(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-24
(45)【発行日】2024-02-01
(54)【発明の名称】プラットホーム用先端材
(51)【国際特許分類】
E01F 1/00 20060101AFI20240125BHJP
B61B 1/02 20060101ALN20240125BHJP
【FI】
E01F1/00
B61B1/02
(21)【出願番号】P 2020133708
(22)【出願日】2020-08-06
【審査請求日】2023-06-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000155229
【氏名又は名称】株式会社明治ゴム化成
(74)【代理人】
【識別番号】100118119
【氏名又は名称】高橋 大典
(72)【発明者】
【氏名】後藤 幹裕
(72)【発明者】
【氏名】森 祐亮
(72)【発明者】
【氏名】山田 実希
(72)【発明者】
【氏名】小林 拓也
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-287710(JP,A)
【文献】特開2019-084989(JP,A)
【文献】特開2007-022125(JP,A)
【文献】特開2013-141878(JP,A)
【文献】特開2012-101615(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0224097(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 1/00
B61B 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラットホームの側面に設置されるプラットホーム用先端材であって、基体部と緩衝部を備えて構成され、前記緩衝部は、前記基体部と一方の底面が接触して設けられている第一柱体と第二柱体を備えて構成され、前記第一柱体は、底面の下端の横幅より上端の横幅が広く構成され、前記第二柱体は、底面の下端の横幅より上端の横幅が狭く構成され、前記第一柱体と前記第二柱体は、横方向に交互に配置されると共に、隣接する前記第一柱体と前記第二柱体は、平面視で互いの側面の少なくとも一部が重なり合って配置されていることを特徴とするプラットホーム用先端材。
【請求項2】
前記第一柱体と前記第二柱体は、
合同又は相似であることを特徴とする請求項1に記載のプラットホーム用先端材。
【請求項3】
前記第一柱体と前記第二柱体は、異なる形状であることを特徴とする請求項1に記載のプラットホーム用先端材。
【請求項4】
前記第一柱体及び/又は前記第二柱体の底面の形状は、三角形又は台形であることを特徴とする請求項
1から3のうちいずれか1項に記載のプラットホーム用先端材。
【請求項5】
前記緩衝部は、前記第一柱体又は前記第二柱体の一部を切り欠いた形状の第三柱体を供えることを特徴とする請求項1から
4のうちいずれか1項に記載のプラットホーム用先端材。
【請求項6】
前記緩衝部上に、天板が、前記緩衝部とは固定されずに、柔軟性を有する連結部材で前記基体部に連結されて設置されていることを特徴とする請求項1から
5のうちいずれか1項に記載のプラットホーム用先端材。
【請求項7】
前記連結部材は布で構成されていることを特徴とする請求項
6に記載のプラットホーム用先端材。
【請求項8】
請求項1から
7のうちいずれか1項に記載のプラットホーム用先端材とプラットホームを備えて構成され、前記プラットホーム用先端材は、前記プラットホームの車両に対向する側面に設置され、前記第一柱体と前記第二柱体は、前記基体部から前記プラットホームと反対方向に突出して設置されていることを特徴とするプラットホーム構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラットホームと車両との隙間を埋めるためのプラットホーム用先端材に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道の駅において、列車とプラットホームの間に隙間が生じ、列車の乗降時に搭乗者がその隙間に足を挟んだり、その隙間から転落したり、ベビーカーの車輪が挟まったり、物が落ちたりするといった問題点があった。特にプラットホームが湾曲している場合には列車とプラットホームの間の隙間が大きくなり、より危険であった。
【0003】
このような問題点の解決策のひとつとして、列車とプラットホームの間の隙間に、プラットホーム又は列車から自動で出入りする踏み板の設置が提案されているが、設備的に高価であり、保守が容易ではなく、簡単には導入することが出来ないのが現状であった。又、このような踏み板は列車の停車時にのみ張出すので、又、材質も硬いものが使用されているので、列車とプラットホーム間の緩衝材の役割を果たすことが出来ないものであった。
