを水平方向に隙間120を挟んで隣接して配置した場合(トランクリッドを閉めた状態で)において、リアコンビネーションランプ100を点灯することで形成される第1発光領域a1とリッドランプ110を点灯することで形成される第2発光領域a2との間に暗部(隙間120に対応する暗部)が形成されることなく、第1発光領域a1及び第2発光領域a2が一体的に発光しているように視認させるため、隙間120の後方に発光部130を配置することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。発光部130は、導光部150に入光した光源140からの光が、導光部150の裏面に設けられたレンズカットで内面反射され、導光部150の表面から出光することで発光する。
【0004】
図6(a)は、図5(b)中の位置p1から視認した場合の第1発光領域a1、第2発光領域a2及び第3発光領域a3(発光部130)の位置関係の概略図である。図6(b)は、図5(b)中の位置p2から視認した場合の第1発光領域a1、第2発光領域a2及び第3発光領域a3(発光部130)の位置関係の概略図である。
【0005】
特許文献1においては、位置p1から視認した場合(図5(b)参照)、図6(a)に示すように、第3発光領域a3(発光部130)が隙間120からはみ出ない(ずれない)ため、第1発光領域a1及び第2発光領域a2が一体的(繋がって)に発光しているように視認される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-134326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、本発明者が検討したところ、特許文献1においては、発光部130が隙間120の後方にずれた位置に配置されているため(図5(a)、図5(b)参照)、位置p1より上方の位置p2から視認した場合(図5(b)参照)、図6(b)に示すように、第3発光領域a3(発光部130)が隙間120からはみ出て(ずれて)しまい、第1発光領域a1及び第2発光領域a2が一体的に(繋がって)発光しているように視認されないという課題がある。
【0008】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、視点位置にかかわらず、第1発光領域及び第2発光領域が一体的に(繋がって)発光しているように視認させることができる車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明にかかる車両用灯具は、水平方向に隙間を挟んで隣接した状態で配置される第1発光領域と第2発光領域との間の前記隙間を介して視認される第3発光領域を形成する車両用灯具であって、発光面を有する光源と、前記発光面が写り込む反射面と、を備え、前記光源は、前記隙間より後方に、前記発光面を下向きにした状態で配置され、前記反射面は、前記光源より後方に配置された上端部と、前記上端部と前記隙間との間かつ前記隙間より下方に配置された下端部と、前記上端部と前記下端部との間に配置され、前記隙間に向かって凹の曲面反射面と、を含み、前記隙間を介して視認される、前記曲面反射面に写り込む前記発光面の像が、視点位置にかかわらず、前記隙間からはみ出ないように前記曲面反射面は構成されている。
【0010】
このような構成により、視点位置にかかわらず、第1発光領域及び第2発光領域が一体的に(繋がって)発光しているように視認させることができる車両用灯具を提供することができる。
【0011】
これは、隙間を介して視認される第3発光領域(視点位置に追従して曲面反射面に写り込む光源の発光面の像)が、視点位置にかかわらず、隙間からはみ出ない(ずれない)ように曲面反射面が構成されていることによるものである。
【0012】
上記車両用灯具において、前記第1発光領域は、車両の後端部に配置され、前記第2発光領域は、前記第1発光領域に対して可動する可動部に配置されていてもよい。
【0013】
また、上記車両用灯具において、前記隙間と前記反射面との間には、前記曲面反射面に写り込む前記像が透過する際、当該像が対応する領域が発光する隙間用レンズ部が配置されていてもよい。
