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特許7426345モジュール式農場システムおよび作物栽培方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-24
(45)【発行日】2024-02-01
(54)【発明の名称】モジュール式農場システムおよび作物栽培方法
(51)【国際特許分類】
   A01G 31/00 20180101AFI20240125BHJP
   A01G 31/06 20060101ALI20240125BHJP
   A01G 9/02 20180101ALI20240125BHJP
【FI】
A01G31/00 611
A01G31/00 612
A01G31/06
A01G9/02 103G
A01G9/02 103N
【請求項の数】 35
(21)【出願番号】P 2020564792
(86)(22)【出願日】2019-02-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-27
(86)【国際出願番号】 US2019017247
(87)【国際公開番号】W WO2019157306
(87)【国際公開日】2019-08-15
【審査請求日】2022-01-13
(31)【優先権主張番号】62/628,585
(32)【優先日】2018-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520299658
【氏名又は名称】フレイト ファームズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002918
【氏名又は名称】弁理士法人扶桑国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マクナマラ ブラッド
(72)【発明者】
【氏名】フリードマン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】マリノ ダン
(72)【発明者】
【氏名】ベイカー デレク
(72)【発明者】
【氏名】スレイター ナイジェル
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-080783(JP,A)
【文献】特開2014-144013(JP,A)
【文献】国際公開第2017/024353(WO,A1)
【文献】特表2015-521851(JP,A)
【文献】特表2015-533496(JP,A)
【文献】米国特許第04292762(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 31/00 - 31/06
A01G 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モジュール式農場システムにおいて、
ハブコンテナと、前記ハブコンテナに接続された複数のファームコンテナと、前記ハブコンテナとそれぞれの前記ファームコンテナとの間のユーザ連絡通路とを備え、
前記ハブコンテナは、共有作業スペースを有し、
前記複数のファームコンテナのそれぞれの前記ファームコンテナは、その中に作業ゾーンおよび生育ゾーンと、前記生育ゾーンの中で植物を栽培するために設置された複数の植付パネルと、前記植付パネルで栽培する植物に光を提供するために前記生育ゾーン内に設置された照明システムとを有
前記複数のファームコンテナは、共有の、取水接続部と排水ドレン接続部とを含み、前記取水接続部および前記排水ドレン接続部は、前記モジュール式農場システムの中に配置された灌漑システムと流体的に連通しており、前記灌漑システムは、前記複数の植付パネルに流体を供給する、
モジュール式農場システム。
【請求項2】
1以上の前記ファームコンテナの中の前記作業ゾーンは、育苗ステーション、養液センサ、養液キャニスタ、制御盤、および空気処理装置を1以上有する、
請求項1に記載のモジュール式農場システム。
【請求項3】
1以上の前記ファームコンテナの中の前記作業ゾーンは、種子発芽用の育苗ステーションを有する、
請求項1に記載のモジュール式農場システム。
【請求項4】
前記ハブコンテナの中の前記共有作業スペースは、種子発芽用の育苗ステーションを1以上有する、
請求項1に記載のモジュール式農場システム。
【請求項5】
前記育苗ステーションは、苗を保持するトラフと、前記トラフの中の苗に水養液を供給するように構成された養液投与システムとを有する、
請求項3または4に記載のモジュール式農場システム。
【請求項6】
前記ハブコンテナの中の前記共有作業スペースは、複数の前記ファームコンテナの1以上から収穫した成熟植物の梱包を行う作業面を持った梱包ステーションを有する、
請求項1ないし5のいずれか1項に記載のモジュール式農場システム。
【請求項7】
前記ファームコンテナのそれぞれは、前記ファームコンテナの長さ方向に延びた列に配置の前記複数の植付パネルと、前記植付パネルの前記列のそれぞれに対向する列に配置された複数の照明パネルとを有する、
請求項1ないしのいずれか1項に記載のモジュール式農場システム。
【請求項8】
前記ファームコンテナのそれぞれの中に複数の前記植付パネルおよび複数の前記照明パネルの一方または両方を吊り下げるように構成したサスペンションシステムをさらに有する、
請求項に記載のモジュール式農場システム。
【請求項9】
前記サスペンションシステムは、前記植付パネルおよび前記照明パネルの少なくとも一部を移動させるための台車システムを有する、
請求項に記載のモジュール式農場システム。
【請求項10】
前記植付パネルのそれぞれは、隣接して一体的に形成された複数の細長いチャネルと、前記植付パネルの背壁に設けられて前記サスペンションシステムから前記植付パネルを着脱自在に吊り下げるよう構成された取付け具とを有する、
請求項8または9に記載のモジュール式農場システム。
【請求項11】
前記ファームコンテナの中に前記灌漑システムを有し、
前記灌漑システムは、
前記ファームコンテナの中に設けられた養液リザーバと、
前記養液リザーバから前記植付パネルのそれぞれの上端に水養液を配送するために設けられた灌漑ラインと、
前記灌漑ラインに接続された前記養液リザーバの中のポンプと、を有する、
請求項1ないし10のいずれか1項に記載のモジュール式農場システム。
【請求項12】
前記灌漑システムはさらに、前記灌漑ラインに複数の放出部を有し、前記複数の放出部のそれぞれは前記植付パネルのそれぞれの細長いチャネルの上に設けられ、前記細長いチャネルのそれぞれは対応する放出部から水養液を受けるための開放上端部を有する、
請求項11に記載のモジュール式農場システム。
【請求項13】
前記植付パネルの前記細長いチャネルのそれぞれは、水養液を排出して前記養液リザーバに戻すための開放下端部を有する、
請求項12に記載のモジュール式農場システム。
【請求項14】
前記ファームコンテナのそれぞれの前記灌漑システムは、前記ハブコンテナに取水接続部を有する取水ラインと、前記ハブコンテナに排水接続部を有するドレンラインとを流体的に連通している、
請求項11に記載のモジュール式農場システム。
【請求項15】
複数の前記ファームコンテナのそれぞれの中に養液投与システムをさらに有し、
前記養液投与システムは、
前記養液リザーバからの水養液を再循環させるために設けられた再循環ラインと、
複数の栄養源と、
栄養分を前記再循環ラインに導入するために栄養源のそれぞれから前記再循環ラインまでのラインと、を有する、
請求項1ないし14のいずれか1項に記載のモジュール式農場システム。
【請求項16】
前記養液投与システムは、前記再循環ラインの中の水養液のpH、電気伝導率、温度のうちの1以上を検知するように設けられたセンサアセンブリをさらに有する、
請求項15に記載のモジュール式農場システム。
【請求項17】
前記ファームコンテナのそれぞれの中の生育環境の制御を自動化する制御システムをさらに有し、前記制御システムは、1以上のプロセッサと、メモリと、メモリに格納された機械読み取り可能なコマンドとを有し、1以上の前記プロセッサが前記コマンドを実行することにより、前記制御システムは、
複数の前記ファームコンテナの1以上から、前記ファームコンテナの中の1以上のセンサおよび機器からのデータを少なくとも含む情報を受信し、
少なくとも1つの前記ファームコンテナに、コンテナ式環境内の栽培状態に関するコマンドまたは通知からなる情報を送信する、処理を実行する、
請求項1ないし16のいずれか1項に記載のモジュール式農場システム。
【請求項18】
前記制御システムはさらに、1以上の前記ファームコンテナの中の前記センサおよび前記機器の1以上からのデータを少なくとも含む前記ハブコンテナからの情報を受信し、前記ハブコンテナを介して前記ファームコンテナの選択した1つに情報を送信する、処理を実行する、
請求項17に記載のモジュール式農場システム。
【請求項19】
前記送信される情報は、前記ファームコンテナの中の照明システム、前記灌漑システム、および気候制御システムのうち1以上の制御および監視を含む処理を実行する指示を含む、
請求項18に記載のモジュール式農場システム。
【請求項20】
前記ハブコンテナは、直線距離だけ延びており、複数の前記ファームコンテナは、前記ハブコンテナの片側または両側に前記ハブコンテナの前記直線距離に対して直交する方向に延びるように配置される、
請求項1ないし19のいずれか1項に記載のモジュール式農場システム。
【請求項21】
前記ハブコンテナは多角形構造を有し、前記複数のファームコンテナは、前記ハブコンテナの前記多角形構造の辺から放射状に延びる、
請求項1ないし20のいずれか1項に記載のモジュール式農場システム。
【請求項22】
ユーザ連絡通路用に前記ハブコンテナに接続された増設ハブコンテナと、前記増設ハブコンテナに接続可能な複数の増設ファームコンテナと、前記増設ハブコンテナと前記増設ファームコンテナのそれぞれとの間のユーザ連絡通路とをさらに有する、
請求項1ないし21のいずれか1項に記載のモジュール式農場システム。
【請求項23】
前記モジュール式農場システムは、2以上の分離ゾーンを有し、前記分離ゾーンのそれぞれは1以上の前記ファームコンテナまたは1以上の前記ハブコンテナを有し、前記ハブコンテナのそれぞれは前記ファームコンテナに対応し、前記分離ゾーンは異なる作物、異なる植物生育条件、または異なる取引先用に構成される、
請求項に記載のモジュール式農場システム。
【請求項24】