【0004】
そこで、列車とプラットホームの間の隙間を埋めて、この隙間に人や物が落ちるのを防止するため、或いは列車とプラットホームの接触による列車の破損を防止するため、様々な転落防止部材や緩衝部材が提案されている。例えば、プラットホームの縁端部近傍に沿接されるゴム様弾性体からなる基体部と、この基体部からプラットホームとは逆側にのびる櫛歯部とからなるプラットホーム先端材が提案されている(特許文献1)。
【0005】
又、上下方向に延び且つプラットホームの端縁部の延出方向において間隔を開けて位置するように、ゴム状弾性体からなる複数の板状リブを基体部に一体的に突設すると共に、それら複数の板状リブのうちの互いに隣り合う二つのものを連結して構成したホーム先端転落防止材が提案されている(特許文献2)。
【0006】
又、列車の進行方向に所定の相互間隔を有して、複数配列して設けられる薄板と、薄板の上端部に敷設される床板と、薄板を連結するワイヤーロープとを備えた緩衝部が提案されている(特許文献3)。
【0007】
又、基部から線路側に延びる複数の櫛歯よりなる櫛状部と、この櫛状部の上面を覆う天板部を備えたプラットホーム用隙間調整具が提案されている(特許文献4)。
【0008】
又、プラットホームの側壁に取設される基体部と、この基体部から水平方向に延設される複数の櫛歯部と、基体部から延設され複数の櫛歯部に隙間を形成して覆設される天板部を有したプラットホーム縁端構造が提案されている(特許文献5)。
【0009】
更に、特許文献5と同様の構造で、熱可塑性エラストマーを用いて構成したプラットホーム縁端構造が提案されている(特許文献6)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開平5-287710号公報
【文献】特開2012-131402号公報
【文献】特開2007-22125号公報
【文献】特開2012-56485号公報
【文献】特開2013-141878号公報
【文献】特開2015-13571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、特許文献1や特許文献2に記載の発明では、列車が衝突した際の衝撃の緩和が可能となっているが、櫛歯間や板状リブ間に隙間が存在するので、乗客が履いているハイヒール等のヒールがこの隙間に入ってしまい、乗客がバランスを崩しやすく、乗客の安全性に問題があった。又、乗客が櫛歯や板状リブ上に乗った際に、強度が不十分で、櫛歯や板状リブが撓んで、連続する櫛歯や板状リブの上面を平らに維持することが出来ず、乗客が乗った箇所が部分的に凹んでしまい、乗客がバランスを崩しやすく、乗客の安全性に問題があった。
【0012】
又、特許文献3~特許文献5に記載の発明では、薄板間や櫛歯間に乗客が履いているハイヒール等のヒールが入ってしまうことは防止することが出来るが、特許文献3及び特許文献4に記載の発明では、乗客が床板や天板に乗った際に、材質によっては薄板や櫛歯の強度が不十分なため、薄板や櫛歯が撓んで、床板や天板の乗客が乗った箇所が部分的に凹んでしまい、床板や天板を水平に維持することが出来ず、乗客がバランスを崩しやすく、乗客の安全性に問題があった。更に、特許文献3に記載の発明では、薄板の材質によっては、列車と接触した際に容易に破損して、緩衝効果が減じてしまう可能性が高く、又、破損により生じた破片が飛散して、乗客に当たり怪我をする可能性があり、乗客の安全性に問題があった。
【0013】
又、特許文献5に記載の発明では、特許文献3及び特許文献4に記載の発明に比べると、櫛歯の撓みを抑制することが出来るが、やはり、櫛歯の強度が不十分なため、櫛歯が撓んで、天板の乗客が乗った箇所が部分的に凹んでしまい、天板を水平に維持することが出来ず、乗客がバランスを崩しやすく、乗客の安全性に問題があった。
【0014】
又、特許文献6に記載の発明では、櫛歯の撓みを抑制する構造を備えているものの、その材質から、乗客が天板に乗った際に、櫛歯の強度が不十分なため、櫛歯が撓んで、天板の乗客が乗った箇所が部分的に凹んでしまい、天板を水平に維持することが出来ず、乗客がバランスを崩しやすく、乗客の安全性に問題があった。更に、列車と接触した際に容易に破損して、緩衝効果が減じてしまう可能性が高く、又、破損により生じた破片が飛散して、乗客に当たり怪我をする可能性があり、乗客の安全性に問題があった。
【0015】