【0014】
また、上記車両用灯具において、前記隙間用レンズ部は、正面視において、前記隙間より下方に延びていてもよい。
【0015】
また、上記車両用灯具において、前記隙間用レンズ部は、正面視において、前記隙間より上方かつ下方に延びていてもよい。
【0016】
また、上記車両用灯具において、前記曲面反射面は、焦点が前記光源の発光面に位置する放物面形状の反射面であり、前記隙間を介して視認される、前記曲面反射面に写り込む前記発光面の像が、視点位置にかかわらず、前記隙間からはみ出ないように、前記曲面反射面は、その面形状及び傾きが調整されていてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、視点位置にかかわらず、第1発光領域及び第2発光領域が一体的に(繋がって)発光しているように視認させることができる車両用灯具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】車両用灯具30が搭載された車両Vの後端部の正面図である。
図2】(a)図1中の矢印A方向から見た部分拡大図である(図2(a)中ベース板34省略)。(b)図2(a)のA-A断面図である。
図3】(a)視点位置が正面位置P1の場合の、第1発光領域A1、第2発光領域A2及び第3発光領域A3I1の位置関係の概略図、(b)視点位置が上方位置P2の場合の、第1発光領域A1、第2発光領域A2及び第3発光領域A3I2の位置関係の概略図、(c)視点位置が下方位置P3の場合の、第1発光領域A1、第2発光領域A2及び第3発光領域A3I3の位置関係の概略図である。
図4】変形例の車両用灯具30の縦断面図である。
図5】(a)特許文献1に記載の車両用灯具の横断面図、(b)図5(a)のA1-A1断面図である。
図6】(a)図5(b)中の位置p1から視認した場合の第1発光領域a1、第2発光領域a2及び第3発光領域a3(発光部130)の位置関係の概略図、(b)図5(b)中の位置p2から視認した場合の第1発光領域a1、第2発光領域a2及び第3発光領域a3(発光部130)の位置関係の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態である車両用灯具30について添付図面を参照しながら説明する。各図において対応する構成要素には同一の符号が付され、重複する説明は省略される。
【0020】
図1は車両用灯具30が搭載された車両Vの後端部の正面図である(図1中車両用灯具30省略)。図2(a)は、図1中の矢印A方向から見た部分拡大図である(図2(a)中ベース板34省略)。図2(b)は、図2(a)のA-A断面図である。
【0021】
図1に示すように、自動車等の車両Vの後端部の左右両側には、それぞれ、リアコンビネーションランプ10及びリッドランプ20が配置されている。リッドランプ20は、車両Vの後端部に設けられたトランクリッド等の可動部40(図1参照)に配置されている。以下、説明の便宜のため、図1等に示すように、XYZ軸を定義する。X軸は、車両前後方向に延びている。Y軸は、車幅方向に延びている。Z軸は、鉛直方向に延びている。
【0022】
リアコンビネーションランプ10とリッドランプ20は、可動部40が閉じられた状態で、Y軸方向に隙間S(図1図2(a)参照)を挟んで隣接した状態で配置されている。その際、リアコンビネーションランプ10とリッドランプ20は、それぞれの端部が互いに対向した状態で配置されている。リアコンビネーションランプ10及びリッドランプ20それぞれの互いに対向する端部のZ軸方向に関する高さH(図1参照)は同一である。なお、隙間SのY軸方向に関する幅W2(図2(a)参照)は、例えば、5mm程度である。
【0023】
図2に示すように、リアコンビネーションランプ10とリッドランプ20との間の隙間Sの後方には、車両用灯具30が配置されている。左右両側に搭載されるリアコンビネーションランプ10、リッドランプ20及び車両用灯具30は左右対称の構成であるため、以下、代表して、車両の後端部の右側(車両前方に向かって右側)に搭載されるリアコンビネーションランプ10、リッドランプ20及び車両用灯具30について説明する。
【0024】