異なる生育条件用に前記分離ゾーンが構成され、前記生育条件は、照明、温度、養液、湿度、植え付け密度、および/またはCO濃度によって異なる、
請求項23に記載のモジュール式農場システム。
【請求項25】
請求項1のモジュール式農場システムを備え、
前記複数のファームコンテナの少なくとも1つの中で作物を栽培する、
作物栽培方法。
【請求項26】
前記ハブコンテナの前記共有作業スペースと前記ファームコンテナの前記作業ゾーンの一方または両方に備えられる育苗ステーションにおいて種子を発芽させ、複数の前記ファームコンテナの生育スペースにおいて苗を植えることをさらに含む、
請求項25に記載の作物栽培方法。
【請求項27】
複数の前記ファームコンテナの1以上から成熟作物を収穫し、前記ハブコンテナの前記共有作業スペース内の梱包ステーションで前記成熟作物を梱包することをさらに含む、
請求項25または26に記載の作物栽培方法。
【請求項28】
前記複数の植付パネルを吊るし、前記複数の植付パネルの少なくとも一部を、前記ファームコンテナの内側側壁に近づけて、または遠ざけて再配置する、頭上のサスペンションシステムを、さらに有する、
請求項1に記載のモジュール式農場システム。
【請求項29】
共通コンテナと、
前記共通コンテナに接続され、生育ゾーンをそれぞれが有する複数のファームコンテナと、
養液リザーバと、
水を入れる1以上のメインタンクと、
水と栄養素の混合物を可変的に供給する養液投与機構と、
前記共通コンテナと前記複数のファームコンテナのそれぞれとの間のユーザ連絡通路と、
を有し、
前記共通コンテナは、共有作業スペースを含み、
前記複数のファームコンテナのそれぞれは、前記生育ゾーンの中で植物を栽培するために設置され、それぞれが前記混合物の一部を受ける複数の植付パネルを含み、
前記複数の植付パネルのそれぞれは、
実質的に垂直方向に伸び、長手方向の範囲に沿って開口部を有し、内部に植物支持基材を含み、前記植物支持基材に対してチャネル壁の弾性によって圧力をかけることで前記植物支持基材をチャネル内に保持する弾性チャネルと、
前記複数の植付パネルのそれぞれの表面または表面近傍に形成され、少なくとも1つのポケットに設けられ、前記チャネルに面している少なくとも1つの植物保持用開口部と、
前記少なくとも1つの植物保持用開口部と前記混合物との間の流体連通のための流体開口部と、
を有するモジュール式農場システム。
【請求項30】
前記植物支持基材は、オープンセルフォーム材料を含む、請求項29に記載のモジュール式農場システム。
【請求項31】
前記複数の植付パネルのそれぞれの少なくとも一部は、可撓性を有し、前記少なくとも1つの植物保持用開口部を含む少なくとも1つのポケットを有する、請求項29に記載のモジュール式農場システム。
【請求項32】
前記弾性チャネルは、実質的に垂直方向に伸び、前記弾性チャネルの長手方向の範囲に沿って開口部を有し、前記少なくとも1つの植物保持用開口部は、前記弾性チャネルに面している、請求項31に記載のモジュール式農場システム。
【請求項33】
灌漑システムを有し、
前記灌漑システムは、
前記養液リザーバと、
前記養液リザーバから前記複数の植付パネルのそれぞれの上端に、前記混合物を配送するために設けられた灌漑ラインと、
前記灌漑ラインに接続された前記養液リザーバの中のポンプと、
を有する、請求項29に記載のモジュール式農場システム。
【請求項34】
前記複数のファームコンテナのそれぞれにおける前記灌漑システムは、前記複数のファームコンテナの間で共有されている取水ラインと、前記複数のファームコンテナの間で共有されている排水接続部を含むドレンラインに、流体的に連通している、請求項33に記載のモジュール式農場システム。
【請求項35】
前記養液投与機構と前記養液リザーバのうちの少なくとも1つは、前記複数のファームコンテナのそれぞれに含まれる、請求項29に記載のモジュール式農場システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許法120条の下で、2018年2月9日に出願された「Hub and Spoke Modular Farm System」と題する米国仮特許出願第62/628,585に基づく優先権を主張するものである。この米国仮出願の全内容を参照により援用する。
【0002】
本発明は、ハブアンドスポーク型のモジュール式農場システムおよびモジュール式農場システムによる作物栽培方法に関する。
【背景技術】
【0003】
人口が増加し、気候の変化が生育期に影響を与えるので、生鮮食品の必要性が高まっている。伝統的農法および長距離輸送に基づく現在の食糧供給モデルは、経済的、環境的に持続不可能である。伝統的な農業経営は、通常、農業地域に置かれていることにより、多額の先行投資や広大な面積を必要とし、また、種子から販売までの運用コストも高い。
【0004】
都市農業および地域農業も障害に直面している。都市部における生育スペースは限られており、高い需要を満たすには不十分である。温室の初期費用および運営費は高額のために、多くの企業にとって農作物の現地生産は困難である。屋上の温室をサポートする構造は、建築技師によって評価されなければならず、その重量を支えるために追加の筋交いが必要となることもよくある。都市の耕作地は、大抵、汚染土壌に対処しなければならない。多くの水耕システムは、農業環境下での導入を意図しているため、水耕システムを都市の土地で使用することは容易ではなく、また、輸送も容易ではなく、運用するために高い人材トレーニングが必要となる。
【0005】
近年、これらの問題を解決するためにコンテナ型農業システムが開発されている。例えば、米国特許9,288,948に開示されているモジュール式コンテナにおける生育システムが高収量作物の生産用に開発されている。モジュール式コンテナ内の生育システムは、植物に成長するまで種子を育てるための発芽ステーションと、生育している植物を保持するための複数の垂直ラックと、植物に適切な光を供給する照明システムと、植物に栄養分を供給する灌漑システムと、コンテナ内の環境条件を制御する気候制御システムと、植物に空気を送り込む換気システムとを有する。
【発明の概要】
【0006】
中心となる、または集中化されたハブコンテナと、そのハブコンテナからそれぞれ外側に延ばされた複数のファームコンテナとを有する効率的な植物生産のためのモジュール式農場システムが提供される。
【0007】
幾つかの実施の形態では、モジュール式農場システムは、ハブコンテナと、そのハブコンテナに接続可能な複数のファームコンテナとを有し、好適には、ハブコンテナと各ファームコンテナとの間にユーザがアクセス可能な連絡通路を有する。ハブコンテナは、共有の作業スペースと、好適には、ハブコンテナに関連付けられ、複数のファームコンテナ間で分配するために設置された少なくとも1つの共有ユーティリティとを有する。各ファームコンテナは、その中に設置された作業ゾーンおよび生育ゾーンと、生育ゾーン内で植物を生育するために設けられた複数の植付パネルと、植付パネル内で生育している植物に光を与えるよう生育ゾーンに配置された照明システムとを有する。
【0008】
モジュラー式農場システムは、様々なハブアンドスポーク型または分岐型構造を有することができる。幾つかの実施の形態では、ハブコンテナおよびファームコンテナのそれぞれは、平面視で矩形である。ファームコンテナは、それぞれハブコンテナの長壁に当接して配置することができる短壁を有している。各ファームコンテナは、スペースを開けてまたは互いに密着して配置することができる。
【0009】
他の実施の形態および態様は、以下を含む。
1.ハブコンテナと、前記ハブコンテナに接続された複数のファームコンテナと、前記ハブコンテナとそれぞれの前記ファームコンテナとの間のユーザ連絡通路とを備え、前記ハブコンテナは、共有作業スペースと、複数の前記ファームコンテナ間で分配される少なくとも1つの任意の共有ユーティリティとを有し、それぞれの前記ファームコンテナは、その中に作業ゾーンおよび生育ゾーンと、前記生育ゾーンの中で植物を栽培するために設置された複数の植付パネルと、前記植付パネルで栽培する植物に光を提供するために前記生育ゾーン内に設置された照明システムとを有する、モジュール式農場システム。
【0010】
2.1以上の前記ファームコンテナの中の前記作業ゾーンは、育苗ステーション、養液センサ、養液キャニスタ、制御盤、および空気処理装置を1以上有する、第1の実施の形態のモジュール式農場システム。
【0011】
3.1以上の前記ファームコンテナの中の前記作業ゾーンは、種子発芽用の育苗ステーションを有する、第1または第2の実施の形態のモジュール式農場システム。
4.前記ハブコンテナの中の前記共有作業スペースは、種子発芽用の育苗ステーションを1以上有する、第1ないし第3のいずれかの実施の形態のモジュール式農場システム。
【0012】
5.前記育苗ステーションは、苗を保持するトラフと、前記トラフの中の苗に水養液を供給するように構成された養液投与システムとを有する、第3または第4の実施の形態のモジュール式農場システム。
【0013】
6.前記ハブコンテナの中の前記共有作業スペースは、複数の前記ファームコンテナの1以上から収穫した成熟植物の梱包を行う作業面を持った梱包ステーションを有する、第1ないし第5のいずれかの実施の形態のモジュール式農場システム。
【0014】
7.前記ハブコンテナの少なくとも1つの共有ユーティリティは、前記ハブコンテナに設置された凝縮ユニットと複数の前記ファームコンテナのそれぞれに設置された空気調和機とを含むスプリット型の冷暖房システムを備えた気候制御システムを有する、第1ないし第6のいずれかの実施の形態のモジュール式農場システム。
【0015】
8.前記気候制御システムは、前記凝縮ユニットから前記空気調和機のそれぞれまで電源ケーブルおよび冷媒管を含む導管を有するダクトレスシステムまたは調和空気を前記ファームコンテナのそれぞれに送るダクトを有するダクトシステムを備えた、第7の実施の形態のモジュール式農場システム。
【0016】
9.前記ハブコンテナの少なくとも1つの前記共有ユーティリティは、電気コンセントと複数の前記ファームコンテナのそれぞれまたは一部への配線とを含み、前記配線は少なくとも2つの別のゾーンに分配されている、第1ないし第8のいずれかの実施の形態のモジュール式農場システム。
【0017】
10.前記ハブコンテナの少なくとも1つの前記共有ユーティリティは、取水接続部と排水ドレン接続部とを含み、前記取水接続部および前記排水ドレン接続部は、前記ファームコンテナのそれぞれの灌漑システムと流体的に連通している、第1ないし第9のいずれかの実施の形態のモジュール式農場システム。