そこで、本発明は、プラットホーム用先端材において、乗客の踏み抜きを防止することを目的の1つとする。又、プラットホーム用先端材に乗った時の乗客の安定性を維持可能とすることを目的の1つとする。又、プラットホームでの、特に列車への乗降時の乗客の安全性を高めることを目的の1つとする。又、プラットホームに列車が接触した際に、破損しにくく、乗客に安全で、緩衝効果を備えたプラットホーム用先端材を提供することを目的の1つとする。更に、本発明は、プラットホーム用先端材において、これらの目的を両立させることを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
以上のような従来技術の課題を解決するための手段としての本発明は、プラットホームの側面に設置されるプラットホーム用先端材であって、基体部と緩衝部を備えて構成され、前記緩衝部は、前記基体部と一方の底面が接触して設けられている第一柱体と第二柱体を備えて構成され、前記第一柱体は、底面の下端の横幅より上端の横幅が広く構成され、前記第二柱体は、底面の下端の横幅より上端の横幅が狭く構成され、前記第一柱体と前記第二柱体は、横方向に交互に配置されると共に、隣接する前記第一柱体と前記第二柱体は、平面視で互いの側面の少なくとも一部が重なり合って配置されていることを特徴とするプラットホーム用先端材である。
【0017】
又、上記プラットホーム用先端材において、前記第一柱体と前記第二柱体は、合同、相似又は異なる形状であることを特徴とするプラットホーム用先端材である。
【0018】
又、上記プラットホーム用先端材において、前記第一柱体及び/又は前記第二柱体の底面の形状は、三角形又は台形であることを特徴とするプラットホーム用先端材である。
【0019】
又、上記プラットホーム用先端材において、前記緩衝部は、前記第一柱体又は前記第二柱体の一部を切り欠いた形状の第三柱体を供えることを特徴とするプラットホーム用先端材である。
【0020】
又、上記プラットホーム用先端材において、前記緩衝部上に、天板が、前記緩衝部とは固定されずに、柔軟性を有する連結部材で前記基体部に連結されて設置されていることを特徴とするプラットホーム用先端材である。
【0021】
又、上記プラットホーム用先端材において、前記連結部材は布で構成されていることを特徴とするプラットホーム用先端材である。
【0022】
又、上記のうちいずれかに記載のプラットホーム用先端材とプラットホームを備えて構成され、前記プラットホーム用先端材は、前記プラットホームの車両に対向する側面に設置され、前記第一柱体と前記第二柱体は、前記基体部から前記プラットホームと反対方向に突出して設置されていることを特徴とするプラットホーム構造である。
【発明の効果】
【0023】
以上のような本発明によれば、プラットホーム用先端材において、乗客の踏み抜きを防止することが可能となった。又、プラットホーム用先端材に乗った時の乗客の安定性を維持することが可能となった。又、プラットホームでの、特に列車への乗降時の乗客の安全性を高めることが出来た。又、プラットホームに列車が接触した際に、破損しにくく、乗客に安全で、緩衝効果を備えたプラットホーム用先端材を提供することが可能となった。更に、本発明は、プラットホーム用先端材において、これらの目的を両立させることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、プラットホームの、プラットホームに入っている車両に対向する側面に設置され、プラットホームと車両との隙間を埋めるためのプラットホーム用先端材であり、基体部と緩衝部を備えて構成されている。以下、列車用のプラットホームを例に、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1から
図3は、本発明プラットホーム用先端材の一実施形態の図であり、
図1は斜視図、
図2は正面図、
図3は断面図である。
図4から
図16は本発明プラットホーム用先端材の他の実施形態の斜視図であり、
図17は断面図である。
【0026】
図1から
図17に示すように、プラットホーム用先端材1は、基体部2と緩衝部3を備えて構成されている。基体部2と緩衝部3は、同一の素材で、一体的に成形してもよいが、同一の又は異なる素材で、別個に構成して固定する構成としてもよい。基体部2の素材は、これらに限定されないが、ゴム、熱可塑性エラストマー、合成樹脂、金属を使用することが出来、又、緩衝部3の素材は、これらに限定されないが、ゴム、熱可塑性エラストマー、合成樹脂を使用することが出来る。又、これらの素材には、公知の添加剤を配合してもよく、例えば剛性を高めるためにカーボンファイバーやガラス繊維を添加してもよい。
【0027】
基体部2はプラットホーム用先端材1をプラットホーム8に固定するための部材であると共に、緩衝部3を設けるための部材である。基体部2は長方形の平板状で、表面21には緩衝部3が設けられ、プラットホーム8との固定に用いられるボルト41を挿入するためのボルト孔26、ボルト41及びワッシャー42を挿入するためのボルト溝27が設けられている。プラットホーム用先端材1は、基体部2の裏面22をプラットホーム8の側面82に対向させて設置される。