リアコンビネーションランプ10、リッドランプ20及び車両用灯具30は、同時に点灯され、例えば、テールランプ、ストップランプとして機能する。リアコンビネーションランプ10及びリッドランプ20を構成する光学系は、目的のランプ機能(例えば、テールランプ、ストップランプ)を実現できればどのような構成であってもよい。例えば、リアコンビネーションランプ10及びリッドランプ20を構成する光学系は、LED等の光源と反射面とを組み合わせた光学系であってもよいし、LED等の光源と導光体(例えば、導光板や導光棒)とを組み合わせた光学系であってもよいし、その他の光学系であってもよい。
【0025】
図1中、符号A1が示すハッチング領域は、リアコンビネーションランプ10を点灯することで形成される第1発光領域(例えば、リアコンビネーションランプ10を構成するアウターレンズ)を表す。以下、第1発光領域A1と記載する。図2中、符号A2が示すハッチング領域は、リッドランプ20を点灯することで形成される第2発光領域(例えば、リッドランプ20を構成するアウターレンズ)を表す。以下、第2発光領域A2と記載する。
【0026】
次に、車両用灯具30について説明する。
【0027】
図2(a)、図2(b)に示すように、車両用灯具30は、光源31と、光源31(発光面31a)が写り込む反射面32と、反射面32で反射された光源31からの光が透過する隙間用レンズ部33と、を備えている。図示しないが、車両用灯具30は、アウターレンズとハウジングとによって構成される灯室内に配置され、ハウジング等に取り付けられている。
【0028】
光源31は、LED等の半導体発光素子である。光源31は、発光面31aを有している。発光面31aは、例えば、1mm角の矩形の発光面である。光源31は、隙間Sより後方かつ隙間Sより上方に、発光面31aを下向きにした状態でベース板34に取り付けられている(図2(b)参照)。その際、図2(a)に示すように、光源31は、発光面31aの互いに対向する一対の辺31b、31cがX軸方向に一致し、かつ、発光面31aの互いに対向する他の一対の辺31d、31eがY軸方向に一致した状態で配置されている)。なお、ベース板34は、例えば、XY平面に対して平行な板状部で、反射面32と一体的に構成されている。ベース板34は、反射面32とは物理的に分離した状態で構成されていてもよい。
【0029】
反射面32は、光源31より後方に配置された上端部32aと、上端部32aと隙間Sとの間かつ隙間Sより下方に配置された下端部32bと、上端部32aと下端部32bとの間に配置され、XZ平面による断面が隙間Sに向かって凹の曲面反射面32cと、を含んでいる。反射面32のY軸方向に関する幅W1(図2(a)参照)は、隙間SのY軸方向に関する幅W2(図2(a)参照)と概ね一致している。反射面32(曲面反射面32c)は、完全な放物面ではなく、放物面状の反射面である。この点は後述する。
【0030】
曲面反射面32cは、隙間S(及び隙間用レンズ部33)を介して視認される、当該曲面反射面32cに写り込む発光面31aの像(例えば、図2(b)中、符号I1~I3が示す像参照。以下、像I1~I3又はこれらを総称して像Iと呼ぶ)が、視点位置にかかわらず、隙間Sからはみ出ない(ずれない)ように構成されている。なお、「隙間Sからはみ出ないように」とは、像Iが隙間Sから全くはみ出ないことを意味するのではなく、後述のように第1発光領域A1及び第2発光領域A2が一体的に(繋がって)発光しているように視認させることができるのであれば、像Iが隙間Sから上下左右方向に多少はみ出てもよいことを意味する。
【0031】