【0018】
11.前記ファームコンテナのそれぞれは、前記ファームコンテナの長さ方向に延びた列に配置の複数の植付パネルと、前記植付パネルの前記列のそれぞれに対向する列に配置された複数の照明パネルとを有する、第1ないし第10のいずれかの実施の形態のモジュール式農場システム。
【0019】
12.前記ファームコンテナのそれぞれの中に複数の前記植付パネルおよび複数の前記照明パネルの一方または両方を吊り下げるように構成したサスペンションシステムをさらに有する、第11の実施の形態のモジュール式農場システム。
【0020】
13.前記サスペンションシステムは、前記植付パネルおよび前記照明パネルの少なくとも一部を移動させるための台車システムを有する、第12の実施の形態のモジュール式農場システム。
【0021】
14.少なくとも1列の前記植付パネルと少なくとも1列の照明パネルを、前記ファームコンテナの内壁に対して近接または離間するように移動可能に設置される可動取付システムをさらに有する、第1ないし第12のいずれかの実施の形態のモジュール式農場システム。
【0022】
15.前記可動取付システムは、前記ファームコンテナの内部の幅にわたって延びる1以上のクロスレールを含むサスペンションシステムを有し、前記植付パネルおよび前記照明パネルは前記クロスレールに沿って移動可能に設置される、第14の実施の形態のモジュール式農場システム。
【0023】
16.前記可動取付システムは、前記植付パネルおよび前記照明パネルの一方または両方の底に前記ファームコンテナの床を移動するために取り付けられる車輪を更に有する、第14または第15の実施の形態のモジュール式農場システム。
【0024】
17.前記植付パネルのそれぞれは、隣接して一体的に形成された複数の細長いチャネルと、前記植付パネルの背壁に設けられて前記サスペンションシステムから前記植付パネルを着脱自在に吊り下げるよう構成された取付け具とを有する、第1ないし第16のいずれかの実施の形態のモジュール式農場システム。
【0025】
18.前記ファームコンテナの中に灌漑システムをさらに有し、前記灌漑システムは、前記ファームコンテナの中に設けられた養液リザーバと、前記養液リザーバから前記植付パネルのそれぞれの上端に水養液を配送するために設けられた灌漑ラインと、前記灌漑ラインに接続された前記養液リザーバの中のポンプと、を有する、第1ないし第17のいずれかの実施の形態のモジュール式農場システム。
【0026】
19.前記灌漑システムはさらに、前記灌漑ラインに複数の放出部を有し、前記複数の放出部のそれぞれは前記植付パネルのそれぞれの細長いチャネルの上に設けられ、前記細長いチャネルのそれぞれは対応する放出部から水養液を受けるための開放上端部を有する、第18の実施の形態のモジュール式農場システム。
【0027】
20.前記植付パネルの前記細長いチャネルのそれぞれは、水養液を排出して前記養液リザーバに戻すための開放下端部を有する、第19の実施の形態のモジュール式農場システム。
【0028】
21.前記ファームコンテナのそれぞれに中の前記灌漑システムは、前記ハブコンテナに取水接続部を有する取水ラインと、前記ハブコンテナに排水接続部を有するドレンラインとを流体的に連通している、第18ないし第20のいずれかの実施の形態のモジュール式農場システム。
【0029】
22.複数の前記ファームコンテナのそれぞれの中に養液投与システムをさらに有し、前記養液投与システムは、前記養液リザーバからの水養液を再循環させるために設けられた再循環ラインと、複数の栄養源と、栄養分を前記再循環ラインに導入するために栄養源のそれぞれから前記再循環ラインまでのラインと、を有する、第1ないし第21のいずれかの実施の形態のモジュール式農場システム。
【0030】
23.前記養液投与システムは、前記再循環ラインの中の水養液のpH、電気伝導率、温度のうちの1以上を検知するように設けられたセンサアセンブリをさらに有する、第22の実施の形態のモジュール式農場システム。
【0031】
24.前記ファームコンテナのそれぞれの中の生育環境の制御を自動化する制御システムをさらに有し、前記制御システムは、1以上のプロセッサと、メモリと、メモリに格納された機械読み取り可能なコマンドとを有し、1以上の前記プロセッサが前記コマンドを実行することにより、前記制御システムは、複数の前記ファームコンテナの1以上から、前記ファームコンテナの中の1以上のセンサおよび機器からのデータを少なくとも含む情報を受信し、少なくとも1つの前記ファームコンテナに、コンテナ式環境内の栽培状態に関するコマンドまたは通知からなる情報を送信する、処理を実行する、第1ないし第23のいずれかの実施の形態のモジュール式農場システム。
【0032】
25.前記制御システムはさらに、1以上の前記ファームコンテナの中の前記センサおよび前記機器の1以上からのデータを少なくとも含む前記ハブコンテナからの情報を受信し、前記ハブコンテナを介して前記ファームコンテナの選択した1つに情報を送信する、処理を実行する、第24の実施の形態のモジュール式農場システム。
【0033】
26.前記送信される情報は、前記ファームコンテナの中の照明システム、灌漑システム、および気候制御システムのうち1以上の制御および監視を含む処理を実行する指示を含む、第25の実施の形態のモジュール式農場システム。
【0034】
27.前記ハブコンテナおよび前記ファームコンテナは平面視で矩形であり、前記ファームコンテナのそれぞれは、前記ハブコンテナの長壁に当接するように配置される短壁を有し、前記ファームコンテナのそれぞれは、隣接するファームコンテナの長壁に当接する長壁を有する、第1ないし第26のいずれかの実施の形態のモジュール式農場システム。
【0035】
28.前記ハブコンテナは、直線距離だけ延びており、複数の前記ファームコンテナは、前記ハブコンテナの片側または両側に前記ハブコンテナの前記直線距離に対して直交する方向に延びるように配置される、第1ないし第27のいずれかの実施の形態のモジュール式農場システム。
【0036】
29.前記ハブコンテナは多角形構造を有し、前記複数のファームコンテナは、前記ハブコンテナの前記多角形構造の辺から放射状に延びる、第1ないし第28のいずれかの実施の形態のモジュール式農場システム。
【0037】
30.ユーザ連絡通路用に前記ハブコンテナに接続された増設ハブコンテナと、前記増設ハブコンテナに接続可能な複数の増設ファームコンテナと、前記増設ハブコンテナと前記増設ファームコンテナのそれぞれとの間のユーザ連絡通路とをさらに有する、第1ないし第29のいずれかの実施の形態のモジュール式農場システム。
【0038】
31.前記ハブコンテナを2以上有し、前記ハブコンテナのそれぞれは、複数の個別の前記ファームコンテナに連絡通路を介して接続される、第1ないし第30のいずれかの実施の形態のモジュール式農場システム。
【0039】
32.2以上の前記ハブコンテナは、1以上の連絡通路を介して接続される、第31の実施の形態のモジュール式農場システム。
33.前記モジュール式農場システムは、2以上の分離ゾーンを有し、前記分離ゾーンのそれぞれは1以上の前記ファームコンテナまたは1以上の前記ハブコンテナを有し、前記ハブコンテナのそれぞれは前記ファームコンテナに対応し、前記分離ゾーンは異なる作物、異なる植物生育条件、または異なる取引先用に構成される、第31または第32の実施の形態のモジュール式農場システム。
【0040】
34.異なる生育条件用に前記分離ゾーンが構成され、前記生育条件は、照明、温度、養液、湿度、植え付け密度、および/またはCO濃度によって異なる、第33の実施の形態のモジュール式農場システム。
【0041】
35.第1ないし第34のいずれかの実施の形態のモジュール式農場システムを備え、前記複数のファームコンテナの少なくとも1つの中で作物を栽培する、作物栽培方法。
36.前記ハブコンテナの前記共有作業スペースと前記ファームコンテナの前記作業ゾーンの一方または両方に備えられる育苗ステーションにおいて種子を発芽させ、複数の前記ファームコンテナの生育スペースにおいて苗を植えることをさらに含む、第35の実施の形態の作物栽培方法。
【0042】
37.複数の前記ファームコンテナの1以上から成熟作物を収穫し、前記ハブコンテナの前記共有作業スペース内の梱包ステーションで前記成熟作物を梱包することをさらに含む、第35または第36の実施の形態の作物栽培方法。
【0043】
38.ファームコンテナと、前記ファームコンテナ内で植物を栽培するために、少なくとも1列に設置された複数の植付パネルと、少なくとも1列の前記植付パネルおよび前記少なくとも1列の照明パネルを、前記ファームコンテナの内壁に対して近接または離間するように移動可能に設置される可動取付システムと、を有する、モジュール式農場システム。
【0044】
39.前記可動取付システムは、前記ファームコンテナ内部の幅にわたって延びる1つ以上のクロスレールを含むサスペンションシステムを有し、前記植付パネルおよび前記照明パネルは前記クロスレールに沿って移動可能に設置される、第38の実施の形態のモジュール式農場システム。
【0045】
40.前記可動取付システムは、前記植付パネルと前記照明パネルの一方または両方の底に前記ファームコンテナの床を移動するために取り付けられた車輪を更に有する、第38または第39の実施の形態のモジュール式農場システム。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】モジュール式農場システムの一実施の形態の等角図である。
図2図1のモジュール式農場システムの平面図である。
図3図1のモジュール式農場システムの更なる等角図である。
図4図1のモジュール式農場システムの更なる等角図である。
図5】別の一実施の形態におけるモジュール式農場システムの等角図である。
図6図5のモジュール式農場システムの平面図である。
図7図5のモジュール式農場システムの1つのファームコンテナの等角図である。
図8図7のファームコンテナの平面図である。
図9】別の一実施の形態のおけるモジュール式農場システムの等角図である。
図10図9のモジュール式農場システムの平面図である。
図11図9のモジュール式農場システムの1つのファームコンテナの等角図である。
図12図11のファームコンテナの平面図である。
図13】一実施の形態における植付パネルの部分正面図である。
図14】一実施の形態における植物を収容している植付パネルの等角正面図である。
図15図14の植付パネルの等角背面図である。
図16図14の植付パネルの背面図である。