【0028】
緩衝部3は、基体部2と共にプラットホーム8と図示しない車両との隙間を埋めるための部材であると共に、プラットホーム用先端材1に乗った乗客を支えるための部材である。緩衝部3は、夫々可撓性を備えた、ブロック状の第一柱体31(31a~31c、31e~31f)とブロック状の第二柱体32(32a~32f)を備えて構成されている。第一柱体31及び第二柱体32は、
図1に示すように、夫々柱体の一方の底面311、321が基体部2の表面21と面接触し、基体部2から突出して設けられた柱体で構成されている。そして、プラットホーム用先端材1をプラットホーム8に設置した際には、第一柱体31及び第二柱体32は、基体部2を挟んでプラットホーム8と反対方向に突出する。又、第一柱体31及び第二柱体32は、可撓性を備えると共に、反発性、復元性、耐久性が高い素材で構成されることが好ましい。
【0029】
第一柱体31は、底面311の下端318の横幅W1より上端317の横幅W2が広く構成され、第二柱体32は、底面321の下端328の横幅W3より上端327の横幅W4が狭く構成されている。底面311の下端318の横幅W1及び底面321の上端327の横幅W4は、下端318及び上端327の形状が三角形の頂点等の場合には、限りなく0mmに近いこともある。
【0030】
即ち、第一柱体31は、底面311が上端317から下端318方向に横幅が狭くなる形状で構成され、第二柱体32は、底面321が上端327から下端328方向に横幅が広くなる形状で構成されている。言い換えれば、第一柱体31は、上面312から下端318方向に横断面積が狭くなり、第二柱体32は、下面323から上端327方向に横断面積が狭くなるように構成されている。尚、第一柱体31の底面311及び/又は第二柱体32の底面321は、横幅が変化しない部分を備えていてもよい。底面311及び底面321の横幅が変化しない部分は、底面が長方形の柱体を構成する。
【0031】
第一柱体31及び第二柱体32は、
図1~
図4、
図6及び
図7等に示すように、底面311が三角形又は台形の柱体を用い、底面311が三角形の場合には三角形の一辺、好ましくは底辺を水平に位置させ、底面311が台形の場合には台形の上底及び下底を水平に位置させて構成することが出来る。そして、緩衝部3は、底面が三角形又は台形の複数の柱体を交互に上下を反転させて、言い換えれば、基体部2の表面21に直交する方向からの側面視(以下、単に「側面視」という。)で、180度回転させて、水平方向に連続して設置することにより構成することが出来る。底面311の三角形は、正三角形を含む二等辺三角形とし、底面311の台形は等脚台形とするが、これらの形状に限定されず、他の三角形、他の台形とすることが出来る。又、三角形及び台形には、夫々、所定箇所の辺を曲線とし、或いは所定の角を曲線とした三角形状及び台形状の形状も含まれるものとする。
【0032】
このように、第一柱体31及び第二柱体32は、薄板状、板状、櫛歯状ではなく、ブロック状である。第一柱体31及び第二柱体32の、側面視での最も広い横幅、即ち底面311及び底面321の横幅(水平方向の長さ)と高さ(鉛直方向の長さ)の比は、特に限定されないが、1:0.5~1:3程度とすることが出来、好ましくは1:0.5~1:2、より好ましくは1:0.5~1:1.5である。第一柱体31の上面312の側面視の横幅、即ち上端317の側面視の横幅W2は、特に限定されず、第一柱体31の基体部2からの突出高さ及び用いる素材等に応じて決定するが、30mmから500mm程度とすることが出来る。
【0033】
このように緩衝部3を横方向、言い換えれば列車の進行方向に厚みのある、ブロック状の部材で構成することで、従来の薄板状や櫛歯状の部材では、薄い部材であるので、列車との接触時に破損する可能性が高かったのに比べ、破損し難くすることが出来た。又、強度が強くなり、乗客が上に乗った際にも部分的に凹むことがなく、乗客がバランスを崩すことがなく、乗客の安全性を担保することが出来る。
【0034】
そして、
図1、
図2、
図4、
図5及び
図13に示すように、緩衝部3は、合同な柱体を側面視で横方向に、交互に上下反対に配置して構成されている。このように、夫々の第一柱体31、夫々の第二柱体32及び第一柱体31と第二柱体32は、夫々合同な形状で構成されている。尚、
図10~
図12に示すように、第一柱体31と第二柱体32を合同な形状で構成する場合、所定数の第一柱体31及び/又は第二柱体32は、一部が切り欠かれた形状としてもよい。
【0035】
又、第一柱体31と第二柱体32は、異なる縮尺の相似形状や異なる形状で構成することとしてもよい。又、複数の第一柱体31及び/又は複数の第二柱体32は、夫々異なる縮尺の相似形状や異なる形状で構成することとしてもよい。