具体的には、曲面反射面32cは、視点位置(例えば、図2(b)中の視点位置P1~P3参照)ごとに、曲面反射面32cに写り込む光源31の発光面31aの像I(例えば、像I1~I3)の上端と隙間Sの上端が一致し(図2(b)中の直線L1~L3参照)、かつ、曲面反射面32cに写り込む光源31の発光面31aの像I(例えば、像I1~I3)の下端と隙間Sの下端が一致する(図2中(b)の直線L4~L6参照)ように、構成されている。その際、視点位置が視点位置P1(車両用灯具30(隙間S)の正面方向の位置。以下、正面位置P1とも呼ぶ)から視点位置P2(正面位置P1より上方の位置。以下、上方位置P2とも呼ぶ)に向かうにつれて、隙間S(及び隙間用レンズ部33)を介して視認される、曲面反射面32cに写り込む発光面31aの像Iの見かけ上の幅が狭くなるように(例えば、像I2の幅LB<像I1の幅LA。図2(b)参照)、曲面反射面32cの面形状及び傾きが調整されている。同様に、視点位置が正面位置P1から視点位置P3(正面位置P1より下方の位置。以下、下方位置P3とも呼ぶ)に向かうにつれて、隙間S(及び隙間用レンズ部33)を介して視認される、曲面反射面32cに写り込む発光面31aの像Iの見かけ上の幅が狭くなるように(例えば、像I3の幅LC<像I1の幅LA。図2(b)参照)、曲面反射面32cの面形状及び傾きが調整されている。
【0032】
曲面反射面32cの具体例について説明する。
【0033】
曲面反射面32cは、基準放物面の面形状及び傾きを調整した放物面状の反射面である。図2(a)、図2(b)に示すように、基準放物面の焦点Fは、発光面31aの中心に位置している。なお、図示しないが、基準放物面の軸は、焦点Fを通り、かつ、X軸方向に延びている。
【0034】
曲面反射面32cの面形状及び傾きは、基準放物面に対して次のように調整されている。以下、図2(b)中の符号32cI1は、曲面反射面32cのうち像I1が写り込む反射領域を表す。以下、第1反射領域32cI1と呼ぶ。同様に、図2(b)中の符号32cI2は、曲面反射面32cのうち像I2が写り込む反射領域を表す。以下、第2反射領域32cI2と呼ぶ。同様に、図2(b)中の符号32cI3は、曲面反射面32cのうち像I3が写り込む反射領域を表す。以下、第3反射領域32cI3と呼ぶ。
【0035】
像I1が写り込む第1反射領域32cI1は、基準放物面である。すなわち、第1反射領域32cI1の焦点は、基準放物面の焦点Fと同一で、発光面31aの中心に位置している。また、第1反射領域32cI1の軸AXI1図2(b)参照)は、基準放物面の軸と同一で、焦点Fを通り、かつ、X軸方向に延びている。
【0036】
上記構成の第1反射領域32cI1で反射された光源31(発光面31a)からの光Ray1(平行光)は、隙間Sを通過する。すなわち、第1反射領域32cI1の上端で反射された光Ray1は隙間Sの上端を通過し(図2(b)中の直線L1参照)、第1反射領域32cI1の下端で反射された光Ray1は隙間Sの下端を通過(図2(b)中の直線L4参照)し、かつ、第1反射領域32cI1の上端と下端との間で反射された光Ray1は隙間Sの上端と下端との間を通過する。
【0037】
一方、像I2が写り込む第2反射領域32cI2は、基準放物面を角度θ1(図2(b)参照)傾けた放物面状の面である。すなわち、第2反射領域32cI2の焦点は、基準放物面の焦点Fと同一で、発光面31aの中心に位置している。また、第2反射領域32cI2の軸AXI2図2(b)参照)は、焦点Fを通り、かつ、X軸に対して斜め上方向(角度θ1方向)に延びている。また、第2反射領域32cI2の面形状は、当該第2反射領域32cI2で反射される反射光が集光し、像I2の幅LBが像I1の幅LAより狭くなるように(直線L3上に第2反射領域32cI2(像I2)の上端及び隙間Sの上端が位置し、かつ、直線L6上に第2反射領域32cI2の下端及び隙間Sの下端が位置するように)、調整されている。その結果、第2反射領域32cI2の面形状は、楕円状反射面に近い形状となる。
【0038】
上記構成の第2反射領域32cI2で反射された光源31(発光面31a)からの光Ray2(平行光)は、隙間Sを通過する。すなわち、第2反射領域32cI2の上端で反射された光Ray2は隙間Sの上端を通過し(図2(b)中の直線L3参照)、第2反射領域32cI2の下端で反射された光Ray2は隙間Sの下端を通過(図2(b)中の直線L6参照)し、かつ、第2反射領域32cI2の上端と下端との間で反射された光Ray2は隙間Sの上端と下端との間を通過する。
【0039】