図17】植物の無い、図14の植付パネルの平面図である。
図18図17に示す植付パネルの拡大図である。
図19A】一実施の形態におけるファームコンテナの平面図であり、大きな中央作業スペースを作るために中央の植付パネルと照明パネルを一方に動かした図である。
図19B図19Aに示すファームコンテナの等角図である。
図20】一対の照明パネルを示し、各照明パネルは、赤(R)と青(B)交互の10個のLED照明ストリップを有する。
図21A】ハブアンドスポーク型モジュール式農場システムのレイアウトの一例を示す概略図である。
図21B】ハブアンドスポーク型モジュール式農場システムのレイアウトの一例を示す概略図である。
図21C】ハブアンドスポーク型モジュール式農場システムのレイアウトの一例を示す概略図である。
図21D】ハブアンドスポーク型モジュール式農場システムのレイアウトの一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1ないし図4を参照すると、ハブアンドスポーク型または分岐型構造のモジュール式農場システム10が提供される。このモジュール式農場システム10は、ハブコンテナ12と、このハブコンテナ12に接続され、ハブコンテナ12を介してアクセス可能な2以上のファームコンテナ14とを有する。ファームコンテナ14のそれぞれは、制御環境下で、水耕により作物を生育させるスペースを提供する。ハブコンテナ12は、共有の設備および作業スペースを収容し、以下でさらに説明するように、いくつかのユーティリティシステムの分配およびいくつかの農作業の統合を提供することができる。ハブコンテナ12には、ユーザがモジュール式農場システム10にアクセスするためのメインエントランス16が設けられている。ハブコンテナ12の内側からは、それぞれ接続されたファームコンテナ14へユーザがアクセスするための連絡通路18が設けられている。
【0048】
モジュール式農場システム10では、1以上の作物の生育サイクルの全てを農家の人が処理することができる。種子の植え付けおよび発芽から、生育ゾーンへの苗の移植、成熟まで植物の生育、作物の収穫、出荷用の梱包までの作物栽培に関わる全ての作業をファームコンテナ14および/またはハブコンテナ12の中で行うことができ、それによって、作業フローが向上する。農家の人は、農場のある場所から別の場所へ長い距離を歩く必要がなく、離れた場所から苗を運搬する必要もない。
【0049】
幾つかの実施の形態では、モジュール式農場システム10のファームコンテナ14の全てを、一種類の作物の生育用に使用することができる。幾つかの実施の形態では、ファームコンテナ14のそれぞれまたは一部で、異なる種類の作物を生育することができる。幾つかの実施の形態では、1つのファームコンテナ14で2種類以上の作物を生育することができる。これらの形態により、スペース、エネルギ、農家の人の時間の有効利用が可能となり、作物の密度および収量を上げ、スケールメリットを実現することができる。幾つかの実施の形態では、モジュール式農場システム10は、1つのファームコンテナ14の中の植付用地の数を最大80%まで増加させることができる。例えば、幾つかの実施の形態では、植物の間隔をより狭くすることを可能にし、様々なサイズを有する複数の品種を互いに隣接して植えることにより、80%の増加が達成できる。幾つかの実施の形態では、モジュール式農場システム10は、エネルギ使用量の最大25%の削減を提供することができる。幾つかの実施の形態では、モジュール式農場システム10は、労働力の15から30%を削減することができる。
【0050】
図1ないし図4に示される実施の形態では、ハブコンテナ12およびファームコンテナ14はそれぞれ矩形である。ファームコンテナ14は、図2に示されるように、ハブコンテナ12からその長壁22に直交する方向に延びていて、長壁24が互いに当接するように配置されている。ファームコンテナ14を当接させることは、コンテナの熱効率が向上し、当接している壁内での断熱材の使用を最小限にできる。幾つかの実施の形態では、ファームコンテナ14をハブコンテナ12の両側の長壁から延ばすことができる。ユーザアクセス用のメインエントランス16は、ハブコンテナ12の一方の短壁26に設けられる。図1に示されるように、ユーザがアクセスするための連絡通路18は、ハブコンテナ12の内側から、接続されたファームコンテナ14のそれぞれに設けられる。連絡通路18のそれぞれは、ファームコンテナ14のそれぞれの短壁28の開口部が、接続されたハブコンテナ12の長壁22の開口部と整列して形成される。ハブコンテナ12へのメインエントランス16およびファームコンテナ14への連絡通路18を閉めるために、最適なドア32が設けられている。その結果、適切な栽培条件を維持するために農場環境を密閉することができる。ハブコンテナ12の反対側の短壁34には、例えば非常口用に追加のドアを備えることができる。
【0051】
図1ないし図4に示される実施の形態では、ハブコンテナ12およびファームコンテナ14の寸法は全て同じであり、ファームコンテナ14の長壁24が互いに当接した状態で全てのファームコンテナ14の短壁28の幅の合計がハブコンテナ12の長壁22の長さに一致するように選択されている。例えば、ハブコンテナ12およびファームコンテナ14は、短壁が244センチメートル(96インチ(8フィート))、長壁が1219センチメートル(480インチ(40フィート))の幅を有するとすると、5つのファームコンテナ14をハブコンテナ12に接続することができる。ハブコンテナ12およびファームコンテナ14は他の寸法を有してもよい。例えば、ハブコンテナ12の長壁の長さを、ファームコンテナ14の短壁の長さのちょうど数倍になるようにしなくてもよい。1つのハブコンテナ12に接続されるファームコンテナ14は、異なる長さを有してもよい。幾つかの実施の形態では、ファームコンテナ14はハブコンテナ12から異なる角度で延びるように配置してもよい。例えば、平面視でハブコンテナ212は、三角形、五角形、六角形等の多角形または円形の構造を有し、図21Aに示されるように、1以上のファームコンテナ214をハブコンテナ212の側壁から放射状に延びるように配置してもよい。幾つかの実施の形態では、図21Bに示されるように、2以上のハブコンテナ312の短壁を当接して直線的に接続し、より長く連結したハブコンテナアセンブリを形成してもよい。幾つかの実施の形態では、図21Cに示されるように、2以上のハブコンテナ412の長壁を当接して一緒に連結することができる。幾つかの実施の形態では、ハブコンテナまたは一連のハブコンテナを2286、4572、6858、9144センチメートル(25、50、75、100ヤード)またはそれ以上の長さに延ばすことができる。幾つかの実施の形態では、図21Dに示されるように、中央のハブコンテナ512は数個の分岐部513を有し、それぞれの分岐部513は、ファームコンテナ514が接続される1以上の補助ハブコンテナ512‘を有してもよい。
【0052】
例えば、栽培されることが望まれる作物、望まれる作物生産の規模、およびモジュール式農場システム10を配置するスペースによって決定されるように、様々な階層的な分岐型またはハブアンドスポーク型構造が使用可能であることが理解されよう。モジュール式農場システム10の特別な構成や柔軟性は、収穫量の拡大や収穫スケジュール調整のための多数のオプションを備える。例えば、1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,15,20,25,30,40,50,60,70,80,90,100個またはそれ以上のファームコンテナ14で、1種類の作物や、選択した作物群を、同じサイクルで栽培して収穫することができる。同期化されたスケールアップは、個々の顧客ニーズに応えるのに有用であり、または、異なる取引先のそれぞれに、拡張したモジュール式農場システム10において固有の統合した物理領域を供給することができる。
【0053】
[1.ハブコンテナ共有作業スペース]
上述したように、ハブコンテナ12は、作業用の共有スペース40と、いくつかのファームコンテナ14で共有されるシステムとを提供する。幾つかの実施の形態では、図5および図6に示す梱包ステーション42が設けられ、そこでは、取り付けられたファームコンテナ14から収穫した作物を、取り付けられた全てのまたは1以上のファームコンテナ14から一度に、出荷用に梱包することができる。梱包ステーション42は、例えば、ファームコンテナ14への連絡通路18とは反対側にハブコンテナ12の長い内壁に沿って延びる作業面44を有することができる。作業面44は、必要に応じて、他の所望の作業に利用することもできる。必需品や他の品目の保管用に棚46を壁に沿って設けることができる。ハブコンテナ12の一端または両端などの適当な場所に、例えば手洗い用または工具または他の器具の清掃用に1または複数のシンク48を設けることができる。幾つかの実施の形態では、1以上の育苗ステーション(後述する)をハブコンテナ12に設置することができる。
【0054】
ハブコンテナ12はまた、ファームコンテナ14のための共有設備を提供することもできる。幾つかの実施の形態では、共有設備は、複数のファームコンテナ14の間で分配される様々なユーティリティを含むことができる。例えば、取水接続部52および排水ドレン接続部をハブコンテナ12に備えることができる。図2には、ハブコンテナ12の短壁に取水接続部52が示されている。しかし、他の場所に備えられてもよい。後述するように、取水接続部52およびドレン接続部は、それぞれファームコンテナ14の中の灌漑システムに接続することができる。
【0055】
[2.気候制御またはHVAC(暖房換気空調)システム]
幾つかの実施の形態では、スプリット型冷暖房システムが使用できる。全てのまたは一部のファームコンテナ14は、独自のゾーンに設けることができる。凝縮器および圧縮器を収納している凝縮ユニットは、ハブコンテナ12の外壁など、モジュール式農場システム10の外部のユニットに設置することができる。図2および図4は、凝縮ユニット54a,54bの場所として2つの候補を示している。凝縮ユニット54a,54bは、各ファームコンテナ14の間で共有することができる。蒸発器およびエアファンを収納している空気処理装置56は、各ファームコンテナ14の中に配置することができる。幾つかの実施の形態では、冷暖房システムは、ダクトレスシステムである。外部の凝縮ユニットから内部の空気処理装置まで、電源ケーブル、冷媒管、吸入管、凝縮水ドレンを含む適切な導管を設置することができる。導管は、ハブコンテナ12およびファームコンテナ14の壁、床および天井の1以上のアクセスパネルに設置できる。