【0036】
第一柱体31と第二柱体32は、側面視で横方向に、言い換えれば、プラットホーム8に設置された際には列車の進行方向に、交互に配置されている。第一柱体31と第二柱体32の設置数は、第一柱体31が1個多く、両端に第一柱体31が位置するように配置されているが、第二柱体32が1個多く、両端に第二柱体32が位置する配置や、第一柱体31と第二柱体32の設置数は同じで両端は第一柱体31と第二柱体32が位置する配置とすることとしてもよい。
【0037】
又、第一柱体31と第二柱体32は、平面視で、互いの側面315、325の少なくとも一部が重なり合って配置され、言い換えれば、互いの側面315、325の少なくとも一部が、上下方向で対向して配置されている。第一柱体31と第二柱体32は、水平な面以外に、夫々少なくとも2個の側面315、325を備え、側面315、325は垂直方向に延びて構成されることはなく、側面視で、斜め方向に延びて構成されている。
【0038】
隣接する2個の第一柱体31の対向する側面315、315は、1個の第二柱体32を挟み、挟まれた1個の第二柱体32の2個の側面325、325と、夫々対向する。同様に、隣接する2個の第二柱体32の対向する側面325、325は、1個の第一柱体31を挟み、挟まれた1個の第一柱体31の2個の側面315、315と、夫々対向する。
【0039】
このような構成とすることで、側面315と側面325間の隙間、即ち第一柱体31と第二柱体32間の隙間は、少なくとも緩衝部3の上面30周辺において、垂直方向に延びて構成されることはなく、側面視で、斜め方向に延びて構成されている。このような構成により、靴の細いヒールや傘の先端等が嵌まり込むのを効果的に防ぐことが出来る。又、1個の第一柱体31への加圧を2個の第二柱体32で支持するので、第一柱体31への圧力を分散することが出来、第一柱体31の変形を抑制することが出来る。
【0040】
第一柱体31の側面315と第二柱体32の側面325は、
図1~
図4、
図6及び
図7等に示すように、夫々平面で構成され、所定の間隔で平行に離隔している。尚、第一柱体31の側面315又は/及び第二柱体32の側面325は、
図8に示すように、2枚の平面で構成してもよく、又、
図9に示すように、底面311、321の所定の辺を直線ではなく曲線で構成して、曲面で構成することとしてもよい。このように側面315及び側面325を曲面で構成した場合、一定の間隔で平行に離隔させるように、一方が凸曲面の場合には他方は凹曲面で構成することが好ましい。
【0041】
第一柱体31と第二柱体32は、夫々の上端317、327及び夫々の下端318、328が夫々同一平面上に位置して設置されているが、夫々の上端317、327及び夫々の下端318、328は夫々同一平面上に位置しないで構成してもよく、又、夫々の上端317、327又は夫々の下端318、328の一方が同一平面上に位置する構成としてもよい。
図4に示すように、第一柱体31と第二柱体32の夫々の上端317、327が平面状である場合には、夫々の上面312、322は同一平面上に位置する構成となる。
【0042】
緩衝部3の上面30において、第一柱体31の上面312と第二柱体32を挟んだ第一柱体31の上面312又は第一柱体31の上面312と第二柱体32の上面322は離隔しているが、離隔の程度が大きいと乗客のヒール等が入ってしまい危険であるので、これらの間隔は、ヒールが入らない程度、具体的には3mm程度以下の間隔とすることが好ましい。
【0043】
第一柱体31の、柱体の1個の側面で構成される、上面312は平面であり、プラットホーム8の上面81と面一に設置するが、
図14に示すように、第一柱体31の上面312を凸曲面又は凹曲面の曲面に構成してもよく、又、第一柱体31と第二柱体32の辺や頂点の角部は面取りされて曲面で構成することとしてもよい。又、第一柱体31の上面312とプラットホーム8の上面81とに段差を設ける構成としてもよい。又、図示はしないが、第一柱体31及び/又は第二柱体32は、上底又は下底が基体部2の表面21と面接触し、基体部2から突出する錐台で構成することとしてもよい。第一柱体31及び/又は第二柱体32を錐台で構成する場合、上底又は下底が底面に相当する。
【0044】
図1~
図3並びに
図16及び
図17に示すように、プラットホーム用先端材1が、プラットホーム8の側面82に設置されると、緩衝部3は、基体部2からプラットホーム8と反対方向に突出した状態のプラットホーム構造9となる。又、プラットホーム用先端材1は、プラットホーム8の全長に亘って設置してもよいが、列車が停止した際のドアの箇所等の所定の箇所のみに設置する構成でもよい。
【0045】
図1~