また、像I3が写り込む第3反射領域32cI3は、基準放物面を角度θ2(図2(b)参照)傾けた放物面状の面である。すなわち、第3反射領域32cI3の焦点は、基準放物面の焦点Fと同一で、発光面31aの中心に位置している。また、第3反射領域32cI3の軸AXI3図2(b)参照)は、焦点Fを通り、かつ、X軸に対して斜め下方向(角度θ2方向)に延びている。また、第3反射領域32cI3の面形状は、当該第3反射領域32cI3で反射される反射光が集光し、像I3の幅LCが像I1の幅LAより狭くなるように(直線L2上に第3反射領域32cI3(像I3)の上端及び隙間Sの上端が位置し、かつ、直線L5上に反射領域32cI3の下端及び隙間Sの下端が位置するように)、調整されている。その結果、第3反射領域32cI3の面形状は、楕円状反射面に近い形状となる。
【0040】
上記構成の第3反射領域32cI3で反射された光源31(発光面31a)からの光Ray3(平行光)は、隙間Sを通過する。すなわち、第3反射領域32cI3の上端で反射された光Ray3は隙間Sの上端を通過し(図2(b)中の直線L2参照)、第3反射領域32cI2の下端で反射された光Ray3は隙間Sの下端を通過(図2(b)中の直線L5参照)し、かつ、第3反射領域32cI3の上端と下端との間で反射された光Ray3は隙間Sの上端と下端との間を通過する。
【0041】
像I1が写り込む第1反射領域32cI1と像I2が写り込む第2反射領域32cI2との間の曲面反射面32cの面形状及び傾きも、上記第2反射領域32cと同様に、調整されている。その結果、曲面反射面32cは、像I1が写り込む第1反射領域32cI1から像I2が写り込む第2反射領域32cI2に向かうに従って傾きが徐変している(角度θ1が徐々に大きくなっている)。また、像I1が写り込む第1反射領域32cI1と像I3が写り込む第3反射領域32cI3との間の曲面反射面32cの面形状及び傾きも、上記第3反射領域32cI3と同様に、調整されている。その結果、曲面反射面32cは、像I1が写り込む第1反射領域32cI1から像I3が写り込む第3反射領域32cI3に向かうに従って傾きが徐変している(角度θ2が徐々に大きくなっている)。
【0042】
像I1は、視点位置P1から隙間S(及び隙間用レンズ部33)を介して視認される、曲面反射面32cに写り込む発光面31aの像を表す。同様に、像I2は、視点位置P2から隙間S(及び隙間用レンズ部33)を介して視認される、曲面反射面32cに写り込む発光面31aの像を表す。像I3は、視点位置P3から隙間S(及び隙間用レンズ部33)を介して視認される、曲面反射面32cに写り込む発光面31aの像を表す。なお、図示しないが、視点位置P1と視点位置P2との間のいずれかの視点位置、視点位置P1と視点位置P3との間のいずれかの視点位置からも、視点位置に応じて、曲面反射面32cに写り込む発光面31aの像(像I1~I3と同様の像)が視認される。
【0043】
以上のように、反射面32(曲面反射面32c)は、視点位置に追従して曲面反射面32cに写り込む発光面31aの像Iが視認されるように構成されている。
【0044】
以上のように調整された曲面反射面32cは複雑な曲面形状(例えば、XZ平面による断面が複数の曲線を含む曲面形状)となるため、当該曲面反射面32c(面形状)を具体的な数値等で表すのは困難である。
【0045】
しかしながら、例えば、所定のシミュレーションソフトウエアを用いて、視点位置ごとに、曲面反射面32cの面形状及び傾きを調整し、調整するごとに、曲面反射面32cに写り込む光源31の発光面31aの像Iと隙間Sとの関係(はみ出ているかどうか等)を確認することで、上記のように隙間S(及び隙間用レンズ部33)を介して視認される、当該曲面反射面32cに写り込む発光面31aの像Iが、視点位置にかかわらず、隙間Sからはみ出ない(ずれない)曲面反射面32cを見出すことができる。
【0046】
図2(a)、図2(b)に示すように、隙間Sと反射面32との間には、隙間用レンズ部33が配置されている。
【0047】
隙間用レンズ部33は、例えば、平板状のレンズ部である。隙間用レンズ部33の表面及び裏面の少なくとも一方には、当該隙間用レンズ部33を透過する反射面32で反射された光源31からの光を拡散させるため、シボ加工(シボ面)が施されている。なお、シボ加工(シボ面)に代えて、複数の微少凹凸(レンズカット等)を用いてもよい。隙間用レンズ部33のY軸方向に関する幅W3(図2(a)参照)は、隙間SのY軸方向に関する幅W2と概ね一致している。