【0056】
幾つかの実施の形態では、ハブコンテナ12からファームコンテナ14まで適切なダクトを備えたダクト付スプリット型冷暖房システムが提供される。幾つかの実施の形態では、各ファームコンテナ14は、各自専用の冷暖房システムを備えることができる。幾つかの実施の形態では、図19Bに示されるように、HVAC吸気口55をファームコンテナ14に設けることができる。エアダクト58は、ファームコンテナ14の長さに沿って設けることができる。1以上の吸気ファン57および排気ファン59は、ファームコンテナ14の端の部分等の適切な場所に設置することができる。
【0057】
幾つかの実施の形態では、空調ユニットは、1以上のファームコンテナ14の屋根および/またはハブコンテナ12の屋根に設置することができる。多数のエアレジスタは、ファームコンテナ14およびハブコンテナ12それぞれの天井パネルに設置することができる。排気カウルもまた、それらの屋根に設置することができる。気候センサは、ファームコンテナ14および/またはハブコンテナ12の中に設置され、気温、湿度レベル、COレベルおよび気流のようなパラメータを感知することができる。幾つかの実施の形態では、吸気ハウジングおよび送風ファンを各ファームコンテナ14の中に設置することができる。幾つかの実施の形態では、ファンは、植物を通って上向きに空気を吹き出すように配向することができる。幾つかの実施の形態では、必要に応じて、COを供給するCOキャニスタ51を設けることができる。
【0058】
[3.電気システム]
電気システムは、電気で動作する様々なシステムに電力を供給するための入力電力を供給する。電気コンセントは、ハブコンテナ12の外壁に設けられ、電力をモジュール式農場システム10に供給することができる。図2および図4は、電気コンセント62a,62bの場所として2つの候補を示す。メインブレーカーボックス64をハブコンテナ12の内壁に設けることができる。幾つかの実施の形態では、電気ゾーンは、他のファームコンテナ14および/または一部のファームコンテナのゾーンとは独立に、各ファームコンテナ14または一部のファームコンテナ14のために設けることができる。図1,4,7に示されるように、各ファームコンテナ14は、ハブコンテナ12の中の共有スペースからアクセス可能な壁に配置される電気制御盤66を有することができる。幾つかの実施の形態では、農家の人がデータ、コマンド、指示または他の情報を入力するためのタッチスクリーンまたは他のパネル68を、例えば、ファームコンテナ14への連絡通路のある箇所に設けることができる。配線は、電気コンセント62a,62bから各ファームコンテナ14の電気制御盤66へ提供することができる。配線は、ハブコンテナ12およびファームコンテナ14の壁および天井内のアクセススペースを這わせることができる。
【0059】
[4.ファームコンテナ]
各ファームコンテナ14は、作業ゾーン70と生育ゾーン80とを有する囲まれたスペースを提供する。生育ゾーン80では、垂直支柱に作物を成熟するまで生育するための植付パネル90が複数設けられる。作業ゾーン70には、苗を植付パネル90に移植するなどの作業用に作業面を設けることができる。例えば、手洗い用または工具または機器用の清掃用のシンク48が設置され得る。幾つかの実施の形態では、種子の植え付けおよび発芽用の育苗ステーション72(後述する)は、ファームコンテナ14の中の作業ゾーン70に設けることができる。図5ないし図8は、育苗ステーション72が作業ゾーン70に設けられている一実施の形態を示す。図9ないし図12は、作業ゾーン70が準備エリアを有し、各ファームコンテナ14のために備えられる育苗ステーション72がハブコンテナ12の中に配置されている一実施の形態を示す。幾つかの実施の形態では、ファームコンテナ14は、そのファームコンテナ14を複数のエリアに分割する1以上の仕切板を有する。幾つかの実施の形態では、複数のエリアは、生育ゾーン80と、作業ゾーン70と、ファームコンテナ14の外部から生育ゾーン80への異物混入を抑えるエアロックとを含むことができる。エアロックは、農家の人がファームコンテナ14の外部から作業ゾーン70または生育ゾーン80へアクセスできるようにすることができる。
【0060】
作物を生育するのに好適な環境を作り出すために、様々なシステムをファームコンテナ14の中に配置することができる。システムは、植付パネル90および育苗ステーション72で栽培している植物に水養液を供給する灌漑システム160を含む。照明システム110は、植物のために最適な振動数およびスケジュールで光を提供することができる。例えば暖房、換気および空調またはHVACシステムなどの気候制御システムは、最適な温度、湿度レベル、COレベルおよび空気の流れを提供することができる。上述したように、これらのシステムへの接続は、ハブコンテナ12からファームコンテナ14の壁を介して提供することができ、例えば、水、電気およびHVACの導管をファームコンテナ14に引き込み、様々なシステムを備え、動作させることができる。
【0061】
図5ないし図12を参照すると、幾つかの実施の形態では、生育ゾーン80の中で複数の植付パネル90がファームコンテナ14の長さ方向に4列配置されている。外側の2列は各長壁に沿って延びており、植物は中心に向かって内向きに向けられている。中央の2列は、生育ゾーン80の中心に沿って背中合わせで延びており、植物は外側の列に向かって外向きに向いている。対向している植物の列の間には、照明器具の列が配置されている。
【0062】
[5.植付パネル]
幾つかの実施の形態では、各植付パネル90は、複数の隣接した細長い生育チャネル92を有することができる。図13ないし図18を参照すると、幾つかの実施の形態では、各植付パネル90は一体的に形成され、多数の垂直生育チャネル92を有することができる。図示の実施の形態においては、5つの生育チャネル92が示されているが、所望の数の生育チャネル92を設けることができる。各生育チャネル92は、2つの側壁94、背壁96、開放前面98を有することができる。各生育チャネル92は、上端102および下端104で開放しているか、または開口部を有する。幾つかの実施の形態では、生育チャネル92の中の植物支持培地の保持を補助および/または側壁94を強化するために、側壁94の前縁に沿ってタブを配置することができる。幾つかの実施の形態では、側壁94の前縁に沿って補強ビードを配置することができる。生育チャネル92は、正方形、矩形、U字型、C字型、楕円形などの任意の断面形状を有することができる。植付パネル90は、食品グレードの高密度ポリエチレンまたはポリ塩化ビニルなどの植物に対して毒性のないポリマー材料で形成することができる。他の材料を使用してもよい。その材料は、重量を最小限に抑えるために非金属性とすることができる。植付パネル90は、押出、成形、または積層造形などの任意の適切な方法で形成することができる。
【0063】
植物支持培地106は、生育チャネル92の中に配置される。植物支持培地106は、単一の材料片でもよいし、共に圧縮された2つの材料片から形成されてもよく、生育チャネル92に合わせ、材料片の長さに沿って連続スリットまたは複数の離散的なスリットを有する。植物支持培地106は、植物支持培地106を圧迫するチャネル壁の弾力性によって、生育チャネル92の中に保持することができる。苗プラグは、植物支持培地106の中または植物支持培地106の間のスリットに配置される。灌漑システム160からの水養液は、開放された頂端部を通って各生育チャネル92に供給され、開放された下端部を通って滴下し、植物支持培地106を通って下方に流れるときに生育チャネル92の中の植物に灌漑を行う。
【0064】
幾つかの実施の形態では、植物支持培地106は、大きな細孔容積を有するオープンセルフォームまたはマトリクス材料である。幾つかの実施の形態では、オープンセルフォーム材料は、ポリウレタンまたはポリエーテルである。ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステルなど他のオープンセルフォーム材料を使用することができる。幾つかの実施の形態では、水養液とその材料との間の接触を最小限に抑えるために、材料を例えばシリコーン結合剤またはコーティングで処理することができる。繊維状成長材料(fibrous growth material)など他のタイプの植物支持培地106が使用できる。
【0065】
植付パネル90は、任意の最適な方法で設置できる。幾つかの実施の形態では、植付パネル90は頭上のサスペンション構造から吊るすことができる。幾つかの実施の形態では、各植付パネル90は、頂部近くに1または複数の孔108を有し、サスペンション構造からフックまたはタブに掛けることができる。幾つかの実施の形態では、植付パネル90を掛けられるように、1以上の溝109を背壁96に設けることができる。幾つかの実施の形態では、植付パネル90は、生育チャネル92の裏側に取付け具を有することができる。幾つかの実施の形態では、植付パネル90は、ファームコンテナ14の内壁、例えば、内壁に固定された取付け具に取り付けることができる。幾つかの実施の形態では、内壁は、植付パネル90を受ける凹部を有することができる。
【0066】
植付パネル90は、他の構成を有することもできる。例えば、さらなる幾つかの実施の形態では、複数のチャネル形タワーを備えることができる。各タワーは、サスペンション構造から垂直に吊り下げることができる。各タワーは、頂部近くに1または複数の孔を有し、サスペンション構造からフックまたはタブに掛けることができる。幾つかの実施の形態では、複数の植付パネル90は、細長い生育チャネル92をほぼ背中合わせに配置して植付パネル90の両面が植物の壁となるように配置することができる。
【0067】
幾つかの実施の形態では、可撓性の植付パネル90は、支持パネルと、支持パネルの一方の面に設けられた生育ポケットと、支持パネルの他方の面に設けられた養液流路と、生育ポケットと養液流路との間の流体連通用に支持パネル内にある流体用開口とで形成することできる。フック用の1以上の開口部は、サスペンション構造から吊り下げるために支持パネルの頂部に設けることができる。
【0068】
幾つかの実施の形態では、植付パネルはラックとして形成され、1以上のレセプタクルを支持することができる。幾つかの実施の形態では、ラックは、レセプタクルを載置し得る1以上の棚を有することができる。棚は1以上の垂直ロッドを介して吊り下げ固定具に取り付けることができる。幾つかの実施の形態では、レセプタクルは、きのこを含む真菌類の生育に最適な接種基質を収容することができる袋または密閉型レセプタクルとすることができる。幾つかの実施の形態では、レセプタクルは所望の植物用に作られたポットでもよい。