図3によく示すように、第一柱体31aと第二柱体32aは合同な三角柱である。第一柱体31aは、底面311の形状が、側面視で、水平の一辺より水平の一辺の対頂点が下に位置する逆三角形の三角柱であり、上面312は基体部2の上面23と面一に設けられている。又、第二柱体32aは、底面321の形状が、水平の一辺より水平の一辺の対頂点が上に位置する三角形の三角柱である。2個の底面321の水平の一辺の対頂点を結ぶ上辺329は、基体部2の上面23と同一平面上に設けられると共に、第一柱体31aの上面312と同一平面上に設けられている。
【0046】
基体部2において、ボルト孔26は、両端下部に設けられ、第一柱体31a及び第二柱体32aとは接触しない位置に設けられている。具体的には、ボルト孔26は、基体部2の両端下部であって、第一柱体31aの下部302の横斜め下側に設けられている。又ボルト孔26は円形としているが、設置時の位置調整の便利のため、上下方向又は左右方向に長い長孔で構成してもよい。
【0047】
図4~
図17に示す実施の形態においては、
図1~
図3に示す上記の実施形態とは一部異なる構成を備えたプラットホーム用先端材を示している。以下にこれらの実施の形態を説明するが、上記の実施形態と同一の構成には同一の番号を付して、説明を省略する。
【0048】
図4に示すように、緩衝部3は、夫々合同な第一柱体31bと第二柱体32bで構成することとしてもよい。第一柱体31bは、底面311の形状が、側面視で、下底が上底より短い台形の四角柱であり、上面312は基体部2の上面23と面一に設けられている。又、第二柱体32bは、底面321の形状が、側面視で、上底が下底より短い台形の四角柱であり、上面322は、第一柱体31の上面312と同一平面上に設けられている。第一柱体31bの上面312と第二柱体32bの上面322は離隔している。
【0049】
図5に示すように、緩衝部3は、夫々合同な第一柱体31cと第二柱体32cで構成することとしてもよい。第一柱体31cは、底面311の形状が、上部308が横方向に長い楕円、上部308の下端中央から突出する下部307が半楕円で、上部308が下部307より横幅が広く構成されている。又、第二柱体32cは、底面321の形状が、下部305が横方向に長い楕円、下部305の上端中央から突出する上部306が半楕円で、下部305が上部306より横幅が広く構成されている。第一柱体31cの底面311の下端318は、下部307の半楕円部分であり、上端317は上部308の上半分の楕円弧部分である。又、第二柱体32cの底面321の下端328は下部305の下半分の楕円弧部分であり、上端327は上部306の半楕円部分である。第一柱体31cと第二柱体32cは、横方向に連続する第一柱体31cの下部307間に、第二柱体32cの上部306が位置するように横方向に連続して設けられている。
【0050】
図6に示すように、緩衝部3は、夫々形状が異なる第一柱体31aと第二柱体32bで構成することとしてもよい。第一柱体31aは、底面311の形状が、側面視で、水平の一辺よりその対頂点が下に位置する逆三角形の三角柱であり、第二柱体32bは、底面321の形状が、側面視で、上底が下底より短い台形の四角柱である。第一柱体31aの底面311の高さH1は第二柱体32bの底面321の高さH2と同じである。第一柱体31aの上面312及び第二柱体32bの上面322は基体部2の上面23と同一平面上に設けられている。又、第一柱体31aの上面312と第二柱体32bの上面322は離隔している。
【0051】
図7に示すように、緩衝部3は、夫々形状が異なる、底面311の形状が、側面視で、逆三角形の三角柱である第一柱体31aと、底面321の形状が、側面視で、上底が下底より短い台形の四角柱である第二柱体32dで構成することとしてもよい。尚、第二柱体32dは第一柱体31aの上下端部を切り欠いて、上下逆に設置した形状である。第一柱体31の上面312は基体部2の上面23と面一に設けられている。又、第一柱体31aの底面311の高さH1は第二柱体32dの底面321の高さH3より高く、それぞれの高さは異なり、第二柱体32dの上面322は、第一柱体31aの上面312より低い位置に設けられている。又、連続する第一柱体31aの上面312は離隔している。
【0052】
図8に示すように、緩衝部3は、夫々形状が異なる、第一柱体31eと第二柱体32eで構成することとしてもよい。第一柱体31eは、底面311の形状が、側面視で、上部701は上底が下底より長い台形で、下部702が上部701の下底と同じ横幅の長方形の柱体であり、第二柱体32eは、底面321の形状が、上部703が三角形で、下部704が上部703の三角形の底辺と同じ横幅の長方形の柱体である第二柱体32eで構成されている。第一柱体31eと第二柱体32eは同じ高さで、第一柱体31eの上面312と第二柱体32eの上端辺は基体部2の上面23と同一平面上に設けられている。