【0048】
隙間用レンズ部33は、Z軸方向に関し、隙間Sの下端より下方に延びており、かつ、隙間Sの上端より上方に延びている(図2(b)参照)。
【0049】
曲面反射面32cに写り込んだ像Iは、隙間レンズ部33(シボ面)を透過する際、隙間レンズ部33(シボ面)のうち当該像Iが対応する領域を発光させる。
【0050】
例えば、視点位置が正面位置P1の場合、曲面反射面32cに写り込んだ像I1は、隙間レンズ部33(シボ面)を透過する際、隙間レンズ部33(シボ面)のうち当該像I1が対応する領域、すなわち、直線L1と直線L4との間(図2(b)参照)かつ幅W3(図2(a)参照)の領域(以下、第3発光領域A3I1と呼ぶ)を発光させる。
【0051】
図3(a)は、視点位置が正面位置P1の場合の、第1発光領域A1、第2発光領域A2及び第3発光領域A3I1の位置関係の概略図である。
【0052】
視点位置が正面位置P1の場合、図3(a)に示すように、第3発光領域A3I1は、リアコンビネーションランプ10(第1発光領域A1)とリッドランプ20(第2発光領域A2)間の隙間Sに(当該隙間Sからはみ出ることなく)配置される。また、曲面反射面32cに写り込んだ像I1は隙間レンズ部33(シボ面)を透過する際当該シボ面で拡散されて光量が減少するため、隙間レンズ部33(シボ面)の発光領域A3I1が第1、第2発光領域A1、A2と同様の質感に調整される。
【0053】
以上のように視点位置が正面位置P1の場合、第1、第2発光領域A1、A2と同様の質感に調整された隙間レンズ部33(シボ面)の第3発光領域A3I1が、リアコンビネーションランプ10(第1発光領域A1)とリッドランプ20(第2発光領域A2)間の隙間Sに(当該隙間Sからはみ出ることなく)配置される(図3(a)参照)。その結果、視点位置が正面位置P1の場合、第1発光領域A1及び第2発光領域A2が一体的に(繋がって)発光しているように視認される。
【0054】
同様に、視点位置が上方位置P2の場合、曲面反射面32cに写り込んだ像I2は、隙間レンズ部33(シボ面)を透過する際、隙間レンズ部33(シボ面)のうち当該像I2が対応する領域、すなわち、直線L3と直線L6との間(図2(b)参照)かつ幅W3(図2(a)参照)の領域(以下、第3発光領域A3I2と呼ぶ)を発光させる。
【0055】
図3(b)は、視点位置が上方位置P2の場合の、第1発光領域A1、第2発光領域A2及び第3発光領域A3I2の位置関係の概略図である。
【0056】
視点位置が上方位置P2の場合、図3(b)に示すように、第3発光領域A3I2は、リアコンビネーションランプ10(第1発光領域A1)とリッドランプ20(第2発光領域A2)間の隙間Sに(当該隙間Sからはみ出ることなく)配置される。また、曲面反射面32cに写り込んだ像I2は隙間レンズ部33(シボ面)を透過する際当該シボ面で拡散されて光量が減少するため、隙間レンズ部33(シボ面)の第3発光領域A3I2が第1、第2発光領域A1、A2と同様の質感に調整される。
【0057】
以上のように視点位置が上方位置P2の場合も、第1、第2発光領域A1、A2と同様の質感に調整された隙間レンズ部33(シボ面)の第3発光範囲A3I2が、リアコンビネーションランプ10(第1発光領域A1)とリッドランプ20(第2発光領域A2)間の隙間Sに(当該隙間Sからはみ出ることなく)配置される(図3(b)参照)。その結果、視点位置が上方位置P2の場合も、第1発光領域A1及び第2発光領域A2が一体的に(繋がって)発光しているように視認される。
【0058】
同様に、視点位置が上方位置P3の場合、曲面反射面32cに写り込んだ像I3は、隙間レンズ部33(シボ面)を透過する際、隙間レンズ部33(シボ面)のうち当該像I3が対応する領域、すなわち、直線L2と直線L5との間(図2(b)参照)かつ幅W3(図2(a)参照)の領域(以下、第3発光領域A3I3と呼ぶ)を発光させる。
【0059】
図3(c)は、視点位置が下方位置P3の場合の、第1発光領域A1、第2発光領域A2及び第3発光領域A3I3の位置関係の概略図である。