【0069】
[6.照明システム]
幾つかの実施の形態では、図5ないし図12に示したように、照明システム110は、サスペンションシステム130の下方に位置する中央列に沿って設置されたライト112を有することができる。サスペンションシステム130は、植物が側壁および中央の列に設けられたライト112に対向するように植付パネル90を吊り下げることができる。このように、ライト112は、成長している植物に十分近い位置に配置することができる。
【0070】
幾つかの実施の形態では、図20に示したように、照明器具は、基質パネル122の両側または片側に支持される多数のLEDライトストリップ118を有する照明パネル116として設けることができる。幾つかの実施の形態では、基質パネル122は、ローゲージのアルミニウムまたはアルミニウム合金から作ることができる。LEDライトストリップ118は、基質パネル122の上に水平方向または垂直方向の列に配置することができる。異なる色のLEDライトストリップ118が、任意の植物の必要性に応じて組み合わされて配置することができる。図示の実施の形態において、赤(R)と青(B)のLEDライトストリップ118が交互に示されている。基質パネル122は、頭上のサスペンションシステム130から吊り下げる等、任意の適切な方法で設置することができる。例えば、サスペンション構造からのフックまたはタブに掛けるため、基質パネル122の頂部に1以上の開口部を設けることができる。
【0071】
他の照明器具の配置も利用することができる。例えば、幾つかの実施の形態では、照明は、LEDライトカーテンとして提供することができる。
照明は、最適な振動数のものを選択することができる。照明は、特定の作物に合わせて選択される。幾つかの実施の形態では、青色ライトおよび赤色ライトのように、複数の振動数の組み合わせを提供することができる。幾つかの実施の形態では、例えばきのこ用に青色ライトが提供される。幾つかの実施の形態では、ライトにタイマを設けて、植物が暗闇の中である時間を過ごすようにすることができる。
【0072】
白色作業灯は、農家の人がファームコンテナ14内の作業ゾーン70および/または生育ゾーン80で作業するときのために提供することができる。一実施の形態では、白色作業灯は、天井近傍に水平LEDライトストリップ118として設けられる。白色灯は、作業ゾーン70に設けられたスイッチによって操作することができ、農家の人が必要に応じてオン・オフすることができる。白色灯はタイマで操作することができ、任意の時間後に自動的にオフにすることができる。白色灯は人感センサで操作することができ、農家の人が作業ゾーン70に入った動きを感知してオンになり、動きが感知できないときは任意の時間後にオフになる。
【0073】
[7.可動サスペンションシステム]
幾つかの実施の形態では、図11図19Aおよび図19Bに示されるように、植付パネル90および照明パネル116をサスペンションシステム130に装着することができる。農家の人がアクセスできるように植付パネル90の中央列132,134および照明パネル116の列142,144は可動式になっている。植付パネル90の外側の列135は、ファームコンテナ14の側壁にまたは側壁の近傍に固定することができる。幾つかの実施の形態では、サスペンションシステム130は、ファームコンテナ14の幅にわたって延びるクロスレール136を1以上有することができる。中央の植付パネル90および照明パネル116は、台車システム、例えば、クロスレール136の上、中またはそばに形成されたトラックに沿って動くローラまたは車輪137が装着され、クロスレール136に沿って移動することができる。幾つかの実施の形態では、植付パネル90および/または照明パネル116は、その底に車輪137を有し、フロア上を簡単に移動することができる。このように、農家の人は中央の植付パネル90および照明パネル116を一方の側または他方の側に移動させ、生育ゾーン80の中により多くの部屋146を作ることができる。例えば、農家の人は、作った部屋146を利用し、植付パネル90を掛けたり、作物を植え替えたり、成熟した作物を収穫したりすることができる。例えば、植付パネル90および照明パネル116の列142は、ファームコンテナ14の幅(短手方向)を横切って、全て一方向(つまり、右)、全て他方向(つまり、左)に向けて、大抵は等間隔に間を置いて配置するか、または一か所に集め、例えば中央を開けておくことができる。サスペンションシステム130は電動および/または手動にすることができる。植付パネル90および/または照明パネル116を移動させるための他のアセンブリ構造がここで説明したサスペンションシステム130の代わりに、またはそれに加えて提供されうることが理解されよう。
【0074】
[8.灌漑システム]
ファームコンテナ14のそれぞれは、作物に水および栄養分を供給するための灌漑システム160を有する。灌漑システム160は、水養液を貯蔵する養液リザーバ162を有することができ、養液リザーバ162内のポンプから植付パネル90の上端付近の位置まで上方に伸びる灌漑ラインを有することができる。幾つかの実施の形態では、養液リザーバ162は、ファームコンテナ14の床下に1以上のメインタンクを有することができる。幾つかの実施の形態では、メインタンクは、ハブコンテナ12の反対側の、ファームコンテナ14の後部に配置することができる。図示の実施の形態では、ファームコンテナ14は、3つの165ガロンタンク166を有している。タンクのサイズおよび数は、ファームコンテナ14の寸法、作物のサイズおよび種類などに応じて変更可能である。幾つかの実施の形態では、ファームコンテナ14は地面または他の支持面より上に持ち上げることにより、底部のバルブを操作できるようにしている。
【0075】
灌漑ラインは、植付パネル90の上方に支持されたパイプアセンブリ164に接続することができる。パイプアセンブリ164は、植付パネル90の各列と並ぶような長さのパイプを有する。一実施の形態では、パイプアセンブリ164は、サスペンションシステム130から吊り下げられた植付パネル90のほぼ線形構造と並ぶように、ほぼ線形構造に配置される。パイプのそれぞれの長さは、下に向かって開口する放出部つまりノズルを多数有する。各放出部は、水養液を生育チャネル92の開放頂部に放出することができるように植付パネル90の生育チャネル92に整列している。水養液は、生育チャネル92の長さに沿って下方に流れ、そこで成長している植物に栄養を与える。余剰の水養液は、生育チャネル92の底部にある開口端部から排出される。幾つかの実施の形態では、放出部は、例えば作物の周りの空気を霧状にするために噴霧することができる。例えば、きのこの作物周りの空気を潤すことは有用である。
【0076】
植付パネル90から排出された余分な栄養分は、生育ゾーン80の下方にある集水器に集められる。溶液が集水器に流れるように、格子で集水器をカバーすることができる。格子はまた、生育ゾーン80の床面とすることができる。必要に応じて農家の人は格子上を歩くことができる。格子は取り外すことができる。集水器を傾斜させ、水養液を養液リザーバ162に戻すことができる。
【0077】
養液リザーバ162にアクセスするための開口部168は、床面に形成することができる。取水ラインおよびドレンラインは、例えば、ハブコンテナ12からファームコンテナ14の床下に設けることができる。上述したように、水の配管またはホースおよびドレンラインのための最適な配管取付金具は、ファームコンテナ14の外に設けることができる。このようにして、水は、ファームコンテナ14の養液リザーバに導入されたり、養液リザーバから取り出されたりすることができる。
【0078】
[9.ファームコンテナ14の作業ゾーン]
上述したように、ファームコンテナ14のそれぞれは、作業ゾーン70を有し、様々な仕事や作業が行われる。幾つかの実施の形態では、種子の植え付けおよび発芽用の育苗ステーション72(後述する)が作業ゾーン70に配置され得る。苗は、充分に生育した後、植付パネル90に植え替えられ、生育ゾーン80に移動され、成熟される。幾つかの実施の形態では、植付パネル90は、生育ゾーン80から除去され、成熟植物を収穫し、苗を生育チャネル92に植え替えるために作業ゾーン70に運ばれ得る。幾つかの実施の形態では、マイクログリーンのような作物は、作業ゾーン70の中の、例えば棚46または作業面44の上のポットで育てることができる。他の作業を作業ゾーン70で行うことができる。例えば、工具および備品の洗浄などのメンテナンス作業を作業ゾーン70で行うことができる。センサ、養液キャニスタ、制御盤、空気処理装置などの設備も、農家の人がアクセス可能な作業ゾーン70の中に設置することができる。作業ゾーン70は、1以上の作業面44、保管用の棚46およびシンク48を有することができる。
【0079】
[10.養液投与システム]
モジュール式農場は、養液投与システム180を有し、適切な量の栄養が養液リザーバ162の水に添加されて、生育している植物に与えられる水養液を形成することができる。幾つかの実施の形態では、養液投与システム180は、育苗ステーション72の下方または近傍などの、ファームコンテナ14の内壁に設置することができる。幾つかの実施の形態では、養液投与システム180は、水養液を養液リザーバ162から養液投与システム180を介して養液リザーバ162に戻す再循環ライン182を有する。再循環ライン182のセンサアセンブリ184は、センサ(“ハイドロセンサ”とも呼ばれる)を有し、pH、電気伝導率および温度などの様々なパラメータを感知する。調整が必要な場合は、センサアセンブリ184の出力に基づいて必要な添加物を再循環ライン182に添加することができる。
【0080】
幾つかの実施の形態では、養液投与システム180は作業ゾーン70に収容することができる。再循環ライン182は、センサアセンブリ184を通り、養液リザーバ162に向かって下方に延びる排水ラインにまで通すことができる。複数の栄養源は、作業ゾーン70に配置されるキャニスタに備えることができる。投与チューブは、各キャニスタから蠕動運動ポンプのような計量器を通り、例えば配送バーブ(delivery berbs)を介して排水ラインの入口へ導くことができる。センサアセンブリ184が特定の栄養分または添加物が必要であると判断したとき、関連する計量器が作動し、適切な量が添加される。幾つかの実施の形態では、センサアセンブリ184は、感知したデータに基づいて適切な量の添加物を導入するように計量器を動作させる制御部を有することができる。