【0053】
図9に示すように、緩衝部3は、夫々形状が異なる、第一柱体31fと第二柱体32fで構成することとしてもよい。第一柱体31fは、底面311の形状が、側面視で、上部705が上底が下底より長く、脚が凹曲線の台形状で、下部706が上部705の下底と同じ横幅の長方形の柱体であり、第二柱体32fは、底面321の形状が、上部707が底辺以外の二辺が凸曲線の三角形状で、下部708が上部707の三角形の底辺と同じ横幅の長方形の柱体である第二柱体32fで構成されている。
【0054】
又、
図10~
図12に示すように、緩衝部3は、夫々合同な第一柱体31(31a、31c)と第二柱体32(32a、32c)を用いて構成すると共に、基体部2にボルト孔26を設ける位置によって、ボルト孔26が重なる箇所の第一柱体31又は第二柱体32の一部を切り欠いた形状で構成することとしてもよい。
【0055】
具体的には、
図10に示すように、ボルト孔26を基体部2の両端の第一柱体31の下部と重なる箇所に設ける場合、緩衝部3は、両端の柱体は合同な形状で、両端以外の柱体は合同な形状で、両端の柱体は、両端以外の柱体の下部を切り欠いた形状として、両端の柱体は、両端以外の柱体と異なる形状で構成している。具体的には、第一柱体31aと第二柱体32aは合同な三角柱であり、第一柱体31aは、底面311の形状が、側面視で、水平の一辺よりその対頂点が下に位置する逆三角形の三角柱であり、第二柱体32aは、底面321の形状が、水平の一辺より水平の一辺の対頂点が上に位置する三角形の三角柱であり、両端に設置されている第三柱体33aは、第一柱体31aの下部710を切り欠いた形状で、底面319の形状が、下底が上底より短い台形の四角柱で構成されている。そして、基体部2において、ボルト孔26は、基体部2の両端下部であって、第三柱体33aの下方且つ第二柱体32aの下部709の横側に設けられている。
【0056】
又、
図11に示すように、ボルト孔26を基体部2の両端の第一柱体31の下部と重なる箇所に設ける場合、緩衝部3は、両端の柱体は合同な形状で、両端以外の柱体は合同な形状で、両端の柱体は、両端以外の柱体の下部を切り欠いた形状として、両端の柱体は、両端以外の柱体と異なる形状で構成している。具体的には、第一柱体31cと第二柱体32cは合同な柱体であり、第一柱体31cは、底面311の形状が、上部308が楕円、下部307が半楕円で、上部308が下部307より横幅が広く構成されている。又、第二柱体32cは、底面321の形状が、上部306が半楕円、下部306が楕円で、下部305が上部より横幅が広く構成されている。両端に設置される第三柱体33cは、第一柱体31cの下部307を切り欠いた形状で、底面318の形状が楕円で構成されている。そして、基体部2において、ボルト孔26は、基体部2の両端下部であって、第三柱体33cの下方且つ第二柱体32cの下部305の横側に設けられている。
【0057】
又、
図12に示すように、ボルト孔26を基体部2の内側よりの第二柱体32の下部と重なる箇所に設ける場合、緩衝部3は、基体部2の内側よりの2体の柱体は合同な形状で、当該2体の柱体以外の柱体は合同な形状で、内側よりの柱体は、それ以外の柱体の下部を切り欠いた形状として、他の柱体と異なる形状で構成している。具体的には、第一柱体31aと第二柱体32aは合同な三角柱であり、第一柱体31aは、底面311の形状が、側面視で、逆三角形の三角柱であり、第二柱体32aは、底面321の形状が、三角形の三角柱であり、両端から1個内側に設置されている第三柱体33aは、第一柱体31aの上部又は第二柱体32aの下部709を切り欠いた形状で、底面319の形状が、側面視で、三角形の三角柱で構成されている。そして、基体部2において、ボルト孔26は、基体部2の両端より内側の下部であって、第三柱体33aの下方且つ第一柱体31aの下部710の横側に設けられている。
【0058】
又、
図13に示すように、基体部2の縦方向の長さを緩衝部3の縦方向の長さより、ボルト溝27の直径以上長く構成し、ボルト孔26及びボルト溝27を緩衝部3の下方に設ける構成としてもよい。このような構成とすることで、ボルト孔26を設けるために、ボルト孔26及びボルト溝27を設ける箇所の緩衝部3の形状を変化させる必要がなくなる。
【0059】
上記の実施の形態では、第一柱体31の上面312は平面に構成しているが、
図14に示すように、第一柱体31fの上面312を凹曲面の曲面に構成することとしてもよい。
【0060】
又、