【0060】
視点位置が下方位置P3の場合、図3(c)に示すように、第3発光領域A3I3は、リアコンビネーションランプ10(第1発光領域A1)とリッドランプ20(第2発光領域A2)間の隙間Sに(当該隙間Sからはみ出ることなく)配置される。また、曲面反射面32cに写り込んだ像I3は隙間レンズ部33(シボ面)を透過する際当該シボ面で拡散されて光量が減少するため、隙間レンズ部33(シボ面)の第3発光領域A3I3が第1、第2発光領域A1、A2と同様の質感に調整される。
【0061】
以上のように視点位置が下方位置P3の場合も、第1、第2発光領域A1、A2と同様の質感に調整された隙間レンズ部33(シボ面)の第3発光領域A3I3が、リアコンビネーションランプ10(第1発光領域A1)とリッドランプ20(第2発光領域A2)間の隙間Sに(当該隙間Sからはみ出ることなく)配置される。その結果、視点位置が下方位置P3の場合も、第1発光領域A1及び第2発光領域A2が一体的に(繋がって)発光しているように視認される。
【0062】
図示しないが、上記と同様、視点位置が正面位置P1と上方位置P2との間の場合、及び、視点位置が正面位置P1と上方位置P3との間の場合も、第1、第2発光領域A1、A2と同様の質感に調整された隙間レンズ部33(シボ面)の第3発光領域が、リアコンビネーションランプ10(第1発光領域A1)とリッドランプ20(第2発光領域A2)間の隙間Sに(当該隙間Sからはみ出ることなく)配置される。その結果、視点位置が正面位置P1と上方位置P2との間の場合、及び、視点位置が正面位置P1と上方位置P3との間の場合も、第1発光領域A1及び第2発光領域A2が一体的に(繋がって)発光しているように視認される。
【0063】
図3(a)~図3(c)を参照すると、視点位置ごとに見かけ上の幅(例えば、図3中幅LA~LC参照)が変化するものの、視点位置にかかわらず、第3発光領域(例えば、第3発光領域A3I1~A3I3)が隙間Sからはみ出ない(ずれない)ため、第1発光領域A1及び第2発光領域A2が一体的に(繋がって)発光しているように視認されることが分かる。
【0064】
以上説明したように、本実施形態によれば、視点位置(例えば、視点位置P1~P3)にかかわらず、第1発光領域A1及び第2発光領域A2が一体的に(繋がって)発光しているように視認させることができる。
【0065】
これは、隙間Sを介して視認される第3発光領域(例えば、視点位置に追従して異なる位置に形成される第3発光領域A3I1~A3I3)が、視点位置にかかわらず、隙間Sからはみ出ない(ずれない)ように曲面反射面32cの面形状及び傾きが調整されていることによるものである。
【0066】
すなわち、図2(b)に示すように、曲面反射面32c及び隙間用レンズ部33が、Z軸方向に関し、隙間Sの下端より下方に延びており、かつ、隙間Sの上端より上方に延びているため、曲面反射面32cの下端部側で反射され斜め上方に向かう光(例えば、Ray2)を、隙間Sを狙って通すことができ、かつ、曲面反射面32cの上端部側で反射され斜め下方に向かう光(例えば、Ray3)を、隙間Sを狙って通すことができることによるものである。
【0067】
その結果、視点位置にかかわらず、第1、第2発光領域A1、A2と同様の質感に調整された隙間レンズ部33(シボ面)の第3発光範囲(例えば、第3発光領域A3I1~A3I3)が、リアコンビネーションランプ10(第1発光領域A1)とリッドランプ20(第2発光領域A2)間の隙間Sに(当該隙間Sからはみ出ることなく)配置される(例えば、図3(a)~図3(c)参照)。これにより、視点位置にかかわらず、第1発光領域A1及び第2発光領域A2が一体的に(繋がって)発光しているように視認させることができる。
【0068】
次に、変形例について説明する。
【0069】
上記実施形態では、隙間用レンズ部33を用いた例について説明したがこれに限らない。例えば、隙間用レンズ部33は、省略してもよい。この場合、視点位置にかかわらず、曲面反射面32cに写り込んだ像Iがリアコンビネーションランプ10(第1発光領域A1)とリッドランプ20(第2発光領域A2)間の隙間Sに(当該隙間Sからはみ出ることなく)配置される。その際、例えば、曲面反射面32cを拡散反射面として構成することで、曲面反射面32cに写り込んだ像I(本発明の第3発光領域に相当)を第1、第2発光領域A1、A2と同様の質感に調整することができる。