【0081】
幾つかの実施の形態では、第1のキャニスタは、リン、カリウム、窒素、カルシウム、硝酸塩などの作物の生育に適したミネラルの混合物を含むことができる。第2のキャニスタは、pHを調整する添加物を含むことができる。第3のキャニスタは、根の成長に役立つ菌根を含むことができる。第4のキャニスタは、周期的にラインに循環させる洗浄液を含むことができる。任意の数のキャニスタおよび所望の栄養分を提供することができる。幾つかの実施の形態では、栄養分のレベルをチェックするための観察スロットを各キャニスタに設けることができる。必要に応じて栄養分をさらに追加するため、または空のキャニスタを満杯のキャニスタに置き換えるために、各キャニスタの上部に配送ポートを設けることができる。
【0082】
幾つかの実施の形態では、水養液は、連続的にまたは周期的に養液投与システムを介して再循環し、それにより栄養分の量を連続的にまたは周期的に監視することができる。このようにして、養液リザーバ162内の水養液は、適切な栄養レベルを維持することができる。
【0083】
[11.育苗ステーション]
図5ないし図8を参照すると、幾つかの実施の形態では、育苗ステーション72は、ファームコンテナ14の作業ゾーン70におけるコンテナ内壁に設置できる。図9ないし図12を参照すると、幾つかの実施の形態では、1または数個の育苗ステーション72がハブコンテナ12の内壁に設置することができる。この場合、苗の植え付けおよび発芽をハブコンテナ12の共有スペース40で行うことができる。
【0084】
幾つかの実施の形態では、育苗ステーション72は、最上作業棚73を有し、農家の人が種子の植え付けや苗を植付パネル90に移動する作業を行う間、最上作業棚73の上に播種トレイを置くことができる。1以上の下部棚75は、苗を生育する苗トレイに配置された苗プラグに水を供給するための水トラフを含んでいる。各トラフ棚は、養液リザーバ162からの水養液でトラフを満たし、排水するための配管を含むことができる。トラフの底床は傾斜しているため、水が底床の表面上を高い方の端から低い方の端に向かうようになっている。幾つかの実施の形態では、養液は高い方の端にある注入管から入り、傾斜に沿って、ドレンチューブが配置されている低い方の端に流れることができる。幾つかの実施の形態では、苗トレイは、苗プラグが植えられる複数の開口部を持った頂壁を有していて、植えた苗トレイを水トラフ棚上に置いたとき、各苗プラグの底がトラフ床に達して養液に接触するようになる。苗トレイはまた、農家の人が作業しているときにトレイが動かないようにするために最上作業棚73の上の支持溝に嵌合するハンドルを前縁に沿って含めることができる。苗トレイがトラフ棚の上に置かれると、ハンドルはトラフの縁から張り出す。
【0085】
育苗ポンプは、各水トラフ棚に備えられ、水養液を苗に与える。育苗ポンプは、作業ゾーン70の床下の養液リザーバ162の中に配置することができる。育苗ポンプへの注入管および育苗ポンプからの排水管は、コンテナ壁のうちの1つの壁の中を延びている。ライトは、作業棚および上部のトラフ棚の下に装着され、トラフ棚の上の苗に光を供給することができる。
【0086】
[12.制御システム]
幾つかの実施の形態では、ファームコンテナ14の様々なパラメータおよび環境は、ファームコンテナ14で栽培される所望の特定作物にとって最適になるように制御することができる。農場環境の制御は自動化され、また、最適な制御システムによって制御することができる。集中制御システムは、例えば、農家の人がドロップダウンメニューなどを介して、特定のファームコンテナ14または一部のファームコンテナ14を選択することができるように備えられている。集中制御システムは、気候制御など、共通の操作の自動化を含む。幾つかの実施の形態では、植付パネルの移動および照明操作をスケジュールするための制御システムを提供することができる。センサで読み取られたデータが制御システムに送信され、調整の要否が判断される。制御システムまたはその一部は、ファームコンテナ14の中に別々に配置することができる。制御システムは、ハブコンテナ12の中に配置することができる。制御システムは、離れた場所に、または離れた場所とファームコンテナ14および/またはハブコンテナ12の両方とに配置することができる。例えば、幾つかの実施の形態では、スマートフォンなどのデバイス上で実行することができるアプリケーションを利用し、農家の人に様々なパラメータについて警告し、写真を送信し、農家の人がシステムを制御して1以上のファームコンテナ14の中の栽培状態を調節および最適化することができる。
【0087】
気候制御システムは、ファームコンテナ14およびハブコンテナ12のためのHVACシステムの制御を含むことができる。気候制御システムは、ファームコンテナ14で生育する特定作物によって異なるパラメータの選択範囲内で気候を維持することができる。
【0088】
ここで記載したように、制御システムは、モジュール式農場システム10を制御および監視するためのソフトウェアベースおよびハードウェアベースのツールとして実現することができる。例えば、農場制御システムは、コンピュータ装置にアプリケーション層または様々な処理作業を実行させるハードウェア、ソフトウェアおよびファームウェアの組み合わせを含む1以上のコンピュータ装置として実現またはこれらを有することができる。コンピュータ装置としては、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、サーバ、ラップトップ型コンピュータ、タブレット型コンピュータ、携帯装置、ハンドヘルド装置、ワイヤレス装置、スマートフォン、ウェアラブル装置、組み込み装置、マイクロプロセッサベースの装置、マイクロ制御ベースの装置、プログラマブル家庭用電化製品、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ等であり、これらに限定されない。
【0089】
コンピュータ装置は、ソフトウェアとして基本入出力システム(BIOS)とオペレーティングシステムとを有し、ハードウェア要素の管理、ハードウェアとソフトウェアとの間の連携、起動などの基本動作の管理を行うことができる。コンピュータ装置は、コンピュータ装置に関する基本機能を提供するためにオペレーティングシステムと連携する1以上のプロセッサおよびメモリを含むことができる。オペレーティングシステムは、アプリケーション層や他の処理動作のためのサポート機能を提供する。コンピュータ装置は、様々なハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアコンポーネント間の通信および様々な外部装置との通信を可能するために、システムバスまたは他のバス(例えば、メモリバス、ローカルバス、周辺機器用バス等)を含むことができる。コンポーネントが相互通信、相互作用を可能にするあらゆる種類のアーキテクチャまたは基盤を使用することができる。
【0090】
処理作業は、1以上のプロセッサによって実行することができる。シングルプロサッサ、マルチプロセッサ、中央処理装置(CPU)、マルチコアプロセッサ、パラレルプロセッサ、または分散プロセッサ等、様々な種類の処理技術を利用することができる。画像処理装置(GPU)、動画、マルチメディア、または数学的処理機能といった追加の専門的処理資源が、所定の処理作業を実行するために提供することができる。様々な学習アルゴリズムが実装されてもよい。処理作業は、コンピュータ装置で実行されるアプリケーションプログラムまたは他のプログラムモジュールのようなコンピュータ実行可能なコマンドで実装されてもよい。アプリケーションプログラムおよびプログラムモジュールは、特定の作業を実行、またはデータを処理するルーティン、サブルーティン、プログラム、ドライバ、オブジェクト、コンポーネント、データ構造等を含んでもよい。
【0091】
プロセッサは、小規模集積回路、プログラム可能な論理アレイ、プログラム可能な論理素子、マスクされたプログラマブルゲートアレイ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、および特定用途向け集積回路(ASIC)のような論理素子を含んでもよい。論理素子としては、計算用論理ブロックおよび演算子、レジスタ、有限状態機械、マルチプレクサ、アキュムレータ、コンパレータ、カウンタ、参照テーブル、ゲート、ラッチ、フリップフロップ、入出力ポート、キャリーインおよびキャリーアウトポート、並びにパリティ生成器、並びに論理ブロック、論理装置および論理セルのための相互接続資源であり、これらに限定されない。
【0092】
コンピュータ装置は、システムバスまたは他の任意の方法によってアクセス可能なメモリまたはストレージを有する。メモリは、制御論理、コマンド、および/またはデータを格納することができる。メモリは、キャッシュメモリ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、メインメモリ、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、およびメモリスタメモリセルといった一時的なメモリであってよい。メモリは、プログラム可能なリードオンリーメモリ(PROM)、消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(EPROM)等のファームウェアまたはマイクロコードのためのストレージであってもよい。メモリは、リードオンリーメモリ(ROM)、ハードディスクドライブ、光学ストレージ装置、コンパクトディスクドライブ、フラッシュドライブ、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ、磁気テープドライブ、メモリチップ、およびメモリスタメモリセルなどの非一時的または不揮発性または永続的なメモリであってもよい。非一時的メモリは、リムーバルストレージ装置で提供されてもよい。コンピュータ読み取り可能な媒体は、ここで記載される方法およびシステムの実施の形態を実装するようプロセッサによって後で使用され得るコマンドの符号化および/またはデータの格納が可能な任意の物理媒体であってもよい。物理媒体は、フロッピーディスク、光学ディスク、CD、ミニCD、DVD、HD-DVD、ブルーレイディスク、ハードドライブ、テープドライブ、フラッシュメモリ、またはメモリチップであってもよい。プロセッサへのコマンドおよび/またはデータを提供し得る、他のあらゆる種類の有形、非一時的ストレージが、これらの実施の形態で使用されてもよい。