図15に示すように、ボルト孔26を基体部2の内側よりの第二柱体31の下部と重なる箇所に設ける場合、緩衝部3は、基体部2の内側よりの2体の柱体は合同な形状で、当該2体の柱体以外の柱体は合同な形状で、内側よりの柱体は、それ以外の柱体と異なる形状で構成している。具体的には、第一柱体31cと第二柱体32cは合同な柱体であり、第一柱体31cは、底面311の形状が、上部308が楕円、下部307が半楕円で、上部308が下部307より横幅が広く構成されている。又、第二柱体32cは、底面321の形状が、上部306が半楕円、下部306が楕円で、下部305が上部より横幅が広く構成されている。両端から1個内側に設置されている第四柱体33cは、第一柱体31cの下部307又は第二柱体32cの上部306とほぼ同じ大きさ、類似した形状の、底面318の形状が、側面視で、楕円形の楕円柱で構成されている。そして、基体部2において、ボルト孔26は、基体部2の両端より内側の下部であって、第四柱体33cの下方且つ第一柱体31cの下部307の横側に設けられている。
【0061】
又、
図16及び
図17に示すように、プラットホーム用先端材1は、基体部2と緩衝部3に加えて、天板5を備えて構成することとしてもよい。天板5は、緩衝部3上に設置され、プラットホーム用先端材1の上面を隙間がないようにし、平らにするための部材である。天板5は、天板5を備えたプラットホーム用先端材1をプラットホーム8に設置した際には、乗客が乗降の際に足を乗せる部分となる。天板5は長方形の平板状で、天板5の素材は、これらに限定されないが、ゴム、熱可塑性エラストマー、合成樹脂を使用することが出来る。又、これらの素材には、公知の添加剤を配合してもよく、例えば剛性を高めるためにカーボンファイバーやガラス繊維を添加してもよい。
【0062】
天板5は、緩衝部3とは固定されず、連結部材6を用いて基体部2に連結されて固定されている。連結部材6は天板5を基体部2に連結するための可撓性又は柔軟性を備えた部材である。連結部材6の素材は、これらに限定されないが、ゴム、熱可塑性エラストマー、可撓性を備える合成樹脂、布を使用することが出来る。天板5の設置方法は、裏面52に連結部材6の一部を接着剤で接着すると共に、連結部材6の他の部分を基体部2の裏面22に接着剤で接着して、天板5を基体部2に連結して固定する方法を採用することが出来る。尚、連結部材6の他の部分を基体部2の裏面22に接着せず、基体部2とプラットホーム8に挟み込むと共に、基体部2をプラットホーム8に固定するボルト41を貫通させて固定することとしてもよい。尚、プラットホーム用先端材1をプラットホーム8に設置した際に、プラットホームの上面81と天板5の上面51が面一に設置されることが好ましい。
【0063】
このような構成としているので、列車とプラットホーム用先端材1が接触した場合にも、天板5は緩衝部3と固定されていないので、列車からの応力から逃れ、破損することがなく、列車からの応力は緩衝部3が受ける。尚、
図16においては、
図1で示す実施の形態に天板5を設置した形態を図示しているが、天板5以外の基体部2及び緩衝部3の構成は、
図4~
図15に示すと共に、上記で説明した実施の形態で構成することとしてもよい。
【0064】
プラットホーム用先端材1をプラットホーム8に設置する際には、
図1及び
図3並びに
図16及び
図17に示すように、プラットホーム8の側面82にアンカー43を埋め込み、基体部2の裏面22をプラットホーム8の側面82に対向させ、基体部2に設けたボルト溝27にワッシャー42を挿入し、ボルト41をワッシャー42及びボルト孔26に挿入してアンカー43にねじ込んで設置する。このようにして、プラットホーム用先端材1を備えたプラットホーム構造9を構成することが出来る。
【0065】
尚、本発明のプラットホーム用先端材は、
図1~
図17に示すと共に、上記で説明した実施の形態の部分を適宜組み合わせて構成することが出来る。又、本発明のプラットホーム用先端材は、駅における列車用のプラットホームに限定されず、トラック等の自動車の車両が接近する倉庫等のプラットホームにおいても使用することが出来る。又、港等における桟橋の側面に設置して接岸する船との緩衝材としても使用することも出来る。
【産業上の利用可能性】
【0066】
以上のような本発明は、プラットホームにおいて、乗客の安全性を高めることが出来ると共に、列車とプラットホームの緩衝効果を充分に備えたプラットホーム用先端材を提供することが出来るので、鉄道輸送業において、利用することが出来る。又、本発明は、トラック等の自動車の車両が接近する倉庫等のプラットホームや、港等における桟橋の側面に設置して接岸する船との緩衝材として使用することも出来るので、輸送業や観光業においても、利用することが出来る。
【符号の説明】
【0067】
1 プラットホーム用先端材
2 基体部
26 ボルト孔
3 緩衝部
31 第一柱体
311 底面
32 第二柱体
321 底面
33 第三柱体
41 ボルト
42 ワッシャー
43 アンカー
5 天板
6 連結部材
8 プラットホーム
81 プラットホームの上面
82 プラットホームの側面
9 プラットホーム構造