【0070】
このようにすれば、視点位置にかかわらず、第1、第2発光領域A1、A2と同様の質感に調整された、曲面反射面32cに写り込んだ像Iが、リアコンビネーションランプ10(第1発光領域A1)とリッドランプ20(第2発光領域A2)間の隙間Sに(当該隙間Sからはみ出ることなく)配置される。これにより、隙間用レンズ部33を省略しても、視点位置にかかわらず、第1発光領域A1及び第2発光領域A2が一体的に(繋がって)発光しているように視認させることができる。
【0071】
図4は、変形例の車両用灯具30の縦断面図である。
【0072】
上記実施形態では、曲面反射面32c及び隙間用レンズ部33が、Z軸方向に関し、隙間Sの下端より下方に延びており、かつ、隙間Sの上端より上方に延びている例(図2(b)参照)について説明したが、これに限らない。
【0073】
例えば、図4に示すように、曲面反射面32c及び隙間用レンズ部33のうち隙間Sの上端より上方に延びている部分(図4中の点線で描いた部分)は省略してもよい。
【0074】
本変形例によっても、視点位置(例えば、視点位置P1、P2)にかかわらず、第1発光領域A1及び第2発光領域A2が一体的に(繋がって)発光しているように視認させることができる。
【0075】
これは、隙間Sを介して視認される第3発光領域(例えば、視点位置に追従して異なる位置に形成される第3発光領域A3I1~A3I2)が、視点位置にかかわらず、隙間Sからはみ出ない(ずれない)ように曲面反射面32cの面形状及び傾きが調整されていることによるものである。
【0076】
すなわち、図4に示すように、曲面反射面32c及び隙間用レンズ部33が、Z軸方向に関し、隙間Sの下端より下方に延びているため、曲面反射面32cの下端部側で反射され斜め上方に向かう光(例えば、Ray2)を、隙間Sを狙って通すことができることによるものである。
【0077】
その結果、視点位置にかかわらず、第1、第2発光領域A1、A2と同様の質感に調整された隙間レンズ部33(シボ面)の第3発光範囲(例えば、第3発光領域A3I1~A3I2)が、リアコンビネーションランプ10(第1発光領域A1)とリッドランプ20(第2発光領域A2)間の隙間Sに(当該隙間Sからはみ出ることなく)配置される(例えば、図3(a)~図3(b)参照)。これにより、視点位置にかかわらず、第1発光領域A1及び第2発光領域A2が一体的に(繋がって)発光しているように視認させることができる。
【0078】
また、上記実施形態では、第1発光領域A1がリアコンビネーションランプ10により形成され、第2発光領域A2がリッドランプ20により形成される例について説明したが、これに限らない。例えば、第1発光領域A1は、リアコンビネーションランプ10以外の他のランプにより形成されてもよく、第2発光領域A2も、リッドランプ20以外の他のランプにより形成されてもよい。
【0079】
上記実施形態で示した数値は全て例示であり、これと異なる適宜の数値を用いることができるのは無論である。
【0080】
上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎない。上記実施形態の記載によって本発明は限定的に解釈されるものではない。本発明はその精神または主要な特徴から逸脱することなく他の様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0081】
10…リアコンビネーションランプ、20…リッドランプ、30…車両用灯具、31…光源、31a…発光面、31b、31c、31d、31e…辺、32…反射面、32a…上端部、32b…下端部、32c…曲面反射面、33…隙間用レンズ部、34…ベース板、40…可動部、A1…第1発光領域、A2…第2発光領域、A3…第3発光領域、I、I1~I3…像、P1~P3…視点位置、S…隙間、V…車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6