【0093】
コンピュータ装置は、入力および出力機器を他の種々なコンピュータ装置のコンポーネントに接続するための1以上の入出力インターフェイスを有してもよい。入出力機器としては、キーボード、マウス、ジョイスティック、マイクロフォン、ディスプレイ、タッチスクリーン、モニタ、スキャナ、スピーカ、およびプリンタであってもよく、これらに限定されない。インターフェイスは、ユニバーサルシリアルバス(USB)ポート、シリアルポート、パラレルポート、ゲームポート等を含んでもよい。
【0094】
コンピュータ装置は、コンピュータ装置が電気通信を可能にするネットワーク接続でネットワークにアクセスできる。ネットワーク接続により、コンピュータ装置は通信回線を介して、遠隔機器、遠隔ネットワーク、遠隔エンティティの任意の組み合せと通信および相互作用することができる。その通信回線は、有線または無線回線を含む任意の種類の通信回線であり、これらに限定されない。例えば、ネットワーク接続は、ネットワークを通じて、コンピュータ装置が遠隔機器と通信することを可能にし、そのネットワークは、有線および/または無線ネットワークであってよく、イントラネット、ローカルエリアネットワーク(LAN)、企業全体のネットワーク、中間エリアネットワーク、広域ネットワーク(WAN)、インターネット、セルラーネットワーク等のいずれの組み合せでもよい。制御論理および/またはデータは、ネットワーク接続を介してコンピュータ装置間で送受信することができる。ネットワーク接続は、モデム、ネットワークインターフェイス(イーサネット(登録商標)カードなど)、通信ポート、PCMCIAスロットおよびカード等を有し、通信回線を介してデータの送受信を可能にする。
【0095】
コンピュータ装置は、利用者が通信回線を介してウェブサーバによって提供されるページまたは他のコンテンツを閲覧および見ることできるようにするブラウザおよびディスプレイを有してもよい。ウェブサーバ、サーバ、およびデータベースは同じ場所または異なる場所に設置されてもよく、また、同じコンピュータ装置の一部でも異なるコンピュータ装置でもよく、またはネットワーク上に分散されてもよい。データセンタは遠隔地に設置されてもよく、ネットワークを介してコンピュータ装置によりアクセスされてもよい。
【0096】
コンピュータ装置は、例えば、クラウドコンピューティングアーキテクチャのような1以上のネットワークに分散されるアーキテクチャを含んでもよい。クラウドコンピューティングとしては、例えば、サービス型ソフトウェア(SaaS)、サービス型インフラ(IaaS)、サービス型プラットフォーム(PaaS)、サービス型ネットワーク(NaaS)、サービス型データ(DaaS)、サービス型データベース(DBaaS)、サービス型デスクトップ(DaaS)、サービス型バックエンド(BaaS)、サービス型テスト環境(TEaaS)、サービス型API(APIaaS)、およびサービス型統合プラットフォーム(IPaaS)を提供するための分散ネットワークアーキテクチャであってよく、これらに限定されない。
【0097】
[13.コンテナ構造]
ハブコンテナ12およびファームコンテナ14は、任意の構造を有することができ、任意の最適な方法で製造することができる。幾つかの実施の形態では、ハブコンテナ12およびファームコンテナ14は、適切な枠組みによって支持される4つの壁パネルアセンブリ、1つの屋根パネルアセンブリ、1つの床パネルアセンブリで製造される。これらのパネルアセンブリは、任意の最適な材料で形成することができる。一実施の形態では、これらのパネルは、内側パネルと外側パネルとの間を、例えばガラス繊維または他の断熱材料で断熱することができる。内側パネルおよび外側パネルはガラス繊維材料で形成することができる。各パネルアセンブリの内側パネルおよび外側パネルは、所望に応じて成形または構成することができる。
【0098】
幾つかの実施の形態では、端壁のような1つの壁を、ガラスパネル201として形成することができる。ガラスパネルにより、人々が外にいてもコンテナの内側を見ることができる。これにより、コンテナ内で栽培している作物の汚染やコンテナ内で働く農家の人の作業の中断を最小限に抑えることができる。
【0099】
コンテナは、任意の最適な方法で組み立てることができる。一実施の形態では、枠組みは、それぞれの角における柱または隅金物204を含み、その上端および下端おいて柱を接続する梁206を含むことができる。床および天井のフレーム要素は、様々な設備を配置できるように、間隔をあけることができる。枠組みおよび他の構造部材は、金属等、例えば鋼鉄の任意の適切な材料で作ることができる。パネルは、任意の最適な方法でフレーム要素に固定することができる。排水口208は、コンテナの角のような床の適当な箇所に設けることができる。排水口208は、ファームコンテナ14等で洗浄を行ったときの液体や水を排水する出口を提供する。隣接するコンテナは、安定性のため、止めナット等を使用して任意の適当な方法で連結することができる。
【0100】
幾つかの実施の形態では、ハブコンテナ12および/またはファームコンテナ14は、新品または中古の貨物運送用のコンテナである。任意の寸法の貨物運送のコンテナでよく、また、同じ寸法または異なる寸法の貨物コンテナをシステム内で混在してもよい。貨物コンテナは必要に応じ、モジュール式農場システム10で使用されるサブシステムを備えるために使用してもよい。
【0101】
灌漑および電力用のサービスラインは、例えば天井、床、および壁内の空隙スペースに設けることができる。照明システム、サスペンションシステム、および灌漑システムなどの様々なシステムを操作するためのスイッチなどの制御装置は、農家の人による操作用にファームコンテナ14の作業ゾーン70またはハブコンテナ12の共有スペース40に収容することができる。例えば、農家の人はサスペンションシステムのモータを制御して、所望の植付パネル90または照明パネル116を作業ゾーン70からアクセスできる場所に移動することができる。
【0102】
説明した“コンテナ”について、所望であればハブコンテナ12およびファームコンテ14は、実際の輸送用のコンテナでもよいが、必ずしもその必要はない。幾つかの実施の形態では、完全に組み立てられたコンテナが所望の場所に移動され、最適な土台に設置され、コンテナ同士が接続される。幾つかの実施の形態では、コンテナは、設置場所で構成部品から組み立てることもできる。幾つかの実施の形態では、ファームコンテナ14は、1以上の冷媒コンテナまたは冷蔵コンテナを含むことができ、リーファーコンテナと呼ばれることもある。
【0103】
本明細書に記載のモジュール式農場システム10は、多種多様な作物、特に緑色の葉物植物の栽培に使用することができる。例えば、この装置は、レタス、ほうれん草、チャードなどの葉物野菜、ブロッコリー、キャベツ、カリフラワー、芽キャベツ、コールラビ、マスタード、ケール、ルッコラなどのアブラナ属、バジル、オレガノ、パセリ、ミント、ローズマリー、タイム、チャイブなどのハーブ類を栽培するために使用することができる。他の作物としては、トマト、ピーマン、いちご、きゅうり、花、根菜類、つる作物、またはきのこであってもよい。モジュール式農場システム10は、種子発芽、発芽後の植物生育、または育苗後の植物の生育に使用することができる。特定の作物に応じて、任意の適切な栽培培地または植物支持培地を使用することができる。本明細書では、用語「植物」は、きのこを含む真菌を含むことができる。
【0104】
本明細書では、「本質的に構成される」は、請求項の基本的かつ新規な特徴に実質的に影響を及ぼさない材料またはステップの包含を可能にする。特に組成物の成分の説明または装置の要素の説明における「含む(備える)」という用語の本明細書における任意の記載は、「本質的に構成される」または「構成される」と入れ替えることができる。
【0105】
本明細書に記載の実施の形態の様々な特徴は様々な方法で組み合わせることができる。例えば、一実施の形態に関連して記載された特徴は、その実施の形態に関連して明示的に記載されていなくても、他の実施の形態に含まれてもよい。
【0106】
本発明は、任意の好ましい実施の形態に関連して記載されている。本発明は、図示されかつ記載された構造、操作、厳密な材料または実施の形態の正確な詳細に限定されず、そして本明細書に開示された実施の形態に対する種々の変更、均等物の置換、組成物の変更、その他の変形は当業者には明らかであろう。
【符号の説明】
【0107】
10 モジュール式農場システム
12 ハブコンテナ
14 ファームコンテナ
16 メインエントランス
18 連絡通路
22 長壁(ハブコンテナの)
24 長壁(ファームコンテナの)
26 短壁(ハブコンテナの)
28 短壁(ファームコンテナの)
32 ドア
34 短壁
40 共有スペース
42 梱包ステーション
44 作業面
46 棚
48 シンク
51 キャニスタ
52 取水接続部
54a,54b 凝縮ユニット
55 HVAC吸気口
56 空気処理装置
57 吸気ファン
58 エアダクト
59 排気ファン
62a,62b 電気コンセント
64 メインブレーカーボックス
66 電気制御盤
68 パネル
70 作業ゾーン
72 育苗ステーション
73 最上作業棚
75 下部棚
80 生育ゾーン
90 植付パネル
92 生育チャネル
94 側壁
96 背壁
98 開放前面
102 上端
104 下端
106 植物支持培地または支持体
108 孔
109 溝
110 照明システム
112 ライト
116 照明パネル
118 LEDライトストリップ
122 基質パネル
130 サスペンションシステム
132,134 中央列
135 列
136 クロスレール
137 車輪
142,144 列
146 部屋
160 灌漑システム
162 養液リザーバ
164 パイプアセンブリ
166 ガロンタンク
168 開口部
180 養液投与システム
182 再循環ライン
184 センサアセンブリ
201 ガラスパネル
204 隅金物
206 梁
208 排水口
212 ハブコンテナ
214 ファームコンテナ
312,412,512 ハブコンテナ
512‘ 補助ハブコンテナ
513 分岐部
514 ファームコンテナ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16-17】
図18
図19A
図19B
図20
図21A
図21B
図21C
図21D